(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態のエアロゾル吸引器用の電源ユニット及びエアロゾル吸引器について説明する。
【0010】
(エアロゾル吸引器)
エアロゾル吸引器1は、燃焼を伴わずに香味を吸引するための器具であり、所定方向(以下、長手方向Aと呼ぶ)に沿って延びる棒形状を有する。エアロゾル吸引器1は、
図1に示すように、長手方向Aに沿って電源ユニット10と、第1カートリッジ20と、第2カートリッジ30と、がこの順に設けられている。第1カートリッジ20は、電源ユニット10に対して着脱可能であり、第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20に対して着脱可能である。言い換えると、第1カートリッジ20及び第2カートリッジ30は、それぞれ交換可能である。
【0011】
<第1実施形態>
(電源ユニット)
第1実施形態の電源ユニット10は、
図2及び
図3に示すように、円筒状の電源ユニットケース11の内部に電源12、充電器13、制御部50、各種センサ等を収容する。
【0012】
電源ユニットケース11の長手方向Aの一端側(第1カートリッジ20側)に位置するトップ部11aには、放電端子41が設けられる。放電端子41は、トップ部11aの上面から第1カートリッジ20に向かって突出するように設けられ、第1カートリッジ20の負荷21と電気的に接続可能に構成される。
【0013】
また、トップ部11aの上面には、放電端子41の近傍に、第1カートリッジ20の負荷21に空気を供給する空気供給部42が設けられている。
【0014】
電源ユニットケース11の長手方向Aの他端側(第1カートリッジ20と反対側)に位置するボトム部11bには、電源12を充電可能な外部電源60(
図5参照)と電気的に接続可能な充電端子43が設けられる。充電端子43は、ボトム部11bの側面に設けられ、USB端子、microUSB端子、Lightning(登録商標)端子の少なくとも1つが接続可能である。
【0015】
さらに、電源ユニットケース11のボトム部11bには、外部電源(不図示)と非接触の状態で電源12を充電するための受電コイル44と、受電コイル44が受電した交流電力を直流電力に変換する整流器46とが収容されている。つまり、電源12の充電方法として、非接触充電と有線充電の双方が可能なため、電源ユニット10の充電機会を増やし、充電不足による使用制限を抑制できる。なお、非接触による電力伝送(Wireless Power Transfer)の方式は、電磁誘導方式でもよいし、磁気共鳴方式でもよく、電磁誘導方式と磁気共鳴方式を組合せたものでもよく、他の方式でもよい。いずれの方式の非接触による電力伝送であっても、電源ユニットケース11は、外部電源と物理的に接触してもよいし、接触しなくてもよい。また、本明細書においては、非接触による電力伝送は、無接点による電力伝送と同義なものとして扱う。
【0016】
また、電源ユニットケース11のトップ部11aの側面には、ユーザが操作可能な操作部14が設けられる。操作部14は、ボタン式のスイッチ、タッチパネル等から構成され、ユーザの使用意思を反映して制御部50及び各種センサを起動/遮断する際等に利用される。
【0017】
電源12は、充電可能な二次電池であり、好ましくは、リチウムイオン二次電池である。充電器13は、整流器46から電源12へ入力される充電電力を制御する。充電器13は、DC−DCコンバータ、電圧計、電流計、プロセッサ等を含む充電ICを用いて構成される。
【0018】
制御部50は、
図4に示すように、充電器13、操作部14、パフ(吸気)動作を検出する吸気センサ15、電源12の電圧を測定する電圧センサ16、温度を検出する温度センサ17等の各種センサ装置、及びパフ動作の回数又は負荷21への通電時間等を記憶するメモリー18に接続され、エアロゾル吸引器1の各種の制御を行う。吸気センサ15は、コンデンサマイクロフォンや圧力センサ等から構成されていてもよい。制御部50は、具体的にはプロセッサ(MCU:マイクロコントローラユニット)である。このプロセッサの構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0019】
(第1カートリッジ)
第1カートリッジ20は、
図3に示すように、円筒状のカートリッジケース27の内部に、エアロゾル源22を貯留するリザーバ23と、エアロゾル源22を霧化する電気的な負荷21と、リザーバ23から負荷21へエアロゾル源を引き込むウィック24と、エアロゾル源22が霧化されることで発生したエアロゾルが第2カートリッジ30に向かって流れるエアロゾル流路25と、第2カートリッジ30の一部を収容するエンドキャップ26と、を備える。
【0020】
リザーバ23は、エアロゾル流路25の周囲を囲むように区画形成され、エアロゾル源22を貯留する。リザーバ23には、樹脂ウェブや綿等の多孔体が収容され、且つ、エアロゾル源22が多孔体に含浸されていてもよい。リザーバ23には、樹脂ウェブ又は綿状の多孔質体が収容されず、エアロゾル源22のみが貯留されていてもよい。エアロゾル源22は、グリセリン、プロピレングリコール、水などの液体を含む。
