特許第6682273号(P6682273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682273
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】神経細胞イメージング及び治療
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20200406BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20200406BHJP
   A61K 49/04 20060101ALI20200406BHJP
   A61K 51/04 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   G01T1/161 DZDM
   A61B6/03 377
   A61K49/04 210
   A61K51/04 200
【請求項の数】6
【全頁数】94
(21)【出願番号】特願2015-554307(P2015-554307)
(86)(22)【出願日】2014年1月24日
(65)【公表番号】特表2016-513079(P2016-513079A)
(43)【公表日】2016年5月12日
(86)【国際出願番号】IL2014050090
(87)【国際公開番号】WO2014115152
(87)【国際公開日】20140731
【審査請求日】2017年1月24日
(31)【優先権主張番号】61/756,112
(32)【優先日】2013年1月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/776,599
(32)【優先日】2013年3月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/803,611
(32)【優先日】2013年3月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/831,664
(32)【優先日】2013年6月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/875,069
(32)【優先日】2013年9月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/875,074
(32)【優先日】2013年9月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/875,070
(32)【優先日】2013年9月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/925,670
(32)【優先日】2014年1月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/925,669
(32)【優先日】2014年1月10日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515201659
【氏名又は名称】タイラートン インターナショナル ホールディングス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TYLERTON INTERNATIONAL HOLDINGS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ベン−ハイム,シュロモ
【審査官】 小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−103134(JP,A)
【文献】 International Journal of Cardiology,2013年 1月17日,[online],doi:10.1016/j.ijcard.2012.12.077,Retrieved from the internet:,URL,http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0167527312017068
【文献】 日本放射線技術学会雑誌,2008年,Vol.64,No.5,p626−637
【文献】 Circulation,2012年11月20日,Vol.126,No.Suppl.21,A17871,URL,http://circ.ahajournals.org/content/126/Suppl_21/A17871
【文献】 順天堂医学,1997年,Vol.42,No.4,p450−458
【文献】 心電図,2011年,Vol.31,No.2,p205−207
【文献】 核医学画像診断,2009年,Vol.24,No.1,p52−59
【文献】 Anatomical Record,1997年,Vol.247,No.2,p289−298
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/161
A61B 6/03
A61K 49/04
A61K 51/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大直径が1〜20mmのサイズの自律神経系(ANS)神経節を同定するためのシステムにおいて、
神経組織を含む身体部位を有する患者の生体内ボリュームをイメージングする機能的イメージングモダリティから機能的イメージングモダリティデータを受け取るモジュールであって、前記患者が放射性標識mIBG(メタヨードベンジルグアニジン)を含む診断用薬剤を注入されているモジュールと、
前記機能的イメージングモダリティデータに基づき前記生体内ボリュームにおいて前記神経組織の位置を決定するモジュールと、
前記神経組織の位置を決定するモジュールによって決定された位置に基づき、自律神経系シナプス及び/又は神経節の分布及び/又は活性を含むANSマップを生成するモジュールと、
を具えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムが、臓器の画像にオーバーレイされた前記マップを表示するディスプレイを具えることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシステムが、正常なシナプス分布を示す一組の分布及び/又は医学的状態若しくは疾患を示す一組の分布と前記分布を比較することにより異常なシナプス分布及び/又は活性を決定するように構成されたプロセッサを具えることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムが、前記イメージングと連動して自律神経系を刺激する手段をさらに具えることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムが、自律神経系に関連付けられる医学的状態又は疾患の診断及び/又はモニタリングするように構成されたプロセッサを具えることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1乃至の何れか1項に記載のシステムが、医学的状態又は疾患の治療のガイド用のモジュールを具えることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2013年1月24日に出願された米国仮特許出願第61/756,112号明細書、2013年3月11日に出願された米国仮特許出願第61/776,599号明細書、2013年3月20日に出願された米国仮特許出願第61/803,611号明細書、2013年6月6日に出願された米国仮特許出願第61/831,664号明細書、2013年9月8日に出願された米国仮特許出願第61/875,069号明細書、同第61/875,070号明細書及び同第61/875,074号明細書、並びに2014年1月10日に出願された米国仮特許出願第61/925,669号明細書及び同第61/925,670号明細書の優先権の利益を主張し、これらの内容は全体として参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、その一部の実施形態において、イメージング方法及びシステムに関し、より詳細には、限定はされないが、神経組織に親和性を有する放射性トレーサーを使用した医用イメージング方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
自律神経系(ANS)は末梢神経系の一部であり、様々な生体機能、例えば、心拍数、血管運動活性、消化、呼吸、反射行動などを、通常は無意識のレベルで制御する。ANSは脳の延髄及び視床下部によって調節される。
【0004】
ANS機能には、求心性(感覚性)活性(内臓から中枢神経系(CNS)へと信号を伝える)、並びに遠心性(運動性)活性(CNSから末梢へと信号を伝える)が含まれる。
【0005】
ANSにおける遠心性活性は、典型的には2つの系統、即ち交感神経系と副交感神経系とに分けられる。これらの系統はかなりの程度まで互いに並行して作用し、多くの場合に逆の効果を有する。交感神経系統が通常即時応答の動員に関連付けられるのに対し、副交感神経系統は通常低活性と関連付けられる。
【0006】
末梢神経系にはまた体性神経系(SoNS)も含まれ、これは遠心性ニューロンによって随意運動を制御するとともに、求心性ニューロンによって体表から痛み、接触及び温度のインパルスを伝導し、並びに体内から筋肉、腱及び関節感覚を伝導する。
【0007】
ANS及びSoNSの求心性(感覚性)ニューロンは、末梢臓器から脊髄のシナプスまで延在する。求心性ニューロンの細胞体は、脊髄の直ちに外側にある脊髄神経節に凝集している。
【0008】
遠心性SoNSニューロンは脊髄に位置し、神経支配を受ける筋肉の神経筋接合部にあるシナプスまで延在する。
【0009】
求心性活性及びSoNS遠心性活性と対照的に、ANS遠心性神経支配は、神経節のシナプスを介して連絡する2つの逐次的遠心性ニューロンの介入によって特徴付けられる。節前ニューロンが中枢神経系から神経節に信号を送り、節後ニューロンが神経節から標的(例えば神経支配を受ける臓器)に信号を送る。
【0010】
交感神経節は、脊椎に沿って位置する椎傍神経節と、腹部に位置して腹部臓器を神経支配する椎前神経節と、節後神経細胞がニューロンとして作用するのでなく血中にホルモンを放出する改変型の神経節である副腎の副腎髄質とを含む。
【0011】
交感神経節と比較すると、副交感神経節は通常小さく、それが神経支配する臓器に近接して位置し、即ち節後ニューロンが比較的短い。
【0012】
アセチルコリンは、神経節の交感神経及び副交感神経節前ニューロン、神経支配を受ける臓器のSoNSニューロン及び副交感神経節後ニューロン、並びに汗腺の交感神経節後ニューロンによってシナプスで分泌される主要な神経伝達物質である。ANS神経節及び神経筋接合部におけるアセチルコリン受容体は典型的にはニコチン受容体であり、神経支配を受ける臓器のANSシナプスにおけるアセチルコリン受容体は典型的にはムスカリン受容体である。
【0013】
対照的に、交感神経節後ニューロンは、概してアドレナリン作動性神経伝達物質、主としてノルエピネフリン(ノルアドレナリン)を分泌する。
【0014】
交感神経系と副交感神経系とは完全に分かれているわけではない。例えば、心臓神経節は、典型的には副交感神経系の一部と見なされるが、交感神経ニューロンのアドレナリン作動性シナプス(これは副交感神経節後ニューロンに入力を提供する)も含み、副交感神経節後ニューロンに対する同様の交感神経入力が骨盤椎前神経節で起こる[Smith,Am J Physiol 1999,276:R455−R467;Arora et al.,Anat Rec A Discov Mol Cell Evol Biol 2003,271:249−258]。
【0015】
心房細動には交感神経刺激及び副交感神経刺激の両方が関与すると見られ、従って心房細動は、心房への自律的信号伝達を中断させることを目的とするアブレーション又は外科手術によって治療され得る。肺静脈周囲のニューロン、及び隣接する心臓神経節神経叢は、アブレーション及び/又は外科手術の有効な標的であることが報告されている[Arora,Circ Arrhythm Electrophysiol 2012,5:850−859;Tan et al.,Heart Rhythm 2007,4:S57−S60]。
【0016】
内臓器官の画像を得るため種々の医用イメージング技法が利用可能である。X線コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、及び超音波スキャンなどの技法は外部照射源を利用する;一方、陽電子放出型断層撮影法(PET)及び単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)などの技法は、体内の放射性トレーサーから放出される核放射線を利用する。
【0017】
かかる技法では、三次元情報を提供する形でデータが入手され、従ってそれらのデータを処理することによりボリューム画像を生成し得る。コンピュータ断層撮影によるボリューム画像の生成には、複数方向からの軌道上の検出器が使用され得る。PET及びSPECTは、特定の方向からの放射線のみを検出器に到達させるコリメータを使用する。典型的には、このコリメータは、鉛又はタングステンなどの高密度の高原子番号材料に多数の小さい孔が設けられた構成で作られる。放射線は、孔と平行な方向に進む場合は孔を通過し得るが、別の方向に進む場合にはコリメータ材料に吸収される傾向があり得る。
【0018】
放射性トレーサーは、特定の組織型又は組織活性の選択的なイメージングを可能にするように選択され得る。
【0019】
Langer&Haldin[Eur J Nucl Med 2002,29:416−434]は、アドレナリン作動性シナプスをイメージングするためのカテコールアミン及びカテコールアミン類似体、例えばmIBG(m−ヨードベンジルグアニジン)及びm−ヒドロキシエフェドリン、並びにコリン作動性シナプスをイメージングするためのベサミコール誘導体を含め、心臓神経系のマッピング用PET及びSPECT放射性トレーサーについて記載している。
【0020】
SPECTにより決定するときの心臓におけるmIBG取込み率及び流失(washout)率が、アブレーション療法後の心房細動の再発を含め、心房細動を予測することが報告されている[Arora,Circ Arrhythm Electrophysiol 2012,5:850−859]。mIBG SPECT画像は[C−11]ヒドロキシエフェドリンPET画像と比較して空間分解能が低く、しかし[C−11]ヒドロキシエフェドリンPET画像は入手が難しく、且つ臨床試験が不足しているためその臨床的意義がそれほど明らかでない[Matsunari et al.,Circ Cardiovasc Imaging 2010,3:595−603]。
【0021】
Ross&Seibyl[J Nucl Med Tech 2004,32:209−214]は、神経受容体のSPECTイメージング用の様々なヨウ素−123標識リガンドについて記載している。
【0022】
さらなる技術として、Vallabhajosula&Nikolopoulou[Semin Nucl Med 2011,41:324−33]、米国特許出願公開第2010/0221182号明細書及び米国特許第6,211,360号明細書、同第6,211,360号明細書、同第6,358,492号明細書、同第5,077,035号明細書及び同第5,789,420号明細書が挙げられる。
【発明の概要】
【0023】
本発明の一部の実施形態のある態様によれば、対象における自律神経系の少なくとも1つのシナプス中心をイメージングするためのイメージング方法が提供され、本方法は、自律神経系のシナプスに選択的に結合する放射性トレーサーを対象に投与するステップと;放射性トレーサーの体内分布を表すデータを入手するため放射性トレーサーの放射線放出を測定するステップであって、それにより体内の放射性トレーサーをイメージングするステップとを含み、本方法はさらに、放射性トレーサーが高濃度を呈する少なくとも1つの領域を同定するためデータを分析するステップであって、それにより少なくとも1つのシナプス中心をイメージングするステップを含む。
【0024】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、イメージングは三次元イメージングを含む。
【0025】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、領域は20mm以下の直径を有する。
【0026】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、シナプス中心は、自律神経節及び自律神経節神経叢からなる群から選択される。
【0027】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本方法は、少なくとも1つのシナプス中心におけるニューロン活性を評価するステップをさらに含む。
【0028】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本方法は、自律神経系のシナプスの分布及び/又はニューロン活性を示すマップであって、少なくとも1つのシナプス中心を含むマップを生成するステップをさらに含む。
【0029】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本方法は、分布及び/又はニューロン活性を解剖学的マップにオーバーレイするステップをさらに含む。
【0030】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、解剖学的マップは、少なくとも1つの臓器の少なくとも一部分の画像を含む。
【0031】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本方法は、対象の体の少なくとも一部分の画像を入手するステップと、その画像を使用して解剖学的マップを生成するステップとをさらに含む。
【0032】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、体の少なくとも一部分の画像は、陽電子放出型断層撮影(PET)モダリティ、コンピュータ断層撮影(CT)モダリティ、磁気共鳴画像(MRI)モダリティ及び超音波モダリティからなる群から選択されるイメージングモダリティを使用して入手される。
【0033】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、分析するステップは、対象の体のある領域の解剖学的画像を再構成するステップであって、領域が少なくとも1つの体内部位の一部分を含むステップと;少なくとも1つの体内部位の寸法に対応する少なくとも1つの画像マスクが生成されるように解剖学的画像を処理するステップと;少なくとも1つのシナプス中心を描出する画像の再構成をガイドするため、少なくとも1つの生成された画像マスクを放射性トレーサーの体内分布を表すデータと相関付けるステップとを含む。
【0034】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、少なくとも1つの画像マスクは、少なくとも1つの体内部位の範囲内にある及び/又はそれに近接しているシナプス中心の位置を定義するテンプレートに基づき生成される。
【0035】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本方法は、解剖学的領域の解剖学的データに基づきシナプス中心を含まない解剖学的領域から放射性トレーサーの存在を表すデータを除去するステップをさらに含む。
【0036】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本方法は、少なくとも1つの所定の規則に基づき少なくとも1つの生成された画像マスクの範囲内に少なくとも1つのシナプス中心を同定するステップをさらに含み、少なくとも1つの所定の規則は、所定の閾値を上回る放射性トレーサーの放射線放出を含む。
【0037】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、相関付けるステップは、放射性トレーサーの体内分布を表すデータに従い放射性トレーサーが高濃度を呈する領域と対応するように少なくとも1つの画像マスクを位置決めするステップを含む。
【0038】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本方法は、データをシナプス分布及び/又はニューロン活性の参照データセットと比較するステップをさらに含む。
【0039】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、参照データセットは、正常なシナプス分布及び/又はニューロン活性を示すものである。
【0040】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、参照データセットは、異常なシナプス分布及び/又はニューロン活性によって特徴付けられる疾患又は障害を示すものである。
【0041】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本方法は、異常な自律神経系活性と関連付けられる疾患又は障害をイメージングに基づき診断するステップをさらに含む。
【0042】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本方法は、イメージングと連動してニューロン活性を刺激するステップと、刺激に基づき少なくとも1つのシナプス中心を特徴付けるステップとをさらに含む。
【0043】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本方法は、複数の時点でイメージングを実施するステップと、種々の時点における分布及び/又はニューロン活性を特徴付けるステップとを含む。
【0044】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、複数の時点に治療前及び治療後の時点が含まれ、本方法は、治療が自律神経系活性に及ぼす効果を評価するステップをさらに含む。
【0045】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本方法は、体の少なくとも1つの領域における放射性トレーサーの濃度の変化率を特徴付けるステップをさらに含む。
【0046】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、放射性トレーサーの流失率との相関に従いシナプス中心における活性が決定される。
【0047】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本方法は、少なくとも1つのシナプス中心のイメージングに基づき治療をガイドするステップをさらに含む。
【0048】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、治療は、本方法によりイメージングされた少なくとも1つのシナプス中心におけるニューロン活性を調節するステップを含む。
【0049】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、調節するステップは、シナプス中心のアブレーションを含む。
【0050】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、シナプス中心は、心臓神経節神経叢、骨盤神経叢及び腹腔神経節からなる群から選択される。
【0051】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本方法は、自律神経系のシナプスに選択的に結合する第1の放射性トレーサーを投与し及びイメージングするステップと、さらに、少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーを投与し及びイメージングするステップとを含み、第1の放射性トレーサーと少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーの各々とは放射性同位体が互いに異なる。
【0052】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーは自律神経系のシナプスに選択的に結合する。
【0053】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、第1の放射性トレーサーは、少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーが選択的に結合するシナプスと異なるシナプスに選択的に結合する。
【0054】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーはシナプスに選択的に結合しない。
【0055】
本発明の一部の実施形態のある態様によれば、必要とする対象における異常な自律神経系活性と関連付けられる疾患又は障害を治療する方法が提供され、本方法は、必要とする対象における疾患又は障害と関連付けられる自律神経系の少なくとも1つのシナプス中心を、本明細書に記載される方法のいずれか1つによりイメージングするステップと、イメージングに基づき疾患又は障害を治療するステップとを含む。
【0056】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、治療するステップは、イメージングによりイメージングされた少なくとも1つのシナプス中心におけるニューロン活性を調節するステップを含む。
【0057】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、疾患又は障害は、心不整脈、前立腺肥大症、自己免疫疾患又は障害、糖尿病、ストレス、勃起不全、過敏性腸症候群、甲状腺中毒症、高血圧症、肥大型心筋症、慢性閉塞性肺疾患、失神、甲状腺活性低下症、特発性心不全、喘息、沈着症、病的体重増加、斜頸(tortocolis)、特発性拡張型心筋症、右室流出路起源頻拍、ブルガダ症候群、ファロー四徴症、閉塞性肥大型心筋症、睡眠時無呼吸、肝代謝異常、多汗症、唾液分泌過剰及び流涙過剰からなる群から選択される。
【0058】
本発明の一部の実施形態のある態様によれば、対象における正常な自律神経系活性又は異常な自律神経系活性を決定する方法が提供され、本方法は、自律神経系のシナプスに選択的に結合する第1の放射性トレーサーを投与するステップ、及び自律神経系の少なくとも1つのシナプス中心を、請求項24に記載の方法によりイメージングするステップであって、それにより第1の放射性トレーサーの体内分布を表すデータを入手するステップと;少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーを投与するステップ、及び対象の体の少なくとも一部分における少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーをイメージングするステップであって、それにより少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーの体内分布を表すデータを入手するステップとを含み、ここでは第1の放射性トレーサーの体内分布を表すデータと少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーの体内分布を表すデータとの組み合わせが、自律神経系における正常な又は異常なシナプス分布及び/又はニューロン活性を示す。
【0059】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーは、第1の放射性トレーサーが選択的に結合するシナプスと異なる自律神経系のシナプスに選択的に結合する。
【0060】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、放射性トレーサーの分布の組み合わせが、交感神経系活性と副交感神経系活性との間の正常な又は異常な平衡を示す。
【0061】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーのうちの少なくとも1つはシナプスに選択的に結合せず、及び放射性トレーサーの分布の組み合わせが、シナプスに選択的に結合しないさらなる放射性トレーサーによって示される組織分布及び/又は活性との対比で正常な又は異常なシナプス分布及び/又はニューロン活性を示す。
【0062】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、異常な自律神経系活性は、心不整脈、前立腺肥大症、自己免疫疾患又は障害、糖尿病、ストレス、勃起不全、過敏性腸症候群、甲状腺中毒症、高血圧症、肥大型心筋症、慢性閉塞性肺疾患、失神、甲状腺活性低下症、特発性心不全、喘息、沈着症、病的体重増加、斜頸(tortocolis)、特発性拡張型心筋症、右室流出路起源頻拍、ブルガダ症候群、ファロー四徴症、閉塞性肥大型心筋症、睡眠時無呼吸、喘息、肝代謝異常、多汗症、唾液分泌過剰及び流涙過剰からなる群から選択される疾患又は障害と関連付けられる。
【0063】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、シナプス中心はアドレナリン作動性活性によって特徴付けられる。
【0064】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、放射性トレーサーは一般式I:
又はその薬学的に許容可能な塩(式中、Rは、水素及びアルキルからなる群から選択され;及びR〜Rは、各々、水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ及びハロからなる群から独立して選択される)を有する。
【0065】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、放射性トレーサーは、一般式II:
A−B−D−E
式II
又はその薬学的に許容可能な塩(式中、Aは、各々置換又は非置換の、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され;Bは、O、S、NR10からなる群から選択されるか又は存在せず;Dは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロ脂環式化合物、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され;及びEは−NR11−C(=NH)NHであり、式中、R11は、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロ脂環式化合物(heteroaclicyclic)、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択されるか、或いは、R11及びR10は一体に結合して、B、D及びNR11を含むヘテロ脂環式環又はヘテロアリール環を形成する)を有する。
【0066】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、放射性トレーサーは、ノルエピネフリントランスポーター(NET)リガンド、小胞モノアミントランスポーター(VMAT)リガンド、ノルエピネフリン受容体作動薬、ノルエピネフリン受容体拮抗薬及びノルエピネフリン再取込み阻害薬からなる群から選択される。
【0067】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、シナプス中心はコリン作動性活性によって特徴付けられる。
【0068】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、コリン作動性活性はニコチン性コリン作動性活性を含む。
【0069】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、コリン作動性活性はムスカリン性コリン作動性活性を含む。
【0070】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、放射性トレーサーは、一般式III:
又はその薬学的に許容可能な塩(式中、X及びYは各々独立してN又はCHであり、且つ破線が飽和結合を表すか、或いは、X及びYは各々Cであり、且つ破線が不飽和結合を表し;及びR30及びR31は、各々、水素、及び置換又は非置換フェニル、ベンジル又はベンゾイルからなる群から独立して選択されるか、或いは、R30及びR31が一緒になって置換又は非置換フェニル環を形成する)を有する。
【0071】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、放射性トレーサーは、一般式IV:
又はその薬学的に許容可能な塩(式中、R41〜R46は、各々独立して置換又は非置換アルキルであるか、或いは、R41〜R43のうちのいずれか2つ及び/又はR44〜R46のうちのいずれか2つが一緒になって3員、4員、5員、又は6員置換又は非置換ヘテロアリール環又はヘテロ脂環式環を形成し;及びLは、2〜10原子長の置換又は非置換炭化水素鎖である)を有する。
【0072】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、放射性トレーサーは、一般式V:
G−J−K
式V
又はその薬学的に許容可能な塩(式中、Gは置換又は非置換フェニル又はピリジニル部分であり;Jは存在しないか、又はO、S、−O−アルキル−、−S−アルキル、−アルキル−O−及びアルキル−S−からなる群から選択され;及びKは、少なくとも1つの窒素原子を含む置換又は非置換ヘテロ脂環式環である)を有する。
【0073】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、放射性トレーサーは、ニコチン性アセチルコリン受容体作動薬及びニコチン性アセチルコリン受容体拮抗薬からなる群から選択される。
【0074】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、放射性トレーサーは、ムスカリン性アセチルコリン受容体作動薬及びムスカリン性アセチルコリン受容体拮抗薬からなる群から選択される。
【0075】
本発明の一部の実施形態のある態様によれば、本明細書に記載される方法のいずれか1つ、及びそれらの実施形態のいずれか1つにおいて使用される診断用薬剤の製造における、自律神経系のシナプスに選択的に結合する放射性トレーサーの使用が提供される。
【0076】
本発明の一部の実施形態のある態様によれば、本明細書に記載されるとおりの方法のいずれか1つ、及びそれらの実施形態のいずれか1つにおいて使用される、自律神経系のシナプスに選択的に結合する放射性トレーサーが提供される。
【0077】
本発明の一部の実施形態のある態様によれば、対象における正常な自律神経系活性又は異常な自律神経系活性を決定する方法において使用される診断用薬剤の製造における、自律神経系のシナプスに選択的に結合する放射性トレーサーの使用が提供され、ここで放射性トレーサーは少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーと組み合わせて使用されるものであり、ここでは自律神経系のシナプスに選択的に結合する放射性トレーサーによって得られるデータが自律神経系の少なくとも1つのシナプスの分布及び/又はニューロン活性を表し、及び少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーによって得られるデータが、少なくとも1つのシナプスの分布及び/又はニューロン活性と異なる分布及び/又は活性を表す。
