(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
横方向及び縦方向に熱収縮性を有し且つ縦方向の熱収縮率が7%〜40%であるラベル基材を、その横方向を周方向として筒状に形成した熱収縮性筒状ラベルを、熱収縮させることによって容器に装着する装着工程、
前記装着後の熱収縮性筒状ラベルの面内の一部分を、レーザーを用いて、横方向又は横方向に対して傾斜した方向を含む所望の方向に切断する切断工程、を有し、
前記装着工程において、前記熱収縮性筒状ラベルの少なくともレーザーにて切断される領域が、収縮限界まで熱収縮していない状態であり、
前記切断工程において、前記レーザーが照射された箇所を基準にして向かい合って生じるラベル縁部同士が前記レーザー切断時の熱によって縦方向に収縮して互いに離れることによって、前記熱収縮性筒状ラベルの面内を2分する切断線を形成する、包装体の製造方法。
横方向及び縦方向に熱収縮性を有し且つ縦方向の熱収縮率が7%〜40%であるラベル基材を、その横方向を周方向として筒状に形成した熱収縮性筒状ラベルを作製する前に又はそれを作製した後に、前記ラベル基材の面内の一部分を、レーザーを用いて、横方向又は横方向に対して傾斜した方向を含む所望の方向に切断する切断工程、
前記熱収縮性筒状ラベルを熱収縮させることによって容器に装着する装着工程、を有し、
前記切断工程において、前記レーザーが照射された箇所を基準にして向かい合って生じるラベル縁部同士が前記レーザー切断時の熱によって縦方向に収縮して互いに離れることにより、前記熱収縮性筒状ラベルの面内を2分する切断線を形成する、包装体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
なお、本明細書において、包装体及び容器の「正面」は、水平面上に自立させた容器を、容器の軸方向に対して直交する方向のうち任意の1つの方向から見たときに視認できる側をいい、包装体及び容器の「背面」は、その反対側をいう。「正面視形状」は、前記任意の1つの方向から見たときに視認される形状をいう。例えば、
図1は、1つの凹み部の周面全体を視認できる側から見た、容器の正面である。また、横方向は、任意の1つの方向であり、縦方向は、前記横方向と直交する方向である。
「〜」で表される数値範囲は、「〜」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
各図に示される部分及び部材の寸法、縮尺及び形状は、実際のものとは異なっている場合があることに留意されたい。
【0018】
本発明の包装体の第1の製造方法は、熱収縮性筒状ラベルを容器に装着する装着工程、前記装着後の熱収縮性筒状ラベルの面内の一部分を、レーザーを用いて切断する切断工程を、を少なくとも有する。
本発明の包装体の第2の製造方法は、ラベル基材を筒状に形成して熱収縮性筒状ラベルを作製する前に又は作製後に、前記ラベル基材の面内の一部分を、レーザーを用いて切断する切断工程、熱収縮性筒状ラベルを熱収縮させることによって容器に装着する装着工程、を少なくとも有する。
第1の製造方法及び第2の製造方法の各切断工程では、レーザーによって、熱収縮性筒状ラベルに開口部を形成することが好ましい。
本発明の第1及び第2の製造方法は、これらの工程以外の他の工程を有していてもよい。
これら各工程を1つの製造ラインで一連に行ってもよいし、或いは、前記各工程から選ばれる1つ又は2つ以上の工程を、1つのラインで行い、且つ残る工程を他の1つ又は2つ以上のラインで行ってもよい。また、前記各工程の全てを一の実施者が行ってもよいし、或いは、前記各工程から選ばれる1つ又は2つ以上の工程を一の実施者が行い、且つ残る工程を他の実施者が行ってもよい。
【0019】
<第1の製造方法>
[準備工程]
製造対象である包装体は、容器と、熱収縮された熱収縮性筒状ラベルと、から構成される。包装体は、容器と熱収縮性筒状ラベルを有していることを条件として、他の部材を具備していてもよい。第1の製造方法において、前記容器と熱収縮性筒状ラベルを準備する。
【0020】
(容器)
容器は、その材質の観点において特に限定されず、合成樹脂、ガラス、陶器、金属などが挙げられる。
レーザーによって傷付き難い点から、外面部がポリオレフィン系樹脂から形成されているオレフィン面部を有する容器が好ましい。換言すると、容器は、その材質の観点では、容器の外面を構成する部位(この部位が外面部である)が、ポリオレフィン系樹脂から形成されている部分(この部分を、オレフィン面部という)を有することが好ましい。かかる容器は、その外面部の全体がオレフィン面部から構成されていてもよく、その外面部の一部分がオレフィン面部から構成されていてもよい。
本明細書において、「ポリオレフィン系樹脂から形成されている」とは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする材料から形成されていることをいう。また、本明細書において、「主成分」とは、その層に含まれる樹脂の中で最も多い樹脂(重量比)をいう。例えば、主成分樹脂は、その層に含まれる樹脂の全量を100重量%とした場合に、50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上含まれる。
【0021】
図1乃至
図4において、容器1は、その構造の観点では、内容物を収納する収納空間を有する本体11と、前記本体11の端部に形成された注出口12と、前記本体11に着脱可能に取り付けられ且つ前記注出口12を塞ぐ蓋部13と、を有する。
オレフィン面部を有する容器においては、本体11及び蓋部13の少なくとも何れか一方の少なくとも外面部が、ポリオレフィン系樹脂から形成されているオレフィン面部を有していればよいが、好ましくは、本体11の少なくとも外面部がポリオレフィン系樹脂から形成されている。
この場合、前記本体11の外面部の全体がオレフィン面部から構成されていてもよく、その外面部の一部分がオレフィン面部から構成されていてもよい。
なお、蓋部13がオレフィン面部を有する場合、その蓋部13の外面部の全体がオレフィン面部から構成されていてもよく、その外面部の一部分がオレフィン面部から構成されていてもよい。
【0022】
また、本体11及び蓋部13は、それぞれ独立して、1層構造でもよく、或いは、2層以上の多層構造であってもよい。
図4及び
図5(a)は、1層構造の本体11を示している。このように1層構造の本体11にあっては、その全体が合成樹脂、ガラス、陶器、金属などから形成されているが、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂から形成されている。厚み方向における構造が1層の好ましい本体11は、概念上、外面部Aを含む肉厚全体がポリオレフィン系樹脂からなる。
図5(b)は、2層構造の本体11bを示している。このように2層構造の本体11bにあっては、少なくとも外面部Aが合成樹脂、ガラス、陶器、金属などから形成されているが、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂から形成されている。2層構造の本体11bの内面部Bは、ポリオレフィン系樹脂から形成されていてもよく、或いは、ポリオレフィン系樹脂以外の材料から形成されていてもよい。
図5(c)は、3層構造の本体11cを示している。このように3層構造の本体11cにあっては、少なくとも外面部Aが合成樹脂、ガラス、陶器、金属などから形成されているが、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂から形成されている。3層構造の本体11cの内面部B及び中間部Cは、それぞれ独立して、ポリオレフィン系樹脂から形成されていてもよく、或いは、ポリオレフィン系樹脂以外の材料から形成されていてもよい。なお、4層以上の多層構造の本体については、中間部が2層以上となる点以外は、3層構造と同様である。
【0023】
なお、
図5では、本体11の層構造を例示しているが、蓋部13についても同様である。
本体11の厚みは、特に限定されず、例えば、本体11が合成樹脂製である場合には、その厚みは0.2mm〜3mmである。なお、本体11が上記のような多層構造である場合には、外面部Aの厚みが0.05mm〜2mmであることが好ましい。
【0024】
