特許第6681880号(P6681880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6681880改善されたテクスチャーおよび延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物
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  • 特許6681880-改善されたテクスチャーおよび延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681880
(24)【登録日】2020年3月26日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】改善されたテクスチャーおよび延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物
(51)【国際特許分類】
   A23J 3/18 20060101AFI20200406BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20200406BHJP
【FI】
   A23J3/18 502
   A23L29/00
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-512665(P2017-512665)
(86)(22)【出願日】2015年9月7日
(65)【公表番号】特表2017-532020(P2017-532020A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(86)【国際出願番号】IB2015056837
(87)【国際公開番号】WO2016035059
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2018年6月27日
(31)【優先権主張番号】2014/0668
(32)【優先日】2014年9月5日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】508137132
【氏名又は名称】テレオス・スターチ・アンド・スウィートナーズ・ベルギー
【氏名又は名称原語表記】TEREOS STARCH & SWEETENERS BELGIUM
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・レドル
(72)【発明者】
【氏名】オーレリアン・フヌイユ
(72)【発明者】
【氏名】ファブリス・ヴォジェル
【審査官】 池上 京子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭49−081563(JP,A)
【文献】 特開昭52−034955(JP,A)
【文献】 特表2013−544487(JP,A)
【文献】 特公昭46−029777(JP,B1)
【文献】 特公昭54−020589(JP,B1)
【文献】 特表2009−501010(JP,A)
【文献】 米国特許第03102031(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/00−5/49
A23L 29/00−29/30
A23L 11/00−11/30
A23L 17/00−17/60
A23P 10/00−30/40
A23K 50/00−50/90
A23K 10/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
生地を得るために、100℃未満の温度で、i)50%以上のバイタル小麦グルテン(VWG)を含む、乾燥質量に基づいて30〜90%(w/w)の植物性タンパク質、ii)乾燥質量に基づいて10〜40%(w/w)の非水性可塑剤、および、iii)0〜8%(w/w)の繊維を混合すること;
生地を生地片に少なくとも切断して該生地を成形し、該生地片を、食品、食品添加物および/または加工食品である粘性塊であり、かつ少なくとも1mmの最大直線寸法を有する少なくとも1つの包含物と凝集させることによって、凝集塊を得ること;および
延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物を得るために、該凝集塊を1分〜1時間、120〜160℃にて静的加熱すること;
を含む、延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物を得る方法であって、
ここで、該延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物は、20%(w/w)未満の含水量を有し、該非水性可塑剤は、20%(w/w)未満の含水量を有し、かつポリヒドロキシアルコール、デンプン加水分解物、カルボン酸およびそれらの混合物から選ばれる、方法。
【請求項2】
該タンパク質性肉類似物が:
乾燥質量に基づいて40〜85%(w/w)の植物性タンパク質;
乾燥質量に基づいて10〜40%(w/w)の該非水性可塑剤;
0〜8%(w/w)の繊維;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
植物性タンパク質が、バイタル小麦グルテンと、ジャガイモ、ルピナス、ダイズ、エンドウマメ、ヒヨコマメ、アルファルファ、ソラマメ、レンズマメ、ナタネ、ヒマワリ、およびトウモロコシ、オオムギ、麦芽およびオート麦から選ばれる少なくとも1つに由来する植物性タンパク質との混合物である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
100℃未満の温度における混合工程が、30〜90%のVWG粉末、10〜40%の該非水性可塑剤、0〜40%のVWG以外の植物性タンパク質および0〜8%の繊維を混合することを含む、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
繊維が、不溶性繊維である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
凝集が、i)生地片および/または少なくとも1つの包含物を水和させ、およびii)混合して、典型的には、5〜30%の含水量を有する凝集塊を得ることによって行なわれる、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
食品、食品添加物および/または加工食品を混合工程中に添加する、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
該非水性可塑剤がグリセロールである、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
