(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カバー部は、前記カバー部の柱形状の中心軸に平行な面で分割して形成された2つのカバー部材を有し、一方の前記カバー部材が他方の前記カバー部材に対して開閉自在に取り付けられて構成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ装置。
前記接続部は、前記カバー部の内部に、前記本体部底面から突出した前記出力コネクタを取り囲み、前記出力コネクタの周囲の空間と、前記カバー部内の空間とを仕切るように構成された小部屋部を有し、
前記カバー部材のそれぞれは、前記カバー部材が閉じられた際に前記小部屋部を形成する仕切部材を有し、
前記仕切部材には、前記出力コネクタに接続されるケーブルを前記小部屋部の内部へ挿入するためのケーブル挿入口が形成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載のアンテナ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、家屋に設置されるようなアンテナ装置は、性能だけでなく美観も重視される。しかしながら、特許文献1に記載のアンテナ装置は、マストにアンテナ取付支柱を固定する取付金具が露出しており、美観を損なっている。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、優れた美観を与えるアンテナ装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、マストに固定して使用するアンテナ装置であって、柱形状のアンテナ本体部と、前記アンテナ本体部の底面である本体部底面に取り付けられた接続部と、を備え、前記接続部は、内部に空間が形成され、且つ底面に前記マストを挿入するためのマスト挿入口が形成された柱形状のカバー部と、前記カバー部の内部に設置され、前記マストを固定するように構成されている少なくとも1つの固定金具と、を有する、ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のアンテナ装置であって、前記カバー部は、前記アンテナ本体部の中心軸と前記カバー部の中心軸とが一致するように構成されており、前記固定金具は、前記アンテナ本体部の中心軸と前記マストの中心軸とが一致するような位置で、前記マストを固定するように構成されている、ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のアンテナ装置であって、前記アンテナ本体部は、前記本体部底面から前記カバー部の内部へ突出するように設けられた出力コネクタを有する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のアンテナ装置であって、前記カバー部は、前記カバー部の柱形状の中心軸に平行な面で分割して形成された2つのカバー部材を有し、一方の前記カバー部材が他方の前記カバー部材に対して開閉自在に取り付けられて構成されている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のアンテナ装置であって、前記接続部は、前記カバー部の内部に、前記本体部底面から突出した前記出力コネクタを取り囲み、前記出力コネクタの周囲の空間と、前記カバー部内の空間とを仕切るように構成された小部屋部を有し、前記カバー部材のそれぞれは、前記カバー部材が閉じられた際に前記小部屋部を形成する仕切部材を有し、前記仕切部材には、前記出力コネクタに接続されるケーブルを前記小部屋部の内部へ挿入するためのケーブル挿入口が形成されている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のアンテナ装置であって、前記マストは柱形状に形成されており、前記固定金具として、複数の前記マストの外径に対応するように、中心軸が同一で内径が異なる複数の固定金具を有する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、柱形状のアンテナ本体部と、前記アンテナ本体部の底面である本体部底面に取り付けられ、内部に筒形状の固定金具を有する筒形状の接続部と、前記固定金具に先端部分が嵌合するように構成された筒形状のマストと、前記本体部底面から前記固定金具の内部へ突出するように設けられた出力コネクタと、前記マストの内部を通るケーブルに装着され、前記マストの先端部分に固定される接続コネクタと、を備え、前記出力コネクタと前記接続コネクタとは、前記固定金具と前記マストの先端部分との嵌合に伴い、接続されるように構成されている、ことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載のアンテナ装置であって、前記アンテナ本体部は、円柱形状に形成されており、前記接続部は、前記アンテナ本体部と同一の中心軸且つ同一の外径の円柱形状に形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、マストを固定する固定金具がカバー部の内部に隠される。