特許第6681877号(P6681877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681877
(24)【登録日】2020年3月26日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】化粧用製品容器の機械式カップリング
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20200406BHJP
   F16B 5/00 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   A45D34/04 515Z
   F16B5/00 F
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-506351(P2017-506351)
(86)(22)【出願日】2015年7月31日
(65)【公表番号】特表2017-522987(P2017-522987A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】FR2015052125
(87)【国際公開番号】WO2016020609
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2018年5月28日
(31)【優先権主張番号】1457589
(32)【優先日】2014年8月4日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506273087
【氏名又は名称】シャネル パルファン ボーテ
【氏名又は名称原語表記】CHANEL PARFUMS BEAUTE
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォゲテイロ,パウロ
【審査官】 岩谷 一臣
(56)【参考文献】
【文献】 独国実用新案第202005003825(DE,U1)
【文献】 西独国実用新案公開第07433846(DE,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D34/04
F16B 5/00− 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部(11)および、底部(11)から延びる側壁(10)を備えた外側部品(1)と、底部(21)および、底部(21)から延びる側壁(20)を備えた内側部品(2)と、を備え、内側部品(2)が外側部品(1)内に挿入されるとともに締結されている、化粧用製品容器であって、外側部品(1)の底部(11)が、ブリッジの形態のタブ(15)を備えていることと、内側部品(2)の底部(21)が爪(26)を備え、この爪(26)がタブ(15)の下で係合し、内側部品(2)を外側部品(1)内に締結していることと、タブ(15)が、外側部品(1)の底部(11)の内側の起伏の中央部分(16)と、中央部分(16)の両側で、中央部分(16)を外側部品(1)の底部(11)に結合する2つの結合アーチ(17)と、を備えていることと、を特徴とする、化粧用製品容器。
【請求項2】
央部分が、ほぼ平坦で、外側部品(1)の底部(11)と平行である部分であること、を特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
爪(26)が、爪(26)をタブ(15)下に挿入しやすくするように構成された傾斜面(26b)を備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
内側部品(2)の底部(21)が、タブ(15)の少なくとも一部分が通る少なくとも1つの主開口(25)を備えることと、爪(26)が主開口(25)の縁部に形成され、主開口(25)内に延び、主開口(25)を通るタブ(15)の一部分の下に係合することと、を特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
爪(26)が内側部品(2)の底部(21)の厚さの中に形成され、主開口(25)の縁部から主開口内に延びる突出する段状構成を形成することを特徴とする、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
内側部品(2)の底部(21)が、少なくとも1つの二次開口(27、27’)を備えており、二次開口(27、27’)が、二次開口(27、27’)自体と、主開口(25)との間に、ロッドの形態の枝部(28)を形成していることと、爪(26)が枝部(28)上に形成されていることと、を特徴とする、請求項4または5に記載の容器。
【請求項7】
