特許第6681918号(P6681918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6681918-カプセルの製造方法 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681918
(24)【登録日】2020年3月26日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】カプセルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/08 20060101AFI20200406BHJP
   A61K 8/11 20060101ALI20200406BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20200406BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20200406BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20200406BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20200406BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20200406BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20200406BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20200406BHJP
   B01J 13/02 20060101ALI20200406BHJP
   A61K 8/9717 20170101ALI20200406BHJP
   A23L 5/00 20160101ALN20200406BHJP
【FI】
   B01J2/08
   A61K8/11
   A61K8/73
   A61K8/34
   A61K8/19
   A61Q19/00
   A61K47/36
   A61K9/48
   A61K47/02
   B01J13/02
   A61K8/9717
   !A23L5/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-552261(P2017-552261)
(86)(22)【出願日】2016年2月26日
(86)【国際出願番号】JP2016001051
(87)【国際公開番号】WO2017090214
(87)【国際公開日】20170601
【審査請求日】2018年12月5日
(31)【優先権主張番号】特願2015-229771(P2015-229771)
(32)【優先日】2015年11月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】500470840
【氏名又は名称】アサヌマ コーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石渡 正昭
【審査官】 田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−117610(JP,A)
【文献】 特開2015−057277(JP,A)
【文献】 特開平04−318029(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0262534(US,A1)
【文献】 特開2001−278740(JP,A)
【文献】 特開2014−152108(JP,A)
【文献】 特開2001−096146(JP,A)
【文献】 特開2001−097818(JP,A)
【文献】 特開2001−097819(JP,A)
【文献】 特開平09−110663(JP,A)
【文献】 特開平10−174861(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0814034(KR,B1)
【文献】 特表2008−546756(JP,A)
【文献】 特表2017−518866(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/055967(WO,A1)
【文献】 特開2014−114226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
A23L 5/00− 5/30
A23L 29/00−29/10
B01J 2/00− 2/30
B01J 13/02−13/22
