特許第6681815号(P6681815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681815
(24)【登録日】2020年3月26日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】メタン回収装置
(51)【国際特許分類】
   E21B 43/00 20060101AFI20200406BHJP
   C10L 3/10 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   E21B43/00 A
   C10L3/10
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-197238(P2016-197238)
(22)【出願日】2016年10月5日
(65)【公開番号】特開2018-59321(P2018-59321A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】金内 健
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−214164(JP,A)
【文献】 特開2005−213824(JP,A)
【文献】 特開2003−082975(JP,A)
【文献】 特開2013−234820(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0298547(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 43/00−43/40
E21C 50/00−50/02
C10L 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中のメタンハイドレート層に存在するメタンハイドレート中のメタンを回収するメタン回収装置であって、
作動媒体が充填され音波が伝播する音響筒に、前記作動媒体を外部から加熱する加熱器と前記作動媒体を外部から冷却する冷却器と前記加熱器と前記冷却器との間で音波の音響エネルギを増幅する第1再生器とから成る原動機を少なくとも1つ以上設けると共に、前記作動媒体が外部から吸熱する吸熱器と前記作動媒体が外部へ放熱する放熱器と前記吸熱器と前記放熱器との間で音波が音響エネルギを消費する形態で圧縮及び膨張する第2再生器とから成る音響ヒートポンプ部を少なくとも1つ以上設ける熱音響機関を備え、
温熱源から発生する温熱を保有する第1熱媒を前記加熱器へ導く第1熱媒通流路と、
前記冷却器及び前記放熱器の少なくとも一方を通過した第2熱媒を前記メタンハイドレート層へ導く第2熱媒通流路と、
前記メタンハイドレート層の前記メタンハイドレートから分離してガス化した前記メタンの一部を燃料として前記温熱源へ導くと共に、ガス化した前記メタンの残部を前記吸熱器へ導いて液化するメタン通流路とを備えるメタン回収装置。
【請求項2】
前記メタンハイドレート層から流体を吸引する形態で前記メタンハイドレート層を減圧する減圧ポンプを備える請求項1に記載のメタン回収装置。
【請求項3】
前記第2熱媒通流路は、前記冷却器及び前記放熱器の少なくとも一方と前記メタンハイドレート層との間で第2熱媒を循環させる第2熱媒循環路として構成され、
前記第2熱媒循環路は、前記第2熱媒を前記メタンハイドレート層へ導く地中側第2熱媒通流路を通流した後の前記第2熱媒を前記冷却器へ導く冷却器側第2熱媒通流路と、前記地中側第2熱媒通流路を通流した後の前記第2熱媒を前記放熱器へ導く放熱器側第2熱媒通流路とを、並列に備え、
前記メタン通流路にて前記吸熱器を通流する前の前記メタンを圧縮する圧縮機を備え、
前記メタン通流路の前記吸熱器と前記圧縮機との間を通流する前記メタンと、前記放熱器側第2熱媒通流路で前記放熱器を通流した後の前記第2熱媒とを熱交換する第1熱交換器を備える請求項1又は2に記載のメタン回収装置。
【請求項4】
前記第2熱媒通流路は、前記冷却器及び前記放熱器の少なくとも一方と前記メタンハイドレート層との間で第2熱媒を循環させる第2熱媒循環路として構成され、且つ少なくとも前記冷却器と前記メタンハイドレート層との間で前記第2熱媒を循環するものであり、
前記第1熱媒通流路で前記加熱器を通流した後の前記第1熱媒と、前記第2熱媒循環路において前記冷却器を通流した後で前記メタンハイドレート層へ導かれる前の前記第2熱媒とを熱交換する第2熱交換器を備える請求項1〜3の何れか一項に記載のメタン回収装置。
【請求項5】
前記温熱源が、前記メタンを燃焼して燃焼排ガスを排出する燃焼装置であり、
前記第1熱媒通流路は、前記燃焼排ガスを前記第1熱媒として前記加熱器に通流自在に構成されている請求項1〜4の何れか一項に記載のメタン回収装置。
