【実施例】
【0120】
心臓への分化は、初期の心臓の中胚葉への誘導の最適化を必要とする
筋細胞ではない細胞画分又は間質細胞が、工学によって作られた心臓組織の機能にとって必須であることが示されている。この理由から、心筋細胞及び線維芽細胞/間質細胞を持続的に産生する心臓分化プロトコールがまず必要とされた。本発明者らは、以前に公表された無血清の二次元hPSC分化プロトコールに基づいて、収率及びコンシステンシーの両方に関して、その心臓分化プロトコール(
図1a)を最適化した(Hudson et al. Stem Cells Dev 21, 1513-1523 (2012))。中胚葉誘導期の間にWNT活性を安定化させれば、強さ及び効率を増強させることができると考えられた。中胚葉誘導のための代理マーカーとして、MESP1発現を培養3日目にqPCRによって分析した;これに続いて、16日目にα−アクチニン(心筋細胞マーカー)についてフローサイトメトリーを行ない、これは拍動活動の量と非常に良く相関していることが判明した。以前に公表されたプロトコールから新規なプロトコールへの進歩に関する最も重要な工程を
図1に要約する。
【0121】
以前のプロトコールでは、最初の3日間はBMP4及びアクチビン−Aを用いた心臓の中胚葉への誘導、次いで、WNT阻害剤のIWP4を使用した心臓への特異化を使用していた(Hudson et al Stem Cells Dev 21, 1513-1523 (2012))。hPSCを使用した近年の研究における初期中胚葉形成及びインビボでの発生のためにFGF2が必要不可欠であることと一致して、分化の最初の3日間の最中に5ng/mlのFGF2を添加することにより、MESP1の発現が増加する傾向(
図1b)が、続いてα−アクチニンが増加する傾向(
図1c)が得られた。しかし、コンシステンシー及び分化を向上させるのを助けるのは強制されたWNTシグナル伝達であり、これは初期中胚葉の誘導におけるその不可欠な役割と一致する。WNTシグナル伝達を強制するために、古典的WNT阻害剤の存在下でさえWNTシグナル伝達を誘導するGSK3βの小分子阻害剤であるCHIR99021を使用した。CHIRは、単独で又は
図1b、cで使用される分化因子と共に、全く拍動活動を誘導することができなかった。BMP4濃度を変化させると、MESP1発現(
図1d)及びα−アクチニン発現(
図1e)の最適かつ一貫した発現誘導が、5ng/mlのBMP4濃度で認められた。その後、分化プロトコールから各因子を個々に除去することにより、MESP1の効率的かつ一貫した誘導(
図1f)、続いてα−アクチニンの発現(
図1g)におけるその必要性が示された。
【0122】
BHMを形成するために、間質細胞集団が存在することも重要である。それ故、間質細胞又は他の混入している可能性のある細胞型が最適化された分化プロトコールに存在するかどうかを調べた。非常に低いレベルの混入している可能性のある細胞集団が認められ、hPSC(POU5F1としても知られるOCT4)(
図1h)、内胚葉(SOX17)(
図1i)、神経(NEUROD1)(
図1j)、及び初期中胚葉(MESP1)(データは示されていない)についてqPCRを使用して分析した。他の条件(全く因子を含まないか又はIWP4を含まない、データは示されていない)と比較して、NKX2−5及びβ−MHC(MYH7としても知られる)の非常に高い発現が本発明の心臓分化培養物に認められた。更に、心筋細胞(
図1k−1)及び異なる間質細胞型(α−平滑筋アクチン陽性細胞(α−SMA
+)、I型コラーゲン陽性細胞(COLI
+)細胞、及びα−SMA
+COLI
+細胞を含む)の両方が存在していたことが判明した(
図1m、n)。要するに、このデータは、本発明の心臓分化プロトコールが心筋細胞を効率的に産生し、残りの細胞は主に間質細胞であり、したがって、組織工学操作適用のために必要とされる細胞組成がもたらされることを示唆する。
【0123】
BHMの定方向の形成
心臓分化プロトコールの最適化後、hPSCから直接BHMを形成することができるかどうかの仮説を試験した。新規な無血清心臓分化プロトコール(