A61J 1/00−19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラギーナン、寒天、アルギン酸ナトリウム、及びジェランガムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むアニオン性の親水性高分子ゲル化剤水溶液と、油分及び水と相溶可能であり、1,2−ヘキサンジオール、及びヘキシレングリコールの少なくとも一方から選ばれる両親媒性物質とを混合して混合物を作製する工程と、
前記混合物にカチオンを添加する工程と
前記両親媒性物質を除去する工程と
を少なくとも備えることを特徴とするカプセルの製造方法。
【請求項2】
前記カチオンが、カルシウムイオン、マグネシウムイオン及び第4級アンモニウムカチオンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のカプセルの製造方法。
【請求項3】
前記混合物作製工程において、前記親水性高分子ゲル化剤水溶液に対して前記両親媒性物質を添加することを特徴とする請求項1または請求項に記載のカプセルの製造方法。
【請求項4】
前記混合物作製工程において、前記両親媒性物質に対して前記親水性高分子ゲル化剤水溶液を添加することを特徴とする請求項1または請求項に記載のカプセルの製造方法。
【請求項5】
前記カプセルが繊維形状を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のカプセルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カプセルは、化粧品、医薬品、食品等の分野において、幅広く利用されており、例えば、所定の機能を有する機能性物質をカプセル内に内包することにより、当該機能性物質の安定性等を向上することができる。
【0003】
このカプセルの製造方法としては、例えば、内包油滴(油相)と、カプセル化剤を含有する水相により、O/Wエマルジョンを調製した後、外油相中に、調製したO/Wエマルジョンを分散乳化することにより、O/W/Oエマルジョンを調製し、その後、水相を固化させてカプセル化する方法が提案されている。
【0004】
より具体的には、例えば、内油相と、親水性高分子ゲル化剤である寒天又はカラギーナンを予め加熱溶解しておいた水相とから、ゲル化剤の固化温度以上でO/Wエマルジョンを調製するO/Wエマルジョン調製工程と、O/Wエマルジョンをゲル化剤の固化温度以上で外油相中に分散乳化するO/W/Oエマルジョン調製工程と、O/W/Oエマルジョンをゲル化剤の固化温度以下に冷却して水相を固化するカプセル化工程とを備えたマイクロカプセルの製造方法が開示されている。そして、このような方法により、微細な内包油滴を有し、安定性、及び塗布後の内包油滴の保持性に優れるマイクロカプセルを得ることができると記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、コエンザイムQ10含有乳化液を、円筒状凝固室の塔頂部より、二流体ノズルを用いて噴霧するとともに、塩化カルシウム水溶液を二流体ノズルにて空気と混合しながら噴霧した後、コエンザイムQ10含有乳化物をゲル化させて粒子状態にして、水懸濁液として回収し、回収した懸濁液を定法により脱水、乾燥して、カプセルを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4637993号公報
【特許文献2】国際公開第2007/125915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に記載の製造方法においては、O/Wエマルジョンを外油相中に分散乳化してO/W/Oエマルジョンを調製するため、カプセルを使用する場合に、カプセル表面に外油相が残存し、この外油相を完全に除去するには、多大な労力とコストが必要になるため、例えば、化粧水等の水系の製品に使用することができないという問題があった。
【0008】
また、カプセルの粒径を制御することが困難であり、特に、粒径が0.2mm以上であって均一な粒径を有するカプセルの製造が困難であった。
【0009】
また、上記特許文献2に記載の製造方法においては、上述のごとく、二流体ノズル等の特殊な装置が必要になるため、製造工程が複雑になるとともにコストアップになるという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、化粧水等の水系の製品に使用することができるカプセルを、安価かつ簡易な方法により製造することができるカプセルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のカプセルの製造方法は、カラギーナン、寒天、アルギン酸ナトリウム、及びジェランガムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むアニオン性の親水性高分子ゲル化剤水溶液と、油分及び水と相溶可能な両親媒性物質とを混合して混合物を作製する工程と、混合物にカチオンを添加する工程と、両親媒性物質を除去する工程を少なくとも備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、安価かつ簡易な方法により、化粧水等の水系の製品に使用することができるカプセルを提供することができる。