(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱可塑性エラストマー(a)は、熱可塑性エラストマー(a)中のイソプレン及び/又はブタジエンに由来する構造単位における3,4−結合単位及び1,2−結合単位の含有量(以下、ビニル結合含有量という)が45モル%以上である熱可塑性エラストマー(a1)であるか、又は該熱可塑性エラストマー(a1)とビニル結合含有量が45モル%未満である熱可塑性エラストマー(a2)との混合物であり、該混合物中のビニル結合含有量は35モル%以上である、請求項1に記載の複合体。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<複合体>
本発明の複合体は、シート状素材(D)及び樹脂層(C)からなる。本発明の複合体は、シート状素材(D)に、樹脂層(C)を形成する樹脂組成物(C)をインサート射出することにより得ることができる。
【0015】
<シート状素材(D)>
シート状素材(D)は、基布(A)及び樹脂層(B)からなる。シート状素材(D)は、基布(A)に樹脂層(B)を構成する樹脂組成物(B)を含浸又は積層することにより得ることができる。
【0016】
<基布(A)>
本発明に使用する基布(A)としては、適度な厚みと充実感を有し、かつ柔軟な風合を有するシート状の繊維質基材であればいずれも使用でき、形状としては、短繊維、長繊維、複合繊維(芯鞘繊維など)、スパンボンドなどを1種類以上用いた織布不織布、複合布などが好ましく、素材としては、天然繊維、人造繊維、合成繊維、紙素材などが用いられる。なかでも、不織布、紙素材が形態安定性、通気性、施工性の面で有効である。
【0017】
また、従来から皮革様の積層体の製造に用いられている各種の繊維質基材が好ましく用いられる。限定されるものではないが、本発明で用い得る繊維質基材の例としては、極細繊維またはその束状繊維、特殊多孔質繊維、通常の合成繊維、半合成繊維、天然繊維、無機繊維などを用いて形成された絡合不織シートや編織物シートなどの繊維質シートである。
【0018】
上記した繊維質基材のうちでも、極細繊維または極細繊維束を用いて形成される繊維質シートが好ましく用いられ、繊維質シートを構成する極細繊維の単繊維繊度が0.5デニール以下であるのが好ましく、0.1デニール以下であるのがより好ましい。また、繊維質基材を極細繊維束から形成する場合は、極細繊維束のトータルデニールが0.5〜10デニールであることが積層体の風合などの点から好ましい。また、繊維質基材を構成する極細繊維は、ポリエステル系繊維及び/又はナイロン系繊維から形成されているのが、得られる積層体の強度、感触、コストなどの点から好ましい。
【0019】
また、極細繊維又は極細繊維束を得る為、熱水或いは有機溶剤で溶解可能な樹脂、例えばポリエチレン類(以降、PEと略す)、ポリビニルアルコール類(以降、PVAと略す)などをポリエステル系樹脂および/またはナイロン系樹脂の樹脂にブレンドした後、繊維化、絡合不織シートや編織物シートなどの繊維質シートにし、場合により樹脂層(B)を含浸又は積層したのち、熱水或いは有機溶剤でPE、或いはPVAを除去する場合がある。
【0020】
基布(A)と樹脂層(B)との接着を向上させるために、基布(A)の表面に、樹脂層(B)と親和性の高い重合体を含む表面処理剤の被覆層を形成しておいてもよく、その場合の被覆層の厚さは5μm以下とするのが好ましい。前記被覆層の厚さが厚くなると、柔軟で一体感のある風合を有する複合体が得られにくくなる。
【0021】
また、柔軟な風合を有し、且つ腰感のある積層体を得るためには、基布(A)の見掛け比重が0.25〜0.5g/cm
3であるのが好ましく、0.3〜0.35g/cm
3であるのがより好ましい。基布(A)の見掛け比重が大きすぎると、複合体がゴム様の風合となり易く、一方基布(A)の見掛け比重が小さ過ぎると腰のない風合となり易い。
【0022】
また、基布(A)の厚さは、製造される複合体の用途などに応じて決めることができるが、0.3〜3mm程度であるのが好ましく、0.5〜2.0mm程度であるのがより好ましい。
【0023】
<樹脂層(B)及び樹脂層(C)>
樹脂層(B)及び(C)並びに樹脂組成物(B)及び(C)は、(a)少なくとも1個のビニル芳香族化合物に由来する構造単位から構成される重合体ブロック(X)と少なくとも1個の共役ジエン化合物に由来する構造単位から構成される重合体ブロック(Y)とからなるブロック共重合体及び/又は該ブロック共重合体の水素添加物である熱可塑性エラストマー、(b)オレフィン系樹脂、及び(c)軟化剤を少なくとも含有する。
【0024】
<熱可塑性エラストマー(a)>
本発明に使用する熱可塑性エラストマー(a)は、少なくとも1個のビニル芳香族化合物に由来する構造単位から構成される重合体ブロック(X)と、少なくとも1個の共役ジエン化合物に由来する構造単位から構成される重合体ブロック(Y)とからなるブロック共重合体及び/又はこのブロック共重合体の水素添加物である。
【0025】
<ブロック共重合体>