図1)を追加の成熟工程と共に使用し、そこでは、弁輪を型から取り出し、静的伸展装置(緩んだ長さの+10%)上の、5ng/mlのFGF2及び200μMのアスコルビン酸−2−リン酸(ASC−2−P)を含有する培地中に置いた。このプロトコールはBHMを形成するのに効果的であることが判明した(
図2a)。BHMは13日目までに異なる領域で自発的に収縮し始め、15〜17日目までに収縮は同期的かつ律動的となり、22日目の分析まで持続した(データは示されていない)。BHMにおける心筋細胞は伸展し横紋の付いた形態を有し(
図2b)、BHMは電気的にペーシングでき、カルシウム濃度に対する応答性と共に測定可能な収縮力を有していた(
図2c)。
【0124】
BHMの発生は公知の発生経路を辿った。hPSCは大部分、3日目までに分化し、これはTRA−1−60
+/OCT4
+細胞の減少及びOCT4発現の減少(
図2d、f)、並びに、初期中胚葉マーカーであるMIXL1及びMESP1の同時発現(
図2f)によって示される。α−アクチニン
+細胞(
図2d)及び心筋細胞前駆細胞マーカー発現(
図2f)は同時に増加しつつ、8日目までにMIXL1及びMESP1の発現は無くなる(
図2f)。TBX5(13日目にピーク)、ISL1(8日目にピーク)及びNKX2−5(13日目にピーク)を含む、心発生に関与する複数の転写因子の発現にピークが存在した(
図2f)。これに続いて、より成熟した心臓マーカーであるα−MHC(MYH6としても知られる)、β−MHC、ANP(NPPAとしても知られる)、及びMLC2v(MYL2としても知られる)が発現した(
図2f)。興味深いことに、α−MHCの発現は13日目にピークに達し、その後、22日目までにβ−MHCが大きく増加し、したがって、β−MHC/α−MHC比は増大した(
図2f)。更に、22日目には内胚葉マーカー及び神経マーカーの発現は殆どなかった(
図2f)。要するに、このデータは、BHMの発生が公知の発生経路を辿っただけでなく、前駆細胞遺伝子発現の低下、増加したβ−MHC発現及びβ−MHC/α−MHC発現比、並びに増加したMLC2v発現(成熟度を示す、Tiburcy et al. Circ Res 109, 1105-1114(2011)参照)によって示されるように心臓の成熟が起こることも示唆する。更に、22日目にBHMは30±6%(n=4回の実験)の心筋細胞及び高い比率の間質細胞から構成されていることが判明した(
図2d)。代表的なフローサイトメトリープロットを
図5に示す。
【0125】
BHM機能の最適化
図2に概略が示されたBHMプロトコールは、hPSCの増殖及び生物工学によって作られた心筋形成の初めての完全に無血清のプロセスを示す一方、本発明者らは、最適化により、より高い機能及びより高いコンシステンシーを有する組織を発生させることができると仮定した。これらの実験のために収縮強度(単収縮張力/収縮力)を第一の機能決定因子として使用した。なぜなら、単収縮張力は、心筋細胞の数及び表現型、線維芽細胞の数及び表現型、組織結合性、ECM組成、細胞間結合性、及びECM−細胞の結合性を含む、多種多様な心筋特性に依存するからである。第二の因子として、本発明者らは、1)静止張力、なぜならそれは間質細胞の機能及び細胞外マトリックス生物学を反映するため、2)心筋細胞サイズ、薬理学的刺激などの刺激の故に、及び3)細胞組成(心筋細胞:間質細胞)(これは収縮能力の重要な決定因子である)を使用した。変化させたパラメーターを
図3に示す。
【0126】
ASC−2−Pは、BHMの機能を増強する
アスコルビン酸(ビタミンC)はコラーゲンの適切な合成において主要な役割を果たし、かつ抗酸化剤である。それ故、初期のBHM培養の間に0〜13日目に補充されたアスコルビン酸(より安定なASC−2−Pの形態で)(それは
図2で13〜22日目の間にすでに添加されていた)は、発生中のコラーゲンの重要性があるとすれば、BHMの機能にプラスの影響を及ぼすだろうと仮定された。ASC−2−PはBHMの単収縮張力/収縮力を有意に向上させ(
図3a)、間質細胞画分に変化を全く及ぼすことなく、心筋細胞画分を増加させる傾向を誘導する(
