(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
なお、本明細書において、包装体及び容器の「正面」は、水平面上に自立させた容器を、容器の軸方向に対して直交する方向のうち任意の1つの方向から見たときに視認できる側をいい、包装体及び容器の「背面」は、その反対側をいう。「正面視形状」は、前記任意の1つの方向から見たときに視認される形状をいう。例えば、
図1は、1つの凹み部の周面全体を視認できる側から見た、容器の正面である。また、横方向は、任意の1つの方向であり、縦方向は、前記横方向と直交する方向である。
「〜」で表される数値範囲は、「〜」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
各図に示される層、部分及び部材の寸法、縮尺及び形状は、実際のものとは異なっている場合があることに留意されたい。
【0015】
本発明の包装体の第1の製造方法は、熱収縮性筒状ラベルを容器に装着する装着工程、前記装着後の熱収縮性筒状ラベルの面内の一部分又は全体を、レーザーを用いて切断することによって、熱収縮性筒状ラベルに開口部を形成する切断工程、を少なくとも有する。
本発明の包装体の第2の製造方法は、ラベル基材を筒状に形成して熱収縮性筒状ラベルを作製する前に又は作製後に、前記ラベル基材の面内の一部分又は全体を、レーザーを用いて切断することにより開口部を形成する切断工程、熱収縮性筒状ラベルを熱収縮させることによって容器に装着する装着工程、を少なくとも有する。
本発明の第1及び第2の製造方法は、これらの工程以外の他の工程を有していてもよい。
これら各工程を1つの製造ラインで一連に行ってもよいし、或いは、前記各工程から選ばれる1つ又は2つ以上の工程を、1つのラインで行い、且つ残る工程を他の1つ又は2つ以上のラインで行ってもよい。また、前記各工程の全てを一の実施者が行ってもよいし、或いは、前記各工程から選ばれる1つ又は2つ以上の工程を一の実施者が行い、且つ残る工程を他の実施者が行ってもよい。
【0016】
<第1の製造方法>
[準備工程]
製造対象である包装体は、容器と、熱収縮された熱収縮性筒状ラベルと、から構成される。包装体は、容器と熱収縮性筒状ラベルを有していることを条件として、他の部材を具備していてもよい。第1の製造方法において、前記容器と熱収縮性筒状ラベルを準備する。
【0017】
(容器)
容器は、その材質の観点において特に限定されず、合成樹脂、ガラス、陶器、金属などが挙げられる。
レーザーによって傷付き難い点から、外面部がポリオレフィン系樹脂から形成されているオレフィン面部を有する容器が好ましい。換言すると、容器は、その材質の観点では、容器の外面を構成する部位(この部位が外面部である)が、ポリオレフィン系樹脂から形成されている部分(この部分を、オレフィン面部という)を有することが好ましい。かかる容器は、その外面部の全体がオレフィン面部から構成されていてもよく、その外面部の一部分がオレフィン面部から構成されていてもよい。
本明細書において、「ポリオレフィン系樹脂から形成されている」とは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする材料から形成されていることをいう。また、本明細書において、「主成分」とは、その層に含まれる樹脂の中で最も多い樹脂(重量比)をいう。例えば、主成分樹脂は、その層に含まれる樹脂の全量を100重量%とした場合に、50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上含まれる。
【0018】
図1乃至
図4において、容器1は、その構造の観点では、内容物を収納する収納空間を有する本体11と、前記本体11の端部に形成された注出口12と、前記本体11に着脱可能に取り付けられ且つ前記注出口12を塞ぐ蓋部13と、を有する。
オレフィン面部を有する容器においては、本体11及び蓋部13の少なくとも何れか一方の少なくとも外面部が、ポリオレフィン系樹脂から形成されているオレフィン面部を有していればよいが、好ましくは、本体11の少なくとも外面部がポリオレフィン系樹脂から形成されている。
この場合、前記本体11の外面部の全体がオレフィン面部から構成されていてもよく、その外面部の一部分がオレフィン面部から構成されていてもよい。
なお、蓋部13がオレフィン面部を有する場合、その蓋部13の外面部の全体がオレフィン面部から構成されていてもよく、その外面部の一部分がオレフィン面部から構成されていてもよい。
【0019】
また、本体11及び蓋部13は、それぞれ独立して、1層構造でもよく、或いは、2層以上の多層構造であってもよい。
図4及び
図5(a)は、1層構造の本体11を示している。このように1層構造の本体11にあっては、その全体が合成樹脂、ガラス、陶器、金属などから形成されているが、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂から形成されている。厚み方向における構造が1層の好ましい本体11は、概念上、外面部Aを含む肉厚全体がポリオレフィン系樹脂からなる。
図5(b)は、2層構造の本体11bを示している。このように2層構造の本体11bにあっては、少なくとも外面部Aが合成樹脂、ガラス、陶器、金属などから形成されているが、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂から形成されている。2層構造の本体11bの内面部Bは、ポリオレフィン系樹脂から形成されていてもよく、或いは、ポリオレフィン系樹脂以外の材料から形成されていてもよい。
