(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸気口は、前記カバーにおける周方向位置が互いに反対側となる位置に一対備えられており、前記排気口は、前記カバーにおける周方向位置が一対の前記吸気口の間となる位置に一対備えられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のモータ一体型流体機械。
【背景技術】
【0002】
従来、ブロワなどに見られるように、モータと該モータに備えられるロータの一端に直結されて駆動される流体機械とを一体化したモータ一体型流体機械が知られている。このモータ一体型流体機械は、モータの温度が例えばモータに使用される絶縁種の耐熱温度に基づいて設定される保証温度を超えると、破損の原因になるため運転不能となる。したがって、モータ一体型流体機械においては、モータの温度が保証温度を超えないように、モータの中でも比較的発熱量の多いコイルエンドの部分と、ステータおよびロータとを積極的に冷却する必要がある。
【0003】
モータの冷却方法としては、冷却ファンを用いて冷却流体を、コイルエンドの部分や、ステータとロータとの隙間に流す方法が一般的である。ところで、モータ一体型流体機械の場合、流体機械側からモータへ熱伝導で侵入する熱量が存在する。また、この熱量は、流体機械の吸込み流量が少なくなるにつれて増大することが知られている。そのため、冷却に必要な冷却流体の流量が増加し、冷却ファンを複数台用いて冷却しなければならない事態が生じ得る。しかしながら、冷却ファンの増設は、設置スペースの拡大や消費電力の増加につながるため、冷却ファンの設置台数を抑えたモータの冷却が要求される。
【0004】
本技術分野の背景技術として、例えば特許文献1、2に記載の技術が提案されている。
特許文献1には、「流体機械とその駆動モータが一体化されたモータ一体型流体機械において、駆動モータのケ−シング(内胴11)に冷却流体を該ケ−シング内の少なくともステータ6の両側に導入する複数個の冷却流体導入孔を設けると共に、ステータの中央部に冷却流体が流通するスリットsを設け、更に該スリットに連通する冷却流体排出路2をケーシングを貫通して設け、複数個の冷却流体導入孔より流入した冷却流体がステータとロータの間隙にその両端から流入しスリット及び冷却流体排出路を通って排出される冷却流体通路形成し、更に流体機械のケーシングと駆動モータ間に間隙を設け、冷却媒体を流す冷却流体通路を形成した」と記載されている(要約参照)。
【0005】
特許文献2には、「ハウジング内に、圧縮機構3と、この圧縮機構3を駆動する電動機4とを備え、前記電動機4は、前記ハウジング2内に固定されたステータコア24にコイルが巻設されて形成されるステータ21と、駆動軸10に固装されてステータ21の内側に回転可能に配置されたロータ22とを有して構成され、被圧縮流体を電動機4が収容された電動機収容空間12aを通して圧縮機構3へ導く構成において、ハウジング2とステータコア24との間に、駆動軸10の軸方向に沿って延設された流体導入通路31を形成し、被圧縮流体を導入する吸入ポート30を、ハウジング2のステータコア24の外周面と対峙する箇所に設けて流体導入通路31に接続する」と記載されている(要約参照)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を適宜省略する。
【0016】
(第1実施形態)
まず、
図1〜
図8を参照しながら、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るモータ一体型流体機械100の構造を示す概略断面図である。
図2は、
図1のA−A断面図である。
図3は、
図1のB−B断面図である。
図4は、
図1のC−C断面図である。
図5は、
図1のD−D断面図である。
図6は、
図1に示されるカバー6の概略斜視図である。
図7は、
図2のQ−Q断面図である。
図4、
図5では、流体機械1の部分の図示を省略している。
【0017】
図1に示すように、モータ一体型流体機械100は、流体機械1と、流体機械1を駆動するモータ2と、を備えている。
図1における太い破線で示す矢印は、作動流体の流れを示す。また、
