特許第6682076号(P6682076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682076
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】水槽
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/00 20170101AFI20200406BHJP
   A01K 63/04 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   A01K63/00 A
   A01K63/00 B
   A01K63/04 A
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-177183(P2016-177183)
(22)【出願日】2016年9月10日
(65)【公開番号】特開2018-38374(P2018-38374A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2019年9月6日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2016年3月11日株式会社御幸荘(旅館花結び)において展示
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516274254
【氏名又は名称】株式会社リゾートフィールズ
(74)【代理人】
【識別番号】100119389
【弁理士】
【氏名又は名称】門脇 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】下田 剛士
【審査官】 川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−014898(JP,U)
【文献】 特開平05−030878(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3095182(JP,U)
【文献】 特開2009−082124(JP,A)
【文献】 実開昭54−053100(JP,U)
【文献】 特開2003−235394(JP,A)
【文献】 実開平05−000061(JP,U)
【文献】 実開昭53−014897(JP,U)
【文献】 特開2002−125509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/00 − 61/65
A01K 61/80 − 63/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、前記底板に対して垂直に連結された第1壁板と、前記底板に対して垂直に連結され前記第1壁板から離れて向き合う第2壁板と、前記底板に対して垂直に連結され前記第1壁板及び前記第2壁板を連結する第3壁板と、前記底板に対して垂直に連結され前記第1壁板及び前記第2壁板を連結して前記第3壁板から離れて向き合う第4壁板と、を備える水槽であって、
前記第1壁板、前記第3壁板、および前記第4壁板に隣接して前記底板と前記第1壁板とが構成する角部に位置し、前記底板に沿って前記第2壁板に向う底側水流を生じる水流生成部と、
前記底板に沿って前記水流生成部に対して前記第2壁板の側に配置され、前記底側水流と交差して前記底板の裏側へ排出される排出水流を生じる排水部と、
前記水流生成部の上面、前記第3壁板、前記第4壁板、および前記第1壁板に隣接して配置され、水面の方から流れてくる下降水流を前記第2壁板に向けて前記底側水流に沿う回帰水流を生じる第1傾斜部と、を備え、
前記水流生成部は、前記第1傾斜部の下方で、前記排水部を経て再生された再生水を前記裏側から導入して貯留する貯留室と、前記第3壁板および前記第4壁板と垂直に配置され、前記貯留室の水を吐出して前記底側水流を生じる複数の吐出口が配置された吐出部と、を有し、
前記排水部は、前記底板と交差する方向に前記排出水流を生じる排水口が網目状に配置された多孔板と、前記多孔板を通過した水をろ過するフィルターマットと、を有すること
を特徴とする水槽。
【請求項2】
請求項1に記載の水槽であって、
