(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
原料を供給する原料供給装置と、前記原料供給装置から供給された原料を積載する受具と、前記受具を搬送する受具搬送装置と、前記受具の搬送方向において原料供給位置よりも下流側に配設された重量計と、前記原料供給装置と前記受具搬送装置を制御する制御装置と、を用いた、原料を散布してマットを形成し、得られた前記マットに圧力をかける無機質板の製造方法であって、
前記原料供給装置から原料を供給し、前記受具搬送装置の上を搬送される前記受具に原料を散布して前記受具に原料を積載しマットを形成する第一工程と、
前記マットに圧力をかける前に、前記重量計において、前記受具に積載された原料重量を計測し、計測された値を前記制御装置に送信する第二工程と、
前記重量計での計測値と、予め前記制御装置に設定された管理値が異なる場合には、前記制御装置が、前記原料供給装置からの原料供給量、前記受具の搬送速度、前記受具に積載された原料重量の少なくとも1つを調整する第三工程と
を含む無機質板の製造方法。
前記原料供給装置の原料の供給側に配置された、単位時間あたりの原料の供給重量を計測し、計測した原料の供給重量を制御装置に送信する原料計測器と、前記原料供給位置と前記重量計との間に配置された、前記制御装置で制御され、前記受具に積載した原料を掻き取る掻き取り装置と、前記原料供給位置と前記掻き取り装置との間に配置された、前記受具に積載した原料の高さを計測し、計測した原料の高さを前記制御装置に送信する高さ計測器とを有し、
前記第三工程において、前記制御装置は、前記重量計での計測値と、前記管理値と、前記原料計測器の計測値と、前記高さ計測器の計測値とに基づき、前記掻き取り装置による前記受具に積載した原料重量の掻き取り量を調整する、請求項1に記載の無機質板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みたものであり、圧力をかける前にマットの重量をより高い精度で調整する無機質板の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、無機質板の製造方法に関する。本発明の第一の態様は、原料を供給する原料供給装置と、前記原料供給装置から供給された原料を積載する受具と、前記受具を搬送する受具搬送装置と、前記受具の搬送方向において原料供給位置よりも下流側に配設された重量計と、前記原料供給装置と前記受具搬送装置を制御する制御装置と、を用いた無機質板の製造方法である。本発明の第一の態様では、前記原料供給装置から原料を供給し、受具搬送装置の上を搬送される受具に原料を積載する第一工程と、前記重量計において、前記受具に積載された原料重量を計測し、計測された値を前記制御装置に送信する第二工程と、前記重量計での計測値と、予め前記制御装置に設定された管理値が異なる場合には、前記制御装置が、前記原料供給装置からの原料供給量、前記受具の搬送速度、前記受具に積載された原料重量の少なくとも1つを調整する第三工程とを有する。
【0008】
第三工程において、制御装置は、原料供給装置からの原料供給量、受具の搬送速度、受具に積載された原料重量の減量の少なくともいずれかを調整するにあたり、管理値と重量計での計測値を比較する、前記管理値と前記重量計での計測値の差を計算し、得られた差から調整が必要な原料量を計算するのいずれかを行うことができる。
【0009】
第三工程において、制御装置が、管理値と重量計での計測値を比較する場合、前記重量計での計測値が管理値よりも大きいと、前記制御装置が、原料供給装置からの原料供給量を減少させる、受具の搬送速度を加速させる、前記受具に積載された原料重量の減量を増加させるの少なくともいずれかを行う。反対に、重量計での計測値が管理値よりも小さいと、制御装置が、原料供給装置からの原料供給量を増加させる、受具の搬送速度を減速させる、前記受具に積載された原料重量の減量を減らすことの少なくともいずれかを行う。
【0010】
第三工程において、制御装置が、管理値と重量計での計測値の差を計算し、得られた差から調整が必要な原料量を計算する場合では、調整が必要な原料量に基づいて、前記制御装置が、前記原料供給装置からの原料供給量、前記受具の搬送速度、前記受具に積載された原料重量の減量の少なくともいずれかを調整する。
【0011】
本発明の第二の態様では、第一の態様に加え、原料供給装置は、受具に供給される前の単位時間あたりの原料の供給重量を計測し、計測した原料の供給重量を制御装置に送信する原料計測器も有する。第二の態様では、第三工程において、制御装置は、原料計測器の計測値により、原料供給装置、前記原料計測器からの原料供給量をより精密に調整することができる。
【0012】
