特許第6682093号(P6682093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6682093細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682093
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサー
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20200406BHJP
【FI】
   B65D47/34 100
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-238259(P2018-238259)
(22)【出願日】2018年12月20日
(65)【公開番号】特開2020-7044(P2020-7044A)
(43)【公開日】2020年1月16日
【審査請求日】2018年12月27日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0079274
(32)【優先日】2018年7月9日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518452951
【氏名又は名称】ヤン,キョン オク
(73)【特許権者】
【識別番号】518453040
【氏名又は名称】キム,ス ヨン
(73)【特許権者】
【識別番号】518452962
【氏名又は名称】ヤン,ジェ ヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,キョン オク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ス ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジェ ヨン
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−180664(JP,A)
【文献】 特開2014−193338(JP,A)
【文献】 特表2013−504355(JP,A)
【文献】 特表2008−514891(JP,A)
【文献】 特開2008−173474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/05
B05B 11/00
B65D 47/34
B65D 83/00
B65D 83/14−83/74
F16K 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサーであって、
容器の上部に結合され、容器内部に貯留された液体状態の薬剤を吸入する吸入部と、前記吸入部の一側に結合され、薬剤を所定の量だけ吐出するようにポンピング動作するポンピング部と、前記ポンピング部の上端に設置され、先端に薬剤を滴状に吐出する吐出孔が形成される吐出部と、前記吐出部を覆う蓋体部とを含み、
前記吐出部は、前記蓋体部が挿入されるヘッドベースと、前記ヘッドベースの内部に挿入され、バルブステムの上部が嵌合されるライナーとを含み、
前記吸入部は、容器の上端に結合される結合筒体と、前記結合筒体の下部に結合される筐体と、前記筐体の下部に設置され、前記筐体内に薬剤が流入される流入口を開閉する第1の逆止弁とを含み、
前記第1の逆止弁の内部中央部には、流入口を開放又は閉鎖する弁座が設けられ、前記弁座は、上部の中央部に凹部が設けられた複数の連結リブによって本体に連結され、
前記ライナー内には、流路部材と第2の逆止弁が内蔵され、前記ライナーの上部には、120度間隔で形成された3つの分離膜からなる排出孔が設けられ、
前記第2の逆止弁は、前記ライナーの昇降空間に装着され、上部が開放し、下端に行くほど直径が小さくなる半球状筒体からなり、前記半球状筒体が上下に変形可能な可変部と、流路の供給及び遮断を行うための開閉突部とを備え、
前記流路部材は、前記ライナーの流路空間の底部で前記第2の逆止弁の環状係止鍔にかかるように円板形状からなる支持板と、前記支持板上に円柱形状に設けられた第1の誘導部と、前記第1の誘導部上に円柱形状に設けられた第2の誘導部とを備え、前記第1の誘導部及び第2の誘導部には、第1の誘導路〜第5の誘導路が設けられることを特徴とする薬剤ディスペンサー。
【請求項2】
前記第1の誘導路は、前記第1の誘導部の側面と、前記第2の誘導部の下部側面に薬剤の上昇のために設けられ、第2の誘導路は、前記第1の誘導路に連続して、第2の誘導部の外周面に沿って回転する方向に設けられ、第3の誘導路は、前記第2の誘導路に連続して、第2の誘導部の側面から上部に向かって設けられ、第4誘導路は、前記第3の誘導路に連続して、第2の誘導部の外周面に沿って回転する方向に設けられ、第5の誘導路は、前記第4誘導路に連続して、第2の誘導部の側面から上部に向かって設けられることを特徴とする請求項1に記載の薬剤ディスペンサー。
【請求項3】
前記筐体の内周面には、吐出される設定量を超える薬剤が貯留空間に流入された場合、吐出される薬剤の量及び吐出時の圧力状態を調節する第1の調節溝、第2の調節溝、及び第3の調節溝が設けられ、
前記第1の調節溝は、四角形状で前記筐体の内周面の下部に設けられ、前記第2の調節溝は、前記第1の調節溝の上部に逆三角形状に設けられ、前記第3の調節溝は、前記第2の調節溝の上部に一字状に設けられることを特徴とする請求項2に記載の薬剤ディスペンサー。
【請求項4】
前記筐体の内周面には、環状突起が設けられ、前記第1の逆止弁には、前記環状突起に嵌合するテーパ部が設けられ、
ポンピング動作時、前記第1の逆止弁の本体は、前記筐体に固定され、前記弁座だけが上昇又は下降することを特徴とする請求項3に記載の薬剤ディスペンサー。
【請求項5】
前記バルブステムの下端中央部には、吸入部が突出して設けられ、前記吸入部の中心に吸入口が設けられることを特徴とする請求項2に記載の薬剤ディスペンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサーに関し、特に、ポンピング作動によって、内部に貯留された液体状態の薬剤を、一定量ずつ滴状に吐出し、薬剤の吐出時の騒音の発生を防止し、細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ディスペンサー(Dispenser)は、密閉容器内に充填された気体や液体、又はその他の内容物を、加圧によって一定量ずつ吐出して使用する装置であって、化粧品や香水又は、医薬品や食品などを貯蔵する各種の密閉容器に適用されている。