【0078】
本発明の一部の実施形態のある態様によれば、対象における正常な自律神経系活性又は異常な自律神経系活性を決定することにおいて使用される、自律神経系のシナプスに選択的に結合する放射性トレーサーが提供され、ここで放射性トレーサーは、少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーと組み合わせて使用されるものであり、ここでは第1のデータが自律神経系のシナプスに選択的に結合する放射性トレーサーによって得られ、且つ自律神経系の少なくとも1つのシナプスの分布及び/又はニューロン活性を表し、及び少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーによって得られる少なくとも第2のデータが、第1のデータと異なる分布及び/又は活性を表す。
【0079】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーは自律神経系のシナプスに選択的に結合する。
【0080】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、放射性トレーサーの放射性同位元素と少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーの放射性同位元素とは互いに異なる。
【0081】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、少なくとも第2のデータは、第1のデータのシナプスの活性のタイプと異なるシナプスのタイプ又は活性を表す。
【0082】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーはシナプスに選択的に結合しない。
【0083】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、第1のデータと少なくとも第2のデータとの組み合わせが、シナプスに選択的に結合しないさらなる放射性トレーサーによって示される組織分布及び/又は活性との対比で正常な又は異常なシナプス分布及び/又はニューロン活性を示す。
【0084】
本発明の一部の実施形態のある態様によれば、対象における正常な自律神経系活性又は異常な自律神経系活性を決定するためのキットが提供され、本キットは、自律神経系のシナプスに選択的に結合する第1の放射性トレーサーと少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーとを含み、ここで自律神経系のシナプスに選択的に結合する放射性トレーサーは、自律神経系の少なくとも1つのシナプスの分布及び/又はニューロン活性を表す第1のデータを入手するのに有用であり、及び少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーは、第1のデータと異なる分布及び/又は活性を表すデータを入手するのに有用である。
【0085】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーは自律神経系のシナプスに選択的に結合する。
【0086】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、放射性トレーサーの放射性同位元素と少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーの放射性同位元素とは互いに異なる。
【0087】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、少なくとも第2のデータは、第1のデータのシナプスの活性のタイプと異なるシナプスのタイプ又は活性を表す。
【0088】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本キットは、交感神経系活性と副交感神経系活性との間の正常な又は異常な相関を決定するものである。
【0089】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーはシナプスに選択的に結合しない。
【0090】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、第1のデータと少なくとも第2のデータとの組み合わせが、シナプスに選択的に結合しないさらなる放射性トレーサーによって示される組織分布及び/又は活性との対比で正常な又は異常なシナプス分布及び/又はニューロン活性を示す。
【0091】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本キットは、シナプス活性の神経支配を受ける組織の活性との対比で正常な又は異常なシナプス活性を決定するものである。
【0092】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、放射性トレーサーはキット内で個別に包装される。
【0093】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、自律神経系におけるシナプスに選択的に結合する放射性トレーサーはmIBGである。
【0094】
本発明の一部の実施形態のある態様によれば、最大直径が1〜20mmのサイズの自律神経系神経節を同定するイメージング方法において使用される、放射性標識mIBG(メタヨードベンジルグアニジン)が提供される。
【0095】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本イメージング方法は、自律神経系シナプス及び/又は神経節の分布及び/又は活性をマッピングするために使用される。
【0096】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本イメージング方法は、自律神経系シナプス及び/又は神経節の分布及び/又は活性のマップを表示するために使用される。
【0097】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本方法は、臓器の画像にマップをオーバーレイするステップをさらに含む。
【0098】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本イメージング方法は、その分布を、正常なシナプス分布を示す一組の分布及び/又は医学的状態若しくは疾患を示す一組の分布と比較することにより異常なシナプス分布及び/又は活性を決定するステップをさらに含む。
【0099】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本イメージング方法は、イメージングと連動して自律神経系を刺激するステップをさらに含む。
【0100】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本イメージング方法は、自律神経系に関連付けられる医学的状態又は疾患の診断及び/又はモニタリングに使用される。
【0101】
本発明の一部の実施形態のある態様によれば、自律神経系に関連付けられる医学的状態又は疾患を診断及び/又はモニタする方法において使用される、放射性標識mIBG(メタヨードベンジルグアニジン)が提供される。
【0102】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本方法は、2つのイメージングセッション間における神経組織の変化を同定するステップを含む。
【0103】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、医学的状態又は疾患の治療は2つのイメージングセッションの間に行われる。
【0104】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本イメージング方法は、医学的状態又は疾患の治療のガイドにおいて使用されるものである。
【0105】
本発明の一部の実施形態のある態様によれば、自律神経系に関連付けられる医学的状態又は疾患の治療をガイドする方法において使用される、放射性標識mIBG(メタヨードベンジルグアニジン)が提供される。
【0106】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、医学的状態又は疾患は、自律神経系の入力又は介入によって引き起こされ、増悪し又は持続する。
【0107】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、医学的状態又は疾患は、高血圧症、心不整脈、糖尿病、ストレス及び過敏性腸症候群からなる群から選択される。
【0108】
本発明の一部の実施形態のある態様によれば、少なくとも1つの神経節叢(GP)を含む神経組織の位置を決定するイメージング方法において使用される、放射性標識mIBG(メタヨードベンジルグアニジン)が提供される。
【0109】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本イメージング方法は、神経支配を受ける組織を同定するために使用され、本方法は、組織からの放射線放出データを収集するステップと、臓器の構造のモデルに従いデータを空間的位置に割り当てるステップと、臓器に関連するデータに基づき神経組織シナプス及び/又は神経支配を同定するステップとを含む。
【0110】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、神経組織の位置を決定するステップは、イメージングデータと解剖学的データとの組み合わせに従い実施される。
【0111】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、解剖学的データは、陽電子放出型断層撮影(PET)モダリティ、コンピュータ断層撮影(CT)モダリティ、磁気共鳴画像(MRI)モダリティ、及び超音波モダリティからなる群から選択されるイメージングモダリティにより生成される。
【0112】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、神経組織の位置を決定するステップは、臓器による放射性標識mIBGの参照取込み率を表す参照値との一致に従い生体内エリア又はボリュームにおける神経組織を含む少なくとも1つの目的の領域(ROI)を同定するステップを含む。
【0113】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、神経組織の位置を決定するステップは、生体内エリアにおける神経組織を含む部分領域を医学的治療の標的として標的化するために使用される。
【0114】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、医学的治療は、少なくとも1つの神経節叢のアブレーションである。
【0115】
本発明の一部の実施形態のある態様によれば、患者の少なくとも1つの神経節神経叢を含む標的神経組織における治療手技をガイドするイメージング方法において使用される放射性標識mIBG(メタヨードベンジルグアニジン)が提供される。
【0116】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つの一部によれば、本イメージング方法は、患者における標的神経組織を含む生体内ボリュームの放射性イメージングデータを入手するステップと、生体内ボリュームにおける生体内治療プローブの位置を取得するステップと、治療手技の間に放射性イメージングデータ及び生体内治療プローブ位置を操作者に提示するステップとを含む。
【0117】
本発明の一部の実施形態のある態様によれば、記載されるとおりのイメージング方法のいずれか1つを、それらの実施形態のいずれか1つを含め、制御するように構成された核イメージング装置が提供される。
【0118】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は、本発明が関係する技術分野の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。本発明の実施形態の実施又は試験においては、本明細書に記載されるものと同様の又は均等な方法及び材料を使用し得るが、例示的な方法及び/又は材料を以下に記載する。矛盾が生じた場合、定義を含め、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法、及び例はあくまでも説明上のものに過ぎず、必ずしも限定することを意図するものではない。
【0119】
本発明の実施形態の方法及び/又はシステムの実装は、選択された作業を手動で、自動で、又はそれらの組み合わせで実施又は遂行することを伴い得る。さらに、本発明の方法及び/又はシステムの実施形態の実際の計装及び設備に従い、いくつかの選択された作業が、ハードウェアによるか、ソフトウェアによるか又はファームウェアによるか又はそれらの組み合わせによりオペレーティングシステムを用いて実装され得る。
【0120】
例えば、本発明の実施形態に係る選択された作業を実施するためのハードウェアは、チップ又は回路として実装されてもよい。ソフトウェアのように、本発明の実施形態に係る選択された作業が、任意の好適なオペレーティングシステムを用いるコンピュータにより実行される複数のソフトウェア命令として実装されてもよい。本発明の例示的実施形態では、本明細書に記載されるとおりの方法及び/又はシステムの例示的実施形態に係る1つ以上の作業が、データプロセッサ、例えば複数の命令を実行するための計算プラットフォームにより実施される。任意選択で、データプロセッサには、命令及び/又はデータを記憶するための揮発性メモリ及び/又は命令及び/又はデータを記憶するための不揮発性記憶装置、例えば磁気ハードディスク及び/又は取外し可能媒体が含まれる。任意選択で、ネットワーク接続もまた提供される。ディスプレイ及び/又はユーザ入力デバイス、例えばキーボード又はマウスもまた任意選択で提供される。
【0121】
本発明の一部の実施形態が、単に例として、添付の図面を参照しながら本明細書に記載される。ここで具体的に図面を詳細に参照するが、示される詳細はあくまでも例であり、本発明の実施形態の説明的考察を目的とすることが強調される。この点で、記載を図面と合わせて考慮することにより、当業者には、本発明の実施形態を如何に実施し得るかが明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
図1図1は、本発明の一部の実施形態に係る、生体内ボリュームの解剖学的データとSPECTデータとの組み合わせに基づき神経組織の位置を特定する方法のフローチャートである。
図2図2は、本発明の一部の実施形態に係る、マッピング関数に基づくSPECT画像中の種々の領域と種々の臓器及び/又は組織との関連性に基づき神経組織の位置を特定する方法のフローチャートである。
図3図3は、本発明の一部の例示的実施形態における、自律神経系(ANS)情報を入手する方法のフローチャートである。
図4図4は、本発明の一部の実施形態における、機能的画像と解剖学的画像とを組み合わせるため及び/又はシナプス中心の位置を決定するためのコンピュータに実装された方法のフローチャートである。
図5図5は、本発明の一部の実施形態に係る、心房において連続性分裂心房電位(complex fractionated atrial electrogram:CFAE)部位、収縮力(contractile force:CF)部位、及び/又はドミナント周波数(dominant frequency:DF)部位をアブレーションなどの治療の標的エリアとしてマッピングすることによるアブレーション治療の実施方法のフローチャートである。
図6図6A図6Dは、本発明の例示的実施形態に係る種々の角度から見た左心房及び左心室の画像を提供し、ここでは左心房がmIBG活性に従い色付けされており(緑色=低活性、赤色=高活性)、左下肺静脈において最大活性レベルを示している。
図7図7A及び図7Bは、本発明の例示的実施形態に係る種々の角度から見た左心房の画像を提供し、ここでは左心房がmIBG活性に従い色付けされている(緑色=低活性、赤色=高活性)。
図8図8A及び図8Bは、本発明の例示的実施形態に係る種々の角度から見た右心室及び左心室の画像を提供し、ここでは右心室がmIBG活性に従い色付けされており、心室中隔において最大活性レベルを示している。
図9図9A図9Cは、本発明の例示的実施形態により同定された3つの神経節神経叢(GP)の位置を示す心臓の画像を提供し、ここでは図9A図9Cのそれぞれが、3つのGPのうちの1つの位置を示す(左から右に)横断像、冠状断像及び矢状断像を含む。
図10図10A図10Cは、本発明の例示的実施形態に係る、心臓の解剖学的マップ上における図9A図9Cの3つのGP位置(丸で囲まれるとおり)を示す(IVC=下大静脈;LA=左心房;LV=左心室;PA=肺動脈;RA=右心房;SVC=上大静脈)。
図11図11は、本発明の一部の実施形態に係る、患者の心臓の3Dシミュレーション上における高頻度刺激(HFS)の適用部位(斜線で網掛けされた丸)を示す。
図12図12は、図11に示す適用部位へのHFSの適用に対する負の応答を示す心電図である。
図13図13A及び図13Bは、本発明の一部の実施形態に係る、種々の角度から見た患者の心臓の3Dシミュレーション上における高頻度刺激(HFS)の適用部位(斜線で網掛けされた丸)を示し、ここで適用部位(application cite)はRIPV(右下肺静脈)神経節神経叢と関連付けられる。
図14図14は、図13A及び図13Bに示す適用部位へのHFSの適用に対する正の応答を示す心電図である。
図15図15A及び図15Bは、本発明の一部の実施形態に係る、種々の角度から見た患者の心臓の3Dシミュレーション上におけるLIPV神経節神経叢と関連付けられるアブレーション部位(斜線で網掛けされた丸)を示す。
図16図16は、図15A及び図15Bに示すアブレーション部位へのHFSの適用に対する負の応答を示す心電図である。
図17図17は、本発明の例示的実施形態における左心房のSPECT画像を提供し、セスタミビ分布(左の画像)、mIBG分布(中央の画像)及びセスタミビとmIBGとの間の分布相関度(右の画像)が示される。
図18図18は、本発明の例示的実施形態における左心室のSPECT画像を提供し、セスタミビ分布(左の画像)、mIBG分布(中央の画像)及びセスタミビとmIBGとの間の分布相関度(右の画像)が示される。
図19図19は、本発明の一部の実施形態に係る、骨盤の解剖学的データと放射リガンドデータとの組み合わせに基づき良性前立腺肥大症を診断及び治療する方法のフローチャートである。
図20図20は、本発明の一部の実施形態に係る、骨盤の解剖学的データと放射リガンドデータとの組み合わせに基づき勃起障害を診断及び治療する方法のフローチャートである。
図21図21は、本発明の一部の実施形態に係る、腹部の解剖学的データと放射リガンドデータとの組み合わせに基づき糖尿病を診断及び治療する方法のフローチャートである。
図22図22は、本発明の一部の実施形態に係る、腹部の解剖学的データと放射リガンドデータとの組み合わせに基づき関節炎を診断及び治療する方法のフローチャートである。
図23図23は、本発明の一部の実施形態に係る、腹部の解剖学的データと放射リガンドデータとの組み合わせに基づき過敏性腸症候群を診断及び治療する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0123】
本発明は、その一部の実施形態において、イメージング方法及びシステムに関し、より詳細には、限定はされないが、神経組織に親和性を有する放射性トレーサーを使用した医用イメージング方法及びシステムに関する。
【0124】
本発明者は、インビボで自律神経系(ANS)シナプス中心(例えば、ANS神経節)の分布、正確な位置及び/又は活性に関する情報を提供するために、神経組織に親和性を有する放射性トレーサーを利用し得ることを想定している。詳細には、核イメージング技術(例えば、PET、SPECT)により体における放射性トレーサーの放出を測定してもよく、及び得られたデータを、画像中のシナプス中心を同定するように設計された方法で分析し、それによりシナプス中心の分布、位置及び/又は活性を明らかにし得る。本発明者はさらに、異常なANS活性と関連付けられる様々な病態の診断及び/又は治療においてかかる情報が極めて重要となり得ることを想定している。
【0125】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明はその適用が必ずしも以下の記載に示し及び/又は図面及び/又は実施例に説明する構成要素及び/又は方法の構造詳細及び構成に限定されないことが理解されるべきである。本発明は他の実施形態が可能であり、又は様々な方法で実施し若しくは実行することが可能である。
【0126】
本発明を実施化する間に、本発明者は、対象の心臓領域から放射性トレーサーデータを入手して(これは、公知の方法論を用いて入手した場合には、個々のシナプス中心を同定するのに十分な分解能を有しない)、それらのデータを分析することにより、心臓神経節神経叢を同定し及びイメージングした。本発明者はさらに、心臓神経節神経叢のアブレーションにおけるかかる画像の有用性を実証した。
【0127】
図1図4は、本発明の一部の実施形態における、自律神経系(ANS)情報を入手する方法のフローチャートを示す。図5は、本発明の一部の実施形態に係る、アブレーション治療の実施方法のフローチャートを示す。図19図23は、本発明の一部の実施形態における、ANS活性に関連付けられる様々な病態を診断及び治療する方法のフローチャートを示す。
【0128】
図6A図8Bは心臓組織の画像を提供し、これは本発明の例示的実施形態に係るアドレナリン作動性シナプスに親和性を呈する放射性トレーサー(mIBG)が高濃度を呈する領域を示す。図9A図10Cは心臓組織の画像を提供し、これは本発明の例示的実施形態により決定されるとおりの心臓神経節神経叢の位置を示す。この技術の正確さは、図11図14に示されるとおり、個々の部位の高頻度刺激によって確認された。図15A図16は、本発明の一部の実施形態に係る、心臓神経節神経叢の成功したアブレーションを示す。図17図18は心臓組織の画像を提供し、これは、アドレナリン作動性シナプスに親和性を呈する放射性トレーサー(mIBG)のレベル、灌流を示す放射性造影剤(セスタミビ)のレベル、及びmIBGとセスタミビとの分布の相関を示す。
【0129】
これらの結果は、本発明の実施形態が、神経節、神経節神経叢及びシナプスに富む他の領域を含めた神経組織の特徴を正確にイメージングするのに有用であることを示している。
【0130】
神経組織、例えば個々の神経節は、従来の方法を用いると、特に神経組織の寸法が比較的小さく、周囲組織と比べて従来の造影剤の取込みが悪く、且つ神経組織を周囲組織と区別する物理的特徴がないことを考えると、イメージング又は他の方法による同定が困難であることが理解されるべきである。例えば、心臓神経節は通常、心外膜筋に隣接した脂肪性結合組織に取り囲まれ及び/又は心臓の後面を覆う脂肪パッドに埋もれており、それらの神経節は脂肪層にごく近接しているために、神経節の同定が著しく妨害される。この妨害は、本発明の一部の実施形態により解消することができる。
【0131】
本発明の一部の実施形態のある態様によれば、少なくとも1つのシナプス中心を含む神経組織をイメージングする方法が提供され、本方法は、自律神経系のシナプスに選択的に結合する(例えば本明細書に記載されるとおりの)放射性トレーサーの使用を含む。一部の実施形態では、本方法は、少なくとも1つのシナプス中心をイメージングするステップを含む。一部の実施形態では、シナプスに選択的に結合する(例えば本明細書に記載されるとおりの)少なくとも2つの放射性トレーサーが使用される。例えば、これらの放射性トレーサーは任意選択で、異なるシナプスタイプ(例えば、アドレナリン作動性とコリン作動性、副交感神経性と交感神経性)に結合してもよく、及び/又はシナプスに関する異なる情報(例えば、位置と活性)を提供してもよい。一部の実施形態では、シナプスに選択的に結合する(例えば、本明細書に記載されるとおりの)1つ以上の放射性トレーサーが、シナプスに選択的に結合しない少なくとも1つの放射性トレーサーと組み合わせて使用され、例えば、シナプス以外の解剖学的特徴に関する情報の取得が促進される。任意選択でイメージングされ得るシナプス以外の解剖学的特徴としては、シナプス以外の神経組織特徴(例えば、ミエリン)及び(例えば、本明細書に記載されるとおりの)神経組織に関連しない特徴が挙げられる。一部の実施形態では、イメージングは三次元イメージングである。
【0132】
放射性標識メタヨードベンジルグアニジン(mIBG)は、本発明の一部の実施形態に係る例示的放射性トレーサーである。
【0133】
本明細書で使用されるとき、語句「神経組織」は、ニューロンの存在によって特徴付けられる組織を指す。神経組織の例としては、限定なしに、シナプス中心(本明細書に定義するとおり)、神経節、神経線維、神経シナプス、神経サブシステム(例えば、自律神経サブシステム(交感及び副交感自律神経サブシステムなど)、末梢サブシステム)、及び臓器特異的神経組織、例えば頸動脈小体、大動脈弓、肺、腎臓、脾臓、肝臓、下腸間膜、上腸間膜、筋肉及び/又は陰茎の神経組織が挙げられる。
【0134】
一部の実施形態では、本方法によりイメージングされる神経組織及び/又はシナプス中心は自律神経系(例えばその一部)に関連する。一部の実施形態では、神経組織及び/又はシナプス中心は交感神経系(例えばその一部)に関連する。それに代えて又は加えて、神経組織及び/又はシナプス中心は副交感神経系(例えばその一部)に関連する。
【0135】
本明細書において、用語「シナプス中心」は、中枢神経系以外の、シナプス(例えばANSシナプス)が(例えば周囲組織と比べて)高濃度であることによって特徴付けられる身体領域を指す。シナプス中心の例としては、限定なしに、神経節、神経節神経叢、神経筋接合部及び臓器を神経支配するシナプスの任意の他の凝集物が挙げられる。
【0136】
本明細書で使用されるとき、同義的に使用される語句「神経節神経叢」及び「神経節叢」は、複数の相互接続した神経節を指す。
【0137】
本発明の一部の実施形態によれば、領域は20mm以下の直径を有する。一部の実施形態では、同定されるシナプス中心(例えば神経節)の最大直径(例えば、少なくとも1つの断面寸法における)は、1〜20mmである。
【0138】
一部の実施形態では、イメージングするステップは、少なくとも1つのシナプス中心を含む神経組織を同定するステップを含む。一部の実施形態では、神経組織は少なくとも1つの神経節を含む。一部の実施形態では、神経組織は少なくとも1つの神経節神経叢(GP)を含む。
【0139】
一部の実施形態では、イメージングするステップは、少なくとも1つのシナプス中心を同定するステップを含む。
【0140】
本発明の一部の実施形態によれば、本方法は、神経節を同定するステップを含む。例示的実施形態において、本方法は、自律神経系神経節を同定するステップを含む。
【0141】
本明細書において、語句「[...]神経節を同定する」とは、1つ以上のシナプス中心を同定することを包含し、ここで各シナプス中心は個々の神経節であってもよく、及び/又は複数の神経節(例えば神経節神経叢)を含んでもよい。ある場合には、個々の神経節と複数の神経節を含むシナプス中心(例えば神経節神経叢)との違いは単に語義上のものであり(例えば、異なる当業者は異なる用語を使用する)、及び/又は有意味な医学的重要性はない。
【0142】
本発明の一部の実施形態によれば、シナプス中心は、自律神経節及び自律神経節神経叢からなる群から選択される。
【0143】
本明細書において、用語「自律神経節」及び「自律神経節神経叢」は、自律神経系の一部である神経節又は神経節神経叢をそれぞれ指す。副腎髄質は本明細書では自律神経節と見なされる。
【0144】
本方法は、任意選択で、対象に放射性トレーサーを投与し、且つ放射性トレーサーの放射線放出を(例えば、単一光子放出型コンピュータ断層撮影(SPECT)及び/又は陽電子放出型断層撮影(PET)によって)測定して放射性トレーサーの体内分布を表すデータを入手し、それにより体内の放射性トレーサーをイメージングする(例えば、放射性トレーサーの体内分布をイメージングする)ことにより達成される。
【0145】
本方法は、任意選択で、放射性トレーサーが高濃度を呈する少なくとも1つの領域を同定するため(例えば、本明細書に記載されるとおりの)データを分析するステップであって、それにより少なくとも1つのシナプス中心をイメージングするステップをさらに含む。
【0146】
一部の実施形態では、本方法は、少なくとも1つのシナプス中心におけるニューロン活性を評価するステップをさらに含む。
【0147】
一部の実施形態では、本方法は、神経組織の位置を決定する方法である。一部の実施形態では、神経組織は、少なくとも1つの神経節叢を含む神経組織である。一部の実施形態では、放射性トレーサーはmIBGである。
【0148】
一部の実施形態では、本方法は、少なくとも1つのシナプス中心(例えば神経節叢)の位置を決定するステップを含む。
【0149】
一部の実施形態では、生体内エリアにおける位置決定された神経組織を含む部分領域が、医学的治療の標的とされる。例示的な医学的治療は、少なくとも1つのシナプス中心(例えば神経節叢)のアブレーションである。
【0150】
本明細書で使用されるとき、神経組織、シナプス中心、神経節及び/又はGPの「位置を決定する」又は「位置を特定する」(これらの2つの用語は同義的に使用される)は、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つにより同定される神経組織、シナプス中心、神経節及び/又はGPの位置を特徴付けることを指す。位置は、1つ以上の参照位置に対して、例えば、対象の体における1つ以上の解剖学的位置(例えば、1つ又は複数の臓器又は他のシナプス中心)、対象の体内又は体の近傍に置かれた医療用具の位置、及び/又は対象以外の人(例えば、外科医及び/又は本方法の施術者)の位置、例えばその人の視野に対して特徴付けられ得る。一部の実施形態では、イメージングされる分布及び/又はニューロン活性は解剖学的マップ上にオーバーレイされる。
【0151】
一部の実施形態では、本方法は、(例えば、本明細書においてさらに詳細に記載するとおりの)標的神経組織における治療手技をガイドするものである。一部の実施形態では、神経組織は少なくとも1つの神経節叢を含む。ガイドは、例えば、(例えば本明細書に記載されるとおりの)標的神経組織を含む生体内ボリュームにおける放射性トレーサー(例えばmIBG)からデータを入手し、生体内ボリュームにおける生体内治療プローブの位置を取得し、且つ治療手技中に放射性トレーサーデータ及び生体内治療プローブ位置を操作者に提示することにより行われ得る。一部の実施形態では、手技はカテーテル留置手技である。
【0152】
本発明の一部の実施形態によれば、本方法は、自律神経系のシナプスの分布及び/又はニューロン活性を示すマップであって、少なくとも1つのシナプス中心を含むマップを生成し、及び任意選択で表示するステップをさらに含む。一部の実施形態では、マップの分解能は1mm〜20mmの範囲である。
【0153】
本発明の一部の実施形態によれば、本方法は、アドレナリン作動性活性によって特徴付けられるシナプス中心をイメージングするために使用される。本方法は、任意選択で、アドレナリン作動性活性によって特徴付けられるシナプス中心のみをイメージングしてもよく、或いは、コリン作動性シナプス中心などのアドレナリン作動性活性によって特徴付けられないシナプス中心を(例えば本明細書に記載されるとおりの好適な放射性トレーサーの選択に例えば基づき)さらにイメージングしてもよい。
【0154】
本発明の一部の実施形態によれば、本方法は、コリン作動性活性(例えば、ニコチン性及び/又はムスカリン性コリン作動性活性)によって特徴付けられるシナプス中心をイメージングするために使用される。本方法は、任意選択で、コリン作動性活性、例えば、ニコチン性及び/又はムスカリン性コリン作動性活性)によって特徴付けられるシナプス中心のみをイメージングしてもよく、或いは、アドレナリン作動性シナプス中心などのコリン作動性によって特徴付けられないシナプス中心を(例えば本明細書に記載されるとおりの好適な放射性トレーサーの選択に例えば基づき)さらにイメージングしてもよい。
【0155】
一部の実施形態では、データを分析するステップは、対象の体のある領域の解剖学的画像を再構成するステップであって、その領域が少なくとも1つの体内部位の一部分を含むステップと;少なくとも1つの体内部位の寸法に対応する少なくとも1つの画像マスクが生成されるように解剖学的画像を処理するステップと;例えばかかるマスクを利用する本明細書に記載される実施形態に係る少なくとも1つのシナプス中心を描出する画像の再構成をガイドするため、生成された1つ又は複数の画像マスクを放射性トレーサーの体内分布を表すデータと相関付けるステップとを含む。
【0156】
本明細書に記載される態様のいずれか1つに係る一部の実施形態では、イメージングは2つ以上の放射性トレーサーを使用して実施される。一部の実施形態では、(例えば本明細書に記載されるとおりの)2つの放射性トレーサーが使用される。
【0157】
例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに係る方法は、自律神経系のシナプスに選択的に結合する(例えば、本明細書に記載されるとおりの)第1の放射性トレーサーを投与し及びイメージングするステップを含み、さらに、少なくとも1つのさらなる放射性トレーサー(例えば、本明細書に記載される放射性トレーサー及び/又は造影剤)を投与し及びイメージングするステップを含む。一部の実施形態では、前記第1の放射性トレーサーの放射性同位体と前記少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーの各々の放射性同位体とは互いに異なる。さらなる放射性トレーサーは、任意選択でシナプス、例えばANSのシナプスに親和性を呈する放射性トレーサー(例えば、本明細書に記載される放射性トレーサー);又はシナプスに親和性を呈しない放射性トレーサー(例えば、本明細書に記載される放射性造影剤)であってもよい。
【0158】
一部の実施形態では、第1の放射性トレーサーは、前記少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーが選択的に結合するシナプスと異なるシナプスに選択的に結合する。異なるタイプのシナプス(例えば、アドレナリン作動性とコリン作動性、交感神経性と副交感神経性、ムスカリン作動性とニコチン性)及び各タイプと結合する放射性トレーサーの例は本明細書に詳細に記載される。
【0159】
一部の実施形態では、シナプスに結合する2つ以上の放射性トレーサーを使用して、異なるシナプス活性に関する情報が提供され得る。例えば、ある放射性トレーサーがシナプス中心の活性のイメージングに用いられてもよく(例えば、シナプス活性に対する感受性が比較的高い信号を提供するトレーサー)、一方で別の放射性トレーサーがシナプス分布、例えば位置及び/又はシナプス密度のイメージングに用いられてもよい(例えば、シナプス活性に対する感受性が比較的低い信号を提供するトレーサー)。それに加えて又は代えて、異なるトレーサーは、異なるタイプの活性、例えば異なるタイプの(例えば、本明細書に記載されるとおりの)刺激に対する応答をイメージングするのに好適であり得る。
【0160】
一部の実施形態では、シナプスに親和性を呈しない放射性トレーサーが使用され、例えばそれによりシナプス以外の解剖学的特徴に関する情報が提供される。一部の実施形態では、かかる情報を使用して解剖学的特徴の位置が(例えば本明細書に記載されるとおりシナプス中心の位置を決定するため)特徴付けられ得る。一部の実施形態では、かかる情報を使用して解剖学的領域の活性、例えば、解剖学的領域のバイタリティ、機能性、及び/又は代謝活性が特徴付けられ得る。