本発明の第三の態様では、第一の態様に加え、原料供給位置と重量計との間に、制御装置で制御され、受具に積載した原料を掻き取る掻き取り装置を有する。第三の態様では、第三工程において、制御装置は、掻き取り装置を用いて受具に積載された原料を掻き取ることにより、前記受具に積載された原料重量を調整することができる。
【0013】
掻き取り装置は、上下方向に移動可能な掻き取り具を有し、第三工程において、前記制御装置は、前記掻き取り具を上下に移動させることにより、前記受具に積載した原料重量を減らすとともに、前記受具に積載した原料の表面を平滑にすると、より比重が均一な無機質板が得られるので、好ましい。
【0014】
本発明の第四の態様では、第一の態様に加え、原料供給装置の原料の供給側に配置された、単位時間あたりの原料の供給重量を計測し、計測した原料の供給重量を制御装置に送信する原料計測器と、原料供給位置と重量計との間に配置された、前記制御装置で制御され、前記受具に積載した原料を掻き取る掻き取り装置と、前記原料供給位置と前記掻き取り装置との間に配置された、前記受具に積載した原料の高さを計測し、計測した原料の高さを前記制御装置に送信する高さ計測器とを有する。第四の態様においては、制御装置は、重量計での計測値と、管理値と、原料計測器の計測値と、高さ計測器の計測値とに基づき、掻き取り装置による受具に積載した原料重量の掻き取り量を調整する。
【0015】
本発明の第五の態様では、第三の態様に加え、掻き取り装置と重量計との間に、別原料を供給する別の原料供給装置を有し、受具の搬送方向において、前記掻き取り装置よりも下流側に配設された原料供給装置からは、前記掻き取り装置よりも上流側に配設された原料供給装置から供給される原料よりも粒度が細かい原料を前記受具に供給する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、圧力をかける前にマットの重量をより高い精度で調整する無機質板の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0019】
(第一実施形態)
図1は、本発明に係る無機質板の製造方法の第一実施形態を説明した模式図であり、原料タンク101と、原料供給コンベア102と、原料計量器103と、エアー装置104と、受具105と、受具搬送装置106と、重量計107と、制御装置108とを有する。
【0020】
原料タンク101は、ミキサー等で混練された原料を貯留するタンクであり、原料タンク101から原料を下方に排出することができるようになっている。原料タンク101の下方には、原料タンク101から排出された原料を受ける原料供給コンベア102を有する。原料供給コンベア102はベルトコンベアであり、受具105の進行方向に対して下方に傾斜している。第一実施形態においては、原料タンク101と原料供給コンベア102が原料供給装置に相当する。
【0021】
原料計量器103は計量機能を有するベルトコンベアであり、原料供給コンベア102の原料供給側、すなわち、原料供給コンベア102の原料供給位置と受具105との間に配置される。原料計量器103は、一定の時間、原料計量器103のコンベアを停止させ、原料供給コンベア102から供給される原料を原料計量器103のコンベアにためて、一定時間に供給された原料の重量を計測するものであり、それにより、単位時間あたりの原料供給量を算出することができる。計測後、計測値は制御装置108に送信されるとともに、原料計量器103のコンベアを起動させ、原料計量器103に積載された原料は下方に供給される。なお、原料計量器103の単位時間あたりの原料供給量に関する情報S13(単位時間あたりの原料供給量、ベルトコンベアの速度等)は、制御装置108に送信されるようになっているとともに、原料計量器103は制御装置108によりコントロールされるようになっている。
【0022】
受具105は、表面に原料を積載するものであり、表面に凹凸等を備えた型板や、表面が平坦なプレートである。
受具搬送装置106はベルトコンベアであり、原料供給コンベア102の下方に配置されている。そして、受具搬送装置106の上に受具105が配置されている。受具105として型板を用いる場合には、凹凸を備えた面を上にして受具搬送装置106に配置されている。また、受具105は受具搬送装置106の上に複数配置されている。
原料計量器103と受具搬送装置106の間には、原料計量器103から下方に供給した原料に風を送るエアー装置104が配置されている。エアー装置104は、受具105の搬送方向と逆方向に風が吹くよう配置されている。
【0023】
重量計107は、ロードセル等を用いて受具105の重量を測定する装置である。重量計107は、受具105の搬送方向において原料供給位置よりも下流側に配置されている。
制御装置108は、プログラム・ロジック・コントローラーである。プログラム・ロジック・コントローラーとは、入力機器からの情報により、予め決められた条件に従い出力回路をコントロールする装置であり、