図5(c)は、3層構造の本体11cを示している。このように3層構造の本体11cにあっては、少なくとも外面部Aが合成樹脂、ガラス、陶器、金属などから形成されているが、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂から形成されている。3層構造の本体11cの内面部B及び中間部Cは、それぞれ独立して、ポリオレフィン系樹脂から形成されていてもよく、或いは、ポリオレフィン系樹脂以外の材料から形成されていてもよい。なお、4層以上の多層構造の本体については、中間部が2層以上となる点以外は、3層構造と同様である。
【0020】
なお、
図5では、本体11の層構造を例示しているが、蓋部13についても同様である。
本体11の厚みは、特に限定されず、例えば、本体11が合成樹脂製である場合には、その厚みは0.2mm〜3mmである。なお、本体11が上記のような多層構造である場合には、外面部Aの厚みが0.05mm〜2mmであることが好ましい。
【0021】
前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンを必須の単量体成分として構成される重合体(オレフィン系エラストマーを含む)であり、即ち、分子中(1分子中)にオレフィンを少なくとも含む重合体である。前記オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンが挙げられる。
【0022】
前記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレンを必須の単量体成分として構成される重合体(ポリエチレン系樹脂)、プロピレンを必須の単量体成分として構成される重合体(ポリプロピレン系樹脂)、アイオノマー、環状オレフィン系重合体などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0023】
オレフィン面部は、前記ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂(主成分樹脂以外の樹脂)を含んでいてもよいが、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂を実質的に含まないことが好ましい。
なお、本明細書において、「実質的に含まない」とは、不可避的に含まれる程度の微量の成分の混入は許容され、有意な量の混入は除外されるという意味である。
オレフィン面部がポリオレフィン系樹脂以外の樹脂を含む場合、その樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
【0024】
図1乃至
図4において、容器1は、上述のように、構造の観点では、本体11と、注出口12と、蓋部13と、を有し、前記本体11には、好ましくは凹み部2が形成されている。なお、容器1は、これら以外の部分を有していてもよい。
図示例では、前記蓋部13として、本体11にネジ作用で着脱自在に取り付けられたキャップを図示している。もっとも、蓋部13は、ネジ作用で取り付けられるキャップに限られず、例えば、本体11に嵌合されるキャップ、任意の方式で本体11に取り付けられ且つヒンジを介して注出口12を開閉するキャップ、噴霧にて内容物を注出できるトリガーなどでもよい。
【0025】
本体11は、容器1を自立可能とするための底部14を有し、容器1は、
図1及び
図2に示すように、前記底部14を下にして自立可能である。
本体11の外形は、特に限定されず、略円柱状、略楕円柱状、略四角柱状や略三角柱状などの略多角柱状、略円錐状や略三角錐状などの略錐状、略円錐台状や略四角錐台状などの略錐台状、略瓢箪形状、略だるま形状、及びこれらの形状が組み合わされた立体形状などでもよい。本明細書において、形状の「略」は、本発明の属する技術分野において許容される形状を意味する。例えば、四角などの多角に付加された「略」は、角部が面取りされている形状、辺の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、辺が若干湾曲している形状などが含まれる。また、円や楕円に付加された略は、円弧の一部が膨らむ又は窪んでいる形状、円弧の一部が直線又は斜線とされた形状などが含まれる。
また、本体11の外形は、直胴状でもよく、非直胴状(直胴状でないもの)でもよい。直胴状は、軸方向において周長が変わらない形状をいい、非直胴状は、軸方向において周長が変化する部分を有する形状をいう。図示例の本体11の外形は、凹み部2を除いて略楕円錐台状である。かかる本体11の上方部は、上方に向かうに従いその周長が小さくなっている上方縮径部111となっており、本体11の下方部は、下方に向かうに従い周長が小さくなっている下方縮径部112となっている。
【0026】
前記本体11の外面の一部分は、内側に凹んでおり、その部分が凹み部2とされている。前記凹み部2は、容器1の外形の一部分であって、周囲よりも内側に凹んでいる部分をいう。容器1に関して、内側は、容器1の収納空間に近づく側をいい、外側は、その反対側をいう。
後述するように、熱収縮させた熱収縮性筒状ラベルは、本体11の凹み部2を除く外面に略密着することによって容器1に装着される。つまり、凹み部2は、本体11の外面のうち、熱収縮させた熱収縮性筒状ラベルが接しない部分である。以下、本体11のうち凹み部以外の部分を、凹み部と相対的な関係で「外出部」という場合がある。
詳しくは、本体11の外面の一部分は、内側へ向きを変える変曲点を複数有し、その変曲点の集合によって囲われた範囲が、内側に凹んだ凹み部2となっている。この無数の変曲点の集合が、凹み部2と外出部の境界であり、凹み部2の周縁2aを構成している。凹み部を火山のカルデラに例えると、前記複数の変曲点の集合は、カルデラの外輪山に相当する。
凹み部2の周縁2a(無数の変曲点の集合)は、正面視で無端の環状線を成している。
