特許第6682068号(P6682068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682068
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】クリーム絞り用樹脂製口金
(51)【国際特許分類】
   A23G 3/28 20060101AFI20200406BHJP
   A47J 43/28 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   A23G3/28
   A47J43/28
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-205583(P2016-205583)
(22)【出願日】2016年10月19日
(65)【公開番号】特開2018-64506(P2018-64506A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2018年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】520026814
【氏名又は名称】株式会社せき製袋
(74)【代理人】
【識別番号】100110711
【弁理士】
【氏名又は名称】市東 篤
(72)【発明者】
【氏名】関 幸一
【審査官】 山本 匡子
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許第02210502(EP,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0006849(US,A1)
【文献】 特開平09−094067(JP,A)
【文献】 実開昭60−153978(JP,U)
【文献】 実開昭63−202686(JP,U)
【文献】 米国特許第03331535(US,A)
【文献】 登録実用新案第3052212(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G
A47J
FSTA/WPIDS
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面が所定径の円錐状外面の内側に当該底面の所定径より小さい内径部分を円錐台状に凹入させたクリーム取り入れ空隙が形成された樹脂製周壁,及び前記円錐台状空隙の頂面の一部分から前記円錐状外面の頂点まで貫通させた当該頂面の径より小さい口径のクリーム絞り孔を備えてなるクリーム絞り用樹脂製口金。
【請求項2】
請求項1の樹脂製口金において,前記円錐台状空隙の底面からの高さを前記円錐状外面の底面からの高さの4分の3以上としてなるクリーム絞り用樹脂製口金。
【請求項3】
請求項1又は2の樹脂製口金において,前記クリーム絞り孔を,前記円錐台状空隙の頂面中心と前記円錐状外面の頂点との間に設けた直線状の貫通孔としてなるクリーム絞り用樹脂製口金。
【請求項4】
請求項1から3の何れかの樹脂製口金において,前記クリーム絞り孔の断面形状を円形状,多角形状,又は星形状としてなるクリーム絞り用樹脂製口金。
【請求項5】
請求項1から4の何れかの樹脂製口金において,前記クリーム絞り孔と交差する平面と前記円錐状外面との交線に沿って1本以上の環状突起を設けてなるクリーム絞り用樹脂製口金。
【請求項6】
請求項5の樹脂製口金において,前記環状突起の少なくとも1本を,前記クリーム絞り孔の周囲壁の壁厚が最も厚い部分に沿って前記円錐台状空隙の頂面と平行に設けてなるクリーム絞り用樹脂製口金。
【請求項7】
請求項1から6の何れかの樹脂製口金において,前記合成樹脂をポリプロピレンとしてなるクリーム絞り用樹脂製口金。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクリーム絞り用樹脂製口金に関し,とくにクリーム絞り袋の先端に装着してクリームを絞り出すための樹脂製口金に関する。
【背景技術】
【0002】
図6(A)は,ケーキ,ペストリー,クッキー等の洋菓子に生クリーム,バタークリーム,アイシング等(以下,これらをまとめてクリームという)を絞り出してデコレーション(飾り)を施すための絞り袋40の一例を示す。図示例の絞り袋40は,例えば布製,紙製又は樹脂製の二等辺三角形の袋であり,その底辺を開放して投入口41aとし,先端(頂端)を所定大きさカットして口金孔41bとしたものである。図6(A)に示すように,絞り袋40の内側から口金孔41bにクリーム絞り用口金50を装着したのち,投入口41aから絞り袋40内にクリームCを詰め込む。