図1においては、後述する管理値と重量計107からの情報に基づいて、原料タンク101、原料供給コンベア102、原料計量器103と受具搬送装置106をコントロールするようになっている。なお、制御装置108には、原料タンク101の単位時間あたりの原料排出量に関する情報S11(単位時間あたりの原料排出量、排出口の大きさ等)、原料供給コンベア102からは単位時間あたりの原料散布量に関する情報S12(ベルトコンベアの速度等)、原料計量器103からは単位時間あたりの原料散布量に関する情報S13(単位時間あたりの原料散布量、ベルトコンベアの速度等)、受具搬送装置106からは受具の走行速度に関する情報S14(受具の走行速度、ベルトコンベアの速度等)が送られるようになっている。
【0024】
また、制御装置108には、予め管理値が入力又は送信されて記憶されている。管理値は、受具105に積載する原料重量であり、例えば、パーソナルコンピュータを用いて、前記管理値の入力と、制御装置108への送信を行う。管理値は受具105に積載する原料重量の目標値であり、一定の数値範囲を入力しても良い。
【0025】
以上の構成に基づいて、本実施形態による無機質板の製造工程を説明する。
【0026】
まず、第一工程として、原料供給コンベア102から原料を供給し、受具搬送装置106の上を走行している受具105に原料を積載し、マットを形成する。マットとは圧力をかける前の受具に積載された原料のことをいう。詳しくは、原料タンク101から原料供給ベルト102に原料が供給され、原料供給コンベア102は原料タンク101から供給された原料を下方に搬送する。
図1の矢印Xは原料の搬送方向を示している。原料供給コンベア102から原料計量器103に原料が供給され、原料計量器103で原料重量を計測する。その後、原料計量器103から原料を下方に供給する。
原料計量器103の下方では、受具105が、受具搬送装置106により重量計107に向かって搬送される。
図1の矢印Yは、受具105の進行方向を示している。そして、原料計量器103から下方に供給された原料に、エアー装置104から風を送り、細かい原料ほど受具105の進行方向と逆方向に飛ばす。これにより、細かい原料ほど受具105の下側に積載されたマットが形成される。このように形成されたマットを積載した受具105が、受具搬送装置106により重量計107に送られる。
【0027】
第二工程では、受具105の重量(マット重量を含む)を重量計107で計測し、計測された値S14を制御装置108に送信する。
【0028】
第三工程では、重量計107で計測された受具105の重量(マット重量を含む)と、前述した管理値に基づき、制御装置108が、調整が必要な原料量を算出し、調整が必要な場合には、原料タンク101からの単位時間あたりの原料排出量の調整S51、原料供給コンベア102のコンベア速度の調整S52、原料計量器103のコンベア速度の調整S53、受具搬送装置106のコンベア速度の調整S54の少なくともいずれかを行う。詳しくは、まず制御装置108において、下式1に基づき、時間あたりの調整が必要な原料重量を算出する。
【0029】
[式1]
時間あたりの調整が必要な原料重量=((A)−((B)−(C)))×D÷E
なお、式1において、アルファベットは以下の値を示す。
A:管理値
B:重量計107で計測された受具105の重量S15
C:マットを積載していない状態の受具105の重量
D:受具105の走行速度S14
E:受具105の長さ
【0030】
次に、時間あたりの調整が必要な原料量が得られるよう、制御装置108が、原料タンク101からの単位時間あたりの原料排出量の調整S51、原料供給コンベア102のコンベア速度の調整S52、原料計量器103のコンベア速度の調整S53、受具搬送装置106のコンベア速度の調整S54の少なくともいずれかを調整する。詳しくは、時間あたりの調整が必要な原料量がマイナスの場合には、制御装置108から、原料タンク101の単位時間あたりの原料排出量アップ、原料供給コンベア102のコンベア速度アップ、原料計量器103のコンベア速度アップ、受具搬送装置106のコンベア速度ダウンの少なくともいずれかの信号が発せられ、次に生産されるマットにおいて、時間あたりの調整が必要な原料量が得られるよう調整される。時間あたりの調整が必要な原料量がプラスの場合には、制御装置108から、原料タンク101の単位時間あたりの原料排出量ダウン、原料供給コンベア102のコンベア速度ダウン、原料計量器103のコンベア速度ダウン、受具搬送装置106のコンベア速度アップの少なくともいずれかの信号が発せられ、次に生産されるマットにおいて、時間あたりの調整が必要な原料量が得られるよう調整される。第三工程において、算出された原料重量が管理値と同じ場合には、制御装置108による調整は行われない。
