特許第6681942号(P6681942)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6681942
(24)【登録日】2020年3月26日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】防曇性コーティング組成液の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 183/08 20060101AFI20200406BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20200406BHJP
   C09K 3/18 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   C09D183/08
   C09K3/00 R
   C09K3/18
【請求項の数】4
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-108289(P2018-108289)
(22)【出願日】2018年6月6日
(65)【公開番号】特開2019-48966(P2019-48966A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2018年8月17日
(31)【優先権主張番号】特願2017-173909(P2017-173909)
(32)【優先日】2017年9月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591167430
【氏名又は名称】株式会社KRI
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正洋
(72)【発明者】
【氏名】北島 さつき
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−191053(JP,A)
【文献】 国際公開第95/010523(WO,A1)
【文献】 特開平05−331455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
C09K 3/00
C09K 3/18
A01G 9/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング組成液の製造方法であって、水の存在下、
下記式(1)で表される化合物あるいは下記式(1)で表される化合物を加水分解した加水分解物及び/又は加水分解縮合物(以上を総称して「式(1)化合物等」という。)と
下記式(4)で表される化合物と下記式(4)で表される化合物の活性水素と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤から誘導される化合物(以下「界面活性シランカップリング剤」という。)、界面活性シランカップリング剤を加水分解した加水分解物及び加水分解縮合物(以上を総称して「界面活性シランカップリング剤等」という。)、シランカップリング剤である下記式(5)で表される化合物、下記式(5)で表される化合物を加水分解した加水分解物及び加水分解縮合物(以上を総称して「シランカップリング剤等」という。)からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上と、
下記式(2)及び/又は下記式(2’)で表されるベタイン化剤(以上を総称して「ベタイン化剤」という。)と、を加えて反応並びに加水分解及び/又は加水分解縮合させて、
溶媒中に下記式(3)で表されるベタイン系ケイ素化合物の加水分解物及び/又は加水分解縮合物並びに界面活性シランカップリング剤を加水分解した加水分解物及び加水分解縮合物及び/又は下記式(5)で表される化合物を加水分解した加水分解物及び加水分解縮合物を含むことを特徴とする防曇性コーティング組成液の製造方法。
(X)3−k(CHSi−R−(Y−R−N(R)(R) (1)
{式中Xは同一又は異なっても良い炭素数1〜5のアルコキシ基、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを表し、kは0又は1を表し、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を表し、Yは−NHCOO−、−NHCONH−、−S−又は−SO−を表し、mは0又は1を表し、Rは炭素数1〜10のエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を含んでも良いアルキレン基又は−CHCH(CH)(Z)CHCHOCHCH−(Zは(CHCO(nは1〜5の整数)又は(CHSO(nは1〜5の整数))を表し、R及びRは同一又は異なっても良い炭素数1〜3のアルキル基を表す。}
−R−Z−Y (2)
{式中Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子であり、Rは炭素数1から7のアルキレン基であり、ZはCO又はSOを表し、YはLi、Na及びKである。}
【化21】
{式中、Rは炭素数2から7のアルキレン基であり、Zは−CO−O−又は−SO−O−である。}
(X)3−k(CHSi−R−(Y−R−N(R)(R)−Z
(3)
{式中X、k、R、Y、m、R、R及びRは式(1)と同一であり、Zは−(CHCO(nは1〜5の整数)又は−(CHSO(nは1〜5の整数)である。}
−X−(CHCHO)−Y (4)
{式中Rは、炭素数1〜20のアルキル基(該アルキル基はフッ素原子、ケイ素原子、ベンゼン環及び二重結合を含んでいてもよい。)又は水素原子、Xは−O−、−COO−あるいは−CONH−であり、pは1〜30の整数であり、Yは水素原子、−CHCOOHを表す。}
(X)3−k(CHSi−(R (5)
{式中、Xは同一又は異なっても良い炭素数1〜5のアルコキシ基、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを表し、kは0又は1を表し、mは、0又は1を表し、Xは、アルキル基(該アルキル基は、ヘテロ原子、不飽和結合を含んでもよく、また環状構造であってもよい)、ビニル基、チオール基、アミノ基、塩素原子、アクリル基、メタクリル基、スチリル基、フェニル基、トリル基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基及びブロック化イソシアネート基からなる群から選ばれる官能基であり、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。}
【請求項2】
水の存在下、請求項1に記載の式(1)化合物等と、請求項1に記載の界面活性シランカップリング剤等及び請求項1に記載のシランカップリング剤等からなる群から選ばれる1種以上とを加水分解及び/又は加水分解縮合させた後、請求項1に記載のベタイン化剤を加えて反応並びに加水分解及び/又は加水分解縮合させることを特徴とする請求項1に記載の防曇性コーティング組成液の製造方法。
【請求項3】
水の存在下、請求項1に記載の式(1)化合物等と請求項1に記載のベタイン化剤を反応並びに加水分解及び/又は加水分解縮合させた後、請求項1に記載の界面活性シランカップリング剤等及び請求項1に記載のシランカップリング剤等からなる群から選ばれる1種類以上を加えて加水分解及び/又は加水分解縮合させることを特徴とする請求項1に記載の防曇性コーティング組成液の製造方法。
【請求項4】
水の存在下、
請求項1に記載の式(1)化合物等と、
請求項1に記載の界面活性シランカップリング剤等及び請求項1に記載のシランカップリング剤等からなる群から選ばれる1種以上と、
加水分解可能な炭素−ケイ素結合を有しないケイ素化合物、加水分解可能な炭素−ケイ素結合を有しないケイ素化合物を加水分解した加水分解物及び加水分解縮合物、加水分解可能なチタン化合物、加水分解可能なチタン化合物を加水分解した加水分解物及び加水分解縮合物、加水分解可能なジルコニウム化合物、加水分解可能なジルコニウム化合物を加水分解した加水分解物及び加水分解縮合物、加水分解可能なアルミニウム化合物及び加水分解可能なアルミニウム化合物を加水分解した加水分解物及び加水分解縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上と、
請求項1に記載のベタイン化剤と、
を加えて反応並びに加水分解及び/又は加水分解縮合させることを特徴とする請求項1に記載の防曇性コーティング組成液の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防曇効果が大きく、低コストで製造できるコーティング可能なベタイン系ケイ素系化合物の加水分解縮合物及び/又は加水分解混合物を含む防曇性コーティング組成液の製造方法の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは無機及び有機基材に塗布できる防曇性コーティング剤として、ベタイン系ケイ素化合物からなる防曇性コーティング組成物を見出し、特許出願(特許文献1)している。
しかし本防曇性コーティング組成物を得る為に、まずベタイン系ケイ素化合物を製造する際、目的物であるベタイン系ケイ素化合物のアルコキシ基の加水分解を防ぐ為に、用いる溶剤(例えばエチルアルコール等)を脱水処理、また反応雰囲気も水分が無い状態にする必要がある。また生成した塩をろ過して除去する必要がある場合、生成物のベタイン系ケイ素化合物のアルコキシ基の加水分解を防ぐ為に、ろ過雰囲気も水分が無い状態にする必要があり、上記操作が複雑である。
その結果、防曇性コーティング組成液を調整するのが煩雑になり、結果としてコストが高くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2016−167097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、溶剤の脱水が全く不要で、反応中及び後処理での雰囲気の湿度を全くコントロールする必要がなく、簡便で防曇性コーティング組成液を得る為の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記の様な従来技術の問題点に留意しつつ鋭意検討を行った結果、ベタイン系ケイ素化合物の原料であるジアルキルアミノケイ素化合物の加水分解物及び/又は加水分解縮合物にベタイン化剤を作用させることにより、上記課題を解決できることを見出し本発明に至った。
【0006】
すなわち本発明は、以下の構成からなることを特徴とし、上記課題を解決するものである。