また、粒径が0.2mm以上であって、均一な粒径を有するカプセルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るカプセルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明のカプセルを示す概念図である。図1に示すように、本発明のカプセル1は、アニオン性の親水性高分子ゲル化剤2と、親水性高分子ゲル化剤2中に分散された内包油滴3とにより構成されている。
【0016】
<親水性高分子ゲル化剤>
本発明においては、親水性高分子ゲル化剤2として、カラギーナンが好適に使用できる。カラギーナンは、紅藻類から抽出される多糖類であり、親水性高分子ゲル化剤2として使用される。このカラギーナンとしては、例えば、カウンターイオンであるカルシウムイオンと反応することによりゲル化するイオタカラギーナンが使用される。
【0017】
なお、カラギーナンとして、カッパカラギーナン、またはラムダカラギーナンを使用してもよい。
【0018】
また、親水性高分子ゲル化剤2として、上記カラギーナンの代わりに、寒天、アルギン酸ナトリウム、ジェランガム等を使用してもよい。なお、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0019】
また、親水性高分子ゲル化剤水溶液全体に対する親水性高分子ゲル化剤2の濃度は、0.2〜5質量%が好ましく、0.5〜4質量%がより好ましい。
【0020】
<内包油滴>
内包油滴3は、特に限定されず、一般的に化粧料等に使用されるものを、本発明の効果を損なわない範囲内で配合することができる。なお、本発明においては、この内包油滴は、省略することができる。
【0021】
この内包油滴としては、例えば、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、油性ゲル化剤類等が使用できる。
【0022】
より具体的には、エチレン・プロピレンコポリマー、ポリエチレンワックス、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、水添マイクロクリスタリンワックス、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリブテン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、モクロウ等のロウ類、トリエチルヘキサノイン、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸オクチルドデシル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油類、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられる。なお、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0023】
次に、本発明の実施形態に係るカプセルの製造方法について説明する。
【0024】
(内包油脂を使用しない場合)
<親水性高分子ゲル化剤水溶液作製工程>
まず、カラギーナンや寒天等の親水性高分子ゲル化剤2を、イオン交換水に添加し、このイオン交換水を所定の温度(例えば、90℃)で加熱して、親水性高分子ゲル化剤2を溶解することにより、親水性高分子ゲル化剤2が溶解した水溶液を調製する。
【0025】
なお、本工程においては、親水性高分子ゲル化剤2の他に、一般的に使用される成分(1,3―ブチレングリコールやグリセリン等の保湿剤、メチルパラベン等の防腐剤、ホワイトパール粉末やゴールドパール粉末等の着色剤、ポリ−γ−グルタミン酸Naやヒドロキシエチルセルロース等の粒の助構成成分等)を、本発明の効果を損なわない範囲内で配合することができる。
【0026】
<両親媒性物質混合工程>
次に、上述の親水性高分子ゲル化剤水溶液に、両親媒性物質を添加し、例えば、プロペラ攪拌機により攪拌して混合することにより、親水性高分子ゲル化剤水溶液と両親媒性物質の混合物を得る。
【0027】
この際、この混合物において、両親媒性物質中に親水性高分子ゲル化剤2が粒状(カプセル)の状態で分散する。
【0028】
(内包油脂を使用する場合)
まず、上述の親水性高分子ゲル化剤水溶液作製工程により、親水性高分子ゲル化剤2が溶解した水溶液を調製する。
【0029】
<内包油滴作製工程>
次に、内包油脂を作製する。例えば、保湿剤である1,3−ブチレングリコールに親水性界面活性剤であるPEG−60水添ヒマシ油を添加し、所定の温度(例えば、50℃)に加熱し溶解する。次に、イオン交換水を添加して、撹拌溶解後、所定の温度(例えば、30℃)まで冷却して水相を得る。そして、この水相へ油(例えば、トリエチルヘキサノイン、ジメチルポリシロキサン)を添加し、ホモミキサー(乳化機)を使用して処理を行い、乳化液相である内包油滴3を得る。