内側部品(2)が、主開口(25)の縁部に形成された2つの爪(26)を備えていることと、各爪(26)が、タブ(15)の両側から主開口(25)を通るタブ(15)の一部分の下に係合することと、を特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の容器。
【請求項8】
容器が、爪(26)と、爪(26)が下に係合するタブ(15)との間の遊びを占めるように構成されている、内側部品(2)の底部(21)と外側部品(1)の底部(11)との間に位置するスペーサ(29)を備えていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の容器。
【請求項9】
容器が、塗布部材(100)と、スリーブ(1)およびケージ(2)を備えた、保管および保護のための筒状部材(200)と、を備え、スリーブ(1)が外側部品(1)を形成し、ケージが内側部品(2)を形成していることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、化粧用製品または衛生用製品のための容器(またはケース)に関する。
本出願は特に、製品の適用時以外における保管および保護のために、筒状部材内で係合した塗布部材を備えた、化粧用製品または衛生用製品のための容器に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、筒状部材が、相互に結合した2つの部品を備えている容器が存在する。
【0003】
このことに関して、2つの部品はしばしば、接着剤を使用して相互に結合している。そのような容器は、たとえば、国際公開第2006/120336号パンフレットの特許出願に記載されている。この文献の場合、容器はリップスティックのためのものである。
【0004】
接着剤の使用に関する困難性は、特に、2つの部品が異なる材料で形成されている場合、たとえば、一方がプラスチックで形成され、他方が金属で形成されている場合に生じる。
【0005】
その場合、2つの異なる材料に対して同時に良好な接着性を確実にする接着剤を規定することは困難である。
【0006】
したがって、経時的に機械的強度特性を良好に維持することを可能にする、機械式カップリング、および単純化された組立て方法を形成することが可能であることが有利である。
【0007】
たとえば、国際公開第2010/043802号パンフレットの国際特許出願または国際公開第2011/077042パンフレットの国際特許出願が知られており、国際公開第2011/077042号パンフレットには特に、保管および保護のための筒状部材が、筒状部材の底部を構成するキャップ(または蓋)および、キャップの下方部分と係合し、横方向のステープルでキャップに締結されたケージを備えている、リップスティック用の容器(またはケーシング)が記載されている。
【0008】
このことは、保管および保護のための筒状部材の底部の体積の損失を避けるためには有利であるが、ケージをキャップに結合するには、追加部材、すなわちステープルを追加する必要がある。さらに、このステープルにより、残余の遊びが存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2006/120336号
【特許文献2】国際公開第2010/043802号
【特許文献3】国際公開第2011/077042号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上述の欠点を少なくとも部分的に低減し、さらに他の利点に繋げることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のため、第1の態様によれば、底部および、底部から延びる側壁を備えた外側部品と、底部および、底部から延びる側壁を備えた内側部品と、を備え、内側部品が外側部品内に挿入されるとともに締結されている、化粧用製品容器であって、外側部品の底部が、ブリッジの形態のタブを備えていることと、内側部品の底部が爪を備え、この爪がタブの下で係合し、内側部品を外側部品内に締結することとを特徴とする、化粧用製品容器が提供される。
【0012】
内側部品と外側部品とはこうして、相互に機械式に、取外し不可能な方式で結合しており、すなわち、内側部品と外側部品とは、かなりの困難性を伴ってのみ、場合によっては、部品に傷を付けることになるツールを使用して、相互に分離することができる。
【0013】
さらに、どのような材料でそれら部品が構成されていても、2つの部品を組み合わせるのにかなり都合がよい。一方はたとえばプラスチックとし、他方は金属とすることができる。
【0014】
2つの部品間のカップリングシステムに関する嵩も極めて小さい。さらに、外側部品と内側部品との間の体積の損失が最小になるか、損失がなくなりさえする。
【0015】
ここで、各部品は、底部および、底部の1つの側部から延びる壁を備えている。壁が延びる底部の側部は、こうして、部品の内側を形成する。この側部の外側は、部品の外側である。
