特許第6682034号(P6682034)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6682034ベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6682034
(24)【登録日】2020年3月26日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】ベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20200406BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20200406BHJP
【FI】
   G16H10/00
   G06Q50/10
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-202788(P2019-202788)
(22)【出願日】2019年11月7日
【審査請求日】2019年11月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505124683
【氏名又は名称】株式会社ヴァイタス
(74)【代理人】
【識別番号】110003074
【氏名又は名称】特許業務法人須磨特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 巧
【審査官】 樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−281271(JP,A)
【文献】 特開2014−135710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00−80/00
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、患者のベッドサイドに配置される生活関連機器をコントロールする制御装置とを含み、
前記サーバは、
患者毎に設定されている前記生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報を取得する手段、
患者と当該患者に割り当てられているベッドとの対応関係情報を、当該対応関係情報を有している他のシステムから取得する手段、及び、
取得した前記対応関係情報に基づいて、取得した前記生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての前記情報を、対応する患者のベッドサイドに配置される前記生活関連機器をコントロールする前記制御装置に送信する手段
を備えており、
前記制御装置は、受信した前記情報に基づいて、ベッドサイドに配置される生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間をコントロールする手段を備えている、
ことを特徴とするベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システム。
【請求項2】
他のシステムが病院情報システムであることを特徴とする請求項1に記載のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システム。
【請求項3】
前記サーバが、前記生活関連機器の利用者である患者に設定されている生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報に基づいて、患者に課金する課金手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2いずれか一項に記載のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システム。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システムにおける前記制御装置、前記サーバとして動作させる手順を記載したコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院等の医療機関においては、入院患者の院内生活の快適化を図るべく、患者のベッドサイドにテレビや冷蔵庫などの生活関連機器を配置することが行われている。
【0003】
ベッドサイドに配置されるこれらの生活関連機器は、通常、医療機関とは別の管理会社によって管理されており、その使用は有償であることが一般的である。したがって、管理会社は、利用者である患者に、例えば入院時などに、テレビや冷蔵庫などの生活関連機器の使用・不使用についての意向を聞き、患者の同意を得た上で、その使用の可否を患者ごとに設定する必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、ベッドサイドに配置された冷蔵庫やテレビと課金制御端末機とを接続し、その課金制御端末機によって、利用者である患者が指定した使用日数に合わせて前記冷蔵庫やテレビの電源制御部のオン・オフを制御することにより、患者が希望する期間だけベッドサイドに配置されたテレビや冷蔵庫の使用を可能にした課金テレビ及び課金冷蔵庫システムが提案されている。
【0005】