したがって、固定金具が露出しないため、シンプルな外観となり、優れた美観を与えることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、アンテナ本体部の中心軸とカバー部の中心軸とマストの中心軸とが一致するので、よりシンプルな外観となり、より良い美観を与えることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、固定金具だけでなく、ケーブルを接続する出力コネクタもカバー部の内部に設けられており、出力コネクタも露出しない。よって、より良い美観を与えることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、カバー部が2つのカバー部材から構成されており、2つのカバー部材を開けた状態で、固定金具にマストを固定したり、出力コネクタにケーブルを接続したりすることができるため、作業がしやすい。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、2つのカバー部材を開いて、固定金具によりマストを固定し、出力コネクタにケーブルを接続した後、2つのカバー部材を閉じると、出力コネクタの周囲が小部屋部で囲まれる。これにより、出力コネクタの防水性能が向上するため、接続部内に水が浸入しても、小部屋部内の出力コネクタが濡れることを抑制できる。ひいては、出力コネクタを覆う防水キャップを不要とできる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、外径の異なる複数種類のマストの中からアンテナ装置を固定するマストを選択し、選択したマストを接続部に固定することができる。
請求項7に記載の発明によれば、固定金具とマストの先端部分とを嵌合させるだけで、アンテナ本体部とマストとを機械的に接続することができるとともに、アンテナ本体部とケーブルとを電気的に接続することができる。また、その際、ケーブルがマスト内部を通るため、よりシンプルな外観となり、より良い美観を与えることができる。さらに、アンテナ本体部を回転させる際にケーブルの制限を受けにくくなるため、アンテナ本体部の方向調整をしやすい。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、アンテナ本体部の外側面と接続部の外側面とが面一になるため、よりシンプルな外観となり、より良い美観を与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、発明を実施するための形態を説明する。
(第1実施形態)
[1.全体構成]
第1実施形態に係るアンテナ装置10の外観を
図1に示す。アンテナ装置10は、アンテナ本体部20と接続部30とを備え、マスト70に固定して使用される。アンテナ装置10は、例えば、地上デジタル放送受信用のUHFアンテナである。ここでは、アンテナ装置10の中心軸Lに平行な方向を上下方向とする。そして、アンテナ装置10のマスト70に接続する側を後端側あるいは下側とし、後端側の反対側を先端側あるいは上側とする。
【0023】
マスト70は、金属で形成された円筒形状の棒である。マスト70は、支持金具で家屋の屋根や家屋の壁に設置されたり、後端部分が地中に埋設されて設置されたりする。そして、家屋の屋根等に設置されたマスト70の先端部分に、接続部30が固定される。
【0024】
アンテナ本体部20は、円柱形状に形成された指向性アンテナである。詳しくは、アンテナ本体部20は、樹脂で形成された円筒形状のアンテナカバーと、アンテナカバーの内部に設置されたアンテナ素子とを備える。アンテナ本体部20の外側面には、アンテナ装置10の正面であることを示す目印21が描かれている。アンテナ装置10の正面とは、アンテナ装置10の指向性の方向のことである。目印21は、ペイントに限らず、凹凸など見分けがつくものであれば何でもよい。なお、目印21は、接続部30の外側面に設けられていてもよい。
【0025】
接続部30は、中心軸がアンテナ本体部20の中心軸Lと一致し、外径がアンテナ本体部20の外径と一致する円柱形状に形成されている。接続部30の内部には、空間が形成されている。接続部30は、円柱形状の上面37がアンテナ本体部20の底面である本体部底面22に当接するように、本体部底面22に取り付けられている。なお、ここでの一致は、厳密な一致に限らず、多少のずれがあっても一致と見なせる範囲であれば一致とする。以下でも同様である。
【0026】