図1における太い実線で示す矢印は、モータ2の冷却に使用する流体である冷却流体12の流れを示す。
【0018】
流体機械1は、ブロワケーシング16を備えている。ブロワケーシング16の内部には、モータ2の回転軸であるロータ3に装着されて回転する羽根車17と、作動流体の動圧成分を静圧成分に変化させるディフューザ18とが備えられている。
【0019】
羽根車17は、流体吸込口19から吸い込まれた作動流体を昇温、昇圧し、径方向外側に送出する。羽根車17から送出された作動流体は、羽根車17の径方向外側に備えられたディフューザ18によって動圧成分が静圧成分に変換されて、ディフューザ18の径方向外側へ流れる。ディフューザ18の径方向外側へ流れた作動流体は、ブロワケーシング16に設けられた流体吐出口(図示せず)から、例えば
図1の紙面の垂直方向に吐出されるようになっている。
【0020】
モータ2は、モータケーシング5と、モータケーシング5の外周側に設けられたカバー6と、を備えている。また、モータ2は、一端が流体機械1に接続された回転可能なロータ3と、ロータ3の外周側に配置されるとともにモータケーシング5の内周側に固定されたステータ4と、を有している。
【0021】
カバー6は、モータケーシング5の外周面を覆っており、円筒状を呈している。ロータ3は、羽根車17に直結されており、両端近傍が軸受22a,22bによって回転可能に支持されている。ステータ4は、両端にそれぞれ形成されている2つのコイルエンド14a,14bを有している。また、ステータ4は、ロータ3の外周面に連通するスリット13によって軸方向に分割されている。
【0022】
図6に示すように、カバー6は、冷却流体12を吸い込むための吸気口8(
図1〜
図4参照)と、冷却流体12を排気するための排気口9(
図2〜
図5参照)と、を備えている。ここでは、吸気口8はカバー6の上下に一対設けられており、排気口9はカバー6の左右に一対設けられている。吸気口8および排気口9は、カバー6の外周面の一部が平坦に削られた平坦面6aにそれぞれ形成されており、カバー6を半径方向に貫通する例えば矩形孔を呈している。冷却流体12は、冷却ファン(図示せず)によって、強制的にカバー6内に供給されるように構成されている。
【0023】
図1、
図5に示すように、モータケーシング5は、吸気口8からモータケーシング5内へ冷却流体を導入する冷却流体導入孔10と、モータケーシング5内から排気口9へ冷却流体を導出する冷却流体導出孔11と、を備えている。冷却流体導入孔10は、吸気口8と連通しており、冷却流体導入孔10の中心軸線が吸気口8の内部を通るように配置されている。冷却流体導出孔11は、排気口9と連通しており、冷却流体導出孔11の中心軸線が排気口9の内部を通るように配置されている。
【0024】
図1に示すように、冷却流体導入孔10は、それぞれ上下に一対設けられた第1導入孔10a、第2導入孔10c、および第3導入孔10bを有している。第1導入孔10aは、吸気口8から2つのコイルエンド14a,14bのうちの流体機械1に近い方のコイルエンド14aへ冷却流体12を導入するものである。第2導入孔10cは、吸気口8から2つのコイルエンド14a,14bのうちの流体機械1から遠い方のコイルエンド14bへ冷却流体12を導入するものである。第3導入孔10bは、吸気口8からスリット13へ冷却流体12を導入するものである。
【0025】
第1導入孔10aは、該第1導入孔10aの中心軸線がコイルエンド14aを通るように配置されている。第2導入孔10cは、該第2導入孔10cの中心軸線がコイルエンド14bを通るように配置されている。第3導入孔10bは、該第3導入孔10bの中心軸線がスリット13を通るように配置されている。第1導入孔10a、第2導入孔10c、および第3導入孔10bは、ここでは、それぞれ断面矩形の貫通孔であるが、特にこれに限定されるものではなく、例えば断面円形の貫通孔であってもよい。
【0026】
図5に示すように、冷却流体導出孔11は、それぞれ左右に一対設けられた第1導出孔11a、第2導出孔11c、および第3導出孔11bを有している。第1導出孔11aは、2つのコイルエンド14a,14bのうちの流体機械1に近い方のコイルエンド14aから排気口9へ冷却流体12を導出するものである。第2導出孔11cは、2つのコイルエンド14a,14bのうちの流体機械1から遠い方のコイルエンド14bから排気口9へ冷却流体12を導出するものである。第3導出孔11bは、スリット13から排気口9へ冷却流体12を導出するものである。
