(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。一方で、ある図において符号を付して説明した部位について、他の図の説明の際に再度の図示はしないが同一の符号を付して言及する場合がある。
【0011】
図1は、以下に詳述する本発明になる光源装置を、一例として、ヘッドアップディスプレイ(HUD)装置1に適用した例を示しており、本発明になる光源装置を含む映像表示装置30は、その筐体である外装ケース55の一部に取り付けられ、当該ケースの内部には、凹面ミラー41および歪み補正レンズ43等が収納されている。そして、上部外装ケース57の上面には、映像光がウィンドシールド(図示せず)に向かって投射される開口部が形成されており、当該開口部は防眩板56(グレアトラップ)によって覆われている。また、図中の符号42は、上記凹面ミラー41の位置を調整するための電動モータなどにより構成される凹面ミラー駆動部を示している。
【0012】
かかる構成のHUD装置1では、上記の映像表示装置30から出射した映像光は、ここでは図示しない表示距離調整機構やミラー駆動部などを介して車両(図示せず)のウィンドシールドに投射されることは、当業者であれば明らかであろう。また、凹面ミラー41の角度を調整することで、映像をウィンドシールドに投射する位置を調整することにより、運転者が見る虚像の表示位置を上下方向に調整可能としても良い。なお、虚像として表示する内容は特に限定されず、例えば、車両情報やナビゲーション情報、図示しないカメラ映像(監視カメラやアラウンドビュアー等)で撮影した前方の風景の映像などを適宜表示することができる。
【0013】
続いて、上述した映像表示装置30について、
図2を用いて以下に詳細に説明する。映像表示装置30は、例えば、プラスチックなどにより形成された光源装置ケース11の内部に、後にも詳述するLED、コリメータ、偏光変換素子、導光体などを収納して構成されている。また、映像表示装置30の上面には、液晶表示素子50が取り付けられており、その1つの側面には、半導体光源であるLED(Light Emitting Diode)素子やその制御回路を実装したLED基板12が取り付けられている。更に、当該LED基板12の外側面には、上記LED素子および制御回路で発生する熱を冷却するためのヒートシンク(放熱フィン)13が取り付けられている。
【0014】
また、上述した映像表示装置30では、光源装置ケース11の上面に取り付けられた液晶表示素子50は、液晶表示パネルフレーム51と、当該フレームに取り付けられた液晶表示パネル52と、更に、当該パネルに電気的に接続されたFPC(フレキシブル配線基板)53とから構成されている。
【0015】
なお、以上の説明からも明らかなように、例えば、HUD装置の場合には、車両のダッシュボードと言う狭小な空間内へ組み込まれるという事情から、HUD装置1を構成する本発明の光源装置を含む映像表示装置30に対しては、特に、モジュール化により小型でかつ高効率であり、好適に利用可能であることが求められる。
【0016】
図3には、上記映像表示装置30の内部、即ち、光源装置ケース11内に収納されている光学系の構成を示す。即ち、本発明の光源を構成する複数(本例では、2個)のLED素子14a、14b(ここでは、図示せず)が、LEDコリメータ15に対して所定の位置に取り付けられている。
【0017】
なお、当該LEDコリメータ15の光の出射側には、詳細は後述するが、LEDコリメータの中心軸に対して、左右対称に配置された偏光ビームスプリッタ、位相板等の光学部材からなる偏光変換素子21が設けられている。更に偏光変換素子の出射側には、矩形状の合成拡散ブロック16が設けられている。即ち、LED素子14aまたは14bから射出されたレーザ光は、LEDコリメータ15の働きにより平行光となって合成拡散ブロック16へ入射する。
【0018】
更に、上記合成拡散ブロック16の出射面側には、一例を示すと
図8に示すように、第1の拡散板18aを介して、断面略三角形の角錐状の導光体17が設けられており、その上面には、第2の拡散板18bが取り付けられている。これにより、上記LEDコリメータ15の水平光は、当該導光体17の働きにより図の上方に反射されて、上記液晶表示素子50の入射面に導かれる。なお、その際、上記第1および第2の拡散板18a、18bによって、その強度が均一化される。
