特許第6682213号(P6682213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682213
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】空気紡績された糸を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   D01H 1/115 20060101AFI20200406BHJP
   D01H 4/02 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   D01H1/115 Z
   D01H4/02
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-149871(P2015-149871)
(22)【出願日】2015年7月29日
(65)【公開番号】特開2016-30887(P2016-30887A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2018年3月15日
(31)【優先権主張番号】10 2014 011 210.1
(32)【優先日】2014年7月29日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513209338
【氏名又は名称】ザウラー ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Saurer Germany GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】チャンドル セシャイアー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヴァイデ
(72)【発明者】
【氏名】ローラント ヴェアナー
【審査官】 姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−118125(JP,A)
【文献】 特表2008−540861(JP,A)
【文献】 特開2003−089931(JP,A)
【文献】 特開2002−201537(JP,A)
【文献】 特開2004−068243(JP,A)
【文献】 特開昭55−012836(JP,A)
【文献】 特開昭56−079727(JP,A)
【文献】 特開2010−270427(JP,A)
【文献】 実開平02−110682(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01H 1/115
D01H 4/02
D01H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合って位置する2つのスライバ(4,4′)を1つのドラフト装置(5)を用いて延伸し、次いで一緒に空気力式の撚り機構(6)に供給し、該撚り機構(6)から糸(10)として引き出し、該糸(10)を巻き取って綾巻きパッケージ(11)を形成する、糸(10)を製造する方法であって、
撚り機構(6)として、撚り止め装置を備えた空気本撚り紡績機構が使用され、供給される前記両スライバ(4,4′)は、少なくとも1つの特性において互いに異なっており、第1のスライバ(4,4′)を、第2のスライバ(4,4′)よりも、前記撚り機構(6)の長手方向軸線の近くで、かつ、第1のスライバ(4,4′)と第2のスライバ(4,4′)とを互いに間隔をあけて、該撚り機構(6)に供給する
ことを特徴とする、糸を製造する方法。
【請求項2】
前記スライバにおいて互いに異なっている前記特性は、スライバの平均ステープル長さである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記スライバにおいて互いに異なっている前記特性は、繊維原料である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
スライバ(4,4′)として、延伸スライバを使用する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
スライバ(4,4′)として、フライヤ粗糸を使用する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