【請求項6】
前記温熱源が、前記メタンを燃料として熱と電力を発生する熱電併給装置であり、
前記第1熱媒通流路は、前記熱電併給装置が発生する熱を保有する前記第1熱媒を前記放熱器に通流自在に構成されている請求項1〜4の何れか一項に記載のメタン回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に存在するメタンハイドレート中のメタンを回収するメタン回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、日本近海に膨大な量が埋設されていると考えられているメタンハイドレートに関し、当該メタンハイドレート又はメタンハイドレートに含まれるメタンの回収技術の検討が進められている。
メタンハイドレートは、主には、比較的低温で高圧の海底で海底面から数百m下方に形成されるメタンハイドレート層に存在するため、当該メタンハイドレートを分解してメタンを回収する主要な方法としては、メタンハイドレート層を減圧してメタンハイドレートからメタンを分離して回収する減圧法と、メタンハイドレート層を加熱してメタンハイドレートからメタンを分離して回収する加熱法とが知られている。
減圧法は、加熱法に比べてエネルギ効率は良いと考えられているが、メタンハイドレートがメタンと水とに分解する反応は吸熱反応であるため、メタンハイドレート層を減圧してメタンを回収する際に、周囲温度が低下し、メタンが回収できない場合がある。また、メタンハイドレート層は、砂や砂泥等から成る未固結堆積物から構成されるため、採取管を介して減圧ポンプにて減圧する際に、メタンガスと共に砂や砂泥が吸引され、減圧ポンプを停止・故障等させる等の問題がある。
一方、加熱法にあっては、特許文献1に開示されているように、メタンハイドレート層に温熱を保有する熱媒を供給してメタンハイドレートを加熱し、ガス化したメタンを採取管を介して回収する。そして、回収したメタンを液化用コンプレッサ等を有する冷却設備により冷却して、液化して貯留及び運搬する。当該加熱法にあっては、回収時に、メタンハイドレート層を加熱することから、メタンハイドレート層の温度が低下してメタンが回収できなくなるという問題は回避でき、メタンハイドレート層を減圧する必要もないことから、減圧ポンプが砂や砂泥を吸引して発生する故障も回避できるが、投入エネルギに対して、エネルギ回収量が少ない。
減圧法におけるメタンの回収率を向上を目的として、減圧後の地熱回復のために少量の温水圧入、坑井加熱を行う減圧・坑井加熱併用(Huff&Puff)法等の生産回収増進法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−61293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の如く、特許文献1に示される加熱法にあっては、減圧法の問題を回避できる。しかしながら、当該加熱法にあっては、種々の研究により、投入エネルギに対するメタンの回収量が小さいことが知られており、更に、回収したメタンを、貯留及び運搬の観点から、冷却して液化するのにも多くのエネルギを必要とし、トータルとしてのエネルギ効率の改善が望まれていた。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的簡易な構成でありながらも、地中のメタンハイドレートを加熱法、Huff&Puff法にて適切にガス化し、ガス化したメタンガスを貯留及び運搬の目的で良好に液化する工程を、高いエネルギ効率で実行できるメタン回収装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためのメタン回収装置は、地中のメタンハイドレート層に存在するメタンハイドレート中のメタンを回収するメタン回収装置であって、その特徴構成は、
作動媒体が充填され音波が伝播する音響筒に、前記作動媒体を外部から加熱する加熱器と前記作動媒体を外部から冷却する冷却器と前記加熱器と前記冷却器との間で音波の音響エネルギを増幅する第1再生器とから成る原動機を少なくとも1つ以上設けると共に、前記作動媒体が外部から吸熱する吸熱器と前記作動媒体が外部へ放熱する放熱器と前記吸熱器と前記放熱器との間で音波が音響エネルギを消費する形態で圧縮及び膨張する第2再生器とから成る音響ヒートポンプ部を少なくとも1つ以上設ける熱音響機関を備え、
温熱源から発生する温熱を保有する第1熱媒を前記加熱器へ導く第1熱媒通流路と、
前記冷却器及び前記放熱器の少なくとも一方を通過した第2熱媒を前記メタンハイドレート層へ導く第2熱媒通流路と、