【0019】
続いて、上述した本発明になる光源装置を構成する主要な部品について、その各部の詳細を含めて以下に説明する。
【0020】
<光源装置>
図4にも示すように、本発明になる光源装置は、LED基板12上に形成された、複数の半導体発光素子であるLED素子14(14a、14b)と、当該素子の発光面に対向して配置されたLEDコリメータ15とから構成されている。なお、LEDコリメータ15は、例えば、ポリカーボネート等の透光性の樹脂により形成されており、
図4(a)にも示すように、LED基板12上において、LED素子14(14a、14b)を中心としてその周囲を取り囲むように形成されている。より具体的には、LEDコリメータ15は、略放物断面を回転して得られる円錐形状の外周面156を有すると共に、光の入射側であるその頂部には、所定の湾曲面を有する凹部153が形成されており、その略中央部にLED素子14(14a、14b)が配置される。なお、LEDコリメータ15の円錐形状の外周面156を形成する放物面(リフレクター部)は、凹部153の湾曲面と共に、LED素子14a、14bから周辺方向に出射して凹部153内の空気を通って当該LEDコリメータの内部に入射する光が、当該放物面(外周面)において全反射する角度の範囲内で入射するように設定されている。また
図4(b)に示すように、LED素子14の発光部より外側にLED支持体14jが設けられ、さらに前記LED支持体14jが、前記凹部153より大きい場合は、前記LEDコリメータ15の外周面156の先端部をカットし、前記LED支持体14jとの干渉を避ける形状にしても良い。このように、放物面における全反射を利用することによれば、LEDコリメータの外周面に金属の反射膜を形成するなどの工程を必要としないことから、装置をより安価に製造することが可能となる。
【0021】
また、LEDコリメータ15の凹部153の中央部には、所定の湾曲面を有する入射面(レンズ面)157が形成されており、対向する面(出射面)154に形成された凸状部(レンズ面)155と共に、いわゆる、集光作用を有する凸レンズを形成している。なお、この凸状部155は、平面または内側に凹んだ凹状のレンズ面の中に形成しても良い。即ち、LEDコリメータ15は、その円錐形状の外形の中央部には、LEDコリメータ15からの発光を出射面側に集める集光レンズの機能を有すると共に、その外周面156(リフレクター部)においても、同様に、LED素子14から周辺方向に出射するレーザ光を集光して出射面側に導く機能を有している。
【0022】
なお、上記のLED基板12は、
図4にも示すように、LEDコリメータ15に対して、その表面上のLED素子14a、14bが、それぞれ、その凹部153の中央部に位置するように配置されて固定される。かかる構成によれば、LED素子14から放射されるレーザ光のうち、特に、その中央部分から出射光軸(図の右方向)に向かって放射されるレーザ光は、上述したLEDコリメータ15により、LEDコリメータ15の外形を形成する2つの凸レンズ面157、155により集光されて平行光となり、また、その他の部分から周辺方向に向かって放射されるレーザ光は、LEDコリメータ15の円錐形状の外周面(リフレクター部)156を形成する放物面によって反射され、同様に、集光されて平行光となる。換言すれば、その中央部に凸レンズを構成すると共に、その周辺部に放物面を形成したLEDコリメータ15によれば、LED素子14により発生されたレーザ光のほぼ全てを平行光として取り出すことが可能となり、発生した光の利用効率を向上することが可能となる。
【0023】
続いて、液晶表示素子を用いた光源において、高効率光源を実現するために有効な偏光変換素子21に関して説明する。
【0024】
図4に示すように、偏光変換素子21は、LEDコリメータ15の出射面154の後方に配置される。上記の偏光変換素子21は、図の紙面に垂直な方向に沿って伸びた断面が平行四辺形である柱状(以下、平行四辺形柱)の透光性部材と、断面が三角形である柱状(以下、三角形柱)の透光性部材とを組み合わせ、これをLEDコリメータ15からの平行光の光軸に対して直交する面に平行に(本例では、図の紙面に沿った方向)、複数、アレイ状にかつ各部材はLEDコリメータの中心軸15cに対して対称となるように配列して構成されている。更に、これらアレイ状に配列された隣接する透光性部材間の界面には、交互に、偏光ビームスプリッタ(以下、「PBS」と省略する)膜211と反射膜212とが設けられている。また、偏光変換素子21へ入射してPBS膜211を透過した光が出射する出射面には、1/2λ位相板213が設けられている。
