(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について、図面を参照して説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のボイラ装置を示す概略切断側面図である。
【0016】
本実施形態のボイラ装置は、
図1に示すように、煙管構造のボイラ1と、ボイラ1の燃焼ガス13の出口側に接続された燃焼ガス排出ダクト17と、燃焼ガス排出ダクト17の下流側に接続されたサイクロン18と、サイクロン18の外側に設けられたボイラ水流通手段としてのジャケット21と、ボイラ1のボイラ水をジャケット21に循環供給する循環手段とを備えた構成とされている。なお、本実施形態では、ボイラ1が温水ボイラである場合の例について説明する。
【0017】
ボイラ1は、ボイラ水3が貯留される缶体2と、缶体2内に配置された燃焼部4、複数の煙管6、燃焼ガス集合部7とを備え、更に、燃焼部4に装着されたバーナ5を備えた構成とされている。缶体2内のボイラ水3は、燃焼部4、煙管6及び燃焼ガス集合部7の各外側に充填されている。
図1では、図示する便宜上、缶体2内のボイラ水3にはドットのハッチングが付してある。
【0018】
本実施形態における缶体2は、上下に延びる円筒形状とされている。燃焼部4は、缶体2の下部に配置され、燃焼ガス集合部7は、缶体2の上部に配置されている。各煙管6は、燃焼部4と燃焼ガス集合部7との間に配置されて、下端側と上端側が燃焼部4と燃焼ガス集合部7に接続されている。
【0019】
燃焼部4は、天井壁部4aと底壁部4bと側壁部4cとを備えて、内部に空間が形成された構成とされている。
【0020】
燃焼部4は、缶体2の円筒部の内径寸法よりも小径の円筒形状とされている。燃焼部4の天井壁部4aは、側壁部4cの外周面より外方へ張り出していて、天井壁部4aの外周面が缶体2の側壁の内面と接続されている。天井壁部4aの張り出している外周縁部には、円周方向の複数個所に上下方向に貫通する孔4dが設けられており、孔4dを通して天井壁部4aの上下方向にボイラ水3が通過可能となっている。
【0021】
側壁部4cの周方向の1個所と、その外周側に位置する缶体2の側壁との間には、横向きの筒状部材8が設けられている。缶体2の中心寄りに位置する筒状部材8の一端側(
図1では右端側)は、側壁部4cに、燃焼部4の内部空間と連通するように取り付けられている。筒状部材8の他端側(
図1では左端側)は、缶体2の側壁に貫通するように取り付けられている。
【0022】
バーナ5は、筒状部材8の内側を通して燃焼部4に装着されている。なお、バーナ5は、必要に応じて筒状部材8の内側から取り外し可能であることが好ましい。
【0023】
バーナ5は、内部に円筒状の燃焼室5aを有している。燃焼室5aの軸心方向の一端側(
図1では左端側)は端壁5bで閉塞され、軸心方向の他端側(
図1では右端側)は開放されて火炎噴出口5cとされている。バーナ5は、火炎噴出口5c側が筒状部材8に挿入されていて、火炎噴出口5cが燃焼部4の内部空間に向けて開口(連通)している。
【0024】
更に、バーナ5は、燃焼室5aに燃焼用空気10を供給するための空気供給管11と、燃焼室5aにバイオマス燃料としての粉体バイオマス燃料9を供給するための粉体燃料供給管12と、図示しない点火手段とを備えた構成とされている。
【0025】
本実施形態では、粉体バイオマス燃料9として、たとえば、木質バイオマスを平均粒径が100μm程度となるように粉砕処理した粉体バイオマス燃料9を用いるようにしてある。なお、粉体燃料供給管12における粉体バイオマス燃料9の搬送は、空気などの搬送気体を用いた空気輸送により行うようにすればよい。
【0026】
空気供給管11の上流側には、送風機14が燃焼用空気ライン15を介して接続されている。燃焼用空気ライン15には、燃焼用空気10の流量を調整する流量調整弁16が設けられている。
【0027】
粉体燃料供給管12から燃焼室5aに供給される粉体バイオマス燃料9は、空気供給管11から燃焼室5aに供給される燃焼用空気10により燃焼し、火炎を形成する。
【0028】
したがって、バーナ5は、粉体バイオマス燃料9の燃焼により形成される火炎を、火炎噴出口5cより噴出することができる。
【0029】
これにより、ボイラ1では、バーナ5の火炎噴出口5cから噴出する火炎が、燃焼ガス13と共に燃焼部4内に吹き込まれる。
【0030】