ブロック共重合体は、重合体ブロック(X)を1個以上、共役ジエン化合物からなる重合体ブロック(Y)を1個以上含有するため良好な柔軟性を発揮することができる。ブロック共重合体は、耐熱性、力学物性等の観点から、重合体ブロック(X)を2個以上、及び重合体ブロック(Y)を1個以上含有していることが好ましい。重合体ブロック(X)と重合体ブロック(Y)の結合様式は、線状、分岐状あるいはこれらの任意の組み合わせであってもよい。重合体ブロック(X)をXで、重合体ブロック(Y)をYで表したときのブロック共重合体の構造としては、例えばX−Yで示されるジブロック構造や、X−Y−Xで示されるトリブロック構造や、(X−Y)
n、(X−Y)
n−X(ここでnは2以上の整数を表す)で示されるマルチブロック共重合体などが挙げられる。これらの中でも、X−Y−Xで示されるトリブロック構造のものが、制振性、耐熱性、力学物性、汚れ防止性、取り扱い性等の点で、また X−Yで示されるジブロック構造のものが、制振性、粘着性の面で好ましい。
【0026】
また、重合体ブロック(X)の構成成分であるビニル芳香族化合物と重合体ブロック(Y)の構成成分である共役ジエン化合物とが、ランダム状及び/又はテーパー状に共重合したブロック部分を、本発明の効果が阻害されない範囲で含有することができる。ブロック共重合体がランダム状及び/又はテーパー状に共重合したブロック部分を含む場合、X−Y構造部分の接続部近傍に、該ランダム または/及び テーパー含有ブロックに配位することが好適である。ランダム状に共重合したブロック部分を含有するとは、ブロックX及びYの間に、X及びYを構成する単量体がそれぞれランダムに結合した部分が存在することをいう。テーパー状に共重合したブロック部分を含有するとは、ブロックX及びYの間に、Xを構成する単量体数が一定割合で減少すると共にYを構成する単量体数が一定割合で増加する部分が存在することをいう。
【0027】
前記ビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。これらの中でも、スチレンおよびα
−メチルスチレンが好ましい。芳香族ビニル化合物は1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0028】
熱可塑性エラストマー(a)中のビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量は5〜75質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。ビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量がこの範囲内であると、樹脂層(B)及び樹脂層(C)の耐熱性及び力学物性が良好となり易い傾向がある。
【0029】
重合体ブロック(X)は、ビニル芳香族化合物に由来する構造単位と共に他の共重合性単量体に由来する構造単位を少量含有してもよい。他の共重合性単量体としては、例えば1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテル等のイオン重合性単量体が挙げられる。これら他の共重合性単量体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合体ブロック(A)がビニル芳香族化合物に由来する構造単位以外にビニル芳香族化合物等の他の共重合性単量体に由来する構造単位を有する場合、それらの結合形態は、ランダム状、テーパード状等のいずれの形態であってもよい。この場合、他の共重合性単量体に由来する構造単位の割合は、重合体ブロック(X)の質量に基づいて10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
【0030】
共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。共役ジエン化合物は1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0031】
熱可塑性エラストマー(a)における少なくとも1個の共役ジエン化合物に由来する構造単位から構成される重合体ブロック(Y)は、制振性の観点から、樹脂層(B)及び(C)並びに樹脂組成物(B)及び(C)の成分としては、イソプレン単独、またはイソプレンとブタジエンの混合物に由来する構造単位からなることが適している。熱可塑性エラストマー(a)は、重合体ブロック(Y)における共役ジエン化合物であるイソプレン及び/又はブタジエンに由来する構造単位の3,4−結合単位および1,2−結合単位の含有量(以下、ビニル結合含有量と称す)が好ましくは45モル%以上、より好ましくは50モル%以上である。
【0032】