【0025】
このように、上記偏光変換素子21は、LEDコリメータ15からの平行光の光軸と平行四辺形柱の透光性部材の延伸方向とで形成される面(図の紙面上、垂直に伸びた垂直面)、いわゆる、LEDコリメータの光軸面に対して、左右対称に配置されたPBS、位相板等の光学部材が配置された構造となっている。そして、この偏光変換素子21は、2個のLEDコリメータ15からの平行光に対して、図の垂直方向に2組に分かれた、それぞれの偏光変換素子を構成している。
【0026】
以上のように構成された偏光変換素子21によれば、
図4(a)および(b)からも明らかなように、例えば、LED素子14a、14bから出射してLEDコリメータ15で平行光となった入射光のうち、S偏光波(図中の記号(×)を参照)は、PBS膜211により反射され、その後、更に、反射膜212により反射されて合成拡散ブロック16の入射面に到る。他方、P偏光波(図中の上下の矢印を参照)は、PBS膜211を透過した後、1/2λ位相板213によりS偏光波となって、合成拡散ブロック16の入射面に到ることとなる。
【0027】
このように、偏光変換素子21によれば、(複数の)LEDから出射してLEDコリメータ15により平行光となった光は、その全てがS偏光波となって、合成拡散ブロック16の入射面に入射することとなる。
【0028】
更に、前述したように、PBSおよび位相板等の各光学部材をLEDコリメータの中心軸に対して、対称となるように配置したことにより、装置の小型化が図れる。
【0029】
比較例として、一般的な偏光変換素子21bの配置例を
図5に示す。LED素子14a、14bから出射してLEDコリメータ15で平行光となった入射光のうち、S偏光波(図中の記号(×)を参照)は、PBS膜211により反射され、その後、更に、反射膜212により反射されて合成拡散ブロック16の入射面に到る。他方、P偏光波(図中の上下の矢印を参照)は、PBS膜211を透過した後、1/2λ位相板213によりS偏光波となって、合成拡散ブロック16の入射面に到ることとなる。
【0030】
このように、偏光変換素子21bによれば、(複数の)LED素子14a、14bから出射してLEDコリメータ15により平行光となった光は、その全てがS偏光波となって、合成拡散ブロック16の入射面に入射することとなるので、
図4で示した構成と同様に、液晶表示装置を用いた光源においては、高効率が実現できる。しかし、偏光変換素子21bの厚みが、
図4に示した構成に比べ厚くなり、光源装置の小型化ができない。また、偏光変換素子の厚みが増すことにより、使用材料が増え、低コスト化の実現ができない。更に厚みを増すことにより、PBS膜を反射した光束と透過した光束の光路長差がより大きくなる。そして光路長差が大きくなることから、両者の光束形状の差がより発生しやすくなる。特に複数の光源およびLEDコリメータを用いた系では、光束形状の違いが要因となる輝度分布均一性の実現が困難となる。
【0031】
従って、HUD装置のように小型化が要求され、かつ複数のLEDを用いて、輝度の均一化が必要となる構成においては、
図4で示したように各LEDの中心軸に対して、偏光変換素子を構成する複数の光学部材を対称に配置する構成を採用することにより、偏光変換素子のPBSを反射する光束と透過する光束の光路長差を小さくすることが有用である。
【0032】
更に、HUD装置の高輝度化かつ広視野角を達成するために、LED光源の高出力化が望まれる。LED光源の高出力化には、LED光源の個数を増やすあるいは、LED光源の大面積化を図る手段がある。
【0033】
液晶表示装置を用いた場合、光源の高効率化を図るために、有効となる偏光変換素子は、
図6に示すように、入射光束の制限幅21wがある。検討の結果、入射光束の制限幅21w方向のLED光源の幅Wが、21wに対して1/4以上になると、LEDコリメータの出射面154が平坦な場合、