前記底板、前記第2壁板、前記第3壁板、および前記第4壁板に隣接して配置され、前記底側水流および前記回帰水流を前記水面の方に向けて上昇水流を生じる第2傾斜部を備えること
を特徴とする水槽
【請求項3】
請求項2に記載の水槽であって、
前記第1傾斜部の前記底板に対する傾斜角と、前記第2傾斜部の前記底板に対する傾斜角とは等しいこと
を特徴とする水槽
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載の水槽であって、
前記貯留室は、前記第3壁板と前記第4壁板との間を長さ方向とする直方体であること
を特徴とする水槽
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載の水槽であって、
前記排水部は、前記底板が有する凹部に配置されていること
を特徴とする水槽
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一つに記載の水槽であって、
前記多孔板は、前記底板と面一に配置されていること
を特徴とする水槽
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一つに記載の水槽であって、
前記第1壁板の外側に離れて平行に位置する第1外板と、前記第2壁板の外側に離れて平行に位置する第2外板と、前記第3壁板の外側に離れて平行に位置する第3外板と、前記第4壁板の外側に離れて平行に位置する第4外板と、を相互に連結し前記底板に連結した外側水槽を備え、
前記第1壁板、前記第2壁板、前記第3壁板および前記第4壁板が構成する内側水槽の上端部と、前記外側水槽の上端部とを連結する連結部を備えること
を特徴とする水槽
【請求項8】
請求項7に記載の水槽であって、
前記底板が載置された載置台と、前記外側水槽が形成する4つの角部のそれぞれを隠して前記載置台に載置された遮蔽枠と、を備えること
を特徴とする水槽
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩やかな循環水流を生じやすい水槽に関する。
【背景技術】
【0002】
プランクトン類を始めとする遊泳力の弱い浮遊生物(例えば、クリオネ、クラゲを含む水生生物。)は、観賞性があり、飼育対象とされることがある。しかし、浮遊性に対する水流の制御が難しく、飼育が困難である。
水流の制御の困難性に対処するため種々の水槽が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された水槽は、水槽の中に給排水室が内蔵されている。このため、観賞面が制限されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−253382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された水槽は、給排水室が第3縦壁全体に沿って配置されていることから観賞面が制限されるという課題があった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、緩やかな循環水流を生成しやすくして浮遊生物の浮遊性および安全性を確保し、浮遊生物を観賞しやすく、浮遊生物の生存期間を長期化しやすい水槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る水槽は、底板と、前記底板に対して垂直に連結された第1壁板と、前記底板に対して垂直に連結され前記第1壁板から離れて向き合う第2壁板と、前記底板に対して垂直に連結され前記第1壁板及び前記第2壁板を連結する第3壁板と、前記底板に対して垂直に連結され前記第1壁板及び前記第2壁板を連結して前記第3壁板から離れて向き合う第4壁板と、を備える水槽であって、前記第1壁板、前記第3壁板、および前記第4壁板に隣接して前記底板と前記第1壁板とが構成する角部に位置し、前記底板に沿って前記第2壁板に向う底側水流を生じる水流生成部と、前記底板に沿って前記水流生成部に対して前記第2壁板の側に配置され、前記底側水流と交差して前記底板の裏側へ排出される排出水流を生じる排水部と、前記水流生成部の上面、前記第3壁板、前記第4壁板、および前記第1壁板に隣接して配置され、水面の方から流れてくる下降水流を前記第2壁板に向けて前記底側水流に沿う回帰水流を生じる第1傾斜部と、を備え、前記水流生成部は、前記第1傾斜部の下方で、前記排水部を経て再生された再生水を前記裏側から導入して貯留する貯留室と、前記第3壁板および前記第4壁板と垂直に配置され、前記貯留室の水を吐出して前記底側水流を生じる複数の吐出口が配置された吐出部と、を有し、前記排水部は、前記底板と交差する方向に前記排出水流を生じる排水口が網目状に配置された多孔板と、前記多孔板を通過した水をろ過するフィルターマットと、を有することを特徴とする。