【0003】
このようなディスペンサーは、容器の上端に装着され、ポンピング部、ボタン部、及びノズルから構成され、ボタン部を押すと、バネの弾性力に抗して、シャフトが下降して、筐体内に満たされた内容物が、筒孔とシャフトの中空部及び連結管を介して、ノズルに吐出される。ここで、ボールは、筐体内流体の下降圧力によって、筐体下端の係止鍔に当接することになる。また、ボタン部から離すと、バネの弾性力によって、シャフトが上昇して筒孔が閉鎖されて、内容物の吐出が遮断され、筐体内に真空が形成され、容器に収められた内容物がボールを上昇させてバルブを開放して、筐体内に満たされることになる。
【0004】
上述したボタン部を繰返して押すと、前記の動作が繰り返され、内容物が吐出される。しかし、従来技術によるディスペンサーは、金属材質のボールを備えることによって、製作コストが高くなり、ボールを含むバルブ構造が設けられることに伴い、更なる後加工過程を行わなければならないことによって、製造過程が難しく、製造作業の作業性が低下するという問題点があった。
【0005】
また、従来技術によるディスペンサーは、ノズルに内容物が残留することによって、残留した内容物が空気と接触し、水分が蒸発して凝固されることによって、内容物が変質し、ノズルが詰まるという問題点があった。
【0006】
本願発明者らが出願した下記の特許文献1乃至3などには、上述した問題を解決するための技術が開示されている。
【0007】
例えば、下記の特許文献1には、内部に貯留された薬剤に、外部の埃や異物又は細菌が流入することを遮断する薬剤ディスペンサーであって、容器の上部に結合して、容器内部に貯留された液体状態の薬剤を吸入する吸入部と、前記吸入部の一側に結合され、薬剤を所定の量だけ噴射するようにポンピング動作するポンピング部と、前記ポンピング部の上端に設けられ、先端に噴射孔が形成される噴射部とを含み、前記ポンピング部は、前記噴射部の昇降動作によって昇降動作するピストンと、前記ピストンの下端に連結されるバルブステムと、前記バルブステムの外側に結合され、前記噴射部に復元力を供する弾性部材とを含む薬剤ディスペンサーについて開示されている。
【0008】
また、下記の特許文献2には、容器の上部に結合され、容器内部に貯留された液体状態の薬剤を吸入する吸入部と、前記吸入部の一側に結合され、薬剤を所定の量だけ吐出するようにポンピング動作するポンピング部と、前記ポンピング部の上端に設置され、先端に薬剤を滴状に吐出する吐出孔が形成される吐出部とを含み、前記ポンピング部は、内部に貯留された薬剤に、外部の埃や異物又は細菌が流入することを遮断し、前記吸入部は、容器上端に結合される結合筒体と、前記結合筒体の下部に結合され、下部の容器に貯留された薬剤が流入される流入口が形成される筐体と、前記筐体の下部に設置され、前記流入口を開閉する逆止弁とを含む薬剤ディスペンサーについて開示されている。
【0009】
一方、下記の特許文献3には、容器の上部に結合され、容器内部に貯留された液体状態の薬剤を吸入する吸入部と、前記吸入部の一側に結合され、薬剤を所定の量だけ噴射するようにポンピング動作するポンピング部と、前記ポンピング部の上端に設置され、先端に噴射孔が形成される噴射部とを含み、前記噴射部は、上端に噴射孔が形成されるヘッドベースと、前記ヘッドベース内に形成された噴射通路に設置され、ピストンの昇降動作によってポンピングされた薬剤を、前記噴射孔側に伝達するライナーと、前記噴射孔に伝達される薬剤に渦流を形成する渦流形成手段とを含み、前記ライナーの外周面には、ポンピング部のポンピング動作によって伝達される薬剤を噴射孔側に移す移動流路と、前記移動流路を介して移動する薬剤を、前記ライナーの外周面に沿って回転させた後、前記噴射孔側に伝達する回転流路が形成された薬剤ディスペンサーについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国登録特許第10−1457173号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10−1550698号公報
【特許文献3】韓国登録特許第10−1551191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、本発明者らが繰返して実験したところ、上述したような特許文献に開示された技術は、逆止弁における弁座の上下作動時、逆止弁自体が移動して、ポンピングのエラーが発生し、薬剤の吐出時に騒音が発生し、吐出量を一定に維持することができないという問題があった。
【0012】
また、前記特許文献に開示された技術では、バルブステムの入口が広く設けられるので、薬剤の初期吐出が不確実に行われ、反復的なポンピングにおいて、エラーが生じるという問題もあった。
【0013】
また、前記特許文献に開示された技術では、吐出部においてバネとピストンを適用するので、薬剤の逆流及びバネの不良で作動不能の可能性が大きく、ポンピング作動のために強いバネを用いるので、ポンピング感が悪いという問題もあった。
【0014】
一方、前記特許文献2では、吐出部で吐出される薬剤の量を調節する複数の調節突部が突設して、 異物及び細菌の浸透可能性があり、吸入部の調節溝が長方形状に設けられるので、吐出量を一定に維持することができないという問題もあった。
【0015】
本発明の目的は、上述したような問題点を解決するためになされたものであって、ポンピング動作を正しく行い、騒音の発生を防止し、細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサーを提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、薬剤の初期吐出を確実に行い、反復的なポンピングにおけるエラーの発生を防止する薬剤ディスペンサーを提供することである。
【0017】
本発明の更に他の目的は、薬剤の逆流を防止し、ポンピング感に優れている薬剤ディスペンサーを提供することである。
【0018】
また、本発明の他の目的は、異物及び細菌の浸透を防止し、薬剤の吐出量を一定に維持する薬剤ディスペンサーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記目的を達成するために、本発明による薬剤ディスペンサーは、 細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサーであって、容器の上部に結合され、容器内部に貯留された液体状態の薬剤を吸入する吸入部と、前記吸入部の一側に結合され、薬剤を所定の量だけ吐出するようにポンピング動作するポンピング部と、前記ポンピング部の上端に設置され、先端に薬剤を滴状に吐出する吐出孔が形成される吐出部と、前記吐出部を覆う蓋体部とを含み、前記吐出部は、前記蓋体部が挿入されるヘッドベースと、前記ヘッドベースの内部に挿入され、バルブステムの上部が嵌合されるライナーとを含み、
