特許第6681851号(P6681851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681851
(24)【登録日】2020年3月26日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】炭酸泉からの二酸化炭素抽出方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/20 20060101AFI20200406BHJP
   B01D 19/00 20060101ALI20200406BHJP
   C12N 1/12 20060101ALI20200406BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20200406BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20200406BHJP
   A61H 33/02 20060101ALN20200406BHJP
【FI】
   C02F1/20 A
   B01D19/00 Z
   C12N1/12 A
   C12N1/20 A
   C01B32/50
   !A61H33/02 A
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-79466(P2017-79466)
(22)【出願日】2017年4月13日
(65)【公開番号】特開2018-176070(P2018-176070A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】301069030
【氏名又は名称】株式会社トヨタ車体研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100174791
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 敬義
(72)【発明者】
【氏名】東園 雄太
(72)【発明者】
【氏名】藤井 知美
【審査官】 菊地 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−000579(JP,A)
【文献】 特開2001−058178(JP,A)
【文献】 実開昭60−083005(JP,U)
【文献】 特開2016−093119(JP,A)
【文献】 特開2010−088368(JP,A)
【文献】 特開2017−000940(JP,A)
【文献】 特開2017−046616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/20
B01D 19/00
C02F 1/20
C01B 32/50
C12N 1/12
C12N 1/20
A61H 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然温泉由来の炭酸泉から二酸化炭素を抽出する二酸化炭素抽出方法であって,
二酸化炭素抽出前に,炭酸泉に対し,攪拌による物理刺激を与える物理刺激工程を含むことを特徴とする二酸化炭素抽出方法。
【請求項2】
前記二酸化炭素抽出前に,
炭酸泉のpHを調整するpH調整工程,
炭酸泉の温度を調整する温度調整工程,
これら工程のいずれか又は複数をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素抽出方法。
【請求項3】
前記pH調整工程において,炭酸泉のpHを8.0以下に調整を行うことを特徴とする請求項2に記載の二酸化炭素抽出方法。
【請求項4】
前記pHが,6.2以下であることを特徴とする請求項3に記載の二酸化炭素抽出方法。
【請求項5】
前記pHが,5.2以下であることを特徴とする請求項4に記載の二酸化炭素抽出方法。
【請求項6】
前記撹拌における回転数が,150rpm以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載に二酸化炭素抽出方法。
【請求項7】
前記温度調整における炭酸泉の温度が,20度以上に調整してなることを特徴とする請求項2から6いずれかに記載の二酸化炭素抽出方法。