【0030】
また、例えば、1,3−ブチレングリコールにPEG−60水添ヒマシ油を添加し、所定の温度(例えば、50℃)に加熱し溶解する。次に、保湿剤であるグリセリン、及び親水性界面活性剤であるセスキイソステアリン酸ソルビタン、及び油(例えば、トリエチルヘキサノイン)を添加し、撹拌して溶解する。そして、この混合相を、イオン交換水中に撹拌しながら添加することにより、乳化液相である内包油滴3を得る。
【0031】
<O/Wエマルジョン作製工程>
次に、作製した内包油相を親水性高分子ゲル化剤水溶液に添加し、攪拌して混合することにより、O/Wエマルジョンを得る。
【0032】
<両親媒性物質混合工程>
次に、上述のO/Wエマルジョンに、両親媒性物質を添加し、例えば、プロペラ攪拌機により攪拌して混合することにより、O/Wエマルジョンと両親媒性物質の混合物を得る。
【0033】
この際、この混合物において、両親媒性物質中に親水性高分子ゲル化剤2が粒状(カプセル)の状態で分散する。
【0034】
なお、本発明においては、両親媒性物質に、O/Wエマルジョンまたは親水性高分子ゲル化剤水溶液を添加し、攪拌して混合する構成としてもよい。
【0035】
ここで、両親媒性物質とは、「油分及び水と相溶可能な物質」を意味し、例えば、コハク酸ビスエトキシジグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、コハク酸ジエトキシエチル、1,2−ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン、及びPPG−9ジグルセリル等が挙げられる。また、両親媒性物質として、ポリオキシエチレン(17)ポリオキシプロピレン(4)ジメチルエーテルや、ポリオキシエチレン(14)ポリオキシプロピレン(7)ジメチルエーテル等のポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合体のジメチルエーテルを使用することができる。なお、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0036】
また、略球形状や略楕円形状のカプセル1を製造する場合は、コハク酸ビスエトキシジグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを使用することが好ましい。また、繊維形状を有するカプセル1を製造する場合は、分散溶媒であるコハク酸ジエトキシエチル、1,2−ヘキサンジオール、ヘキシレングリコールを使用することが好ましい。
【0037】
このように、本発明においては、使用する両親媒性物質を変更することにより、カプセル1の形状を制御することが可能になる。
【0038】
また、本発明においては、親水性高分子ゲル化剤を両親媒性物質に分散させるため、粒径が0.2mm以上であって、均一な粒径を有するカプセルの製造が可能になる。
【0039】
なお、添加された両親媒性物質は、ろ過処理により、再利用することが可能であるため、コストダウンを図ることが可能になる。
【0040】
<カチオン添加工程>
次に、上記両親媒性物質混合工程において得られたO/Wエマルジョンと両親媒性物質との混合物(または、親水性高分子ゲル化剤水溶液と両親媒性物質との混合物)を所定の温度(例えば、45℃)まで冷却した後、この混合物に、カチオン(無機カチオン、有機カチオン)を添加する。そうすると、アニオン性高分子の親水性高分子ゲル化剤2とカチオンとが反応し、親水性高分子ゲル化剤2とカチオンとの反応物(以下、「カチオン反応物」)が形成され、図1に示すカプセルを得ることができる。
【0041】
ここで、カチオンとしては、親水性高分子ゲル化剤のアニオン部分と電気的に中性となる無機カチオンまたは有機カチオンであればよい。より具体的には、無機カチオンとしては、例えば、塩化カルシウム二水和物や硫酸マグネシウムをイオン交換水に溶解することにより生成するカルシウムイオンやマグネシウムイオンを使用することができる。
【0042】
また、有機カチオンとしては、例えば、塩化ベンザルコニウム、セトリモニウムクロリドをイオン交換水に溶解することにより生成する第4級アンモニウムカチオンを使用することができる。
【0043】
そして、このように、カチオンを添加することにより、アニオン性高分子の親水性高分子ゲル化剤とカチオンとが反応し、親水性高分子ゲル化剤がゲル化して外皮膜が形成され、図1に示すカプセルが製造される。
【0044】
<両親媒性物質除去工程>
また、本発明においては、親水性高分子ゲル化剤2(または、O/Wエマルジョン)を両親媒性物質に分散させるため、カプセル1を使用する際に、カプセル1の表面に両親媒性物質が残存している場合であっても、両親媒性物質は水に溶解するため、ろ過・水洗を行うことにより、簡単に除去することができる。従って、化粧水等の水系の製品に使用可能なカプセル1を安価かつ簡単な方法で製造することが可能になる。