前記吸入部は、容器の上端に結合される結合筒体と、前記結合筒体の下部に結合される筐体と、前記筐体の下部に設置され、前記筐体内に薬剤が流入される流入口を開閉する第1の逆止弁とを含み、
前記第1の逆止弁の内部中央部には、流入口を開放又は閉鎖する弁座が設けられ、前記弁座は、上部の中央部に凹部が設けられた複数の連結リブによって本体に連結され、前記ライナー内には、流路部材と第2の逆止弁が内蔵され、前記ライナーの上部には、120度間隔で形成された3つの分離膜からなる排出孔が設けられ、前記第2の逆止弁は、前記ライナーの昇降空間に装着され、上部が開放し、下端に行くほど直径が小さくなる半球状筒体からなり、前記半球状筒体が上下に変形可能な可変部と、流路の供給及び遮断を行うための開閉突部とを備え、前記流路部材は、前記ライナーの流路空間の底部で前記第2の逆止弁の環状係止鍔にかかるように円板形状からなる支持板と、前記支持板上に円柱形状に設けられた第1の誘導部と、前記第1の誘導部上に円柱形状に設けられた第2の誘導部とを備え、前記第1の誘導部及び第2の誘導部には、第1の誘導路〜第5の誘導路が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
上述したように、本発明による細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサーによると、ライナー内に、流路部材と第2の逆止弁とを設けることによって、薬剤の逆流を防止し、ポンピング感に優れているという効果が得られる。また、第1の誘導部及び第2の誘導部に、第1の誘導路乃至第5の誘導路を設けることによって、薬剤の逆流を防止することができるだけでなく、外部から浸透する埃や異物又は細菌が排出孔を介して流入しても、容器まで浸透することを確実にに防止することができる。
【0021】
また、本発明による細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサーによると、筐体の内周面に吐出される薬剤の量及び吐出時の圧力状態を調節する第1の調節溝、第2の調節溝、及び第3の調節溝を設けることによって、吐出される薬剤に対してポンピング動作を正しく行い、騒音の発生を防止することができる。
【0022】
また、本発明による細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサーによると、第1の逆止弁の連結リブの上部の中央部に凹部を設け、第1の逆止弁の本体が筐体に固定されることによって、第1の逆止弁の凹部に荷重が集中して、第1の逆止弁の弁座がバランスをとって上昇及び下降するので、ポンピングのエラーを防止し、第1の逆止弁の移動による騒音を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明による細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサーの斜視図である。
図2図2は、図1における薬剤ディスペンサーの内部状態を示す図である。
図3図3は、図1における薬剤ディスペンサーの断面図である。
図4図4は、図1における薬剤ディスペンサーの分解斜視図である。
図5図5は、本発明によるガイド部材の構成を説明するための結合筒体の断面図である。
図6図6は、本発明による筐体の構成を説明するための図である。
図7図7は、図6における筐体の設置空間に装着される第1の逆止弁の構成図である。
図8図8は、本発明によるバルブステムの構成を説明するための図である。
図9図9は、本発明によるヘッドベースの構成図である。
図10図10は、本発明によるライナーの構成を説明するための図である。
図11図11は、図10におけるライナーの昇降空間に装着される第2の逆止弁の構成及び作動状態図である。
図12図12は、図10におけるライナーの流路空間に装着される流路部材の構成図である。
図13図13は、本発明による蓋体部の構成図である。
図14図14は、図3における薬剤ディスペンサーのヘッドベースが下降した状態の断面図である。
図15図15は、ライナーに設けられた排出孔の作動状態図である。
図16図16は、本発明による細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサーにおけるバルブステムの作動による第1の逆止弁の動作を説明するための図である。
図17図17は、本発明による細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサーにおける薬剤の排出過程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の前記及びその他の目的と新規な特徴は、この明細書の記述及び添付の図面によって、より明確になるだろう。
【0025】
本願で使用する用語“ポンピング(pumping)”は、ポンピング部の作動によって容器に設けられた薬剤が、ディスペンサーの外部に吐出される過程をいい、“ポンピングのエラー”は、薬剤の吐出が均一に行われないことをいう。
【0026】
また、本発明で使用する用語“上昇”は、薬剤ディスペンサーを正常状態で用いる場合、上へ移動することを意味するが、薬剤ディスペンサーを逆にして用いる場合、下へ移動することを意味する。また、“下降”は、薬剤ディスペンサーを正常状態で用いる場合、下へ移動することを意味するが、薬剤ディスペンサーを逆にして用いる場合、上へ移動することを意味する。
【0027】
以下、本発明による実施例を図面によって説明する。
【0028】
図1は、本発明による細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサーの斜視図であり、図2は、図1における薬剤ディスペンサーの内部状態を示す図であり、図3は、図1における薬剤ディスペンサーの断面図であり、図4は、図1における薬剤ディスペンサーの分解斜視図である。
【0029】
本発明の好適な実施例による細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサーは、図1及び図2に示しているように、容器(図示せず)の上部に結合し、容器内部に貯留された薬剤を吸入する吸入部10と、吸入部10の一側に結合され、薬剤を所定の量だけ滴状に吐出するようにポンピング動作するポンピング部20と、ポンピング部20の上端に設置され、先端に吐出孔312が形成される吐出部30と、前記吐出部30を覆う蓋体部40とを含む。
