特許第6682091号(P6682091)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6682091
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】放送システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20200406BHJP
   H04H 20/61 20080101ALI20200406BHJP
【FI】
   G06F13/00 510G
   H04H20/61
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-154954(P2019-154954)
(22)【出願日】2019年8月27日
【審査請求日】2019年8月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】711002915
【氏名又は名称】株式会社サークル・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100116296
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幹生
(72)【発明者】
【氏名】一丸 敏雄
【審査官】 北川 純次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−022633(JP,A)
【文献】 特開2010−034689(JP,A)
【文献】 特開2002−123741(JP,A)
【文献】 特開2003−108860(JP,A)
【文献】 特開2003−223401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
H04H 20/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送内容を送信する発信機と、発信機から送信された放送内容を受信する受信機とを備え、放送内容の受信対象となる受信機の選定は、受信者によって登録された受信される地域を特定するユニークIDが作成されることによってなされ、発信者によって選定されたユニークIDを有する受信機に対して発信機から放送がなされ、
前記ユニークIDの作成は、受信者が保有する受信機固有のデバイスIDに、地域を表示する地域コード番号を付加して生成された受信者情報が、受信者によって受信機を介して情報配信用サーバーに登録されることによってなされ、前記ユニークIDが蓄積されたデータベースが生成されており、
前記情報配信用サーバーに登録された前記ユニークIDに基づいて、エリアフィルタを介して受信地域の選別がなされ、デバイスIDにより受信者が保有する受信機の選別がなされて、選定された受信機に対して発信機から放送がなされることを特徴とする放送システム。
【請求項2】
放送内容を送信する発信機と、発信機から送信された放送内容を受信する受信機とを備え、放送内容の受信対象となる受信機の選定は、受信者によって登録された受信される地域を特定するユニークIDが作成されることによってなされ、発信者によって選定されたユニークIDを有する受信機に対して発信機から放送がなされ、
前記ユニークIDの作成は、受信者が保有する受信機固有のデバイスIDに、緯度経度情報に基づく地図情報から得られる地域特定情報を付加して生成された受信者情報が、受信者によって受信機を介して情報配信用サーバーに登録されることによってなされ、前記ユニークIDが蓄積されたデータベースが生成されており、
前記情報配信用サーバーに登録された前記ユニークIDに基づいて、エリアフィルタを介して受信地域の選別がなされ、デバイスIDにより受信者が保有する受信機の選別がなされて、選定された受信機に対して発信機から放送がなされることを特徴とする放送システム。
【請求項3】
前記地図情報は、受信者が受信機を介して入力した住所が、緯度経度情報に変換されて情報配信用サーバーに登録されたものであることを特徴とする請求項2記載の放送システム。
【請求項4】
前記発信機は、同一の放送内容の放送タイミングを受信地域毎にずらす放送タイミング調整手段を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の放送システム。
【請求項5】
前記発信機から前記受信機に対して質問情報が送信されるとともに、この質問情報に対する前記受信機からの回答情報が前記発信機に返信されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の放送システム。
