(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)タンパク質は、クエン酸(トリカルボン酸またはクレブス)回路において重要な酵素である。クエン酸回路は、多くの生化学的経路にとってとりわけ重要であり、細胞代謝の最も早期に確立した構成要素の1つである。
【0002】
イソクエン酸デヒドロゲナーゼは、イソクエン酸のα−ケトグルタレート(2−オキソグルタレート)への酸化的脱炭酸を触媒する。これらの酵素は、2つの異なるサブクラスに属し、その1つは、電子受容体としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD(+))を、もう1つはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP(+))を利用する。5つのイソクエン酸デヒドロゲナーゼが報告されており、3つのNAD(+)−依存性イソクエン酸デヒドロゲナーゼは、ミトコンドリアマトリックスに局在化し、2つの(NADP(+))−依存性イソクエン酸デヒドロゲナーゼは、その1つがミトコンドリア、もう1つは他の主な細胞質である。各NADP(+)−依存性イソチームは二量体である。IDH1遺伝子によってコードされたタンパク質は、細胞質及びペルオキシソームに見られるNADP(+)−依存性イソクエン酸デヒドロゲナーゼである。細胞質の酵素は、細胞質NADPHの生成において重要な役割を果たしている。IDH1は、幅広い種および完全なクエン酸回路を欠いた有機体において発現される。
【0003】
近年、IDH1、および関連アイソフォームIDH2における突然変異が、いくつかの種類の癌において発見された。突然変異は、タンパク質配列に沿って特異的なアミノ酸にて発生し、ヘテロ接合体的に発現し、機能獲得と一致することが見出された。これらの突然変異は、機能保存残基で発生し、IDH1の変異体形成の生化学研究でIDH1の正常機能の喪失、イソクエン酸のα−ケトグルタレートへの可逆的変換を実証した。これらの突然変異の結果は、α−ケトグルタレート(αKG)の2−ヒドロキシグルタレート(2HG)への新たな(または新形態の)変換を可能にする。その結果、IDH1またはIDH2の変異体形態が隠れている癌細胞は、実質的により高い濃度の2HGを形成する。高レベルの2HGにより、変異体IDH1またはIDH2阻害によって逆転され得る細胞分化においてブロックを生じる。
【0004】
変異体IDHの特定の阻害剤は、WO2013/046136に記載されている。出願PCT/US2016/043264は、変異体IDH1の共有結合性阻害剤を開示する。様々な癌治療のために、野生型IDH1よりも変異体IDH1酵素を選択的に抑制する化合物が必要とされている。様々な癌治療のために、野生型IDH1よりも新形態活性を示す変異体IDH1酵素を選択的に阻害する化合物がさらに必要とされている。本発明は、変異体IDH1の阻害剤である式Iの化合物を提供する。式Iの化合物は、野生型IDH1よりも変異型IDH1を、および野生型IDH2よりも変異型IDH2酵素を、選択的に阻害する共有結合性阻害剤である。
【0005】
本発明の一態様は、式Iの変異体IDH1酵素阻害剤化合物であって、
【化1】
式中、
R
1は水素、NH
2またはフルオロであり、
R
2およびR
3はメチルもしくは水素であるか、またはR
2がメチル、エチル、1−ヒドロキシエチル、1−メトキシエチル、フルオロメチル、1−フルオロエチルもしくは1−メチルエチルであり、R
3が水素であり、
R
4はメチルまたはフルオロメチルであり、
R
5は水素、エチルまたは−CH
2−シクロプロピルである、化合物、あるいはその薬学的に許容される塩を提供することである。
【0006】
本発明のさらなる態様は、式中、
R
1は水素、6−NH
2または6−フルオロであり、
R
2およびR
3はメチルであるか、またはR
2が1−メトキシエチルもしくは1−メチルエチルであり、R
3が水素であり、
R
4はメチルであり、
R
5は水素、エチルまたは−CH
2−シクロプロピルである、式Iの化合物、あるいはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0007】
本発明の別の態様は、下記、
(S)−3−(2−(((S)−1−(4−((4−アクリロイルピペラジン−1−イル)メチル)フェニル)エチル)アミノ)ピリミジン−4−イル)−4−イソプロピルオキサゾリジン−2−オン、
(S)−3−(2−((1−(4−((4−アクリロイルピペラジン−1−イル)メチル)フェニル)エチル)アミノ)−6−フルオロピリミジン−4−イル)−4,4−ジメチルオキサゾリジン−2−オン、
(R)−3−(2−(((S)−1−(4−((4−アクリロイルピペラジン−1−イル)メチル)フェニル)エチル)アミノ)ピリミジン−4−イル)−4−((R)−1−メトキシエチル)オキサゾリジン−2−オン、および
(R)−3−(2−(((S)−1−(4−((4−アクリロイルピペラジン−1−イル)メチル)フェニル)エチル)アミノ)−6−フルオロピリミジン−4−イル)−4−((R)−1−メトキシエチル)オキサゾリジン−2−オン、
から選択される化合物、または上記化合物のそれぞれの薬学的に許容される塩を提供する。
【0008】
本発明のさらなる態様は、化合物:
(S)−3−(2−((1−(4−((4−アクリロイルピペラジン−1−イル)メチル)フェニル)エチル)アミノ)−6−フルオロピリミジン−4−イル)−4,4−ジメチルオキサゾリジン−2−オン、
またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0009】
本発明のなおさらなる態様は、以下:
(4S)−3−[[2−[[(1S)−1−[4−[[2−シクロプロピル−1−(4−プロプ−2−エノイルピペラジン−1−イル)エチル]フェニル]エチル]アミノ]ピリミジン−4−イル]−4−イソプロピル−オキサゾリジン−2−オン、異性体1、
(4S)−3−[[2−[[(1S)−1−[4−[[2−シクロプロピル−1−(4−プロプ−2−エノイルピペラジン−1−イル)エチル]フェニル]エチル]アミノ]ピリミジン−4−イル]−4−イソプロピル−オキサゾリジン−2−オン、異性体2、
3−[2−[[(1S)−1−[4−[2−シクロプロピル−1−(4−プロプ−2−エノイルピペラジン−1−イル)エチル]フェニル]エチル]アミノ]−6−フルオロ−ピリミジン−4−イル]−4,4−ジメチル−オキサゾリジン−2−オン、異性体1、
3−[2−[[(1S)−1−[4−[2−シクロプロピル−1−(4−プロプ−2−エノイルピペラジン−1−イル)エチル]フェニル]エチル]アミノ]−6−フルオロ−ピリミジン−4−イル]−4,4−ジメチル−オキサゾリジン−2−オン、異性体2、
3−[6−アミノ−2−[[(1S)−1−[4−[1−(4−プロプ−2−エノイルピペラジン−1−イル)プロピル]フェニル]エチル]アミノ]ピリミジン−4−イル]−4,4−ジメチル−オキサゾリジン−2−オン、異性体1、
3−[6−アミノ−2−[[(1S)−1−[4−[1−(4−プロプ−2−エノイルピペラジン−1−イル)プロピル]フェニル]エチル]アミノ]ピリミジン−4−イル]−4,4−ジメチル−オキサゾリジン−2−オン、異性体2、
から選択される化合物、または上記化合物のいずれか1つの薬学的に許容される塩を提供する。
【0010】
本発明の別の態様は、式Iの変異体IDH1阻害剤化合物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。
【0011】
本発明のさらなる態様は、患者において、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、多形性神経膠芽細胞腫(GBM)、星状細胞腫、乏突起膠腫、傍神経節腫、線維肉腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、骨髄異形成症候群(MDS)、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL)、甲状腺癌、結腸直腸癌、急性骨髄性白血病(AML)、黒色腫、前立腺癌、軟骨肉腫、または胆管癌である、変異体IDH1を発現する癌を治療する方法であって、治療を必要とする患者に、治療上有効な量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
【0012】
本発明の別の態様は、患者において、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、多形性神経膠芽細胞腫、星状細胞腫、乏突起膠腫、傍神経節腫、線維肉腫、または急性骨髄性白血病である、変異体IDH1を発現する癌を治療する方法であって、治療を必要とする患者に、治療上有効な量の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
【0013】
本発明のさらなる態様は、治療で使用するための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0014】
本発明の別の態様は、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、多形性神経膠芽細胞腫、星状細胞腫、乏突起膠腫、傍神経節腫、線維肉腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、骨髄異形成症候群(MDS)、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL)、甲状腺癌、結腸直腸癌、急性骨髄性白血病(AML)、黒色腫、前立腺癌、軟骨肉腫、または胆管癌である、変異体IDH1を発現する癌の治療で使用するための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0015】
本発明のさらなる態様は、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、多形性神経膠芽細胞腫、星状細胞腫、乏突起膠腫、傍神経節腫、線維肉腫、または急性骨髄性白血病である、変異体IDH1を発現する癌の治療で使用するための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0016】
本発明の別の態様は、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、多形性神経膠芽細胞腫、星状細胞腫、乏突起膠腫、傍神経節腫、線維肉腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、骨髄異形成症候群(MDS)、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL)、甲状腺癌、結腸直腸癌、急性骨髄性白血病(AML)、黒色腫、前立腺癌、軟骨肉腫、または胆管癌である、変異体IDH1を発現する癌の治療用薬剤を製造するための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0017】
本発明のさらなる態様は、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、多形性神経膠芽細胞腫、星状細胞腫、乏突起膠腫、傍神経節腫、線維肉腫、または急性骨髄性白血病である、変異体IDH1を発現する癌の治療用薬剤を製造するための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0018】
用語「患者」は哺乳動物を意味し、「哺乳動物」としてはヒトが挙げられるが、これに限定されない。
【0019】
「治療上有効な量」は、癌患者において変異体IDH1を阻害して、分化におけるブロックの解除につながることで腫瘍細胞増殖の阻害をもたらし、患者の癌を排除するか、または進行を遅らせるもしくは阻止するのに必要な式Iの化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、またはこの化合物、もしくはその薬学的に許容される塩を含有する薬学的組成物の用量を意味する。式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の予想用量は、20mg/患者/1日〜2000mg/患者/1日の範囲内である。好ましい用量は、30mg/患者/1日〜1800mg/患者/1日の範囲内と予想される。最も好ましい用量は、40mg/患者/1日〜1600mg/患者/1日の範囲内と予想される。患者を治療するのに正確な用量及び治療期間の長さは、疾患のステージ及び重症度と共に、個々の患者の具体的なニーズ及び反応を考慮して、医師によって決定されるだろう。1日当たりが基準の用量で表されるが、投薬投与は調整されてよく、患者により最適な治療的利益を提供し、あらゆる薬物関連毒性を管理または緩和する。毎日の投薬に加えて、1日2回(B.I.D.)の投薬、1日3回(T.I.D.)の投薬、1日おき(Q2D)の投薬、5日間にわたる1日おきの投薬に続いて2日間の投薬なし(T.I.W.)、または3日に1回(Q3D)の投薬が適切でよい。
【0020】
用語「治療」、「治療する」、および「治療している」は、患者が罹患している癌について、例えば、癌が実際に除去されないとしても、症状のうちの1つ以上を軽減させる、緩徐にする、もしくは回復させるため、および癌の進行を遅らせるための活性化合物の投与などの、全ての範囲の介入を含むことを意味する。
【0021】
式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩は、好ましくは、薬学的に許容される担体を使用して薬学的組成物として製剤化され、様々な経路によって投与される。好ましくは、そのような組成物は、経口投与用である。そのような薬学的組成物およびそれらを調製するプロセスは、当該技術分野において周知である。例えば、REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY,L.V.Allen,Editor,22
ndEdition,PharmaceuticalPress,2012を参照されたい。特定の実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される担体および任意に、特に癌全般または特定の癌の種類の治療のための他の治療成分と共に、(S)−3−(2−((1−(4−((4−アクリロイルピペラジン−1−イル)メチル)フェニル)エチル)アミノ)−6−フルオロピリミジン−4−イル)−4,4−ジメチルオキサゾリジン−2−オンまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0022】
式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩は、1つ以上の他の治療剤と同時に、または前に、または後に投与されてよい。1つ以上の他の治療用薬剤と共に投与された場合、式Iの化合物、または薬学的に許容される塩は、同じもしくは異なる投与経路で、または同じ薬学的組成物中に他の治療剤として、個別に投与されてよい。1つ以上の追加の治療剤が投与される場合、各治療剤の投与は、同時、個別または連続でよい。
【0023】
式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩は、当技術分野において既知の様々な手順、ならびに以下に記載の手順によって調製されてよい。特定の合成ステップは、異なる順序で組み合わせて、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を調製することができる。
【0024】
