特許第6682061号(P6682061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 石井 孝の特許一覧

<>
  • 特許6682061-パッキン型逆止弁 図000002
  • 特許6682061-パッキン型逆止弁 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6682061
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】パッキン型逆止弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/14 20060101AFI20200406BHJP
【FI】
   F16K15/14 D
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2019-76178(P2019-76178)
(22)【出願日】2019年4月12日
【審査請求日】2019年4月12日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】305060969
【氏名又は名称】石井 孝
(72)【発明者】
【氏名】石井 孝
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−162175(JP,U)
【文献】 実開昭56−065266(JP,U)
【文献】 特開昭54−105326(JP,A)
【文献】 実開昭55−072635(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0219108(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/00−15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体(1)はパッキン(3)と同じ円形の外径寸法であり、外周のみ弁座(2)を包み込むように段差があり、弾性変形する均一な肉厚で板状であり、パッキン(3)の内径寸法より内側へ流体が通過する弁体穴(1−1)が数個あり、配管端面に当たる外周はパッキンの役目をする弁体(1)であり、
弁座(2)はパッキン(3)と同じ円形の外径と内径の中間の寸法であり、パッキン(3)の内径寸法より内側へ流体が通過する弁座穴(2−1)が数個あり、板状で均一な肉厚で流体の圧力では変形しない弁座(2)であり、弁座穴(2−1)と弁体穴(1−1)の位置が流れる方向に一致せずずれており、
パッキン(3)は配管の内径寸法且つ外径寸法に合致した寸法で、ドーナツ型のパッキン効果のある均一な肉厚で板状であり、
下流側から、弁体(1)と弁座(2)とパッキン(3)が連続してあり、外周で密着し一体化し、外ネジの配管と袋ナットの内側の配管の間に位置する、ことを特徴とするパッキン型逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おもに家庭用の混合栓の偏芯管と混合栓本体の間に、後付けした分岐金具を設置し分岐した時、混合栓本体から分岐側に逆流を防止するための逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明はおもに家庭用に使用する混合栓などの分岐の時、偏芯管に分岐金具を後付けするが後付け位置により逆流を防止することができず、湯側に水が逆流することなどがある。これを防止するためには特許文献1の逆止弁や他の方法の数センチ長さがあるニップル型やソケット型等の逆止弁を使用する必要があったが、特許文献1の逆止弁では弁座の片面は弁体がありパッキン効果があるが、反対面の板状の弁座に直接配管端面が当たると、パッキン効果がなく水漏れの原因になり、他の方法の数センチある逆止弁を使用すると、偏芯管から分岐金具や逆止弁を後付けするので、混合栓本体までの長さが長く外観を損なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平03−004077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
おもに家庭用の混合栓の偏芯管と混合栓本体の間に、後付けした分岐金具を設置し分岐した時、水漏れや外観を損なわないように薄型でパッキンとして使用できる逆止弁が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
逆止弁をパッキンとして使用できるように薄いパッキン、弁座、弁体、3層の構造にし、パッキンと弁体で弁座を挟む構造であり、3層で一般的なパッキンと同等の肉厚にすることが望まれ、パッキン、弁座、弁体は、それぞれ外周が密着し一体構造であり、下流方向に流体が通過し逆流方向には通過できない構造である。
【発明の効果】
【0006】
構造が簡単であり、安価に製造ができ大量生産に向いていると考えられ、混合栓の後付けした分岐金具の本流のすぐ下流側接続部に取り付けする等の逆止弁として、幅広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】パッキン型逆止弁、(上の図は1〜3の部品図)、(下の図は上の部品の一体化断面図)
図2】シャワー付き混合栓と後付け分岐金具とパッキン型逆止弁の位置
【符号の説明】
【0008】
1 弁体
1−1 弁体穴(下の図の弁体穴は1個のみ残りは省略)
2 弁座
2−1 弁座穴(下の図の弁座穴は1個のみ残りは省略)
3 パッキン
【発明を実施するための形態】
【0009】
弁体(1) :特許文献1(図1、請求項1)記載の弁体には薄肉部があり、その部分のみ大きく屈伸を繰り返すことで劣化の原因になり、弁体の寿命が短くなる可能性がある。弁体は均一な肉厚にすることで屈伸が一部に集中せず劣化が遅れ、弁体の利点になると考えられる。