〔1〕 コーティング組成液の製造方法であって、水の存在下、下記式(1)で表される化合物あるいは下記式(1)で表される化合物を加水分解した加水分解物及び/又は加水分解縮合物(以上を総称して「式(1)化合物等」という。)と下記式(2)及び/又は下記式(2’)で表されるベタイン化剤(以上を総称して「ベタイン化剤」という。)を反応並びに加水分解及び/又は加水分解縮合させて、溶媒中に下記式(3)で表されるベタイン系ケイ素化合物の加水分解物及び/又は加水分解縮合物を含む防曇性コーティング組成液の製造方法。
(X)3−k(CHSi−R−(Y−R−N(R)(R) (1)
{式中Xは同一又は異なっても良い炭素数1〜5のアルコキシ基、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを表し、kは0又は1を表し、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を表し、Yは−NHCOO−、−NHCONH−、−S−又は−SO−を表し、mは0又は1を表し、Rは炭素数1〜10のエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を含んでも良いアルキレン基又は−CHCH(CH)(Z)CHCHOCHCH−(Zは(CHCO(nは1〜5の整数)又は(CHSO(nは1〜5の整数))を表し、R及びRは同一又は異なっても良い炭素数1〜3のアルキル基を表す。}
−R−Z−Y (2)
{式中Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子であり、Rは炭素数1から7のアルキレン基であり、ZはCO又はSOを表し、YはLi、Na及びKである。}
【化21】
{式中、Rは炭素数2から7のアルキレン基であり、Zは−CO−O−又は−SO−O−である。}
(X)3−k(CHSi−R−(Y−R−N(R)(R)−Z
(3)
{式中X、k、R、Y、m、R、R及びRは式(1)と同一であり、Zは−(CHCO(nは1〜5の整数)又は−(CHSO(nは1〜5の整数)である。}
〔2〕 水の存在下、
前記式(1)化合物等と、
下記式(4)で表される化合物と下記式(4)で表される化合物の活性水素と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤から誘導される化合物(以下「界面活性シランカップリング剤」という。)、界面活性シランカップリング剤を加水分解した加水分解物及び加水分解縮合物(以上を総称して「界面活性シランカップリング剤等」という。)、シランカップリング剤である下記式(5)で表される化合物、下記式(5)で表される化合物を加水分解した加水分解物及び加水分解縮合物(以上を総称して「シランカップリング剤等」という。)並びに加水分解可能な炭素−ケイ素結合を有しないケイ素化合物、加水分解可能な炭素−ケイ素結合を有しないケイ素化合物を加水分解した加水分解物及び加水分解縮合物、加水分解可能なチタン化合物、加水分解可能なチタン化合物を加水分解した加水分解物及び加水分解縮合物、加水分解可能なジルコニウム化合物、加水分解可能なジルコニウム化合物を加水分解した加水分解物及び加水分解縮合物、加水分解可能なアルミニウム化合物及び加水分解可能なアルミニウム化合物を加水分解した加水分解物及び加水分解縮合物(以上を総称して「加水分解可能金属化合物等」という。)からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上と、
前記ベタイン化剤と、
を加えて反応並びに加水分解及び/又は加水分解縮合させることを特徴とする前記〔1〕に記載の防曇性コーティング組成液の製造方法。
−X−(CHCHO)−Y (4)
{式中Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(該アルキル基はフッ素原子、ケイ素原子、ベンゼン環及び二重結合を含んでいてもよい。)又は水素原子、Xは−O−、−COO−あるいは−CONH−であり、pは1〜30の整数であり、Yは水素原子、−CHCOOHを表す。}
(X)3−k(CHSi−(R (5)
{式中、Xは同一又は異なっても良い炭素数1〜5のアルコキシ基、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを表し、kは0又は1を表し、mは、0又は1を表し、Xは、アルキル基(該アルキル基は、ヘテロ原子、不飽和結合を含んでもよく、また環状構造であってもよい)、ビニル基、チオール基、アミノ基、塩素原子、アクリル基、メタクリル基、スチリル基、フェニル基、トリル基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基及びブロック化イソシアネート基からなる群から選ばれる官能基であり、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。}
〔3〕 水の存在下、前記式(1)化合物等と、前記〔2〕に記載の界面活性シランカップリング剤等、前記〔2〕に記載のシランカップリング剤等及び前記〔2〕に記載の加水分解可能金属化合物等からなる群から選ばれる1種以上とを加水分解及び/又は加水分解縮合させた後、前記ベタイン化剤を加えて反応並びに加水分解及び/又は加水分解縮合させることを特徴とする前記〔1〕に記載の防曇性コーティング組成液の製造方法。
〔4〕 水の存在下、前記式(1)化合物等と前記ベタイン化剤を反応並びに加水分解及び/又は加水分解縮合させた後、前記〔2〕に記載の界面活性シランカップリング剤等、前記〔2〕に記載のシランカップリング剤等及び前記〔2〕に記載の加水分解可能金属化合物等からなる群から選ばれる1種類以上を加えて加水分解及び/又は加水分解縮合させることを特徴とする前記〔1〕に記載の防曇性コーティング組成液の製造方法。
【0007】
なお、前記加水分解物とは、前記化合物が加水分解したままのものを意味し、前記加水分解縮合物とは、前記化合物が縮合したもの及び/又は前記化合物が2種以上ランダムあるいはブロック状に縮合したものを意味する。
また水の存在下とは、前記式(1)の化合物と前記式(2)及び/又は下記式(2’)が反応する際、最初に存在する場合や途中から存在する場合の両方を意味する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の防曇性コーティング組成液の製造方法は、溶剤の脱水が全く不要で、反応溶媒あるいは反応雰囲気の水分のコントロール等複雑な工程を全く必要とせず、簡単な工程、結果として安価で容易に防曇性コーティング組成液を製造することが出来る。
そして、本発明の製造方法で製造される防曇性コーティング組成液は、ガラスやプラスチック及び金属等にコーティングすることにより親水性及び防曇性を付与することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の防曇性コーティング組成液の製造方法は、水の存在下、防曇性コーティング組成液に含まれる前記式(3)で表されるベタイン系ケイ素化合物の加水分解物及び/又は加水分解縮合物の製造において、ベタイン系ケイ素化合物の原料であるジアルキルアミノケイ素化合物(前記式(1)の化合物)の加水分解物及び/又は加水分解縮合物にベタイン化剤(前記式(2)及び/又は下記式(2’)の化合物)を反応並びに加水分解及び/又は加水分解縮合させることを特徴とする。
【0010】
ジアルキルアミノケイ素化合物(前記式(1)の化合物)の加水分解物及び/又は加水分解縮合物は、前記(1)の化合物を水に可溶な溶剤中に溶解させた後、水を加えて加水分解及び/又は加水分解縮合させることによって得られる。
【0011】
反応温度は室温〜150℃であり、好ましくは使用する溶剤の還流温度である。
反応時間は0.5時間〜48時間であり、好ましくは2時間〜24時間、特に好ましくは4時間〜24時間である。
また上記反応は、常圧下あるいは加圧下で行ってもよい。
【0012】
前記(1)の化合物を溶解させる前記水に可溶な溶剤を例示すると、エーテル系溶剤(テトラハイドロフラン、ジオキサン等)、アルコール系溶剤(メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)及び非プロトン性溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等)を挙げることができる。
これらのうち好ましいのはアルコール系溶剤(エチルアルコール、iso−プロピルアルコール)である。
【0013】
前記式(1)のジアルキルアミノケイ素化合物の好ましい化合物としては、以下のものを挙げることができる。
【0014】
前記式(1)中、Xとしては、炭素数1〜5のアルコキシ基、水酸基及びハロゲン原子が挙げられる。これらのうち、好ましいのはメトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基であり、特に好ましいのはメトキシ基及びエトキシ基である。
【0015】
前記式(1)中、Rの炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基が挙げられる。これらのうち、原料の入手のし易さを考慮するとトリメチレン基が好ましい。
【0016】
前記式前記式(1)中、kは0又は1であり、好ましくは0である。
【0017】
前記式(1)中、Yは−NHCOO−、−NHCONH−、−S−又は−SO−であり、好ましくは−NHCOO−及び−NHCONH−である。
前記式(1)中、Rとしてはエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を含んでも良い炭素数1〜10のアルキレン基又は−CHCH(CH)(Z)CHCHOCHCH−である。これらのうち好ましいのはエチレン基、トリメチレン基及びエチレンオキシエチレン基及び−CHCH(CH)(Z)CHCHOCHCH−である。
【0018】
前記式(1)中、R及びRの炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基等が挙げられる。これらのうち好ましいのはメチル基である。
【0019】
前記式(1)で表される化合物は、市販のものを用いるか、あるいはWO2016/167097号公報記載の製造方法により得ることが出来る。
【0020】
前記式(1)で表される具体的な化合物として以下の物が挙げられる。
(CHO)SiCHCHCHN(CH (1−1)
(CHO)Si(CH)CHCHCHN(CH (1−2)
(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCHN(CH
(1−3)
(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCHCHN(CH
(1−4)