[2.接続部の構成]
次に、接続部30の詳細な構成について説明する。接続部30は、
図2及び
図3に示すように、カバー部31と、固定金具35と、を備える。
【0027】
カバー部31は、円柱形状を中心軸Lに平行な面で分割して形成した2つのカバー部材31a,31b、つまり、半円柱形状の2つのカバー部材31a,31bを有する。円柱形状を分割した分割面は、カバー部材31a,31bの開口面となっている。カバー部材31a,31bは樹脂で形成されている。カバー部材31bの長手方向の端部は、カバー部材31aの長手方向の端部に、ヒンジ34を介して取り付けられている。すなわち、カバー部材31bは、カバー部材31aに対して開閉自在に取り付けられている。なお、ここでは、カバー部材31aの開口面に平行且つ中心軸Lに垂直な方向を左右方向、カバー部材31aの開口面に垂直な方向を前後方向とする。そして、カバー部材31aの側を後側、カバー部材31bの側を前側とし、図面左側をそのまま左側、図面右側をそのまま右側とする。
【0028】
カバー部材31aは、半円筒形状の側面38aと、半円形状の底面36aと、半円形状の上面37aとを備える。同様に、カバー部材31bは、半円筒形状の側面38bと、半円形状の底面36bと、半円形状の上面37bとを備える。側面38aは、アンテナ本体部20のアンテナカバーと一体成形されている。また、カバー部材31aは、内部に、矩形状の床面39を備える。床面39は、カバー部材31aの開口面に平行に嵌め込まれている。
【0029】
カバー部材31a,31bを閉じると、側面38aと側面38bが組み合って、円柱形状のカバー部31の側面となる。また、カバー部材31a,31bを閉じると、底面36aと底面36bが組み合ってカバー部31の底面36となり、上面37aと上面37bが組み合ってカバー部31の上面37となる。
【0030】
カバー部材31aの底面36aには、中心軸Lを中心とした半円形状の切欠部32aが形成されている。切欠部32aの径は、マスト70の外径よりもやや大きくなっている。同様に、カバー部材31bの底面36bには、中心軸Lを中心とした、切欠部32aと同じ大きさの半円形状の切欠部32bが形成されている。これにより、カバー部材31a,31bを閉じると、切欠部32aと切欠部32bが組み合って、カバー部31の底面36には、マスト70を挿入するためのマスト挿入口32が形成される。
【0031】
また、カバー部材31aの底面36aには、切欠部32aの左右に、半円形状の切欠部33aが形成されている。切欠部33aの径は、同軸ケーブル80の外径よりもやや大きくなっている。同様に、カバー部材31bの底面36bには、切欠部32bの左右に、切欠部33aと同じ大きさの半円形状の切欠部33bが形成されている。これにより、カバー部材31a,31を閉じると、切欠部33aと切欠部33bが組み合って、カバー部31の底面36には、同軸ケーブル80を挿入するためのケーブル挿入口33が2つ形成される。同軸ケーブル80は、アンテナ本体部20で受信された受信信号を伝送するためのケーブルである。
【0032】
なお、マスト挿入口32の径を、マスト70の径よりも十分に大きく形成し、マスト挿入口32からマスト70とともに同軸ケーブル80を挿入するようにしてもよい。この場合、底面36にケーブル挿入口33は形成されていなくてもよい。
【0033】
[3.防水構造]
カバー部材31aは、内部において、床面39上に、前面が開口した箱形状の仕切部材40aを備える。仕切部材40aは、カバー部31の内部へ突出した2つの出力コネクタ25の後側半分を取り囲むように、カバー部材31aの上部の右側と左側に形成されている。出力コネクタ25は、アンテナ本体部20により受信された受信信号を出力する円柱形状のF型コネクタであり、アンテナ本体部20の本体部底面22から後側へ突出するように設けられている。出力コネクタ25には、同軸ケーブル80が接続される。
【0034】
仕切部材40aは、箱形状の側面となる4つの仕切面41a〜44aと、箱形状の後面となる仕切面47aとから形成されている。このうち仕切面42aは上面37aの一部分であり、仕切面43aは側面38aの一部分である。また、仕切面47aは床面39の一部分である。仕切面41aは仕切面43aに対向する面であり、仕切面44aは仕切面42aに対向する面である。
【0035】
仕切面42aには、半円形状の切欠部46aが形成されている。切欠部46aの径は、出力コネクタ25の外径よりもやや大きくなっており、切欠部46aは、出力コネクタ25の後側半分に当接する。また、仕切面44aには、半円形状の切欠部45aが形成されている。切欠部45aの径は、同軸ケーブル80の外径よりもやや大きくなっている。
【0036】
