(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態のエアロゾル生成装置の電源ユニットについて説明するが、先ず、電源ユニットが装着されたエアロゾル吸引器について、
図1〜
図6を参照しながら説明する。
【0012】
(エアロゾル吸引器)
エアロゾル吸引器1は、燃焼を伴わずに香味を吸引するための器具であり、所定方向(以下、長手方向Aと呼ぶ)に沿って延びる棒形状を有する。エアロゾル吸引器1は、
図1及び
図2に示すように、長手方向Aに沿って電源ユニット10と、第1カートリッジ20と、第2カートリッジ30と、がこの順に設けられている。第1カートリッジ20は、電源ユニット10に対して着脱可能であり、第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20に対して着脱可能である。言い換えると、第1カートリッジ20及び第2カートリッジ30は、それぞれ交換可能である。
【0013】
(電源ユニット)
本実施形態の電源ユニット10は、
図3〜
図6に示すように、円筒状の電源ユニットケース11の内部に電源12、充電器13、制御部50、各種センサ等を収容する。
【0014】
電源12は、充電可能な二次電池であり、好ましくは、リチウムイオン二次電池である。本実施形態の電源12は、電極や不図示の電解液などの各種構成要素を収容する円筒形状のケース12aを備える。電源12の長さ方向(長手方向A)の一端部又は両端部には、正負の電極となる一対のタブ12b(
図8参照)が設けられる。換言すれば、電源12の長さ方向の両端の一方には正極用のタブ12bが、電源12の長さ方向の両端の他端に正極用のタブ12bが設けられてもよい。または、電源12の長さ方向の一端に、正極用のタブ12bと負極用のタブ12bの双方が設けられてもよい。また、電源12は、長さ方向の一端部又は両端部に、電源12の内圧が所定の圧力を超えたとき開弁する不図示の安全弁を備える。
【0015】
電源ユニットケース11の長手方向Aの一端側(第1カートリッジ20側)に位置するトップ部11aには、放電端子41が設けられる。放電端子41は、トップ部11aの上面から第1カートリッジ20に向かって突出するように設けられ、第1カートリッジ20の負荷21と電気的に接続可能に構成される。
【0016】
また、トップ部11aの上面には、放電端子41の近傍に、第1カートリッジ20の負荷21に空気を供給する空気供給部42が設けられている。
【0017】
電源ユニットケース11の長手方向Aの他端側(第1カートリッジ20と反対側)に位置するボトム部11bには、電源12を充電可能な外部電源60(
図5参照)と電気的に接続可能な充電端子43が設けられる。充電端子43は、ボトム部11bの側面に設けられ、USB端子、microUSB端子、Lightning(登録商標)端子の少なくとも1つが接続可能である。
【0018】
なお、充電端子43は、外部電源60から供給される電力を非接触で受電可能な受電部であってもよい。このような場合、充電端子43(受電部)は、受電コイルから構成されていてもよい。非接触による電力伝送(Wireless Power Transfer)の方式は、電磁誘導型でもよいし、磁気共鳴型でもよい。また、充電端子43は、外部電源60から供給される電力を無接点で受電可能な受電部であってもよい。別の一例として、充電端子43は、USB端子、microUSB端子、Lightning(登録商標)端子の少なくとも1つが接続可能であり、且つ上述した受電部を有していてもよい。
【0019】
即ち、電源ユニット10は、放電端子41と充電端子43とが別体に構成され、且つ、長手方向Aにおいて離間して配置されるので、充電端子43には、放電端子41を介した電源12の放電が可能な状態で、外部電源60を電気的に接続することができるように構成される。また、電源ユニット10では、充電端子43と外部電源60が電気的に接続されている状態で、エアロゾル生成要求を検出した場合、電源12の充電と放電とが同時に行われることが禁止される。
【0020】
また、電源ユニットケース11には、ユーザが操作可能な操作部14が、トップ部11aの側面に充電端子43とは反対側を向くように設けられる。より詳述すると、操作部14と充電端子43は、操作部14と充電端子43を結ぶ直線と長手方向Aにおける電源ユニット10の中心線Lの交点について点対称の関係にある。操作部14は、ボタン式のスイッチ、タッチパネル等から構成され、ユーザの使用意思を反映して制御部50及び各種センサを起動/遮断する際等に利用される。操作部14の近傍には、制御部50及びパフ動作を検出する吸気センサ15が設けられている。
【0021】
充電器13は、充電端子43から電源12へ入力される充電電力を制御する。充電器13は、充電端子43に接続される充電ケーブルに搭載された交流を直流に変換するインバータ61等からの直流を大きさの異なる直流に変換するコンバータ、電圧計、電流計、プロセッサ等を含む充電ICを用いて構成される。
【0022】
制御部50は、
図6に示すように、充電器13、操作部14、パフ(吸気)動作を検出する吸気センサ15、電源12の電圧を測定する電圧センサ16、温度を検出する温度センサ17、吸気センサ15とは別体、且つ電源ユニットケース11内で静電容量を検出する静電容量センサ80等の各種センサ装置、及びパフ動作の回数又は負荷21への通電時間等を記憶するメモリー18に接続され、エアロゾル吸引器1の各種の制御を行う。吸気センサ15は、コンデンサマイクロフォンや圧力センサ等から構成されていてもよい。制御部50は、具体的にはプロセッサ(MCU:マイクロコントローラユニット)である。このプロセッサの構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路である。制御部50の詳細については後述する。
【0023】
また、電源ユニットケース11には、内部に外気を取り込む空気取込口11cが設けられている。なお、空気取込口11cは、操作部14の周囲に設けられていてもよく、充電端子43の周囲に設けられていてもよい。
【0024】
(第1カートリッジ)