【0006】
したがって、本発明に係る水槽においては、水流生成部は、第1壁板に隣接して底板に沿って配置され、吐出口から第2壁板に向けて底板に沿う底側水流を吐出する。つまり、水流生成部は、第1壁板に接した位置から第2壁板に向けて底板に沿う一方向の底側水流を生じる。
排水部は、底板に沿って水流生成部の前方に配置され、底板と交差する方向に排出水流を生じる排水口が網目状に配置された多孔板を有する。つまり、排水部は、底側水流と交差する方向で排出される排出水流を生じる。
また、第1傾斜部は、底側水流に沿う回帰水流を生じる。さらに、第2壁板は、底側水流および回帰水流が継続して供給されるので、水面の方へ向く上昇水流を生じる。また、水面の側では、第2壁板から第1壁板に向かう緩やかな水面側水流が生じる。
水槽の外側へ排出される排出水流は、底側水流および回帰水流と交差するので、排水口への流れが抑制される。このため、浮遊生物は、排出水流によって流されたとき、排水口に到達する前に底側水流または回帰水流によって第2壁板の方へ流されやすくなる。また、底側水流および回帰水流は、排出水流と交差するので第2壁板への流れが抑制され、循環水流は、より緩やかな流れになる。
底側水流、上昇水流、水面側水流、下降水流、回帰水流は水槽内を一方向に循環する循環水流を構成し、底板の側での水の滞留を抑制しやすくなる。
したがって、本発明に係る水槽は、直方体の水槽でありながら底板の近くでの水の滞留を抑制して上昇水流を含む円運動に似た循環水流を形成するので浮遊生物が底板の近くに沈む状態を解消しやすい。また、水槽は、底側水流と回帰水流で排出水流を抑制する。すなわち、水槽は、より緩やかな循環水流を発生して上昇水流を浮遊生物に作用させる。
したがって、水槽は、浮遊生物が排水口に吸われて損傷することを抑制し、上昇水流によって浮遊生物を水面側に上昇させるので、浮遊生物が安全に浮遊しやすくなる。
つまり、本発明に係る水槽は、観賞面を広くした直方体でありながら、一方向に回る円運動に似た緩やかな循環水流を生成しやすくし、浮遊生物の浮遊性および安全性を確保する。したがって、本発明に係る水槽は、浮遊生物を観賞しやすくし、浮遊生物の飼育期間を長期化しやすいという効果を奏する。
【0007】
また、本発明の一実施態様に係る水槽では、前記底板、前記第2壁板、前記第3壁板、および前記第4壁板に隣接して配置され、前記底側水流および前記回帰水流を前記水面の方に向けて上昇水流を生じる第2傾斜部を備える。
また、本発明の一実施態様に係る水槽では、前記第1傾斜部の前記底板に対する傾斜角と、前記第2傾斜部の前記底板に対する傾斜角とは等しい。
また、本発明の一実施態様に係る水槽では、前記貯留室は、前記第3壁板と前記第4壁板との間を長さ方向とする直方体である。
また、本発明の一実施態様に係る水槽では、前記排水部は、前記底板が有する凹部に配置されている。
また、本発明の一実施態様に係る水槽では、前記多孔板は、前記底板と面一に配置されている。
また、本発明の一実施態様に係る水槽では、前記第1壁板の外側に離れて平行に位置する第1外板と、前記第2壁板の外側に離れて平行に位置する第2外板と、前記第3壁板の外側に離れて平行に位置する第3外板と、前記第4壁板の外側に離れて平行に位置する第4外板と、を相互に連結し前記底板に連結した外側水槽を備え、前記第1壁板、前記第2壁板、前記第3壁板および前記第4壁板が構成する内側水槽の上端部と、前記外側水槽の上端部とを連結する連結部を備える。
本発明の一実施態様に係る水槽においては、内側水槽と外側水槽との間に形成された空気層は、内側水槽の上端部と外側水槽の上端部とを連結する連結部によって、外気からの通気を遮断される。したがって、内側水槽の表面に生じる結露、および外側水槽の表面に生じる結露を抑制できる。このため、低水温で飼育される浮遊生物の観賞がしやすくなる。