【0031】
以上、
図1に示した第一実施形態によれば、重量計107で計測された値に基づき、次に生産されるマットの重量を調整できる。そのため、圧力をかける前にマットの重量をより高い精度で調整することができる。特に、原料計量器103により単位時間あたりの原料散布量を把握しながら原料散布量を調整することにより、精度の高いマット重量の調整を行うことができる。
【0032】
(第二実施形態)
図2は、本発明に係る無機質板の製造方法の第二実施形態を説明した模式図であり、高さ計測器109、111と、掻き取り装置110を有する点が第一実施形態と異なる。
高さ計測器109、111は、レーザーセンサーや物理的に接触させるセンサー等で通過する物の高さを計測する装置であり、受具搬送装置106の上で、かつ、原料計量器103からの原料供給位置と重量計107との間に配置されている。高さ計測器109、111で計測した値は制御装置108に送信されるようになっている。
【0033】
掻き取り装置110は、上下方向に移動可能な掻き取り具を有する装置である。掻き取り装置110は、受具搬送装置106の上方で、かつ、高さ計測器109、111の間に配置されている。
図3に、掻き取り装置110の模式図を示す。掻き取り装置110は、掻き取り具であるブラッシングロール1101と、ブラッシングロールを垂直方向に上下動可能とする、駆動装置1102とからなる。駆動装置1102は、公知のアクチュエータ等であり、ブラッシングロール1101は駆動装置1102に接続されている。本実施形態においては、ブラッシングロール1101は受具105の進行方向とは逆方向に回転しており、ブラッシングロール1101を受具105に積載された原料に接触させることにより、原料を掻き取ることができるとともに、受具105に積載された原料の表面を平滑にすることができるようになっている。掻き取り装置110は、制御装置108によりブラッシングロール1101の位置がコントロールされるようになっているとともに、制御装置108にブラッシングロール1101の高さ情報S17をフィードバックできるようになっている。具体的には、制御装置108は、アクチュエータを作動させることにより、ブラッシングロール1101を上下させ、受具105に積載された原料の掻き取り量を調整することができるようになっている。
【0034】
管理値については第一実施形態と同じである。
【0035】
以上の構成に基づいて、本実施形態による無機質板の製造工程を説明する。
【0036】
第一工程では、第一実施形態と同様に、原料タンク101、原料供給コンベア102から原料を供給し、原料計量器103を経由して、受具搬送装置106の上を搬送されている受具105に原料を積載する。マットを積載した受具105が、受具搬送装置106により重量計107に送られることも第一実施形態と同じだが、搬送される受具105は、高さ計測器109、111の下を通過する際に高さが計測される。高さ計測器109、111で計測した値S16、S18は、制御装置108に送信される。
【0037】
第二工程は第一実施形態と同じであり、受具105の重量(マット重量を含む)を重量計107で計測し、計測された値S15を制御装置108に送信される。
【0038】
第三工程では、重量計107で計測された受具105の重量(マット重量を含む)と、前述した管理値と、高さ計測器109での高さに基づき、制御装置108が、調整が必要な原料供給量を算出し、調整が必要な場合には、原料タンク101からの単位時間あたりの原料排出量の調整S51、原料供給コンベア102のコンベア速度の調整S52、原料計量器103のコンベア速度の調整S53、受具搬送装置106のコンベア速度の調整S54、掻き取り装置110のブラッシングロール1101の高さの調整S55の少なくともいずれかを行う。原料タンク101からの単位時間あたりの原料排出量、原料供給コンベア102のコンベア速度、原料計量器103のコンベア速度、受具搬送装置106のコンベア速度については、第一実施形態と同じである。掻き取り装置110のブラッシングロール1101の高さを調整する場合には、下式2に基づき、ブラッシングロール1101の高さを算出する。
【0039】
[式2]
平滑装置110のブラッシングロール1101の高さ=((A)−((B)−(C)))×(F)÷(G)+H
なお、式2において、アルファベットは以下の値を示す。
A:管理値
B:重量計107で計測された受具105の重量S15
C:マットを積載していない状態の受具105の重量
F:高さ計測器109の高さS16
G:原料計量器103の受具105への原料供給量S13
H:受具105の厚み
【0040】