【0161】
一部の実施形態では、組み合わせて使用される異なる放射性トレーサーは異なる放射性同位体を有し(例えば、本明細書に例示されるとおり、I−123及びTc−99m)、これにより異なるトレーサーを、放射線放出エネルギーに基づいてそれらのトレーサーを区別しながらも同時に測定することが可能となる。
【0162】
一部の実施形態では、組み合わせて使用される異なる放射性トレーサーのイメージングは、同時測定によっては行われない。例えば、あるトレーサーが投与されてイメージングされてもよく、次に、第1の放射性トレーサーの信号が別のトレーサーの測定に著しく干渉することのないよう十分に弱まった後に、そのもう1つのトレーサーがイメージングされてもよい。
【0163】
2つ以上の(本明細書に記載されるとおりの)放射性トレーサーから取得される情報の組み合わせは、単一の放射性トレーサーによっては提供されない情報を提供するのに有用であり得る。例えば、異なるトレーサーにより提供される2種類の情報間の関係が、ANS活性を特徴付けるのに重要であり得る。一部の実施形態では、正常なANS活性が、異なるトレーサーで取得された結果を反映する2つのパラメータ間のある種の関係によって特徴付けられる一方、異常なANS活性が、かかるパラメータ間における正常とは異なる関係(例えば「ミスマッチ」)によって特徴付けられる。例えば、パラメータ間の異常な関係は、異なるタイプのANS活性(例えば、アドレナリン作動性活性とコリン作動性活性及び/又は交感神経活性と副交感神経活性)の間の不均衡及び/又はANS活性と神経支配を受ける組織の活性との間の不均衡を反映し得る(例えば、機能不全の心臓組織のシナプス刺激は、機能不全組織が電気パルスを適切な形で伝達できないことに伴う不整脈などの有害効果を及ぼし得る)。
【0164】
本発明の実施形態の別の態様によれば、対象における正常な自律神経系活性又は異常な自律神経系活性を決定する方法が提供される。本方法は、自律神経系のシナプスに選択的に結合する(例えば、本明細書に記載されるとおりの)第1の放射性トレーサーを投与するステップ、及び自律神経系の少なくとも1つのシナプス中心を(例えば、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに係るイメージング方法を用いて)イメージングするステップであって、それにより第1の放射性トレーサーの体内分布を表すデータを入手するステップと;少なくとも1つのさらなる放射性トレーサー(例えば、本明細書に記載される任意の1つ以上のさらなる放射性トレーサー)を投与するステップ、及び対象の体の少なくとも一部分における1つ又は複数のさらなる放射性トレーサーをイメージングするステップであって、それにより体内の1つ又は複数のさらなる放射性トレーサーの分布を表すデータを入手するステップとを含む。第1の放射性トレーサーの体内分布を表すデータと体内の1つ又は複数のさらなる放射性トレーサーの分布を表すデータとの組み合わせが、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)自律神経系における正常なシナプス分布及び/又はニューロン活性又は異常なシナプス分布及び/又はニューロン活性を示す。例えば、異常なシナプス分布及び/又はニューロン活性が、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)異なるタイプのANS活性の間の不均衡及び/又は(例えば、本明細書に記載されるとおりの)ANS活性と神経支配を受ける組織の活性との間の不均衡に従い決定され得る。
【0165】
一部の実施形態(例えば、シナプスに親和性を有する複数の放射性トレーサーを使用する実施形態)では、放射性トレーサーの分布の組み合わせが、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)交感神経系活性と副交感神経系活性との間の正常な又は異常な平衡を示す。
【0166】
一部の実施形態では、少なくとも1つのさらなる放射性トレーサーはシナプスに選択的に結合しない。一部のかかる実施形態において、放射性トレーサーの分布の組み合わせが、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)シナプスに選択的に結合しないさらなる放射性トレーサーによって示される組織分布及び/又は活性との対比で正常な又は異常なシナプス分布及び/又はニューロン活性を示す。
【0167】
本明細書に記載される態様のいずれかに係る一部の実施形態では、異常なANS活性は、疾患又は障害、例えば、本明細書に記載される任意の疾患又は障害に関連する。
【0168】
本発明の実施形態の別の態様によれば、診断用薬剤の製造における、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)自律神経系のシナプスに選択的に結合する放射性トレーサーの使用が提供される。一部の実施形態では、診断用薬剤は、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに係る方法で使用されるものである。一部の実施形態では、放射性トレーサーは少なくとも1つのさらなる放射性トレーサー(例えば、本明細書に記載されるとおりの任意の1つ以上のさらなる放射性トレーサー)と組み合わせて使用されるものであり、ここでは自律神経系のシナプスに選択的に結合する放射性トレーサーによって得られるデータが自律神経系の少なくとも1つのシナプスの分布及び/又はニューロン活性を表し、及び1つ又は複数のさらなる放射性トレーサーによって得られるデータが、異なる分布及び/又は活性、即ち前述の少なくとも1つのシナプスの分布及び/又はニューロン活性と異なる分布及び/又は活性を表す。
【0169】
本発明の実施形態の別の態様によれば、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに係る方法で使用される、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)自律神経系のシナプスに選択的に結合する放射性トレーサーが提供される。一部の実施形態では、放射性トレーサーは少なくとも1つのさらなる放射性トレーサー(例えば、本明細書に記載されるとおりの任意の1つ以上のさらなる放射性トレーサー)と組み合わせて使用されるものであり、ここでは自律神経系のシナプスに選択的に結合する放射性トレーサーによって第1のデータが入手され(これは自律神経系の少なくとも1つのシナプスの分布及び/又はニューロン活性を表す)、及び1つ又は複数のさらなる放射性トレーサーによって、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)第1のデータと異なる分布及び/又は活性を表す少なくとも第2のデータ(任意選択で第2のデータ及び第3のデータ、任意選択で第2のデータ、第3のデータ及び第4のデータ等)が入手される。
【0170】
本発明の実施形態の別の態様によれば、(例えば、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに係る)対象における正常な自律神経系活性又は異常な自律神経系活性を決定するためのキットが提供される。本キットは、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)自律神経系のシナプスに選択的に結合する第1の放射性トレーサーと、少なくとも1つのさらなる放射性トレーサー(例えば、本明細書に記載されるとおりの任意の1つ以上のさらなる放射性トレーサー)とを含む。自律神経系のシナプスに選択的に結合する放射性トレーサーは、自律神経系の少なくとも1つのシナプスの分布及び/又はニューロン活性を表す第1のデータを入手するのに有用であり、1つ又は複数のさらなる放射性トレーサーは、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)前記第1のデータと異なる分布及び/又は活性を表すデータを入手するのに有用である。一部の実施形態では、放射性トレーサーはキット内で個別に包装される。一部の実施形態では、放射性トレーサーは共に包装され、例えば、それらの放射性トレーサーを共投与するための組成物として製剤化される。
【0171】
一部の実施形態では、(複数の放射性トレーサーを利用する本明細書に記載される実施形態のいずれかに係る)第1の放射性トレーサーの放射性同位元素と1つ又は複数のさらなる放射性トレーサーの放射性同位元素とは、例えば本明細書に記載されるとおり、互いに異なる。
【0172】
一部の実施形態では、(少なくとも)第2のデータが、第1のデータによって表されるシナプスの活性(例えば本明細書に記載されるとおりの種々の活性)のタイプと異なるシナプスのタイプ又は活性を表す。
【0173】
一部の実施形態では、(例えば、本明細書に記載される使用、方法、キット又は放射性トレーサーに係る)放射性トレーサーの組み合わせを利用して、例えば放射性トレーサーの各々が(例えば、本明細書に記載されるとおりの)シナプスに結合するときの、交感神経系活性と副交感神経系活性との間の正常な又は異常な相関(例えば、均衡又は不均衡)が決定される。
【0174】
一部の実施形態では、(例えば、本明細書に記載される使用、方法、キット又は放射性トレーサーに係る)放射性トレーサーの組み合わせを利用して、(例えば、組織に結合し且つシナプスに結合しない放射性トレーサーによって決定されるとおりの)前記シナプス活性の神経支配を受ける組織の活性と比べて(例えば、シナプスに親和性を有する放射性トレーサーによって決定されるとおりの)正常な又は異常なシナプス活性、例えば、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)神経支配を受ける組織の神経支配及び活性の間の均衡又は不均衡が決定される。
【0175】
一部の実施形態では、(例えば、本明細書に記載される使用、方法、キット又は放射性トレーサーに係る)自律神経のシナプスに選択的に結合する放射性トレーサーはmIBGである。造影剤を含有するTc−99mと組み合わせたmIBGの使用が本明細書に例示される。
【0176】
本発明の実施形態の別の態様によれば、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに係るイメージング方法を制御するように構成された、核イメージング装置が提供される。本装置は、本明細書に記載されるとおりのデータ取得用に構成された核イメージングモダリティ(例えば、SPECT及び/又はPETモダリティ)を含む。一部の実施形態では、本装置は、本明細書に記載されるとおりの解剖学的データの取得用モダリティをさらに含む。一部の実施形態では、核イメージングモダリティ及び解剖学的データの取得用モダリティは、異なるモダリティからのデータを同時にレジスタリングするように構成される。
【0177】
本発明の実施形態のある特徴に関して本明細書に記載される実施形態のいずれか1つが、別段の指示がある場合を除き、本発明の実施形態の他の特徴に関して本明細書に記載される実施形態のいずれか1つと組み合わされてもよいことが理解されるべきである。例えば、本明細書に記載される放射性標識化合物のいずれか1つを、任意の他の放射性標識化合物、データ取得に関して本明細書に記載される実施形態のいずれか1つ、シナプス中心のデータ分析及び同定に関して本明細書に記載される実施形態のいずれか1つ、シナプス中心の位置に関して本明細書に記載される実施形態のいずれか1つ、診断及びモニタリングに関して本明細書に記載される実施形態のいずれか1つ、及び/又はシナプス中心活性の調節に関して本明細書に記載される実施形態のいずれか1つと組み合わせて使用することができる。
【0178】
放射性トレーサー:
本明細書で使用されるとき、用語「放射性トレーサー」は、放射性同位体を含む原子又は分子を指す。放射性同位体を含む分子は、本明細書では「放射性標識されている」とも称される。特に指示がない限り、本明細書に記載される放射性トレーサーは、本明細書に記載されるとおり、(例えば自律神経系の)神経組織に親和性を呈する。
【0179】
本明細書において、「放射性同位体」は、自然崩壊を起こす不安定な核を有する天然に存在する及び/又は人工的に作られた原子を指す。
【0180】
本明細書に記載される放射性イメージング技術、例えばPET及び/又はSPECTの文脈において、放射性トレーサーから放出される放射線の検出が用いられ得る。
【0181】
それに代えて又は加えて、放射性トレーサーが放出する放射線は、放射線療法、例えば放射線による細胞の死滅に用いられ得る。
【0182】
少なくとも一部において陽電子放出により崩壊する放射性同位体は、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)PET(陽電子放出型断層撮影)技術における使用に好適である。かかる同位体は当該技術分野において公知であり、例えば、炭素−11(C−11)、窒素−13(N−13)、酸素−15(O−15)、フッ素−18(F−18)、ガリウム−68(Ga−68) 臭素−76(Br−76)、ルビジウム−82(Rb−82)、ヨウ素−124(I−124)及びヨウ素−131(I−131)が挙げられる。C−11、N−13、O−15、F−18、Rb−82及びI−124は、PETに通常用いられる同位体の例である。
【0183】
いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、質量のあるエネルギー粒子は取得されるSPECTデータにはほとんど寄与しないながら多量の細胞損傷を引き起こし得るため、質量のあるエネルギー粒子(例えば、α線粒子、電子、陽電子、陽子及び/又は中性子)を放つことなしに崩壊時に光子を放つ放射性同位体(例えば、γ放射線、X線放射線)が、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)SPECT(単一光子放出型コンピュータ断層撮影)技術における使用に特に好適であると考えられる。しかしながら、体を抜け出ることのできる放射線を放出する任意の放射性同位体を、例えば(例えば、本明細書に記載されるとおりの)PETに使用し得るあらゆる放射性同位体を含め、任意選択でSPECTに使用することができる。
【0184】
一部の実施形態では、放射性同位体は、電子捕獲機構による崩壊によって特徴付けられるか及び/又は準安定同位体である。かかる同位体の崩壊は、通常、質量のあるエネルギー粒子を放出しない光子放出によって特徴付けられる。電子捕獲崩壊によって特徴付けられる同位体の例としては、限定なしに、ニッケル−56(Ni−56)、ガリウム−67(Ga−67)、セレン−75(Se−75)、インジウム−111(In−111)、ヨウ素−123(I−123)、ヨウ素−125(I−125)、及びタリウム−201(Tl−201)が挙げられる。準安定テクネチウム−99(Tc−99m)は、光子放出により崩壊する準安定同位体の例である。Ga−67、In−111、I−123、Tl−201及びTc−99mは、SPECTに通常用いられる同位体の例である。
【0185】
生理学的環境において遠くまで貫通することのない(例えば約2cm以下の)放射線の放出によって特徴付けられる放射性同位体が、(例えば、体内の特定の領域を選択的に照射することによる)放射線療法に好適である。放射線療法に好適な同位体の例としては、限定なしに、臭素−77(Br−77)、ストロンチウム−89(Sr−89)、イットリウム−90(Y−90)、ヨウ素−131(I−131)、サマリウム−153(Sm−153)が挙げられる。
【0186】
一部の実施形態では、同位体は少なくとも5分の半減期によって特徴付けられる。一部の実施形態では、同位体は少なくとも1時間の半減期によって特徴付けられる。半減期が短くなると、同位体の大部分が崩壊する前に対象において測定を実施する点でかなりの困難が生じ得る。
【0187】
一部の実施形態では、同位体は7日以下の半減期によって特徴付けられる。一部の実施形態では、同位体は48時間以下の半減期によって特徴付けられる。半減期が長くなると、対象における測定中に極めて少ない割合の同位体しか崩壊しないことになり得るため、弱い信号がもたらされ得る。
【0188】
一部の実施形態では、同位体は4〜48時間の範囲の半減期によって特徴付けられる。
【0189】
一部の実施形態では、放射性同位体は、通常有機分子に存在する元素のもの、例えば、放射性炭素、放射性水素、放射性酸素及び/又は放射性窒素(例えば、C−11、N−13、O−15)及び/又は放射性ハロゲン原子(例えば、F−18、Br−76、Br−77、I−123、I−124、I−125、I−131)である。ハロゲン原子は多くの有機分子に存在し、他の原子と、例えば炭素−ハロゲン共有結合を形成するハロゲン置換によって容易に結合し得る。
【0190】
本明細書で使用されるとき、語句「放射性炭素」は任意の放射性炭素同位体を包含する。C−11は、核イメージング技術(例えばPET)における使用に好適な放射性炭素の非限定的な例である。
【0191】
本明細書で使用されるとき、語句「放射性水素」は任意の放射性水素同位体を包含する。
【0192】
本明細書で使用されるとき、語句「放射性窒素」は任意の放射性窒素同位体を包含する。N−13は、核イメージング技術(例えばPET)における使用に好適な放射性炭素の非限定的な例である。
【0193】
本明細書で使用されるとき、語句「放射性酸素」は任意の放射性酸素同位体を包含する。O−15は、核イメージング技術(例えばPET)における使用に好適な放射性炭素の非限定的な例である。
【0194】
本明細書で使用されるとき、語句「放射性ハロゲン」は任意の放射性ハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)同位体を包含する。F−18、Br−76、Br−77、I−123、I−124、I−125、I−131は、核イメージング技術(例えば、F−18、Br−76、I−124及びI−131の場合PET、並びにI−123及びI−125の場合SPECT)における使用に好適な放射性ハロゲンの非限定的な例である。
【0195】
一部の実施形態では、SPECTに放射性同位体I−123が使用される。I−123は、比較的低いγ放射線エネルギー(159keV)及びSPECTに特に好適な13.2時間の半減期により特徴付けられる。
【0196】
一部の実施形態では、放射性トレーサーは放射性リガンドである。
【0197】
本明細書において、用語「放射性リガンド」は、標的(例えばタンパク質)と選択的に結合する放射性標識化合物を指し、即ちこの放射性標識化合物は標的のリガンドとして働く。標的との選択的な結合には、長期間の結合(例えば、受容体の作動薬又は拮抗薬であるリガンド)又は短期間の結合(例えば、分子トランスポーター、酵素の基質によって輸送されるリガンド)が含まれ得る。放射性リガンドは、任意選択で当該技術分野において公知の非放射性リガンドの構造的修飾、例えば、既知のリガンド中のある基を放射性同位体を含む基に置換すること(例えば、放射性ハロゲンによる水素、ヒドロキシ、アミン又はアルキル(例えばメチル)の置換;放射性アルキル(例えばメチル)又は放射性ハロゲンによるヒドロキシ又はアミンの置換)により調製されてもよく、従って放射性リガンドの構造は当該技術分野において公知の非放射性リガンドと異なることになり得る。
【0198】
一部の実施形態では、放射性リガンドは、ある種の細胞型に特有の標的(例えば、受容体、分子トランスポーター)と選択的に結合し、従って放射性リガンドによりかかる細胞型の選択的なイメージングが促進される。一部の実施形態では、放射性リガンドはニューロンと選択的に結合する。
【0199】
細胞に対する放射性トレーサーの選択的な結合には、細胞の外表面との選択的な結合、細胞内の標的との選択的な結合、及び/又は細胞による選択的な取込み(例えば、ここでは放射性トレーサーは細胞内のいかなる特定の標的とも結合しないままである)が含まれ得る。
【0200】
一部の実施形態では、放射性トレーサー(例えば本明細書に記載されるとおりの放射性リガンド)は、神経節(例えば、神経節細胞)に選択的に結合する。一部の実施形態では、放射性トレーサー(例えば本明細書に記載されるとおりの放射性リガンド)は、交感神経節及び/又は副交感神経節に選択的に結合する。
【0201】
一部の実施形態では、放射性トレーサー(例えば本明細書に記載されるとおりの放射性リガンド)は、ニューロンに選択的に結合する。一部の実施形態では、放射性トレーサー(例えば本明細書に記載されるとおりの放射性リガンド)は、1つ以上の特定のニューロンタイプのニューロン、例えば、特定の神経伝達物質の分泌及び/又は放出によって特徴付けられるニューロンに選択的に結合する。
【0202】
放射性トレーサーの代謝は、体の様々な領域に非選択的な形で放射性代謝産物を放出することにより選択的なイメージングを妨げ得る。
【0203】
従って、一部の実施形態では、放射性トレーサーは、放射性トレーサーに結合する細胞からの放射性トレーサーの代謝及び/又は放射性代謝産物の放出が比較的長い半減期、例えば少なくとも(a least)4時間、少なくとも8時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、及びさらには少なくとも72時間で起こるように選択される。かかる半減期は、当業者によって、放射性トレーサーに結合する細胞の存在下で放射性トレーサーの位置及び/又は強度の変化を観察することにより容易に決定され得る。
【0204】
一部の実施形態では、放射性トレーサーは、例えばアリール基若しくはヘテロアリール基内又はアルケニル基(例えば、ハロゲン化ビニル基)内の別の炭素原子と不飽和共有結合によって結合する炭素原子と共有結合した放射性ハロゲン同位体(例えば、F−18、Br−76、Br−77、I−123、I−124、I−125、I−131)を含む。
【0205】
いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、ハロゲン−炭素結合(特に臭素−炭素結合及びヨウ素−炭素結合)は、炭素原子が別の炭素原子と不飽和共有結合によって結合するとき開裂に対して特に抵抗性が高く、及び開裂は、それによって放射性ハロゲン化物が標的エリア以外の領域に移動し、そのために選択的なイメージングが妨げられる可能性があり、最小限に抑えることが有利であると考えられる。
【0206】
一部の実施形態では、放射性リガンドは、当該技術分野においてニューロン(例えば、神経伝達物質受容体及び/又はトランスポーター)に結合することが知られる薬剤又はかかる薬剤のハロゲン化誘導体である。一部の実施形態では、薬剤又はハロゲン化誘導体は、その芳香環(例えばフェニル)に結合したハロゲン原子(例えば、本明細書に記載される放射性ハロゲン同位体)を含む。
【0207】
本明細書において、用語「ハロゲン化誘導体」は、炭素原子に結合した1つ以上の置換基(例えば、水素置換基)がハロゲン原子に置換されている点及び/又は炭素原子に結合した1つ以上のハロゲン原子が異なる種のハロゲン原子に置換されている点のみが親化合物と異なる化合物を指す。
【0208】
放射性同位体(例えば、C−11、N−13、O−15、F−18、Br−76、Br−77、I−123、I−124、I−125、I−131)を含むときに好適な放射性リガンドとして働き得る好適な薬剤の例としては、例えば、神経伝達物質及びその類似体、ベサミコール及びその誘導体、神経伝達物質受容体の作動薬及び拮抗薬、並びにノルエピネフリン再取込み阻害薬が挙げられる。
【0209】
一部の実施形態では、放射性リガンドは、放射性同位体(例えば、本明細書に記載される同位体)を含む神経伝達物質又は神経伝達物質の類似体である。一部の実施形態では、放射性リガンドは、C−11、O−13及び/又はN−15で放射性標識された神経伝達物質である。
【0210】
神経伝達物質の例としては、限定なしに、カテコールアミン神経伝達物質(例えば、ドーパミン、ノルエピネフリン、エピネフリン)及びアセチルコリンが挙げられる。かかる神経伝達物質、特にノルエピネフリン及びアセチルコリンは、自律神経系によって広範に用いられている。
【0211】
神経伝達物質の多くの類似体(例えば、神経伝達物質受容体及び/又はトランスポーターとの選択的な結合能を有する類似体)は当該技術分野において公知であり、本発明の実施形態において放射性リガンドとして利用され得る。
【0212】
一部の実施形態では、類似体は、神経伝達物質のハロゲン化誘導体(例えば、本明細書に記載される放射性ハロゲン同位体を含む)である。一部の実施形態では、神経伝達物質はその芳香環(例えばフェニル)上でハロゲン原子に置換されていてもよく、ハロゲン原子は任意選択で放射性ハロゲン原子であり得る。
【0213】
一部の実施形態では、類似体は、当該技術分野において公知の神経伝達物質類似体のハロゲン化誘導体(例えば、本明細書に記載される放射性ハロゲン同位体を含む)である。一部の実施形態では、神経伝達物質類似体はその芳香環(例えばフェニル)上でハロゲン原子に置換されており、ハロゲン原子は任意選択で放射性ハロゲン原子であり得る。
【0214】
一部の実施形態では、放射性リガンドはアドレナリン作動性活性領域(例えば、アドレナリン作動性シナプス)に選択的である。アドレナリン作動性活性領域の例としては、例えば交感神経シナプスが挙げられ、ここでは交感神経節後ニューロンが臓器又は別の(例えば、交感又は副交感神経節における)ニューロンと連絡する。
【0215】
本明細書において、用語「アドレナリン作動性」は、信号伝達にエピネフリン(アドレナリン)誘導体、典型的にはノルエピネフリンを使用することによって特徴付けられる活性を指す。
【0216】
一部の実施形態では、放射性リガンドは、一般式I:
又はその薬学的に許容可能な塩(式中、Rは、水素及びアルキルからなる群から選択され、及びR〜Rは、各々、水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ及びハロ(例えば、ヨード、ブロモ、フルオロ)からなる群から独立して選択され、及び少なくとも1つの原子が放射性(例えば、放射性炭素、放射性窒素、放射性酸素、及び/又は本明細書に記載されるとおりの放射性ハロゲン原子)である)を有する。
【0217】
一般式Iの各原子は放射性であっても又は非放射性であってもよい。例えば、一般式Iのハロゲン原子(存在する場合)は放射性であっても(例えば、F−18、Br−76、Br−77、I−123、I−124、I−125、I−131)又は非放射性であってもよく;一般式Iの炭素原子(例えば、アルキル又はアリール中の)は放射性であっても(例えば、C−11)又は非放射性であってもよく;一般式Iの窒素原子(例えば、示されるアミン基中の)は放射性であっても(例えば、N−13)又は非放射性であってもよく;及び一般式Iの酸素原子(存在する場合、例えば、ヒドロキシ又はアルコキシ中の)は放射性であっても(例えば、O−15)又は非放射性であってもよい。
【0218】
一部の実施形態では、アルキルはC〜Cアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル)である。
【0219】
一部の実施形態では、アルキルは非置換である。一部の実施形態では、アルキルはメチルである。
【0220】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるとおりのアルキルは放射性炭素(例えば、C−11)を含む。
【0221】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるとおりのアルキルが置換アルキルであるとき、置換基の1つ以上の原子が放射性原子である。例えば、アルキルがアルコキシ基によって置換されている場合、アルコキシ基の酸素が放射性酸素であってもよい。ハロゲン化物によって置換されたアルキルでは、ハロゲン化物が放射性ハロゲン化物(例えば、放射性フッ素、放射性臭素、放射性ヨウ素)であってもよい。
【0222】
一部の実施形態では、R〜Rのいずれもハロではなく、且つ少なくとも1つの原子(例えば、1つの原子)がC−11、N−13、及び/又はO−15である。一部の実施形態では、少なくとも1つの原子(例えば、1つの原子)がC−11である。
【0223】
一部の実施形態では、Rは、C−11を含むアルキル(例えば、メチル)である。
【0224】
一部の(例えば、Rが水素である場合の)実施形態では、Rに結合した炭素原子及び/又はRに結合した炭素原子がC−11である。
【0225】
一部の実施形態では、R〜Rは、各々、水素、ヒドロキシ及びハロ(例えば、放射性ハロゲン同位体)からなる群から独立して選択される。一部の実施形態では、R、R及びRは水素又はハロである。一部の実施形態では、R及びRは各々水素である。
【0226】
一部の実施形態では、R〜Rのうちの少なくとも1つがハロ(例えば、放射性ハロゲン同位体)である。一部の実施形態では、R〜Rのうちの1つのみがハロである。一部の実施形態では、R又はRがハロである。一部の実施形態では、R又はRのいずれもハロではない。
【0227】
一部の実施形態では、R及びRの少なくとも1つがヒドロキシである。
【0228】
一部の実施形態では、Rがヒドロキシであり、且つRが水素又はハロ(例えば、放射性ハロゲン同位体)である。一部の実施形態では、Rがアルキル(例えば、メチル)である。一部の実施形態では、Rがヒドロキシである。
【0229】
及びRがヒドロキシであり、且つR及びR〜Rが水素又はハロである化合物の例としては、限定なしに、例えばC−11で放射性標識されていてもよい、ノルエピネフリン類似体メタラミノール(式中、R、R及びR〜Rが水素であり、且つRがメチルである)、フェニレフリン(式中、R、R及びR〜Rが水素であり、且つRがメチルである)及びメタヒドロキシエフェドリン(式中、R及びR〜Rが水素であり、且つR及びRがメチルである)、並びに、例えば本明細書に記載される放射性ハロゲン同位体で放射性標識されていてもよいそれらのハロゲン化誘導体、例えば4−フルオロメタラミノール(4−FMR)、6−フルオロメタラミノール(6−FMR)、4−ブロモメタラミノール(4−BMR)、6−ブロモメタラミノール(6−BMR)、4−ヨードメタラミノール(4−IMR)及び6−ヨードメタラミノール(6−IMR)が挙げられる。
【0230】
一部の実施形態では、R及びRは各々ヒドロキシである。一部の実施形態では、R及びRは各々ヒドロキシであり、Rは水素又はメチルであり、Rは水素であり、Rは水素又はヒドロキシであり、及びR、R及びRは各々水素又はハロである。かかる化合物の例としては、限定なしに、例えばC−11で放射性標識されていてもよい、神経伝達物質ドーパミン(式中、R、R、R、R及びRが各々水素である)、ノルエピネフリン(式中、R、R、R及びRが各々水素であり、且つRがヒドロキシである)及びエピネフリン(式中、R、R及びRが各々水素であり、Rがメチルであり、且つRがヒドロキシである)、及び類似体エピニン(式中、Rがメチルであり、且つR、R、R及びRが各々水素である)、並びに、例えば(例えば、本明細書に記載されるとおりの)放射性ハロゲン同位体で放射性標識されていてもよいそれらのハロゲン化誘導体、例えば、6−フルオロノルエピネフリン、6−フルオロドパミン及び6−ヨードドパミンが挙げられる。
【0231】
一部の実施形態では、Rがヒドロキシであり、且つRに結合した炭素原子が、ノルエピネフリン及びエピネフリンにあるとおりの(R)キラリティーを有する。
【0232】
一部の実施形態では、Rがアルキル(例えば、メチル)であり、且つRに結合した炭素原子が、エフェドリン及びデクストロメタンフェタミンなどのカテコールアミン類似体にあるとおりの(S)キラリティーを有する。
【0233】
一部の実施形態では、Rに結合した炭素原子及び/又はRに結合した炭素原子は、(R)及び(S)キラリティーの混合物(例えば、ラセミ化合物)の形態である。
【0234】
一般に、Rがヒドロキシである化合物は、ノルエピネフリン及びエピネフリンと比較的類似しており、典型的にはノルエピネフリン及び/又はエピネフリン分泌及び/又は結合細胞に対して親和性を呈し、一方でRが水素である化合物はドーパミンに一層類似しており、典型的にはドーパミン分泌及び/又は結合細胞に対して親和性を呈する。しかしながら、ドーパミン並びにその類似体及びハロゲン化誘導体はまたノルエピネフリン類似体としても作用し、ノルエピネフリン分泌細胞に位置するノルエピネフリントランスポーター(NET;例えば、神経ノルエピネフリントランスポーター)に親和性を呈する。
【0235】
放射性標識ノルエピネフリン又はその類似体、又はそのハロゲン化誘導体(例えば、ドーパミン、エピネフリン、エピニン、6−フルオロノルエピネフリン、6−フルオロドパミン、6−ヨードドパミン、メタラミノール、フェニレフリン、メタヒドロキシエフェドリン、4−FMR、6−FMR、4−BMR、6−BMR、4−IMR及び6−IMR)を含む放射性リガンドを使用して、ノルエピネフリントランスポーター(NET;例えば、神経ノルエピネフリントランスポーター)及び/又は小胞モノアミントランスポーター(VMAT)を選択的にイメージングし得る。VMAT及びNETは、例えば、(例えば、交感神経系の)アドレナリン作動性シナプスのシナプス前ニューロンに存在する。
【0236】
放射性標識ドーパミン又はその類似体、又はそのハロゲン化誘導体(例えば、ドーパミン、エピニン、6−フルオロドパミン、6−ヨードドパミン)を含む放射性リガンドはまた、例えば脾臓、骨髄、腎臓及び膵臓におけるドーパミン結合細胞のイメージングにも使用され得る。
【0237】
ノルエピネフリン再取込み阻害薬及びそれらのハロゲン化誘導体もまた、ノルエピネフリントランスポーター(NET)の選択的なイメージングに使用され得る。
【0238】
ノルエピネフリン再取込み阻害薬(NRI)の例としては、限定なしに、選択的NRI、例えば、アメダリン、アトモキセチン、CP−39,332、ダレダリン、エディボキセチン、エスレボキセチン、ロルタラミン、マプロチリン、マジンドール、ニソキセチン、ノミフェンシン、レボキセチン、タロプラム、タルスプラム、タンダミン及びビロキサジン、並びに非選択的NRI、例えば、ブプロピオン、シクラジンドール、デシプラミン、マニファキシン、ラダファキシン、タペンタドール及びテニロキサジンが挙げられる。前述のNRIは全て、放射性同位体(例えば、C−11、N−13及び/又はO−15)を含むことにより放射性標識されてもよい。
【0239】
マニファキシン及びエディボキセチンは、フッ素を含む、従ってF−18を含むことにより放射性標識され得るNRIの例である。
【0240】
一部の実施形態では、NRIのハロゲン化誘導体は、水素原子(例えば、芳香環に結合した水素原子)を放射性ハロゲン原子(例えば、F−18、Br−76、Br−77、I−123、I−134、I−125、I−131)に置換することにより誘導体化されるNRI(例えば、本明細書に記載されるNRI)である。
【0241】
一部の実施形態では、NRIのハロゲン化誘導体は、ハロゲン原子(例えば、塩素、フッ素)を放射性ハロゲン原子(例えば、F−18、Br−76、Br−77、I−123、I−134、I−125、I−131)に置換することにより誘導体化される(例えば、本明細書に記載されるとおりの)NRIである。ブプロピオン、シクラジンドール、ロルタラミン、マジンドール及びラダファキシンは、塩素原子(例えば、芳香環に結合した塩素原子)を放射性フッ素、臭素又はヨウ素原子に置換することにより誘導体化され得るNRIの例である。マニファキシン及びエディボキセチンは、フッ素原子(例えば、芳香環に結合したフッ素原子)を放射性臭素又はヨウ素原子に置換することにより誘導体化され得るNRIの例である。
【0242】
一部の実施形態では、放射性リガンドは、一般式II:
A−B−D−E
式II
又はその薬学的に許容可能な塩(式中:
Aは、アリール及びヘテロアリール(各々が置換又は非置換である)からなる群から選択され;