式Iの化合物は、IUPACに従って命名され、CASに従って命名されてもよく、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を明確に同定するために他の命名規則が使用されてよい。
【0025】
式Iの化合物は、R
4、R
5およびR
2置換基を有する炭素原子を含む、最大4つのキラル中心を有することができ、ならびに複数の立体異性体を生じる定義されたR
2基内のさらなる可能性を有することが理解される。1つ以上の化合物が1つ、2つ、3つ、または4つの立体異性体構造を有し得、各異性体が確認され得ることが理解されるべきである。式I中の特定の化合物は、示された立体配置を有する実質的に鏡像異性的に純粋な立体異性体として描写することができる。示されたすべての立体中心を有する立体配置を有する式Iの化合物について、「実質的に鏡像異性的に純粋な」とは、異性体純度が90%を超える鏡像体過剰率を意味する。別の実施形態において、式Iの化合物の異性体純度は、R
4および/またはR
5を有する炭素原子において95%を超える鏡像体過剰率である。さらに別の実施形態において、式Iの化合物の異性体純度は、R
4および/またはR
5を有する炭素原子において98%を超える鏡像体過剰率である。さらに別の実施形態において、式Iの化合物の異性体純度は、R
4および/またはR
5を有する炭素原子において99%を超える鏡像体過剰率である。式Iの化合物の、個々のおよびジアステレオマー混合物を含むすべての立体異性体は、本発明の範囲内であると考えられる。
【0026】
本明細書で使用する場合、単一の立体異性体に対する言及は、式Iの命名されたまたは描写された化合物を含む立体異性体混合物を含むことも意味する。本明細書で、カーン・インゴルド・プレローグ表記の(R)−及び(S)−は、特異的な立体異性体を指すために使用されてよい。特異的な立体異性体は、鏡像異性的に純粋または濃縮出発物質を使用して立体特異的合成によって調製することができる。式Iの化合物を含む出発物質、中間体、またはラセミ混合物のいずれかの特定の立体異性体は、キラル固定相でのクロマトグラフィー、酵素的分割、または分別結晶、またはその目的のために、例えばジアステレオマー塩のために形成されたジアステレオマーのクロマトグラフィーを含む、STEREOCHEMISTRY OF ORGANIC COMPOUNDS,E.I.Eliel and S.H.Wilen(Wiley 1994)およびENANTIOMERS,RACEMATES AND RESOLUTIONS,J.,Jacques,A.Collet,and S.H.Wilen(Wiley 1991)に見られるような当該技術分野で周知の技術によって分割することができる。「異性体1」および「異性体2」という名称は、キラルクロマトグラフィーからそれぞれ第1および第2に溶出する化合物を指し、キラルクロマトグラフィーが合成の初期に開始される場合、同じ名称が、その後の中間体および実施例に適用される。
【化2】
で示される結合は、異性体混合物を指す。
【0027】
式Iの化合物の合成において初期の出発物質として用いられる化合物は、周知であり、市販する程度までではないが、当業者によって一般的に用いられる標準的な手順によって提供される特定の参考文献を用いて容易に合成されるか、または一般的な参考文献に見出される。
【0028】
既知の手順および方法の例には、一般的な参照テキストに記載されたものが含まれ、例えばCOMPREHENSIVE ORGANIC TRANSFORMATIONS,VCH Publishers Inc,1989、COMPENDIUM OF ORGANIC SYNTHETIC METHODS,Volumes 1−10,1974−2002,Wiley Interscience、MARCH’S ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY,REACTIONS MECHANISMS,AND STRUCTURE,5
thEdition,Michael B.Smith and Jerry March,Wiley Interscience,2001、ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY,4
thEdition,Part B,Reactions and Synthesis,Francis A.Carey and Richard J.Sundberg,Kluwer Academic/Plenum Publishers,2000などであり、そこに引用された参考文献を参照されたい。
【0029】
ある特定の立体化学中心は、明瞭化のために以下のスキームにおいて特定されないままにされてもよく、あらゆる意味においてスキームの教示を制限することを意図するものではない。個々の異性体、鏡像異性体、およびジアステレオマーは、当業者によって、本発明の化合物の合成における都合のよい時点で、選択的結晶化技法またはキラルクロマトグラフィーなどの方法によって分離または分割されてよい。
【0030】
ある特定の略称を、以下の通りに定義する。「ACN」はアセトニトリルを指し、「αKG」はアルファ−ケトグルタル酸または2−ケトグルタレートを指し、「BCA」はビシンコニン酸を指し、「BOC」はtert−ブトキシカルボニルを指し、「BSA」はウシ血清アルブミンを指し、「CBZ」はカルボベンジルオキシを指し、「CDI」は1−1´−カルボニルジイミダゾールまたはジ(イミダゾール−1−イル)メタノンを指し、「DCC」は1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドを指し、「1,2−DCE」は1,2−ジクロロエタンを指し、「DIC」はジイソプロピルカルボジイミドを指し、「DIPEA」はジイソプロピルエチルアミンまたはN−エチル−N−イソプロピル−プロパン−2−アミンを指し、「DMAP」はジメチルアミノピリジンを指し、「DME」はジメトキシエタンを指し、「DMEA」はジメチルエチルアミンを指し、「DMF」はジメチルホルムアミドを指し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを指し、「DTT」はジチオスレイトールを指し、「DPPF」は1,1´−フェロセンジイル−ビス(ジフェニルホスフィノ)を指し、「EDC」は、EDAC、EDCI、または塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドを指し、「EDTA」はエチレンジアミン四酢酸を指し、「ee」は鏡像体過剰率を指し、「EGTA」はエチレングリコール四酢酸を指し、「EtOAc」は酢酸エチルを指し、「EtOH」はエタノールまたはエチルアルコールを指し、「Et
2O」はジエチルエーテルを指し、「Ex」は実施例を指し、「HATU」は(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチル(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イルオキシ)メタンイミニウムヘキサフルオロリン酸塩を指し、「HBTU」は2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩を指し、「2HG」は2−ヒドロキシグルタレートを指し、「d
5−3HG」は3−ヒドロキシ−1,5−ペンタンジオイック−2,2,3,4,4−d
5酸を指し、「HILIC」は親水性相互作用液体クロマトグラフィーを指し、「HOAt」は1−ヒドロキシ−7−アゾベンゾトリアゾールを指し、「HOBt」は1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物を指し、「HPLC」は高性能液体クロマトグラフィーを指し、「IC
50」は、その薬剤にとって可能な最大阻害反応の50%が生じる薬剤濃度を指し、「IPAm」はイソプロピルアミンを指し、「mCPBA」はメタ−クロロ過安息香酸を指し、「MeOH」はメタノールまたはメチルアルコールを指し、「NADP
+およびNAHPH」はそれぞれニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸の酸化および還元形態を指し、「OAc」は酢酸を指し、「PG」は保護基を指し、「Ph」はフェニルを指し、「Prep」は調製を指し、「PyBOP」はベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩を指し、「PyBrop」はブロモ−トリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩を指し、「rpm」は毎分の回転数を指し、「R
t」は保持時間を指し、「SCX」は強カチオン交換を指し、「SFC」は、超臨界流体クロマトグラフィーを指し、「S
NAr」は求核芳香族置換を指し、「TEA」はトリエチルアミンを指し、「TFA」はトリフルオロ酢酸を指し、「THF」はテトラヒドロフランを指し、および「Tris」はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを指す。
【0031】
本発明の化合物、またはその塩は、当該技術分野において既知の様々な方法によって調製されてよく、そのいくつかが以下のスキーム、調製および実施例に図示されている。記載される各経路の特異的な合成ステップは、様々な方法で、または異なるスキームからのステップと共に組み合わされてよく、本発明の化合物、またはその塩を調製する。以下のスキームにおける各ステップの生成物は、抽出、蒸発、析出、クロマトグラフィー、濾過、粉砕及び結晶化を含む、当該技術分野において周知の従来方法によって回収されることができる。以下のスキームにおいて、全ての置換基は、別途指示のない限り、以前に定義された通りである。試薬および出発物質は、当業者にとって容易に入手可能である。他に定義しない限り、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は式Iについて定義した通りである。
【化3】
【0032】
スキーム1のステップAにおいて、THFなどの溶媒中で、トリエチルアミンおよびジ(イミダゾール−1−イル)アミンなどの有機塩基を使用して、2−置換−4−アミノエタノールピリミジン(1)を環化して置換ピリミジン2−オキサゾリジン−2−オン(3)にする。ピリミジン上のXは、ハロゲンまたはメチルスルホニルのような他の脱離基であり得る。あるいは、化合物(2)については、S
NAr反応でハロを置換オキサゾリジン−2−オンのアミンで置き換えて、ステップBの生成物、化合物(3)を得ることができる。
【化4】
【0033】
スキーム2において、化合物(4)は、当業者に既知の様々な手順によって調製することができる。例えば、置換4−(1−アミノエチル)ベンズアルデヒドおよびピペラジンの還元的アミノ化により化合物(4)を得ることができる。あるいは、4−[1−(ハロメチル)フェニル]エタンアミンからハロゲン化物をアルキル化条件下、ピペラジンで置換することによっても、化合物(4)が得られる。ステップCのサブステップ1において、化合物(4)の保護アミンを脱保護することができる。例えば、1−フェニルエチルアミンは、EtOHなどの溶媒中、水酸化ナトリウム水溶液に暴露するなどのアルカリ性条件を使用して、標準的な脱保護条件下で脱保護して、ステップC、サブステップ1の遊離アミン生成物を得ることができる。あるいは、保護基がカルボキシベンジル基である場合、水素雰囲気下、EtOHなどの溶媒中、10%%Pd/Cを使用するなどの水素化分解条件により、ステップC、サブステップ1の脱保護生成物を提供することができる。次いで、化合物(4)の脱保護されたアミンは、ステップC、サブステップ2において、約−50℃〜−20℃の温度で、Et
2Oのような溶媒を用いるS
NAr反応において、2,4,6−トリフルオロ置換ピリミジンでアルキル化して、ステップC、サブステップ2の生成物、化合物(5)を得ることができる。第2のS
NArアリール化は、
4−ハロゲンまたは4−、[5または6]−ジハロゲン置換ピリミジン上で、DMFなどの溶媒中、水素化ナトリウムなどの塩基を用いて、約0℃の温度で、
4−ハロゲンを置換オキサゾリジン−2−オンの窒素で置換して完了し、ステップDの生成物、化合物(6)を得ることができる。
【0034】
別のルートでは、ステップE、サブステップ1において、化合物(4)をステップC、サブステップ1に記載のように脱保護し、次にステップE、サブステップ2、のS
NAr反応でアルキル化することができる。例えば、脱保護後、ステップE、サブステップ1の生成物を、DMEなどの溶媒中、約マイクロ波条件下で約120℃の温度で、2位がメチルスルファニルなどの脱離基である、2−置換ピリミジン−6−オンでアリール化して、ステップE、サブステップ2の生成物、化合物(7)を得ることができる。ピリミドン(7)は、四塩化炭素を含む1,2−DCEなどの溶媒中でトリフェニルホスフィン樹脂を用いてハロゲン化し、約70℃で加熱して、ステップFの生成物、化合物(5)を得ることができる。次いで、化合物(5)を、ステップDについて先に記載したのと同じ方法を実施して化合物6を得ることができる。
【化5】
【0035】
あるいは、スキーム3のステップGのサブステップ1において、1−フェニルエチルアミン化合物(4)をスキーム2のステップCのサブステップ1に記載のように脱保護して、ステップGのサブステップ1の脱保護生成物を得ることができる。次いで、この1−フェニルエチルアミンを、S
NAr反応におけるスキーム1のステップAまたはBの生成物である化合物(3)と、反応を促進するために、DIPEA、フッ化セシウムなどの有機塩基を用いて、溶媒例えばDMSO中、約70〜100℃の温度で反応させて、ステップGのサブステップ2の生成物である化合物(6)、ステップD、スキーム2の類似生成物を得ることができる。R
1が−NH
2置換基である式Iの化合物については、スキーム2のステップDまたはスキーム3のステップGの保護されたピペラジン(6)は、一晩加熱しながら圧力容器中のDMSO溶液中5または6フルオロピリミジンと水酸化アンモニウムとを反応させることにより、アミンアルキル化(アミノ−脱ハロハロゲン化(amino−dehalohalogenation))する。保護されたピペラジン(6)は、ジオキサン中のHClおよびCH
2Cl
2中のMeOHまたはTFAのような酸性脱保護法で脱保護して、ステップH、サブステップ1の脱保護されたピペラジンを得ることができる。オキサゾリジノンのR
2またはR
3基がO−t−ブチルなどの酸不安定基で保護されている場合、この基の脱保護は、同じ操作でピペラジンの脱保護と共に達成することができる。ステップHのサブステップ2において、ピペラジンアミンは、CH
2Cl
2などの溶媒中、トリエチルアミンのような有機塩基を用いてまたは用いずに、−78〜0℃の温度で塩化アクリロイルでアシル化して、式Iの化合物を得ることができる。当業者であれば、アミドカップリングが、アクリル酸およびDMFなどの溶媒中の適切なアミンと、EDCなどのカップリング試薬およびHOBtなどの添加剤とを用いて達成され得ることがわかるであろう。当業者であれば、カルボン酸とアミンとの反応によって生じるアミド形成のための多数の方法および試薬が存在することを理解するであろう。例えば、DIPEAまたはTEAなどの有機塩基と共にまたはそれなしで、カップリング試薬の存在下において適切なアミンとアクリル酸との反応により、式Iの化合物を与え得る。他のカップリング試薬としては、DCC、DICなどのカルボジイミド、またはCDIなどのカルボニルジイミダゾールが挙げられる。HOAtなどの他のアミドカップリング添加剤は、反応を促進するためにも使用され得る。加えて、HBTU、HATU、PyBOP、およびPyBrOPなどの非求核性アニオンのウロニウムまたはホスホニウム塩が、より従来のカップリング試薬の代わりに使用される可能性がある。DMAPなどの添加剤は、所望のアミド化反応を加速するために使用され、式Iの化合物を得ることができる。