一方、カバー部材31bは、内部に、後面が開口した箱形状の仕切部材40bを備える。仕切部材40bの開口は、仕切部材40aの開口と同じ大きさに形成されている。仕切部材40bは、カバー部材31a,31bを閉じたときに、出力コネクタ25の前側半分を取り囲むように、カバー部材31bの上部の右側と左側に形成されている。
【0037】
仕切部材40bは、箱形状の側面となる4つの仕切面41b〜44bと、箱形状の前面となる仕切面47bとから形成されている。このうち、仕切面42bは上面37bの一部分であり、仕切面43b及び仕切面47bは側面38bの一部分である。仕切面41bは仕切面43bに対向する面であり、仕切面44bは仕切面42bに対向する面である。
【0038】
仕切面42bには、切欠部46aと同じ大きさの切欠部46bが形成されており、カバー部材31a,31bを閉じたときに、切欠部46bは、出力コネクタ25の前側半分に当接する。また、仕切面44bには、切欠部45aと同じ大きさの切欠部45bが形成されている。
【0039】
カバー部材31a,31bを閉じると、仕切部材40aと仕切部材40bが組み合って、2つの小部屋部40が形成される。小部屋部40は、それぞれ、出力コネクタ25を取り囲み、出力コネクタ25の周囲の空間と、カバー部31内の空間とを仕切るように構成される。そして、仕切面42aと仕切面42bとから形成される小部屋の上面には、切欠部46aと切欠部46bが組み合って、出力コネクタ25を通すコネクタ挿入口46が形成される。また、仕切面44aと仕切面44bとから形成される小部屋部40の底面には、切欠部45aと切欠部45bが組み合って、ケーブル挿入口45が形成される。
【0040】
同軸ケーブル80は、底面36に形成されたケーブル挿入口33から挿入され、ケーブル挿入口45を通って小部屋部40内に引き込まれ、出力コネクタ25に接続される。本実施形態では、2本の同軸ケーブル80を、それぞれ出力コネクタ25に接続することができるが、出力コネクタ25、ケーブル挿入口33、及びケーブル挿入口45の数は1つでも、3つ以上でもよい。
【0041】
小部屋部40の仕切面には、ケーブル挿入口45とコネクタ挿入口以外には隙間がなく、ケーブル挿入口45とコネクタ挿入口も、同軸ケーブル80と出力コネクタ25で塞がれる。そのため、マスト挿入口32から水滴が浸入しても、出力コネクタ25への水滴の付着が抑制される。
【0042】
[4.固定金具]
固定金具35は、接続部30をマスト70に固定するように構成されている金具であり、カバー部31の内側に設けられている。本実施形態では、
図2及び
図3に示すように、2つの固定金具35が、カバー部材31aの床面39上に、上下方向に所定の間隔を開けて設けられている。2つの固定金具35は、同形状に形成された同じ種類の金具である。
【0043】
固定金具35は、第1部材35aと、第2部材35bと、2つの螺子35cとを備える。第1部材35aは、前側に突出した略半円環形状の部材であり、半円環部と、半円環部の端部から左右に延伸された延伸部とを備える。第2部材35bは、床面39に固定された略直方体形状の部材であり、前面に後側へ凹んだ凹み部が形成されている。第2部材35bの凹み部は、断面が半円形状であり、内側面に滑り止めの凹凸が形成されている。第1部材35aの半円環部の径と第2部材35bの凹部の径は、マスト70の外径よりもやや大きくなっている。
【0044】
第2部材35bの前面に、第1部材35aの左右の延伸部を当接させて、螺子35cで螺子止めすると、第1部材35aの半円環部と第2部材35bの凹部が組み合って、内側に円柱形状の固定孔が形成される。この固定孔は、マスト70を挿通する挿通孔となっており、この固定孔の径は、マスト70の外径よりもやや大きくなっている。すなわち、固定金具35の内径は、マスト70の外径よりもやや大きくなっている。2つの固定金具35の固定孔の中心軸は、アンテナ本体部20の中心軸Lと同一になっている。そのため、マスト70に固定金具35を取り付けると、マスト70の中心軸がアンテナ本体部20の中心軸Lと同一となる。
【0045】
ここで、アンテナ装置10をマスト70に固定する方法を説明する。まず、カバー部材31a,31bを開けて、第1部材35aを取り外し、第2部材35bの凹み部にマスト70を嵌める。そして、第1部材35aを前側からマスト70に当接させる。そして、第1部材35aと第2部材35bとでマスト70を挟持した状態で、螺子35cで緩く仮止めする。その後、アンテナ装置10を回転させて、目印21を電波の送信塔の方向に向け、螺子35cで固く本止めし、カバー部材31a,31bを閉じる。
【0046】
[5.効果]
以上説明した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)カバー部材31a,31bを開いて、内部の固定金具35にマスト70を固定することで、マスト70にアンテナ装置10が固定される。そして、カバー部材31a,31bを閉じることで、固定金具35がカバー部31の内部に隠される。したがって、固定金具35が露出しないため、シンプルな外観となり、優れた美観を与えることができる。