しかしながら、患者は、入院中、常に同じベッドを利用するわけではなく、病状の程度や、治療の進捗状況等によって、随時、院内で病室やベッドを移動することがあり、患者が病室やベッドを移動した場合には、その都度、移動先のベッドにおいて、そのベッドサイドに配置されているテレビや冷蔵庫などの生活関連機器の使用の可否や使用日数などを、転床してきた患者が希望し、同意した内容に合わせて、生活関連機器の管理会社又は患者自身が設定し直さなければならないという不便さがある。
【0006】
どの患者を、いつ、どこのベッドに移動させるかは医療機関の専権事項であり、医療機関が必要に応じて随時行うことである。したがって、ベッドサイドに配置されているテレビや冷蔵庫などの生活関連機器の使用の可否や使用日数等を、当該ベッドを使用する患者の転床に合わせて正確かつタイムリーに設定するには、医療機関内における転床状況を常に監視し、変更があった場合には、これを直ちに生活関連機器の制御システムに反映させる必要がある。しかし、このような作業は多大な労力と手間暇を必要とし、特に、患者数が多い大型の病院では転床状況の監視や変更時の入力業務にかかる負担は膨大であり、入力ミスが発生し、各患者が望むように生活関連機器を使用できなくなるリスクも大きなものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−235428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記のような従来技術の不都合を解決するために為されたものであり、入退院時はもとより、院内での転床時にも、患者が同意した内容に基づいて、その患者に割り当てられているベッドサイドに配置される生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間を正確かつ容易に管理することができるベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システムと、そのようなシステムを実現するためのコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねる過程で、患者が入院、転床、転科、退院した際には、その情報が、ほぼ遅滞なく、病院内の病院情報システムに反映される点に着目した。そして、病院情報システムが保有している患者とベッド番号とを対応づけた情報を、もしも生活関連機器の利用管理システムが利用することができれば、入退院時はもとより、転床時においても、患者が希望する生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間を正確に反映した信頼性の高い生活関連機器の利用管理システムを構築できるのではないかとの発想を得た。なお、前述したとおり、ベッドサイドに配置される生活関連機器は、通常、医療機関とは別の管理会社によって管理されているため、病院情報システムとは別々に運用することが斯界の常識であり、生活関連機器の利用管理システムが、医療機関の病院情報システムが保有している情報を使用することなど、一切提案されたことがなく、上記の発想は本発明者独自の新たな発想である。
【0010】
すなわち、本発明は、サーバと、患者のベッドサイドに配置される生活関連機器をコントロールする制御装置とを含み、前記サーバは、患者毎に設定されている前記生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報を取得する手段、患者と当該患者に割り当てられているベッドとの対応関係情報を、当該対応関係情報を有している他のシステムから取得する手段、及び、取得した前記対応関係情報に基づいて、取得した前記生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての前記情報を、対応する患者のベッドサイドに配置される前記生活関連機器をコントロールする前記制御装置に送信する手段を備えており、前記制御装置は、受信した前記情報に基づいて、ベッドサイドに配置される生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間をコントロールする手段を備えている、ことを特徴とするベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システムを提供することによって、上記課題を解決するものである。
【0011】
前記他のシステムは、その好適な一態様において、病院情報システムである。本明細書において、病院情報システムとは、病院全体の診療業務や会計業務を効率的に行うために導入されるシステム一般を指すものであり、電子カルテシステムそのもの、又は、電子カルテシステムを含むものである。また、医事会計システムを備えていても良い。病院情報システムには、患者の入院、転床、転科、退院に関する情報がほぼ遅滞なく反映されるため、本発明のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システムが以上のような態様を備えている場合には、患者と当該患者に割り当てられているベッドとの対応関係情報を速やかに取得し、ベッドサイドに配置される生活関連機器の使用の可否や使用日数等を、患者の転床に合わせて正確かつタイムリーに設定することができるという利点がある。