前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンを必須の単量体成分として構成される重合体(オレフィン系エラストマーを含む)であり、即ち、分子中(1分子中)にオレフィンを少なくとも含む重合体である。前記オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンが挙げられる。
【0025】
前記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレンを必須の単量体成分として構成される重合体(ポリエチレン系樹脂)、プロピレンを必須の単量体成分として構成される重合体(ポリプロピレン系樹脂)、アイオノマー、環状オレフィン系重合体などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0026】
オレフィン面部は、前記ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂(主成分樹脂以外の樹脂)を含んでいてもよいが、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂を実質的に含まないことが好ましい。
オレフィン面部がポリオレフィン系樹脂以外の樹脂を含む場合、その樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
【0027】
図1乃至
図4において、容器1は、上述のように、構造の観点では、本体11と、注出口12と、蓋部13と、を有し、前記本体11には、好ましくは凹み部2が形成されている。なお、容器1は、これら以外の部分を有していてもよい。
図示例では、前記蓋部13として、本体11にネジ作用で着脱自在に取り付けられたキャップを図示している。もっとも、蓋部13は、ネジ作用で取り付けられるキャップに限られず、例えば、本体11に嵌合されるキャップ、任意の方式で本体11に取り付けられ且つヒンジを介して注出口12を開閉するキャップ、噴霧にて内容物を注出できるトリガーなどでもよい。
【0028】
本体11は、容器1を自立可能とするための底部14を有し、容器1は、
図1及び
図2に示すように、前記底部14を下にして自立可能である。
本体11の外形は、特に限定されず、略円柱状、略楕円柱状、略四角柱状や略三角柱状などの略多角柱状、略円錐状や略三角錐状などの略錐状、略円錐台状や略四角錐台状などの略錐台状、略瓢箪形状、略だるま形状、及びこれらの形状が組み合わされた立体形状などでもよい。本明細書において、形状の「略」は、本発明の属する技術分野において許容される形状を意味する。例えば、四角などの多角に付加された「略」は、角部が面取りされている形状、辺の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、辺が若干湾曲している形状などが含まれる。また、円や楕円に付加された略は、円弧の一部が膨らむ又は窪んでいる形状、円弧の一部が直線又は斜線とされた形状などが含まれる。
また、本体11の外形は、直胴状でもよく、直胴状でなくてもよい。直胴状は、軸方向において周長が変わらない形状をいう。図示例の本体11の外形は、凹み部2を除いて略楕円錐台状である。かかる本体11の上方部は、上方に向かうに従いその周長が小さくなっている上方縮径部111となっており、本体11の下方部は、下方に向かうに従い周長が小さくなっている下方縮径部112となっている。
【0029】
前記本体11の外面の一部分は、内側に凹んでおり、その部分が凹み部2とされている。前記凹み部2は、容器1の外形の一部分であって、周囲よりも内側に凹んでいる部分をいう。容器1に関して、内側は、容器1の収納空間に近づく側をいい、外側は、その反対側をいう。
後述するように、熱収縮させた熱収縮性筒状ラベルは、本体11の凹み部2を除く外面に略密着することによって容器1に装着される。つまり、凹み部2は、本体11の外面のうち、熱収縮させた熱収縮性筒状ラベルが接しない部分である。以下、本体11のうち凹み部以外の部分を、凹み部と相対的な関係で「外出部」という場合がある。
詳しくは、本体11の外面の一部分は、内側へ向きを変える変曲点を複数有し、その変曲点の集合によって囲われた範囲が、内側に凹んだ凹み部2となっている。この無数の変曲点の集合が、凹み部2と外出部の境界であり、凹み部2の周縁2aを構成している。凹み部を火山のカルデラに例えると、前記複数の変曲点の集合は、カルデラの外輪山に相当する。
凹み部2の周縁2a(無数の変曲点の集合)は、正面視で無端の環状線を成している。
凹み部2は、前記周縁2aにおいて外出部に連続し且つ内側へと入り込む周面2bを有する。前記周面2bは、凹み部2の外面でもある。前記周面2bは、例えば、外側に膨らむ若しくは内側に膨らむ曲面を成した傾斜面状又は平面を成した傾斜面状とされている。
図示例では、凹み部2の周面2bは、全体として外側に膨らむ曲面を成した傾斜状に形成されている。
【0030】
前記凹み部2の正面視形状は、特に限定されず、略円形状、略楕円形状、略四角形状や略三角形状などの略多角形状、略だるま形状、及びこれらの形状が組み合わされた形状などが挙げられる。なお、凹み部2の正面視形状は、正面から見たときの凹み部2の周縁形状である。図示例では、凹み部2の正面視形状(周縁2aの正面視形状)は、略楕円形状とされている。
凹み部2の形成位置は、特に限定されず、凹み部2は、正面から見て、本体11の中央部、上方部又は下方部などの適宜な位置に形成されていてもよい。図示例では、凹み部2は、正面から見て、右側上方部に形成されている。
【0031】
凹み部2は、本体11に1箇所又は2箇所以上形成される。本発明の製造方法において、熱収縮性筒状ラベルを、凹み部2を覆って容器1に装着する場合、少なくとも1つの凹み部2を覆えばよい。つまり、複数の凹み部2を有する容器1を用いる場合には、装着工程において、少なくとも1つの凹み部2を含んで熱収縮性筒状ラベルを装着すればよい。
図示例では、凹み部2は、2箇所形成されている。以下、一方の凹み部2を「第1凹み部」、他方の凹み部2を「第2凹み部」という場合がある。
【0032】
第1凹み部21は、本体11の正面側に形成されており、第2凹み部22は、本体11の背面側に形成されている。
第1凹み部21と第2凹み部22は、容器1の正背面において同じ位置に形成されており、従って、正面から見て、第1凹み部21の背面側に第2凹み部22が位置している。また、第1凹み部21と第2凹み部22は、例えば、同形同大に形成されている。
第1凹み部21及び第2凹み部22が形成されていることによって、本体11の側部(正面から見て右側上方部)は、手で握りやすくなっている。この側部が取っ手として利用できる取っ手部15とされている。
【0033】
第1凹み部21と第2凹み部22は、それぞれ、周面2bに連続した底面を有していてもよい。凹み部2の底面は、凹み部2のうち最も内側に位置する凹み部2の外面の一部をいう。
図示例では、第1凹み部21と第2凹み部22は、底面を有さず、互いに連通されている。従って、第1凹み部21の周面2bと第2凹み部22の周面2bは、互いに連続しており、これらの周面2bで囲われた範囲が、孔部16となっている。この孔部16は、手先を入れることができる大きさに形成されている。かかる孔部16が形成されることによって、手で包み込むように握持可能な取っ手部15が形成される。
なお、前記取っ手部15は、本体11の一部を成しており、その取っ手部15の内部は、中空状である。従って、取っ手部15の内部は、本体11の収納空間の一部を成している。もっとも、取っ手部15は、中実状であってもよい。また、図示例では、取っ手部15は、本体11と一体的に形成されている場合に限られず、別体の取っ手部を本体に取り付けることによって、取っ手部及び孔部が形成されていてもよい(図示せず)。
【0034】
容器1に充填される内容物は、特に限定されず、ジュースなどの飲料、食用油や醤油などの調味料、液体洗剤や詰替え用シャンプーなどのサニタリー品、消毒用アルコールなどの医薬品、化粧品などが挙げられる。また、内容物は、収納空間から取り出すことができるものであれば、その性状は特に限定されず、液状(ある程度の粘性を有する液状を含む)でもよく、或いは、粒状でもよい。
【0035】
(熱収縮性筒状ラベル)
熱収縮させる前の熱収縮性筒状ラベル3は、