【0016】
好ましくは、外側部品の側壁はほぼ円筒状である。側壁は、たとえば底部の周囲全体から、一様な断面で延び、この断面は、底部とほぼ同じ形状を有している。さらに、断面が貫通されていないことが好ましい。
【0017】
内側部品の側壁は、たとえば、所定の位置で貫通されている。さらなる例として、内側部品の側壁は、1つまたは複数の直立部を備えている。例示的実施形態によれば、内側部品の底部はほぼ正方形であり、直立部が底部の1つの角から延びる。
【0018】
有利な例示的実施形態によれば、外側部品の底部と内側部品の底部とが同じ形状を有している。内側部品の底部は、たとえば、外側部品の底部より相似的に小さい。
【0019】
さらに、内側部品の側壁の外側表面が外側部品の側壁の内側表面に接していることがさらに有利である場合がある。
【0020】
例示的実施形態によれば、タブは、2つの並行なスロットによって範囲が規定された外側部品の底部のあるセグメントをプレス成型することによって形成され得る。
【0021】
外側部品は、たとえば金属製である。底部のプレス成型は、このため、タブの形成が特に容易である。
【0022】
タブは、仕上げ動作におけるプレス成型、または任意の他の適切な手段によって形成され得る。
【0023】
たとえば、タブは、外側部品の底部の内側の起伏の中央部分と、中央部分の両側で、中央部分を外側部品の底部に結合する2つの結合アーチと、を備えている。例示的実施形態によれば、中央部分は、ほぼ平坦で、外側部品の底部に平行な部分である。これにより、爪をタブの下に容易に挿入する可能性を最大化しつつ、タブの嵩を低減することが可能である。
【0024】
実際の例示的実施形態によれば、爪は、爪をタブ下に挿入しやすくするように構成された傾斜面を備えている。
【0025】
好ましい例示的実施形態によれば、内側部品の底部は、タブの少なくとも一部分が通る少なくとも1つの主開口を備え、爪がこの主開口の縁部に形成され、主開口内に延び、主開口を通るタブの一部分の下に係合する。タブが平坦部分を備えている場合、タブは、可能な限り小さく、内側部品の底部を越えて延びる。
【0026】
特に有利な別の例示的実施形態によれば、爪が内側部品の底部の厚さの中に形成され、主開口の縁部からその開口内に延びる突出する段状構成を形成する。
【0027】
このことには、外側部品と内側部品との間の結合によって生じる嵩を可能な限り良好に低減するという利点がある。
【0028】
たとえば、爪は、対応するタブ下に当接するように適合した支持面と、爪を対応するタブ下に挿入しやすくするように構成された傾斜面と、を備えている。可能な場合では、支持面は、内側部品の内側の底部の表面と一列に並んで延びるように形成されることが有利であり、主開口内でその開口の縁部から延びる。傾斜面に関して、この傾斜面は、支持面の自由端部の縁部を主開口の縁部に、または任意選択的には、内側部品の外側の底部の表面に結合する平坦な傾斜表面を備えることが有利である。
【0029】
換言すると、爪は、たとえば、内側部品の底部の外側表面の面と、内側表面の面との間に含まれる主開口の輪郭の段状構成によって形成され得る。
【0030】
さらに別の有利な例示的実施形態によれば、内側部品の底部には、少なくとも1つの二次開口を備えている。二次開口は、二次開口自体と、主開口との間に、ロッドの形態の枝部を形成し、爪が枝部上に形成されている。
【0031】
例示的実施形態によれば、内側部品は、タブの少なくとも一部分が通る主開口を間に形成する、2つの枝部を備えている。
【0032】
換言すると、内側部品の底部は、主開口とともに第2の枝部を形成する第2の二次開口を備えている。
【0033】
例示的実施形態によれば、2つの枝部は、互いに対してほぼ平行である。さらに、それら2つの枝部は、タブに対してほぼ平行である。
【0034】
別の実際の実施形態によれば、内側部品は、主開口の縁部に形成された2つの爪を備え、各爪が、タブの両側から主開口を通るタブの一部分の下に係合する。
【0035】
2つの爪は、好ましくは対面している。
【0036】
たとえば、1つの爪が主開口で各枝部から延び、それにより、タブの両側から係合するようになっている。
【0037】
好ましい例示的実施形態によれば、外側部品の底部は2つのタブを有している。2つのタブは、たとえば、ほぼ同一であり、互いに対して平行である。
【0038】
可能性のある場合では、内側部品は、各タブの下と係合する少なくとも1つの爪、または、タブ毎に2つの爪さえ備えている。したがって、タブの2つの爪が、タブの両側からタブの下に係合することが有利である。好ましい実施例によれば、各爪が枝部上に形成されている。
【0039】
したがって、たとえば、内側部品は、枝部の2つの組、すなわち、合計4つの枝部を備えている。
【0040】