また、本発明の一実施態様に係る水槽では、前記底板が載置された載置台と、前記外側水槽が形成する4つの角部のそれぞれを隠して前記載置台に載置された遮蔽枠と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る水槽は、直方体でありながら、円運動に似た緩やかな循環水流を生成しやすくし、浮遊生物の浮遊性および安全性を確保する。したがって、本水槽は、浮遊生物を観賞しやすくし、浮遊生物の飼育期間を長期化しやすいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1に係る水槽を上方から見た状態で示す平面図である。
図2図1に示した水槽を図1の矢印F2−F2で切断した状態で示す断面図である。
図3図2に示した水槽の吐出部の吐出口の配置状態を正面から見て示す正面図である。
図4】本発明の実施の形態2に係る水槽を側面から見て示す側面図である。
図5図4に示した水槽を図4の矢印F5−F5で切断した状態で示す断面図である。
図6】本発明の実施の形態3に係る水槽における空気層を外部から遮断する連結部(変形例)を示す部分断面図である。
図7】本発明の実施の形態3に係る水槽における第1傾斜部の配置の変形例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1ないし図3を参照して、本実施の形態に係る水槽1について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る水槽1を上方から見た状態で示す平面図である。なお、上方から見た状態であるが天板10を除いた状態で示す。
図2は、図1に示した水槽1を図1の矢印F2−F2で切断した状態で示す断面図である。
【0011】
水槽1は、底板3と、底板3に対して垂直に連結された第1壁板4と、底板3に対して垂直に連結され第1壁板4から離れて向き合う第2壁板5と、底板3に対して垂直に連結され第1壁板4及び第2壁板5を連結する第3壁板6と、底板3に対して垂直に連結され第1壁板4及び第2壁板5を連結して第3壁板6から離れて向き合う第4壁板7と、を備える。つまり、第1壁板4、第2壁板5、第3壁板6、および第4壁板7は、内側水槽1fを形成する。
水槽1は、第1壁板4、第3壁板6、および第4壁板7に隣接して底板3に沿って配置され、底板3に沿って第2壁板5に向う底側水流FLを生じる水流生成部11と、底板3に沿って水流生成部11に対して第2壁板5の側に配置され、底側水流FLと交差して底板3の裏側へ排出される排出水流FEを生じる排水部20と、を備える。
なお、本願において「隣接」とは、完全に密着した状態から循環水流FCへの影響が生じない程度で多少の隙間を有するまでの状態を含むことを意味する。
水槽1は、水流生成部11の上面11s、第3壁板6、第4壁板7、および第1壁板4に隣接して配置され、水面WFの方から流れてくる下降水流FDを第2壁板5に向けて底側水流FLに沿う回帰水流FRを生じる第1傾斜部8を備える。
さらに、第2壁板5は、底側水流FLおよび回帰水流FRが継続して供給されるので、水面WFの方へ向く上昇水流FUを生じる。
底板3、第2壁板5、第3壁板6、および第4壁板7に隣接して配置され、底側水流FLおよび回帰水流FRを水面WFの方に向けて上昇水流FUを生じる第2傾斜部9をさらに備えても良い。第2傾斜部9は、上昇水流FUをさらに効果的に生じる。
水流生成部11は、排水部20を経て再生された再生水Wcを裏側から導入して貯留する貯留室12と、第3壁板6および第4壁板7と垂直に配置され、貯留室12の水を吐出して底側水流FLを生じる複数の吐出口13が配置された吐出部14と、を有し、排水部20は、底板3と交差する方向に排出水流FEを生じる排水口22が網目状に配置された多孔板21と、多孔板21を通過した水をろ過するフィルターマット23と、を有する。
【0012】
水流生成部11は、第1壁板4に接して底板3に沿って配置され、吐出口13から第2壁板5に向けて底板3に沿う底側水流FLを吐出する。つまり、水流生成部11は、第1壁板4に接した位置から第2壁板5に向けて底板3に沿う方向の底側水流FLを生じる。なお、吐出部14は、底板3に対して垂直に配置され、吐出口13は、底板3に平行に配置されることが好ましい。