【0027】
第1導出孔11aは、該第1導出孔11aの中心軸線がコイルエンド14aを通るように配置されている。第2導出孔11cは、該第2導出孔11cの中心軸線がコイルエンド14bを通るように配置されている。第3導出孔11bは、該第3導出孔11bの中心軸線がスリット13を通るように配置されている。第1導出孔11a、第2導出孔11c、および第3導出孔11bは、ここでは、それぞれ断面矩形の貫通孔であるが、特にこれに限定されるものではなく、例えば断面円形の貫通孔であってもよい。
【0028】
図1、
図2、
図5に示すように、モータケーシング5の外周面とカバー6の内周面との間には、冷却流体12が通る冷却流路23aが形成されている。また、モータケーシング5の外周面には、凹凸7が設けられている。
【0029】
図7に示すように、凹凸7は、ここでは、モータケーシング5の周方向に延在する断面矩形の凸部7aと凹部7bとが軸方向に交互に形成されて構成されている。凹凸7の凸部7aの外径は、ここではカバー6の内径とほぼ同一である(僅かに小さい)が、特にこれに限定されるものではなく、カバー6の内径よりも所定量小さくてもよい。凹凸7の形状は、モータケーシング5の外周面に、高さ(半径方向位置)が異なる複数の部分が形成されていればよく、特に限定されるものではない。例えば、凸部7aと凹部7bとは、リング状に形成されていてもよいし、らせん状に形成されていてもよい。また、凸部7aや凹部7bの断面形状は、矩形に限定されるものではなく、例えば台形や三角形であってもよい。さらに、凸部7aや凹部7bの幅寸法(軸方向寸法)は、適宜変更され得る。
【0030】
次に、モータ2内を流れる冷却流体12の流路について説明する。
図1に示すように、カバー6の吸気口8から吸い込まれた冷却流体12は、モータケーシング5の外周面とカバー6の内周面との間に形成されている冷却流路23aに流入する。また、吸気口8から吸い込まれた冷却流体12は、モータケーシング5に設けられた第1導入孔10aおよび第2導入孔10cを通り、モータケーシング5内の、コイルエンド14a,14bの配置領域に形成される冷却流路23b,23cに流入する。さらに、吸気口8から吸い込まれた冷却流体12は、モータケーシング5に設けられた第3導入孔10bを通り、スリット13によって形成される冷却流路23dに流入する。冷却流路23b,23cに流入した冷却流体12の一部は、ロータ3の回転により誘起される流れによって、ロータ3とステータ4との間の隙間で形成される冷却流路23eを流れる。
【0031】
図2に示すように、冷却流路23aに流入した冷却流体12は、モータケーシング5の外周面に設けられた凹凸7とカバー6との間の隙間を流れ、カバー6に設けられた排気口9を通り、モータ2の外部に排気される。また、冷却流路23dに流入した冷却流体12は、モータケーシング5に対してスリット13に連通するように設けられた第3導出孔11bを通り、モータケーシング5の外周側に導出される。そして、モータケーシング5の外周側に導出された冷却流体12は、カバー6に設けられた排気口9を通り、モータ2の外部に排気される。
【0032】
図3および
図4に示すように、冷却流路23b,23cに流入した冷却流体12は、モータケーシング5に対してコイルエンド14a,14bに連通するように設けられた第1導出孔11a、第2導出孔11cを通り、モータケーシング5の外周側に導出される。そして、モータケーシング5の外周側に導出された冷却流体12は、カバー6に設けられた排気口9を通り、モータ2の外部に排気される。
【0033】
図5に示すように、冷却流路23eへ流入した冷却流体12は、第3導出孔11bを通り、モータケーシング5の外周側に導出され、カバー6に設けられた排気口9を通り、モータ2の外部に排気される。
【0034】