4つの枝部と4つの爪のこの構造の形態は、さらに良好に、取外し不可能な組合せを確実にする。この理由は、内側部品を外すために、4つの爪を同時に互いから離すように移動させることが必要になり、このため、特に様々なツールを要することなしでは、これはかなり困難であるか、実際には不可能であるためである。
【0041】
たとえば、容器は、内側部品の底部と外側部品の底部との間に位置するスペーサを備えており、このスペーサは、爪と、爪が下に係合するタブとの間の遊びを占めるように構成されている。
【0042】
そのようなスペーサはたとえば、スタッドまたは板バネである。スペーサはたとえば、内側部品の底部の外側と結合している。
【0043】
有利な実施形態によれば、内側部品が、ほぼ正方形の形状の底部の3つの角に配置された3つの直立部によって形成された壁を備えている場合、有利には、スペーサが、直立部を有していない底部の角に向かって配置され、それにより、その領域において底部のより大きい弾力性を利用するようになっている。
【0044】
別の例によれば、容器は、2つの両側の点、たとえば、底部がたとえばほぼ正方形である場合には、内側部品の底部の対角線上に配置された2つのスペーサを備えている。
【0045】
したがって、有利な例示的実施形態によれば、内側部品の底部が、製造公差から、またはスペーサによって生じる空間からの遊びにほぼ等しい距離だけ、外側部品の底部から離間している。換言すると、製造公差から、またはスペーサによって生じる空間からの潜在的な遊びを考慮することなく、内側部品の底部が外側部品の底部に実質的に接している。
【0046】
好ましい実施態様によれば、そのような容器はたとえば、液体またはペースト状の製品のための容器、たとえば、しばしば「グロス」と呼ばれるリップグロスのための容器であるか、マスカラのための容器であるか、たとえばリップブラシのためのケースであり、特に、スティックが、リップクリームなどの、特に唇を外部の攻撃から保護するための、赤味以外の色であり得る化粧用製品、または、ペースト状の衛生用製品で形成されたリップスティックのためのケースである。
【0047】
可能性のある場合では、容器は、塗布部材と、スリーブおよびケージを備えた、保管および保護のための筒状部材と、を備え、スリーブが外側部品を形成し、ケージが内側部品を形成している。
【0048】
塗布部材は、機構と呼ばれる場合がある。
【0049】
さらに、筒状本体および保管および保護のための筒状部材は、円形の断面を有するか、有していない場合がある。
【0050】
したがって、たとえば、内側部品は、たとえば欧州特許出願公開第2253241号明細書の特許出願(たとえば、外側部品19および内側部品18を示す図13参照)のように、外側部品の内部の内張のための単一部材とすることができる。同じことが容器を閉じるもの、すなわち容器のキャップに適用可能である。さらなる例として、内側部品は、仏国特許出願公開第2906114号明細書の特許出願、または、たとえば欧州特許出願公開第1060686号明細書に示すような、化粧用製品の供給源とすることができる。
【0051】
あるいは、別の例によれば、容器がリップスティックである場合、塗布部材は、ベースと、このベースに軸方向に結合した筒状本体と、リップスティックのスティックを支持する支持部であって、筒状本体とベースとの間の相対回転移動により、筒状本体内で軸方向に移動し、それにより、スティックが外に出るか、それとは対照的に筒状本体内に引き込まれるように構成された、リップスティックのスティックを支持する支持部と、を備え、ベースと筒状本体とが、ユーザがスティックを必要としない場合にスティックを囲むか保護するために、スリーブと協同する。
【0052】
例示的実施形態によれば、本発明は、添付図面を参照して、どのようにも限定しない、説明的例として与えられた以下の詳細な説明を読むことにより、よりよく理解され、その利点がより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】底部から見た、本発明の例示的実施形態による外側部品の斜視図である。
図2】底部から見た、本発明の例示的実施形態による内側部品の斜視図である。
図3図1の外側部品内に挿入された図2の内側部品を結合する主なステップを示す、図1および図2に示す線A−A上の断面図である。
図4図1の外側部品内に挿入された図2の内側部品を結合する主なステップを示す、図1および図2に示す線A−A上の断面図である。
図5図1の外側部品内に挿入された図2の内側部品を結合する主なステップを示す、図1および図2に示す線A−A上の断面図である。
図6】本発明の例示的実施態様による、相互に締結された内側部品と外側部品とを備えた、リップグロスのための容器の例示的実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
上述の各図に示されている同じ部品は、同じ参照符号によって識別されている。