【0045】
また、本発明においては、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、及びジェランガムと、カルシウムイオンとを反応させることにより、肌上で潰れにくいカプセル1を製造することができ、寒天と、カルシウムイオンとを反応させると、肌上で潰れやすいカプセル1を製造することができる。従って、カプセル1の潰れやすさを自由に設計することが可能になるため、肌上で潰れやすいカプセル、及び肌上で潰れにくいカプセルの双方を提供することが可能になる。
【0046】
また、本発明においては、どのような乳化技術を使用した場合であっても、カプセル1内に内包油滴3を入れ込むことが可能になる。
【0047】
以上に説明したように、本発明においては、上記従来技術とは異なり、特殊な装置を必要とせず、簡易な装置(プロペラ攪拌機)を使用して、親水性高分子ゲル化剤(または、O/Wエマルジョン)と両親媒性物質とを、単に混合して攪拌するだけでよいため、安価かつ簡易な方法によりカプセルを製造することが可能になる。
【実施例】
【0048】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを発明の範囲から除外するものではない。
【0049】
(実施例1〜7及び比較例1〜3)
<カプセルの製造方法>
表1に示す組成(質量%)を有する実施例1〜7及び比較例1〜3のカプセルを、下記の製造方法により製造した。
【0050】
【表1】
【0051】
<親水性高分子ゲル化剤水溶液の作製>
1,3―ブチレングリコールにメチルパラベンを添加し、50℃に加熱して溶解した後、グリセリンを添加し、撹拌して溶解した。次に、親水性高分子を添加し、湿潤させて、撹拌分散した。次に、親水性高分子の分散相をイオン交換水中に添加し、90℃に加熱して撹拌溶解した後、50℃まで冷却し、実施例1〜7の親水性高分子ゲル化剤水溶液を得た。
【0052】
なお、比較例1〜3については、親水性高分子として、カルボキシメチルセルロース、またはポリ−γ−グルタミン酸Naを添加した。
【0053】
<両親媒性物質の混合>
次に、作製した親水性高分子ゲル化剤水溶液に、50℃に加熱した両親媒性物質であるコハク酸ビスエトキシジグリコールを添加し、プロペラ攪拌機(アズワン(株)製、商品名:STIRRER、P−1)を使用して、300rpmの速度で攪拌して混合することにより、親水性高分子ゲル化剤水溶液と両親媒性物質の混合物を得た。
【0054】
なお、実施例2においては、コハク酸ビスエトキシジグリコールに親水性高分子ゲル化剤水溶液を添加し、上述のプロペラ攪拌機を使用して、攪拌して混合することにより、親水性高分子ゲル化剤水溶液と両親媒性物質の混合物を得た。
【0055】
<カチオンの添加>
次に、上記両親媒性物質混合工程において得られた親水性高分子ゲル化剤水溶液と両親媒性物質との混合物を45℃まで冷却した後、この混合物に、塩化カルシウム二水和物が溶解したイオン交換水を添加することにより、カプセル分散物を製造した。
【0056】
<両親媒性物質除去工程>
次に、分散媒として用いたコハク酸ビスエトキシジグリコールをろ過・水洗して除去することにより、カプセルを製造した。
【0057】
(実施例8〜14及び比較例4)
<カプセルの製造方法>
表2に示す組成(質量%)を有する実施例8〜14及び比較例4のカプセルを、下記の製造方法により製造した。
【0058】
【表2】
【0059】
<親水性高分子ゲル化剤水溶液>
1,3―ブチレングリコールにメチルパラベンを添加し、50℃に加熱して溶解した後、グリセリン、及びPPG−9ジグリセリルを添加し、撹拌して溶解した。次に、親水性高分子とヒドロキシエチルセルロースを添加し、湿潤させて、撹拌分散した。次に、親水性高分子とヒドロキシエチルセルロースの分散相をイオン交換水中に添加し、90℃に加熱して撹拌溶解した後、50℃まで冷却し、ゴールドパール粉末を添加して、攪拌分散することにより実施例9〜15、比較例4の親水性高分子ゲル化剤を含む水溶液を得た。
【0060】
<両親媒性物質の混合>
次に、実施例9〜11,13〜14においては、50℃に加熱した両親媒性物質(コハク酸ビスエトキシジグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、コハク酸ジエトキシエチル、1,2−ヘキサンジオール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン、PPG−9ジグルセリル)に親水性高分子ゲル化剤水溶液を添加し、上述のプロペラ攪拌機を使用して、表2に示す速度で攪拌して混合することにより、親水性高分子ゲル化剤水溶液と両親媒性物質の混合物を得た。
【0061】