前記したように本実施形態では、モータ一体型流体機械100のモータ2は、モータケーシング5の外周側に設けられたカバー6を有している。カバー6は、吸気口8と、排気口9とを備えており、モータケーシング5は、吸気口8からモータケーシング5内へ冷却流体12を導入する冷却流体導入孔10と、モータケーシング5内から排気口9へ冷却流体12を導出する冷却流体導出孔11とを備えている。そして、モータケーシング5の外周面とカバー6の内周面との間に、冷却流体12が通る冷却流路23aが形成されており、モータケーシング5の外周面に凹凸7が設けられている。
【0035】
ここで、仮にモータケーシング5の外周面に凹凸7が無ければ、モータケーシング5の外周側を流れる冷却流体12の圧力損失が小さいため、冷却流体12は、モータケーシング5の外周側を主に流れて、モータケーシング5の内周側には導入されにくくなる。
これに対して、本実施形態では、モータケーシング5の外周面の凹凸7によって、モータケーシング5の外周側を流れる冷却流体12の圧力損失が増えるように調整される。これにより、モータケーシング5の外周側と内周側とにおける冷却流体12の圧力損失をより均一にすることができる。したがって、冷却流体12をモータケーシング5の外周側と内周側とのそれぞれにバランス良く導くことが可能となる。
すなわち、本実施形態によれば、モータ一体型流体機械100におけるモータ2をより効率よく冷却することができる。
【0036】
また、モータケーシング5の外周面に設けられた凹凸7によってモータケーシング5の外周面の放熱面積が増加する。このため、モータケーシング5の外周側に導かれた冷却流体12がモータケーシング5の外周面とカバー6の内周面との間に形成されている冷却流路23aを流れる際に、モータケーシング5の外周面の凹凸7からの放熱が増大し、モータ2の冷却を促進できる。このような放熱による冷却を促進する観点から、凹凸7はフィン形状であることが望ましい。
【0037】
また、本実施形態では、冷却流体導出孔11は、コイルエンド14aから排気口9へ冷却流体12を導出する第1導出孔11a、およびコイルエンド14bから排気口9へ冷却流体12を導出する第2導出孔11cを有している。このような構成によれば、冷却流体12がコイルエンド14a,14bを通って排気されるため、モータ2の中でも比較的発熱量の多いコイルエンド14a,14bの冷却を促進できる。
【0038】
また、本実施形態では、冷却流体導出孔11は、スリット13から排気口9へ冷却流体12を導出する第3導出孔11bを有している。このような構成によれば、冷却流体12が、ステータ4を分割するとともにロータの外周面に連通するスリット13を通って排気されるため、ステータ4およびロータ3の冷却を促進できる。
【0039】
また、本実施形態では、冷却流体導入孔10は、吸気口8からコイルエンド14aへ冷却流体12を導入する第1導入孔10a、吸気口8からコイルエンド14bへ冷却流体12を導入する第2導入孔10c、および吸気口8からスリット13へ冷却流体12を導入する第3導入孔10bを有している。
【0040】
このような構成によれば、冷却流体12は、ステータ4の両端のコイルエンド14a,14bにそれぞれ連通する第1導入孔10a、および第2導入孔10cを通り、モータケーシング5の内周側へ流入する。この冷却流体12は、コイルエンド14a,14bの配置領域に形成される冷却流路23b,23cを流れ、第1導出孔11a、および第2導出孔11cを経て排気される。冷却流路23b,23cを流れる冷却流体12の一部は、ロータ3の回転により誘起された流れによって、ロータ3とステータ4との間の隙間で形成されている冷却流路23eを流れ、第3導出孔11bを経て排気される。これにより、冷却流体12をコイルエンド14a,14bに導入でき、コイルエンド14a,14bの冷却をより促進できる。
また、冷却流体12は、スリット13に連通する第3導入孔10bを通り、モータケーシング5の内周側へ流入する。この冷却流体12は、ステータ4に設けられたスリット13で形成される冷却流路23dを流れ、第3導出孔11bを経て排気される。これにより、冷却流体12をステータ4に設けられたスリット13に導入でき、ステータ4およびロータ3の冷却をより促進できる。
【0041】
図8は、モータ2の冷却効果を示す図である。
図8において、「凹凸有」のグラフは、本実施形態の場合を示し、「凹凸有」のグラフは、本実施形態の凹凸7を無くした構成(比較例)の場合を示す。