燃焼ガス集合部7は、缶体2の円筒部の内径寸法よりも小径で中空の円筒形状とされている。燃焼ガス集合部7は、底壁部7aと側壁部7bと天井壁部7cとを備えている。
【0031】
底壁部7aは、側壁部7bの外周面より外方へ張り出していて、底壁部7aの外周面が缶体2の側壁の内面と接続されている。底壁部7aの張り出している外周縁部には、円周方向の複数個所に、上下方向に貫通する孔7dが設けられており、孔7dを通して底壁部7aの上下方向にボイラ水3が流通可能となっている。
【0032】
側壁部7bの周方向の1個所には、その外周側で缶体2の側壁に内外方向に貫通するように取り付けられた燃焼ガス排出ダクト17の一端側(
図1では左端側)が、燃焼ガス集合部7の内部空間と連通するように取り付けられている。
【0033】
複数の煙管6は、燃焼部4と燃焼ガス集合部7との間に、上下方向に延びる姿勢で平行に配置されている。各煙管6の下端側は、燃焼部4の天井壁部4aに取り付けられて、燃焼部4の内部空間に連通接続されている。これにより、天井壁部4aは、各煙管6の下端側の管寄せとなり、燃焼部4内の燃焼ガス13は、各煙管6内に分散して流入する。
【0034】
一方、煙管6の上端側は、燃焼ガス集合部7の底壁部7aに取り付けられて、燃焼ガス集合部7の内部空間に連通接続されている。これにより、底壁部7aは、各煙管6の上端側の管寄せとなり、各煙管6内を流通した燃焼ガス13は、燃焼ガス集合部7内に入って集合し、その後、燃焼ガス排出ダクト17に導かれる。
【0035】
したがって、ボイラ1では、燃焼ガス13と、缶体2内のボイラ水3とを、燃焼部4の各壁面や、各煙管6の管壁や、燃焼ガス集合部7の各壁面を介して熱交換させて、燃焼ガス13が保有する熱をボイラ水3に回収して、ボイラ水3の加熱を行うことができる。
【0036】
なお、ボイラ1は温水ボイラであるため、缶体2内で加熱されるボイラ水3の設定温度は、沸騰しない90℃程度に設定されている。
【0037】
また、ボイラ1は、図示してないが、運転時における各部の温度変化に伴う寸法の変化を吸収して過大な応力集中が生じないようにするための手段を適宜備えている。図中、25は缶体2内への給水手段である。
【0038】
燃焼ガス排出ダクト17の下流側となる他端側(
図1では右端側)には、サイクロン18が接続されている。
【0039】
サイクロン18は、上部が円筒形状とされ、下部が下方へ向けて縮径する円錐筒形状とされた外筒18aと、外筒18aの上端側を閉塞する天井壁18bと、天井壁18bの中央部を貫通させて上方から外筒18aの中心部に同心状に挿入配置された内筒18cとを備えた構成とされている。
【0040】
外筒18aは、上端側の周方向の一個所に開口を備え、この開口に、燃焼ガス排出ダクト17の他端側が、外筒18aの接線に沿う方向から連通接続されている。
図1では、図示する便宜上、外筒18aに対する燃焼ガス排出ダクト17の接続部分を簡略化して示してある。これにより、サイクロン18では、ボイラ1より燃焼ガス排出ダクト17を通して導かれて外筒18a内に流入する燃焼ガス13が、外筒18aと内筒18cとの間の空間26で旋回流を形成する。
【0041】
この旋回流により、空間26では、燃焼ガス13に含まれている煤塵20が、気体との密度差に基づいて遠心分離処理される。この遠心分離処理により、煤塵20は、空間26の外周部となる外筒18aの内面付近に集められ、外筒18aの内面に沿って落下して、外筒18aの下端側より排出される。一方、燃焼ガス13に含まれていた煤塵20が遠心分離処理により除去されてクリーンとなった排ガス19は、空間26の内周側に移動し、内筒18cの下端側から内筒18c内に流入し、内筒18cを通って上方へ排出される。
【0042】
なお、燃焼ガス排出ダクト17は、一端側の流路断面積よりも他端側の流路断面積が絞られた構成を備えることが好ましい。この構成によれば、サイクロン18では、空間26に形成される燃焼ガス13の旋回流の流速をより高めることができ、よって、サイクロン18における煤塵20の分離性能をより向上させることができる。
【0043】
サイクロン18の外筒18aおよび天井壁18bの外側には、外筒18aにおける燃焼ガス排出ダクト17の接続部と下端側の煤塵20の排出部を除く領域に、ジャケット21が設けられている。ジャケット21は、下端側に入口21aが設けられ、上端側に出口21bが設けられている。
【0044】
次に、前記循環手段について説明する。
【0045】