排水部20は、底板3に沿って水流生成部11の前方に配置され、底板3と交差する方向に排出水流FEを生じる排水口22が網目状に配置された多孔板21を有する。つまり、排水部20は、底側水流FLと交差する方向で排出される排出水流FEを生じる。
また、第1傾斜部8は、底側水流FLに沿う回帰水流FRを生じる。さらに、第2傾斜部9は、底側水流FLおよび回帰水流FRを水面WFの方へ向けて上昇水流FUを生じる。また、水面WFの側では、第2壁板5から第1壁板4に向かう緩やかな水面側水流FWが生じる。
貯留室12は、第3壁板6と第4壁板7との間を長さ方向とする直方体であることが好ましい。このとき、吐出部14は、両端を第3壁板6および第4壁板7に隣接した板状として貯留室12と一体とされている。また、吐出部14は、底側水流FLの方向へ半円状に突出させた半円筒状であっても良い。
なお、貯留室12は、変形例として例えば円筒状としても良い。この場合の吐出部14および吐出口13は、円筒の側面に位置する。また、吐出口13は、筒状として突出させても良い。
【0013】
水槽1の外側へ排出される排出水流FEは、底側水流FLおよび回帰水流FRと交差するので、排水口22への流れが抑制される。このため、浮遊生物は、排出水流FEによって流されたとき、排水口22に到達する前に底側水流FLまたは回帰水流FRによって第2傾斜部9の方へ流されやすくなる。また、底側水流FLおよび回帰水流FRは、排出水流FEと交差するので第2壁板5への流れが抑制され、循環水流FCは、より緩やかな流れになる。
底側水流FL、上昇水流FU、水面側水流FW、下降水流FD、回帰水流FRは水槽1内を一方向に循環する循環水流FCを構成し、底板3の側での水の滞留を抑制しやすくなる。
【0014】
したがって、水槽1は、直方体の水槽1でありながら底板3の近くでの循環水流FCの滞留を抑制して上昇水流FUを含む循環水流FCを形成するので浮遊生物が底板3の近くに沈む状態を解消しやすい。また、水槽1は、底側水流FLと回帰水流FRで排出水流FEを抑制する。すなわち、水槽1は、より緩やかな循環水流FCを発生して上昇水流FUを浮遊生物に作用させる。
したがって、水槽1は、浮遊生物を底側水流FLの水圧で排水口22の位置を通過させて第2傾斜部9の方へ押し流し、浮遊生物が排水口22に吸われて損傷することを抑制し、上昇水流FUによって浮遊生物を水面側に上昇させるので、浮遊生物が安全に浮遊しやすくなる。
つまり、水槽1は、直方体でありながら、緩やかな循環水流FCを生成しやすくし、浮遊生物の浮遊性および安全性を確保する。したがって、水槽1は、浮遊生物を観賞しやすくし、浮遊生物の飼育期間を長期化しやすいという効果を奏する。
水槽1は、直方体の側面に向かう4方向からの観賞(第1観賞方向SV1、第2観方向SV2、第3観賞方向SV3、第4観賞方向SV4)に対し、平らでひずみの無い観賞面が配置されるので、浮遊生物をありのままの形態で観察できる。したがって、水槽1は、浮遊生物を効果的に展示できる。
【0015】
排水部20は、底板3が有する凹部3cに配置されている。この構成によって、排水部20は、底板3の表面を平坦化できるので、底側水流FLの流れの安定性を維持しやすくなる。凹部3cは、底板3の裏側に取り付けた例えば箱形で形成される。
排水部20は、排水路25へ接続される。排水路25は、底板3の裏側へ収容されるので観賞領域に露出することはない。したがって、観賞領域は、高い美観性、観賞性および浮遊生物の安全性を維持する。
多孔板21およびフィルターマット23の下層には、排水口22より直径の大きい排水調整口24mを有する排水調整板24が配置されている。排水調整口24mは、フィルターマット23と排水路25との間での流路を確保する。
【0016】
多孔板21は、底板3と面一に配置されている。多孔板21は、底板3と面一であるので、底側水流FLの乱れを抑制して循環水流FCをさらに安定化できる。
排水口22の直径は、例えば約1mm(ミリメートル)である。排水口22の行方向の配列ピッチ(排水口22の中心と排水口22の中心との距離)は、例えば約1.5mmである。つまり、排水口22と排水口22との間のスペース(板本体部分)は、約0.5mmである。1行目(奇数行)と2行目(偶数行)は排水口22の中心をずらしてある。つまり、1行目のスペースの中心位置に2行目の排水口22の中心が位置する。1行目の隣り合う2個の排水口22が有する2つの中心と、2行目の排水口22が有する中心とを結ぶ直線は正三角形を構成する。したがって、1行目と2行目との間の配列ピッチ(1行目の排水口22の中心と2行目の排水口22の中心との最短距離)は1.5mmより小さく約1.3mmとなる。排水口22は、全体として奇数行の排水口22と偶数行の排水口22とが交互に位置をずらした縦横に存在する。