【0047】
(2)アンテナ本体部20の中心軸Lとカバー部31の中心軸とマスト70の中心軸とが一致しているので、よりシンプルな外観となり、より良い美観を与えることができる。
(3)固定金具35だけでなく、同軸ケーブル80を接続する出力コネクタ25もカバー部31の内部に設けられており、出力コネクタ25も露出しない。よって、より良い美観を与えることができる。
【0048】
(4)固定金具35にマスト70を固定し、出力コネクタ25に同軸ケーブル80を接続した後、カバー部材31a,31bを閉じると、出力コネクタ25の周囲が小部屋部40で囲まれる。これにより、接続部30内に水が浸入しても、小部屋部40内の出力コネクタ25が濡れることを抑制できる。ひいては、出力コネクタ25を覆う防水キャップを不要にできる。
【0049】
(5)アンテナ本体部20と接続部30の中心軸及び外径が一致しているため、アンテナ本体部20の外側面と接続部30の外側面とが面一になる。よって、よりシンプルな外観となり、より良い美観を与えることができる。
【0050】
(6)アンテナ本体部20の外側面に正面であることを示す目印21が付されているため、アンテナ装置10の方向調整を容易に行うことができる。
(第2実施形態)
[1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0051】
前述した第1実施形態では、接続部30は同じ内径の2つの固定金具35を備えていた。これに対し、第2実施形態では、
図4に示すように、接続部30は異なる内径の2つの固定金具351,352を備える点で、第1実施形態と相違する。
【0052】
固定金具351,352は、固定孔の径が異なるだけで、固定金具35と同様の構成となっている。固定金具351は、外径が比較的大きい太マスト72に対応するように、固定孔の径が比較的大きく形成されている。一方、固定金具352は、外径が比較的小さい細マスト71に対応するように、固定孔の径が比較的小さく形成されている。
【0053】
図4に示すように、カバー部材31aの床面39上で、固定金具351は、固定金具352よりも下側に、所定の間隔を開けて設置されている。固定金具351と固定金具352は、どちらも固定孔の中心軸が、アンテナ本体部20の中心軸Lと一致するように設置されている。
【0054】
アンテナ装置10を細マスト71に固定する場合は、
図5及び
図7に示すように、細マスト71の先端部分が固定金具351と固定金具352の固定孔を通り、細マスト71の先端面が固定金具352よりも上側に位置する状態で、細マスト71の先端部分を固定金具352で挟持する。このとき、細マスト71は、固定金具351の固定孔を通っているが、固定金具351に当接していない。
【0055】
一方、アンテナ装置10を太マスト72に固定する場合は、
図6及び
図8に示すように、太マスト72の先端部分が固定金具351の固定孔を通り、太マスト72の先端面が固定金具351と固定金具352との間に位置する状態で、太マスト72の先端部分を固定金具351で挟持する。
【0056】
なお、接続部30は、内径の異なる2種類の固定金具351,352を備えているが、内径の異なる3種類以上の固定金具を備えるようにしてもよい。固定金具の種類を増やすほど、外径の異なる複数のマストに対応することができる。この場合、床面39上において、上側ほど内径の小さい固定金具を設置すればよい。また、固定金具351及び固定金具352を複数設け、複数の固定金具351で太マスト72を固定し、複数の固定金具352で細マスト71を固定するようにしてもよい。この場合、床面39上に、複数の固定金具351を所定の間隔で設置し、複数の固定金具351の上側に、複数の固定金具352を所定の間隔で設置すればよい。
【0057】
[2.効果]
以上説明した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1)〜(6)に加え、以下の効果が得られる。
【0058】
(7)接続部30が内径の異なる複数種類の固定金具351,352を備えているため、外径の異なる複数種類のマストの中から、アンテナ装置10を固定するマストを選択することができる。
【0059】
(第3実施形態)
[1.全体構成]
第3実施形態に係るアンテナ装置100の外観を
図9及び
図10に示す。アンテナ装置100は、アンテナ本体部200と、接続部300と、マスト700とを備える。アンテナ装置100は、例えば、地上デジタル放送受信用のUHFアンテナである。ここでは、アンテナ装置100の中心軸LLに平行な方向を上下方向とする。そして、アンテナ装置10のマスト700に接続する側を後端側あるいは下側とし、後端側の反対側を先端側あるいは上側とする。
【0060】
