特許第6682236号(P6682236)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6682236空気吹出装置及び当該空気吹出装置の集合体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682236
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】空気吹出装置及び当該空気吹出装置の集合体
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20200406BHJP
   F24F 13/10 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   B60H1/34 611B
   B60H1/34 651B
   F24F13/10 C
【請求項の数】6
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2015-206520(P2015-206520)
(22)【出願日】2015年10月20日
(65)【公開番号】特開2016-210396(P2016-210396A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年8月20日
(31)【優先権主張番号】特願2015-91079(P2015-91079)
(32)【優先日】2015年4月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】308016242
【氏名又は名称】豊和化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大江 広行
【審査官】 浅野 弘一郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−049162(JP,U)
【文献】 特開2015−067188(JP,A)
【文献】 実開平04−050349(JP,U)
【文献】 実開昭53−153760(JP,U)
【文献】 特開昭56−042044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/34
F24F 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流路及び吹出口を画成する筐体と、前記空気流路の前記吹出口側の端部である下流側端部を経て前記吹出口から吹き出される空気の流れ方向を調整可能な風向調整ユニットと、を備え、
前記風向調整ユニットは、前記吹出口の開口面と平行な回転軸、前記回転軸の周りに偏心して回転可能な板体、及び前記回転軸上に並ぶ複数の位置において前記回転軸と交差する板状の部材である複数のフィン、を有し、
前記複数のフィンの各々は、前記回転軸に対して傾斜し、前記板体と交差し、且つ前記板体が前記回転軸の周りに回転したときに前記板体が通過する領域である回転領域内に存在し、
前記筐体は、前記回転領域に沿って湾曲した内部壁面である下流側内壁面によって前記下流側端部を画成し、前記下流側内壁面を貫通して前記空気流路に開口するように前記吹出口を画成している、
空気吹出装置を複数含んでなる、空気吹出装置の集合体であって、
前記複数の空気吹出装置が備える前記風向調整ユニットのうち少なくとも1つの前記風向調整ユニットが他の前記風向調整ユニットとは異なる位相にて前記回転軸の周りに回転する、ように構成されており、
隣接する前記吹出口から吹き出される空気の流れの少なくとも一部が干渉によって収束又は発散され
隣接する前記吹出口から吹き出される空気の流れの干渉を防止する干渉防止ユニットを更に備える、
空気吹出装置の集合体。
【請求項2】
請求項に記載の空気吹出装置の集合体であって、
前記干渉防止ユニットが、
前記隣接する前記吹出口の間に立設された突起によって構成された、
空気吹出装置の集合体。
【請求項3】
請求項に記載の空気吹出装置の集合体であって、
前記干渉防止ユニットが、
前記隣接する前記吹出口の間に設けられた開口部から空気を吹き出すように構成された、
空気吹出装置の集合体。
【請求項4】
請求項に記載の空気吹出装置の集合体であって、
前記干渉防止ユニットが、
前記隣接する前記吹出口の間に形成された溝によって構成された、
空気吹出装置の集合体。
【請求項5】
請求項1乃至請求項の何れか一項に記載の空気吹出装置の集合体であって、
前記下流側端部に供給される空気の流量を調節する風量調整ユニットを更に備える、
空気吹出装置の集合体。
【請求項6】
請求項に記載の空気吹出装置の集合体であって、
前記風量調整ユニットが、
前記下流側端部に供給される空気の流量を前記風向調整ユニットの回転に伴って調節する、ように構成された、
空気吹出装置の集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気流路及び吹出口を画成する筐体と、空気流路の下流側端部を経て吹出口から吹き出される空気の流れ方向を調整可能な風向調整ユニットと、を備えた空気吹出装置に関する。更に、本発明は、上記空気吹出装置の集合体にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の室内の環境を調整することを目的とし、同室内へ供給される冷暖房用空気等の流量及び流れ方向を操作する空気吹出装置が提案されている。従来の空気吹出装置の一つ(以下、「従来装置」とも称呼される。)は、空気流の導出路(流路)を画成する中空の柱状体と、その柱状体の内部に回動可能に保持される複数の風向調整板と、を備えている。この従来装置においては、風向調整板の回動状態(柱状体の軸線に垂直な軸周りの回動角度)が調整されることにより、従来装置から吹き出される空気の流量及び流れ方向が操作されるようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−079374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気吹出装置が自動車に適用される場合、空気吹出装置は、一般に、自動車のダッシュボードの周辺等に設置される。ところが、近年、ダッシュボード及びその周辺の美観の向上等の観点から、空気吹出装置を設置し得る領域の広さが減少する傾向がある。そして、これに伴い、空気吹出装置の機能を損なうこと無く、空気吹出装置を出来る限り小型化することが望まれている。
【0005】
しかし、従来装置は、上述したように、空気吹出装置から吹き出される空気の流量及び流れ方向を風向調整板によって調整するように構成されている。そのため、一般に、風向調整板の機能(流量及び流れ方向の調整)を維持しながら空気吹出装置の全体を小型化することは困難である。例えば、空気吹出装置の全体を不用意に小型化すると、風向調整板も小さくなるので、風向調整板が流れ方向を変更し得る空気の量が減少する。そして、これに起因し、空気吹出装置から吹き出される空気流の流れ方向が十分に調整されない場合がある。一方、例えば、風向調整板の大きさを出来る限り維持しながら空気吹出装置を小型化すると、空気流の導出路に対して風向調整板が過度に大きくなるので、空気吹出装置を通過し得る空気の量が減少する。そして、これに起因し、空気吹出装置から吹き出される空気の流量が十分に確保されないことになる場合がある。
【0006】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、空気吹出装置としての機能を損なうこと無く小型化することが可能な空気吹出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明による空気吹出装置は、
空気流路及び吹出口を画成する「筐体」と、前記空気流路の前記吹出口側の端部である下流側端部を経て前記吹出口から吹き出される空気の流れ方向を調整可能な「風向調整ユニット」と、を備える。
【0008】
より具体的には、前記風向調整ユニットは、
前記吹出口の開口面と平行な「回転軸」、
前記回転軸の周りに偏心して回転可能な「板体」、及び、
前記回転軸上に並ぶ複数の位置において前記回転軸と交差する板状の部材である複数の「フィン」、を有する。
【0009】
更に、前記複数のフィンの各々は、
前記回転軸に対して傾斜し、
前記板体と交差し、且つ
前記板体が前記回転軸の周りに回転したときに前記板体が通過する領域である回転領域内に存在する。
【0010】
加えて、前記筐体は、
前記回転領域に沿って湾曲した内部壁面である「下流側内壁面」によって前記下流側端部を画成し、前記湾曲した内部壁面を貫通して前記空気流路に開口するように前記吹出口を画成する。
【0011】
上記構成によれば、回転軸が回転すると、板体及び複数のフィンも回転する。その結果、板体と複数のフィンと下流側内壁面とが回転領域内に画成する流路の向きが変化したり、当該流路の入口から出口に至る経路が変化したりする。筐体が画成する空気流路を通過して下流側端部に到達した空気は、回転領域内に形成された上記流路に沿って流れる(案内される)。即ち、上記空気は、上記流路によって案内された方向に「吹出口」から吹き出す。
【0012】
より具体的には、板体が空気流路の軸線と平行であるとき(以下、「平行時」とも称呼される。)、空気流路を通過して下流側端部に到達した空気は、板体によって上下に分けられるものの、板体を挟むように板体に沿って(板体に平行に)流れ、吹出口から吹き出す。このように、板体は、空気吹出装置から吹き出される空気流の流れ方向の調整には実質的に寄与しない。即ち、この場合、空気吹出装置から吹き出される空気は、主としてフィンの傾きによって定まる向きに吹き出す。
【0013】
一方、板体が空気流路の軸線と垂直であるとき(以下、「垂直時」とも称呼される。)、上述したように板体は回転軸の周りに偏心して回転するように構成されているため、回転軸を挟む一方と他方とで回転領域内に形成された流路の断面積が相違する。具体的には、空気流路の下流側端部を画成する下流側内壁面は回転領域に沿って湾曲しているため、一方の流路の断面積は実質的に0(ゼロ)となり、他方の流路の断面積は板体の大きさ及び形状に対応した値となる。そして、上記「他方の流路」を通過した空気は、フィンの傾きと、下流側内壁面の他方側と、によって定まる向きに吹き出す。このとき、空気流路の軸線に対するフィンの傾きは上記「平行時」と異なる。その結果、垂直時に空気吹出装置から吹き出される空気は、平行時とは異なる向きに吹き出す。
【0014】
更に、板体が上記「平行時」と「垂直時」との間の状態にあるとき(以下、「中間時」とも称呼される。)、上記「一方の流路」と「他方の流路」との断面積の違い、及び、空気流路の軸線に対するフィンの傾き、は上記「平行時」及び「垂直時」とは異なる。その結果、中間時に空気吹出装置から吹き出される空気は、平行時及び垂直時とは異なる向きに吹き出す。
【0015】
以上のように、風向調整ユニットの回転軸の回転角度によって、吹出口から吹き出される空気の流れ方向が異なる。従って、回転軸の回転角度を適宜調整することにより、吹出口から吹き出される空気流(以下、便宜上、「吹き出し空気流」とも称呼される。)の流れ方向を制御することができる。即ち、本発明に係る空気吹出装置は、従来装置において採用されている風向調整板を必要とすること無く、吹き出し空気流を制御することができる。
【0016】
従って、本発明に係る空気吹出装置は、空気吹出装置としての機能を損なうこと無く小型化することが可能である。
【0017】
更に、本発明に係る空気吹出装置は、従来装置において採用されている風向調整板を備える必要が無いので、従来装置に比べて(例えば、風向調整板の取り付け位置、風向調整板の大きさ及び回転範囲等を考慮する必要が無い分だけ)吹出口の形状をより自由に設計することができる。例えば、吹出口の形状として、空気吹出装置の美感を考慮した形状(例えば、高さ方向の長さが幅方向の長さよりも極めて小さい細長い(アスペクト比が高い)長方形等)が採用され得る。
【0018】
ところで、上述したように、下流側端部は、回転領域に沿って湾曲した内部壁面である下流側内壁面によって画成される。この「回転領域に沿って湾曲」とは、回転領域において板体が回転可能な程度に僅かな隙間を空けて下流側内壁面と回転領域とが隣接していることを意味する。即ち、「回転領域に沿って湾曲」とは、下流側内壁面が回転領域に完全に外接することを意味するものではない。換言すると、下流側内壁面は、板体の端部と下流側内壁面とが干渉すること無く、板体が回転軸周りに回転することが可能であるように構成される。
【0019】
更に、吹出口は、下流側内壁面を貫通して空気流路に開口するように画成される。この「下流側内壁面を貫通」とは、吹出口が下流側内壁面の一部を貫通することを意味する。典型的には、後述するように、吹出口の高さは回転領域の高さ(即ち、回転領域の直径)よりも小さい。
【0020】
尚、風向調整ユニットの(回転軸の)回転角度は、例えば、板体の回転軸からの突出量がより大きい側の部分(以下、板体の「主部」とも称呼される。)が吹出口側に向いており且つ板体が空気流路の軸線と平行であるときの角度を0(ゼロ)度と定めることができる。そして、回転軸の回転方向は、その角度から板体の主部が空気吹出装置の上側に向かうときの回転軸の回転方向を正方向と定めることができる。これにより、風向調整ユニットの回転軸の回転角度は、板体の主部が突出している方向に対応して、0(ゼロ)度〜360度の角度として定義することができる。