図7に示すような不具合が発生することが分かった。即ち、
図7(a)に示すように、LED光源からの出射する光の取込量を確保するために、LEDコリメータ15の凹部153の形状をLED光源幅Wより大きくすると、LEDコリメータ15の外周面156の形状制限から、LED光源から出射する発散角度の大きい光線L303,L304の取込ができなくなり、効率が低下する。一方、
図7(b)に示すように、発散角度の大きい光線L303,L304を取込可能な形状にすると、前記凹部153の大きさが、LED光源幅Wより小さくなり、LED周縁部から出射する光線(図示せず)を取り込むことができなくなり、効率が低下する。
【0034】
鋭意検討の結果、
図6(a)に示すように、LEDコリメータ15の出射面154の面で入射光束の制限幅21wに近い内側に凹面158を設けることにより、LEDコリメータ15の外周面156の形状を
図7(a)で示した形状より大きくすることが可能となり、前述したような不具合を解消できることが分かった。即ち、LEDコリメータ15の外周面156の形状が大きくなったことにより、外周面156で反射した光は、
図6(a)の光線L301,L302で示すように収束ぎみの光になるが、ほぼ平行に変換されて出射面154から出射するので、効率および特性が良い光源装置が実現できる。
【0035】
また、LED素子14から出射し、LEDコリメータ15の凸状の入射面(レンズ面)157で屈折する光線については、
図6(a)形状を紙面に対して垂直方向から見た形状を示す
図6(b)を用いて説明する。LED素子14の中心部から出射した光L30は、LEDコリメータの入射面が凸レンズ状となっているので、そこで略平行光に変換されて出射面154に達する。一方、LED素子14の端部から出射し、特に中心軸で交差する光線L3001、光線L3002を考えると、その光線は、LEDコリメータの凸状の入射面157に対して垂直に近い角度で入射するので、その屈折角は小さく、LEDコリメータの出射面154の外周部に進む。
【0036】
なお、
図6(b)で示す方向では、前述した偏光変換素子の入射光束制限幅は、偏光変換素子ホルダー60の開口高さ21hとなる。本例では、LEDコリメータ15の出射面154の外周部には、図に示すように、凸レンズ形状部159が形成されており、その面を透過して、次の光学素子(例えば、合成拡散ブロックや偏光変換素子21など)へ入射することとなる。なお、ここで、LEDコリメータの出射面154の外周部が凸レンズ形状部159でなく、平坦の場合(図の凸レンズ形状部159近傍の破線部を参照)には、光L3001d、L3002dは、その面で大きく屈折するか(図示せず)、あるいは、図に破線の矢印で示したように全反射してしまう。即ち、有効にその光線を活用することができずに、光の利用効率が低下してしまうこととなる。
【0037】
このように、上述したLEDコリメータ15によれば、LED素子14により発光された光は、出射光軸に沿って出射した光はもちろんのこと、その周辺方向に出射した光も含めて集光して出射面側に導くことが可能となることから、発光光の利用効率が高く、モジュール化されて面状の光源として容易に利用可能な光源装置の、より具体的には、LED光源からのレーザ光の光利用効率や均一な照明特性をより向上すると共に、光源装置の小型化やモジュール化を達成し、加えて、低コストで製造可能な照明用光源として好適な光源装置を提供することが可能となる。なお、
図6(a)および(b)における符号21,60は、それぞれ、後にも述べる偏光変換素子とそのホルダーを、符号16bは、やはり後にも述べる配向制御板を示している。また、それらの内部における光L3001c、L3002c、L3001d、L3002dの伝搬方向は図に矢印で示されている。
【0038】
<合成拡散ブロックと拡散板>
続いて、上記映像表示装置30の他の構成要素である、合成拡散ブロック16について、
図8を参照しながら説明する。
【0039】
アクリル等の透光性の樹脂により角柱状に形成された合成拡散ブロック16では、