【0003】
次いで図6(B)に示すように,クリームCを詰め込んだ絞り袋40の側面に握り圧力Fを加えることで口金50の先端(口径φの絞り孔)からクリームCを絞り出し,握り圧力Fを適当に調整しながら口金50を動かすことで洋菓子上にクリームCで所望の文字や模様を描いてデコレーションを仕上げる。図示例の絞り袋40と口金50は,デコレーションを仕上げる場合だけでなく,シュークリームの内部にカスタードクリーム等を絞り入れる場合等にも使用される。
【0004】
従来の一般的なクリーム絞り用口金50はステンレス等の金属製であり,図7(C)のような所定厚さで扇形状の金属薄板52の直線辺53a,53bを溶接して円錐筒状とし,その先端に図7(A)及び(B)のような丸口形,星形等の形状で所要口径φのクリーム絞り孔51a,51bを形成したものである。円錐状口金50は,筆先のような形状となるので,クリームCによる文字や模様を描きやすい利点がある。また,形状や口径の異なる様々な絞り孔51a,51bの円錐状口金50a,50bを用いることにより,多様で見栄えのよいデコレーションを仕上げることができる。
【0005】
他方,合成樹脂を用いて図7(A)及び(B)のような成形した口金50も開発されている。例えば特許文献1は,円錐筒状の先細り周面の先端部に絞り孔が形成された樹脂製口金を開示しており,絞り孔の開口縁に開口の中心に向かう略三角形状の先鋭部と略三角形の切欠溝部とを全周にわたり交互に環状に並列配置することにより,絞り孔を図7(B)のような星形状とすることを開示している。樹脂製口金においても,絞り孔を図7(A)のような丸口形とすることが可能である。金属製の口金50は溶接作業(図7(C)参照)に手間がかかるのに対し,樹脂製の口金は射出成形用の金型を作成しておけば手間をかけずに製造することができ,製造コストも低く抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−094067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし,従来の円錐筒状のクリーム絞り用口金50は,金属製又は樹脂製の何れであっても,絞り孔からクリームCを同じ太さに保ちながら絞り出すことが難しく,デコレーションに熟練を要する問題点がある。上述したように口金50は,絞り袋40に加えた握り圧力Fを先端の一点の絞り孔51に集中させてクリームCを絞り出すものであり,デコレーションに慣れたケーキ職人等であれば,絞り袋40の握り圧力Fの強弱や口金50を動かす速さによって絞り出されるクリームCの太さを調整することができる。他方,デコレーションに不慣れな素人は,例えば口金50を動かす速さに対して握り圧力Fが強くなり,絞り孔51の口径φに比して絞り出されるクリームCが太くなりがちである。素人でも見栄えのよいデコレーションを仕上げることができるように,クリームCを一定の太さで簡単に絞り出すことができる口金の開発が望まれている。
【0008】
本発明者の経験によれば,とくに口金50の絞り孔51が小口径である場合に,デコレーションの見栄えが悪くなりやすい。絞り孔51が比較的大口径(例えば10mm以上)であれば,握り圧力Fが多少変動してもクリームCの太さの変化はあまり気にならないが,絞り孔51が比較的小口径(例えば1〜5mm)であると,握り圧力Fの変動によるクリームCの太さの変化が大きくなり,例えばクリームCで描いた文字や模様の見栄えが悪くなりがちである。素人が見栄えのよいデコレーションを仕上げるためには,絞り孔が小口径であっても絞り出すクリームCの太さの変動を小さく抑えることができるようにすることが有効である。
【0009】
そこで本発明の目的は,絞り孔が小口径であってもクリームを一定の太さで容易に絞り出すことができるクリーム絞り用樹脂製口金を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
図1(A)及び(B)の実施例を参照するに,本発明によるクリーム絞り用樹脂製口金は,底面22が所定径R1の円錐状外面21の内側にその底面22の所定径R1より小さい内径部分24を円錐台状に凹入させたクリーム取り入れ空隙23(図1(C)参照)が形成された樹脂製周壁20,及び円錐台状空隙23の頂面25の一部分から円錐状外面21の頂点まで貫通させた頂面25の径R3より小さい口径φのクリーム絞り孔30を備えてなるものである。