【0021】
風向調整ユニットの(回転軸の)回転角度は、所望の方法によって調整することができる。例えば、回転軸の回転角度は、図示しないリンク部材等を介して操作者が回転軸を直接操作することによって、所望の角度に調整することができる。或いは、回転軸の回転角度は、例えば、操作者からの指示に応じて、図示しないステッピングモータ等の駆動装置を使用して、所望の角度に調整することもできる。
【0022】
本発明に係る空気吹出装置において、風向調整ユニットが備える複数のフィンの具体的な構成は、例えば、空気吹出装置に要求される吹き出し空気流の制御性能等を考慮して適宜定められ得る。
【0023】
例えば、前記風向調整ユニットは、
前記複数のフィンの全てが平行である、ように構成され得る。
【0024】
上記構成によれば、下流側端部に到達した空気は、複数のフィンのうちの何れのフィンにおいても、同じ方向に案内されるので、このような構成を有さない場合に比べ、吹き出し空気流の流れ方向がより精度良く制御され得る。即ち、吹き出し空気流の制御性能が高まる。
【0025】
尚、回転軸及び板体に対するフィンの傾斜角は特に限定されず、例えば、空気吹出装置に要求される吹き出し空気流の制御性能等を考慮して適宜定められ得る。典型的には、回転軸に対するフィンの傾斜角は45度(135度)であり、板体に対するフィンの傾斜角は90度である。
【0026】
更に、前記風向調整ユニットは、例えば、
前記複数のフィンの全てが同一の大きさ及び形状を有する、ように構成され得る。
【0027】
上記構成によれば、下流側端部に到達した空気が複数のフィンの何れによっても同じ方向に案内されるので、複数のフィンの大きさ及び形状が同一ではない場合に比べて、吹き出し空気流の流れ方向の均一性(整流性)が高まる。尚、複数のフィンの厚みは、同一であっても、異なっていてもよい。
【0028】
更に、前記風向調整ユニットは、例えば、
前記フィンの前記回転軸とは反対側の端部が前記下流側内壁面に対向しているときの前記フィンの前記端部と前記下流側内壁面との間の空隙の最大値が所定の閾値未満である、ように構成され得る。
【0029】
上記構成によれば、下流側端部に到達した空気が、フィンの端部と下流側内壁面との間の空隙を通り抜けることが低減される。その結果、下流側端部に到達した空気がフィンと板体と下流側内壁面とによって画成される流路によって定まる方向に確実に案内される。従って、上記空隙の最大値が上記閾値以上である場合に比べ、吹き出し空気流の流れ方向がより精度良く制御され得る。即ち、吹き出し空気流の制御性能が高まる。
【0030】
上記閾値は、例えば、空気吹出装置に要求される吹き出し空気流の制御性能並びに風向調整ユニット(特に、フィン及び板体)及び筐体(特に、下流側内壁面)の成形精度等を考慮して適宜定められ得る。この場合もまた、フィン及び板体の端部と下流側内壁面とが干渉すること無く、回転軸周りに回転することが可能であるように構成される。
【0031】
更に、前記風向調整ユニットは、例えば、
前記回転軸に垂直な投影面における前記フィンの形状が前記回転軸を中心とする円である、ように構成され得る。換言すれば、風向調整ユニットの回転軸に平行な方向から風向調整ユニットを見る場合、個々のフィンの形状は「同回転軸を中心とする円」に見える。尚、この「円」は楕円及び真円を含み、より好ましくは真円である。
【0032】
上記構成により、回転領域内に存在するという条件下においてフィンの面積を最大化することができるので、当該フィンにより下流側端部に到達した空気を効率良く案内することができる。
【0033】
典型的には、後述する実施例において例示されるように、前記風向調整ユニットは、前記複数のフィンの全てが平行であり且つ前記板体と直交しており、前記複数のフィンの全てが同一の大きさの前記回転軸を中心とする楕円形の形状を有する、ように構成され得る。
【0034】
本発明に係る空気吹出装置において、筐体の形状は、ダッシュボード及びその周辺の美観を向上させること等の観点から、例えば、空気吹出装置を設置し得る領域の広さ等を考慮して適宜定めることができる。
【0035】
例えば、前記筐体は、
前記吹出口の開口面の高さが前記回転領域の直径よりも小さい、ように構成され得る。
【0036】
上記構成により、本発明に係る空気吹出装置の吹出口の形状として、例えば、高さ方向の長さが幅方向の長さよりも極めて小さい、細長い(アスペクト比が高い)長方形等を採用することができる。即ち、空気吹出装置の外観を、ダッシュボード及びその周辺の美観を考慮した形状とすることができる。更に、下流側内壁面の面積を大きく確保することができるので、吹き出し空気流の流れ方向がより精度良く制御され得る。即ち、吹き出し空気流の制御性能が高まる。
【0037】
更に、本発明に係る空気吹出装置は、2つ以上を組み合わせた集合体として使用され得る。例えば、それぞれの空気吹出装置により異なる方向に吹き出し空気流を吹き出して、より広い範囲に空気を吹き出したり、複数の空気吹出装置から吹き出される吹き出し空気流を収束させて風量(流量)を高めたりすることができる。このように、複数の本発明に係る空気吹出装置を組み合わせて使用することにより、吹き出し空気流の流れ方向及び流量が、より多様に制御され得る。
【0038】
即ち、本発明のもう1つの実施態様は、上述した何れかの空気吹出装置を複数含んでなる、空気吹出装置の集合体である。これによれば、複数の本発明に係る空気吹出装置を組み合わせて使用することにより、吹き出し空気流の流れ方向及び流量を、より多様に制御することができる。
【0039】
上述した空気吹出装置の集合体において、前記複数の空気吹出装置が備える前記風向調整ユニットの全てが同じ位相にて前記回転軸の周りに回転する、ように構成され得る。これによれば、複数の空気吹出装置から吹き出される吹き出し空気流の流れ方向が同じ方向に揃うので、例えば、目的とする方向に吹き出される吹き出し空気流の風量を高めることができる。
【0040】
或いは、上述した空気吹出装置の集合体において、前記複数の空気吹出装置が備える前記風向調整ユニットのうち少なくとも1つの前記風向調整ユニットが他の前記風向調整ユニットとは異なる位相にて前記回転軸の周りに回転する、ようにも構成され得る。これによれば、複数の空気吹出装置から吹き出される吹き出し空気流の流れ方向が異なるので、例えば、吹き出し空気流をより広い範囲に吹き出したり、異なる空気吹出装置から吹き出される吹き出し空気流の干渉により、これらの吹き出し空気流を収束させたりすることができる。
【0041】
ところで、上記のように複数の空気吹出装置が備える風向調整ユニットのうち少なくとも1つの風向調整ユニットを他の風向調整ユニットとは異なる位相にて回転軸の周りに回転させることにより複数の空気吹出装置から吹き出し空気流を異なる方向に吹き出す場合、これらの吹き出し空気流の干渉が生じ得る。その結果、これらの吹き出し空気流の意図せぬ収束又は発散等により、例えば、吹き出し空気流が意図せぬ方向に吹き出されたり、吹き出し空気流が目的とする方向に吹き出されなかったりする場合がある。
【0042】
そこで、上記のように複数の空気吹出装置が備える風向調整ユニットのうち少なくとも1つの風向調整ユニットを他の風向調整ユニットとは異なる位相にて回転軸の周りに回転させる空気吹出装置の集合体は、隣接する前記吹出口から吹き出される空気の流れの干渉を防止する干渉防止ユニットを更に備え得る。これによれば、隣接する吹出口から吹き出される空気の流れ(吹き出し空気流)の干渉が防止されるので、これらの吹き出し空気流の意図せぬ収束又は発散等が低減される。その結果、空気吹出装置の集合体の全体としての吹き出し空気流が、意図せぬ方向に吹き出されたり、目的とする方向に吹き出されなかったりする問題を低減することができる。
【0043】
尚、前記干渉防止ユニットは、前記隣接する前記吹出口の間に立設された突起によって構成され得る。この場合、典型的には、干渉防止ユニットは、隣接する吹出口の間に立設された衝立状又は板状の突起である。これにより、隣接する吹き出し空気流の干渉を物理的に低減することができる。
【0044】
或いは、前記干渉防止ユニットは、前記隣接する前記吹出口の間に設けられた開口部から空気を吹き出すように構成され得る。この場合、典型的には、干渉防止ユニットは、隣接する吹出口の間に設けられたスリット状の開口部から空気を吹き出す。この開口部から吹き出される空気の流れが、隣接する吹き出し空気流の間に介在して、これらの吹き出し空気流の干渉を低減することができる。
【0045】
或いは、前記干渉防止ユニットは、前記隣接する前記吹出口の間に形成された溝によって構成され得る。この場合、この溝を通って空気吹出装置の周辺の空気が吹出口の近傍へと流れることができるので、吹き出し空気流に起因する随伴流の発生が促進され、この随伴流が、隣接する吹き出し空気流の間に介在して、これらの吹き出し空気流の干渉を低減することができる。
【0046】
ところで、本発明に係る空気吹出装置及びその集合体は、風向調整ユニットの回転により、吹き出し空気流の流れ方向及び流量を制御することができる。しかしながら、本発明に係る空気吹出装置及びその集合体は、空気流路を通って下流側端部に供給される空気の流量を調節するための機構を別途備えていてもよい。
【0047】
即ち、上記のような空気吹出装置の集合体は、前記下流側端部に供給される空気の流量を調節する風量調整ユニットを更に備える。これにより、空気流路を通って下流側端部に供給される空気の流量を風向調整ユニットの回転とは独立して調節することができるので、吹き出し空気流の流れ方向と流量との組み合わせをより多様に制御することができる。この場合、典型的には、風量調整ユニットは、空気流路の風向調整ユニットよりも上流側に設けられたダンパである。
【0048】
尚、風量調整ユニットは、空気吹出装置の集合体を構成する複数の空気吹出装置のそれぞれの下流側端部に供給される空気の流量を個別に調節するように構成されていてもよい。この場合、例えば、風量調整ユニットは、複数の空気吹出装置のそれぞれの空気流路の風向調整ユニットよりも上流側に設けられた複数のダンパによって構成され得る。
【0049】
或いは、風量調整ユニットは、空気吹出装置の集合体を構成する複数の空気吹出装置の全ての下流側端部に供給される空気の流量を一括して調節するように構成されていてもよい。この場合、例えば、空気吹出装置の集合体は、空気流路の上流側の端部に1つの統合空気流路を備え、この統合空気流路が分岐して、複数の空気吹出装置のそれぞれの下流側端部へと連通しているように構成され得る。そして、風量調整ユニットは、上記統合空気流路に設けられた1つのダンパによって構成され得る。
【0050】
ところで、本発明に係る空気吹出装置は、風向調整ユニットの回転軸の回転角度を適宜調整することにより、吹出口から吹き出される空気の流れ(吹き出し空気流)の流れ方向を制御する。従って、詳しくは後述するように、吹き出し空気流の流れ方向は、風向調整ユニットの回転軸の回転に伴って連続的に変化する。その結果、風向調整ユニットの回転軸の回転角度によっては、望ましくない方向及び/又は必要ではない方向に吹き出し空気流が吹き出される場合もあり得る。
【0051】
上記のような場合、上述した風量調整ユニットにより、望ましくない方向及び/又は必要ではない方向に吹き出される吹き出し空気流の流量を減少させたり、望ましくない方向及び/又は必要ではない方向に吹き出し空気流が吹き出されないようにしたりすることができる。特に、風量調整ユニットは、風向調整ユニットの回転と連動して、望ましくない方向及び/又は必要ではない方向に吹き出される吹き出し空気流の流量を減少させたり、望ましくない方向及び/又は必要ではない方向に吹き出し空気流が吹き出されないようにしたりすることができることが好ましい。
【0052】
そこで、前記風量調整ユニットは、前記下流側端部に供給される空気の流量を前記風向調整ユニットの回転に伴って調節する、ように構成され得る。これによれば、風向調整ユニットの回転軸の回転角度を調整することにより、風量調整ユニットを個別に操作すること無く、望ましくない方向及び/又は必要ではない方向に吹き出される吹き出し空気流の流量を減少させたり、望ましくない方向及び/又は必要ではない方向に吹き出し空気流が吹き出されないようにしたりすることができる。
【0053】
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】本発明の1つの実施形態に係る空気吹出装置(実施装置10)の模式的な斜視図である。
図2】実施装置10の模式的な正面図及び断面図である。
図3】実施装置10が備える風向調整ユニット30の模式的な正面図、上面図及び側面図である。
図4】実施装置10における風向調整ユニット30の回転角度と吹き出し空気流の流れ方向との関係を表す模式図である。
図5】実施装置10における風向調整ユニット30の回転角度と吹き出し空気流流れ方向との関係を表す模式図である。
図6】本発明の1つの実施形態に係る空気吹出装置の集合体(実施集合体100)の下流側端部123の外観を示す模式的な斜視図である。