なお、排水口22の上記した寸法は例示に過ぎない。実際に飼育する浮遊生物の大きさによって好ましい値は異なる。また、図1における排水口22は、図面の見やすさと理解の容易さを考慮して、拡大して示される。
【0017】
第1傾斜部8および第2傾斜部9は、板状である。これにより、第1傾斜部8および第2傾斜部9の構造を簡略化できるので、回帰水流FRにおける方向変換、上昇水流FUにおける方向変換を容易に実現できる。
なお、第1傾斜部8、第2傾斜部9の形状は、図示したとおりの単一の平面状でも良いが、図示した方向での断面が例えばV字型となる2枚の平面で形成されても良い。一方の平面が水流生成部11の上面11sに配置され、他方の平面が第1傾斜部8を形成する構成でも良い。第2傾斜部9についても同様に例えばV字型となる平面で形成されても良い。また、第1傾斜部8、第2傾斜部9の形状は、平面状として示したが、循環水流FCに沿うように上方に凹状とされた湾曲板でも良い。
第1傾斜部8が水流生成部11と第1壁板4に当接する上端8tとの間に有する高さHs1は、第2傾斜部9が底板3と第2壁板5に当接する上端9tとの間に有する高さHs2と等しくても良く、また、異なっていても良い。
なお、傾斜角θ1、傾斜角θ2は、底板3からの鋭角で規定される。本実施の形態では、傾斜角θ1、傾斜角θ2は、例えば45度に設定できる。45度の角度によって、下降水流FD、回帰水流FR、底側水流FL、および上昇水流FUの間の均衡が取られるので、循環水流FCは、均衡のとれた緩やかな流れとなる。
傾斜角θ1、傾斜角θ2は、45度より大きい場合は、横方向の水流に比べて下降、上昇の水流が相対的に強くなり、45度より小さい場合は、横方向の水流に比べて下降、上昇の水流が相対的に弱くなる。必要に応じて適宜の値が設定される。
【0018】
水槽1は、内側水槽1fと、内側水槽1fの外側に配置された外側水槽1sとを備える。
外側水槽1sは、第1壁板4の外側に離れて平行に位置する第1外板30と、第2壁板5の外側に離れて平行に位置する第2外板31と、第3壁板6の外側に離れて平行に位置する第3外板32と、第4壁板7の外側に離れて平行に位置する第4外板33と、を備え、第1外板30、第2外板31、第3外板32、および第4外板33は、相互に連結され底板3に連結されている。
水槽1は、第1壁板4、第2壁板5、第3壁板6および第4壁板7が構成する内側水槽1fの上端部36と、外側水槽1sの上端部37とを連結する連結部38を備える。
内側水槽1fと外側水槽1sとの間に形成された空気層35は、内側水槽1fの上端部36と外側水槽1sの上端部37とを連結する連結部38によって、外気からの通気を遮断される。したがって、内側水槽1fの表面に生じる結露、および外側水槽1sの表面に生じる結露を抑制できる。このため、飼育される浮遊生物の観賞がしやすくなる。特に低水温で飼育する場合には有効である。
【0019】
第1壁板4、第2壁板5、第3壁板6、および第4壁板7の上端部36、第1外板30、第2外板31、第3外板32、および第4外板33の上端部37には、天板10が配置されることが好ましい。天板10は、水面WFの上方に配置されることが好ましい。
第1壁板4〜第4壁板7は、透明なアクリル樹脂製の板(以下、アクリル板)であることが好ましい。アクリル板は、透光性を確保できること、ガラスに比較して軽いことから使用しやすい。また、ガラスに比べて熱伝導率が低いことから外気温の影響を受けにくく温度管理がしやすい。
フィルターマット23は、排出水流FEの流速を抑えて浮遊生物への排水水流FEの影響を抑制し、排出水流FEと循環水流FCとのバランスを取りやすくする。
外側水槽1sを形成する第1外板30〜第4外板33は、内側水槽1fを形成する第1壁板4〜第4壁板7と同様、透明なアクリル板であることが好ましい。第1壁板4〜第4壁板7、第1外板30〜第4外板33、底板3の板厚は、例えば10mm程度である。なお、底板3は、例えば塩化ビニール板、あるいはアクリル板である。