式2で算出された値に基づき、制御装置108が、アクチュエータ1102を作動させ、ブラッシングロール1101の高さを上下に調整する。調整されたブラッシングロール1101により、受具105上のマットの掻き取りが変化し、マット高さが調整されることにより、マット重量も調整される。また、ブラッシングロール1101によりマットの表面は平滑となる。
【0041】
以上、
図2に示した第二実施形態によれば、重量計107で計測された値に基づき、次に生産されるマットの重量を調整できるので、圧力をかける前にマットの重量をより高い精度で調整することができる。特に、掻き取り装置110の掻き取り具の高さを調整することにより、簡易に精度の高いマット重量の調整を行うことができ、管理がし易く、生産量も安定する。また、掻き取り装置110によりマットの表面は平滑となり、マットの嵩比重も安定する。更に第二実施形態では、高さ計測器111により、マットが所望の高さに調整できているか、マットの表面が平滑であるかを確認することができる。
【0042】
(第三実施形態)
図4は、本発明に係る無機質板の製造方法の第三実施形態を説明した模式図であり、高さ計測器111と重量計107との間に別の原料供給装置を設け、原料を散布することが第二実施形態と異なる。すなわち、第三実施形態では原料の散布を2回行う。
【0043】
第三実施形態では、第二実施形態の装置に加え、高さ計測器111と重量計107との間に、別の原料タンク201、原料供給コンベア202、原料計量器203、エアー装置204を準備する。原料タンク201、原料供給コンベア202、原料計量器203、エアー装置204は、矢印Zの方向に原料が流れるよう配置する。詳しくは、受具105の進行方向と逆方向に原料が流れるよう、受具105の進行方向からみて、エアー装置204、原料計量器203、原料供給コンベア202、原料タンク201の順で配置されている。原料タンク201、原料供給コンベア202、原料計量器203、エアー装置204は、配置以外は、前述した原料タンク、原料供給コンベア、原料計量器、エアー装置と同じである。
【0044】
管理値については第二実施形態と同じである。
【0045】
第一工程では、第二実施形態と同様に、原料供給コンベア102から原料を供給し、原料計量器103を経由して、受具搬送装置106の上を走行している受具105に原料を積載する。マットを積載し、搬送される受具105は、高さ計測器109、111の下を通過する際に高さが計測される。高さ計測器109、111で計測した値S16、S18は、制御装置108に送信する。その後、原料供給ベルト202から別の原料(原料供給コンベア102から供給した原料よりも粒度が細かい原料)を散布し、原料計量器203を経由して、受具搬送装置106の上を走行している受具105に更に原料を積載する。なお、原料供給コンベア202から供給された原料には、エアー装置204から風を送り、細かい原料ほど受具105の進行方向に飛ばす。これにより、エアー装置204よりも下流以降では、細かい原料ほど受具105の上側に積載されたマットが形成される。すなわち、第三実施形態では、原料タンク101、原料供給コンベア102、原料計量器103、エアー装置104により、受具105の上には細かい原料ほど下側に積載され、その上に、原料タンク201、原料供給コンベア202、原料計量器203、エアー装置204により、細かい原料ほど上側に積載されて、マットが形成される。
【0046】
第二工程は第三実施形態と同じであり、受具105の重量(マット重量を含む)を重量計107で計測し、計測された値S15を制御装置108に送信する。
【0047】
第三工程では、重量計107で計測された受具105の重量(マット重量を含む)と、管理値と、高さ計測器109での高さに基づき、制御装置108が、調整が必要な原料供給量を算出し、調整が必要な場合には、原料タンク101からの単位時間あたりの原料排出量の調整S51、原料供給コンベア102のコンベア速度の調整S52、原料計量器103のコンベア速度の調整S53、受具搬送装置106のコンベア速度の調整S54、掻き取り装置110の掻き取り具の高さの調整S55、原料タンク201からの単位時間あたりの原料排出量の調整S61、原料供給コンベア202のコンベア速度の調整S62、原料計量器203のコンベア速度の調整S63の少なくともいずれかを行う。詳しくは、制御装置108において、上式1に基づき、時間あたりの調整が必要な原料量を算出し、時間あたりの調整が必要な原料量が得られるよう、制御装置108が、原料タンク101、201からの単位時間あたりの原料排出量、原料供給コンベア102、202のコンベア速度、原料計量器103、203のコンベア速度、受具搬送装置106のコンベア速度、掻き取り装置110の掻き取り具の高さの少なくともいずれかを調整する。原料タンク101、201からの単位時間あたりの原料排出量、原料供給コンベア102、202のコンベア速度、原料計量器103、203のコンベア速度、受具搬送装置106のコンベア速度については、第二実施形態と同じである。掻き取り装置110についても、上式2に基づいて掻き取り装置110の掻き取り具の高さを算出し、第二実施形態と同様に行う。