いかなる結合剤をも添加することを含まない、請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法によって直接得られる、延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物であって、該タンパク質性肉類似物が、試験Aによって決定されるように、少なくとも6グラムメートルの、10分でのトルク値、あるいは約1〜1.7の、30秒でのトルク値/10分でのトルク値比を有し、ここで、試験Aが、タイプ50測定ヘッドおよび2つの逆回転同一シグマ形ブレードを含む混合チャンバーを備えたブラベンダー・プラストグラフ、タイプECを用いることによって実施され、平衡まで水和させた70gのキューブ形サンプル(15*15mm)を、次いで、37℃に温度制御された混合チャンバーに導入し、混合ブレードを34rpmおよび22.67rpm(34*2/3)の異なる速度で逆回転させることによって測定値を得るものである、延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物。
【請求項11】
請求項10に記載の延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物を含む食品。
【請求項12】
以下の工程:
請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法によって、延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物を得ること;
該延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物を水和させること;
該水和されたタンパク質性肉類似物を調理すること;および
インスタントタンパク質性肉類似物を得ること;
を含む、インスタントタンパク質性肉類似物を得るための方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法によって直接得られるインスタントタンパク質性肉類似物であって、該インスタントタンパク質性肉類似物が、試験Bによって決定されるように、少なくとも6グラムメートルの、10分でのトルク値、あるいは約1〜1.7の、30秒でのトルク値/10分でのトルク値比を有し、ここで、試験Bが、タイプ50測定ヘッドおよび2つの逆回転同一シグマ形ブレードを含む混合チャンバーを備えたブラベンダー・プラストグラフ、タイプECを用いることによって実施され、70gのキューブ形サンプル(15*15mm)を37℃に温度制御された混合チャンバーに導入し、混合ブレードを34rpmおよび22.67rpm(34*2/3)の異なる速度で逆回転させることによって測定値を得るものである、インスタントタンパク質性肉類似物。
【請求項14】
請求項13に記載のインスタントタンパク質性肉類似物を含む、食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物およびそのような延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物を得る方法に関する。本発明はまた、インスタントタンパク質性肉類似物およびそのようなインスタントタンパク質性肉類似物を得る方法に関する。本発明はさらに、該延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物またはインスタントタンパク質性肉類似物を含む食品および該食品を得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肉類似物を製造するためのいくつかのタイプの小麦グルテンベースの肉類似物または小麦グルテンベースの中間物は、最新技術において既に記載されている。
【0003】
最もよく知られている小麦グルテンベースの肉類似物は、“SEITAN”である。これは実際に味付けされた小麦グルテン生地である。次いで、この生地を調理して「小麦肉」を提供する。最終処理の前に、SEITANはその高い含水量(>50%の水分)のために冷たい状態または冷凍状態で保存しなければならない。
【0004】
SEITANとは別に、他の小麦タンパク質に基づく肉代用品も従来技術に記載されている。しかしながら、従来技術の製品は、肉類似物または肉増量物として使用される場合、テクスチャー、貯蔵安定性および/または加工の容易性に関する多くの欠点を示すことが観察されている。このことが、市販のそのような製品が比較的限られた成功しかしていないことの説明となりうる。
【0005】
従来技術の製品の中で、組織化(textured)肉類似物に言及することができ、そのような製品は高温(120℃以上)での押出工程によって得られ、これらの製品は通常、高水分組織化タンパク質(HMTP)または低水分組織化タンパク質(LMTP)と呼ばれる。LMTPを得るための方法は、たとえば、US5922392、GB1288193、US3769029またはWO2012/008994に開示されており、スポンジ状のテクスチャーを有し、卵などの結合剤を使用せずには容易に成形することができない製品を提供する。HMTPは、製造が困難であり、高温で押出直後に膨張すると、粘り強い稠度を有することがある。通常、製品の膨張を避けるために、押出の終わりに冷却ダイが使用される。しかしながら、このような冷却ダイは定期的に詰まり、これにより押出機のバレル内の圧力が変化し、結果として、米国特許第20100136201号に記載されているように、ダイから製品の予期せぬ流出が起こる。さらに、製品中の繊維の誤った配向は、製品のさらなる処理を誘導して繊維を再配向させる可能性がある。そのような処理には、複雑かつ高価な設備が必要となる。良好なテクスチャーを有するタンパク質性肉類似物を提供するシンプルで安価な方法が必要である。
【0006】
さらに、本出願人は、低水分可塑化小麦グルテン組成物を開発している(WO2007006431)。しかし、この組成物は、その高い破断荷重のために、歯ごたえのあるペットフード用途での使用にのみ適している。
【0007】
従来技術はまた、アルブミンなどの結合剤を使用して、特にエマルションを作成し、次に得られたエマルションを凝固させることによって、タンパク質フィラメントまたはタンパク質繊維を凝集させることによって得られる肉類似物についても記載している(GB977238)。そのようなタンパク質フィラメントまたはタンパク質繊維は、延伸された繊維を形成するためのタンパク質溶液の沈殿からなる紡糸プロセスによって得られる。しかしながら、紡績は大量の排水を生み出す。さらに、低pH、高塩濃度および化学添加剤の必要性は、プロセスの実施を非常に複雑にする(Manski et al.、2007)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、既に存在する製品と比較して、テクスチャー、咀嚼および噛み感に関して改善された肉様特性を示すタンパク質性肉類似物を提供すること、および、結合剤を添加することなく容易に自然の肉片のような不規則な形状の肉類似物を形成し、また、良好に栄養摂取できる食品を提供するために食品片(野菜)を容易に含むことができる、成形できるタンパク質性肉類似物を提供することである。同時に、本発明の目的は、水和させた後に、追加の処理なしで肉にできるだけ近い口内感覚を示す肉類似物を容易に製造する準備ができている貯蔵安定性中間物を提供することである。さらに、本発明は、これらのタンパク質性肉類似物およびそれらの貯蔵安定性中間物の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の詳細な記載