図8(a)からも明らかなように、その出射面には、多数の断面略三角形状のテクスチャー161が形成されており、当該テクスチャー161の働きにより、LEDコリメータ15から出射する光が、以下に述べる導光体17の入射部(面)171の鉛直方向に拡散される。そして、上記略三角形状のテクスチャー161と、以下に述べる拡散板18a、18bの相互作用により、LEDコリメータ15が離散的に配置されていても、導光体17の出射部173から出射する光の強度分布を均一化することが可能となる。
【0040】
特に、上述したテクスチャー161によれば、拡散方向を導光体側面方向に限定すること、更には、側面方向の拡散性の制御が可能となることから、上記第1および第2の拡散板18a、18bの等方拡散性を弱くすることが可能となり、その結果、光利用効率が向上し、特性の良い光源装置が実現できることとなる。なお、本例では、略三角形状のテクスチャー161の一例として、角度γ=30度、その形成ピッチa=0.5mmとした例を示す。
【0041】
<導光体>
続いて、上記映像表示装置30を構成する導光体17の詳細について、以下に、
図9を参照しながら説明する。なお、この導光体17は、上述した光源装置から平行光として取り出した光を所望の方向へ導くと共に、所望の面積を有する面状の光として取り出す機能を有している。
【0042】
図9(a)は、当該導光体17の全体を示す斜視図を、
図9(b)はその断面を、そして、
図9(c)および(d)は、断面の詳細を示す一部拡大断面図である。
【0043】
導光体17は、例えば、アクリル等の透光性の樹脂により断面略三角形(
図9(b)参照)の棒状に形成された部材であり、そして、
図9(a)からも明らかなように、上記合成拡散ブロック16の出射面に第1の拡散板18aを介して対向する導光体光入射部(面)171と、斜面を形成する導光体光反射部(面)172と、第2の拡散板18bを介して上記液晶表示素子50の液晶表示パネル52と対向する導光体光出射部(面)173とを備えている。
【0044】
この導光体17の導光体光反射部(面)172には、その一部拡大図である
図9(c)および(d)に示すように、多数の反射面172aと連接面172bとが交互に鋸歯状に形成されている。そして、反射面172a(図では右上がりの線分)は、図において一点鎖線で示す水平面に対してαn(n:自然数であり、本例では、例えば、1〜130である)を形成しており、その一例として、ここでは、αnを43度以下(但し、0度以上)に設定している。
【0045】
他方、連接面172b(図では右下がりの線分)は、水平面に対してβn(n:自然数であり、本例では、例えば、1〜130である)を形成している。即ち、反射部の連接面172bは、入射光に対して、後に述べる散乱体の半値角の範囲で影になる角度に傾斜されている。後にも詳述するが、α1、α2、α3、α4…は反射面仰角を形成し、β1、β2、β3、β4…は反射面と連接面との相対角度を形成しており、その一例として、90度以上(但し、180度以下)に設定されている。なお、本例では、β1=β2=β3=β4= …=β122=…β130である。
【0046】
図10には、説明のために、導光体17に対して反射面172aと連接面172bの大きさを相対的に大きくした模式図を示す。導光体17の導光体光入射部(面)171では、主たる光線が、反射面172aに対して入射角が大きくなる方向にδだけ偏向されている(
図12(b)参照)。即ち、導光体光入射部(面)171は、光源側に傾斜した湾曲の凸形状に形成されている。これによれば、合成拡散ブロック16の出射面からの平行光は、第1の拡散板18aを介して拡散されて入射し、図からも明らかなように、導光体光入射部(面)171により上方に僅かに屈曲(偏向)しながら導光体光反射部(面)172に達する。
【0047】
なお、この導光体光反射部(面)172には、多数の反射面172aと連接面172bとが交互に鋸歯状に形成されており、拡散光は、各々の反射面172a上で全反射されて上方に向かい、更には、導光体光出射部(面)173や第2の拡散板18bを介して、平行な拡散光として液晶表示パネル52へ入射する。そのため、反射面仰角α1、α2、α3、α4…は、各々の反射面172aが前記拡散光に対して臨界角以上の角度となるように設定されており、他方、反射面172aと連接面172bとの相対角度β1、β2、β3、β4…は、上述したように一定の角度、より好ましくは、90度以上の角度(βn≧90°)に設定されている。
【0048】