【0030】
前記吸入部10は、図2及び図3に示しているように、容器上端に結合される結合筒体11と、結合筒体11の下部に結合される筐体12と、筐体12の下部に設置され、筐体12内に薬剤が流入される流入口121を開閉する第1の逆止弁13とを含む。
【0031】
前記ポンピング部20は、図2及び図4に示しているように、前記筐体12に嵌合されるバルブステム22と、前記バルブステム22を上昇させる弾性部材23とを含む。
【0032】
前記吐出部30は、蓋体部40が挿入されるヘッドベース31と、前記ヘッドベース31の内部に挿入され、バルブステム22の上部が嵌合されるライナー32とを含む。前記ライナー32内には、図4に示しているような排出通路内に設けられ、排出孔323に残っている薬剤の汚染を防止する汚染防止部材33、流路部材34、及び第2の逆止弁35が装着される。
【0033】
前記結合筒体11は、図1及び図2に示しているように、略円筒形状に形成され、結合筒体11の内部には、図5に示しているように、ポンピング部20に設けられるバルブステム22の昇降動作をガイドするガイド部材14が設置される。
【0034】
図5は、本発明によるガイド部材14の構成を説明するための結合筒体11の断面図である。
【0035】
前記ガイド部材14は、図5に示しているように、上下面が開口した略円筒形状に形成され、前記バルブステム22の下端部が挿入して結合される第1の結合ガイド141と、第1の結合ガイド141の上部に連結して形成される第2の結合ガイド142と、第2の結合ガイド142と結合筒体11を連結する連結部材143とを含む。
【0036】
第1の結合ガイド141は、内部に結合されるバルブステム22の昇降動作をガイドする役割を果たす。このために、第1の結合ガイド141は、バルブステム22の下部径に対応する直径に形成される。例えば、第1の結合ガイド141は、下端に行くほど直径が大きくなるように、外側下方に向かって傾斜して形成することができる。
【0037】
一方、第1の結合ガイド141の内周面には、結合筒体11の外側及び上部空間の埃や異物、細菌などが第1の結合ガイド141下部空間に伝達されることを遮断する少なくとも1以上の環状ガイド145が形成される。
【0038】
第2の結合ガイド142は、上下面が開口した略円筒形状に形成され、第1の結合ガイド141の直径よりも大きい直径を有するように形成される。
【0039】
第2の結合ガイド142の上端は、ポンピング部20の弾性部材23の下端に挿入して、弾性部材23の径方向の流動及び弾性部材23が任意に分離されることを防止することができる。連結部材143は、下面が開口した円筒形状に形成される。
【0040】
前記連結部材143と第2の結合ガイド142の間の空間には、筐体12の上端が結合される。 連結部材143の内周面には、筐体12の上端を固定する固定鍔144が形成される。
【0041】
また、ガイド部材14は、結合筒体11の上部空間と下部空間の間を区切って、結合筒体11の下部空間の薬剤が上部空間に任意に伝達されることを遮断することができる。これと共に、ガイド部材14の下部には、結合筒体11内に筐体12の上端を固定すると共に、容器と結合筒体11の上部空間の間をシールするガスケット15が設けられる。
【0042】
前記筐体12は、図4及び図6に示しているように、上部に行くほど直径が増加するパイプ形状に形成される。
【0043】
図6は、本発明による筐体12の構成を説明するための図であって、図6の(a)は、筐体12の斜視図であり、図6の(b)は、筐体12の内部構成図であり、図6の(c)は、筐体12の断面図である。
【0044】
筐体12の下部には、容器に貯留された薬剤が流入される流入口121が形成され、筐体12の下端には、容器内部に設置され、容器に貯留された薬剤を吸入するチューブ(図示せず)が連結される。筐体12の上部は、環状の固定鍔144に嵌合される。
【0045】
筐体12の内部には、図6の(b)及び(c)に示しているように、第1の逆止弁13が設置される設置空間122と、容器より流入された薬剤が臨時貯留される貯留空間123とが設けられる。 吐出部30より吐出される薬剤の量は、貯留空間123の容積によって決められる。
【0046】
筐体12の内周面には、吐出される設定量を超える薬剤が貯留空間123に流入された場合、吐出される薬剤の量及び吐出時の圧力状態を調節する第1の調節溝124と、第2の調節溝125と、第3の調節溝126とが設けられる。 また、前記設置空間122の上部には、図6の(b)及び(c)に示しているように、第1の逆止弁13を固定するための環状突起128が形成されて、薬剤の吐出過程で第1の逆止弁13の本体自体が移動することを防止する。このように、第1の逆止弁13の本体の移動を阻止するので、薬剤の吐出過程で発生する騒音を防止することができる。また、筐体12の上部には、所定の設定量を超える薬剤が貯留空間123に流入された場合、設定量を超えた薬剤を筐体12の外部に排出して、容器に回収する回収具127が形成される。前記回収具127は、図6の(a)に示しているように、長方形状からなる。また、このような回収具127は、排出を迅速に行うために、2つ以上設けられる。
【0047】
一方、図6の(b)及び(c)に示しているように、前記第1の調節溝124は、四角形状で筐体12の内周面の下部に設けられる。この第1の調節溝124は、90度間隔で離隔して4つ形成される。また、第2の調節溝125は、第1の調節溝124の上部に逆三角形状に設けられる。この第2の調節溝125は、180度間隔で離隔して、2つ形成される。また、第3の調節溝126は、第2の調節溝125の上部に一字状に設けられる。この第3の調節溝126は、180度間隔で離隔して、2つ形成される。
【0048】
このように、本発明では、筐体12の貯留空間123の内部に、第1の調節溝124と、第2の調節溝125と、第3の調節溝126とを各々、他の位置に異なる形状に設けることによって、ポンピング部20によって吐出される薬剤に対して、ポンピング動作を正しく行い、ポンピング時、騒音の発生を防止することができている。 すなわち、吐出部30より正しい薬剤量で吐出することができている。
【0049】
一方、図6において、第1の調節溝124は、4つ形成され、第2の調節溝125及び第3の調節溝126が各々、2つ形成されることと示しているが、本発明は、必ずこれに限定されるものではなく、吐出しようとする薬剤の吐出量によって、第1の調節溝124、第2の調節溝125、及び第3の調節溝126の数、サイズ、及び形状を様々に変形するように変更することもできる。