【請求項6】
前記発信機からの放送には、前記発信機を所有する発信者に関する発信者情報が含まれており、前記受信機は、特定の発信者情報が付与された放送を受信拒否する受信拒否手段を有していることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の放送システム。
【請求項7】
前記受信拒否手段を解除して、特定の発信者情報が付与された放送の受信を復活させる受信拒否解除手段を有していることを特徴とする請求項6記載の放送システム。
【請求項8】
前記発信機は携帯端末であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の放送システム。
【請求項9】
前記受信機は携帯端末であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の放送システム。
【請求項10】
前記放送内容は、店舗から発信される広告宣伝情報であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の放送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗等から発せられる情報が受信者のニーズに合致するものとなるように受信者の設定がなされるとともに、受信先を特定するにあたって、受信者自身に固有の個人情報を用いずに、発信者と受信者の意図に合わせて的確に送信を行うことが可能な放送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
店舗等からの宣伝情報の多くは、携帯電話等の携帯端末や、パーソナルコンピュータを介して、ユーザーである個人あてに送信されている。この際、受信先の特定は、受信者自身に固有の個人情報である氏名、住所、電話番号や、受信者が保有しているメールアドレス等の個人情報によってなされる。
【0003】
近年、このような個人情報を管理している発信者側での漏洩事件が頻発しており、この影響から個人情報の管理義務が厳しくなっていることから、管理義務を果たしていない場合には罰則が適用される状況となっている。
【0004】
一方、これまでにおいては、発信者が受信者自身に固有の個人情報を取得することによって、受信者の購買傾向や嗜好を把握することができ、これによって、店舗等から発せられる情報が受信者のニーズに合致するものとなるように受信者の設定がなされている。
【0005】
広告宣伝に関する情報提供システムに関する技術の一例が、特許文献1に記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−132717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、小規模の店舗が情報端末を介して宣伝を行うにあたって、受信者の個人情報を適正に管理することが困難な場合が多い。従って、受信者の個人情報を把握することなく、店舗等から発せられる情報が受信者のニーズに合致するものとなるように受信者の設定がなされれば、極めて有益である。
【0008】
また、小規模の店舗が情報の発信元となる場合には、放送局が行う通常の放送システムのように、大規模なシステムを構築することができないため、通信容量の制限を受ける。そのため、小さな通信容量によって、十分な情報伝達を行うことも必要となる。
【0009】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、店舗等の発信者から発せられる情報が受信者のニーズに合致するものとなるように受信者の設定がなされるとともに、受信先を特定するにあたって、受信者が有している固有の個人情報を用いずに、小さな通信容量によっても発信者の意図に合わせて的確に送信を行うことが可能な放送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するために、本発明の放送システムは、放送内容を送信する発信機と、発信機から送信された放送内容を受信する受信機とを備え、放送内容の受信対象となる受信機の選定は、受信者によって登録された受信される地域を特定するユニークIDが作成されることによってなされ、発信者によって選定されたユニークIDを有する受信機に対して発信機から放送がなされることを特徴とする。
【0011】
