(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682086
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】配管支持具
(51)【国際特許分類】
F16L 3/10 20060101AFI20200406BHJP
F16F 15/06 20060101ALI20200406BHJP
F16F 1/18 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
F16L3/10 Z
F16F15/06 A
F16F1/18 Z
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-85894(P2018-85894)
(22)【出願日】2018年4月27日
(65)【公開番号】特開2019-190602(P2019-190602A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2018年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】591021958
【氏名又は名称】株式会社アカギ
(74)【代理人】
【識別番号】100073210
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 信昭
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 隆次郎
【審査官】
二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−226479(JP,A)
【文献】
特開平10−185083(JP,A)
【文献】
特開2006−235048(JP,A)
【文献】
特開2000−332520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/10
F16F 1/18
F16F 15/06
F16M 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面等の取付面に固定される台座の両端近傍から各1本の支持ボルトを起立させ、この2本の支持ボルト間に架け渡した支持バンドに配管を支持固定する構成の床置式配管支持具において、
前記台座の上面であって前記2本の支持ボルト間に、弾性を有する長方形の板材から成る防振板が、水平方向へ回動可能に回動軸部を介して取り付けられており、
前記防振板の長方形の長辺が前記2本の支持ボルトの間隔よりも短い構成であり、
前記防振板の長方形の短辺である両端には下方に折り曲げられた折曲部を有し、
長方形の短辺の折曲部が台座の上面に位置する際は、折曲部の下端が台座の上面に当接すると共に、該防振板が回動軸部の位置する中央部分を基点としてその両側が上方に彎曲した変形状態にあり、
前記防振板を水平方向へ回動させて前記折曲部が台座の上面から外れた位置となった際は、該防振板が湾曲した変形状態から復帰することにより折曲部の下端が取付面に当接する構成であり、現場での取付作業が省略された耐震ないし防振可能な構成であること、
を特徴とする床置式配管支持具。
【請求項2】
回動軸部が台座に螺合固定される構成であることを特徴とする請求項1に記載の床置式配管支持具。
【請求項3】
回動軸部が台座にカシメ固定される構成であることを特徴とする請求項1に記載の床置式配管支持具。
【請求項4】
防振板が、その長辺方向が配管軸方向と一致した状態まで回動した際に、更なる回動を規制する突起部が台座上面に設けられた構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の床置式配管支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は床置式配管支持具に関し、詳しくは水道管等の配管類を床面や壁面等の取付面から一定の高さで且つ耐震ないし防振可能に支持する床置式配管支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
配管を床面や壁面等の取付面から一定の高さで配管を支持する床置式配管支持具において、耐震ないし防振対策を施す技術としては、例えば、特許文献1に記載の技術等が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の技術によれば、支持ボルトに止着固定される止着固定部と台座の幅方向に延伸して取付面に接地する延伸支持部とを有する構成の転倒防止具によって、床置式配管支持具の耐震ないし防振を図ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−226479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献1に記載の技術では、転倒防止具の構成が複雑であるだけでなく床置式配管支持具とは別体構成であるため、長尺物の配管の支持に必要な個数を考慮すると、製造コストが高くなるだけでなく、部品管理・現場搬入が煩雑となり、更には現場での各床置式配管支持具への取付作業に手間がかかり作業性が低くなり易いという問題点を有している。
【0006】
そこで本発明の課題は、簡易な構成によって低コストで製造することができ、部品管理・現場搬入が容易であり、現場での取付作業が省略された耐震ないし防振可能な構成の床置式配管支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明は下記構成を有する。
