(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682094
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】展示的変形可能な菓子箱構造
(51)【国際特許分類】
B65D 5/52 20060101AFI20200406BHJP
B65D 5/50 20060101ALI20200406BHJP
A47F 5/10 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
B65D5/52 C
B65D5/50 101Z
A47F5/10 Z
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-215099(P2015-215099)
(22)【出願日】2015年10月13日
(65)【公開番号】特開2017-74987(P2017-74987A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2018年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】515208452
【氏名又は名称】矢野 慶一郎
(72)【発明者】
【氏名】矢野 慶一郎
【審査官】
長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭43−015562(JP,Y1)
【文献】
米国特許第04573569(US,A)
【文献】
実公昭30−004284(JP,Y1)
【文献】
実公昭32−005088(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/52
B65D 5/50
A47F 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
菓子を収納するための内箱と、この内箱にかぶさる外箱との組み合わせよりなる菓子箱において、内箱をその中央部に設けた変形可能なる仕切り板にて山形に変形可能に形成し、該仕切り板内にストッパーを挿入可能として、このストッパー除去にて内箱の変形を可能とし、ストッパー挿入時には内箱の変形不可として、内箱変形の有無を選択可能とし、天地逆にした外箱の短辺方向間に変形後の内箱を挿入載置することにて、その山形の形状保持を可能としたことを特徴とする展示的変形可能な菓子箱構造。
【請求項2】
仕切り板にスリットを設け、内箱両端に中空部を設けるとともに、該中空部内側に菓子棒挿入のための挿入孔を設け、以上のスリットと挿入孔の使用により、収納菓子の安定および内箱変形後の菓子展示状態を可能としてなる請求項1記載の展示的変形可能な菓子箱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、菓子箱を平面的形状から山形に変形させる機能を有した、展示的変形可能なる菓子箱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々の菓子箱が多用されているが、本発明にて示すように、山形への変形可能なる菓子箱は見当たらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
菓子箱は菓子を収納する容器として用いられ、金属箱や紙箱が多く用いられている。
通常状態は本体部と蓋部から構成され、使用時は蓋部を取り外し、本体内の菓子を選択して食することとなる。しかし、この方式は菓子箱を単なる容器と見なしての構成であって、菓子を視覚的に楽しんだり、その選択の容易性、意外性に乏しく、これといった斬新さを有さないものであった。
本発明は以上に鑑み、菓子箱の本体部分を山形に変形可能なる構成とすることにて、従来にない菓子箱の斬新性、展示性、選択性向上などの利点を有する、新規かつ有用なる菓子箱構造を提供することを目的として発明されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
課題を解決する手段として本発明は以下の構成とした。
すなわち、菓子を収納するための内箱と、この内箱にかぶさる外箱との組み合わせよりなる菓子箱において、内箱をその中央部に設けた変形可能なる仕切り板にて山形に変形可能に形成し、天地逆にした外箱の短辺方向間に変形後の内箱を挿入載置することにて、その山形の形状保持を可能とする。
本発明は以上の構成よりなる展示的変形可能な菓子箱構造である。
【発明の効果】
【0005】
本発明は下記の効果を有する。
1.菓子を収納している内箱を変形して、山形状態を維持することができて、視覚的に斬 新でアピールできる新構造の菓子箱を提供することができる。
2.ストッパー使用にて、箱の変形もしくは無変形を選択することができる。
3.棒体を用いた菓子を収納することにて、内箱の山形変形にて、この菓子が対称的に斜 方突出して、より視覚に訴える形状となるとともに、その菓子を容易につまんで取り出 すことができる。