【0021】
ウィック24は、リザーバ23から毛管現象を利用してエアロゾル源22を負荷21へ引き込む液保持部材であって、例えば、ガラス繊維や多孔質セラミックなどによって構成される。
【0022】
負荷21は、電源12から放電端子41を介して供給される電力によって燃焼を伴わずにエアロゾル源22を霧化する。負荷21は、所定ピッチで巻き回される電熱線(コイル)によって構成されている。なお、負荷21は、エアロゾル源22を霧化してエアロゾルを発生可能な素子であればよく、例えば、発熱素子、又は超音波発生器である。発熱素子としては、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等が挙げられる。
【0023】
エアロゾル流路25は、負荷21の下流側であって、電源ユニット10の中心線L上に設けられる。
【0024】
エンドキャップ26は、第2カートリッジ30の一部を収容するカートリッジ収容部26aと、エアロゾル流路25とカートリッジ収容部26aとを連通させる連通路26bと、を備える。
【0025】
(第2カートリッジ)
第2カートリッジ30は、香味源31を貯留する。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20のエンドキャップ26に設けられたカートリッジ収容部26aに着脱可能に収容される。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20側とは反対側の端部が、ユーザの吸口32となっている。なお、吸口32は、第2カートリッジ30と一体不可分に構成される場合に限らず、第2カートリッジ30と着脱可能に構成されてもよい。このように吸口32を電源ユニット10と第1カートリッジ20とは別体に構成することで、吸口32を衛生的に保つことができる。
【0026】
第2カートリッジ30は、負荷21によってエアロゾル源22が霧化されることで発生したエアロゾルを香味源31に通すことによってエアロゾルに香味を付与する。香味源31を構成する原料片としては、刻みたばこ、たばこ原料を粒状に成形した成形体を用いることができる。香味源31は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、漢方、ハーブ等)によって構成されてもよい。香味源31には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。
【0027】
本実施形態のエアロゾル吸引器1では、エアロゾル源22と香味源31と負荷21とによって、香味が付加されたエアロゾルを発生させることができる。つまり、エアロゾル源22と香味源31は、エアロゾルを発生させるエアロゾル生成源と言うことができる。
【0028】
エアロゾル吸引器1に用いられるエアロゾル生成源の構成は、エアロゾル源22と香味源31とが別体になっている構成の他、エアロゾル源22と香味源31とが一体的に形成されている構成、香味源31が省略されて香味源31に含まれ得る物質がエアロゾル源22に付加された構成、香味源31の代わりに薬剤や漢方等がエアロゾル源22に付加された構成等であってもよい。
【0029】
このように構成されたエアロゾル吸引器1では、
図3中、矢印Bで示すように、電源ユニットケース11に設けられた空気取込口(不図示)から流入した空気が、空気供給部42から第1カートリッジ20の負荷21付近を通過する。負荷21は、ウィック24によってリザーバ23から引き込まれた又は移動させられたエアロゾル源22を霧化する。霧化されて発生したエアロゾルは、空気取込口から流入した空気と共にエアロゾル流路25を流れ、連通路26bを介して第2カートリッジ30に供給される。第2カートリッジ30に供給されたエアロゾルは、香味源31を通過することで香味が付与され、吸口32に供給される。
【0030】
また、エアロゾル吸引器1には、各種情報を報知する報知部45が設けられている。報知部45は、発光素子によって構成されていてもよく、振動素子によって構成されていてもよく、音出力素子によって構成されていてもよい。また、報知部45は、発光素子、振動素子及び音出力素子のうち、2以上の素子の組合せであってもよい。報知部45は、電源ユニット10、第1カートリッジ20、及び第2カートリッジ30のいずれに設けられてもよいが、電源12からの導線を短くするため電源ユニット10に設けられることが好ましい。例えば、操作部14の周囲が透光性を有し、LED等の発光素子によって発光するように構成される。
【0031】
(充放電制御回路)
続いて、電源ユニット10の充放電制御回路40について
図5を参照しながら説明する。
【0032】