前記メタンハイドレート層の前記メタンハイドレートから分離してガス化した前記メタンの一部を燃料として前記温熱源へ導くと共に、ガス化した前記メタンの残部を前記吸熱器へ導いて液化するメタン通流路とを備える点にある。
【0007】
以下、まずもって、第2熱媒通流路が、冷却器及び放熱器の双方からメタンハイドレート層へ第2熱媒を導く構成について、作用効果を説明する。
当該構成によれば、熱音響機関の原動機において、例えば海水等の比較的低温の第2熱媒が冷却器に導かれる共に、温熱源から発生する温熱を保有する第1熱媒が加熱器に導かれるから、加熱器と冷却器との間で十分な温度差を発生させ、音響筒に当該温度差から生じる大きい音響エネルギを有する音波を発生させることができる。
一方、熱音響機関の音響ヒートポンプ部において、例えば海水等の比較的低温の第2熱媒がヒートシンクとして放熱器へ供給されると共に、メタンハイドレート層にてメタンハイドレートから分離して回収されたメタンガスが、吸熱器を通流することで、メタンガスを冷却し液化できる。即ち、当該構成にあっては、メタンガスの液化に必要な冷却を、コンプレッサを設けない簡易な構成で、電力を供給することなく実現できる。
更に、第2熱媒通流路は、原動機の冷却器と音響ヒートポンプ部の放熱器とにおいて温熱を回収した第2熱媒をメタンハイドレート層へ導いて、メタンハイドレート層にてメタンハイドレートを良好に加熱し、メタンをガス化して回収できる。
以上より、比較的簡易な構成でありながらも、地中のメタンハイドレートを加熱法にて適切に加熱しつつメタンをガス化し、ガス化したメタンガスを貯留及び運搬の目的で良好に液化する工程を、高いエネルギ効率で実行できるメタン回収装置を実現できる。
【0008】
因みに、本発明にあっては、温熱源としてはバーナ等の燃焼装置やエンジン等の熱電併給装置を想定しており、メタン通流路を介してメタンハイドレート層からガス化したメタンが燃料として供給される構成を採用している。このような構成においては、メタンハイドレート層からガス化したメタンが温熱源へ供給されるまでの間は、例えば、補助燃料源から温熱源へ燃料を供給する構成を採用する。
【0009】
尚、これまで説明した作用効果にあっては、第2熱媒通流路において、原動機の冷却器と音響ヒートポンプ部の放熱器との双方からメタンハイドレート層へ第2熱媒を導く構成について説明した。しかしながら、第2熱媒通流路は、第2熱媒を、冷却器と放熱器との少なくとも何れかを通過した第2熱媒をメタンハイドレート層へ導くものであっても構わない。ただし、比較的高温で多くの熱量を有する第2熱媒を、メタンハイドレート層へ導いて、多くのメタンをガス化する観点からは、第2熱媒通流路は、冷却器及び放熱器のうち、少なくとも比較的多くの温熱を回収できる冷却器を通過した後の第2熱媒をメタンハイドレート層へ導く構成を採用することが好ましい。
【0010】
メタン回収装置の更なる特徴構成は、
前記メタンハイドレート層から流体を吸引する形態で前記メタンハイドレート層を減圧する減圧ポンプを備える点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、メタンハイドレート層を、第2熱媒を導くことにより加熱できるのに加え、減圧ポンプの吸引作用により減圧することができるから、加熱・減圧の双方の作用により、メタンハイドレート層にてメタンをガス化して、より一層良好に回収することができる。
【0012】
メタン回収装置の更なる特徴構成は、
前記第2熱媒通流路は、前記冷却器及び前記放熱器の少なくとも一方と前記メタンハイドレート層との間で第2熱媒を循環させる第2熱媒循環路として構成され、
前記第2熱媒循環路は、前記第2熱媒を前記メタンハイドレート層へ導く地中側第2熱媒通流路を通流した後の前記第2熱媒を前記冷却器へ導く冷却器側第2熱媒通流路と、前記地中側第2熱媒通流路を通流した後の前記第2熱媒を前記放熱器へ導く放熱器側第2熱媒通流路とを、並列に備え、
前記メタン通流路にて前記吸熱器を通流する前の前記メタンを圧縮する圧縮機を備え、
前記メタン通流路の前記吸熱器と前記圧縮機との間を通流する前記メタンと、前記放熱器側第2熱媒通流路で前記放熱器を通流した後の前記第2熱媒とを熱交換する第1熱交換器を備える点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、第2熱媒は、冷却器側第2熱媒通流路と放熱器側第2熱媒通流路との双方に、並列に導かれることとなるから、例えば、直列に導く場合と比較して、冷却器と放熱器との双方へ、メタンハイドレート層から冷熱を回収して比較的低温となった第2熱媒を供給することができる。これにより、原動機にあっては、冷却器と加熱器との温度差を十分に大きくして、大きい音響エネルギの音波を発生でき、音響ヒートポンプ部にあっては、ヒートシンクとして放熱器へ比較的低温の第2熱媒を導くことで、吸熱器に導かれるメタンの温度をより低い温度へ冷却できる。