図3b)ことが判明した。また、全分化プロトコール中にASC−2−Pを補充することにより、心臓分化効率を変化させることなく細胞数を有意に増加させることによって、本発明者らの二次元プロトコールの分化は改良されたことが判明した(データは示されていない)。それ故、二次元及びBHMフォーマットの両方において、ASC−2−Pは、近年の研究(Cao et al. Cell Res 22, 219-236 (2012))において提案されているように細胞生存率及び/又は前駆細胞増殖を高めたのかもしれない。
【0127】
BHMの機能は、機械的刺激レジメに依存する
次に、静的伸展及び動的な機械的刺激がBHMの機能にどのように影響を及ぼすかを評価した。静的伸展及び動的な機械的刺激のために使用される装置を
図3dに示す。静的伸展及び動的な機械的刺激の両方が、BHMの単収縮張力/収縮力を有意に増加させ、両方の機械的刺激レジメにより、同じようなBHM単収縮張力がもたらされた(
図3c)。両方の機械的刺激レジメが、BMHの心筋細胞の形態を改善し、緻密で伸展した横紋筋筋束の形成を引き起こした(
図3d)。動的な機械的刺激が静的伸展より好ましかった。なぜなら、それは増張力性収縮を促進するからである(Zimmermann et al, Nat Med 12, 452-458 (2006))。
【0128】
心筋細胞の特性は、外的な増殖因子に依存する
FGF2を添加した場合には単収縮張力/収縮力は減少する傾向があり、TGFβ1を添加した場合には単収縮張力は増加する傾向があった(
図3f)。それ故、FGF2を心臓成熟中に添加した以前の実験では、これは実際には有害なBHM機能を有するかもしれなかった。FGF2及びTGFβ1の両方が、心筋細胞のサイズの増加を誘導したことが判明した(
図3g)。TGFβ1の添加により、より成熟したβ−MHC/α−MHC発現比が得られた(ヒト心臓=9)(
図3h)一方で、病的肥大マーカーであるANP(NPPAとしても知られる)は減少した(
図3i)。FGF2の添加はβ−MHC/α−MHC発現比を変化させなかったが(
図3h)、(変動的に)病的な肥大マーカーのANPを誘導した(
図3i)。要するに、これは、両方の因子が肥大を誘導することを示し、これはインビボの結果と一致する。しかし、FGF2は病理学的肥大の誘導因子と考えられ得るが、一方、TGFβ1は生理学的肥大の誘導因子と考えられ得る。
【0129】
さらなる一連の実験では、本発明者らは、心臓成熟期中に漸増するTGFβ−1を培養培地に補充することは、BHMの収縮機能に影響を及ぼすかどうかを調べた。本発明者らは、濃度依存的なBHMの収縮機能の増強を観察した(
図10)。
【0130】
以前の実験では、本発明者らは、二次元プロトコールと比較して、BHM中のα−平滑筋アクチン及びI型コラーゲン陽性細胞の大きな減少を認めた(
図1n対
図2e)。これは、二次元培養及びBHM培養における筋線維芽細胞/線維芽細胞の分化における僅かな差異の反映であり得る。hPSCから得られた二次元培養及びBHM心臓分化培養物中において心臓線維芽細胞様集団をより均一に検出するために、基準のCD90(THY1としても知られる)に対する抗体をその後の実験で使用した。
【0131】
細胞外カルシウムを生理学的濃度に調整することにより、BHMの機能は向上した
ヒト血清中のカルシウム濃度は、それぞれ全カルシウム及びイオン化カルシウムについて、生理学的カルシウム濃度が2.25〜2.75mM、及び1.0〜1.2mMとなるように緊密に調節されている。RPMI培地中のカルシウム濃度は、生理学的カルシウムと比較して極めて低い(0.42mM)ので、それ故、遊離カルシウム濃度の調整がBHMの成熟及び機能の両方を向上させるかどうかを評価した。カルシウムを(0.2MのCaCl
2溶液を使用して)1.2mMに調整すると、BHMの単収縮張力は大きく増加した(
図3j)。更に、静止張力(
図3k)及び弾性率(
図3l)の増加が観察された。最適な弾性率は、収縮中に心筋細胞によってなされる機械的仕事を高めることが示され、これは収縮力を増加させ得る。増加したカルシウムに応答した増加した弾性率の背景の機序は現在不明である。重要なことには、qPCRを使用して評価されたカルシウムハンドリングタンパク質に変化は全くなかったことが注記されるべきである(CASQ2、PLN、ATP2A2、及びRYR2、データは示されていない、n=3回の実験)。
【0132】
最適化されたプロトコールを使用して作製されたBHMは、インビボ様特性を示す
