(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による保管装置は、以下のような構成を備える。
[項目1]
複数の保管ボックスと、
複数の前記保管ボックスで構成された表示面に対して少なくとも部分的に所定の画像を投影する投影部とを備えた
保管装置。
[項目2]
項目1に記載の保管装置であって、
前記画像は、前記表示面を構成する前記保管ボックスのそれぞれに対応する表示区画の集合により構成されている、
保管装置。
[項目3]
項目1又は項目2に記載の保管装置であって、
ネットワークを介して前記画像を取得する取得部を更に備えた、保管装置。
[項目4]
項目1乃至項目3のいずれかに記載の保管装置であって、
前記保管装置は、利用者
から仮想通貨による決済を受けることによって、施錠又は解錠を行う決済部を更に備えている、保管装置
[項目5]
互いにネットワークを介して接続された管理サーバとユーザ端末と配送者端末と保管装置とを利用した対象物の配送方法であって、
配送者が前記対象物を保管装置に保管した際に、前記配送者端末が、前記保管装置から保管ボックスに関するボックス識別子を取得し、当該ボックス識別子と前記対象物に関する対象物IDとを前記管理サーバに送信するステップと、
前記管理サーバが、少なくとも前記ボックス識別子と前記対象物IDとユーザIDとを含む預入情報を特定のネットワークにブロードキャストして共有するステップと、
前記ユーザ端末が、前記管理サーバに認証リクエストを送信するステップと、
前記管理サーバが、前記認証リクエストの正当性を前記特定のネットワークに問い合わせて検証し、正当性がある場合に前記保管ボックスを解錠するステップとを含む、
配送方法。
[項目6]
請求項1に記載の配送方法出であって、
前記管理サーバは、解錠された前記保管ボックスの前記ボックス識別子と、前記認証リクエストを送信した前記ユーザ端末に対応する前記ユーザIDと、前記保管ボックスに保管されていた前記対象物の前記対象物IDを特定のネットワークにブロードキャストして共有するステップを更に含む
配送方法。
[項目7]
請求項1又は請求項2に記載の配送方法であって、
前記特定のネットワークは、ブロックチェーンネットワークである、
配送方法。
[項目8]
互いにネットワークを介して接続された管理サーバとユーザ端末と配送者端末と保管装置とを含む対象物の保管システムであって、
配送者が前記対象物を保管場所に保管した際に、前記配送者端末が、前記保管装置から保管ボックスに関するボックス識別子を取得し、当該ボックス識別子と前記対象物に関する対象物IDとを前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバが、少なくとも前記ボックス識別子と前記対象物IDとユーザIDとを含む預入情報を特定のネットワークにブロードキャストして共有し、
前記ユーザ端末が、前記管理サーバに認証リクエストを送信し、
前記管理サーバが、前記認証リクエストの正当性を前記特定のネットワークに問い合わせて検証し、正当性がある場合に前記保管ボックスを解錠する、
保管システム。
【0010】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態による保管装置について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<概要>
本発明の実施の形態による保管装置100は、
図1(a)に示されるように、荷物を収納可能な複数の保管ボックス120を備えている所謂コインロッカーである。
【0012】
保管ボックス120の表面は、表示面101(図の点線部の領域:詳しくは後述する)を備えている。保管装置100の上部には、投影部150が設けられており、上述した表示面にそれぞれプロジェクションマッピング用の画像102を投影する(
図1(b))。なお、投影する画像は、適宜切り替えることができる。例えば、図示されるように、日本語の画像102から中国語の画像102’に変更することとしてもよい。
【0013】
図2に示されるように、本実施の形態においては、保管操作中央付近に位置する決済部160(決済部の役割については後述する)を挟んだ両側にそれぞれ投影部150が取り付けられており、画像102が投影される。なお、
【0014】
なお、投影部の位置上部に限らず、左右の端部から中央に向けて投影したり、下端から情報に向けて投影したり、中央の決済部の両端から左右のそれぞれに向けて投影することとしてもよい。また、投影部は、保管装置100から離れた場所に配置されていてもよい。