ここで、メタンを液化するには、大気圧近傍では−162℃程度まで冷却する必要があるため、昇圧しつつ冷却することが好ましい。上記特徴構成によれば、メタンハイドレート層にてメタンハイドレートをガス化して得られたメタンは、圧縮機にて圧縮し比較的高圧(例えば、3MPa以上8MPa以下)へ昇圧した後、第1熱交換器にて第2熱媒と熱交換する形態で粗熱をとる形態で冷却し、音響ヒートポンプ部の吸熱器にて冷却することで、良好に液化できる。
一方で、第2熱媒放熱器側通流路を通流する第2熱媒は、放熱器にてヒートシンクとして働いて温熱を回収した後、第1熱交換器にて、圧縮機にて昇圧後のメタンの粗熱を回収し、それらの温熱をメタンハイドレート層へ良好に供給できる。
【0014】
メタン回収装置の更なる特徴構成は、
前記第2熱媒通流路は、前記冷却器及び前記放熱器の少なくとも一方と前記メタンハイドレート層との間で第2熱媒を循環させる第2熱媒循環路として構成され、且つ少なくとも前記冷却器と前記メタンハイドレート層との間で前記第2熱媒を循環するものであり、
前記第1熱媒通流路で前記加熱器を通流した後の前記第1熱媒と、前記第2熱媒循環路において前記冷却器を通流した後で前記メタンハイドレート層へ導かれる前の前記第2熱媒とを熱交換する第2熱交換器を備える点にある。
【0015】
本発明にあっては、温熱源としてはバーナ等の燃焼装置や、エンジン等の熱電併給装置を想定しており、第1熱媒としては、燃焼装置や熱電併給装置の燃焼排ガスを用いることを想定している。この場合、加熱器を通流した後の第1熱媒は、比較的高温で回収可能な熱を保有している場合が想定される。
そこで、上記特徴構成にあっては、第2熱交換器により、第1熱媒通流路で加熱器を通流した後の第1熱媒と、第2熱媒循環路において冷却器を通流した後でメタンハイドレート層を通流する前の第2熱媒とを熱交換することで、第1熱媒に残存する排熱を第2熱媒にて適切に回収し、メタンハイドレート層にてメタンハイドレートの加熱の用に供することができる。
【0016】
メタン回収装置の更なる特徴構成は、
前記温熱源が、前記メタンを燃焼して燃焼排ガスを排出する燃焼装置であり、
前記第1熱媒通流路は、前記燃焼排ガスを前記第1熱媒として前記加熱器に通流自在に構成されている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、供給する燃焼用空気の酸素濃度等にもよるが、加熱器へ1500℃以上の高い燃焼排ガスを第1熱媒として供給することができ、原動機の冷却器と加熱器との間にて大きな温度差をとり、大きい音響エネルギを発生できる。
【0018】
メタン回収装置の更なる特徴構成は、
前記温熱源が、前記メタンを燃料として熱と電力を発生する熱電併給装置であり、
前記第1熱媒通流路は、前記熱電併給装置が発生する熱を保有する前記第1熱媒を前記放熱器に通流自在に構成されている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、温熱源として熱電併給装置を備えることで、メタンを燃料として熱のみならず電力を発生することもできるから、当該電力を装置の補機(例えば、メタンを圧縮する圧縮機)に供給することで、装置のトータルでのエネルギ効率をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係るメタン回収装置の概略構成図
図2】本発明の別実施形態に係るメタン回収装置の概略構成図
図3】本発明の別実施形態に係るメタン回収装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態に係るメタン回収装置100は、比較的簡易な構成でありながらも、地中のメタンハイドレートを加熱法、Huff&Puff法にて適切にガス化し、ガス化したメタンガスを貯留及び運搬の目的で良好に液化する工程を、高いエネルギ効率で実行できるものである。
【0022】
当該実施形態に係るメタン回収装置100は、図1に示すように、通常、比較的高圧で低温の状態にて形成されるメタンハイドレートからメタンを回収する装置である。メタンハイドレートは、比較的高圧で低温の状態にて形成されるため、シベリア等の特異な環境を除き、通常、水深500m以上の海底で、海底面LA1から数百m以上下方に形成されるメタンハイドレート層LA2に存在する。
当該実施形態に係るメタン回収装置100は、作動媒体が充填され音波が伝播する音響筒Tに、作動媒体を外部から加熱する加熱器11と作動媒体を外部から冷却する冷却器12と加熱器11と冷却器12との間で音波の音響エネルギを増幅する第1再生器13とから成る原動機10を少なくとも1つ以上設けると共に、作動媒体が外部から吸熱する吸熱器21と作動媒体が外部へ放熱する放熱器22と吸熱器21と放熱器22との間で音波が音響エネルギを消費する形態で圧縮及び膨張する第2再生器23とから成る音響ヒートポンプ部20を少なくとも1つ以上設ける熱音響機関60を備える。