第1カートリッジ20は、
図3に示すように、円筒状のカートリッジケース27の内部に、エアロゾル源22を貯留するリザーバ23と、エアロゾル源22を霧化する電気的な負荷21と、リザーバ23から負荷21へエアロゾル源を引き込むウィック24と、エアロゾル源22が霧化されることで発生したエアロゾルが第2カートリッジ30に向かって流れるエアロゾル流路25と、第2カートリッジ30の一部を収容するエンドキャップ26と、を備える。
【0025】
リザーバ23は、エアロゾル流路25の周囲を囲むように区画形成され、エアロゾル源22を貯留する。リザーバ23には、樹脂ウェブや綿等の多孔体が収容され、且つ、エアロゾル源22が多孔体に含浸されていてもよい。リザーバ23には、樹脂ウェブ又は綿上の多孔質体が収容されず、エアロゾル源22のみが貯留されていてもよい。エアロゾル源22は、グリセリン、プロピレングリコール、水などの液体を含む。
【0026】
ウィック24は、リザーバ23から毛管現象を利用してエアロゾル源22を負荷21へ引き込む液保持部材であって、例えば、ガラス繊維や多孔質セラミックなどによって構成される。
【0027】
負荷21は、電源12から放電端子41を介して供給される電力によって燃焼を伴わずにエアロゾル源22を霧化する。負荷21は、所定ピッチで巻き回される電熱線(コイル)によって構成されている。なお、負荷21は、エアロゾル源22を霧化してエアロゾルを発生可能な素子であればよく、例えば、発熱素子、又は超音波発生器である。発熱素子としては、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等が挙げられる。
【0028】
エアロゾル流路25は、負荷21の下流側であって、電源ユニット10の中心線L上に設けられる。
【0029】
エンドキャップ26は、第2カートリッジ30の一部を収容するカートリッジ収容部26aと、エアロゾル流路25とカートリッジ収容部26aとを連通させる連通路26bと、を備える。
【0030】
(第2カートリッジ)
第2カートリッジ30は、香味源31を貯留する。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20のエンドキャップ26に設けられたカートリッジ収容部26aに着脱可能に収容される。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20側とは反対側の端部が、ユーザの吸口32となっている。なお、吸口32は、第2カートリッジ30と一体不可分に構成される場合に限らず、第2カートリッジ30と着脱可能に構成されてもよい。このように吸口32を電源ユニット10と第1カートリッジ20とは別体に構成することで、吸口32を衛生的に保つことができる。
【0031】
第2カートリッジ30は、負荷21によってエアロゾル源22が霧化されることで発生したエアロゾルを香味源31に通すことによってエアロゾルに香味を付与する。香味源31を構成する原料片としては、刻みたばこ、たばこ原料を粒状に成形した成形体を用いることができる。香味源31は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、漢方、ハーブ等)によって構成されてもよい。香味源31には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。
【0032】
本実施形態のエアロゾル吸引器1では、エアロゾル源22と香味源31と負荷21とによって、香味が付加されたエアロゾルを発生させることができる。つまり、エアロゾル源22と香味源31は、エアロゾルを発生させるエアロゾル生成源と言うことができる。
【0033】
エアロゾル吸引器1に用いられるエアロゾル生成源の構成は、エアロゾル源22と香味源31とが別体になっている構成の他、エアロゾル源22と香味源31とが一体的に形成されている構成、香味源31が省略されて香味源31に含まれ得る物質がエアロゾル源22に付加された構成、香味源31の代わりに薬剤等がエアロゾル源22に付加された構成等であってもよい。
【0034】
このように構成されたエアロゾル吸引器1では、
図3中、矢印Bで示すように、電源ユニットケース11に設けられた空気取込口11cから流入した空気が、空気供給部42から第1カートリッジ20の負荷21付近を通過する。負荷21は、ウィック24によってリザーバ23から引き込まれた又は移動させられたエアロゾル源22を霧化する。霧化されて発生したエアロゾルは、空気取込口11cから流入した空気と共にエアロゾル流路25を流れ、連通路26bを介して第2カートリッジ30に供給される。第2カートリッジ30に供給されたエアロゾルは、香味源31を通過することで香味が付与され、吸口32に供給される。
【0035】
また、エアロゾル吸引器1には、各種情報を報知する報知部45が設けられている。報知部45は、発光素子によって構成されていてもよく、振動素子によって構成されていてもよく、音出力素子によって構成されていてもよい。また、報知部45は、発光素子、振動素子及び音出力素子のうち、2以上の素子の組合せであってもよい。報知部45は、電源ユニット10、第1カートリッジ20、及び第2カートリッジ30のいずれに設けられてもよいが、電源12からの導線を短くするため電源ユニット10に設けられることが好ましい。例えば、操作部14の周囲が透光性を有し、LED等の発光素子によって発光するように構成される。
【0036】
(電気回路)
続いて、電源ユニット10の電気回路について
図5を参照しながら説明する。
電源ユニット10は、電源12と、放電端子41を構成する正極側放電端子41a及び負極側放電端子41bと、充電端子43を構成する正極側充電端子43a及び負極側充電端子43bと、電源12の正極側と正極側放電端子41aとの間及び電源12の負極側と負極側放電端子41bとの間に接続される制御部50と、充電端子43と電源12との電力伝達経路上に配置される充電器13と、電源12と並列に接続される電圧センサ16と、電源12と放電端子41との電力伝達経路上に配置されるスイッチ19と、制御部50に接続される複数の静電容量センサ80と、を備える。スイッチ19は、例えばMOSFETにより構成され、制御部50がゲート電圧を調整することによって開閉制御される。