ボイラ1は、缶体2の上端寄りとなる、たとえば、煙管6の上端側と対応する高さ位置に、ボイラ水取出口2aを備え、缶体2の下端寄りとなる、たとえば、煙管6の下端側と対応する高さ位置にボイラ水戻し口2bが設けられた構成とされている。
【0046】
ボイラ水取出口2aには、循環ポンプ23を備えた循環ライン22の上流側端部となる一端側が接続されている。循環ライン22の下流側端部となる他端側は、ジャケット21の入口21aに接続されている。また、ジャケット21の出口21bには、別の循環ライン24の上流側端部となる一端側が接続されている。循環ライン24の下流側端部となる他端側は、ボイラ1のボイラ水戻し口2bに接続されている。
【0047】
これにより、循環ポンプ23を運転すると、ボイラ1の缶体2内のボイラ水3が、ボイラ水取出口2aから取り出され、このボイラ水3が、循環ライン22を通してジャケット21の入口21aに供給される。ジャケット21内に入口21aから供給されたボイラ水3は、出口21bに向いた略上向きの流れとなってジャケット21内を流通する。その後、出口21bに達したボイラ水3は、出口21bから循環ライン24を経た後、ボイラ水戻し口2bを通して缶体2内へ戻される。
【0048】
したがって、循環ポンプ23の運転中は、ジャケット21に、ボイラ1から取り出されるボイラ水3が連続的に循環供給される。このため、サイクロン18では、燃焼ガス排出ダクト17から外筒18a内に流入して旋回流を形成する燃焼ガス13および燃焼ガス13に含まれている煤塵20と、ジャケット21内を流通するボイラ水3との間で、外筒18aの壁面を介した熱交換を行わせることができる。
【0049】
本実施形態のボイラ装置を使用する場合は、バーナ5で粉体バイオマス燃料9を燃焼させてボイラ1を運転する。また、循環ポンプ23を運転して、ボイラ1から取り出したボイラ水3をサイクロン18に付設されたジャケット21に循環流通させる。
【0050】
これにより、ボイラ1では、バーナ5から燃焼部4へ火炎と共に吹き込まれた燃焼ガス13が、各煙管6内を通過して燃焼ガス集合部7まで流通する間に、この燃焼ガス13と缶体2内のボイラ水3との熱交換を行わせることができて、ボイラ水3の加熱を行うことができる。
【0051】
缶体2内に貯留されているボイラ水3との熱交換を終えて、燃焼ガス集合部7から排出された燃焼ガス13は、燃焼ガス排出ダクト17を通してサイクロン18へ供給される。
【0052】
サイクロン18では、燃焼ガス13に含まれている煤塵20が遠心分離処理されて、サイクロン18の下端側より回収される。煤塵20が分離されてクリーンとなった排ガス19は、内筒18cを通して上方に排出される。
【0053】
更に、サイクロン18内を流通する燃焼ガス13は、ジャケット21を循環流通しているボイラ水3と熱交換される。
【0054】
この際、前述したように、ボイラ1では、缶体2内のボイラ水3の温度が90℃程度に設定されている。このため、缶体2内のボイラ水3に、対流などに起因して上下方向の温度勾配が生じているとしても、缶体2のボイラ水取出口2aから取り出されてジャケット21に供給されるボイラ水3の温度は、最も高い場合でも90℃程度となる。
【0055】
これに対し、ボイラ1から燃焼ガス排出ダクト17を経てサイクロン18に導かれる燃焼ガス13は、ボイラ1においてボイラ水3と熱交換に供された後であっても、200℃〜300℃の温度を有している。
【0056】
そのため、ジャケット21内を流通するボイラ水3は、サイクロン18内を流通する燃焼ガス13の保有する熱を回収して加熱される。
【0057】
なお、ボイラ1の起動時には、缶体2内のボイラ水3の温度が低いために、ボイラ1では、燃焼ガス13の保有する熱がより多くボイラ水3に回収されるようになるが、この場合であっても、ボイラ1から燃焼ガス排出ダクト17を経てサイクロン18へ導かれる燃焼ガス13の温度は、100℃以上まで速やかに上昇する。一方、ボイラ1から取り出されてジャケット21へ供給されるのは、設定温度である90℃程度まで加熱される過程のボイラ水3となる。したがって、この場合もジャケット21内を流通するボイラ水3は、サイクロン18内を流通する燃焼ガス13の保有する熱を回収して加熱される。
【0058】