【0050】
図7は、筐体の設置空間に装着される第1の逆止弁の図であって、図7の(a)は、斜視図であり、図7の(b)は、連結リブの部分断面図であり、図7の(c)は、断面図である。
【0051】
図7に示しているように、第1の逆止弁13は、略上面が開口したフラットな円筒形状の本体131で形成され、図7の(c)に示しているように、この本体131の外側周囲の下部には、筐体12の設置空間122に安着するように、段差からなる安着部132が設けられ、本体131の外側周囲の上部には、筐体12の設置空間122に設けられた環状突起128に嵌合されるように、テーパ部133が設けられる。
【0052】
本発明による第1の逆止弁13においては、テーパ部133を設けることによって、ポンピング部20の反復的な作動によるポンピング時、第1の逆止弁13の本体131が設置空間122に固定されるので、ポンピングエラーの発生及び騒音の発生を防止することができる。
【0053】
また、図7の(a)に示しているように、第1の逆止弁13の内部の中央部には、流入口121を開放又は閉鎖する弁座134が設けられ、この弁座134は、複数の連結リブ135によって本体131に連結される。
【0054】
前記連結リブ135は、バルブステム22の昇降動作によって、第1の逆止弁13の弁座134が円滑に昇降動作するように、外側から中心に向かって3つ設けられ、それぞれの連結リブ135は、屈曲して形成される。また、本発明による第1の逆止弁13では、ポンピング動作時、弁座134の円滑な下降のために、図7の(b)に示しているように、それぞれの連結リブ135の上部の中央部に凹部1351が設けられる。
【0055】
このように、それぞれの連結リブ135に凹部1351を設けることによって、弁座134の上昇時、凹部1351によって円滑に上昇し、弁座134の下降時、凹部1351に荷重が集中して、バランスをとって下降するので、ポンピングのエラーを防止することができる。
【0056】
一方、図7において、連結リブ135は、3つ形成されることと示しているが、本発明は、必ずこれに限定されるものではなく、2つ又は4つ以上形成されてもよい。
【0057】
前記ポンピング部20は、図2乃至図4図8に示しているように、吐出部30の昇降動作によって昇降動作するバルブステム22と、バルブステム22の外側に結合して、吐出部30に復元力を供する弾性部材23とを含む。
【0058】
図8は、本発明によるバルブステムの構成を説明するための図であって、図8の(a)は、斜視図であり、図8の(b)は、断面図である。
【0059】
前記バルブステム22は、貯留空間123内で昇降動作して、筐体12の貯留空間123に臨時貯留された薬剤をポンピングして、吐出部30に伝達する役割を果たし、図8の(a)に示しているように、円柱形状に形成されたボディ221と、前記ボディ221の下部の外周面に設けられた環状突部222と、前記ボディ221の上部の外周面に設けられ、ライナー32に結合される環状の結合部223とを含む。
【0060】
前記ボディ221は、バルブステム22の上昇動作時、第1の結合ガイド141の内周面に密着して薬剤の移動を防止し、貯留空間123に貯留された薬剤に、外部の埃や異物又は細菌が流入することを遮断するように、図8の(a)に示しているように、下部に向かって直径が広くなるように形成される。前記環状突部222は、筐体12の内部に密着し、筐体12内部で昇降可能に設けられることで、ポンピング作動時、薬剤がボディ221の外部に漏出することを防止する。また、環状の結合部223は、図8の(a)に示しているように、一対に設けられることによって、ライナー32との嵌合状態を強固に維持することができる。
【0061】
前記ボディ221の内部には、図8の(b)に示しているように、貯留空間123から吐出部30に薬剤を伝達する第1の流路224が設けられる。
【0062】
また、前記ボディ221の下端中央部には、吸入部225が突設され、この吸入部225の中心に吸入口226が設けられる。前記吸入部225は、図8の(b)から分かるように、ボディ221の外径よりも小径に設けられ、吸入口226の内径は、第1の流路224の内径よりも狭く設けられる。すなわち、本発明によるバルブステム22では、従来の技術と異なり、吸入部225と、第1の流路224の内径よりも狭い吸入口226とを設けることによって、第1の流路224の内部と吸入部225内部とで圧力差が生じるので、貯留空間123に設けられた薬剤の初期吐出を確実に行い、ポンピングのエラーを防止することができる。
【0063】
前記弾性部材23は、吐出部30の下降動作時に弾性変形して、吐出部30に設けられるヘッドベース31に復元力を供する役割を果たす。このために、図2及び図3に示しているように、弾性部材23の下端は、結合筒体11の連結部材143の上面に支持され、弾性部材23の上端は、ヘッドベース31の支持部材に支持される。
【0064】
前記吐出部30は、図2乃至図5図9乃至図12に示しているように、外形を形成し、使用者の操作で昇降動作するヘッドベース31と、ヘッドベース31内に設置され、ポンピングされた薬剤をヘッドベース31の吐出孔312側に伝達するライナー32と、吐出孔312に伝達される薬剤を滴状に吐出するように、滴を形成する滴形成手段とを含む。
【0065】
図9は、本発明によるヘッドベースの構成図であって、図9の(a)は、ヘッドベース31の斜視図であり、図9の(b)は、ヘッドベース31の断面図である。
【0066】
前記ヘッドベース31は、人体の眼球などに薬剤を吐出するために、図9の(a)に示しているように、上端に行くほど直径が小さく形成される。
【0067】
このヘッドベース31の上端には、薬剤を吐出する吐出孔312が形成され、ヘッドベース31の中央部には、使用者が加圧操作するように、平板円状からなるフランジ313と、結合筒体11の上端外側で昇降可能に嵌合する垂直部315とが形成される。
【0068】
また、ヘッドベース31の内部には、図9の(b)に示しているように、ライナー32を結合させるための結合通路311が形成され、この結合通路311の周辺には、ライナー32の挿入のためのガイド314と、前記ガイド314を支持する支持部材316とが形成され、ガイド314内には、ライナー32、及び弾性部材23が配置される。
【0069】
前記フランジ313の下面と結合筒体11の上端の間の距離は、ヘッドベース31及びバルブステム22の昇降動作時の作動距離となる。すなわち、結合筒体11の上端は、ストッパ役割を果たすことができる。
【0070】
図10は、本発明によるライナーの構成を説明するための図であって、図10の(a)は、ライナーの斜視図であり、図10の(b)は、ライナーの分解断面図である。