【0015】
図1に示されるように、本実施の形態による保管ボックスはそれぞれ被表示区画として、表示区画(後述)と対応している。保管ボックスのそれぞれは、縦方向に10行(x=1、2・・・10)と、横方向に7列(y=7)との区画を有している。
【0016】
より詳しくは、
図4及び
図5に示されるように、保管ボックスで構成される表示面に表示される画像(=投影部に提供される画像)は、保管ボックスの上記被表示区画に対応する表示区画の集合により構成されている。
【0017】
より詳しくは、
図3に示される被表示区画Lの区画L11、区画L17及び区画L107と、区画P11、区画P17及び区画P107とが対応している。
【0018】
すなわち、区画L11には画像のうち区画P11に描かれているイメージデータが表示され、区画L17には画像のうち区画P17に描かれているイメージデータが表示され、区画L107には画像のうち区画P107に描かれているイメージデータが表示される。
【0019】
図4(a)及び
図4(b)を比較して理解されるように、本実施の形態における画像は、保管ボックス毎に変更することが可能である。従って、例えば、日本語の表示から中国語に切り替える場合には、該当する部分だけ変更することとすればよい。例えば、
図4(a)の表示区画のうち、区画P81、P82、P83、P84、P91、P92、P93、P94、P101、P102、P103及びP104の部分のみを変更することとすればよい。
【0020】
少なくとも決済部150及び投影部160は、
図5に示される管理サーバ1とネットワーク10を介して接続されている。投影部160は、管理サーバ1から、画像を取得する。
【0021】
決済部150は、利用者から仮想通貨による決済を受けることによって、施錠又は解錠を行う。
【0022】
続いて、当該保管装置を利用した保管システムについて説明する。保管システムは、例えば、EC等において、ユーザがある商品を購入した際に当該商品を上述した保管装置を利用して安全にユーザに届けるものである。
【0023】
具体的には、設置された保管ボックス内の荷物をユーザが受け取る(取り出す)際に、ユーザ自身のICカード、スマートフォン等にインストールされたアプリケーションその他特定の機材を用いて、受取人であるユーザがブロックチェーンを活用した第三者認証を受けその正当性を担保するものである。
【0024】
ユーザは、所定のサーバ経由で自己の解錠要求の正当性を検証させる。正当性が証明されると保管ボックスが解錠され、ユーザは荷物を取り出すことができる。
【0025】
本実施の形態による保管システムは、配送者が保管ボックスに荷物を預け入れる段階と、配送者によって預け入れられた荷物を保管ボックスから受け取る段階とが少なくとも含まれる。
【0026】
<構成>
図5に示されるように、管理サーバ1を中心に、ユーザ端末2と、配送者端末3とが夫々ネットワーク(インターネット等)10を介して接続される所謂クライアントサーバモデルである。
【0027】
本実施の形態による保管装置100は、ユーザ端末2及び配送者端末3を介して管理サーバ1と接続される。本実施の形態による管理サーバ1は、ブロックチェーンネットワーク20と接続されている。
【0028】
<ハードウェア構成>
本実施の形態による管理サーバ1と、ユーザ端末2と、配送者端末3と、保管装置100とは、以下のようなハードウェア構成を有する。なお、以下の構成を一例であり、これ以外の構成を有していても良い。
【0029】
<管理サーバ1>
図6に示されるように、管理サーバ1は、ユーザ端末2と配送者端末3と通信を介して情報処理を実行することにより、保管システムの一部を構成する。管理サーバ1は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0030】
管理サーバ1は、少なくとも、プロセッサ10、メモリ11、ストレージ12、送受信部13、入出力部14等を備え、これらはバス15を通じて相互に電気的に接続される。
【0031】
プロセッサ10は、管理サーバ1全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えばプロセッサ10はCPU(Central Processing Unit)であり、ストレージ12に格納されメモリ11に展開されたプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0032】