Bは、O、S、NR10からなる群から選択されるか又は存在せず;
Dは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロ脂環式化合物、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され;及び
Eは−NR11−C(=NH)NH(グアニジン基)であり、式中、R11は、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロ脂環式化合物、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択されるか、或いは、R11及びR10は一体に結合して、B、D及びNR11を含むヘテロ脂環式環又はヘテロアリール環を形成し、
少なくとも1つの原子が放射性(例えば、放射性炭素、放射性窒素、放射性酸素、及び/又は本明細書に記載されるとおりの放射性ハロゲン原子)である)を有する。
【0243】
一般式IIの各原子は放射性であっても又は非放射性であってもよい。例えば、一般式IIのハロゲン原子(存在する場合)は放射性であっても(例えば、F−18、Br−76、Br−77、I−123、I−124、I−125、I−131)又は非放射性であってもよく;一般式IIの炭素原子は放射性であっても(例えば、C−11)又は非放射性であってもよく;一般式IIの窒素原子は放射性であっても(例えば、N−13)又は非放射性であってもよく;及び一般式IIの酸素原子(存在する場合)は放射性であっても(例えば、O−15)又は非放射性であってもよい。
【0244】
一部の実施形態では、かかる化合物は、分子の一端のアリール及びヘテロアリール(カテコールアミンのカテコール部分と同類であり得る)並びに分子の他端の正電荷グアニジン基(カテコールアミンのアミン基と同類であり得る)に起因してカテコールアミン神経伝達物質類似体として作用する。
【0245】
一部の実施形態では、Aは、ハロ、ヒドロキシ及びアミン(例えば、−NH)からなる群から選択される置換基により置換されているアリール又はヘテロアリールである。一部の実施形態では、このヒドロキシ又はアミンは可変項B及びDに対してアリール又はヘテロアリール(例えば、フェニル、ピリジニル)の4位(パラ位)にある。
【0246】
一部の実施形態では、Aは、ハロのみ(例えば、単一のハロゲン原子)により置換されているアリール又はヘテロアリールであり、即ちそのアリール環又はヘテロアリール環に結合している他の全ての原子は水素である。一部の実施形態では、ハロゲンはヨウ素(例えば、I−123、I−124、I−125、I−131)である。
【0247】
一部の実施形態では、Aは置換又は非置換アリールである。一部の実施形態では、Aは置換フェニル(例えば、ヨードフェニル)又は非置換フェニルである。
【0248】
一部の実施形態では、ハロ置換フェニルは可変項B及びDに対して3位(メタ位)又は4位(パラ位)でハロにより置換されている。一部の実施形態では、ハロ置換フェニルは3位(メタ位)でハロ(例えば、ヨード)により置換されており、例えば、3−ヨードフェニル、3−ブロモフェニル、3−ヨード−4−ヒドロキシフェニル、4−フルオロ−3−ヨードフェニル及び/又は3−ヨード−4−アミノフェニルである。3−ヨードフェニルは例示的ハロ置換アリールである。一部の実施形態では、ハロ置換フェニルは4位(パラ位)でハロ(例えば、フルオロ)により置換されており、例えば、4−フルオロフェニル及び/又は4−フルオロ−3−ヨードフェニルである。
【0249】
一部の実施形態では、BがNR10であり、且つR11及びR10が一緒に結合してヘテロ脂環式環又はヘテロアリール環を形成する。一部の実施形態では、B、D及びNR11が一緒になってピペラジン環(例えば、非置換ピペラジン環)を形成する。
【0250】
一部の実施形態では、Dがメチレン(CH)である。例示的実施形態では、Bが存在せず、且つDがメチレンである。
【0251】
一部の実施形態では、かかる化合物は、分子の一端のアリール及びヘテロアリール(カテコールアミンのカテコール部分と同類であり得る)並びに分子の他端の正電荷グアニジン基(カテコールアミンのアミン基と同類であり得る)に起因してカテコールアミン神経伝達物質(例えば、ノルエピネフリン)類似体として作用する。
【0252】
式IIの可変項Eなどのグアニジン基を有する放射性リガンドを使用して、例えばアドレナリン作動性シナプスにおけるノルエピネフリントランスポーター(NET;例えば、神経ノルエピネフリントランスポーター)及び/又は小胞モノアミントランスポーター(VMAT)を選択的にイメージングし得る。
【0253】
グアニジン基を有する放射性リガンドの例としては、限定なしに、m−ヨードベンジルグアニジン(mIBG)、m−ブロモベンジルグアニジン(mBBG)、p−フルオロベンジルグアニジン(pFBG)、4−フルオロ−3−ヨードベンジルグアニジン(FIBG)、4−アミノ−3−ヨードベンジルグアニジン、1−アミジノ−4−フェニルピペラジン及び1−アミジノ−4−(4−ヨードフェニル)ピペラジンが挙げられる。
【0254】
一部の実施形態では、放射性リガンドは、コリン作動性活性領域(例えば、コリン作動性シナプス)に選択的である。コリン作動性活性領域の例としては、例えば、交感神経節、副交感神経節、副交感神経シナプス(ここでは副交感神経節後ニューロンが臓器と連絡する)、神経筋接合部(ここでは体性ニューロンが筋肉と連絡する)、及び汗腺の交感神経シナプスが挙げられる。
【0255】
本明細書において、用語「コリン作動性」は、信号伝達にコリン誘導体、典型的にはアセチルコリンを使用することによって特徴付けられる活性を指す。
【0256】
本明細書及び当該技術分野では、語句「交感神経節」は、交感神経系のニューロンが集まる位置を指す。詳細には、「節前ニューロン」と称される、中枢神経系と交感神経節とを接続するニューロンが、「節後ニューロン」と称される、神経節を臓器に接続するニューロンと神経節の(コリン作動性)シナプスを介して連絡する。語句「交感神経節」は、本明細書では副腎髄質を包含し、副腎髄質のクロム親和性細胞は、本明細書では、シナプスではなく血中にエピネフリン及びノルエピネフリンなどのカテコールアミンを放出する節後交感神経細胞と見なされる。
【0257】
一部の実施形態では、放射性リガンドは、ニコチン性アセチルコリン受容体によって特徴付けられるコリン作動性活性領域に選択的である。ニコチン性アセチルコリン受容体によって特徴付けられる領域の例としては、例えば、交感神経節、副交感神経節、及び神経筋接合部が挙げられる。
【0258】
一部の実施形態では、放射性リガンドはニコチン性アセチルコリン受容体作動薬を含み、ここで少なくとも1つの原子が放射性(例えば、放射性炭素、放射性窒素、放射性酸素、及び/又は本明細書に記載されるとおりの放射性ハロゲン原子)である。本発明の一部の実施形態に係る放射性リガンドとして使用され得るニコチン性アセチルコリン受容体作動薬の例としては、限定なしに、アセチルコリン、コリン、カルバコール、ニコチン、エピバチジン、テバニクリン、5−IA−85380、SIB−1553A及びジメチルフェニルピペラジニウム(DMPP)が挙げられる。DMPPは、神経節型ニコチン受容体に選択的な作動薬の例である。
【0259】
本明細書全体を通して、放射性トレーサー(例えば、放射性リガンド)が(例えば、名称及び/又は式によって)記載される場合は常に、トレーサーの分子の少なくとも一部分における少なくとも1つの原子が放射性同位体であり、しかしながら放射性同位体はトレーサーの記載(例えば、名称及び/又は式)によって明示的に指示されないこともある点が理解されるべきである。各原子は放射性であっても又は非放射性であってもよい。例えば、ハロゲン原子(存在する場合)は放射性であっても(例えば、F−18、Br−76、Br−77、I−123、I−124、I−125、I−131)又は非放射性であってもよく;炭素原子は放射性であっても(例えば、C−11)又は非放射性であってもよく;窒素原子(存在する場合)は放射性であっても(例えば、N−13)又は非放射性であってもよく;及び酸素原子(存在する場合)は放射性であっても(例えば、O−15)又は非放射性であってもよい。当業者には、本明細書に記載される各トレーサーに(例えば、本明細書に記載されるとおりの)放射性同位体が含まれ得ることは明らかであろう。この知識、及び本明細書に提供される助言に基づけば、当業者には、PET又はSPECTなどの所与のイメージング技術に本明細書に記載される放射性トレーサーのどれを用い得るかは明らかであろう。例えば、少なくとも1つのヨウ素原子を含む放射性トレーサーはSPECTに特に好適であり、従ってトレーサーは、SPECTに特に好適なI−123を含み得る。
【0260】
一部の実施形態では、放射性リガンドはニコチン性アセチルコリン受容体拮抗薬を含む。本発明の一部の実施形態に係る放射性リガンドとして使用され得るニコチン性アセチルコリン受容体拮抗薬の例としては、限定なしに、GTS−21、AR−R17779、メカミラミン、トリメタファン(例えば、カンシル酸トリメタファン)、ヘキサメソニウム、ペントリニウム、クロリソンダミン、ペンピジン、ペンタミン、18−メトキシコロナリジン(18−MC)、18−メチルアミノコロナリジン(18−MAC)、2−メトキシエチル−18−メトキシコロナリジネート(methoxycoronaridinate)(ME−18−MC)が挙げられる。神経節型ニコチン受容体に選択的な拮抗薬の例としては、限定なしに、トリメタファン、ヘキサメソニウム、18−MC、18−MAC及びME−18−MCが挙げられる。
【0261】
一部の実施形態では、放射性リガンドは、ANS神経節に特異的な神経節型ニコチン性アセチルコリン受容体によって特徴付けられるコリン作動性活性領域との結合能を有し、それにより神経節のイメージングを促進する。一部の実施形態では、放射性リガンドは、神経節型ニコチン性アセチルコリン受容体によって特徴付けられる領域に選択的に結合し、それにより神経節の選択的なイメージングを促進する。
【0262】
一部の実施形態では、放射性リガンドは、ムスカリン性アセチルコリン受容体によって特徴付けられるコリン作動性活性領域に選択的である。ムスカリン性アセチルコリン受容体によって特徴付けられる領域の例としては、例えば、副交感神経シナプス、神経筋接合部(ここでは体性ニューロンが筋肉と連絡する)、及び汗腺の交感神経シナプスが挙げられる。
【0263】
一部の実施形態では、放射性リガンドはムスカリン性アセチルコリン受容体作動薬を含む。
【0264】
一部の実施形態では、放射性リガンドはムスカリン性アセチルコリン受容体拮抗薬を含む。当該技術分野において「MQNB」としても知られるクリジニウム(及びその塩)は、(例えば、N−メチル基でC−11によって)放射性標識されるのに好適なムスカリン性アセチルコリン受容体拮抗薬の例である。
【0265】
一部の実施形態では、放射性リガンドは、外分泌腺及び神経節と関連付けられるM1ムスカリン性アセチルコリン受容体;心臓に特異的なM2ムスカリン性アセチルコリン受容体;及び/又は平滑筋(例えば、内皮細胞)及び肺と関連付けられるM3ムスカリン性アセチルコリン受容体によって特徴付けられるコリン作動性活性領域との結合能を有し、それにより特定の組織のイメージングを促進する。一部の実施形態では、放射性リガンドは、M1ムスカリン受容体によって特徴付けられる領域に選択的に結合する。一部の実施形態では、放射性リガンドは、M2ムスカリン受容体によって特徴付けられる領域に選択的に結合する。一部の実施形態では、放射性リガンドは、M3ムスカリン受容体によって特徴付けられる領域に選択的に結合する。
【0266】
一部の実施形態では、放射性リガンドは作動薬と拮抗薬との混合物を含み、従って標的活性の潜在的に有害な作動作用又は拮抗作用の正味の大きさを最小限に抑えながら標的との結合を提供する。
【0267】
一部の実施形態では、放射性リガンドはベサミコール又はベサミコール誘導体、例えばベンゾベサミコール又はアザベサミコールである。
【0268】
一部の実施形態では、放射性リガンドは、一般式III:
又はその薬学的に許容可能な塩(式中、X及びYは、各々独立してN又はCHであり、破線が飽和結合を表すか、或いは、X及びYは各々Cであり、破線が飽和結合を表し;及び
30及びR31は、各々、水素、及び置換又は非置換フェニル、ベンジル又はベンゾイルからなる群から独立して選択されるか、或いは、R30及びR31が一緒になって置換又は非置換フェニル環を形成し(式中、X及びYは各々Cであり、且つ破線が不飽和結合を表す)、
少なくとも1つの原子が放射性(例えば、放射性炭素、放射性窒素、放射性酸素、及び/又は本明細書に記載されるとおりの放射性ハロゲン原子)である)を有する。
【0269】
一般式IIIの各原子は放射性であっても又は非放射性であってもよい。例えば、一般式IIIのハロゲン原子(存在する場合)は放射性であっても(例えば、F−18、Br−76、Br−77、I−123、I−124、I−125、I−131)又は非放射性であってもよく;一般式IIIの炭素原子(例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロ脂環式化合物中の)は放射性であっても(例えば、C−11)又は非放射性であってもよく;一般式IIIの窒素原子(例えば、示されるヘテロ脂環式基中の)は放射性であっても(例えば、N−13)又は非放射性であってもよく;及び一般式IIIの酸素原子(例えば、示されるヒドロキシ中の)は放射性であっても(例えば、O−15)又は非放射性であってもよい。
【0270】
一部の実施形態では、R30及び/又はR31が置換フェニル、ベンジル又はベンゾイルであり、各々はフェニル環上でハロ(例えば、本明細書に記載される放射性ハロゲン同位体)により置換されている。
【0271】
一部の実施形態では、式IIIのヒドロキシ基に結合した炭素原子が(R)キラリティーを有する。
【0272】
一部の実施形態では、式IIIのピペリジン環に結合したシクロアルキル又はヘテロ脂環式化合物炭素原子が(R)キラリティーを有する。一部の実施形態では、式IIIのヒドロキシ基に結合したシクロアルキル又はヘテロ脂環式化合物炭素原子及び式IIIのピペリジン環に結合した炭素原子が各々(R)キラリティーを有する。
【0273】
実施形態において、放射性リガンドはベサミコール(式中X及びYは各々CHであり、且つR30及びR31は各々水素である(例えば、C−11で放射性標識されたベサミコール))、又はその誘導体(R30及び/又はR31は水素ではない)である。
【0274】
一部の実施形態では、放射性リガンドはアザベサミコールであり、式中、X及びYの少なくとも一方がNである。一部の実施形態では、X及びYの一方がNである。YがNであり、且つXがCHであるとき、化合物はトロザミコールと称される。XがNであり、且つYがCHであるとき、化合物はプレザミコールと称される。4−フルオロベンジルトロザミコール(FBT)は、例えばF−18で放射性標識され得るトロザミコール放射性リガンドの例である。
【0275】
一部の実施形態では、X及び/又はYにより表される窒素原子が置換される一方、X及び/又はYにより表されるCHは置換されず、即ち、YがNであり、且つXがCHであるとき、R30は水素でなく、且つR31は水素であり、YがCHであり、且つXがNであるとき、R30は水素であり、且つR31は水素でない。
【0276】
一部の実施形態では、放射性リガンドはベンゾベサミコールであり、式中、R30及びR31は一緒になって置換又は非置換フェニル環を形成する。一部の実施形態では、R30及びR31は一緒になって、ハロ(例えば、ヨード)、ハロアルキル(例えば、フルオロアルキル)又はハロアルコキシ(例えば、フルオロアルコキシ)で置換されたフェニル環を形成する。一部の実施形態では、ハロアルコキシは2−フルオロエトキシである。任意選択で(例えば、本明細書に記載されるとおりの)放射性ハロゲン同位体で放射性標識され得るベンゾベサミコールの例としては、限定なしに、5−ヨードベンゾベサミコール(5−IBVM)及び5−フルオロエトキシベンゾベサミコール(FEOBV)が挙げられる。
【0277】
ベサミコール及び(例えば、本明細書に記載されるとおりの)ベサミコール誘導体を使用して、例えば、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)コリン作動性活性領域、例えば神経節におけるシナプス前コリン作動性ニューロンを選択的にイメージングし得る。
【0278】
一部の実施形態では、放射性リガンドは、米国特許第6,211,360号明細書(この内容は参照により本明細書に援用される)に記載されるとおりのイボガミン類似体、又はそのハロゲン化誘導体である。かかる類似体(例えば、18−MC、18−MAC及びME−18−MC)は、ニコチン受容体、特に神経節型ニコチン受容体の拮抗作用を呈する。
【0279】
一部の実施形態では、放射性リガンドは、一般式IV:
又はその薬学的に許容可能な塩(式中:
41〜R46は、各々独立して置換又は非置換アルキルであるか、或いは、R41〜R43のうちのいずれか2つ及び/又はR44〜R46のうちのいずれか2つが一緒になって3員、4員、5員、又は6員置換又は非置換ヘテロアリール環又はヘテロ脂環式環を形成し;及び
Lは、2〜10原子長の置換又は非置換炭化水素鎖であり、
少なくとも1つの原子が放射性(例えば、放射性炭素、放射性窒素、放射性酸素、及び/又は本明細書に記載されるとおりの放射性ハロゲン原子)である)を有する。
【0280】
一般式IVの各原子は放射性であっても又は非放射性であってもよい。例えば、一般式IVのハロゲン原子(存在する場合)は放射性であっても(例えば、F−18、Br−76、Br−77、I−123、I−124、I−125、I−131)又は非放射性であってもよく;一般式IVの炭素原子(例えば、アルキル中の)は放射性であっても(例えば、C−11)又は非放射性であってもよく;一般式IVの窒素原子(例えば、示されるアンモニウム基中の)は放射性であっても(例えば、N−13)又は非放射性であってもよく;及び一般式IVの酸素原子(存在する場合)は放射性であっても(例えば、O−15)又は非放射性であってもよい。
【0281】
本明細書で使用されるとき、「炭化水素鎖」は、置換又は非置換炭素骨格を含む直鎖を指す。炭化水素鎖は、鎖骨格内に1つ又は2つのヘテロ原子、例えばN、O及び/又はSを含み得る。例えば、炭化水素鎖は、アルキル−NR’−アルキル(式中、R’は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式化合物である)、アルキル−O−アルキル又はアルキル−S−アルキルであり得る。
【0282】
一部の実施形態では、炭化水素鎖は、アルキル基、例えば、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン又はデカメチレンである。
【0283】
一部の実施形態では、炭化水素鎖は鎖内にアミン基を含む。一部の実施形態では、炭化水素鎖はアルキル−NR’−アルキル(式中、R’は本明細書に定義するとおりである)である。一部の実施形態では、R’はアルキル(例えば、メチル)である。一部の実施形態では、炭化水素鎖は−CHCHN(CH)CHCH−である。
【0284】
一部の実施形態では、炭化水素鎖は5又は6原子長(例えば、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、CHCHN(R’)CHCH−)である。
【0285】
一部の実施形態では、R41〜R46は、各々独立して、1〜4炭素原子長の置換又は非置換アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル)であるか、或いは、R41〜R43のいずれか2つ及び/又はR44〜R46のいずれか2つが一緒になって、3員、4員、5員、又は6員置換又は非置換ヘテロ脂環式環、例えば3員アジリジン環、4員アゼチジン環、5員ピロリジン環又は6員ピペリジン環を形成する。一部の実施形態では、アルキルはメチル又はエチルである。一部の実施形態では、アルキルはメチルである。一部の実施形態では、ヘテロ脂環式環は置換又は非置換ピロリジン環である。
【0286】
一般式IVを有する化合物は二重に荷電しており、従ってそれが血液脳関門を大幅という程まで通過する可能性は低い。この特性は、脳におけるコリン作動性活性の阻害に伴う有害な副作用を低減するにおいて有用であり得る。
【0287】
放射性リガンドとして用いられ得る一般式IVを有する化合物には、ニコチン受容体、特に神経節型ニコチン受容体の拮抗薬、例えば、ヘキサメソニウム、ペントリニウム、ペンタミン及びクロリソンダミンが含まれる。
【0288】
一部の実施形態では、放射性リガンドは、一般式V:
G−J−K
式V
又はその薬学的に許容可能な塩(式中:
Gは置換又は非置換フェニル又はピリジニル部分であり;
Jは存在しないか、又はO、S、−O−アルキル−、−S−アルキル、−アルキル−O−及びアルキル−S−からなる群から選択され;及び
Kは、少なくとも1つの窒素原子を含む置換又は非置換ヘテロ脂環式環であり、
少なくとも1つの原子が放射性(例えば、放射性炭素、放射性窒素、放射性酸素、及び/又は本明細書に記載されるとおりの放射性ハロゲン原子)である)を有する。
【0289】
一般式Vの各原子は放射性であっても又は非放射性であってもよい。例えば、一般式Vのハロゲン原子(存在する場合)は放射性であっても(例えば、F−18、Br−76、Br−77、I−123、I−124、I−125、I−131)又は非放射性であってもよく;一般式Vの炭素原子(例えば、アルキル、アリール又はヘテロアリール中の)は放射性であっても(例えば、C−11)又は非放射性であってもよく;一般式Vの窒素原子(例えば、ピリジニル又はヘテロ脂環式化合物中の)は放射性であっても(例えば、N−13)又は非放射性であってもよく;及び一般式Vの酸素原子(例えば、J中の)は放射性であっても(例えば、O−15)又は非放射性であってもよい。
【0290】
式Vは、ニコチン(式中、Gがピリジン−3−イルであり、Jが存在せず、且つKがN−メチル−ピロリジン−2−イルである)及びその類似体を包含し、これは典型的にはニコチン受容体に対して作動性活性を呈する。
【0291】
一部の実施形態では、フェニル又はピリジニル部分は(例えば、Jに対してメタ位で)ハロ(例えば、クロロ、ヨード)に置換されている。一部の実施形態では、ハロは放射性同位体(例えば、本明細書に記載される放射性ヨウ素同位体)である。
【0292】
一部の実施形態では、Gは置換又は非置換フェニル又はピリジン−3−イルである。一部の実施形態では、ピリジン−3−イルは6−ハロ−ピリジン−3−イルであり、即ち、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)Jに対してメタ位でハロに置換されている。
【0293】
一部の実施形態では、Jは、1つ又は2つの炭素原子を有するアルキルを含む。一部の実施形態では、Jは、1つ又は2つの炭素原子を有するアルキル(例えば、CH、CHCH)を含む。一部の実施形態では、Jは−O−CHである。一部の実施形態では、Jは−S−CHCHである。
【0294】
一部の実施形態では、Kは置換又は非置換4員環、5員環又は6員環である。
【0295】
一部の実施形態では、Kは1つの窒素原子(例えば、置換又は非置換アゼチジン、ピロリジン又はピペリジン)又は2つの窒素原子(例えば、置換又は非置換イミダゾリジン又はピペラジン)を有する。
【0296】
Kが置換環であるとき、置換基は、ヘテロ脂環式環の1つ以上の窒素原子及び/又は1つ以上の炭素原子に結合していてもよい。例としては、限定なしに、N−メチル置換基、N,N−ジメチル置換基、C−メチル置換基、及びメチレン又はエチレン架橋が挙げられる。例えば、一部の実施形態ではKは7−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンであり、これはエチレン架橋によって置換されたピロリジン環である。
【0297】
一部の実施形態では、Kは、置換又は非置換ピロリジン−2−イル(例えば、N−メチル−ピロリジン(pyyrolidin)−2−イル)、ピロリジン−3−イル(例えば、7−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)、アゼチジン−2−イル(例えば、非置換アゼチジン−2−イル)及びピペラジニル(例えば、4,4−ジメチルピペラジン−1−イル)からなる群から選択される。
【0298】
放射性リガンドとして用いられ得る一般式Vを有する化合物の例としては、限定なしに、ニコチン、エピバチジン、DMPP、テバニクリン及び5−I−A−85380が挙げられる。
【0299】
本明細書に記載されるとおりの放射性トレーサーにおける放射性同位体の組込みは、当該技術分野で公知の様々な技法により実施され得る。
【0300】
一部の実施形態では、例えばVallabhajosula&Nikolopoulou[Semin Nucl Med 2011,41:324−33]により記載されるとおり、放射性ハロゲン(例えば、フッ素、臭素、ヨウ素)同位体が求電子及び/又は求核芳香族置換によって芳香環に結合される。
【0301】
一部の実施形態では、N−アルキル基(例えば、N−メチル、N−エチル)を含む化合物、例えば、DMPP、SIB−1553A、18−メチルアミノコロナリジン及び式IVに係る化合物(例えば、ヘキサメソニウム、ペントリニウム、ペンタミン及びクロリソンダミン)が、アミン基とC−11標識小分子(例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル)との求核反応によりN−アルキル基でC−11によって放射性標識される。
【0302】
多くの神経伝達物質及びその類似体は事実上血液脳関門を通過せず、従って脳に対する潜在的に有害な作用が低減又は回避されるため、末梢神経系のイメージングに特に有用であることが理解されるべきである。
【0303】
脳イメージングにおける使用に好適な、例えば血液脳関門を通過する能力を有する放射性リガンドの例としては、限定なしに、5−IBVM、ヨードベンズアミド、エピデプリド、イオマゼニル、5−I−A−85380、ADAM、アルトロパン、PE2I、イオフルパン、β−CIT(RTI−55)、RTI−121、RTI−229、RTI−352、TRODAT−1及びTROTEC−1が挙げられる。
【0304】
放射性標識され得るさらなるリガンド及びイメージングにおけるその使用、並びに放射性リガンドの調製技術が、Langer&Haldin[Eur J Nucl Med 2002,29:416−434]、Vallabhajosula&Nikolopoulou[Semin Nucl Med 2011,41:324−33]、Ross&Seibyl[J Nucl Med Tech 2004,32:209−214]、米国特許出願公開第2010/0221182号明細書及び米国特許第6,358,492号明細書、同第5,077,035号明細書及び同第5,789,420号明細書(各々の内容が参照により本明細書に援用される)に記載されている。
【0305】
本出願から特許成立までの期間に多くの関連する放射性同位体及び/又は放射性トレーサー、例えば放射性リガンドが開発されるであろうことが予想され、用語「放射性同位体」、「放射性トレーサー」及び「放射性リガンド」の範囲には、事前にかかる新規技術が全て含まれることが意図される。
【0306】
詳細には、本出願から特許成立までの期間にANS細胞に結合する放射性リガンドの多くの関連するファミリーが開発されるであろうことが予想され、用語「放射性リガンド」の範囲には、事前にかかる新規技術が全て含まれることが意図される。
【0307】
本明細書において、用語「アルキル」は、直鎖基及び分枝鎖基を含む飽和又は不飽和脂肪族炭化水素を表す。好ましくは、アルキル基は1〜20個の炭素原子を有する。本明細書において数値の範囲;例えば「1〜20」が挙げられるときは常に、その基、この場合にはアルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子等、最大20個(20個を含む)の炭素原子を含み得ることが含意される。より好ましくは、アルキルは、1〜10個の炭素原子を有する中型アルキルである。最も好ましくは、特に指示されない限り、アルキルは、1〜4個の炭素原子を有する低級アルキルである。アルキル基は置換又は非置換であってよい。置換アルキルは1つ以上の置換基を有してもよく、ここで各置換基は、独立して、例えば、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式化合物、アミン、ハロゲン化物、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、カルボキシ、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、カルバメート、アミド、及びヒドラジンであってもよい。
【0308】
不飽和のとき、アルキルは少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含んでもよく(その場合、「アルケニル」とも称され得る)、及び/又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含んでもよい(その場合、「アルキニル」とも称され得る)。
【0309】
アルキル基は、単一の隣接原子に結合する末端基(この語句が本明細書で定義されるとおりの)であってもよく、又は2つ以上の部分を接続する連結基(この語句が本明細書で定義されるとおりの)であってもよい。
【0310】
本明細書において、語句「末端基」は、化合物中の単一の部分にその1つの原子を介して結合する基(例えば、置換基)を表す。
【0311】
語句「連結基」は、化合物中の2つ以上の部分に結合する基(例えば、置換基)を表す。
【0312】
用語「シクロアルキル」は、環の1つ以上が完全に共役したπ電子系を有しない全炭素単環式基又は縮合環基(即ち、隣接する炭素原子対を共有する環基)を表す。シクロアルキル基は置換又は非置換であってよい。置換シクロアルキルは1つ以上の置換基を有してもよく、ここで各置換基は、独立して、例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式化合物、アミン、ハロゲン化物、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、カルボキシ、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、カルバメート、アミド、及びヒドラジンであってもよい。シクロアルキル基は、単一の隣接原子に結合する末端基(この語句が本明細書で定義されるとおりの)であってもよく、又は2つ以上の部分を接続する連結基(この語句が本明細書で定義されるとおりの)であってもよい。
【0313】
用語「アリール」は、完全に共役したπ電子系を有する全炭素単環式基又は縮合多環式基(即ち、隣接する炭素原子対を共有する環基)を表す。アリール基は置換又は非置換であってよい。置換アリールは1つ以上の置換基を有してもよく、ここで各置換基は、独立して、例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式化合物、アミン、ハロゲン化物、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、カルボキシ、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、カルバメート、アミド、及びヒドラジンであってもよい。アリール基は、単一の隣接原子に結合する末端基(この用語が本明細書で定義されるとおりの)であってもよく、又は2つ以上の部分を接続する連結基(この用語が本明細書で定義されるとおりの)であってもよい。
【0314】
用語「ヘテロアリール」は、環に1つ以上の原子、例えば、窒素、酸素及び硫黄を有し、加えて完全に共役したπ電子系を有する単環式基又は縮合環基(即ち、隣接する原子対を共有する環基)を表す。限定なしに、ヘテロアリール基の例としては、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン及びプリンが挙げられる。ヘテロアリール基は置換又は非置換であってよい。置換ヘテロアリールは1つ以上の置換基を有してもよく、ここで各置換基は、独立して、例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式化合物、アミン、ハロゲン化物、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、カルボキシ、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、カルバメート、アミド、及びヒドラジンであってもよい。ヘテロアリール基は、単一の隣接原子に結合する末端基(この語句が本明細書で定義されるとおりの)であってもよく、又は2つ以上の部分を接続する連結基(この語句が本明細書で定義されるとおりの)であってもよい。代表的な例は、ピリジン、ピロール、オキサゾール、インドール、プリンなどである。
【0315】
用語「ヘテロ脂環式化合物」は、環に1つ以上の原子、例えば窒素、酸素及び硫黄を有する単環式基又は縮合環基を表す。環はまた、1つ以上の二重結合も有し得る。しかしながら、環は完全に共役したπ電子系を有しない。ヘテロ脂環式化合物は置換又は非置換であってよい。置換ヘテロ脂環式化合物は1つ以上の置換基を有してもよく、ここで各置換基は、独立して、例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式化合物、アミン、ハロゲン化物、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、カルボキシ、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、カルバメート、アミド、及びヒドラジンであってもよい。ヘテロ脂環式基は、単一の隣接原子に結合する末端基(この語句が本明細書で定義されるとおりの)であってもよく、又は2つ以上の部分を接続する連結基(この語句が本明細書で定義されるとおりの)であってもよい。代表的な例は、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリンなどである。
【0316】
本明細書で使用されるとき、用語「アミン」及び「アミノ」は、両方ともに−NRxRy基−NRx−基(式中、Rx及びRyは、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロ脂環式化合物(これらの用語が本明細書で定義されるとおりの)である)を表す。Rx又はRyがヘテロアリール又はヘテロ脂環式化合物であるとき、アミン窒素原子はヘテロアリール環又はヘテロ脂環式環の炭素原子に結合する。
【0317】
従ってアミン基は、第一級アミン(Rx及びRyが両方ともに水素である)、第二級アミン(Rxが水素であり、且つRyが、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロ脂環式化合物である)、又は第三級アミン(Rx及びRyの各々が、独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロ脂環式化合物である)であり得る。
【0318】
用語「ハロゲン化物」及び「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0319】
用語「ハロアルキル」は、1つ以上のハロゲン化物でさらに置換されている、本明細書に定義するとおりのアルキル基を表す。
【0320】
用語「ホスホネート」は、−O−P(=O)(ORx)−基(Rxは本明細書に定義するとおり)を指す。
【0321】