図6に示すように、ラベル基材31を有し、そのラベル基材31の第1側端部31aと第2側端部31bを接着することによって筒状に形成された筒状体である。かかる熱収縮性筒状ラベル3は、容器1に外装し、加熱することによって容器1に熱収縮装着される。なお、熱収縮させる前の熱収縮性筒状ラベルに符号「3」を付し、包装体に具備された熱収縮性筒状ラベル(熱収縮させた後の熱収縮性筒状ラベル)に符号「4」を付すこととする。
熱収縮性筒状ラベル3は、容器に外装する前から筒状に形成されているものでもよく、或いは、容器に外装すると同時に筒状に形成されるものでもよい。
容器に外装すると同時に筒状に形成される熱収縮性筒状ラベル3は、ラベル基材31の第1側端部31aの内面を容器に部分接着し、この基材を容器の周囲に巻き付け、前記第1側端部31aの外面に基材の第2側端部31bの内面を接着することにより、筒状に成形される。
以下、容器に外装する前から筒状に形成されている熱収縮性筒状ラベル3を中心にして説明する。
【0036】
容器装着前の熱収縮性筒状ラベル3は、
図6に示すように、容器1に装着する際には筒状に開かれる。もっとも、熱収縮性筒状ラベル3の製造時には、扁平状に折り畳まれている(図示せず)。
なお、現実的な製造工程では、一般に、熱収縮性筒状ラベル3は、その複数が連続的に繋がった連続体であって扁平状に折り畳まれた連続体の形態で提供され、この連続体を適宜切断して個々の熱収縮性筒状ラベル3が得られ、容器1に外装する直前に筒状に開かれる。
【0037】
前記ラベル基材31は、主として熱収縮性フィルムから構成されている。ラベル基材31は、必要に応じて、前記熱収縮性フィルムに、デザイン印刷層、下地印刷層、保護層、滑り層などが設けられているものでもよい。
前記熱収縮性フィルムは、柔軟なフィルムであって、熱収縮温度に加熱されると、熱収縮方向に収縮するフィルムである。前記熱収縮温度は、例えば、60℃〜120℃が例示される。
前記熱収縮性フィルムの厚みは、特に限定されないが、例えば20μm〜100μm、更に、20μm〜80μm程度のものを用いることができる。
【0038】
前記熱収縮性フィルムは、熱的性質の観点では、横方向及び縦方向に熱収縮するフィルムが用いられる。ラベル基材31を筒状にした際(つまり、ラベル基材31を用いて熱収縮性筒状ラベル3を形成した際)、前記熱収縮性フィルムの横方向は、熱収縮性筒状ラベル3の周方向となる。かかる熱収縮性フィルムとしては、公知の製法でフィルム状に成膜し、横方向及び縦方向に2軸延伸し、熱エージング処理をすることによって得ることができる。
前記熱収縮性フィルムの横方向における熱収縮率は、特に限定されないが、好ましくは40%以上であり、より好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは60%以上である。なお、前記横方向における熱収縮率は、大きいほど好ましいが、それにも自ずと限界があるため、前記横方向における熱収縮率は、理論上、100%未満であるが、通常、90%以下であり、好ましくは85%以下である。また、前記熱収縮性フィルムの縦方向における熱収縮率は、7%以上であり、好ましくは8%以上であり、より好ましくは9%以上である。前記縦方向における熱収縮率は、レーザー切断の観点からは大きいほど好ましいが、余りに大きすぎると、装着時に熱収縮性筒状ラベルが位置ずれを生じやすいので、前記縦方向における熱収縮率は、40%以下であり、好ましくは35%以下であり、より好ましくは30%以下である。
ただし、前記熱収縮率は、加熱前のフィルムの長さ(元の長さ)と、100℃の温水中に10秒間浸漬した後のフィルムの長さ(浸漬後の長さ)の割合であり、下記式に代入して求められる。
前記熱収縮率(%)=[{(横方向又は縦方向の元の長さ)−(横方向又は縦方向の浸漬後の長さ)}/(横方向又は縦方向の元の長さ)]×100。
【0039】
前記熱収縮性フィルムとしては、熱収縮性を有する合成樹脂フィルム、熱収縮性を有する不織布及び熱収縮性を有する発泡樹脂フィルム並びにこれらの積層フィルムなどが挙げられる。なお、前記積層フィルムは、その積層物全体として熱収縮性を有することを条件として、熱収縮性を有さない層と熱収縮性を有する層の積層物であってもよいが、全ての層が熱収縮性を有する積層物が好ましい。
好ましくは、熱収縮性フィルムとして、合成樹脂フィルム又は合成樹脂積層フィルムが用いられる。また、熱収縮性フィルムには、必要に応じて、金属蒸着層などのガス又は/及び光バリア層が積層されていてもよい。
【0040】
前記合成樹脂フィルム又は合成樹脂積層フィルムの材質は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンなどのオレフィン系樹脂;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのポリスチレン系樹脂;ポリアミド系樹脂;塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などが挙げられる。レーザーによって容易に切断できる点から、前記熱収縮性フィルムは、ポリエステル系樹脂及びポリスチレン系樹脂の少なくとも一方を主成分とする熱収縮性フィルムが好ましい。
熱収縮性フィルムが多層の積層フィルムからなる場合、2層などの偶数層の積層フィルムでもよいが、3層などの奇数層の積層フィルムであることが好ましい。
奇数層の積層フィルムの多層構造は、外面層/奇数の中間層/内面層で表され、例えば、外面層/1つの中間層/内面層、外面層/第1中間層/第2中間層/第3中間層/内面層などが例示される。
【0041】
熱収縮性フィルムがポリエステル系樹脂及びポリスチレン系樹脂の少なくとも一方を主成分とする多層の積層フィルムからなる場合、それらの層は、それぞれ独立して、ポリエステル系樹脂を主成分とする層(以下、ポリエステル系樹脂層という)、ポリスチレン系樹脂を主成分とする層(以下、ポリスチレン系樹脂層という)、及び、ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂を主成分とする層(以下、混合樹脂層という)から選ばれる。
例えば、外面層/1つの中間層/内面層の例としては、(a)ポリエステル系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(b)ポリスチレン系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層、(c)ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層、(d)ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(e)ポリエステル系樹脂層/混合樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(f)ポリスチレン系樹脂層/混合樹脂層/ポリスチレン系樹脂層などが挙げられる。
外面層/第1中間層/第2中間層/第3中間層/内面層の例としては、(g)ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(h)ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層、(i)ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層、(j)ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(k)ポリエステル系樹脂層/混合樹脂層/混合樹脂層/混合樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(l)ポリスチレン系樹脂層/混合樹脂層/混合樹脂層/混合樹脂層/ポリスチレン系樹脂層、(m)ポリエステル系樹脂層/混合樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/混合樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(n)ポリスチレン系樹脂層/混合樹脂層/ポリエステル系樹脂層/混合樹脂層/ポリスチレン系樹脂層などが挙げられる。
【0042】
なお、必要に応じて、熱収縮性フィルムに設けられるデザイン印刷層は、主として加飾目的で設けられる。デザイン印刷層は、所望の文字、図形などの表示が1色又は2色以上の色彩で表された印刷層である。デザイン印刷層は、従来公知のカラーインキを用いてグラビア印刷法などによって形成できる。デザイン印刷層の厚みは、例えば、0.1μm〜5μmである。デザイン印刷層は、通常、前記表示の部分が不透明又は有色透明であるが、表示以外の部分は透明である。