【0037】
(制御部)
制御部50は、
図6に示すように、エアロゾル生成要求検出部51と、液体検知部52と、電力制御部53と、報知制御部54と、を備える。
【0038】
エアロゾル生成要求検出部51は、吸気センサ15の出力結果に基づいてエアロゾル生成の要求を検出する。吸気センサ15は、吸口32を通じたユーザの吸引により生じた電源ユニット10内の圧力変化の値を出力するよう構成されている。吸気センサ15は、例えば、空気取込口11cから吸口32に向けて吸引される空気の流量(すなわち、ユーザのパフ動作)に応じて変化する気圧に応じた出力値(例えば、電圧値又は電流値)を出力する圧力センサである。
【0039】
液体検知部52は、静電容量センサ80の出力に基づいて、電源ユニットケース11の内部における液体の漏出を検知(以下、液体の漏出検知という)したり、電源ユニットケース11の内部への液体の浸入を検知(以下、液体の浸入検知という)したりする。また、液体検知部52は、検知結果に応じて電源12の充放電を禁止する。このような液体検知部52によれば、液体の漏出、液体の浸入等がエアロゾル吸引器1の動作に与える影響を回避できる。また、静電容量センサ80を用いることで、安価な構成ながら高精度に液体の漏出及び液体の浸入を検知できる。なお、液体検知部52の具体的な処理手順は後述する。
【0040】
報知制御部54は、各種情報を報知するように報知部45を制御する。例えば、報知制御部54は、第2カートリッジ30の交換タイミングの検出に応じて、第2カートリッジ30の交換タイミングを報知するように報知部45を制御する。報知制御部54は、メモリー18に記憶されたパフ動作の回数又は負荷21への累積通電時間に基づいて、第2カートリッジ30の交換タイミングを報知する。報知制御部54は、第2カートリッジ30の交換タイミングの報知に限らず、第1カートリッジ20の交換タイミングの報知、電源12の交換タイミング、電源12の充電タイミング等を報知してもよい。
【0041】
電力制御部53は、エアロゾル生成要求検出部51がエアロゾル生成の要求を検出した際に放電端子41を介した電源12の放電を、スイッチ19のオン/オフによって制御する。
【0042】
電力制御部53は、負荷21によってエアロゾル源が霧化されることで生成されるエアロゾルの量が所望範囲に収まるように、言い換えると、電源12から負荷21に供給される電力量が一定範囲となるように制御する。具体的に説明すると、電力制御部53は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御によってスイッチ19のオン/オフを制御する。これに代えて、電力制御部53は、PFM(Pulse Frequency Modulation:パルス周波数変調)制御によってスイッチ19のオン/オフを制御してもよい。
【0043】
電力制御部53は、負荷21への電力供給を開始してから所定期間が経過した場合に、電源12から負荷21に対する電力供給を停止してもよい。言い換えると、電力制御部53は、ユーザが実際にパフ動作を行っているパフ期間内であっても、パフ期間が所定期間を超えた場合に、電源12から負荷21に対する電力供給を停止する。所定期間は、ユーザのパフ期間のばらつきを抑制するために定められる。電力制御部53は、電源12の蓄電量に応じて、1回のパフ動作におけるスイッチ19のオン/オフのデューティ比を制御する。例えば、電力制御部53は、電源12から負荷21に電力を供給するオン時間の間隔(パルス間隔)を制御したり、電源12から負荷21に電力を供給するオン時間の長さ(パルス幅)を制御したりする。
【0044】
また、電力制御部53は、充電端子43と外部電源60との電気的な接続を検出し、充電器13を介した電源12の充電を制御する。
【0045】
(基板構成)
図7に示すように、電源ユニット10は、充電端子43などが設けられる第1回路基板71と、制御部50、充電器13、スイッチ19などが設けられる第2回路基板72と、第1回路基板71と第2回路基板72とを電気的に接続する導電部材73と、を備える。本実施形態の導電部材73は、フレキシブルプリント回路基板(FPCB)を用いて構成されるが、導線で構成してもよい。
【0046】
第1回路基板71と第2回路基板72は、互いに離間して配置されている。具体的には、電源12の長さ方向(長手方向A)において一端側に第1回路基板71が設けられ、電源12の長さ方向(長手方向A)において他端側に第2回路基板72が設けられ、電源12の周面に沿って電源12の長さ方向に延在する導電部材73を介して第1回路基板71と第2回路基板72とが電気的に接続されている。
【0047】
(液体の漏出検知)
つぎに、制御部50(液体検知部52)による液体の漏出検知について、
図7及び
図8を参照して説明する。本実施形態では、電源ユニットケース11の内部において漏出する液体として、電源12の電解液を想定している。以下の説明において、「電解液」の用語は、イオン液体と難燃性の有機溶媒のどちらを示しても良い旨に留意されたい。
【0048】
なお、電源12は電解質として電解液以外を有していてもよい。一例として、電源12は、固体又はゲル状の固体電解質と電解液の双方を有していてもよい。また、電解液は、複数の液体を含む混合溶液であってもよい。また、電解液は、電源12の性能を向上させるためのリチウム塩などが添加材として添加されていてもよい。
【0049】