更に、サイクロン18では、外筒18aの上端側から燃焼ガス13を流入させているため、燃焼ガス13により空間26に形成される旋回流は徐々に下へ向かう流れとなるが、ジャケット21内では、ボイラ水3の流れる向きが略上向きとなっている。これにより、燃焼ガス13とボイラ水3との上下方向に関する流れの向きを対向させることができて、燃焼ガス13とボイラ水3との熱交換の効率を向上させることができる。
【0059】
しかも、サイクロン18では、燃焼ガス13の流れる速度が各煙管6内における流速よりも高速となっている。そのために、サイクロン18内では、外筒18aの壁面を介したボイラ水3との熱交換によって温度低下した燃焼ガス13が、外筒18aの壁面の内側に滞留することはない。そのため、サイクロン18では、燃焼ガス13から外筒18aの壁面への熱の移動の多くを対流伝熱によって行わせることができる。
【0060】
したがって、サイクロン18を流通する燃焼ガス13の温度が、たとえ200〜300℃程度であって、ボイラ1で煙管6を流通する燃焼ガス13の温度に比して低温となっているとしても、ボイラ水3との熱交換が促進されて、燃焼ガス13からボイラ水3への熱回収を効率よく行うことができる。本発明者等の実施した試験によれば、サイクロン18に流入する燃焼ガス13の温度を、たとえば、270℃程度から200℃以下の温度に低下させるような熱回収を行うことができるという結果が得られている。
【0061】
ジャケット21内で燃焼ガス13から熱回収して加熱されたボイラ水3は、ジャケット21の出口21bから循環ライン24を経た後、ボイラ水戻し口2bを通して缶体2内へ戻される。
【0062】
したがって、本実施形態のボイラ装置によれば、燃焼ガス13の保有する熱を、ボイラ1の缶体2内のボイラ水3により効率よく回収することができて、ボイラ水3を設定温度までより速やかに加熱することができる。
【0063】
更に、前述したように、サイクロン18内では、燃焼ガス13の流速が高められているため、燃焼ガス13に含まれている煤塵20などが外筒18aの内面に付着しても、燃焼ガス13の流れによって直ちに吹き飛ばされて除去される。そのため、本実施形態のボイラ装置を長期に亘り運転継続しても、サイクロン18の外筒18aの内面に煤塵20が付着して成長することは防止される。また、燃焼ガス13が外筒18aの壁面を介してボイラ水3と熱交換されるときに、外筒18aの内面で結露を生じたとしても、その結露は燃焼ガス13の速い流れによって吹き飛ばして除去することができる。したがって、このことによっても、サイクロン18の外筒18aの内面に煤塵20が付着して成長することは防止される。
【0064】
よって、本実施形態のボイラ装置では、サイクロン18内を流通する燃焼ガス13と、ジャケット21内を流通するボイラ水3との熱交換効率の低下を長期に亘り抑制できるため、長期の運転継続によりたとえボイラ1における煙管6の内壁面に煤塵が付着するとしても、ボイラ装置全体では、運転継続に伴う燃焼ガス13からの熱回収効率の低下を抑制することができる。
【0065】
しかも、本実施形態では、循環ポンプ23の運転に伴い、缶体2の上端寄りのボイラ水取出口2aから取り出したボイラ水3を、ジャケット21で加熱してから缶体2の下端寄りのボイラ水戻し口2bへ強制的に戻すようにしてあるため、缶体2内のボイラ水3を撹拌することができて、缶体2内のボイラ水3に上下方向の温度勾配が形成されることを抑制することができる。
【0066】
[第2実施形態]
図2は第2実施形態のボイラ装置を示すものである。なお、
図2において、第1実施形態に示したものと同一のものには同一符号を付して、その説明を省略する。
【0067】
本実施形態のボイラ装置は、第1実施形態と同様の構成において、サイクロン18の下端側に、煤塵20を補集するダストボックス27が設けられている。更に、サイクロン18の内筒18cと、ダストボックス27と、燃焼ガス排出ダクト17における缶体2の外方に突出している部分の外側に、ボイラ水流通手段としてのジャケット28と29と30が取り付けられている。
【0068】
ダストボックス27の外側のジャケット29は、サイクロン18の外筒18aに備えたジャケット21に直接連通させる構成としてもよく、ジャケット29とジャケット21とを独立させて、図示しない循環ラインで連通させる構成としてもよい。
図2では、ジャケット29はジャケット21に直接連通させた構成を示している。
【0069】
本実施形態では、循環ポンプ23を備えた循環ライン22は、ジャケット29の底面部に設けた入口29aに接続されている。
【0070】