連結部38は、内側水槽1fの上端部36と外側水槽1sの上端部37との間に例えば樹脂で封止して連結する。
【0020】
第3壁板6および第4壁板7は、正面視での横幅Wbに比べて高さHbが大きいことが好ましい。これにより、上昇水流FUは、長い距離を確保できるので、浮遊状態を高い範囲まで広げることができる。このため、水槽1は、浮遊生物の浮遊状態の観賞性を向上できる。
【0021】
排水部20に連結した排水路25と、排水路25に連結して再生水Wcを循環させるポンプ26と、ポンプ26からの再生水Wcを送り出す送水路27と、送水路27からの再生水Wcの水温を調整する水温調整部28と、水温調整部28からの再生水Wcを水流生成部11に供給する給水路29とは、底板3の下部に配置される。つまり、底板3の下部は、排水部20を介して取り出され、再び貯留室12へ戻される再生水Wcを効率的に循環できる。
なお、本実施の形態では、底板3は、理解の容易さを考慮して、外側水槽1sの外側へ配置された状態で示したが、底板3の外周は、外側水槽1sの外周に合せても良い。
【0022】
図3は、図2に示した水槽の吐出部14の吐出口13の配置状態を正面から見て示す正面図である。
吐出口13は、吐出部14において底板3と平行な位置に直線状に配置されている。これにより、底側水流FLは、第3壁板6から第4壁板7までにわたって幅広く底板3と平行に安定して生じるので、循環水流FCは、乱れの少ない一方向の水流となる。
吐出口13は、直線状にかつ間欠的に均等に配置される。図3では、1行配列としたが、1行に限らず複数行の配置も可能である。吐出口13の直径、配列ピッチps、配置行数、吐出部14の高さHdは、内側水槽1fの水量、循環水流FCの循環速度、排出水流FEの速度などを参酌して適宜設定される。
【0023】
[実施の形態2]
図4および図5を参照して、本実施の形態に係る水槽1について説明する。水槽1(本体)は、実施の形態1と同様であるので、重複する説明は省略する。本実施の形態では、水槽1に対して付加的な装置を配置した場合について説明する。
図4は、本発明の実施の形態2に係る水槽1を側面から見て示す側面図である。
図5は、図4に示した水槽1を図4の矢印F5−F5で切断した状態で示す断面図である。なお、内側水槽1fの内部構造については、実施の形態1と同様であり、理解の容易さ、見やすさを考慮して図示を省略する。
水槽1は、載置台40の上に載置されることが好ましい。すなわち、水槽1は、底板3が載置された載置台40と、外側水槽1sの4つの角部34のそれぞれを隠して載置台40に載置された遮蔽枠41と、を備えることが好ましい。
外側水槽1sの4つの角部34を隠す遮蔽枠41は、水槽1の観賞面(例えば、第3壁板6)を矩形に画定して観賞対象である浮遊生物を見やすくするので、浮遊生物の観賞が容易となる。また、底板3は、載置台40に載置されるので水槽1の配置が安定する。載置台40の高さHmは、観賞しやすい適切な観賞面を得るように設定されるので観賞のしやすさが向上する。
遮蔽枠41は、角部34に対応して配置され、水平方向の断面がL型の4本の枠柱42と、枠柱42の頂部42tを互いに連結する上連結板43と、枠柱42の脚部42fを互いに連結する下連結板44と、を備える。
遮蔽枠41は、4本の枠柱42を上連結板43および下連結板44で連結するので、取り扱いを容易にし、観賞に不要な部分を遮蔽することで、観賞面の美観を向上する。
【0024】
水槽1は、第1壁板4、第2壁板5、第3壁板6および第4壁板7の上に配置され水面を覆う天板10に加えて、天板10の上に配置された照明器具46を備えることが好ましい。
照明器具46は、浮遊生物の観察に必要な明るさと色合いを確保するので、水槽1は、浮遊生物の観賞に際しての美観と視認性を向上させる。照明器具46は、例えばLED(発光ダイオード)であり、青、赤、白などを発光できる。
照明器具46へ電力を供給する電線(不図示)は、遮蔽枠41の枠柱42と角部34との間に沿わせて、載置台40の内側へ導くことができるので、外部から見えない形態とされ、美観を確保できる。また、照明器具46に対する電力の供給は、天板10の上に電池を配置して行うこともできる。
なお、載置台40の内側にはポンプ26、水温調整部28、および照明器具46に対する制御を行う制御部47(配線省略)が配置されている。