【0036】
式Iの化合物は、多数の無機および有機酸と反応させることができ、薬学的に許容される酸付加塩を形成する。任意のステップにおいて、式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、標準条件下で、式Iの適切な遊離塩基と適切な溶媒中の適切な薬学的に許容される酸との反応によって形成され得る。加えて、そのような塩の形成は、窒素保護基の脱保護と同時に起こり得る。そのような塩の形成は、当該技術分野で周知であり、また理解されている。例えば、P.Stahl,et al.,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,(VCHA/Wiley−VCH,2002)、P.L.Gould, “Salt selection for basic drugs,”International Journal of Pharmaceutics,
33:201−217(1986)、R.J. Bastin, et al. “Salt Selection and Optimization Procedures for Pharmaceutical New Chemical Entities”,Organic Process Research and Development,4:427−435(2000)およびS.M.Berge,et al.,“Pharmaceutical Salts,”Journal of Pharmaceutical Sciences,
66:1−19,(1977)を参照されたい。式Iの化合物は、薬学的に許容される塩として容易に変換され、分離され得ることを当業者は理解するであろう。
【化6】
【0037】
反応温度を25℃未満に維持しながら、CH
2Cl
2(2.5L)中の(S)−(4−(1−アミノエチル)フェニル)メタノール(81.8g、541mmol)溶液に、SOCl
2(80mL、1.1mmol)を、30分にわたって滴下して添加する。4時間撹拌した後、混合物を濃縮して黄色固体を得る。ACN(1L)を添加し、混合物を500mLに濃縮し、得られた固体を濾過し、オフホワイト固体を得て、これを真空下で乾燥させて、最初のロットの標記化合物を得る。母液も濃縮して、黄色固体として純度がより低い生成物(約20g)を供し得る。2つの生成物のロットを組み合わせ、標記化合物(111g、78%)を得る。MS(m/z):170(M+H)。
【化7】
【0038】
CH
2Cl
2(160mL)中の(1S)−1−[4−(クロロメチル)フェニル]エタンアミン塩酸塩(10g、48.5mmol)溶液に、0℃で、無水トリフルオロ酢酸(8.2mL、58mmol)を添加する。添加温度を5℃未満に維持しながら、TEA(15mL、108mmol)を添加する。0℃で1時間撹拌した後、反応混合物を濃縮し、乾燥させ、ACN(120mL)を添加し、続いてtert−ブチルピペラジン−1−イルカルボネート(13.5g、72.5mmol)を添加する。K
2CO
3(20g、144.7mmol)を添加し、混合物を60℃に加熱し、17時間撹拌する。溶媒を真空で除去し、EtOAc(1L)を添加して固体を得る。固体を濾過により除去し、EtOAc溶液を水およびブラインで洗浄する。有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(10〜50%アセトン/CH
2Cl
2)で精製して、標記化合物を白色泡状物として得る(15.8g、78%)。MS(m/z):416(M+H)。
【化8】
【0039】
CH
2Cl
2(150mL)中の[4−[(1S)−1−アミノエチル]フェニル]メタノール(10.8g、71.4mmol)の0℃の溶液に無水トリフルオロ酢酸(12mL、85.4mmol)を添加する。10分後、CH
2Cl
2(8mL)中のTEA(24mL、172mmol)を30分かけて滴下し、冷却浴を除去し、反応物を一晩撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮し、追加のCH
2Cl
2で希釈し、1N HCl水溶液および水で洗浄する。有機相を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮する。粗物質を0〜50%EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を白色固体として得る(11.1g、44.9mmol、63%)。ES/MS(m/z):246(M−H)。
【化9】
【0040】
CH
2Cl
2(450mL)中の2,2,2−トリフルオロ−N−[(1S)−1−[4−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル]アセトアミド(11.1g、44.9mmol)の0℃の溶液にデス−マーチンペルヨージナン(20.9g、49.3mmol)を添加する。反応混合物を一晩撹拌し、室温まで温める。反応混合物を追加のCH
2Cl
2で希釈し、飽和NaHCO
3水溶液、飽和Na
2S
2O
3水溶液およびブラインで洗浄する。合わせた有機物を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮して残渣を得、これを0〜50%EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、標記化合物を白色固体として得る(9.5g、39mmol、86%)。ES/MS(m/z):244(M−H)。
【化10】
【0041】
THF(100mL)中の(S)−2,2,2−トリフルオロ−N−(1−(4−ホルミルフェニル)エチル)アセトアミドの溶液(4.5g、18.35mmol)に0℃でエチルマグネシウムブロマイド(12.23mL、36.7mmol、Et
2O中3M)を15分かけて添加する。45分後、NH
4Cl飽和水溶液を加えて反応混合物をクエンチし、EtOAcと水との間に分配する。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮して、標題化合物をワックス状白色固体として得る(5.74g、19mmol、純度91%)。ES/MS(m/z):274(M−H)。
【化11】
【0042】
CH
2Cl
2(150mL)中の2,2,2−トリフルオロ−N−((1S)−1−(4−(1−ヒドロキシプロピル)フェニル)エチル)アセトアミド(5g、18.2mmol)の溶液に0℃で塩化チオニル(4.63mL、63.6mmol)を滴下で添加する。反応混合物を室温で2時間撹拌する。混合物を濃縮して、標題化合物をベージュ色の固体(5.33g、18.2mmol、100%)として得て、これをさらに精製することなく使用する。ES/MS(m/z):292(M−H)。
【化12】
【0043】
内部温度を−70℃より下に保つようにして、THF(600mL)中のN−[(1S)−1−(4−ブロモフェニル)エチル]−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド(18.00g、60.79mmol)溶液に−78℃で、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、53mL、130mmol)を滴下で添加する。添加が完了した後、混合物を−78℃で45分間撹拌し、THF(10mL)中の溶液として2−シクロプロピル−N−メトキシ−N−メチル−アセトアミド(11.4g、79.6mmol)を添加する。混合物を−78℃で45分間撹拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、混合物を室温に温める。層を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。固体に少量のCH
2Cl
2を加え、混合物を短時間加熱してこの固体を溶解する。混合物を沈殿直前まで濃縮し、次いで激しく撹拌しながらヘキサン(150mL)を滴下で添加して無色の固体を得る。濾過により固体を集め、少量のヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥させて、標記化合物(13.82g、76%)を無色の固体として得る。MS(m/z):298.3(M−H)。
【化13】
【0044】
1−(4−ブロモフェニル)−2−フルオロ−エタンアミン(10g、45.9mmol)を含む水(115mL)とCH
2Cl
2(60mL)の二相溶媒混合物に室温で炭酸ナトリウム(17g、160.3mmol)を添加する。混合物を0℃に冷却し、クロロギ酸ベンジル(8.45mL、57.3mmol)を滴下で添加する。0℃で2時間撹拌した後、反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いでCH
2Cl
2で希釈し、飽和NaHCO
3水溶液、水およびブラインで洗浄する。有機相を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮し、最少量のEtOAcに溶解する。沈殿が観察されるまでヘキサンを添加し、固体を濾過し、追加のヘキサンで洗浄する。標記化合物をベージュ色の固体として得る(12g、34.1mmol、74%)。ES/MS(m/z):352(M+H)。
【化14】
【0045】
ParrオートクレーブにPd(OAc)
2(774mg、3.28mmol)、DPPF(2.3g4mmol)、ベンジル(1−(4−ブロモフェニル)−2−フルオロエチル)カルバメート(12g、34.1mmol)、MeOH(120mL)、CH
3CN(180mL)およびTEA(12mL)を加える。容器を密閉し、パージし、COガス(100psi)で加圧する。反応物を85℃で24時間撹拌し、次いで室温に冷却する。Parr反応器を排気し、反応混合物を濃縮する。50%EtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィー続いて最少量のEtOAcからの沈殿およびヘキサンのゆっくりとした添加により所望の生成物を精製する。標記化合物をオレンジ色の固体として得る(9.5g、29mmol、84%)。ES/MS(m/z):332(M+H)。
【化15】
【0046】
THF(160mL)中のメチル4−(1−(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)−2−フルオロエチル)ベンゾエート(9.5g、29mmol)の溶液に、室温でMeOH(80mL)および2N水酸化ナトリウム水溶液(80mL、160mmol)を添加する。一晩撹拌した後、反応混合物を6N HCl水溶液でpH4に酸性化する。混合物をCH
2Cl
2で抽出し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮して、標記生成物をベージュ色の固体(9.2g、29mmol、100%)として得、これをさらに精製することなく使用する。ES/MS(m/z):316(M−H)。
【化16】
【0047】
THF(150mL)中の4−(1−(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)−2−フルオロエチル)安息香酸(9.2g、29mmol)溶液に、0℃でボランジメチルスルフィド(51mL、102mmol、THF中2N)を滴下で添加する。反応物を2.5時間70℃に加温する。室温に冷却した後、さらなるガス発生が観察されなくなるまでMeOHを滴下して反応混合物をクエンチする。次いで、反応混合物を濃縮し、MeOHに再溶解し、再び濃縮する。このMeOHの添加/濃縮を2回繰り返して、黄色−褐色の油状物(6.65g、21.9mmol、76%)として標記化合物を得、さらに精製することなく使用する。ES/MS(m/z):304(M+H)。
【化17】
【0048】
EtOH(200mL)中のベンジル(2−フルオロ−1−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)エチル)カルバメート(6.65g、21.9mmol)の溶液を、EtOH(200mL)に懸濁させた10重量%パラジウム炭素(2.33g、2.19mmol)に添加する。溶液をN
2でパージし、H
2で充填した後、H
2(バルーン)の注入口を加え、反応物を室温で一晩撹拌する。この溶液をケイソウ土で濾過する。追加の10重量%パラジウム炭素(2.33g、2.19mmol)を濾液に加え、反応混合物をH
2バルーン下でさらに6時間撹拌する。溶液をケイソウ土で濾過し、濾液を濃縮乾燥して標記化合物を灰色固体(3.9g、16mmol、純度70%)として得て、さらに精製することなく使用する。ES/MS(m/z):170(M+H)。
【化18】
【0049】
CH
2Cl
2(80mL)中の(4−(1−アミノ−2−フルオロエチル)フェニル)メタノール(3.9g、16mmol、70%純度)の溶液に0℃で塩化チオニル(4.7mL、65mmol)を添加する。反応物を室温で4時間撹拌する。固体を濾別し、Et
2Oで洗浄し、次いで水に溶解し、CH
2Cl
2で抽出し、MeOHでさらに希釈し、濃縮して残渣を得、これを10〜100%CH
3CN/H
2Oで溶出する逆相クロマトグラフィーで精製し、標記化合物を白色固体として得る(2.4g、11mmol、66%)。ES/MS(m/z):188(M+H)。
【化19】
【0050】
ACN(50mL)中の1−(4−(クロロメチル)フェニル)−2−フルオロエタン−1−アミン塩酸塩(2.4g、11mmol)およびtert−ブチルピペラジン−1−カルボキシレート(4g、21.5mmol)の溶液に室温で炭酸カリウム(5.9g、43mmol)を添加する。反応混合物を60℃で24時間撹拌し、室温に冷却し、濃縮する。粗反応物をCH
2Cl
2に懸濁させ、飽和NaHCO
3水溶液およびブラインで洗浄する。有機相を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮して残渣を得、これを10〜100%CH
3CN/重炭酸アンモニウム水溶液で溶出する逆相クロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を黄色の油状物として得る(2.47g、7.32mmol、68%)。ES/MS(m/z):338(M+H)。
【化20】
【0051】
EtOH(2.4L)中のtert−ブチル4−[[4−[(1S)−1−[(2,2,2−トリフルオロアセチル)アミノ]エチル]フェニル]−メチル]−ピペラジン−1−カルボキシレート(203g、0.489モル)溶液に、室温で、5Mの水性NaOH(480mL、2.40モル)を添加する。室温で3.5時間撹拌した後、反応混合物を濃縮し、EtOHの大部分を除去する。EtOAc(2L)を添加して残渣を溶解し、有機溶液を水およびブラインで洗浄する。合わせた水相を、EtOAc(2×)で抽出する。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して乾燥させ、黄色粘性油(156g、93%)として粗標記化合物を得、これをさらに精製を行うことなく使用する。MS(m/z):320(M+H)。
【化21】
【0052】
CH
3CN(90mL)中のN−((1S)−1−(4−(1−クロロプロピル)フェニル)エチル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(4.9g、17mmol)および1−Boc−ピペラジン(3.7g、20mmol)の溶液にK
2CO
3(9.2g、67mmol)およびNaI(1.5g、10mmol)を添加する。混合物を90℃で3時間撹拌し、次いで室温に冷却する。固体を濾別し、濾液を濃縮し、10〜40%EtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を油状物として得る(5.56g、12.5mmol、75%)。ES/MS(m/z):444(M+H)。
