【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するために、本発明の放送システムは、放送内容を送信する発信機と、発信機から送信された放送内容を受信する受信機とを備え、放送内容の受信対象となる受信機の選定は、受信者によって登録された受信される地域を特定するユニークIDが作成されることによってなされ、発信者によって選定されたユニークIDを有する受信機に対して発信機から放送がなされることを特徴とする。
【0011】
放送内容の受信対象となる受信機の選定は、受信者によって登録された受信される地域を特定することによって得られるユニークIDに基づいてなされるため、受信者自身の名前、住所、電話番号、メールアドレスのような、受信者自身を特定する固有の個人情報を発信者が取得することなく、情報を送信することができる。そのため、発信者が受信者の個人情報を管理する必要がなく、受信者の個人情報を適正に管理することが困難な状況にある発信者であっても、個人情報管理の制約を受けることなく、放送システムを構築することができる。
【0012】
また、発信機からの放送が受信される地域の特定は、受信者によって登録された受信される地域に基づいてなされるため、発信機は必ずしも登録された地域に存在していることを要しない。従って、受信者が旅行中や出張中のように、通常の居住地から離れている場合であっても、自身の居住地を受信地域として登録しておけば、自身の居住地に対する放送を受けることができる。その逆に、通常の居住地とは異なる地域を受信地域として登録しておくことにより、居住地以外であっても、登録した地域に関する利用可能な情報を、発信者から受けとることもできる。このような点は、通常の放送局からなされる放送の受信が、その放送局の受信エリアに限定されることと大きく相違し、通常の放送とは異なる利便性を得ることができる。
【0013】
本発明の放送システムにおいては、前記ユニークIDの作成は、受信者が保有する受信機固有のデバイスIDに、地域を表示する地域コード番号を付加して生成された受信者情報が、受信者によって受信機を介して情報配信用サーバーに登録されることによってなされ、前記ユニークIDが蓄積されたデータベースが生成されている構成とすることができる。
【0014】
ユニークIDの作成は、受信機に固有の情報であるデバイスIDと、公的な認証コードである郵便番号等の地域を表示する地域コード番号を付加して生成されるため、特定の地域が登録された受信機を受信対象として放送がなされる。そのため、受信者自身の名前、住所、電話番号、メールアドレスのような、受信者自身を特定する固有の個人情報を発信者が取得する必要がない。
【0015】
そのため、ユニークIDに基づいて、地域の選別と、受信者が保有する受信機の選別がなされ、発信者は、受信者の個人情報を用いることなく、送信したい情報を適正に送信することができる。
【0016】
本発明の放送システムにおいては、前記ユニークIDの作成は、受信者が保有する受信機固有のデバイスIDに、緯度経度情報に基づく地図情報から得られる地域特定情報を付加して生成された受信者情報が、受信者によって受信機を介して情報配信用サーバーに登録されることによってなされ、前記ユニークIDが蓄積されたデータベースが生成されている構成とすることができる。
【0017】
ユニークIDの作成は、受信者が保有する受信機固有のデバイスIDに、緯度経度情報に基づく地図情報から得られる地域特定情報を付加して生成されるため、郵便番号等の地域コード番号で特定したときに、地域コード番号で特定される地域の境界地域のように、地域コード番号による特定では、送信先の抽出が困難な場合での送信、例えば、発信地から半径1km以内というような地域特定が可能となり、発信者の位置に合致した発信が可能となるため、利便性が高まる。
【0018】
本発明の放送システムにおいては、前記地図情報は、受信者が受信機を介して入力した住所が、緯度経度情報に変換されて情報配信用サーバーに登録されたものとすることができる。
【0019】
受信者が緯度経度情報を入力することが困難な場合には、住所が緯度経度情報に変換されて情報配信用サーバーに登録されるようにすることにより、受信者の利便性が高まる。この場合にも、住所から緯度経度情報への変換は、情報配信用サーバーにおいてなされるため、発信者は受信者の住所を知ることはなく、受信者の個人情報を管理する必要がない。
【0020】
本発明の放送システムにおいては、前記情報配信用サーバーに登録された前記ユニークIDに基づいて、エリアフィルタを介して受信地域の選別がなされ、デバイスIDにより受信者が保有する受信機の選別がなされて、選定された受信機に対して発信機から放送がなされる構成とすることができる。
【0021】
エリアフィルタの機能によって、受信対象となるための全ての選別条件を満たす受信地域と受信機の選定がなされるため、発信者の意図に沿った情報発信が可能となる。