メモリ11は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ11は、プロセッサ10のワークエリア等として使用され、また、管理サーバ1の起動時に実行されるBIOS(Basic Input / Output System)、及び各種設定情報等を格納する。
【0033】
ストレージ12は、アプリケーション・プログラム、及びブロックチェーンネットワークに対する認証プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベースがストレージ22に構築されていてもよい。
【0034】
送受信部13は、管理サーバ1をネットワーク10及びブロックチェーンネットワーク20に接続する。なお、送受信部13は、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)の近距離通信インタフェースを備えていてもよい。
【0035】
入出力部14は、キーボード・マウス類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。
【0036】
バス15は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0037】
<ユーザ端末2>
図7に示されるように、ユーザ端末2は、管理サーバ1及び保管装置100と通信を介して情報処理を実行することにより、保管システムの一部を構成する。ユーザ端末2は、例えばスマートフォン等の携帯通信機器等が挙げられるが、非接触型のカード型端末であってもよい。
【0038】
ユーザ端末2は、少なくとも、プロセッサ20、メモリ21、ストレージ22、送受信部23、入出力部24等を備え、これらはバス25を通じて相互に電気的に接続される。
【0039】
<配送者端末3>
図8に示されるように、配送者端末3は、管理サーバ1及び保管装置100と通信を介して情報処理を実行することにより、保管システムの一部を構成する。配送者端末3は、例えば配送者特有の端末であってもよいが、スマートフォン等の携帯通信機器等で代用することも可能であるし、非接触型のカード型端末であってもよい。
【0040】
配送者端末3は、少なくとも、プロセッサ30、メモリ31、ストレージ32、送受信部33、入出力部34等を備え、これらはバス35を通じて相互に電気的に接続される。
【0041】
<保管装置100>
図9に示されるように、保管装置100は、ユーザ端末2及び配送者端末3と通信を行い情報処理を実行することにより、保管システムの一部を構成する。保管装置100は、ロッカーに埋め込まれている端末であり、例えば、NFC(Near Field Communication:近距離無線通信)等によって、ユーザ端末2及び配送者端末3と通信を行うこととしてもよい。
【0042】
保管装置100は、少なくとも、プロセッサ30、メモリ31、ストレージ32、送受信部33、入出力部34等を備え、これらはバス35を通じて相互に電気的に接続される。
【0043】
<処理の流れ>
図10を参照して、本実施の形態による保管システムにおいて、配送者が荷物を預け入れる段階について説明する。
【0044】
図11に示されるように、配送者は荷物を配送ロッカーのうち空いているロッカーに収納する。配送者の配送者端末3と保管装置100とが通信を行うことによって、配送者端末3は当該配送者(配送者端末3)のID認証を保管装置100に行う(SQ802)。保管装置100は、荷物が収納されているボックスに関するボックスNo.を配送者端末3に通知するとともに(SQ804)、当該ボックスを施錠する(SQ806)。保管装置100から施錠が完了したことを伝える施錠通知が配送者端末3に送信されると(SQ808)、配送者端末3は預入完了通知を管理サーバ2に送信する(SQ810)。
【0045】
預入完了通知には、配送者のID、荷物ID、預け入れたボックスのボックスID、受取人(ユーザ)ID、預入時刻に関するタイムスタンプが含まれる。
【0046】
その後、管理サーバ1は、当該預入完了通知に含まれる情報を関連付けて、ブロックチェーンネットワーク20にブロードキャストすることにより(SQ812)、ネットワーク内で情報を共有する(ブロックを生成してチェーンに追加する)。
【0047】
一方、ユーザが当該荷物を受取る場合は次のようにして行う。即ち、
図12及び
図13に示されるように、ユーザは、自分の保有するユーザ端末3を用いて、管理サーバ1にロッカーを解錠することに関して、認証リクエストを送信する(SQ1004)。管理サーバ1は、ブロックチェーンネットワークに対して、当該認証リクエストの正当性(即ち、当該ユーザが保管ボックスを解錠する権利を有するものであるか否か)を検証する(SQ1008)。