【0071】
前記ライナー32は、図3及び図10の(a)に示しているように、略円筒形状に形成され、バルブステム22が挿入される案内部321と、前記案内部321の直径に比べて小径で段差を持って形成され、結合通路311を介して、吐出孔312の部分まで嵌合される移動流路部322とを含み、移動流路部322の上部には、排出孔323が設けられる。上述したように、排出孔323が移動流路部322の端部に直接設けられるので、異物及び細菌の浸透を最小化することができる。
【0072】
本発明では、ライナー32とヘッドベース31の組立時、案内部321と移動流路部322を結合通路311に単に嵌合することによって、ライナー32とヘッドベース31の結合を容易に実現することができる。前記案内部321の下部内には、図10の(b)に示しているように、バルブステム22の環状の結合部223が挿入される環状の凹部328が設けられる。
【0073】
前記排出孔323は、120度間隔で設けられた3つの分離膜からなり、薬剤ディスペンサーの未使用時には、閉鎖状態を維持し、薬剤の吐出動作時、薬剤の吐出圧力によって、3つの分離膜の中央部が開放して、薬剤を滴状に吐出することになる。このような吐出動作の完了後には、排出孔323に設けられた3つの分離膜が再度閉鎖状態に戻るので、異物及び細菌の浸透を確実に防止することができる。
【0074】
また、前記排出孔323の直径は、所定の量だけの薬剤を吐出するように、実験値によって設定可能である。また、排出孔323の周辺には、薬剤を所定量だけ滴状に吐出するように、吐出速度及び吐出圧力を下げて、滴を形成する多数の滴形成溝が設けられる。前記排出孔323は、ヘッドベース31の下降動作時、図4における第2の逆止弁35の上昇動作によって伝達される薬剤を滴状に吐出する。
【0075】
本実施例において、1回吐出時の吐出される薬剤の量は、約0.02〜0.05ml、望ましくは、約0.03mlに設定される。そして、排出孔323の直径は、約1.5〜2.0mm、望ましくは、約1.7mmに設定される。
【0076】
図10の(b)に示しているように、前記案内部321の上部は、結合通路311に嵌合され、その内部には、第2の流路325と、図4における第2の逆止弁35が装着される昇降空間324が設けられ、この昇降空間324の一側には、薬剤の吐出のための薬剤案内用溝327が形成される。また、移動流路部322の内部には、図4における汚染防止部材33と流路部材34が装着される流路空間326が設けられる。
【0077】
ついで、図4における第2の逆止弁35については、図11によって説明する。図11は、図10におけるライナーの昇降空間に装着される第2の逆止弁の構成及び作動状態図であって、図11の(a)は、第2の逆止弁の正常状態を示し、図11の(b)は、第2の逆止弁の圧縮状態を示している。
【0078】
図11の(a)に示しているように、第2の逆止弁35は、ライナーの案内部321の昇降空間324に装着され、上部が開放し、下端に行くほど直径が小さくなる半球状筒体からなり、その内部には、流路部材34を維持させる環状係止鍔351が形成され、外部の周囲部分には、半球状筒体が圧力によって上下に変形するように可変部352が設けられ、下部には、第2の流路325での流路の供給及び遮断を行うための開閉突部353が形成される。一方、昇降空間324内の第2の逆止弁35と案内部321内の第2の流路325との間には、図10の(b)に示しているように、薬剤を吐出するための薬剤案内用溝327が設けられる。
【0079】
このような第2の逆止弁35は、変形可能に軟質の合成樹脂材質の材料で設けられ、可変部352は、半球状筒体の全周囲に渡り、多数の環状溝からなるので、第2の流路325の開放時には、図11の(b)に示しているように、多数の環状溝部分が上部に向かって折り畳まれ、開閉突部353が上部に移動し、閉鎖時には、可変部352自体の固有の弾性力によって、図11の(a)の状態に復元される。
【0080】
前記開閉突部353は、図11の(a)に示しているように、第2の流路325を閉鎖するために、第2の流路325に向かう楔形状からなる。
【0081】
本発明では、上述したように、可変部352に設けられた多数の環状溝部分が折り畳まれ、開閉突部353が上部に移動し、閉鎖時には、可変部352自体の固有の弾性力によって、元の状態に復元される第2の逆止弁35を適用することによって、従来技術と比較して、構造を単純化し、且つ、薬剤の逆流を確実に防止し、バネを使わないのでポンピング感に優れている。
【0082】
ついで、図10の(b)における流路部材34については、図12によって説明する。
【0083】
図12は、図10の(b)におけるライナーの流路空間に装着される流路部材の構成図である。
【0084】
本発明による流路部材34は、図3に示しているように、移動流路部322に設けられた流路空間326に嵌合され、流路部材34の上部には、汚染防止部材33が設けられる。この汚染防止部材33は、例えば、銀(Ag)バネから形成される。
【0085】
前記流路部材34は、図12に示しているように、流路空間326の底部分で、第2の逆止弁35の環状係止鍔351にかかるように、円板形状からなる支持板341と、前記支持板341上に円柱形状に設けられた第1の誘導部342と、前記第1の誘導部342上に円柱形状に設けられた第2の誘導部343とを含む。前記第1の誘導部342の外径は、支持板341の外径よりも小さく形成され、第2の誘導部343の外径は、第1の誘導部342の外径よりも小さく形成される。
【0086】
図12の(a)に示しているように、前記流路部材34における誘導路として、前記第1の誘導部342の側面と、第2の誘導部343の下部側面には、薬剤の上昇のための第1の誘導路345が設けられ、前記第1の誘導路345に連続して、第2の誘導部343の外周面に沿って回転する方向に第2の誘導路346が設けられ、図12の(b)に示しているように、前記第2の誘導路346に連続して、第2の誘導部343の側面から上部に向かって第3の誘導路347が設けられ、前記第3の誘導路347に連続して、第2の誘導部343の外周面に沿って回転する方向に第4の誘導路348が設けられ、前記第4の誘導路348に連続して、第2の誘導部343の側面から上部に向かって第5の誘導路349が設けられる。一方、第3の誘導路347の下部は、図12の(b)に示しているように、第2の誘導路346の下部へ延在して設けられ、第5の誘導路349の下部は、図12の(a)に示しているように、第4の誘導路348の下部へ延在して設けられる。
【0087】