デザイン印刷層は、前記熱収縮性フィルムの内面又は/及び外面に積層される。熱収縮性フィルムは、透明又は不透明の何れでもよいが、そのフィルムの内面側(熱収縮性フィルムの内面は、ラベル基材31が筒状に形成された際に内側となる面であり、熱収縮性フィルムの外面は、その反対面である)にデザイン印刷層を設ける場合には透明性に優れたものが用いられる。
【0043】
ここで、本明細書において、「透明」は、ある層、フィルム又は領域の内面側に、その内面から1cm離れた箇所に、白地の紙に黒色インキで任意の数字(大きさ12ポイント)を印刷したものを配置し、前記ある層、フィルム又は領域を透かしてその数字を外面側から視認できる状態をいう。「透明」は、無色透明又は有色透明のいずれでもよい。本明細書において、「不透明」は、前記と同じ条件で内面側に配置した数字を、前記ある層、フィルム又は領域を透かして外面側から視認できない状態(数字を認識できない状態)をいう。
前記熱収縮性フィルムの透明性の指標としては、例えば、全光線透過率などを用いて表すことができる。透明な熱収縮性フィルムの全光線透過率は、例えば、70%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。ただし、全光線透過率は、JIS K 7361(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した測定法によって測定される値をいう。
【0044】
また、必要に応じて、熱収縮性フィルムには、下地印刷層が設けられていてもよい。下地印刷層は、主としてデザイン印刷層の表示を際立たせるために設けられる。もっとも、デザイン印刷層を有さない箇所に下地印刷層を設けてもよい。下地印刷層は、1色又は2色以上を塗り分けた無模様の印刷層であって、不透明な印刷層である。例えば、下地印刷層としては、白色を呈する白色印刷層などが挙げられる。前記白色印刷層は、無機顔料として白色顔料を含む。下地印刷層は、白色顔料などの無機顔料を含むインキを用いてグラビア印刷法などによって形成できる。下地印刷層の厚みは、例えば、0.3μm〜5μmである。
【0045】
さらに、必要に応じて熱収縮性フィルムに設けられる保護層や滑り層などは、各種インキを用いた従来公知の印刷法で形成できる。保護層や滑り層などは、通常、透明な印刷層である。保護層は、例えば、実質的に着色剤を含まないインキ(いわゆるメジウムインキ)を用いて形成できる。滑り層は、例えば、滑剤などの滑り成分が含有されたメジウムインキを用いて形成できる。
これらの印刷層の厚みは、例えば、0.5μm〜5μmである。
【0046】
このようなデザイン印刷層などの各種印刷層が熱収縮性フィルムに設けられている場合でも、ラベル基材31は、熱収縮性フィルムの収縮力によって、前記熱収縮率にて横方向及び縦方向に熱収縮する。つまり、本発明におけるラベル基材31の横方向及び縦方向の熱収縮率は、上記熱収縮性フィルムの横方向及び縦方向の熱収縮率と略同じである。
デザイン印刷層などが設けられた熱収縮性フィルムから構成されたラベル基材31の厚みは、例えば、20μm〜120μm、更に、20μm〜90μm程度である。
【0047】
前記ラベル基材31の横方向が周方向となるように、そのラベル基材31を筒状に丸め、第1側端部31aを第2側端部31bに重ね合わせて接着してシール部31cを形成することにより、熱収縮性筒状ラベル3が構成されている。このシール部31cは、熱収縮性筒状ラベル3の縦方向に帯状に延びている。
前記第1側端部31aと第2側端部31bの接着方法は、特に限定されず、溶剤を用いた溶着、接着剤を用いた接着などが挙げられる。
熱収縮性筒状ラベル3の周長は、例えば、容器1の被装着部位の最大周長×1倍を超え同×1.5倍以下であり、好ましくは同×1.01倍〜同×1.3倍であり、より好ましくは同×1.02倍〜同×1.15倍である。容器の被装着部位は、容器の、熱収縮性筒状ラベル3が熱収縮装着される部位をいう。
なお、熱収縮性筒状ラベル3には、必要に応じて、分断用のミシン目線(図示せず)などの公知の構造が付加されていてもよい。
【0048】
[装着工程]
装着工程は、容器1の外側に熱収縮性筒状ラベル3を外装し、加熱することによって、熱収縮性筒状ラベル3を容器1に熱収縮させて装着する工程である。
具体的には、
図7及び
図8に示すように、予め筒状に形成された熱収縮性筒状ラベル3を容器1の被装着部位の外側に被せる。好ましくは、少なくとも1つの凹み部2を覆うように熱収縮性筒状ラベル3を外装する。
容器1の被装着部位としては、例えば、図示したように、第1凹み部21及び第2凹み部22を含み、さらに、上方縮径部111及び下方縮径部112を含む本体11の大部分などが挙げられる。
容器1の被装着部位の最大径よりも大きい熱収縮性筒状ラベル3は、容器1の外装した時点では、容器1に装着されていない。つまり、外装した時点では、熱収縮性筒状ラベル3は、容器1に対して位置ずれし得る。
なお、容器1に外装すると同時に筒状に形成される熱収縮性筒状ラベルを用いる場合には、
図9に示すように、容器1の外面に、ラベル基材31の第1側端部31aの内面を接着剤などを用いて接着し、ラベル基材31を容器1の周方向に巻き付け、その第1側端部31aの外面に第2側端部31bの内面を接着剤などを用いて接着することによって、熱収縮性筒状ラベルを容器1に外装できる。
【0049】
次に、熱収縮性筒状ラベル3を加熱し、熱収縮性筒状ラベル3を熱収縮させる。熱収縮によって熱収縮性筒状ラベル3が縮径し、容器1の本体11に略密着する(
図10及び
図11参照)。
前記熱収縮性筒状ラベル3に対する加熱温度は所定の温度で設定でき、熱収縮性筒状ラベル3の外面を基準にして、例えば、60℃〜120℃であり、好ましくは80℃〜110℃である。加熱手段も特に限定されず、例えば、スチーム、100℃〜250℃程度の温風などが挙げられる。その他の加熱手段として、放射線、紫外線、赤外線などの活性エネルギー線照射を用いた加熱でもよい。
【0050】
縦方向に比較的大きく熱収縮する熱収縮性筒状ラベル3については、例えば、段階的に熱収縮させることによって外装位置からずれを効果的に防止できる。例えば、熱収縮性筒状ラベル3を加熱する際に、まず、熱収縮性筒状ラベル3の下方部を部分的に加熱することにより、熱収縮性筒状ラベル3の下方部を本体11の下方部(図示例の場合には、下方縮径部112を含む下方部)に略密着させる。次に、熱収縮性筒状ラベル3の全体を加熱することにより、熱収縮性筒状ラベル3が、外装位置からほとんどずれることなく装着される。
図示例では、熱収縮性筒状ラベル4は、第1凹み部21及び第2凹み部22の各外面を除き、上方縮径部111及び下方縮径部112並びに取っ手部15を含む本体11の外出部の一部又は全体に略密着する。熱収縮装着された熱収縮性筒状ラベル4は、容器1に対して不用意に位置ずれしないようになる。以下、装着された熱収縮性筒状ラベル4のうち、容器1(図示例の場合には、本体11)の外面に略密着した領域を、「密着領域」という。
ただし、主として周方向に大きく収縮するという熱収縮性筒状ラベル3の性質上、熱収縮性筒状ラベル4は、凹み部2の周縁2aに略密着するが、凹み部2(周縁2aから内側に凹んでいる凹み部2)の外面には密着していない。従って、装着された熱収縮性筒状ラベル4のうち、凹み部2に対応する領域Xは、凹み部2の外面(すなわち、周面2b)から離れている。以下、凹み部に対応する領域を「凹み部対応領域」という。また、
図10において、凹み部対応領域を判り易く図示するため、便宜上、その領域に無数のドットを付加している。
【0051】
第1の製法の装着工程においては、熱収縮性筒状ラベル4のうち、後述するレーザーにて切断する領域は、収縮限界まで熱収縮しておらず、好ましくは、熱収縮性筒状ラベル4の全体が収縮限界まで熱収縮していない。収縮限界は、所定の温度に加熱して、熱収縮性筒状ラベル4がそれ以上熱収縮しない状態になることをいう。例えば、100℃での横方向における熱収縮率が40%の熱収縮性筒状ラベル4は、100℃に加熱して40%熱収縮したときが収縮限界であり、100℃での縦方向における熱収縮率が20%の熱収縮性筒状ラベル4は、100℃に加熱して20%熱収縮したときが収縮限界である。