ジャケット21の出口21bは、内筒18cのジャケット28の入口28aに、循環ライン31を介して接続されている。ジャケット28の出口28bは、燃焼ガス排出ダクト17のジャケット30の入口30aに循環ライン32を介して接続されている。ジャケット30の出口30bは、循環ライン24によりボイラ1のボイラ水戻し口2bに接続されている。これにより、循環ポンプ23を運転すると、ボイラ1のボイラ水取出口2aから取り出されるボイラ水3は、循環ライン22、ダストボックス27のジャケット29、サイクロン18の外筒18aのジャケット21と内筒18cのジャケット28、燃焼ガス排出ダクト17のジャケット30の順に流れた後、ボイラ水戻し口2bへ戻るように循環する。
【0071】
このため、本実施形態のボイラ装置では、サイクロン18の外筒18aの外側のジャケット21での熱回収に加えて、ボイラ水3がジャケット29を流通するときには、サイクロン18からダストボックス27へ排出される高温の煤塵20が保有する熱を回収することができる。また、ボイラ水3がジャケット28を流通するときには、サイクロン18の内筒18c内を流通する排ガス19に残存する熱を回収することができる。更に、ボイラ水3がジャケット30を流通するときには、燃焼ガス排出ダクト17を流通する燃焼ガス13から熱回収することができる。
【0072】
したがって、本実施形態のボイラ装置によれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、ボイラ水3への熱回収効率をより向上させることができる。
【0073】
なお、本発明は、前記した各実施形態のものに限定されるものではなく、ボイラ1は、煙管構造を備えていて、バーナ5での燃料の燃焼により煤塵20を含む燃焼ガス13を生じるものであればよい。たとえば、ボイラ1は、粉体バイオマス燃料9以外の燃料を用いるバーナを備えていてもよい。
【0074】
また、ボイラ1における缶体2、燃焼部4、燃焼ガス集合部7、煙管6、バーナ5等の各構成機器のサイズや、それらの寸法や、煙管6の数は、図示するための便宜上のものであり、実際の装置構成を反映するものではない。
【0075】
ボイラ1は、缶体2、燃焼部4、燃焼ガス集合部7は、耐圧構造とするには円筒形状としてあることが好ましいが、それぞれ円筒形状以外の任意の形状としてよい。
【0076】
また、ボイラ1は、煙管構造を備えていれば、缶体2内における燃焼部4や燃焼ガス集合部7の配置、煙管6の形状や煙管6が配置される向きは、図示した以外の任意の構成を採用してもよい。
【0077】
第2実施形態では、サイクロン18の外筒18aの外側に備えたジャケット21のほかに、サイクロン18の内筒18c、ダストボックス27、燃焼ガス排出ダクト17にもジャケット28,29,30を備えてボイラ水3を循環させる場合を示したが、ジャケット21のほかに、ジャケット28,29,30のうちのいずれか一つまたは二つを備える構成としてもよい。このようにしても、第1実施形態に比して、ダストボックス27内の煤塵20、内筒18cを流通する排ガス19、燃焼ガス排出ダクト17を流通する燃焼ガス13のいずれかからの熱回収の効果を加えることができるため、第1実施形態に比して熱回収効率を向上させることができる。
【0078】
また、第2実施形態では、すべてのジャケット29,21,28,30を一連に接続した構成を示したが、各ジャケット29,21,28,30を、いくつかのグループに分けた状態、あるいは、個別に、循環ラインを介してボイラ1のボイラ水取出口2aとボイラ水戻し口2bに接続した構成としてもよい。
【0079】
循環ポンプ23は、ボイラ1とジャケット21,28,29,30との間でボイラ水3を循環させる経路上であれば、任意の位置に配置してよい。
【0080】
各実施形態では、ボイラ水流通手段として各ジャケット21,28,29,30を例示したが、ボイラ水流通手段は、ボイラ水3を流通させる管を螺旋状に巻いた構成としてもよい。この場合は、ボイラ水流通手段を取り付ける対象物の外面に沿って螺旋状に巻いた管を配置すると共に、対象物の外面と、らせん状に巻かれた管の隣接配置された部分同士に囲まれて形成される隙間に、熱伝導性の良好な充填物を充填した構成とすればよい。この場合、管が耐圧構造としてあれば、ボイラ1を蒸気ボイラとしてもよい。
【0081】
ボイラ水流通手段の外側を断熱材で覆うようにしてもよい。
【0082】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。