(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCHCHCHN(CH (1−5)
(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCHOCHCHN(CH) (1−6)
(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCHN(CH)CHCHOCHCHN(CH (1−7)
(CO)SiCHCHCHNHCONHCHCHN(CH
(1−8)
(CO)SiCHCHCHNHCONHCHCHCHN(CH (1−9)
(CHO)SiCHCHCHSCHCHCHN(CH
(1−10)
(CO)Si(CH)CHCHCHN(CH (1−11)
(CHO)SiCHCHCHSCHCHCOOCHCHN(CH (1−12)
(CHO)SiCHCHCHSCHCH(CH)COOCHCHN(CH (1−13)
(CHO)SiCHCHCHSCHCHCONHCHCHCHN(CH (1−14)
(CHO)SiCHCHCHSCHCH(CH)CONHCHCHCHN(CH (1−15)
(CHO)(CH)SiCHCHCHSCHCH(CH)CONHCHCHCHN(CH (1−16)
(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCHN(CH)CHCHOCHCHN(CH (1−17)
【0021】
防曇性コーティング組成液に含まれる前記式(3)で表されるベタイン系ケイ素化合物の加水分解物及び/又は加水分解縮合物は、ジアルキルアミノケイ素化合物(前記式(1)の化合物)の加水分解物及び/又は加水分解縮合物にベタイン化剤(前記式(2)及び/又は下記式(2’)の化合物)を反応させることによって得ることができるが、その生成方法は、以下の通りである。
【0022】
すなわち前記式(3)で表されるベタイン系ケイ素化合物の加水分解物及び/又は加水分解縮合物は、前記式(1)で表されるジアルキルアミノケイ素化合物を加水分解及び/又は加水分解縮合させた後、その反応液中に前記ベタイン化剤を添加して反応(ベタイン化)させることにより得ることが出来る。
【0023】
また、水の存在下、前記式(1)で表されるジアルキルアミノケイ素化合物をベタイン化剤の存在下、加水分解及び/又は加水分解縮合させると同時にベタイン化させても得ることが出来る。
【0024】
ベタイン化の反応温度は、室温〜150℃であり、好ましくは使用する溶剤の還流温度である。
ベタイン化の反応時間は0.5時間〜48時間であり、好ましくは2時間〜24時間、特に好ましくは4時間〜24時間である。
また上記反応は、常圧下あるいは加圧下で行ってもよい。
【0025】
ベタイン化剤はそのまま投入することもできるが、ベタイン化剤が溶解する溶剤(水等)に溶解させて加えても良い。
【0026】
反応に用いるベタイン化剤(前記式(2)又は(2’))の好ましい化合物としては、以下のものを挙げることができる。
【0027】
前記式(2)中、ZはCO及びSOである。
前記式(2)中、Xは塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子であり、好ましくは入手の点から塩素原子及び臭素原子である。
前記式(2)中、Rは炭素数1から7のアルキレン基であり、好ましくは炭素数1から3のアルキレン基である。
前記式(2)中、YはLi、Na及びKであり、好ましくは入手の点から、Naである。
【0028】
前記式(2)で表される具体的な化合物として以下の物が挙げられる。
ClCHCOONa
ClCHCH2COONa
ClCHCH2CH2COONa
ClCHCOOK
BrCHCOONa
BrCHSONa
BrCHCHSONa
BrCHCHCHSONa
BrCHCHCHSO
ClCHCHCHSONa
【0029】
前記式(2’)中、Rは炭素数2から7のアルキレン基であり、好ましくは炭素数2から4のアルキレン基である。
前記式(2’)中、Zは−CO−O−又は−SO−O−である。
前記式(2’)で表される化合物はラクトン類又はスルトン類であり、好ましい具体的な化合物としては、ラクトン類ではβ−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等、スルトン類では、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,6−ヘキサンスルトン等が挙げられる。
【0030】
前記ベタイン化により生成する加水分解物及び/又は加水分解縮合物は、前記式(3)で表される化合物の加水分解物及び/又は加水分解縮合物であり、前記式(3)で表される具体的な化合物として以下の物が挙げられる。
【0031】
(CHO)SiCHCHCH(CHCHCHCHSO
(3−1)
(CHO)Si(CH)CHCHCH(CHCHCHCHSO (3−2)
(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCH(CHCHCHCHSO (3−3)
(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCHCH(CHCHCHCHSO (3−4)
(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCHCHCH(CHCHCHCHSO (3−5)
(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCHOCHCHN+(CHCHCHCHSO (3−6)
(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCH(CHCHCHSO)(CH)CHCHOCHCHN(CHCHCHCHSO (3−7)
(CO)SiCHCHCHNHCONHCHCH(CHCHCHCHSO (3−8)
(CO)SiCHCHCHNHCONHCHCHCH(CHCHCHCHSO (3−9)
(CHO)SiCHCHCHSCHCHCH(CHCHCHCHSO (3−10)
(CO)Si(CH)CHCHCH(CHCHCHCHSO (3−11)
(CHO)SiCHCHCHSCHCHCOOCHCH(CHCHCHCHSO (3−12)
(CHO)SiCHCHCHSCHCH(CH)COOCHCH(CHCHCHCHSO (3−13)
(CHO)SiCHCHCHSCHCHCONHCHCHCH(CHCHCHCHSO (3−14)
(CHO)SiCHCHCHSCHCH(CH)CONHCHCHCH(CHCHCHCHSO (3−15)
(CHO)(CH)SiCHCHCHSCHCH(CH)CONHCHCHCH(CHCHCHCHSO (3−16)
(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCH(CH)(CHCHCHSO)CHCHOCHCH(CHCHCHCHSO (3−17)
(CHO)SiCHCHCH(CHCHCHSO
(3−18)
(CHO)SiCHCHCHSOCHCHCOOCHCH(CHCHCHCHSO (3−19)
(CHO)SiCHCHCHSOCHCH(CH)COOCHCH(CHCHCHCHSO (3−20)
(CHO)SiCHCHCH(CHCHCO (3−21)
(CHO)Si(CH)CHCHCH(CHCHCO
(3−22)
(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCH(CHCHCO (3−23)
(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCHCH(CHCHCO (3−24)
(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCHCHCH(CHCHCO (3−25)
(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCHOCHCH(CHCHCO (3−26)
(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCH(CHCO)(CH)CHCHOCHCHN(CHCHCO (3−27)
(CO)SiCHCHCHNHCONHCHCH(CHCHCO (3−28)
(CO)SiCHCHCHNHCONHCHCHCH(CHCHCO (3−29)
(CHO)SiCHCHCHSCHCHCH(CHCHCO (3−30)
(CO)Si(CH)CHCHCH(CHCHCO
(3−31)
(CHO)SiCHCHCHSCHCHCOOCHCH(CHCHCO (3−32)
(CHO)SiCHCHCHSCHCH(CH)COOCHCH(CH CHCO (3−33)
(CHO)SiCHCHCHSCHCHCONHCHCHCH(CHCHCO (3−34)
(CHO)SiCHCHCHSCHCH(CH)CONHCHCHCH(CHCHCO (3−35)
(CHO)(CH)SiCHCHCHSCHCH(CH)CONHCHCHCH(CHCHCO (3−36)
(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCH(CH)(CHCO)CHCHOCHCH(CHCHCO(3−37)
(CHO)SiCHCHCH(CHCHCHCO
(3−38)
(CHO)SiCHCHCHSOCHCHCOOCHCH(CHCHCO (3−39)
(CHO)SiCHCHCHSOCHCH(CH)COOCHCH(CHCHCO (3−40)
(CHO)SiCHCHCH(CHCHCHCHCO
(3−41)
【0032】
本発明の製造方法で得られる防曇性コーティング組成液は、組成液中にベタイン化したジアルキルアミノケイ素化合物(前記式(3)の化合物)の加水分解物及び/又は加水分解縮合物を通常0.01〜30重量%含んでいるのが好ましく、より好ましくは0.05〜20重量%、特に好ましくは0.1%〜15重量%である。
【0033】
本発明の防曇性コーティング組成液の製造方法においては、第2の方法として、前記式(1)化合物等と、前記界面活性シランカップリング剤等、前記シランカップリング剤等、前記加水分解可能金属化合物等からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上(以上を総称して、「添加化合物等」という。)と、前記ベタイン化剤と、を加えて反応並びに加水分解及び/又は加水分解縮合させることにより溶媒中に前記式(3)で表されるベタイン系ケイ素化合物の加水分解物及び/又は加水分解縮合物を含む防曇性コーティング組成液を得ることができる。
【0034】
前記界面活性シランカップリング剤は、前記式(4)で表される化合物と前記式(4)で表される化合物の活性水素と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤から、特開2017−061439号公報記載の製造方法で得ることができる。