アンテナ本体部200は、アンテナ本体部20と同様に構成されている。
接続部300は、中心軸がアンテナ本体部200の中心軸LLと一致し、外径がアンテナ本体部200の外径と一致する円柱形状に形成されている。接続部300の内部には、空間が形成されている。接続部300は、円柱形状の上面370がアンテナ本体部200の底面である本体部底面220に当接するように、本体部底面220に取り付けられている。また、接続部300の底面、すなわち円柱形状の底面は開口している。
【0061】
接続部300の内部には、マスト700を固定するための固定金具400が設置されている。固定金具400の内径は、マスト70の外径よりもやや大きくなっている。固定金具400は、内側面に第1係合部410が形成されている。また、本体部底面220から固定金具400の内部に突出するように、円柱形状の出力コネクタ250が設けられている。固定金具400及び出力コネクタ250は、中心軸がアンテナ本体部200の中心軸LLと一致する位置に設けられている。
【0062】
マスト700は、金属で形成された円筒形状の棒であり、マスト70と同様に、家屋の屋根等に固定される。マスト700の内部には、接続コネクタ90を装着した同軸ケーブル80が通る。マスト700の下部の側面には、内部から同軸ケーブル80を引き出すためのケーブル引出口710が形成されている。接続コネクタ90には、接続コネクタ90をマスト700の内側面に固定する固定具740が取り付けられている。マスト700の先端部分の内側面には、固定具740の位置決めをするためのダボが、例えば120°間隔で設けられていてもよい。なお、マスト700の後端部分を地中に埋設する場合は、ケーブル引出口710から同軸ケーブル80を引き出すとよいが、マスト700を空中に設置する場合は、ケーブル引出口710とマスト700の開口した後端面のいずれから同軸ケーブル80を引き出してもよい。出力コネクタ250及び接続コネクタ90の詳細については後述する。
【0063】
また、マスト700の先端部分の外側面には、固定金具400の第1係合部410に係合する第2係合部720が形成されている。さらに、マスト700の先端部分の外側面において、第2係合部720の下側には、パッキン730が設置されている。なお、第2係合部720とパッキン730の設置位置は、上下入れ替えてもよい。また、第2係合部720とパッキン730は、それぞれ複数設置してもよい。第1係合部410、第2係合部720、及びパッキン730の詳細については後述する。
【0064】
マスト700の先端部分を、固定金具400の内側に嵌合させると、第1係合部410と第2係合部720が係合するとともに、出力コネクタ250と接続コネクタ90とが接続する。つまり、アンテナ本体部200とマスト700とが機械的に接続されるとともに、アンテナ本体部200と同軸ケーブル80とが電気的に接続される。
【0065】
[2.コネクタの構成]
次に、出力コネクタ250及び接続コネクタ90の構成について、
図11を参照して説明する。
【0066】
出力コネクタ250は、コネクタ本体部251と、スプリング保持部252と、スプリング253と、を備える。コネクタ本体部251は、円筒形状の導電体である。スプリング保持部252は、コネクタ本体部251の内側面に当接するように設けられた絶縁体である。スプリング253は、コネクタ本体部251の中心に位置するように、スプリング保持部252に保持された導電体である。
【0067】
接続コネクタ90は、コネクタ本体部91と、嵌合部92と、板バネ93と、中心コンタクト保持部94と、中心コンタクト95と、スリーブ96と、圧入リング97と、圧着リング98と、芯線圧着部99とを備える。また、接続コネクタ90には、マスト700の内側に当接する形状の固定具740が取り付けられている。本実施形態では、固定具740は円環形状になっている。
【0068】
コネクタ本体部91は、円筒形状の導電体である。嵌合部92は、コネクタ本体部91の先端部分の外側面に圧入された円筒形状の導電体である。板バネ93は、嵌合部92の先端部の突起とコネクタ本体部91の上面により形成される溝に固定された円筒形状の導電体である。板バネ93の側面には、内側に向かって突出した円弧状の突出部が、所定の間隔で複数形成されている。
【0069】
中心コンタクト保持部94は、円筒形状の絶縁体であり、コネクタ本体部91の内部に取り付けられている。中心コンタクト95は、中心コンタクト保持部94の内部に保持される導電体である。中心コンタクト95の内部の中心には、同軸ケーブル80の芯線が入る穴が設けてあり、同軸ケーブルの芯線を入れて圧着固定する芯線圧着部99を備えている。
【0070】