静電容量センサ80は、センサ用の電極81とGND電位との間に発生する静電容量の変化に基づいて、物体や流体などを検知するセンサであり、本実施形態では、電源12から漏出した電解液を検知する。本実施形態の静電容量センサ80は、電極81とGND電位との間に、電解液を吸収して電極81に導く第1多孔質体82を挟んで擬似的なコンデンサを構成し、該コンデンサの静電容量を制御部50で計測する。例えば、制御部50は、静電容量センサ80が構成するコンデンサの充放電を行い、それに要した時間に基づいて静電容量を計測する。このような静電容量センサ80によれば、第1多孔質体82が電解液を吸収すると、静電容量が変化するので、制御部50は、電源12から漏出した電解液を精度良く検出できる。また、電極81は金属板、第1多孔質体82はコットンシート、スポンジ、脱脂綿などで構成できるので、安価な構成で電源12の電解液漏れを検知することが可能になる。電極81及び第1多孔質体82はユニット化されて静電容量センサユニットを構成してもよい。なお、静電容量センサ80を1つの電極81のみを有する疑似的なコンデンサではなく、対向する2つの電極81を有するコンデンサで構成してもよい。
【0050】
静電容量センサ80は、電源12において電解液が漏出しやすい箇所に配置されることが望ましい。電源12は、通常、タブ12bや安全弁の近傍で電解液漏れが生じやすいので、第1多孔質体82の少なくとも一部は、タブ12bや安全弁に当接するように配置される、又はタブ12bや安全弁の近傍に配置されることが望ましい。このようにすると、電源12のタブ12bや安全弁の近傍で電解液漏れが発生した場合に、電解液漏れを効果的且つ迅速に検知できる。第1多孔質体82の少なくとも一部が、タブ12bや安全弁に当接するように配置されるとは、第1多孔質体82の全体がタブ12bや安全弁に当接することを含むことは言うまでもなく、第1多孔質体82がタブ12bや安全弁から離間しつつ第1多孔質体82の一部(例えば、腕部)がタブ12bや安全弁に向かって延びタブ12bや安全弁に当接することを含む。また、第1多孔質体82の少なくとも一部が、タブ12bや安全弁の近傍に配置されるとは、第1多孔質体82の全体がタブ12bや安全弁の近傍に位置することは言うまでもなく、第1多孔質体82がタブ12bや安全弁から離間しつつ第1多孔質体82の一部(例えば、腕部)がタブ12bや安全弁の近傍に位置することを含む。なお、近傍とは、電解液が漏出した際に電解液と接触し得る位置を少なくとも含む位置である。
【0051】
図7に示すように、電源12の一端側に静電容量センサ80を配置し、電源12の他端側に制御部50(第2回路基板72)を配置する場合、静電容量センサ80を制御部50に接続する導線83は、フレキシブルプリント回路基板である導電部材73に組み込むことが望ましい。このようにすると、電源ユニット10の省配線化が図れる。
【0052】
なお、電源ユニットケース11の内部に配置され、電源12を保持する不図示の電源ホルダを備える電源ユニット10の場合は、第1多孔質体82の少なくとも一部が電源12と電源ホルダとの間に配置されることが望ましい。本願発明者らが鋭意検討した結果、電源ホルダは電源12との間に不可避の隙間を生じさせ、電解液はこの隙間に浸入しやすいことが判明した。このようにすると、電源12と電源ホルダとの間に電解液が漏れ込んだ場合でも、電解液漏れを検知できる。なお、電源12と電源ホルダとの間に、第1多孔質体82に加えて静電容量センサ80を配置してもよい。電源ホルダは、導電性であってもよく、非導電性であってもよい。
【0053】
第1多孔質体82は、吸収した電解液によって静電容量センサ80の静電容量が有意差を持って変化することが好ましい。さらに、第1多孔質体82は、吸収した電解液を静電容量センサ80の静電容量を変化させる箇所へ迅速に輸送することが好ましい。このような背景の下、第1多孔質体82のサイズなどの物性は制限されることが好ましい。その結果、漏れた電解液の量によっては、第1多孔質体82が電解液を吸収しきれない虞がある。なお、第1多孔質体82が吸収しきれない電解液には、第1多孔質体82に一旦は接触しつつも吸収しきれなかったものと、第1多孔質体82が接触できなかったものが含まれる点に留意されたい。
【0054】
そこで、
図7及び
図8に示すように、回路基板71、72の近傍に静電容量センサ80を配置する場合は、静電容量センサ80(電極81)と回路基板71、72との間に第2多孔質体84を設けることが望ましい。このようにすると、第2多孔質体84が、第1多孔質体82では吸収することができない電解液を、吸収することができる。その結果、1多孔質体82では吸収することができない電解液から回路基板71、72を保護することができる。
【0055】
(液体の浸入検知)
つぎに、制御部50(液体検知部52)による液体の浸入検知について説明する。本実施形態では、電源ユニットケース11の内部に浸入する液体として、水没時に浸入する水を想定している。なお、液体の浸入検知に用いる静電容量センサ80の構造は、液体の漏出検知に用いる静電容量センサ80の構造と略同様である。液体の浸入検知に用いられる静電容量センサ80においても、第1多孔質体82と第2多孔質体84の双方を有していることが好ましい。
【0056】
制御部50は、静電容量センサ80の出力に基づき、電源ユニットケース11に設けられる開口K1〜K5からの水の浸入を検知する。例えば、静電容量センサ80の電極81へ水を導く第1多孔質体82の少なくとも一部は、開口K1〜K5に当接するように配置される、又は開口K1〜K5の近傍に配置されることが望ましい。このようにすると、開口K1〜K5から水が浸入した場合に水の浸入を効果的に検知できる。第1多孔質体82の少なくとも一部が、開口K1〜K5に当接するように配置されるとは、第1多孔質体82の全体が開口K1〜K5に当接することを含むことは言うまでもなく、第1多孔質体82が開口K1〜K5から離間しつつ第1多孔質体82の一部(例えば、腕部)が開口K1〜K5に向かって延び開口K1〜K5に当接することを含む。また、第1多孔質体82の少なくとも一部が、開口K1〜K5の近傍に配置されるとは、第1多孔質体82の全体が開口K1〜K5の近傍に位置することを含むことは言うまでもなく、第1多孔質体82が開口K1〜K5から離間しつつ第1多孔質体82の一部(例えば、腕部)が開口K1〜K5の近傍に位置することを含む。なお、近傍とは、水が浸入した際に水と接触し得る位置である。
【0057】