【化22】
【0053】
THF(80mL)中のN−[(1S)−1−[4−(2−シクロプロピルアセチル)フェニル]エチル]−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド(12.0g、40.1mmol)およびtert−ブチルピペラジン−1−カルボキシレート(17.9g、96.1mmol)の溶液にチタン(IV)イソプロポキシド(60mL、200mmol)を添加し、混合物を60℃で一晩撹拌する。混合物を室温に冷却し、MeOH(80mL)を添加し、続いてシアノ水素化ホウ素ナトリウム(5.3g、80mmol)を少量ずつ加える。混合物を室温で8時間撹拌し、次いで水およびMeOHを添加し、混合物を室温で一晩撹拌する。混合物を濾過して固体を除去し、この固体をMeOHおよび水で濯ぐ。濾液を部分的に濃縮して大部分のMeOHを除去し、残渣をEtOAc(2×)で抽出する。合わせた有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。粗物質を、溶媒Bが1:1のヘキサン:CH
2Cl
2である溶媒B中の0%〜30%EtOAcの勾配で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(10.5g、56%)を無色固体として得る。MS(m/z):470.3(M+H)。
【化23】
【0054】
EtOH(50.1mL)中のtert−ブチル4−(1−(4−((S)−1−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)エチル)フェニル)プロピル)ピペラジン−1−カルボキシレート(5.56g、12.5mmol)の溶液に、KOH(3.52g、62.7mmol)を水(11mL)形態で添加する。混合物を室温で3時間撹拌し、濃縮し、CH
2Cl
2と飽和NaHCO
3水溶液との間で分配する。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2CO
3)、濾過し、濃縮して、標記化合物を油状物として得(4.31g、12mmol、96%)、これをさらに精製することなく使用する。ES/MS(m/z):348(M+H)。
【化24】
【0055】
EtOH(350mL)中のtert−ブチル4−[2−シクロプロピル−1−[4−[(1S)−1−[(2,2,2−トリフルオロアセチル)アミノ]エチル]フェニル]エチル]ピペラジン−1−カルボキシレート(32.24g、68.67mmol)の溶液に、KOH水溶液(5M、69mL、350mmol)を添加し、得られた混合物を室温で4時間撹拌する。EtOHを減圧下で除去し、残渣に飽和重炭酸ナトリウム水溶液を添加し、混合物をCH
2Cl
2で抽出する。合わせた有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、無色の粘性油状物として標記化合物(24.33g、純度96.5%、残留CH
2Cl
23.5%、収率92%)を得る。MS(m/z):374.3(M+H)。
【化25】
【化26】
【0056】
tert−ブチル4−[1−[4−[(1S)−1−アミノエチル]フェニル]−2−シクロプロピル−エチル]ピペラジン−1−カルボキシレート(3.23g)をMeOH(40mL)に溶解し、以下の条件を使用して分取キラルHPLCクロマトグラフィーによって個々のジアステレオマーを分離する:カラムChiralpak AD、20μm(8×33cm)、注入量10mL、溶離液0.2%DMEAを含む100%メタノール、検出波長220nm、流速400mL/分。実施例19a、tert−ブチル4−[1−[4−[(1S)−1−アミノエチル]フェニル]−2−シクロプロピル−エチル]ピペラジン−1−カルボキシレート、異性体1を最初の溶出ピークから透明粘稠な油状物(1.50g、46%、>99%de、R
t=4.2分)として得る。MS(m/z):374.3(M+H)。実施例19b、tert−ブチル4−[1−[4−[(1S)−1−アミノエチル]フェニル]−2−シクロプロピル−エチル]ピペラジン−1−カルボキシレート、異性体2を2番目の溶出ピークからが透明粘稠な油状物(1.46g、45%、>98.2%de、R
t=5.7分)として得る。MS(m/z):374.3(M+H)。
【化27】
【0057】
CH
3CN(60mL)中の4−クロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン(4.2g、26mmol)および2−アミノエタノール(3.2g、52mmol)の溶液にDIPEA(5mL、29mmol)を添加する。混合物を80℃で2時間撹拌した後、50℃で濃縮する。粗生成物をEtOAcに溶解し、水で洗浄し、乾燥させ(Na
2CO
3)、濾過し、濃縮する。0〜100%EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより物質を精製して、標記化合物を白色固体として得る(3.33g、18.0mmol、69%)。ES/MS(m/z):186(M+H)。
【化28】
【0058】
TEA(0.864mL、6.2ミリモル)を、THF(12.4mL)中の(2S)−2−[(2−クロロピリミジン−4−イル)アミノ]ブタン−1−オール(1.25g、6.2mmol)(独国公開公報第102009001438号、2010年9月16日)およびジ(イミダゾール−1−イル)メタノン(1.21g、7.44mmol)の溶液に室温で添加する。5時間撹拌した後、追加のジ(イミダゾール−1−イル)メタノン(1.21g、7.44mmol)およびTEA(0.864mL、6.2mmol)を加え、得られた混合物を50℃に加温し、3時間撹拌する。加熱を除去し、得られた混合物を16時間放置した後、水で希釈し、EtOAc(3×)で抽出する。次いで、合わせた有機抽出物を1M HCl水溶液およびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、濃縮して、白色固体(1.20g、5.27mmol、85%)として標記化合物を得る。ES/MS(m/z):228(M+H)。
【0059】
適切な試薬を使用して、調製21の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表1】
【化29】
【0060】
CH
2Cl
2(71mL)中の3−(2−メチルスルファニルピリミジン−4−イル)オキサゾリジン−2−オン(3.0g、14mmol)の溶液に、mCPBA(7.4g、30mmol、70重量%)を室温で添加する。1時間撹拌した後、固体を濾別し、濾液を濃縮して固体を得る。固体をEt
2Oでトリチュレートし、真空下で乾燥させて、標記化合物を白色固体として得る(2.63g、9.30mmol、純度86%)。ES/MS(m/z):244(M+H)。
【化30】
【0061】
DMF(16.5mL)中の2,4−ジクロロピリミジン(1.47g、9.89mmol)および(S)−4−メチルオキサゾリジン−2−オン(877mg、8.2mmol、95%純度)の溶液に、固体として水素化ナトリウム(379mg、9.48mmol、鉱油中60%)を室温で添加する。室温で16時間撹拌後、混合物を飽和NH
4Cl水溶液でクエンチし、EtOAc(3×)で抽出する。有機抽出物を合わせて、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、濃縮する。粗物質を9:1CH
2Cl
2/MeOHに溶解し、望ましくない白色固体を濾別する。濾液中で得られた粗生成物を5%〜100%EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を白色固体として得る(518mg、2.42mmol、29%)。ES/MS(m/z):214(M+H)。
【化31】
【0062】
THF(30mL)中のイソブチルクロロホルメート(0.640mL、4.90mmol)およびN−シクロヘキシルシクロヘキサンアンモニウム(2S、3S)−2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−tert−ブトキシ−ブタノエート(2.00g、4.08mmol)に25℃で4−メチルモルホリン(0.540mL、4.9mmol)を添加する。10分後、固体を濾過により除去し、最小限の無水THFですすいだ。濾液を−20℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(231mg、6.1mmol)を添加し、続いて水(4mL)を添加する。混合物を−20℃で10分間撹拌し、次いで室温で2時間撹拌する。水を添加し、混合物をEtOAc(2×)で抽出する。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮して、標記化合物を黄色油状物として得る(1.367g、3.93mmol、純度85%)。ES/MS(m/z):240(M+H−t−ブチル)。
【0063】
適切な試薬を使用して、調製25の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表2】
【化32】
【0064】
DMF(40mL)中のベンジル((2R、3S)−3−(tert−ブトキシ)−1−ヒドロキシブタン−2−イル)カルバメート(2.61g、7.51mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(616mg、15.4mmol、鉱油中60%)を0℃で添加し、混合物を30分間撹拌する。この混合物に、4−メトキシベンジルクロライド(1.49mL、11.3mmol)およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(277mg、0.749mmol)を添加し、溶液を室温まで温め、一晩撹拌する。反応混合物を氷水(200mL)に注ぎ、撹拌しながらEtOAcを添加する。EtOAc層を分離し、水相を追加のEtOAc(2×)で抽出する。合わせたEtOAc抽出液を5%LiCl水溶液(2×)で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮して残渣を得、これを0〜20%EtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(1.91g、6.21mmol、83%)を得る。ES/MS(m/z):308(M+H)。
【0065】
適切な試薬を使用して、調製27の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表3】
【化33】
【0066】
CH
2Cl
2(15mL)中の(R)−4−((S)−1−(tert−ブトキシ)エチル)−3−(4−メトキシベンジル)オキサゾリジン−2−オン(2.31g、7.5mmol)の溶液に、室温でTFA(15mL、198mmol)を添加し、混合物を20分間撹拌し、濃縮乾燥する。粗生成物を追加のCH
2Cl
2に再溶解し、濃縮する。CH
2Cl
2の添加および濃縮をもう一度繰り返して、黄色油状物(1.97g、7.51mmol、100%)として標記化合物を得、これをさらに精製することなく使用する。ES/MS(m/z):252(M+H)。
【0067】
適切な試薬を使用して、調製29の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表4】
【化34】
【0068】
CH
3CN(13mL)中の(R)−4−((S)−1−ヒドロキシエチル)−3−(4−メトキシベンジル)オキサゾリジン−2−オン(985mg、3.92mmol)の溶液を、0℃で、TEA(5mL、35.9mmol)にて処理する。ノナフルオロブタンスルホニルフルオライド(2.11mL、11.7mmol)およびトリエチルアミン三フッ化水素(1.94mL、11.7mmol)を順次添加し、混合物を0℃で1時間撹拌する。追加のノナフルオロブタンスルホニルフルオライド(0.9mL、5mmol)、トリエチルアミン三フッ化水素(1mL、6mmol)、およびTEA(2.5mL、17.95mmol)を添加し、混合物を0℃で45分間撹拌する。さらなるノナフルオロブタンスルホニルフルオライド(1.05mL、5.8mmol)、トリエチルアミン三フッ化水素(1mL、6mmol)およびTEA(2.5mL、17.95mmol)を添加し、混合物を30分間撹拌する。混合物を水でクエンチし、EtOAc(3×)で抽出する。合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮しする。粗混合物をCH
2Cl
2に溶解し、固体を濾別する。得られた濾液を濃縮し、残渣を20〜60%EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を黄色油状物として得る(300mg、1.18mmol、30%)。ES/MS(m/z):254(M+H)。
【0069】
適切な試薬を使用して、調製31の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表5】
【化35】
【0070】
TFA(6mL)中の(R)−4−((R)−1−フルオロエチル)−3−(4−メトキシベンジル)オキサゾリジン−2−オン(290mg、1.15mmol)の溶液を65℃で40時間加熱する。混合物を室温に冷却し、真空下で濃縮する。粗生成物を追加のCH
2Cl
2に再溶解し、濃縮する。これをもう一度繰り返して残留TFAを除去する。粗残渣を30〜80%EtOAc/CH
2Cl
2の勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を琥珀色の油状物として得る(141mg、1.06mmol、93%)。ES/MS(m/z):134(M+H)。
【0071】
適切な中間体を使用して、調製33の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表6】
【化36】
【0072】
THF(70mL)中のベンジルN−[(1R、2R)−2−tert−ブトキシ−1−(ヒドロキシメチル)プロピル]カルバメート(4.35g、13.7mmol)の溶液に、0℃で水素化ナトリウム(822mg、20.6mmol、鉱油中60%)を添加する。0℃で1時間撹拌した後、反応混合物を室温まで一晩温める。混合物を飽和NH
4Cl水溶液でクエンチし、EtOAc(2×)で抽出し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮する。この物質を30〜70%EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、標記化合物を放置すると白色固体になる無色の油状物として得る(1.95g、9.35mmol、純度90%)。ES/MS(m/z):188(M+H)。
【化37】
【0073】
DMF(20mL)中の(4R)−4−[(1S)−1−ヒドロキシエチル]−3−[(4−メトキシフェニル)メチル]−オキサゾリジン−2−オン(985mg、3.92mmol)の溶液に0℃で水素化ナトリウム(300mg、7.5mmol、鉱油中60%)を添加する。30分後、CH
3I(0.732mL、11.75mmol)を添加する。さらに30分後、追加の水素化ナトリウムを添加し(100mg、2.5mmol、鉱油中60%)、反応物を45分間撹拌し、次いで飽和NH
