特許第6681818号(P6681818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6681818自動車用折り畳み式バックミラーアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681818
(24)【登録日】2020年3月26日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】自動車用折り畳み式バックミラーアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/07 20060101AFI20200406BHJP
【FI】
   B60R1/07
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-212719(P2016-212719)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2017-124815(P2017-124815A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2019年10月28日
(31)【優先権主張番号】15192801.7
(32)【優先日】2015年11月3日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515312564
【氏名又は名称】フィコ ミロース, エセ.ア.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】メンドーサ ビシオソ, ホセ
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06371619(US,B1)
【文献】 特開2003−165384(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103448620(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0253008(US,A1)
【文献】 国際公開第03/016094(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第00807551(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の折り畳み式バックミラーアセンブリ(100)であって、
− 自動車に取り付けられるベース部材(120)と、
− ミラーハウジング(130)と、
− 前記ベース部材(120)と前記ミラーハウジング(130)のうちの少なくとも1つから形成されたシャフトハウジング(150)内に挿入されるように適合されたシャフト(140)であって、それによって、前記ミラーハウジング(130)は、ミラー作動状態とミラー折り畳み状態との間で、前記ベース部材(120)に対して回転することが可能である、シャフト(140)と、
− 前記シャフト(140)に関連付けられ、前記シャフト(140)を通じて前記ベース部材(120)と前記ミラーハウジング(130)の両方に力が加えられるように配置された弾性要素(160)と、
− 前記シャフト(140)を前記シャフトハウジング(150)内で少なくとも軸方向に保持する手段であって、前記シャフトハウジング(150)内に形成された対応する溝(155’、155’’)を通過するのに好適な、前記シャフト(140)から径方向外側に延伸している少なくとも1つの突出部(210’、210’’)を備える手段(200)と、
− 前記シャフト(140)が前記シャフトハウジング(150)から解放されることを防止する安全手段であって、前記ミラーハウジング(130)内に形成された第1のストップ部(310)及び前記シャフト(140)内に形成された第2のストップ部(320)を備える安全手段とを備え、
前記第1のストップ部(310)と前記第2のストップ部(320)は、前記シャフト(140)と前記ミラーハウジング(130)との第1の相対的角度位置においては、前記第1のストップ部(310)と前記第2のストップ部(320)の両方が互いに干渉せず、それによって前記シャフト(140)が前記シャフトハウジング(150)内に挿入され得、前記シャフト(140)と前記ミラーハウジング(130)との、別の異なる第2の相対的角度位置においては、前記第1のストップ部(310)と前記第2のストップ部(320)の両方が互いに干渉し、それによって、シャフト保持手段(200)の故障時に、前記弾性要素(160)の動作によって前記シャフト(140)が前記シャフトハウジング(150)から解放されることが防止されるように配置された、アセンブリ。