凹み部2は、前記周縁2aにおいて外出部に連続し且つ内側へと入り込む周面2bを有する。前記周面2bは、凹み部2の外面でもある。前記周面2bは、例えば、外側に膨らむ若しくは内側に膨らむ曲面を成した傾斜面状又は平面を成した傾斜面状とされている。
図示例では、凹み部2の周面2bは、全体として外側に膨らむ曲面を成した傾斜状に形成されている。
【0027】
前記凹み部2の正面視形状は、特に限定されず、略円形状、略楕円形状、略四角形状や略三角形状などの略多角形状、略だるま形状、及びこれらの形状が組み合わされた形状などが挙げられる。なお、凹み部2の正面視形状は、正面から見たときの凹み部2の周縁形状である。図示例では、凹み部2の正面視形状(周縁2aの正面視形状)は、略楕円形状とされている。
凹み部2の形成位置は、特に限定されず、凹み部2は、正面から見て、本体11の中央部、上方部又は下方部などの適宜な位置に形成されていてもよい。図示例では、凹み部2は、正面から見て、右側上方部に形成されている。
【0028】
凹み部2は、本体11に1箇所又は2箇所以上形成される。本発明の製造方法において、熱収縮性筒状ラベルを、凹み部2を覆って容器1に装着する場合、少なくとも1つの凹み部2を覆えばよい。つまり、複数の凹み部2を有する容器1を用いる場合には、装着工程において、少なくとも1つの凹み部2を含んで熱収縮性筒状ラベルを装着すればよい。
図示例では、凹み部2は、2箇所形成されている。以下、一方の凹み部2を「第1凹み部」、他方の凹み部2を「第2凹み部」という場合がある。
【0029】
第1凹み部21は、本体11の正面側に形成されており、第2凹み部22は、本体11の背面側に形成されている。
第1凹み部21と第2凹み部22は、容器1の正背面において同じ位置に形成されており、従って、正面から見て、第1凹み部21の背面側に第2凹み部22が位置している。また、第1凹み部21と第2凹み部22は、例えば、同形同大に形成されている。
第1凹み部21及び第2凹み部22が形成されていることによって、本体11の側部(正面から見て右側上方部)は、手で握りやすくなっている。この側部が取っ手として利用できる取っ手部15とされている。
【0030】
第1凹み部21と第2凹み部22は、それぞれ、周面2bに連続した底面を有していてもよい。凹み部2の底面は、凹み部2のうち最も内側に位置する凹み部2の外面の一部をいう。
図示例では、第1凹み部21と第2凹み部22は、底面を有さず、互いに連通されている。従って、第1凹み部21の周面2bと第2凹み部22の周面2bは、互いに連続しており、これらの周面2bで囲われた範囲が、孔部16となっている。この孔部16は、手先を入れることができる大きさに形成されている。かかる孔部16が形成されることによって、手で包み込むように握持可能な取っ手部15が形成される。
なお、前記取っ手部15は、本体11の一部を成しており、その取っ手部15の内部は、中空状である。従って、取っ手部15の内部は、本体11の収納空間の一部を成している。もっとも、取っ手部15は、中実状であってもよい。また、図示例では、取っ手部15は、本体11と一体的に形成されている場合に限られず、別体の取っ手部を本体に取り付けることによって、取っ手部及び孔部が形成されていてもよい(図示せず)。
【0031】
容器1に充填される内容物は、特に限定されず、ジュースなどの飲料、食用油や醤油などの調味料、液体洗剤や詰替え用シャンプーなどのサニタリー品、消毒用アルコールなどの医薬品、化粧品などが挙げられる。また、内容物は、収納空間から取り出すことができるものであれば、その性状は特に限定されず、液状(ある程度の粘性を有する液状を含む)でもよく、或いは、粒状でもよい。
【0032】
(熱収縮性筒状ラベル)
熱収縮させる前の熱収縮性筒状ラベル3は、
図6に示すように、ラベル基材31を有し、そのラベル基材31の第1側端部31aと第2側端部31bを接着することによって筒状に形成された筒状体である。かかる熱収縮性筒状ラベル3は、容器1に外装し、加熱することによって容器1に熱収縮装着される。なお、熱収縮させる前の熱収縮性筒状ラベルに符号「3」を付し、包装体に具備された熱収縮性筒状ラベル(熱収縮させた後の熱収縮性筒状ラベル)に符号「4」を付すこととする。
熱収縮性筒状ラベル3は、容器に外装する前から筒状に形成されているものでもよく、或いは、容器に外装すると同時に筒状に形成されるものでもよい。
容器に外装すると同時に筒状に形成される熱収縮性筒状ラベル3は、ラベル基材31の第1側端部31aの内面を容器に部分接着し、この基材を容器の周囲に巻き付け、前記第1側端部31aの外面に基材の第2側端部31bの内面を接着することにより、筒状に成形される。
以下、容器に外装する前から筒状に形成されている熱収縮性筒状ラベル3を中心にして説明する。
【0033】
容器装着前の熱収縮性筒状ラベル3は、
図6に示すように、容器1に装着する際には筒状に開かれる。もっとも、熱収縮性筒状ラベル3の製造時には、扁平状に折り畳まれている(図示せず)。
なお、現実的な製造工程では、一般に、熱収縮性筒状ラベル3は、その複数が連続的に繋がった連続体であって扁平状に折り畳まれた連続体の形態で提供され、この連続体を適宜切断して個々の熱収縮性筒状ラベル3が得られ、容器1に外装する直前に筒状に開かれる。
【0034】
ラベル基材31は、透明不透明の観点から、
図7に示すように、不透明領域Yと、無色又は有色の透明領域Zと、を有する。
また、前記ラベル基材31は、層構成の観点から、
図8及び
図9に示すように、熱収縮性フィルム311と、前記熱収縮性フィルム311に設けられた各種の印刷層312,313,314と、を有する。
【0035】
前記熱収縮性フィルム311は、柔軟性を有する透明なフィルムであって、熱収縮温度に加熱されると、熱収縮方向に収縮するフィルムである。前記熱収縮温度は、例えば、60℃〜120℃が例示される。また、熱収縮性フィルム311は、実質的に無機顔料を含まない透明なフィルムであることが好ましい。