延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物および延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物を得るための方法
本発明は、以下の工程:
100℃未満の温度で、i)生地を得るための、植物性タンパク質のうち、少なくともバイタル小麦グルテン(VWG)、ii)可塑剤、および任意に、iii)生地を得るための繊維を混合すること;
生地を生地片に少なくとも切断して該生地を成形し、該生地片を少なくとも1つの包含物と凝集させることによって、凝集塊を得ること;および
延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物を得るために、好ましくは該凝集塊を1分〜1時間、120〜160℃にて静的加熱すること;
を含む、延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物を得る方法に関し、ここで、該延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物は、20%(w/w)未満の含水量を有し、好ましくは、該可塑剤は、ポリヒドロキシアルコール、デンプン加水分解物、カルボン酸およびそれらの混合物から選ばれる。
【0010】
典型的には、混合工程は、高粘度材料を取り扱うことができる任意の混合装置(たとえば、zブレンダー、リボンミキサー、プラネタリーミキサーまたは共回転するインターメッシング押出機)によって実施することができる。有利には、混合工程は、生地様組成物を得るのに十分な時間、好ましくは100℃未満(たとえば、20〜90℃、好ましくは30〜65℃、より好ましくは40〜50℃)の温度でバッチまたは連続混合装置中で実施される。典型的には、混合工程は押出工程である。
【0011】
本発明によれば、「押出」は、材料が圧縮応力下でダイなどの変形制御要素を通って押されて細長い製品を形成するプロセスを指す。連続押出とは、このような変形が無制限の長さの製品で行われる押出プロセスをいう。有利には、本発明による押出は、100℃未満、たとえば20〜90℃、好ましくは30〜65℃、より好ましくは40〜50℃の温度で実施される。実際に、本発明者らは、特に100℃を超える温度での押し出しによる100℃以上の温度での混合工程は、本発明の製品では観察されない海綿質の生成物を提供することを明らかにしている。
【0012】
有利には、食品、食品添加物および/または加工食品を混合工程中に添加することができる。このような食品、食品添加物および/または加工食品は、典型的には乾燥形態または50%を超える含水量を有する水和形態であり得る。
【0013】
本明細書で用いる「加工食品」は、自然の状態から、機械的な改変(粉砕または細断など)、他の食品または添加物との組み合わせ、および/または調理などの、大幅に改変された食品を意味する。本明細書で用いる「加工食品」は、処理後自然状態を実質的に維持する食品を除外する。たとえば、新鮮な農産物は、洗浄、選別、被覆または処理、包装されるが、処理後は実質的に自然状態のままであり、本開示の目的で「加工食品」とはみなされない。「加工食品」はまた、食品のエキスを意味する。「エキス」は、得られた固体または液体の抽出物を意味する。実際、動物起源(肉または魚など)または植物起源から得られるエキスは、可溶性または不溶性の炭水化物、タンパク質、繊維、脂肪、またはそれらの組み合わせであってもよい。加工食品は、油または脂肪粒子を含むことができ、植物油または脂肪、特にヒマワリ油の形態で使用されるものが特に好ましい。加工食品はまた、無機塩の粒子を含むことができる。カルシウム塩またはマグネシウム塩が好ましい。加工食品は、不溶性物質、たとえば、不溶性の有機塩または無機塩を含むことができる。
【0014】
本明細書で用いる「食品」は、肉または魚またはたとえば、ナッツ、シリアル、ニンジン、マメなどの野菜の部分を意味する。
【0015】
本明細書で用いる「食品添加物」は、好ましくは、ポークフレーバー、ピーマン味、スモーク粉末、チキンフレーバー、ビーフフレーバー、シーフードフレーバー、塩味の調味料(たとえば、タマネギ、ニンニク)、ビタミン(たとえば、ビタミンB12など)およびそれらの混合物などの模倣の肉香味料を含む。
【0016】
本発明によれば、植物性タンパク質と少なくとも1種の可塑剤との混合によって得られる生地は、静的加熱の前にさらに成形することができる。
【0017】
本発明による成形工程は、切断、成型、シート化および凝集工程の少なくとも1つまたは組合せを含む。好ましくは、成形工程は、少なくとも切断工程と、成型またはシート化工程とを含み、より好ましくは、切断工程、シート化工程および成型工程を含む。
【0018】
1つの実施形態によれば、成形工程は、切断工程、凝集工程、および任意に成型および/またはシート化工程を含む。
【0019】
切断工程は、少なくとも1つのブレードを有する任意の手段、たとえば、肉挽き機(ミンチ機)または肉カッターを用いて行うことができる。
【0020】
典型的には、成形工程は、切断工程、凝集工程および任意に成型および/またはシーティング工程を含む。
【0021】
有利には、凝集は、i)生地片および/または少なくとも1つの包含物を水和させ、およびii)混合して、典型的には、5〜30%、好ましくは7〜25%、より好ましくは10〜20%の含水量を有する凝集塊を得ることによって行なわれる。
【0022】
1つの実施態様にしたがって、凝集は、
i)好ましくは生地片の1〜10重量%の水を噴霧することによって生地片を水和させ、ii)少なくとも1つの包含物を加え、およびiii)混合して、典型的には、5〜30%、好ましくは7〜25%、より好ましくは10〜20%の含水量を有する凝集混合物を得ること;または
i))好ましくは生地片の1〜10重量%の水を噴霧することによって生地片および少なくとも1つの包含物の混合物を水和させ、およびii)水和した混合物を混合して、典型的には、5〜30%、好ましくは7〜25%、より好ましくは10〜20%の含水量を有する凝集混合物を得ること;または
i)好ましくは生地片の1〜10重量%の水を噴霧することによって少なくとも1つの包含物を水和させ、ii)生地片を加え、およびiii)混合して、典型的には、5〜30%、好ましくは7〜25%、より好ましくは10〜20%の含水量を有する凝集混合物を得ること;