【請求項2】
前記第1のストップ部(310)は、前記シャフト保持手段(200)の故障時に、前記弾性要素(160)の効果によって前記第2のストップ部(320)に衝突するように構成された、請求項1に記載のアセンブリ(100)。
【請求項3】
前記第1のストップ部(310)と前記第2のストップ部(320)のうちの少なくとも1つは、前記シャフト保持手段(200)の故障時に、前記弾性要素(160)の効果によって、前記シャフト(140)が前記ミラーハウジング(130)に衝突したときに前記第2のストップ部(320)の衝撃エネルギーを吸収すべく、破損するように構成された、請求項1または2に記載のアセンブリ(100)。
【請求項4】
前記第1のストップ部(310)と前記第2のストップ部(320)のうちの前記少なくとも1つは、前記シャフト保持手段(200)の故障時に、前記弾性要素(160)の効果によって、前記シャフト(140)が前記ミラーハウジング(130)に衝突したときに前記第1のストップ部(310)と前記第2のストップ部(320)のうちの前記少なくとも1つの衝撃エネルギーを吸収すべく、破損することなく変形するように構成された、請求項1から3のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)。
【請求項5】
前記第1のストップ部(310)と前記第2のストップ部(320)のうちの少なくとも1つは、弾性的に変形するように構成された、請求項4に記載のアセンブリ(100)。
【請求項6】
前記第1のストップ部(310)と前記第2のストップ部(320)のうちの少なくとも1つは、塑性的に変形するように構成された、請求項4または5に記載のアセンブリ(100)。
【請求項7】
それぞれ前記ミラーハウジング(130)と前記シャフト(140)内に形成された前記第1のストップ部(310)と前記第2のストップ部(320)は、バヨネット型の安全手段を規定している、請求項1から6のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)。
【請求項8】
前記第1のストップ部(310)と前記第2のストップ部(320)のうちの少なくとも1つは、複数の環状扇形を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)。
【請求項9】
前記第1のストップ部(310)と前記第2のストップ部(320)のうちの少なくとも1つは、前記シャフト(140)の周囲に45度から180度の範囲の角延長部(α1、α2)を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)。
【請求項10】
前記第1のストップ部(310)の前記角延長部(α1)は、前記第2のストップ部(320)の前記角延長部(α2)とは異なる、請求項に記載のアセンブリ(100)。
【請求項11】
前記対応する溝(155’、155’’)は前記ベース部材(120)内に形成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)。
【請求項12】
前記第2のストップ部(320)は、前記シャフト(140)の一端(145)に形成されている、請求項1から11のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)。
【請求項13】
前記保持手段(200)は、前記シャフト(140)と前記ミラーハウジング(130)との前記第1の相対的角度位置において前記シャフトハウジング(150)と干渉しないように配置された、請求項1から12のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車に取り付けられたベース部材に対して回転可能なミラーハウジングを備える型の、自動車用バックミラーアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の固定部分に取り付けられたベース部材に対して回転可能なミラーハウジングを備える自動車用の折り畳み式バックミラーアセンブリは、当技術分野で知られている。ミラーハウジングは、少なくとも、ミラーの作動状態即ち走行位置とミラーの折り畳み位置即ち駐車位置との間で、ベース部材に対して回転することができる。
【0003】
ミラーハウジングが、前記位置に従ってミラーベースに対して回転するために、シャフトが設けられている。シャフトは通常、ミラーハウジング内に配置されており、ミラーベースに連結された第1の端部と、反対側の、放射状に突き出たフランジが設けられた第2の端部とを有している。
【0004】