更に、当該実施形態に係るメタン回収装置100にあっては、燃料及び燃焼用空気を混合して燃焼するバーナ30(温熱源及び燃焼装置の一例)から発生する温熱を保有する燃焼排ガス(第1熱媒の一例)を加熱器11へ導く第1熱媒通流路L4と、冷却器12及び放熱器22の少なくとも何れか一方(当該実施形態にあっては、双方)とメタンハイドレート層LA2との間で第2熱媒(例えば、海水)を循環させる第2熱媒循環路C(第2熱媒通流路の一例)と、メタンハイドレート層LA2のメタンハイドレートから分離してガス化したメタンの一部を燃料としてバーナ30へ導くと共に、ガス化したメタンの残部を吸熱器21へ導いて液化するメタン通流路Lとを備えている。
【0023】
以下、まず、熱音響機関60につき、説明を追加する。
熱音響機関60は、図1に示すように、作動媒体が充填され音波が伝播する第1ループ管T1と第2ループ管T2とが連結管にて連結されて構成された音響筒Tを備え、当該実施形態においては、第1ループ管T1に単一の原動機10が設けられると共に第2ループ管T2に単一の音響ヒートポンプ部20が設けられている。
【0024】
以下、作動媒体を外部から加熱する加熱器11と作動媒体を外部から冷却する冷却器12と加熱器11と冷却器12との間で音波の音響エネルギを増幅する第1再生器13とから成る原動機10について説明を加える。
【0025】
加熱器11は、詳細な図示は省略するが、第1熱媒としての燃焼排ガスを通流するジャケット部(図示せず)と、当該ジャケット部から音響筒Tの内部に延びるフィン(図示せず)とから成る。加熱器11は、フィンがジャケット部を通流する燃焼排ガスにて加熱され、当該フィンから音響筒Tの内部の作動流体へ温熱を伝導する形態で、作動流体を加熱する。
【0026】
冷却器12は、第2熱媒循環路Cを循環する第2熱媒を通流するジャケット部(図示せず)と、当該ジャケット部から音響筒Tの内部に延びるフィン(図示せず)とから成る。冷却器12は、フィンがジャケット部を通流する冷却水にて冷却され、当該フィンから音響筒Tの内部の作動流体へ冷熱を伝導する形態で、作動流体を冷却する。
【0027】
加熱器11と冷却器12との間に設けられる第1再生器13は、例えば、音響筒Tの筒軸心方向に直交する方向に板面を沿わせた状態で、当該筒軸心方向に沿って複数並べられる薄板状部材(図示せず)から構成されている。
当該薄板状部材は、例えば、厚さが50μm以上100μm以下で、300枚〜600枚程度設けられる。当該薄板状部材には、筒軸心方向に沿う方向に貫通する多数の貫通孔(図示せず)が、その直径が200μm〜300μm程度で、設けられる。
【0028】
作動流体は、音響筒Tの内部において、その筒軸心方向で、微小な揺らぎを生じる状態で、存在している。換言すると、作動流体を伝搬する音波は、加熱器11と冷却器12との両者間において、一方側から他方側への進行波と、他方側から一方側への進行波とを形成する。
作動流体を伝搬する音波は、冷却器12から加熱器11の側への進行波を形成する場合、加熱器11近傍での第1再生器13としての薄板状部材の複数の貫通孔を通過するときに当該貫通孔の内壁に接触して加熱されると共に、加熱器11のフィンにて直接加熱されることで、膨張する。一方、作動流体を伝搬する音波は、加熱器11から冷却器12の側への進行波を形成する場合、冷却器12の近傍での第1再生器13としての薄板状部材の複数の貫通孔を通過するときに当該貫通孔の内壁に接触して冷却されると共に、冷却器12のフィンにて直接冷却されることで、収縮する。
これにより、進行波としての音波が自己励起振動を起こし、その音響エネルギが増幅される形態で、熱エネルギが音波の音響エネルギに変換される。
【0029】
作動媒体は、音波を伝播する気体から構成されている。ここで、第1再生器13での熱交換が迅速になされることが望ましいため、作動媒体としては、熱拡散係数の高いヘリウム、水素が望ましい。また、発電を目的とする場合には、分子量の高い気体が望ましいため、アルゴン等の気体を混合しても良い。尚、熱的に安定していることから、当該実施形態では、作動媒体としてヘリウムを用いている。
【0030】
原動機10にて増幅された音波の音響エネルギは、音響筒Tの第1ループ管T1から第2ループ管T2の音響ヒートポンプ部20へ伝搬する。
音響ヒートポンプ部20は、作動媒体が外部から吸熱する吸熱器21と作動媒体が外部へ放熱する放熱器22と吸熱器21と放熱器22との間で音波が音響エネルギを消費する形態で圧縮及び膨張する第2再生器23とから成る。