ここで、本明細書において、「透明」は、ある層又は部分の裏面側に、その裏面から1cm離れた箇所に、白地の紙に黒色インキで任意の数字(大きさ12ポイント)を印刷したものを配置し、前記ある層又は部分を透かしてその数字を表面側から視認できる状態をいう。「透明」は、無色透明又は有色透明のいずれでもよい。本明細書において、「不透明」は、前記と同じ条件で裏面側に配置した数字を、前記ある層又は部分を透かして表面側から視認できない状態(数字を認識できない状態)をいう。
前記熱収縮性フィルム311の透明性の指標としては、例えば、全光線透過率などを用いて表すことができる。透明な熱収縮性フィルム311の全光線透過率は、例えば、70%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。ただし、全光線透過率は、JIS K 7361(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した測定法によって測定される値をいう。
前記熱収縮性フィルム311は、無色透明又は有色透明の何れのフィルムでもよいが、好ましくは無色透明である。
前記熱収縮性フィルム311の厚みは、特に限定されないが、例えば20μm〜100μm、更に、20μm〜80μm程度のものを用いることができる。
【0036】
前記熱収縮性フィルム311は、熱的性質の観点では、少なくとも横方向に主として熱収縮するフィルムが用いられ、縦方向に熱変化するフィルムを用いてもよい。ラベル基材31を筒状にした際(つまり、ラベル基材31を用いて熱収縮性筒状ラベル3を形成した際)、前記熱収縮性フィルム311の横方向は、熱収縮性筒状ラベル3の周方向となる。かかる熱収縮性フィルム311としては、横方向に主として延伸された1軸延伸又は2軸延伸フィルムを用いることができる。
前記熱収縮性フィルム311の横方向(熱収縮方向)における熱収縮率は、特に限定されないが、好ましくは40%以上であり、より好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは60%以上である。なお、前記横方向における熱収縮率は、大きいほど好ましいが、それにも自ずと限界があるため、前記横方向における熱収縮率は、理論上、100%未満であるが、通常、85%以下である。前記熱収縮性フィルムが縦方向に熱変化(熱収縮又は熱伸長)するフィルムである場合、熱収縮性フィルムは、縦方向に熱伸長するフィルム(例えば、下記式で求められる縦方向の熱収縮率が−3%以上のフィルム)でもよいが、レーザー切断後によって生じるラベル端部の縁の美麗さを特に良くする観点で、縦方向に熱収縮するフィルムが好ましい。かかる熱収縮性フィルムの縦方向の熱収縮率は、例えば、1%以上であり、好ましくは5%以上であり、より好ましくは7%以上であり、さらに好ましくは9%以上である。前記縦方向における熱収縮率は、余りに大きすぎると、装着時に熱収縮性筒状ラベルが位置ずれを生じやすいので、40%以下であり、好ましくは35%以下であり、より好ましくは30%以下である。
ただし、前記熱収縮率は、加熱前のフィルムの長さ(元の長さ)と、100℃の温水中に10秒間浸漬した後のフィルムの長さ(浸漬後の長さ)の割合であり、下記式に代入して求められる。
前記熱収縮率(%)=[{(横方向又は縦方向の元の長さ)−(横方向又は縦方向の浸漬後の長さ)}/(横方向又は縦方向の元の長さ)]×100。
【0037】
前記熱収縮性フィルムとしては、熱収縮性を有する合成樹脂フィルム、熱収縮性を有する不織布及び熱収縮性を有する発泡樹脂フィルム並びにこれらの積層フィルムなどが挙げられる。なお、前記積層フィルムは、その積層物全体として熱収縮性を有することを条件として、熱収縮性を有さない層と熱収縮性を有する層の積層物であってもよいが、全ての層が熱収縮性を有する積層物が好ましい。
好ましくは、熱収縮性フィルムとして、合成樹脂フィルム又は合成樹脂積層フィルムが用いられる。また、熱収縮性フィルムには、必要に応じて、金属蒸着層などのガス又は/及び光バリア層が積層されていてもよい。
【0038】
前記合成樹脂フィルム又は合成樹脂積層フィルムの材質は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンなどのオレフィン系樹脂;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのポリスチレン系樹脂;ポリアミド系樹脂;塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などが挙げられる。レーザーの吸収量が大きく、レーザーによって容易に切断できる点から、前記熱収縮性フィルムは、ポリエステル系樹脂及びポリスチレン系樹脂の少なくとも一方を主成分とする熱収縮性フィルムが好ましい。
熱収縮性フィルムが多層の積層フィルムからなる場合、2層などの偶数層の積層フィルムでもよいが、3層などの奇数層の積層フィルムであることが好ましい。
奇数層の積層フィルムの多層構造は、外面層/奇数の中間層/内面層で表され、例えば、外面層/1つの中間層/内面層、外面層/第1中間層/第2中間層/第3中間層/内面層などが例示される。
【0039】
熱収縮性フィルムがポリエステル系樹脂及びポリスチレン系樹脂の少なくとも一方を主成分とする多層の積層フィルムからなる場合、それらの層は、それぞれ独立して、ポリエステル系樹脂を主成分とする層(以下、ポリエステル系樹脂層という)、ポリスチレン系樹脂を主成分とする層(以下、ポリスチレン系樹脂層という)、及び、ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂を主成分とする層(以下、混合樹脂層という)から選ばれる。