図7】実施集合体100の下流側端部123の内部構造を示す模式的な斜視断面図である。
図8】実施集合体100の風向調整ユニット30L及び30Rの回転角度SL及びSRが(a)0(ゼロ)度、(b)45度、及び(c)90度であるときの吹き出し空気流の流れを示す模式図である。
図9】実施集合体100の風向調整ユニット30L及び30Rの回転角度SL及びSRが(d)135度、(e)180度、及び(f)225度であるときの吹き出し空気流の流れを示す模式図である。
図10】実施集合体100の風向調整ユニット30L及び30Rの回転角度SL及びSRが(g)270度及び(h)315度であるときの吹き出し空気流の流れを示す模式図である。
図11】本発明のもう1つの実施形態に係る空気吹出装置の集合体(実施集合体200)の風向調整ユニット30L及び30Rの回転角度SL及びSRが、それぞれ(a)90度及び270度、(b)0(ゼロ)度及び180度、並びに(c)180度及び0(ゼロ)度であるときの吹き出し空気流の流れを示す模式図である。
図12】実施集合体200の風向調整ユニット30L及び30Rの回転角度SL及びSRが、それぞれ(d)225度及び135度、(e)180度及び135度、並びに(f)180度及び225度であるときの吹き出し空気流の流れを示す模式図である。
図13】実施集合体200の風向調整ユニット30L及び30Rの回転角度SL及びSRが、それぞれ(g)315度及び225度、並びに(h)45度及び135度であるときの吹き出し空気流の流れを示す模式図である。
図14】本発明の更にもう1つの実施形態に係る空気吹出装置の集合体(実施集合体300)が備える干渉防止ユニット130の1つの具体例を示す模式図である。
図15】実施集合体300が備える干渉防止ユニット130のもう1つの具体例を示す模式図である。
図16】実施集合体300が備える干渉防止ユニット130の更にもう1つの具体例を示す模式図である。
図17】本発明のまた更にもう1つの実施形態に係る空気吹出装置の集合体(実施集合体400)が備える風量調整ユニット140の構成を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
《第1実施形態》
以下、本発明の1つの実施形態に係る空気吹出装置の一例(以下、「実施装置10」とも称呼される。)」につき、図面を参照しながら説明する。
【0056】
<装置の概要>
図1乃至図3は、実施装置10を示す模式図である。実施装置10は、空気導出路を画成する筐体20と、風向調整ユニット30と、から構成されている。以下、これら部材の構成につき、より詳細に説明される。
【0057】
尚、以下の説明においては、実施装置10の正面から見て、奥から手前に向かう方向は「正面方向(F)」と称呼され、逆に向かう方向は「裏面方向(B)」と称呼される。更に、実施装置10の正面から見て、右手から左手に向かう方向は「左方向(L)」と称呼され、逆に向かう方向は「右方向(R)」と称呼される。加えて、実施装置10の正面から見て、鉛直方向の下から上に向かう方向は「上方向(U)」と称呼され、逆に向かう方向は「下方向(D)」と称呼される。
【0058】
図1の(a)は実施装置10を正面方向から見た場合における実施装置10の模式的な斜視図であり、(b)は実施装置10が備える風向調整ユニット30の模式的な斜視図である。図2の(a)は実施装置10の模式的な正面図である。図2の(b)は、実施装置10を(a)におけるA−A平面(正面方向F、左方向L及び右方向Rが属する平面)にて切断した場合の実施装置10(筐体20及び風向調整ユニット30)の断面を示す模式図である。図2の(c)は、実施装置10を(a)におけるB−B平面(正面方向F、上方向U及び下方向Dが属する平面)にて切断した場合の実施装置10(筐体20及び風向調整ユニット30)の断面を示す模式図である。図2の(c)において、黒塗りの四角形は板体の断面を、白抜きの四角形はフィンの断面を、それぞれ表している。但し、図2の(a)及び(b)に示されているように、風向調整ユニット30の回転軸に対して、板体(の長手方向)は平行であり、各々のフィンは傾斜している。
【0059】
図1及び図2に示されるように、実施装置10を構成する筐体20は、全体として縦方向の長さ(高さ)に対して横方向の長さ(幅)が大きい略直方体状(薄板状)の形状を有する。筐体20は、後端側の開口部(以下、「導入口」とも称呼される。)21から流入した空気を、前端側の開口部(以下、「吹出口」とも称呼される。)22から吹き出すようになっている。即ち、筐体20は、導入口21に流入する空気流が通過可能な空気流路をその内部に画成しており、空気流路を通過する空気流が空気流路の下流側端部23において流れ方向を調整された空気流である吹き出し空気流を吹出口22から所定の方向に向けて吹き出すようになっている。
【0060】
風向調整ユニット30は、筐体20の内部に(即ち、空気流路内に)設けられ、空気流路の吹出口22側の端部である下流側端部23を経て吹出口22から吹き出される空気の流れ方向を調整する。
【0061】
図2の(c)に示したように、筐体20は、上記回転領域に沿って湾曲した内部壁面である下流側内壁面24によって下流側端部23を画成し、下流側内壁面24を貫通して空気流路に開口するように吹出口22を画成する、ように構成されている。吹出口22の開口面の高さは、上記回転領域の直径よりも小さい、ように構成されている。
【0062】
図3の(a)及び(b)に示したように、風向調整ユニット30は、吹出口22の開口面と平行な回転軸31、回転軸31の周りに偏心して回転可能な板体32、及び、回転軸31上に並ぶ複数の位置において回転軸31と交差する板状の部材である複数のフィン33、を有する。複数のフィン33の各々は、回転軸31に対して傾斜し、板体32と交差し、且つ板体32が回転軸31の周りに回転したときに板体32が通過する領域である回転領域内に存在する、ように構成されている。
【0063】
以下の説明においては、図3の(c)に示したように、風向調整ユニット30の(回転軸31の)回転角度は、板体32の主部(回転軸31からの突出量がより大きい側の部分)が吹出口22側に向いており且つ板体32が空気流路の軸線(正面方向F)と平行であるときの角度を0(ゼロ)度と定める。そして、回転軸31の回転方向は、その角度から板体32の主部が実施装置10の上側(上方向U)に向かうときの回転軸31の回転方向を正方向と定める(図3の(c)に示した反時計回りの矢印の方向)。本例においては、回転軸31の回転角度は、操作者からの指示に応じて、図示しないステッピングモータを使用して、所望の角度に調整可能に構成されている。
【0064】
実施装置10によれば、上記のように回転軸31の回転角度を調整することにより、空気流路の吹出口22側の端部である下流側端部23に設けられた風向調整ユニット30の回転角度を調整して、吹出口22から吹き出される空気の流れ方向を調整することができる。
【0065】
<風向調整ユニットの詳細>
図3に示したように、複数のフィン33の全てが、回転軸31を中心とする同一の大きさを有する楕円形の板状の形状を有する。更に、複数のフィン33の各々は、回転軸31に対して45度の角度にて(右後方から左前方の方向に)傾斜しており、板体32と直交している。即ち、複数のフィン33の全てが互いに平行である。これにより、風向調整ユニット30においては、回転軸31に垂直な投影面におけるフィン33の形状が回転軸31を中心とする円である、ように構成されている。
【0066】
上記投影面において、フィン33の半径は、板体32が回転軸31の周りに回転したときに板体32が通過する領域である回転領域の半径と等しい。これにより、回転領域内に存在するという条件下においてフィン33の面積を最大化することができる。一方、下流側端部23は、図2の(c)に示したように、上記回転領域に沿って湾曲した内部壁面である下流側内壁面24によって画成されている。従って、実施装置10は、下流側端部に到達した空気をフィン33及び下流側内壁面24によって効率良く所定の方向に案内することができる。
【0067】
<風向調整ユニットの回転角度と吹き出し空気流の流れ方向との関係>
実施装置10における風向調整ユニット30の回転角度(R)と吹き出し空気流の流れ方向との関係につき、添付図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。図4は、上述したように定められる風向調整ユニット30の(回転軸31の)回転角度Rが、(a)0(ゼロ)度、(b)45度、(c)90度及び(d)135度であるときの吹き出し空気流の流れの側面視及び上面視をそれぞれ示している。図5は、風向調整ユニット30の回転角度Rが(e)180度、(f)225度、(g)270度及び(h)315度であるときの吹き出し空気流の流れの側面視及び上面視をそれぞれ示している。
【0068】
図4及び図5の何れにおいても、実施装置10における風向調整ユニット30の回転角度を表す模式的な断面図を最下段に示した。当該断面図において、黒塗りの四角形は板体32を、白抜きの四角形はフィン33を、それぞれ表している。個々の回転角度Rにおける吹き出し空気流の流れにつき以下に説明する。
【0069】
(a)R=0(ゼロ)度の場合
この場合、上述したように、板体32の主部(回転軸31からの突出量がより大きい側の部分)は吹出口22側に向いており且つ板体32が空気流路の軸線(正面方向F)と平行である。この状態は、前述した「平行時」に該当する。従って、板体32は吹出口22から吹き出される空気流の流れ方向の調整には実質的に寄与しない。
【0070】
一方、図3に示したように、複数のフィン33の各々は回転軸31に対して45度の角度にて傾斜しており且つ前記板体と直交している。換言すると、各々のフィン33を構成する楕円形の板状部材は、当該楕円形の長軸が回転軸31に対して45度の角度にて傾斜しており且つ板体32と同一平面内にある。即ち、複数のフィン33の各々は、実施装置10の正面から見て右後方から左前方の方向に空気を導くように傾いている。その結果、吹出口22から吹き出される空気は、上方向U及び下方向Dの何れにも傾かず、左方向Lに13度傾いた方向に吹き出した。
【0071】
(b)R=45度の場合
次に、風向調整ユニット30を正方向に45度回転させた(回転角度R=45度)。この状態は、前述した「中間時」に該当する。この場合、下流側端部23における回転軸31よりも上側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され(実質的に0(ゼロ)となり)、下側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、下側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、下側の下流側内壁面24によって上方向Uに案内される空気の量が増える。
【0072】
一方、複数のフィン33の各々は、板体32と直交し、且つ、その長軸が板体32と同一平面内において回転軸31に対して45度の角度にて傾斜している。従って、回転角度Rが45度である場合、複数のフィン33は、実施装置10の正面から見て右下後方から左上前方の方向に空気を導くように傾いている。そのため、上記のように下側の流路を通過する空気が下側の下流側内壁面24によって上方向Uに案内されるときに、当該空気は複数のフィン33の長軸方向に沿って流れる。その結果、吹出口22から吹き出される空気は、上方向Uに25度、左方向Lに22度傾いた方向に吹き出した。
【0073】
(c)R=90度の場合
更に、風向調整ユニット30を正方向に90度回転させた(回転角度R=90度)。この状態は、前述した「垂直時」に該当する。この場合も、下流側端部23における回転軸31よりも上側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され、下側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、下側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、下側の下流側内壁面24によって上方向Uに案内される空気の量が増える。
【0074】
一方、複数のフィン33は、実施装置10の正面から見て右下から左上の方向に傾いており、前後方向に流れる空気の流れ方向の調整には寄与しない。しかしながら、上記のように下側の流路を通過する空気が下側の下流側内壁面24によって上方向Uに案内されるので、当該空気は複数のフィン33の長軸方向に対して傾いた方向に流れる。従って、複数のフィン33の傾きにより、吹出口22から吹き出される空気が、ある程度、左上方向に案内される。その結果、吹出口22から吹き出される空気は、上方向Uに30度、左方向Lに10度傾いた方向に吹き出した。
【0075】
(d)R=135度の場合
この状態も、前述した「中間時」に該当する。この場合も、下流側端部23における回転軸31よりも上側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され、下側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、下側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、下側の下流側内壁面24によって上方向Uに案内される空気の量が増える。