【0011】
好ましい実施例では,図示例のように,円錐台状空隙23の底面24からの高さH2を円錐状外面21の底面22からの高さH1の4分の3以上とする。望ましくは,クリーム絞り孔30を,円錐台状空隙23の頂面25の中心と円錐状外面21の頂点との間に設けた直線状の貫通孔とする。クリーム絞り孔30の断面形状は,図1に示すような円形状(丸口形),或いは図4(A)及び(B)に示すように多角形状又は星形状とすることができる。
【0012】
更に好ましい実施例では,図1(E)及び(F)に示すように,クリーム絞り孔30と交差する平面と円錐状外面21との交線Nに沿って1本以上の環状突起32を設ける。望ましくは,環状突起32の少なくとも1本を,クリーム絞り孔30の周囲壁の壁厚が最も厚い部分に沿って円錐台状空隙23の頂面25と平行に設ける。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるクリーム絞り用樹脂製口金は,底面22が所定径R1の円錐状外面21の内側にその底面22の所定径R1より小さい内径R2の部分を円錐台状に凹入させてクリーム取り入れ空隙23を形成し,その円錐台状空隙23の頂面25の一部分から円錐状外面21の頂点まで頂面25の径R3より小さい口径φのクリーム絞り孔30を貫通させるので,次の有利な効果を奏する。
【0014】
(イ)円錐状外面21の内側に円錐台状のクリーム取り入れ空隙23を形成し,空隙23に取り入れたクリームCを空隙23の頂面で受けたのち,空隙23の頂面25の一部分に貫通させた絞り孔30を介して絞り出すので,クリームCの取り入れ時の圧力(絞り袋の握り圧力)の変動を空隙23の頂面で吸収し,絞り孔30からほぼ一定の圧力でクリームCを絞り出すことができる。
(ロ)従来の口金の絞り孔に比して,比較的長い絞り孔30を介してクリームCが絞り出されるので,絞り出されたクリームCの広がる(太くなる)傾向を小さく抑え,絞り出されたクリームCを一定の太さとすることができる。
(ハ)例えば絞り孔が1〜3mm程度の小口径であっても,絞り孔30からほぼ一定の圧力でクリームCを絞り出すと共に,絞り出されたクリームCの広がる(太くなる)傾向を小さく抑えることにより,デコレーションの素人でも簡単にクリームCを均等な太さで絞り出すことができる。
【0015】
(ニ)クリーム絞り孔30の周壁の厚さが空隙周囲の周壁の厚さに比して大きくなり,射出成形する場合に成形品の肉厚が必ずしも均一とはならないが,円錐状外面21の高さH1に対する円錐台状空隙23の高さH2を調整することにより,不均一な肉厚に起因する成形品の不具合を防止することができる。
(ホ)必要に応じてクリーム絞り孔30と交差する平面と円錐状外面21との交線Nに沿って1本以上の環状突起32を設けることにより,不均一な肉厚に起因する成形品の不具合を抑制することもできる。
(ホ)クリーム絞り孔30の断面形状は円形状(丸口形)だけでなく,多角形状,星形状等とすることができ,様々な断面形状で均等な太さのクリームCを絞り出すことで,素人でも質の高いデコレーションを仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下,添付図面を参照して本発明を実施するための形態及び実施例を説明する。
図1】本発明によるクリーム絞り用樹脂製口金の一実施例の説明図である。
図2】本発明によるクリーム絞り用樹脂製口金の他の実施例の説明図である。
図3】本発明によるクリーム絞り用樹脂製口金の更に他の実施例の説明図である。
図4】クリーム絞り用樹脂製口金のクリーム絞り孔の断面形状の説明図である。
図5】射出成形によるクリーム絞り用樹脂製口金の製造方法の説明図である,
図6】従来のクリーム絞り袋の説明図である。
図7】従来のクリーム絞り用金属製口金の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1(A)は,例えばポリプロピレン等の合成樹脂を用いて製造した本発明のクリーム絞り用樹脂製口金10の一実施例を示す。図示例の口金10aは,図7(A)に示す従来の円錐状口金50と同様に,底面22が所定径R1(例えば20mm)で所定高さH1(例えば30mm)の円錐状外面21を有している。他方で,従来の口金50が円錐状外面の内側に同じく円錐状の空隙を設けて先細り周壁を形成しているのに対し,図1(A)の口金10aは,円錐状外面21の内側に円錐台状の空隙23を設けて先細り周壁20を形成している。