各スライバ(4,4′)は、均一な繊維混合物を有している、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣り合って位置する2つのスライバを1つのドラフト装置を用いて延伸し、次いで一緒に空気力式の撚り機構に供給し、該撚り機構から糸として引き出し、該糸を巻き取って綾巻きパッケージを形成する、糸を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気紡績及び特に今日優勢を占める吹込み紡績法(Einduesenspinnverfahren)では、ドラフト装置の出口ローラの間において進出するスライバは、ノズルブロックを通って、中空の紡績スピンドルの入口開口に達する。紡績スピンドル内へのスライバの進入時に、自由な繊維端部は、循環する空気流を用いて、紡績スピンドルの円錐形に形成されたスピンドルヘッドに巻き付けられ、スピンドル内への糸の引込み中に螺旋状に、いわゆる芯繊維の周りに巻き付く。芯繊維は、いわゆる巻付き繊維と一緒に、新たな糸を形成し、この糸は、引き出され、糸クリアラによって監視され、場合によってはクリアリングされて巻き取られる。
【0003】
糸強度は、空気紡績された糸ではもっぱら、繊維の巻付きによって、より正確に言えば、糸芯に巻き付く繊維の締付け作用によって得られる。そのために一方の繊維端部は糸芯に移動しなくてはならず、これに対して他方の繊維端部は芯に巻き付く。一方の繊維端部のしっかりとした固着によってしか、他方の繊維端部は糸芯を締め付けることができない。
【0004】
空気紡績される糸の過半数の繊維は、糸芯において平行に位置しており、繊維のうちの約10〜30%だけが巻付き繊維である。繊維の巻付きが可能な限り均一に行われ、常に十分に巻付き繊維が得られるように、紡績プロセスを制御することが、目的でなくてはならない。
【0005】
特許文献1には、紡績部がダブル紡績部として形成されている、空気力式の仮撚り紡績のための紡績機が開示されている。
【0006】
互いに並んで案内された各2つのスライバが、ドラフト装置を通過し、かつこのとき例えばガイドホッパのようなガイドエレメントによって分割されて保持された後で、スライバはそれぞれ個々にドラフト装置を出た後で仮撚り装置内に達する。スライバがドラフト装置を出た後で糸バルーンを形成して相互に邪魔になることを阻止するために、ドラフト装置の供給ローラ対と空気力式の仮撚り装置との間には、いわゆるセレクタがガイドエレメントとして配置されている。このセレクタは、供給ローラ及び引出し装置の速度よりも高い速度で駆動され、さらにガイド面に吸込みスロットを有している。これによって、横に広がった縁繊維が先行して、つまりスライバの芯よりも速く、糸引出し方向において移動することになり、このとき縁繊維はこの状態において、仮撚りに基づいてスライバの芯の周りに巻き付けられる。仮撚りに基づいて、その固有の軸線を中心にして回転するスライバの、横に広がった縁繊維が、互いに接触し得ないようにするために、セレクタのガイド面の間にはさらにいわゆるセパレータが配置されている。
【0007】
この紡績機の欠点は、比較的多量の繊維屑が発生することである。なぜならばこの場合、その繊維端部が十分に芯に固定されていない繊維は、スライバ軸線から離れて移動し、従って不十分にしか又はまったく、形成される糸複合体内に包み込まれることができず、糸を強化するのに使用され得ないからである。さらに、2つの仮撚り装置、セレクタ及びセパレータから成るアセンブリは、このようなアセンブリを各紡績部に設けることが必要なので、比較的複雑であり、かつ費用がかかる。
【0008】
特許文献2によって、空気力式の紡績装置及び紡績法が公知である。特許文献2によれば、スピンドル通路の入口の前において、空気渦流によって保持された回転するコロナ形の繊維(Fasersonne)が形成される。このとき繊維の一方の端部は、スピンドル通路内において回転するコロナ形の繊維内に位置していて、そこで糸の一部を形成する。しかしながらすべての繊維が糸形成プロセスによって捕捉されるのでないので、繊維の一部、特に短繊維は、排気流内にもたらされる。
【0009】
糸品質の改善と(短)繊維損失の低減を達成するために、第1の変化態様では、排気内に含まれた繊維が捕捉され、再生されて、確定された箇所で紡績プロセスに戻される。このとき確定された箇所は、コロナ形の繊維の中心領域、ドラフト装置の前、又はドラフト装置ローラの間であってよい。繊維がコロナ形の繊維内に戻される場合、これは少なくとも1つの別体の繊維供給通路を介して行われる。
【0010】
第2の変化態様では、繊維は予め、処理される繊維流から排除され、これによって次いで糸形成プロセスにコロナ形の繊維の中心の領域において供給することができる。
【0011】
特許文献2に記載されたこの紡績装置及び方法における欠点としては、このように構成された紡績装置が構造上極めて複雑で、ひいては同様に極めてコストがかかる、ということがある。