【請求項8】
請求項1から7いずれかに記載の二酸化炭素抽出方法により抽出された二酸化炭素を用いて,微細藻類の培養を行うことを特徴とする培養方法。
【請求項9】
請求項1から7いずれかに記載の二酸化炭素抽出方法により二酸化炭素抽出後の炭酸泉を用いて,微細藻類の培養を行うことを特徴とする培養方法。
【請求項10】
前記微細藻類が,シアノバクテリア,珪藻,黄緑藻,渦鞭毛藻,紅藻,褐藻,緑藻のいずれか又は複数から選択されることを特徴とする請求項8又は9に記載の培養方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,炭酸泉からの二酸化炭素抽出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸泉とは,広義には,二酸化炭素が含まれた水またはお湯として定義される。炭酸泉の主たる用途の一つとして,温泉水としての利用がある。
すなわち,地下水から得られる天然の炭酸泉(以下,単に「天然炭酸泉」という)は,二酸化炭素を豊富に含むものであり,ほとんどそのままの状態で温泉(風呂湯)として利用されてきた。天然炭酸泉は,二酸化炭素に由来する保温効果や血行促進効果などがあるとされ,その効果などから,長らく人々に愛されてきたものである。このような事情もあって,天然温泉水が入手できない環境でも利用可能なように,人工での炭酸泉製造に関する技術の開発が行われている(特許文献1,2)。
【0003】
加えて天然炭酸泉は,二酸化炭素のみならず,豊富な塩類を含むことが知られている。このような天然炭酸泉の性質から天然炭酸泉中において微生物が生息しており,また,天然炭酸泉からクロレラ属の緑藻が得られることが知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−288052
【特許文献2】特開2007−014482
【特許文献3】特開2000−078966
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献3には,天然炭酸泉からクロレラ属の緑藻が得られること,ならびに緑藻を含む天然炭酸泉を培地に加え予備的な培養を行うことが開示されている。
すなわち,この先行技術においては,天然炭酸泉において緑藻が含まれること,ならびに緑藻が生存可能であることを開示・示唆するものに過ぎず,あくまで緑藻を得るための手段として,天然炭酸泉の一部が用いられているに過ぎない。
【0006】
発明者らは,藻類からの油脂抽出に関する研究を行っており,藻類の大量培養の観点から,天然炭酸泉の利用可能性に着目し,研究を開始したものである。
【0007】
上記事情を背景として本発明では,炭酸泉を用いた藻類の大量培養のための基礎的技術の開発を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは,鋭意研究の結果,炭酸泉から二酸化炭素を抽出し用いることに着想し,発明を完成させた。加えて,二酸化炭素抽出後の天然炭酸泉を利用し,これを培養液として補完的に用いることに着想し,発明を完成させたものである。
【0009】
本発明は,以下の構成からなる。
本発明の第一の構成は,炭酸泉から二酸化炭素を抽出することを特徴とする二酸化炭素抽出方法である。
【0010】
本発明の第二の構成は,前記二酸化炭素抽出前に,炭酸泉のpHを調整するpH調整工程,炭酸泉に物理刺激を与える物理刺激工程,炭酸泉の温度を調整する温度調整工程,
これら工程のいずれか又は複数を含むことを特徴とする第一の構成に記載の二酸化炭素抽出方法である。
本発明の第三の構成は,前記pH調整工程において,炭酸泉のpHを8.0以下に調整を行うことを特徴とする第二の構成に記載の二酸化炭素抽出方法である。
本発明の第四の構成は,前記pHが,6.2以下であることを特徴とする第三の構成に記載の二酸化炭素抽出方法である。
本発明の第五の構成は,前記pHが,5.2以下であることを特徴とする第四の構成に記載の二酸化炭素抽出方法である。
本発明の第六の構成は,前記物理刺激が,撹拌により行われることを特徴とする第二の構成に記載の二酸化炭素抽出方法である。
本発明の第七の構成は,前記撹拌における回転数が,150rpm以上であることを特徴とする第六の構成に記載に二酸化炭素抽出方法である。
