【実施例】
【0022】
ここでは,実験例を用いて,本発明の二酸化炭素抽出方法について説明を行う。
【0023】
<<I.実験方法概要>>
1.炭酸泉は,既に炭酸泉として知られている複数地域でサンプルを入手した。炭酸泉サンプルについては,以降,下記のとおり表記する。
炭酸泉サンプルA…宮崎県高原町由来の炭酸泉サンプル
炭酸泉サンプルB…鹿児島県霧島市由来の炭酸泉サンプル
【0024】
2.炭酸泉サンプルを入手後,速やかに密閉し,実験室に輸送した後,速やかに冷蔵保存を行い,実験時に各実験条件に定めた所定の温度にして使用した。また,一部の検討においては,入手後,冷蔵保存を行わず,そのままの状態で遅滞なく検討を行った。
3.炭酸泉を密閉フラスコ内に入れ,各種実験条件に調整を行い,炭酸泉から気泡が1つ発生してから所定時間内に発生する気泡を,水で満たした10mLメスシリンダー中に誘導・回収を行った。
4.メスシリンダー中において,減った水の量(気泡として空洞となった量)を測定し,二酸化炭素の発生量とした。
5.pHについては,予備検討を行ったうえで,塩酸または水酸化ナトリウムを所定量,炭酸泉に加え,事後的にpHの確認を行った。
6.回転については,密閉フラスコ内に回転子を入れ,スターラーの回転数を設定することにより,調整を行った。
7.温度については,水もしくはお湯が入ったボウルに密閉フラスコを入れ,湯煎による温度調整を行った。
【0025】
<<II.実験結果>>
<実験1.pH変化による二酸化炭素発生量の変化>
炭酸泉のpHを変化させ,二酸化炭素発生量がどのように変化するかを調べるため,炭酸泉サンプルAを用いて検討を行った。
【0026】
1.検討を行った結果を
図1に示す。なお,炭酸泉サンプルを200mL,回転数を300rpm,温度を常温にて実験を行った。
(1) pHが8.0を超えると,二酸化炭素の発生はほとんど見られなかった。
(2) 一方,pHが7あたりから二酸化炭素の発生が見られ,特に,pH6あたりから急激に二酸化炭素の発生量が増加していった。
【0027】
2.炭酸泉サンプルを入手し,冷蔵保存を行わず,即日に検討を行った結果を
図1に示す。なお,炭酸泉サンプルを200mL,回転数を300rpm,温度を常温にて実験を行った。
(1) pH7.1において,二酸化炭素の発生(2.4mL)が確認された。
(2) 一方,pH2.3においては,34.2mLの二酸化炭素発生が確認され,pH7.1と比較すると,およそ14倍であった。
【0028】
3.これらの結果から,炭酸泉において,下記のことが分かった。
(1) pH8.0未満にpHを調整すれば二酸化炭素を得ることができる。
(2) pH6.2以下でより効果的に二酸化炭素を発生させることができる。
(3) pH5.2以下でさらに効果的に二酸化炭素を発生させることができる。
【0029】
<実験2,回転数変化による二酸化炭素発生量の変化>
撹拌を行う際の回転子の回転数を変化させ,二酸化炭素発生量がどのように変化するかを調べるため,炭酸泉サンプルAを用いて検討を行った。
【0030】
1.回転数を複数変化させ検討を行った結果を
図2に示す。なお,炭酸泉サンプルを200mL,pHを2.2〜2.3,温度を常温にて実験を行った。
(1) 回転数が100rpm未満においては,発生量の変化はほとんど見られなかった。
(2) 回転数が150rpmを超えると発生量は直線的に増加していった。
【0031】
2.炭酸泉サンプルを入手し,冷蔵保存を行わず,即日に検討を行った結果を
図2に示す。なお,炭酸泉サンプルを200mL,pHを2.2〜2.3,温度を常温にて実験を行った。
(1) 回転数が100rpm未満においては,発生量の変化はほとんど見られなかった。
(2) 一方,回転数が150rpmにおいては,100rpm未満と比較して,およそ2倍の発生量であった。
【0032】
3.これらの結果から,下記のことが分かった。
(1) 回転数が100rpm未満の場合,発生量に関する大きな変化は見られない。
(2) 回転数が150rpmを超えると,発生量が直線的に増加していく。
【0033】
<実験3,温度変化による二酸化炭素発生量の変化>
炭酸泉の温度を変化させ,二酸化炭素発生量がどのように変化するかを調べるため,炭酸泉サンプルAを用いて検討を行った。
【0034】
1.結果を
図3に示す。なお,炭酸泉サンプルを200mL,pHを2.3,回転数を300rpmにて実験を行った。なお,
図3中,それぞれの炭酸泉サンプルについて,フラスコ内の温度を実測値で表記している。
(1) 17.1℃では発生量は小さく,22.4℃で十分と評価しうる発生量が得られた。
(2) また,全体として,温度が高くなるほど,発生量が高くなる傾向が見られ,特に,32.6℃を超えると十分な二酸化炭素発生量であることが分かった。
2.実験方法の限界もあり,湯煎開始ですぐに目的温度に炭酸泉が到達できるわけではなく,また,実測に至る前には既に二酸化炭素発生が始まっていることから,評価が難しいが,おおむね,20℃以上で十分な二酸化炭素発生量が得られ,30℃以上でさらに好ましい二酸化炭素発生量が得られると考えられた。
【0035】
<実験4.異なる炭酸泉サンプルを用いたpH変化による二酸化炭素発生量の変化>
実験1とは異なる炭酸泉サンプルを用いて,同様の検討を行った。
【0036】
1.結果を
図4に示す。なお,炭酸泉サンプルを200mL,回転数を300rpm,温度を常温にて実験を行った。
(1) pHが8.0を超えると,炭酸泉サンプルAと同様,二酸化炭素の発生はほとんど見られなかった。
(2) 一方,pHが7あたりから二酸化炭素の発生が見られ,バラツキはあるものの直線的に発生量が増加していった。
2.これより,pH8.0未満にpHを調整すれば二酸化炭素を得ることができること,また, pH7.2以下でより効果的に二酸化炭素を発生させることができることが確認された。