(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記紫外線硬化型コーティング組成物は、オリゴマー40〜70重量%、光重合性モノマー20〜59重量%、及び光開始剤1〜10重量%を含む、請求項1に記載の光沢度の調節が容易な表面処理金属材。
前記オリゴマーは、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、及びポリエステルアクリレートからなる群から選択された一つ以上である、請求項2に記載の光沢度の調節が容易な表面処理金属材。
前記金属材は、冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板材、マグネシウム板材、亜鉛板材、及びチタン亜鉛板材からなる群から選択された一つである、請求項1に記載の光沢度の調節が容易な表面処理金属材。
前記噴射は、インクジェットヘッド、スプレーガン、及び超音波噴射装置からなる群から選択された一つ以上を用いて行われる、請求項5に記載の光沢度の調節が容易な表面処理金属材の製造方法。
前記紫外線硬化型コーティング組成物は、オリゴマー40〜70重量%、光重合性モノマー20〜59重量%、及び光開始剤1〜10重量%を含む、請求項5に記載の光沢度の調節が容易な表面処理金属材の製造方法。
前記金属材は、冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板材、マグネシウム板材、亜鉛板材、及びチタン亜鉛板材からなる群から選択された一つである、請求項5に記載の光沢度の調節が容易な表面処理金属材の製造方法。
【背景技術】
【0002】
一般に、紫外線硬化型塗料は、熱硬化型塗料とは異なり溶剤を含有せず、モノマー及びオリゴマーのような分子量が小さい物質を含有し、紫外線を用いて速やかに硬化できる塗料である。溶剤を含有する熱硬化型高分子塗料は、分子同士の結合密度(即ち、架橋度)が低いため、塗膜の硬度が低く、且つ外部の摩擦によって損傷しやすいという特徴がある。一方、溶剤を使用しない紫外線硬化型塗料は、高い架橋度で結合されるため、塗膜の硬度が高く、耐スクラッチ性及び写像性に非常に優れ、且つ光沢度が非常に高いという特徴がある。
【0003】
最近の家電及び建材分野では、製品の高級化が進むにつれて、塗料がコーティングされた鋼板の耐食性、加工性、耐化学性などの基本的な要求特性だけでなく、光沢、写像性のような美観特性も要求される。また、輸送、製品の設置後の耐久性を保障するための耐スクラッチ性などが同時に要求されている。紫外線硬化型塗料は、かかる要求を満たすコーティング塗料であるが、外観に対する様々な条件を満たし難いのが現状である。例えば、洗濯機、冷蔵庫及びTVなどの家電製品は、従来の熱硬化型塗料に比べて高い光沢度と写像性が要求される一方、室内用パネル、建築外装材、及び一部家電製品の場合は、光沢度が非常に低く、且つ耐スクラッチ性に優れることが要求される。
【0004】
従来の紫外線硬化型塗料で表面処理した鋼板の光沢を調節するためには、シリカ、アルミナまたは合成高分子粒子などの消光剤及び分散剤を添加して光沢を調節している。しかし、製品の種類に応じて要求される光沢度が異なるため、消光剤と分散剤の含有量を毎回調節する必要性があり、それに伴ってテストコストが増加するという問題点がある。また、耐食性、塗膜密着力、加工性のような塗膜の基本物性に影響を与えて、製品ごとに物性の偏差が大きくなるという問題がある。
【0005】
一方、表面に凹凸のあるフィルムをコーティング層の上部に付着し、紫外線硬化した後にフィルムを剥がす方法を用いて、上記フィルムの凹凸により鋼板の光沢度を調節する方法も提案されている。しかし、消光効果を考慮してフィルムを選定する必要性があり、一度使用されたフィルムは再使用が不可能であるため、非経済的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、密着性、耐スクラッチ性、及び耐食性に優れ、且つ光沢度の調節が容易な表面処理金属材及びその製造方法を提供することを一目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態によれば、金属材と、上記金属材の少なくとも一面に形成され、紫外線硬化型コーティング組成物が硬化したコーティング層と、を含み、上記コーティング層は、複数の突起で構成され、上記突起は、体積が3〜16ピコリットルであり、上記突起は、上記金属材1mm
2当たり5〜610個の密度で配列される、光沢度の調節が容易な表面処理金属材を提供する。
【0008】
上記紫外線硬化型コーティング組成物は、オリゴマー40〜70重量%、光重合性モノマー20〜59重量%、及び光開始剤1〜10重量%を含むことができる。
上記オリゴマーは、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、及びポリエステルアクリレートからなる群から選択された一つ以上であることができる。