図8に示すように、モータ2の温度は、凹凸7を設けることによって圧力損失を増すように調整した本実施形態の場合の方が比較例の場合よりも低いことがわかる。したがって、本実施形態では、モータ一体型流体機械100のモータ2を、例えば少ない冷却ファンで、効率よく冷却することが可能となる。
【0042】
また、本実施形態では、吸気口8は、カバー6における周方向位置が互いに反対側となる上下の位置に一対備えられており、排気口は、カバー6における周方向位置が一対の吸気口8の間となる左右の位置に一対備えられている。このような構成によれば、例えば冷却流体を一つの吸気口から吸気して一つの排気口から排気する場合よりも、モータ2の全ての周方向位置においてより均一な冷却が可能となる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、
図9〜
図10を参照しながら、本発明の第2実施形態について、前記した第1実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する点の説明を適宜省略する。
図9は、本発明の第2実施形態に係るモータ一体型流体機械のモータ2aの構造を示す概略断面図である。
図10は、
図9のH−H断面図である。
【0044】
モータ一体型流体機械では、流体機械1側からモータ2へ熱伝導で侵入する熱量が存在するため、モータ2の流体機械1側の温度が高くなる。このため、第2実施形態では、モータ2における特に流体機械1側に冷却流体12を導入する構成が採用されている。
【0045】
第2実施形態では、冷却流体導入孔10は、吸気口8から2つのコイルエンド14a,14bのうちの流体機械1に近い方のコイルエンド14aへ冷却流体12を導入する第1導入孔10a、および吸気口8からスリット13へ冷却流体12を導入する第3導入孔10bのみから構成されている。すなわち、第1実施形態の第2導入孔10c(
図1参照)は設けられていない。また、冷却流体12をモータ2内に供給する冷却ファン(図示せず)は、排気口9側に設けられている。その他の構造は、前記した第1実施形態と同様である。
【0046】
図9〜
図10、および前記した
図2〜
図3、
図5を参照して、第2実施形態におけるモータ2a内を流れる冷却流体12の流路について説明する。
【0047】
図9に示すように、吸気口8から吸い込まれた冷却流体12は、冷却流路23aに流入する。また、吸気口8から吸い込まれた冷却流体12は、第1導入孔10aを通り、モータケーシング5内の、コイルエンド14aの配置領域に形成される冷却流路23bに流入する。さらに、吸気口8から吸い込まれた冷却流体12は、第3導入孔10bを通り、スリット13によって形成される冷却流路23dに流入する。冷却流路23bに流入した冷却流体12の一部は、ロータ3とステータ4との間の隙間で形成される冷却流路23eを流れる。
【0048】
図2に示すように、冷却流路23aに流入した冷却流体12は、モータケーシング5の外周面に設けられた凹凸7とカバー6との間の隙間を流れ、排気口9を通り、モータ2の外部に排気される。また、冷却流路23dに流入した冷却流体12は、第3導出孔11bを通り、モータケーシング5の外周側に導出され、排気口9を通り、モータ2の外部に排気される。
図3に示すように、冷却流路23bに流入した冷却流体12は、第1導出孔11aを通り、モータケーシング5の外周側に導出され、排気口9を通り、モータ2の外部に排気される。
図5に示すように、冷却流路23eへ流入した冷却流体12は、第3導出孔11bを通り、モータケーシング5の外周側に導出され、排気口9を通り、モータ2の外部に排気される。
【0049】
図10に示すように、冷却流路23cに滞留している流体は、排気口9側に設けられた冷却ファン(図示せず)によって、強制的に排気口9を通ってモータ2の外部に排気される。
【0050】
このような第2実施形態によれば、吸気口8から吸い込まれた冷却流体12は、冷却流路23b,23dに連通するように設けられた第1導入孔10aおよび第3導入孔10bからのみ、モータケーシング5の内周側に流入する。このため、モータ2の流体機械1側を流れる冷却流体12の流量が増加し、モータ2の流体機械1側の冷却効率が向上する。