また、熱可塑性エラストマー(a)は、熱可塑性エラストマー(a)中のビニル結合含有量が45モル%以上である熱可塑性エラストマー(a1)単独であるか、この熱可塑性エラストマー(a1)とビニル結合含有量が45モル%未満である重合体(a2)との混合物、好ましくは熱可塑性エラストマー(a)中のビニル結合含有量が50モル%以上である熱可塑性エラストマー(a1)単独であるか、この熱可塑性エラストマー(a1)とビニル結合含有量が40モル%未満である重合体(a2)との混合物であってもよい。混合物中のビニル結合含有量は、好ましくは35モル%以上、より好ましく37モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上である。
【0033】
<ブロック共重合体の水素添加物>
熱可塑性エラストマー(a)は、耐熱性や耐光性の観点から、ブロック共重合の水素添加物、又はブロック共重合体とその水素添加物との混合物であってよい。この場合、重合体ブロック(Y)を構成する構造単位中の共役ジエンに由来する炭素−炭素二重結合の50%以上が水素添加されていることが好ましく、75%以上が水素添加されていることがより好ましく、95%以上が水素添加されていることがさらに好ましい。
【0034】
<活性基含有熱可塑性エラストマー>
更に、熱可塑性エラストマー(a)と、オレフィン系樹脂(b)及び適切な場合には非オレフィン系樹脂(c)との相溶性を増す為に、熱可塑性エラストマー(a)にヒドロシル基、カルボニル基、アミド基、エステル基などの活性基を共重合、グラフト重合、あるいは、溶融押出機内部でグラフトした、活性基含有熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい場合がある。
【0035】
熱可塑性エラストマー(a)は、重量平均分子量Mwが好ましく4万〜50万、より好ましくは8万〜40万、さらに好ましくは16万〜30万である。分子量が上記範囲より小さすぎる場合は、得られる樹脂組成物の力学物性の低下を招き好ましくない。逆に大きすぎる場合には粘度の上昇が著しくなり、成形加工性が損なわれ好ましくない。重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定し、ポリスチレン換算により算出することができる。
【0036】
樹脂層(B)及び樹脂組成物(B)はそれぞれ、熱可塑性エラストマー(a)を、樹脂層(B)又は樹脂組成物(B)を基準に好ましくは40〜90質量%、より好ましくは45〜85質量%、さらに好ましくは50〜80質量%含有する。
【0037】
樹脂層(C)及び樹脂組成物(C)はそれぞれ、熱可塑性エラストマー(a)を、樹脂層(C)又は樹脂組成物(C)を基準に好ましくは20〜65質量%、より好ましくは25〜60質量%、さらに好ましくは30〜55質量%含有する。
【0038】
<オレフィン系樹脂(b)>
本発明に用いられるオレフィン系樹脂(b)としては、強度や成形性、耐薬品性、耐熱性、非粘着性の改善の目的からプロピレン系重合体、エチレン系重合体等が挙げられる。プロピレン系重合体としては、例えばホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン等を使用することができる。中でも、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンを用いるのが好ましい。エチレン系重合体としては、例えば中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のエチレン単独重合体;エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−ヘプテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ノネン共重合体、エチレン・1−デセン共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体等を使用することができる。
【0039】
更に、熱可塑性エラストマー(a)及び適切な場合には非オレフィン系樹脂(c)との相溶性を増す為に、オレフィン系樹脂(b)にヒドロシル基、カルボニル基、アミド基、エステル基などの活性基を共重合、グラフト重合、あるいは、溶融押出機内部でグラフトした、活性基含有オレフィン系樹脂を用いることが好ましい場合がある。
【0040】
<軟化剤(c)>
軟化剤(c)としては、例えばパラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイル等のプロセスオイル、流動パラフィン等の炭化水素系ゴム用軟化剤が挙げられ、中でもパラフィン系オイル、ナフテン系オイル等のプロセスオイル、或いはエチレン、共役ジエン化合物及び/又は炭素原子数4以上のα−オレフィンの共重合体などが挙げられ、中でもパラフィン系オイル、ナフテン系オイル等のプロセスオイル、或いは該共重合体として、ポリイソブチレン系樹脂(PIB)がより好適である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
軟化剤(c)は、40℃での動粘度が好ましくは50〜500mm
2/sである。
【0042】
上記軟化剤(c)の重量平均分子量Mwは700以上が好ましく、750以上がより好ましい。軟化剤(c)の重量平均分子量Mwは1500以下が好ましく、1400以下がより好ましい。軟化剤(c)の重量平均分子量Mwが700以上であればオイルブリードが非常に少なく、重量平均分子量Mwが1500以下であれば、成形加工性が良好である。