第1多孔質体82の全体が開口K1〜K5に当接するように配置される、又は、開口K1〜K5の近傍に配置される場合は、水没が生じると静電容量センサ80の静電容量が素早く変化するため、水没を迅速に検知できる。第1多孔質体82が開口K1〜K5から離間しつつ第1多孔質体82の一部が開口K1〜K5に向かって延び開口K1〜K5に当接し、又は開口K1〜K5の近傍に位置する場合は、静電容量センサ80を開口K1〜K5から離間して配置できるため、電源ユニットケース11内の電子部品の配置の自由度が向上する。その結果、電源ユニット10を小型化することができる。
【0058】
図4に示すように、開口K1は、電源ユニットケース11において、充電端子43の周囲に形成される。電源ユニットケース11内における開口K1の近傍に静電容量センサ80を配置すると、充電端子43の周囲からの水の浸入を検知できる。さらに、水の浸入がエアロゾル吸引器1の動作に与える影響を回避できる。
【0059】
また、開口K2は、前述した空気取込口11cである。電源ユニットケース11内における開口K2の近傍に静電容量センサ80を配置すると、空気取込口11cからの水の浸入を検知できる。さらに、水の浸入がエアロゾル吸引器1の動作に与える影響を回避できる。
【0060】
また、開口K3は、電源ユニットケース11において、操作部14の周囲に形成される。電源ユニットケース11内における開口K3の近傍に静電容量センサ80を配置すると、操作部14の周囲からの水の浸入を検知できる。さらに、水の浸入がエアロゾル吸引器1の動作に与える影響を回避できる。
【0061】
また、開口K4は、電源ユニットケース11において、放電端子41の周囲に形成される。電源ユニットケース11内における開口K4の近傍に静電容量センサ80を配置すると、放電端子41の周囲からの水の浸入を検知できる。さらに、水の浸入がエアロゾル吸引器1の動作に与える影響を回避できる。
【0062】
また、開口K5は、前述した空気供給部42である。電源ユニットケース11内における開口K5の近傍に静電容量センサ80を配置すると、空気供給部42からの水の浸入を検知できる。さらに、水の浸入がエアロゾル吸引器1の動作に与える影響を回避できる。
【0063】
上述した開口K1〜K5のうち、開口K2と開口K5は、空気の流路として電源ユニットケース11へ積極的に設けられる。従って、開口K2と開口K5そのものが水の浸入経路になり得る。一方、開口K1、K3、K4は電源ユニットケース11に別体の部品を組み付けるために設けられる。従って、正確には、開口K1、K3、K4においては、電源ユニットケース11と組み付けられる部品の製品公差を吸収するためのバッファが、水の浸入経路となり得る。
【0064】
なお、静電容量センサ80を電解液が漏出しやすい箇所と、水が浸入しやすい箇所の両方に配置することで、液体の漏出検知と液体の浸入検知との両方を検知することができる。液体の漏出検知と液体の浸入検知との両方を検知することで、電源ユニット10及びエアロゾル吸引器1の安全性を向上させることができる。
【0065】
(複数の静電容量センサ)
図5及び
図6に示すように、電源ユニット10は、複数の静電容量センサ80を備える。制御部50(液体検知部52)は、複数の静電容量センサ80の出力に基づき、電源ユニット10の状態(液体の漏出又は液体の浸入)を診断する。このようにすると、一つの静電容量センサ80の出力に基づいて電源ユニット10の状態を診断する場合に比べ、電源ユニット10の状態を精度良く診断することが可能になる。以下、複数の静電容量センサ80を用いた液体の漏出又は液体の浸入を検知する手法について詳述する。
【0066】
図5に示すように、複数の静電容量センサ80は、互いに並列に接続されている。このようにすると、複数の静電容量センサ80と制御部50とを接続する配線を簡易にできる。同時に、複数の静電容量センサ80と制御部50とを接続する配線の省線化を図れる。また、複数の静電容量センサ80を並列に接続すると、制御部50は、複数の静電容量センサ80の出力値である静電容量の和に基づき、電源ユニット10の状態を診断することが可能になる。従って、静電容量センサ80の数が増えても、その出力値に対する複雑な信号処理は不要となる。
【0067】
図9Aに示すように、例えば、制御部50に2つの静電容量センサ80を並列に接続した場合、制御部50が検知する容量(合成容量:C
sum)は、2つの静電容量センサ80の容量(C
1、C
2)の総和(C
sum=C
1+C
2)となる。
【0068】
ここで、
図9Bに示すように、一方の静電容量センサ80の容量C
1が検知対象液体100%により規定され、他方の静電容量センサ80の容量C
2が空気100%により規定される場合、2つの静電容量センサ80の容量(C
1、C
2)の総和(C
sum=C
1+C
2)は、下記の(I)式で求められる。なお、静電容量センサ80の容量が空気100%により規定される状態とは、静電容量センサ80が検知対象の液体を全く検知していない状態を示す。
【0069】
(I)
なお、(I)式において、ε
liquidは検知対象液体の比誘電率であり、ε
0は空気の誘電率であり、Sは平行板電極の面積、dは、平行板電極の板間距離である。なお、静電容量センサ80を1つの電極81のみを有する疑似的なコンデンサで構成する場合、dには1つの電極81とGND電位の距離を用いればよい。
【0070】
また、
図9Cの上側に示すように、各静電容量センサ80の容量C
1、C
2が等しく、いずれも検知対象液体50%と空気50%により規定される場合は、
図9Cの下側に示すように置き換えられる。換言すれば、各静電容量センサ80において、検知対象液体と空気に寄与する平行板電極の面積が半分になると見做せるため、2つの静電容量センサ80の容量(C
1、C
2)の総和(C′
sum=C
1+C
2)は、下記の(II)式で求められる。
【0071】
(II)
なお、(II)式において、ε
liquidは検知対象液体の比誘電率であり、ε
0は空気の誘電率であり、Sは平行板電極の面積、dは、平行板電極の板間距離である。
【0072】
つまり、制御部50に2つの静電容量センサ80を並列に接続した場合、各静電容量センサ80が検知する液体の量が異なっていたとしても、各静電容量センサ80が検知する液体の量の総和が同じであれば、制御部50が検知する静電容量は同じになる。この関係は、2つの静電容量センサ80における検知対象液体と空気の比率を変えても、成り立つ。また、この関係は、制御部50に並列接続される静電容量センサ80の数が多くなっても、成り立つ。