例えば、外面層/1つの中間層/内面層の例としては、(a)ポリエステル系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(b)ポリスチレン系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層、(c)ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層、(d)ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(e)ポリエステル系樹脂層/混合樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(f)ポリスチレン系樹脂層/混合樹脂層/ポリスチレン系樹脂層などが挙げられる。
外面層/第1中間層/第2中間層/第3中間層/内面層の例としては、(g)ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(h)ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層、(i)ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層、(j)ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(k)ポリエステル系樹脂層/混合樹脂層/混合樹脂層/混合樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(l)ポリスチレン系樹脂層/混合樹脂層/混合樹脂層/混合樹脂層/ポリスチレン系樹脂層、(m)ポリエステル系樹脂層/混合樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/混合樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(n)ポリスチレン系樹脂層/混合樹脂層/ポリエステル系樹脂層/混合樹脂層/ポリスチレン系樹脂層などが挙げられる。
【0040】
上述のように、熱収縮性フィルム311に各種の印刷層を設けることによって、不透明領域Yと無色又は有色の透明領域Zとを有するラベル基材31が構成される。
図7において、透明領域Zを判り易くするため、その領域に網掛けを付加している。
図7の無地部分は、不透明領域Yである。
図7乃至
図9において、ラベル基材31は、熱収縮性フィルム311と、デザイン印刷層312と、下地印刷層313と、滑り印刷層314と、を有する。
デザイン印刷層312は、主として加飾目的で設けられる。デザイン印刷層312は、所望の文字、図形などの表示が1色又は2色以上の色彩で表された印刷層である。デザイン印刷層312は、従来公知のカラーインキを用いてグラビア印刷法などによって形成できる。デザイン印刷層312の厚みは、例えば、0.1μm〜5μmである。デザイン印刷層312は、通常、前記表示の部分が不透明又は有色透明であるが、表示以外の部分は透明である。
【0041】
下地印刷層313は、主としてデザイン印刷層312の表示を際立たせるために設けられる。下地印刷層313は、1色又は2色以上を塗り分けた無模様の印刷層であって、無機顔料を含む不透明な印刷層である。好ましくは、下地印刷層313は、無機顔料を含む無模様1色の不透明な印刷層である。下地印刷層313に含まれる無機顔料の量は、特に限定されない。不透明な印刷層を形成するという観点から、下地印刷層313に含まれる無機顔料の量は、当該印刷層全体を100重量%として、例えば、20重量%〜85重量%であり、好ましくは、30重量%〜80重量%であり、より好ましくは、40重量%〜75重量%である。
下地印刷層313としては、例えば、白色を呈する白色印刷層などが挙げられる。前記白色印刷層は、無機顔料として白色顔料を含み、その顔料が樹脂バインダー中に分散されて固化された層である。前記白色顔料としては、例えば、無定形のシリカ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、タルクなどが挙げられる。
下地印刷層313は、白色顔料などの無機顔料を含むインキを用いてグラビア印刷法などによって形成できる。下地印刷層313の厚みは、例えば、0.3μm〜5μmである。
【0042】
滑り印刷層314は、熱収縮性筒状ラベル3の最内面を構成し、熱収縮性筒状ラベル3の内面の滑り性を向上させるために設けられる。滑り印刷層314は、無色透明又は有色透明(1色の有色)の印刷層であって、実質的に無機顔料を含まない透明な印刷層である。好ましくは、滑り印刷層314は、実質的に無機顔料を含まない無色透明な印刷層である。なお、本明細書において、「実質的に無機顔料を含まない透明」とは、透明性を阻害しない程度の微量の無機顔料の成分の混入は許容され、透明性を阻害するほどの有意な量の混入は除外される。
無色透明な滑り印刷層314(無色透明な印刷層)は、従来公知の顔料や染料を実質的に含まないインキ(いわゆるメジウムインキ)を用いてグラビア印刷法などによって形成できる。また、有色透明な滑り印刷層314(有色透明な印刷層)は、前記メジウムインキに僅かな量の有機染料を配合し、それを用いてグラビア印刷法などによって形成できる。滑り印刷層314の厚みは、例えば、0.1μm〜5μmである。
【0043】
図7乃至