【0012】
特許文献3によれば、ステープルファイバを備えた束ねられた糸及びこのような糸を製造する方法が開示されている。このような糸(Garn)(この概念は、ここでは誤って撚糸(Zwirn)に対して用いられている)を製造するために、ドラフト装置にスライバが供給され、スライバはドラフト工程中に少なくとも2つの繊維リボンに裂かれる。そして各繊維リボンからは、巻付き繊維(Umwindefaser)を備えた相応に加撚された糸が形成され、両方の糸は、加撚によって1つの撚糸にまとめられ、この撚糸もまた同様に巻付き繊維を有している。
【0013】
この方法にも、比較的多くの繊維屑が発生するという欠点がある。なぜならば、糸芯に巻き付けるために広げられる、スライバからの幾つかの繊維端部の偏向は、ドラフト装置ローラの自然の換気作用に基づいて又は、例えば静電場、負圧作用、吹込み又は機械的なアセンブリのような、他の外力による作用によって、行われるからである。
【0014】
可能な限り均一な糸を紡績することができるという、空気力式の仮撚り紡績方法及び仮撚り紡績装置が、特許文献4に基づいて公知である。公知の方法及び装置のために、2つのスライバか又は、ドラフト工程前又はドラフト工程中に分割される1つのスライバが、ドラフト装置に供給され、このとき延伸終了時に両方のスライバは、互いに確定された間隔をおいて位置している。スライバ相互の確定された間隔は、スライバがガイドホッパによって案内されることによって得られる。縁繊維の巻付き方向に対して影響を及ぼすために、供給ローラ対と仮撚り装置との間にはいわゆるロータが配置されており、このロータは、供給ローラ対及び引出し装置よりも高い速度で駆動され、さらに吸込みスロットを有している。ロータの周面において両スライバは一緒に走行し、スライバから広がった縁繊維は、ロータの2つのパーフォレーション列によって吸い込まれ、繊維芯複合体に対して先行して連行される。これに対して繊維芯複合体は、ロータの周面において低い速度で滑る。両方のスライバは、両スライバに与えられた仮撚りに基づいてその固有の軸線を中心にして回転し、仮撚り装置の入口開口内に一緒に走入し、両スライバの縁繊維は、互いに結合し合い、かつ繊維形成物に巻き付く。
【0015】
この方法においても、多くの繊維屑、特に短繊維の屑が発生するという欠点がある。それどころか、ロータによって繊維屑は、一部がさらに促進されることになる。それというのは、繊維端部が十分大きくもしくは十分深くスライバ内に達していない繊維は、これによってスライバから完全に解離してしまうからである。
【0016】
さらにこのような仮撚り紡績装置は、構造上複雑に構成されている。それというのは、スライバが互いの間に必要な間隔をおいてドラフト装置内に走入することを、ガイドホッパは保証しなくてはならず、またロータは、縁繊維が繊維芯複合体に対して先行するように機能しなくてはならないからである。
【0017】
さらに特許文献4に記載の方法及び装置を用いて、確かに縁繊維の巻付け速度に影響を及ぼすことが可能であるが、巻付き繊維の配分量に影響を及ぼすことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】独国特許出願公開第4032117号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1279756号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第3433282号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第4032941号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ゆえに本発明の課題は、空気紡績機の複雑かつ高価な変更を必要とすることなしに、改善された空気紡績糸を製造することができる方法を提供することである。さらに本発明による方法を用いて、糸複合体において糸強度のために重要である巻付き繊維の配分量に、影響を及ぼすことができることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴部に記載の構成によって解決される。
【0021】
本発明の好適な態様は、従属請求項に記載されている。
【発明の効果】
【0022】
前記課題を解決するために、請求項1記載の構成では、撚り機構として、撚り止め装置を備えた空気本撚り紡績機構(Luftechtdrahtspinnorgan)が使用され、供給される両スライバは、少なくとも1つの特性において互いに異なっており、第1のスライバを、第2のスライバよりも、撚り機構の長手方向軸線の近くで該撚り機構に供給するようにした。