BHMは自発的かつ理路整然と収縮し、心臓発生中に観察された拍動周波数の範囲を網羅する、少なくとも3Hzまでの複数の周波数で電気的にペーシングできた(
図4a)。BHMはまた、増加した静止長(及び静止張力)に応答して単収縮張力(収縮力)を増加させ、これはフランク・スターリングの機序に一致する(
図4b)。培養時間を延長すると、以前のデータと比較してBHM単収縮張力に変化は全く認められなかったが、0.2から0.7mmol/LへのカルシウムEC
50の増加が観察された(
図4c)。また、培養期間延長により、1μMのイソプレナリンに対する変力応答は増加し、このことは、増加が全く観察されなかった従来の培養フォーマットを上回る向上した成熟度を示す(
図4d〜f)。ホールマウント免疫染色を使用して、BHMはまた、筋束に存在する間質細胞及び内皮細胞の両方を有することが判明した(データは示されていない)。重要なことには、BHM培養物はまた、成熟条件下で長期間(少なくとも63日目まで)維持することができ、形態学的外見に改善が観察された(データは示されていない)。
【0133】
改変されていないBHMプロトコールは、複数のヒト多能性幹細胞株に対して効果を発揮する
次に、最適化されたBHMプロトコール(
図5)及び二次元プロトコール(
図6)は、複数のhPSC株に対して効果を発揮することが示された。これらの分析のために、HES2、HES3及びhIPS−G1株(ベクターを含まないCytotune初期化キットを使用して初期化された歯の線維芽細胞)を使用した。二次元プロトコール及びBHMプロトコールの両方について、播種する細胞数の変更又はRho結合プロテインキナーゼ阻害剤(10μM、Y−27632)の使用が、最初の24時間の播種期後に全ての株において同じような細胞密度を達成するのに必要とされたことが判明したことを注記することは重要である(データは示されていない)。特定の細胞株について必要とされる播種プロトコールを使用する場合、二次元プロトコール及びBHMプロトコールをそうした株のために改変せずに使用することができた。
【0134】
HES3株及びhIPS株の両方が、HES2株(
図3j)と比較して低い単収縮張力(
図5a、d)を有するBHMを産生したことが判明した。しかし、HES3及びhIPS BHMの両方が同じような形態を有していた(
図5b、e)。HES3 BHMの心筋細胞画分はHES2 BHMと比較して類似し(
図5c)、hIPS BHMの心筋細胞画分はHES2 BHMと比較して低かった(
図5f)。これらの株に由来するBHMにおける低下した機能は、HES2 BHM(0.74±0.13×10
6個の細胞、3回の実験に由来するn=6)と比較して、HES3 BHM(0.50±0.03×10
6個の細胞、n=3)及びhIPS BHM(0.55±0.05×10
6個の細胞、n=3)におけるより少ない細胞数に起因する可能性が最も高い。それ故、同じ株での異なる処理ではなくむしろ異なる細胞株を評価する場合には、細胞数及び組成の変化によって引き起こされる差を除外するように注意を払わなければならない。
【0135】
発生モデルとしてのBHMにより、BMPシグナル伝達がヒト心筋細胞の最終分化に必要とされることが判明する
BMPシグナル伝達の阻害は、効果が様々な遺伝子によって駆動されるCREを使用して発生中の心臓に限定(又は少なくとも部分的に限定)されている場合でさえ、胚にとって致命的である(総説についてはKruithof et al. Differentiation 84, 89-102 (2012)を参照されたい)。これらの研究では、構造的欠陥、梁柱構造及び壁厚を含む心筋特性、並びに、前駆細胞遺伝子の調節異常及び減少した上皮間葉転換(EMT)を含む細胞表現型、を含むBMPシグナル伝達に起因する複数のプロセスが認められた。それ故、全身への影響及び解剖学的な制限を伴うことなく純粋に心筋発生に対するBMPシグナル伝達の効果を決定するために、BHMは良いモデル系であると考えられた。
【0136】
これらの実験では、2μmol/LのBMP受容体シグナル伝達阻害剤のドルソモルフィンを6日目以降に各培地を交換しながら加えた。13日目にドルソモルフィンで処置されたBHMはISL1をダウンレギュレートすることができなかったが、他のより成熟した心臓マーカーであるNKX2−5及びα−MHCの発現は変化しなかった(