また、実施例8,12については、作製した親水性高分子ゲル化剤水溶液に、50℃に加熱した両親媒性物質(コハク酸ビスエトキシジグリコール、コハク酸ジエトキシエチル、1,2−ヘキサンジオール、またはPEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン)を添加し、上述のプロペラ攪拌機を使用して、表2に示す速度で攪拌して混合することにより、親水性高分子ゲル化剤水溶液と両親媒性物質の混合物を得た。
【0062】
<カチオンの添加>
次に、上記両親媒性物質混合工程において得られた親水性高分子ゲル化剤水溶液と両親媒性物質との混合物を45℃まで冷却した後、この混合物に、塩化カルシウム二水和物が溶解したイオン交換水を添加することにより、カプセル分散物を製造した。
【0063】
<両親媒性物質除去工程>
次に、分散媒として用いたコハク酸ビスエトキシジグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、コハク酸ジエトキシエチル、1,2−ヘキサンジオール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン、PPG−9ジグルセリルをろ過・水洗して除去することにより、カプセルを製造した。
【0064】
(実施例15〜20)
<カプセルの製造方法>
表3に示す組成(質量%)を有する実施例15〜20のカプセルを、下記の製造方法により製造した。
【0065】
【表3】
【0066】
<親水性高分子ゲル化剤水溶液>
1,3―ブチレングリコールにメチルパラベンを添加し、50℃に加熱して溶解した後、グリセリンを添加し、撹拌して溶解した。次に、親水性高分子、ポリ−γ−グルタミン酸Na、及びヒドロキシエチルセルロースを添加し、湿潤させて、撹拌分散した。次に、親水性高分子、ポリ−γ−グルタミン酸Na、及びヒドロキシエチルセルロースの分散相をイオン交換水中に添加し、90℃に加熱して撹拌溶解した後、50℃まで冷却し、ホワイトパール粉末、及びゴールドパール粉末を添加して、攪拌分散することにより実施例16〜21の親水性高分子ゲル化剤を含む水溶液を得た。
【0067】
<内包油相>
実施例19における内包油相は次の方法により作製した。まず、1,3−ブチレングリコールにPEG−60水添ヒマシ油を添加し、50℃に加熱し溶解した。次に、イオン交換水を添加して、撹拌溶解後、30℃まで冷却して水相を得た。そして、この水相へトリエチルヘキサノイン、及びジメチルポリシロキサンを添加し、ホモミキサー(乳化機)を使用して処理を行い、乳化液相である内包油相を得た。
【0068】
また、実施例20における内包油相は次の方法により作製した。まず、1,3−ブチレングリコールにPEG−60水添ヒマシ油を添加し、50℃に加熱し溶解した。次に、グリセリン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、及びトリエチルヘキサノインを添加し、撹拌して溶解した。そして、この混合相を、イオン交換水中に撹拌しながら添加することにより、乳化液相である内包油相を得た。
【0069】
<O/Wエマルジョン>
次に、作製した内包油相を親水性高分子ゲル化剤水溶液に添加し、攪拌して混合することにより、O/Wエマルジョンを得た。
【0070】
<両親媒性物質の混合>
次に、実施例15〜18においては、作製した親水性高分子ゲル化剤水溶液に、50℃に加熱した両親媒性物質であるコハク酸ビスエトキシジグリコールを添加し、上述のプロペラ攪拌機を使用して、400rpmの速度で攪拌して混合することにより、親水性高分子ゲル化剤水溶液と両親媒性物質の混合物を得た。
【0071】
また、実施例19〜20においては、作製したO/Wエマルジョンに、50℃に加熱した両親媒性物質であるコハク酸ビスエトキシジグリコールを添加し、上述のプロペラ攪拌機を使用して、400rpmの速度で攪拌して混合することにより、O/Wエマルジョンと両親媒性物質の混合物を得た。
【0072】
<カチオンの添加>
次に、上記両親媒性物質混合工程において得られた親水性高分子ゲル化剤水溶液と両親媒性物質との混合物(実施例19〜20においては、O/Wエマルジョンと両親媒性物質との混合物)を45℃まで冷却した後、この混合物に、塩化カルシウム二水和物、硫酸マグネシウム、塩化ベンザルコニウム、及びセトリモニウムクロリドの少なくとも1種が溶解したイオン交換水を添加することにより、カプセル分散物を製造した。
【0073】
<両親媒性物質除去工程>
次に、分散媒として用いたコハク酸ビスエトキシジグリコールをろ過・水洗して除去することにより、カプセルを製造した。
【0074】
(実施例21〜24)
<カプセルの製造方法>
表4に示す組成(質量%)を有する実施例21〜24のカプセルを、下記の製造方法により製造した。
【0075】
【表4】
【0076】
<親水性高分子ゲル化剤水溶液>