【0073】
ところで、液体の漏出又は液体の浸入によって電源ユニットケース11の内部に検出すべき量の液体が生じても、電源ユニットケース11の内部で液体が局所的に存在する場合と広範囲に拡散する場合がある。電源ユニットケース11の内部で液体が局所的に存在し、且つ、液体が存在する箇所の近傍に静電容量センサ80が設けられる場合は、1つの静電容量センサ80で液漏れ等を精度よく検知できる。
【0074】
しかし、液体が存在する箇所に静電容量センサ80が設けられない場合は、1つの静電容量センサ80の容量は、誘電率及び比誘電率が極めて小さい空気により支配的に規定される。このため、1つの静電容量センサ80が出力する静電容量は小さな値になるため、1つの静電容量センサ80だけでは液漏れ等を検知できない虞がある。同様に、電源ユニットケース11の内部で液体が広範囲に拡散した場合も、1つの静電容量センサ80の容量の大部分は空気によって規定されるため、1つの静電容量センサ80だけでは液漏れ等を検知できない虞がある。
【0075】
一方、複数の静電容量センサ80を用いれば、1つの静電容量センサ80だけでは取得できない箇所の液体も検知できる。しかも、前述した通り同量の液体を検知するのであれば、制御部50が検知する静電容量は、複数の静電容量センサ80それぞれが検知する液体がどのような比率であっても同じである。
【0076】
このように複数の静電容量センサ80を用いれば、1つの静電容量センサ80で液漏れ等を検知できない場合でも、他の静電容量センサ80で液漏れ等を検知することができる。また、電解液等が広範囲に拡散した場合であっても、複数の静電容量センサ80の総和により液漏れ等を検知できる。したがって、電源ユニット10の状態を精度良く診断することが可能になる。
【0077】
複数の静電容量センサ80の仕様は、同一であってもよい。例えば、同一素材、同一寸法、同一品番の電極81を用いて各静電容量センサ80が構成される。また、複数の静電容量センサ80の寸法や品番を統一することで、複数の静電容量センサ80の仕様を同一にしてもよい。このようにすると、調達コストの削減により電源ユニット10のコストを低減できる。また、物理量に対する出力値が複数の静電容量センサ80間で同じになり、複数の出力値に対する処理を簡素化できる。
【0078】
制御部50は、センサ信号や電力の入力と制御信号の出力が行われる複数のピンを備える。複数の静電容量センサ80は、
図5に示すように、複数のピンのうち同一のピン50a、50bに接続される。このようにすると、多くのピンを有する制御部50が不要になるため、制御部50のコストやサイズを小さくできる。また、複数の静電容量センサ80を制御部50に接続するための配線が複雑化(スパゲッティー化)することを防ぐことができる。
【0079】
(制御例)
つぎに、制御部50の具体的な制御手順について、
図10及び
図11を参照して説明する。
【0080】
まず、表1にエアロゾル吸引器1の内部に存在し得る誘電体のうち代表的なものとその比誘電率を示す。
【0082】
図10に示す制御例の場合、制御部50は、複数の静電容量センサ80の出力値と、水及び電解液のうち低い方の誘電率又は比誘電率に基づく閾値(
図11参照)との比較により、電源ユニット10の異常を診断する。このように水及び電解液のうち誘電率又は比誘電率が低い方に基づき閾値を設定するため、電解液漏れと水没を区別することなく異常として、迅速にその発生を検知できる。
【0083】
図11においては、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネートのいずれか1つ又はこれらの混合溶液を電解液に用いると想定している。混合溶液の比誘電率又は誘電率は、混合溶液を構成する各溶液の比誘電率又は誘電率をその割合に応じて足し合わせることで求められることが知られている。従って、2.8〜65.0を電解液が取り得る比誘電率として示している。また、80.4を常温の水が取り得る比誘電率とし、2.8未満を電解液、水等の液体が存在しない場合の比誘電率として示している。しかし、これに限らず電解液の成分等に応じて比誘電率の取り得る値を設定することができる。本実施形態では、水及び電解液のうち比誘電率が低い電解液に基づき閾値を設定する。
【0084】
電解液が取り得る比誘電率は、実験的に求めてもよいし、混合溶液を構成する各液体の既知の比誘電率をその組成比に応じて足し合わせることで求めてもよい。なお、以下の説明では比誘電率に代えて誘電率を用いてもよい。
【0085】
図10に示すように、制御部50は、最初に、制御部50の内部で生成した電流でコンデンサ(静電容量センサ80が構成する疑似コンデンサ又はコンデンサ)を充電し(S201)、タイマを起動する(S202)。その後、制御部50は、コンデンサの充電完了を繰り返し判断し(S203)、判断結果がYESになったらコンデンサに蓄えられた電荷を解放し、コンデンサの充電又は充放電に要した時間Tを取得する(S204)。
【0086】
つぎに、制御部50は、時間Tが閾値よりも大きいか否かを判断し(S205)、この判断結果がNOの場合は、静電容量が小さいと判定(S206)、つまり電解液漏れや水没が発生していないと判断して1回の検知処理を終了する。一方、制御部50は、ステップS205でYESと判断すると、静電容量が中程度であると判定(S207)、つまり電解液漏れ又は水没を検知したと判断し(S208)、電源12から少なくとも負荷21に対する放電処理と電源12の充電処理を禁止する(S209)。報知制御部54は、ステップS209と同時に又はステップS209の前後で、電解液漏れを検知したことを知らせるように報知部54を制御してもよい。また、制御部50は、ステップS209において電源12に対する充放電処理を全て禁止するような制御を行ってもよい。また、制御部50は、ステップS209において電源12から制御部50以外に対する放電処理を禁止するような制御を行ってもよい。
【0087】