4Cl水溶液でクエンチさせ、水を加え、反応混合物EtOAc(3×)で抽出する。合わせた有機抽出物を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮して残渣を得、これを25〜60%EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、標記化合物を無色油状物として得る(423mg、1.59mmol、41%)。ES/MS(m/z):266(M+H)。
【0074】
適切な中間体を使用して、調製38の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表7】
【化38】
【0075】
フッ化セシウム(9.35g、61.6mmol)を、DMSO(50mL)中の(S)−3−(2−クロロピリミジン−4−イル)−4−イソプロピルオキサゾリジン−2−オン(7.44g、30.8mmol)[PCT国際出願(2013)、WO2013/046136]の溶液に室温で添加する。次いで、DIPEA(8.05mL、46.2mmol)を添加する。得られた混合物を、DMSO(50mL)中のtert−ブチル4−[[4−[(1S)−1−アミノエチル]フェニル]メチル]ピペラジン−1−カルボキシレート(10.0g、31.4mmol)の溶液に添加する。この反応混合物を60℃で6時間、70℃で17.5時間、90℃で1.5時間加熱する。反応混合物を冷却し、NaCl(50%飽和)水溶液で希釈し、EtOAc(3x)で抽出する。有機抽出物を合わせ、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(35〜95%EtOAc/ヘキサン)で精製して、標記化合物を得る(10.72g、20.4mmol、66%)。ES/MS(m/z):525(M+H)。
【0076】
適切な中間体を使用して調製40の方法と本質的に同じ方法で以下の化合物を調製する。
【表8-1】
【表8-2】
【化39】
【0077】
DMSO(3.0mL)中のtert−ブチル4−[1−[4−[(1S)−1−アミノエチル]フェニル]−2−シクロプロピル−エチル]ピペラジン−1−カルボキシレート(350mg、0.91mmol)、(4R)−4−[(1R)−1−tert−ブトキシエチル]−3−(2−クロロピリミジン−4−イル)オキサゾリジン−2−オン(273mg、0.91mmol)、フッ化セシウム(152mg、1.00mmol)およびDiPEA(0.17mL、1.00mmol)の混合物を密閉バイアル中で約85℃に加熱する。約6時間後、混合物を室温に冷却し、Et
2Oと水との間で分配する。有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、濃縮する。粗物質をヘキサン中の20%〜50%EtOAcの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、標記化合物を油状物として得る(288mg、0.448mmol、49%)。ES/MS(m/z):637.4(M+H)。
【化40】
【0078】
DMSO(17mL)中のtert−ブチル4−[1−[4−[(1S)−1−アミノエチル]フェニル]−2−シクロプロピル−エチル]ピペラジン−1−カルボキシレート、異性体1(1.3g、3.48mmol)、(4S)−3−(2−クロロピリミジン−4−イル)−4−イソプロピル−オキサゾリジン−2−オン(1.09g、4.51mmol)、フッ化セシウム(1.59g、10.5mmol)およびDiPEA(0.911mL、5.22mmol)の混合物を70℃の予熱ブロックに入れ、2時間撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈し、3×水で洗浄する。合わせた水層を2×EtOAcで再抽出する。有機抽出物を合わせ、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧除去して粗生成物を得る。生成物をヘキサン中の30〜60%EtOAcの勾配を用いるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(1.97g、93%)を白色非晶質固体として得る。ES/MSm/z579(M+H)。
【0079】
以下の化合物を、調製例51の方法と本質的に同じ方法で調製する
【表9】
【化41】
【0080】
tert−ブチル4−(4−(1−((4−((S)−4−エチル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)ピリミジン−2−イル)アミノ)−2−フルオロエチル)ベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート(540mg、1.0mmol)をMeOH(4mL)に溶解し、以下の条件を用いてキラルSFCクロマトグラフィーにより分割する:カラム:Chiralpak AS−H、21.2×150mm)、注入容量:0.9mL×5、溶離液:15%IPA(0.2%IPAm)/CO
2、検出波長:225nm、溶出時間:10分、流速:70g/分、カラム温度:40℃、BPR設定値:100バール、BPR温度:35℃。標記化合物を第2の溶出ピーク(異性体2)として、白色固体として単離する(260mg、0.48mmol、48%、R
T=3.04、>99%ee)。ES/MS(m/z):529(M+H)。
【0081】
調製53の方法と本質的に同じ方法で以下の化合物を調製する。
【表10】
【化42】
【0082】
Et
2O(10mL)中の2,4,6−トリフルオロピリミジン(278mg、2.07mmol)の溶液を−20℃に冷却し、Et
2O(10mL)中のtert−ブチル4−[[4−[(1S)−1−アミノエチル]フェニル]メチル]ピペラジン−1−カルボキシレート(600mg、1.88mmol)の溶液で、滴下で処理する。得られた混合物を−20℃で1時間撹拌し、次いで室温まで温め、一晩撹拌する。固体を濾過により除去し、追加のEt
2Oで洗浄する。濾液を少量のNaCl添加剤を用いて水で洗浄して乳化を減少させ、水層をEt
2O(1×)およびCH
2Cl
2(1×)で逆抽出する。合わせた有機抽出物を次いで乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮して粗生成物を得、これを20〜60%EtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を淡黄色の油状物として得る(606mg、1.40mmol、74%)。ES/MS(m/z):434(M+H)。
【化43】
【0083】
Et
2O(56mL)中の2,4,6−トリフルオロピリミジン(1.7g、13mmol)の溶液を−30〜−40℃に冷却し、Et
2O(56mL)中のtert−ブチル4−[1−[4−[(1S)−1−アミノエチル]フェニル]−2−シクロプロピル−エチル]ピペラジン−1−カルボキシレート、異性体1(5.5g、15mmol)の溶液で、滴下で処理する。混合物を撹拌し、温度を−30〜−40℃で45分間維持する。45分後、冷却浴を除去し、反応物を室温で一晩撹拌する。反応物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、3×CH
2Cl
2で抽出する。有機層を合わせ、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、20%〜50%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(5.318g、74%)を白色非晶質固体として得る。ES/MS m/z 488(M+H)。
【0084】
適切な中間体を使用して、調製例58の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表11】
【化44】
【0085】
DMF(6mL)中のtert−ブチル(S)−4−(4−(1−((4,6−ジフルオロピリミジン−2−イル)アミノ)エチル)ベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート(550mg、1.27mmol)の溶液に、0℃で水素化ナトリウム(61mg、1.53mmol、鉱油中60%)を添加する。1分後、(S)−4−イソプロピルオキサゾリジン−2−オン(180mg、1.39mmol)を添加し、混合物を0℃で1時間撹拌し、続いて室温に温め、一晩撹拌する。次いで、反応混合物を水でクエンチし、EtOAcで抽出する。EtOAc抽出物を5%LiCl水溶液(2×)で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮して残渣を得、これを30〜50%EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、標記化合物の固体を得る(500mg、0.92mmol、73%)。ES/MS(m/z):543(M+H)。
【0086】
適切な中間体を使用して、調製60の方法と本質的に同じ方法で以下の化合物を調製する。
【表12】
【化45】
【0087】
DMF(20mL)中の4,4−ジメチルオキサゾリジン−2−オン(493mg、4.282mmol)の溶液を0℃に冷却し、水素化ナトリウム(187mg、4.67541mmol)で処理し、約40分間撹拌する。DMF(10mL)中のtert−ブチル4−[2−シクロプロピル−1−[4−[(1S)−1−[(4,6−ジフルオロピリミジン−2−イル)アミノ]エチル]フェニル]エチル]ピペラジン−1−カルボキシレート、異性体1(1.90g、3.90mmol)の溶液を添加し、混合物を、冷却浴が終了するままに一晩で室温に温める。反応が完了したら、反応を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、EtOAcで抽出する。有機抽出物を5%水性LiClで洗浄し、集め、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、20%〜40%EtOAc/ヘキサンの勾配を用いるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物(1.12g、48%)を白色非晶質固体として得る。ES/MS m/z 583(M+H)。
【0088】
適切な中間体を使用して、調製例64の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表13】
【化46】
【0089】
2−メチルスルファニル−1H−ピリミジン−6−オン(4.81g、33.8mmol)、tert−ブチル4−[[4−[(1S)−1−アミノエチル]フェニル]メチル]ピペラジン−1−カルボキシレート(9.00g、28.2mmol)およびDME(56mL)を3つのマイクロ波容器に均等に分割し、密閉し、120℃で4日間加熱する。反応混合物を室温に冷却し、合わせ、濃縮し、CH
2Cl
2に再懸濁する。固体を濾別し、濾液をシリカゲルに吸着させ、1〜7%MeOH/CH
2Cl
2の勾配で溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーに付して、標記化合物をオフホワイトの固体として得る(10.55g、22.45mmol、純度88%)。ES/MS(m/z):414(M+H)。
【化47】
【0090】
tert−ブチル(S)−4−(4−(1−((6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)アミノ)エチル)ベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート(10.55g、22.45mmol、88%純度)、四塩化炭素(6.5mL)、トリフェニルホスフィン樹脂(22.5g、67mmol、3mmolのホスフィン/g)、および1,2−DCE(300mL)の混合物を70℃で6時間撹拌し、室温まで冷却する。MeOH(300mL)を添加し、得られた混合物を30分間激しく撹拌する。樹脂を濾過により混合物から取り出し、追加のMeOHですすぎ、これを濾液に添加する。合わせた濾液を濃縮し、残渣をCH
2Cl
2に溶解し、飽和NaHCO
3水溶液で洗浄する。水相をCH
2Cl
2(2×)で逆抽出する。合わせた有機抽出物を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮して残渣を得、35〜60%EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を白色非晶質固体として得る(6.85g、15.9mmol、71%)。ES/MS(m/z):432(M+H)。
【化48】
【0091】
1,4−ジオキサン(4.5mL)中の、tert−ブチル(S)−4−(4−(1−((4−クロロピリミジン−2−イル)アミノ)エチル)ベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート(400mg、0.925mmol)、(R)4−((R)−1−フルオロエチル)オキサゾリジン−2−オン(136mg、1.02mmol)およびCs
2CO
3(513mg、1.57mmol)の溶液をN
2ガスを5〜10分間バブリングすることにより脱気する。次いで、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(51mg、0.056mmol)および4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(113mg、0.195mmol)を添加し、脱気を繰り返す。容器を密閉し、100℃で4.5時間加熱する。混合物を室温まで冷却し、EtOAcで希釈し、珪藻土で濾過する。濾液を水で洗浄し、水を追加のEtOAcで抽出する。合わせた有機抽出物を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮する。残渣を70〜100%EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、標記化合物を淡黄色非晶質固体(421mg、0.796mmol、86%)として得る。ES/MS(m/z):529(M+H)。
【0092】
適切な中間体を使用して調製68の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表14】
【化49】
【0093】
tert−ブチル4−[1−[4−[(1S)−1−[[4−(4,4−ジメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−6−フルオロ−ピリミジン−2−イル]アミノ]エチル]フェニル]プロピル]ピペラジン−1−カルボキシレート、異性体1(1.62g、2.74mmol)のDMSO溶液(14mL)を、圧力容器内で、水酸化アンモニウム(72%、1mL、10当量)で処理し、110℃で一晩加熱する。反応物を室温まで冷却し、EtOAcで希釈し、水(3回)で洗浄する。有機層を集め、MgSO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、標記化合物を白色非晶質固体として得る(1.51g、93%)。ES/MS m/z 554(M+H)。
【0094】
適切な中間体を使用して、調製例72の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表15】
【化50】
【0095】
CH
2Cl
2(204mL)中のtert−ブチル4−(4−((S)−1−((4−((S)−4−イソプロピル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)ピリミジン−2−イル)アミノ)エチル)ベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート(10.7g、20.4mmol)の溶液に室温で、TFA(69mL、912.6mmol)を添加する。4時間撹拌した後、飽和Na