本発明の第八の構成は,前記温度調整における炭酸泉の温度が,20度以上に調整してなることを特徴とする第一から第七の構成に記載の二酸化炭素抽出方法である。
【0011】
本発明の第九の構成は,第一から第八の構成に記載の二酸化炭素抽出方法により抽出された二酸化炭素を用いて,微細藻類の培養を行うことを特徴とする培養方法である。
本発明の第十の構成は,第一から第八の構成に記載の二酸化炭素抽出方法により二酸化炭素抽出後の炭酸泉を用いて,微細藻類の培養を行うことを特徴とする培養方法である。
本発明の第十一の構成は,前記微細藻類が,シアノバクテリア,珪藻,黄緑藻,渦鞭毛藻,紅藻,褐藻,緑藻のいずれか又は複数から選択されることを特徴とする第九又は第十の構成に記載の培養方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により,炭酸泉を用いた藻類の大量培養のための基礎的技術の提供が可能となった。
すなわち,本発明の二酸化炭素抽出方法によれば,炭酸泉から二酸化炭素を抽出することができ,この二酸化炭素を微細藻類の培養に用いることが可能となる。加えて,二酸化炭素抽出後の炭酸泉を微細藻類の培養に用いることも可能であり,これら一連の技術を用いることにより,炭酸泉を用いた微細藻類の大量培養が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】冷蔵保存の有無,それぞれの炭酸泉サンプルにおいて,pH変化による二酸化炭素発生量を測定した結果を示した図
図2】冷蔵保存の有無,それぞれの炭酸泉サンプルにおいて,撹拌回転数変化による二酸化炭素発生量を測定した結果を示した図
図3】冷蔵保存後の炭酸泉サンプルにおいて,湯煎温度変化による二酸化炭素発生量を測定した結果を示した図
図4】冷蔵保存後の図1とは異なる炭酸泉サンプルにおいて,pH変化による二酸化炭素発生量を測定した結果を示した図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の二酸化炭素抽出方法について,説明を行う。
【0015】
本発明の二酸化炭素抽出方法は,炭酸泉から二酸化炭素を抽出することを特徴とする。抽出された二酸化炭素は,微細藻類の培養等に用いることができるが,これに限定する必要はない。すなわち,本発明の趣旨に鑑み,抽出された二酸化炭素は,適用が可能なあらゆる用途に用いることができる。
【0016】
本発明において炭酸泉とは,二酸化炭素が含まれた水またはお湯として定義される。また,二酸化炭素としては,分子そのものが水等に溶解している場合のみならず,炭酸イオンとして溶解している場合も含まれるものである。
炭酸泉として,典型的には,二酸化炭素を含有する温泉水を用いることができる。このような温泉水としては,例えば,霧島山系に属する温泉水(鹿児島県霧島市や宮崎県高原町由来のもの)が挙げられる。
本発明における炭酸泉は,温泉水のような自然発生的に生じる天然炭酸泉を原則として用いるものであるが,人工的に生じる炭酸泉を完全に排除する趣旨ではない。すなわち,本発明の趣旨に鑑み,二酸化炭素抽出の観点から,何らかの理由で人工的に発生した二酸化炭素を含む水等について,本発明を適用してもよい。
【0017】
本発明において,炭酸泉のpHを調整するpH調整工程,炭酸泉に物理刺激を与える物理刺激工程,炭酸泉の温度を調整する温度調整工程,これら工程のいずれか又は複数を含むことが好ましい。これにより,各工程を用いて,二酸化炭素の抽出(炭酸泉からの二酸化炭素排出)を,より精密に制御することが可能となり,本発明の二酸化炭素抽出方法の効率性を向上させる効果を有する。
例えば,温度を上げると二酸化炭素抽出を増やすことができるが,あえて温度を下げることにより,二酸化炭素抽出を減らす,もしくは抽出の構成から段階的に温度管理を行い特定のポイントで温度を上昇させ二酸化炭素排出を促すなどすることができる。
このように各工程単独で二酸化炭素抽出を制御することができるが,複数の工程を組み合わせることにより,より精密な二酸化炭素抽出量の管理が可能となり,本発明の有用性を向上させるものである。
【0018】
pH調整工程は,炭酸泉のpHを調整する工程である。pH調整工程は,炭酸泉pHの調整が可能な限り特に限定する必要はなく,種々の手法を用いることができる。典型的には,塩酸や水酸化ナトリウムなどを添加して,pHの調整を行えばよい。