【0043】
軟化剤(c)は、その製造について特に限定されず、例えば、従来公知の方法により製造できる。上記軟化剤(c)の代表的市販品としては、例えば出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルPWシリーズ(パラフィン系オイル)、出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルNRシリーズ(ナフテン系オイル)、NIKKO OIL PRODUCTS(株)製NOBELプロセスオイルABシリーズ(アロマ系オイル)等が挙げられる。
【0044】
樹脂層(B)及び樹脂組成物(B)はそれぞれ、樹脂層(B)又は樹脂組成物(B)中のオレフィン系樹脂(b)の含有量が10質量%以下であり、軟化剤(c)の含有量が30質量%以下であり、かつ損失係数(η)は0.1以上である。制振性の観点からは、損失係数(η)好ましくは0.12以上である。
樹脂層(B)又は樹脂組成物(B)中のオレフィン系樹脂(b)の含有量が10質量%以下である場合には、良好な柔軟性、耐屈曲性が得られ、軟化剤(c)の含有量が30質量%以下である場合には、良好な接着性が得られ、損失係数(η)が0.1未満の場合には制振性が悪化する問題がある。特に、複合体が靴の場合には、制振性が悪化すると足首の疲労が生じるため好ましくない。
【0045】
また、樹脂層(B)及び樹脂組成物(B)に含まれる熱可塑性エラストマー(a)は、熱可塑性エラストマー(a)中のビニル結合含有量が45モル%以上である熱可塑性エラストマー(a1)単独であるか、または熱可塑性エラストマー(a1)とビニル結合含有量が45モル%未満である熱可塑性エラストマー(a2)との混合物であり、この混合物中のビニル結合含有量が35モル%以上であることが好適である。熱可塑性エラストマー(a)中のビニル結合含有量が35モル%未満では、制振性が悪化し、複合体が靴である場合には、足首の疲れが悪化するため好ましくない。
【0046】
樹脂層(C)及び樹脂組成物(C)はそれぞれ、樹脂層(C)又は樹脂組成物(C)中のオレフィン系樹脂(b)の含有比率が10質量%を超え、軟化剤(c)の含有比率が30質量%を超え、かつ損失係数(η)は0.1以上である。制振性の観点からは、損失係数(η)好ましくは0.12以上である。
樹脂層(C)又は樹脂組成物(C)中のオレフィン系樹脂(b)の含有量が10質量%を超える場合には、良好な成形性が得られ、軟化剤(d)の含有比率が30質量%を超える場合には、良好な屈曲性及び柔軟性が得られ、損失係数(η)が0.1未満の場合には制振性が悪化する問題がある。
【0047】
また、樹脂層(C)及び樹脂組成物(C)に含まれる熱可塑性エラストマー(a)は、熱可塑性エラストマー(a)中のビニル結合含有量が45モル%以上である熱可塑性エラストマー(a1)単独であるか、または熱可塑性エラストマー(a1)とビニル結合含有量が45モル%未満である熱可塑性エラストマー(a2)との混合物であり、この混合物中のビニル結合含有量が35モル%以上であることが好適である。熱可塑性エラストマー(a)中のビニル結合含有量が35モル%未満では、制振性が悪化する。
【0048】
<その他の成分>
本発明の樹脂層(B)及び(C)並びに樹脂組成物(B)及び(C)は、本発明の効果を著しく損なわない範囲であれば、必要に応じてその他の成分、例えば非オレフィン系樹脂、粘着付与材等を含んでもよい。
【0049】
<非オレフィン系樹脂>
本発明に用いられる非オレフィン系樹脂は、耐屈曲性、非粘着性、接着性、柔軟性の改善の目的から、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性アクリルエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマーなどを1種類或いは2種類以上をブレンドして使用することができる。なかでも、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性アクリルエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマーが好適であり、熱可塑性ポリウレタンエラストマーがより好適である。