収縮限界まで達していない領域は、未だ熱収縮可能な状態である。ただし、容器1に装着されている熱収縮性筒状ラベル4は、その内側に容器1が存在するので、前記熱収縮可能な状態であるとは、装着後の熱収縮性筒状ラベル4を容器1から取り外して所定の温度に加熱すると、依然として熱収縮できるという意味である。
前記熱収縮可能な状態である前記領域は、例えば、所定の温度(例えば100℃など)に加熱すると、横方向に熱収縮率10%以上(好ましくは20%以上)で熱収縮可能であり、縦方向に熱収縮率3%以上(好ましくは5%以上)で熱収縮可能である。
【0052】
[切断工程]
切断工程は、前記装着工程において容器1に装着した後の熱収縮性筒状ラベル4の面内の一部分を、レーザーを用いて切断する工程である。
レーザーを用いて切断する部分は、熱収縮性筒状ラベル4の任意の領域である。その任意の領域内において、レーザーにて所望の方向に切断する。
レーザーの種類は、熱収縮性筒状ラベル4を切断できるものでれば特に限定されず、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、YVO
4レーザーなどが挙げられる。
特に、熱収縮性筒状ラベル4(中でも、ポリエステル系樹脂及びポリスチレン系樹脂の少なくとも一方を主成分とする熱収縮性フィルムを有する熱収縮性筒状ラベル4)は、炭酸ガスレーザーの吸収量が大きいので、レーザーとしては、炭酸ガスレーザーを用いることが好ましい。炭酸ガスレーザーの波長は、特に限定されず、例えば、9.4μm又は10.6μmの波長のものが挙げられるが、前記熱収縮性フィルムの裁断に特に適していることから、波長10.6μmの炭酸ガスレーザーを用いることが好ましい。
【0053】
レーザーを移動させることにより、レーザーの移動軌跡に応じて、熱収縮性筒状ラベル4の面内に切断線が形成されていく。熱収縮性筒状ラベル4の面内に、前記切断線を基準にして向かい合った一対のラベル縁部が生じる。前記切断線は、レーザーの切断によって生じる線であり、レーザーの移動軌跡とも言える。
切断線の形状は、特に限定されず、無端の環状、両端部を有する1本の線状、或いは、両端部を有する2本以上の線状が断続的に連続している形状などが挙げられる。切断線は、直線状でもよく、曲線状でもよく、1つ又は2つ以上の直線又は曲線が組み合わされた形状でもよい。例えば、曲線状の切断線は、横方向に延びる部分と、縦方向に延びる部分と、横方向に対して傾斜した方向に延びる部分と、を有し、これらが連続して曲線状を成している。
【0054】
本発明においては、縦方向にレーザー切断する場合のみならず、横方向にレーザー切断する場合にも十分に切断できることから、切断線は、熱収縮性筒状ラベル(ラベル基材)の横方向又は横方向に対して傾斜した方向を含む方向に延びて形成されていることが好ましい。換言すると、レーザーを用いて、横方向又は横方向に対して傾斜した方向を含む所望の方向に切断することが好ましい。前記横方向に対して傾斜した方向は、横方向に対して鋭角又は鈍角を成す方向をいう。つまり、前記横方向に対して傾斜した方向には、縦方向が含まれず、横方向に対して鋭角を成す方向或いは横方向に対して鈍角を成す方向をいう。
比較的大きな開口部を形成するという点では、前記切断線は、無端の環状であることが好ましい。前記無端の環状の正面視形状は、特に限定されず、形成したい開口部に応じて適宜設定され、例えば、略円形状、略楕円形状、略四角形状や略三角形状などの略多角形状、略だるま形状、及びこれらの形状が組み合わされた形状などが挙げられる。これらの無端環状の切断線は、(i)横方向に延びる部分と、縦方向に延びる部分と、が連続して無端の環状を成している場合、(ii)横方向に延びる部分と、縦方向に延びる部分と、横方向に対して傾斜した方向に延びる部分とが連続して無端の環状を成している場合、(iii)横方向に対して傾斜した方向に延びる部分の複数が連続して無端の環状を成している場合などが挙げられる。
【0055】
前記無端の環状に切断する場合において、凹み部2を有する容器1にあっては、凹み部対応領域Xの一部又は全部を含む範囲を刳り抜くように切断することが好ましい。凹み部対応領域Xの一部又は全部を含んで無端の環状の切断線を形成することにより、凹み部2に通じる開口部を熱収縮性筒状ラベル4に形成できる。
【0056】
切断線の形成(すなわち、レーザーによる切断)は、(1)密着領域の範囲内のみでもよく、(2)凹み部対応領域の範囲内のみでもよく、(3)凹み部対応領域の一部分及び密着領域の一部分に連続していてもよい。
より確実に切断できることから、密着領域を含んでレーザー切断を行うことが好ましい。また、容器1の周縁2aに略沿ったラベル縁部を形成できることから、周縁2aに略沿ってレーザー切断することが好ましい。
【0057】
例えば、
図12に示すように、凹み部2の周縁2aに対応して切断線Zを形成してもよい。
図12の二点鎖線は、切断線Z(レーザーの軌跡)を表している。周縁2aに沿って熱収縮性筒状ラベル4の面内を切断すると、無端の環状の切断線Zが形成される。また、熱収縮性筒状ラベル4は、周縁2aを含む容器1の外出部の外面に略密着しているので、この切断線Zの形成は、上記(1)の場合である。
そして、前記切断線Zで囲われた領域を除去することにより、
図13及び
図14に示すような、凹み部2に通じる開口部6が熱収縮性筒状ラベル4に形成された包装体10を得ることができる。なお、開口部6は、ラベル縁部39で囲われた範囲内に生じた部分である。前記ラベル縁部39の縁39aは、レーザー切断痕から構成される。かかる包装体10は、開口部6を形成するラベル縁部39が容器1の周縁2aに沿っており、外観上好ましい上、孔部16に指を入れて取っ手部15を持った際に、持ち手にラベル縁部39の縁39aが当たり難くなるので好ましい。
【0058】
また、
図15に示す例は、切断線を、凹み部2の周縁2aの外周りに対応して無端の環状に形成する場合を示している。なお、
図15では、その切断線で囲われた領域を除去した後の状態を示している。この切断線の形成も、上記(1)の場合である。
この場合、熱収縮性筒状ラベル4の面内に生じるラベル縁部39の正面視形状は、周縁2aの正面視形状よりも大きい。かかる包装体10は、開口部6を形成するラベル縁部39が凹み部2の周縁2aの外側にあり、持ち手にラベル縁部39の縁39aが当たり難くなるので好ましい。
【0059】
また、
図16及び
図17に示す例は、切断線を、凹み部2の周縁2aの内周りに対応して無端の環状に形成する場合を示している。なお、
図16及び
図17では、その切断線で囲われた領域を除去した後の状態を示している。この切断線の形成は、上記(2)の場合である。
この場合、熱収縮性筒状ラベル4の面内に生じるラベル縁部39の正面視形状は、周縁2aの正面視形状よりも小さい。
【0060】
また、
図18乃至
図20に示す例は、切断線を、第1凹み部21の左側周縁2a1の内周りと、第2凹み部22の右側周縁2a2の内周りと、第1凹み部21及び第2凹み部22の上下周縁2a3,2a4から容器1の外出部に対応する領域とにかけて、無端の環状に形成する場合を例示している。なお、
図18乃至
図20では、その切断線で囲われた領域を除去した後の状態を示している。この切断線の形成は、上記(3)の場合である。すなわち、熱収縮性筒状ラベル4のうち、第1凹み部21の左側周縁2a1の内周りと第2凹み部22の右側周縁2a2の内周りに対応する領域は、凹み部対応領域であり、容器1の外出部に対応する領域は、密着領域である。
この場合、熱収縮性筒状ラベル4の面内に生じる開口部6は、取っ手部15を含んで第1凹み部21及び第2凹み部22に対応して形成されるので、取っ手部15が露出した包装体10が得られる。
【0061】
本発明の製造方法によれば、レーザーを用いて熱収縮性筒状ラベル(ラベル基材31)の任意の箇所を確実に切断できる。
上述のように、従来では横方向に沿ってレーザー切断すると切断不十分箇所が生じるが、本発明では縦方向の熱収縮率が7%〜40%であるラベル基材31を筒状に形成した熱収縮性筒状ラベルを用いるので、レーザー切断時の熱によってラベル基材31が若干収縮し、横方向にも十分に切断でき、横方向に延びる切断線にて2分されたラベル縁部39を生じるようになる。詳しくは、横方向に沿ってレーザー切断した場合、横方向に延びる切断線を基準に上下に向かい合ったラベル縁部が生じるが、レーザー切断時の熱によってその上側のラベル縁部は若干上側に収縮し且つ下側のラベル縁部は若干下側に収縮するようになる。このため、上下のラベル縁部同士が十分に離れ、また、再融着を起こすこともないので、レーザーによって熱収縮性筒状ラベル4の面内を横方向に確実に切断できる。