図7a)。EMT関連遺伝子を調べると、CDH1、CHD2、SNAIL1、又はTGFβ2の発現に変化は全くなかったことが判明し、このことは、BHMにおいてEMT又はEMTを調節する因子は、13日目以後に変化しなかったことを示す(
図7a)。22日後にフローサイトメトリーを使用して、ドルソモルフィン処置群において活動的な細胞周期にあるより多くの心筋細胞が存在したことが判明した(
図7b)。しかし、ドルソモルフィンでの処置は、心筋細胞数を変化させなかったことが判明した(
図7c)。また、ドルソモルフィン処置群において、1つのBHMあたりの総細胞数、並びに心筋細胞(α−アクチニン
+)及び間質細胞(CD90
+)の画分は変化しなかったことが判明した(データは示されていない)。これらの類似性にも関わらず、ドルソモルフィン処置BHMでは対照群の47%まで単収縮張力/収縮力の大きな減少があった(
図7d)。興味深いことに、ドルソモルフィン処置BHMでは、イソプレナリンに対するBHM応答性の変化も、心筋細胞のサイズの変化もなかった(データは示されていない)。
【0137】
増加した細胞周期の活動は、増加した心筋細胞数及び低下した単収縮張力をもたらさなかったので、酸素濃度がBHMにおける心筋細胞数を制限し得るかどうかを計算した。これが事実であったかどうかを決定するために、数学的にモデル化された酸素拡散プロファイルは、文献に報告されたモデル及び異なるBHM条件のパラメーター(細胞数、心筋細胞画分及びサイズ)に基づいた。心筋細胞数が125%まで増加したとしても、対照BHMについてのパラメーターを使用した場合、低酸素領域は存在しなかったことが判明した(データは示されていない)。
【0138】
まとめると、本データは、ドルソモルフィンを使用したBMP阻害により、増加した増殖状態がもたらされることを示唆し、これはマウスのインビボでの実験と一致する結果である。しかし、心筋細胞数は全く増加せず、このことは、アポトーシスが増加しているか又は心筋細胞が2つ核を有するかのいずれかであることを示す。機序に関わらず、BMPシグナル伝達の阻害により、より弱い収縮力(及びまた、1つの心筋細胞あたりより低い力)及び劣った心筋組織を生じる組織表現型に再現性が得られた。
【0139】
B27(登録商標)に置き換わるカスタムメイドなサプリメント
BHMは、標準的なBHMプロトコールに従って無血清条件下で未分化hESCから作製された。標準的なプロトコールは、B27(登録商標)サプリメントを含む。この実験ではB27(登録商標)サプリメントは、規定のカスタムメイドなサプリメント(CMS、表4)によって置き換えられた。
【0140】
結果は、B27(登録商標)をCMSによって置き換えることができることを示す。力は類似し、またBHM内に作製された心筋細胞の数も同等である(
図9)。
【0141】
[結論]
I型コラーゲンヒドロゲルにおけるPSCの定方向の分化を使用して、本出願は、無血清条件下でBHMの構築を誘導することが可能であることを示す。BHMは、薬理学的研究、発生プロセスの研究、心臓成熟プロセス、及びまた可能性ある再生適用を含む、複数の適用を有する。
【0142】
これらの実施例では、新規に開発されたプロトコールの強さは、分化のための複数の培養フォーマット及び複数の株を使用することによって示された。しかし、実験間の分化効率は一貫していたが、異なる試薬のバッチを使用した場合には効率が変化したことが注記される。それ故、インビトロ及び可能性ある治療適用の両方のための、一貫しかつ定まった特性を有するBHMを作製するために、厳密な試薬の品質管理を確立することが賢明である。
【0143】
[方法]
PSC培養
HES2−ROSA26−RFP(Irion et al. Nat Biotechnol 25, 1477-1482 (2007))細胞をGordon Kellerから入手し、HES3細胞をEmbryonic Stem Cell International(ESI、シンガポール)から入手した。hIPSを、製造業者の説明書に従ってCytotune初期化キット(Applied Biosystems)を使用してヒト歯肉の生検材料から得られた線維芽細胞から作製した。
【0144】