【0035】
前記式(4)で表される化合物の前記式(4)中、Rの炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、パルミトレイル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、オレイル基、CCHCH基、C13CHCH基、CCH基、C13CH基、ポリジメチルシロキサン基等が挙げられる。これらのうち原料入手の点を考慮すると、好ましくは、メチル基、ドデシル基、ヘプタデシル基、CCHCH基、C13CHCH基、CCH基、C13CH基、パーフルオロアルキル基含有ポリ(メタ)アクリル基及びポリジメチルシロキサン基である。pは1〜30の自然数であり、原料入手の点から1〜15が好ましい。
【0036】
前記式(4)で表される化合物は、界面活性剤であり、界面活性剤として市販されているものを使用することができる。
前記式(4)で表される化合物からなる界面活性剤で市販されているものは、通常エチレンオキサイドの付加数は一定でなく、その結果として単一なものでなく、エチレンオキサイドの付加数が異なった混合物として存在する。
【0037】
前記式(4)で表される具体的な化合物としては以下の化合物が挙げられる。
HO(CHCHO)
HO(CHCHO)
HO(CHCHO)
HO(CHCHO)
HO(CHCHO)
CHO(CHCHO)
CHO(CHCHO)
CHO(CHCHO)
CHO(CHCHO)
CHO(CHCHO)
1225O(CHCHO)CHCOOH
1225O(CHCHO)CHCOOH
1225O(CHCHO)CHCOOH
1327O(CHCHO)CHCOOH
1225O(CHCHO)
1225O(CHCHO)
1225O(CHCHO)
1225O(CHCHO)10
1225O(CHCHO)11
1735COO(CHCHO)
1733COO(CHCHO)
1733COO(CHCHO)
1733COO(CHCHO)14
1735CONHCHCHOH
CHO(CHCHO)
CHCHO(CHCHO)
13CHO(CHCHO)
13CHCHO(CHCHO)
ただし、qは1〜30の整数を表す。
−{CHC(CH)(COOCHCH13)}−{CHC(CH)(COOCHCHO(CH2CH2O)H)}
−{CHCH(COOCHCH13)}−{CHCH(COOCHCHO(CH2CH2O)H)}
ただし、r、s及びtは1〜30の整数を表す。
(CHSiO−〔(CH)Si{(CH(CHCHO)H}〕−O−〔Si(CHO〕−Si(CH
ただし、u、v、w及びzは1〜30の整数を表す。
【0038】
前記式(4)で表される化合物中の活性水素と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤は、エポキシ基、イソシアネート基、酸無水物基またはアミノ基のいずれかの官能基を有するシランカップリング剤である。
【0039】
そして、好ましい前記式(4)中の活性水素と反応可能なシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−アミノプロピルトリメトキシシラン及び3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0040】
前記式(4)で表される化合物と前記式(4)中の活性水素と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤から誘導される化合物の具体的な化合物としては以下の化合物が挙げられる。
【0041】
CH−O−(CHCHO)CHCH(OH)CHOCHCHCHSi(OCH
CH−O−(CHCHO)CHCH(OH)CHOCHCHCHSi(CH)(OCH
CH−O−(CHCHO)CHCH(OH)CHOCHCHCHSi(OCH
CH−O−(CHCHO)CHCH(OH)CHOCHCHCHSi(CH)(OCH
1225−O−(CHCHO)CHCH(OH)CHOCHCHCHSi(OCH
1225−O−(CHCHO)CHCOOCHCH(OH)CHOCHCHCHSi(OCH
1225−O−(CHCHO)CHCH(OH)CHOCHCHCHSi(OCH
1225−O−(CHCHO)CHCOOCHCH(OH)CHOCHCHCHSi(OCH
1225−O−(CHCHO)CHCOOCHCH(OH)CHOCHCHCHSi(OCH
1225−O−(CHCHO)CHCOOCHCH(OH)CHOCHCHCHSi(OCH
HO−(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
HO−(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
HO−(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
HO−(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
(CO)SiCHCHCHNHCOO(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
(CO)SiCHCHCHNHCOO(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
(CO)SiCHCHCHNHCOO(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
(CO)SiCHCHCHNHCOO(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
CH−O−(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
CH−O−(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
CH−O−(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
1021−O−(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
1021−O−(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
1021−O−(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
1021−O−(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
1225−O−(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
1225−O−(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
1225−O−(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
1225−O−(CHCHO)CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
1225−O−(CHCHO)CHCONHCHCHCHSi(OCH
1225−O−(CHCHO)CHCONHCHCHCHSi(OCH
CH−O−(CHCHO)COCHCH(COOH)CHCHCHSi(OCH
CH−O−(CHCHO)COCH(CHCOOH)CHCHCHSi(OCH
1225−O−(CHCHO)COCHCH(COOH)CHCHCHSi(OCH
1225−O−(CHCHO)COCH(CHCOOH)CHCHCHSi(OCH
1735−COO−(CHCHO)COCHCH(COOH)CHCHCHSi(OCH
1733−COO−(CHCHO)COCH(CHCOOH)CHCHCHSi(OCH
1735−CONH−CHCHOCONHCHCHCHSi(OC
CHO(CHCHO)CONHNHCHCHCHSi(OC
CHCHO(CHCHO)CONHNHCHCHCHSi(OC
13CHO(CHCHO)CONHNHCHCHCHSi(OC
13CHCHO(CHCHO)CONHNHCHCHCHSi(OC
ただし、前記式中qは1〜30の整数を表す。
−{CHC(CH)(COOCHCH13)}−{CHC(CH)(COOCHCHO(CH2CH2O)CONHNHCHCHCHSi(OC)}
−{CHCH(COOCHCH13)}−{CHCH(COOCHCHO(CH2CH2O)CONHNHCHCHCHSi(OC)}
ただし、前記式中r、s及びtは1〜30の整数を表す。
(CHSiO−〔(CH)Si{(CH(CHCHO)CONHNHCHCHCHSi(OC}〕−O−〔Si(CHO〕−Si(CH
ただし、前記式中u、v、w及びzは1〜30の整数を表す。
【0042】
【化1】
【0043】
次に、シランカップリング剤である前記式(5)で表される化合物は、いわゆるアルコキシケイ素系化合物である。
前記式(5)中、Xとしては、炭素数1〜5のアルコキシ基、水酸基及びハロゲン原子が挙げられる。これらのうち、好ましいのはメトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基であり、特に好ましいのはメトキシ基及びエトキシ基である。
【0044】
前記式(5)中、Rは炭素数1〜5のアルキレン基であり、好ましくはトリメチレン基である。
【0045】
前記式(5)中、Xは、アルキル基(該アルキル基は、ヘテロ原子、不飽和結合を含んでもよく、また環状構造であってもよい)、ビニル基、チオール基、アミノ基、塩素原子、アクリル基、メタクリル基、スチリル基、トリル基、フェニル基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基及びブロック化イソシアネート基からなる群から選ばれる官能基である。これらのうち好ましいのは、ビニル基、アミノ基、塩素原子、アクリル基、メタクリル基、スチリル基、トリル基、フェニル基及びブロック化イソシアネート基である。
【0046】
前記式(5)で表されるケイ素系化合物の例としては、特開2015−218139号公報記載のケイ素化合物や以下のものが挙げられる。
【0047】
CHSi(OCH
CHSi(OC
17Si(OCH
17Si(OC
1837Si(OCH
1837Si(O
CH=CHSi(OCH
CH=CHSi(OC
NCHCHCHSi(OCH
NCHCHCHSi(OC
ClCHCHCHSi(OCH
SHCHCHCHSi(OCH
SHCHCHCHSi(CH)(OCH
CH=CHCOOCHCHCHSi(OCH