【0031】
詳細な図示は省略するが、吸熱器21は、メタン通流路Lにて導かれるメタンを通流するジャケット部(図示せず)と、当該ジャケット部から音響筒Tの内部に延びるフィン(図示せず)とから成る。吸熱器21では、フィンがジャケット部を通流するメタンから吸熱し、音響筒Tの内部の作動媒体がフィンから吸熱する。
【0032】
放熱器22は、第2熱媒循環路Cを循環する第2熱媒を通流するジャケット部(図示せず)と、当該ジャケット部から音響筒Tの内部に延びるフィン(図示せず)とから成る。放熱器22では、音響筒Tの内部の作動媒体がフィンに放熱し、当該放熱された熱がジャケット部を通流する第2熱媒へ放熱される形態で、第2熱媒が加熱される。
【0033】
音響ヒートポンプ部20では、作動流体を伝搬する音波が、吸熱器21から放熱器22の側への進行波を形成する場合に圧縮し、放熱器22から吸熱器21の側へ進行波を形成する場合に膨張するように、その吸熱器21と第2再生器23と放熱器22とが音響筒Tにおける適切な位置に配置されている。
これにより、作動流体を伝搬する音波が吸熱器21から放熱器22の側への進行波を形成する場合、第2再生器23にて圧縮しながら吸熱して昇温し、放熱器22にて昇温して高温となった状態で放熱する。これにより、放熱器22ではジャケット部を通流する第2熱媒が、吸熱器21のジャケット部を通流するメタンよりも高温の作動媒体と熱交換する形態で加熱される。
一方、作動流体を伝搬する音波が放熱器22から吸熱器21の側への進行波を形成する場合、第2再生器23にて膨張しながら放熱して降温し、吸熱器21にて降温して低温となった状態で吸熱する。これにより、吸熱器21ではジャケット部を通流するメタンから、十分に低温となった作動媒体が良好に吸熱することになる。
因みに、上述の如く、第2再生器23にて圧縮しながら吸熱する工程、及び膨張しながら放熱する工程において、音波の音響エネルギが消費され、音波は減衰するが、音響エネルギは、原動機10から逐次補充されるので、音響ヒートポンプ部20のヒートポンプ機能が維持されることとなる。
【0034】
吸熱器21と放熱器22との間に設けられる第2再生器23は、その形状や材質については、第1再生器13と変わるところがない。
尚、音響筒Tの筒径、筒長さ、形状等は、特に、第1再生器13及び第2再生器23の貫通孔の孔径に基づいて、原動機10の熱エネルギから音響エネルギへの変換効率、音響ヒートポンプ部20の音響エネルギから熱エネルギへの変換効率が高くなるように、適宜設定される。
【0035】
メタンハイドレート層LA2は、海底面LA1の数百m下方に形成されており、当該メタンハイドレート層LA2からメタンを回収するには、海底にメタンハイドレート層LA2まで届くボーリング穴を穿ち、生産井Wを形成する。
メタン回収装置100では、比較的高温の第2熱媒を循環する第2熱媒循環路Cが、生産井Wを介して、メタンハイドレート層LA2に敷設され、メタンハイドレート層LA2に第2熱媒を介して温熱を供給する形態で、メタンハイドレート層LA2を加熱している。
【0036】
説明を追加すると、第2熱媒循環路Cは、第2熱媒をメタンハイドレート層LA2へ導く地中側第2熱媒通流路C1と、当該地中側第2熱媒通流路C1を通流した後の第2熱媒を冷却器12へ導く冷却器側第2熱媒通流路C3と、地中側第2熱媒通流路C1を通流した後の第2熱媒を放熱器22へ導く放熱器側第2熱媒通流路C2とから構成されており、地中側第2熱媒通流路C1からの戻り第2熱媒は、冷却器側第2熱媒通流路C3と放熱器側第2熱媒通流路C2とに、並列に導かれるように構成されている。具体的には、地中側第2熱媒通流路C1の戻り路は、第2三方流量調整弁V2を介して、冷却器側第2熱媒通流路C3の往き路及び放熱器側第2熱媒通流路C2の往き路に接続されている。また、地中側第2熱媒通流路C1の往き路は、冷却器側第2熱媒通流路C3の戻り路及び放熱器側第2熱媒通流路C2の戻り路に接続されている。図示は省略するが、制御装置は、冷却器12及び放熱器22にて第2熱媒が回収する熱量バランスを調整すべく、例えば、冷却器側第2熱媒通流路C3の戻り路を通流する第2熱媒の温度及び流量と、放熱器側第2熱媒通流路C2の戻り路を通流する第2熱媒の温度及び流量とに基づいて、第2三方流量調整弁V2の開度を制御する。
因みに、地中側第2熱媒通流路C1には、第2熱媒を圧送する第2ポンプP2が設けられている。
【0037】
更に、当該メタン回収装置100では、メタンハイドレート層LA2を減圧するべく、生産井Wを介して、減圧流路L5が敷設されており、当該減圧流路L5にてメタンハイドレート層LA2から海水(流体の一例)等を吸引する形態でメタンハイドレート層LA2を減圧する減圧ポンプP4を備えている。
【0038】