2CO
3水溶液を用いて反応のpHを9に調整し、得られた混合物をCH
2Cl
2(3×)で抽出する。有機抽出物を合わせ、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、濃縮して残渣を得、これを0〜15%のMeOH/EtOAc中の7N−NH
3の勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を得る(7.76g、18.3mmol、90%)。ES/MS(m/z):425(M+H)。
【0096】
適切な中間体を使用して、調製例74の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表16-1】
【表16-2】
【表16-3】
【化51】
【0097】
CH
2Cl
2(15mL)中のtert−ブチル4−[2−シクロプロピル−1−[4−[(1S)−1−[[4−[(4S)−4−イソプロピル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]ピリミジン−2−イル]アミノ]エチル]フェニル]エチル]ピペラジン−1−カルボキシレート、異性体1(1.97g、3.40mmol)の溶液をTFA(5mL、66.13mmol)で処理し、室温で一晩撹拌する。溶媒を除去し、残渣をCH
2Cl
2に溶解する。溶液のpHを10%炭酸ナトリウム水溶液で塩基性にする。層を分離し、水層を2×CH
2Cl
2で抽出する。有機層を合わせ、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して標題化合物を得る(1.691g、97%)。ES/MS m/z 479(M+H)。
【化52】
【0098】
(2mL)中のtert−ブチル4−[1−[4−[(1S)−1−[[4−[(4R)−4−[(1R)−1−tert−ブトキシエチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]ピリミジン−2−イル]アミノ]エチル]フェニル]−2−シクロプロピル−エチル]ピペラジン−1−カルボキシレート(288mg、0.448mmol)溶液にTFA(2mL)を添加し、混合物を室温で撹拌する。約2時間後、混合物を濃縮し、MeOHに溶解する。溶液をSCXカラムで精製する。カラムをMeOHでフラッシュし、標記化合物をMeOH中の1Nアンモニアで溶出する。アンモニア/MeOH溶液を濃縮して、標記化合物を油状物(176mg、0.359mmol、80%)として得て、これをさらに精製することなく使用する。ES/MS(m/z):481.2(M+H)。
【化53】
【0099】
tert−ブチル4−[1−[4−[(1S)−1−[[4−アミノ−6−(4,4−ジメチル−2−オキソ−オキサゾリジン3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ]エチル]フェニル]プロピル]ピペラジン−1−カルボキシレート(1.50g、2.55mmol)のCH
2Cl
2(13mL)溶液をTFA(4mL)で処理し、室温で一晩撹拌する。反応物を10%炭酸カリウム水溶液で希釈し、3×CH
2Cl
2で抽出する。有機抽出物を合わせ、固体Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、淡黄色非晶質固体として標記化合物を得る(1.285g、100%)。ES/MS m/z 454(M+H)。
【0100】
適切な中間体を使用して、調製例93の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表17】
【化54】
【0101】
tert−ブチル4−(4−((S)−1−((4−((S)−4−エチル−2−オキソオキサゾリジン−3−イル)ピリミジン−2−イル)アミノ)エチル)ベンジル)ピペラジン−1−カルボキシレート(749mg、1.47mmol)をHCl(ジオキサン中4M、1.8mL、7.3mmol)およびCH
2Cl
2(2.9mL)の混合物に溶解する。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで濃縮して標記化合物のHCl塩を得、これをMeOHで予め洗浄した25−gカチオン交換SCXカラムを用いて脱塩し、MeOH中の2N NH
3ですすいで、標記化合物を無色油状物として得る(491mg、1.20mmol、82%)。ES/MS(m/z):411(M+H)。
【0102】
適切な中間体を使用して調製94の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表18】
【化55】
【0103】
CH
2Cl
2(9mL)中のtert−ブチル4−[2−シクロプロピル−1−[4−[(1S)−1−[[4−(4,4−ジメチル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−6−フルオロ−ピリミジン−2−イル]アミノ]エチル]フェニル]エチル]ピペラジン−1−カルボキシレート(1.11g、1.85mmol)溶液をHCl(1,4−ジオキサン(9.5mL、38mmol)中4.0モル/L)で処理し、室温で3時間撹拌する。反応物を減圧下で濃縮して、標記化合物(1.142g、90質量%、100%)を白色固体として得る。ES/MS m/z 483(遊離塩基のM+H)。
【0104】
適切な中間体を使用して、調製例96の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表19】
【化56】
【0105】
CH
2Cl
2(100mL)中の(S)−4−イソプロピル−3−(2−(((S)−1−(4−(ピペラジン−1−イルメチル)フェニル)エチル)アミノ)ピリミジン−4−イル)オキサゾリジン−2−オン(4.6g、11mmol)の溶液に0℃で塩化アクリロイル(0.97mL、12mmol)を添加する。15分後、飽和NaHCO
3水溶液を添加し、冷却浴を取り除く。得られた混合物をブラインでさらに希釈し、CH
2Cl
2(3×)で抽出し、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、濃縮して白色固体を得、これを50〜100%ヘキサン/[アセトン中10%MeOH]で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を白色固体として得る(4.35g、9.1mmol、84%)。ES/MS(m/z):479(M+H)。
【0106】
適切な中間体を使用して、実施例1の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表20-1】
【表20-2】
【表20-3】
【化57】
【0107】
CH
2Cl
2(30mL)中の(4S)−3−[2−[[(1S)−1−[4−[2−シクロプロピル−1−ピペラジン−1−イル−エチル]フェニル]エチル]アミノ]ピリミジン−4−イル]−4−イソプロピル−オキサゾリジン−2−オン、異性体1(1.665g、3.270mmol)の溶液を0℃に冷却し、CH
2Cl
2(3mL)中の塩化アクリロイル(306μL、3.760mmol)溶液で滴下処理し、室温で撹拌する。混合物をMeOH(約3mL)、次いで水性重炭酸ナトリウムでクエンチし、室温に温める。層を分離し、水層を3×CH
2Cl
2で抽出する。有機抽出物を合わせ、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、粗生成物を得る。粗物質をヘキサン中20〜40%の勾配(アセトン中10%MeOH)で溶出するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製して、標記化合物を非晶質固体として得る(1.304g、74%)。ES/MS m/z 533(M+H)。
【0108】
適切な中間体を使用して、実施例20の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表21】
【化58】
【0109】
CH
2Cl
2(約50mL)中の3−[2−[[(1S)−1−[4−[2−シクロプロピル−1−ピペラジン−1−イル−エチル]フェニル]エチル]アミノ]−6−フルオロ−ピリミジン−4−イル]−4,4−ジメチル−オキサゾリジン−2−オン、異性体1二塩酸塩(1.118g、1.811mmol、90質量%)の溶液を飽和NaHCO
3で処理し、層を分離する。水層を追加の2×CH
2Cl
2で抽出し、合わせた有機物をNa
2SO
4で乾燥させる。このCH
2Cl
2溶液(約100mL)を0℃に冷却し、CH
2Cl
2(1mL)中の塩化アクリロイル(170μL、2.089mmol)の溶液で滴下処理し、0℃で2分間撹拌する。混合物をMeOH(約1mL)でクエンチし、飽和NaHCO
3で希釈し
、室温まで温める。反応物を2×CH
2Cl
2で抽出する。有機抽出物を合わせ、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、ヘキサン中の10%〜30%(アセトン中10%MeOH)のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を(870mg、89%)を白色非晶質固体として得る。ES/MS m/z 537(M+H)。
【0110】
適切な中間体を使用して、実施例22の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表22】
【化59】
【0111】
3−[6−アミノ−2−[[(1S)−1−[4−[1−ピペラジン−1−イルプロピル]フェニル]エチル]アミノ]ピリミジン−4−イル]−4,4−ジメチル−オキサゾリジン−2−オン、異性体1(1.26g、2.78mmol)のCH
2Cl
2溶液(24mL)を氷浴で冷却する。冷時、溶液を塩化アクリロイル(224μL、2.75mmol)のCH
2Cl
2溶液(1mL)でシリンジを介して滴下処理し、粘稠な油状沈殿物を得る。懸濁液を−78℃に冷却し、TEA(387μL、2.78mmol)で処理し、−78℃で15分間撹拌する。反応をMeOH(1mL)でクエンチし、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、室温まで温める。層を分離し、水層を2×CH
2Cl
2で抽出する。有機抽出物を合わせ、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去する。粗物質をCH
2Cl
2中の2%〜5%MeOHの勾配で溶出するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、白色非晶質固体として標記化合物(855mg、59%)を得る。ES/MS m/z 508(M+H)。
【0112】
適切な中間体を用いて、実施例24の方法と本質的に同じ方法で、以下の化合物を調製する。
【表23】
【化60】
【0113】
CH
2Cl
2(5mL)中の(4R)−3−[2−[[(1S)−1−[4−(2−シクロプロピル−1−ピペラジン−1−イル−エチル)フェニル]エチル]アミノ]ピリミジン−4−イル]−4−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]オキサゾリジン−2−オン(176mg、0.3589mmol)の溶液に塩化アクリロイル(CH
2Cl
2中1.23M、0.292mL、0.3589mmol)を添加し、ドライアイスアセトン浴中で冷却する。約20分後、混合物をCH
2Cl
2と飽和重炭酸ナトリウム溶液との間で分配する。有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮する。粗残渣をCH
2Cl
2中の10%〜70%[EtOAc中10%MeOH]で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、標題化合物を白色固体として得た(199mg、100%)。ES/MS(m/z):535.4(M+H)。
【0114】
癌は、その開始および進行が、細胞および組織の微環境におけるDNA修復、ゲノム安定性、細胞増殖、細胞死、癒着、脈管形成、浸潤、および転移を調整する1つ以上の遺伝子の異常機能によって誘発される疾患の異種集合として次第に認識されている。「癌」遺伝子の変異体または異常機能は、ゲノムの複写数の変化(増幅、抹消、染色体消失、または重複による)自然発生したDNA多型、(無秩序な遺伝子発現を引き起こす染色体転座、転移、または他の再構成による)遺伝子及び染色体構造の変化及び点突然変異に起因する可能性がある。癌腫瘍は、1つの異常遺伝子機能によって誘発され、同じ異常遺伝子機能によって保持される、またはさらなる異常遺伝子機能によって保持および進行する可能性がある。
【0115】
上記の遺伝的染色体異常以外に、それぞれの癌は、アセチル化、メチル化、またはリン酸化によるDNAメチル化、ゲノム刷り込み、およびヒストン修飾を含むゲノムの後成的修飾も含む可能性がある。後成的修飾は、悪性腫瘍の誘発および/または保持に関与する可能性がある。
【0116】
ヒト癌における細胞遺伝学的異常の広範なカタログは、蓄積され、保持され、定期的にオンラインにアップデートされている(US National Cancer Institute(NCI)Cancer Genome Anatomy Project(CGAP)のウェブサイトで、The Mitelman Database of Chromosome Aberrationsを参照されたい。)。The Wellcome Trust Sanger Institute Cancer Genome Projectと同様にCOSMIC(Catalogue of Somatic Mutations in Cancer)のヒト癌における体細胞突然変異のデータベースも、腫瘍形成の原因となる全ヒト遺伝子の「癌遺伝子調査」の詳細を保持している。様々な癌の原因となる細胞遺伝学的変化に関する豊富な情報を含むさらなる情報源は、Atlas of Genetics and Cytogenetics in Oncology and Haematologyである。
【0117】
生検による癌性悪性腫瘍の診断は、免疫表現型検査および他の試験が知られており、定期的に使用される。高解像度染色体分染法および高度染色体画像技術に加えて、癌が疑われる場合の染色体染異常は、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、核型分析、スペクトル型分析(SKY)、多重FISH(M−FISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)、一塩基多型アレイ(SNPチップ)などの細胞遺伝学的分析、ならびに当業者によって使用される他の診断法および既知の分析試験から測定することができる。
【0118】