CH=C(CH)COOCHCHCHSi(OCH
Si(OCH
Si(OC
(CHCOCOCHCHSCHCHCHSi(OCH
(CHCOCOCHCHSCHCHCH(CH)Si(OCH
p−CHCHCHSCHCHCHSi(OCH
o−CHCHCHSCHCHCHSi(OCH
p−ClCHCHCHSCHCHCHSi(OCH
o−ClCHCHCHSCHCHCHSi(OCH
CHCHSCHCHCHSi(OCH
【0048】
【化2】
【0049】
前記式(5)で表される化合物のうち、ブロックドイソシアネート化合物は、例えば特開2017−071725号公報記載の製造方法で得ることができる。
【0050】
続いて、本発明の防曇性コーティング組成液に含むことができる加水分解可能な炭素−ケイ素結合を有しないケイ素化合物、加水分解可能なチタン化合物、加水分解可能なジルコニウム化合物、加水分解可能なアルミニウム化合物(以上を総称して「加水分解可能金属化合物」という。)について、説明する。
【0051】
加水分解可能な炭素−ケイ素結合を有しないケイ素化合物としては、テトラエトキシシランおよびそれらのオリゴマー、例えばコルコート株式会社製のコルコートシリーズ(メチルシリケート51、メチルシリケート53A、エチルシリケート40、エチルシリケート48、EMS485、SS101、HAS−5、HAS−1、HAS−10、コルコートP、コルコート103−X等)等が挙げられる。
【0052】
加水分解可能なチタン化合物、加水分解可能なジルコニウム化合物及び加水分解可能なアルミニウム化合物としては、例えばマツモトファインケミカル株式会社製の以下の製品が挙げられる。
【0053】
加水分解可能なチタン化合物としては、オルガチックスTA−8{チタンテトライソプロポキシド:Ti(O−i−C}、オルガチックスTA−21{チタンテトラノルマルブトキシド:Ti(O−n−C}、オルガチックスTA−23{チタンブトキシドダイマー:(n−CO)Ti−O−Ti(O−n−C}、オルガチックスTA−30{チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド:Ti(OC17}、オルガチックスWX−700、オルガチックスTC−100{チタンジイソプロポキシ(アセチルアセテネート):Ti(O−i−C(C}、オルガチックスTC−120{チタンジイソプロポキシ(アセチルアセテネート):Ti(O−i−C(C}、オルガチックスTC−230、245{チタンオクチレングリコレート}、オルガチックスTC−315{チタンラクテート:Ti(OH)〔OCH(CH)COOH〕}、オルガチックスTC−335{チタンラクテートアンモニウム塩:Ti(OH)〔OCH(CH)COO(NH}、オルガチックスTC−401{Ti(C}、オルガチックスTC−500{チタンジエタノールアミネート}、オルガチックスTC−510{チタンアミノエチルアミノエタレート:Ti(O−i−C)(OCNHCNH}、オルガチックスTC−710{チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート):Ti(O−i−C(C}、オルガチックスTC−800{チタンイソステアレート:Ti(O−i−C)(OCO−i−C1837}、オルガチックスTC−1040{リン酸チタン化合物}、オルガチックスTC−201{チタニウム−2−エチルヘキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド:Ti(O−n−C17(C17}、オルガチックスTC−750{チタンジイソプロポキシビス(ジアセチルアセテート):Ti(O−i−C(C}、オルガチックスTC−300{チタンラクテートアンモニウム塩:Ti(OH)〔OCH(CH)COO(NH4}、オルガチックスTC−310{チタンラクテート:Ti(OH)〔OCH(CH)COOH〕}、オルガチックスTC−400{チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート):Ti(O−i−C(C14N)}およびこれらのオリゴマー(オルガチックスPC−200、オルガチックスPC−250、オルガチックスPC−601、オルガチックスPC−620等)等が挙げられる。
【0054】
加水分解可能なジルコニウム化合物としては、オルガチックスZC−150{ジルコニウムテトラアセチルアセトネート:Zr(C}、オルガチックスZA−35{ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド:Zr(O−n−C}、オルガチックスZA−65{ジルコニウムテトラノルマルブトキシド:Zr(O−n−C}、オルガチックスZC−162{ジルコニウムテトラアセチルアセトネート:Zr(C}、オルガチックスZC−540{ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート:Ti(O−n−C(C)}、オルガチックスZC−700{ジルコニウムテトラアセチルアセトネート:Zr(C}、オルガチックスZC−580{ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテオト):Ti(O−n−C(C}、オルガチックスZC−200{オクチル酸ジルコニウム}、オルガチックスZC−320{ステアリン酸ジルコニウム:Ti(O−n−C(OCO−n−C1735)}、オルガチックスZC−126{塩化ジルコニウム}、オルガチックスZC−300{ジルコニウムラクテートアンモニウム塩:Zr(OH)〔OCH(CH)COO(NH4}等が挙げられる。
【0055】
加水分解可能なアルミニウム化合物としては、オルガチックスAL3001{アルミニウムトリセカンダリーブトキシド:Al(O−sec−C}、オルガチックスAL3100{アルミニウムトリス(アセチルアセトネート):Al(C}、オルガチックスAL3200{アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート:Al(C)(C}、オルガチックスAL3215{アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート):Al(C}等が挙げられる。
【0056】
前記界面活性シランカップリング剤、前記式(5)で表される化合物及び前記加水分解可能金属化合物の加水分解物及び/又は加水分解縮合物は、前記(1)の化合物から前記(1)の化合物の加水分解物及び/又は加水分解縮合物を得るのと同様の方法で得ることができる。
【0057】
また、水の存在下、前記式(1)化合物等と、前記添加化合物等と、前記ベタイン化剤と、を加えて反応並びに加水分解及び/又は加水分解縮合させる方法は、前記式(1)化合物等と前記ベタイン化剤を加えて反応させる方法と同様の方法で行うことができる。
【0058】
次に、第3の本発明の防曇性コーティング組成液の製造方法では、水の存在下、前記式(1)化合物等と前記添加化合物等を加水分解及び/又は加水分解縮合させた後、前記ベタイン化剤を加えて反応並びに加水分解及び/又は加水分解縮合させることにより溶媒中に前記式(3)で表されるベタイン系ケイ素化合物の加水分解物及び/又は加水分解縮合物を含む防曇性コーティング組成液を得ることができる。
【0059】
また、前記第3の水の存在下、前記式(1)化合物等と、前記添加化合物等を加水分解及び/又は加水分解縮合させた後、前記ベタイン化剤を加えて反応並びに加水分解及び/又は加水分解縮合させる方法は、前記式(1)化合物等と前記ベタイン化剤を加えて反応させる方法と同様の方法で行うことができる。
【0060】
また、第4の本発明の防曇性コーティング組成液の製造方法では、水の存在下、前記式(1)化合物等と前記ベタイン化剤を反応並びに加水分解及び/又は加水分解縮合させた後、前記添加化合物等を加えて加水分解及び/又は加水分解縮合させることにより溶媒中に前記式(3)で表されるベタイン系ケイ素化合物の加水分解物及び/又は加水分解縮合物を含む防曇性コーティング組成液を得ることができる。
【0061】
前記第4の方法における前段のベタイン剤を加えた反応、加水分解及び/又は加水分解縮合並びに後段の加水分解及び/又は加水分解縮合の反応に用いる溶媒並びに反応温度及び反応時間等の条件は、前記ジアルキルアミノケイ素化合物(前記式(1)の化合物)の加水分解物及び/又は加水分解縮合物、ベタイン化合物を得たときと同じである。
【0062】
本発明の製造方法によって得られる前記式(3)で表されるベタイン系ケイ素化合物の加水分解物及び/又は加水分解縮合物及び添加化合物等の加水分解物及び/又は加水分解縮合物を含む防曇性コーティング組成液には、それぞれ加水分解したままの混合物、あるいはこれらがランダムあるいはブロック状に縮合したもの、あるいは両者が存在した状態で存在している。
【0063】
前記式(3)で表される化合物に対して、添加化合物等の添加量はそれぞれ、前記式(3)で表される化合物に対して0〜500重量%であり、好ましくは0〜300重量%であり、特に好ましくは10〜200重量%である。
上記範囲であると防曇性コーティング組成液により生成した膜の特性(例えば、親水性及び防曇性等)がより発揮できる。
【0064】
全固形分{前記式(3)で表される化合物及び添加化合物等}を合わせた溶媒に対する濃度は、通常0.01〜30重量%、好ましくは0.05〜20重量%、特に好ましくは0.1%〜15重量%である。
【0065】
本発明の製造方法によって得られる防曇性コーティング組成液は、作業性(取扱性及びコーティング性等)を向上させる為に希釈溶剤により希釈することにより、防曇性コーティング組成物を得ることが出来る。
【0066】
希釈溶媒としては、本発明の製造方法によって得られる前記式(3)と反応せず、これらを溶解及び/又は分散させるものであれば制限がなく、例えば、エーテル系溶剤(テトラハイドロフラン、ジオキサン等)、アルコール系溶剤(メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)及び非プロトン性溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等)及び水等が挙げられる。
【0067】
希釈溶媒を含有する場合、希釈溶媒の含有量は、例えば、全溶媒に対する前記式(3)表される化合物又は前記式(3)表される化合物及び添加化合物等の重量%が、0.001〜15重量%、好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.05〜7.5重量%となる量である。
【0068】