シャフトは、圧縮バネによって取り囲まれている。圧縮バネは、ミラーベースの上に載っている下端と、反対側の、シャフトの前記放射状に突き出たフランジに当接している上端を有している。これによって、この圧縮バネはミラーハウジングとミラーベースの間で動作する。
【0005】
文献WO03016094は、上記の型の折り畳み式バックミラーアセンブリについて記載している。このバックミラーアセンブリは、ベース要素、ミラーハウジング、及びミラーハウジングがベース要素に対して回転するように配置されたシャフトを備えている。シャフトを囲んでバネ要素が設けられており、シャフト内に形成されたフランジと、ミラーハウジングに固定されたスリーブ内に形成されたフランジとの間に配置されている。シャフトは、スリーブのフランジ内に形成された切り取り部を通過する、スリーブに向かって突起している、第1の(中間の)接合点突起部と、第2の(下部の)接合点突起部とを有する。バネ要素を圧力がかかった状態に保つため、第1の(中間の)接合点突起部(複数)は、スリーブ内のフランジと係合するように移動可能である。第1の(中間の)接合点突起部がスリーブ内のフランジから係合解除されるとき、第2の(下部の)接合点突起部は、バヨネット接続でベース要素と係合し、係合状態に保持される。この結果、シャフトは作動状態でベース要素内に保持される。
【0006】
上記の既知のバックミラーアセンブリと結び付いた問題は、シャフトの接合点突起部が破損した場合、またはバヨネット接続が正しく係合していない場合の、ユーザ及び作業者に対する潜在的な危険と関連している。こうした場合、スプリングとシャフトはアセンブリから乱暴に解放され、それによって、付近の人に対して、またアセンブリの他の部品に対しても、深刻な損傷が発生し得る。
【0007】
こうした乱暴な解放を防止する既知の手段で、現在利用可能なものは存在しない。したがって、組み立て作業場に物理的な防壁が実装されているか、または作業者は防護マスクを装着して作業者の安全を確保し、それによって、接合点突起部が破損しバネとシャフトが乱暴に解放されても、解放された要素は作業者の代わりにそれらに衝突する。しかしこれらの種類の方法は、生産速度をスローダウンさせ、生産コストを上昇させる。
【0008】
したがって、ミラーハウジングとミラーベースとの間に配置されたバネが、人間またはアセンブリの他の部分に対して何ら危険を引き起こさないように、ミラーハウジングをミラーベースに回転可能に締着する、安全な手段に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0009】
本明細書では、自動車用の改良された折り畳み式バックミラーアセンブリが提供される。この自動車用バックミラーアセンブリは、自動車に取り付けられるベース部材と、内部に鏡板を収容するミラーハウジングとを備える。
【0010】
ミラーハウジングは、少なくとも、ミラーの作動状態即ち走行位置とミラーの折り畳み位置即ち駐車位置との間で、ミラー回転軸を中心にベース部材に対して回転するように配置されている。
【0011】
鏡板は、ミラーハウジングが走行位置に位置するときに、自動車の運転者にほぼ後方の視野を提供するために、ミラーハウジング内に収容されていてよい。ある実施例では、ミラーハウジングは、車両の周囲の画像を撮像するように構成された、例えばビデオカメラといった撮像装置を収容するように適合されていてよい。鏡板は、例えば電気的に変化し得る光学的性質を持つセルを用いた鏡板、または様々な厚さの液体ろ過層を用いた鏡板といった、防眩用の鏡板であり得る。電気的に変化し得る光学的性質を持つセルを用いた鏡面の例は、液晶ミラー及びエレクトロクロミックミラーである。さらなる実施例では、鏡板はさらに加熱要素を備え得る。ミラーハウジング内に、スポッターミラーも配置されていてよく、ミラーハウジングが走行位置に位置するときに、自動車の運転者に対してほぼ自動車の死角領域の視野を提供するように位置していてよい。
【0012】
ベース部材には、ミラーハウジング内に形成された対応する突起部と協働するための、ベース部材内部に形成された窪みが設けられていてよい。窪み及び突起部は、ミラーハウジングを、ベース部材に対する特定の安定した角度位置にロックする、戻り止め機構の一部である。ベース部材に対するミラーハウジングの回転によって、ミラーハウジングの突起部がベース部材の窪みに対してスライドし、それによってミラーハウジングのベース部材に対する垂直方向の移動が引き起こされ、ミラー折り畳み位置即ち駐車位置といったミラーの状態に到達するまで、主バネが圧縮される。次いで、ミラーハウジングは再び、ベース部材に対して下方に移動され、主バネが解放される。ミラーヘッドをミラー作動状態即ち走行位置へと戻すためにミラーハウジングを回転させるプロセスは、開示されているのと同じであるが、順番は逆になる。モータ駆動される例では、代わりにミラーハウジングの窪みが、歯車内に設けられていてよい。
【0013】