充放電制御回路40は、電源12と、放電端子41を構成する正極側放電端子41a及び負極側放電端子41bと、充電端子43を構成する正極側充電端子43a及び負極側充電端子43bと、電源12の正極側と正極側放電端子41aとの間及び電源12の負極側と負極側放電端子41bとの間に接続される制御部50と、電源12の正極側と正極側充電端子43aとの間及び電源12の負極側と負極側充電端子43bとの間に接続される充電器13と、電源12と並列に接続される電圧センサ16と、充電端子43を充電器13に接続する有線充電用回路47と、受電コイル44及び整流器46を充電器13に接続する非接触充電用回路48と、電源12と放電端子41との電力伝達経路上に配置される放電用のスイッチ19と、を備える。スイッチ19は、例えばMOSFETにより構成され、制御部50がゲート電圧を調整することによって開閉制御される。
【0033】
(制御部)
制御部50は、
図4に示すように、エアロゾル生成要求検出部51と、電力制御部53と、報知制御部54と、を備える。
【0034】
エアロゾル生成要求検出部51は、吸気センサ15の出力結果に基づいてエアロゾル生成の要求を検出する。吸気センサ15は、吸口32を通じたユーザの吸引により生じた電源ユニット10内の圧力変化の値を出力するよう構成されている。吸気センサ15は、例えば、空気取込口から吸口32に向けて吸引される空気の流量(すなわち、ユーザのパフ動作)に応じて変化する気圧に応じた出力値(例えば、電圧値又は電流値)を出力する圧力センサである。なお、吸気センサは検出した空気の流量や圧力がユーザのパフ動作に該当しえるか否かを判断し、ON値とOFF値のいずれか一方を出力するように構成されていてもよい。
【0035】
報知制御部54は、各種情報を報知するように報知部45を制御する。例えば、報知制御部54は、第2カートリッジ30の交換タイミングの検出に応じて、第2カートリッジ30の交換タイミングを報知するように報知部45を制御する。報知制御部54は、メモリー18に記憶されたパフ動作の回数又は負荷21への累積通電時間に基づいて、第2カートリッジ30の交換タイミングを報知する。報知制御部54は、第2カートリッジ30の交換タイミングの報知に限らず、第1カートリッジ20の交換タイミングの報知、電源12の交換タイミング、電源12の充電タイミング等を報知してもよい。
【0036】
電力制御部53は、エアロゾル生成要求検出部51がエアロゾル生成の要求を検出した際に放電端子41を介した電源12の放電を、スイッチ19のオン/オフによって制御する。
【0037】
電力制御部53は、負荷21によってエアロゾル源が霧化されることで生成されるエアロゾルの量が所望範囲に収まるように、言い換えると、電源12から負荷21に供給される電力量が一定範囲となるように制御する。具体的に説明すると、電力制御部53は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御によってスイッチ19のオン/オフを制御する。これに代えて、電力制御部53は、PFM(Pulse Frequency Modulation:パルス周波数変調)制御によってスイッチ19のオン/オフを制御してもよい。
【0038】
電力制御部53は、負荷21への電力供給を開始してから所定期間が経過した場合に、電源12から負荷21に対する電力供給を停止してもよい。言い換えると、電力制御部53は、ユーザが実際にパフ動作を行っているパフ期間内であっても、パフ期間が所定期間を超えた場合に、電源12から負荷21に対する電力供給を停止する。所定期間は、ユーザのパフ期間のばらつきを抑制するために定められる。電力制御部53は、電源12の蓄電量に応じて、1回のパフ動作におけるスイッチ19のオン/オフのデューティ比を制御する。例えば、電力制御部53は、電源12から負荷21に電力を供給するオン時間の間隔(パルス間隔)を制御したり、電源12から負荷21に電力を供給するオン時間の長さ(パルス幅)を制御したりする。
【0039】
また、電力制御部53は、充電端子43と外部電源60との電気的な接続、又は受電コイル44による電力の受電を検出し、充電器13を介した電源12の充電を制御する。
【0040】
(有線充電用回路及び非接触充電用回路)
図5に示すように、充電端子43(有線充電用回路47)と受電コイル44(非接触充電用回路48)は、充電器13に対して並列接続されている。つまり、充電端子43と受電コイル44が同一の充電器13に接続されている。これにより、充電器13が有線充電及び非接触充電に兼用されるので、有線充電と非接触充電の双方が可能な電源ユニット10でも、電源ユニット10の大型化・重量化・高コスト化を抑制できる。なお、受電コイル44と充電器13の間には、後述する整流器46が設けられる。このような回路構成においても、受電コイル44は、整流器46を介して、充電器13に対して充電端子43と並列接続される。
【0041】