本発明の製造方法によって得られる防曇性コーティング組成物は、ガラス、プラスチック(ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ABS、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ、不飽和ポリエステル、メラミン、ジアリルフタレート、ポリイミド、ウレタン、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリイソプレン、SBR、ニトリルラバー、EPM、EPDM、エピクロルヒドリンラバー、ネオプレンラバー、ポルサルファイド及びブチルラバー等)、金属(鉄、アルミニウム、ステンレス、チタン、銅、黄銅及びこれらの合金等)、セルロース、セルロース誘導体、セルロース類似体(キチン、キトサン及びポルフィラン等)あるいは天然繊維(シルク及びコットン等)等の基板、シート、フィルム及び繊維の表面親水化等に適用出来る。
【0069】
また必要に応じて基板等との接着性を向上させるためプライマーあるいはコロナ放電処理等の表面活性化処理(基材表面の表面エネルギーを高くする手法)を用いても良い。
【0070】
本発明の製造方法によって得られる防曇性コーティング組成物からなるコーティング液の塗布方法としては、ディプコーティング、スピンコーティング、フローコーティング及びスプレーコーティング等が挙げられる。
【0071】
コーティング液を熱処理で硬化させる場合、熱処理温度は通常室温〜250℃、好ましくは室温〜200℃、特に好ましくは室温〜150℃であり、熱処理をする時間は通常0.05〜48時間、好ましくは0.1〜48時間、特に好ましくは0.5〜36時間である。
【実施例】
【0072】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明する。実施例は、本発明を説明するものであり、制限を加えるものではない。以下特記しない限り、部は重量部を意味する。
界面活性シランカップリング剤の作成
〔合成例1〕
三洋化成工業株式会社製界面活性剤(ビューライトLCA−H、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、酸価:107)7.57gと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3.4gをアルゴン雰囲気下、100℃で2日間反応させることにより、ビューライトLCA−Hと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランがエステル結合を介して結合した界面活性シランカップリング剤(A)10.3gを得た。H−NMR測定から原料である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのエポキシ環上のプロトン(2.62、2.80、3.16ppm)の吸収が消失したことを確認した。
【0073】
〔合成例2〕
アルゴン雰囲気下、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(三洋化成工業株式会社製、商品名:エマルミンL90−S、ラウリルアルコールにエチレンオキサイドが約9分子付加し、水酸基価が98.3の物)10.0gに3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート(信越化学工業株式会社製)4.33g(17.5ミリモル)を加え、90℃で48時間反応させることのより、界面活性シランカップリング剤(B)14.3gを得た。
H−NMRより、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネートのイソシアネート基のα位のメチレン基のケミカルシフトが、3.29ppmから3.16ppmにシフトしたことを確認した。
【0074】
〔合成例3〕
三洋化成工業株式会社製界面活性剤(エマルミンL−90−S、ドデシルアルコールのエチレンオキサイド付加物、水酸基価:98.3)20.2gと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン8.4gを、触媒としてp−トルエンスルホン酸0.1gを用い、アルゴン雰囲気下、100℃で2日間反応させることにより、エマルミンL−90−Sとグリシドキシプロピルトリメトキシシランがエーテル結合を介して結合した界面活性シランカップリング剤(C)28.1gを得た。H−NMR測定から原料である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのエポキシ環上のプロトン(2.62、2.80、3.16ppm)の吸収が消失したことを確認した。
【0075】
(ブロックイソシアネート化合物の合成)
〔合成例4〕
3,5−ジメチルピラゾール4.81g(50.0ミリモル)と3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン12.35g(50.0ミリモル)を脱水酢酸エチル100mlに溶かし、室温で3日間撹拌した。反応終了後酢酸エチルを除去することにより3−イソシアナートプロピルトリエトキシシランのイソシアナート基を3,5−ジメチルピラゾールでブロックしたブロックドイソシアナート化合物(D)16.8gを得た。
【0076】
(ジメチルアミノ系シランカップリング剤の作成)
〔合成例5〕
アルゴン雰囲気下、ジメチルアミノエタノール(ナカライテスク株式会社製)7.2g(80.8mmol)に3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート(信越化学工業株式会社製)20.0g(80.8mmol)を加え、90℃で24時間反応させることにより、ジメチルアミノエチル基がカーバメート結合を介して3−(トリエトキシシリル)プロピル基と結合したジメチルアミノ系シランカップリング剤(1−3)26.4gを得た。
H−NMR測定から原料である3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネートのイソシアネート基が結合した炭素のプロトン(3.30ppm)の吸収が消失して、新たに目的物のカーバメート基が結合した炭素のプロトン(3.17ppm)の吸収を確認した。
【0077】
〔合成例6〕
アルゴン雰囲気下、3−(ジメチルアミノ)−1−プロパノール(東京化成工業株式会社製)3.4g(40.4mmol)に3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート(信越化学工業株式会社製)8.3g(40.4mmol)を加え、90℃で48時間反応させることにより、ジメチルアミノプロピル基がカーバメート結合を介して3−(トリエトキシシリル)プロピル基と結合した化合物(1−4)を10.1g得た。
H−NMR測定から原料である3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネートのイソシアネート基が結合した炭素のプロトン(3.30ppm)の吸収が消失して、新たに目的物のカーバメート基が結合した炭素のプロトン(3.17ppm)の吸収を確認した。
【0078】
〔合成例7〕
アルゴン雰囲気下、N,N−ジメチル−1,2−エチレンジアミン(ナカライテスク株式会社製)4.4g(50.0ミリモル)に3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート(信越化学工業株式会社製)12.35g(50.0ミリモル)を加え、室温で48時間反応させることにより、N,N−ジメチル−1,2−エチレンジアミノ基がウレア結合を介して3−(トリエトキシシリル)プロピル基と結合した化合物(1−8)を16.1g得た。
H−NMR測定から原料である3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネートのイソシアネート基が結合した炭素のプロトン(3.30ppm)の吸収が消失して、新たに目的物のウレア基が結合した炭素のプロトン(3.14ppm)の吸収を確認した。
【0079】
〔合成例8〕
アルゴン雰囲気下、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(ナカライテスク株式会社製)5.1g(50.0ミリモル)に3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート(信越化学工業株式会社製)12.35g(50.0ミリモル)を加え、室温で48時間反応させることにより、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミノ基がウレア結合を介して3−(トリエトキシシリル)プロピル基と結合した化合物(1−9)を16.7g得た。
H−NMR測定から原料である3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネートのイソシアネート基が結合した炭素のプロトン(3.30ppm)の吸収が消失して、新たに目的物のウレア基が結合した炭素のプロトン(3.14ppm)の吸収を確認した。
【0080】
〔合成例9〕
アルゴン雰囲気下、メチルメタクリレート(東京化成工業株式会社製)10.0g(100ミリモル)と3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製)19.6g(100ミリモル)及びアゾビスイソブチロニトリル(ナカライテスク社製)821mg(5ミリモル)を脱水エタノール150mlに溶解させた後、24時間加熱還流した。反応終了後エタノールを除去することにより、メチルメタクリレートのメタクリル基にチオール基が付加した化合物(E)を28.1g得た。
化合物の構造はH−NMRより確認した[3.70(s、3H、COCO−)、3.58{s、9H,−Si(OC}、2.86〜2.64(m、2H、−SCCHCH−)、2.55(t、2H、−SiCHCHSCH−)、1.79〜1,62(m、2H、−SiCHCHSCH−)、1.25{d、3H、−SCHCH(C)−}、0.79〜0.72(m、2H、−SiCCHCHSCH−)]。
【0081】
〔実施例1〕
N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)1.04g(5.0mmol)及び合成例1で得た界面活性シランカップリング剤(A)0.4gをエチルアルコール10mlと水3mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中にクロロ酢酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)0.55g(4.75mmol)及び水5mlを加え一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−21)から由来する防曇剤50.0gを得た。