前述した通り、本実施形態では、閾値は、水及び電解液のうち比誘電率が低い電解液に基づき設定されてよい。電解液の誘電率と電解液漏れ又は水没を検知したと判断する液量が分かれば、(I)式と(II)式に基づき、電解液漏れ又は水没の発生時における静電容量センサ80の静電容量が導き出される。この導き出された静電容量から、電解液漏れ又は水没の発生時におけるコンデンサの充電又は充放電に要した時間を導き出し、この値を閾値に用いてもよい。別の一例として、電解液漏れと水没の発生時におけるコンデンサの充電又は充放電に要した時間を実験的にそれぞれ算出し、短い方の値を閾値に用いてもよい。これらのように設定された閾値が、水及び電解液のうち低い方の比誘電率又は誘電率に基づいていることは明らかであろう。
【0088】
なお、本実施形態では、ステップS205では時間Tと時間の次元を有する第1閾値を比較した。これに代えて、ステップS205では時間Tを誘電率に変換して、変換値と誘電率の次元を有する第1閾値と比較してもよい。また、ステップS205では時間Tを比誘電率に変換して、変換値と比誘電率に対応する第1閾値と比較してもよい。
【0089】
なお、本発明は、上記した実施形態に限らず、適宜、変形、改良、等が可能である。例えば、上記した実施形態では、複数の静電容量センサ80を用いて電解液漏れと水没を区別なく検知しているが、複数の静電容量センサ80を用いて電解液漏れと水没のいずれか一方を検知してもよい。電解液漏れのみを検知する場合、制御部50は、複数の静電容量センサ80の出力値と、電解液の誘電率又は比誘電率に基づく閾値との比較に基づき、電解液の漏出を診断することができる。また、水没のみを検する場合、制御部50は、複数の静電容量センサ80の出力値と、水の誘電率又は比誘電率に基づく閾値との比較に基づき、開口K1〜K5からの水の浸入を診断することができる。
【0090】
また、複数のセンサは、電源ユニットケース11内における同一の物理量を出力可能なセンサであれば、静電容量センサ80に限定されない。例えば、複数のセンサは、電源12の膨らみを検知可能なセンサとし、制御部50は、複数のセンサの出力に基づき、電源12の膨らみを診断可能に構成されていてもよい。このようにすると、電源12の異常な膨らみを迅速に検知することが可能になる。電源12の膨らみを検知可能なセンサとしては、圧力センサや歪みゲージなどを用いてもよい。
【0091】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0092】
(1)
エアロゾル源からエアロゾルを発生させるための負荷(負荷21)へ放電可能な電源(電源12)と、
前記電源を制御する制御部(制御部50)と、
前記電源及び前記制御部を収容する筐体(電源ユニットケース11)と、を備えるエアロゾル生成装置(エアロゾル吸引器1)の電源ユニット(電源ユニット10)であって、
前記筐体内における同一の物理量を出力可能な複数のセンサ(静電容量センサ80)をさらに備え、
前記制御部は、前記複数のセンサの出力に基づき、前記電源ユニットの状態を診断するように構成される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0093】
(1)によれば、制御部は、筐体内における同一の物理量を出力可能な複数のセンサの出力に基づき、電源ユニットの状態を診断するように構成されるので、電源ユニットの状態の診断精度と診断速度が向上する。
【0094】
(2)
(1)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記複数のセンサは、互いに並列に接続されている、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0095】
(2)によれば、複数のセンサは互いに並列に接続されているので、配線を簡易にできる。また、配線の省線化を実現できる。
【0096】
(3)
(1)又は(2)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記制御部は、前記複数のセンサの出力値の和に基づき、前記電源ユニットの状態を診断するように構成される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0097】
(3)によれば、制御部は、複数のセンサの出力値の和に基づき電源ユニットの状態を診断するように構成されるので、複数の出力値に対する処理を簡素化できる。
【0098】
(4)
(1)〜(3)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記複数のセンサの仕様は、同一である、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0099】
(4)によれば、複数のセンサの仕様は同一であるので、調達コストの削減により電源ユニットのコストを低減できる。また、物理量に対する出力値が複数のセンサ間で同じになり、複数の出力値に対する処理を簡素化できる。
【0100】
(5)
(1)〜(4)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記制御部は、複数のピンを備え、
前記複数のセンサは、前記複数のピンのうち同一のピン(ピン50a、50b)に接続される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0101】
(5)によれば、複数のセンサは、制御部の複数のピンのうち同一のピンに接続されるので、多くのピンを有する制御部が不要になるため、制御部のコストやサイズを小さくできる。また、複数のセンサを制御部に接続するための配線が複雑化(スパゲッティー化)することを防ぐことができる。
【0102】
(6)
(1)〜(5)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記複数のセンサは、複数の静電容量センサ(静電容量センサ80)であり、