なお、ラベル基材31の横方向の熱収縮率は、縦方向と同等又はそれ以上であるので、レーザーによる切断を縦方向に行った場合にも、同様の作用により、縦方向に延びる切断線にて2分されたラベル縁部39を生じるようになる。また、レーザーによる切断を横方向に対して傾斜した斜め方向に行った場合でも、同様に作用により、斜め方向に延びる切断線にて2分されたラベル縁部39を生じるようになる。
【0062】
このように本発明によれば、レーザーを用いて熱収縮性筒状ラベルを確実に切断できる。例えば、レーザーによる切断線を無端の環状にした場合には、その切断線で囲われた領域を簡単に除去して、所望の位置に所望の開口部が形成された包装体を容易に得ることができる。
【0063】
<第2の製造方法>
第2の製造方法は、熱収縮性筒状ラベルを容器に装着する前に、レーザー切断しておく点が上記第1の製造方法と異なる。以下、第1の製造方法と異なる点を主として説明し、同様の構成については、説明を省略し、用語及び符号を援用する。
【0064】
[準備工程及び切断工程]
上記容器と、熱収縮性筒状ラベルと、を準備する。
熱収縮性筒状ラベルについては、(A)ラベル基材31の面内をレーザーを用いて切断した後、そのラベル基材31を筒状に形成する、或いは、(B)ラベル基材31を筒状に形成した後、そのラベル基材31の面内をレーザーを用いて切断する。
【0065】
前記(A)及び(B)の何れも、レーザーによる切断線の形状は、上記第1の製造方法と同様に任意である。第2の製造方法では、無端の環状にレーザー切断し、ラベル基材31の面内に開口部を形成する場合を例にして説明する。
前記(A)又は(B)にて作製された熱収縮性筒状ラベル3は、
図21に示すように、ラベル基材31の面内に、ラベル縁部391の縁391aで囲われた開口部61を有する。なお、
図21は、レーザーの切断線で囲われた領域を除去した後の状態を示している。
前記開口部61の形成位置は、特に限定されないが、熱収縮性筒状ラベル3を容器1に熱収縮装着する際に凹み部2に対応するような位置に形成することが好ましい。例えば、第1凹み部21及び第2凹み部22を有する容器1については、それらの凹み部21,22にそれぞれ対応するように、2つの開口部61,61を形成しておくことが好ましい。
熱収縮性フィルムを含むラベル基材31をレーザー切断すると、レーザー切断時の熱によってラベル縁部が若干収縮するので、切断不十分箇所を生じることなくラベル基材31の面内を確実に切断できる。
また、後述する装着工程における熱収縮性筒状ラベル3の収縮に伴ってラベル縁部391の周長が拡張することから、前記熱収縮性筒状ラベル3(又はラベル基材31)に形成する開口部61は、その拡張を考慮して小さく形成しておくことが好ましい。
【0066】
[装着工程]
レーザー切断後の熱収縮性筒状ラベル3を容器1に外装し、加熱することによって、熱収縮性筒状ラベル3を容器1に熱収縮させて装着する。
詳しくは、レーザー切断によって前記開口部61が形成された熱収縮性筒状ラベル3を容器1に外装する。
好ましくは、
図22及び
図23に示すように、開口部61が凹み部2に対応するように熱収縮性筒状ラベル3を容器1に被せる。
その後、第1の製造方法の装着工程と同様にして、熱収縮性筒状ラベル3を加熱することにより、熱収縮性筒状ラベル3が横方向及び縦方向に熱収縮し、それに伴いラベル縁部391の正面視形状も大きくなり(ラベル縁部391の周長が拡張し)、例えば、
図13及び
図14に示すような開口部6を有する包装体10が得られる。
なお、
図13及び
図14に示すような、ラベル縁部39が容器1の周縁2aに沿った開口部6を有する包装体10を得るためには、装着前に形成される開口部61の形状の設定及び熱収縮性筒状ラベル3を熱収縮させる際にラベル縁部391の拡張度合いの制御などを行う必要があるが、このような設定や制御は難しい。そのため、実際には、
図15に示すような包装体10や
図16に示すような包装体10が得られる場合もあることに留意されたい。
【0067】
<第1及び第2の製造方法の第1変形例>
上記第1及び第2の製造方法では、第1凹み部21と第2凹み部22の間に孔部16が貫通されている容器1を図示したが、例えば、
図24及び
図25に示すように、底面2cを有する第1凹み部21及び第2凹み部22が形成されている容器1に熱収縮性筒状ラベルを装着することによって、開口部6を有する包装体10を製造してもよい。このように底面2cを有する第1凹み部21及び第2凹み部22においても、それに隣接して取っ手部15が形成されている。
また、取っ手部15や凹み部2を有する容器1に限られず、例えば、
図26及び
図27に示すように、取っ手部及び凹み部を有さない容器1に、熱収縮性筒状ラベル4を装着することによって、開口部6を有する包装体10を製造してもよい。
【0068】
<第1及び第2の製造方法の第2変形例>
上記第1及び第2の製造方法において、不透明領域と無色又は有色の透明領域とを有するラベル基材31を用いてもよい。
図28乃至
図30において、ラベル基材31は、透明不透明の観点から、不透明領域Yと、無色又は有色の透明領域Wと、を有する。
また、前記ラベル基材31は、層構成の観点から、
図29及び
図30に示すように、熱収縮性フィルム311と、前記熱収縮性フィルム311に設けられた各種の印刷層312,313,314と、を有する。
【0069】
前記熱収縮性フィルム311は、上記(熱収縮性筒状ラベル)の欄で説明したような横方向及び縦方向の熱収縮性を有するフィルムであるが、本変形例では、透明なフィルムが用いられる。好ましくは、熱収縮性フィルム311は、実質的に無機顔料を含まない透明なフィルムである。
【0070】
熱収縮性フィルム311に各種の印刷層を設けることによって、不透明領域Yと無色又は有色の透明領域Wとを有するラベル基材31が構成される。
図28において、透明領域Wを判り易くするため、その領域に網掛けを付加している。
図7の無地部分は、不透明領域Yである。
図28乃至
図30において、ラベル基材31は、熱収縮性フィルム311と、デザイン印刷層312と、下地印刷層313と、滑り印刷層314と、を有する。
デザイン印刷層312は、上記(熱収縮性筒状ラベル)の欄で説明したような印刷層である。
【0071】
下地印刷層313は、上記(熱収縮性筒状ラベル)の欄で説明したような印刷層である。本変形例では、特に、下地印刷層313は、無機顔料を含む不透明な印刷層であり、好ましくは、無機顔料を含む無模様1色の不透明な印刷層であり、より好ましくは、白色を呈する白色印刷層である。前記白色印刷層は、無機顔料として白色顔料を含み、その顔料が樹脂バインダー中に分散されて固化された層である。前記白色顔料としては、例えば、無定形のシリカ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、タルクなどが挙げられる。
下地印刷層313に含まれる無機顔料の量は、特に限定されない。不透明な印刷層を形成するという観点から、下地印刷層313に含まれる無機顔料の量は、下地印刷層全体を100重量%として、例えば、20重量%〜85重量%であり、好ましくは、30重量%〜80重量%であり、より好ましくは、40重量%〜75重量%である。
【0072】
滑り印刷層314は、熱収縮性筒状ラベル3の最内面を構成し、熱収縮性筒状ラベル3の内面の滑り性を向上させるために設けられる。滑り印刷層314は、無色透明又は有色透明(1色の有色)の印刷層であって、実質的に無機顔料を含まない透明な印刷層である。好ましくは、滑り印刷層314は、実質的に無機顔料を含まない無色透明な印刷層である。
なお、本明細書において、「実質的に無機顔料を含まない透明」とは、透明性を阻害しない程度の微量の無機顔料の成分の混入は許容され、透明性を阻害するほどの有意な量の混入は除外される。
無色透明な滑り印刷層314(無色透明な印刷層)は、従来公知の顔料や染料を実質的に含まないインキ(いわゆるメジウムインキ)を用いてグラビア印刷法などによって形成できる。また、有色透明な滑り印刷層314(有色透明な印刷層)は、前記メジウムインキに僅かな量の有機染料を配合し、それを用いてグラビア印刷法などによって形成できる。滑り印刷層314の厚みは、例えば、0.1μm〜5μmである。
【0073】
図28乃至