【0012】
また、本発明のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システムは、その好適な一態様において、前記サーバが、前記生活関連機器の利用者である患者に設定されている生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報に基づいて、患者に課金する手段を備えている。
【0013】
本発明のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システムが、このような構成を備えている場合には、生活関連機器の管理会社は、各患者について個別に生活関連機器の利用費を計算し、支払いを求める必要がなくなるため、料金徴収に要する手間が大幅に削減されるという利点がある。
【0014】
なお、本明細書において、ベッドサイドに配置される患者の生活関連機器とは、患者のベッドサイドに配置され、患者の入院生活の快適性向上のために利用される機器一般を指し、例えば、テレビ、冷蔵庫、パーソナルコンピュータ端末、電子レンジ、加湿器等が含まれる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システムによれば、患者のベッド番号等の患者と当該患者に割り当てられているベッドとの対応関係情報を利用管理システム内に登録する必要がなくなるので、システム管理者の手間が大幅に削減される。特に、患者が転床・転科して、ベッド番号が変更になった場合であっても、システム管理者が特段の情報更新作業をすることなく、転床・転科後のベッドサイドにおいても、転床・転科前のベッドサイドと同じように、患者について設定されている生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報を反映して、患者が生活関連機器を使用できる状態となるため、システム管理者の手間が大幅に削減される。さらに、管理業務の遅延または入力ミス等により、各患者が望むように生活関連機器を使用できなくなるというリスクも削減されるので、患者にとっても満足度の高いサービスを提供できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システムの一例の全体構成、及び、そのようなシステムに接続されている病院情報システムを示す概念図である。
図2】病院情報システムに記憶されている患者情報テーブル、及び、患者情報テーブルに記憶されている患者情報の一例を示す概念図である。
図3】ベッド番号と制御装置の識別番号を対応づけて記憶した対応テーブル、及び、対応テーブルに記憶されている情報の一例を示す概念図である。
図4】生活関連機器の利用申し込み書の一例を示す図である。
図5】生活関連機器利用情報テーブル、及び、生活関連機器利用情報テーブルに記憶されている生活関連機器の利用情報の一例を示す概念図である。
図6】テレビ視聴機能が使用可能、VOD視聴機能が使用不可能な状態に設定されたブラウザ対応テレビに表示される画面の一例を示す図である。
図7】病院情報システムに記憶されている患者情報テーブル、及び、患者情報テーブルに記憶されている患者情報の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施例に基づいて、本発明を詳述するが、本発明が実施例のものに限られないことは勿論である。
【0018】
<システム構成>
図1は、ベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システムの一例の全体構成を示す概念図である。図1において、1は本発明のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システムを示している。本発明に係るベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システム1において、Bd、Bdは、それぞれベッドであり、各ベッドBd、Bdのベッドサイドには、それぞれ、生活関連機器の一例として、ブラウザ対応テレビTv、Tv、及び、冷蔵庫Rf、Rfが配置されている。ブラウザ対応テレビTv、Tv、及び、冷蔵庫Rf、Rfは、それぞれをコントロールする制御装置Rg、Rgに接続されている。制御装置Rg、Rgは、適宜のネットワークNを介してサーバSと接続されている。なお、制御装置Rg、Rgは、後述するとおり、サーバSから送信されてくる生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報に基づいて、それぞれが接続されているブラウザ対応テレビTv、Tv、及び、冷蔵庫Rf、Rfの利用可能機能や利用可能期間をコントロールすることができるものであればどのようなものであっても良く、市販品等があれば、それを使用しても良い。
【0019】
なお、本例において、患者のベッドサイドに配置される生活関連機器は、ブラウザ対応テレビ及び冷蔵庫であるが、患者のベッドサイドに配置される生活関連機器は以上に限られるものではなく、患者が入院生活において使用する機器一般が含まれる。例えば、パーソナルコンピュータ端末や電子レンジ、音楽プレーヤーなどの各種家電製品も、患者のベッドサイドに配置される生活関連機器に含まれる。
【0020】