前記第5の誘導路349を経由した薬剤は、汚染防止部材33を経て排出孔323に排出される。
【0088】
一方、流路部材34の内部は、自体の重みを減少させ、第2の逆止弁35との動作を柔軟にするために、図3に示しているように、空間部が設けられる。
【0089】
上述したように、本発明による流路部材34に、第1〜第5の誘導路345〜349を設けることによって、薬剤の逆流を防止することができるだけでなく、外部より浸透する埃や異物又は細菌が排出孔323を介して流入しても、容器まで浸透することを確実に防止することができる。
【0090】
これにより、本発明は、薬剤ディスペンサーの外部より浸透する埃や異物、細菌が、薬剤ディスペンサー内部に貯留された薬剤に流入することを完全に遮断することができる。
【0091】
ついで、本発明による蓋体部の構造について、図13によって説明する。 図13は、本発明による蓋体部の構成図である。
【0092】
前記蓋体部40は、ヘッドベース31の外形と同一形状からなり、その外部の周囲には、使用者が手でヘッドベース31に挿入及び引出を容易にするために、図13の(a)に示しているように、多数の環状係止部41が形成され、内部の上部には、図13の(b)に示しているように、ヘッドベース31の吐出孔312の部分を密閉するために、中央部より突出して形成された挿入部42が設けられる。
【0093】
よって、蓋体部40をヘッドベース31に嵌合することによって、吐出孔312の部分に薬剤が排出されることを防止することができる。
【0094】
ついで、本発明による細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサーの結合関係を説明する。
【0095】
まず、図10の(b)に示しているようなライナー32の案内部321に設けられた昇降空間324に、第2の逆止弁35を装着し、排出孔323が形成された移動流路部322の下部で、銀バネからなる汚染防止部材33を挿入した後、この汚染防止部材33に向かって流路部材34を挿入し、移動流路部322を案内部321の上部に嵌合して、図10の(a)に示しているようなライナー32を設ける。
【0096】
ついで、結合筒体11の下部にバルブステム22を位置させた状態で、第1の結合ガイド141を貫通させて結合し、バルブステム22の上部に弾性部材23を挿入した後、案内部321に設けられた環状の凹部に、バルブステム22の環状の結合部223を挿入する。
【0097】
ついで、環状案内部321と移動流路部322をヘッドベース31の結合通路311に単に嵌合することによって、ヘッドベース31、ライナー32と、バルブステム22の結合が完成される。
【0098】
ここで、弾性部材23の上端は、ヘッドベース31の支持部材316の下面に支持され、弾性部材23の下端は、結合筒体11の連結部材143上面に支持され、第2の結合ガイド142の上端に係止される。
【0099】
これによって、弾性部材23は、第2の結合ガイド142によって安定して固定され、ヘッドベース31の下降動作時に弾性変形して、ヘッドベース31に復元力を供することができる。
【0100】
ついで、筐体12の設置空間122に設けられた環状突起128を介して、第1の逆止弁13のテーパ部133を嵌合し、筐体12の上端を、結合筒体11の第2の結合ガイド142と連結部材143の間の空間に結合した後、ガスケット15を結合して、筐体12と結合筒体11を強固に固定する。
【0101】
このように組み立てられた薬剤ディスペンサーの下端にチューブを結合し、結合筒体11を容器の上端に結合して、組立を完了する。
【0102】
ついで、図2及び図12と、図14乃至図17を参照して、本発明による薬剤ディスペンサーの作動方法を詳細に説明する。
【0103】
図14は、図3における薬剤ディスペンサーのヘッドベースが下降した状態の断面図であり、図15は、ライナーに設けられた排出孔の作動状態図であって、図15の(a)は、排出孔が閉鎖した状態を示し、図15の(b)は、排出孔より薬剤が吐出される状態を示している。
【0104】
また、図16は、本発明による薬剤ディスペンサーにおいて、バルブステムの作動による第1の逆止弁の動作を説明するための図であって、図16の(a)は、貯留空間123に薬剤が維持された状態を示し、図16の(b)は、薬剤の吐出のために、フランジ313が押されて、筐体12が第1の逆止弁13に近接した状態に維持された状態を示し、図16の(c)は、薬剤の吐出後、第1の逆止弁13の弁座134が開放した状態を示している。
【0105】
また、図17は、本発明による薬剤ディスペンサーにおいて、薬剤の排出過程を説明するための図であって、図17の(a)は、第2の逆止弁35が第2の流路325を閉鎖して、薬剤が貯留空間123に維持された状態を示し、図17の(b)は、第2の逆止弁35が第2の流路325を開放して、薬剤が排出孔323に排出される状態を示している。
【0106】
まず、使用者が加圧する以前に、第2の逆止弁35は、図17の(a)に示しているように、円形状を維持して、ライナー32の案内部321内に設けられた第2の流路325の上端を閉鎖する。また、半球状筒体からなる第2の逆止弁35内の空間と、流路部材34の内部に設けられた空間部が互いに連通し、密閉状態に維持されるので、第2の逆止弁35の可変部352での可変作動が非常にフレキシブルに行われる。
【0107】
そして、バルブステム22の環状突部222は、結合筒体11の第1の結合ガイド141の内面、及び筐体12の内面と密着して、薬剤が結合筒体11の上部空間に移動するか、外部の埃や異物、細菌が筐体12内へ流入されることを遮断する。
【0108】
このように、本発明は、細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサー内部に貯留された薬剤の汚染を完全に遮断することで、薬品の汚染及び腐敗を防止するための防腐剤が添加されない薬剤のディスペンサーとして使用可能である。
【0109】
これにより、本発明は、薬剤の製造過程で防腐剤を添加する必要がなく、薬品の製造過程で要する時間的、物的な費用を節減し、防腐剤の添加によって、人体に及ぼす悪影響を未然に予防することができる。
【0110】
使用者が蓋体部40を剥き出し、図14に示しているように、ヘッドベース31のフランジ313を加圧して、ヘッドベース31が下降動作されると、図16の(a)の状態から、図16の(b)に示しているように、バルブステム22が貯留空間123の部分に下降動作して、第1の逆止弁13のテーパ部133に隣接することになる。すなわち、バルブステム22の吸入部225に設けられた吸入口226が、弁座134の上部に近接した部分まで下降することになる。この時、バルブステム22の下降によって、設置空間122内で発生する圧力によって、第1の逆止弁13の弁座134は下方に移動して、筐体12の流入口121を閉鎖する。