上述した構成により、各反射面172aが前記拡散光に対して常に臨界角以上の角度となるような構成になっているので、導光体光反射部(面)172に金属等の反射膜を形成しなくても、全反射が可能となり、低コストで、所望の方向に導くと共に、所望の面積有する面状の光として取り出す機能を有する、導光体を備えた光源装置を実現できる。
【0049】
上述した導光体17の導光体光反射部(面)172の形状によれば、主たる光の全反射条件を満たすことができ、導光体光反射部(面)172にアルミ等の反射膜を設ける必要がなく、光を効率的に反射することが可能となり、製造コストの上昇を伴うアルミニウム薄膜の蒸着作業なども必要なく、より低コストで、明るい光源が実現できる。また、各相対角βは、連接面172bが主たる光線30が合成拡散ブロック16および拡散板18aで拡散した光に対して影になるような角度に設定した。これにより、連接面172bへの不要な光の入射を抑制することで、不要な光の反射を低減でき、特性が良好な光源装置を実現することが可能となる。
【0050】
また、上述した導光体17によれば、特に、反射面仰角α1、α2、α3、α4…を適宜設定することにより、光軸方向における導光体光出射部(面)173の長さを自由に変更することができることから、導光体光入射部(面)171に対して、導光体光出射部(面)173の大きさ(面サイズ)を、上記液晶表示パネル52などの装置に対して適合した、適宜、必要な大きさ(面サイズ)に変更可能な光源装置を実現することが可能となる。このことは、また、光源を構成するLED素子14a、14bの配置形状に依存することなく、導光体光出射部(面)173を所望の形状にすることが可能となることにより、所望の形状の面状の発光源が得られることとなる。更には、光源を構成するLED素子14a、14bの配置を含む設計における自由度の確保にもつながり、装置全体の小型化にも有利であろう。
【0051】
<光源装置の適用例>
上記の
図2および
図3には、本発明になる光源装置を、ヘッドアップディスプレイ(HUD)装置1に適用した例を示したが、以下には、更に他の変形例について示す。
【0052】
また、
図11に示す例では、その詳細は示さないが、LED基板12で発生した熱は伝熱プレート13dを通じて装置下部に配置されたヒートシンク(放熱フィン)13cで冷却する構造となっている。なお本構成によれば、全長のより短い光源装置が実現可能となる。
【0053】
更に、
図12では、上述した映像表示装置において、光源を構成するLED素子14a、14b、14cの数を3個で構成し、各々のLEDコリメータ15は、連接された一体の部品となっており、かつ、合成拡散ブロック16との間には、偏光変換素子21を設けている。更に、配向制御板を構成する上記合成拡散ブロック16の代わりに配向制御板16bを配置した構成を示す。また、本構成では、LEDコリメータ15の形状に対して、
図6で示したように比較的大きなLED素子14を用いた構成を特色とする。それに合わせ、LEDコリメータ15の入射部(凹部)153の形状は、他の実施例と比較して大きめの形状となっている。
【0054】
図12(a)を用いて説明すると、LED素子14aから斜め方向に出射した光L301とL302は、LEDコリメータの入射部(凹部)153から入射しその外周面156でやや収束光ぎみに反射され、LEDコリメータの出射面154に達する。LEDコリメータ15の出射面154、特に、そのやや周縁部1581は凹面形状になっているので、この部分で光L301,L302は屈折しほぼ平行に変換され、偏光変換素子21の光入射部に入射する。本構成を採用することにより、
図12(a)に示す様な偏光変換素子の光入射部の幅21wが狭い場合でも効率よく偏光変換素子にLEDからの光を入射させることができ、高効率の光源が実現できる。
【0055】
続いて、LED素子14a、14b、14cから出射し、LEDコリメータ15の凸状の入射面153で屈折する光線について、
図12(b)を用いて説明する。LED素子14a、14b、14cの中心部から出射した光L30は、LEDコリメータ15の入射面153が凸形状になっているので、そこで略平行光に変換され、偏光変換素子21を経て、拡散板18a、導光体17、拡散板18bを経て、液晶表示パネル52に入射する。一方、LED素子14a、14b、14cの端部から出射し、特に中心軸で交差する光線L3001,光線L3002を考えると、その光線はLEDコリメータ15の入射面153に対して、垂直に近い角度で入射するので、その屈折角は小さく、LEDコリメータの出射面154の外周部に進む。