放送内容の受信対象となる受信機の選定は、受信者によって登録された受信される地域を特定することによって得られるユニークIDに基づいてなされるため、受信者自身の名前、住所、電話番号、メールアドレスのような、受信者自身を特定する固有の個人情報を発信者が取得することなく、情報を送信することができる。そのため、発信者が受信者の個人情報を管理する必要がなく、受信者の個人情報を適正に管理することが困難な状況にある発信者であっても、個人情報管理の制約を受けることなく、放送システムを構築することができる。
【0012】
また、発信機からの放送が受信される地域の特定は、受信者によって登録された受信される地域に基づいてなされるため、発信機は必ずしも登録された地域に存在していることを要しない。従って、受信者が旅行中や出張中のように、通常の居住地から離れている場合であっても、自身の居住地を受信地域として登録しておけば、自身の居住地に対する放送を受けることができる。その逆に、通常の居住地とは異なる地域を受信地域として登録しておくことにより、居住地以外であっても、登録した地域に関する利用可能な情報を、発信者から受けとることもできる。このような点は、通常の放送局からなされる放送の受信が、その放送局の受信エリアに限定されることと大きく相違し、通常の放送とは異なる利便性を得ることができる。
【0013】
本発明の放送システムにおいては、前記ユニークIDの作成は、受信者が保有する受信機固有のデバイスIDに、地域を表示する地域コード番号を付加して生成された受信者情報が、受信者によって受信機を介して情報配信用サーバーに登録されることによってなされ、前記ユニークIDが蓄積されたデータベースが生成されている構成とすることができる。
【0014】
ユニークIDの作成は、受信機に固有の情報であるデバイスIDと、公的な認証コードである郵便番号等の地域を表示する地域コード番号を付加して生成されるため、特定の地域が登録された受信機を受信対象として放送がなされる。そのため、受信者自身の名前、住所、電話番号、メールアドレスのような、受信者自身を特定する固有の個人情報を発信者が取得する必要がない。
【0015】
そのため、ユニークIDに基づいて、地域の選別と、受信者が保有する受信機の選別がなされ、発信者は、受信者の個人情報を用いることなく、送信したい情報を適正に送信することができる。
【0016】
本発明の放送システムにおいては、前記ユニークIDの作成は、受信者が保有する受信機固有のデバイスIDに、緯度経度情報に基づく地図情報から得られる地域特定情報を付加して生成された受信者情報が、受信者によって受信機を介して情報配信用サーバーに登録されることによってなされ、前記ユニークIDが蓄積されたデータベースが生成されている構成とすることができる。
【0017】
ユニークIDの作成は、受信者が保有する受信機固有のデバイスIDに、緯度経度情報に基づく地図情報から得られる地域特定情報を付加して生成されるため、郵便番号等の地域コード番号で特定したときに、地域コード番号で特定される地域の境界地域のように、地域コード番号による特定では、送信先の抽出が困難な場合での送信、例えば、発信地から半径1km以内というような地域特定が可能となり、発信者の位置に合致した発信が可能となるため、利便性が高まる。
【0018】
本発明の放送システムにおいては、前記地図情報は、受信者が受信機を介して入力した住所が、緯度経度情報に変換されて情報配信用サーバーに登録されたものとすることができる。
【0019】
受信者が緯度経度情報を入力することが困難な場合には、住所が緯度経度情報に変換されて情報配信用サーバーに登録されるようにすることにより、受信者の利便性が高まる。この場合にも、住所から緯度経度情報への変換は、情報配信用サーバーにおいてなされるため、発信者は受信者の住所を知ることはなく、受信者の個人情報を管理する必要がない。
【0020】
本発明の放送システムにおいては、前記情報配信用サーバーに登録された前記ユニークIDに基づいて、エリアフィルタを介して受信地域の選別がなされ、デバイスIDにより受信者が保有する受信機の選別がなされて、選定された受信機に対して発信機から放送がなされる構成とすることができる。
【0021】
エリアフィルタの機能によって、受信対象となるための全ての選別条件を満たす受信地域と受信機の選定がなされるため、発信者の意図に沿った情報発信が可能となる。
【0022】
本発明の放送システムにおいては、前記受信機は、同一の放送内容の放送タイミングを受信地域毎にずらす放送タイミング調整手段を備えている構成とすることができる。
【0023】
同一の放送内容の放送タイミングを受信地域毎にずらすことにより、放送を商品の広告宣伝に適用したときに、宣伝効果を得るタイミングを時間的にずらすことができ、特に、大規模な品揃えが困難な小規模店舗において、持続的に宣伝効果を維持することができる。そのため、一時的に活況になりすぎて対応が困難になることもなく、活況状態が長続きせず持続性が弱いという問題点も克服できる。