4.不使用時は一般の箱形状と変わらず、使用者の操作・作業にて箱形状の変形となるの で、意外性を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】 本発明の斜視図(外箱を内箱にかぶせた状態)
【
図2】 本発明の内箱斜視状態におけるストッパー説明図
【
図5】 本発明の外箱と内箱の組み合わせ状態説明図(断面的表現)
【
図7】 本発明の内箱の平面図(菓子セット収納時)
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図において、1は紙製の外箱で、その下部が開放された平面視長方形状である。
2は外箱の長辺方向両端に形成される中空部であって、外箱を形成する紙の両端を適宜に折曲して一体に形成される部分である。外箱の短辺方向には側壁3が一体に形成されている。
10は内箱で、同じく紙製の上部開放の長方形状箱体であって、外箱が適宜の嵌合状態にてかぶさるサイズであり、以下の構成による。内箱の長辺方向両端は外箱同様に中空部11が形成され、該中空部に連続して平板状の突片部12が外向きに突設される。
内箱の短辺方向両端には側壁13が各々形成される。この側壁の中央箇所は
図4のごとく斜方に形成され、この斜方部分をつなぐ仕切り板14が設けられる。
【0008】
この仕切り板は図のごとく、正面視において山形に形成されるとともに、この山形の頂部近傍の側壁には切除部15が形成される。中空部と仕切り板との間の内箱底部上面には、適宜なデザインを施した模様紙16が貼着される。
仕切り板の斜方側面には、その頂部から中程に到る適宜巾のスリット17が設けられる。
また、中空部の内側面には挿入孔18が穿設される。
30はストッパーである。このストッパーは長方形紙片の長辺方向両端を細巾にするとともに折曲してなるつまみ部31が形成される。このストッパーは
図2のごとく、仕切り板内に挿入されて位置するが、仕切り板の下部はやや内側に突出する対向底部32が形成され、この対向底部上面にストッパーが位置し、ストッパー巾は対向底部間距離とほぼ同一である。
【0009】
次に、本発明の使用について説明する。
使用前は
図1のごとく内箱に外箱がかぶさっている。外箱を取り去ると、
図7のごとく内箱内に菓子が位置した状態が露見する。本発明にて使用する菓子は、図のごとく棒体に菓子を設けたもので、この棒体は前述のスリットに挿入係止されるとともに、その端部は挿入孔に挿入されて、以上にて菓子は内箱内に安定的に保持される。
内箱は、仕切り板内にストッパーが挿入されている状態を初期状態としてなり、このストッパーのつまみ部を指でつまんで
図2のごとく引き出し、取り去ることにてストッパーが内箱から外れて内箱は変形可能となる。内箱の中央中空部33に指を入れて上方へ持ち上げることにて、内箱は山形に変形し、菓子が斜方突出状態となる。
外箱を天地逆として、この外箱の短辺方向内面に変形した内箱の突片部が接触するように入れることにて、
図9に示す展示的状態となる。ここから任意に選択した菓子の棒体をつまんで引き出し、食することができる。
【0010】
以上、本発明について記したが、本発明は菓子を収納した内箱を山形に変形可能なところにその特徴を有している。従来の菓子箱は単なる菓子収納以外の目的はなく、その表面デザインに工夫を凝らすのみであって、販売地特有の印象が残るような斬新性は有していない。また、その構成も画一的であり、収納した菓子を手配りする際の楽しさは限定的である。これに対し本発明は、使用前と使用時とにおける箱形状の意外的な変化機能を有して、視覚的な楽しさを有している。
本発明例においては、使用する菓子にも工夫を凝らし、棒体先に菓子部分を有する形状として、この棒体部分がスリットと挿入孔に係止しており、内箱を山形に変化させたときに、この菓子が斜方突出して楽しめるものとなり、かつ、菓子も取り出しやすいものとなる。
【0011】
この菓子を例えば、旗印、馬印、槍鞘をデザインしたものとすれば、地域特有の情緒的歴史性を発信することができる。そして土産を配布し食する場合において、物語性を添えることで、購入地域への興味を誘い、受け取り側との対話的きっかけともなるのである。
使用前は一般の箱形態でありながら、使用時展開において劇的変化を生むこの箱構造はその斬新性において傑出したものである。
本発明にて例示した内容は実施の一例であって、近似の他の構成としてもよい。
以上のごとく、本発明によって、意外性、斬新性、物語性など種々の利点を有する菓子箱構造を提供することができる。なお、本発明による箱構造は菓子以外の他の物品においてもその展示的効果を発揮すると思われる。
【符号の説明】
【0012】
1 外箱
2 中空部
3 側壁
10 内箱
11 中空部
12 突片部
13 側壁
14 仕切り板
15 切除部
16 模様紙
17 スリット
18 挿入孔
30 ストッパー
31 つまみ部
32 対向底部
33 中央中空部
40 菓子