【0082】
〔実施例2〕
合成例5で得たジメチルアミノ系シランカップリング剤(1−3)1.68g及び合成例2で得た界面活性シランカップリング剤(B)0.4gをエチルアルコール10mlと水3mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中に3−ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム(東京化成工業株式会社製)1.06g(4.75mmol)及び水5mlを加え一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−3)から由来する防曇剤50.0gを得た。
【0083】
〔実施例3〕
合成例6で得たジメチルアミノ系シランカップリング剤(1−4)1.75g及び合成例3で得た界面活性シランカップリング剤(C)0.4gをエチルアルコール10mlと水3mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中に3−ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム1.06g(東京化成工業株式会社製)(4.75mmol)及び水5mlを加え一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−4)から由来する防曇剤50.0gを得た。
【0084】
〔実施例4〕
N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)1.04g(5.0mmol)及び合成例3で得た界面活性シランカップリング剤(C)0.4gをエチルアルコール10mlと水3mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中にクロロ酢酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)0.55g(4.75mmol)及び水5mlを加え一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−21)から由来する防曇剤50.0gを得た。
【0085】
〔実施例5〕
合成例7で得たジメチルアミノ系シランカップリング剤(1−8)1.68g、合成例1で得た界面活性シランカップリング剤(A)0.4g及びチタン化合物(TC−400、マツモトファインケミカル株式会社製)1.0gをエチルアルコール10mlと水2mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中にクロロ酢酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)1.06g(4.75mmol)及び水5mlを加え一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−28)から由来する防曇剤50.0gを得た。
【0086】
〔実施例6〕
合成例8で得たジメチルアミノ系シランカップリング剤(1−9)1.75g、合成例2で得た界面活性シランカップリング剤(B)0.4g及びチタン化合物(TC−400、マツモトファインケミカル株式会社製)1.0gをエチルアルコール10mlと水2mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中にクロロ酢酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)0.55g(4.75mmol)及び水5mlを加え一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−29)から由来する防曇剤50.0gを得た。
【0087】
〔実施例7〕
合成例5で得たジメチルアミノ系シランカップリング剤(1−3)1.68g、合成例1で得た界面活性シランカップリング剤(A)0.4g及びチタン化合物(TC−400、マツモトファインケミカル株式会社製)1.0gをエチルアルコール10mlと水2mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中に3−ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム(東京化成工業株式会社製)1.06g(4.75mmol)及び水5mlを加え一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−3)から由来する防曇剤50.0gを得た。
【0088】
〔実施例8〕
合成例5で得たジメチルアミノ系シランカップリング剤(1−3)1.68g、合成例2で得た界面活性シランカップリング剤(B)0.4g及び合成例4で得たブロックドイソシアナート化合物(D)0.4gをエチルアルコール10mlと水3mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中にクロロ酢酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)0.55g(4.75mmol)及び水5mlを加え一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−23)から由来する防曇剤50.0gを得た。
【0089】
〔実施例9〕
合成例6で得たジメチルアミノ系シランカップリング剤(1−4)1.68g、合成例2で得た界面活性シランカップリング剤(B)0.4g及び3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製)0.4gをエチルアルコール10mlと水3mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中にクロロ酢酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)0.55g(4.75mmol)及び水5mlを加え一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−24)から由来する防曇剤50.0gを得た。
【0090】
〔実施例10〕
合成例6で得たジメチルアミノ系シランカップリング剤(1−4)1.68g、合成例2で得た界面活性シランカップリング剤(B)0.4g及び合成例9で得たケイ素系化合物(E)0.8gをエチルアルコール10mlと水3mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中にクロロ酢酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)0.55g(4.75mmol)及び水5mlを加え一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−24)から由来する防曇剤50.0gを得た。
【0091】
〔実施例11〕
合成例6で得たジメチルアミノ系シランカップリング剤(1−4)1.68g、合成例2で得た界面活性シランカップリング剤(B)0.4g及び合成例9で得たケイ素系化合物(E)0.4g及びチタン化合物(TC−400、マツモトファインケミカル株式会社製)1.0gをエチルアルコール10mlと水2mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中にクロロ酢酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)0.55g(4.75mmol)及び水5mlを加え一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−24)から由来する防曇剤50.0gを得た。
【0092】
〔実施例12〕
N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)1.04g(5.0mmol)、合成例1で得た界面活性シランカップリング剤(A)0.4g及びジルコニウム化合物(ZC−580、マツモトファインケミカル株式会社製)0.64gをエチルアルコール10mlと水2mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中にクロロ酢酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)0.55g(4.75mmol)及び水5mlを加え一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−21)から由来する防曇剤50.0gを得た。
【0093】
〔実施例13〕
合成例6で得たジメチルアミノ系シランカップリング剤(1−4)1.68g、合成例1で得た界面活性シランカップリング剤(A)0.4g及び合成例9で得たケイ素系化合物(E)0.4g、チタン化合物(TC−400、マツモトファインケミカル株式会社製)1.0g及びジルコニウム化合物(ZC−580、マツモトファインケミカル株式会社製)0.64gをエチルアルコール10mlと水2mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中にクロロ酢酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)0.55g(4.75mmol)及び水5mlを加え一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−24)から由来する防曇剤50.0gを得た。
【0094】
〔実施例14〕
N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)1.04g(5.0mmol)をエチルアルコール10mlと水2mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中に3−ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム(東京化成工業株式会社製)1.06g(4.75mmol)及び水5mlを加え一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−1)から由来する防曇性50.0gを得た。
【0095】
〔実施例15〕