IPS作製用に、ウイルスによる形質導入から6日後、線維芽細胞を、線維芽細胞用培地(高グルコースのDMEM、2mmol/Lのグルタミン、10%FBS(PAA)、100IU/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、特に指示されない限りは全てGibco製)中の放射線照射されたマウス胚性線維芽細胞上に蒔いた。翌日、培地を、PSC培地(20%ノックアウト血清代替品(KSR、Gibco)、2mmol/Lのグルタミン、100IU/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、1%非必須アミノ酸(Gibco)、及び10ng/mlのFGF2(Miltenyi Biotec)の補充されたノックアウトDMEM(Gibco))と交換した。出現したiPSコロニーを機械で拾い上げ、1mg/mlのコラゲナーゼNB6(Cresent Chemical Company)を使用して週1回継代培養することによって増殖させた。
【0145】
実験用に、hPSCは、PSC培地中で放射線照射されたヒト包皮線維芽細胞(HFF)上で適合させかつ培養された単細胞であり、毎日培地を交換し3分間のTrypLE(Gibco)による処理を使用して週1回継代培養を行なった(Ellerstrom et al., Stem Cells 25, 1690-1696 (2007))。特性決定又は分化実験の前に、hPSCを、PBS(Gibco)でコーティングされたプレート中の1:30マトリゲル(Millipore)上に、HES2については2.5×10
4個の細胞/cm
2で、又はHES3及びhIPS株については5×10
4個の細胞/cm
2で蒔き、FGF−2を除いたPSC培地と10ng/mLのFGF2を含むHFF馴らし培地(HFF−CM、5日目のコンフルエントな放射線照射されたHFF培養液から収集)との1:1中で3日間培養した。hIPS株も10μmol/LのY−27632(Stemgent)を受けた。3分間のTrypLEによる処理を使用して継代培養することによって実験用にhPSCを収集し、その後、適切なフォーマット中で培養した。
【0146】
多能性幹細胞株を試験キット(Lonza)を使用してマイコプラズマについて定期的に試験し、標準的なアッセイを使用して特性を決定した。多能性マーカーをPCR(内因性OCT4、SOX2、KLF4、MYC)、qPCR(OCT4、NANOG、REX1、DNMT3B)及び免疫染色(OCT4、NANOG、TRA−1−60)を介して評価した(Chan et al. Nat Biotechnol 27, 1033-1037 (2009))。OCT4プロモーターの脱メチル化を、バイサルファイトシーケンシング法を介して確認した(Freberg et al. Mol Biol Cell 18, 1543-1553 (2007))。核型分析を使用して、遺伝子異常があるかどうかを決定した(Campos et al. J Vis Exp 4 (2009))。多能性を、4〜6×10
6個の細胞の側腹部への注射を介したSCIDマウスにおける奇形腫の形成を介して確認した。
【0147】
分化用培地
その後、分化実験用に、hPSCを1mmol/Lのピルビン酸ナトリウム、100IUのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン及び2%のB27サプリメント(SF培地、全てGibco製)及び示されている様々な因子の補充されたRPMI 1640中で培養した。この研究に使用された因子としては、L−アスコルビン酸2リン酸セスキマグネシウム塩水和物(Sigma)、BMP4(R&D Systems)、アクチビンA(R&D Systems)、FGF2(Miltenyi Biotec)、ドルソモルフィン(Stemgent)、CHIR99021(Stemgent)、IWP4(Stemgent)、及びTGFβ1(Peprotech)が挙げられる。
【0148】
二次元の心臓への分化
心臓への分化をHES2株で最適化した。HES2 hPSCを、1:30のマトリゲル/PBSでコーティングされたプレート上に5×10
4個の細胞/cm
2(HES3株及びhIPS株については1×10
5個の細胞/cm