【0048】
検証の結果、正当性が承認されると(SQ1010)、ユーザ端末3は保管装置100に対して解錠リクエストを送信する(SQ1012)。保管装置100は、解錠リクエストに応じて、対応する荷物が収納されているボックスを解錠する(SQ1014)。
【0049】
本実施の形態においては、荷物がユーザに受渡完了すると、受渡完了通知が保管装置100及びユーザ端末3を介して管理サーバ1に送信される(SQ1016及びSQ1018)。
【0050】
受渡完了通知には、配送者のID、荷物ID、預け入れたボックスのボックスID、受取人(ユーザ)ID、受取時刻に関するタイムスタンプが含まれる。
【0051】
その後、管理サーバ1は、当該受渡完了通知に含まれる情報を関連付けて、ブロックチェーンネットワーク20にブロードキャストすることにより(SQ1020)、ネットワーク内で情報を共有する(ブロックを生成してチェーンに追加する)。
【0052】
以上の処理によれば、荷物のトレーサビリティを確保しつつ、保管ボックスを利用して安全に荷物の預入及び受渡が可能となる。また、ブロックチェーンネットワークを利用することにより、高い匿名性を担保することができ、情報の改ざん等を防止することができる。
【0053】
本実施の形態におけるブロックチェーンネットワークは、特定のものだけが参加可能なプライベートネットワークでもいいし、パブリックネットワークとしてもよい。
【0054】
<データ構造>
上述した保管システムに用いられるデータの構造について、
図14乃至
図16を参照して説明する。以下の説明においては、配送者、保管ボックス(ボックス)、ユーザの順に荷物(の所有権限)に関する情報が受け渡される例をとって説明する。
【0055】
図14に示されるように、(A)には宛先としてボックスの公開鍵ハッシュ値が格納されており、(B)にはボックスの公開鍵の本体が格納されている。認証は、(A)のPubkey Scriptに含まれるボックスの公開鍵ハッシュ値と、(B)のSignature Scriptに含まれるボックスの公開鍵本体とを照合することにより行われる。
【0056】
詳しくは、(B)のSignature Scriptに含まれるボックスの公開鍵本体のハッシュ値を生成して、(A)のPubkey Scriptに含まれるボックスの公開鍵ハッシュ値と一致することを確認する。これにより、荷物の所有権(管理権)が配送者から保管ボックスに移動したこととなる。
【0057】
図15に示されるように、配送ロッカーは、荷物を預入に関する電子署名を行うため、予め自己の秘密鍵を作成し提供する。具体的には、(B)のSignature Scriptに含まれる電子署名である。
【0058】
電子署名は次のようにして生成する。即ち、(A)のトランザクションID(TX_ID)とボックスの公開鍵ハッシュ値とを取り出し、且つ(B)の荷物_IDとユーザ公開鍵ハッシュを追加する(図の(X)を参照)。これを(B)に含まれるボックスの秘密鍵で暗号化(署名)する。当該電子署名は、(B)の電子署名の一部を構成する。
【0059】
続いて、ロッカーに収納された荷物をユーザに受け渡す場合の電子署名の検証について説明する。
図16に示されるように、電子署名の検証は、ボックスの公開鍵を使う。なお、当該公開鍵は、(A)の取引でPubkey Scriptに含まれるハッシュ値として指定されたものと同じものであることは上述した。
【0060】
(Y)の電子署名をボックスの公開鍵で復号して元に戻すと、あるハッシュ値(図中の「ハッシュ値B」)となる。一方、
図15を参照して説明されたハッシュ値を作った元の情報を再度取引データから集めて、ハッシュ値Aを作成する。このハッシュ値Aとハッシュ値Bとを照合して、一致すれば、宅配ボックスが(A)の取引で宛先に指定された公開鍵に対応した秘密鍵を持っていることが証明される。
【0061】
以上により、配送者が荷物をロッカーに預けたことの正当性及び、当該ロッカーに収納された荷物がユーザによって受け取られることの正当性を確認・検証が可能となる。また、荷物を届けたい宛先(者)の公開鍵ハッシュ情報をトランザクションに関する情報に含ませることによって、当該宛先のみが確実に荷物を受け取ることができる。
【0062】
なお、通常は1回のトランザクション(配送、支払等)の単位で公開鍵ペアを新しくすることが好ましい。
【0063】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。