合成例6で得たジメチルアミノ系シランカップリング剤(1−4)1.68g及び合成例4で得たブロックドイソシアナート化合物(D)0.4gをエチルアルコール10mlと水3mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中に3−ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム(東京化成工業株式会社製)1.06g(4.75mmol)及び水5mlを加え一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−4)から由来する防曇性50.0gを得た。
【0096】
〔実施例16〕
合成例6で得たジメチルアミノ系シランカップリング剤(1−4)1.68g、合成例9で得たケイ素系化合物(E)0.4g及びチタン化合物(TC−400、マツモトファインケミカル株式会社製)1.0gをエチルアルコール10mlと水2mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中にクロロ酢酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)0.55g(4.75mmol)及び水5mlを加え一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−24)から由来する防曇性50.0gを得た。
【0097】
〔実施例17〕
N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)1.04g(5.0mmol)及びジルコニウム化合物(ZC−580、マツモトファインケミカル株式会社製)0.64gをエチルアルコール10mlと水2mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中に3−ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム(東京化成工業株式会社製)1.06g(4.75mmol)及び水5mlを加え一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−1)から由来する防曇性50.0gを得た。
【0098】
〔実施例18〕
N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)2.60g(12.5mmol)、クロロ酢酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)1.45g(12.5mmol)をエチルアルコール5mlと水2mlに溶解させ、一晩加熱還流した。水を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−21)から由来する防曇性50.0gを得た。
【0099】
〔実施例19〕
N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)2.60g(12.5mmol)、合成例1で得た界面活性シランカップリング剤0.5g及びクロロ酢酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)1.45g(12.5mmol)をエチルアルコール5mlと水2mlに溶解させ、一晩加熱還流した。水を加えて希釈することによりベタイン化合物(3−21)から由来する本発明の製造法による防曇剤50.0gを得た。
【0100】
〔実施例20〕
合成例6で得たジメチルアミノ系シランカップリング剤(1−4)1.68g、合成例1で得た界面活性シランカップリング剤(A)0.4g、チタン化合物(TC−400、マツモトファインケミカル株式会社製)1.0g、ジルコニウム化合物(ZC−580、マツモトファインケミカル株式会社製)0.64g及びクロロ酢酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)0.55g(4.75mmol)をエチルアルコール10mlと水8mlに溶解させ、一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−24)から由来する防曇剤50.0gを得た。
【0101】
〔実施例21〕
N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)1.04g(5.0mmol)とクロロ酢酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)0.55g(4.75mmol)をエチルアルコール10mlと水5mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中に、合成例1で得た界面活性シランカップリング剤(A)0.4g及びジルコニウム化合物(ZC−580、マツモトファインケミカル株式会社製)0.64gを加え一晩加熱還流した。水/エチルアルコール混合溶液(1/1、重量比)を加えて希釈することにより、本発明の製造法によるベタイン化合物(3−21)から由来する防曇剤50.0gを得た。
【0102】
〔実施例22〕
N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)2.60g(12.5mmol)をイソプロピルアルコール5mlと水2mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中に1,3−プロパンスルトン(ナカライテスク株式会社製)1.45g(11.9mmol)を加えさらに一晩加熱還流した。水を加えて希釈することによりベタイン化合物(3−21)から由来する本発明の製造法による防曇剤50.0gを得た。
【0103】
〔実施例23〕
N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)5.20g(12.5mmol)、合成例1で得た界面活性シランカップリング剤(A)1.0gをイソプロピルアルコール10mlと水2mlに溶解させ、一晩加熱還流した。得られた溶液の中に1,3−プロパンスルトン(ナカライテスク株式会社製)3.05g(25.0mmol)を加えさらに1時間加熱還流した。水10mlを加えて一晩加熱還流し、水で希釈することによりベタイン化合物(3−21)から由来する本発明の製造法による防曇剤50.0gを得た。
【0104】
〔比較例1〕
(1) N,N−ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)5.2g(25.0mmol)と1,3−プロパンスルトン(ナカライテスク社製)2.9g(23.7mmol)を脱水アセトニトリル50mlに溶解させて、一晩加熱還流した。得られた沈殿をアルゴン雰囲気化でろ過することによりベタイン化合物(CHO)SiCHCHCH(CHCHCHCHSO(3−1)6.5gを得た。得られたベタイン系ケイ素化合物を赤外吸収スペクトル法により分析した。
原料の1,3−プロパンスルトン化合物の特徴である1344cm−1が滅して新たに生成物の特徴である1641cm−1の吸収を確認した。
(2) (1)で得た化合物1.7g(5.0mmol)と合成例(2)で得た界面活性シランカップリング剤(B)0.4g、エチルアルコール42.9g、水5.0gを加えて一晩加熱還流することにより防曇剤が溶解した水溶液50.0gを得た。
【0105】
〔比較例2〕
(1) 合成例5で得たジメチルアミノ系シランカップリング剤(1−3)5.04g(15.0mmol)とクロロ酢酸ナトリウム(ナカライテスク株式会社製)1.80g(15.4mmol)を脱水エタノール50mlに溶解させた後、24時間加熱還流した。反応終了後沈殿として生じた塩化ナトリウム及び過剰のクロロ酢酸ナトリウムを吸引ろ過により除去後することにより、ベタイン化合物(CO)SiCHCHCHNHCOOCHCH(CHCHCO(3−23)が溶解したエタノール溶液43.0gを得た。
得られたエタノール溶液の少量を採取後エタノールを除去し、ベタイン系ケイ素化合物を赤外吸収スペクトル法により分析した。
原料(クロロ酢酸ナトリウム)のカルボニル基の吸収(1600cm−1)が消失し、新たに目的物のカルボニル基の吸収(1631cm−1)を確認した。
(2) (1)で得たエタノール溶液14.6g、合成例1で得た界面活性シランカップリング剤(A)0.4gとマツモトファインケミカル株式会社製有機チタン化合物TC−400、1.0gをエチルアルコール10mlに溶解させて添加した。さらに水20mlを加えて24時間加熱還流した。得られた溶液に水を加えて50.0gに調整することにより、防曇剤が溶解した水溶液50.0gを得た。
【0106】
〔防曇性コーティング液の調整〕
実施例1〜23及び比較例1〜2で得た溶液それぞれ5.0gをそれぞれ水45gで希釈することにより防曇性コーティング液をそれぞれ50.0g得た。
【0107】
〔親水性評価サンプルの作製〕
スライドガラス{76mm、26mm、1.2mm;水酸化ナトリウムの2−プロパノール飽和溶液に24時間浸漬した後、水洗し、乾燥(60℃、2時間)したもの}を防曇性コーティング組成液に浸漬し、スライドガラスを取り出した後、液切りをし、130℃、1間加熱処理した表面改質スライドガラスを得た。
【0108】
〔親水性評価結果〕
接触角測定装置{協和界面化学株式会社、DROP MASTER 500、液適量2μL、測定間隔1000ms、測定回数30回}で、表面改質スライドガラスの表面の任意の5箇所について、接触角(度)を測定し、平均値を算出した。結果を表1に示した。
【0109】
〔防曇性評価結果〕
上記表面改質スライドガラスを70℃の温水浴上部に基板を置いて防曇性能(水蒸気による曇りの有無)を評価した。結果を表1に示した。
【0110】
【表1】
【0111】
比較例に示したように、従来はベタイン系ケイ素化合物を合成して単離した後加水分解することにより加水分解物及び/又は加水分解縮合物を生成させていたが、本発明の製造方法では、加水分解物及び/又は加水分解縮合物をベタイン化しているため、製造工程において反応溶媒あるいは反応雰囲気の水分のコントロール等の必要がなく、使用する溶剤の脱水やろ過等の複雑な工程が必要でない等、簡便で短い製造工程で製造し易いことから、防曇性コーティング液を大量に効率よく製造する際において有用な製造方法である。
また、表1から明らかなように本発明の製造方法によって得られたベタイン系ケイ素化合物は、従来の製造方法によって得られたベタイン系ケイ素化合物と同様の防曇特性を有している。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の製造方法で得られるベタイン系ケイ素化合物は防曇効果が大きく、大量に安価に製造出来るため、本発明の製造方法で得られるベタイン系ケイ素化合物から誘導される防曇性コーティング組成液は、例えば、ガラスプレート、医療用材料、生体適合性材料、化粧品材料、光学材料、樹脂フィルム、樹脂シートなどの基材表面をコーティングして親水性及び防曇性を付与するのに有用である。