本例において、サーバSは、ネットワークNを介して、病院情報システムHISと接続されている。本例において、病院情報システムHISは、電子カルテシステム及び医事会計システムを備えており、患者と当該患者に割り当てられているベッドの対応関係情報として、図2に示すような、患者番号とベッド番号を対応づけて記憶した患者情報テーブルTbを記憶している。すなわち、本例のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システム1との関係において、病院情報システムHISは、患者と当該患者に割り当てられているベッドの対応関係情報を有している他のシステムとして機能する。
【0021】
サーバSは、ネットワークNを介して管理用端末T、記憶装置Mと接続されている。管理用端末Tは、本例において、サーバSとネットワークNを介して接続されているが、サーバSに直接接続されていても良い。また、管理用端末Tは,物として単体の端末であっても良いし、ネットワークN上に分散して2つ以上存在していても良い。また、病院情報システムHISに含まれる端末を管理用端末Tとして使用しても良い。
【0022】
記憶装置Mは、本例において、サーバSとネットワークNを介して接続されているが、サーバSに直接接続されていても良く、物として単体の記憶装置であっても良いし、ネットワークN上に分散して存在する2つ以上の記憶装置であっても良い。また、病院情報システムHISに記憶装置が含まれる場合には、その一部又は全部を記憶装置Mとして使用しても良い。
【0023】
また、本例において、記憶装置Mには、ベッド番号と、そのベッド番号により特定されるベッドのベッドサイドに配置される生活関連機器をコントロールする制御装置の識別番号を対応付けて記憶した対応テーブルTbが記憶されている。対応テーブルTbとそこに記憶されている情報の一例を図3に示す。図3において、対応テーブルTbの一行目は、ベッド番号「4F0001」で特定されるベッドのベッドサイドに配置される生活関連機器は、識別番号「4G0001」で特定される制御装置によりコントロールされるものであることを示している。
【0024】
なお、後述するように、本例のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システム1は、生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報を、その情報に対応する患者のベッドサイドに配置される生活関連機器をコントロールする制御装置に送信するために、記憶装置Mに記憶されているベッド番号と制御装置の識別番号を対応づけた対応テーブルTbを利用するものである。しかしながら、本発明のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システムは、必ずしも対応テーブルTbを記憶及び/又は利用する必要はない。後述する本発明のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システム1の動作を達成できる限りにおいて、適宜の情報を用いることができる。
【0025】
<基本動作>
以下、本発明のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システム1の動作を、ベッドBdを利用する患者P、ベッドBdのベッドサイドに配置されるブラウザ対応テレビTv、冷蔵庫Rf、これらブラウザ対応テレビTv及び冷蔵庫Rfをコントロールする制御装置Rgを例にして、説明する。
【0026】
本例において、ベッドBd、Bdに割り当てられているベッド番号は、それぞれ「8F0001」「4F0001」であり、制御装置Rg、Rgに割り当てられている識別番号は、それぞれ「8G0001」「4G0001」とする。ベッド番号「4F0002」、及び、制御装置の識別番号「4G0002」は、それぞれ図示しないベッドBd及び制御装置Rgに割り当てられているものとする。なお、患者Pの入院前において、ベッド番号「4F0001」、「4F0002」、及び、「8F0001」で特定されるベッドには、如何なる患者も割り当てられていない。
【0027】
例えば、患者Pは2019年10月1日から2019年10月31日までの間、新たに入院することとなった患者である。まず、患者Pは、病院の窓口で、入院手続きを行う。患者Pには患者番号「20190001」が割り当てられ、患者Pはベッド番号「8F0001」で特定される病棟の8階1号室のベッドBdを使用することになった。患者Pが入院手続きを行うと、病院スタッフによって、患者Pの患者番号「20190001」、ベッド番号「8F0001」を含む患者情報が病院情報システムHISに登録される。このようにして、図2に示されている患者情報テーブルTbの一行目が生成されることとなる。図2を見れば明らかなとおり、患者情報テーブルTbの一行目には、患者番号「20190001」で特定される患者と当該患者に割り当てられているベッド番号「8F0001」のベッドとの対応関係情報が記憶されている。なお、本発明のシステムが利用する対応関係情報は、必ずしも、上述したように病院スタッフによって入力された情報である必要はなく、例えば、ベッドサイドに配置された端末等を介して、患者が自らのID情報を用いて認証作業を行うことによって自動的に生成される対応関係情報であっても良い。また、患者と当該患者に割り当てられているベッドとの対応関係情報は、患者とベッド番号を直接的に対応づける情報に限られるものではなく、例えば、患者と当該患者に割り当てられているベッドのベッドサイドに配置された端末の識別番号を対応づける情報であっても良い。