【0076】
一方、複数のフィン33は、実施装置10の正面から見て左上後方から右下前方の方向に空気を導くように傾いている。そのため、上記のように下側の流路を通過する空気が下側の下流側内壁面24によって上方向Uに案内されるときに、当該空気は複数のフィン33の短軸方向に沿って流れる。従って、複数のフィン33の傾きにより、吹出口22から吹き出される空気が、ある程度、右下方向に案内される。その結果、吹出口22から吹き出される空気は、上方向Uに30度、右方向Rに10度傾いた方向に吹き出した。
【0077】
(e)R=180度の場合
この場合、風向調整ユニット30は、上述した(a)の場合(R=0(ゼロ)度)とは逆の方向を向いている。板体32の主部は吹出口22とは反対側に向いており且つ板体32が空気流路の軸線(正面方向F)と平行である。この状態も、前述した「平行時」に該当する。即ち、板体32は吹出口22から吹き出される空気流の流れ方向の調整には実質的に寄与しない。一方、複数のフィン33は、実施装置10の正面から見て左後方から右前方の方向に空気を導くように傾いている。従って、吹出口22から吹き出される空気は、上方向U及び下方向Dの何れにも傾かず、右方向Rに15度傾いた方向に吹き出した。
【0078】
(f)R=225度の場合
この場合、風向調整ユニット30は、上述した(b)の場合(R=45度)とは逆の方向を向いている。この状態も、前述した「中間時」に該当する。下流側端部23における回転軸31よりも下側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され、上側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、上側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、上側の下流側内壁面24によって下方向Dに案内される空気の量が増える。
【0079】
一方、複数のフィン33は、実施装置10の正面から見て左下後方から右上前方の方向に空気を導くように傾いている。そのため、上記のように上側の流路を通過する空気が上側の下流側内壁面24によって下方向Dに案内されるときに、当該空気は複数のフィン33の短軸方向に沿って流れる。従って、複数のフィン33の傾きにより、吹出口22から吹き出される空気が、ある程度、右上方向に案内される。その結果、吹出口22から吹き出される空気は、下方向Dに33度、右方向Rに10度傾いた方向に吹き出した。
【0080】
(g)R=270度の場合
この場合、風向調整ユニット30は、上述した(c)の場合(R=90度)とは逆の方向を向いている。この状態も、前述した「垂直時」に該当する。この場合、下流側端部23における回転軸31よりも下側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され、上側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、上側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、上側の下流側内壁面24によって下方向Dに案内される空気の量が増える。
【0081】
一方、複数のフィン33は、実施装置10の正面から見て右上から左下の方向に傾いており、前後方向に流れる空気の流れ方向の調整には寄与しない。しかしながら、上記のように下側の流路を通過する空気が上側の下流側内壁面24によって下方向Dに案内されるので、当該空気は複数のフィン33の長軸方向に対して傾いた方向に流れる。従って、複数のフィン33の傾きにより、吹出口22から吹き出される空気が、ある程度、左下方向に案内される。その結果、吹出口22から吹き出される空気は、下方向Dに27度、左方向Lに10度傾いた方向に吹き出した。
【0082】
(h)R=315度の場合
この場合、風向調整ユニット30は、上述した(d)の場合(R=135度)とは逆の方向を向いている。この状態も、前述した「中間時」に該当する。この場合、下流側端部23における回転軸31よりも下側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され、上側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、上側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、上側の下流側内壁面24によって下方向Dに案内される空気の量が増える。
【0083】
一方、複数のフィン33は、実施装置10の正面から見て右上後方から左下前方の方向に空気を導くように傾いている。そのため、上記のように上側の流路を通過する空気が上側の下流側内壁面24によって下方向Dに案内されるときに、当該空気は複数のフィン33の長軸方向に沿って流れる。従って、複数のフィン33の傾きにより、吹出口22から吹き出される空気が、ある程度、左下方向に案内される。その結果、吹出口22から吹き出される空気は、下方向Dに27度、左方向Lに22度傾いた方向に吹き出した。
【0084】
以上説明してきた風向調整ユニット30の回転角度Rと吹き出し空気流の流れ方向との対応関係を以下の表1に纏める。
【0085】
【表1】
【0086】
以上のように、実施装置10は、風向調整ユニット30の回転軸31の回転角度Rを適宜調整することにより、吹出口22から吹き出される空気の流れ方向を制御することができる。即ち、実施装置10は、従来装置において採用されている風向調整板を必要とすること無く、吹き出し空気流を制御することができる。従って、実施装置10は、空気吹出装置としての機能を損なうこと無く小型化することが可能である。
【0087】
更に、実施装置10は、従来装置において採用されている風向調整板を備える必要が無いので、従来装置に比べて、吹出口22の形状をより自由に設計することができる。例えば、吹出口22の形状として、空気吹出装置の美感を考慮した形状(例えば、高さ方向の長さが幅方向の長さよりも極めて小さい細長い(アスペクト比が高い)長方形等)が採用され得る。
【0088】
<変形例>
上記のように、実施装置10においては、複数のフィン33の全てが平行であるように構成された。しかしながら、本発明に係る空気吹出装置において、複数のフィンの全てが平行であることは必須の要件ではなく、複数のフィンの各々の傾斜角度は、例えば、空気吹出装置に要求される吹き出し空気流の制御性能等を考慮して適宜定められ得る。
【0089】
更に、実施装置10においては、複数のフィン33の全てが、回転軸31を中心とする同一の大きさを有する楕円形の板状の形状を有する。しかしながら、本発明に係る空気吹出装置において、複数のフィンの全てが上記のような大きさ及び形状を有することは必須の要件ではなく、複数のフィンの大きさ及び形状は、例えば、空気吹出装置に要求される吹き出し空気流の制御性能等を考慮して適宜定められ得る。例えば、複数のフィンの全てが、同一の大きさを有する楕円形以外の形状を有していてもよい。或いは、異なる大きさ及び/又は形状を有する複数種の板状部材によって複数のフィンが構成されていてもよい。
【0090】
但し、前述したように、フィンと板体と下流側内壁面とによって画成される流路によって定まる方向に下流側端部に到達した空気を確実に案内するためには、下流側端部に到達した空気がフィンの端部と下流側内壁面との間の空隙を通り抜けることが低減されることが望ましい。従って、複数のフィンの各々の大きさ及び形状の如何を問わず、上記空隙の最大値が所定の閾値未満であることが望ましい。
【0091】
更に、前述したように、回転軸に垂直な投影面におけるフィンの形状が回転軸を中心とする円であることが望ましい。換言すれば、風向調整ユニットの回転軸に平行な方向から風向調整ユニットを見る場合、個々のフィンの形状は「同回転軸を中心とする円」に見えることが望ましい。尚、この「円」は楕円及び真円を含み、より好ましくは真円である。
【0092】
加えて、実施装置10においては、吹出口22の開口面の高さが回転領域の直径よりも小さいように構成された。このことは必須の構成要件ではないが、前述したように、上記構成により、本発明に係る空気吹出装置の吹出口の形状として、例えば、アスペクト比が高い長方形等を採用することができる。従って、空気吹出装置の外観を、ダッシュボード及びその周辺の美観を考慮した形状とすることができる。更に、下流側内壁面の面積を大きく確保することができるので、吹き出し空気流の流れ方向がより精度良く制御され得る。即ち、吹き出し空気流の制御性能が高まる。
【0093】
《第2実施形態》
ところで、前述したように、例えば、空気吹出装置に要求される吹き出し空気流の制御性能等に応じて、実施装置10を始めとする本発明に係る空気吹出装置を複数組み合わせた集合体として使用してもよい。例えば、それぞれの空気吹出装置により異なる方向に吹き出し空気流を吹き出して、より広い範囲に空気を吹き出したり、複数の空気吹出装置から吹き出される吹き出し空気流を収束させて風量(流量)を高めたりすることができる。或いは、それぞれの空気吹出装置から吹き出される吹き出し空気流の方向を適宜組み合わせて、例えば旋回流等、空気の高度な流れを実現することも可能である。このように、吹き出し空気流の流れ方向及び/又は流量の制御における自由度を更に高めることができる。
【0094】
そこで、本発明の1つの実施形態に係る空気吹出装置の集合体の一例(以下、「実施集合体100」とも称呼される。)」につき、図面を参照しながら以下に説明する。
【0095】
<集合体の概要>
図6は、実施集合体100の下流側端部123の外観を示す模式的な斜視図である。尚、以下の説明においても、実施装置10に関して上述した説明と同様に、実施集合体100の正面から見て、奥から手前に向かう方向は「正面方向(F)」と称呼され、逆に向かう方向は「裏面方向(B)」と称呼される。更に、実施集合体100の正面から見て、右手から左手に向かう方向は「左方向(L)」と称呼され、逆に向かう方向は「右方向(R)」と称呼される。加えて、実施集合体100の正面から見て、鉛直方向の下から上に向かう方向は「上方向(U)」と称呼され、逆に向かう方向は「下方向(D)」と称呼される。
【0096】
図6に示すように、実施集合体100の下流側端部123は、図1等に示した実施装置10の下流側端部23を、それぞれの風向調整ユニット30の回転軸31が平行となるように2台重ねたものを、回転軸31が鉛直方向に平行となるように回転させたような構成を有する。即ち、実施集合体100の下流側端部123においては、実施集合体100の正面から見て左側及び右側に2本の風向調整ユニット30L及び30Rが、それぞれの回転軸31L及び31Rが互いに平行であり且つ鉛直方向(「上下方向(U−D)」とも称呼され得る)に平行となるように配設されている。更に、下流側端部123において流れ方向を調整された空気流が吹き出し空気流として所定の方向に向けて吹き出される吹出口22L及び22Rが風向調整ユニット30L及び30Rの正面方向F側にそれぞれ設けられている。
【0097】
<風向調整ユニットの詳細>
図7は、実施集合体100の下流側端部123の内部構造を示す模式的な斜視断面図である。図7に示したように、2本の風向調整ユニット30L及び30Rは、例えば、実施装置10について図3等を参照しながら説明した風向調整ユニット30と同様の構成を有する。即ち、風向調整ユニット30L及び30Rにおいて、全てのフィン33は同一の大きさを有する楕円形の板状部材であり、且つ互いに平行である。
【0098】
更に、風向調整ユニット30L及び30Rの各々において、フィン33を構成する楕円形の板状部材の長軸は、それぞれ回転軸31L及び31Rに対して45度の角度にて傾斜しており且つ板体32と同一平面内にある。加えて、回転軸31L及び31Rに垂直な投影面におけるフィン33の形状は、それぞれ回転軸31L及び31Rを中心とする円であり、当該投影面におけるフィン33の半径は、回転軸31L及び31Rの周りに板体32が回転したときに板体32が通過する領域である回転領域の半径と等しい。
【0099】
<下流側端部の詳細>
実施集合体100の筐体20においてもまた、実施装置10と同様に、それぞれの風向調整ユニットが有する板体が回転軸の周りに回転したときに板体が通過する領域である回転領域に沿って湾曲した内部壁面である下流側内壁面24によって下流側端部123が画成され、下流側内壁面24を貫通して空気流路に開口するように吹出口22L及び22Rが画成されている。
【0100】
但し、実施集合体100においては、隣接する2本の風向調整ユニット30L及び30Rの間には、それぞれの回転領域に沿って湾曲した壁面を有する隔壁125が設けられており、この隔壁125の壁面と下流側内壁面24とによって下流側端部123が画成されている。これにより、実施集合体100は、下流側端部123に到達した空気をフィン33及び下流側内壁面24及び隔壁125の壁面によって効率良く所定の方向に案内することができる。尚、以下の説明においては、隔壁125の壁面と下流側内壁面24とを併せて「下流側内壁面124」と総称する場合がある。