【0024】
本発明の放送システムにおいては、前記発信機から前記受信機に対して質問情報が送信されるとともに、この質問情報に対する前記受信機からの回答情報が前記発信機に返信される構成とすることができる。
【0025】
放送を商品の情報提供に適用したときに、質問情報に対する受信機からの回答情報により、発信者は商品の購買希望を把握することができ、発信者である店舗において、品揃えの計画を正確に立てることが可能となる。このような購買希望はもともと、購入希望数に応じて品揃え数や販売員の人数の確保などの販売計画を立てられれば良く、商品を購入する予定のある個人までをも特定する必要はない。そのため、個人情報を把握することなく、販売戦略を立てることができるという点で、有効なツールと言える。
【0026】
本発明の放送システムにおいては、前記発信機からの放送には、前記発信機を所有する発信者に関する発信者情報が含まれており、前記受信機は、特定の発信者情報が付与された放送を受信拒否する受信拒否手段を有している構成とすることができる。
【0027】
発信者からの放送には、発信機を所有する発信者情報が含まれているため、受信者が不要と判断した発信者からの受信を拒否することにより、受信者の利便性を高めることができる。
【0028】
本発明の放送システムにおいては、前記受信拒否手段を解除して、特定の発信者情報が付与された放送の受信を復活させる受信拒否解除手段を有している構成とすることができる。
【0029】
一旦不要と判断した発信者からの受信が復活不可能であると、状況が変わって必要と判断したときに情報を受信できなくなるが、受信拒否手段を解除して、特定の発信者情報が付与された放送の受信を復活させる受信拒否解除手段を有していることにより、状況の変化に応じて受信の回復を図ることができる。
【0030】
本発明の放送システムにおいては、前記発信機は携帯端末である構成とすることができる。
【0031】
発信者が小規模の店舗であっても、発信機を携帯端末とすることにより、情報発信のために特段の設備を準備することなく、すでに保有している携帯端末のように、既存の通信機器を用いて放送システムを構築することができ、利便性が高い。また、本発明の放送システムでは、通常の大規模な放送局による放送と異なり、通信容量を小さく抑えることができるため、発信機として携帯端末を用いることに通信容量の点での問題を生じないため、放送システムの構築に支障を生じない。
【0032】
本発明の放送システムにおいては、前記受信機は携帯端末である構成とすることができる。
【0033】
受信機を携帯端末とすることにより、受信者は携帯端末を保持していれば、どのような場所に居ても、発信者からの情報を受け取ることができる。特に、受信者が旅行中や出張中のように、通常の居住地から離れている場合に、自身の居住地を受信地域として登録しておいて、自身の居住地に対する放送を受ける場合には、持ち運び自由な携帯端末が受信機として機能することは有効である。
【0034】
本発明の放送システムにおいては、前記放送内容は、店舗から発信される広告宣伝情報とすることができる。
【0035】
小規模な小売店を含む店舗においては、受信者の個人情報を管理することが特に困難であるが、本発明の放送システムでは、そのような個人情報を採取せずに、広告宣伝を行うことができる。そのため、このような店舗が個人情報管理に束縛されずに、広告宣伝を行うことができる点で、大きな利点がある。
【0036】
また、通常の大規模な放送局による放送と異なり、放送が受信される地域を発信者の都合によって細かく分けることができるため、特に、大規模な品揃えが困難な小規模店舗が、受信エリアの広さに応じて品揃えをすることができ、効率的な店舗運営が可能となる。
【0037】
このことは、大規模な放送局によって放送されたことによって、特定の店舗が人気化し、一時的に活況になりすぎて対応が困難になる一方、活況状態が長続きせず持続性が弱いという、これまでの一般放送による宣伝スタイルの弱点と弊害を克服するものとして、その意義は大きい。また、大規模な一斉放送と異なり、送信される地域が細かく限定されるため、通信容量を小さく抑えることができる点においても、小規模店舗が行う宣伝広告ツールとして特に有効であり、小規模店舗自身が自律的な小さな放送局として機能する放送システムということができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によると、店舗等の発信者から発せられる情報が受信者のニーズに合致するものとなるように受信者の設定がなされるとともに、受信先を特定するにあたって、受信者が有している固有の個人情報を用いずに、小さな通信容量によっても発信者の意図に合わせて的確に送信を行うことが可能な放送システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の実施形態に係る放送システムの構成を示す図である。