2)で蒔き、FGF−2を除いたPSC培地と10ng/mlのFGF2を含むHFF馴らし培地(HFF−CM、5日目のコンフルエントな放射線照射されたHFF培養液から収集)との1:1中で培養した。hIPS株については、10μMのY−27632をこの培地に加えた。1日後、細胞をRPMI培地で濯ぎ、その後、各図で示されているように24ウェルプレートの各ウェル中の0.5mlの培地を用いて分化させた。各図のプロトコールの詳細が
図8に概説されている。
【0149】
BHMの形成
BHMの形成をHES2株で最適化した。HES2 hPSCを1:1で、FGF−2を除いたPSC培地及び10ng/mlのFGF2を含むHFF馴らし培地(HFF−CM、5日目のコンフルエントな放射線照射されたHFF培養液から収集)に懸濁し、I型コラーゲンヒドロゲルと混合した。HES3株及びhIPS株については、10μMのY−27632も培地に加えた。I型コラーゲンマトリックスを、酸に溶かしたウシI型コラーゲン(Devro)と、等容量の2×DMEM(Gibco)を用いて製剤化し、0.1Mの水酸化ナトリウムを使用して中和した。hPSC/I型コラーゲンマトリックスを製剤化して、1mg/mlのI型コラーゲン最終濃度、及び170μlあたり5×10
5個のhPSCとした。HES3株及びhIPS株については、170μlあたり1×10
6個及び0.5×10
6個の細胞をそれぞれ使用した。各々のBHMのために、hPSC/I型コラーゲンマトリックス 170μlをピペットで、ポリ(ジメチルシロキサン)(Sylgard, Dow Corning)を使用して製造された環状の型(内径=4mm、外径=10mm)に入れた。37℃のインキュベーター中で10分間培養した後、コラーゲンはゲル化し、1つのBHMあたり、1:1のヒト包皮線維芽細胞−10ng/mlのFGF2を含む馴らし培地 1.25mlを加えた。翌日、BHMをRPMI培地で濯ぎ、その後、1つのBHMあたり培地 1.25mlを用いて、各図に示されているように分化させた。13日目にBHMを、示されているように機械的刺激装置に移した。各図のプロトコールの詳細は
図8に概説されている。
【0150】
細胞の解離
二次元培養物をPBSで濯ぎ、次いで、PBS中の1mg/ml I型コラゲナーゼ(Sigma)+20%ウシ胎児血清(FBS, Applied Biosystems)中で1時間インキュベートすることによって解離した。その後、細胞をチューブに収集し、PBSで濯ぎ、0.25%トリプシン−EDTA(Applied Biosystems)と共に5分間インキュベートし、その後、FBSを含有する培地で濯いだ。
【0151】
最初のBHM消化プロトコールについては、BHMを、PBS中0.025mg/mlのリベラーゼTM(Roche)、30mMの2,3−ブタンジオンモノオキシム中で37℃で60分間、解離した。細胞表面マーカーを保存するために、BHMを、二次元消化と同じプロトコールを使用して解離した。
【0152】
定量PCR(qPCR)
細胞、BHM、又はヒト心臓生検材料を収集し、製造業者の説明書(Applied Biosystems)に従ってトリゾールを使用してRNA抽出するまで−80℃で保存した。その後、RNA 1μgをDNAse(Roche)で処理し、その後、ハイキャパシティcDNA逆転写キット(Applied Biosystems)を使用してcDNA合成を行なった。
【0153】
qPCRを384ウェルフォーマットAB7900HT(Applied Biosystems)でFast SYBR Greenマスターミックス(Applied Biosystems)を使用して行なった。本発明者らの全ての実験において条件間で一貫して発現していることを見出したハウスキーピング遺伝子としてのGAPDHを使用して、遺伝子発現を2
−ΔCt又は2
−ΔΔCtを使用して標準化した。プライマーの詳細を以下の表1に示す。
【0154】
【表1】
【0155】
免疫染色