また、充電端子43を充電器13に接続する回路と受電コイル44を充電器13に接続する回路の一部は、共通化されている。具体的に説明すると、有線充電用回路47及び非接触充電用回路48の充電器13側は、第5接続点P5及び第6接続点P6で接続され、DC導線である共通接続線81を介して充電器13に接続される。このようにすると、充電器13につながる回路の一部を共通化することにより、電源ユニット10の大型化・重量化・高コスト化をより一層抑制できる。
【0042】
また、充電端子43を充電器13に接続する回路と受電コイル44を充電器13に接続する回路の一部は、同一のフレキシブルプリント回路基板(不図示)上に形成されることが好ましい。その理由は、フレキシブルプリント回路基板を用いることで、電源ユニット10の大型化・重量化・高コスト化を抑制しつつ、配置の自由度を向上できるからである。例えば、共通接続線81をフレキシブルプリント回路基板上に形成することで、円筒状の電源ユニットケース11に沿わせることができる。
【0043】
図5に示すように、有線充電用回路47は、充電端子43を介して外部電源60側に接続される。外部電源60は、例えば、家庭用交流電源であり、AC/DCコンバータ61で直流に変換された電力が、充電端子43、有線充電用回路47、及び共通接続線81を介して充電器13に入力される。なお、外部電源60は直流電源であってもよい。
【0044】
図5に示すように、非接触充電用回路48は、受電コイル44と、整流器46と、AC導線82と、DC導線83と、スイッチ84と、を備える。
【0045】
受電コイル44は、
図3に示すように、コイル巻き軸中心線L1が、電源ユニットケース11の長さ方向における中心線Lに沿うように電源ユニットケース11のボトム部11bに配置される。受電コイル44は、充電時に、外部電源によって交流電力で励磁される送電コイル62と非接触で近接配置され、送電コイル62から交流電力を受電する。例えば、本実施形態の電源ユニット10は、
図12に示すように、送電コイル62が内装される充電マット63上に、電源ユニットケース11のボトム部11bが下側となる縦向きに置かれた場合に(以下、適宜縦置きという)、受電コイル44が充電マット63の送電コイル62と非接触で近接し、送電コイル62からの受電が可能になる。なお、縦向きとは、長手方向を略鉛直方向に向けて載置することをいう。
【0046】
図3に示すように、受電コイル44及び充電端子43は、非接触充電時の姿勢である縦置き姿勢において電源12より鉛直方向の下方に配置される。このとき、受電コイル44は、縦置き姿勢において充電端子43より鉛直方向の下方に位置される。このようにすると、受電コイル44と送電コイル62の距離が短くなり充電効率を向上させることができる。
【0047】
整流器46は、受電コイル44が受電した交流電力を直流電力に変換する。本実施形態の整流器46は、
図5に示すように、4個のダイオードDをブリッジ接続した全波整流回路であるが、半波整流回路であってもよい。
【0048】
AC導線82は、受電コイル44と整流器46とを接続し、受電コイル44が受電した交流電力を整流器46に供給する。AC導線82は、交流電力が流れるため、表皮効果によって発熱が生じる可能性がある。なお、表皮効果とは、高周波を導体に流した場合に、導体表面に電流が偏ることで見かけ上の抵抗値が増大してしまう現象をいう。
【0049】
本実施形態の整流器46をより具体的に説明すると、ダイオードD1のアノード及びダイオードD2のカソードは、受電コイル44の一端から延びるAC導線82に第1接続点P1で接続されており、ダイオードD3のアノード及びダイオードD4のカソードは、受電コイル44の他端から延びるAC導線82に第2接続点P2で接続されている。また、ダイオードD1及びD3の各カソードは、正極側のDC導線83に第3接続点P3で接続されており、ダイオードD2及びD4の各アノードは、負極側のDC導線83に第4接続点P4で接続されている。
【0050】
DC導線83は、整流器46と充電器13とを接続し、整流器46で変換された直流電力を、同じくDC導線である共通接続線81を介して充電器13に供給する。DC導線83は、AC導線82とは異なり、表皮効果による発熱は発生しない。
【0051】
ここで、DC導線83の長さは、AC導線82以上の長さであることが好ましい。また、DC導線83は、AC導線82の長さと同じではなく、AC導線82より長いことがさらに好ましい。このようにすると、AC導線82を短くできるので、表皮効果によるAC導線82の発熱や、AC導線82の発熱による回路素子への影響を抑制できる。特に磁気共鳴方式を用いる場合は、AC導線82の発熱で受電コイル44の温度が上がることに起因して送電コイル62と受電コイル44との間の結合係数が減少し、送電効率が低下する。AC導線82を短くすることで、この送電効率の低下を抑制できる。なお、回路素子は、整流器46、充電器13、制御部50に含まれる回路素子に加えて、これらを搭載する不図示の基板に設けられるコンデンサ、抵抗器を含む。
【0052】