図30において、デザイン印刷層312は、熱収縮性フィルム311の内面に直接的に設けられる。なお、デザイン印刷層312は、熱収縮性フィルム311の外面側に設けてもよく、或いは、熱収縮性フィルム311の外面及び内面にそれぞれ設けてもよい(いずれも図示せず)。熱収縮性フィルム311の外面側にデザイン印刷層312が設けられる場合、それを保護するため、デザイン印刷層312の外面に、無色透明な印刷層を設けてもよい。
【0074】
デザイン印刷層312は、熱収縮性フィルム311の第2側端部31bの内面及びレーザー切断を行う予定の領域を除いて、熱収縮性フィルム311に設けられている。前記レーザー切断を行う予定の領域は、任意に設定できる。
下地印刷層313は、少なくともデザイン印刷層312の内面側に重ねて設けられる。図示例では、下地印刷層313は、デザイン印刷層312の内面に直接的に設けられている。
滑り印刷層314は、熱収縮性フィルム311の第2側端部31bの内面を除いて、熱収縮性フィルム311の内面側に設けられている。熱収縮性フィルム311の内面側にデザイン印刷層312及び下地印刷層313が設けられている図示例にあっては、滑り印刷層314は、下地印刷層313の内面と、レーザー切断を行う予定の領域(すなわち、デザイン印刷層312及び下地印刷層313が設けられていない領域)において熱収縮性フィルム311の内面と、に跨がって設けられている。
【0075】
ラベル基材31において、前記下地印刷層313が積層されている領域は、不透明領域Yであり、前記下地印刷層313が積層されていない領域は、無色又は有色の透明領域Wである。特に、前記透明領域Wは、無色透明であることが好ましい。図示例では、熱収縮性フィルム311(ラベル基材31)の第2側端部31b及びレーザー切断を行う予定の領域が、透明領域Wとされている。
透明領域Wの指標として全光線透過率で表すと、透明領域Wの全光線透過率は、例えば、70%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。また、不透明領域Yの指標として全光線透過率で表すと、不透明領域Yの全光線透過率は、例えば、30%以下であり、好ましくは20%以下である。ただし、透明領域W及び不透明領域Yの全光線透過率は、透明領域W及び不透明領域Yをサンプルフィルムとし、JIS K 7361(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した測定法によって測定される値をいう。
なお、図示例では、透明領域Wには、透明な熱収縮性フィルム311に透明な印刷層(滑り印刷層314など)が設けられているが、透明領域Wが透明なフィルム311のみから構成されていてもよい(図示せず)。
【0076】
第2変形例のラベル基材31も筒状にし、その第1側端部31aの外面に第2側端部32aの内面を接着することにより、熱収縮性筒状ラベルが形成される。
上記第1の製造方法にあっては、第2変形例のラベル基材31を用いて熱収縮性筒状ラベル3を作製し、装着工程において、
図31に示すように、それを容器1に外装し、熱収縮させて装着する。
そして、切断工程において、透明領域W内を、レーザーを用いて切断する。
上記第2の製造方法にあっては、切断工程において、(A)第2変形例のラベル基材31の透明領域W内を、レーザーを用いて切断した後、熱収縮性筒状ラベル3を作製する、或いは、(B)第2変形例のラベル基材31を用いて熱収縮性筒状ラベル3を作製した後、透明領域W内を、レーザーを用いて切断する。
そして、装着工程において、熱収縮性筒状ラベル3を容器1に外装し、熱収縮させて装着する。
【0077】
このように熱収縮性筒状ラベル3(ラベル基材31)のうち、透明領域Wを切断することにより、より確実に切断できる。
詳しくは、不透明領域Yにレーザーを照射すると、不透明領域Yに含まれる無機顔料などによってレーザーの一部が反射されるおそれがあるが、透明領域Wは、そのようなおそれがない。また、不透明領域Yが無機顔料を含む不透明な印刷層を有すると、前記不透明な印刷層が、熱収縮性フィルム311の熱収縮を阻害するおそれがある。この点、透明領域Wをレーザーで切断することにより、レーザーのエネルギーが損なわれるおそれがなく且つ熱収縮性フィルム311の熱収縮も阻害されず、これと、ラベル基材31が横方向及び縦方向に熱収縮性を有し且つ縦方向の熱収縮率が7%〜40%であることが相乗して、熱収縮性筒状ラベル3(ラベル基材31)をより確実に切断できる。
【0078】
<包装体>
本発明の包装体10は、
図13及び
図14に示すように、容器1と、筒状に形成したラベル基材31から構成され且つ前記容器1に熱収縮装着された熱収縮性筒状ラベル4と、を有し、熱収縮性筒状ラベル4の面内には、開口部6が形成されている。好ましくは、容器2の凹み部2に開口部6が通じるように、熱収縮性筒状ラベル4の面内に開口部6が形成されている。図示例では、凹み部2に通じるように開口部6が形成され、その開口部6を形成するラベル縁部39は、例えば、凹み部2の周縁2aに沿っている。
容器1、ラベル基材31及び熱収縮性筒状ラベル4などの具体的構成については、上記製造方法の欄で説明したものと同様であるので、その説明を省略する。
【0079】
また、本発明の包装体10は、
図15に示すようにラベル縁部39が周縁2aの外側に位置するもの、或いは、
図16に示すようにラベル縁部39が周縁2aの内側に位置するもの、或いは、
図18に示すように取っ手部15が開口部6から露出されているもの、或いは、
図24に示すように、底面2cを有する凹み部2に対応して開口部6が形成されているもの、或いは、
図26に示すように、凹み部2を有さない容器1に開口部6を有する熱収縮性筒状ラベル4が装着されているもの、などであってもよい。
なお、これらの包装体10は、上記第1及び第2の製造方法にて製造できるが、本発明の包装体10は、これらの製造方法で製造される場合に限定されるわけではない。
【0080】
本発明の包装体10の第1の特徴は、前記開口部を形成するラベル縁部39が、前記ラベル基材31の厚みよりも大きい厚肉部とされていることである。好ましくは、前記ラベル縁部39の縁39aが、断面視で曲線状に形成されている。好ましくは、前記ラベル縁部39が、その内部に気泡を有する。
図32及び
図33は、包装体10に具備された熱収縮性筒状ラベル4のラベル縁部39を、その縁39aと略直交した厚み方向に切断し、その断面を模式的に表した拡大断面図である。例えば、
図32は、
図16に示す包装体のラベル縁部のうち、横方向に延びる部分を厚み方向に切断し、非常に大きく拡大した断面図であり、
図33は、
図16に示す包装体のラベル縁部のうち、縦方向に延びる部分を厚み方向に切断し、非常に大きく拡大した断面図である。
【0081】
図32及び
図33に示すように、ラベル縁部39の厚みは、前記ラベル基材31の厚みよりも大きい。具体的には、ラベル縁部39は、ラベル基材31の一部分であって、その縁39で囲われた開口が開口部6となっている。ラベル縁部39の厚みは、一様でなく、ラベル縁部39は、その縁39aに向かうに従って厚みが徐々に大きくなる部分を有し、その部分から縁39aまでの間における厚みは、徐々に小さくなっている。また、ラベル縁部39は、内外で比較すると、内側よりも外側に突出するように盛り上がっている。特に、ラベル縁部39の先端が外側に反り上がるように、ラベル縁部39は盛り上がっている。
ラベル縁部39の最大厚みは、特に限定されないが、例えば、熱収縮後のラベル基材31の厚みの1.5倍〜4倍であり、好ましくは、1.5倍〜3倍である。
さらに、断面視において、ラベル縁部39の縁39aの外形状は、曲線状に形成されている。また、ラベル縁部39の内部には、複数の気泡7が設けられている。気泡7の大きさや形状は、不定形であり、その数も特に限定されない。気泡7は、ラベル縁部39のうち、縁39a側に寄って密集されている。もっとも、気泡7は、ラベル縁部39内に分散していてもよく、或いは、縁39aから離れて密集又は分散していてもよい。
【0082】
本発明の包装体10の第2の特徴は、ラベル縁部39の縁39aが、正面視において、隣接する凹凸間の高さ差が1μm〜500μmである凹凸状に形成されていることである。
図34に示すように、ラベル縁部39が延びる方向において、その縁39aは、正面視において、凹凸状に形成されている。換言すると、ラベル縁部39の縁39aは、複数の凸部391a及び凹部392aが交互に連続して連なって構成されている。なお、凸部391a及び凹部392aは、相対的な概念であり、相対的に凹んでいる部分(凹部392a)を基準とするとそれよりも出ている部分が凸部391aである。