【0101】
<風向調整ユニットの回転角度と吹き出し空気流の流れ方向との関係>
実施集合体100は、複数の空気吹出装置が備える風向調整ユニットの全てが同じ位相にて回転軸の周りに回転するように構成されている。即ち、2本の風向調整ユニット30L及び30Rは、例えばそれぞれの回転軸31L及び31Rが互いに連動して同じ位相にて回転するように構成された歯車機構等により連動して回転するように構成されている。
【0102】
上記により、実施集合体100においては、複数の空気吹出装置から吹き出される吹き出し空気流の流れ方向が同じ方向に揃う。具体的には、吹出口22L及び22Rから吹き出される吹き出し空気流の流れ方向が同じ方向に揃う。従って、実施集合体100によれば、例えば、目的とする方向への吹き出し空気流の風量を高めることができる。
【0103】
実施集合体100における風向調整ユニット30L及び30Rの回転角度(SL及びSR)と吹き出し空気流の流れ方向との関係につき、添付図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0104】
尚、図6及び図7に示したように、実施集合体100の下流側端部123は、図1等に示した実施装置10の下流側端部23を、それぞれの風向調整ユニット30の回転軸31が平行となるように2台重ねたものを、回転軸31が鉛直方向に平行となるように回転させたような構成を有する。そこで、実施集合体100における風向調整ユニット30L及び30Rの(回転軸31L及び31Rの)回転角度SL及びSRは、板体32の回転軸からの突出量がより大きい側の部分(主部)が左方向L側に向いている(即ち、板体32が空気流路の軸線に垂直である)ときの角度を0(ゼロ)度として定める。
【0105】
そして、回転軸31L及び31Rの回転方向は、実施集合体100の下流側端部123を上方向Uから下方向Dに向かって観察した場合において、時計回りの回転方向を正方向と定める。これにより、風向調整ユニット30L及び30Rの回転軸31L及び31Rの回転角度SL及びSRは、板体32の主部が突出している方向に対応して、0(ゼロ)度〜360度の角度として定義することができる。
【0106】
図8は、風向調整ユニット30L及び30Rの(回転軸31L及び31Rの)回転角度SL及びSRが、(a)0(ゼロ)度、(b)45度、及び(c)90度であるときの吹き出し空気流の流れの側面視及び上面視をそれぞれ示している。更に、図9は、回転軸31L及び31Rの回転角度SL及びSRが、(d)135度、(e)180度、及び(f)225度であるときの吹き出し空気流の流れの側面視及び上面視をそれぞれ示している。加えて、図10は、回転角度SL及びSRが、(g)270度、及び(h)315度であるときの吹き出し空気流の流れの側面視及び上面視をそれぞれ示している。このように、実施集合体100においては、上述したように、2本の風向調整ユニット30L及び30Rが同じ位相にて回転軸31L及び31Rの周りに回転するように構成されている(SL=SR)。
【0107】
図8乃至図10に示した何れの場合においても(即ち、上記(a)乃至(h)の何れにおいても)、風向調整ユニット30L及び30Rの回転角度SL及びSRを表す模式的な断面図を左端に示した。当該断面図において、黒塗りの四角形は板体32を、白抜きの円形はフィン33を、それぞれ表している。更に、板体32の主部が左方向L側に向いている状態(即ち、回転角度SL=SR=0(ゼロ)度)からの風向調整ユニット30L及び30Rの回転角度SL及びSRを破線の矢印によって示すと共に、風向調整ユニット30L及び30Rの各々による吹き出し空気流の案内方向を括弧書きで示した。
【0108】
尚、全てのフィン33は、その外縁のうち、板体32と交差している部分が最も高く(最も上方向U側に位置し)、回転軸31L及び31Rを挟んで反対側の部分が最も低い(最も下方向D側に位置する)ように構成されている。個々の回転角度SL及びSRにおける吹き出し空気流の流れにつき、以下に詳しく説明する。
【0109】
(a)SL=SR=0(ゼロ)度の場合
この場合、上述したように、風向調整ユニット30L及び30Rの板体32は何れも左方向L側に向いている。従って、下流側端部123における回転軸31L及び31Rよりも左方向L側の流路の断面積が板体32の主部(回転軸31L及び31Rからの突出量がより大きい側の部分)によって低減され(実質的に0(ゼロ)となり)、右方向R側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、右方向R側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、右方向R側の下流側内壁面124によって左方向Lに案内される空気の量が増える。
【0110】
一方、複数のフィン33の各々は、上述したように、板体32と直交し、且つ、その長軸が板体32と同一平面内において回転軸31に対して45度の角度にて傾斜している。従って、回転角度SL及びSRが0(ゼロ)度である場合、複数のフィン33は、実施集合体100の正面から見て右下(RD)から左上(LU)の方向に傾いており、前後方向(FB)に流れる空気の流れ方向の調整には寄与しない。従って、吹出口22L及び22Rから吹き出される空気は上下方向(UD)には案内されない。その結果、吹出口22L及び22Rから吹き出される空気は、側面視においては正面方向Fに、上面視においては左方向Lに吹き出された。即ち、吹き出し空気流は左方向Lに吹き出された。
【0111】
(b)SL=SR=45度の場合
次に、風向調整ユニット30L及び30Rを正方向に45度回転させた(回転角度SL=SR=45度)。この場合もまた、下流側端部123における回転軸31L及び31Rよりも左方向L側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され、右方向R側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、右方向R側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、右方向R側の下流側内壁面124によって左方向Lに案内される空気の量が増える。
【0112】
一方、回転角度SL及びSRが45度である場合、複数のフィン33は、実施集合体100の正面から見て左上後方から右下前方の方向に空気を導くように傾いている。そのため、上記のように右方向R側の流路を通過する空気が右方向R側の下流側内壁面124によって左方向Lに案内されるときに、当該空気は複数のフィン33の長軸方向に沿って流れる。その結果、吹出口22L及び22Rから吹き出される空気は、側面視においては下方向Dに、上面視においては左方向Lに吹き出された。即ち、吹き出し空気流は左下方向LDに吹き出された。
【0113】
(c)SL=SR=90度の場合
この場合、板体32の主部は筐体20の導入口21側(裏面方向B側)に向いており且つ板体32が空気流路の軸線(前後方向FB)と平行である。従って、板体32は吹出口22L及び22Rから吹き出される空気流の流れ方向の調整には実質的に寄与しない。
【0114】
一方、複数のフィン33の各々は、実施集合体100の正面から見て上後方から下前方の方向に空気を導くように傾いている。その結果、吹出口22L及び22Rから吹き出される空気は、側面視においては下方向Dに、上面視においては正面方向Fに吹き出された。即ち、吹き出し空気流は下方向Dに吹き出された。
【0115】
(d)SL=SR=135度の場合
この場合、風向調整ユニット30L及び30Rは、上述した(b)の場合(SL=SR=45度)とは左右方向(LR)において逆の方向を向いている点を除き、上述した(b)の場合と同様である。即ち、下流側端部123における回転軸31L及び31Rよりも右方向R側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され、左方向L側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、左方向L側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、左方向L側の下流側内壁面124によって右方向Rに案内される空気の量が増える。
【0116】
一方、回転角度SL及びSRが135度である場合、複数のフィン33は、実施集合体100の正面から見て右上後方から左下前方の方向に空気を導くように傾いている。そのため、上記のように左方向L側の流路を通過する空気が左方向L側の下流側内壁面124によって右方向Rに案内されるときに、当該空気は複数のフィン33の長軸方向に沿って流れる。その結果、吹出口22L及び22Rから吹き出される空気は、側面視においては下方向Dに、上面視においては右方向Rに吹き出された。即ち、吹き出し空気流は右下方向RDに吹き出された。
【0117】
(e)SL=SR=180度の場合
この場合、風向調整ユニット30L及び30Rは、上述した(a)の場合(SL=SR=0(ゼロ)度)とは左右方向(LR)において逆の方向を向いている点を除き、上述した(a)の場合と同様である。即ち、風向調整ユニット30L及び30Rの板体32は何れも右方向R側に向いている。従って、下流側端部123における回転軸31L及び31Rよりも右方向R側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され、左方向L側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、左方向L側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、左方向L側の下流側内壁面124によって右方向Rに案内される空気の量が増える。
【0118】
一方、複数のフィン33は、実施集合体100の正面から見て左下(LD)から右上(RU)の方向に傾いており、前後方向(FB)に流れる空気の流れ方向の調整には寄与しない。従って、吹出口22L及び22Rから吹き出される空気は上下方向(UD)には案内されない。その結果、吹出口22L及び22Rから吹き出される空気は、側面視においては正面方向Fに、上面視においては右方向Rに吹き出された。即ち、吹き出し空気流は右方向Rに吹き出された。
【0119】
(f)SL=SR=225度の場合
風向調整ユニット30L及び30Rを正方向に225度回転させた(回転角度SL=SR=225度)場合もまた、下流側端部123における回転軸31L及び31Rよりも右方向R側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され、左方向L側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、左方向L側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、左方向L側の下流側内壁面124によって右方向Rに案内される空気の量が増える。
【0120】
一方、回転角度SL及びSRが225度である場合、複数のフィン33は、実施集合体100の正面から見て左下後方から右上前方の方向に空気を導くように傾いている。そのため、上記のように左方向L側の流路を通過する空気が左方向L側の下流側内壁面124によって右方向R側に案内されるときに、当該空気は複数のフィン33の長軸方向に沿って流れる。その結果、吹出口22L及び22Rから吹き出される空気は、側面視においては上方向Uに、上面視においては右方向Rに吹き出された。即ち、吹き出し空気流は右上方向RUに吹き出された。
【0121】
(g)SL=SR=270度の場合
この場合、風向調整ユニット30L及び30Rは、上述した(c)の場合(SL=SR=90度)とは前後方向(FB)において逆の方向を向いている点を除き、上述した(c)の場合と同様である。即ち、板体32の主部は筐体20の吹出口22L及び22R側(正面方向F側)に向いており且つ板体32が空気流路の軸線(前後方向FB)と平行である。従って、板体32は吹出口22L及び22Rから吹き出される空気流の流れ方向の調整には実質的に寄与しない。
【0122】
一方、複数のフィン33の各々は、実施集合体100の正面から見て下後方から上前方の方向に空気を導くように傾いている。その結果、吹出口22L及び22Rから吹き出される空気は、側面視においては上方向Uに、上面視においては正面方向Fに吹き出された。即ち、吹き出し空気流は上方向Uに吹き出された。
【0123】
(h)SL=SR=315度の場合
この場合、風向調整ユニット30L及び30Rは、上述した(f)の場合(SL=SR=225度)とは左右方向(LR)において逆の方向を向いている点を除き、上述した(f)の場合と同様である。即ち、下流側端部123における回転軸31L及び31Rよりも左方向L側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され、右方向R側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、右方向R側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、右方向R側の下流側内壁面124によって左方向Lに案内される空気の量が増える。