メタン通流路Lは、生産井Wを介して、メタンハイドレート層LA2に敷設され、メタンハイドレート層LA2から地上へ導く地中側メタン通流路L1と、地中側メタン通流路L1に第1三方流量調整弁V1を介して接続されると共に地中側メタン通流路L1からのメタンガスをバーナ30へ導くバーナ側メタン通流路L2と、地中側メタン通流路L1に第1三方流量調整弁V1を介して接続されると共に地中側メタン通流路L1からのメタンガスを吸熱器21へ導く吸熱器側メタン通流路L3とから構成されている。制御装置(図示せず)は、加熱器11にて必要な熱量に基づいて算出されるメタンをバーナ側メタン通流路L2に導き、残りを吸熱器側メタン通流路L3へ導いて液化するべく、第1三方流量調整弁V1の開度を制御する。
因みに、図示は省略するが、メタン通流路Lは、減圧流路L5にてメタンハイドレート層LA2から吸入して回収された海水に含まれるメタンをも回収可能に構成されている。
【0039】
尚、メタンハイドレート層LA2からメタンが回収されるまでの間は、天然ガス等の補助燃料がバーナ30に供給される形態で、バーナ30の燃焼が維持され、燃焼排ガスが加熱器11へ導かれる。
【0040】
更に、メタンの液化を適切に実行すると共に、メタンハイドレート層LA2へ導かれる第2熱媒をより昇温させるべく、吸熱器側メタン通流路L3には、吸熱器21を通流する前のメタンを圧縮して3MPa以上8MPa以下程度に昇圧する圧縮機P3を備えられ、更に、吸熱器側メタン通流路L3の吸熱器21と圧縮機P3との間を通流するメタンと、放熱器側第2熱媒通流路C2で放熱器22を通流した後の第2熱媒とを熱交換する第1熱交換器EX1が設けられている。
【0041】
更に、メタンハイドレート層LA2へ導かれる第2熱媒をより昇温させるべく、第1熱媒通流路L4で加熱器11を通流した後の燃焼排ガスと、冷却器側第2熱媒通流路C3において冷却器12を通流した後で地中側第2熱媒通流路C1を通流する前(メタンハイドレート層LA2へ導かれる前)の第2熱媒とを熱交換する第2熱交換器EX2を備えている。
以上の構成を採用することにより、冷却器12及び第2熱交換器EX2で加熱された第2熱媒と、放熱器22で加熱され第1熱交換器EX1で加熱された第2熱媒とが、メタンハイドレート層LA2へ導かれて放熱する形態で、メタンハイドレートからメタンを分解している。更に、分解しガス化したメタンは、圧縮機P3で昇圧され、昇圧に伴って発生する粗熱を第1熱交換器EX1で放熱し、吸熱器21で更に放熱する形態で、例えば、3MPa以上8MPa以下で−162℃程度まで冷却され、液化される。当該液化されたメタンは、船舶等により運搬される形態で、種々の目的に利用される。
【0042】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態にあっては、単一の音響筒Tを有する熱音響機関60を示した。しかしながら、熱音響機関60は、複数の音響筒Tを有する構成を採用しても構わない。また、原動機10及び音響ヒートポンプ部20も、複数設ける構成を採用しても構わない。
【0043】
(2)上記実施形態において、第1熱交換器EX1及び第2熱交換器EX2を備える構成を例示したが、メタンハイドレート層LA2へ供給する必要熱量、及び回収したメタンガスの流量によっては、第1熱交換器EX1及び第2熱交換器EX2を備えない構成を採用しても構わない。当該構成を採用する場合、圧縮機P3も省略されることとなる。
また、第1熱交換器EX1と第2熱交換器EX2との何れか一方を備えない構成も、本願の権利範囲に含むものである。
【0044】
(3)放熱器側第2熱媒通流路C2は、図2に示すように、放熱器22に第2熱媒を通流しない構成も採用することができる。即ち、放熱器側第2熱媒通流路C2は、第2熱媒を第1熱交換器EX1に通流した後に、地中側第2熱媒通流路C1へ導くものとなる。
当該構成にあっては、冷却塔55と放熱器22との間で第3熱媒を循環する第3熱媒循環路C5を備え、当該第3熱媒が放熱器22でヒートシンクとして機能する構成を採用することが好ましい。
【0045】
(4)また、図示は省略するが、第2熱媒循環路Cは、第2熱媒を冷却器12へ通流させない構成も、本願の権利範囲に含むものとする。
当該構成にあっては、熱媒を冷却する冷却塔(図示せず)と冷却器12との間で熱媒を循環する構成を採用し、冷却器12へ冷熱を供給して、冷却器12と加熱器11との温度差を十分に確保することが好ましい。
【0046】
(5)温熱源としては、メタンを燃料として熱と電力を発生する熱電併給装置を備える構成を採用しても構わない。