スリーブ96は、コネクタ本体部91の底面から後側へ延伸した円筒形状の導電体であり、後側に向かって厚みが薄くなるようにテーパが設けられている。圧入リング97は、スリーブ96の外側面に圧着される円環形状の金属で形成されたリングである。圧入リング97は、コネクタ本体部91の底面に当接するように取り付けられた固定具740を、コネクタ本体部91と挟んで挟持する。圧着リング98は、同軸ケーブル80の被覆の外側面に圧着される円環形状の金属で形成されたリングである。
【0071】
接続コネクタ90は、以下のような方法で組み立てられる。まず、コネクタ本体部91の先端部分を、嵌合部92に圧入して固着する。そして、板バネ93を、嵌合部92の内部の内側に、密着させて固定する。続いて、コネクタ本体部91の後側に延伸したスリーブ96に、固定具740を通し、さらに、圧入リング97を圧入して固着する。
【0072】
そして、所定の寸法に加工された同軸ケーブル80の芯線を、中心コンタクト95に挿通す。続いて、中心コンタクト保持部94の内部に中心コンタクト95を挿入し、中心コンタクト保持部94の外側から圧着して、芯線圧着部99を芯線に固定する。続いて、同軸ケーブル80に圧着リング98を通す。そして、同軸ケーブル80の芯線が固定された中心コンタクト保持部94及び中心コンタクト95を、スリーブ96側からコネクタ本体部91の内部へ挿入するとともに、スリーブ96を、同軸ケーブル80のアルミラミネート箔と銅編組との間に挿入して、所定位置に仮固定する。同軸ケーブル80がアルミラミネート箔を備えていない場合は、同軸ケーブル80の芯線の外側の絶縁体と銅編組との間に、スリーブ96を挿入すればよい。続いて、圧着リング98を、同軸ケーブル80の被覆に圧着して固定する。
【0073】
固定金具400の内部にマスト700の先端部分を挿入すると、中心コンタクト95がスプリング253に挟持されるとともに、コネクタ本体部251が嵌合部92の内側に嵌合して、コネクタ本体部251の外側面が板バネ93の突出部に当接する。これにより、同軸ケーブル80がアンテナ本体部200に電気的に接続され、アンテナ本体部200で受信された受信信号が同軸ケーブル80を介して伝送される。
【0074】
[3.マストの固定構造]
次に、マスト700とアンテナ本体部200との機械的な固定について説明する。
図12に示すように、第1係合部410は、固定金具400の内側面に環状に形成された溝である。また、
図14及び
図15に示すように、第2係合部720は、円環形状の一部分にスリットが入ったCリングであり、鉛直断面が台形形状となっている。
【0075】
図12に示すように、マスト700の先端部分の外側面には、環状の溝725が形成されており、第2係合部720は溝725に嵌め込まれている。その際、第2係合部720は、鉛直断面において、台形の短い方の底辺が長い方の底辺よりも上側になるように、溝725に埋め込まれている。溝725に埋め込まれた状態において、第2係合部720は、外側面の上端がマスト700の外側面よりもやや内側に入っている、もしくは、外側面の上端がマスト700の外側面と同一面上に存在し、外側面の下端がマスト700の外側面よりも外側に突出ている。
【0076】
また、
図16に示すように、パッキン730は、鉛直断面がO形すなわち円形の環状パッキンである。パッキン730の径は、マスト700の外径よりもやや大きくなっている。
図13に示すように、マスト700の先端部分の外側面には、溝725の下側に、環状の溝735が形成されており、パッキン730は溝735に埋め込まれている。溝735に埋め込まれた状態において、パッキン730は、マスト700の外側面よりもやや外側に突出している。なお、溝735は、溝725の上側に形成されていてもよい。
【0077】
なお、溝735を形成する際に、マスト700の外側から中心に向けて力を加え、縮径処理をしてもよい。この場合、マスト700の内側面には、縮径処理されて内側に突出した凸部が形成されるので、この凸部を、ダボの代わりに固定具740の位置決めに用いてもよい。
【0078】
次に、アンテナ装置100をマスト700に固定する方法について、
図17及び
図18を参照して説明する。まず、マスト700に第2係合部720とパッキン730を装着する。そして、固定金具400の内部に、マスト700の先端部分を挿入し、第2係合部720を縮径しつつマスト700を押し進める。第2係合部720が固定金具400の内部に入り、パッキン730が固定金具400の外に出ている状態で、滑りを良くするために、パッキン730の少量の水分を含ませ、パッキン730を固定金具400の内部へ圧入する。
【0079】
固定金具400の内部に第2係合部720とパッキン730が入ったら、パッキン730のマスト700の外側面よりも突出している部分を押しつ潰しつつ、そのままマスト700を推し進める。そして、第1係合部710の溝に第2係合部720を嵌合させる。これにより、マスト700にアンテナ本体部200が固定される。そして、アンテナ本体部200を回転させて、目印21を電波の送信塔の方向に向ける。パッキン730が乾くと、アンテナ本体部200を回転させることができなくなり、アンテナ本体部200の方向が固定される。