【0050】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては、例えば、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリカプロラクトン系ポリウレタンなどの1種以上を使用することが好ましい。また、ポリウレタン系共重合エラストマーとして、ジイソシアネート化合物とヒドロキシル基を分子構造内に2個以上含有するポリオール化合物との重付加反応によって得られるイソシアネート基両末端オリゴマー、及び分子量2000〜10000程度のイソシアネート基両末端ポリウレタンプレポリマーと、炭素数4〜12個のジカルボン酸と、炭素数4〜14個のジアミンとの重縮合によって得られるカルボン酸基またはアミン基末端のオリゴマー、及び分子量2000〜10000程度のカルボン酸基またはアミン基末端のポリアミドプレポリマーとの共重合によって得られるポリウレタン−ポリアミド共重合樹脂、及び上記イソシアネート基両末端オリゴマー、及び分子量2000〜10000程度のイソシアネート基両末端ポリウレタンプレポリマーと、炭素数4〜12の芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の2種以上のジカルボン酸と、ジオールとの重縮合によって得られるカルボン酸基または水酸基末端のオリゴマー、及び分子量2000〜10000程度のカルボン酸基または水酸基末端のポリエステルプレポリマーとの共重合によって得られるポリウレタン−ポリエステル共重合樹脂なども使用できる。
【0051】
熱可塑性アクリルエラストマーとしては、熱可塑性アクリルエラストマーとしては、エチレン−メチルメタアクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−メチルアクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−エチルアクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−メチル(メタ)アクリル酸エステル−(無水)マレイン酸共重合樹脂などが挙げられる。
【0052】
熱可塑性ポリエステルエラストマーとしては、例えば、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステルセグメントと、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル系セグメントをブロック共重合させたポリエステル−ポリエーテル型ポリエステルエラストマー、あるいは、上記芳香族ポリエステルセグメントと、脂肪族ポリエステルセグメントとのブロック共重合によるポリエステル−ポリエステル型ポリエステルエラストマーなどが挙げられる。
【0053】
熱可塑性ポリアミドエラストマーとしては、例えば、6−ナイロン及び12−ナイロンセグメントと、脂肪族ポリエーテルまたは脂肪族ポリエーテルポリエステルセグメントとのブロック共重合によって得られるポリアミド系エラストマーを使用するのが好ましい。
【0054】
樹脂層(B)及び(C)並びに樹脂組成物(B)及び(C)が非オレフィン系樹脂を含有する場合には、その含有量は30質量%以下あることが好ましい。非オレフィン系樹脂(c)の含有量が30質量%以下である場合、良好な接着性及び成形加工性が得られる。
【0055】
<粘着付与材>
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を著しく損なわない範囲であれば、必要に応じて、粘着付与材を含有させてもよい。粘着付与材としては、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、これらのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル等のロジンエステルなどのロジン系樹脂;α−ピネン、β−ピネン、ジペンテンなどを主体とするテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂などテルペン系樹脂:(水添)脂肪族系(C5系)石油樹脂、(水添)芳香族系(C9系)石油樹脂、(水添)共重合系(C5−C9共重合系)石油樹脂、(水添)ジシクロペンタジエン系石油樹脂、脂環式飽和炭化水素など水素添加されていてもよい石油樹脂;ポリα−メチルスチレン、α−メチルスチレン−スチレン共重合体、スチレン系モノマー−脂肪族系モノマー共重合体、スチレン系モノマー−芳香族系モノマー(スチレン系モノマーを除く)共重合体などのスチレン系樹脂;フェノール系樹脂;キシレン樹脂;クマロン−インデン系樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。これらの中でも、樹脂組成物の着色抑制の観点から、水添テルペン樹脂、脂環式飽和炭化水素樹脂、(水添)脂肪族系(C5系)石油樹脂が好ましい。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂層(B)及び/又は(C)並びに樹脂組成物(B)及び/又は(C)に粘着付与材を含有させる場合、その含有量は熱可塑性エラストマー(a)100質量部に対して、好ましくは100質量部以下であり、耐熱性の観点からは80質量部以下であることがより好ましい。
【0056】
樹脂層(B)及び(C)並びに樹脂組成物(B)及び(C)がは、クレー、珪藻土、シリカ、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属酸化物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウムなどのリン片状無機系添加剤、各種の金属粉、木片、ガラス粉、セラミックス粉、粒状あるいは粉末ポリマー等の粒状あるいは粉末状固体充填材、その他の各種の天然または人工の短繊維、長繊維(例えば、わら、毛、ガラスファイバー、金属ファイバー、その他各種のポリマーファイバー等)などを配合することができる。