【0124】
一方、回転角度SL及びSRが315度である場合、複数のフィン33は、実施集合体100の正面から見て右下後方から左上前方の方向に空気を導くように傾いている。そのため、上記のように右方向R側の流路を通過する空気が右方向R側の下流側内壁面124によって左方向L側に案内されるときに、当該空気は複数のフィン33の長軸方向に沿って流れる。その結果、吹出口22L及び22Rから吹き出される空気は、側面視においては上方向Uに、上面視においては左方向Lに吹き出された。即ち、吹き出し空気流は左上方向LUに吹き出された。
【0125】
以上説明してきた実施集合体100における風向調整ユニット30L及び30Rの回転角度SL及びSRと吹き出し空気流の流れ方向との対応関係を以下の表2に纏める。
【0126】
【表2】
【0127】
以上のように、実施集合体100は、風向調整ユニット30L及び30Rの回転軸31L及び31Rの回転角度SL及びSRを適宜調整することにより、吹出口22L及び22Rから吹き出される空気の流れ方向を制御することができる。即ち、実施集合体100は、従来装置において採用されている風向調整板を必要とすること無く、吹き出し空気流を制御することができる。従って、実施集合体100は、空気吹出装置としての機能を損なうこと無く小型化することが可能である。
【0128】
更に、実施集合体100は、従来装置において採用されている風向調整板を備える必要が無いので、従来装置に比べて、吹出口22L及び22Rの形状をより自由に設計することができる。例えば、吹出口22L及び22Rの形状として、空気吹出装置の美感を考慮した形状(例えば、高さ方向の長さが幅方向の長さよりも極めて小さい細長い(アスペクト比が高い)長方形等)が採用され得る。
【0129】
加えて、実施集合体100においては、2本の風向調整ユニット30L及び30Rが同じ位相にて回転軸31L及び31Rの周りに回転する。これにより、吹出口22L及び22Rから吹き出される吹き出し空気流の流れ方向が同じ方向に揃うので、例えば、目的とする方向に吹き出される吹き出し空気流の風量を高めることができる。
【0130】
《第3実施形態》
次に、本発明のもう1つの実施形態に係る空気吹出装置の集合体の一例(以下、「実施集合体200」とも称呼される。)」につき、図面を参照しながら以下に説明する。
【0131】
<集合体の概要>
上述したように、実施集合体100においては、2本の風向調整ユニット30L及び30Rが同じ位相にて回転軸31L及び31Rの周りに回転するように構成されていた。これに対し、実施集合体200においては、2本の風向調整ユニット30L及び30Rが異なる位相にて回転軸31L及び31Rの周りに回転するように構成されている。この点を除き、実施集合体200は、実施集合体100と同様の構成を有する。従って、実施集合体200における風向調整ユニット及び下流側端部の詳細についての説明は割愛する。
【0132】
<風向調整ユニットの回転角度と吹き出し空気流の流れ方向との関係>
上記のように、実施集合体200は、複数の空気吹出装置が備える風向調整ユニットが異なる位相にて回転軸の周りに回転するように構成されている。即ち、2本の風向調整ユニット30L及び30Rは、例えばそれぞれの回転軸31L及び31Rが互いに異なる位相にて回転するように構成された歯車機構等により回転するように構成されている。
【0133】
上記により、実施集合体200においては、複数の空気吹出装置から吹き出される吹き出し空気流の流れ方向が異なる。具体的には、吹出口22L及び22Rから吹き出される吹き出し空気流の流れ方向が異なるので、例えば、吹き出し空気流をより広い範囲に吹き出したり、異なる空気吹出装置から吹き出される吹き出し空気流の干渉により、これらの吹き出し空気流を収束させたりすることができる。
【0134】
実施集合体200における風向調整ユニット30L及び30Rの回転角度(SL及びSR)と吹き出し空気流の流れ方向との関係につき、添付図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。尚、実施集合体200における風向調整ユニット30L及び30Rの(回転軸31L及び31Rの)回転角度SL及びSRもまた、実施集合体100と同様に定義される。
【0135】
図11は、風向調整ユニット30L及び30Rの(回転軸31L及び31Rの)回転角度SL及びSRが、それぞれ(a)90度及び270度、(b)0(ゼロ)度及び180度、並びに(c)180度及び0(ゼロ)度であるときの吹き出し空気流の流れの側面視及び上面視をそれぞれ示している。更に、図12は、回転軸31L及び31Rの回転角度SL及びSRが、それぞれ(d)225度及び135度、(e)180度及び135度、並びに(f)180度及び225度であるときの吹き出し空気流の流れの側面視及び上面視をそれぞれ示している。加えて、図13は、回転角度SL及びSRが、それぞれ(g)315度及び225度、並びに(h)45度及び135度であるときの吹き出し空気流の流れの側面視及び上面視をそれぞれ示している。このように、実施集合体200においては、上述したように、2本の風向調整ユニット30L及び30Rが異なる位相にて回転軸31L及び31Rの周りに回転するように構成されている(SL≠SR)。
【0136】
図11乃至図13に示した何れの場合においても(即ち、上記(a)乃至(h)の何れにおいても)、風向調整ユニット30L及び30Rの回転角度SL及びSRを表す模式的な断面図を左端に示した。当該断面図において、黒塗りの四角形は板体32を、白抜きの円形はフィン33を、それぞれ表している。更に、板体32の主部が左方向L側に向いている状態(即ち、回転角度SL=SR=0(ゼロ)度)からの風向調整ユニット30L及び30Rの回転角度SL及びSRを破線の矢印によって示すと共に、風向調整ユニット30L及び30Rの各々による吹き出し空気流の案内方向を括弧書きで示した。個々の回転角度SL及びSRにおける吹き出し空気流の流れにつき、以下に詳しく説明する。
【0137】
(a)SL=90度及びSR=270度の場合
この場合、風向調整ユニット30Lについては、板体32の主部は筐体20の導入口21側(裏面方向B側)に向いており且つ板体32が空気流路の軸線(前後方向FB)と平行である。従って、板体32は吹出口22Lから吹き出される空気流の流れ方向の調整には実質的に寄与しない。更に、複数のフィン33の各々は、実施集合体200の正面から見て上後方から下前方の方向に空気を導くように傾いている。その結果、吹出口22Lから吹き出される空気は下方向Dに吹き出される。
【0138】
一方、風向調整ユニット30Rについては、風向調整ユニット30L(SL=90度)とは前後方向(FB)において逆の方向を向いている点を除き、風向調整ユニット30Lと同様である。即ち、板体32の主部は筐体20の吹出口22R側(正面方向F側)に向いており且つ板体32が空気流路の軸線(前後方向FB)と平行である。従って、板体32は吹出口22Rから吹き出される空気流の流れ方向の調整には実質的に寄与しない。更に、複数のフィン33の各々は、実施集合体200の正面から見て下後方から上前方の方向に空気を導くように傾いている。その結果、吹出口22Rから吹き出される空気は上方向Uに吹き出される。
【0139】
以上のように、吹出口22Lからの吹き出し空気流は下方向Dに吹き出され、吹出口22Rからの吹き出し空気流は上方向Uに吹き出される。その結果、実施集合体200全体としての吹き出し空気流は、側面視においては上下方向UDに広がり、上面視においては正面方向Fに吹き出された。
【0140】
ところで、この場合、実施集合体200全体としての吹き出し空気流の左右方向LRにおける広がりは、前述した実施集合体100における(c)及び(g)の場合と比べて、より小さかった。これは、吹出口22Lからの吹き出し空気流と吹出口22Rからの吹き出し空気流との干渉に起因するものと考えられる。
【0141】
(b)SL=0(ゼロ)度及びSR=180度の場合
この場合、風向調整ユニット30Lについては、板体32は左方向L側に向いている。従って、下流側端部123における回転軸31Lよりも左方向L側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され、右方向R側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、右方向R側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、右方向R側の下流側内壁面124によって左方向Lに案内される空気の量が増える。更に、複数のフィン33は、実施集合体200の正面から見て右下(RD)から左上(LU)の方向に傾いており、前後方向(FB)に流れる空気の流れ方向の調整には寄与しない。従って、吹出口22Lから吹き出される空気は上下方向(UD)には案内されない。その結果、吹出口22Lから吹き出される空気は左方向Lに吹き出される。
【0142】
一方、風向調整ユニット30Rについては、風向調整ユニット30Lとは左右方向(LR)において逆の方向を向いている点を除き、風向調整ユニット30Lと同様である。即ち、風向調整ユニット30Rの板体32は右方向R側に向いている。従って、下流側端部123における回転軸31Rよりも右方向R側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され、左方向L側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、左方向L側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、左方向L側の下流側内壁面124によって右方向Rに案内される空気の量が増える。更に、複数のフィン33は、実施集合体200の正面から見て左下(LD)から右上(RU)の方向に傾いており、前後方向(FB)に流れる空気の流れ方向の調整には寄与しない。従って、吹出口22Rから吹き出される空気は上下方向(UD)には案内されない。その結果、吹出口22Rから吹き出される空気は右方向Rに吹き出される。
【0143】
以上のように、吹出口22Lからの吹き出し空気流は左方向Lに吹き出され、吹出口22Rからの吹き出し空気流は右方向Rに吹き出される。その結果、実施集合体200全体としての吹き出し空気流は、側面視においては正面方向Fに吹き出され、上面視においては左右方向LRに広がった。
【0144】
しかしながら、この場合、実施集合体200全体としての吹き出し空気流の左右方向LRにおける広がりは小さかった。これは、吹出口22Lからの吹き出し空気流と吹出口22Rからの吹き出し空気流との干渉に起因するものと考えられる。
【0145】
(c)SL=180度及びSR=0(ゼロ)度の場合
この場合、風向調整ユニット30Lについては、板体32は右方向R側に向いている。従って、下流側端部123における回転軸31Lよりも右方向R側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され、左方向L側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、左方向L側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、左方向L側の下流側内壁面124によって右方向Rに案内される空気の量が増える。更に、複数のフィン33は、実施集合体200の正面から見て左下(LD)から右上(RU)の方向に傾いており、前後方向(FB)に流れる空気の流れ方向の調整には寄与しない。従って、吹出口22Lから吹き出される空気は上下方向(UD)には案内されない。その結果、吹出口22Lから吹き出される空気は右方向Rに吹き出される。
【0146】
一方、風向調整ユニット30Rについては、風向調整ユニット30Lとは左右方向(LR)において逆の方向を向いている点を除き、風向調整ユニット30Lと同様である。即ち、風向調整ユニット30Rの板体32は左方向L側に向いている。従って、下流側端部123における回転軸31Rよりも左方向L側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され、右方向R側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、右方向R側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、右方向R側の下流側内壁面124によって左方向Lに案内される空気の量が増える。更に、複数のフィン33は、実施集合体200の正面から見て右下(RD)から左上(LU)の方向に傾いており、前後方向(FB)に流れる空気の流れ方向の調整には寄与しない。従って、吹出口22Rから吹き出される空気は上下方向(UD)には案内されない。その結果、吹出口22Rから吹き出される空気は左方向Lに吹き出される。
【0147】
以上のように、吹出口22Lからの吹き出し空気流は右方向Rに吹き出され、吹出口22Rからの吹き出し空気流は左方向Lに吹き出される。従って、吹出口22Lからの吹き出し空気流と吹出口22Rからの吹き出し空気流とは、吹き出された直後に衝突/合流して互いに均衡し、正面方向に流れる。その結果、実施集合体200全体としての吹き出し空気流は、側面視及び上面視の両方においては正面方向Fに吹き出された。