本バックミラーアセンブリは、モータコンポーネントと、前記モータコンポーネントに関連付けられた駆動手段とをさらに備え得る。ミラーハウジングを、少なくとも走行位置と駐車位置との間で、ミラー回転軸を中心にベース部材に対して回転して駆動するため、駆動手段は、モータコンポーネントをベース部材と係合させる歯車を備える。歯車は、例えばミラー回転軸と同軸上に配置されていてよい。
【0014】
ミラー作動状態とミラー折り畳み状態との間で、ベース部材に対してミラーハウジングを回転するために、シャフトが提供される。シャフトは、シャフトハウジング内に挿入されるように適合されている。シャフトハウジングは、ベース部材もしくはミラーハウジングによって形成されているか、または、ベース部材及びミラーハウジングの両方によって形成されていてよい。
【0015】
シャフトは、好適なシャフト保持手段によって、少なくとも軸方向にシャフトハウジング内に保持されている。シャフト保持手段は、例えば、ベース部材内またはミラーハウジング内に形成された対応する溝を通過するのに好適な、シャフトから径方向外側に延伸している少なくとも1つの突出部を備えていてよい。
【0016】
シャフトには、弾性要素が関連付けられている。この弾性要素は、シャフトを介してベース部材とミラーハウジングの両方に力が加えられるように配置されている。
【0017】
弾性要素は、例えば金属製圧縮バネであってよい。シャフトを介してベース部材とミラーハウジングの両方に力を加えるのに好適である限り、他の弾性要素も用いられ得る。
【0018】
本バックミラーアセンブリは、シャフトがシャフトハウジングから解放されるのを防止するための、安全手段をさらに備える。この安全手段は、第1のストップ部と第2のストップ部を備える。第1のストップ部はミラーハウジング内に形成され、第2のストップ部は、シャフト内、例えばシャフトの一端に形成されている。
【0019】
第1のストップ部と第2のストップ部のうちの少なくとも1つは、任意の好適な手段によってそれぞれミラーハウジングとシャフトに装着された、別々の部品であってよい。しかし、第1のストップ部と第2のストップ部のうちの少なくとも1つが、それらと一体的に形成されていてよいことも、また想定される。
【0020】
第1のストップ部と第2のストップ部は、シャフトとミラーハウジングとのある相対的角度位置においては、この両者が互いに干渉しないように配置されている。この状態においては、例えばバックミラーアセンブリを設置する際、または補修、修理、もしくはメンテナンス作業の際の組み立て作業及び分解作業のため、シャフトはシャフトハウジング内に自由に挿入することができる。このように、この第1の相対的角度位置では、シャフト保持手段はシャフトハウジングと干渉せず、それによってシャフトがシャフトハウジング内に挿入され得る。
【0021】
シャフトとミラーハウジングとの、別の、異なる相対的角度位置では、第1のストップ部と第2のストップ部の両方が、互いに干渉する。この状態は、バックミラーアセンブリが作動する用意ができた、作動状態に相当する。したがって、この第2の相対的角度位置では、シャフト保持手段はシャフトハウジング内でシャフトを保持する。この作動状態では、シャフト保持手段の故障時の弾性要素の動作によって、シャフトがシャフトハウジングから解放されることは、防止される。このように、第1のストップ部及び第2のストップ部は、それぞれミラーハウジング内及びシャフト内に形成されていてよく、それによってバヨネット型の安全手段が規定されている。
【0022】
第1のストップ部は、シャフト保持手段の故障時の弾性要素の効果によって、第2のストップ部が衝突するように構成されていてよい。このように、シャフト保持手段に加えて安全手段が設けられている。
【0023】
一例では、第1のストップ部は、シャフトハウジングの内部に向かって径方向に延伸している突起部であってよい。第2のストップ部は、シャフトの外周を少なくとも部分的にカバーしてシャフトから径方向外側に延伸している、突起部であってよい。ストップ部の角延長部の例が、以下で示される。
【0024】
ある例では、第1のストップ部と第2のストップ部のうちの少なくとも1つは、シャフト保持手段の故障時の弾性要素の効果によって、破損するように構成されていてよい。第1のストップ部と第2のストップ部のうちの少なくとも1つが破損することによって、シャフトがミラーハウジングに衝突した際、第1のストップ部と第2のストップ部のうちの前記少なくとも1つが受ける衝撃エネルギーが吸収され得るようになる。しかし、第1のストップ部と第2のストップ部のうちの少なくとも1つが、シャフト保持手段の故障時の弾性要素の効果によって、破壊されることなく変形するように構成されていてよい例もまた存在し得る。第1のストップ部と第2のストップ部のうちの少なくとも1つが変形することによって、シャフトがミラーハウジングに衝突した際、第1のストップ部と第2のストップ部のうちの前記少なくとも1つが受ける衝撃エネルギーが吸収され得るようになる。第1のストップ部及び第2のストップ部は、弾性的及び/または塑性的に変形するように構成されていてよい。