また、AC導線82は、複数の導線(例えば、エナメル線)を撚り合わせて構成されるリッツ線とすることが好ましい。このようにすると、各導線の断面積が小さくなるためAC導線82の表皮効果を効果的に抑制できる。これにより、表皮効果によるAC導線82の発熱や、AC導線82の発熱による回路素子への影響をさらに抑制することが可能になる。
【0053】
なお、受電コイル44の中心を空洞にし、電源12などの電源ユニット10の構成要素をその空洞の中に配置したり、その空洞を貫通したりするように配置してもよい。このように電源ユニット10を構成すれば、電源ユニット10を小型化することができる。
【0054】
スイッチ84は、受電コイル44と充電器13との接続経路上のDC導線83に配置され、該接続経路を開閉する。本実施形態では、スイッチ84は、第3接続点P3と第6接続点P6との間に配置されている。スイッチ84は、例えばMOSFETにより構成され、制御部50がゲート電圧を調整することによって開閉制御される。このようなスイッチ84によれば、非接触充電と有線充電の双方が可能な場合に、充電効率が優れる有線充電の方を優先的に実行し、充電時間を短縮できる。また、非接触充電と有線充電の双方が可能な場合に、非接触充電用回路48と充電器13との接続を遮断し、有線充電を排他的に実行することで、誤作動を抑制できる。なお、本実施形態に代えて、スイッチ84は、第4接続点P4と第5接続点P5との間に配置されていてもよい。また、スイッチ84を2つ用意し、一方を第3接続点P3と第6接続点P6の間に、他方を第4接続点P4と第5接続点P5に接続してもよい。
【0055】
制御部50による充電制御手順を具体的に説明すると、
図6に示すように、制御部50は、まず、充電端子43が外部電源60と接続状態であるか否かを判断し(S1)、この判断結果がYESの場合は、スイッチ84をオフにして有線充電を排他的に実行する(S2)。制御部50は、ステップS1の判断結果がNOの場合、受電コイル44が送電コイル62から受電可能な非接触充電可能状態であるか否かを判断し(S3)、この判断結果がYESの場合は、スイッチ84をオンにして非接触充電を実行する一方(S4)、判断結果がNOの場合は、充電を実行しない(S5)。なお、ステップS3において、非接触充電可能状態か否かは、電源ユニット10の制御部50と送電コイル62を内蔵する非接触充電装置とが無線通信をすることなどにより判断される。または、非接触充電可能状態か否かは、受電コイル44が励磁されているか否かに基づき判断されてもよい。
【0056】
つぎに、電源ユニット10の第2〜第6実施形態について、
図7から
図11を参照して順次説明する。ただし、第1実施形態と共通の構成については、第1実施形態と同じ符号を用いることにより、第1実施形態の説明を援用する場合がある。
【0057】
<第2実施形態>
図7に示すように、第2実施形態の電源ユニット10は、充電器13の入力側に接続されるリップル除去用の平滑コンデンサ85、及び充電器13に過大な電圧が印加されないようにするためのツェナーダイオード86が設けられている点が第1実施形態と相違している。
【0058】
なお、必ずしも平滑コンデンサ85及びツェナーダイオード86の両方が設けられている必要はなく、充電器13の入力側の共通接続線81に平滑コンデンサ85とツェナーダイオード86との少なくとも一方が設けられていればよい。このような回路構成によれば、有線充電及び非接触充電において、平滑コンデンサ85とツェナーダイオードの少なくとも一方を共用することで、電源ユニット10の大型化・重量化・高コスト化をより一層抑制できる。
【0059】
平滑コンデンサ85及びツェナーダイオード86はそれぞれ、充電端子43を用いた有線充電を行う場合と受電コイル44を用いた非接触充電を行う場合の双方において、充電器13が正常に動作可能な電力を供給可能に構成される。具体的に説明すると、平滑コンデンサ85の容量は、充電端子43から供給される電力と受電コイル44(整流器46)から供給される電力のうちリップルが大きい方に基づいて設定され、ツェナーダイオード86のツェナー電圧は、充電端子43から供給される電力と受電コイル44(整流器46)から供給される電力のうち過渡電圧又は定常的な電圧が高い方に基づいて設定される。このようにすると、有線充電及び非接触充電の双方において単一の平滑コンデンサ85又はツェナーダイオード86を用いる場合でも、電源ユニット10の小型化及び軽量化に加えて、充電器13を適切に保護することができる。
【0060】
<第3実施形態>
図8に示すように、第3実施形態の電源ユニット10は、非接触充電時に受電した電力が充電端子43側に流れ込むことを規制するダイオード87が有線充電用回路47に設けられる点が第1実施形態と相違している。このような回路構成によれば、非接触充電時に受電した電力が充電端子43側に流れ込むことに起因する誤作動や充電効率の低下を抑制できる。
【0061】
<第4実施形態>