用語「スルホキシド」又は「スルフィニル」は、−S(=O)Rx基(式中、Rxは本明細書に定義するとおりである)を表す。
【0322】
用語「スルホネート」及び「スルホニル」は、−S(=O)−Rx基(式中、Rxは本明細書に定義するとおりである)を表す。
【0323】
用語「スルホンアミド」は、本明細書で使用されるとき、S−スルホンアミド及びN−スルホンアミドの両方を包含する。
【0324】
用語「S−スルホンアミド」は、−S(=O)−NRxR基(Rx及びRは本明細書に定義するとおり)を表す。
【0325】
用語「N−スルホンアミド」は、RxS(=O)−NR−基(式中、Rx及びRは本明細書に定義するとおりである)を表す。
【0326】
用語「カルボニル」及び「アシル」は、本明細書で使用されるとき、−C(=O)−Rx基(Rxは本明細書に定義するとおり)を表す。
【0327】
用語「ヒドロキシ」及び「ヒドロキシル」は、−OH基を表す。
【0328】
用語「アルコキシ」は、本明細書に定義するとおりの、−O−アルキル及び−O−シクロアルキル基の両方を表す。
【0329】
用語「アリールオキシ」は、本明細書に定義するとおりの、−O−アリール及び−O−ヘテロアリール基の両方を表す。
【0330】
用語「チオヒドロキシ」は、−SH基を表す。
【0331】
用語「チオアルコキシ」は、本明細書に定義するとおりの、−S−アルキル基、及び−S−シクロアルキル基の両方を表す。
【0332】
用語「チオアリールオキシ」は、本明細書に定義するとおりの、−S−アリール及び−S−ヘテロアリール基の両方を表す。
【0333】
用語「シアノ」及び「ニトリル」は、−C≡N基を表す。
【0334】
用語「ニトロ」は、−NO基を表す。
【0335】
用語「アゾ」は、−N=N−Rx基(Rxは本明細書に定義するとおり)を表す。
【0336】
用語「カルボキシ」及び「カルボキシル」は、本明細書で使用されるとき、C−カルボキシ基及びO−カルボキシ基の両方を包含する。
【0337】
用語「C−カルボキシ」は、−C(=O)−ORx基(式中、Rxは本明細書に定義するとおりである)を表す。
【0338】
用語「O−カルボキシ」は、−OC(=O)−Rx基(式中、Rxは本明細書に定義するとおりである)を表す。
【0339】
用語「尿素」は、−NRxC(=O)−NRyRw基(式中、Rx及びRyは本明細書に定義するとおりであり、RwはRx及びRyについて本明細書に定義するとおりである)を表す。
【0340】
用語「チオ尿素」は、−NRx−C(=S)−NRyRw基(Rx、Ry及びRyは本明細書に定義するとおり)を表す。
【0341】
用語「アミド」は、本明細書で使用されるとき、C−アミド及びN−アミドの両方を包含する。
【0342】
用語「C−アミド」は、−C(=O)−NRxRy基(式中、Rx及びRyは本明細書に定義するとおりである)を表す。
【0343】
用語「N−アミド」は、RxC(=O)−NRy−基(式中、Rx及びRyは本明細書に定義するとおりである)を表す。
【0344】
用語「カルバミル」又は「カルバメート」は、本明細書で使用されるとき、N−カルバメート及びO−カルバメートの両方を包含する。
【0345】
用語「N−カルバメート」は、RyOC(=O)−NRx−基(Rx及びRyは本明細書に定義するとおり)を表す。
【0346】
用語「O−カルバメート」は、−OC(=O)−NRxRy基(Rx及びRyは本明細書に定義するとおり)を表す。
【0347】
用語「チオカルバミル」又は「チオカルバメート」は、本明細書で使用されるとき、O−チオカルバメート及びN−チオカルバメートの両方を包含する。
【0348】
用語「O−チオカルバメート」は、−OC(=S)−NRxRy基(Rx及びRyは本明細書に定義するとおり)を表す。
【0349】
用語「N−チオカルバメート」は、RyOC(=S)NRx−基(Rx及びRyは本明細書に定義するとおり)を表す。
【0350】
用語「グアニジン」は、−RxNC(=N)−NRyRw基(式中、Rx、Ry及びRwは本明細書に定義するとおりである)を表す。
【0351】
用語「ヒドラジン」は、本明細書で使用されるとき、−NRx−NRyRw基(Rx、Ry、及びRwは本明細書に定義するとおり)を表す。
【0352】
データ取得:
本明細書に記載される放射性トレーサーのいずれかを、任意の好適な核イメージング技術によって利用して、本明細書に記載されるとおりのイメージングにおいて使用される放射性トレーサーの体内分布に関する情報を含むデータ(本明細書では「放射性トレーサーデータ」とも称される)を取得し得る。本明細書に記載される態様及び実施形態のいずれか1つにおいて、好適な核イメージング技術としては、例えば、SPECT及びPETイメージング技術が挙げられる。例示的実施形態において、核イメージング技術はSPECTであり、放射性トレーサーは放射性mIBG(例えば、I−123−mIBG)である。
【0353】
本出願から特許成立までの期間に多くの関連する核イメージング技術及びシステムが開発されるであろうことが予想され、用語「核イメージング」、「放射性トレーサーデータ」、「SPECT」、「PET」及び「モダリティ」の範囲には、事前にかかる新規技術が全て含まれることが意図される。
【0354】
SPECT技術は、限定なしに、従来の標準SPECTイメージングモダリティ(例えば、「A−SPECT」とも称されるデュアル検出器アンガーカメラモダリティ)、心電図ゲートSPECT(GSPECT)モダリティ、呼吸ゲートSPECTモダリティ、SPECT−CTモダリティ(SPECT画像とX線CT画像との同時レジストレーション)、SPECT−MRIモダリティ(SPECT画像と核磁気共鳴画像との同時レジストレーション)及び/又は高速SPECTモダリティ、例えば多重走査検出器SPECTモダリティ(例えば、Spectrum Dynamicsから入手可能なものなどの、D−SPECT(商標)システム)、多重ピンホール検出器SPECTモダリティ(例えば、Discovery(商標)NM 530cシステム)、多重湾曲結晶SPECTモダリティ(例えば、CardiArc(登録商標)システム)及び/又は多重共焦点コリメータSPECTモダリティ(例えば、IQ−SPECTシステム)を含めた、当該技術分野において公知の任意のSPECTモダリティを含み得る。
【0355】
本発明の一部の実施形態によれば、SPECTモダリティは、A−SPECTモダリティ、心電図ゲートSPECT(GSPECT)モダリティ、SPECT−CTモダリティ及び多重走査検出器SPECTモダリティ(簡略に本明細書では「D−SPECT」モダリティとも称される)からなる群から選択される。
【0356】
「GSPECT」及び「心電図ゲートSPECT」は、例えば、Paul et al.[J Nucl Med Technol 2004,32:1798−187]により記載されるとおりの、周知のSPECTモダリティを指す。
【0357】
高速SPECTモダリティは、例えば、Garcia et al.[J Nucl Med 2011,52:210−217]により記載されている。
【0358】
一部の実施形態では、SPECTモダリティは一組のコリメータ、例えばスケールディビジョン(scale division:SD)コリメータを含む。任意選択で、実施例14について10〜20個のコリメータが使用される。任意選択で、走査パターンは周囲360度にわたり約360個の位置を含む。
【0359】
一部の実施形態では、使用される再構成アルゴリズムは、サブセット化による期待値最大化法(ordered−subsets expectation maximization:OSEM)及び/又は深さ依存分解能補正(resolution recovery:RR)である。
【0360】
一部の実施形態では、ピクセルサイズは約2.5ミリメートル〜約4.9mmである。
【0361】
SPECTが使用される一部の実施形態では、対象がI−123放射性標識トレーサー、例えばI−123放射性標識mIBGを、任意選択で約2mCi〜12mCi、及び任意選択で3mCi〜8mCi、例えば約5mCiの用量で注入される。
【0362】
PET技術は、限定なしに、従来のPETイメージングモダリティ、心電図ゲートPETモダリティ、呼吸ゲートPETモダリティ、PET−CTモダリティ(PET画像とX線CT画像との同時レジストレーション)及び/又はPET−MRIモダリティ(PET画像と核磁気共鳴画像との同時レジストレーション)を含めた、当該技術分野において公知の任意のPETモダリティを含み得る。
【0363】
ゲートPETモダリティについては、例えば、Buther et al.[J Nucl Med 2009,50:674−681]により記載される。
【0364】
PET又はSPECTデータとCT及び/又は核磁気共鳴イメージング(MRI)データとの同時レジストレーションは、本明細書に記載されるとおりの、一部の実施形態に係る分析に使用される解剖学的データ(例えば、CT及び/又はMRI解剖学的データ)を入手するのに有用であり得ることが理解されるべきである。
【0365】
一部の実施形態では、データ(例えば、SPECT又はPETデータ)はセグメント毎、例えば数センチメートルの寸法のセグメント毎に生成される。
【0366】
一部の実施形態では、データ(例えば、SPECT又はPETデータ)は約1cm×1cm×1cmの品質空間分解能又はそれ以上(即ち、より高い分解能)で再構成される。一部の実施形態では、分解能は約7mm×7mm×7mm又はそれ以上である。一部の実施形態では、分解能は約5mm×5mm×5mm又はそれ以上である。一部の実施形態では、分解能は約3mm×3mm×3mm又はそれ以上である。
【0367】
一部の実施形態では、データ(例えば、SPECT又はPETデータ)は、少なくとも1ボクセル毎立方センチメートルの空間分解能で再構成される。一部の実施形態では、空間分解能は少なくとも3ボクセル毎立方センチメートルである。一部の実施形態では、空間分解能は少なくとも10ボクセル毎立方センチメートルである。一部の実施形態では、空間分解能は少なくとも30ボクセル毎立方センチメートルである。
【0368】
任意選択で、データは非立方体ボクセル構造で再構成される。任意選択で、SPECTデータは、臓器壁(例えば、心筋壁)の幾何学的形状など、イメージングする物体のモデルと整列するボクセルで再構成される。
【0369】
一部の実施形態では、放射性トレーサーデータ取得は、最長約20分の期間(例えば、放射性トレーサーデータを取得するための本明細書に記載される期間)にわたる光子取得を含む。一部の実施形態では、光子取得は最長約15分間である。一部の実施形態では、光子取得は最長約10分間である。一部の実施形態では、光子取得は最長約5分間である。一部の実施形態では、光子取得は最長約3分間である。一部の実施形態では、光子取得は最長約2分間である。一部の実施形態では、光子取得は約2〜8分間である。一部の実施形態では、光子取得は約8分間である。一部の実施形態では、光子取得は約10分間である。
【0370】
一部の実施形態では、データは複数の時点で取得され、例えばここでは各時点につき一セットのデータが取得される。任意選択で複数の時点からのデータセットを使用して異なる時点、例えば治療前及び治療後のシナプス中心放射性トレーサー分布及び/又はニューロン活性が特徴付けられ得る。それに加えて又は代えて、任意選択で複数の時点からのデータセットが、身体領域における放射性トレーサー濃度の(例えば、複数の時点を包含するある期間における)変化率に用いられ得る。一部の実施形態では、放射性トレーサーを投与した後の1つ以上の時点について検出される放出が、放射性同位体崩壊に起因する放射線放出の指数関数的減少(これは放射性トレーサーの空間分布の変化を反映しない)を考慮に入れるため調整される。
【0371】
本明細書で使用されるとき、語句「時点」は、例えば放射性トレーサーの空間分布を決定するための技術の時間分解能に応じた、非無限小の持続期間を有する期間を包含する。
【0372】
一部の実施形態では、第1の(例えば、約10分の)データ取得ステップに続いて待機期間があり、それにさらに第2の(例えば、約10分の)データ取得ステップが続く。一部の実施形態では、データ取得ステップの間の待機期間は約5、約10、約20、約30、約45、約60、約90、及び約120分又は任意の中間的な又はそれより長い期間である。一部の実施形態では、待機期間は約5〜約30分である。一部の実施形態では、待機期間は約20〜約60分である。一部の実施形態では、待機期間は約30〜約120分である。一部の実施形態では、待機期間は約1〜約5時間である。一部の実施形態では、待機期間は約2〜約48時間である。
【0373】
一部の実施形態では、体のある領域の信号がその領域における放射性トレーサーの濃度と相関付けられる形式のデータが使用される(例えば、信号は単純に体のその領域から放出された放射能の検出量を表す)。
【0374】
一部の実施形態では、データは、放射性トレーサー分布の時間依存性を含む(任意選択で放射性同位体崩壊に起因する変化を示さないように調整される)。
【0375】
一部の実施形態では、放射性トレーサー分布の時間依存性は、体のある領域における放射性トレーサーの濃度の変化率を含む。
【0376】
一部の実施形態では、放射性トレーサー分布の時間依存性は、刺激に対する応答、例えば、刺激前の放射性トレーサー分布を表すデータ並びに刺激の最中及び/又は刺激後の放射性トレーサー分布を表すデータを含む。
【0377】
本明細書で使用されるとき、用語「刺激」は、放射性トレーサー分布を変化させ得る形で(例えば、シナプス中心の特徴付けを促進する形で)対象の体に影響を及ぼすことを意図する任意の作用を包含する。一部の実施形態では、刺激は、ニューロン活性を刺激することを含む。刺激の例としては、限定なしに、電気的刺激(例えば、電圧及び/又は電流の印加)、化学的刺激(例えば、生物学的に活性な薬剤の投与)、機械的な刺激(例えば、物理的接触)、熱的刺激(例えば、温度の変化)、及び運動が挙げられる。
【0378】
一部の実施形態では、2つ以上の刺激が実施される。一部の実施形態では、異なるタイプの刺激が実施される。
【0379】
一部の実施形態では、体のある領域の信号がその領域における放射性トレーサー濃度の変化と相関付けられる形式のデータが使用され、この変化は、データが取得される2つ以上の時点の間のものである(任意選択で放射性同位体崩壊に起因する変化を示さないように調整される)。一部の実施形態では、信号は、体のその領域における放射性トレーサー濃度の変化率を表す。
【0380】
一部の実施形態では、信号は、2つの異なる時点に体の領域から放出された検出放射能の差を表す。一部の実施形態では、この差は変化率を表す(例えば、差を2時点の間の時間間隔で除すことによる)。一部の実施形態では、差は刺激に対する応答を表す。
【0381】
一部の実施形態では、信号は、3時点又はそれ以上の経過にわたり体の領域から放出された検出放射能の変化を表し、例えば、信号は変化率を表すものである。
【0382】
一部の実施形態では、変化率を表す信号は時間依存的であり、即ち、異なる時点について異なる変化率が、例えば3つの時点又はそれ以上について生成されたデータ点に曲線を当てはめることにより、及び/又は一対の隣接する時点間の変化率を複数の異なる対について決定することにより決定される。一部の実施形態では、変化率は刺激前並びに刺激の最中及び/又は刺激後に決定される。
【0383】
放射性トレーサー濃度の一般的な変化の例には、取込み率及び流失率が含まれる。「取込み」は、ある場所におけるトレーサーの蓄積を指し、典型的にはトレーサーの注入直後に顕著である。「流失」は、ある場所からのトレーサーの漸進的なクリアランスを指し、典型的には後の段階で取込み率が大きく低下した後に(例えば、循環中にほとんどトレーサーが残っていないときに)顕著である。典型的には、トレーサーと標的(例えば、シナプス中心)との特異的結合は、非特異的結合と比べて高い取込み率及び低い流失率によって特徴付けられる。
【0384】
一部の実施形態では、放射性トレーサーが特異的に結合するシナプス中心の同定を促進するため取込み率及び/又は流失率が決定される。
【0385】
一部の実施形態では、取込み率及び/又は流失率は、2つ以上の率の合計として特徴付けられる。例えば、取込み及び/又は流失は、任意選択で双指数関数動態モデルを当てはめ得る。
【0386】
一部の実施形態では、任意選択で、(例えば、複数の時点におけるデータの取得により観察されるとおりの)放射性トレーサー濃度の変化を処理することにより、1つ以上の取込み率及び/又は1つ以上の流失率が(例えば、動態モデルに対する最良適合を求めることにより)計算される。
【0387】
一部の実施形態では、データ取得は放射性トレーサーの注入間に遅延を経て実施され、ここで遅延の長さは、非特異的に結合する放射性トレーサーの相当の流失を可能にするが、しかしシナプス中心で特異的に結合する放射性トレーサーの過剰な流失はないように選択される。当業者は、任意の所与の放射性トレーサーに好適な遅延を、例えば前回のイメージングセッションに基づき流失率を実験的に決定することにより、特異的及び非特異的に結合するトレーサーの流失率に基づき決定することができるであろう。それに加えて又は代えて、データ取得はかかる遅延なしに実施され、従って取込み過程を示すデータが任意選択で取得され得る。
【0388】
一部の実施形態では、刺激は、シナプス中心における放射性トレーサーの分布に特異的に影響を及ぼすように選択される。任意選択で、かかる刺激に対する応答の検出を用いて、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)シナプス中心がシナプス中心でない領域と区別され、及び/又はシナプス中心間が区別され得る。それに代えて又は加えて、応答それ自体が、任意選択で、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)臨床的に有用な情報を含み得る。
【0389】
一部の実施形態では、刺激は、少なくとも1つのシナプス中心における活性の増強又は阻害を含む。一部の実施形態では、シナプス中心に至る1つ以上のニューロン(例えば、神経線維)が、例えば電気的、化学的及び/又は機械的刺激によって刺激される。
【0390】
一部の実施形態では、活性の増強は、神経伝達物質の放出(例えば、ノルエピネフリンの放出)を刺激する生物学的に活性な薬剤を使用して、化学的刺激により達成される。調節は、例えば対象への生物学的に活性な薬剤の局所及び/又は全身投与により達成され得る。チラミンは、アドレナリン作動性神経伝達物質(例えば、ノルエピネフリン)の放出を刺激する生物学的に活性な薬剤の例である。
【0391】
一部の実施形態では、シナプス中心における活性は、放射性トレーサー濃度の変化率に影響を及ぼす。任意選択で、かかる現象を用いて、刺激が(例えば、本明細書に記載されるとおりの)活性に及ぼす効果が解釈され、及び/又は(例えば、本明細書に記載されるとおりの)刺激の非存在下における活性のレベルが決定され得る。
【0392】
一部の実施形態では、シナプス中心における活性の増強は、例えば取込み率の増加による、放射性トレーサー濃度の相対的増加(例えば、任意選択で減少率の低下)をもたらす。
【0393】
一部の実施形態では、シナプス中心における活性の阻害は、例えば取込み率の減少による、放射性トレーサー濃度の相対的減少(例えば、任意選択で増加率の低下)をもたらす。
【0394】
一部の実施形態では、シナプス中心の活性は放射性トレーサーの取込み率と正の相関を有する。
【0395】
一部の実施形態では、シナプス中心における活性の増強は、例えば流失率の増加による、放射性トレーサー濃度の相対的減少(例えば、任意選択で増加率の低下)をもたらす。
【0396】
一部の実施形態では、シナプス中心における活性の阻害は、例えば流失率の減少による、放射性トレーサー濃度の相対的増加(例えば、任意選択で減少率の低下)をもたらす。
【0397】
一部の実施形態では、シナプス中心の活性は放射性トレーサーの流失率と正の相関を有する。一部の実施形態では、シナプス中心の活性はまた、放射性トレーサーの取込み率と正の相関を有する。
【0398】
一部の実施形態では、シナプス中心活性と放射性トレーサーの量及び/又はその変化率との相関(例えば、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに係る正又は負の相関)を使用して、放射性トレーサーの量及び/又はその変化率を表すデータに基づきシナプス中心のレベル活性が決定される。
【0399】
一部の実施形態では、シナプス前ニューロン(例えば本明細書に記載されるとおりの神経伝達物質又はその類似体)への取込みを受ける放射性トレーサーは、神経伝達物質の放出速度に依存する速度でニューロンから流出し、例えば、ここでトレーサーは神経伝達物質と共に放出され;及び任意選択でこの相関を使用して、(例えば、神経伝達物質の放出速度により示されるとおりの)シナプス活性のレベルが決定される。一部のかかる実施形態において、シナプス中心が活性化するとニューロンからの放射性トレーサーの流出が促進されるため、流失率が増加する。一部の実施形態では、放射性トレーサーは、本明細書に記載される一般式IIを有する。一部の実施形態では、放射性トレーサーは、放射性mIBG(例えば、I−123−mIBG)である。
【0400】
一部の実施形態では、神経伝達物質受容体のリガンド(例えば本明細書に記載されるとおりの受容体作動薬又は拮抗薬)である放射性トレーサーは、受容体との結合に利用可能な神経伝達物質の量に依存する速度で受容体から放出され、例えば、ここでトレーサー及び神経伝達物質は同じ受容体結合部位に関して競合し;及び任意選択でこの相関を使用して、(例えば、受容体との結合に利用可能な神経伝達物質の量により示されるとおりの)シナプス活性のレベルが決定される。一部のかかる実施形態において、シナプス中心が活性化するとシナプスにおける神経伝達物質の量が増加し、それによりトレーサーに利用可能な結合部位の量が減少するため、流失率が増加する。
【0401】
一部の実施形態では、刺激は、放射性トレーサーの取込みの化学的調節を含む。この調節は、例えば対象への生物学的に活性な薬剤の局所及び/又は全身投与により行われ得る。
【0402】
一部の実施形態では、生物学的に活性な薬剤は、トレーサーの取込みを促進するタンパク質(例えば、トランスポーター)の阻害薬である。一部の実施形態では、生物学的に活性な薬剤は、放射性トレーサー(例えば本明細書に記載されるとおりの神経伝達物質又はその類似体)を輸送する神経伝達物質トランスポーターの阻害薬である。一部の実施形態では、生物学的に活性な薬剤は、当該技術分野においてノルエピネフリン再取込み阻害薬(NRI)としても知られる、ノルエピネフリントランスポーター(NET)の阻害薬である。NRIの例としては、限定なしに、選択的NRI、例えば、アメダリン、アトモキセチン、CP−39,332、ダレダリン、エディボキセチン、エスレボキセチン、ロルタラミン、マプロチリン、マジンドール、ニソキセチン、ノミフェンシン、レボキセチン、タロプラム、タルスプラム、タンダミン及びビロキサジン、並びに非選択的NRI、例えば、ブプロピオン、シクラジンドール、デシプラミン、マニファキシン、ラダファキシン、タペンタドール及びテニロキサジンが挙げられる。
【0403】
神経伝達物質トランスポーターの阻害薬は、医薬品開発の共通の目標である。従って、本出願から特許成立までの期間に多くの関連する神経伝達物質トランスポーター阻害薬が開発されるであろうことが予想され、用語「神経伝達物質トランスポーターの阻害薬」の範囲には、事前にかかる新規技術が全て含まれることが意図される。
【0404】
一部の実施形態では、刺激によって生じる活性の変化は必ずしも活性の増加又は減少として同定されるものではなく、単に挙動の変化として同定される。例えば、一部の実施形態では、(例えば、所与のシナプス中心及び/又は放射性トレーサーについて)シナプス中心活性がシナプス中心における放射性トレーサーの濃度と正の相関を有するか、それとも負の相関を有するかが不明であり得る。
【0405】
一部の実施形態では、刺激は、神経系の特定のサブシステムに影響を及ぼすものとして特徴付けられる。
【0406】
一部の実施形態では、刺激は、主として(例えば、副交感神経系とは対照的なものとしての)交感神経系に影響を及ぼすように選択される。
【0407】
一部の実施形態では、刺激は、主として(例えば、交感神経系とは対照的なものとしての)副交感神経系に影響を及ぼすように選択される。
【0408】
一部の実施形態では、刺激は、主として(例えば、体性神経系とは対照的なものとしての)自律神経系に影響を及ぼすように選択される。
【0409】
自律神経系の多くの刺激は、その交感神経枝又は副交感神経枝に特異的な刺激を含め、当該技術分野において公知である。
【0410】
一部の実施形態では、刺激は、主として(例えば、自律神経系とは対照的なものとしての)体性神経系に影響を及ぼすように選択される。例えば意識行動は、典型的には、例えば自律神経系とは対照的なものとしての、体性神経系の同定可能な領域に影響を及ぼす。
【0411】
一部の実施形態では、(例えば、所与の期間内にボリューム当たりに検出される放出により示されるとおりの)放射性トレーサー濃度が、シナプス活性のレベル(例えば、シナプスによって伝達される神経パルスの数)と正の相関を有する。一部の実施形態では、かかる相関を使用してシナプス活性のレベルが決定される。一部の実施形態では、かかる相関を使用して、シナプスの量(例えば、所与の領域におけるシナプス密度)を決定する際の信号が正規化される。
【0412】
一部の実施形態では、放射性トレーサー濃度が放射性トレーサーの血中濃度と相関を有する。一部の実施形態では、かかる相関を使用して、シナプスの量(例えば、シナプスによって伝達される神経パルスの数)及び/又はシナプスの活性(例えば、所与の領域におけるシナプス密度)を決定する際の信号が正規化される。一部の実施形態では、本方法は、放射性トレーサーの血中レベルを(例えば、血液検査により)決定するステップをさらに含む。
【0413】
一部の実施形態では、放射性トレーサーの濃度が神経伝達物質、例えば、ノルエピネフリン(例えば、アドレナリン作動性シナプスに選択的な放射性トレーサーの場合)又はアセチルコリン(例えば、コリン作動性シナプスに選択的な放射性トレーサーの場合)の血中レベルと(例えば、取込み部位及び/又は受容体部位におけるトレーサーと神経伝達物質との間の競合に起因して)逆相関を有する。一部の実施形態では、かかる相関を使用して、シナプスの量(例えば、シナプスによって伝達される神経パルスの数)及び/又はシナプスの活性(例えば、所与の領域におけるシナプス密度)を決定する際の信号が正規化される。一部の実施形態では、本方法は、少なくとも1つの神経伝達物質の血中レベルを(例えば、血液検査により)決定するステップをさらに含む。
【0414】
シナプス中心のデータ分析及び同定:
一部の実施形態では、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つにより取得され及び任意選択で処理されるデータは、シナプス中心を同定するため分析される。かかるデータには、必ずしも限定されるものではないが、本明細書に記載される放射性トレーサーデータ(例えば、本明細書に記載される核イメージング技術を用いて得られる)が含まれる。例えば、データには、任意選択で、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つにより取得される解剖学的データがさらに含まれる。
【0415】
少なくとも1つの(本明細書に記載されるとおりの)シナプス中心を同定することにより生成された情報の提示は、本明細書では、少なくとも1つのシナプス中心を含む「モデル」と称される。この情報は、モデルの生成及び/又は更新及び/又は変更に用いられ得る。
【0416】
図3は、本発明の一部の実施形態における、少なくとも1つのシナプス中心を同定することにより情報を入手する方法300のフローチャートである。
【0417】
ステップ302〜306は、本明細書に記載される一部の実施形態に係るデータ取得の動作を表す。
【0418】
302において、操作者(例えば、医師)がイメージング及び/又はモデリングタイプ(例えば、本明細書に記載されるSPECT又はPETモダリティ)を選択し得る。任意選択で、これは所望の診断に基づく。304において、本明細書に記載される放射性トレーサーのいずれか1つ、又はそれらの任意の組み合わせが患者に注入される。306において、放出される放射線を捕捉することにより(例えば、本明細書に記載されるとおりの)イメージングに好適なデータが取得され、任意選択で画像として再構成され得る。一部の実施形態では、実際の画像は再構成されない。任意選択で、放出放射線を用いてモデルのパラメータが決定され、又はモデルが生成される。
【0419】
任意選択で、1つ以上の所定の閾値及び/又は規則に基づきGPが同定される。ステップ308〜314は、本明細書に記載される一部の実施形態に係る、少なくとも1つのシナプス中心の存在を同定するための任意選択の技法を表し、これは単独で用いられても、又は組み合わせで用いられてもよい。
【0420】
308において、任意選択でサイズ及び/又は形状フィルタを使用して、イメージングされるシナプス中心、例えば神経節のサイズ及び/又は形状を有するブロブ(即ち、比較的高い放射線放出によって特徴付けられる領域)が同定される。本発明の一部の実施形態では、神経節の形状は、球形、卵形及び扁桃形(アーモンド形状)からなる群から選択される形状であり、及び/又は2〜10mmの直径を有するものと仮定される。予想されるサイズ及び/又は形状及び/又は活性レベルはシナプス中心を探索する場所に依存し得ることに留意しなければならない。一部の実施形態では、シナプス中心は放出レベルに従い同定されてもよく、例えば、ある範囲の放出レベルを呈するブロブがシナプス中心と同定され得る。
【0421】
一部の実施形態では、シナプス中心(例えば、GP)は、(例えば、心外膜神経節神経叢に関して)少なくとも約4×4×4mmのサイズを有する物体として同定される。
【0422】
一部の実施形態では、シナプス中心(例えば、GP)は、(例えば、心筋神経節神経叢に関して)少なくとも約2×2×2mmのサイズを有する物体として同定される。
【0423】
それに代えて又は加えて、シナプス中心は、任意選択で、特定の領域の信号(例えば、放出強度)を周囲領域の信号と比較することにより同定され得る。例えば、シナプス中心は、任意選択で、ある領域の全信号(例えば、放出強度)が平均信号を標準偏差の所定の倍数だけ上回り、及び/又は隣接する領域の信号が(例えば、ボリュームに関して相関した)シナプス中心と関連付けられる領域における信号の所定の割合(例えば、半分)未満であるという規則を満たす領域に同定されてもよい。任意選択で、使用者は所定の倍数及び/又は所定の割合を選択及び/又は変更し得る。例えば、別の所定の倍数(標準偏差の倍数)及び/又は(隣接する信号に対する)別の所定の割合を使用して異なるタイプのシナプス中心が同定されてもよい。
【0424】
310において、シナプス中心を探すゾーンが任意選択で画定される。任意選択で複数のゾーンが画定され、例えば、異なるゾーンにおいて異なる成分が探索される。任意選択で、ゾーンの範囲内で、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)シナプス中心を見つけ出す他の方法が適用される。一部の実施形態では、ゾーンは、解剖学的データの取得に関連して本明細書に記載される実施形態のいずれか1つにより取得された解剖学的データ(例えば、解剖学的画像)に従い画定される。
【0425】
一部の実施形態では、ゾーンは、イメージングする神経組織に関連する臓器に基づき画定される。一部の実施形態では、シナプス中心は、臓器の外壁から特定の距離、例えば、0.1〜20mmに位置すると仮定され、及び/又は臓器壁及び/又はその特定の一部分に部分的又は完全に埋もれていると仮定される。一部の実施形態では、シナプス中心(例えば、神経支配を受ける臓器の表面を終端とする神経の凝集物)が、シナプス中心を同定するため、例えば予想される臓器表面の3mm内側及び外側の領域を画定することにより選択的にイメージングされる。一部の実施形態では、臓器又は他の組織上にある解剖学的目印を使用してゾーンが画定される。任意選択で、各臓器が、ゾーンを指示するイメージングプロトコルを有する。ある場合には、ブロブがシナプス中心として同定される可能性はその位置に依存し、位置は各臓器に特異的であってもよく、及び/又は患者又は同様の特徴を備える他の患者の以前の画像に基づいてもよい。
【0426】
一部の実施形態では、個々のシナプス中心の同定ではなく、シナプス中心の密度が特徴付けられる。
【0427】
一部の実施形態では、目的の臓器の幾何学的モデルを提供し、次にそれを、放射線放出を検出するための核イメージングカメラのイメージングボリュームと相関付けることにより、幾何学的領域が標的にされる。その後、シナプス中心として潜在的に同定するため、臓器に対する目的の領域に適合する放射線カウントが分析され得る。任意選択で、この相関は臓器の既知の放射線放出挙動を使用し、これを用いて、少なくともモデルの拡大縮小及び/又は回転に用いるのに十分に詳細な、その再構成が提供され得る。ある場合には、臓器のモデルはCTイメージングを用いて提供される。ある場合には、臓器モデルは、具体的なイメージングに従い変更される数学的モデルである。一部の実施形態では、モデルは、例えば特定のサイズの神経節に関して、目的の相対位置を定義する。
【0428】
一部の実施形態では、ゾーンは周囲組織型に基づき画定される。例えば、一部の実施形態では、脂肪として放出する領域が、任意選択で、目的のシナプス中心も含むものと仮定される。別の例において、ゾーンは、特定の直径の血管構造であるように画定される。
【0429】
一部の実施形態では、1つ以上の時間フィルタ(312)を使用してシナプス中心が同定され得る。一部の実施形態では、呼吸により引き起こされるなどする既知の交感神経サイクルを使用して、例えば呼吸又は心拍動と一致する、時間の関数として変化する顕著な成分が放出に含まれる組織が検出される。
【0430】
一部の実施形態では、1つ以上のトリガフィルタ(314)が使用され得る。一部の実施形態では、例えば本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに係る、シナプス中心活性(例えば、自律神経系活性)に対して効果を有することが予想される刺激が、トリガとして使用される。任意選択で、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つにより取得される放射性トレーサーデータを分析することにより、比較的高濃度の放射性トレーサーによって特徴付けられ、且つトリガに対して応答を呈するシナプス中心、例えば組織が選択的に同定される。
【0431】
本発明の一部の例示的実施形態では、本明細書に記載されるシナプス中心同定方法の1つ以上が反復して用いられ得る。潜在的なシナプス中心を同定するためある方法が適用された後、その方法が、例えば同定を微調整し若しくは修正するため及び/又はより良好な診断を裏付けるため、再度適用され得る。
【0432】
一部の実施形態では、本方法は、動作308を含む。
【0433】
一部の実施形態では、本方法は、動作310を含む。
【0434】
一部の実施形態では、本方法は、動作312を含む。
【0435】
一部の実施形態では、本方法は、動作314を含む。
【0436】
一部の実施形態では、本方法は、動作308及び310を含む。
【0437】
一部の実施形態では、本方法は、動作308及び312を含む。
【0438】
一部の実施形態では、本方法は、動作308及び314を含む。
【0439】
一部の実施形態では、本方法は、動作310及び312を含む。
【0440】
一部の実施形態では、本方法は、動作310及び314を含む。
【0441】
一部の実施形態では、本方法は、動作310及び314を含む。
【0442】
一部の実施形態では、本方法は、動作308、310及び312を含む。