【0025】
第1のストップ部と第2のストップ部のうちの少なくとも1つは、複数の環状扇形を備えていてよい。第1のストップ部と第2のストップ部が、単一の部品からなっているか、複数の環状扇形を備えているかに関わらず、この両者は、シャフトの周囲45度〜180度の範囲に、角延長部を有していてよい。他の角延長部は、排除されていない。第1のストップ部の角延長部が、第2のストップ部の角延長部と同じであってもよく異なっていてもよいことは、留意されるべきである。
【0026】
シャフト保持手段の故障とは、この保持手段がシャフトハウジング内でシャフトを保持することが不可能な状況であるということは、理解されるべきである。これは、保持手段が破損することを含んでいるが、組み立て手順の誤りによって保持手段がシャフトハウジング内で不適切な位置にあるといった、他の可能性を除外するものではない。
【0027】
自動車用の本折り畳み式リアビューミラーアセンブリの例が持つさらなる目的、利点及び特徴は、本記載を検討することによって当業者に明らかとなるか、または本記載を実施することによって習得され得る。
【0028】
自動車用の本折り畳み式リアビューミラーアセンブリの具体例が、添付の図面を参照しながら、非限定的な例示によって以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】自動車用の折り畳み式バックミラーアセンブリの一例の、分解斜視図である。
図2】折り畳み式バックミラーアセンブリのベース部材の一部の、断片断面斜視図である。
図3】本折り畳み式バックミラーアセンブリ内で使用されるシャフトの一例の斜視図である。
図4】ミラーハウジングの一例の斜視図である。
図5図4に示すミラーハウジングの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面では、自動車用の折り畳み式バックミラーアセンブリ100が示されている。バックミラーアセンブリ100は、自動車の固定部分に取り付けられるベース部材120を備える。
【0031】
バックミラーアセンブリ100はまた、ミラーハウジング130も備える。ミラーハウジング130は、内部に鏡板(図示せず)を受容するための鏡板受容部135を備える。鏡板は、ミラーハウジング130が走行位置に位置しているときに車両の運転者にほぼ後方の視界を提供する。
【0032】
ミラーハウジング130は、少なくともミラー作動状態即ち走行位置とミラー折り畳み位置即ち駐車位置との間で、ベース部材120に対して回転することができるようにして、ベース部材120に取り付けられている。ミラーハウジング130のベース部材120に対する回転は、例えばモータ手段及び駆動手段(図示せず)の使用を通じて実施され得る。
【0033】
図1に示すように、ミラーハウジング130が上記のミラー作動状態とミラー折り畳み状態との間で、ベース部材120に対して回転することができるように、シャフト140が設けられている。
【0034】
具体的には、シャフト140は下端144及び上端145を有する管状ステム142を備える。シャフトの上端145は、径方向に延伸し、ストップ部320を画定している。ストップ部320は、以下でさらに記載される。シャフト140は使用の際、シャフトの管状ステム142が、ミラーハウジング130とベース部材120によって形成されたシャフトハウジング150内に挿入されるように配置されている。
【0035】
シャフト140の管状ステム142に関連付けられたシャフト保持手段200もまた、設けられている。シャフト保持手段200は、シャフト140の管状ステム142から径方向外側に延伸している突出部を備える。突出部は、ベース部材120とミラーハウジング130のうちの少なくとも1つの中でシャフトハウジング150内に形成された対応する溝を通過するように、形作られ配置されている。シャフト140の管状ステム142の径方向に延伸している突出部がシャフトハウジング150内の溝を通過して、シャフト140の管状ステム142が通過した後、管状ステム142は、突出部がシャフトハウジング150の底部に当接するまで一定の角度、回転され、それによって、シャフト140は少なくとも軸方向にシャフトハウジング150内で保持される。
【0036】
図1に示すように、圧縮バネ160の形態の弾性要素が、シャフト140を取り囲んで設けられている。圧縮ばね160は、ベース部材120とミラーハウジング130との間に配置されており、それによってそこに弾性力が加えられる。