図9に示すように、第4実施形態の電源ユニット10は、変換器として整流器46の代わりにインバータ70が設けられている点が第1実施形態と相違している。インバータ70は、4個のスイッチング素子71をブリッジ接続することで構成される。スイッチング素子71は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、又はMOSFET(Metal Oxide Semi-conductor Field Effect Transistor)等のトランジスタであり、制御部50がゲート電圧を調整することによって開閉制御される。
【0062】
本実施形態のインバータ70をより具体的に説明すると、トランジスタT1のエミッタ及びトランジスタT2のコレクタは、受電コイル44の一端から延びるAC導線82に第1接続点P1で接続されており、トランジスタT3のエミッタ及びトランジスタT4のコレクタは、受電コイル44の他端から延びるAC導線82に第2接続点P2で接続されている。また、トランジスタT1及びトランジスタT3の各コレクタは、正極側のDC導線83に第3接続点P3で接続されており、トランジスタT2及びトランジスタT4の各エミッタは、負極側のDC導線83に第4接続点P4で接続されている。また、各トランジスタT1〜T4のコレクタ−エミッタ間においてエミッタからコレクタに向けて順方向となるように接続されるダイオードD1〜D4が設けられている。整流器46の代わりにインバータ70を用いることで、受電コイル44を送電コイルとして利用することが可能となる。
【0063】
即ち、受電コイル44に他のデバイスの受電コイルを近接させた状態で、受電コイル44を電源12の電力で励磁し、他のデバイスの受電コイルに送電することができる。このとき、インバータ70は、トランジスタT1、T4をオンとし且つトランジスタT2、T3をオフとする状態と、トランジスタT1、T4をオフとし且つトランジスタT2、T3をオンとする状態と、を繰り返すことで電源12から供給される直流電力を交流電力に変換する。なお、インバータ70によって、受電コイル44が受電した交流電力を直流電力へ変換する場合は、トランジスタT1〜T4の全てがオフになるように制御される。
【0064】
<第5実施形態>
図10に示すように、第5実施形態の電源ユニット10は、縦置き時において、受電コイル44が電源12より鉛直方向の上方に配置され、充電端子43が電源12より鉛直方向の下方に配置される点が第1実施形態と相違している。
【0065】
具体的に説明すると、受電コイル44は、コイル巻き軸中心線L1が、電源ユニットケース11の長さ方向における中心線Lに沿うように電源ユニットケース11の中間部に配置される。受電コイル44は、電源ユニットケース11が縦向きに置かれた場合に、
図13に示すように、電源ユニットケース11の中間部を囲むリング状の送電コイル62からの磁束を捉えることによっても、電力を受電することができる。言い換えると、電源ユニット10を受電コイル44で充電する場合は、電源ユニットケース11が貫通可能な送電コイル62を備える充電台(不図示)を用いてもよく、第1実施形態における充電マット63を用いてもよい。充電マット63を用いる場合には、磁気共鳴方式で電力伝送が行われることが好ましい。
【0066】
このような電源ユニット10によれば、充電端子43及び受電コイル44を電源12より鉛直方向の下方に配置する場合に比べ、重量の大きい電源12を鉛直方向の下方に配置できるので、電源ユニット10の重心が鉛直方向で上方に寄ることを防止し、充電時の安定性を向上させることができる。また、有線充電用のケーブルによってモーメントが発生しても、電源ユニット10が倒れにくくなるという利点がある。
【0067】
<第6実施形態>
図11に示すように、第6実施形態の電源ユニット10は、電源ユニットケース11が横向きに置かれた場合(以下、適宜横置きという)に非接触充電が可能となるように受電コイル44が配置されている点が第1実施形態と相違している。なお、横向きとは、長手方向を略水平方向に向けて載置することをいう。
【0068】
具体的に説明すると、受電コイル44は、コイル巻き軸中心線L1が、電源ユニットケース11の長さ方向における中心線Lに対して直交する方向に沿うように電源ユニットケース11の略中間部(以下、単に中間部と称する)に配置されている。
【0069】
このような電源ユニット10によれば、
図14に示すように、電源ユニットケース11が横置きの状態で非接触充電が可能になるので、縦置きで非接触充電する場合に比べ、充電時の安定性を向上させることができる。なお、電源ユニットケース11には、横向きに電源ユニット10を置いた場合に、電力を受電可能な所定の角度範囲に電源ユニット10を維持できるように位置規制部が設けられることが好ましい。
【0070】
なお、本発明は、上記した実施形態に限らず、適宜、変形、改良、等が可能である。例えば、縦置き充電用の受電コイルと横置き充電用の受電コイルを併設してもよい。
【0071】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0072】
(1)
エアロゾル源からエアロゾルを生成可能な負荷(負荷21)に対して電力を供給可能な電源(電源12)と、