【0443】
一部の実施形態では、本方法は、動作308、310及び314を含む。
【0444】
一部の実施形態では、本方法は、動作308、312及び314を含む。
【0445】
一部の実施形態では、本方法は、動作310、312及び314を含む。
【0446】
一部の実施形態では、本方法は、動作308、310、312及び314を含む。
【0447】
一部の実施形態では、異なるタイプのシナプス中心が、その異なる挙動に基づき区別され得る。一部の実施形態では、交感神経シナプス中心と副交感神経シナプス中心とが異なるトレーサーを取り込み得るとともに、例えばマルチエネルギーイメージャを使用して放射線データが取得される場合には、異なる画像を生成し得る。一部の実施形態では、異なるタイプのシナプス中心が異なる時間サイクル及び/又は1つ以上の刺激に対する異なる応答を有する。一部の実施形態では、取得された放射性トレーサーデータの分析に使用されるデータ分析システム(例えば、コンピュータ)は、目的の様々な組織型の異なる特性をそこに記憶するメモリを有する。任意選択で、又は代わりに、かかる違いに基づきシナプス中心が非神経組織と区別される。
【0448】
316において、神経系(例えばANS)モデルが、任意選択で、画像取得に基づきデータによって生成され、ポピュレートされ(例えば、同定されたシナプス中心をモデルに加えることによる)、及び/又は精緻化され、任意選択で表示(324)に使用される。例えば、画像データは同定された異なるシナプス中心の数及び/又は相対活性強度を提供し得る。
【0449】
一部の実施形態では、モデルそれ自体は生成されない;むしろ、収集された情報を任意選択で既存の一組のモデルと照合することにより、使用する(例えば、及び収集データを使用してポピュレートする)のに最も有用なモデルが決定される。
【0450】
一部の実施形態では、モデルの適合及び/又は精緻化には、任意選択で、関連する解剖学的領域及び/又は臓器に関する解剖学的データ(318)(臓器データとも称される)もまた使用され得る。解剖学的データは、解剖学的データの取得に関連して本明細書に記載される実施形態のいずれか1つにより取得され得る。
【0451】
臓器データを収集することに加えて又は代えて、他のデータ(320)、例えば、血中ホルモンレベルが任意選択で収集され、モデリング作業(例えば、データを収集し、且つデータが適合するようにモデルを生成及び/又は変更する作業)に提供される。
【0452】
モデル用のデータは、適用に応じて例えば数秒、数分、数時間又は数日以内に再取得され及び/又は更新され得る。例えば、刺激に対するシナプス中心(例えば、神経節)の応答をマッピングする場合、放射性トレーサーデータは任意選択で刺激前、刺激の最中及び/又は刺激後に取得される。刺激は、数秒以内(例えば、光フラッシュ)又は数分以内(例えば、注入による化学的刺激)若しくは数時間以内に(例えば、心房細動を生じさせる高頻度心房ペーシング)又は持続的に(例えば運動選手における身体トレーニング又は血行再建後の心筋の効果若しくはリモデリング)送達され得るものがある。
【0453】
322において、モデルが任意選択で分析され、324において、モデル(例えば、静的又は動的)及び/又は分析結果が任意選択で使用者に表示され、及び/又はさらなる分析システム及び/又は記憶装置に送られる。
【0454】
モデル情報(例えば、モデルを生成し、変更し及び/又は他の形で更新するために収集され又は他の形で受け取られる情報)は、また非イメージング検査から生成されてもよいことは理解されるべきである。例えば、ANSのモデルが特定の状況下で特定の挙動を予測する場合、その状況の測定及び結果を使用して既存のモデルがキャリブレーションされ得る。任意選択で、かかる既存のモデルは、シナプス中心の(例えば、一般集団の組織の正常な構成を使用して)解剖学的に生成されたネットワークを使用し得る。
【0455】
一部の実施形態では、解剖学的画像が、放射性トレーサーを使用して取得される機能的画像、例えば、本明細書に記載されるような放射性トレーサーの分布の画像と組み合わされ、この組み合わされた画像がシナプス中心を同定し及び/又は位置決定するための基礎として使用される。本方法は、解剖学的画像の中でシナプス中心(例えば、GP及び/又は臓器の神経支配)を含む領域に対応する画像マスクを生成するステップを含む。シナプス中心は、典型的には解剖学的画像上に見ることができず、例えば心臓を含むCTスキャン上の心臓GPは見ることができない。選択された画像マスクが機能的画像上の対応する位置に、例えばレジストレーション手法によって適用される。機能的画像内のシナプス中心特徴が、適用されたマスクの指図で再構成される。機能的画像に適用された選択の画像マスク内のシナプス中心が、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)所定の規則、例えば、比較的高濃度の放射性トレーサーによって特徴付けられる領域のサイズ及び/又は周囲の強度と比べたある領域からの放射線放出強度に基づき同定される。このように、解剖学的情報(例えば、本明細書に記載される解剖学的データ)が機能的画像内における位置及び/又は活性の再構成に使用される。マスクの形態の解剖学的情報は、機能的画像の特定の領域へと処理を誘導するために使用され、目的のシナプス中心の位置を決定する助けとなる。同定されたシナプス中心は解剖学的画像上に表示されてもよく、及び/又は患者治療用ナビゲーションシステム、例えば不整脈などの心障害を治療するための電気生理学的カテーテルナビゲーションシステムにレジスタリングされてもよい。このように、解剖学的画像は、関連性のある神経構造を同定するため放射性トレーサーデータ内のどこを探すべきかに関するガイドとして働くことができ、ここで体内の神経構造の大まかな位置は、例えば所定の解剖学図譜に基づき予め分かっている。
【0456】
ここで図4を参照し、この図4は、本発明の一部の実施形態における、放射性トレーサーを使用して取得される機能的画像、例えば本明細書に記載されるような放射性トレーサーの分布の画像を処理してシナプス中心を同定及び/又は位置決定する(図3の方法300、及び特にブロック308、310、312及び/又は314に対応し得る)方法のフローチャートである。任意選択で、この方法は、機能的画像と解剖学的画像とを組み合わせる(図1のブロック104に対応し得る)。或いは、解剖学的画像は、シナプス中心を含む機能的画像の選択された部分を再構成するための基礎を提供する。この方法は、例えば画像データ処理ユニットにより実施されてもよい。この方法は、例えば本明細書に記載されるとおりの、解剖学的イメージングモダリティからの画像(これは臓器構造を示すが、シナプス中心は十分詳細には又は全く示さない)を使用して、機能的イメージングモダリティからの画像(これは放射性トレーサーの分布を示すが、臓器構造は十分詳細には又は全く示さない)、例えば本明細書に記載される核イメージングモダリティからの画像を再構成し得る。再構成された機能的画像は、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)臓器構造にオーバーレイされたシナプス中心を示し得る。
【0457】
任意選択で、図4に係る方法は、シナプス中心(例えば、GP)が位置する一般的領域を(出力として)提供する。それに代えて又は加えて、この方法は、シナプス中心(例えば、GP)が位置しない領域を提供する。シナプス中心(例えば、GP)の正確な位置は、患者毎に解剖学的に異なり得る。シナプス中心(例えば、GP)の具体的な位置はアブレーション手技の間に、例えば高頻度刺激(HFS)を使用して同定され得る。それに代えて又は加えて、この方法はシナプス中心(例えば、GP)の正確な位置を、例えば座標系を使用して提供する。
【0458】
任意選択で、予め選択された組織領域においてニューロンの存在が(例えば、放射性トレーサー分布により)同定される。検出しようとしている機能活性(例えば、放射性トレーサー放出)に対応する解剖学的画像内の予め選択された組織領域に基づき、画像マスクが画定される。例えば、心臓では、シナプス中心(例えば、心臓GP)は心臓壁内又はその近傍に位置する。心臓壁内又はその近傍にシナプス中心を探すため解剖学的画像に画像マスクが画定される。次に生成された画像マスクが機能的データに適用され、心臓壁内又はその近傍における放射性トレーサー分布に基づきシナプス中心が同定される。
【0459】
任意選択で、再構成は、(例えば、シナプス中心からの)機能活性が例えば所定の解剖学図譜に基づき予想される解剖学的領域が対象とされる。
【0460】
任意選択で、画像マスクは、一部又は全てのシナプス中心及び/又はその活性、例えば、異なるタイプのシナプス及び/又はシナプス活性を同定するように画定される。
【0461】
このように、画像マスクは、シナプス中心の同定を機能的画像及び/又はデータ内の特定の領域に向けるためのガイドとして働き得る。放射性トレーサーデータ内には比較的高強度の領域が多数あり得るが、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)医学的状態、疾患又は障害の診断、モニタリング及び/又は治療に有意味であるのは、そのごく一部のみであり得る。体の器官及び/又は組織に対するシナプス中心の大まかな位置は(例えば、図譜により)既知であり得るが、しかし解剖学的画像上には視覚化されず、シナプス中心の探索は、機能的画像上の対応する領域が対象とされ得る。この探索は、関連性のある神経組織を表す強度読取り値の大きい割合を有する領域に重点が置かれ得る。
【0462】
図4に係る方法を使用して、例えば本明細書に記載されるとおりの体の異なる位置(組織、臓器)に異なるタイプのシナプス中心を検出し得る。
【0463】
図4に係る方法は、目的の領域内で計算を実施して神経組織を同定するため、システムパフォーマンスを改善し得る。神経組織のない領域では計算の実施は不要であり得る。
【0464】
図4に係る方法は、患者の放射線被曝を低減し得る。イメージングする神経組織を含む領域にさらなる放射線を加え、そうした領域においてより高い分解能を提供し得る。神経組織を含まない領域に対しては、加えられる放射線を少なくすることができる。
【0465】
図4に係る方法は、分析結果及び/又は画像を改善し得る。選択された領域内の神経組織が分析及び/又はイメージングされ得る。選択された領域外にある神経組織は分析及び/又はイメージングされないことになり得る。選択された領域外の神経組織による干渉及び/又は画像の複雑さが低減され又は防止され得る。このように、患者の医学的状態に寄与しない神経組織及び/又は(例えばアブレーション療法の)標的でない神経組織は、さらなる分析から除外され得る。或いは、非標的神経組織は、(例えば、アブレーションの標的にされる)標的神経組織とは別に同定され得る。
【0466】
任意選択で、4802において、機能的イメージングデータ(例えば、放射性トレーサーデータ)及び/又は画像、例えばD−SPECT画像又は他の画像が受け取られる。これらの画像は、身体部位、例えば、胴部、腹部、又は他の身体部位(例えば、走査プロトコルに基づく)の画像であり得る。身体部位には、イメージングされる神経組織及び/又は神経支配を受ける臓器、例えば、心臓、腸又は他の臓器のGPが含まれる。任意選択で、機能的画像は、シナプス中心を表す比較的高濃度の(例えば、本明細書に記載されるとおりの)放射性トレーサーの領域を含む。
【0467】
任意選択で、神経系(例えば、ANS)活性が予想される領域、及び神経系(例えば、ANS)活性が予想されない領域を有する身体部位から機能的データが収集される。例えば、心臓をイメージングする間、心臓壁及び/又は周囲組織からは神経系活性を表すデータが予想され、中空の腔(血液が含まれる)の内部からは神経系活性がないことが予想される。心腔の内部に対応するエリアからは、神経系活性は予想されないとしても、ノイズが受け取られ得る。任意選択で、このノイズは、対応する解剖学的画像に基づき(例えば、画像レジストレーション後に)機能的データから除去される。任意選択で、血液(又は他の体液)で充満した腔及び/又は管のノイズに関連する放出強度読取り値が除去される。例えば、心腔及び/又は周囲の血管に対応する放射性トレーサーデータの放出強度読取り値が除去される。
【0468】
任意選択で、4804において、画像から解剖学的領域が抽出される。任意選択で、組織(これは神経組織を含み得る)が中空の空間(これは神経組織を含まず、体液を含み得る)と分けられる。例えば、心臓のイメージングには、左心室(LV)の壁が抽出され得る。それに代えて又は加えて、LV内の中空の空間が抽出され得る。抽出された領域は、例えばLV内部の中空の腔を含むLVではなく、LV壁を形成する組織層などの組織の層であり得ることが注記される。例えば、腎臓のイメージングには、腎動脈の壁が抽出されてもよく、及び/又は動脈の内部が抽出されてもよい。他の臓器をイメージングする場合、その臓器の主要な部分が選択され得る。
【0469】
任意選択で、4806において、画像から1つ以上のレジストレーションキューが抽出される。レジストレーションキューは、目的の臓器、及び/又は周囲の解剖学的構造、例えば、LV軸、肝臓、心臓中隔、RV、胴部からのものであってもよい。
【0470】
任意選択で、4808において、例えば、CT、MRI、3D超音波、2D超音波、又は他のモダリティから解剖学的データ及び/又は画像が受け取られる。解剖学的画像は、神経組織(例えば、本明細書に記載されるシナプス中心)の神経支配を受ける組織及び/又は臓器の構造を表す。解剖学的画像は、神経組織(例えば、シナプス中心)の位置に対応する組織及び/又は臓器構造を表す。画像は、イメージングされる同じ神経組織及び/又は同じ神経支配を受ける臓器を含む。
【0471】
任意選択で、解剖学的イメージングモダリティからの(例えば、本明細書に記載されるとおり取得された)解剖学的データが受け取られ、対象の体のある領域の解剖学的画像が再構成される。任意選択で、この領域は、標的神経組織に隣接する少なくとも1つの体内部位の一部分を含む。
【0472】
解剖学的画像及び機能的画像は、同定及び/又は位置特定のためのシナプス中心(例えば、GP)を含む対応する身体領域を表す。例えば、解剖学的イメージング及び機能的イメージングの両方のモダリティが、心臓、腎臓、又は他の臓器の写真を撮影し得る。
【0473】
例えば、心臓のGPのイメージングには、心臓の解剖学的画像及び/又は機能的画像が入手される。例えば、腎臓のGPのイメージングには、腎臓、腎動脈及び/又は大動脈の解剖学的画像及び/又は機能的画像が入手される。
【0474】
任意選択で、4810において、動的周期中の異なる時点に対応する画像が抽出される。例えば、心臓については、心周期に従い、例えば拡張末期容積(EDV)及び/又は収縮末期容積(ESV)の画像が抽出される。別の例において、膀胱については、充満した膀胱及び空の及び/又は排尿時膀胱の画像が抽出され得る。
【0475】
平均画像が計算されてもよく、例えば、(EDV+ESV)/2。
【0476】
任意選択で、4812において、1つ以上の画像がセグメンテーションされる。セグメンテーションは完全に自動であってもよく、及び/又は手動のユーザ介入が必要であってもよい。セグメンテーション用システムの例は、Biosense Webster(登録商標)のCarto(登録商標)である。
【0477】
任意選択で、4814において、解剖学的領域が抽出される。任意選択で、この解剖学的領域は、4804で抽出された解剖学的領域に対応する。任意選択で、この解剖学的領域は、ブロック4812のセグメンテーション画像から抽出される。
【0478】
任意選択で、4816において、画像から1つ以上のレジストレーションキューが抽出される。レジストレーションキューは、目的の臓器、及び/又は周囲の解剖学的構造、例えば、LV軸、肝臓、心臓中隔、RV、胴部からのものであってもよい。
【0479】
任意選択で、4818において、機能的画像と解剖学的画像とがレジスタリングされる。任意選択で、画像は、ブロック4804及び4814の抽出された解剖学的領域の位置合わせに基づきレジスタリングされる。
【0480】
任意選択で、レジストレーションは臓器の動力学、例えば心臓の動きを考慮に入れるように実施される。
【0481】
4820において、解剖学的画像及び/又はデータに基づき1つ以上の画像マスクが生成される。任意選択で、画像マスクは、神経組織の処理及び/又は画像表示の対象を、画像マスク内に位置する画像の特定の位置に向けさせる。例えば、適用された画像マスクのボリューム内においてシナプス中心が表示及び/又は処理される。画像マスクのボリューム外にあるシナプス中心は、任意選択で処理及び/又は表示されなくてもよい。画像マスクのボリューム外にあるシナプス中心は、任意選択で画像マスク内部にあるシナプス中心と別様に処理及び/又は表示され得る。
【0482】
任意選択で、解剖学的画像は、少なくとも1つの体内部位、例えば心腔壁の寸法に対応する画像マスクを生成するように処理される。
【0483】
任意選択で、画像マスクは、中空の腔を取り囲む組織について選択及び/又は画定され、例えば、画像マスクは心腔壁の形状に基づき画定され、腔内の中空領域を含まず、画像マスクは動脈壁の形状に基づき、動脈内の中空領域を含まず、画像マスクは膀胱壁の形状に基づき、膀胱内の中空領域を含まない。シナプス中心は、画像マスクにより画定される組織内に存在し得るが、中空の空間内(体液、例えば、血液、尿又は他の体液が充満していてもよい)には存在しない可能性があることが注記される。画像マスクは、目的の臓器を取り囲む組織を含み得る。
【0484】
画像マスクは、例えば、画像セグメンテーションに基づくか(例えば、システムが画像をセグメンテーションする能力に従う)、組織型(例えば、筋肉組織対結合組織)に基づくか、臓器サイズに基づくか、臓器内の部分構造(例えば、心腔、肝葉、腎臓の一部分)に基づくか、又は他の方法に基づき画定される。
【0485】
異なる組織型及び/又は臓器内の異なる位置のシナプス中心に対して異なる画像マスクが生成され得る。例えば、心外膜内のシナプス中心(例えば、GP)に対して一組の画像マスクが生成される。心筋内のシナプス中心(例えば、GP)に対して別の一組の画像マスクが生成され得る。
【0486】
画像マスクは、画像内で組織及び/又は臓器部分に基づき選択された形状及び/又はサイズを有する2D及び/又は3Dボリュームであってもよい。画像マスクは、イメージングする1つ又は複数のシナプス中心(例えば、GP)を含むと考えられる解剖学的部位に対応し、例えば、4つの心腔の壁に対応し、腸壁、膀胱壁、腎動脈、腎動脈の大動脈分枝領域、腎臓、又は他の構造に対応し得る。一例において、画像マスクは、心臓の心外膜組織及び/又は心筋組織内におけるシナプス中心(例えば、GP)を含むように生成され得る。別の例において、画像マスクは、大動脈−腎動脈接合部における腎臓を神経支配するシナプス中心を含むように生成され得る。シナプス中心は多くの場合に解剖学的画像上に見えないため、画像マスクはシナプス中心の(例えば、通常の患者の解剖学に基づく)推定位置に基づき生成されることが注記される。
【0487】
任意選択で、生成された画像マスクは解剖学的画像のセグメントに対応する。例えば、心臓は心腔壁にセグメンテーションされ、生成される画像マスクは心腔壁に対応する。
【0488】
例えば、各心腔の壁について第1の画像マスクが生成される。ある種の画像(例えば、CT)では、小さい内腔ほど、その厚さの測定が困難になり得ることが注記される。そのような場合、各内腔の第1の画像マスクの厚さはLVなどの測定可能な解剖学的領域に基づき得る。或いは、内腔の厚さが別のイメージングモダリティ(例えば、超音波、MRI)を用いて測定され、及び/又は推定される。測定は解剖学的画像を使用して実施されてもよく、例えば、画像マスクの厚さはCT画像上で測定するときのLVの厚さに基づき得る。次にLV測定値に基づきその内腔の例示的画像マスク厚さが推定されてもよく、例えば:LV、右心室(RV)、右心房(RA)及び左心房(LA)の画像マスクは0.5×LV厚さである。
【0489】
任意選択で、画像マスクはテンプレートに基づき生成及び/又は適用される。テンプレートは以下を定義し得る:神経支配を受ける臓器(又は組織)の位置及び/又は神経支配を受ける臓器内及び/又はその近傍、臓器外部のシナプス中心の位置。テンプレートは、例えば体の組織及び/又は臓器に神経構造を位置付ける所定の解剖学図譜に基づき生成され得る。
【0490】
任意選択で、生成された画像マスクは互いに隣接する。それに代えて又は加えて、生成された画像マスクは互いに重なり合う。それに代えて又は加えて生成された画像マスクは互いに離間されている。
【0491】
4822において、画像マスクが機能的画像及び/又はデータに適用される。それに代えて又は加えて、画像マスクは解剖学的画像及び/又はデータに適用される。それに代えて又は加えて、画像マスクは、組み合わされた機能的及び解剖学的画像及び/又はデータ、例えばオーバーレイ画像に適用される。
【0492】
任意選択で、画像マスクはレジストレーションプロセス(ブロック4818)に基づき適用される。解剖学的情報が、選択された画像マスクを使用して機能的画像内のシナプス中心に関するデータを選択的に再構成するためのガイドとして働く。画像マスクは、1つ又は複数のシナプス中心を有する解剖学的構造を含むように画像と相関付けられ得る。適用は、例えば共通の座標系に基づき適用される画像レジストレーションに基づき得る。画像マスクは、神経組織を含む特定のタイプの組織に適用され得る。例えば、画像マスクは心臓の心外膜に適用され得る。画像マスクは、その内表面を腔壁の心外膜表面と整列させるように適用されてもよく、腔を囲む心外膜空間を画像マスクが包含することになる。
【0493】
任意選択で、生成された画像マスクは、標的神経組織を描出する機能的画像の再構成をガイドするため機能的データと相関付けられる。
【0494】
4824において、適用された画像マスク空間内で機能活性(例えば、放射性トレーサー分布)が計算される。任意選択で、機能活性平均値(例えば、放射性トレーサー放出及び/又は濃度平均値)が計算される。任意選択で、機能活性(例えば、放射性トレーサー放出及び/又は濃度)の標準偏差が計算される。心臓については、機能活性は任意選択で各心腔に関して個別に計算され、及び心臓全体に関して計算される。心腔の機能活性平均値(例えば、放射性トレーサー放出及び/又は濃度平均値)はA1LV、A1RV、A1LA、A1RAにより表され得る。心臓の機能活性平均値(例えば、放射性トレーサー放出及び/又は濃度平均値)はA1Hにより表され得る。活性の標準偏差はSD1LV、SD1RV、SD1LA、SD1RA、SD1Hにより表され得る。
【0495】
任意選択で、4826において、4820、4822及び/又は4824の1つ以上が繰り返される。或いは、4820、4822、4824、4828、4830、4832、4834、4836及び/又は4838の1つ以上が繰り返される。或いは、図4の全てのブロックのうちの1つ以上が繰り返される。任意選択で、別の解剖学的部位(例えば、別の心腔、別の組織層)、任意選択で神経組織を含む別の組織型について、さらなる画像マスクが生成される。任意選択で、先に分析された解剖学的部位の近傍にある及び/又はそれに隣接する解剖学的組織及び/又は解剖学的部位について、さらなる画像マスクが生成される。異なる画像マスクを生成し、次に共に適用することにより、臓器近傍に1つ又は複数のシナプス中心が同定され得る。例えば、異なるタイプのシナプス中心は異なる組織を神経支配し得る。或いは、異なる画像マスクを個別に処理することにより、例えば、(例えば臓器の異なる組織内に位置する)異なるシナプス中心が区別される。
【0496】
それに代えて又は加えて、任意選択で動的周期(例えば心周期)の画像毎に、異なる時間フレームの画像マスクが生成される。マスクは動的であってもよい。マスクは、時間レジストレーション後、時間の経過に伴い変化してもよい。任意選択で、マスクは時空間マスクである。動的画像マスクが周期中の目的の解剖学的領域と相関付けられ得る。例えば、画像マスクは心周期の間の心臓に伴い動き、しかし同じ相対位置を維持し得る。例えば、LV壁に適用される画像マスクは心臓の収縮及び弛緩に伴い前後に動き(及び/又は大きくなったり小さくなったりし)、しかしLV壁に対する相対位置は維持する。
【0497】
それに代えて又は加えて、解剖学的画像及び機能的画像の両方について画像マスクが生成される。例えば、画像マスクは組み合わされた及び/又はレジスタリングされた画像(これは単一の画像を形成し得るか、又は2つの別個の(任意選択でリンクした画像)を形成し得る)に基づき生成される。
【0498】
任意選択で、解剖学的画像は周期性の生理学的過程(例えば、心周期、排尿、腸蠕動)の間に入手される。任意選択で、生理学的過程の間に入手される異なる画像について、異なる時空間画像マスクが選択される。任意選択で、異なる時空間画像マスクが生理学的過程と、組織の同じ位置が対応するように同期される。このようにして、生理学的過程の間に組織が動くことに伴う組織の位置が維持され得る。
【0499】
例えば、4820(繰り返し)においてさらなる画像マスクが生成され、心筋内の神経組織(例えば、シナプス中心)が検出される。心筋マスクのサイズ及び/又は形状は心外膜マスクのサイズ及び/又は形状と異なり得る。例示的画像マスク厚さとしては以下が挙げられる:LVの画像マスクについて1.2×LV厚さ、RVについて0.7×LV厚さ、RAについて0.4×LV厚さ、LAについて0.4×LV厚さ。
【0500】
例えば、4822(繰り返し)において画像に画像マスクが適用され、心筋が相関付けられ及び/又は含められる。
【0501】
例えば、4824(繰り返し)において心筋画像マスクに関して機能活性の平均値及び/又は標準偏差が計算され得る。心腔の活性平均値はA2LV、A2RV、A2LA、A2RAにより表され得る。心臓の平均活性はA2Hにより表され得る。活性の標準偏差はSD2LV、SD2RV、SD2LA、SD2RA、SD2Hにより表され得る。
【0502】
任意選択で、計算された活性レベルは、例えば、体のある点又はボリュームに対して、画像マスク空間内のある点又はボリュームに対して、又は他の方法で正規化される。正規化はGPの同定を可能にし得る。
【0503】
4828において、適用された画像マスク空間内でシナプス中心(例えば、GP)が同定される。それに代えて又は加えて、臓器ボリューム及び/又は近傍組織内でシナプス中心(例えば、GP)が同定される。任意選択で、複数の異なる画像マスク内に同定されたシナプス中心(例えば、GP)が組み合わされて、全ての同定されたシナプス中心(例えば、GP)、例えば臓器内で同定されたシナプス中心の単一画像にされる。それに代えて又は加えて、時間の経過に伴う複数のフレームの対応する画像マスク(例えば、心周期の間におけるLV心筋の全ての画像マスク)内に同定されたシナプス中心(例えば、GP)が組み合わされる。
【0504】
任意選択で、シナプス中心は、画像マスクの位置及び/又はサイズ及び/又は形状を調整することにより同定される。任意選択で、画像マスクは対応する解剖学的画像に基づき調整される。任意選択で、画像マスクは、シナプス中心を物理的に含まない領域を除外するように調整される。任意選択で、調整された画像マスクの代わりに、及び/又はそれに加えて、及び/又はそれに基づき機能的データが調整される。例えば、シナプス中心を含まない可能性のある解剖学的領域、例えば、心腔及び/又は血管などの中空の(例えば、体液が充満している)空間の内部から得られる機能的強度データ。心腔それ自体は神経組織を含まないこともある。心腔において(例えば心臓壁に隣接して)強度読取り値が検出されるとき、画像データ及び/又は画像マスクがそれらの強度読取り値の推定位置を反映するように調整され得る。マスク調整は、例えば、解剖学的画像データと機能的画像データとの間のレジストレーションが不正確及び/又は不完全であるとき、例えば、解剖学的画像データと機能的画像データとが異なる角度で入手された場合に必要となり得る。
【0505】
任意選択で、画像マスク及び/又は臓器ボリューム内のシナプス中心の位置が決定される。あるシナプス中心の別のシナプス中心に対する相対位置が、例えば2D及び/又は3Dで計算されてもよい。
【0506】
任意選択で、シナプス中心が共に組み合わされてANSマップ(例えば、本明細書に記載されるとおり生成されるANSモデル)とされる。任意選択で、シナプス中心間の接続性が決定される。接続しているシナプス中心は同じ画像マスク内にあっても、異なる空間的位置にある異なる画像マスク内にあっても、及び/又は異なる時点における(しかし同じ対応する位置にある)異なる画像マスク内にあってもよい。任意選択で、シナプス中心間の空間的関係が決定される。例えば、第1のシナプス中心の第2のシナプス中心の位置に対する相対位置。
【0507】
任意選択で、極度の活性のエリア(例えば、高濃度の放射性トレーサー)が同定される。例えば、心外膜GP(EGP)及び/又は心筋GP(MGP)が、任意選択で(例えば、本明細書に記載されるとおりの)アドレナリン作動性シナプスに親和性を有する放射性トレーサー、例えばmIBGの極度の活性に基づき同定される。
【0508】
任意選択で、シナプス中心は、例えば本明細書に記載されるとおりの1つ以上の所定の閾値及び/又は規則に基づき同定される。
【0509】
任意選択で、シナプス中心(例えば、GP)は、特定の領域の計算された活性(例えば、画像強度)を同じ画像マスクにおける周囲の活性と比較することにより同定され得る。それに代えて又は加えて、シナプス中心(例えば、GP)は、画像マスク内の計算された活性(例えば、画像強度)を別の画像マスクの活性と比較することにより同定され得る。例えば、EGPは、EGPの総活性が標準偏差(SD1及び/又はSD2)の所定の倍数だけ平均活性(A1及び/又はA2)を上回る、及び/又はその周囲の隣接する活性が(例えば、容積について相関付けられる)EGP活性の半分未満であるという規則を満たすものとして同定され得る。任意選択で、使用者は所定の倍数を選択及び/又は変更し得る。例えば、MGPは、MGPの総活性が標準偏差(SD1及び/又はSD2)の別の所定の倍数だけ平均活性(A1及び/又はA2)を上回る、及び/又はその周囲の隣接する活性が(例えば、容積について相関付けられる)MGP活性の半分未満であるという規則を満たすものとして同定され得る。任意選択で、使用者は所定の倍数を選択及び/又は変更し得る。
【0510】
任意選択で、シナプス中心の同定はフレーム毎、任意選択で動的周期(例えば、心周期)のフレーム毎に実施される。
【0511】
任意選択で、同定された1つ又は複数のシナプス中心は、組織型と自動的に関係付けられる。任意選択で、同定された1つ又は複数のシナプス中心は、適用された画像マスクに基づき組織型と関係付けられる。それに代えて又は加えて、同定された1つ又は複数のシナプス中心は強度読取り値の特徴に基づき組織型と関係付けられ、例えば、大きいサイズ(大きいシナプス中心を表す)は特定の組織においてのみ見出され得る。任意選択で、異なるタイプのシナプス中心が異なる組織と関係付けられる。例えば、心筋GPは心筋と関係付けられ及び/又は心外膜GPは心外膜と関係付けられる。
【0512】
任意選択で、4830において、同定されたシナプス中心の1つ以上のパラメータが計算される。パラメータの例としては以下が挙げられる:平均サイズ、特異的放射性トレーサーレベル(例えば、シナプス中心のボクセル当たりのカウントを、対応する画像マスクボリュームにおける平均カウントで除したもの)、パワースペクトル(例えば、1Hz未満のパワー、1〜5Hzのパワー、高周波と低周波との比)、正規化パワースペクトル、シナプス中心接続マップ(例えば、異なるシナプス中心間の接続性及び相互作用)、所定面積当たりのシナプス中心の数(例えば、シナプス中心密度数/平方センチメートル)。
【0513】
例えば、同定されたEGPについて、以下のパラメータの1つ以上が計算され得る:EGPサイズ、EGP特異的放射性トレーサーレベル、EPGパワースペクトルグラフ、EGP正規化パワースペクトル(即ち、種々の周波数におけるEGPパワーから心筋画像マスク空間からの総カウントのパワーを引いた差)、EGP接続マップ。
【0514】
例えば、同定されたMGPについて、以下の1つ以上のパラメータが計算され得る:あるエリア中のMGP数及び各所定エリア(例えば、マーシャルの靱帯、左下LA壁、右下LA壁、他のエリア)の平均サイズ、MGP特異的放射性トレーサーレベル、MGPパワースペクトル、MGP正規化パワースペクトル(即ち、種々の周波数におけるMGPパワーから心筋画像マスク空間からの総カウントのパワーを引いた差)。
【0515】
任意選択で、シナプス中心パラメータの計算はフレーム毎、任意選択で動的周期(例えば、心周期)のフレーム毎に実施される。
【0516】
任意選択で、4832において、計算されたパラメータ及び/又は他のパラメータが正規化され得る。正規化は本方法の1つ以上のブロックで、例えば、機能的画像及び/又は解剖学的画像の取得中及び/又は取得後、機能活性の計算時、シナプス中心の同定時、シナプス中心のパラメータの計算時、経時的なデータ比較時、又は他のブロックで行われ得る。
【0517】
1つ以上の正規化技法の例としては、以下が挙げられる:生データ、生データを、略同じ時点で取得された既知の一定の解剖学的位置における生データ値(例えば、患者の縦隔におけるトレーサーの活性)で除したもの、正常な患者データセットに対する正規化、一連の取得における最初又は最後の画像取得時の活性の値に対する正規化、異なる生理学的状態(例えば、安静、ストレス)で取得された値に対する正規化、上記の一部又は全ての組み合わせ、及び/又は他の方法。
【0518】
或いは、4832の正規化は、代わりに及び/又は加えて、このプロセスの別のブロックの前、例えば、ブロック4828でシナプス中心が同定される前に実施される。正規化は、1つ又は複数のシナプス中心を同定する助けとなり得る。例えば、局所領域における放射性トレーサー(例えば本明細書に記載されるとおりのもの、任意選択でmIBG)のレベルが、臓器ボリューム全体にわたる、画像マスク空間内の及び/又は所定の閾値に対する平均及び/又は標準偏差と比較される。
【0519】
それに代えて又は加えて、計算されたデータ及び/又は測定された機能的強度が感度に関して補正される。任意選択で、感度補正は各画像マスク内で及び/又は関連する画像マスクにおいて実施される。例えば、エリアによっては放射性トレーサーの取込みに対して比較的高い感度を有し得ることもあれば、放射性トレーサーの取込みに対して比較的低い感度を有し得ることもある。任意選択で、解剖学的データが感度と相関付けられる。任意選択で、画像マスクが異なる感度レベルに基づき生成され(ブロック4820)、例えば、より高感度の神経組織についてある一組の画像マスクが生成され、及びより低感度の神経組織について別の一組の画像マスクが生成される。任意選択で、異なる感度は共通のベースラインに対して正規化される。
【0520】
それに代えて又は加えて、機能的データの測定値が正規化され、例えば、放射性トレーサーの取込みの測定値が、対象における対応する化学物質(例えば、放射性トレーサーがそれの放射性標識誘導体及び/又は類似体である神経伝達物質)のレベルに対して正規化される。任意選択で、強度測定値は、同定されるシナプス中心の放射能レベルにより正規化される。任意選択で、シナプス中心の放射能を表す測定値が取られる。例えば、ノルエピネフリン類似体放射性トレーサー(例えば、mIBG)の場合、測定値は、対象のノルエピネフリン(及び/又はエピネフリン)レベルに対して正規化される。例えば、血中(例えば、血液試料による)、尿中、又は他の体液中のノルエピネフリンのレベルが測定される。取り込まれたノルエピネフリン類似体(例えば、mIBG)の強度が、測定されたノルエピネフリンに基づき正規化される。別の例では、放射能レベルが非化学的方法により測定される。例えば、放射性トレーサー(例えば、mIBG)の正規化が、心臓ストレス検査の間に取られた測定値に基づき(例えば、ECG測定値、心拍数、心拍出量、又は他の測定値に基づき)実施される。これらの測定値は、同定されるシナプストレーサーの活性レベルと(例えば、表、数学的方程式、又は他の方法によって)相関付けられ得る。