によって行なわれる。
【0023】
本明細書で用いる用語「包含物」は、食品、食品添加物および/または加工食品である粘性塊を意味する。包含物は、本発明の生地片ではない。包含物は、離散した片として、調製された肉類似物中で、目に見える大きさでなければならない。好ましくは、包含物は、少なくとも1mm、好ましくは少なくとも3mm、好ましくは1〜8mmの最大直線寸法を有する。特記しない限り、包含物のサイズは、包含物の最大直線寸法、すなわち任意の寸法における最大長さとして引用される。典型的には、包含物は、乾燥製品または水和製品であってもよく、または天然に水を含有してもよい。
【0024】
本発明によれば、生地片は、少なくとも0.03g、好ましくは0.04〜300g、より好ましくは0.05〜30g、0.05g〜3g、典型的には0.05g〜0.2gの質量を有する。有利には、該生地片は、長い形状または円形形状を有することができる。
【0025】
シート化工程は、円筒状ロールの間に生地片を押し込むことによって実施することができる。
【0026】
成型工程は、生地片を任意の所望の形状の型に押し込むことによって実施することができる。
【0027】
本発明の方法は、何らかの添加された結合剤を一切用いずに、製品が、非常に大きい体積を有する肉類似物の大きな断片を提供する非常に良好な凝集および成型特性を発現するいう点で特に有利である。さらに、得られた製品のテクスチャーは、肉類似物の均一な片を提供するのに十分な密度である。提供され得るサイズおよびテクスチャーの例は、エスカロップまたはウインナ・シュニッツェルの1つである。そのような断片は、従来技術の肉類似物を使用すると、卵またはキサンタンまたはデンプンなどの結合剤を加えないでは得ることができず、菜食主義者は食べることができないかまたはテクスチャーが貧弱な製品を提供する。
【0028】
さらに、本発明の肉類似物は、成型が特に容易であり、天然の肉ステーキまたはビーフステーキに近い不規則な形状を有する構造を提供する。さらに、骨格筋の筋骨格構造に近づくことができる繊維状構造を有する製品を得るために、切断、凝集、シート化および成型工程などの成形工程を繰り返すことができる。典型的には、生地片が長手方向の形状である場合、非常に良好な原線維構造が得られる。
【0029】
本明細書で使用される「静的加熱」という用語は、加熱すべき生地の攪拌または剪断を伴わない加熱工程を意味する。静的加熱の一例は、油で揚げること、電子レンジ加熱、またはオーブンもしくはホットプレートを使用することであり得る。典型的には、加熱工程は、120分〜160℃の温度にて、1分〜1時間、典型的には10〜30分間実施される。加熱工程の持続時間は、加熱されるべき混合タンパク質の量に応じて、当業者によって適合されうる。本発明者らは、植物性タンパク質および可塑剤の混合物の沸騰(100℃)または110℃における加熱が、本発明の肉類似物を提供しないことを明らかにしている。さらに、古典的な揚げ工程(185℃)などの160℃以上の加熱工程は、非常に柔らかくスポンジ状のテクスチャーおよび暗い色を有する製品を提供する。
【0030】
本発明による肉類似物は、肉を含まない食品を提供するための肉代用品として、または食品中に通常存在するであろう肉の一部を置き換えるための肉増強剤/増量剤として使用することができることが強調されるべきである。
【0031】
本明細書で用いる「延長された品質保持期間製品」は、周囲温度で長期間、たとえば、60日以上常温保存可能な製品である。そのような延長された品質保持期間製品は、その含水量が低いために微生物学的に安定である。このように延長された品質保持期間を有する製品は、水を加えて調理した後に食べることができる。そのような延長された品質保持期間を有する製品は、典型的には猫および犬に設計されるペットフードであり得る。
【0032】
本明細書中で用いる用語「バイタル小麦グルテン」は、乾燥中の熱変性がごくわずかであるか、または全くない乾燥小麦グルテンの形態を意味する。バイタル小麦グルテンは、水で再構成すると、新しく調製された湿った小麦グルテンと同様の物理的特性(たとえば、弾力性、粘着性があってねばねばしている特性)を示す。
【0033】
好ましくは、植物性タンパク質は、粉末状植物性タンパク質(AOAC 979.09; Kjeldahl法、換算係数 N*6.25に従って測定される)である。有利には、前記植物性タンパク質粉末は、1〜15%、好ましくは2〜12%、典型的には3〜7%の含水量を有する。該植物性タンパク質は、バイタル小麦グルテン(バイタル小麦グルテン100%)、有利には、バイタル小麦グルテン粉末であってもよい。典型的には、該植物性タンパク質は、バイタル小麦グルテンと、少なくとも1つの他の起源の植物性タンパク質との混合物である。一実施形態によれば、植物性タンパク質は、バイタル小麦グルテンを50%以上、好ましくはバイタル小麦グルテンを60、70、80、85、95%以上含む。好ましくは、「少なくとも1つの他の起源の植物性タンパク質」または「VWG以外の植物性タンパク質」は、ジャガイモ、ルピナス、ダイズ、エンドウマメ、ヒヨコマメ、アルファルファ、ソラマメ、レンズマメ、ナタネ、ヒマワリ、およびトウモロコシ、オオムギ、麦芽およびオート麦などの穀類が挙げられる。該植物性タンパク質は、典型的には、粉末、濃縮物または単離物の形態である。
【0034】
バイタル小麦グルテンまたはVWGは、デンプンおよび可溶性成分が洗浄プロセスによって除去された小麦粉の乾燥した不溶性グルテン部分を意味する。典型的には、次いで、バイタル小麦グルテンは乾燥して微粉状態にされる。バイタル小麦グルテン粉末は、典型的には、無水ベースで約80%以上のタンパク質(AOAC 979.09; Kjeldahl法、換算係数N* 6.25に従って測定)を有する。バイタル小麦グルテンは、「Approved Methods of the American Association of Cereal Chemist」、(December 1962)の「Vital Wheat Gluten」と題する方法38の試験手順によって決定されるように、典型的には変性されない。有用なバイタル小麦グルテン粉末は、商品名AMYGLUTEN(登録商標)で市販されている。
【0035】
本明細書で用いる「可塑剤」とは、添加する材料の可塑性または流動性を高める化合物を意味する。典型的には、本発明の可塑剤は、食品に使用されることが認められている可塑剤である「食品グレード可塑剤」である。有利には、可塑剤は、非水性可塑剤であり、典型的には、該可塑剤は20%(w/w)未満の含水量を有する。可塑剤は、ポリヒドロキシアルコール(グリセロール、ソルビトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールプロピレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物など)、デンプン加水分解物(グルコースシロップなど)、カルボン酸およびそれらの混合物であってもよい。