図9において、デザイン印刷層312は、熱収縮性フィルム311の裏面に直接的に設けられる。なお、デザイン印刷層312は、熱収縮性フィルム311の表面側に設けてもよく、或いは、熱収縮性フィルム311の表面及び裏面にそれぞれ設けてもよい(いずれも図示せず)。熱収縮性フィルム311の表面側にデザイン印刷層312が設けられる場合、それを保護するため、デザイン印刷層312の表面に、無色透明な印刷層を設けてもよい。なお、表面は、ラベル基材31を筒状にした際に外側となる面であり、裏面は、内側となる面である。
【0044】
デザイン印刷層312は、熱収縮性フィルム311の第2側端部31bの裏面及びレーザー切断を行う予定の領域を除いて、熱収縮性フィルム311に設けられている。前記レーザー切断を行う予定の領域は、任意に設定でき、例えば、後述するように、熱収縮性筒状ラベルを容器に装着した際に凹み部に対応する領域及びこの周辺(周縁2aなど)などが挙げられる。ただし、熱収縮性筒状ラベル3は、容器の装着部位の外形に沿って収縮するので、その装着部位が非直胴状である場合、熱収縮後の熱収縮性筒状ラベル4は縦方向において収縮率が変化する。それ故、この収縮率の変化を考慮して、レーザー切断を行う予定の透明領域Zの大きさや正面視形状が設定される。
下地印刷層313は、少なくともデザイン印刷層312の裏面側に重ねて設けられる。図示例では、下地印刷層313は、デザイン印刷層312の裏面に直接的に設けられている。デザイン印刷層312が熱収縮性フィルム311の表面側のみに設けられている場合、下地印刷層313は、そのデザイン印刷層312の裏面(熱収縮性フィルム311とデザイン印刷層312の間)に設けられる、或いは、デザイン印刷層312に対応する熱収縮性フィルム311の裏面に直接的に設けられる。
滑り印刷層314は、熱収縮性フィルム311の第2側端部31bの裏面を除いて、熱収縮性フィルム311の裏面側に設けられている。熱収縮性フィルム311の裏面側にデザイン印刷層312及び下地印刷層313が設けられている図示例にあっては、滑り印刷層314は、下地印刷層313の裏面と、レーザー切断を行う予定の領域(すなわち、デザイン印刷層312及び下地印刷層313が設けられていない領域)において熱収縮性フィルム311の裏面と、に跨がって設けられている。
【0045】
ラベル基材31において、前記下地印刷層313が積層されている領域は、不透明領域Yであり、前記下地印刷層313が積層されていない領域は、無色又は有色の透明領域Zである。特に、前記透明領域Zは、無色透明であることが好ましい。図示例では、熱収縮性フィルム311(ラベル基材31)の第2側端部31b及びレーザー切断を行う予定の領域が、透明領域Zとされている。
透明領域Zの指標として全光線透過率で表すと、透明領域Zの全光線透過率は、例えば、70%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。また、不透明領域Yの指標として全光線透過率で表すと、不透明領域Yの全光線透過率は、例えば、30%以下であり、好ましくは20%以下である。ただし、透明領域Z及び不透明領域Yの全光線透過率は、透明領域Z及び不透明領域Yをサンプルフィルムとし、JIS K 7361(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した測定法によって測定される値をいう。
【0046】
前記ラベル基材31の横方向が周方向となるように、そのラベル基材31を筒状に丸め、第1側端部31aの表面に第2側端部31bの裏面を重ね合わせて接着してシール部31cを形成することにより、熱収縮性筒状ラベル3が構成されている。このシール部31cは、熱収縮性筒状ラベル3の縦方向に帯状に延びている。なお、第2側端部31bの裏面には、印刷層が設けられておらず、フィルム裏面が露出しているので、フィルム表面が露出している第1側端部31aの表面と第2側端部31bの裏面は、強固に接着し得る。
前記第1側端部31aと第2側端部31bの接着方法は、特に限定されず、溶剤を用いた溶着、接着剤を用いた接着などが挙げられる。
なお、ラベル基材31の第2側端部31bは透明領域であったが、その第2側端部31bを不透明領域である第1側端部31aに接着することによって形成されるシール部31cは、不透明となる。従って、熱収縮性筒状ラベル3においては、レーザー切断の行う予定の領域が透明領域Zとなっている。透明領域Zの形成位置は、熱収縮性筒状ラベル3を容器1に熱収縮装着する際に凹み部2に対応するような位置に形成することが好ましい。例えば、第1凹み部21及び第2凹み部22を有する容器1については、それらの凹み部21,22にそれぞれ対応するように、2つの透明領域Zが形成される。
熱収縮性筒状ラベル3の周長は、例えば、容器1の被装着部位の最大周長×1倍を超え同×1.5倍以下であり、好ましくは同×1.01倍〜同×1.3倍であり、より好ましくは同×1.02倍〜同×1.15倍である。容器の被装着部位は、容器の、熱収縮性筒状ラベル3が熱収縮装着される部位をいう。
なお、熱収縮性筒状ラベル3には、必要に応じて、分断用のミシン目線(図示せず)などの公知の構造が付加されていてもよい。
【0047】
[装着工程]
装着工程は、容器1の外側に熱収縮性筒状ラベル3を外装し、加熱することによって、熱収縮性筒状ラベル3を容器1に熱収縮させて装着する工程である。
具体的には、
図10及び
図11に示すように、予め筒状に形成された熱収縮性筒状ラベル3を容器1の被装着部位の外側に被せる。好ましくは、透明領域Zが凹み部2を覆うように熱収縮性筒状ラベル3を外装する。
図10において、熱収縮性筒状ラベルにおける、透明領域Zに網掛けを付加し、不透明領域Yを無地としている(以下、
図13、
図15、
図16、
図19、
図20、
図22、
図24及び
図26について同じ)。
容器1の被装着部位としては、例えば、図示したように、第1凹み部21及び第2凹み部22を含み、さらに、上方縮径部111及び下方縮径部112を含む本体11の大部分などが挙げられる。