【0055】
本説明において、図1に示した外側部品1は、たとえば、化粧用製品容器のスリーブであり、図2に示した内側部品2は、たとえばケージである。しかしながら、当然、内側部品が外側部品内に挿入されるとともに締結されている、任意のタイプの容器またはケースとすることができる。
【0056】
図1の例示的実施形態では、外側部品1が底部11と、この底部11からほぼ90度で延びる側壁10と、を備えている。
【0057】
側壁10が延びる底部11の1つの側部は、こうして、外側部品の内側を形成する。
【0058】
側壁10は、外側部品1の内部の内側表面13(図3から5に見ることができる)と、内側表面13とは反対側の表面である外側表面14と、を備えている。外側表面14はここでは、底部11の外周12と一列に並んで延びている。外側表面14は、たとえば、製品の可視表面である。外側表面14は、たとえば、ラッカが塗られており、黒色である。
【0059】
側壁10は、底部11の外周12によって画定された形状に等しい一様な断面の直角の柱を実質的に形成している。
【0060】
たとえば、側壁10は、プラスチックまたは金属で鋳造されるか、プレス成型される。
【0061】
底部11はここでは、外側にドーム状になっている正方形形状を有している。しかしながら、底部11は、円形または他の形状を有することができる。
【0062】
底部11は、ここでは、2つのタブ15を備えており、2つのタブ15は、ほぼ同一であり、互いに対して平行である。
【0063】
各タブ15は、ここでは、外側部品1の内側に起伏して形成されたブリッジ形状を有している。換言すると、各タブ15は、ここでは、タブ15自体と、底部11との間に通路を形成する湾曲した底部11の内側のストリップである。
【0064】
ここでは、各タブ15は、外側部品1の底部11の内側の起伏内の中央部分16と、中央部分16の両側の、中央部分16を外側部品1の底部11に結合する2つの結合アーチ17と、を備えている。さらに、中央部分16は、ここではほぼ平坦で、外側部品1の底部11に平行である。
【0065】
各タブ15はこのため、ここでは互いに対してほぼ平行な2つのフリーエッジ18と、各端部においてフリーエッジ18を結合する2つの結合エッジ19を備えている。
【0066】
底部11はさらに、2つの長辺と2つの短辺を有する、2つの矩形の切取り部を備えている。切取り部の各々は、2つの短辺にぶつかるタブ15によって広げられており、そうして2つの結合エッジ19を形成している。
【0067】
2つの矩形の切取り部は、ここでは切取り部の長辺に関して並んでおり、底部11の対角線上に配置されている。
【0068】
たとえば、各タブ15は、底部11の、たとえば平行であり、同じ長さを有する2つのスロットを切り取り、次いで2つのスロット間の底部の一部をプレス成型することにより形成されている。この場合、スロットはたとえば、対応する矩形の2つの長辺と、対応するタブ15のフリーエッジ18を形成している。
【0069】
別の形態の構成によれば、特に外側部品がプラスチック材料である場合に、タブが、射出成型の間に成型される。
【0070】
不図示の実施例によれば、底部11は1つのタブ15のみを備え得る。しかしながら、2つのタブが存在することにより、内側部品2との組合せの安定性と強固さを向上させることが可能である。
【0071】
図2は、たとえばケージである内側部品2を示している。そのようなケージは、たとえば、マスカラ容器に関する国際公開第2010/043802号パンフレットの特許出願、または、リップスティック容器に関する国際公開第2011/077042号パンフレットの特許出願に開示されている。
【0072】
内側部品2は、たとえば、プラスチックまたは金属で成型されている。
【0073】
ここでは、内側部品2が底部21と、この底部21からほぼ90度で延びる側壁20と、を備えている。
【0074】
側壁20が延びる底部21の1つの側部は、こうして、内側部品の内側を形成する。
【0075】
底部21はここでは、外側にドーム状になっている正方形形状を有している。しかしながら、底部21は、円形形状を有することができる。概して、底部21は、側壁10の内側に形成された外側部品1の断面と同様の形状を有しており、それにより、横方向の遊び、すなわち、内側部品の側壁と外側部品の側壁との間を最小にしつつ、側壁10の内側に挿入され得るようになっている。
【0076】
側壁20はここでは、底部21の外周22と一列に並んで延びている。
【0077】
純粋に説明として、国際公開第2011/077042号パンフレットの出願のケージの方式の、ほぼ正方形形状である底部21の3つの角に配置された3つの直立部20aを備え、第4の角が直立部を有していない、壁20が、図2に示されている(当然、これは限定的ものではなく、内側部品は4つの直立部を有することができる)。
【0078】