【0080】
パッキン730は、適度な保持力と可動性を備えており、固定金具400の内部に水滴が浸入するのを防ぐ防水部材であるとともに、アンテナ本体部200の方向を固定する固定部材でもある。パッキン730が当接する固定金具400の内側面に、ローレット等の滑り止めを設けておいてもよい。なお、第1係合部410及び第2係合部720の対を複数設けてもよいし、パッキン730を複数設けてもよい。
【0081】
[4.効果]
以上詳述した第3実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1)〜(3)、(5)、(6)に加え、以下の効果が得られる。
【0082】
(8)固定金具400とマスト700の先端部分とを嵌合させるだけで、アンテナ本体部200とマスト700とを機械的に接続することができるとともに、アンテナ本体部200と同軸ケーブル80とを電気的に接続することができる。
【0083】
(9)同軸ケーブル80がマスト700の内部を通るため、よりシンプルな外観となり、より良い美観を与えることができる。さらに、アンテナ本体部200を回転させる際に同軸ケーブル80の制限を受けにくくなるため、アンテナ本体部200の方向調整をしやすい。
【0084】
(他の実施形態)
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0085】
(a)上記各実施形態では、アンテナ本体部20,200と、接続部30,300と、マスト70,71,72,700の形状は、同じ円柱形状となっているが異なっていてもよい。また、上記各実施形態では、アンテナ本体部20,200及び接続部30,300の形状は、上下方向に垂直な鉛直断面が円形の円柱形状となっているがこれに限定されるものではない。例えば、アンテナ本体部20,00及び接続部30,300の形状は、鉛直断面が楕円形状や、多角形状の柱形状でもよい。また、
図19に示すように、アンテナ本体部20,200及び接続部30,300の形状は、鉛直断面が、円形の一部分を直径に沿った線で切り取った形状となる柱形状でもよい。また、マスト70,71,72,700の形状も、円柱形状に限らない。マスト70,71,72,700の形状を円柱形状以外とした場合は、マスト挿入口32、固定金具35,351,352,400の形状を、マスト70,71,72,700の形状に合わせた形状とすればよい。
【0086】
(b)上記各実施形態では、アンテナ本体部20,200と、接続部30,300と、マスト70,71,72,700の中心軸が一致しているが、一致していなくてもよい。中心軸が一致していなくても、固定金具35,351,352,400が露出していなければ、優れた美観を与えることができる。
【0087】
(c)上記各実施形態では、アンテナ本体部20,200と、接続部30,300の外径,形状が一致しているが、外径、形状は異なっていてもよい。アンテナ本体部20,200の外側面と、接続部30,300の外側面が面一になっていなくても、固定金具35,351,352,400が露出していなければ、優れた美観を与えることができる。
【0088】
(d)第1及び第2実施形態において、カバー部31は、2つのカバー部材31a,31bから構成されていたが、分割されずに一体に形成されていてもよい。つまり、カバー部31は、内部に空間を有する一体の柱形状に形成されていてもよい。この場合、例えば、固定金具35を、固定金具400のように、アンテナ本体部20の底面22に取り付けておき、固定金具35にマスト70を固定した後、カバー部31を嵌めればよい。
【0089】
(e)第1及び第2実施形態において、出力コネクタ25がカバー部31の内部に設けられ露出していなかったが、出力コネクタ25は露出していてもよい。出力コネクタ25が露出していても、固定金具35,351,352,400が露出していなければ、優れた美観を与えることができる。
【0090】
(f)第1及び第2実施形態において、カバー部材31bは、カバー部材31aに対して、前側に向かって開くように取り付けられているが、上側に向かって開くように取り付けられていてもよいし、下側に向かって開くように取り付けられていてもよい。また、カバー部材31bは、カバー部材31aに対して上側又は下側にスライドするように取り付けられていてもよい。カバー部材31bは、カバー部材31aに対して開閉自在となっていれば、どのように取り付けられていてもよい。
【0091】
(g)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【0092】
(h)上述したアンテナ装置の他、当該アンテナ装置を構成要素とするシステムなど、種々の形態で本発明を実現することもできる。