【0023】
空気本撚り紡績機構では、2つのスライバが一緒にドラフト装置に供給され、次いで撚り機構に供給される場合に、供給時における各スライバの位置は、空気紡績プロセスに対して及び製造された糸構造に対して、大きな影響を及ぼす。実験において確認されたことであるが、空気紡績された糸の紡績時には、中心においてもしくは比較的中心に近い位置で撚り機構に走入する、スライバの繊維は、むしろ繊維芯に位置することになる。これに対して、中心に対して幾分ずらされて供給される、スライバの繊維は、むしろ巻付き繊維になり、ひいては空気紡績された糸の外側に位置することになる。
【0024】
本発明によれば、空気紡績された糸は、互いに異なった2つのスライバから紡績することができる。このとき、繊維が後で糸において芯繊維として現れるか又は巻付き繊維として現れるかは、撚り機構への走入時における両スライバの配置形態によって制御可能である。
【0025】
本発明は、撚り機構の長手方向軸線の近傍において走入するスライバが撚り機構の長手方向軸線上に位置しているという、特殊な場合をも包含する。
【0026】
本発明によって得られる利点としては、特に次のことが挙げられる。すなわち本発明に係る方法に基づいて、種々異なった複数のスライバを、空気紡績された1つの糸に加工することができ、形成された糸構造に対しては、各スライバの繊維が芯繊維として使用されるのか又は巻付き繊維として使用されるのかに関して、影響を及ぼすことができる。
【0027】
本発明に係る方法の別の利点としてはさらに、当該方法への転換のために、空気紡績機の面倒もしくは高価な構造変更が不要であり、ひいては過大な追加コストが発生しない、ということが挙げられる。
【0028】
請求項2記載のように、両方のスライバにおいて互いに異なった特性が、スライバの平均ステープル長さであると好適である。
【0029】
比較的長い平均ステープル長さを備えたスライバは、撚り機構への走入時にほとんど中央に位置しておらず、撚り機構の長手方向軸線の近傍において方向付けられたスライバの短繊維を空気流に対して保護する。
【0030】
従ってこの方法に基づいて、従来技術に基づいて公知の方法及び装置によるよりも、空気紡績プロセス時に僅かな繊維屑しか発生しない。
【0031】
これによって本発明に係る方法では、繊維もしくはスライバの配置形態によってこれらの繊維が空気紡績された糸において何処に位置するかに影響を及ぼすことができるので、短繊維もまた経済的に使用することが可能である。
【0032】
このことは特に、100%カーディングされた木綿を紡績する場合に効果を発揮する。それというのは、繊維屑は従来まさにこのような供給材料において経済性に関して特に不都合な影響を及ぼしていたからである。
【0033】
さらに、巻付き繊維の配分量に対して影響を及ぼすことが可能である。それというのは、スライバの配置形態によって、常に十分な巻付き繊維を利用すること及び繊維の巻付けを均一に行えることが、保証されるからである。
【0034】
択一的に、請求項3に記載のように、両方のスライバにおいて互いに異なっている特性は、スライバの繊維原料である。
【0035】
このようにすると、異なった材料から成る空気紡績された糸をコントロールして製造することができる。
【0036】
例えば、一方のスライバはポリエステル繊維から成っていて、他方のスライバはビスコース繊維から成っている。例えばスライバの配置形態によって、どちらの繊維をより多く巻付き繊維として現すかについて合目的に影響を及ぼすことができる。
【0037】
糸の高い耐摩耗性及び摩擦堅牢度が重要である場合には、ポリエステル繊維を含むスライバが、ビスコース繊維を含むスライバよりもあまり撚り機構の長手方向軸線の近傍に位置しないことが望ましい。これによって糸芯においては、より中央において走入するスライバの特性が、すなわちビスコース繊維の良好な水分吸収性及び柔らかい手触りといった特性が、効力を発揮する。これに対して糸の外側においては、例えば高い耐久性のようなポリエステルの特性が、とても重要である。
【0038】
もちろん、本発明の枠内において両方のスライバを、さらなる特性もしくは他の特性において相違させることも可能である。
【0039】
請求項4記載のように、スライバとして、延伸スライバを使用すると好適である。
【0040】
このような変化態様には、延伸スライバを延伸路から直に到来させて加工することができるという利点がある。このようにすると、延伸スライバからフライヤ粗糸もしくはいわゆる粗糸を製造する中間ステップが不要になる。このことは時間の節約のみならず、大きなコスト節減をも意味する。それというのは、フライヤ粗糸の製造が省かれるのみならず、フライヤ粗糸を製造する機械自体が不要になるからであります。