【0036】
本明細書で用いる「繊維」は、不溶性繊維、好ましくは穀類、塊茎、種子またはマメ科のものであってもよい。
【0037】
用語「含水量」は、Pharmacopeial Forum、Vol. 24、No. 1、page 5438(January-Feburary 1998)に記載されているように、乾燥減量法に基づく水の含量を意味する。含水量の計算は、乾燥によって失われる重量のパーセントに基づいている。
【0038】
一実施形態によれば、該タンパク質性肉類似物は、以下を含む:
植物性タンパク質の乾燥質量に基づいて、30〜90%、好ましくは40〜85%、より好ましくは45〜80%(w/w)、さらにより好ましくは50%〜78%の植物性タンパク質、典型的には、VWG、特に、VWG粉末;有利には、該植物性タンパク質は、40〜90%のVWG粉末および0〜40%のVWG以外の植物性タンパク質を含む;
乾燥質量に基づいて、10〜40%(w/w)、好ましくは15〜30%、典型的には20〜27%の可塑剤;
乾燥質量に基づいて、0〜8%(w/w)の繊維。
【0039】
有利には、延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物を得るための該方法は、100℃未満の温度にて、i)30〜90%、好ましくは40〜85%のVWG粉末、ii)10〜40%の可塑剤、iii)0〜40%、好ましくは3〜30%、典型的には5〜20%のVWG以外の植物性タンパク質、およびiv)0〜8%、好ましくは1〜5%の繊維を混合することを含む。
【0040】
本発明はまた、本発明方法によって直接得られる延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物に関する。
本発明は、さらに、以下:
30〜90%(w/w)、好ましくは40〜85%、より好ましくは45〜80%(w/w)、さらにより好ましくは50%〜78%の植物性タンパク質のうち、少なくとも小麦グルテン、好ましくは少なくとも50%の小麦グルテン;
10〜40%(w/w)、好ましくは15〜30%、典型的には20〜27%の可塑剤;
0〜8%(w/w)の繊維;
20%(w/w)未満の含水量;
を含むマトリックスに包含される少なくとも1つの包含物を含む、延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物に関する。
【0041】
好ましくは、該タンパク質性肉類似物は、試験Aによって決定されるように、20%(w/w)未満の含水量および少なくとも6グラムメートル(g*m)(好ましくは6〜20、より好ましくは8〜15)の、10分でのトルク値、あるいは約1〜1.7の、30秒でのトルク値/10分でのトルク値比を有する。
【0042】
事実、本発明の目的は、良好な肉代用品であり得る製品を意味する肉類似物を提供することである。本発明者らは、良好な肉類似物であるために重要な特性は、咀嚼中に肉の感覚を与えることであることを明らかにしている。本発明者らは、たとえば、低水分組織化タンパク質などの市販の肉類似物とは反対に、本発明の肉類は、その物理化学的特性のために肉に非常に近い感覚を与えることを明らかにしている。一噛みの咀嚼中(30秒)の感覚を、数噛みの咀嚼後(10分)と比較して、30秒でのトルク値/10分でのトルク値比によって評価することができる。
【0043】
本発明は、植物性タンパク質のうち、少なくとも小麦グルテン、特に、VWG、たとえば、VWG粉末など、および可塑剤を含むマトリックスに包含される少なくとも1つの包含物を含む、延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物に関し、該タンパク質性肉類似物は、試験Aによって決定されるように、20%(w/w)未満の含水量および少なくとも6グラムメートル(g*m)(好ましくは6〜20、より好ましくは8〜15)の、10分でのトルク値、あるいは約1〜1.7の、30秒でのトルク値/10分でのトルク値比を有し、好ましくは、該タンパク質性肉類似物はまた、繊維を含む。
【0044】
本明細書で用いる「30秒でのトルク値」は、ブラベンダー・プラストグラフ(Brabender Plastograph)アッセイ(試験AまたはB)の最初の30秒で測定された値である。本明細書で用いる「10分でのトルク値」は、ブラベンダー・プラストグラフアッセイの10分後に測定された値である。トルク値は、グラムメートル(g*m)で測定される。
【0045】
本明細書で用いる、延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物の30秒でのトルク値および10分でのトルク値は、タイプ50測定ヘッドおよび2つの逆回転同一シグマ形ブレード(ブレードの参照:Sigma(s))を含む混合チャンバーを備えたブラベンダー・プラストグラフ、タイプECを用いることによって試験Aによって評価され、サンプルを、たとえば、20分間の沸騰工程によるか、または室温で48時間過剰の水でサンプルに水和させることにより55〜70%の含水量を意味する平衡(それらの保水能力)まで水和させ、次いで、70gのキューブ形サンプル(15*15mm)を37℃に温度制御された混合チャンバーに導入し、混合ブレードを34rpmおよび22.67rpm(34*2/3)の異なる速度で逆回転させることによって測定値を得る。
【0046】
好ましくは、延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物は、約1〜1.7、典型的には1〜1.6、より好ましくは1〜1.5、好ましくは1〜1.4、より好ましくは1〜1.3、約1.1〜1.25の30秒でのトルク値/10分でのトルク値比を有する。
【0047】
本発明は、さらに、本発明の延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物を含む食品に関する。一般的に、該食品は、有利には20%未満の含水量を有する延長された品質保持期間を有する食品である。該食品は、食品、食品添加物および/または加工食品と一緒に、延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物を単純に添加または混合することによって得ることができる。
【0048】
用語「食品」は、食品、飼料として用いることができるか、または食品や飼料に添加することができる材料、物質、添加物を意味する。典型的には、食品は、動物、好ましくはヒト、イヌまたはネコなどの哺乳類がその食事の一部として消費し得る任意の組成物である。
【0049】
該食品は、たとえば、乾燥ペットフード、ペットフードおやつなどの乾燥食品であってもよく、兵士、宇宙飛行士のための食糧のような長期間の輸送を目的とする食品であってもよい。典型的には、乾燥ハンバーグ、ソーセージ、シュニッツェル、「ミート」ボール、中華鍋用肉片(wok piece)、フィレ肉。
【0050】
インスタントタンパク質性肉類似物およびそのようなインスタントタンパク質性肉類似物を得る方法