1mmol/Lのピルビン酸ナトリウム、100IU/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシンの補充されたRPMI1640中20%FBS(Gibco)中で24時間、消化された心臓分化細胞を、0.1%のゼラチンでコーティングされたスライドガラス上に蒔いた。その後、細胞を室温でHistofix(Roti)で10分間固定した。その後、細胞を、PBS(ブロック緩衝液)中の5%FBS、1%ウシ血清アルブミン(Sigma)及び0.5%Triton X-100(Sigma)中で30分間ブロックした。その後、細胞をブロック緩衝液中の一次抗体で90分間染色し、その後、ブロック緩衝液中の二次抗体及びヘキストで室温で60分間染色した(表2)。染色された細胞をZeiss 710共焦点顕微鏡を使用して画像撮影した。
【0156】
【表2】
【0157】
ホールマウント免疫染色
BHMを4℃で2〜4時間Histofix中で固定した。その後、BHMを一次抗体で2〜3日間染色し、その後、二次抗体及びファロイジン546/ヘキストで4℃で2〜3日間染色した(表2)。染色されたBHMをZeiss 710共焦点顕微鏡を使用して画像撮影した。
【0158】
フローサイトメトリー
細胞を生きたままで染色するか、又は、室温で10分間Histofixを使用するか又はエタノールを使用して固定した。細胞を、細胞表面マーカー(TRA−1−60を除く)についてPBS(膜ブロック緩衝液)中の5%FBS中で染色し、内部マーカーについてはブロック緩衝液中で染色した。その後、細胞をブロック緩衝液中の一次抗体で45分間染色し、その後、ブロック緩衝液中の二次抗体及びヘキストで4℃で30分間染色した(表2)。BD LSRIIをフローサイトメトリー分析(BD Biosystems)のために使用した。生細胞集団を前方側方散乱プロファイルに基づいてゲートにかけ;固定された細胞集団をヘキスト染色に基づいてゲートにかけた。BD FACSDivaソフトウェア(BD Biosystems)又はCyflologic v1.2.1(Cyflo Ltd)を分析に使用した。
【0159】
収縮の測定
収縮実験を、37℃の浴槽中で、120mMのNaCl、1mMのMgCl
2、0.2mMのCaCl
2、5.4mMのKCl、22.6mMのNaHCO
3、4.2mMのNaH
2PO
4、5.6mMのグルコース、及び0.56mMのアスコルビン酸を含有するタイロード溶液中で生理的pHを維持するために5%CO
2/95%O
2を絶えずバブリングして、行なう。カルシウムを0.2Mの塩化カルシウム溶液を使用して調整した。ほぼ胎児の心拍数でペーシングするために、全てのBHMを、200mAの5ms矩形波のパルスを用いて3Hzでまず分析した。BHMをLmaxまで、すなわち、組織長が最大となるまで125μmの間隔で機械的に伸展させ、単収縮張力/収縮力を、最大変力活性のカルシウム濃度(2mmol/L;フランク−スターリング機序)の存在下で記録した。続いて、BHMを異なるカルシウム濃度(0.2、0.4、0.8、1.2、1.6、2.0、2.4mM)にかけ、単収縮力を記録した。イソプレナリン実験については、カルシウム濃度を0.6mMに調整し、続いてイソプレナリン濃度を1μMに調整した。
【0160】
酸素拡散プロファイル
酸素拡散プロファイルを、酸素消費量の濃度依存性を用いる、シリンダー拡散の偽定常状態の近似の数値解析を使用して作成した(式1)。文献(Brown et al. Biotechnol Bioeng 97, 962-075 (2007))からのパラメーター及び以前の実験で決定されたパラメーターを使用した(表3)。数値解析及びプロッティングを、ソルバーbvp4c及び特異項のオプションを用いる、MATLAB V12(Mahworks)を使用して行なった。
【0161】
【数1】
【0162】
C
O2−半径位置の関数としての酸素濃度、r−シリンダー中の半径位置、D
O2−酸素拡散定数、V
max−心筋細胞による最大酸素発生速度、ρ
心筋細胞−心筋細胞の密度、α−酸素濃度に対する酸素発生速度依存性に関する定数
【0163】
【表3】
【0164】
統計分析
全てのデータを平均値±標準誤差として示す。各データセットについて適切な統計分析を、グラフパッドプリズム又はマイクロソフトエクセルを使用して図の説明文に示されているように使用した。
【0165】
B27(登録商標)に置き換わるカスタムメイドなサプリメント
【0166】
【表4】
【0167】
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