上記金属材は、冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板材、マグネシウム板材、亜鉛板材、及びチタン亜鉛板材からなる群から選択された一つであることができる。
【0009】
本発明の他の形態によれば、金属材の上部に紫外線硬化型コーティング組成物を噴射して複数の突起で構成されるコーティング層を形成する段階を含み、上記突起は、体積が3〜16ピコリットルであり、上記突起は、上記金属材1mm
2当たり5〜610個の密度で配列される、光沢度の調節が容易な表面処理金属材の製造方法を提供する。
【0010】
上記コーティング層を紫外線硬化する段階をさらに含むことができる。
上記紫外線硬化は、0.1〜60秒間行われることができる。
上記噴射は、インクジェットヘッド、スプレーガン、及び液滴噴射装置からなる群から選択された一つ以上を用いて行われることができる。
上記紫外線硬化型コーティング組成物は、オリゴマー40〜70重量%、光重合性モノマー20〜59重量%、及び光開始剤1〜10重量%を含むことができる。
【0011】
上記オリゴマーは、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、及びポリエステルアクリレートからなる群から選択された一つ以上であることができる。
上記金属材は、冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板材、マグネシウム板材、亜鉛板材、及びチタン亜鉛板材からなる群から選択された一つであることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の表面処理鋼板は、密着性、耐スクラッチ性、及び耐食性に優れ、且つ光沢度の調節が容易であるという効果を有することができる。また、本発明の表面処理鋼板の製造方法は、密着性、耐スクラッチ性、及び耐食性に優れた表面処理鋼板を製造する方法を提供するとともに、上記鋼板の光沢度を容易に調節できるという効果を有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。
【0015】
従来は、表面処理した金属材の光沢を調節するために、コーティング組成物に消光剤を含ませて光沢度を調節しているが、製品の種類に応じて要求される光沢度が異なるため、消光剤の含有量を毎回調節する必要性があり、それに伴ってテストコストが増加するという問題点がある。また、表面に凹凸のあるフィルムをコーティング層に付着して金属材の光沢を調節する方法を用いる場合では、製品の種類に応じて要求される光沢度に従ってフィルムを選定する必要性があり、一度使用されたフィルムは再使用が不可能であるため、非経済的であるという問題点がある。
【0016】
一方、本発明は、消光剤を含むコーティング組成物及び凹凸が形成されたフィルムを使用しなくても、光沢度の調節が容易な表面処理金属材及びその製造方法を提供することができる。
【0017】
本発明の一実施形態によると、金属材と、上記金属材の少なくとも一面に形成され、紫外線硬化型コーティング組成物が硬化したコーティング層と、を含み、上記コーティング層は、複数の突起で構成され、上記突起は、体積が3〜16ピコリットルであり、上記突起は、上記金属材1mm
2当たり5〜610個の密度で配列される、光沢度の調節が容易な表面処理金属材を提供することができる。
【0018】
図1は本発明の一実施形態である表面処理金属材の断面を模式的に示した図である。
図1に示す通り、本発明の表面処理金属材は、金属材と、上記金属材の一面に形成されたコーティング層と、を含んでおり、上記コーティング層は、複数の突起で構成されることが確認できる。上記複数の突起で構成されるコーティング層では、光が一方向から入射しても、様々な方向に反射して散乱する乱反射が起こる。上記コーティング層で乱反射が多く起こるほどコーティング層の消光効果は優れるようになる。
【0019】
上記コーティング組成物が液滴の形態で鋼板の表面に着地した後に形成された複数の突起は、体積が3〜16ピコリットルであり、上記金属材1mm
2当たり5〜610個の密度で配列されることが、表面処理金属材の光沢度を容易に調節できる効果の観点から好ましい。
【0020】
上記突起の体積は、3〜16ピコリットルであってよく、体積が3〜13ピコリットルであることが好ましく、体積が3〜5ピコリットルであることがより好ましい。上記突起の体積が3ピコリットル未満であると、液滴の大きさが小さすぎて噴射時に外部気流による干渉が強いため、突起を形成することが難しく、突起が形成されても、光の乱反射効果が少ない問題がある。一方、上記突起の体積が16ピコリットルを超えると、突起の大きさが粗大となって光の乱反射による消光効果が少なく、一定数以上の液滴が噴射されると、突起同士が凝集する現象が生じて、乱反射効果を期待できないことがある。