本発明は、インスタントタンパク質性肉類似物を得るための方法であって、該方法は、以下の工程を含む:
本発明方法によって延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物を得ること;
好ましくは50%を超える含水量、好ましくは60〜70%、好ましくは62〜68%、より好ましくは65%の含水量に達するまで、該延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物を水和させること;および
任意に、該水和されたタンパク質性肉類似物を調理すること;
インスタントタンパク質性肉類似物を得ること。
【0051】
本発明によれば、調理工程は、100℃以上の温度、典型的には30分〜200℃の温度で1分〜1時間実施される。該調理工程は、たとえば滅菌工程であってもよい。
【0052】
本発明はさらに、本発明の方法によって直接得られるインスタントタンパク質性肉類似物に関する。
【0053】
本発明は、さらに、インスタントタンパク質性肉類似物に関し、ここで、該インスタント肉類似物は、植物性タンパク質のうち、少なくとも小麦グルテン、可塑剤および好ましくは繊維を含み、試験Bによって決定されるように、50%超え、好ましくは60〜70%、より好ましくは62〜68%、さらにより好ましくは65%の含水量、少なくとも6グラムメートル(g*m)(好ましくは6〜20、より好ましくは8〜15)の、10分でのトルク値、あるいは約1〜1.7の、30秒でのトルク値/10分でのトルク値比を有する。
【0054】
本明細書で用いる、延長された品質保持期間を有するタンパク質性肉類似物を含む延長された品質保持期間を有する食品の30秒でのトルク値および10分でのトルク値は、タイプ50測定ヘッドおよび2つの逆回転同一シグマ形ブレード(ブレードの参照:Sigma(s))を含む混合チャンバーを備えたブラベンダー・プラストグラフ、タイプECを用いることによって試験Aによって評価され、サンプルを、たとえば、20分間の沸騰工程によるか、または室温で48時間過剰の水でサンプルに水和させることにより55〜70%の含水量を意味する平衡(それらの保水能力)まで水和させ、次いで、70gのキューブ形サンプル(15*15mm)を37℃に温度制御された混合チャンバーに導入し、混合ブレードを34rpmおよび22.67rpm(34*2/3)の異なる速度で逆回転させることによって測定値を得る。
【0055】
好ましくは、タンパク質性肉類似物は、約1〜1.5、好ましくは1〜1.4、より好ましくは1〜1.3、約1.1〜1.25の30秒でのトルク値/10分でのトルク値比を有する。
【0056】
本明細書で用いる「インスタントタンパク質性肉類似物」は、そのまま食べられるタンパク質性肉類似物を意味する。インスタント食品は、水和され(50%(w/w)超え、60〜70%、好ましくは62〜68%、より好ましくは65%の含水量を有する)、任意に調理された(肉と同じ手順、たとえば、30分〜200℃の温度で1分〜1時間)食品、あるいは、水和され、任意に調理された(肉と同じ手順、たとえば、30分〜200℃の温度で1分〜1時間)タンパク質性肉類似物を含む食品を意味する。
【0057】
本明細書で用いる、タンパク質性肉類似物を含むインスタント食品の30秒でのトルク値および10分でのトルク値は、タイプ50測定ヘッドおよび2つの逆回転同一シグマ形ブレード(ブレードの参照:Sigma(s))を含む混合チャンバーを備えたブラベンダー・プラストグラフ、タイプECを用いることによって試験Bによって評価され、サンプルを、たとえば、20分間の沸騰工程によるか、または室温で48時間過剰の水でサンプルに水和させることにより55〜70%の含水量を意味する平衡(それらの保水能力)まで水和させ、次いで、70gのキューブ形サンプル(15*15mm)を37℃に温度制御された混合チャンバーに導入し、混合ブレードを34rpmおよび22.67rpm(34*2/3)の異なる速度で逆回転させることによって測定値を得る。必要であれば、たとえば、水、必要であれば温水での数回の洗浄工程によって、残留ソースを除去するために、分析前にサンプルを洗浄してもよい。
【0058】
本発明によれば、該タンパク質性肉類似物は、粘着性のある物質である。典型的には、該タンパク質性肉類似物は、30%を超える、好ましくは50%〜80%のFi値を有する。
【0059】
本明細書で用いる「Fi値」は、SDS緩衝液中の不溶性タンパク質のパーセンテージを意味する。Fi値は、グルテンタンパク質の架橋のレベルを反映する。実際に、バイタルグルテンのFi値が10%未満であることが実証されている(Redl A、Morel MH、Bonicel J、Guilbert S、Vergnes B. Rheol Acta 1999;38(4):311-20)。たとえば、グルテンが熱処理を受けたときに、30%を超えるFi値が観察される。
【0060】
Fi値は、当業者に周知の方法に従って測定することができ、たとえば、Redl A、Morel MH、Bonicel J、Guilbert S、Vergnes B. Rheol Acta 1999;38(4):311-20に記載されている。タンパク質性肉類似物のFi値は、本発明の方法の静的加熱工程によって提供される。
【0061】
本発明はまた、以下:
60〜70%、好ましくは62〜68%、より好ましくは65%の含水量;
15〜25%のタンパク質(好ましくは17〜20%)のうち、60%を超える小麦グルテン(好ましくは小麦グルテンの70%以上、より好ましくは75〜80%、または典型的には100%);
2〜5%の脂肪(3〜4%);
8〜15%(w/w)の炭水化物、典型的には10〜12%(w/w)のうち、4%(w/w)未満、好ましくは1〜3.5%(w/w)、より好ましくは1.5〜3%(w/w)の可塑剤;
2〜8%、典型的には3〜6%、より好ましくは3.2〜5.8%の繊維;
を含むインスタントタンパク質性肉類似物に関する。
【0062】
本明細書で用いる用語「脂肪」は、哺乳動物、特にヒトが安全に摂取できるものである限り、それらが動物、家禽、魚または植物源から得られたものであるか、合成されたものであるかにかかわらず、固体、液体または懸濁液形態のいずれかにおける、長鎖、中鎖または短鎖脂肪族酸とグリセロール、トリヒドロキシアルコールまたはそれらの混合物とのエステル化反応により形成されたトリアシルグリセリドまたはトリグリセリドを意味する。
【0063】
本明細書で用いる「炭水化物」は、炭水化物」とは、少なくとも単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類またはそれらの誘導体などの炭水化物源を意味するが、これらに限定されるものではない。
【0064】