なお、
図34は、
図16の丸囲いXXXIV部を、40倍に拡大した正面図であり、
図32及び
図33は、
図16のXXXII−XXXII線及びXXXIII−XXXIII線でラベル縁部を切断し、それを
図34の倍率よりも更に拡大した断面図である。
図32乃至
図34は、あくまで参考的な図であるので、各図の縮尺や寸法は実際とは異なっていることに留意されたい。
【0083】
凸部391a及び凹部392aの正面視形状は、不定形であり、また、凸部391a及び凹部392aの長さの不定であるが、凸部391aは、角張っておらず、正面視で曲線状を成している。
隣接する凸部391aと凹部392aの高さ差H(隣接する凹凸間の高さ差H)は、1μm〜500μmであり、好ましくは、1μm〜300μmであり、より好ましくは、10μm〜200μmであり、より好ましくは、20μm〜100μmである。
前記隣接する凹凸間の高さ差Hは、ラベル縁部39の縁39aから、任意に10箇所の幅3mm(長さ方向に3mm)を抽出して10箇所の測定視野を決め、その各測定視野内の全ての隣接する凹凸の高さ差をそれぞれ計測し、各測定視野内での最大値を平均した値をいう。隣接する凹凸間の高さ差Hの詳しい測定方法は、下記実施例に記載の通りである。
【0084】
なお、
図32及び
図33は、
図16のXXXII−XXXII線及びXXXIII−XXXIII線で示す箇所を切断しているが、この箇所以外においても、ラベル縁部39の断面は同様である。また、
図34は、
図16のXXXIV部を示しているが、この部分以外のラベル縁部39の縁39aの正面視形状も同様である。
さらに、上記では、
図16に示す第1例の包装体10のラベル縁部39及びその縁39aについて説明したが、
図15、
図16、
図18、
図24及び
図26に示すような第2例乃至第6例の包装体10のラベル縁部39及びその縁39aについても同様である。
【0085】
本発明の包装体10は、開口部6を形成するラベル縁部39が厚肉部とされているので、使用者がそのラベル縁部39に触れた際に違和感を受け難い。特に、ラベル縁部39の縁39aが曲線状に形成されているので、凹み部2を利用して使用者が取っ手部15を握った際に、違和感を受け難くなる。さらに、ラベル縁部39の縁39aの凹凸間の高さ差Hが1μm〜500μmという非常に小さいので、手が触れても凹凸を感じ難く、使用者が違和感を受け難い。
【実施例】
【0086】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに説明する。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるわけではない。
【0087】
[実施例1]
厚み40μmのポリエチレンテレフタレート樹脂製の熱収縮性フィルム(東洋紡株式会社製、商品名SV200)を準備し、これをラベル基材とした。
この熱収縮性フィルムを筒状に形成することにより、内周長が308mm、縦方向の長さが220mmの熱収縮性筒状ラベルを作製した。
この熱収縮性筒状ラベルの、100℃における周方向(横方向)の熱収縮率は68%で、縦方向の熱収縮率は9.7%であった。
【0088】
[実施例2]
厚み30μmのポリエチレンテレフタレート樹脂製の熱収縮性フィルム(グンゼ株式会社製、商品名TRS)を準備した。
この熱収縮性フィルムの内面の全体に、酸化チタン顔料を含む白色インキを、グラビア印刷法にて印刷し、厚み約2μmの白色印刷層を形成することにより、ラベル基材を作製した。なお、この白色印刷層中の酸化チタン顔料の量は、全体を100重量%として、約70重量%であった。
このラベル基材を筒状に形成することにより、内周長が308mm、縦方向の長さが220mmの熱収縮性筒状ラベルを作製した。
この熱収縮性筒状ラベルの、100℃における周方向(横方向)の熱収縮率は50%で、縦方向の熱収縮率は23%であった。
【0089】
[比較例1]
厚み55μmのポリエチレンテレフタレート樹脂製の熱収縮性フィルム(三菱樹脂株式会社製、商品名LX21S)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、熱収縮性筒状ラベルを作製した。
この熱収縮性筒状ラベルの、100℃における周方向(横方向)の熱収縮率は72%で、縦方向の熱収縮率は6.0%であった。
【0090】
実施例及び比較例の熱収縮性筒状ラベルのそれぞれを、
図1乃至
図4に示すような形状のポリエチレン製容器の凹み部を含んで外装し、熱収縮性筒状ラベルの外面温度が約85℃になるように加熱し、熱収縮させた。このようにして
図10に示すような、熱収縮性筒状ラベルが装着された包装体を得た。なお、前記容器の、被装着部位における最大外周長は、300mmであった。
前記容器に装着された熱収縮済みの熱収縮性筒状ラベルの、容器の凹み部に対応した領域内において、その外面側から炭酸ガスレーザー(波長10.6μm。CO
2レーザー切断機)を照射した。前記レーザーは、横方向に直線状に3cm移動させた後、縦方向に直線状に3cm移動させた。
【0091】
その結果、実施例1及び実施例2の包装体は、いずれも、レーザー移動軌跡に応じて、熱収縮性筒状ラベルの面内を完全に2分した長さ3cmの横直線状切断線と、同様に2分した長さ3cmの縦直線状切断線と、が形成された。
一方、比較例1の包装体は、熱収縮性筒状ラベルの面内を完全に2分した長さ3cmの縦直線状切断線が形成されたが、横方向については熱収縮性筒状ラベルを十分に切断できなかった。
【0092】
図35の(a)は、実施例1の熱収縮性筒状ラベルの、横方向に切断した箇所を電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査形電子顕微鏡「S−3000N」)にて40倍に拡大し、正面(ラベル基材の外面に対して直交する方向)から撮影した写真図であり、同図(b)は、同図(a)の矢印にて切断して得られた断面部分を40倍に拡大した写真図であり、同図(c)は、同図(b)の一方のラベル縁部を120倍に拡大した写真図である。また、同図(d)は、比較例1の熱収縮性筒状ラベルの、横方向に切断した箇所を電子顕微鏡にて40倍に拡大した写真図である。
なお、写真撮影のため、カーボンシート上に熱収縮性筒状ラベルを載せている。
【0093】
図35の(a)乃至(c)から明らかな通り、実施例1の熱収縮性筒状ラベルは、熱収縮性筒状ラベルの面内をレーザーにて横方向に完全に切断することができた。一方、比較例1の熱収縮性筒状ラベルについては、所々に切断不十分箇所が生じた。
実施例1及び2の熱収縮性筒状ラベルは、レーザー切断時の熱によって縦方向に若干収縮し、レーザーが照射された箇所を基準にして向かい合うラベル縁部同士が拡がり、面内を2分する切断線を形成できると推測される。
比較例1の熱収縮性筒状ラベルは、レーザーが照射された箇所を基準にして向かい合うラベル縁部同士が十分に離れない又は一旦離れても再融着するため、十分に切断できないと推測される。
このような点から、縦方向の熱収縮率が7%以上の熱収縮性筒状ラベルを用いると、良好にレーザー切断できると考えられる。
【0094】
なお、実施例1の熱収縮後の熱収縮性筒状ラベルの、各部の厚みを計測した。
その結果、熱収縮性筒状ラベルの厚み(ラベル縁部以外の部分の厚み)が、49.8μm(熱収縮前は、40μm)、ラベル縁部の最大厚みが、126.4μmとなっていた。従って、ラベル縁部の最大厚みは、熱収縮後のラベル基材の厚みの約2.5倍となっていた。
また、ラベル縁部の縁は、
図35(a)の正面写真のとおり、凹凸状を成してレーザー切断の方向に延びていた。
このラベル縁部の縁の隣接する凹凸間の高さ差Hを計測したところ、48μmであった。
前記隣接する凹凸間の高さ差Hは、次の方法で測定した。
前記ラベル縁部の縁について、任意に幅3mm(長さ方向に3mm)を抽出して測定視野とし、その測定視野内の全ての隣接する凹凸の高さ差(計測高さ差という)を計測し、得られた複数の計測高さ差の中で最大値をその測定視野内の凹凸間の高さ差とした。幅3mmの測定視野を任意に合計10箇所抽出し、各測定視野内で同様にして計測高さ差を計測して最大値を決定し、その最大値の平均値を前記隣接する凹凸間の高さ差Hとした。
なお、計測高さ差は、測定視野内にある凹部及び凸部から最小二乗法により計算した平均線と直交する方向の線を基準に計測した。