【0028】
患者Pは、上記の入院期間中、ベッドサイドにおいてブラウザ対応テレビのテレビ視聴機能を利用したいと考えているが、同じくブラウザ対応テレビの機能であるVOD視聴機能は利用しなくてもよいと考えている。また、ベッドサイドにおいて冷蔵庫は利用しなくて良いと考えている。このように考えている患者Pは、入院手続きと同時に、患者Pは、生活関連機器の利用申し込み用紙を病院窓口にて提出することで生活関連機器の利用申し込みを行う。生活関連機器の利用申し込み用紙の一例を図4に示す。図4に示すとおり、生活関連機器の利用申し込み用紙には、患者Pの患者番号「20190001」に加えて、「テレビ視聴機能の使用」、「VOD視聴機能の不使用」及び「冷蔵庫の不使用」、並びに、テレビ視聴機能の使用開始日である「2019年10月1日」及び使用終了日である「2019年10月31日」という情報が記載されている。なお、生活関連機器の利用申し込みは、上述したように利用申し込み書を提出する方法によるものに限られない。例えば、口頭で利用申し込みを行っても良いし、管理用端末Tやその他の端末、又は、患者のベッドサイドに配置される端末を介して行っても良い。
【0029】
システム管理者は、生活関連機器の利用申し込み用紙に記載された以上の情報を、管理用端末Tを用いて入力する。管理用端末Tを用いて入力された情報はサーバSへ送信される。このようにして、サーバSは、患者毎に設定されている生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報を取得する。サーバSは、管理用端末Tから情報を取得すると、これを記憶装置Mに記憶する。以上のようにして、例えば、図5に示した状態の生活関連機器利用情報テーブルTbの1行目が生成される。
【0030】
次に、サーバSは、取得した生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報を、対応する患者のベッドサイドに配置される生活関連機器をコントロールする制御装置に送信するために、患者Pに割り当てられているベッドのベッドサイドに配置される生活関連機器をコントロールする制御装置を以下のようにして特定する。
【0031】
サーバSは、一定時間毎に病院情報システムHISに接続し、患者と当該患者に割り当てられているベッドとの対応関係情報を取得している。本例において、患者Pが入院手続きを終え、患者Pの患者情報、すなわち、図2に示した患者情報テーブルTbの一行目が病院情報システムHIS登録された状態で、サーバSが、病院情報システムHISに接続し、患者情報テーブルTbを参照すると、患者番号「20190001」で特定される患者Pに割り当てられているベッドは、ベッド番号「8F0001」であるとの対応関係情報が取得される。
【0032】
次に、この対応関係情報を取得した状態で、サーバSが、記憶装置Mに記憶されている対応テーブルTb図3)を参照すると、患者番号「20190001」で特定される患者Pに割り当てられているベッド番号「8F0001」で特定されるベッドのベッドサイドに配置されている生活関連機器をコントロールする制御装置は識別番号「8G0001」で特定される制御装置Rgであると特定される。サーバSは、患者Pについての生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報、すなわち、図5に示した生活関連機器利用情報テーブルTbの1行目に相当する情報を、以上のようにして特定した制御装置Rgに送信する。
【0033】
制御装置Rgは、サーバSから送信されてきた患者Pについての生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報を受信し、受信した情報に基づいて、患者Pのベッドサイドに配置される生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間をコントロールする。本例において、制御装置Rgは、図5に示した生活関連機器利用情報テーブルTbの一行目に相当する情報を受信し、この情報に基づいて、例えば、ブラウザ対応テレビTvのテレビ視聴機能やVOD視聴機能、及び冷蔵庫Rfの利用の可否や利用可能期間をコントロールする。すなわち、本例においては、患者P1のベッドサイドに配置されているブラウザ対応テレビTvは、例えば、図6に示すように、テレビ視聴機能を使用することができるが、VOD視聴機能は使用することができない状態となる。一方、患者Pのベッドサイドに配置されている冷蔵庫Rfは電源がオフとされ、患者Pは冷蔵庫Rfを使用することができない。
【0034】
以上のように、本発明の患者のベッドサイドにおける生活関連機器の利用管理システム1によれば、システム管理者が、当該システム内に、患者と患者に割り当てられているベッド番号の対応関係情報を入力せずとも、個々の患者が希望した内容を反映して、其々の患者のベッドサイドにおける生活関連機器の利用状態を制御することができる。
【0035】