図2】受信される地域を特定して配信先を選択する手法の一例を示す図である。
図3】ユニークIDの作成の詳細を示す図である。
図4】地域コード番号を用いて、情報配信用サーバーを介してなされる放送の動作について説明する図である。
図5】地図情報を用いて、情報配信用サーバーを介してなされる放送の動作について説明する図である。
図6】放送される地域の特定の具体例を示す図である。
図7】発信機と受信機の動作の一例を示す図である。
図8】発信機の機能の一例を示す図である。
図9】受信拒否機能を示す図である。
図10】他の放送システムとの対比を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に、本発明の放送システムを、その実施形態に基づいて説明する。
図1に、本発明の実施形態に係る放送システムの構成を示す。なお、以下の説明においては、小規模な小売店を含む店舗が発信者となって、宣伝広告情報を送信する場合を想定しているが、本発明の放送システムの目的が達成できるものであれば、これに限定されず、他の場合についても適用できる。
【0041】
店舗、営業所等のような、宣伝広告情報や営業情報を発信する発信者1は、配信情報をテキスト情報、画像情報、音声情報として、発信機2に入力する。発信機2は、本発明の放送システムにおいて、放送内容を送信する発信機2として機能する。発信機2には、情報の配信先を選択して決定する配信エリア情報が入力される。発信機2の一例として、スマートフォン等の携帯端末を用いることができる。配信エリア情報については、後に詳述する。
【0042】
発信機2は情報配信用サーバー3に接続されており、情報配信用サーバー3には、情報配信フィルタ用データベース4に蓄積された、情報の配信先の選択データが入力される。この配信先の選択データは、受信者が保有する受信機5を介して登録された、受信される地域を特定するユニークIDが作成されることによって生成され、配信先として選択された受信機5に対して 発信機2からの情報が送信される。受信機5の一例として、スマートフォン等の携帯端末を用いることができ、発信機2と受信機5との間の通信は、インターネット通信等を用いることができる。
【0043】
図1では、発信者1によって、エリア1が受信される地域として特定されることによって、エリア1が受信地域として登録された受信機5aは、発信者1からの宣伝広告情報や営業情報を受信する。そのため、エリア1が受信地域として登録された受信機5aを保有する受信顧客は、受信顧客自身の個人情報を発信者1へ提供することなく、発信者1からの宣伝広告情報や営業情報を得ることができる。
【0044】
その一方、発信者1によって、エリア2は受信される地域として特定されていない場合には、エリア2が受信地域として登録された受信機5bは、受信地域の特定から除外され、発信者1からの宣伝広告情報や営業情報を受信しない。このようにして、放送が受信される地域を発信者の都合によって細かく分けることができるため、大規模な品揃えが困難な小規模店舗が、受信エリアの広さに応じて品揃えをすることができ、効率的な店舗運営が可能となる。
【0045】
これにより、特定の店舗が人気化して一時的に活況になりすぎて対応が困難になる一方、活況状態が長続きせず持続性が弱いという、これまでの一般放送による宣伝スタイルの弱点と弊害を克服することができる。また、大規模な一斉放送と異なり、送信される地域が細かく限定されるため、通信容量を小さく抑えることができる。そのため、情報配信用サーバー3の負荷を軽減することができ、情報配信用サーバー3の費用負担を軽減できる。この点においても、小規模店舗が行う宣伝広告ツールとして有効である。
【0046】
図2に、受信される地域を特定して配信先を選択する手法の一例を示す。
放送者端末である発信機2の操作により、送信先のエリアを特定するために、郵便番号データベース、都道府県コードデータベース、市区町村コードデータベース、緯度経度住所変換等によって特定された地域情報がエリアフィルタ6によって選別される。エリアフィルタ6によって、発信者1が送信を希望する地域が選択され、選択されたエリアが登録された視聴者端末である受信機5に対して情報が送信される。
【0047】
図3に基づいて、ユニークIDの作成の詳細について説明する。
図3(a)は、地域コード番号を用いて受信地域を特定する実施形態を示している。