【0521】
任意選択で、4834において、シナプス中心パラメータの経時的変化が同定される。任意選択で、異なる取得時点間のパラメータ計算値の動的変化が決定される。例えば、注入から注入6時間後まで、この時間ウィンドウの間に画像取得を数回繰り返すことにより、シナプス中心(例えば、EGP)活性の経時的変化が計算され得る。機能的画像はトレーサー注入後2回以上取得され得る。
【0522】
任意選択で、4836において、機能的データ及び/又は画像に適用されたマスクに基づき機能的画像が再構成される。それに代えて又は加えて、組み合わされた機能的及び解剖学的データ及び/又は画像に適用されたマスクに基づき画像が再構成される。再構成された画像は、同定された1つ又は複数のシナプス中心を、例えば強度が高い領域として含み得る。再構成画像は解剖学的画像上にオーバーレイされてもよく、1つ又は複数のシナプス中心の物理的位置が示され得る。
【0523】
それに代えて又は加えて、機能的画像内の1つ又は複数のシナプス中心の特徴が再構成される。再構成は画像マスクにより指図される。
【0524】
任意選択で、4838において、計算結果及び/又は再構成画像が提示用に提供される。例えば、医師に向けてモニタ上に提示される。計算結果は、(例えば本明細書に記載されるとおりの)患者の診断及び/又は(例えば本明細書に記載されるとおりの)治療のガイドの助けとなり得る。
【0525】
任意選択で、結果は、特定のフレーム、例えば収縮終期フレームでの提示用に提供される。或いは、結果は、複数のフレーム、例えば心周期のビデオでの提示用に提供される。
【0526】
任意選択で、再構成された機能的画像が治療手技中のレジストレーション用に提供される。再構成画像は、治療手技中に得られる解剖学的画像上にオーバーレイされ及び/又はそれにレジスタリングされ得る。オーバーレイ及び/又はレジスタリングされた画像は、操作者によって治療中に1つ又は複数のシナプス中心の位置を物理的に決定するために用いられ得る。
【0527】
任意選択で、又は代わりに、モデル及び/又は疾患の分析を用いてデータ取得がガイドされてもよく、例えば、データベースが特定の機能不全と特定のANSパラメータとの関連性を記憶し得る。前立腺肥大症などの機能不全の同定により、ANSの特定の部分に関するデータの取得が提案され得る。前立腺に至る交感神経入力を切断することによりその容積の約30%の低下が生じ得ることが知られている。良性前立腺肥大症患者では、前立腺のANS神経切除の一般的モデルを用い得る。
【0528】
一部の実施形態では、モデルは主として機能モデルである。例えば、既知の入力、例えば呼吸が種々のシナプス中心の活性と相関付けられ、次にそれについて情報が収集される。
【0529】
一部の実施形態では、単純なモデル(例えば、活動が亢進した単一のシナプス中心を含むもの)を使用してデータが収集され得る。このモデルが刺激に対する応答を予測する場合、モデルは治療(例えば、心房細動の治療用アブレーション)に用いられ得る;他の場合には、より複雑なモデル(例えば、いくつかのシナプス中心がフィードバックループを形成するもの)が任意選択で用いられる。一部の実施形態では、アブレーション手技中にモデリングのかかる変化が適用される。例えば、カテーテルが心房に挿入され、シナプス中心(例えば、GP)がアブレーションされ、又は部分的にアブレーションされ、次に得られる効果が予想どおりであるかどうかを確かめる判断が行われる。予想どおりでない場合、任意選択でモデルが新規データに適合するよう変更される。任意選択で、可能性のあるパラメータ空間にわたるモデル及び/又はいくつかの代替的モデルの自動探索が行われ、最良に適合するモデル/パラメータセットが使用される。
【0530】
モデルを使用して、例えば、治癒及び/又は適応変化/治療後変化もまたモデリングする(例えば、保存された予想効果を有する)モデルにより、治療の非即効性の効果もまた予測され得る。一部の実施形態では、予想される及び所望の効果が達成され、且つその効果が所望の転帰を予測することがモデルにより示されたとき、その即効性の効果が所望の最終効果ではない場合であっても、アブレーションは中止される。
【0531】
神経組織の位置:
一部の実施形態では、(シナプス中心の同定に使用される)放射性トレーサーにより提供された情報を、同定された神経組織の(例えば、対象の体に対する)位置に関するさらなる情報と組み合わせることにより、同定された神経組織(例えば、シナプス中心)の位置が特定される。かかるさらなる情報は、例えば、同定された神経組織を体における位置と(例えば、マッピング関数を使用して)関連付けるため用いられ得る対象からの解剖学的データ及び/又は解剖学的領域の(例えば、典型的な人の解剖学的データに基づく)モデルを含み得る。
【0532】
本明細書で使用されるとき、語句「解剖学的データ」は、体の少なくとも一部分の位置に関するデータ(例えば、体の少なくとも一部分の2−D又は3−D画像)、生体内プローブ(例えば、治療プローブ及び/又はイメージングプローブ)の位置に関するデータ及び/又は生体内プローブ(例えば、治療プローブ及び/又はイメージングプローブ)を使用して集められた位置データを包含する。
【0533】
一部の実施形態では、(例えば、臓器の画像を提示する)体の少なくとも一部分の画像には、生体内プローブ(例えば、治療プローブ及び/又はイメージングプローブ)の画像が含まれる。
【0534】
一部の実施形態では、生体内プローブ(例えば、治療プローブ及び/又はイメージングプローブ)を使用して集められた生体内プローブの位置に関する解剖学的データ及び/又は位置データを使用して、リアルタイムで治療がガイドされる。
【0535】
一部の実施形態では、解剖学的データはイメージング技術によって得られる。好適なイメージング技術の例としては、限定なしに、X線CT、MRI、蛍光透視、超音波、及び核イメージング技術、例えばSPECT及びPETが挙げられる。当業者は、かかるイメージング技術を用いて解剖学的データを取得することが可能であろう。X線CT、MRI、超音波、及びPETは、SPECTに好適な放射性トレーサー(例えば、I−123−mIBG)と組み合わせて使用するのに特に好適な技術の例である。
【0536】
SPECT及びPETなどの核イメージング技術によって解剖学的データが取得されるとき、その技術は、放射性トレーサーデータの取得に用いられる技術と同じであっても又は異なってもよい。
【0537】
一部の実施形態では、放射性トレーサーデータが(例えば、本明細書に記載されるとおりの)SPECTにより取得され、及び解剖学的データが、当該技術分野において公知の任意の好適なPET技術を用いたPETにより取得される。
【0538】
一部の実施形態では、放射性トレーサーデータが(例えば、本明細書に記載されるとおりの)PETにより取得され、及び解剖学的データが、当該技術分野において公知の任意の好適なSPECT技術を用いたSPECTにより取得される。
【0539】
解剖学的データを得るためにSPECTが用いられる一部の実施形態では、造影剤はTc−99m標識トレーサーである。一部の実施形態では、Tc−99m放射性標識トレーサーの用量は、約2mCi〜15mCi、任意選択で約6mCi〜12mCi、任意選択で約3mCi〜10mCi、例えば、約10mCi、約8mCi又は約5mCiである。
【0540】
対象に対してPET及びSPECTの両方の技術が用いられる一部の実施形態では、PET信号に使用される造影剤の信号が、SPECTに使用される造影剤の信号と、PET造影剤による(及びSPECT造影剤によるのでない)2つの光子の同時放出によって区別される。
【0541】
一部の実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)核イメージング技術を使用して放射性トレーサーデータと解剖学的データとが同時に取得される。一部の実施形態では、同時デュアル二重同位体イメージングが(例えば、当該技術分野において公知の手順を用いて)実施される。
【0542】
一部の実施形態では、解剖学的データは、シナプス中心と比較的重なりが少ない体内分布を呈するように選択された、投与した(例えば、PET又はSPECTに好適な)放射性造影剤を検出することにより取得される。従って、造影剤の信号がシナプス中心における放射性トレーサーの信号を過度に遮蔽することがない。
【0543】
一部の実施形態では、造影剤は(例えば、血流中への造影剤の注入後に)主として血流に限局し、従って少なくとも1つの血管及び/又は血液に富む臓器(例えば、心臓)の位置に関するデータが提供される。
【0544】
一部の実施形態では、造影剤は(例えば、血流中への造影剤の注入後に)心筋に限局し、従って心臓の位置に関するデータが提供される。セスタミビ、テトロホスミン及びテボロキシム(Tc−99m放射性標識造影剤)及びタリウム(例えば、塩化タリウム)が、かかる造影剤の例である。
【0545】
一部の実施形態では、造影剤は(例えば、造影剤の経口投与後に)主として胃腸管に限局し、従って胃腸管の臓器(例えば、胃、腸)の位置に関するデータが提供される。
【0546】
一部の実施形態では、造影剤は主として骨に限局し、従って骨組織の位置に関するデータが提供される。ホスホネート及びビホスホネート造影剤が、骨組織のイメージングに好適なものとして当該技術分野において公知である。
【0547】
一部の実施形態では、造影剤は(例えば、造影剤の吸入後に)主として呼吸器に限局し、従って呼吸器の臓器(例えば、肺、気管)の位置に関するデータが提供される。
【0548】
位置特定は、放射性トレーサーによって提供されるデータ(例えば、SPECT又はPETデータ)に基づく画像の再構成を伴い及び/又は伴わずに実施され得る。
【0549】
ここで図1を参照し、この図1は、本発明の一部の実施形態に係る、SPECTデータ(例えば、本明細書に記載されるとおり取得されたもの)と解剖学的データとを組み合わせることにより生体内ボリュームにおける神経組織(例えば、シナプス中心)の位置を特定する方法100のフローチャートである。SPECTデータは単に好適な核イメージングデータの一例に過ぎず、本質的に図1に記載されるとおりの方法においては他の核イメージングデータ(例えば、PETデータ)がSPECTデータの代わりに、又はそれに加えて用いられ得ることが理解されるべきである。
【0550】
101に示されるとおり、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに係る解剖学的データ(これは任意選択で、患者皮膚面上の対象の生体内ボリュームの解剖学的データ(例えば、蛍光透視画像)を含む)が、解剖学的イメージングモダリティ(例えば、蛍光透視モダリティ)を使用して捕捉される。
【0551】
102に示されるとおり、患者に造影剤、即ち本明細書に記載される放射性トレーサーのいずれか1つ又はそれらの任意の組み合わせが注入される。一部の実施形態では、解剖学的データを提供するためのさらなる造影剤(例えば、セスタミビ)もまた(例えば、放射性トレーサーとさらなる造影剤とを含むカクテルとして)注入される。
【0552】
次に、103に示されるとおり、1つ以上の放射線検出器を有するSPECTモダリティを使用して、SPECTデータ取得に関連して本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに係る放射性トレーサーの分布を表すSPECTデータ、例えばSPECT画像が取得される。
【0553】
104に示されるとおり、解剖学的データ(例えば、対象の体の少なくとも一部分の画像)とSPECT放射性トレーサーデータとが組み合わされ、例えば105に示されるとおり、及び任意選択で、本明細書に記載されるとおりの1つ以上のマッピング関数により、神経組織の位置決定が可能となる。例えば、組み合わせるステップは、任意選択で放射性トレーサーデータ及び解剖学的データにおいてイメージングされた特定の生体内ボリュームに対して予め計算され得る相関行列を使用して実施される。放射性トレーサーデータは、任意選択で本明細書に記載されるとおりの、シナプス中心(例えば、シナプス、神経節)の分布を示すマップの形態であってもよい。組み合わせるステップは、任意選択でSPECTデータを解剖学的データと並べて提示し、それにレジスタリングし及び/又はその上にオーバーレイすることにより実施され得る。一部の実施形態では、この重ねた画像は、SPECTデータ(例えば、マップ)が解剖学的画像(例えば、蛍光透視画像)、例えば臓器の画像の上にさらなるレイヤーとして加えられる場合に形成される。
【0554】
一部の実施形態では、X線を可視画像に変換するX線射影イメージングモジュール(例えば、X線イメージインテンシファイア)を任意選択で含み得る解剖学的データの取得用蛍光透視モダリティ(例えば、電気生理学的蛍光透視モダリティ)、並びに、放射性トレーサーデータの取得用の、且つ任意選択で複数の放射線検出器を有する核イメージングモダリティ、任意選択でSPECTモダリティを組み合わせるハイブリッドイメージングデバイスを使用した放射性トレーサーデータ及び解剖学的データ。ハイブリッドイメージングデバイスは、任意選択で、患者皮膚面上の患者をイメージングするように構成され、任意選択でこの表面は、立位の患者、臥位の患者、座位の患者、及び/又は寄り掛かった姿勢の患者を支持するように調整され得る。例えば、この表面は、水平な位置合わせ面、例えば患者のベッドであってもよく、垂直な位置合わせ面、例えば壁又は椅子の背もたれなどであってもよい。患者皮膚面は、任意選択で実際のX線源から患者皮膚面上の患者を介してイメージインテンシファイアに至るX線の通過を許容する材料で作製される。
【0555】
解剖学的データと放射性トレーサーデータとを組み合わせると放射性トレーサーデータの信号対雑音比(SNR)が増加することが理解されるべきである。放射性トレーサーデータ及び解剖学的データのレジスタリングにより、種々のトレーサー分布及び/又は分布の変化(例えば、取込み率及び/又は流失率)が観察される解剖学的領域が指示される。これにより、例えば本明細書に記載されるとおりの、標的神経組織が位置する解剖学的データ中の推定ボリュームに従う放射性トレーサーデータのフィルタリングが促進される。
【0556】
任意選択で、位置特定は造影剤の注入前に又はそれと同時に開始される。一部の実施形態では、解剖学的データのイメージングは造影剤の注入直後に始まる。一部の実施形態では、イメージングは注入後最長約5分の遅延の後に始まる。一部の実施形態では、イメージングは注入後最長約10分の遅延の後に始まる。一部の実施形態では、イメージングは注入後最長約30分の遅延の後に始まる。一部の実施形態では、イメージングは注入後最長約1時間の遅延の後に始まる。一部の実施形態では、イメージングは注入後約1〜10分の遅延の後に始まる。一部の実施形態では、イメージングは注入後約5〜20分の遅延の後に始まる。一部の実施形態では、イメージングは注入後約10〜30分の遅延の後に始まる。一部の実施形態では、イメージングは注入後約15〜60分の遅延の後に始まる。一部の実施形態では、イメージングは注入後約30〜120分の遅延の後に始まる。一部の実施形態では、イメージングは注入後約1〜6時間の遅延の後に始まる。一部の実施形態では、イメージングは注入後約5〜48時間の遅延の後に始まる。
【0557】
任意選択で、解剖学的データの取得のため、3段階以上のイメージングステップが提供される。任意選択で、解剖学的データの取得には、動的生理学的過程、例えば、灌流、取込み、流失などの取得が含まれる。
【0558】
一部の実施形態では、再構成された画像は特定の組織領域のものであるか、又は目的のボリューム若しくは選択領域のものである。
【0559】
一部の実施形態では、再構成はボクセル又はセグメントに基づくか、モデルベースか、又はそれらの組み合わせである。
【0560】
一部の実施形態では、放射性トレーサーデータと解剖学的データとの組み合わせは、放射性トレーサーデータを含む画像を、同定されたシナプス中心が適切な解剖学的領域内に入る(例えば、心臓神経節が心房壁と整列する)ように位置合わせすることにより行われる。
【0561】
一部の実施形態では、神経組織のモニタリング、例えば治療期間中に行われる複数のセッションからのデータの比較に位置特定が用いられる。治療期間は、例えば、1日、1週間、1ヶ月、1年又は任意の中間的な又はより短い期間であってもよい。
【0562】
本発明の一部の実施形態によれば、本方法は、放射性トレーサーデータ(例えば、SPECT画像、PET画像)に同定される領域(例えば、シナプス中心)を、対応する臓器及び/又は組織と関連付けるステップを含む。
【0563】
一部の実施形態において、前述の関連付けは、対象の体に特別に関係するいかなる追加的データも(即ち、放射性トレーサーデータに加えて)必要となることはない。例えば、一般的な解剖学的知識(例えば、体におけるシナプス中心の典型的な分布に関するもの)が用いられ得る。
【0564】
一部の実施形態において、前述の関連付けは、神経組織及び/又は神経組織を取り囲む組織を1つ以上のマッピング関数に従いマッピングすることにより達成される。
【0565】
例えば、図2は、本発明の一部の実施形態に係る、放射性トレーサーデータに同定される種々の領域と、対応する臓器及び/又は組織との関連付けに基づき神経組織の位置を特定する方法のフローチャートである。102、103は上記に記載したとおりであり得る。SPECTデータは単に好適な核イメージングデータの一例に過ぎず、本質的に図2に記載されるとおりの方法においては他の核イメージングデータ(例えば、PETデータ)がSPECTデータの代わりに、又はそれに加えて用いられ得ることが理解されるべきである。201において、例えば計算デバイスのメモリから、マッピング関数が提供される。202に示されるとおり、マッピング関数を使用して、SPECT画像における1つ以上の領域が1つ以上の臓器及び/又は組織と関連付けられる。203に示されるとおり、このマッピングにより、周囲組織に対する標的組織の位置を特定し、神経組織を周囲のエリアと分けることが可能となる。
【0566】
一部の実施形態では、マッピング関数は本明細書に記載されるとおりの解剖学的データ(例えば、血管造影データ)を利用する。
【0567】
一部の実施形態では、マッピング関数は予め定義される。マッピング関数は、例えば、放射性トレーサーデータ(例えば、時間依存データ)の多変量解析を利用し得る。一部の実施形態では、マッピング関数は、異なる動態学的挙動、取込み率及び/又は流失率によって特徴付けられる領域間を区別する。
【0568】
一部の実施形態では、位置を特定することは、体の特定の領域についての放射性トレーサーの参照取込み率及び/又は流失率を表す参照値との一致に従い生体内エリア又はボリュームにおいて少なくとも1つの目的の領域(ROI)を同定し、それにより体における当該の特定の領域を含むROIを同定することを含む。一部の実施形態では、参照値は刺激(例えば、本明細書に記載される刺激)に対する応答(例えば、神経応答)と関連付けられ、この方法は、同定を促進するため生体内エリア又はボリューム内の神経組織をかかる刺激で刺激するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、参照値との一致に基づき放射性トレーサーデータにおける生体内エリア又はボリュームの表現の少なくとも一部を(例えば、ROI以外の領域からノイズを除去することにより)フィルタリングするステップをさらに含む。一部の実施形態では、放射性トレーサーは放射性mIBG(例えば、I−123−mIBG)であり、参照値はmIBGの取込みに関するものである。
【0569】
一部の実施形態では、この位置特定が、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)医学的治療に用いられる。好適な医学的治療の例としては、限定なしに、除神経手技、例えば、腎除神経又は心房における神経節の除神経;(例えば、本明細書に記載されるとおりイメージングされた)シナプス中心、例えば心臓神経節神経叢、骨盤神経叢及び/又は腹腔神経節のアブレーション;(例えば、心房壁及び/又は心室壁の)筋アブレーション手技;神経支配調節手技;血液治療及び/又は(例えば、血管における)ステント留置手技の誘導が挙げられる。
【0570】
一部の実施形態では、この位置特定が、例えば心房細動(AF)を治療するための、神経節(例えば、心房に関連する神経節)のアブレーションのガイドに用いられる。一部の実施形態では、アブレーションはカテーテル留置手技中に、任意選択で放射性トレーサーデータと解剖学的データとの組み合わせに基づき実施される。任意選択で、カテーテル留置は心内心エコー(ICE)カテーテルを使用する。かかる実施形態において、ICEカテーテルからのイメージングデータは、任意選択で位置特定を促進するため放射性トレーサーデータと組み合わされ得る解剖学的データを含む。
【0571】
一部の実施形態では、位置特定は、放射性トレーサーデータ(例えば、SPECTデータ)及び解剖学的データ(これらは同時に(例えば、同時デュアル同位体技法によって)及び/又は治療期間中、例えば医学的治療の間に捕捉される)に基づくリアルタイムの位置特定である。
【0572】
一部の実施形態では、放射性トレーサーデータ(例えば、SPECTデータ)は、医療手技(例えば、心臓治療)の開始前、例えば手技の数時間前及び/又は前日に取得される。一部の実施形態では、放射性トレーサーデータは侵襲的医療手技の開始直前、例えば、対象がカテーテル処置室(CathLab)の部屋に入る前に取得される。例えば、放射性トレーサーデータは、任意選択でカテーテル留置手技の前にワークステーションに取り込まれる。
【0573】
一部の実施形態では、例えばCartoMerge(商標)モジュールを使用することにより、放射性トレーサーデータが解剖学的データ、任意選択で電気解剖学的マップ及び/又はCTマップにレジスタリングされる(例えば、それと重ねられる)。これにより、治療中、例えばアブレーション手技中に正確なガイダンスを操作者に提供することが可能となり、任意選択でこのガイダンスを用いて治療プローブ、例えばアブレーションデバイス(例えば、高周波プローブ)及び/又は冷凍外科手術プローブがナビゲートされ得る。放射性トレーサーデータがワークステーションに転送されると、ワークステーションは任意選択でリアルタイムの電気解剖学的マップを、本明細書に記載されるとおり取得された放射性トレーサーデータと、及び任意選択でCTマップともまたマージする。結果は任意選択で電気解剖学的マップ上の色付きの標的として操作者に提示され得る。
【0574】
SPECTが使用される例示的実施形態では、対象にI−123放射性標識トレーサー、例えばI−123−mIBGが、例えば本明細書に記載される用量で注入される。患者には任意選択で、灌流マッピング(例えば、心臓灌流マッピング及び/又は灌流ゲートSPECT)用のTc−99m標識トレーサー(これはSPECTによる検出に好適である)などの補助的放射性標識造影剤、例えば、セスタミビ、テトロホスミン、及び/又はテボロキシムなどの造影剤もまた、任意選択で本明細書に記載される用量で注入される。放射性トレーサー検出及び/又は灌流イメージング(造影剤検出)は、任意選択で安静時及び/又はストレス時(例えば、労作時)に行われる。
【0575】
一部の実施形態では、放射性トレーサーデータ及び解剖学的データは、例えば、最初に放射性(例えば、I−123標識)トレーサー(例えば、I−123−mIBG)を注入してその放射性トレーサーをイメージングし、次にTc−99m造影剤を注入してその造影剤をイメージングすることにより、各放射性標識薬剤(例えば、I−123標識放射性トレーサー及びTc−99m標識造影剤)を順々に測定して得られる。
【0576】
一部の実施形態では、放射性トレーサーデータ及び解剖学的データは、放射性標識薬剤(例えば、I−123標識放射性トレーサー及びTc−99m標識造影剤)を測定することにより得られ、このようにしてトレーサーの完全にレジスタリングされた画像がより短い時間フレームで得られる。別の例では両方のトレーサーが、Tc−99m標識トレーサーとI−123標識トレーサーとの約2:1の用量比で注入される。例えば、約10mCiのTc−99m標識造影剤(セスタミビなど)が、任意選択で約5mCiのI−123標識トレーサー(I−123−mIBGなど)と同時に注入される。一部の実施形態では、約1:1〜3:1、任意選択で約1.5:1〜2.5:1の比が用いられる。
【0577】
一部の実施形態では、放射性トレーサーデータ及び/又は造影剤データ(心臓灌流イメージングについて)、例えば、本明細書に記載されるとおりの放射性トレーサーデータ及び造影剤データの同時取得は、最長約20分の所定時間(例えば、放射性トレーサーデータの取得について本明細書に記載される所定時間)にわたる光子取得を含む。一部の実施形態では、光子取得は、例えば、早期像及び後期像を提供するため、(例えば、本明細書に記載される任意の時間の待機期間によって隔たる)複数の時点で実施される。
【0578】
診断及びモニタリング:
本発明の一部の実施形態に係るイメージング方法は、イメージングについて本明細書に記載される実施形態のいずれか1つにより決定されるとおりのシナプス中心分布に基づく診断及び/又は治療管理に関する。一部の実施形態では、本イメージング方法は、医学的状態又は疾患又は障害の診断及び/又はモニタリングに用いられる。一部の実施形態では、医学的状態及び/又は疾患又は障害は自律神経系に関連する。一部の実施形態では、医学的状態及び/又は疾患は、診断がなされる異常な自律神経系活性、例えば自律神経系の入力又は介入の障害に関連する。一部の例示的実施形態において、診断及び/又は治療管理は心臓に関する。
【0579】
従って、本発明の実施形態の別の態様によれば、医学的状態及び/又は疾患を診断及び/又はモニタリングする方法において使用される放射性トレーサー(例えば、本明細書に記載される放射性トレーサーのいずれか1つ、又はそれらの任意の組み合わせ)が提供される。一部の実施形態では、医学的状態及び/又は疾患は自律神経系に関連する。一部の実施形態では、この診断及び/又はモニタリング方法は、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに係るイメージング方法を用いる。一部の実施形態では、放射性トレーサーは放射性mIBG(例えば、I−123−mIBG)である。
【0580】
本発明の実施形態の別の態様によれば、医学的状態及び/又は疾患を診断及び/又はモニタリングするための診断用薬剤の製造における放射性トレーサー(例えば、本明細書に記載される放射性トレーサーのいずれか1つ、又はそれらの任意の組み合わせ)の使用が提供される。一部の実施形態では、医学的状態及び/又は疾患は自律神経系に関連する。一部の実施形態では、診断用薬剤は、本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに係るイメージング方法において使用されるものである。一部の実施形態では、放射性トレーサーは放射性mIBG(例えば、I−123−mIBG)である。
【0581】
本明細書で使用されるとき、用語「〜を診断する」、「診断している」及び「診断」及びこれらの変化形は、体の少なくとも一部分の活性、構造、挙動及び/又は任意の他の特徴を特徴付けることを指す。例えば、診断は任意選択で、体の異なる部分の間(例えば、臓器と自律神経系との間)の関係を特徴付けることから本質的になり得る。
【0582】
診断及び/又はモニタリングは、本明細書に記載されるとおりの神経組織の位置特定を伴い又は伴わず実施され得る。例えば、一部の実施形態では、シナプス中心分布及び/又は活性のパターンが診断及び/又はモニタリングに十分な情報を提供し、(例えば、本明細書に記載されるとおりの位置特定により)シナプス中心の正確な位置が分かる必要はない。代替的実施形態では、診断及び/又はモニタリングを促進するために位置特定が利用され、例えばそれにより近接して位置するシナプス中心間が区別され、及び/又は診断及び/又はモニタリングに関連して実施される治療(例えば、診断によりガイドされる治療)が促進される。
【0583】
本明細書に記載される態様のいずれかの一部の実施形態において、対象においてイメージングされた分布及び/又は活性を、1セット以上の参照シナプス分布と比較することにより、正常な又は異常なシナプス分布及び/又は活性が決定される。任意選択で、この参照データとの比較に基づき、シナプス活性(例えば、自律神経系活性)の予想される効果が決定されてもよい。一部の実施形態では、参照シナプス分布は正常なシナプス分布及び/又は活性を示す。一部の実施形態では、参照シナプス分布は、異常なシナプス分布及び/又はニューロン活性によって特徴付けられる医学的状態及び/又は疾患又は障害を示す。任意選択で、性別、年齢、国籍、病状、薬物療法、ストレス、運動、及び刺激に従うなど、異なる状況について異なる分布が提供される。任意選択で、医学的状態及び/又は疾患は、既存の分布と、疾患及び/又は医学的状態を特徴付ける1セット以上の参照分布との間の一致に基づき同定される。任意選択で、かかる参照分布セットは、様々な患者及び/又は健常な人及び/又は状態について取得され、例えば、相対強度、シナプス活性のタイプ(例えば、アドレナリン作動性とコリン作動性)、「ホットスポット」(高濃度の放射性トレーサーによって特徴付けられる領域)の位置及び/又はサイズ及び/又は「コールドスポット」(低濃度の放射性トレーサーによって特徴付けられる領域)の位置及び/又はサイズによって特徴付けられる。
【0584】
ある場合には、シナプス密度が、疾患過程に関して、及び/又は神経系が受けている又は受けた可能性のある任意のリモデリングに関して教示し得る。多くの患者において神経系は本質的に極めて動的であり、シナプス中心の密度及び活性(例えば、活性の大きさ及び/又はタイプ)が疾患及び/又は治療に応答し得る点に留意することが重要である。
【0585】
本発明の一部の実施形態によれば、シナプス分布及び/又はニューロン活性は治療前及び治療後の時点(例えば、異なるイメージングセッション)で(例えば本明細書に記載されるとおり)特徴付けられ、本方法は、治療が自律神経系活性に及ぼす効果を評価するステップをさらに含む。
【0586】
一部の実施形態では、(例えば、疾患又は治療によって生じる)神経系の変化は、少なくとも2つの(例えば、本明細書に記載されるとおりの)イメージングセッションを実施し、且つ2つのイメージングセッション間の変化を同定することにより同定される。一部の実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)医学的状態及び/又は疾患の治療は2つのイメージングセッションの間に行われる。
【0587】
一部の実施形態では、診断は、自律神経系が臓器(例えば、本明細書に記載される医学的状態及び/又は疾患に罹患している臓器)に及ぼす効果を、例えば自律神経系活性及び/又は分布がその臓器に及ぼす機能的効果を特徴付けることにより推定すること、又はその逆を含む。
【0588】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるイメージング方法は、このイメージング方法により決定されるとおりの、(例えば、所与のシナプス中心より末梢寄り及び/又は中枢寄りの位置における)刺激が神経系に及ぼす効果を特徴付けることにより、自律神経系の求心性活性と遠心性活性とを区別することを含む。
【0589】
一部の実施形態では、診断は分布及び活性の両方を考慮する。例えば、任意選択で分布が、神経支配を受ける組織の潜在的応答性を示し得る一方、任意選択で活性が、当該の潜在能力の利用程度を示す。この組み合わせはまた、組織(例えば、心臓)の神経支配及び/又は刺激/制御の一様性も示し得る。
【0590】
一部の実施形態では、診断を用いて心筋梗塞の損傷及び/又は治癒の予後が推定される。例えば、神経組織の損傷が心筋の損傷と異なる場合及び/又は再生が異なる場合が時にある。心臓のイメージングにより、例えば、好適に神経支配されていない、従って心室リモデリング、僧帽弁逆流、心不全及び/又は心非同期性の原因となり得る心臓の一部分が示され得る。
【0591】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるイメージング方法は、医学的状態及び/又は疾患の治療効果のモニタリングに用いられる。一部の実施形態では、自律神経系及び/又は臓器の効果が、治療処置の前、その最中及び/又はその後に評価される。評価される効果は、活性、活性の変化、及び/又は刺激(例えば、治療処置)に対する応答であり得る。
【0592】
一部の実施形態では、神経組織に影響を及ぼすことを意図する治療、例えば、β遮断薬による治療及び/又は除神経(例えば、腎除神経、心臓神経節又は神経節神経叢アブレーション、骨盤神経叢アブレーション、腹腔神経節アブレーション)の効果がモニタされる。一部の実施形態では、モニタリングは、神経活性を臓器(例えば、心臓)の機械的応答、例えば、動き(例えば、心臓壁の動き)の振幅及び/又は速度と比較することを含む。任意選択で、治療は測定に基づき修正され、例えば中止、継続、増加及び/又は変更される。
【0593】
一部の実施形態では、シナプス中心(例えば、神経節)の分布及び/又は活性を任意選択で心臓の応答と併せてモニタすることにより、慢性病態、例えば、高血圧症、心不整脈、前立腺肥大症、自己免疫疾患又は障害、糖尿病、勃起不全、過敏性腸症候群及び/又はストレスなどの影響がモニタされる。
【0594】
一部の実施形態では、本明細書に記載される測定を用いて、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)医学的状態又は疾患の治療がガイドされる。
【0595】
一部の実施形態では、本明細書に記載される測定を用いてペースメーカー又は他の心臓電気制御器電極の配置が選択される。例えば、不整脈治療に使用される電極は、任意選択で一層高度に活性化した組織を抑制し、弱め及び/又は捕捉し得るところに配置される。別の例において、ペースメーカー電極は、神経活性及び/又は伝導に対する電気刺激の予想される効果に従い配置される。別の例において、電極は、ある領域から別の領域への刺激の伝導を遮断するように、及び/又は心臓組織の、さらには神経組織の過活性に対する応答性を低減するように配置される。一部の実施形態では、米国特許第8,306,616号明細書に記載されるとおりの方法及び/又は装置が使用される。
【0596】
従って、本発明の実施形態の別の態様によれば、医学的状態及び/又は疾患の治療のガイドに使用される放射性トレーサー(例えば、本明細書に記載される放射性トレーサーのいずれか1つ又はそれらの任意の組み合わせ)が提供される。一部の実施形態では、医学的状態及び/又は疾患は自律神経系に関連する。一部の実施形態では、放射性トレーサーは放射性mIBG(例えば、I−123−mIBG)である。
【0597】
本発明の実施形態の別の態様によれば、医学的状態及び/又は疾患の治療をガイドするための診断用薬剤の製造における放射性トレーサー(例えば、本明細書に記載される放射性トレーサーのいずれか1つ又はそれらの任意の組み合わせ)の使用が提供される。一部の実施形態では、医学的状態及び/又は疾患は自律神経系に関連する。一部の実施形態では、放射性トレーサーは放射性mIBG(例えば、I−123−mIBG)である。
【0598】
本明細書に記載される態様のいずれかの一部の実施形態では、本明細書に記載される測定を用いることにより、神経、シナプス中心、例えば神経節神経叢又は他の神経節(例えば、心臓神経節神経叢、骨盤神経叢、腹腔神経節)、及び/又は心臓の外表面のアブレーションがガイドされる。一部の実施形態では、アブレーションの効果をモニタし、任意選択で必要に応じてアブレーションを繰り返し又は変更するため、測定はアブレーションの後(又はその最中)に適用される。
【0599】
一部の実施形態では、医学的状態及び/又は疾患は、自律神経系の介入の入力によって引き起こされ、増悪し又は持続するものである。