複数の癌腫瘍型において確認されているIDH1における突然変異としては、神経膠腫、多形性神経膠芽細胞腫(GBM)、星状細胞腫、乏突起膠腫、傍神経節腫、骨髄異形成症候群(MDS)、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL)、甲状腺、結腸直腸、急性骨髄性白血病(AML)、Dang et al.,Trends Mol.Med.,2010,16:387−397;Ward et al.,Oncogene,2012,31(19):2491−2498;melanoma,Shibata et al.,Am.J. Pathol.,2010,178(3):1395−1402;prostate,Flaherty et al.,J.Clin.Oncol.,2014,32(suppl.4;Abstract 213);Cairns et al.,Cancer Discovery,2013,3:730−741;chondrosarcoma and cholangiocarcinoma,Balss et al.,Acta Neuropathol.,2012,124:883−891;Cairns et al.,Cancer Discovery,2013,3:730−741;angioimmunoblastic T−cell lymphoma(AITL),Cairns et al.Blood,2012.119(8):1901−1903、が挙げられるが、これらに限定されない。突然変異は、活性部位の特定の残基または付近に見られる:IDH1のG97D、R100、R132H、R132C、R132S、R132V、R132G、V71I、R132L、およびG123R、Dang et al.,Trends Mol.Med.,2010,16:387−397;Ward et al.,2012および補足表2。
【0119】
IDH1の変異形態は、α−ケトグルタレートを2−ヒドロキシグルタレートに還元する新形態活性(機能獲得)を有することを示している。2−ヒドロキシグルタレートの内因性生成は、エナンチオ特異的であり、D−エナンチオマー((R)エナンチオマーとも称される)の生成をもたらす。通常、細胞の2−ヒドロキシグルタレートは低レベルを有するが、IDH1の突然変異が隠れている細胞の2−ヒドロキシグルタレートは著しく上昇したレベルを明示する。2−ヒドロキシグルタレートの著しく上昇したレベルは、突然変異が隠れている腫瘍、及び変異体IDH1を有する患者の血漿中で検出される。高レベル2−ヒドロキシグルタレートは、強化された腫瘍形成につながる分化においてブロックをもたらす高メチル化表現型と関連する。
【0120】
特異的な不可逆共有結合性阻害剤の活性は、K
Iで定義される標的(IDH1)へのその結合によって定義され、K
inactで定義される共有結合形成の最大潜在速度によって定義される。これらの2つの要素は、分離したものではなく、むしろ共有結合形成の所望の効果を生むために共に作用する。このことは、以下の3点で説明する。
【0121】
第1に、求電子剤、例えばアクリルアミドが、求核試薬、例えばシステインに対して適切に配置されなければならないという事実は、有機化学において共有結合形成の基本要素である。共有結合を形成するために、求核試薬が求電子剤に近づかなければならない正確な角度および距離がある。求核試薬近くの求電子剤の単純配置は、共有結合形成には十分ではない。
【0122】
第2に、酵素への阻害剤の結合を安定化するために水素結合部分を含むコア、例えば配向コアに反応性基を組み込む場合、当業者は、どのように配向コアを標的に結合し、上記の最適角度および距離を考慮して求核試薬に対して求電子剤を配置するかを検討しなくてはならない。繰り返すが、求核試薬近くの求電子剤の単純配置は、共有結合形成には十分ではない。配向コアの変更は、共有結合を形成するための阻害剤化合物の能力に影響する可能性がある。
【0123】
第3に、上記の2つの点を共に考えると、配向コアに求電子剤部分がわずかに存在することでは、共有結合が形成されることを示唆するのに十分ではない。
【0124】
以下の生体外および生体内研究は、変異体IDH1タンパク質阻害活性および様々な特異的な癌細胞株に対する式Iの試験化合物の有効性を実証している。これらのアッセイは、一般に、これらの突然変異型IDH1酵素を有する癌細胞を含む増殖性新生物に対するヒト臨床的治療活性を予測するものとして当業者に認識されている。変異体IDH1阻害活性および有効性を明示するアッセイは、実質的に以下の通りに、または同様のデータをもたらす同様のアッセイによって実施されてよい。
【0125】
以下のアッセイの結果は、例示され、試験された化合物がIDH1変異体阻害剤として有用であり、共有結合性阻害剤であり、変異体IDH1を発現する癌治療において有用である可能性があることを実証する。特定の技術化合物を試験する以下の各アッセイでは、追加の技術化合物を作製し、試験し、同様のデータを得る。
【0126】
IDH1およびIDH2変異体酵素の生化学的アッセイ
IDH1−R132H、IDH1−R132C、IDH2−R172KおよびIDH2−R140Q変異体酵素は、αKGから2HGへの変換を触媒する。2HGを、インライン固相抽出および質量分析を使用して分析する。この分析は、6460三連四重極質量分析計(G6460A Agilent)と結合したRapidFire(登録商標)機器において実施される。
【0127】
N−末端His−タグを含有するIDH1変異体(R132HおよびR132C)ならびにIDH2変異体(R140QおよびR172K)タンパク質を、E.coliで発現させ、一般的に使用され、当業者に周知の方法によって、ニッケル親和性クロマトグラフィーを使用して精製する。酵素アッセイを、100mMのTris−HCl緩衝剤、1mMのDTT、0.005%TRITON(商標)X−100、120mMのNaClを含有するV底96ウェルポリプロピレンプレートで実施する。IDH1 R132Hに関しては、α−ケトグルタレート、NADPHおよびMnCl
2を、それぞれ300μM、2.5μMおよび300μMの最終濃度で含ませる。IDH1 R132Cに関しては、α−ケトグルタレート、NADPHおよびMnCl
2を、それぞれ100μM、10μMおよび100μMの最終濃度で含ませる。IDH2 R172Kに関しては、α−ケトグルタレート、NADPHおよびMnCl
2を、それぞれ150μM、10μMおよび150μMの最終濃度で含ませる。IDH2 R140Qに関しては、α−ケトグルタレート、NADPHおよびMnCl
2を、それぞれ300μM、10μMおよび100μMの最終濃度で含ませる。最終pH=7.0。DMSO原料中に溶解させた試験化合物を、4%の最終DMSO濃度で、反応混合物中に希釈する。化合物を、用量応答形式で試験する。酵素を添加することによりアッセイを開始する。酵素を以下の最終濃度で使用する:IDH1 R132H、2nM、IDH1 R132C、0.5nM、IDH2 R172K、1.2nM、IDH2 R140Q、1.2nM、ならびにアッセイを以下の時間継続させる:IDH−1 R132Cについては40分、IDH−1HR132Hについては60分、IDH−2172KおよびIDH−2 R140Q酵素については50分。反応物を、質量分析法分析および反応生成物の定量化のための内部標準として、d
5−3HGを含有するACN(50:50)を添加することによってクエンチする。クエンチした試料中の2HGを、強力アニオン交換カラムクロマトグラフィー(Phenomenex Strata−X−A SecurityGuard、4×3mm)を使用して分離し、6460三連四重極質量分析計(G6460A Agilent)における質量分析によって分析する。検出された2HG信号を、既知の2HG濃度を使用して生成した検量曲線を使用して、分析対象濃度に変換する。試験した各化合物の%阻害を、DMSO対照試料を0%阻害として、酵素なしの対照を100%阻害として使用し、計算する。IC
50値を、4−パラメータ計算式を使用して異なる化合物濃度での個々の阻害値%から得る。これらの計算を、Activity Base(IDBS)またはScreener(Genedata)データ分析プログラムを使用して実施する。
【0128】
このアッセイの結果は、例示され、試験された化合物が、IHD1/R132HおよびIDH1/R132Cに対する変異体IDH1活性を阻害することを実証する。
【0129】
以下の実施例は、実際に上記の通りに試験され、以下の表22に示されるように、変異体IDH1に対する活性を示し、変異体IDH2よりも変異体IDH1に対して選択的である(変異体IDH2対するデータは示されていない)。
【表24】
【0130】
平均は
+SEMである(SEMは平均の標準誤差を指す)
*技術化合物、WO13/046136の実施例番号556と同様に調製した(4S)−3−(2−{[(1S)−1−{4−[(4−アセチルピペラジン−1−イル)メチル]フェニル}エチル]アミノ}ピリミジン−4−イル)−4−(プロパン−2−イル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン。
【0131】
このアッセイの結果は、表22に列挙した実施例の化合物が、IDH1 R132HまたはR132C変異体酵素と比較して、IDH1野生型酵素の阻害で活性がより少ないことを実証する。
【0132】
IDH1(R132H)生化学的ジャンプ希釈アッセイ
凍結乾燥した実施例の化合物を、100%DMSOで10mMまたは100mMに還元し、室温で試験まで保管した。IDH1(R132H)−Hisタンパク質が発現し、当業者に周知で、一般に使用される方法によって精製した。アッセイ試薬は以下を含む:α−ケトグルタル酸(Sigma Cat番号K1875)、MnCl
2−Fisher Scientific Cat番号M87−100、NADPH−Sigma−Aldrich Cat番号N7505、Tris−HCl(Invitrogen、Cat番号15567−027)、NaCl(Sigma、S3014)、ジチオスレイトール(Sigma、D5545)、及びTritonX100(Peirce、28314)。Promega(G9061)からのNAD(P)H−Glo(商標)キット。
【0133】
全体を通して使用したアッセイ緩衝剤は、100mMのTris−HCl pH7.0、120mMのNaCl、1mMのDTT、0.005%のTriton X−100、および(試験化合物の添加による)2%のDMSOを含む。各化合物のIC
50を、アッセイ緩衝剤中の1.5nMのIDH1(R132H)、1mMのα−ケトグルタレート、1mMのMnCl
2、および15μMのNADPHと共に、Echo555で調製した化合物の反応の用量をインキュベーションすることによって決定する。反応物を、室温で2時間インキュベーションし、次に6−シクロプロピル−5−(イソキノリン−5−イル)−2−[(3R)−4−(3−メトキシプロパノイル)−3−メチルピペラジン−1−イル]ピリジン−3−カルボニトリル(10μM)を使用して停止する。NADPH濃度を、NAD(P)H−Glo(商標)キットを使用して、製造業者によって明記された通りに測定する。発光信号を、Envision(Perkin Elmer;0.1秒/Luminescense Mirror/Lum700 WL400−700フィルター)上で読み取った。それに続くジャンプ希釈実験において、10×IC
50に相当する化合物濃度を、100nMのIDH1(R132H)で予めインクベーションした。化合物の濃度は、常に酵素濃度以上である。室温で2時間後、この混合物を、α−ケトグルタレート(10mM)、MnCl
2(10mM)、およびNADPH(15μM)を含有する溶液に希釈する(1:100)。この最終酵素反応は、1nMのIDH1(R132H)および0.1×[IC
50]を含有する。室温で2時間インキュベーションした後、NADPH濃度を、6−シクロプロピル−5−(イソキノリン−5−イル)−2−[(3R)−4−(3−メトキシプロパノイル)−3−メチルピペラジン−1−イル]ピリジン−3−カルボニトリルおよびNAD(P)H−Glo(商標)キットを使用して、上記で特定したように測定する。3つの対照を含む:1)1mMのα−ケトグルタレート、1mMのMnCl
2、および15μMのNADPHが、酵素活性を測定する最終アッセイにおいて使用されることを除き、プレインキュベーションおよび酵素アッセイにおいて10×IC
50の化合物を含有する「10×対照」、2)プレインキュベーションおよび酵素アッセイの両方の化合物の代わりにDMSOを含有する「最大活性対照」、3)プレインキュベーションにおける化合物の代わりにDMSOおよび酵素アッセイにおける0.1×IC
50の化合物を含有する「0.1×対照」。「最少活性対照」は酵素を欠くが、それ以外は「最大活性対照」に相当するものが含まれる。最大および最少活性対照の第2セットを、1mMのα−ケトグルタレート、1mMのMnCl
2、および15μMのNADPHを使用して実施する。各アッセイ条件を3連で試験し、最大活性対照(10mM)および最少活性対照(10mM)については32回繰り返す一方、最大活性対照(1mM)および最少活性対照(1mM)については16回繰り返す。
【0134】
各実験/対照において生成されたNADP(生成物)の濃度を、15μMのNADPHを含有する、最少活性対照に対して観察された信号における減少のパーセントを使用して測定する。最少活性対照(1mMおよび10mM)ならびに、最大活性対照(1mMおよび10mM)を平均化し、それぞれの標準偏差を計算する。各ジャンプ希釈および0.1×対照の信号に15を掛け、次に最少活性対照(10mM)ウェルの平均数で割る。15からこの数を引き、NADP(μM生成物)を計算する。10×対照に同じ計算を使用したが、最少活性対照(1mM)を使用する。最大活性対照(1mMおよび10mM)の生成物のμモルを、平均数に15を掛け、次にそれぞれの最少活性対照(1mMおよび10mM)で割り、計算する。化合物のジャンプ希釈、10×対照、および0.1×対照のIDH活性%を、各ウェルのμM NADPを平均最大活性対照(1mMまたは10mM)で割り、次に100を掛けて算出する。合格する化合物は、プレインキュベーション濃度が化合物で酵素を飽和するのに十分であることを示す、10×対照の<30%活性を示さなければならない。加えて、化合物は、0.1×/希釈化合物濃度で阻害のないことを立証する、0.1×対照の70〜80%>活性を示さなければならない。
【0135】
以下の実施例は、実際に上記の通りに試験され、以下の表23に示されるようにこのアッセイにおいて、変異体IDH1/R132Hに対して回復データ%を示す。
【0136】
以下に示す希釈2時間後に回復%を有し、酵素を阻害しなかった技術化合物とは対照的に、以下に示す実施例は、希釈2時間後に酵素を阻害する。
【表25】
【0137】
*技術化合物、WO13/046136の実施例番号556と同様に調製した(4S)−3−(2−{[(1S)−1−{4−[(4−アセチルピペラジン−1−イル)メチル]フェニル}エチル]アミノ}ピリミジン−4−イル)−4−(プロパン−2−イル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン。
【0138】
このデータは、化合物が、阻害剤の希釈が酵素活性の回復を生じさせないことから、変異体IDH1の共有結合阻害と一致する方法で作用することを実証する。
【0139】
野生型IDH1およびIDH2酵素の生化学的アッセイ
IDH1およびIDH2酵素は、イソクエン酸のαKGへの変換を触媒する。
N−末端His−タグを含有する野生型IDH1(National Center for Biotechnology Information,Accession:NP_001269316.1)およびIDH2(National Center for Biotechnology Information,Accession:EAX02082.1)タンパク質は、E.coliで発現させ、一般的に使用され、当業者に周知の方法によって、ニッケル親和性クロマトグラフィーを使用して精製する。酵素アッセイを、pH7.5の100mMのTris−HCl緩衝剤、1mMのDTT、0.005%TRITON(商標)X−100、120mMのNaClを含有するV底96ウェルポリプロピレンプレートで実施する。IDH1野生型アッセイに対しイソクエン酸、NADP
+およびMnCl
2を、それぞれ85 μM、50 μMおよび20 μMの濃度で含ませる。IDH2野生型アッセイに対しイソクエン酸、NADP
+およびMnCl