【0018】
図1(B)は,図1(A)の口金10aの頂点および底面の中心を含む垂直断面図を示す。同図に示すように,クリーム取り入れ空隙23は,円錐状外面21の所定径R1の底面22のうち,所定径R1より壁厚W(例えば1mm)だけ小さい内径R2(例えば18mm)の部分を円錐台状に凹入させることにより形成する。好ましくは,図示例のように内径R2の部分を,円錐状外面21と同心的に同じ立体角度ωで凹入させる。円錐状外面21と円錐台状空隙23とを同じ立体角ωとすることにより,空隙23の周囲に所定壁厚Wの先細り周壁20を形成することができる。先細り周壁20の壁厚Wは,外面21の底面径R1と空隙23の底面径R2との差(=R1−R2)に相当する。
【0019】
図1(C)は,口金10aの内側のクリーム取り入れ空隙23の形状を表しており,空隙23が所定高さH2(例えば25mm)の円錐台状であって,底面24が所定径R2(例えば18mm)であり,頂面25が所定径R3(例えば3mm)であることを示している。円錐台状空隙23の高さH2は,円錐状外面21の底面22から円錐台状に凹入させる深さに相当する。空隙23を円錐台状とすることにより,空隙23の先端側に,外面21の高さH1と空隙23の高さH2との差(=H1−H2)に相当する高さH3(例えば5mm)の円錐部分が残る。その高さH3の円錐部分に,空隙23の頂面25から円錐状外面21の頂点まで貫通するように,所定口径φ1(例えば2mm)のクリーム絞り孔30を設ける。
【0020】
図1(D)は,図1(A)の口金10aの先端部分Dの拡大図を表し,円錐台状空隙23の頂面25の中心と円錐状外面21の頂点との間に直線状に貫通させた口径φ1のクリーム絞り孔30を示している。直線状の絞り孔30の長さH3は,外面21の高さH1と空隙23の高さH2との差(=H1−H2)に相当する。ただし,絞り孔30は必ずしも直線状でなくてもよく,空隙23の頂面25と円錐状外面21の頂点とを結ぶ貫通孔であれば足り,傾斜又は湾曲していてもよく,途中で分岐していてもよい。
【0021】
図1(D)に示すクリーム絞り孔30の長さH3は,円錐状外面21の高さH1に対する円錐台状空隙23の高さH2を調整することにより,適当に設計可能である。ただし,外面21の高さH1に対する空隙23の高さH2の割合が小さくなり過ぎると,絞り孔30の周壁の厚さが空隙周囲の周壁の厚さWに比して大きくなり,射出成形する場合に,不均一な肉厚に起因する成形品の不具合を生じるおそれがある。
【0022】
本発明者は,予備的実験により,円錐状外面21の高さH1が20〜40mm程度であり,底面径R1が10〜30mm程度である場合に,円錐台状空隙23の高さH2を高さH1の4分の3以上とすれば,不均一な肉厚に起因する成形品の不具合を避けることができ,射出成形によって成形品である口金10の成形品を製造できることを確認できた。望ましくは空隙23の高さH2を高さH1の5分の4以上とし,更に望ましくは6分の5以上とする。
【0023】
好ましくは,図1(E)に示すように,クリーム絞り孔30と交差する平面と円錐状外面21との交線Nに沿って,外面21の表面に1本以上の環状突起32を設ける。上述したように図1の口金10aは射出成形により製造可能であるが,絞り孔30の周壁の厚さが空隙の周壁の厚さWに比して大きくなるため,絞り孔30の周壁の外面側に図1(D)に示すような小さな窪み(ひけ)39を生じうることが予備的実験において経験された。このような窪みは,射出成型の成形条件によりある程度対応可能であるが,口金10aの強度劣化の原因となりうる。図1(E)のように,絞り孔30の周壁の外面に環状突起32を設けることにより,射出成形の際に小さな窪み(ひけ)39を生じたときでも,口金10aの強度劣化を避けることができる。
【0024】
図1(E)の環状突起32は,絞り孔30の周壁の窪み32を生じやすい部位,具体的には絞り孔30の周囲壁の壁厚が最も厚い部分に沿って設けることが望ましい。また,図示例のように円錐台状空隙23の頂面25と垂直に絞り孔30を設けている場合は,空隙23の頂面25と平行に環状突起32を設けることが望ましい。絞り孔30が直線状でない場合は,環状突起32と空隙23の頂面25とは必ずしも平行でなくてもよく,絞り孔30の周壁の窪み32を生じやすい部位に沿って配置すればよい。