<転床時の動作>
以上のような状態において、患者Pがベッド番号「8F0001」で特定される8階1号室のベッドBdから、ベッド番号「4F0001」で特定される4階1号室のベッドBdへと、転床となった場合の動作を説明する。患者Pが、ベッドBdへと転床になると、病院スタッフによって、病院情報システムHISの患者情報テーブルTbには、患者Pの転床後のベッドBdのベッド番号「4F0001」が速やかに登録される。すなわち、患者情報テーブルTbの一行目は、図2に示されている状態から、図7へ示された状態へと更新される。
【0036】
前述したとおり、サーバSは、一定時間毎に病院情報システムHISに接続し、患者と当該患者に割り当てられている対応関係情報を取得している。本例において、患者Pが転床になり、患者Pの患者情報が更新、すなわち、図7に示した患者情報テーブルTbの一行目が病院情報システムHIS登録された状態で、サーバSが、病院情報システムHISに接続すると、患者情報テーブルTbの一行目を参照することで、患者番号「20190001」で特定される患者Pに割り当てられているベッドは、ベッド番号「4F0001」であるとの対応関係情報を取得することができる。
【0037】
その後の動作は前述したとおりであり、以上の対応関係情報を取得した状態で、サーバSは、記憶装置Mに記憶されている対応テーブルTbを参照することにより、患者番号「20190001」で特定される患者Pに転床後に割り当てられているベッド番号「4F0001」で特定されるベッドのベッドサイドに配置されている生活関連機器をコントロールする制御装置は識別番号「4G0001」で特定される制御装置Rgであると特定する。したがって、サーバSは、患者Pについての生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報、すなわち、図5に示した生活関連機器利用情報テーブルTbの1行目の情報を、制御装置Rgではなく、以上のようにして特定された制御装置Rgに送信する。
【0038】
以上のとおり、本発明のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システム1によれば、患者Pが転床となった場合であっても、システム管理者が特段の更新作業をすることなく、転床後のベッドBdのベッドサイドに配置される生活関連機器は、患者Pについて設定されている生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報を反映して、利用可能又は利用不可能な状態となる。したがって、システム管理者は、病院スタッフに患者の転床後のベッド番号を尋たり、転床後のベッド番号をベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システム1に登録する手間がなくなる。なお、病院情報システムHISの更新作業は、患者の転床があった場合、病院スタッフが通常行う業務であり、本発明のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システム1は、病院スタッフが通常行っている業務以上の新たな作業を何ら要求するものではない。
【0039】
<退院時の動作>
次に、患者Pが退院する際の動作について説明する。患者Pが退院となった際には、病院情報システムHISには患者が退院となったことが反映される。すなわち、患者情報テーブルTbにおいて、患者Pの患者番号「20190001」、ベッド番号「8F0001」、又は、その双方が削除される、或いは、患者Pについての患者番号やベッド番号にアクセス不能な状態になるなどして、患者Pと患者Pに割り当てられているベッドとの対応関係情報が失われる又は取得できない状態となる。このような状態において、サーバSが、病院情報システムHISに接続し、患者情報テーブルTbを参照すると、患者番号「20190001」で特定される患者Pについては、割り当てられているベッドは存在しないことが確認される。したがって、患者Pについて設定されている生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報は、いずれの制御装置にも送信されない。
【0040】
一方で、患者Pが退院直前まで使用していたベッドBdに配置されている生活関連機器をコントロールする制御装置Rgには、患者Pについて設定されている生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報は勿論のこと、如何なる患者についての生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報も送信されない。このように、制御装置Rgが、生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についてのいかなる情報も受信しない場合には、制御装置Rgは、自己によりコントロールされている生活関連機器を利用不可能な状態に設定する。
【0041】
以上のように、本発明のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システム1によれば、入院患者の退院時においても、患者P1及びシステム管理者の双方ともに、いかなる作業をすることもなく、患者Pが退院直前まで割り当てられていたベッドBdのベッドサイドには、次の入院患者がベッドBdを割り当てられるまで、ベッドサイドに配置されている生活関連機器を使用できない状態が作り出される。