【0057】
また、中空フィラー、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーンなどの無機中空フィラー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体などからなる有機中空フィラーを配合することにより、軽量化をはかることができる。なかでも、ポリビニル系短繊維、ポリアリレート系短繊維、グラファイト、マイカ、酸化チタン、アルミニウム粉末、カーボンブラック、などは制振性を大きく改善する効果があり、より望ましい。
【0058】
樹脂層(B)及び(C)並びに樹脂組成物(B)及び(C)は、上記の成分の他に、用途に応じて各種のブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、結晶核剤、発泡剤、着色剤等を含有することも可能である。ここで、酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジtert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジtert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ−5,5−ウンデカンなどのフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等を使用することができる。中でもフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。樹脂層(B)及び/又は(C)並びに樹脂組成物(B)及び/又は(C)に酸化防止剤を含ませる場合、酸化防止剤は、本発明の樹脂層(B)又は(C)並びに樹脂組成物(B)又は(C)に含まれる上記成分(a)〜(d)の合計100質量部に対して、0.01〜3.0質量部であることが好ましく、0.05〜1.0質量部であることがより好ましい。
【0059】
また、本発明の複合体に、消音性及び/又は耐衝撃性を追加付与する場合には、樹脂層(B)及び/又は(C)或いは樹脂組成物(B)及び/又は(C)に、必要に応じて発泡剤を添加し、発泡することができる。発泡する方法としては、特に限定されないが、化学発泡、物理発泡の方法があり、例えば、無機系発泡剤、有機系発泡剤、熱膨張性微粒子などの添加、二酸化炭素などの臨界発泡、或いは中空ガラスバルーンの添加などを挙げることができる。
【0060】
また、複合体の最外層に位置する樹脂層(B)及び/又は樹脂層(C)のスリップ性、防汚性を更に改善する目的で、フッ素系、アクリル系、シリコン系などの防汚層(E)を施す事ができる。
【0061】
本発明の複合体は、シート状素材(D)が、非粘着性および/または意匠性の観点から凹凸模様を有するものであってよい。凹凸模様は、後述する凹凸処理により付与することができる。
【0062】
シート素材(D)の一部に樹脂組成物(B)をインサート射出成形した本発明の複合体は、耐屈曲性、柔軟性、接着性、及び制振性、及び防汚性に優れている為、靴、鞄、バッグなどの日用品、生活用品などに有効である。より具体的には、例えば、運動靴、競技用シューズ、幼児用靴、長靴、レインシューズ、学童鞄、ランドセル、旅行用バッグ、旅行用スーツケース、スポーツ用具用バッグなどが挙げられる。本発明の複合体は、好ましくはインサート射出成形品である。
【0063】
<複合体の製造方法>
本発明の複合体の製造方法は、1)基布(A)に樹脂層(B)を構成する樹脂組成物(B)を含浸又は積層してシート状素材(D)を得る工程、及び2)シート状素材(D)の少なくとも一部に、樹脂層(C)を構成する樹脂組成物(C)をインサート射出する工程を含む。
【0064】
樹脂組成物(B)及び(C)を調製するには、各成分を上記した配合割合で配合して、これらを均一に混合することで得られ、特に限定されないが、例えば、ミキシングロール、加圧式ニーダ、一軸押出機、二軸押出機などによって溶融混練し、ペレット状に調製することができる。また、場合によっては、トルエンなどの有機溶剤で加熱下、溶解し溶液状態で下記の後加工を行う場合もある。
【0065】
得られたペレット状樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、ホットプレス機、射出成形機、インサート射出機、シート成形機、共押出シート成形機、押出ラミ成形機、などで単層シート、及び 多層シートを得る。単層シートの場合、ホットプレス機、熱ロールラミ機、押出ラミ機などで多層化する。
【0066】