放送を受信する受信機5を保有する受信者がログインすると、受信機5から情報配信用サーバー3に自動送信されて、情報配信用サーバー3に受信者情報としてのユニークID7が登録される。このユニークID7は、情報配信用サーバー3において、受信者が保有する受信機5に固有のデバイスIDと、地域を表示する地域コード番号とがデータ統合されることによって生成される。地域コード番号の代表例は郵便番号であり、これに付随して、さらに詳細な情報を含む郵便番号補助番号を用いることができる。データ統合されて生成されたユニークID7は、情報配信フィルタ用データベース4に、地域コード番号ごとにリストアップされて蓄積される。郵便番号補助番号を用いると、郵便番号だけによる地域指定では、受信エリアが広すぎる場合に、情報が発信される地域を分けることができる。
【0048】
図3(b)は、地図情報を用いて受信地域を特定する実施形態を示している。
放送を受信する受信機5を保有する受信者がログインすると、受信機5から情報配信用サーバー3に自動送信されて、情報配信用サーバー3に受信者情報としてのユニークID7が登録される。このユニークID7は、情報配信用サーバー3において、受信者が保有する受信機5に固有のデバイスIDと、地域を表示する地図情報とがデータ統合されることによって生成される。データ統合されて生成されたユニークID7は、情報配信フィルタ用データベース4に、地図情報によってリストアップされて蓄積される。地図情報として、緯度経度情報を用いることができる。
【0049】
緯度経度情報に基づく地図情報を用いることにより、地域コード番号で特定される地域の境界地域のように、地域コード番号による特定では、送信先の抽出が困難な場合での送信、例えば、発信地から半径1km以内というような地域特定が可能となり、発信者の位置に合致した発信が可能となる。
【0050】
図4に基づいて、地域コード番号を用いて、情報配信用サーバーを介してなされる放送の動作について説明する。
発信機2に接続された情報配信用サーバー3には、上述したユニークID7が登録されており、エリアフィルタ6を介して、放送される地域の選別がなされる。エリアフィルタ6には、郵便番号等の地域コード番号とデバイスIDによってデータがリストアップされている。
【0051】
例えば、エリアフィルタ6の機能によって、発信機2が選択した郵便番号であるか否かの判断がなされ、この郵便番号に該当しないエリアには放送されない。また、発信機2が選択した郵便番号補助番号であるか否かの判断がなされ、この郵便番号補助番号に該当しないエリアには放送されない。さらに、発信機2が選択したデバイスIDであるか否かの判断がなされ、このデバイスIDを有しない受信機に対しては放送されない。以上のフィルタリングにより、全ての選別条件を満たす受信機5に対して、発信機2からの放送がなされる。このようにして、特定の地域が登録された特定の受信機に対して放送がなされる。
【0052】
このように、情報配信用サーバー3に登録されたユニークID7に基づいて、エリアフィルタ6を介して発信対象地域の選別がなされ、デバイスIDにより受信者が保有する受信機5の選別がなされて、発信機2から受信機5に対して放送がなされる。このときの放送形態として、音声情報、テキスト情報、画像情報のいずれかまたはその組み合わせを採ることができる。
【0053】
図5に基づいて、地図情報を用いて、情報配信用サーバーを介してなされる放送の動作について説明する。
発信機2に接続された情報配信用サーバー3には、上述したユニークID7が登録されており、エリアフィルタ6を介して、放送される地域の選別がなされる。エリアフィルタ6には、緯度経度範囲とデバイスIDによってデータがリストアップされている。
【0054】
例えば、エリアフィルタ6の機能によって、発信機2が選択した緯度経度の範囲内に含まれるか否かの判断がなされ、この緯度経度の範囲内に該当しないエリアには放送されない。さらに、発信機2が選択したデバイスIDであるか否かの判断がなされ、このデバイスIDを有しない受信機に対しては放送されない。以上のフィルタリングにより、全ての選別条件を満たす受信機5に対して、発信機2からの放送がなされる。このようにして、特定の地域が登録された特定の受信機に対して放送がなされる。
【0055】
このように、情報配信用サーバー3に登録されたユニークID7に基づいて、エリアフィルタ6を介して発信対象地域の選別がなされ、デバイスIDにより受信者が保有する受信機5の選別がなされて、発信機2から受信機5に対して放送がなされる。このときの放送形態として、音声情報、テキスト情報、画像情報のいずれかまたはその組み合わせを採ることができる。