【0008】
1.床面等の取付面に固定される台座の両端近傍から各1本の支持ボルトを起立させ、この2本の支持ボルト間に架け渡した支持バンドに配管を支持固定する構成の床置式配管支持具において、
前記台座の上面であって前記2本の支持ボルト間に、弾性を有する長方形の板材から成る防振板が、水平方向へ回動可能に回動軸部を介して取り付けられており、
前記防振板の長方形の長辺が前記2本の支持ボルトの間隔よりも短い構成であり、
前記防振板の長方形の短辺である両端には下方に折り曲げられた折曲部を有し、
長方形の短辺の折曲部が台座の上面に位置する際は、折曲部の下端が台座の上面に当接すると共に、該防振板が回動軸部の位置する中央部分を基点としてその両側が上方に彎曲した変形状態にあり、
前記防振板を水平方向へ回動させて前記折曲部が台座の上面から外れた位置となった際は、該防振板が湾曲した変形状態から復帰することにより折曲部の下端が取付面に当接する構成
であり、現場での取付作業が省略された耐震ないし防振可能な構成であること、
を特徴とする床置式配管支持具。
【0009】
2.回動軸部が台座に螺合固定される構成であることを特徴とする上記1に記載の床置式配管支持具。
【0010】
3.回動軸部が台座にカシメ固定される構成であることを特徴とする上記1に記載の床置式配管支持具。
【0011】
4.防振板が、その長辺方向が配管軸方向と一致した状態まで回動した際に、更なる回動を規制する突起部が台座上面に設けられた構成であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の床置式配管支持具。
【0012】
5.折曲部の下端に取付面に面接触する接地部が連設される構成であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の床置式配管支持具。
【0013】
6.接地部が折曲部の下端部分を折曲ることにより形成される構成であることを特徴とする上記5に記載の床置式配管支持具。
【0014】
7.接地部に透孔が形成されており、該透孔を介してボルトの如き固定手段により取付面に防振板を固定することが可能な構成であることを特徴とする上記5又は6に記載の床置式配管支持具。
【発明の効果】
【0015】
前記1に示す発明によれば、簡易な構成によって低コストで製造することができ、部品管理・現場搬入が容易であり、現場での取付作業が省略された耐震ないし防振可能な構成の床置式配管支持具を提供することができる。
【0016】
特に、台座に回動可能に取り付けられた防振板を取付面に取り付ける際に回動させるだけで耐震・防振性を発揮させることができる。かかる構成は極めて簡易な構成であるため、低コストで製造することができ、しかも別体構成ではなく台座の上面に重層した状態で取り付けられた構成なので、床置式配管支持具と一緒に製品管理を行うことができるので、部品管理・現場搬入の際の手間等が増加することがない。更に、現場において床置式配管支持具に取り付ける作業が不要であるため作業性が低下することがない。
【0017】
また、防振板は弾性を有する板材から形成されているため、震動・振動を吸収して軽減する機能を有し、耐震ないし防振性を発揮することができる。
更に、防振板によって発揮される耐震ないし防振性は、台座を平板構成から成る板材から形成しても発揮されるため、コストアップを招くことなく提供することが可能である。
【0018】
前記2に示す発明によれば、配管支持具の分野において極めて一般的な技術手段であるネジ・ボルト等による螺合によって回動可能に固定する構成のため、極めて低コストである。
【0019】
前記3に示す発明によれば、配管支持具の分野において極めて一般的な技術手段であるカシメによって回動可能に固定する構成のため、極めて低コストである。
【0020】
前記4に示す発明によれば、耐震ないし防振性が最も発揮される向きに防振板を固定することができる。
【0021】
前記5に示す発明によれば、取付面に対する防振板の接地面積を増やすことができるので、耐震ないし防振性がより向上する。
【0022】
前記6に示す発明によれば、極めて簡易な構成で耐振ないし防振性を向上させることができる。
【0023】
前記7に示す発明によれば、床置式配管支持具の取付面に対する固定をより強固にすることができるため、耐震ないし防振性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る床置式配管支持具の一実施例を示す斜視図
【
図2】
図1の正面図(但し、防振板は台座上に重層した状態)
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、添付の図面に従って本発明を詳細に説明する。
【0026】
本発明に係る床置式配管支持具は、1本又は2本以上のガス管・給水管・給湯管・回線保護管等の配管類を、天井面・壁面・床面等の取付面から一定の高さで耐震ないし防振性を発揮させた状態で支持固定するものである。
【0027】
本発明の床置式配管支持具1の具体的構成としては、
図1〜
図6に示す実施例によれば、
床面等の取付面7(
図6に仮想線で示す。)に固定される台座2の両端近傍から各1本の支持ボルト3・3を起立させ、この2本の支持ボルト3・3間に架け渡した支持バンド4に配管を支持固定する構成において、