【0037】
示されている非限定的な例では、軸方向に互いに離れて配置されている2セットの突出部が設けられている。シャフトの下端144の近くにある第1のセットの突出部210’及び、シャフト140の下端144と上端145の間に配置されている第2のセットの突出部210’’である。突出部のセット210’、210’’はそれぞれ、シャフト140の長手方向軸を横断する平面に含まれていてよい。突出部のセット210’、210’’の両方は、互いに対して径方向に位置合わせされていてよい。
【0038】
同様に、示される非限定的な例では、シャフトハウジング150は、軸方向に互いに離れて配置されている2セットの溝155’、155’’を有している。ベース部材120内でシャフトハウジング150の底部に形成された第1のセットの溝155’及び、ミラーハウジング130内でシャフトハウジング150のフランジ152内に形成された第2のセットの溝155’’である。溝のセット155’、155’’はそれぞれ、シャフト140の長手方向軸を横断する平面に含まれていてよい。溝のセット155’、155’’の両方は、互いに対して径方向に位置合わせされていてよい。
【0039】
さらに、示される非限定的な例では、シャフトハウジング150は、軸方向に互いに離れて配置されている2セットの接合点(abutment)158’、158’’を有している。ベース部材120内でシャフトハウジング150の底部に形成された第1のセットの接合点158’及び、ミラーハウジング130内でシャフトハウジング150のフランジ152内に形成された第2のセットの接合点158’’である。接合点のセット158’、158’’はそれぞれ、シャフト140の長手方向軸を横断する平面に含まれていてよい。接合点のセット158’、158’’の両方は、互いに対して径方向に位置合わせされていてよい。
【0040】
第1のセットの突出部210’は、溝のセット155’、155’’の両方を通過するように形作られ、配置されている。このように、シャフトの下端144はシャフトハウジング150内に挿入され、第1のセットの突出部210’はまず第2のセットの溝155’’を、次いで第1のセットの溝155’を通過する。次に、シャフト140は、第1のセットの突出部210’が第1のセットの接合点158’でシャフトハウジング150の底部に当接するまで一定の角度、回転され、それによって、シャフト140はシャフトハウジング150内で軸方向及び回転可能に保持される。言い換えれば、シャフト140は、第1のセットの突出部210’と第1のセットの接合点158’によって、シャフトハウジング150内で提供されるバヨネット接続で、ベース部材120と係合する。この結果、圧縮バネ160はミラーハウジング130とベース部材120との間で圧縮され、それによってミラーハウジング130とベース部材120とが枢動可能に装着される。
【0041】
第2のセットの突出部210’’は、第2のセットの溝155’’は通過するが、第1のセットの溝155’は通過しないように、形作られ、配置されている。このように、シャフトの下端144はシャフトハウジング150内に挿入され、第2のセットの突出部210’’は第2のセットの溝155’’を通過する。第2のセットの突出部210’’が第2のセットの溝155’’を通過すると、シャフト140は、第2のセットの突出部210’’が第2のセットの接合点158’’でシャフトハウジング150のフランジ152に当接するまで一定の角度、回転され、それによって、シャフト140はシャフトハウジング150内で軸方向に保持される。言い換えれば、シャフト140は第2のセットの突出部210’’と第2のセットの接合点158’’によって、シャフトハウジング150内で提供されるバヨネット接続で、ミラーハウジング130と係合する。この結果、圧縮バネ160は、シャフト140とミラーハウジング130の間に装着される。このように、これらの要素は事前組み立てされ、別々の要素としてではなくサブユニットとして保管されていてよい。
【0042】
この例では、第1のセットの溝155’と第2のセットの溝155’’との間の軸方向の間隔は、第1のセットの突出部210’と第2のセットの突出部210’’との間の軸方向の間隔と異なっている。結果として、第1のセットの突出部210’は第1のセットの接合点158’と当接し、第2のセットの突出部210’’は第2のセットの接合点158’’と当接しない。好ましくは、2つのセットの溝155’、155’’の間の軸方向の間隔は、2つのセットの突出部210’、210’’の間の軸方向の間隔よりも小さい。
【0043】
バックミラーアセンブリ100はまた、シャフト140がシャフトハウジング150から解放されるのを防止するための、安全手段も備える。安全手段は、第1のストップ部310及び第2のストップ部320を備える。第1のストップ部310と第2のストップ部320のうちの少なくとも1つは、それぞれミラーハウジング130とシャフト140に取り付けられた別々の部品であるか、またはそれらと一体的に形成されていてよい。