【0056】
LEDコリメータ15の出射面154の外周部は、図に示すように、凸レンズ形状部159が形成されており、その面を透過し、偏光変換素子21を透過した後、配向制御板16bを経て、光L3001b、L3002bに示すように、拡散板18a、導光体17、拡散板18bを経て、液晶表示パネル52に入射する。
【0057】
ここで、LEDコリメータ15の出射面154の外周部159が凸形状でなく、平坦の場合は、光L3001d、L3002dに示すように、その面で大きく屈折するか(図示せず)、図示したように全反射してしまうので、効率が低下する。また、配向制御板16bが無い場合は、光L3001c、L3002cに示したように、導光体17の光入射部からそれてしまうので、有効にその光線を活用することができず、同様に効率が低下する。
【0058】
図13は、上記の
図12に示した構成において、更に、3個のLED素子14の列を加え、即ち、3×2=6個のLED素子およびLEDコリメータを配置した例を示している。なお、6個のLED素子に対応する6個のLEDコリメータは、上記と同様に、連接して一体に形成されている。なお、偏光変換素子の作成上の容易性等を考慮すると、これら複数のLED素子およびLEDコリメータは、正方に配置することが望ましいであろう。
【0059】
本例では、光源であるLED素子の個数が増加したことにより、より明るい光源装置を、あるいは、より照射エリアが広い光源を実現しうることが可能となる。なお、LED素子14の列は、2列に限定されず、更に、増大することによれば、より明るく、および/または、より照射エリアが広い光源装置が得られる。また、上記の構成によれば、例えば、複数のLED素子の配列においてその発光量を制御することにより、いわゆる、ローカルディミング等の実現が容易となろう。
【0060】
また、本発明の光源装置は、上記に種々説明して導光体を用いた照明光学系を備えたものに限らず、直接照射する光学系での活用も可能である。即ち、その一例として、
図14および
図15には、LEDコリメータにより集光したLED素子からの光を、導光体を介さずに利用する光源装置の一例を示す。
【0061】
図14(a)および
図14(b)は、複数(本例では6個)のLED素子14a、14b,14c,14d,14e、14f、LEDコリメータ15、配向制御板16bと共に、偏光変換素子21を備えてユニット化を図った光源装置の全体構成の斜視図とその展開図である。図からも明らかなように、LEDコリメータ15は、上記と同様に複数が連接して一体で形成されており、当該LEDコリメータ15と、LED素子14a、14b,14c,14d,14e、14fが実装されたLED基板12は、ヒートシンク(放熱フィン)13に形成された位置決めピン136a、136bと、LEDコリメータ15上に形成された位置決め穴(図示せず)と、更には、LED基板12上に形成された位置決め穴126a、126bとに嵌合することにより、図中のXおよびY方向において位置決めされる。同時に、LEDコリメータ15の取付け部158a、158bと、LED基板12が突き当たることにより、そのZ方向が位置決めされる。
【0062】
偏光変換素子21は、偏光変換素子ホルダー60の内部に収容されており、当該ホルダーの内側に形成された段部601により、位置決めされる。また、偏光変換素子21は、同時に、LEDコリメータ15上に形成された凸部156a、156bと偏光変換素子ホルダー60裏面に形成された凹部(図示せず)とを嵌合することにより位置決めされる。更に偏光変換素子ホルダー60の出射側に、偏光変換素子21のPBS膜211(
図4参照)で反射された一部の光束を遮光する遮光部608を設けた方が良い。前記PBS膜を透過した光束に対して、反射した光束は素子の構造から、相対的に光路が長くなるので、光束がより広がる傾向があり、輝度の均一性を図るため、その光束の一部を遮光した方が望ましい場合がある。
【0063】