容器1の被装着部位の最大径よりも大きい熱収縮性筒状ラベル3は、容器1の外装した時点では、容器1に装着されていない。つまり、外装した時点では、熱収縮性筒状ラベル3は、容器1に対して位置ずれし得る。
なお、容器1に外装すると同時に筒状に形成される熱収縮性筒状ラベルを用いる場合には、
図12に示すように、容器1の外面に、ラベル基材31の第1側端部31aの内面を接着剤などを用いて接着し、ラベル基材31を容器1の周方向に巻き付け、その第1側端部31aの外面に第2側端部31bの内面を接着剤などを用いて接着することによって、熱収縮性筒状ラベルを容器1に外装できる。
【0048】
次に、熱収縮性筒状ラベル3を加熱し、熱収縮性筒状ラベル3を熱収縮させる。熱収縮によって熱収縮性筒状ラベル3が縮径し、容器1の本体11に略密着する(
図13及び
図14参照)。
前記熱収縮性筒状ラベル3に対する加熱温度は所定の温度で設定でき、熱収縮性筒状ラベル3の外面を基準にして、例えば、60℃〜120℃であり、好ましくは80℃〜110℃である。加熱手段も特に限定されず、例えば、スチーム、100℃〜250℃程度の温風などが挙げられる。その他の加熱手段として、放射線、紫外線、赤外線などの活性エネルギー線照射を用いた加熱でもよい。
【0049】
熱収縮性筒状ラベル4は、第1凹み部21及び第2凹み部22の各外面を除き、上方縮径部111及び下方縮径部112並びに取っ手部15を含む本体11の外出部の一部又は全体に略密着する。熱収縮装着された熱収縮性筒状ラベル4は、容器1に対して不用意に位置ずれしないようになる。以下、装着された熱収縮性筒状ラベル4のうち、容器1(図示例の場合には、本体11)の外面に略密着した領域を、「密着領域」という。
ただし、主として周方向に大きく収縮するという熱収縮性筒状ラベル3の性質上、熱収縮性筒状ラベル4は、凹み部2の周縁2aに略密着するが、凹み部2(周縁2aから内側に凹んでいる凹み部2)の外面には密着していない。従って、装着された熱収縮性筒状ラベル4のうち、凹み部2に対応する領域Xは、凹み部2の外面(すなわち、周面2b)から離れている。以下、凹み部に対応する領域を「凹み部対応領域」という。
また、透明領域Zが凹み部2を覆うように熱収縮性筒状ラベル3を外装しているので前記凹み部対応領域X及びその領域Xの周辺が透明領域Zとなっている。
なお、図示例では、透明領域Zの外縁が凹み部2の周縁2aの外側に略沿うように表しているが、このように正確に沿うわけではなく、透明領域Zの外縁の一部が凹み部2の周縁2aの外側に大きく出ている場合、或いは、透明領域Zの外縁の一部が凹み部2の周縁2aよりも内側に入りこんでいる場合などもあることに留意されたい。
【0050】
[切断工程]
切断工程は、前記装着工程において容器1に装着した後の熱収縮性筒状ラベル4の透明領域Z内を、レーザーを用いて切断する工程である。
レーザーを用いて切断する部分は、透明領域Z内の任意の部分である。
レーザーの種類は、熱収縮性筒状ラベル4を切断できるものでれば特に限定されず、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、YVO
4レーザーなどが挙げられる。
特に、熱収縮性筒状ラベル4(中でも、ポリエステル系樹脂及びポリスチレン系樹脂の少なくとも一方を主成分とする熱収縮性フィルム311を有する熱収縮性筒状ラベル4)は、炭酸ガスレーザーの吸収量が大きいので、レーザーとしては、炭酸ガスレーザーを用いることが好ましい。炭酸ガスレーザーの波長は、特に限定されず、例えば、9.4μm又は10.6μmの波長のものが挙げられるが、前記熱収縮性フィルム311の裁断に特に適していることから、波長10.6μmの炭酸ガスレーザーを用いることが好ましい。
【0051】
レーザーを移動させることにより、レーザーの移動軌跡に応じて、熱収縮性筒状ラベル4の面内に切断線が形成されていく。熱収縮性筒状ラベル4の面内に、前記切断線を基準にして向かい合った一対のラベル縁部が生じる。前記切断線は、レーザーの切断によって生じる線であり、レーザーの移動軌跡とも言える。
切断線は、無端の環状に形成される。前記無端の環状の正面視形状は、特に限定されず、形成したい開口部に応じて適宜設定され、例えば、略円形状、略楕円形状、略四角形状や略三角形状などの略多角形状、略だるま形状、及びこれらの形状が組み合わされた形状などが挙げられる。
透明領域Zにレーザーを照射した際には、レーザーが反射されないので、レーザーにてラベル基材31を十分に切断できる。特に、透明領域Zは実質的に無機顔料を含まないので、無機顔料によってレーザーが反射されることがなく、ラベル基材31にレーザーが十分に吸収され、レーザーの移動軌跡に良好な切断線が形成される。
【0052】
切断線の形成(すなわち、レーザーによる切断)は、透明領域Z内であればよく、透明領域Zの外縁から内側へ離れていてもよく、或いは、透明領域Zの外縁の全部又は一部に一致していてもよい。後述するように、開口部を取り囲む帯環状の透明なラベル縁部を形成できることから、透明領域Zの外縁から内側へ離れた箇所にてレーザー切断を行うことが好ましい。
また、熱収縮性筒状ラベル4に、凹み部2に通じる開口部を形成できることから、前記レーザー切断は、透明領域Z内の一部分であって、凹み部対応領域X内で行うことが好ましい。
【0053】
例えば、
図15に示すように、凹み部2の周縁2aの内周りに対応して無端の環状にレーザー切断する。
図15の二点鎖線は、切断線W(レーザーの軌跡)を表している。
そして、前記切断線Wで囲われた領域を除去することにより、
図16乃至
図18に示すような、凹み部2に通じる開口部6が熱収縮性筒状ラベル4に形成された包装体10を得ることができる。