【0025】
図示例では,口金10aのクリーム絞り孔30の口径φを2mmとし,その口径φに対応させて絞り孔30の周壁の外面に2本の環状突起32a,32bを設けている。例えば,絞り孔30の口径φが1mmのときは周壁の外面の環状突起32を1本とし(図2(C)参照),絞り孔30の口径φが3mmのときは周壁の外面の環状突起32を3本とすることができる(図3(C)参照)。このように環状突起32の本数を絞り孔30の口径φと対応させることにより,口金10の外見(底面径R1及び高さH1)が同じであっても(図1(A),図2(A),図3(A)を参照),環状突起32の本数により絞り孔30の口径φの違いを判別することができる。
【0026】
図1(F)は,図1(A)のクリーム絞り用口金10aを絞り袋40に装着し,絞り袋40内に詰め込んだクリームCを口金10aから絞り出す状態を示している。図6(B)に示す従来の場合と同様に,図示例においても絞り袋40の握り圧力Fを適当に調整しながら口金10aを動かすことでクリームCを絞り出す。しかし,従来の口金50では握り圧力Fが先端の一点の絞り孔51に集中していたのに対し,図示例の口金10aでは握り圧力Fを円錐台状空隙23の頂面で一旦受けることができ,その頂面25の一部分に設けた絞り孔30からクリームCを絞り出すことができる。
【0027】
図1(F)のように,口金10aの底面24から取り入れたクリームCの圧力(握り圧力F)を空隙23の頂面で一旦受けることにより,握り圧力Fの変動を空隙23の頂面で吸収し,絞り孔30からほぼ一定の圧力でクリームCを絞り出すことができる。また,図6(B)に示す従来の口金50の絞り孔51に比して,比較的長い絞り孔30を介してクリームCが絞り出されるので,絞り出されたクリームCの広がる(太くなる)傾向を小さく抑え,デコレーションの素人でも比較的簡単にクリームCを一定の太さで絞り出すことができる。
【0028】
図2(A)は,本発明のクリーム絞り用樹脂製口金10(ポリプロピレン製)の他の実施例を示す。図示例の口金10bは,図1(A)の口金10aと同様に円錐状外面21の内側に円錐台状の空隙23を設けて先細り周壁20としたものである。図2(B)の垂直断面図に示すように,図2の口金10bの底面径R1及び高さH1は図1の口金10aと等しく,口金10bと口金10aとは外見上良く似ている。しかし,口金10bの先端部分Dの拡大図である図2(C)に示すように,口金10bではクリーム絞り孔30を口径φ2(例えば1mm)とし,口金10aの口径φ1(2mm)より小さくしている。
【0029】
図2のように絞り孔30の口径φ2を小さくした場合も,図1(F)を参照して上述したように,口金10bの底面24から取り入れたクリームCの握り圧力Fを空隙23の頂面で一旦受けることにより握り圧力Fの変動を吸収し,絞り孔30からほぼ一定の圧力でクリームCを絞り出すことができる。また,図1の場合と同様に比較的長い絞り孔30を介してクリームCを絞り出することにより,クリームCの太くなる傾向を小さく抑え,クリームCを一定の太さで絞り出すことができる。
【0030】
図3(A)は,本発明のクリーム絞り用樹脂製口金10(ポリプロピレン製)の更に他の実施例を示す。図示例の口金10cは,図1(A)の口金10aと同様に円錐状外面21の内側に円錐台状の空隙23を設けて先細り周壁20としたものであり,図3(B)の垂直断面図に示すように,口金10cの底面径R1及び高さH1は図1(A)の口金10aと等しく,外見上は口金10aと良く似ている。しかし,先端部分Dの拡大図である図3(C)に示すように,口金10cではクリーム絞り孔30を口径φ3(例えば3mm)とし,口金10aの口径φ1(2mm)より大きくしている。
【0031】
図3のように絞り孔30の口径φ3を大きくした場合も,図1(F)を参照して上述したように,口金10cの底面24から取り入れたクリームCの握り圧力Fの変動を空隙23の頂面で吸収し,絞り孔30からほぼ一定の圧力でクリームCを絞り出すことができる。また,比較的長い絞り孔30を介してクリームCを絞り出することにより,クリームCの太くなる傾向を小さく抑え,クリームCを一定の太さで絞り出すことができる。すなわち,図1図3のクリーム絞り用樹脂製口金10a,10b,10cを用いれば,絞り袋40の握り圧力Fの強弱に不慣れなデコレーションの素人であっても,1〜3mm程度の小口径の絞り孔30から,その口径に従った一定の太さでクリームCを容易に絞り出すことができ,見栄えのよいデコレーションを仕上げることができる。