外部電源(外部電源60)との物理的且つ電気的な接点であるコネクタ(充電端子43)と、を備えるエアロゾル吸引器(エアロゾル吸引器1)用の電源ユニット(電源ユニット10)であって、
非接触で電力を受電可能な受電コイル(受電コイル44)をさらに備える、エアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0073】
(1)によれば、非接触充電と有線充電の双方が可能なため、電源ユニットの充電機会を増やすことができ、充電不足により使用が制限されるのを抑制できる。
【0074】
(2)
(1)に記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記電源の充電を可能にする充電回路(充放電制御回路40)をさらに備え、
前記受電コイルを用いた非接触充電と、前記コネクタを用いた有線充電が実行可能な場合には、前記非接触充電と前記有線充電のうちいずれか一方のみを実行するように構成される、エアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0075】
(2)によれば、充電回路が非接触充電と無線充電の一方のみ許可するため、誤動作を抑制できる。
【0076】
(3)
(1)又は(2)に記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記電源の充電を可能にする充電回路(充放電制御回路40)をさらに備え、
前記充電回路は、前記受電コイルを用いた非接触充電と前記コネクタを用いた有線充電が実行可能な場合には、前記非接触充電と前記有線充電のうち前記有線充電のみを実行するように構成される、エアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0077】
(3)によれば、充電回路は、非接触充電と有線充電が実行可能な場合、充電効率が優れる有線充電の方を優先するため、充電時間を短縮できる。
【0078】
(4)
(1)〜(3)のいずれかに記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記電源の充電を可能にする充電回路(充放電制御回路40)をさらに備え、
前記充電回路は、
前記電源と電気的に接続されるノード(第5接続点P5及び第6接続点P6)と、
前記ノードと前記受電コイルを電気的に接続する第1回路(非接触充電用回路48)と、
前記ノードと前記コネクタを電気的に接続する第2回路(有線充電用回路47)と、
前記第1回路と前記第2回路のうち前記第1回路のみに設けられる開閉器(スイッチ84)と、を備える、エアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0079】
(4)によれば、非接触充電の回路のみにスイッチを設けるため、非接触充電と有線充電の双方が可能な場合に、高効率な有線充電を排他的に実行することができる。加えて、排他的な有線充電を簡便な構成で実現することができる。
【0080】
(5)
(4)に記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記充電回路は、前記第2回路に設けられるダイオード(ダイオード87)をさらに備える、エアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0081】
(5)によれば、有線充電の回路である第2回路にダイオードを有するため、非接触で受電した電力がコネクタ側に流れ込むことを抑制できる。
【0082】
(6)
(1)から(5)のいずれかに記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記電源の充電を制御可能な充電器(充電器13)をさらに備え、
前記受電コイルと前記コネクタは、前記充電器に対して並列接続される、エアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0083】
(6)によれば、受電コイルとコネクタとが同一の充電器に接続されるため、非接触充電と有線充電の双方が可能な電源ユニットでも、電源ユニットの大型化・重量化・高コスト化を抑制できる。
【0084】
(7)
(6)に記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記受電コイルと前記充電器を接続する回路と前記コネクタと前記充電器を接続する回路の一部(共通接続線81)は、共通化される、エアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0085】
(7)によれば、充電器につながる回路の一部を共通化するため、電源ユニットの大型化・重量化・高コスト化をより一層抑制できる。
【0086】
(8)