本発明において,炭酸泉pHを8.0以下に調整を行うことが好ましい。これにより,炭酸泉からの二酸化炭素を効率的に抽出できるという効果を有する。また,pHについては,6.2以下であることがより好ましく,5.2以下であることがさらに好ましい。これらpH調整については,二酸化炭素抽出速度と抽出後の炭酸泉利用など,種々の観点から適宜調整することができる。
【0019】
物理刺激工程は,炭酸泉に物理刺激を与える工程である。物理刺激工程は,炭酸泉に物理刺激を与えうる限り特に限定する必要はなく,種々の手法を採用することができる。このような手法として,パドルや回転子などを用いて,回転撹拌したり叩き打ったりするなどが挙げられる。
本発明において,物理刺激を撹拌により行うことが好ましい。これにより,物理刺激を簡易かつ容易に構成でき,炭酸泉からの二酸化炭素をより効率的に行うことができるという効果を有する。撹拌における回転数については,抽出を行う炭酸泉の規模や物理刺激を行う構造などを考慮し適宜調整することができるが,典型的には,150rpm以上の回転数で撹拌を行えばよい。
【0020】
温度調整工程は,炭酸泉の温度を調整する工程である。温度調整工程は,炭酸泉の温度調整が可能な限り特に限定する必要はなく,種々の手法を採用することができる。
本発明において,炭酸泉温度を20度以上に調整することが好ましい。これにより,炭酸泉からの二酸化炭素を,より効率的に行うことができるという効果を有する。炭酸泉の温度調整については,温度調整が可能な限り特に限定する必要はなく,種々の手段を用いて温度調整を行うことができる。
また,天然炭酸泉の場合,採取時から20℃を超えている場合もあり,この場合は,二酸化炭素抽出量をコントロールするという観点から,温度を下げて冷やし,一時的に二酸化炭素抽出を抑制することもできる。
【0021】
本発明において,二酸化炭素抽出方法により抽出された二酸化炭素ないし炭酸泉を用いて,微細藻類の培養を行うことが好ましい。これにより,抽出された二酸化炭素,ならびに二酸化炭素抽出後の炭酸泉,これらの一部ないし全部を用いての微細藻類の培養が可能となり,微細藻類の効率的かつ安価な大量培養が期待できる。
本発明において用いられる微細藻類について,二酸化炭素を必要とする微細藻類に適用しうるものであり,種々の微細藻類を用いることができ,また,微細藻類について天然のものを用いてもよいし,遺伝子組み換え等を行った人工のものを用いてもよい。
このような微細藻類として例えば,シアノバクテリア,珪藻,黄緑藻,渦鞭毛藻,紅藻,褐藻,緑藻などが挙げられる。
【実施例】
【0022】
ここでは,実験例を用いて,本発明の二酸化炭素抽出方法について説明を行う。
【0023】
<<I.実験方法概要>>
1.炭酸泉は,既に炭酸泉として知られている複数地域でサンプルを入手した。炭酸泉サンプルについては,以降,下記のとおり表記する。
炭酸泉サンプルA…宮崎県高原町由来の炭酸泉サンプル
炭酸泉サンプルB…鹿児島県霧島市由来の炭酸泉サンプル
【0024】
2.炭酸泉サンプルを入手後,速やかに密閉し,実験室に輸送した後,速やかに冷蔵保存を行い,実験時に各実験条件に定めた所定の温度にして使用した。また,一部の検討においては,入手後,冷蔵保存を行わず,そのままの状態で遅滞なく検討を行った。
3.炭酸泉を密閉フラスコ内に入れ,各種実験条件に調整を行い,炭酸泉から気泡が1つ発生してから所定時間内に発生する気泡を,水で満たした10mLメスシリンダー中に誘導・回収を行った。
4.メスシリンダー中において,減った水の量(気泡として空洞となった量)を測定し,二酸化炭素の発生量とした。
5.pHについては,予備検討を行ったうえで,塩酸または水酸化ナトリウムを所定量,炭酸泉に加え,事後的にpHの確認を行った。
6.回転については,密閉フラスコ内に回転子を入れ,スターラーの回転数を設定することにより,調整を行った。
7.温度については,水もしくはお湯が入ったボウルに密閉フラスコを入れ,湯煎による温度調整を行った。
【0025】
<<II.実験結果>>
<実験1.pH変化による二酸化炭素発生量の変化>
炭酸泉のpHを変化させ,二酸化炭素発生量がどのように変化するかを調べるため,炭酸泉サンプルAを用いて検討を行った。