【0148】
(d)SL=225度及びSR=135度の場合
この場合、風向調整ユニット30Lについては、板体32を正方向に225度回転させた状態にある(回転角度SL=225度)。この場合、下流側端部123における回転軸31Lよりも右方向R側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され、左方向L側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、左方向L側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、左方向L側の下流側内壁面124によって右方向Rに案内される空気の量が増える。更に、複数のフィン33は、実施集合体200の正面から見て左下後方から右上前方の方向に空気を導くように傾いている。そのため、上記のように左方向L側の流路を通過する空気が左方向L側の下流側内壁面124によって右方向R側に案内されるときに、当該空気は複数のフィン33の長軸方向に沿って流れる。その結果、吹出口22Lから吹き出される空気は若干上方向U寄りの右方向R(Ru)に吹き出される。
【0149】
一方、風向調整ユニット30Rについては、板体32を正方向に135度回転させた状態にある(回転角度SR=135度)。この場合、下流側端部123における回転軸31Rよりも右方向R側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され、左方向L側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、左方向L側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、左方向L側の下流側内壁面124によって右方向Rに案内される空気の量が増える。更に、複数のフィン33は、実施集合体200の正面から見て右上後方から左下前方の方向に空気を導くように傾いている。そのため、上記のように左方向L側の流路を通過する空気が左方向L側の下流側内壁面124によって右方向Rに案内されるときに、当該空気は複数のフィン33の長軸方向に沿って流れる。その結果、吹出口22Rから吹き出される空気は若干下方向D寄りの右方向R(Rd)に吹き出される。
【0150】
以上のように、吹出口22Lからの吹き出し空気流は若干上方向U寄りの右方向R(Ru)に吹き出され、吹出口22Rからの吹き出し空気流は若干下方向D寄りの右方向R(Rd)に吹き出される。その結果、実施集合体200全体としての吹き出し空気流は、側面視においては若干の広がりを保ちつつ正面方向Fに吹き出され、上面視においては右方向Rに吹き出された。
【0151】
しかしながら、この場合、実施集合体200全体としての吹き出し空気流の上下方向UDにおける広がりは小さかった。これは、吹出口22Lからの吹き出し空気流と吹出口22Rからの吹き出し空気流との干渉に起因するものと考えられる。
【0152】
(e)SL=180度及びSR=135度の場合
この場合、風向調整ユニット30Lについては、上述した(c)の場合における風向調整ユニット30Lと同様に、板体32は右方向R側に向いている。従って、吹出口22Lから吹き出される空気は、左方向L側の下流側内壁面124によって右方向Rに案内され、上下方向(UD)には案内されない。その結果、吹出口22Lから吹き出される空気は右方向Rに吹き出される。
【0153】
一方、風向調整ユニット30Rについては、上述した(d)の場合における風向調整ユニット30Rと同様に、板体32を正方向に135度回転させた状態にある(回転角度SR=135度)。従って、吹出口22Rから吹き出される空気は、左方向L側の下流側内壁面124によって右方向Rに案内されると共に、複数のフィン33の長軸方向に沿って、ある程度下方向Dに流れる。その結果、吹出口22Rから吹き出される空気は若干下方向D寄りの右方向R(Rd)に吹き出される。
【0154】
以上のように、吹出口22Lからの吹き出し空気流は右方向Rに吹き出され、吹出口22Rからの吹き出し空気流は若干下方向D寄りの右方向R(Rd)に吹き出される。従って、吹出口22Lからの吹き出し空気流と吹出口22Rからの吹き出し空気流との衝突/合流の結果、実施集合体200全体としての吹き出し空気流は、側面視においては正面方向Fよりも僅かに下方向Dに吹き出され、上面視においては右方向Rに吹き出された。
【0155】
しかしながら、この場合、実施集合体200全体としての吹き出し空気流の上下方向UDにおける広がりは小さかった。これは、吹出口22Lからの吹き出し空気流と吹出口22Rからの吹き出し空気流との干渉に起因するものと考えられる。
【0156】
(f)SL=180度及びSR=225度の場合
この場合も、風向調整ユニット30Lについては、上述した(c)及び(e)の場合と同様に、板体32は右方向R側に向いている。従って、吹出口22Lから吹き出される空気は、左方向L側の下流側内壁面124によって右方向Rに案内され、上下方向(UD)には案内されない。その結果、吹出口22Lから吹き出される空気は右方向Rに吹き出される。
【0157】
一方、風向調整ユニット30Rについては、上述した(d)の場合における風向調整ユニット30Lと同様に、板体32を正方向に225度回転させた状態にある(回転角度SR=225度)。従って、吹出口22Rから吹き出される空気は、左方向L側の下流側内壁面124によって右方向Rに案内されると共に、複数のフィン33の長軸方向に沿って、ある程度上方向Uに流れる。その結果、吹出口22Lから吹き出される空気は若干上方向U寄りの右方向R(Ru)に吹き出される。
【0158】
以上のように、吹出口22Lからの吹き出し空気流は右方向Rに吹き出され、吹出口22Rからの吹き出し空気流は若干上方向U寄りの右方向R(Ru)に吹き出される。従って、吹出口22Lからの吹き出し空気流と吹出口22Rからの吹き出し空気流との衝突/合流の結果、実施集合体200全体としての吹き出し空気流は、側面視においては正面方向Fよりも僅かに上方向Uに吹き出され、上面視においては右方向Rに吹き出された。
【0159】
しかしながら、この場合、実施集合体200全体としての吹き出し空気流の上下方向UDにおける広がりは小さかった。これは、吹出口22Lからの吹き出し空気流と吹出口22Rからの吹き出し空気流との干渉に起因するものと考えられる。
【0160】
(g)SL=315度及びSR=225度の場合
この場合、風向調整ユニット30Lについては、板体32を正方向に315度回転させた状態にある(回転角度SL=315度)。この場合、下流側端部123における回転軸31Lよりも左方向L側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され、右方向R側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、右方向R側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、右方向R側の下流側内壁面124によって左方向Lに案内される空気の量が増える。更に、複数のフィン33は、実施集合体200の正面から見て右下後方から左上前方の方向に空気を導くように傾いている。そのため、上記のように右方向R側の流路を通過する空気が右方向R側の下流側内壁面124によって左方向L側に案内されるときに、当該空気は複数のフィン33の長軸方向に沿って、ある程度上方向Uに流れる。その結果、吹出口22Lから吹き出される空気は若干上方向U寄りの左方向L(Lu)に吹き出される。
【0161】
一方、風向調整ユニット30Rについては、上述した(d)の場合における風向調整ユニット30L及び(f)の場合における風向調整ユニット30Rと同様に、板体32を正方向に225度回転させた状態にある(回転角度SR=225度)。従って、吹出口22Rから吹き出される空気は、左方向L側の下流側内壁面124によって右方向Rに案内されると共に、複数のフィン33の長軸方向に沿って、ある程度上方向Uに流れる。その結果、吹出口22Rから吹き出される空気は若干上方向U寄りの右方向R(Ru)に吹き出される。
【0162】
以上のように、吹出口22Lからの吹き出し空気流は若干上方向U寄りの左方向L(Lu)に吹き出され、吹出口22Rからの吹き出し空気流は若干上方向U寄りの右方向R(Ru)に吹き出される。従って、吹出口22Lからの吹き出し空気流及び吹出口22Rからの吹き出し空気流は、何れも若干上方向U寄りに吹き出すと共に、それぞれ左方向L及び右方向Rに吹き出される。その結果、実施集合体200全体としての吹き出し空気流は、側面視においては正面方向Fよりも若干上方向Uに吹き出され、上面視においては左右方向LRに広がって吹き出された。
【0163】
しかしながら、この場合、実施集合体200全体としての吹き出し空気流の左右方向LRにおける広がりは小さかった。これは、吹出口22Lからの吹き出し空気流と吹出口22Rからの吹き出し空気流との干渉に起因するものと考えられる。
【0164】
(h)SL=45度及びSR=135度の場合
この場合、風向調整ユニット30Lについては、板体32を正方向に45度回転させた状態にある(回転角度SL=45度)。この場合、下流側端部123における回転軸31Lよりも左方向L側の流路の断面積が板体32の主部によって低減され、右方向R側の流路の断面積よりも小さくなる。従って、右方向R側の流路を通過する空気の量が相対的に増え、流速が高まり、右方向R側の下流側内壁面124によって左方向Lに案内される空気の量が増える。更に、複数のフィン33は、実施集合体200の正面から見て左上後方から右下前方の方向に空気を導くように傾いている。そのため、上記のように右方向R側の流路を通過する空気が右方向R側の下流側内壁面124によって左方向Lに案内されるときに、当該空気は複数のフィン33の長軸方向に沿って下方向Uに流れる。その結果、吹出口22Lから吹き出される空気は、若干下方向D寄りの左方向L(Ld)に吹き出される。
【0165】
一方、風向調整ユニット30Rについては、上述した(d)及び(e)の場合における風向調整ユニット30Rと同様に、板体32を正方向に135度回転させた状態にある(回転角度SR=135度)。従って、吹出口22Rから吹き出される空気は、左方向L側の下流側内壁面124によって右方向Rに案内されると共に、複数のフィン33の長軸方向に沿って、ある程度下方向Dに流れる。その結果、吹出口22Rから吹き出される空気は若干下方向D寄りの右方向R(Rd)に吹き出される。
【0166】
以上のように、吹出口22Lからの吹き出し空気流は若干下方向D寄りの左方向L(Ld)に吹き出され、吹出口22Rからの吹き出し空気流は若干下方向D寄りの右方向R(Rd)に吹き出される。従って、吹出口22Lからの吹き出し空気流及び吹出口22Rからの吹き出し空気流は、何れも若干上方向U寄りに吹き出すと共に、それぞれ左方向L及び右方向Rに吹き出される。その結果、実施集合体200全体としての吹き出し空気流は、側面視においては正面方向Fよりも若干下方向Dに吹き出され、上面視においては左右方向LRに広がって吹き出された。
【0167】
しかしながら、この場合、実施集合体200全体としての吹き出し空気流の左右方向LRにおける広がりは小さかった。これは、吹出口22Lからの吹き出し空気流と吹出口22Rからの吹き出し空気流との干渉に起因するものと考えられる。
【0168】
以上説明してきた実施集合体200における風向調整ユニット30L及び30Rの回転角度SL及びSRと吹き出し空気流の流れ方向との対応関係を以下の表2に纏める。
【0169】
【表3】
【0170】
以上のように、実施集合体200もまた、風向調整ユニット30L及び30Rの回転軸31L及び31Rの回転角度SL及びSRを適宜調整することにより、吹出口22L及び22Rから吹き出される空気の流れ方向を制御することができる。従って、実施集合体200によれば、従来装置に比べて、空気吹出装置としての機能を損なうこと無くより小型化を達成したり、吹出口22L及び22Rの形状をより自由に設計したりすることができる。
【0171】
更に、実施集合体200においては、2本の風向調整ユニット30L及び30Rが異なる位相にて回転軸31L及び31Rの周りに回転する。これにより、吹出口22L及び22Rから吹き出される吹き出し空気流の流れ方向が異なるので、上記のように、吹き出し空気流をより広い範囲に吹き出したり、異なる空気吹出装置から吹き出される吹き出し空気流の干渉により、これらの吹き出し空気流を収束させたりすることができる。
【0172】
尚、以上説明してきたように、実施集合体200においては、2本の風向調整ユニット30L及び30Rの回転角度SL及びSRがそれぞれ独立して設定される。しかしながら、風向調整ユニット30L及び30Rは、例えば歯車機構等により、それぞれの回転角度SL及びSRが一定の関係を満たすように回転するように構成され得る。具体的には、例えば、回転軸31Lと回転軸31Rとが一定の位相差にて同方向に回転するように構成してもよく、或いは、回転軸31Lと回転軸31Rとが逆方向に回転するように構成してもよい。