具体的には、図2に示すように、エンジン40と、当該エンジン40の回転軸41に接続される同期発電機42とが熱電併給装置として設けられ、同期発電機42の発電電力の周波数を、商用電力系統44から供給される電力の周波数と同じ周波数に調整可能に構成する。また、当該同期発電機42には、電圧を調整する自動電圧調整器が備えられており、当該自動電圧調整器により、発電電力の電圧が商用電力系統44から供給される電力の電圧と同じ電圧に調整される。同期発電機42と商用電力系統44との間には、分電盤43が設けられ、当該分電盤43からは、メタン回収装置100の補機(例えば、圧縮機)へ電力が供給されるように構成されている。
また、熱電併給装置として、燃料電池を備える構成も好適に採用可能である。
【0047】
(6)これまで説明してきた実施形態にあっては、第2熱媒循環路Cにて第2熱媒を循環する構成を示したが、別に第2熱媒は循環しない構成を採用しても構わない。
以下、図3に基づいて、別実施形態(6)に係るメタン回収装置100について説明する。尚、当該別実施形態(6)に係るメタン回収装置100は、図1で示した実施形態に係るメタン回収装置100に対して、第2熱媒循環路Cに関連する構成が異なるので、以下では、その構成について重点的に説明し、他の構成については、上述の実施形態と同一の符号を付し、その説明を割愛することがある。
当該別実施形態(6)に係るメタン回収装置100では、図1で示した実施形態に係るメタン回収装置100の第2熱媒循環路Cに替えて、冷却器12及び放熱器21の少なくとも一方を通過した海水(流体の一例、第2熱媒の一例)をメタンハイドレート層LA2へ導く第2熱媒通流路Cを備えている。因みに、図3に示す例では、第2熱媒通流路Cは、冷却器12及び放熱器21の双方を並列に通過した第2熱媒をメタンハイドレート層LA2へ導くように構成されている。
説明を追加すると、第2熱媒通流路Cは、メタンハイドレート層LA2から海水等を吸引する形態でメタンハイドレート層LA2を減圧する減圧ポンプP4が設けられ、生産井Wに敷設される減圧流路L5と、減圧流路L5を通流する海水を放熱器22へ導く放熱器側第2熱媒通流路C2と、減圧流路L5を通流する海水を冷却器12へ導く冷却器側第2熱媒通流路C3と、放熱器側第2熱媒通流路C2及び冷却器側第2熱媒通流路C3を通流した海水をメタンハイドレート層LA2へ導く地中側第2熱媒通流路C1とから構成されており、減圧流路L5からの海水は、冷却器側第2熱媒通流路C3と放熱器側第2熱媒通流路C2とに、並列に導かれるように構成されている。具体的には、減圧流路L5の出口は、第2三方流量調整弁V2を介して、冷却器側第2熱媒通流路C3の往き路及び放熱器側第2熱媒通流路C2の往き路に接続されている。
制御装置(図示せず)は、第2三方流量調整弁V2の開度を、図1に示す実施形態と同様に制御する。
尚、当該別実施形態(6)にあっては、地中側第2熱媒通流路C1にてメタンハイドレート層LA2へ導かれた海水がメタンハイドレート層LA2へ圧入される形態で、メタンハイドレート層LA2が加熱される。
また、当該別実施形態(6)にあっても、減圧流路L5を通流する海水に含まれるメタンは、メタン通流路L1から回収する構成が採用されている。
【0048】
(7)上記実施形態に示すメタン回収装置100においては、メタンハイドレート層LA2から液体を吸引する形態でメタンハイドレート層LA2を減圧する減圧ポンプP3を備える構成を示した。
しかしながら、当該減圧ポンプP3を備えない構成を採用しても構わない。
即ち、第2熱媒による加熱作用のみにより、メタンハイドレート層LA2からメタンを液化して回収するものも、本願の権利範囲に含むものとする。
【0049】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のメタン回収装置は、比較的簡易な構成でありながらも、地中のメタンハイドレートを加熱法、Huff&Puff法にて適切にガス化し、ガス化したメタンガスを貯留及び運搬の目的で良好に液化する工程を、高いエネルギ効率で実行できるメタン回収装置として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 :原動機
11 :加熱器
12 :冷却器
13 :第1再生器
20 :音響ヒートポンプ部
21 :吸熱器
22 :放熱器
23 :第2再生器
30 :バーナ
40 :エンジン
42 :同期発電機
60 :熱音響機関
100 :メタン回収装置
C :第2熱媒通流路、第2熱媒循環路
C1 :地中側第2熱媒通流路
C2 :放熱器側第2熱媒通流路
C3 :冷却器側第2熱媒通流路
C5 :第3熱媒循環路
EX1 :第1熱交換器
EX2 :第2熱交換器
L :メタン通流路
L4 :第1熱媒通流路
LA2 :メタンハイドレート層
P3 :圧縮機
P4 :減圧ポンプ
T :音響筒
T1 :第1ループ管
T2 :第2ループ管
図1
図2
図3