基布(A)に樹脂層(B)を含浸又は積層する方法としては、特に限定するものではないが、1)樹脂組成物(B)を、トルエンなどの有機溶剤に加熱下溶解した溶液を基布(A)に含浸及び乾燥する方法や、2)単層押出し成膜機、或いは共押出し成膜機を用い、樹脂組成物を熱溶融下、基布(A)に押出しラミネートを行いつつ、冷却ロールで成型する方法や、3)押出し成膜機、或いは共押出し成膜機を用い、樹脂組成物B)を熱溶融下、フィルムを成膜した後、熱ロール、或いは熱プレス機を用い、加熱及び/又は加圧下、ラミネートする方法、4)カレンダー式加熱ロールを用い、溶融した樹脂組成物(B)を基布(A)に溶融下ラミネートする方法、或いは1)〜4)の方法を2つ以上併せて用いる方法などが挙げられる。
【0067】
シート状素材(D)の最外層側に非粘着性及び/又は意匠性を付与する為、凹凸処理を行う場合、上記1)〜4)の方法を用いる場合、冷却ロール、或いは熱ロールに凹凸模様を付けたエンボスロールを用いることが有効である。また、別法として、凹凸模様を付けた紙或いはプラスチックシートに樹脂組成物(B)の溶液を塗布後、基布(A)に含浸又はラミネートし乾燥する方法、或いは凹凸模様を付けた紙又はプラスチックシートと基布(A)との間に、押出しラミネートを行い、多層化する方法などがある。
【0068】
シート素材(D)の一部に樹脂組成物(C)をインサート射出成形する方法としては、特に限定するものではないが、インサート射出成形用の金型にシート状素材(D)を所定の位置にはめ込み、金型密閉後、射出成型用押出機に樹脂組成物(C)のペレットを投入及び溶融し、例えば樹脂温度250℃でインサート射出し、次いで冷却し、金型からの取り出しを行う方法などがある。
【0069】
以上のとおり、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【実施例】
【0070】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例の物性評価は、以下に示す方法によって行った。
【0071】
(1)損失係数(η)の測定
後述する実施例及び比較例において使用した樹脂層(B)及び(C)の平板(厚さ1.0mm、幅15.0mm、長さ250mm)を射出成形機で作成し、両面粘着テープを張付けた振動体(厚さ1.0mm、幅15.0mm、長さ250mmのSPCC鋼板)及び 拘束層(厚さ0.5mm、幅15.0mm、長さ250mmのアルミ板)を積層した後、リオン社製、商品名「SA−01」の測定装置を用い、0℃にて中央加振法により損失係数を測定した。
【0072】
(2)1,2−結合および3,4−結合単位の含有率(ビニル結合含有量)
ブロック共重合体をCDCl3に溶解して
1H−NMRスペクトルを測定〔装置:JNM−Lambda 500(日本電子(株)製、測定温度:50℃)〕し、イソプレン、ブタジエン、またはイソプレンとブタジエンの混合物由来の構造単位の全ピーク面積と、イソプレン構造単位における1,2−結合単位および3,4−結合単位、ブタジエン構造単位における1,2−結合単位および3,4−結合単位、またはイソプレンとブタジエンの混合物の場合にはそれぞれの前記結合単位に対応するピーク面積の比からビニル結合含有量(1,2−結合単位と3,4−結合単位の含有量の合計)を算出した。
【0073】
(3)耐屈曲性
インサート射出成形法で靴に成形した複合体に、綿ソックスを装着した義足を挿入し、SATRA社製の靴製品屈曲試験機(STM184−2)に取り付け、角度50度、屈曲速度140回/minで400、000回の屈曲試験を3回行い、外観の評価でランク付けを実施し、平均値がランク2以下を耐屈曲性良好の目安とした。
1.シワあり
2.シワ多いが、折れシワほとんど無し
3.折れシワあり
4.折れシワ大、ピンホールなし
5.折れシワ大、ピンホール、破れあり
【0074】
(4)接着性
複合体のインサート射出接合部を巾5mmで切り出し、シート状素材(D)と樹脂層(B)との剪断接着力を、23℃−50%RH雰囲気下、島津製作所製 オートグラフ 型番AG−1、500Nを用い、引っ張り速度100mm/minで剪断接着力の測定を行い、1kg以上を接着性良好の目安とした。
【0075】
(5)柔軟性
実施例及び比較例で作成した樹脂層(B)及び(C)を用い、運動靴を作成し、10人のモニターに装着し、5kmウオーキングで柔軟性(しなやかさ、ゴワゴワ感)を4段階評価で聴取し、平均値がランク2以下を柔軟性良好の目安とした。
ランク1:柔軟性良好
ランク2:しなやかさ 少し不足
ランク3:ゴワゴワ感あり
ランク4:ゴワゴワ感 顕著
また同時に、足首の疲れ(振動吸収性、衝撃吸収性)を4段階評価で聴取し、平均値が、ランク2以下を足首の疲れ良好の目安とした。
ランク1:足首の疲れ 僅か
ランク2:足首の疲れ 少しあり
ランク3:足首の疲れ あり
ランク4:足首の疲れ 大きい
(6)成形加工性
実施例及び比較例で作成した樹脂層(B)及び(C)を用い、運動靴の最終作製段階でとして、樹脂層(C)の射出成形を10回行い、成形性を4段階で評価し、平均値が、ランク2以下を成形性良好の目安とした。
ランク1:金型離型性、非粘着性(ベタツキ)良好
ランク2:金型離型性、非粘着性 少し不足
ランク3:金型離型性、非粘着性 悪い
ランク4:ゴ金型離型性、非粘着性 非常に悪い
【0076】