図1,2から、パッキンと同じ円形の外径寸法、または、外周のみ弁座を包み込むように段差(図1下の図)があり、パッキンの内径より内側へ流体が通過する弁体穴が数個あり、弁座穴と弁体穴の位置が流れの方向で一致せずずれることで、通常の流体の流れの時、上流の配管から分岐側と本流側の混合栓へ流れるが、途中のパッキン型逆止弁の流れは、パッキンを通過し、弁座の弁座穴を通過し、下流側の弾性変形する弁体を流体の圧力で押し開き、弁座と弁体との隙間を通過し、弁体穴を通過し、その後下流の配管へ流れる。逆の流れの時は、下流の配管から流れた流体が弁体を押すが、流れの方向で弁体穴と弁座穴の位置がずれているため、弁体の弁体穴のない部分を弁座穴に押し付けても弁座は変形せず、弾性変形する弁体が弁座穴に押し付けられ蓋をし、流体の流れを防ぐため逆流はできず、配管端面に当たる外周はパッキンの役目をする弁体である。
弁座(2) :肉厚が薄く変形せず、ほぼ錆等変質しない円形の板状であり、パッキンの外径と同じ寸法、または、パッキンの外径と内径の中間の外径寸法であり、パッキンの内径寸法より内側へ流体が通過する弁座穴が数個あり、弁体穴と弁座穴の位置が流れる方向に一致せずずれ、パッキンと弁体の間にある弁座である。特許文献1(図1、請求項1)記載の弁座には材質の記載はなく、もし弁体と同じように弾性変形する材質であれば、逆流する圧力は弁体には穴があるので掛からず、弁座の穴を弁体で塞いでいると弁座に圧力が掛かり、弁座が弾性変形し弁座と弁体は隙間ができ、逆流を防止できず逆止弁の役を果たさない。したがって、弁座は弾性変形してはならない。
弁座穴の小さい穴が数個ある利点は、弁座穴へ逆流する流体を止めるため、弁体が弁座穴に押し当たるが、弁座穴の総面積が同じでも、1個の大きい弁座穴より小さい穴が数個ある方が弁体の変形が小さく抑えられ、弁体の疲労による劣化を遅らせることができ、数個の小さい1個ずつの穴に対して小さな力で逆流を止めることができる。したがって、1個の大きい弁座穴より数個の弁座穴の方が弁体の肉厚を薄くできる可能性がある。
パッキン(3):特許文献1(図1、請求項1)記載には本発明のパッキンに当たるものがなく、配管端面と接触する弁座側から漏れた流体が配管のネジ部から水漏れする可能性があり、本発明の特徴の一つであるパッキンは必要である。本発明のパッキン型逆止弁の肉厚が厚すぎると接続部の配管のネジが届かないことが考えられ、本発明のパッキンは一般的なパッキンよりも肉厚が薄く、本発明のパッキン、弁座、弁体の3層で一般的なパッキンの肉厚になるようなパッキンであり、パッキン効果により水漏れしない。
【実施例1】
【0010】
シャワー付き混合栓本体と湯側の偏芯管の間に後付けした分岐金具を設置し分岐した場合で、シャワーの手元切り替えによる一時停止機能があり、一時停止時にシャワーの手元切り替えで湯配管と水配管の流れを止めているため、混合栓全体に(シャワー、偏芯管、分岐金具等含む)圧力が掛かっており、分岐側の栓を開くと混合栓へ流れるべき湯と水の混合水は後付けした分岐金具の分岐側へ流れ、分岐側が、熱い湯が必要なミストサウナであると、温度が下がり、サウナの役目を果たさない。
しかし、本発明のパッキン型逆止弁を湯側の後付けした分岐金具と混合栓本体の間に下流側へのみ流れるように設置することで、通常のシャワー使用時は、湯は上流の偏芯管から後付けした分岐金具を通り分岐側と混合栓本体両方へ流れ、シャワーの手元切り替えにより一時停止した時は、湯は上流の偏芯管から分岐側に流れるが、混合栓本体からの水の逆流は本発明のパッキン型逆止弁により、混合栓本体にとどまり後付けした分岐金具には流れない、分岐側には湯のみ流れ水が混合することなく熱い湯のままである。
混合栓の水側に後付けした分岐金具を取り付けした場合で、シャワーの手元切り替えで流れを一時停止した時、本発明のパッキン型逆止弁がないと、分岐側に湯が水の混合水となり逆流し、水だけ必要なのに湯を捨ててしまうようなものである。
外ネジ配管と内ネジ配管を接続するとき、パッキン型逆止弁を挟んで配管を回転しネジ込むと、パッキン型逆止弁の弁体がねじれ変形し、弁座と弁体に隙間ができ逆流を防止できない可能性があり、混合栓本体と偏芯管や後付けした分岐金具のような袋ナットを回しても中の配管が回転せず、袋ナットを回して外ネジ配管と接続するものに適している。
【産業上の利用可能性】
【0011】
おもに家庭用の混合栓の湯側の偏芯管と混合栓本体の間に分岐金具を後付け設置し分岐した時、分岐側に水が逆流することを防止するための逆止弁に関するものである。本発明のパッキン型逆止弁は、構造が簡単であり安価に製造ができ大量生産に向いていると考えられ、混合栓等の偏芯管の後付けの分岐部にパッキンとして逆止弁を簡単に取り付けられ、分岐部のすぐ下流の混合栓本体との間の接続部にニップル型やソケット型の逆止弁による配管長さの変化なく、外観を損なうことがなく本発明のパッキン型逆止弁を取り付けすることで、各家庭に幅広く利用でき、作業性にも優れている。産業上の利用の可能性は充分ある。
【要約】
【課題】おもに家庭用の混合栓の湯側の偏芯管と混合栓本体の間に分岐金具を後付け設置し分岐した時、分岐側に水が逆流することを防止するため、逆止弁を薄型でパッキンとして使用できるようにする。
【解決手段】後付けした分岐金具と混合栓本体の間の接続部に配管長さの変化なく外観を損なうことがなく取り付けできるようにした。本発明のパッキン型逆止弁を取り付けすることで、各家庭に幅広く利用でき、作業性にも優れている。
本発明のパッキン、弁座、弁体の3層で一般的なパッキンの肉厚になるようなパッキン型逆止弁であり、構造が簡単且つ安価に製造ができ大量生産に向いていると考えられる。
【選択図】 図1
図1
図2