1,3―ブチレングリコールにメチルパラベンを添加し、50℃に加熱して溶解した後、グリセリンを添加し、撹拌して溶解した。次に、親水性高分子とポリビニルアルコールを添加し、湿潤させて、撹拌分散した。次に、親水性高分子とポリビニルアルコールの分散相をイオン交換水中に添加し、90℃に加熱して撹拌溶解した後、50℃まで冷却し、ゴールドパール粉末を添加して、攪拌分散することにより実施例21〜24の親水性高分子ゲル化剤を含む水溶液を得た。
【0077】
<両親媒性物質の混合>
次に、作製した親水性高分子ゲル化剤水溶液に、50℃に加熱した両親媒性物質(コハク酸ビスエトキシジグリコール、1,2−ヘキサンジオール)を添加し、上述のプロペラ攪拌機を使用して、500rpmの速度で攪拌して混合することにより、親水性高分子ゲル化剤と両親媒性物質の混合物を得た。
【0078】
なお、実施例22においては、繊維形状を有するカプセルを製造し易くするとの観点から、両親媒性物質にイオン交換水と食塩(塩析効果のある物質)を添加した。
【0079】
<カチオンの添加>
次に、上記両親媒性物質混合工程において得られた親水性高分子ゲル化剤水溶液と両親媒性物質との混合物を45℃まで冷却した後、この混合物に、塩化カルシウム二水和物が溶解したイオン交換水を添加することにより、カプセル分散物を製造した。
【0080】
<両親媒性物質除去工程>
次に、分散媒として用いたコハク酸ビスエトキシジグリコール、1,2−ヘキサンジオール、及び食塩をろ過・水洗して除去することにより、カプセルを製造した。
【0081】
次に、各カプセルに対して、カプセルの形状、カプセルの径、カプセルの安定性、及び残存分散媒を以下に示す方法により評価した。以上の結果を表1〜表4に示す。
【0082】
<カプセルの形状>
目視により、実施例、及び比較例の各カプセルの形状を評価した。
【0083】
<カプセルの径>
物差しを使用して、目視により、実施例、及び比較例の各カプセルの径を測定した。
【0084】
<カプセルの安定性>
作製したカプセルを、50℃の環境下でスクリュー管内に1ヶ月間、保存し、その後、カプセルの変形、破壊、凝集等の変化について、目視により確認した。
評価基準
カプセルの変形、破壊、凝集が全く認められないか僅かに認められる場合:○
カプセルの変形、破壊、凝集が少し認められるか明らかに認められる場合:×
【0085】
<残存分散媒>
液体クロマトグラフィー(島津製作所(株)製、商品名:Prominence)を使用して、残存分散媒(即ち、カプセルの表面に残存する両親媒性物質)の有無について評価した。
評価基準
濃度が100ppm未満の場合:○
水に入れた時に油膜または油浮きが認められる、又は100ppm以上の場合:×
【0086】
表1〜表3に示すように、アニオン性の親水性高分子ゲル化剤(カラギーナン、寒天、アルギン酸ナトリウム、及びジェランガムのうち少なくとも1種)と両親媒性物質(コハク酸ビスエトキシジグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、コハク酸ジエトキシエチル、1,2−ヘキサンジオール、PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン、及びPPG−9ジグルセリルのうち少なくとも1種)とを混合し、この混合物にカチオン(カルシウムイオン、マグネシウムイオン、または第4級アンモニウムカチオン)を添加した実施例1〜20においては、安定性に優れ、粒径が0.2mm以上の均一な粒径を有する球形状、立方体形状、楕円体形状のカプセルを提供することができることが判る。
【0087】
また、表4に示すように、アニオン性の親水性高分子ゲル化剤(カラギーナン、寒天、アルギン酸ナトリウム、及びジェランガムのうち少なくとも1種)と両親媒性物質(コハク酸ビスエトキシジグリコール、及び1,2−ヘキサンジオールのうち少なくとも1種)とを混合し、この混合物にカチオン(カルシウムイオン)を添加した実施例21〜24においては、安定性に優れ、繊維形状を有するカプセルを提供することができることが判る。
【0088】
一方、表1〜表2に示すように、カラギーナン、寒天、アルギン酸ナトリウム、またはジェランガムを使用しなかった比較例1においては、カプセル自体が固化し(即ち、親水性高分子が粒にならず、全部が固まった状態になり)、比較例2においては、カプセル自体を製造することができなかった。
【0089】
また、カチオンを添加しなかった比較例3においては、カプセルは製造できたものの、カプセルの安定性に乏しいことが判る。また、本発明の両親媒性物質を混合しなかった比較例4においては、明らかに油が残存しており、油系およびW/O系には配合できるものの、水系には配合できないことが判った。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上説明したように、本発明は、化粧品、医薬品、食品等の分野において使用されるカプセルの製造方法に、特に、有用である。
【符号の説明】
【0091】
1 カプセル
2 アニオン性の親水性高分子ゲル化剤
3 内包油脂
図1