2を、それぞれ30μ M、50μMおよび10μMの濃度で含ませる。DMSO原液中に溶解された阻害剤を、4%の最終DMSO濃度で、反応混合物中に希釈する。酵素アッセイを、質量分析法分析のために内部標準としてd(d
6−αKG)を含有するACN(50:50)を添加することによって終了(クエンチ)する。反応混合物の10マイクロリットルと、水100μL、ピリジン緩衝剤(8.6%ピリジン、pH5)中1MのO−ベンジルヒドロキシアミン50μL、およびピリジン緩衝剤中1MのEDC50μLとを合わせる。室温で1時間、誘導体化した後、試料をEtOAc(600 μL)で抽出する。上層の400μLを除去し、加熱窒素下にて乾燥させ、MeOH/水(1:1) (100 μL)で再構成する。誘導体化試料10μLを、Shimadzu Prominence 20A HPLCシステムおよびThermo Quantum Ultra(商標)三連四重極質量分析計からなるLC−MSシステムに注入する。分析対象を、0.6mL/分の流速を用いてWaters XBridge(商標)C18カラムで(2.1×50mm、3.5μm)分離する。移動相Aは0.1%ギ酸水であり、移動相BはMeOHである。検出されたαKG信号を、既知のαKG濃度を使用して発生させた検量曲線を使用して、分析対象濃度に変換する。試験した各化合物の%阻害を、DMSO対照試料を0%阻害として、触媒なしの対照を100%阻害として使用し、計算する。IC
50値を、4−パラメータ計算式を使用した異なる化合物濃度で、個々の阻害値%から得る。これらの計算を、Activity Base(IDBS)またはScreener(Genedata)データ分析プログラムを使用して実施する。
【0140】
表24における以下の実施例は、IDH1およびIDH2突然変異体酵素についての生化学的アッセイについて上述したように本質的に試験し、IDH1 R132HまたはR132C突然変異体酵素と比較してIDH1野生型酵素を阻害する活性はより低い。
【表26】
【0141】
平均=
+SEM(SEM=平均の標準誤差)
IDH1変異体阻害剤の細胞系アッセイ
IDH1変異体R132Cの細胞阻害を試験するために、線維肉腫細胞株HT1080(ATCCから購入)を、使用する。R132H突然変異の細胞系阻害を試験するために、U87MG神経膠腫細胞株(ATCC)を、当業者によってよく知られ、日常的に使用される方法によって調製されたR132H変異体酵素を発現するDNA構築物で安定的に導入する。
【0142】
HT1080細胞アッセイ
化合物で処理する18〜24時間前に、15,000個の細胞を、ポリ−D−lysコーティング96ウェルプレート(15,000細胞/ウェル)に蒔く。化合物処理の4時間前に、細胞を、通常培地から取り出し、グルタミンなしの培地に置き換えることによってグルタミン欠乏にする。欠乏に続き、次に細胞を、0.2%の最終濃度で、DMSOを含有するグルタミンなしの培地に溶解した、異なる濃度の試験化合物(20μM〜1nM)で処理する。初期の化合物インキュベーションは、37℃/5%CO
2で1時間である。1時間後、最終の2mM濃度にグルタミンを添加し、次に処理細胞をさらに37℃/5%CO
2で18時間インキュベーションする。18時間インキュベーションした後、細胞溶解物で細胞内2HGおよびαKGを分析する。培地から取り出した後、pH7.5、25mMのTris−HCl、150mMのNaCl、1mMのEDTA、1mMのEGTA/1%Triton−X100を含有する緩衝剤を細胞に加えて溶解物を調製する。溶解物のアリコートを、d
6−αKGとd
5−3HGとの混合物に内部標準として添加し、混合物を、EDCおよびピリジンの存在下においてO−ベンジルヒドロキシルアミンで処理する。次に、分析対象誘導体を、EtOAcで抽出し、乾燥させ、次いで50%MeOH水で再構成する。記載された通りに調製した試料を、HPLCに注入し、C18カラムにおける逆相クロマトグラフィーを使用して、2HGとαKG誘導体(および対応する内部標準)とを分離する。試料の分析を、6460三連四重極質量分析計(G6460A Agilent)を使用して実施する。検出された2HGおよびαKGの信号を、検量曲線内で外挿したαKG/d
6−αKGの比率、および2HG/d
5−3HGの比率を使用して分析対象の濃度へと変換する。各々個々の試料のパーセント阻害を、化合物で細胞処理中にグルタミンの存在下および欠如下で得た最大基準および最小基準に、計算した2HGまたはaKG濃度を正規化した後に得る。IC
50値を、S字型用量応答4−パラメータ計算式を使用して個々の%阻害から得る。これらの計算を、Activity Base(IDBS)またはScreener(Genedata)データ分析プログラムを使用して、自動的に実施する。
【0143】
このアッセイの結果は、このアッセイの細胞において、表25の試験実施例が、2−ヒドロキシグルタレートの生成を阻害し、変異体IDH1 R132Cの阻害を示していることを実証する。このアッセイの細胞において、野生型IDH1によって生成された代謝物質αKGが、阻害剤によって影響されず、化合物が、野生型IDH1よりも変異体IDH1に対して選択的であることを示している。以下の実施例で得られたIC
50値を、表25に示す。
【表27】
【0144】
平均=
+SEM(SEM=平均の標準誤差)
*技術化合物、WO13/046136の実施例番号556と同様に調製した(4S)−3−(2−{[(1S)−1−{4−[(4−アセチルピペラジン−1−イル)メチル]フェニル}エチル]アミノ}ピリミジン−4−イル)−4−(プロパン−2−イル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン。
【0145】
U87MG/IDH1R132Hの細胞アッセイ
化合物で処理する18〜24時間前に、細胞をポリ−D−lysコーティング96ウェルプレート(12,000細胞/ウェル)に蒔く。化合物処理の4時間前に、細胞を、通常培地から除去し、グルタミンなしの培地に置き換えることによってグルタミン欠乏にする。欠乏に続き、次に細胞を、0.2%の最終濃度で、DMSOを含有するグルタミンなしの培地に溶解した、異なる濃度の試験化合物(20μM〜1nM)で処理する。初期の化合物インキュベーションは、37℃/5%CO
2で1時間である。1時間後、最終の2mM濃度にグルタミンを添加し、次に処理細胞をさらに37℃/5%CO
2で18時間インキュベーションする。細胞内の2HGを、培地から取り出し、溶解緩衝剤(pH7.5、25mMのTris−HCl、150mMのNaCl、1mMのEDTA、1mMのEGTA/1%Triton−X100)で処理後に得られた細胞溶解物で分析する。細胞溶解物を、処理するまで−80℃で保存する。分析対象抽出用に、解凍溶解物のアリコートを、深い96ウェルプレートに移し、内部標準としてd
5−3HGを含有する冷MeOH、続いてクロロホルムおよびH
2O(1:4:3:2)で処理する。分離後に上部相を収集し、HPLCに注入し、6460三連四重極質量分析計においてMS/MS検出と結合した親水性相互作用(HILIC)クロマトグラフィーを使用して、2HG(及び内部標準)を分離した。各々個々の試料のパーセント阻害は、計算した2HG濃度を、化合物で細胞処理中にグルタミンの存在下および欠如下で得た最大基準および最小基準に正規化した後に得る。IC
50値を、S字型用量応答4−パラメータ計算式を使用して個々の%阻害から得る。これらの計算を、Activity Base(IDBS)またはScreener(Genedata)データ分析プログラムを使用して、自動的に実施する。
【0146】
以下の実施例は、基本的に上記の通りに試験され、以下の表26に示されるようにこのアッセイにおいて、U87MG細胞中の変異体IDH1/R132Hに対して阻害活性を示す。
【表28】
【0147】
平均=
+SEM(SEM=平均の標準誤差)
*技術化合物、WO13/046136の実施例番号556と同様に調製した(4S)−3−(2−{[(1S)−1−{4−[(4−アセチルピペラジン−1−イル)メチル]フェニル}エチル]アミノ}ピリミジン−4−イル)−4−(プロパン−2−イル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン。
【0148】
生体内2−ヒドロキシグルタレートのアッセイ
IDH1阻害剤の生体内試験用に、TB08−0537(TB08)細胞(R132H変異体IDH1を有する二次神経膠芽細胞腫、ヘテロ接合性ヒト、WO2013/086506)の移植後に、胸腺欠損ヌードマウス(20〜22g、Harlan Laboratories)において皮下異種移植片腫瘍を増殖させる。細胞移植の前に、マウスに自由に餌と水を与え1週間順応させる。TB08を、右後ろわき腹に直接腫瘍断片として移植する。腫瘍の大きさを、カリパスで週に2回測定し、腫瘍の大きさを、0.536×L×W
2を使用して計算する(式中、L=長さ、W=幅)。腫瘍の大きさが、150〜400mm
3に達した時点で、動物を無作為化し、グループに分類し(1グループ当たりn=3〜6)、IDH1阻害剤または賦形剤対照を投与する。IDH1阻害剤に対しては、化合物は、1モル当量の1N HClでpH2にした、25mMのリン酸緩衝液中の20%のCaptisol(登録商標)を含む賦形剤中に処方される。化合物を浴超音波処理し、懸濁液を得る。化合物を、1キロクラム当たり1ミリグラム(mpk)を基準に、0.2mlの最終容量で経口強制飼養により投与する。2HGの阻害を測定するために、化合物を、1日に1回(QD)で6日間(合計投与回数=6)投与する。最後の投与の12時間後、マウスをイソフルラン麻酔および頸椎脱臼で安楽死させる。賦形剤対照マウスには、IDH1阻害剤化合物を添加しないで同じ投与スケジュールが与えられる。腫瘍を切除し、ラベルを貼ったチューブに入れ、直ちに液体窒素で冷凍する。腫瘍を、処理するまで−80℃で保存する。
【0149】
腫瘍溶解物の調製
XY Lite緩衝液を、分子グレード水において調製し、以下の構成成分を含ませる:pH7.5、25mMのTris、150mMのNaCl、1%のTriton X−100、1mMのEDTA、1mMのEGTA。XY Lite(40ml)に、Halt ProteaseとPhosphatase Inhibitorsとの組み合わせ(Halt(商標)ProteaseおよびPhosphatase Inhibitor Cocktail、EDTA−Free Thermo Scientific、Cat番号78441)800μlを添加する。試料をボルテックスし、次に氷上で冷却する。橙色キャップの溶解−Aチューブにラベルを貼り、氷上の棚に置いた。セラミックモルタル及び乳棒をドライアイスに置き、冷却させた。2×2インチ正方形のアルミフォイルを、モルタルの底に置いた。腫瘍試料を、予め冷却したモルタルの正方形のフォイル上に移した。液体窒素(約5ml)を添加し、蒸発させ、腫瘍を超冷凍した。フォイルの別片を、腫瘍の上に置き、腫瘍を粉砕し、セラミック乳棒を用いて小片にした。粉砕した腫瘍を、素早く溶解チューブに移す。氷冷XY Lite(500μL)を、各チューブに添加し、キャップを閉める。次に腫瘍を、MP BiomedicalsのFastPrep−24を使用して、速度を5に設定し、それぞれ35秒で2回、回転させることによって処理する。次に試料を、Beckman Microfuge Rにおいて、4℃で、14,000rpmにて30分間遠心分離する。上澄みを、予め冷却された96の深いウェルプレートに移す。ペレットを廃棄する。
【0150】
タンパク質のアッセイ
タンパク質のアッセイ希釈プレートをまず、XY緩衝剤(145μl)を非滅菌96ウェル丸底Corningプレートに添加することによって作製する。ここに、腫瘍溶解物(5μL)を添加し、緩やかに混合する。プレートを氷上で保持する。BSA開始(Thermo Scientific cat.23209 2mg/mL)の連続希釈を、以下のように設定する:5つの0.5mLチューブを棚に置き、各自にXY緩衝剤(60μL)を添加する。原料のBSA(60μL)を第1のチューブに添加し、ボルテックスする。第1のチューブから60μLを次のチューブに移し、ボルテックスするなど、希釈系列が終了するまでは、以下の通りである:チューブ1=原料BSA、チューブ2〜5は1:2連続希釈、チューブ6=XY緩衝剤のみ。Thermo BCAタンパク質アッセイ試薬を、製造業者の指示に従って混合する。混合BCA試薬(200μL)を、各試料に添加し、15分間インキュベーションする。タンパク質アッセイの結果を、SOFTmax Pro Plate Reader上で読み取る。タンパク質アッセイの結果に基づき、適切な量のXY緩衝剤を、各腫瘍溶解物に添加し、5mg/mLの最終タンパク質濃度が生じた。全試料にラベルを貼り、−80℃で保存する。
【0151】
腫瘍溶解物中の代謝物質分析
2HG及びαKGの合計濃度でのIDH1阻害の生体内効果を、腫瘍異種移植の液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS)分析によって測定した。本方法を、LC−MSによる分析より前に、O−ベンジルヒドロキシルアミンを用いる誘導体化に利用する。各腫瘍溶解物10マイクロリットルを、深いウェルの96ウェルプレートに置き、10μMのd
5−3HGおよび10μMのd
6−αKGを含有する内部標準溶液100μLと合わせる。ピリジン緩衝剤(8.6%ピリジン、pH5)中1MのO−ベンジルヒドロキシルアミン50μLと、ピリジン緩衝剤中1MのEDCの50μLとを、各試料に添加する。誘導体化反応を、室温で1時間進める。Beckman Biomek FXの液体処理器を使用して、600μLのEtOAcを各試料に添加する。プレートを密封し、5分間ボルテックし、次にそれらをEppendorf 5810R遠心器において、4000rpmで5分間遠心分離する。上層の400μLを、新たな96ウェルプレートに移す。試料を、50℃で、加熱窒素下にて乾燥させ、100μLのMeOH/水(1:1)でもどす。誘導体化試料1マイクロリットルを、Shimadzu Prominence 20A HPLCシステムおよびThermo Quantum Ultra(商標)三連四重極質量分析計からなるLCMSシステムに注入する。分析対象を、Water XBridge(商標)C18カラム(2.1×50mm、3.5μm)を使用して、0.6mL/分の流速で分離する。移動相Aは0.1%ギ酸水であり、移動相BはMeOHである。勾配プロファイルは、0分、5%B;3分、100%B;4.00分、100%B;4.1分、5%B;5.50分、停止である。質量分析計は、HESI−IIプローブを利用し、陽イオン選択反応モニタリングモードで操作する。検量曲線を、分析対象濃度の、分析対象/内部標準に対するピーク面積比をプロットすること、Xcalibur(商標)ソフトウェアで計量した1/濃度を使用してデータの二次適合を実施することによって描いた。未知の分析対象濃度を、検量曲線から逆算した。LCMSアッセイからの代謝物質データを、nモル/mgタンパク質で表した。賦形剤処理グループにおける平均2HGレベルを使用して、0%阻害対照を測定した。次に賦形剤対照に対する、各阻害剤処理動物における%阻害を測定した。データをJMPソフトウェアにおいて分析し、各投与グループにおける平均%阻害、標準偏差、および標準誤差を測定する。
【0152】
表27に同定された実施例の化合物によるIDH1変異体異種移植マウスにおける2HGの生体内阻害を実証するデータを示す。
【表29-1】
【表29-2】
【0153】
StdDevは標準偏差を指す。Std Err Meanは平均の標準誤差を指す。
【0154】
*技術化合物、WO13/046136の実施例番号556と同様に調製した(4S)−3−(2−{[(1S)−1−{4−[(4−アセチルピペラジン−1−イル)メチル]フェニル}エチル]アミノ}ピリミジン−4−イル)−4−(プロパン−2−イル)−1,3−オキサゾリジン−2−オン。