側壁20は、内側部品2の内部の内側表面23(図3から5に見ることができる)と、内側表面23とは反対側の表面である外側表面24と、を備えている。外側表面24はここでは、底部21の外周22と一列に並んで延びており、また、2つの部品が組み合わせられると、外側部品1の側壁10の内側表面13と接する。
【0079】
底部21は、ここでは、2つのタブ15を備えた外側部品1の底部11に適切である2つの主開口25を備えている。当然、底部11が1つのタブ15のみを備える場合、単一の開口25で十分である。
【0080】
各主開口25は、ここでは、2つの長辺と2つの短辺とを有するほぼ矩形であり、開口の形状は、タブ15の形状、または、ここでも、対応する矩形の切取り部の形状にほぼ等しい。2つの主開口25は、外側部品1のタブ15の配置に一致して、長縁としては相互に隣り合って、底部21の対角線上に配置されている。
【0081】
各主開口25は、ここでは、2つの爪26を備えている。2つの爪は、ここでは、対応する主開口25の2つの長縁の各々の、ほぼ中央に配置されており、それにより、外側部品1と内側部品2とが組み合わせられる際に対応するタブ15の中央部分16の下に挿入されるようになっている。
【0082】
ここでは、本発明の有利な例示的実施形態によれば、各爪26は、底部21の厚さの中に形成されている。このことには、外側部品1と内側部品2との間の結合によって生じる嵩を可能な限り良好に低減するという利点がある。
【0083】
図3がよりよく示しているように、各爪26は、対応するタブ15下に当接するように適合した支持面26aと、爪26を対応するタブ15下に挿入しやすくするように構成された傾斜面26bと、を備えている。
【0084】
支持面26aは、ここでは、底部21の内側表面と一列に並んで延びるように形成されており、また、主開口25内をその開口の縁部から延びる。
【0085】
傾斜面26bに関して、この傾斜面26bは、平坦な傾斜表面を備えており、支持面26aの自由端部の縁部を主開口の縁部に、ここではより詳細には、底部21の外側表面に結合する。
【0086】
換言すると、各爪26は、底部21の外側表面の面と、内側表面の面との間に含まれつつ、主開口25の輪郭の段状構成によって形成されている。
【0087】
爪の弾性を得るため、および、特に、タブ15が通過する際に爪が外に広がることを可能にするために、底部11は、爪26が位置する主開口25の縁部の各々の後ろに位置する二次開口27、27’を備えている。
【0088】
換言すると、ここでは、二次開口27は、主開口25と、底部21の角との間に配置されており、中央の二次開口27’は、2つの主開口25間に配置されている。当然、2つの二次開口が中心の二次開口27’の位置にあってもよいが、単一の開口が依然として、製造にはちょうど効率的かつ容易である。しかしながら、単一の中央開口27’は、たとえば図4に示すように、爪が引き込まれてタブ15が通過することを可能にする際に、爪の後部がそれに対し引き返す2つの爪26の各々のための十分な引き込みを許容することを可能にするために、より広いことが好ましい。
【0089】
本例示的実施形態では、このため、2つの主開口25と3つの二次開口27、27’が存在し、二次開口27と27’との間に、2つの主開口25が介在している。
【0090】
さらに、爪26が配置される主開口25の縁部の後方に位置する二次開口27、27’の縁部の1つが、主開口25の前記縁部に平行である。
【0091】
主開口25と二次開口27、27’とは、こうして、主開口25と二次開口27、27’との間に爪26を保持する枝部28を形成している。
【0092】
視覚的に、底部21が、ここでは4つの枝部28によって区分けされた大きい開口を備えており、これにより、枝部28の2つの対を形成しており、枝部28の各対はこうして、その対の2つの枝部28間に主開口25を形成していることを、こうして考慮することができる。1つの対の枝部と、別の対の枝部または大きい開口の縁部との間に形成された開口は、このため、二次開口27、27’である。
【0093】
内側部品2は、ここでは、スペーサ29をさらに備え、このスペーサ29は、たとえば、ここでは、底部21の外側から突出して形成されたスタッドである。スペーサ29は、ここでは、角と開口25、27、27’との間の三角形形状のほぼ中心に配置されている。この角は、すなわち、間に主開口25と二次開口27、27’とが列を形成している角とは別の角である。
【0094】
ケージが3つの直立部を備えている図2に示す場合では、スペーサが、直立部を有していない正方形の角に向かって配置され、それにより、その領域において底部21のより大きい弾力性を利用するようになっている。
【0095】
不図示の変形形態によれば、スペーサは、弾性のタブとすることもできる。この弾性のタブはやはり、スタッドと同様に、内側部品の底部の貫通されていない領域内に配置され得る。