【0025】
上記したとおり、載置台40は、排水部20に連結した排水路25と、排水路25に連結して再生水Wcを循環させるポンプ26と、ポンプ26からの再生水Wcを送り出す送水路27と、送水路27からの再生水Wcの水温を調整する水温調整部28と、水温調整部28からの再生水Wcを水流生成部11に供給する給水路29とを収容していることが好ましい。
水槽1は、排水路25、ポンプ26、送水路27、水温調整部28および給水路29を底板3が載置された載置台40の内側に収容しているので、外観を簡潔化でき、載置台40の上側全体を観賞用の領域とし、観察者が見やすい形態を演出する。
水温調整部28は、冷水が必要な場合は再生水Wcを冷却する冷却器として機能する。水温調整部28による水温調整によって必要な水温の水を生成できる。例えば冷海水で生存するクリオネを飼育する場合は、水温は0〜5℃程度に調整される。
【0026】
第3外板32または第4外板33のいずれか一方は観賞面であり、他方は遮蔽枠41との間に表示物DIS(不図示)が配置された情報表示面とすることができる。
この場合、表示物DISは、第3外板32または第4外板33のいずれか一方の外側と遮蔽枠41との間に配置されるので、簡単な構造で必要な情報を発信できる。表示物DISは、例えば、広告媒体、浮遊生物を観賞する上での注意事項等を表示できる。水槽1を壁面の近くに配置した場合等に有効に作用する。
【0027】
[実施の形態3]
図6および図7を参照して、本実施の形態に係る水槽1について説明する。本実施の形態では、連結部38に対する変形例としての連結部39、水流生成部11の上面11sでの第1傾斜部8の配置に関する変形例について説明する。これらは、他の実施の形態に対して組み合わせても良く、本実施の形態において組み合わせても良い。
図6は、本発明の実施の形態3に係る水槽1における空気層35を外部から遮断する連結部39(連結部38に対する変形例)を示す部分断面図である。
連結部39は、内側水槽1fの上端部36と、外側水槽1sの上端部37との間を橋渡しされても良い。これにより、空気層35は外部との外気から遮断される。つまり、連結部39は、連結部38とは構成が異なるが、内側水槽1fにおける結露を抑制しやすいという連結部38と同様な作用が生じる。
図7は、本発明の実施の形態3に係る水槽1における第1傾斜部8の配置の変形例を示す部分断面図である。
第1傾斜部8は、水流生成部11の上面11sにおける配置を変更して、水流生成部11の先端に位置する吐出部14の側に吐出位置調整部15を配置しても良い。吐出位置調整部15は、上面11sが平坦であることから回帰水流FRの横向きの度合いを高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、緩やかな循環水流を生成して浮遊生物を飼育するのに適した水槽を提供するので、飼育が困難な浮遊生物に対する水槽の製造に利用できる。
【符号の説明】
【0029】
1:水槽、1f:内側水槽、1s:外側水槽、3:底板、3c:凹部、4:第1壁板、
5:第2壁板、6:第3壁板、7:第4壁板、8:第1傾斜部、8t:上端、
9:第2傾斜部、9t:上端、10:天板、11:水流生成部、11s:上面、
12:貯留室、13:吐出口、14:吐出部、15:吐出位置調整部、20:排水部、
21:多孔板、22:排水口、23:フィルターマット、24:排水調整板、
24m:排水調整口、25:排水路、26:ポンプ、27:送水路、28:水温調整部、29:給水路、30:第1外板、31:第2外板、32:第3外板、33:第4外板、
34:角部、35:空気層、36,37:上端部、38,39:連結部、40:載置台、41:遮蔽枠、42:枠柱、42t:頂部、42f:脚部、43:上連結板、
44:下連結板、46:照明器具、47:制御部、
FC:循環水流、FD:下降水流、FE:排出水流、FL:底側水流、
FR:回帰水流、FU:上昇水流、FW:水面側水流、
Hb,Hd,Hm,Hs1,Hs2:高さ、ps:配列ピッチ、SV1:第1観賞方向、
SV2:第2観賞方向、SV3:第3観賞方向、SV4:第4観賞方向、Wb:横幅、
Wc:再生水、WF:水面、θ1,θ2:傾斜角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7