【0026】
1.検討を行った結果を図1に示す。なお,炭酸泉サンプルを200mL,回転数を300rpm,温度を常温にて実験を行った。
(1) pHが8.0を超えると,二酸化炭素の発生はほとんど見られなかった。
(2) 一方,pHが7あたりから二酸化炭素の発生が見られ,特に,pH6あたりから急激に二酸化炭素の発生量が増加していった。
【0027】
2.炭酸泉サンプルを入手し,冷蔵保存を行わず,即日に検討を行った結果を図1に示す。なお,炭酸泉サンプルを200mL,回転数を300rpm,温度を常温にて実験を行った。
(1) pH7.1において,二酸化炭素の発生(2.4mL)が確認された。
(2) 一方,pH2.3においては,34.2mLの二酸化炭素発生が確認され,pH7.1と比較すると,およそ14倍であった。
【0028】
3.これらの結果から,炭酸泉において,下記のことが分かった。
(1) pH8.0未満にpHを調整すれば二酸化炭素を得ることができる。
(2) pH6.2以下でより効果的に二酸化炭素を発生させることができる。
(3) pH5.2以下でさらに効果的に二酸化炭素を発生させることができる。
【0029】
<実験2,回転数変化による二酸化炭素発生量の変化>
撹拌を行う際の回転子の回転数を変化させ,二酸化炭素発生量がどのように変化するかを調べるため,炭酸泉サンプルAを用いて検討を行った。
【0030】
1.回転数を複数変化させ検討を行った結果を図2に示す。なお,炭酸泉サンプルを200mL,pHを2.2〜2.3,温度を常温にて実験を行った。
(1) 回転数が100rpm未満においては,発生量の変化はほとんど見られなかった。
(2) 回転数が150rpmを超えると発生量は直線的に増加していった。
【0031】
2.炭酸泉サンプルを入手し,冷蔵保存を行わず,即日に検討を行った結果を図2に示す。なお,炭酸泉サンプルを200mL,pHを2.2〜2.3,温度を常温にて実験を行った。
(1) 回転数が100rpm未満においては,発生量の変化はほとんど見られなかった。
(2) 一方,回転数が150rpmにおいては,100rpm未満と比較して,およそ2倍の発生量であった。
【0032】
3.これらの結果から,下記のことが分かった。
(1) 回転数が100rpm未満の場合,発生量に関する大きな変化は見られない。
(2) 回転数が150rpmを超えると,発生量が直線的に増加していく。
【0033】
<実験3,温度変化による二酸化炭素発生量の変化>
炭酸泉の温度を変化させ,二酸化炭素発生量がどのように変化するかを調べるため,炭酸泉サンプルAを用いて検討を行った。
【0034】
1.結果を図3に示す。なお,炭酸泉サンプルを200mL,pHを2.3,回転数を300rpmにて実験を行った。なお,図3中,それぞれの炭酸泉サンプルについて,フラスコ内の温度を実測値で表記している。
(1) 17.1℃では発生量は小さく,22.4℃で十分と評価しうる発生量が得られた。
(2) また,全体として,温度が高くなるほど,発生量が高くなる傾向が見られ,特に,32.6℃を超えると十分な二酸化炭素発生量であることが分かった。
2.実験方法の限界もあり,湯煎開始ですぐに目的温度に炭酸泉が到達できるわけではなく,また,実測に至る前には既に二酸化炭素発生が始まっていることから,評価が難しいが,おおむね,20℃以上で十分な二酸化炭素発生量が得られ,30℃以上でさらに好ましい二酸化炭素発生量が得られると考えられた。
【0035】
<実験4.異なる炭酸泉サンプルを用いたpH変化による二酸化炭素発生量の変化>
実験1とは異なる炭酸泉サンプルを用いて,同様の検討を行った。
【0036】
1.結果を図4に示す。なお,炭酸泉サンプルを200mL,回転数を300rpm,温度を常温にて実験を行った。
(1) pHが8.0を超えると,炭酸泉サンプルAと同様,二酸化炭素の発生はほとんど見られなかった。
(2) 一方,pHが7あたりから二酸化炭素の発生が見られ,バラツキはあるものの直線的に発生量が増加していった。
2.これより,pH8.0未満にpHを調整すれば二酸化炭素を得ることができること,また, pH7.2以下でより効果的に二酸化炭素を発生させることができることが確認された。


図1
図2
図3
図4