【0032】
こうして本発明の目的である「絞り孔が小口径であってもクリームを一定の太さで容易に絞り出すことができるクリーム絞り用樹脂製口金」の提供が達成できる。
【0033】
なお,以上の説明では合成樹脂をポリプロピレンとしたが,本発明のクリーム絞り口金10は他の合成樹脂を用いて製造することも可能である。また,以上の説明ではクリーム絞り孔30の断面形状を円形状(丸口形)としたが,図4(A)に示すように絞り孔30の断面形状を多角形状とし,或いは図4(B)に示すように絞り孔30の断面形状を星形状とすることも可能である。様々な断面形状の絞り孔30から,その口径に従った一定の太さでクリームCを容易に絞り出すことができるので,多様で見栄えのよいデコレーションを素人でも仕上げることが可能となる。
【実施例1】
【0034】
図5は,図1図3のクリーム絞り用樹脂製口金10a,10b,10cを射出成形により製造する方法の一例を示す。上述したように口金10a,10b,10cは,それぞれ類似の底面径R1(例えば20mm)及び高さH1(例えば30mm)の円錐状外面21の内側に,底面径R2(例えば18mm),頂面径R3(例えば3mm)で高さH2(例えば25mm)の円錐台状空隙23を形成し,その空隙23の頂面25と外面21の頂点との間にそれぞれ異なる口径φ1〜φ3(例えば2mm,1mm,3mm)のクリーム絞り孔30を設けたものである。図示例では,例えば樹脂を流し込む金型のキャビティ側に各口金10の円錐状外面21の凹部を設け,コア側に各口金10の円錐台状空隙23の凸部を設け,その両者の間の空隙(キャビディ)に合成樹脂を流し込むことで各口金10が成形加工されるように設計されている。
【0035】
また図示例では,1回の加工工程で各口金10a,10b,10cがそれぞれ2個ずつ成形できるように,各口金10a,10b,10cの金型(キャビディ)を2個ずつ設けると共に,各口金10a,10b,10cのキャビディがスプルー12,ランナ14,ゲート15等からなる樹脂流路で接続されるように設計されている。スプルー12から流入した溶解樹脂Pは,ランナ14及びゲート15を介して各口金10a,10b,10cのキャビディに流入する。スプルー12及びランナー14の末端はスラッグウエル16を配置して樹脂溜まりとする。図示例のような金型を用いて射出成形により各口金10a,10b,10cを成形する方法によれば,手間をかけずに各口金10を製造することができ,各口金10の単価も低く抑えることができる。
【実施例2】
【0036】
図4(C)は,図1図3のクリーム絞り用樹脂製口金10の先端部分を,直線状のクリーム絞り孔30と斜めに交差する傾斜切断面35により切断し,口金10の先端に傾斜壁面36を形成した実施例を示す。クリーム絞り用口金10は,デコレーションを仕上げる場合だけでなく,シュークリームの内部にカスタードクリーム等を絞り入れる場合にも使用するが,図1図3の口金10は先端が比較的丸くなっており,シュークリームの内部に口金10の先端を差し込みにくい場合がある。図示例の口金10は合成樹脂製であり,図4(C)のように先端部をナイフ等で比較的簡単に切断することができる。図4(C)のように先端に傾斜壁面36を形成した口金10は,シュークリームに内部にも簡単に差し込むことができる。
【符号の説明】
【0037】
10,10a,10b,10c…クリーム絞り用樹脂製口金
12…スプルー 14…ランナ
15…ゲート 16…スラッグウエル
20…樹脂製周壁 21…円錐状外面
22…底面(外径部分) 23…クリーム取り入れ空隙
24…空隙底面(内径部分) 25…空隙頂面
30…クリーム絞り出し孔 32…環状突起
33…環状溝 35…傾斜切断面
36…傾斜壁面 39…窪み(ひけ)
40…絞り袋 41a…投入孔
41b…口金孔
50…金属製口金 50a…小径口金
50b…大径口金 51…絞り出し孔
52…扇形金属薄板 53a,53b…直線辺
C…クリーム
φ…絞り孔口径
F…圧力
H1…周壁高さ
H2…空隙高さ
H3…絞り出し孔の長さ
P…溶解樹脂
R1…周壁底面の径
R2…空隙底面の径
R3…空隙頂面の径
W…周壁厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7