【0021】
一方、上記突起の密度は、上記金属材1mm
2当たり5〜610個であることが好ましく、上記金属材1mm
2当たり57〜608個の密度で配列されることがより好ましい。上記突起の密度が5未満であると、突起数が少なすぎて光の乱反射効果を発揮することが難しく、上記突起の密度が610を超えると、多数の突起により突起同士が重なる現象が生じて、乱反射効果が低下することがある。
【0022】
金属材の少なくとも一面に形成されたコーティング層は、紫外線硬化型コーティング組成物が硬化したものであってよく、上記紫外線硬化型コーティング組成物は、オリゴマー、光重合性モノマー、及び光開始剤を含む一方、光沢を調節する消光剤を含まないことが好ましい。
【0023】
従来は、消光剤を含む紫外線硬化型塗料を用いて光沢度を調節してきたが、製品の種類に応じて要求される光沢度が異なるため、消光剤の含有量を毎回調節する必要性があり、それに伴ってテストコストが増加するという問題点がある。しかし、本発明の紫外線硬化型コーティング組成物は、一般に紫外線硬化型塗料に含まれるシリカ、アルミナ、合成高分子粉末、セラミック粉末などの消光剤を含んでいないため、製品の種類に応じて消光剤の含有量を調節する必要性がなく、且つ消光剤の含有量を調節することにより発生する物性の偏差を防止することができる。
【0024】
即ち、本発明は、消光剤を含まない紫外線硬化型コーティング組成物を用いて、多数の突起で構成されるコーティング層で上記突起の体積及び密度を制御して光沢度を調節することにより、従来の光沢度調節方法により発生する問題点を防止することができる。
【0025】
本発明の紫外線硬化型コーティング組成物は、オリゴマー、光重合性モノマー、及び光開始剤を含むことができる。上記オリゴマーは、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、及びポリエステルアクリレートからなる群から選択された一つ以上であることが好ましい。上記オリゴマーの含有量は、40〜70重量%であることが好ましく、オリゴマーの含有量が40重量%未満であると、表面処理鋼板において要求される基本物性を満たすことができないことがある。また、上記オリゴマーの含有量が70重量%を超えると、粘度が上昇して作業性を阻害し、特に、液滴を容易に噴射できないことがある。
【0026】
一方、光重合性モノマーは、1官能モノマー、2官能モノマーまたは多官能モノマーであることができ、上記光重合性モノマーの含有量は、20〜59重量%であることが好ましい。光重合性モノマーの含有量が20重量%未満であると、高粘度溶液のために液滴を容易に噴射できないことがあり、光重合性モノマーの含有量が59重量%を超えると、全体的な物性を実現することが難しい。
【0027】
上記光開始剤は、エポキシケトン系、フェニルエステル系などの短波長または長波長用の光開始剤を用いることができ、その含有量は1〜10重量%であることが好ましい。光開始剤の含有量が1重量%未満であると、紫外線による開始が弱くて全体的な硬化反応が起こらないことがあり、未硬化となる可能性が高い。また、光開始剤の含有量が10重量%を超えると、過硬化が発生して塗膜にクラックが生じることがあり、高価な開始剤を多量に使用するため、経済的に不利である。上記重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインエーテル系、ベンジルケタール系、アセトフェノン系、アントラキノン系、チオキサントン系などの化合物を挙げることができる。これらは、単独または二つ以上を混合して使用することができるが、これに限定されない。商業的に市販されている重合開始剤は、例えば、Irgacure 184
TM、754
TM、819
TM、Darocur 1173
TM、TPO
TM(CIBA GEIGY社)、Micure CP−4
TM、MP−8
TM、BP
TM、TPO
TM(Miwon Commercial Co., Ltd.)のうち一つ以上を選択して使用することができるが、これに限定されない。
【0028】
上記金属材は、冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板材、マグネシウム板材、亜鉛板材、及びチタン亜鉛板材からなる群から選択された一つであることが好ましい。
【0029】
本発明の他の実施形態によると、光沢度の調節が容易な表面処理金属材の製造方法を提供することができる。
上記表面処理金属材の製造方法は、金属材の上部に紫外線硬化型コーティング組成物を噴射して複数の突起で構成されるコーティング層を形成する段階を含み、上記突起は、体積が3〜16ピコリットルであり、上記突起は、上記金属材1mm
2当たり5〜610個の密度で配列されることを特徴とする。