【0056】
上述したように、本発明の放送システムでは、発信機2からの放送は、受信者が登録した地域を表示する地域コード番号や地図情報に基づいてなされるため、発信機2は必ずしも登録された地域に存在していることを要しない。従って、受信者が旅行中や出張中のように、通常の居住地から離れている場合であっても、自身の居住地に対する放送を受けることができる。また、その逆に、通常の居住地とは異なる地域を表示する地域コード番号または地図情報を登録しておいて、居住地以外で利用可能な情報を、発信者から受けとることもできる。このような点は、通常の放送局からなされる放送の受信が、その放送局の受信エリアに限定されることと相違し、通常の放送とは異なる利便性を得ることができる。
【0057】
図6に、発信者により放送される地域の特定の具体例を示す。
図6(a)は、地域コード番号の代表例として、郵便番号によって特定する場合を示す。
郵便番号一覧表データベースに基づいて、郵便番号が入力されると、この郵便番号に対して、郵便番号フィルタによる選択がなされ、指定された郵便番号エリアのみが放送対象地域となる。さらに、地名が入力されると、この地名に対して地名フィルタによる選択がなされ、指定された地名のみが放送対象エリアとなる。このようにして、最終的に選択される郵便番号が決定される。
【0058】
図6(b)は、地図情報の代表例として、緯度経度によって特定する場合を示す。
緯度経度に基づく位置データベースに基づいて、緯度経度が入力されると、中心地からの範囲として範囲設定をすることにより、この範囲設定に対して緯度経度フィルタによる選択がなされ、その範囲外は放送対象地域から除外される。さらに、地図上の4点を緯度経度で指定すると、緯度経度フィルタによる選択がなされ、その範囲外は放送対象地域から除外される。このようにして、最終的に放送対象地域として選択される緯度経度範囲が決定される。
【0059】
地図上の4点を緯度経度で指定する際に、地形や人口密度等を考慮して、様々な形状の指定範囲を作成することができる。また、受信者が自己の住所を入力し、この住所を含む緯度経度範囲として放送対象地域を特定することもできる。このようにすることにより、受信者が緯度経度情報を入力することが困難な場合にも対応できるとともに、住所から緯度経度情報への変換は、情報配信用サーバーにおいてなされるため、発信者は受信者の住所を知ることはなく、発信者が受信者の個人情報を管理する必要がない。
【0060】
図7に、発信機と受信機の動作の一例を示す。
発信機2から受信機5に対して質問情報が送信されるとともに、この質問情報に対する受信機5からの回答情報が発信機2に返信される。質問情報の一例として、商品情報の提供が挙げられ、回答情報の一例として、情報提供された商品の購買希望の有無や購買希望数量に関する情報が挙げられる。質問情報に対する受信機5からの回答情報により、発信者は商品の購買希望を把握することができ、発信者である店舗において、品揃えの計画を正確に立てることが可能となる。購買予測を立てるためには、このような回答情報があれば十分であり、商品を購入する予定のある個人までをも特定する必要はない。従って、購入者の個人情報を把握することなく、購買予測を立てることが可能となる。
【0061】
図8に、発信機の機能の一例を示す。
発信機2は、同一の放送内容の放送タイミングを受信地域毎にずらす手段を備えている。図8は、この手段を具体化したものであり、タイマー8の時間設定により、発信機2から受信機5に対して、情報発信がなされるタイミングに時間差が設けられる。このようにすることによって、受信地域をいくつかのグループに分け、このグループ毎に異なる日時で情報が発信される。そのため、商品の販売等に関する宣伝効果を時間的にずらすことができ、大規模な品揃えが困難な小規模店舗において、持続的に宣伝効果を維持することができる。タイマー8として、通常用いられているタイマー装置を用いることもでき、ソフトウエアによってタイマー機能を実現することもできる。
【0062】
図9に、受信拒否機能を示す。
発信機2からの放送には、発信機2を所有する発信者に関する発信者情報が含まれており、放送の視聴者が有する受信機5は、特定の発信者情報が付与された放送を受信拒否する受信拒否手段を有している。図9では、視聴フィルタ9によって発信者情報を検知しており、放送者2の発信機2bと放送者3の発信機2cからの情報を受信し、放送者1の発信機2aからの情報の受信を拒否している。受信者が不要と判断した発信者情報が付与された送信を拒否することにより、受信者の利便性を高めることができる。
【0063】