好ましくは、該インスタントタンパク質性肉類似物は、試験Bによって決定されるように、50%超え、好ましくは60〜70%、より好ましくは62〜68%、さらにより好ましくは65%の含水量、少なくとも6グラムメートル(g*m)(好ましくは6〜20、より好ましくは8〜15)の、10分でのトルク値、あるいは約1〜1.7の、30秒でのトルク値/10分でのトルク値比を有する。
【0065】
本発明は、さらに、本発明のインスタントタンパク質性肉類似物を含む食品に関する。典型的には、食品は、含水量が50%超え、有利には60〜70%、より好ましくは62〜68%、さらにより好ましくは65%の含水量を有する延長された品質保持期間を有する食品である。該食品は、インスタントタンパク質性肉類似物を単に食品、食品添加物および/または加工食品と共に添加または混合することによって得ることができる。
【0066】
該食品は、たとえば、ハンバーグ、ソーセージ、シュニッツェル、「ミート」ボール、中華鍋用肉片、フィレ肉などのインスタント食品でありうる。
【0067】
別個の意味を有するが、用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(containing)」および「からなる(consisting of)」は、本発明の上述の説明を通じて相互に置き換えられてもよい。
【0068】
本発明は、以下の実施例および図面を考慮してさらに評価される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】市販製品と本発明による製品(P3 6%繊維)との間のトルク値の比較。
【発明を実施するための形態】
【0070】
実施例
【実施例1】
【0071】
本発明の小麦グルテンベース製品の調製
バイタル小麦グルテン粉末(AMYGLUTEN(登録商標))(75部)、グリセロール(100%)(25部)および小麦繊維(VITACELL(登録商標)400)(0、3または6部)を一緒に温度65℃の二軸スクリュー押出機(Werner & Pfleiderer ZSK25)で連続的に混合し、ZGF30ペレタイザー(Werner & Pfleiderer)を用いて成形、切断して小粒子を得る。次いで、これらの粒子は、腐敗の危険なしに、室温で貯蔵されうる。異なる繊維含量(0、3および6%)を有する3種類の異なる製品(A1、A2およびA3)が得られる。
【0072】
これらの粒子の凝集塊は、3部の水を粒子に噴霧し、水和させた粒子を一緒に、ポークチョップの形状を有する型に手で押し込むことによって調製される。次いで、得られた凝集塊を150℃の調理油で5分間揚げることによって、製品P1、P2およびP3が提供される。
【実施例2】
【0073】
肉類似物の咀嚼および噛み感特性、ならびに肉製品
実施例1で調製した製品を水和させ、次いで、沸騰水中で20分間加熱して、60〜65%の水(35〜40%の乾燥物質)を含む製品を得た。繊維含量の異なる製品は、乾燥物質において、P1が0%の繊維を含み、P2が3%の繊維を含み、P3が6%の繊維を含有した。
【0074】
テクスチャー分析を、タイプ50測定ヘッドおよび2つの逆回転同一シグマ形ブレード(ブレードの参照:Sigma(s))を含む混合チャンバーを備えたブラベンダー・プラストグラフ、タイプECで行なった。70gのキューブ形サンプル(15*15mm)を37℃に温度制御された混合チャンバーに導入し、混合ブレードを34rpmおよび22.67rpm(34*2/3)の異なる速度で逆回転させることによって測定値を得る。
【0075】
トルク値を記録し、調理ビーフ、調理チキンおよび調理シュニッツェルなどの調理肉製品と比較した。また、SEITANなどの市販の肉類似物ならびに「VIANA」カウガール・ベジー・ステーキおよび「TOPAZ」小麦ベジタリアン・ケバブ・ドネルなどの市販製品のトルク値を、本発明の製品と比較した。これらの製品はすべて、湯中で20分間煮られた。
【0076】
以下の表において、上記のすべての製品についての30秒、10分および14分後のトルク値を示す。
【表1】

表1:、肉片(ビーフ、チキン、シュニッツェル)および市販の肉類似物(SEITAN、TOPAZ、VIANA)および本発明肉類似物の30秒、10分、14分の時点でのトルク値の比較分析
【0077】
測定値と比較してテクスチャー特性を評価するために、調理片の官能評価が行われている:
・調理ビーフ(水で20分間調理されたビーフについて予想されたように)は、噛むのがかなり困難である。この観察は、30秒における非常に高いトルク結果によって確認され、10分および14分においてわずかな減少が観察される。
・調理チキンは、噛み感においてビーフよりも柔らかいが、依然として硬い。トルク値は、官能評価を確認する非常に一定した結果を示す。
・調理シュニッツェルは、テクスチャーの硬さと柔らかさのバランスがよく、良好なテクスチャーを有する。
・市販品1および2は、最初の噛み感は良好であったが、最初の噛みの直後に構造が失われ、柔らかすぎるようになり、市販品1および2は、1.9の、30秒でのトルク値/10分でのトルク値比を示し、口中のテクスチャーが素早く失われることを示す。
・市販のSEITAN製品は、最初の噛み感から柔らかすぎ、SEITANのすべてのトルク値は10g*m未満であり、これは美味しい肉類似物としては柔らかすぎると思われる。
【0078】
本発明の例(P1、P2およびP3)は、最初の噛み感において非常に良好であるとみなされ、また咀嚼中、良好なテクスチャーを維持した。
【0079】
結果は、測定されたトルク値が、試験片を食べる経験とよく一致することを明確に示している。実際に、本発明の製品は、実際に市販されている小麦グルテンベースの肉類似物よりもはるかに良好な咀嚼および噛み感特性を示すことが明らかである。
【0080】
同時に、これらの値は、本発明の製品が天然肉製品の咀嚼および噛み感特性に近づくことを示している。
【実施例3】
【0081】
バイタル小麦グルテン粉末(AMYTEX(登録商標))(50部)、グリセロール(100%)(33部)、ヒヨコマメ粉(13部)および小麦繊維(VITACEL(登録商標)WF200)(4部)を一緒に温度65℃の二軸スクリュー押出機(Werner & Pfleiderer ZSK25)で連続的に混合し、ZGF30ペレタイザー(Werner & Pfleiderer)を用いて成形、切断して小粒子を得ることによって製品A4を得る。次いで、これらの粒子は、腐敗の危険なしに、室温で貯蔵されうる。
【0082】
これらの粒子の凝集塊は、11部の水を粒子に噴霧し、水和させた粒子を一緒に、15mmの厚さの型に手で押し込むことによって調製され、製品W4が得られる。次いで、該製品を150℃の調理油で10分間揚げることによって、製品P4が提供され、水中で48時間水和させることによって、60〜65%の水(35〜40%の乾燥物質)を含む製品が得られる。この製品を調製し、実施例2に記載のようにプラストグラフで分析する。
【0083】
【表2】

表2:30秒、10分、14分の時点での本発明製品のトルク値の分析
【実施例4】
【0084】
さまざまな調理条件
実施例3のW4を、20 x 20 mmの片に切断し、いくつかの条件下で調理する。