【0173】
《第4実施形態》
ところで、例えば実施集合体200のように複数の風向調整ユニットを備え、そのうち少なくとも1つの風向調整ユニットを他の風向調整ユニットとは異なる位相にて回転軸の周りに回転させる場合、上述したように異なる吹出口からの吹き出し空気流の干渉が生じ得る。その結果、これらの吹き出し空気流の意図せぬ収束又は発散等により、例えば、吹き出し空気流が意図せぬ方向に吹き出されたり、吹き出し空気流が目的とする方向に吹き出されなかったりする場合がある。
【0174】
そこで、本発明のもう1つの実施形態に係る空気吹出装置の集合体(以下、「実施集合体300」とも称呼される。)」は、隣接する前記吹出口から吹き出される空気の流れの干渉を防止する干渉防止ユニットを更に備える。
【0175】
実施集合体300によれば、異なる吹出口から吹き出される空気の流れ(吹き出し空気流)の干渉が防止されるので、これらの吹き出し空気流の意図せぬ収束又は発散等が低減される。その結果、空気吹出装置の集合体の全体としての吹き出し空気流が、意図せぬ方向に吹き出されたり、目的とする方向に吹き出されなかったりする問題を低減することができる。
【0176】
実施集合体300は、隣接する前記吹出口から吹き出される空気の流れの干渉を防止する干渉防止ユニットを更に備える点を除き、上述した実施集合体200と同様の構成を有する。従って、干渉防止ユニット以外の実施集合体300の構成についての説明は割愛する。一方、実施集合体300が備える干渉防止ユニットの具体例については、以下に詳細に説明する。
【0177】
<干渉防止ユニットの具体例1>
図14は、実施集合体300が備える干渉防止ユニット130の1つの具体例を示す模式図である。(a)は実施集合体300の正面図であり、(b)は実施集合体300の底面図である。
【0178】
図14に例示する実施集合体300は、吹出口22L及び22Rから吹き出される空気の流れの干渉を防止する干渉防止ユニット130として、吹出口22Lと吹出口22Rとの間の領域(図14の(a)において破線によって囲まれた部分)に立設された衝立状(又は板状)の突起130aを備える(斜線部を参照)。これにより、図14の(b)に示すように、隣接する吹き出し空気流(白抜きの矢印)の干渉を物理的に低減することができる。
【0179】
尚、衝立状の突起130aの具体的な大きさ及び形状は、例えば、実施集合体300において想定される吹き出し空気流の流れ方向及び流量(風量)等に応じて、適宜定めることができる。また、突起130aを構成する材料は、例えば、上記のようにして定められる突起130aの大きさ及び形に応じて、適宜定めることができる。
【0180】
<干渉防止ユニットの具体例2>
図15は、実施集合体300が備える干渉防止ユニット130のもう1つの具体例を示す模式図である。図14と同様に、(a)は実施集合体300の正面図であり、(b)は実施集合体300の底面図である。
【0181】
図15に例示する実施集合体300が備える干渉防止ユニット130は、吹出口22Lと吹出口22Rとの間の領域(図15の(a)において破線によって囲まれた部分)に設けられた開口部130bから空気を吹き出すように構成される(図15の(a)に示した斜線部を参照)。典型的には、干渉防止ユニット130は、隣接する吹出口22Lと吹出口22Rとの間に設けられたスリット状の開口部130bから空気を吹き出す(図15の(b)に示した黒塗りの矢印を参照)。この開口部130bから吹き出される空気の流れ(黒塗りの矢印)が、図15の(b)に示すように、隣接する吹き出し空気流(白抜きの矢印)の間に介在して、これらの吹き出し空気流の干渉を低減することができる。
【0182】
尚、上記開口部130bの具体的な大きさ及び形状は、例えば、実施集合体300において想定される吹き出し空気流の流れ方向及び流量(風量)等に応じて、適宜定めることができる。また、開口部130bから吹き出される空気の流れの流れ方向及び流量(風量)もまた、例えば、実施集合体300において想定される吹き出し空気流の流れ方向及び流量(風量)等に応じて、適宜定めることができる。更に、開口部130bから空気を吹き出すための機構は、上記目的が達成されうる限り、特に限定されない。典型的には、図15の(b)において点線によって示したように、実施集合体300の導入口21側から導入された空気が開口部130bから吹き出されるように構成される。
【0183】
<干渉防止ユニットの具体例3>
図16は、実施集合体300が備える干渉防止ユニット130の更にもう1つの具体例を示す模式図である。図14及び図15と同様に、(a)は実施集合体300の正面図であり、(b)は実施集合体300の底面図である。
【0184】
図16に例示する実施集合体300が備える干渉防止ユニット130は、吹出口22Lと吹出口22Rとの間の領域(図16の(a)において破線によって囲まれた部分)に形成された溝130cによって構成される(斜線部を参照)。典型的には、干渉防止ユニット130は、溝130cの(上方向U側及び下方向D側の)両端から周辺の空気を溝の内部へと導入する(図16の(a)に示した黒塗りの矢印を参照)。この導入された周辺の空気が、吹き出し空気流に起因する随伴流の発生を促進する(図15の(b)に示した黒塗りの矢印を参照)。この随伴流が、隣接する吹き出し空気流(白抜きの矢印)の間に介在して、これらの吹き出し空気流の干渉を低減することができる。
【0185】
尚、上記溝130cの具体的な大きさ及び形状は、例えば、実施集合体300において想定される吹き出し空気流の流れ方向及び流量(風量)等に応じて、適宜定めることができる。尚、上記説明からも明らかであるように、周辺の空気を溝130cの内部へと導入して吹き出し空気流に起因する随伴流の発生を促進するように流すための機構としては、上記溝130c以外には特に必要とされない。
【0186】
《第5実施形態》
ところで、前述したように、本発明に係る空気吹出装置及びその集合体は、風向調整ユニットの回転により、吹き出し空気流の流れ方向及び流量を制御することができる。しかしながら、本発明に係る空気吹出装置及びその集合体は、空気流路を通って下流側端部に供給される空気の流量を調節するための機構を別途備えていてもよい。
【0187】
そこで、本発明のもう1つの実施形態に係る空気吹出装置の集合体(以下、「実施集合体400」とも称呼される。)」は、前記下流側端部に供給される空気の流量を調節する風量調整ユニットを更に備える。
【0188】
図17は、風量調整ユニット140を備える実施集合体400の(a)水平面による模式的な断面図及び(b)風向調整ユニット30L及び30Rの回転軸31L及び31Rに平行な空気流路の軸線を含む平面による模式的な断面図である。図17に示すように、実施集合体400が備える風量調整ユニット140は、空気流路の風向調整ユニット30L及び30Rよりも上流側に設けられたダンパである。
【0189】
上記風量調整ユニット140(ダンパ)は、上下方向UDに平行な回転軸141の周りに回転可能に筐体20に取り付けられており、その回転角度により、空気流路の断面積を変更することができる。尚、実施集合体400において、風量調整ユニット140(ダンパ)の回転角度は、風量調整ユニットの操作ノブ144及び操作シャフト145を回転させることによって変更することができる。具体的には、例えば、風量調整ユニット140(ダンパ)の操作ノブ144を操作者が回転させることにより操作シャフト145を回転させ、この操作シャフト145の回転を、図示しない歯車及びベルト等の機構を介して回転軸141に伝達する。これにより、風量調整ユニット140(ダンパ)の回転角度を変更することができる。或いは、風量調整ユニット140(ダンパ)の回転角度は、例えば、操作者からの指示に応じて、図示しないステッピングモータ等の駆動装置を使用して、回転軸141を回転させることにより、所望の角度に調整することもできる。
【0190】
上記により、空気流路を通って下流側端部123に供給される空気の流量を風向調整ユニット30L及び30Rの回転とは独立して調節することができるので、吹き出し空気流の流れ方向と流量との組み合わせをより多様に制御することができる。
【0191】
尚、実施集合体400は、空気流路の上流側の端部に1つの統合空気流路を備え、この統合空気流路が分岐して、下流側端部123へと連通しているように構成されている。そして、風量調整ユニット140は、上記統合空気流路に設けられた1つのダンパによって下流側端部123に供給される空気の流量を一括して調節するように構成されている。
【0192】
しかしながら、風量調整ユニット140は、実施集合体400を構成する2本の風向調整ユニット30L及び30Rのそれぞれの下流側端部123に供給される空気の流量を個別に調節するように構成されていてもよい。この場合、実施集合体400は、例えば、2本の風向調整ユニット30L及び30Rのそれぞれに連通する空気流路を備え、当該空気流路において風向調整ユニットよりも上流側にそれぞれ設けられたダンパによって風量調整ユニットが構成され得る。
【0193】
《第6実施形態》
ところで、前述したように、吹き出し空気流の流れ方向は、風向調整ユニットの回転軸の回転に伴って連続的に変化する。従って、風向調整ユニットの回転軸の回転角度によっては、望ましくない方向及び/又は必要ではない方向に吹き出し空気流が吹き出される場合もあり得る。このような場合、上述した風量調整ユニットにより、望ましくない方向及び/又は必要ではない方向に吹き出される吹き出し空気流の流量を減少させたり、望ましくない方向及び/又は必要ではない方向に吹き出し空気流が吹き出されないようにしたりすることができる。
【0194】
特に、風量調整ユニットは、風向調整ユニットの回転と連動して、望ましくない方向及び/又は必要ではない方向に吹き出される吹き出し空気流の流量を減少させたり、望ましくない方向及び/又は必要ではない方向に吹き出し空気流が吹き出されないようにしたりすることができることが好ましい。
【0195】
そこで、本発明のもう1つの実施形態に係る空気吹出装置の集合体(以下、「実施集合体500」とも称呼される。)」においては、前記風量調整ユニットが、前記下流側端部に供給される空気の流量を前記風向調整ユニットの回転に伴って調節する、ように構成され得る。これによれば、風向調整ユニットの回転軸の回転角度を調整することにより、風量調整ユニットを個別に操作すること無く、望ましくない方向及び/又は必要ではない方向に吹き出される吹き出し空気流の流量を減少させたり、望ましくない方向及び/又は必要ではない方向に吹き出し空気流が吹き出されないようにしたりすることができる。
【0196】
例えば、上述した実施集合体400のように、風量調整ユニット140が統合空気流路に設けられた1つのダンパによって構成されており、下流側端部123に供給される空気の流量を一括して調節するように構成されている場合を想定する。このような場合においては、例えば歯車及びベルト等の機構により、風量調整ユニット140の回転角度と風向調整ユニット30L及び30Rの回転角度SL及びSRとが一定の関係を満たすように回転するように構成され得る。具体的には、例えば、望ましくない方向及び/又は必要ではない方向に吹き出し空気流が吹き出される風向調整ユニット30L及び30Rの回転角度SL及びSRにおいて、空気流路の断面積が小さくなる風量調整ユニット140の回転角度となるように、上記機構を構成することができる。但し、このように風量調整ユニットと風向調整ユニットとを連動させることは必須ではない。
【0197】
尚、以上説明してきた実施集合体100乃至500として、いずれも2本の風向調整ユニット30L及び30Rを備える実施形態を例示したが、当然のことながら、本発明に係る空気吹出装置の集合体が備え得る風向調整ユニットの数は2本に限定されない。また、本発明に係る空気吹出装置の集合体が備える複数の風向調整ユニットの配置は上述した配置に限定されない。即ち、本発明に係る空気吹出装置の集合体は、例えば、その用途及び/又は設計仕様に応じて、必要とされる数の風向調整ユニットを必要とされる配置にて備えることができる。
【0198】
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び変形例につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び変形例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0199】
10…空気吹出装置、20…筐体、21…導入口、22、22L及び22R…吹出口、23及び123…下流側端部、24…下流側内壁面、30、30L及び30R…風向調整ユニット、31…回転軸、32…板体、33…フィン、100及び200…空気吹出装置の集合体、124…下流側内壁面(隔壁125の壁面と下流側内壁面24との総称)、125…隔壁、130…干渉防止ユニット、130a…(衝立状又は板状の)突起、130b…(スリット状の)開口部、130c…溝、140…風量調整ユニット(ダンパ)、141…風量調整ユニットの回転軸、144…風量調整ユニットの操作ノブ、145…風量調整ユニットの操作シャフト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
図17