また、一旦受信を拒否した場合であっても、受信拒否手段を解除して、特定の発信者情報が付与された放送の受信を復活させる受信拒否解除手段を有しているため、状況の変化に応じて受信の回復を図ることができる。これは視聴フィルタ9の設定を変更することによって行うことができる。
【0064】
図10に、他の放送システムとの対比を示す。
図10(a)は、本発明の放送システムにおける発信、受信の形態を示している。放送内容の受信対象となる受信機5の選定は、受信される地域を特定することによって得られるユニークIDに基づいてなされるため、受信者自身の名前、住所、電話番号、メールアドレスのような、受信者自身を特定する固有の個人情報を発信者が取得することなく、宣伝、広告に関する情報を送信することができる。地域の特定は、地域を表示する公的なコードや地図情報を用いるため、個人情報に立ち入る必要がない。また、店舗等自身が放送局として機能するため、放送局に宣伝を依頼する場合と異なり、自律的な宣伝広告活動が可能となる。
【0065】
図10(a)においては、発信機2から受信機5a、受信機5bに対して送信されているが、受信機5bは受信を拒否している。また、受信機5cは受信対象の選定外となっているため、受信機5cに対しては送信されていない。このような受信対象の選定も容易に行うことができる。
【0066】
図10(b)は、通常なされているインターネット通信における発信、受信の形態を示している。受信者自身の名前、住所、電話番号、メールアドレスのような、受信者自身を特定する固有の個人情報を発信者が取得して受信者に対して情報発信を行うため、秘密に保たれるべき受信者の個人情報を発信者が厳重に管理する必要が生じる。
【0067】
図10(c)は、大規模な放送局による発信、受信の形態を示している。この場合には、受信者の個人情報を取得する必要はないが、放送局の放送エリア全体に広範囲に亘って情報発信がなされるため、宣伝広告を行おうとする店舗のニーズに応じて、地域を限定した情報発信を行うことができない。
【0068】
また、受信機が受信エリアに存在していることが受信の条件となるため、受信者が通常の居住地から離れているときには、情報を受信することができない。このことは、本発明の放送システムでは、発信機2からの放送は、受信者が登録した地域を表示する地域コード番号や地図情報に基づいてなされるため、発信機2は必ずしも登録された地域に存在していることを要しないことと大きく相違する。
【0069】
また、本発明の放送システムでは、通常の居住地とは異なる地域を表示する地域コード番号等を登録しておいて、居住地以外で利用可能な情報を、発信者から受けとることができるが、大規模な放送局による放送の受信では、その放送局の受信エリアに限定されるため、通常の居住地で受信している限り、遠隔地での放送局からの情報を受け取ることができない。この点においても、通常の放送とは大きく相違する。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、店舗等の発信者から発せられる情報が受信者のニーズに合致するものとなるように受信者の設定がなされるとともに、受信先を特定するにあたって、受信者が有している固有の個人情報を用いずに、小さな通信容量によっても発信者の意図に合わせて的確に送信を行うことが可能な放送システムとして、広く利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 発信者
2 発信機
3 情報配信用サーバー
4 情報配信フィルタ用データベース
5、5a、5b 受信機
6 エリアフィルタ
7 ユニークID
8 タイマー
9 視聴フィルタ
【要約】
【課題】店舗等の発信者から発せられる情報が受信者のニーズに合致するものとなるように受信者の設定がなされるとともに、受信先を特定するにあたって、受信者が有している固有の個人情報を用いずに、小さな通信容量によっても発信者の意図に合わせて的確に送信を行うことが可能な放送システムを提供する。
【解決手段】発信機2は情報配信用サーバー3に接続され、情報配信用サーバー3には、情報配信フィルタ用データベース4によって作成された、情報の配信先の選択データが入力される。配信先の選択データは、受信される地域と受信機を特定することによって得られるユニークIDが作成されることによって生成され、受信される地域が特定されることによって、発信者1からの宣伝広告情報や営業情報を受信する。
【選択図】図1
図1
図2
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図4
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図7
図8
図9
図10