【0051】
(第3実施形態)
次に、
図11〜
図12を参照しながら、本発明の第3実施形態について、前記した第1実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する点の説明を適宜省略する。
図11は、本発明の第3実施形態に係るモータ一体型流体機械のモータ2bの構造を示す概略断面図である。
図12は、
図11のI−I断面図である。
【0052】
第3実施形態では、冷却流体導入孔10は、吸気口8から2つのコイルエンド14a,14bのうちの流体機械1に近い方のコイルエンド14aへ冷却流体12を導入する第1導入孔10aのみから構成されている。すなわち、第1実施形態の第2導入孔10cおよび第3導入孔10b(
図1参照)は設けられていない。その他の構造は、前記した第1実施形態と同様である。
【0053】
図11〜
図12、および前記した
図3、
図5、
図10を参照して、第3実施形態におけるモータ2b内を流れる冷却流体12の流路について説明する。
【0054】
図11に示すように、吸気口8から吸い込まれた冷却流体12は、冷却流路23aに流入する。また、吸気口8から吸い込まれた冷却流体12は、第1導入孔10aを通り、モータケーシング5内の、コイルエンド14aの配置領域に形成される冷却流路23bに流入する。冷却流路23bに流入した冷却流体12の一部は、ロータ3とステータ4との間の隙間で形成される冷却流路23eを流れる。
【0055】
図12に示すように、冷却流路23aに流入した冷却流体12は、モータケーシング5の外周面に設けられた凹凸7とカバー6との間の隙間を流れ、排気口9を通り、モータ2の外部に排気される。また、冷却流路23dに滞留している冷却流体12は、排気口9側に設けられた冷却ファン(図示せず)によって、強制的に第3導出孔11bを通り、モータケーシング5の外周側に導出され、排気口9を通り、モータ2の外部に排気される。
【0056】
図3に示すように、冷却流路23bに流入した冷却流体12は、第1導出孔11aを通り、モータケーシング5の外周側に導出され、排気口9を通り、モータ2の外部に排気される。
図5に示すように、冷却流路23eへ流入した冷却流体12は、第3導出孔11bを通り、モータケーシング5の外周側に導出され、排気口9を通り、モータ2の外部に排気される。
図10に示すように、冷却流路23cに滞留している流体は、排気口9側に設けられた冷却ファンによって、強制的に排気口9を通ってモータ2の外部に排気される。
【0057】
このような第3実施形態によれば、吸気口8から吸い込まれた冷却流体12は、冷却流路23bに連通するように設けられた第1導入孔10aからのみ、モータケーシング5の内周側に流入する。このため、モータ2の流体機械1側を流れる冷却流体12の流量が増加し、モータ2の流体機械1側の冷却効率が向上する。また、流体機械1側の軸受22aの冷却が促進され、冷却効率が向上する。
【0058】
以上、本発明について実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。前記した実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0059】
例えば、前記した実施形態では、モータ2は、冷却流体12を上下に一対設けた吸気口8へ吸い込み、左右に一対設けた排気口9から排気する構成が採用されているが、これに限定されるものではない。例えば、吸気口8を左右に一対設け、排気口9を上下に一対設ける構成が採用されてもよい。
【0060】
また、前記した実施形態では、冷却流体導出孔11は、ステータ4の両端のコイルエンド14a,14b、およびスリット13にそれぞれ連通するように設けられているが、これに限定されるものではない。冷却流体導出孔11は、例えば2つのコイルエンド14a,14bのうちの一方のコイルエンドにのみ、もしくはスリット13にのみ、または、スリット13と一方のコイルエンドにのみ連通するように設ける構成としてもよい。
【0061】
また、前記した実施形態では、ステータ4は、スリット13によって軸方向に分割されているが、これに限定されるものではなく、スリット13を有さない構成としてもよい。