【0600】
本発明の一部の実施形態により治療、診断及び/又はモニタされ得る医学的状態及び/又は疾患の例としては、(本明細書に記載される発明の態様のいずれかによれば)、限定なしに、高血圧症、心不整脈、前立腺肥大症(例えば、良性前立腺肥大症)、自己免疫疾患及び障害、糖尿病、ストレス、勃起不全、過敏性腸症候群、甲状腺中毒症、高血圧症、肥大型心筋症、慢性閉塞性肺疾患、失神、甲状腺活性低下症、特発性心不全、喘息、沈着症(例えば、アミロイドーシス、肺の沈着症)、病的体重増加、斜頸(tortocolis)(頸部における同側胸鎖乳突筋(sternocledomastoid muscle)の収縮)、特発性拡張型心筋症、右室流出路起源頻拍、ブルガダ症候群、ファロー四徴症(修復後)、閉塞性肥大型心筋症、睡眠時無呼吸、喘息、肝代謝異常、多汗症、唾液分泌過剰及び流涙過剰が挙げられる。関節リウマチは自己免疫疾患の非限定的な例である。心房細動は例示的心不整脈である。ANS過活性に関連する疾患又は障害の例としては、限定なしに、斜頸(tortocolis)(過剰な筋収縮に関連する)、肥大型心筋症、特発性拡張型心筋症、右室流出路起源頻拍、ブルガダ症候群、ファロー四徴症(修復後)、閉塞性肥大型心筋症、沈着症又は肺、睡眠時無呼吸、喘息(気道における過活性に関連する)、肝代謝異常(例えば、ANSに関連する)、多汗症(皮膚領域における過活性に関連する)、唾液分泌過剰及び流涙過剰が挙げられる。
【0601】
一部の実施形態では、本明細書に記載される測定を用いて、例えば神経組織及び/又は関連する組織(例えば、神経組織の神経支配を受ける心臓組織)に対して刺激性又は阻害性の化合物(例えば、薬物)及び/又は神経組織の成長を促進する化合物を溶出させる薬物溶出パッチの位置が選択される。
【0602】
一部の実施形態では、診断は、心臓に対する要求量が増加したときに所望のとおりに応答しない心臓の部位を、例えば活性の低下及び/又は機械的応答の低下に基づき同定することを含む。一部の実施形態では、活性化時間及び/又は伝導速度に対する遅延を示すマップが神経活性化と相関付けられる。これにより、例えば、心臓が活性化及び/又は伝導の遅延の問題を補償しようとして過活性になる位置が同定され得る。一部の実施形態では、治療は、例えば神経入力を調節し及び/又は根底にある若しくは関連する心臓病態に影響を及ぼすことにより、特定の領域の活性を平衡させること(又は活性の平衡を所望の形で変化させること)を含む。
【0603】
一部の実施形態では、かかる測定を用いて、心臓の一部又は全てにおける肥大及び/又は発育不全の原因が評価される。例えば、右心室心不全患者は弱まった組織が代償性の神経活性化を呈することもあり、ある場合には、それが正常組織にスピルオーバー効果を及ぼし得る。あるレベルを超える神経効果は活性の低下を引き起こし、これは神経刺激の増加を局所的に遮断することにより治療し得る。かかるスピルオーバーはまた、例えば不整脈にも関与する。
【0604】
本出願から特許成立までの期間に、シナプス中心のイメージングによって利益を受け得る多くの関連する診断及び治療が開発されることが予想され、用語「診断」及び「治療」の範囲には、事前にかかる新規技術が全て含まれることが意図される。
【0605】
シナプス中心活性の調節:
本明細書に例示されるとおり、本明細書に記載されるイメージング方法は、イメージングされたシナプス中心の活性を調節するために用いられるとき、特に有用であり得る。
【0606】
従って、本発明の一部の実施形態によれば、治療は、本方法によりイメージングされた少なくとも1つのシナプス中心におけるニューロン活性を調節するステップを含む。
【0607】
調節は、任意選択で、異常な自律神経系活性と関連付けられる疾患又は障害を治療する文脈で用いられ得る。
【0608】
従って、本発明の一部の実施形態のある態様によれば、異常な自律神経系活性と関連付けられる疾患又は障害を治療する方法が提供され、本方法は、必要とする対象における疾患又は障害と関連付けられる自律神経系の少なくとも1つのシナプス中心を、本明細書に記載される方法によりイメージングするステップと、イメージングの結果に基づき疾患又は障害を治療するステップとを含む。一部の実施形態では、治療は、イメージングによりイメージングされた少なくとも1つのシナプス中心におけるニューロン活性を調節するステップであって、それにより疾患又は障害を治療するステップを含む。
【0609】
本明細書に記載される発明の態様のいずれかの一部の実施形態によれば、本明細書に記載されるイメージング方法は、少なくとも1つのシナプス中心のイメージングに基づき治療をガイドするステップをさらに含む。
【0610】
一部の実施形態では、治療は、シナプス中心(例えば、神経節、神経節神経叢)の局所治療を含み、ここでは本明細書に記載されるとおりのシナプス中心のイメージングを用いて局所治療がガイドされる。局所治療の例としては、限定なしに、神経組織(例えば、シナプス中心)のアブレーション(例えば、レーザーアブレーション、高周波アブレーション、ロトアブレーション(rotoablation))、シナプス中心の刺激、及び治療剤の局所投与が挙げられる。
【0611】
本発明の一部の実施形態によれば、調節するステップはシナプス中心のアブレーションを含む。
【0612】
本発明の一部の実施形態によれば、調節されるシナプス中心は、心臓神経節神経叢、骨盤神経叢及び腹腔神経節からなる群から選択される。
【0613】
一部の実施形態では、本方法はカテーテル留置手技を含む。一部の実施形態では、カテーテル留置手技は、本明細書に記載されるイメージング方法によりガイドされる。
【0614】
本発明の一部の実施形態によれば、疾患又は障害は、心不整脈、前立腺肥大症、自己免疫疾患又は障害、糖尿病、ストレス、勃起不全、及び過敏性腸症候群からなる群から選択される。
【0615】
かかる病態の治療は、本明細書の実施例の節にさらに詳細に記載される。
【0616】
一部の実施形態では、放射性トレーサーデータ(例えば、SPECTデータ)を本明細書に記載されるとおりの解剖学的データと組み合わせることにより、心房における神経節叢(GP)の位置が特定される。これは、解剖学的データと放射性トレーサーデータ(例えば、SPECTデータ)との組み合わせに基づき医療手技、例えばカテーテル留置手技をガイドすることを可能にする。
【0617】
一部の実施形態では、治療は、心房近傍での神経組織、例えば1つ以上の心臓神経節神経叢(GP)のアブレーション(例えば、高周波アブレーション)を含む。一部のかかる実施形態において、放射性トレーサーデータはSPECTによって入手され、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)解剖学的データと組み合わされる。一部の実施形態では、解剖学的データもまた、本明細書に記載されるとおり、SPECTによって(例えば、Tc−99m放射性標識造影剤を使用して)入手される。
【0618】
一部の実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)GPの位置特定により、操作者に対してGPがどこに位置するかが指示され、操作者はそれらの一部又は全てを、カテーテルの先端に位置するアブレーションユニット、例えば国際特許出願PCT/IL2013/051045号明細書(これは参照により本明細書に援用される)に記載されるとおりのアブレーションユニットを操作してアブレーションすることが可能となる。一部の実施形態では、位置特定はSPECT放射性トレーサーデータと解剖学的データとの組み合わせを使用して実施される。アブレーションユニットは、任意選択で、上記のGP及び/又は別のシナプス中心の一部又は全ての近くにガイドされるとき、高頻度刺激に使用される。一部の実施形態では、予め取得済みのセグメンテーション画像、例えばCartoMerge(商標)モジュールなどの画像積分モジュールによってインポートされた、例えば上記のGPの一部又は全ての位置を示すモデルからの解剖学的イメージングデータが使用される。任意選択で、治療されたGPに関連するデータ、例えば、周囲のエリアにおける心外膜脂肪、例えばGPが位置する脂肪パッドの空間分布及び/又は厚さが取得され、イメージング及び/又は治療プロセスのガイドに使用される。GPのアブレーションは、発作性又は持続性心房細動を有する患者にとってオプションとなる治療である。
【0619】
任意選択で、放射性トレーサーデータ(SPECTデータ)は、解剖学的データと組み合わせる前にセグメンテーションされる。例えば、肺静脈(PV)セクション、左心房(LA)セクション、及び/又はGPが、任意選択でモデルとの一致に基づきセグメンテーションされる。
【0620】
ここで図5を参照し、この図5は、本発明の一部の実施形態に係る、標的エリアとして心房における連続性分裂心房電位(CFAE)部位、収縮力(CF)部位、及び/又はドミナント周波数(DF)部位をマッピングすることによるアブレーション治療の実施方法のフローチャートである。初めに、CFAE、CF、及びDF部位がマッピングされる。次に、CFAE、CF及び/又はDFの間、及び/又はCFAE、CF、DF及び/又はGPの間の共通部分が計算される。これらの共通部分は、解剖学的に既知のGP、例えば上述のGPの予測される部位を含むものであってもよく、予め取得された位置特定済みのGP、例えば放射性トレーサーデータ(例えば、SPECTデータ)に同定されるGPを含むものであってもよく、及び/又は高頻度刺激によりリアルタイムで位置が決定されるGPを含む共通部分であってもよい。次に、共通部分がアブレーションの標的エリアとして選択される。一部の実施形態では、CFAE部位と少なくとも1つのGPとの間の共通部分がアブレーションの標的とされる。一部の実施形態では、CFAE部位とDF部位と少なくとも1つのGPとの間の共通部分がアブレーションの標的とされる。一部の実施形態では、CFAE部位とCF部位と少なくとも1つのGPとの間の共通部分がアブレーションの標的とされる。任意選択で、部分的な共通部分より完全な共通部分が好ましい。
【0621】
一部の実施形態では、本方法は、以下のGP:左上GP(SLGP)、左下GP(ILGP)、右前GP(ARGP)、右下GP(IRGP)、及びマーシャルGPから少なくとも1つのGPを同定するステップ、及び任意選択で、この同定に基づき少なくとも1つのGPに提供される治療をガイドするステップを含む。
【0622】
本出願から特許成立までの期間にシナプス活性の活性を調節するための多くの関連技術が開発されるであろうことが予想され、用語「調節する」の範囲には、事前にかかる新規技術が全て含まれることが意図される。
【0623】
一般的定義:
本明細書で使用されるとき、用語「約」は±10%を指す。
【0624】
用語「〜を含む(comprises)」、「〜を含んでいる(comprising)」、「〜を含む(includes)」、「〜を含んでいる(including)」、「〜を有する(having)」及びこれらの活用形は、「限定はされないが、〜を含む」を意味する。この用語は、用語「〜からなる(consisting of)」及び「〜から本質的になる(consisting essentially of)」を包含する。
【0625】
語句「〜から本質的になる(consisting essentially of)」は、組成物又は方法がさらなる成分及び/又はステップを含み得るが、但しそれはそのさらなる成分及び/又はステップが特許請求される組成物又は方法の基本的な且つ新規の特徴を実質的に変化させない場合に限られることを意味する。
【0626】
本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上特に明確に指示されない限り複数形の参照を含む。例えば、用語「化合物(a compound)」又は「少なくとも1つの化合物」は複数の化合物を、それらの混合物を含めて含み得る。
【0627】
語句「例示的」は、本明細書では、「一例、事例又は例示として提供される」ことを意味して使用される。「例示的」と記載される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態と比べて好ましい又は有利である及び/又は他の実施形態からの特徴を取り入れることを排除すると解釈されるべきものではない。
【0628】
語句「任意選択で」は、「一部の実施形態では提供され、他の実施形態では提供されない」ことを意味して使用される。本発明の任意の特定の実施形態は複数の「任意選択の」特徴を、かかる特徴が矛盾を生じない限り含み得る。
【0629】
本願全体を通して、本発明の種々の実施形態が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上のもので、簡潔にするために過ぎないことが理解されなければならず、本発明の範囲に関する柔軟性のない限定として解釈されてはならない。従って、ある範囲の記載は、具体的に開示される全ての可能な部分範囲並びに当該の範囲内にある個々の数値を有するものと考えるべきである。例えば、1〜6などの範囲の記載は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6等の具体的に開示される部分範囲、並びに当該の範囲内にある個々の数値、例えば、1、2、3、4、5、及び6を有するものと考えるべきである。これは、その範囲の広さに関わらず適用される。
【0630】
本明細書において数値の範囲が指示される場合は常に、指示される範囲内の任意の挙げられる数値(分数又は整数)を含むことが意図される。第1の指示数値と第2の指示数値と「の間を範囲としている/範囲とする」、及び第1の指示数値「から」第2の指示数値「までを範囲としている/範囲とする」という語句は、本明細書では同義的に使用され、第1及び第2の指示数値並びにそれらの間の全ての分数値及び整数値を含むことが意図される。
【0631】
明確にするため別個の実施形態の文脈で記載される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態に組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡略にするため単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特徴がまた、別個に、又は任意の好適な部分的組み合わせで、又は本発明の任意の他の記載される実施形態において好適なものとして提供されてもよい。様々な実施形態の文脈で記載される特定の特徴は、それらの要素なしにはその実施形態が実施不可能でない限り、それらの実施形態の不可欠な特徴であると考えるべきではない。
【0632】
以上に概説するとおりの、及び以下の特許請求の範囲の節に請求するとおりの本発明の様々な実施形態及び態様について、以下の実施例に実験的裏付けが見出される。
【実施例】
【0633】
ここで以下の例を参照し、これらは上記の記載と併せて本発明の一部の実施形態を非限定的な形で例示する。
【0634】
実施例1
心臓におけるアドレナリン作動性シナプス活性のイメージング
ヒト患者に対し、交感神経系のアドレナリン作動性シナプス用放射性トレーサーであるI−123放射性標識mIBGを投与した。D−SPECT(登録商標)心臓イメージングシステム(Spectrum Dynamics、イスラエル)を使用したSPECTにより、mIBG分布に基づく画像を得た。X線CTイメージングを実施し、且つ得られたX線CT画像をセグメンテーションすることにより、心臓の解剖学的構造を決定した。次にX線CTデータをSPECTデータと組み合わせることにより、心臓におけるmIBG分布を示す画像を作成した。左心房及び右心室におけるアドレナリン作動性シナプス活性のレベルを示す画像を図6A図8Bに提供する。
【0635】
図6A図6D、並びに図7A及び図7Bに示されるとおり、高レベルのアドレナリン作動性シナプス(赤色)を含む領域が左心房の特定の領域に観察された一方、左心房のほとんどが低レベルのアドレナリン作動性シナプス(緑色)によって特徴付けられた。図6Aは、左下肺静脈に高レベルのアドレナリン作動性シナプスがあることを示す。図6Cは、右上肺静脈に高レベルのアドレナリン作動性シナプスがあることを示す。
【0636】
図8A及び図8Bに示されるとおり、高レベルのアドレナリン作動性シナプス(赤色)を含む領域が心室中隔の領域に観察された一方、右心室の残りの部分は低レベルのアドレナリン作動性シナプス(緑色)によって特徴付けられた。
【0637】
心室中隔に関連する活性の「ホットスポット」は、当該技術分野において一見したところ知られておらず、これまで治療及び/又は診断の計画に用いられてこなかったことから、特に興味深い。
【0638】
実施例2
心臓神経節神経叢のイメージング
心臓神経節神経叢をイメージングするため、ボディ・マス・インデックス(BMI)が22(身長176cm;体重69kg)であり、且つ心室性不整脈、胸部不快感、低駆出率(LVEF(左心室駆出率)=35%)、及び非虚血性心筋症の病歴を有する60歳男性対象にI−123放射性標識mIBGを投与し、D−SPECT(登録商標)心臓イメージングシステム(Spectrum Dynamics、イスラエル)を使用したSPECTにより、mIBG分布に基づく画像を得た。X線CTイメージングを実施し、且つ得られたX線CT画像をセグメンテーションすることにより、心臓の解剖学的構造及びその周囲を決定した。次に、図1に記載されるとおり、X線CTデータをSPECTデータと組み合わせて心臓の領域におけるmIBG分布を示す画像を作成した。
【0639】
図9A図9C及び図10A図10Cは、対象の心臓に隣接する3つの同定された(比較的大きい)シナプス中心の位置を示す。図10Cは、3つの同定されたシナプス中心に加えて、心房におけるアドレナリン作動性シナプスの軽微な(即ち、比較的小さい)中心(心房表面の赤色の陰影)をさらに示す。
【0640】
図10Bに示されるとおり、同定されたシナプス中心の位置は、Armour et al.[Anatomical Record 1997,247:289−298]によって報告されるとおりの、前下行神経節神経叢、右心房上部神経節神経叢及び左心房後内側部神経節神経叢の典型的な位置と相関する。
【0641】
これらの結果は、本明細書に記載される技術が心臓神経節神経叢を検出して描出することを示している。
【0642】
実施例3
心臓神経節神経叢のイメージング、検証及びアブレーション
実施例2に記載されるとおりのイメージングによる心臓GP(神経節神経叢)位置の同定を検証し、且つアブレーション療法におけるかかるイメージングの有用性を評価するため、電気生理学的試験を実施した。
【0643】
実施例2に記載する手順を用いて、病歴が発作性心房細動、PVI(肺静脈隔離術)及びCVI(下大静脈−三尖弁輪間峡部)のカテーテルアブレーション、並びに正常LV(左心室)収縮((LVEF(左心室駆出率)=60%、LVDd(左心室拡張末期径)=47mm、及びLAD(左心房径)=36mm)の47歳男性対象の心臓に隣接して、神経節叢(GP)に相当する4つのシナプス中心を同定した。
【0644】
4つのGPをイメージングし、同定した後、心電図記録法によって決定されるとおりの、高頻度刺激(HFS)に対する個々の標的部位の応答を計測することにより、検証を実施した。
【0645】
初めは、イメージングされたGPに関連しない部位をHFSに供した。この部位は図11に示す。
【0646】
図12に示されるとおり、イメージングされたGPに関連しない部位はHFSに反応しなかった。
【0647】
次にHFSを、上述の画像でGPの位置として同定された部位に実施した。1つの部位は、図13A及び図13Bに示すRIPV(右下肺静脈)GP位置であった。
【0648】
図14に示されるとおり、イメージングされたRIPV GPに関連する部位は、HFSに対して正の応答を呈した。イメージングされたRIPV GPに関連する部位に対するHFSの適用を繰り返すと、さらなる正の応答を呈した(データは示さず)。
【0649】
同様に、イメージングされたLIPV GPに関連する部位は、HFSに対して正の応答を呈した(データは示さず)。
【0650】
かかる実験において、イメージングされた神経節神経叢に関連する部位は、限られた回数のHFSセッションに対して100%の正の応答率を呈した一方、イメージングされた神経節神経叢に関連しない部位は、同じHFS治療に対し、50回より多く適用した場合にも負の応答を呈した(データは示さず)。
【0651】
上記の結果から、本明細書に記載される技術が心臓神経節神経叢を正確に検出して描出することが確認される。
【0652】
次にGPの画像を使用してGPをアブレーションした。低出力(最大20W)による5回のアブレーションセッションを、カテーテルによって図15A及び図15Bに示すとおりのLIPV GP位置に適用した。
【0653】
図16に示すとおり、LIPV GPは、アブレーションに供した後、局所的にHFSを加えると負の応答を呈した。HFSの反復も同様に、LIPV GPから正の応答を生じさせることはできなかった(データは示さず)。
【0654】
同様にRIPV GPも、3回の低出力(最大20W)のアブレーションセッションに供した後、HFSを局所的に2回加えると負の応答を呈した(データは示さず)。
【0655】
これらの結果は、本明細書に記載される技術を使用した神経節神経叢のイメージングをアブレーションと組み合わせることにより、限られた出力及び限られた回数のアブレーションセッションを用いる場合であっても、神経節神経叢の有効なアブレーションが実現することを示している。
【0656】
実施例4
放射性薬剤の組み合わせを使用したイメージング
過去に心臓アブレーション治療を受けたことのある患者をストレス試験に供し、ピークストレス時にTc−99m放射性標識セスタミビ(300MBq)を注入した。D−SPECT(商標)装置を使用して、100万左心室(LV)カウントを含むゲートSPECTデータを取得した。
【0657】
対象を診療台に乗せた状態でI−123放射性標識mIBG(150MBq)を注入した。患者を未だ診療台に乗せた状態で、mIBG注入の10分後に遅延再分布(DR)SPECT画像を20分間取得した(早期mIBG)。
【0658】
次に、初回セスタミビ注入の約3時間後、安静時にTc−99m放射性標識セスタミビ(800MBq)を注入した。mIBG注入の4時間後に第2セットのDR SPECT画像を20分間取得した(後期mIBG及びセスタミビ安静、100万LVカウント)。
【0659】
心臓組織の種々の領域の神経支配レベルを特徴付けるため、図4に示す(上記に記載するとおりの)方法によりmIBGデータを分析した一方、心臓組織の種々の領域の(セスタミビ灌流により示されるとおりの)バイタリティを特徴付けるため、セスタミビデータを分析した。神経支配及びバイタリティの分布を比較した。
【0660】
図17は、本発明の例示的実施形態における、左心房702の3つのSPECT画像のセット700である。左の画像は、セスタミビ分布を表すSPECTデータを使用して再構成したもので、セスタミビ分布はバイアビリティを示す。赤色のエリア704は低バイタリティ(アブレーション治療に少なくとも部分的に関連すると考えられる)を示し、黄色のエリア706(細いバンドとして見える)は中程度のバイタリティを示し、及び周囲の緑色のエリアは高バイタリティを示す。中央の画像は、mIBG分布を表すSPECTデータを使用して再構成したもので、mIBG分布はシナプスによる神経支配を示す。赤色のエリア710は、比較的高レベルの神経支配によって特徴付けられる周囲の緑色のエリアと比較したとき低レベルの神経支配によって特徴付けられるエリアを示す。右の画像は、低バイアビリティとの組み合わせでの比較的高レベルの神経支配によって特徴付けられる青色のエリア712、及び高バイタリティとの組み合わせでの低レベルの神経支配によって特徴付けられるオレンジ色のエリア714を示す。周囲の緑色のエリアは神経支配及びバイタリティのレベル間の一致によって特徴付けられ、例えば、神経支配及びバイタリティが両方とも比較的低いか、又は両方とも比較的高い。
【0661】
図18は、本発明の例示的実施形態における、左心室802の3つのSPECT画像のセット800である。左の画像は、セスタミビ分布を表すSPECTデータを使用して再構成したもので、セスタミビ分布はバイアビリティを示す。赤色のエリア804は低バイタリティを示し、黄色のエリア806(細いバンドとして見える)は中程度のバイタリティを示し、及び周囲の緑色のエリアは高バイタリティを示す。中央の画像は、mIBG分布を表すSPECTデータを使用して再構成したもので、mIBG分布はシナプスによる神経支配を示す。赤色のエリア810は、比較的高レベルの神経支配によって特徴付けられる周囲の緑色のエリアと比較したとき低レベルの神経支配によって特徴付けられるエリアを示す。右の画像は、低バイアビリティとの組み合わせでの比較的高レベルの神経支配によって特徴付けられる青色のエリア812、及び高バイタリティとの組み合わせでの低レベルの神経支配によって特徴付けられるオレンジ色のエリア814を示す。周囲の緑色のエリアは神経支配及びバイタリティのレベル間の一致によって特徴付けられ、例えば、神経支配及びバイタリティが両方とも比較的低いか、又は両方とも比較的高い。
【0662】
実施例4
良性前立腺肥大症(BPH)の診断及び治療
良性前立腺肥大症(BPH)は、前立腺に発症する最も一般的な良性障害である。
【0663】
交感神経及び/又は副交感神経緊張の調節が前立腺肥大症に影響を及ぼし得るというエビデンスが多数ある。ノルエピネフリンはインビトロで前立腺間質細胞に対して直接的な分裂促進作用を及ぼす。ラットにおける節前交感神経切除術では、細胞サイズ及び細胞数の変化により腹側前立腺葉の重量が22.7%低下し、節前副交感神経切除術では、除神経側の重量が8.3%低下した一方、インタクトな側の重量が24.8%増加した。節前副交感神経切除術及び交感神経切除術の併用効果は、個別に実施した各除神経タイプの効果の合計と等しかった。
【0664】
加えて、ノルアドレナリン作動性交感神経により引き起こされる平滑筋収縮が尿道の収縮をもたらし、BPHの臨床症状に寄与する。アドレナリン受容体遮断薬が、BPH症状を軽減するために一般的に用いられる。
【0665】
図19は、異常なANS活性に関連するBPHの例示的な診断及び/又は治療手順を記載する。骨盤(全骨盤又は前立腺近傍にある骨盤の一部分)の画像が、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)ANS活性のマーカーとしての使用に好適な放射性トレーサーを使用して得られる。この情報が骨盤(全骨盤又は前立腺近傍にある骨盤の一部分)の取得済みの解剖学的画像と同時レジスタリングされる。同時レジスタリングされた情報を使用して、ANS過活性(過剰な交感神経及び/又は副交感神経活性)を呈する少なくとも1つの解剖学的領域が同定され、それによりBPHに関連する異常なANS活性が診断される。
【0666】
任意選択で、同定されたANS過活性領域に治療を適用して、例えば当該の領域におけるANS活性を(例えば、アブレーションにより)阻害することにより、治療が行われる。任意選択で、任意の好適な手段によって、例えば同定された領域においてニューロンの高頻度刺激を実施し、且つ血圧、血液動態反応などの、ニューロン活性の1つ以上のマーカーを測定することにより、治療の生理学的効果が評価される。
【0667】
一部の実施形態において、治療によっては同定された領域におけるANS過活性が軽減又は消失しない場合、治療手順が繰り返される。
【0668】
実施例5
勃起障害の診断及び治療
陰茎勃起は、ANSによって制御される血管イベントである。交感神経経路は勃起抑制性であり、仙骨副交感神経経路は勃起促進性である。陰茎勃起は、交感神経及び副交感神経の両方のニューロン及び神経節を含む下下腹神経叢(「骨盤神経叢」としても知られる)のニューロンによって調節されるとともに、交感神経ニューロンを含む陰部神経によっても調節される。
【0669】
図20は、勃起障害の例示的な診断及び/又は治療手順を記載する。骨盤(全骨盤又は陰茎近傍にある骨盤の一部分)の画像が、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)ANS活性のマーカーとしての使用に好適な放射性トレーサーを使用して得られる。この情報が骨盤(全骨盤又は陰茎近傍にある骨盤の一部分)の取得済みの解剖学的画像と同時レジスタリングされる。同時レジスタリングされた情報を使用して、ANS過活性又は活性低下(例えば、過剰な交感神経活性及び/又は欠損した副交感神経活性)を呈する少なくとも1つの解剖学的領域が同定され、それにより勃起障害に関連する異常なANS活性が診断される。
【0670】
任意選択で、同定されたANS過活性又は活性低下領域に治療を適用して、例えば当該の領域における交感神経活性を(例えば、アブレーションにより)阻害することにより、治療が行われる。任意選択で、任意の好適な手段によって、例えば同定された領域においてニューロンの高頻度刺激を実施し、且つ血圧、血液動態反応などの、ニューロン活性の1つ以上のマーカーを測定することにより、治療の生理学的効果が評価される。
【0671】
一部の実施形態において、治療によっては同定された領域におけるANS過活性又は活性低下が軽減又は消失しない場合、治療手順が繰り返される。
【0672】
実施例6
糖尿病の診断及び治療
肝臓代謝はANS神経支配の影響を受け、ANS神経支配は、腹腔神経節に関連する交感神経支配と、肝臓迷走神経枝及び右後横隔膜下迷走神経による副交感神経支配とを含む。
【0673】
図21は、肝臓、膵臓及び/又は腸における異常なANS活性に関連する糖尿病の例示的な診断及び/又は治療手順を記載する。腹部(全腹部又は肝臓、膵臓及び/又は腸の近傍にある腹部の一部分)の画像が、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)ANS活性のマーカーとしての使用に好適な放射性トレーサーを使用して得られる。この情報が腹部(全腹部又は肝臓、膵臓及び/又は腸の近傍にある腹部の一部分)の取得済みの解剖学的画像と同時レジスタリングされる。同時レジスタリングされた情報を使用して、(例えば、交感神経及び/又は副交感神経活性の)ANS過活性又は活性低下を呈する少なくとも1つの解剖学的領域が同定され、それにより糖尿病に関連する異常なANS活性が診断される。
【0674】
任意選択で、同定されたANS過活性又は活性低下領域に治療を適用して、例えば当該の領域における交感神経及び/又は副交感神経活性を(例えば、アブレーションにより)阻害することにより、治療が行われる。任意選択で、任意の好適な手段によって、例えば同定された領域においてニューロンの高頻度刺激を実施し、且つ血圧、血液動態反応などの、ニューロン活性の1つ以上のマーカーを測定することにより、治療の生理学的効果が評価される。
【0675】
一部の実施形態において、治療によっては同定された領域におけるANS過活性又は活性低下が軽減又は消失しない場合、治療手順が繰り返される。
【0676】
実施例7
関節炎の診断及び治療
神経系は免疫系と連絡する。関節炎は、脾臓の門部及び赤脾髄における交感神経密度の増加、並びに脾臓の門部より遠位の領域及び白脾髄における交感神経密度の低下と関連することが分かっている。この神経再分布は、関節炎の慢性炎症期に寄与する免疫機能の調節において決定的に重要であり得る。
【0677】
図22は、脾臓における異常なANS活性に関連する関節炎(例えば、関節リウマチ)の例示的な診断及び/又は治療手順を記載する。腹部(全腹部又は脾臓近傍にある腹部の一部分)の画像が、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)ANS活性のマーカーとしての使用に好適な放射性トレーサーを使用して得られる。この情報が腹部(全腹部又は脾臓近傍にある腹部の一部分)の取得済みの解剖学的画像と同時レジスタリングされる。同時レジスタリングされた情報を使用して、ANS過活性又は活性低下(例えば、赤脾髄における交感神経の過活性及び/又は白脾髄における交感神経の活性低下)を呈する少なくとも1つの解剖学的領域が同定され、それにより関節炎に関連する異常なANS活性が診断される。
【0678】
任意選択で、同定されたANS過活性又は活性低下領域に治療を適用して、例えば当該の領域における交感神経活性を(例えば、アブレーションにより)阻害することにより、治療が行われる。任意選択で、任意の好適な手段によって、例えば同定された領域においてニューロンの高頻度刺激を実施し、且つ血圧、血液動態反応などの、ニューロン活性の1つ以上のマーカーを測定することにより、治療の生理学的効果が評価される。
【0679】
一部の実施形態において、治療によっては同定された領域におけるANS過活性又は活性低下が軽減又は消失しない場合、治療手順が繰り返される。
【0680】
実施例8
過敏性腸症候群の診断及び治療
過敏性腸症候群は、例えば髄膜の圧迫による神経系活性の変化と関連し得る。神経系は食物が消化器系を通過する速度を制御するため、この神経系の変化が速度の増加をもたらし得ることで下痢が引き起こされることもあり、又は速度の低下をもたらし得ることで便秘が引き起こされることもある。髄膜の圧迫は、事故、外傷及びさらにはストレスにより引き起こされ得る。神経が引っ張られて刺激されることにより脳へのインパルスが不規則となり、これが脳によって痛み、そう痒感、灼熱感、冷感、しびれ感又は他の感覚として解釈され得る。加えて、過剰な交感神経活性が、アドレナリン産生に関連する憂鬱な気持ちなどの負の感情をもたらす一方、正常な消化活動に関連する副交感神経活性を阻害し得る。
【0681】
図23は、異常なANS活性に関連する過敏性腸症候群の例示的な診断及び/又は治療手順を記載する。腹部(全腹部又は腹腔神経叢近傍にある腹部の一部分)の画像が、(例えば、本明細書に記載されるとおりの)ANS活性のマーカーとしての使用に好適な放射性トレーサーを使用して得られる。この情報が腹部(全腹部又は腹腔神経叢近傍にある腹部の一部分)の取得済みの解剖学的画像と同時レジスタリングされる。同時レジスタリングされた情報を使用して、ANS過活性又は活性低下(例えば、交感神経の過活性及び/又は副交感神経の活性低下)を呈する少なくとも1つの解剖学的領域が同定され、それにより過敏性腸症候群に関連する異常なANS活性が診断される。
【0682】
任意選択で、同定されたANS過活性又は活性低下領域に治療を適用して、例えば当該の領域における交感神経活性を(例えば、アブレーションにより)阻害することにより、治療が行われる。任意選択で、任意の好適な手段によって、例えば同定された領域においてニューロンの高頻度刺激を実施し、且つ血圧、血液動態反応などの、ニューロン活性の1つ以上のマーカーを測定することにより、治療の生理学的効果が評価される。
【0683】
一部の実施形態において、治療によっては同定された領域におけるANS過活性又は活性低下が軽減又は消失しない場合、治療手順が繰り返される。
【0684】
本発明はその具体的な実施形態と併せて記載されているが、多くの代替例、改良例及び変形例が当業者に明らかであろうことは明白である。従って、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広義の範囲の中に含まれるかかる代替例、改良例及び変形例が全て包含されることが意図される。
【0685】
本明細書において言及される全ての刊行物、特許及び特許出願は、本明細書において、それぞれ個々の刊行物、特許又は特許出願が具体的且つ個々に参照により本明細書に援用されることが示されたものとするのと同程度に全体として参照により本明細書に援用される。加えて、本願における任意の参考文献の引用又は特定は、かかる参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものと解釈されてはならない。節の見出しが使用される限りにおいて、それらが必然的に限定するものであると解釈されてはならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23