【0042】
また、好適な一例において、サーバSは、生活関連機器の利用者である患者に設定されている生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報に基づいて、患者に課金する課金手段を備えている。サーバSは、個別の患者についての生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報を有しているので、各患者についての生活関連機器の利用料金を容易に計算することができる。このようにして計算された生活関連機器の利用料金の請求は、本発明のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システムが独自に行っても良い。
【0043】
ちなみに、本発明のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システム1は、患者Pの生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報に基づいて、生活関連機器の利用費の請求情報を生成し、これを医事会計システムに送信する手段を備えていても良い。このような場合には、入院患者は、医療費と生活関連機器の利用費の会計を医療機関の窓口で一度に行うことができるので、料金を支払う際の手間が大幅に削減される。なお、生活関連機器の利用費を患者に課金する時期は、退院時に限られるものではなく、例えば、月毎に利用費の支払いを請求しても良いのは言うまでもない。
【0044】
以上の例においては、患者毎に設定される生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報は、患者が提出した生活関連機器の利用申し込み書の内容に基づいて、システム管理者が管理用端末Tを用いて入力するものであったが、必ずしも、このようにして入力される必要はない。例えば、入院患者が、自分に割り当てられたベッドのベッドサイドに配置されているブラウザ対応テレビ等の生活関連機器又はその他のベッドサイド端末を用いて、自ら生活関連機器の利用申し込みをしたり、申し込み内容の変更をしたりするものであっても良い。
【0045】
本発明のベッドサイドに配置される生活関連機器の利用管理システムがこのような構成を備えている場合には、システム管理者が、患者毎に設定される生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報を入力せずとも、各患者の生活関連機器の利用申し込み内容に応じて、患者のベッドサイドに配置される生活関連機器がコントロールされるため、システム管理者の手間がより一層削減される。他方で、患者はベッドサイドにおいて、いつでも自由に生活関連機器の利用申し込み内容を変更できることになるので、より快適にベッドサイドに配置されている生活関連機器を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上説明したとおり、本発明のベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システムによれば、システム管理者に過度の負担を強いることなく、より正確かつ速やかに、個々の患者が希望し、生活関連機器の管理会社と同意した、生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての内容を反映して、各患者のベッドサイドにおける生活関連機器の利用状態を制御することができる。特に、患者の転床、転科時におけるシステム管理者の手間が大幅に削減され、システム管理作業の遅延又は入力ミス等により、各患者が望むように生活関連機器を使用できなくなるというリスクも削減されるので、入院患者の院内生活の快適化が期待できる。医療現場における本発明の意義は大きく、その産業上の利用可能性も大きいものである。
【符号の説明】
【0047】
1 ベッドサイドにおける患者の生活関連機器の利用管理システム
患者
Bd、Bd ベッド
Tv、Tv ブラウザ対応テレビ
Rf、Rf 冷蔵庫
Rg、Rg 制御装置
N ネットワーク
S サーバ
M 記憶装置
T 管理用端末
HIS 病院情報システム
Tb 患者情報テーブル
Tb 対応テーブル
Tb 生活関連機器利用情報テーブル
【要約】      (修正有)
【課題】ベッドサイドに配置される生活関連機器の利用可能機能や利用可能期間を正確かつ容易に管理することができる利用管理システムを提供する。
【解決手段】利用管理システム1には、各ベッドBd、Bd、ブラウザ対応テレビTv、Tv、冷蔵庫Rf、Rfが配置されている。ブラウザ対応テレビTv、Tv、冷蔵庫Rf、Rfは、それぞれをコントロールする制御装置Rg、Rgが接続される。制御装置Rg、Rgは、サーバSから送信されてくる生活関連機器の利用可能機能及び/又は利用可能期間についての情報に基づいて、ブラウザ対応テレビTv、Tv、冷蔵庫Rf、Rfの利用可能機能や利用可能期間をコントロールする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7