(7)に記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記受電コイルと前記充電器を接続する回路と前記コネクタと前記充電器を接続する回路の一部は、同一のフレキシブルプリント回路基板上に形成される、エアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0087】
(8)によれば、電源ユニットの大型化・重量化・高コスト化を抑制しながら、フレキシブルプリント回路基板を用いることで、配置の自由度を向上できる。
【0088】
(9)
(6)〜(8)のいずれか一項に記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記充電器の入力側に接続される平滑コンデンサ(平滑コンデンサ85)とツェナーダイオード(ツェナーダイオード86)の少なくとも一方を含み、
前記受電コイルと前記コネクタは、前記平滑コンデンサと前記ツェナーダイオードの少なくとも一方に対して並列接続される、エアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0089】
(9)によれば、平滑コンデンサとツェナーダイオードの少なくとも一方を共用するため、電源ユニットの大型化・重量化・高コスト化をより一層抑制できる。
【0090】
(10)
(9)に記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記平滑コンデンサと前記ツェナーダイオードの少なくとも一方は、前記受電コイルを用いた非接触充電を行う場合と前記コネクタを用いた有線充電を行う場合の双方において、前記充電器が正常に動作可能な電力を供給可能に構成される、エアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0091】
(10)によれば、平滑コンデンサとツェナーダイオードの少なくとも一方は、より改善が必要な充電電力に併せられるため、単一の平滑コンデンサ又はツェナーダイオードを用いる場合でも、電源ユニットの小型化及び軽量化に加えて、充電器を適切に保護することができる。
【0092】
(11)
(9)に記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記平滑コンデンサの容量は、前記受電コイルから供給される電力と前記コネクタから供給される電力のうちリップルが大きい方に基づき設定される、
及び/又は、前記ツェナーダイオードのツェナー電圧は、前記受電コイルから供給される電力と前記コネクタから供給される電力のうち過渡電圧又は定常的な電圧が高い方に基づき設定される、エアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0093】
(11)によれば、単一の平滑コンデンサ又はツェナーダイオードを用いる場合でも、電源ユニットの小型化及び軽量化に加えて、充電器を適切に保護することができる。
【0094】
(12)
(1)から(11)のいずれかに記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記電源と前記受電コイルを収容する筐体(電源ユニットケース11)をさらに備え、
前記コネクタは、前記筐体に形成され、
前記受電コイルは、前記電源の充電時に前記電源より鉛直方向の上方に配置され、
前記コネクタは、前記電源の充電時に前記電源より鉛直方向の下方に配置される、エアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0095】
(12)によれば、電源より鉛直方向の上方に受電コイルを、電源より鉛直方向の下方にコネクタを配置するため、電源ユニットの重心が鉛直方向で上方に寄ることを防止できる。また、有線充電用のケーブルによってモーメントが発生しても、電源ユニットが倒れにくくなる。
【0096】
(13)
(1)から(11)のいずれかに記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記電源と前記受電コイルを収容する筐体(電源ユニットケース11)をさらに備え、
前記受電コイルと前記コネクタは、前記電源の充電時に前記電源より鉛直方向の下方に配置され、
前記受電コイルは、前記電源の充電時に前記コネクタより鉛直方向の下方に位置される、エアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0097】
(13)によれば、電源より鉛直方向の下方に受電コイル及びコネクタを配置し、さらにコネクタの下方に受電コイルを配置するため、受電コイルと送電コイルの距離が短くなり充電効率が向上する。さらに素子を集中して配置できるため、省線化や省スペース化に寄与する。
【解決手段】エアロゾル源からエアロゾルを生成可能な負荷21に対して電力を供給可能な電源12と、外部電源60との物理的且つ電気的な接点である充電端子43と、を備えるエアロゾル吸引器1用の電源ユニット10であって、非接触で電力を受電可能な受電コイル44をさらに備える。