<実施例1〜10及び比較例1〜5>
二軸押出機(口径46mm、L/D=46)を使用して、下記の各構成成分を表1に示す配合に従って混合した後、220℃で溶融混練し、ペレット状の樹脂組成物(B)及び(C)を得た。
【0077】
樹脂層(B)を基布(A)に積層する方法としては、T型ダイス単軸押出機(口径40mm、L/D=24、230℃)を用い、樹脂組成物(B)を基布(A)の押出ラミネートしシート素材(D)を得た。
その後、得られたシート状素材(D)を用い、24cm靴サイズの胛被を作成し、金型に挿入、取付け後、樹脂組成物(C)を射出成形機に投入し、溶融温度250℃でインサート射出を行い、底材と胛被との一体成形で複合体である靴を得た。
【0078】
<基布(A)>
コットン60%、ポリエステル40%を含有する30番手糸を用い、目付82g/m
2、密度0.4g/cm
3の平織り布を基布(A)とした。
【0079】
<熱可塑性エラストマー(a)>
・成分(a1)
種類:スチレン−イソプレン−スチレン型トリブロック共重合体、ビニル結合含有量55モル%、ビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量32質量%
・成分(a2)
種類:、スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレン型トリブロック共重合体の水添ブロック共重合体、ビニル結合含有量8モル%、ビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量30質量%
【0080】
<オレフィン系樹脂(b)>
・成分(b−1)
種類:アドマー QF551(商品名)、三井化学製、無水マレイン酸変性ポリオレフィン
・成分(b−2)
種類:PH943B(商品名)、サンアロマー製、ランダムポリプロピレン、MFR=21
【0081】
<軟化剤(c)>
・成分(d−1)
種類:ダイアナプロセスオイルPW−90(商品名)、出光石油化学株式会社製、パラフィン系オイル、動粘度(40℃):95.5mm
2/s、環分析パラフィン:71%、環分析ナフテン:29%、重量平均分子量:790
・成分(d−2)
種類:YUBASE8J(商品名)、SK(韓国)製、オイル、動粘度(40℃):47mm
2/s、分子量=約500
【0082】
<非オレフィン系樹脂>
・成分(d)
種類:パンデックスT8180(商品名)、DICコベストロポリマー製、ポリウレタン、硬度80A
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
表1及び2に示す通り、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー(a)、オレフィン系樹脂(b)、及び軟化剤(c)を含む樹脂組成物で構成され、(a)成分中のビニル結合含有量、軟化剤(b)含有量及びポリオレフィン系樹脂(c)含有量が特定の範囲内にある樹脂層(B)及び樹脂層(C)で少なくとも構成される実施例1〜9の復合体は、制振性、耐屈曲性、接着性及び柔軟性に優れる。
【0086】
表1及び2に示す通り、比較例1は、樹脂層(C)の成分である、オレフィン系樹脂(b)の添加量を10質量%未満とし、実施例1と同様に複合体を得たが、得られた複合体は成形加工性が悪化する結果となった。
【0087】
比較例2は、樹脂層(C)の成分である、オレフィン系樹脂(c)の添加量を30質量%超えとし、実施例1と同様に複合体を得たが、得られた複合体は接着性、成形加工性が悪化する結果となった。
【0088】
比較例3は、樹脂層(C)の成分である、軟化剤(c)の添加量を30質量%未満とし、実施例1と同様に複合体を得たが、得られた積層体は屈曲性、柔軟性が悪化する結果となった。
【0089】
比較例4は、樹脂層(C)の損失係数(η)を0.1未満とし、実施例1と同様に複合体を得たが、得られた複合体は足首の疲れが悪化する結果となった。
【0090】
比較例5は、樹脂層(C)のビニル結合含量を35モル%未満とし、実施例1と同様に複合体を得たが、得られた複合体は足首の疲れが悪化する結果となった。
【0091】
比較例6は、樹脂層(B)の成分である、オレフィン系樹脂(b)の添加量を10質量%こえとし、実施例1と同様に複合体を得たが、得られた複合体は耐屈曲性、柔軟性が悪化する結果となった。
【0092】
比較例7は、樹脂層(B)の成分である、非オレフィン系樹脂(d)の添加量を30質量%超えとし、実施例1と同様に複合体を得たが、得られた複合体は接着性、成形加工性が悪化する結果となった。
【0093】
比較例8は、樹脂層(B)の成分である、軟化剤(c)の添加量を30質量%超えとし、実施例1と同様に複合体を得たが、得られた複合体は接着性が悪化する結果となった。
【0094】
比較例9は、樹脂層(B)の損失係数(η)を0.1未満とし、実施例1と同様に複合体を得たが、得られた複合体は足首の疲れが悪化する結果となった。
【0095】
比較例10は、樹脂層(B)のビニル結合含量を35モル%未満とし、実施例1と同様に複合体を得たが、得られた複合体は足首の疲れが悪化する結果となった。