前記制御部は、前記複数の静電容量センサの出力に基づき、前記筐体の内部における液体の漏出と前記筐体の内部への液体の浸入の少なくとも一方を診断可能に構成される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0103】
(6)によれば、制御部は、複数の静電容量センサの出力に基づき、筐体の内部における液体の漏出と筐体の内部への液体の浸入の少なくとも一方を診断可能に構成されるので、電源の電解液漏れ、水没等の発生を迅速に検知できる。
【0104】
(7)
(6)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記複数の静電容量センサは、少なくとも第1静電容量センサと第2静電容量センサとを含み、
前記第1静電容量センサは、前記電源が備える安全弁若しくはタブ(12b)に接続される、又は、前記安全弁若しくは前記タブの近傍に配置され、
前記第2静電容量センサは、前記筐体に設けられる開口(開口K1〜K5)に接続される、又は、前記開口の近傍に配置される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0105】
(7)によれば、電解液漏れ及び水没が発生しやすい箇所にそれぞれ静電容量センサが接続又は配置されるので、電解液漏れ及び水没の発生を迅速に検知できる。
【0106】
(8)
(7)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記電源は電解液を含み、
前記制御部は、前記複数の静電容量センサの出力値と、水及び前記電解液のうち低い方の誘電率又は比誘電率に基づき、前記電源ユニットの異常を診断するように構成される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0107】
(8)によれば、水及び電解液のうち誘電率又は比誘電率が低い方に基づき閾値を設定するため、電解液漏れと水没を区別することなく異常として、迅速にその発生を検知できる。
【0108】
(9)
(6)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記複数の静電容量センサの少なくとも1つは、前記電源が備える安全弁若しくはタブ(タブ12b)に接続される、又は、前記安全弁若しくは前記タブの近傍に配置される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0109】
(9)によれば、電解液漏れが発生しやすい箇所に複数の静電容量センサの少なくとも1つが接続又は配置されるので、電解液漏れの発生を迅速に検知できる。
【0110】
(10)
(9)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記電源は電解液を含み、
前記制御部は、前記複数の静電容量センサの出力値と前記電解液の誘電率又は比誘電率に基づく閾値との比較に基づき、前記漏出として前記電解液の漏出を診断するように構成される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0111】
(10)によれば、電解液の誘電率又は比誘電率に基づき閾値を設定するため、電解液漏れの発生を迅速に検知できる。
【0112】
(11)
(6)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記複数の静電容量センサの少なくとも1つは、前記筐体に設けられる開口(開口K1〜K5)に接続される、又は、前記開口の近傍に配置される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0113】
(11)によれば、水没が発生しやすい箇所に複数の静電容量センサの少なくとも1つが接続又は配置されるので、水没の発生を迅速に検知できる。
【0114】
(12)
(11)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記制御部は、前記複数の静電容量センサの出力値と、水の誘電率又は比誘電率に基づく閾値との比較に基づき、前記浸入として前記開口からの水の浸入を診断するように構成される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0115】
(12)によれば、水の誘電率又は比誘電率に基づき閾値を設定するため、水没の発生を迅速に検知できる。
【0116】
(13)
(7)、(9)、(11)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
各静電容量センサは、該静電容量センサへ前記液体を導く多孔質体(第1多孔質体82)を介して接続される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0117】
(13)によれば、静電容量センサへ液体を導く多孔質体を介して電解液漏れ又は水没が発生しやすい箇所に接続されるため、静電容量センサの配置位置の自由度が高い。従って、電源ユニット10を小型化することができる。
【0118】
(14)
(1)〜(5)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記複数のセンサは、前記電源の膨らみを検知可能なセンサであり、
前記制御部は、前記複数のセンサの出力に基づき、前記電源の膨らみを診断可能に構成される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0119】
(14)によれば、制御部は、複数のセンサの出力に基づき、電源の膨らみを診断可能に構成されるので、異常なセルの膨らみを迅速に検知できる。
【解決手段】エアロゾル吸引器1の電源ユニット10は、エアロゾル源からエアロゾルを発生させるための負荷21へ放電可能な電源12と、電源12を制御する制御部50と、電源12及び制御部50を収容する電源ユニットケース11と、電源ユニットケース11内における同一の物理量を出力可能な複数の静電容量センサ80と、を備える。制御部50は、複数の静電容量センサ80の出力に基づき、電源ユニット10の状態を診断するように構成される。