【0111】
これにより、筐体12の貯留空間123に貯留された薬剤が、バルブステム22に形成された吸入口226で吸入され、図17の(b)に示しているように、第1の流路224及び案内部321内の第2の流路325に沿って、吐出部30側に移動する。
【0112】
この時、図16の(b)に示しているように、バルブステム22の吸入口226が第1の逆止弁13の弁座134の上部に近接した位置まで下降し、吸入口226の入口が非常に小さく形成されており、吸入圧力を従来技術と比較して強くすることができるので、初期吐出を確実に行い、ポンピングエラーを防止することができる。また、図16の(a)及び(b)から分かるように、筐体12の内周面の下部に第1の調節溝124を設け、第1の調節溝124の上部に逆三角形状に第2の調節溝125を設け、第2の調節溝125の上部に一字状に第3の調節溝126を設けることによって、薬剤に対してポンピング動作を正しく行い、騒音の発生を防止することができる。
【0113】
このように、バルブステム22の第1の流路224及び案内部321内の第2の流路325に沿って移動する薬剤の圧力によって、図11の(b)及び図17の(b)でのように、第2の逆止弁35の可変部352が上部に向かって変形、すなわち、多数の環状溝部分が設けられた可変部352が折り畳まれて、第2の流路325が開放される。
【0114】
よって、薬剤は、図17の(b)に示しているように、第2の逆止弁35と案内部321内の第2の流路325との間に設けられた薬剤案内用溝327を介して、流路部材34の支持板341に案内され、第1の誘導路345〜第5の誘導路349を介して、汚染防止部材33に案内され、図15の(b)に示しているように、排出孔323を介して滴状に吐出される。
【0115】
すなわち、流路部材34の支持板341に導かれた薬剤は、第1の誘導部342の側面と第2の誘導部343の下部側面に設けられた第1の誘導路345に沿って上昇し、ついて、第2の誘導路346に沿って、第2の誘導部343の周方向に1次回転し、続けて、第2の誘導部343の側面に設けられた第3の誘導路347に沿って上昇した後、第4の誘導路348に沿って、第2の誘導部343の周方向に2次回転し、第2の誘導部343の上部側面に設けられた第5の誘導路349に沿って上昇して、汚染防止部材33に導かれた後、図15の(b)に示しているように、排出孔323が開放して、滴状にに吐出する。
【0116】
この時、ヘッドベース31の1回の下降動作によって吐出される薬剤の量は、筐体12に形成された貯留空間123と第1乃至第3の調節溝124、125、125の容積、ライナー32に形成された排出孔323の直径などによって調節される。
【0117】
上述したように本発明による細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサーでは、流路部材34に第1〜第5の誘導路345〜349を設け、120度間隔をもって設けられた3つの分離膜によって、薬剤の逆流を防止することができるだけでなく、外部から浸透する埃や異物又は細菌が排出孔323を介して流入されても、容器まで浸透するこを確実に防止することができる。すなわち、排出孔323は、図15の(a)に示しているように、薬剤ディスペンサーの未使用時に閉鎖状態に維持され、上述したような吐出動作によって、図15の(b)に示しているように、3つの分離膜の中央部が開放して、薬剤を滴状に吐出することになる。
【0118】
ついで、薬剤が吐出されて空隙空間の圧力が下降すると、第2の逆止弁35の可変部352が自体の固有の弾性力によって、図11の(a)の状態に復元されて、ライナー32の第2の流路325の上端を閉鎖する。
【0119】
また、フランジ313に加えられる操作力が解除されると、ヘッドベース31が弾性部材23の復元力によって上昇動作することによって、バルブステム22も、図16の(a)の状態に上昇動作する。
【0120】
ここで、筐体12内部の貯留空間123には、吸入力が発生することによって、図16の(c)に示しているように、逆止弁13の弁座134が上昇動作して、流入口121を開放し、容器に貯留された薬剤は、チューブ及び流入口121を介して筐体12内部に流入して貯留される。一方、弁座134の上昇時、第1の逆止弁13は、テーパ部133が設置空間122に設けられた環状突起128に嵌合した状態を維持するので、本体131が設置空間122内に強固に維持されて、図16の(a)〜(c)に示しているようなポンピング作動時、ポンピングエラーの発生、及び騒音の発生を防止することができる。
【0121】
一方、筐体12内部に流入された薬剤が所定の設定量を超えて流入されると、設定量を超える薬剤は、筐体12の回収具127を介して容器に回収される。
【0122】
ついで、使用者は、薬剤を吐出しようとする回数だけフランジ313を加圧し、薬剤ディスペンサーは、前記で説明した過程を繰返し行って、薬剤を吐出する。
【0123】
前記したような過程により、本発明は、容器に貯留された液体状態の薬剤を所定の量だけ滴状に吐出し、外部の埃や異物、細菌が薬剤ディスペンサー内に貯留された薬剤に流入されることを遮断することができる。
【0124】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例によって具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲でいろいろと変更可能であることは、言うまでもない。
【0125】
すなわち、本実施例では、薬剤を用いて説明したが、本発明は、必ず、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、医薬品だけでなく、食品や化粧品のように容器に貯留された液体状態の流体を滴状に吐出する様々な形状及び用途の流体ディスペンサーに適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明による細菌浸透防止機能を有する薬剤ディスペンサーを用いることによって、吐出される薬剤に対してポンピング動作を正しく行い、騒音の発生を防止することができる。
【符号の説明】
【0127】
10 : 吸入部
13 : 第1の逆止弁
20 : ポンピング部
30 : 吐出部
34 : 流路部材
35 : 第2の逆止弁
40 : 蓋体部
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