開口部6は、ラベル縁部39で囲われた範囲内に生じた部分である。換言すると、正面視帯環状のラベル縁部39が、開口部6を取り囲んでいる。前記ラベル縁部39の縁39aは、良好に切断されたレーザー切断痕から構成される。ラベル縁部39は、
図16及び
図18に示すように、透明領域Zから構成されている。従って、正面視帯環状のラベル縁部39は、無色又は有色の透明である。このラベル縁部39の透明な部分の幅は、特に限定されないが、例えば、2mm〜10mmである(つまり、透明な部分が、2mm〜10mmの幅の帯環状を成して開口部6の周りを取り囲んでいる)。
この透明なラベル縁部39の周囲には、不透明領域Yが存在する。従って、透明なラベル縁部39を取り囲んで不透明な部分が設けられている。
なお、図示例のように、開口部6を形成するラベル縁部39が容器1の周縁2aに略沿った包装体10は、外観上好ましい上、孔部16に指を入れて取っ手部15を持った際に、持ち手にラベル縁部39の縁39aが当たり難くなるので好ましい。
【0054】
本発明の製造方法によれば、レーザーを用いて切断するので、熱収縮性筒状ラベル4の所望の位置に、所望の開口部6を容易に形成できる。
さらに、熱収縮性筒状ラベル4をレーザーにて確実に切断できる。このため、レーザーによる切断線Wで囲われた領域が熱収縮性筒状ラベル4から確実に分離されているので、それを簡単に除去でき、また、ラベル縁部39の縁39aも綺麗である。
本発明の包装体10は、ラベル縁部39の縁39aに小さな突起を有さず、その縁39aが綺麗である。特に、開口部6を取り囲む正面視帯環状のラベル縁部39が透明であるため、ラベル縁部39の縁39aが目立たなくなる。かかる包装体10は、良好な外観を有する。
【0055】
<第2の製造方法>
第2の製造方法は、熱収縮性筒状ラベルを容器に装着する前に、開口部を形成しておく点が上記第1の製造方法と異なる。以下、第1の製造方法と異なる点を主として説明し、同様の構成については、説明を省略し、用語及び符号を援用する。
【0056】
[準備工程及び切断工程]
上記容器と、熱収縮性筒状ラベルと、を準備する。
熱収縮性筒状ラベルについては、(A)ラベル基材31の透明領域Z内をレーザーを用いて切断することにより、ラベル基材31の面内に開口部を形成した後、そのラベル基材31を筒状に形成する、或いは、(B)ラベル基材31を筒状に形成した後、そのラベル基材31の透明領域Z内をレーザーを用いて切断することにより、開口部を形成する。
前記(A)又は(B)にて作製された熱収縮性筒状ラベル3は、
図19に示すように、ラベル基材31の面内に、ラベル縁部391の縁391aで囲われた開口部61を有する。なお、
図19は、レーザーの切断線で囲われた領域を除去した後の状態を示している。
上述のように、透明領域Z内でレーザーを照射することにより、十分に切断でき、綺麗な縁391aを有するラベル縁部391を形成できる。また、開口部61を取り囲む帯環状の透明なラベル縁部391を形成できることから、透明領域Zの外縁から内側へ離れた箇所にてレーザー切断を行うことが好ましい。
【0057】
[装着工程]
前記開口部61が形成された熱収縮性筒状ラベル3を容器1に外装し、加熱することによって、熱収縮性筒状ラベル3を容器1に熱収縮させて装着する。
好ましくは、
図20及び
図21に示すように、開口部61が凹み部2に対応するように熱収縮性筒状ラベル3を容器1に被せる。
その後、第1の製造方法の装着工程と同様にして、熱収縮性筒状ラベル3を加熱することにより、熱収縮性筒状ラベル3が主として横方向に熱収縮し、それに伴いラベル縁部391の正面視形状も大きくなり(ラベル縁部391の周長が拡張し)、例えば、
図16及び
図17に示すような開口部6を有する包装体10が得られる。
なお、
図16及び
図17に示すような、ラベル縁部39が容器1の周縁2aに略沿った開口部6を有する包装体10を得るためには、装着前に形成される開口部61の形状の設定及び熱収縮性筒状ラベル3を熱収縮させる際にラベル縁部391の拡張度合いの制御などを行う必要があるが、このような設定や制御は難しい。そのため、このような周縁2aに略沿った開口部6を有する包装体10を製造する場合には、第1の製造方法が好ましい。
【0058】
<第1及び第2の製造方法及び包装体の変形例>
上記第1及び第2の製造方法では、第1凹み部21と第2凹み部22の間に孔部16が貫通されている容器1を図示したが、例えば、
図22及び
図23に示すように、底面2cを有する第1凹み部21及び第2凹み部22が形成されている容器1に熱収縮性筒状ラベルを装着することによって、開口部6を有する包装体10を製造してもよい。このように底面2cを有する第1凹み部21及び第2凹み部22においても、それに隣接して取っ手部15が形成されている。
また、取っ手部15や凹み部2を有する容器1に限られず、例えば、
図24及び
図25に示すように、取っ手部及び凹み部を有さない容器1に、熱収縮性筒状ラベル4を装着することによって、開口部6を有する包装体10を製造してもよい。
【0059】
また、上記第1及び第2の製造方法では、熱収縮性筒状ラベル3,4又はラベル基材31の透明領域Zには、透明な熱収縮性フィルム311に透明な印刷層(滑り印刷層314など)が設けられているが、透明領域Zが透明なフィルム311のみから構成されていてもよい(図示せず)。
さらに、上記第1及び第2の製造方法では、熱収縮性筒状ラベル3,4又はラベル基材31の透明領域Zは、正面視略楕円形状に形成されているが、これに限定されず、略円形状、略四角形状などの略多角形状などの範囲に形成されていてもよい(図示せず)。
また、熱収縮性筒状ラベル3,4又はラベル基材31の透明領域Zの範囲内に、不透明領域Yが形成されていもよい。例えば、
図26に示すように、透明領域Zの範囲内に、透明領域Zの面積よりも小さい不透明領域Yを有するラベル基材31からなる熱収縮性筒状ラベル3を用いてもよい。