【0041】
しかしながら択一的な態様では、請求項5記載のように、スライバとして、フライヤ粗糸を使用することも可能である。
【0042】
このようなフライヤ粗糸(Flyerlunte)は、いわゆる粗糸とも呼ばれ、空気紡績プロセス中に練条スライバ(Streckenband)のようにもはやあまり強く引っ張られる必要はない。この変化態様の利点は、極めて均一でかつ品質的に高価な糸を紡績できることにある。
【0043】
請求項6の記載によれば、各スライバは、均一な繊維混合物を有している。
【0044】
本発明によって獲得できる利点を得るために、各スライバがそれ自体均一な繊維混合物を有している複数のスライバを使用することができる。すなわち、例えば、短い平均ステープル長さ又は長い平均ステープル長さを有するスライバが使用される。確かに使用されるスライバは互いに異なっているが、しかしながら各スライバ自体は一様である。どちらのスライバが空気紡績プロセスへの供給時により中心に又はより偏心的に配置されているかに応じて、繊維を糸芯において又は糸の巻付き繊維として見出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】空気紡績装置を備えた繊維機械を示す正面図である。
図2】2つのスライバを本発明のように供給する、空気紡績機の1つの作業部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
次に図面に示した、空気紡績機の作業部を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0047】
図1には、空気紡績機1が正面図で示されている。この繊維機械は、列をなして互いに並んで配置された多数の作業部又は紡績部2を有しており、これらの作業部2は、端部側に配置されたいわゆる端部フレーム15,16の間に位置決めされている。
【0048】
図1にさらに示されているように、各作業部2はそれぞれ供給材料、例えば紡績ケンス3内に蓄えられたスライバ4を備えている。
【0049】
さらに作業部2はそれぞれドラフト装置5、撚り機構6を備えた空気紡績装置、糸引出し装置7、糸クリアラ8及び巻取り装置を有する。
【0050】
所属の糸綾振り装置9は、空気紡績ユニットにおいてスライバ4から製造された糸10を、綾振りした状態で巻取りパッケージ11に巻き上げるために働く。
【0051】
巻取りパッケージもしくは綾巻パッケージ11は、通常のように、図示されていないパッケージフレームに保持されていて、同様に図示されていないパッケージ駆動装置によって回転させられる。
【0052】
図1にさらに示されているように、繊維機械1の作業部2は、好ましくは、自動的に作動する操作ユニット12によって管理され、この操作ユニット12は、レール13,14上を案内されて、作業部2に沿って走行可能である。
【0053】
図2には、空気紡績機1の1つの作業部2が、2つのスライバ4,4′の本発明による供給形態と共に示されており、この作業部2においてスライバ4,4′は1つの糸10に紡がれる。
【0054】
ドラフト装置5には、2つのスライバ4,4′が供給される。糸10を製造するために、長い平均ステープル長さを有するスライバ4が、偏心的にドラフト装置5に供給される。短い平均ステープル長さを有するスライバ4′は、撚り機構6の長手方向軸線の近くに位置している。
【0055】
空気紡績装置の下流側には、糸走行方向において糸引出し装置7、糸クリアラ8及び糸綾振り装置9が配置されている。
【0056】
両方のスライバ4,4′が一緒にドラフト装置5内に走入し、そこで一緒に延伸された後で、スライバ4,4′は同様に一緒に空気紡績装置もしくは撚り機構6内に達する。短い繊維は、真ん中で撚り機構6内に走入し、これに対して長い繊維は、それとは異なり、撚り機構6の長手方向軸線に対して幾分ずらされて、つまり偏心的に走入する。
【0057】
空気紡績装置から進出した糸10は、糸引出し装置7を用いて確定されて引き出され、糸クリアラ8によって監視され、かつ場合によってはクリアリングされる。後続の糸綾振り装置9は、糸芯が主に短繊維から成っていて巻付き繊維(Umwindefaser)の大部分が長繊維から形成されている糸10を、綾振りしながら巻き取って綾巻きパッケージ11を形成する。
【符号の説明】
【0058】
1 空気紡績機、 2 作業部、 4,4′ スライバ、 5 ドラフト装置、 6 撚り機構、 7 糸引出し装置、 8 糸クリアラ、 9 糸綾振り装置、 10 糸、 11 巻取りパッケージ、綾巻きパッケージ、 12 操作ユニット、 13,14 レール
図1
図2