【0022】
本発明の放送システムにおいては、前記受信機は、同一の放送内容の放送タイミングを受信地域毎にずらす放送タイミング調整手段を備えている構成とすることができる。
【0023】
同一の放送内容の放送タイミングを受信地域毎にずらすことにより、放送を商品の広告宣伝に適用したときに、宣伝効果を得るタイミングを時間的にずらすことができ、特に、大規模な品揃えが困難な小規模店舗において、持続的に宣伝効果を維持することができる。そのため、一時的に活況になりすぎて対応が困難になることもなく、活況状態が長続きせず持続性が弱いという問題点も克服できる。
【0024】
本発明の放送システムにおいては、前記発信機から前記受信機に対して質問情報が送信されるとともに、この質問情報に対する前記受信機からの回答情報が前記発信機に返信される構成とすることができる。
【0025】
放送を商品の情報提供に適用したときに、質問情報に対する受信機からの回答情報により、発信者は商品の購買希望を把握することができ、発信者である店舗において、品揃えの計画を正確に立てることが可能となる。このような購買希望はもともと、購入希望数に応じて品揃え数や販売員の人数の確保などの販売計画を立てられれば良く、商品を購入する予定のある個人までをも特定する必要はない。そのため、個人情報を把握することなく、販売戦略を立てることができるという点で、有効なツールと言える。
【0026】
本発明の放送システムにおいては、前記発信機からの放送には、前記発信機を所有する発信者に関する発信者情報が含まれており、前記受信機は、特定の発信者情報が付与された放送を受信拒否する受信拒否手段を有している構成とすることができる。
【0027】
発信者からの放送には、発信機を所有する発信者情報が含まれているため、受信者が不要と判断した発信者からの受信を拒否することにより、受信者の利便性を高めることができる。
【0028】
本発明の放送システムにおいては、前記受信拒否手段を解除して、特定の発信者情報が付与された放送の受信を復活させる受信拒否解除手段を有している構成とすることができる。
【0029】
一旦不要と判断した発信者からの受信が復活不可能であると、状況が変わって必要と判断したときに情報を受信できなくなるが、受信拒否手段を解除して、特定の発信者情報が付与された放送の受信を復活させる受信拒否解除手段を有していることにより、状況の変化に応じて受信の回復を図ることができる。
【0030】
本発明の放送システムにおいては、前記発信機は携帯端末である構成とすることができる。
【0031】
発信者が小規模の店舗であっても、発信機を携帯端末とすることにより、情報発信のために特段の設備を準備することなく、すでに保有している携帯端末のように、既存の通信機器を用いて放送システムを構築することができ、利便性が高い。また、本発明の放送システムでは、通常の大規模な放送局による放送と異なり、通信容量を小さく抑えることができるため、発信機として携帯端末を用いることに通信容量の点での問題を生じないため、放送システムの構築に支障を生じない。
【0032】
本発明の放送システムにおいては、前記受信機は携帯端末である構成とすることができる。
【0033】
受信機を携帯端末とすることにより、受信者は携帯端末を保持していれば、どのような場所に居ても、発信者からの情報を受け取ることができる。特に、受信者が旅行中や出張中のように、通常の居住地から離れている場合に、自身の居住地を受信地域として登録しておいて、自身の居住地に対する放送を受ける場合には、持ち運び自由な携帯端末が受信機として機能することは有効である。
【0034】
本発明の放送システムにおいては、前記放送内容は、店舗から発信される広告宣伝情報とすることができる。
【0035】
小規模な小売店を含む店舗においては、受信者の個人情報を管理することが特に困難であるが、本発明の放送システムでは、そのような個人情報を採取せずに、広告宣伝を行うことができる。そのため、このような店舗が個人情報管理に束縛されずに、広告宣伝を行うことができる点で、大きな利点がある。
【0036】
また、通常の大規模な放送局による放送と異なり、放送が受信される地域を発信者の都合によって細かく分けることができるため、特に、大規模な品揃えが困難な小規模店舗が、受信エリアの広さに応じて品揃えをすることができ、効率的な店舗運営が可能となる。
【0037】
このことは、大規模な放送局によって放送されたことによって、特定の店舗が人気化し、一時的に活況になりすぎて対応が困難になる一方、活況状態が長続きせず持続性が弱いという、これまでの一般放送による宣伝スタイルの弱点と弊害を克服するものとして、その意義は大きい。また、大規模な一斉放送と異なり、送信される地域が細かく限定されるため、通信容量を小さく抑えることができる点においても、小規模店舗が行う宣伝広告ツールとして特に有効であり、小規模店舗自身が自律的な小さな放送局として機能する放送システムということができる。