【0044】
示される非限定的な例では、第1のストップ部310は、ミラーハウジング130内に形成され、径方向にシャフトハウジング150の内部に向かって延伸するフランジである。第2のストップ部320はシャフト140内、具体的には、上記のようにシャフトの上端145内に形成されている。即ち、シャフトの上端145は、図1及び3に示すように、前記第2のストップ部320へと延伸している。前記の各図に示す具体的な例では、第2のストップ部320は、シャフト140の円周のほぼ半分を覆って、シャフト140から径方向外側に延伸している突起部である。
【0045】
第1のストップ部310及び第2のストップ部320は、以下のように配置されている。
− ミラーハウジング130とシャフト140との第1の相対的角度位置においては、第1のストップ部310と第2のストップ部320の両方は互いに干渉せず、シャフト140をシャフトハウジング150内に挿入することが可能になっている。
− ミラーハウジング130とシャフト140との第2の相対的角度位置においては、第1のストップ部310と第2のストップ部320の両方は互いに干渉し、シャフト保持手段200の故障時の圧縮ばね160の動作によって、シャフト140がシャフトハウジング150から解放されることが防止される。この目的のため、第1のストップ部310は、シャフト保持手段200の故障時の圧縮バネ160の効果によって、第2のストップ部320が衝突するように構成されている。
【0046】
この第1の相対的角度位置においては、突出部と溝とは径方向に互いに対して位置合わせされ、それによってシャフト140はシャフトハウジング150内に挿入されることができる。その一方、第2の相対的角度位置においては、突出部と溝とは径方向に互いに位置合わせされておらず、それによって、一旦シャフト140がシャフトハウジング150内に挿入された後は、シャフト140は、補完的接合点158によってシャフトハウジング内に保持される。
【0047】
例えばシャフト140の管状ステム142内の突出部が破損した場合のように、シャフト保持手段200が故障して圧縮バネ160が突き出したことによってシャフト140がミラーハウジング130に衝突した場合、第1のストップ部310もしくは第2のストップ部320、またはその両方が、破損するか、または塑性的もしくは弾性的に変形するように構成されている。第1のストップ部310もしくは第2のストップ部320、またはその両方が破損または変形することによって、衝撃エネルギーが安全に吸収されることが可能になる。
【0048】
第1のストップ部310もしくは第2のストップ部320、または第1のストップ部310及び第2のストップ部320の両方は、単一の要素であってよいか、または複数の環状扇形を備えていてよい。いずれにせよ、前記ストップ部(複数)は、シャフト140の周囲に45度〜180度の範囲である角延長部を有する、単一の部品または複数の環状扇形を備えていてよい。シャフト保持手段200の故障時に第1のストップ部310及び第2のストップ部320が衝撃エネルギーの吸収を可能にする限り、第1のストップ部310の角延長部は、必要に応じて、第2のストップ部320の角延長部と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0049】
自動車用の本折り畳み式リアビューミラーアセンブリの少数の具体例だけが本明細書で開示されてきたが、他の代替的な例及び/または利用、並びに明らかな変形例及び均等物が可能であることは、当業者によって理解されるであろう。例えば、本バックミラーアセンブリ100に関して、幾つかの付加的な特徴もまた想定され得る。例えば、図面には示されていないが、無線周波数受信システムと通信するためのアンテナ、自動車の運転者の後方の視野を調整するために鏡板の方向調整を提供するように構成された作動機構、自動車の車外の温度を感知するように構成された車外温度感知装置、及び1もしくは複数の照明モジュール、のうちの1または複数が、ミラーハウジング130内及び/またはミラーベース120内に備えられていてよい。このように、本開示は記載された具体例の全ての可能な組み合わせをカバーしている。したがって、本開示の範囲は、具体的な実施例に限定されず、下記特許請求の範囲の公正な解釈によってのみ決定される。
【0050】
図面に関連し特許請求の範囲にカッコ付きで記載された参照記号は、特許請求の範囲の理解しやすさを増大しようとするためだけのものであり、特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5