前記台座2の上面であって前記2本の支持ボルト3・3間に、弾性を有する長方形の板材から成る防振板5が水平方向に回動可能に回動軸部6を介して取り付けられており、
防振板5の長方形の長辺が前記2本の支持ボルト3・3の間隔よりも短い構成であり、
防振板5の長方形の短辺である両端には下方に折り曲げられた折曲部51・51を有し、
長方形の短辺の折曲部51・51が台座2の上面に位置する際は、折曲部51・51の下端が台座2の上面に当接すると共に、防振板5が回動軸部6の位置する中央部分を基点としてその両側が上方に彎曲した変形状態にあり、
防振板5を水平方向に回動させて前記折曲部51・51が台座2の上面から外れた位置となった際は、防振板5が湾曲した変形状態から復帰することにより折曲部51・51の下端が取付面7に当接する構成
であり、現場での取付作業が省略された耐震ないし防振可能な構成であること、
を主構成とするものである。
【0028】
以下、本発明の構成について更に詳説する。
【0029】
本発明の床置式配管支持具1の基本構成、即ち、台座2、2本の支持ボルト3・3、支持バンド4を有して成る部分については、この種の床置式配管支持具として公知公用の一般的構成のものを特別の制限なく用いることができる。尚、台座2は本実施例に示すような平板構成であることが好ましいが、プレスや折曲げによって周囲において立ち上げた構成であってもよい。
【0030】
台座2に取り付けられる防振板5は、上記したように弾性を有する板材から形成されており、弾性を有する板材としては、例えば、ステンレス鋼板材やアルミ合金板材等を挙げることができる。
【0031】
防振材5の台座2への固定は、略中央に設けられた回動軸受孔52を、カシメリベット固定等に代表されるカシメ固定や、ネジやボルト等に代表される螺合固定等によって固定する構成を挙げることができる。
【0032】
防振板5の折曲部51・51の折曲長さとしては、回動後の状態、即ち、折曲部51・51が台座2の上面から外れて取付面7の上面側に移動した際に、該折曲部51・51の下端が取付面7に各々当接する長さで折り曲げられるものであり、台座2の厚みや、台座2に取り付けられた防振板5の取付面7からの高さに応じて適宜設定される。この回動後に取付面7の上面に折曲部51・51の下端が当接する長さに設定されるが故に、回動前の状態、即ち、その全体が台座2の上面に位置し、且つ、折曲部51・51の下端が台座2の上面に当接している状態の時には、防振板5は回動軸部6の位置する中央部分を基点としてその両側が上方に彎曲した状態となる。この状態では、防振板5が有している弾性によって折曲部51・51の下端が台座2を押圧した状態で当接しているので、防振板5は床置式配管支持具1の移動時や取付時に様々な向きになったとしても勝手に回動することなく、その配設位置を自ずと維持することができる。
【0033】
床置式配管支持具1の取付面7への取付けに際して、取付面7に台座2を取付けると共に防振板5を回動させることにより、台座2が取付面7に固定されるだけでなく、該台座2の配管軸方向の両側において防振板5の折曲部51・51が取付面2の上面に当接することになるので、より安定した固定となる。従って、耐震ないし防振性を発揮した床置式配管支持具1の支持バンド4に抱持支持される配管は安定した状態で抱持支持されることになる。また、防振板5を回動させた後は、折曲部51・51の下端は防振板5が有する弾性により台座2の上面よりも下方に位置することになることによって台座2の上面に後戻りすることがないので、回動状態を固定するネジ留め等の保持手段が不要である。尚、防振板5を元の状態である台座5の上面位置に復帰させる際は、折曲部51・51の下端位置が台座5の上面より上方となるように防振板5をその弾性に抗して彎曲させた後に逆方向に回動させればよい。
【0034】
以上、本発明に係る床置式配管支持具の実施例について説明したが、本発明は上記構成に限定されず、本発明の範囲内において種々の態様を採ることができる。
【0035】
例えば、
図5に仮想線(点線)で示すように突起部21を台座2の上面に任意の位置に設けることにより、防振板5が、その長辺方向が配管軸方向と一致した状態まで回動した際に、それ以上に回動しないように規制する構成とすることもできる。かかる構成によれば、耐震ないし防振性が最も発揮される向きに防振板5を固定することができる。
【0036】
また、
図7に示すように、折曲部51・51の下端に取付面7に面接触する接地部53が連設される構成とすることもできる。かかる構成によれば、取付面7に対する防振板5の接地面積を増やすことができるので、耐震ないし防振性がより向上する。接地部53の形成手段としては、別なる部材を折曲部51・51の下端に溶接等によって付加することにより設けてもよいが、好ましくは、折曲部51・51を予め余分に長く形成しておき、その余分の長い部分を折曲ることにより形成する構成である。
【0037】
更に、
図7に示すように、接地部53・53に透孔54・54を形成し、この透孔54・54を介してボルトの如き固定手段により取付面7に防振板5を固定する構成とすることもできる。かかる構成によれば、床置式配管支持具1の取付面7に対する固定をより強固にすることができるため、耐震ないし防振性を更に向上させることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 床置式配管支持具
2 台座
21 突起部
3 支持ボルト
4 支持バンド
5 防振板
51 折曲部
52 回動軸受孔
53 接地部
54 透孔
6 回動軸部
7 取付面