【0030】
本発明は、上記金属材の上部に紫外線硬化型コーティング組成物を噴射する方法を用いてコーティング層を形成することができる。上記噴射は、インクジェットヘッド、スプレーガン、及び超音波噴射装置からなる群から選択された一つ以上を用いて行うことができる。
【0031】
インクジェットヘッドを用いて紫外線硬化型コーティング組成物を金属材の上部に噴射する場合、まず、上記紫外線硬化型コーティング組成物を、一つ以上のヘッドを含むインクジェット印刷装置の各ヘッドに連結されたノズルに注入することができる。その後、上記ノズルに注入された紫外線硬化型コーティング組成物を、ヘッドを介して鋼板の表面に噴射することができる。本発明において紫外線硬化型コーティング組成物を噴射する際に、上記コーティング組成物は液滴の形態で鋼板の表面に着地し、これにより、複数の突起で構成されるコーティング層を形成することができる。
【0032】
紫外線硬化型コーティング組成物は、熱硬化型塗料とは異なり、溶剤を含有していないため、紫外線を用いて速やかに硬化することができる。また、熱硬化型塗料に比べて分子量が小さい物質を含んでいるため、高い架橋度で結合されて塗膜の硬度が高く、耐スクラッチ性に優れ、且つ光沢度が非常に高く、写像性に優れるという効果がある。
【0033】
したがって、紫外線硬化型コーティング組成物は、熱硬化型塗料に比べて高い光沢度と写像性が要求される製品に用いることができる。しかし、製品の種類に応じて要求される光沢度が異なるため、本発明では、複数の突起で構成されるコーティング層で上記突起の体積及び密度を調節して光沢度を調節することができる。
【0034】
上記コーティング組成物が液滴の形態で鋼板の表面に着地した後に形成された複数の突起は、体積が3〜16ピコリットルであり、上記金属材1mm
2当たり5〜610個の密度で配列されることが、表面処理金属材の光沢度を容易に調節できる効果の観点から好ましい。
【0035】
上記突起の体積は、3〜16ピコリットルであってよく、体積が3〜13ピコリットルであることが好ましく、体積が3〜5ピコリットルであることがより好ましい。上記突起の体積が3ピコリットル未満であると、液滴の大きさが小さすぎて噴射時に外部気流による干渉が強いため、突起を形成することが難しく、突起が形成されても、光の乱反射効果が少ない。一方、上記突起の体積が16ピコリットルを超えると、突起の大きさが粗大となって光の乱反射による消光効果が少なく、一定数以上の液滴が噴射されると、突起同士が凝集する現象が生じて、乱反射効果を十分に期待できない。
【0036】
一方、上記突起の密度は、上記金属材1mm
2当たり5〜610個であることが好ましく、上記金属材1mm
2当たり57〜608個の密度で配列されることがより好ましい。上記突起の密度が5未満であると、突起数が少なすぎて光の乱反射効果を発揮することが難しく、上記突起の密度が610を超えると、多数の突起により突起同士が重なる現象が生じて、乱反射効果が低下する。
【0037】
上記金属材の上部に紫外線硬化型コーティング組成物を噴射してコーティング層を形成した後、上記コーティング層を紫外線硬化させることができる。上記紫外線硬化は、0.1〜60秒間行うことが好ましい。紫外線硬化を行う時間が0.1秒未満であると、光開始剤に十分な紫外線が照射されずに未硬化が生じ、コーティング層が未硬化となることがあり、60秒を超えると、過硬化及び過熱による塗膜物性の低下を招く恐れがある。
【0038】
金属材の上部に噴射される紫外線コーティング組成物は、オリゴマー40〜70重量%、光重合性モノマー20〜59重量%、及び光開始剤1〜10重量%を含むことが好ましい。上記オリゴマーは、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、及びポリエステルアクリレートからなる群から選択された一つ以上であることが好ましい。上記オリゴマーの含有量は、40〜70重量%であることが好ましく、オリゴマーの含有量が40重量%未満であると、表面処理鋼板において要求される基本物性を満たすことができないことがある。また、オリゴマーの含有量が70重量%を超えると、粘度が上昇して作業性を阻害し、特に、液滴を容易に噴射できないことがある。
【0039】
一方、光重合性モノマーは、1官能モノマー、2官能モノマーまたは多官能モノマーであることができ、上記光重合性モノマーの含有量は、20〜59重量%であることが好ましい。光重合性モノマーの含有量が20重量%未満であると、高粘度溶液のために液滴を容易に噴射できないことがあり、光重合性モノマーの含有量が59重量%を超えると、全体的な物性を実現することが難しい。
【0040】