【0085】
片を110℃または150℃または185℃にて15分間揚げる。片をオーブン中で150度にて15分間または30分間調理する。片を沸騰水(100℃)中で15分間調理する。これらの調理された製品を、すべて水中で48時間水加させ、鍋で5分間調理した後に味をみる。
【0086】
150℃で調理された(オーブンまたはフライヤーで)製品は、テクスチャーにおいて良好であり、黄色〜明褐色を呈する。
【0087】
185℃で調理した製品は、非常に暗い色である(褐色、ほぼ黒色)。さらに、この製品は150℃で調理した製品よりもスポンジ状でテクスチャーにおいて柔らかいことがわかった。
【0088】
110℃で揚げた製品または100℃で茹でた製品は、外観が非常に白く、消費者にとっては魅力的ではなく、それらのテクスチャーは、150℃で調理した製品よりもはるかに柔らかいものであった。
【実施例5】
【0089】
バイタル小麦グルテン粉末(AMYGLUTEN(登録商標))(46部)、ヒヨコマメ粉(21部)、小麦繊維(VITACEL(登録商標) WF200)(4分)およびグリセロール(100%)(29部)を一緒に温度65℃の二軸スクリュー押出機(Werner & Pfleiderer ZSK25)で連続的に混合し、ZGF30ペレタイザー(Werner & Pfleiderer)を用いて成形、切断して小粒子を得ることによって製品A5を得る。次いで、これらの粒子は、腐敗の危険なしに、室温で貯蔵されうる。
【0090】
これらの粒子の凝集塊は、1部の塩、13部の水および25部の水和ヒヨコマメを、Meissnerボウル・カッター(RS35)中の粒子上に添加し、1分間切断する(ボウルの速度3およびブレードの速度2)ことによって調製される。次いで、ホバート・ミート・グラインダー・アタッチメント(Hobart A200N、#12 1/8”のプレート)を通して凝集塊を連続的に粉砕し、それにより多数のストランドを提供する。
【実施例6】
【0091】
ベジタリアン・ウインナ・シュニッツェル
実施例5からの継続的製品を、100mmの長さに切断する。各部分を、直径約300mm以下および厚さ4〜7mmの寸法を有するシュニッツェルを形成するために、厚さ1〜3mmのスチールシリンダーを有する手動生地シーターセットに通す。
【0092】
次いで、製品を150℃の食用油で15分間揚げ、野菜スープ(500mlの水に対して11gの野菜ブイヨンキューブ1つ)で48時間水和させる。
【0093】
次に、この製品を小麦粉、酵母フレーク、塩および水の混合物中で転がす。次いで、パン粉中で転がし、170℃にて5分間揚げるか、または平鍋で5分間調理して、ベジタリアン・ウインナ・シュニッツェルを調製する。
【0094】
得られたウインナ・シュニッツェルは、味、テクスチャーおよび外観が非常に良好である。それは、しっかりとしているが、柔らかい噛み感をもつ堅いパン粉を有する。
【実施例7】
【0095】
実施例5の製品を、厚さ5mmのスチールシリンダーを有する手動生地シーターセットに連続的に通して、厚さ15mmおよび幅150mmの連続的ストリップを提供する。このストリップから、15mm x 30mmの片を切り出す。
【0096】
次いで、これらの片を150℃の調理油で10分間揚げることによって、製品P4が提供され、水中で48時間水和させることによって、60〜65%の水(35〜40%の乾燥物質)を含む製品が得られる。この製品を調製し、実施例2に記載のようにプラストグラフで分析する。
【0097】
【表3】

表3:30秒、10分、14分の時点での本発明製品のトルク値の分析
【0098】
本発明の肉類似物の栄養素含有量を計算し、次いで、市販の肉類似物のものと比較した(表4参照)。
【0099】
本発明の製品を小麦、エンドウマメまたは大豆タンパク質をベースとする市販のものと比較することにより、本発明の製品が脂質含有量は非常に低いが、繊維、タンパク質および炭水化物中の含有量が高く、この製品が非常に素晴らしい栄養面を有することがわかる。
【0100】
【表4】

表4:市販の大豆、エンドウマメ、または小麦をベースとする肉類似物および本発明の製品の栄養素分析
【実施例8】
【0101】
完全な料理における本発明製品
実施例7からの製品P5を、野菜スープ(500mlの水に対して11gの野菜ブイヨンキューブ1つ)で48時間水和させる。
【0102】
水和片(1280 g)を以下とともに調理した:
80 gの干ししいたけ(湯で戻したもの)
1.6Lのココナッツミルク
0.8Lのココナッツクリーム
150 gの生姜(SEB Optimoカッターでみじん切り)
100 gのレモン・グラス(断片に切断)
50 gのグリーン・カレー
50 gのバジル(細かく切断)
50 gの醤油
2 gの乾燥ライム・グラス
100 mLのひまわり油。
全レシピを穏やかに加熱して調理し、30分間攪拌した。
【0103】
撹拌し、加熱しても、断片は崩壊することなく完全なままである。料理全体としては、外観および味が非常に魅力的である。
【実施例9】
【0104】
ニンジン、パースニップおよびリーキを含むソーセージ
600gの実施例3の製品A4を、ステファンカッター(UM 12 Vタイプ)中で、150gのリーキ、125gのニンジンおよび125gのパースニップと混合する。次いで、混合物を、ソーセージ充填漏斗およびセルロースケーシング(再生セルロース65%、グリセリン18%、水15%および油2%からなるViscofan)を備えたBomannミル粉砕機(FW 443 CBタイプ)でソーセージに成形する。ケーシングを外した後、ソーセージをMieleスチームオーブンで121℃にて15分間加熱し、48時間水和させた後、平鍋で焼く。得られたソーセージは魅力的なテクスチャーおよび色を有する。
【実施例10】
【0105】
ベジタリアン・ミートボール
740gの実施例5の製品A5を、ステファンカッター(UM 12 Vタイプ)中で、150gのカシューナッツ、100gの水および10gの塩と混合する。次いで、混合物を、Bomannミル粉砕機(FW 443 CBタイプ)で成形し、非常に凝集性のる植物性ミンチ肉を得る。ミンチ肉を手で「ミート」ボールにする。このように形成されたミートボールを、油中、150℃にて15分間揚げ、その後、過剰の水で水和し、平鍋で調理する。得られたミートボールは、魅力的な味、テクスチャーおよび外観を有する。
【実施例11】
【0106】
ベジタリアン・ハンバーグ
690gの実施例5の製品A5を、ステファンカッター(UM 12 Vタイプ)中で、300gのニンジンおよび10gの塩と混合する。次いで、混合物を、Bomannミル粉砕機(FW 443 CBタイプ)を用いてハンバーグに成形する。このように形成されたハンバーグを、油中、150℃にて15分間揚げ、その後、過剰の水で水和し、平鍋で調理する。得られたハンバーグは、魅力的な味、テクスチャーおよび外観を有する。ニンジン片は、依然として製品中で区別することができ、野菜タンパク質マトリックス中に非常に強固に埋め込まれている。
図1