【0096】
この方式で、図3から5により詳細に示すように、内側部品2が外側部品1内に挿入される際には、各爪26が最初にタブ15に対して当接する。
【0097】
内側部品2の底部21と、外側部品1の底部11とをともに近接させるように適用される圧力には、爪26の傾斜面26bをタブ15のフリーエッジ18上でスライドさせ、次いで爪26がタブ15の下、特にここでは、中央部分16の下に係合することにより、爪26、そしてひいては、爪26を保持する枝部28を離すように広げることが含まれている。このため、広げることは、爪がタブ15の下を通るまで、実質的に底部の面において行われる。
【0098】
枝部は次いで、枝部の最初の形状に実質的に再び戻るか、爪が最初の位置に再び戻り、これら爪はこうして、タブ15と外側部品1の底部11との間で、タブ15の下に当接して係合する。2つの枝部28は次いで、タブ15に縁をつける。
【0099】
このために、スペーサ29が加えられている。スペーサ29は、ここでは、底部21の外側の増大した厚さのスタッドであり、製造公差からの遊びを占めている。スペーサ29が底部21の比較的柔軟な領域に位置していることから、取り付けられると、この領域は弾性的に曲がり、次いで、その最初の形状に再び戻る傾向にある。そのようなスペーサ29により、こうして、爪26とタブ25との間に存在し得る遊びを最小化するか、除去しさえすることが可能になる。
【0100】
図5により、製造公差から、および/またはスペーサ29によって生じた空間からの、可能性のある遊びから離間して、内側部品2の底部21が次いで、外側部品1の底部11に接していることに留意することが可能である。
【0101】
美学的に有利な選択肢によれば、外側部品1の底部11の外側には、最後に、タブ15と結合した切取り部を隠すためのラベルまたは任意の他の手段が設けられる。
【0102】
内側部品および外側部品の底部は、こうして、たとえば、外側部品が金属であり、内側部品がプラスチックである、任意のタイプの製品に適用される。
【0103】
実施態様の例として、図6は、リップグロス容器を示している。
【0104】
このリップグロス容器は、塗布部材100と、保管および保護のための筒状部材200とを備えている。
【0105】
保管および保護のための筒状部材200は、すでに記載した外側部品1と内側部品2とにそれぞれ対応するスリーブ1とケージ2とを備えている。
【0106】
保管および保護のための筒状部材200は、リザーバ201をさらに備え、このリザーバ201は、ケージ2内に配置されるとともに、このケージ2内を頂部から底部に、所定の行程にわたって、特に、ここではバネである弾性的に圧縮可能な部材202の作用により、移動するように構成された流体またはペースト状の製品を含んでいる。弾性的に圧縮可能な部材202は、ここでは、ケージ2内の、ケージ2の底部21と、ここではリザーバ201の外側外周面に形成された肩部203との間に保持されている。
【0107】
製品を使用または塗布することを可能にするために、塗布部材100は、一方の端部で塗布具102によって終端しており、他方の端部でキャップ204に結合しているシャフト101を備えている。容器が閉じられると、塗布部材102が次いで、リザーバ201の底部において製品内に浸される。
【0108】
1つまたは複数の部材で構成された部品205は、リザーバ201の上縁部周りに配置されるとともに、たとえば押込みばめにより、リザーバ201に締結される。これにより、リザーバが閉じられた際のリザーバのシールを提供することと、塗布具102がリザーバ201から抜かれる際に、シャフトを擦ること、および/または、塗布具102をふき取ることを可能にすることができる。
【0109】
図6はこうして、上述のタブの存在およびその性質により、弾性的に圧縮可能な部材202および/または容易に移動しやすい場合があるリザーバ201の位置決めおよび操作における妨害を回避することが可能になることを示している。ケージ2はしたがって、リザーバ201または任意の他の部材の移動を妨害することなく、スリーブ1にしっかりと締結される。
【0110】
当然、本発明は、上述の記載にも、添付図面にも限定されないが、当業者の能力の内の任意の様々な形態を包含する。
【0111】
示された様々な特徴は、有利に組み合わせられ得る。それら特徴の組合せが詳細な説明の中に存在することは、もちろん、それら特徴を組み合わせる可能性を除外しない。
【0112】
「備える(comprising)」または「有する(having)」との用語は、ここでは、広い意味で、限定的、排他的、または網羅的ではなく、「含む(including)」として解釈されるものとする。同様に、不定冠詞「1つの(a)」は、複数であることを除外しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6