上記光開始剤は、エポキシケトン系、フェニルエステル系などの短波長または長波長の光開始剤を用いることができ、その含有量は1〜10重量%であることが好ましい。光開始剤の含有量が1重量%未満であると、紫外線による開始が弱くて全体的な硬化反応が起こらないことがあり、未硬化となる可能性が高い。また、光開始剤の含有量が10重量%を超えると、過硬化が発生して塗膜にクラックが生じることがあり、高価な開始剤を多量に使用するため、経済的に不利である。
【0041】
上記紫外線硬化型コーティング組成物が噴射される金属材の種類は、特に限定しないが、例えば、冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板材、マグネシウム板材、亜鉛板材、及びチタン亜鉛板材からなる群から選択された一つであることが好ましい。
【実施例】
【0042】
以下、具体的な実施例を用いて本発明をより具体的に説明する。下記の実施例は、本発明の理解を助けるための例示にすぎず、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【0043】
(実験例)
6官能基ポリエステルアクリレートオリゴマー20重量%、2官能基ウレタンアクリレートオリゴマー25重量%、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)20重量%、イソボルニルアクリレート30重量%、RUNTECURE 1103 5重量%からなる紫外線硬化型コーティング組成物を、インクジェット印刷装置の各ヘッドに連結されたノズルに注入した。上記ノズルに注入されたコーティング組成物を、ヘッドを介してステンレス鋼板の上部に噴射した。上記鋼板の上部に噴射されたコーティング組成物は液滴として鋼板の表面に着地し、複数の突起で構成されるコーティング層を形成した。上記コーティング層を30秒間紫外線硬化させた後、60度基準の光沢測定計で光沢度を測定し、塗膜密着力を試験した。上記突起の体積、密度、塗膜密着力、及び光沢度を、下記表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1に示すように、突起の体積3〜16ピコリットル及び突起の密度5〜610個/mm
2を満たす実施例1〜23は、塗膜密着性に優れるとともに、調節可能な光沢度の範囲が広いことが確認できた。
特に、突起の体積が3〜5ピコリットルであり、突起の密度が57〜608個/mm
2の場合には、調節可能な光沢度の範囲がさらに広いことが確認できた。突起の体積が3ピコリットルである実施例1〜10は、最小91から最大145まで光沢度を調節することができ、突起の体積が5ピコリットルである実施例11〜14は、最小95から最大142まで光沢度を調節できることが確認できた。
【0046】
一方、突起の体積が13ピコリットルである実施例15〜19は、最小108から最大128まで光沢度を調節することができ、突起の体積が16ピコリットルである実施例20〜24は、最小110から最大126まで光沢度を調節できることが確認できた。即ち、突起の体積が小さいほど広い範囲の光沢度を容易に調節することができ、特に、突起の体積が3〜5ピコリットルの場合、光沢度を最も容易に調節できることが確認できた。
一方、突起の体積が3〜16ピコリットル及び突起の密度が5〜610個/mm
2を満たさない比較例2〜8は、コーティング層が形成されていない比較例1と同様の光沢度を有し、消光効果が示されなかったことが確認できた。
【0047】
図2は本発明の一実施例である表面処理金属材のコーティング層を撮影した写真であり、金属材の上部に複数の突起形状を有するコーティング層が形成されていることが確認できた。
【0048】
(比較例)
6官能基ポリエステルアクリレートオリゴマー20重量%、2官能基ウレタンアクリレートオリゴマー25重量%、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)20重量%、RUNTECURE 1103 5重量%、イソボルニルアクリレート、及び消光剤であるシリカ30重量%を含む紫外線硬化型塗料を製造した後、ステンレス鋼板の上部にロールコーティング法を用いてコーティング層を形成した。上記コーティング層を30秒間紫外線硬化させた後、60度基準の光沢測定計で光沢度を測定し、塗膜密着力を試験した。上記シリカの含有量、平均粒度、塗膜密着力、及び光沢度を、下記表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
表2に示すように、シリカの含有量及び平均粒度を制御して光沢度を調節することができるが、比較例27〜29は、塗膜密着力が非常に低下していることが確認できた。即ち、上記シリカの含有量及び平均粒度は、コーティング層の基本物性に影響を与える要因であるため、消光剤であるシリカを含む紫外線硬化型コーティング組成物でコーティング層を形成する場合、表面処理金属材の物性の偏差が大きいことが確認できた。
【0051】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。