そして、配向制御板16bに形成された穴(図示せず)にボルト90a、90bを通し、偏光変換素子ホルダー60、LEDコリメータ15、LED基板12を共に、ヒートシンク(放熱フィン)13上に固定することにより、ユニット化された光源装置である光源ユニット71が完成する。なお、この光源ユニット71内において、最も相対的な位置決精度を要するLED基板12とLEDコリメータ15との位置決めは、位置決めピン136a、136bと位置決め穴(図示せず)との嵌合、および、LEDコリメータ取付け部158a、158bとLED基板12との突き当てにより行われることから、精度良く位置決めを行うことが可能となる。なお、
図14で示したユニット構成は、
図14以前で示した、導光体を用いた光源でも適応可能な構成であることは、当業者なら明らかである。
【0064】
なお、上述した光源装置では、図からも明らかなように、光源であるLED素子14a、14b,14c,14d,14e、14fから放射された光は、LEDコリメータ15により集光されて平行光となり、偏光変換素子21において所定のSまたはP偏光光に変換された後、配向制御板16bから出射される。なお、当該偏光変換が不要の場合には、偏光変換素子21は設けられないことは当然であろう。
【0065】
図15は、上述した光源装置を、一例として、上記の実施例でも示したHUD装置を構成する映像表示装置30の光源とした形態を示している。
図15(a)にも明らかなように、映像表示装置30は、そのヒートシンク(放熱フィン)13を外部に露出した状態で光源装置ケース11内に収納されている。また、
図15(b)にも明らかなように、当該光源装置ケース11内では、光源装置を構成する配向制御板16bの上方には液晶表示素子50が配置されており、光源である複数のLED素子から放射されて集光された光は、必要に応じてSまたはP偏光光に変換された後、配向制御板16bから上方に向かって液晶表示素子50に照射され、もって、映像表示装置30の映像光が得られる。なお、精密な配光を実施するためには、前記配光制御板の出射面は、略シリンドリカル面に近い面であるが、より精密な配光を実現するために、
図15(b)で示すように、稜線部の中央部はやや凹形状とし、周辺部は凸形状とした。即ち、配光制御板の少なくとも一面は、いわゆる非球面か自由曲面形状を採用することにより、より精密な配光を実現できる。なお
図15(b)では、配光制御板を1枚とした構造を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、配光制御板を複数枚設けるより精密かつ複雑な配光を実現できる。
【0066】
なお、かかる構成によれば、光源であるLED素子の個数を多く配置することが可能であることから、より明るい光源装置を実現することが可能となる。また、光の出射面をより拡大することもでき、表示エリアが広い光出射面を備えて光源装置として、あるいは、表示エリアが広い液晶表示パネルと組み合わせて使用する場合に好適である。また、かかる構成によれば、レーザ光の出射面を、単数または複数のLED素子に対応する複数の表示エリアに分割して、当該LED素子の発光出力(点灯)を独立して制御する等により、いわゆる、ローカルディミングを実現し、更には、表示画像の高コントラスト化や消費電力の低減が可能となろう。
【0067】
また、上述した個別のLEDの制御によるローカルディミングに加えて、制御基板(図示せず)により、LED素子の個別制御と共に、液晶表示パネルと組み合わせて制御することによれば、より好適で低消費電力の光源装置、更には、それを用いた車両用ヘッドライト装置を実現することも可能となろう。
【0068】
更に、上記では、液晶表示パネルはS偏光波に対する透過率が優れているとして説明したが、しかしながら、P偏光波に対する透過率が優れている場合にも、上記と同様の構成を有する偏光変換素子によれば、やはり同様の作用・効果が得られることは、当業者であれば明らかであろう。
【0069】
以上、本発明の種々の実施例になる光源装置について述べた。しかしながら、本発明は、上述した実施例のみに限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するためにシステム全体を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。