【0048】
以上、
図4に示した第三実施形態によれば、重量計107で計測された値に基づき、次に生産されるマットの重量を調整できるので、圧力をかける前にマットの重量をより高い精度で調整することができる。特に、原料の散布を2回行うので、緻密な表裏層を備えた複層構造のマット重量の調整を行うことができる。
なお、第三実施形態において、マットの重量の調整を、掻き取り装置110の掻き取り具の高さ調整を主に行うと、先に供給される粗い原料の量でマット重量を調整することが可能となる。そうすると、表面形状、吸水率などに影響が大きい細かい原料量を調整しなくて良いので、得られる無機質板の物性はより変動しにくくなり、好ましい。
【0049】
(第四実施形態)
図5は、本発明に係る無機質板の製造方法の第四実施形態を説明した模式図であり、原料計量器103を有しない点が第一実施形態と異なる。
【0050】
管理値については第一実施形態と同じである。また、第一工程についても、原料計量器103を経由せず、原料供給コンベア102から、受具搬送装置106の上を走行している受具105に直接原料を供給し、マットを形成すること以外は第一実施形態と同じである。第二工程については、第一実施形態と同じである。
【0051】
第三工程では、重量計107で計測された受具105の重量(マット重量を含む)と、前述した管理値に基づき、制御装置108が、原料タンク101からの単位時間あたりの原料排出量の調整S51、原料供給コンベア102のコンベア速度の調整S52、受具搬送装置106のコンベア速度の調整S54の少なくともいずれかを行うか否かを判断する。詳しくは、制御装置108にて、重量計107で計測された受具105の重量からマットを積載していない状態の受具105の重量を減算してマット重量を算出し、算出されたマット重量と管理値を比較し、算出された原料重量が管理値より小さい場合には、制御装置108が、原料タンク101からの単位時間あたりの原料排出量アップ、原料供給コンベア102のコンベア速度アップ、受具搬送装置106のコンベア速度ダウンの少なくともいずれかの信号を発し、次に生産されるマット重量を調整する。算出された原料重量が管理値より大きい場合には、制御装置108が、原料タンク101からの単位時間あたりの原料排出量ダウン、原料供給コンベア102のコンベア速度ダウン、受具搬送装置106のコンベア速度アップの少なくともいずれかの信号を発し、次に生産されるマット重量を調整する。調整は、算出された原料重量が管理値と同じになるまで行う。一般には、複数の受具105が受具搬送装置106の上を走行しているので、第三工程まで行われた受具は重量計107よりも後の工程に搬送され、次に原料散布位置に搬送される別の受具105に制御装置108による調整が行われる。第三工程において、算出された原料重量が管理値と同じ場合には、制御装置108による調整は行われない。
【0052】
以上、
図5に示した第四実施形態によれば、重量計107で計測された値に基づき、次に生産されるマットの重量を調整できる。そのため、圧力をかける前にマットの重量をより高い精度で調整することができる。
【0053】
次に、第一実施形態から第四実施形態を行った実験データをあげる。
【0054】
セメントを30〜40重量%、硅石粉と石炭灰を所定比率で混合し、硅酸質分とした粉体を35〜40重量%、骨材分を5〜15%、所定の粒度に調整し、フレーク状にした木繊維を8〜15重量%、添加水を固形分対比30〜45重量%、硬化促進剤を所定量添加し、混合して、無機質板の原料とした。そして、得られた原料を用いて、
図4において制御装置による調整を行わない製造方法を行い、例1とした。また、
図1、2、4、5の製造方法も行い、それぞれ例2〜5とした。各例について、約1000枚マットを製造し、重量計107でのマット重量を測定した。結果を表1に示す。
【0056】
表1において、「重量計でのマット重量値の平均」は、例1でのマット重量値の平均対比で示しており、マット重量値の平均が、例1での平均と1割以上異なる場合は「変化あり」とし、それ以外は「変化なし」とした。「計測されたマットが管理値を外れた発生率」は、重量計107で計測されたマットが管理値を外れた発生率であり、例1での発生率対比で示している。なお、管理値は範囲を設けてある。「標準偏差」は、重量計107で計測されたマットの標準偏差であり、例1の標準偏差対比で示している。
【0057】
例2〜5において、「重量計でのマット重量値の平均」は、いずれも「変化なし」であったが、「計測されたマットが管理値を外れた発生率」は、いずれも例1と比べて発生率が大きく減少していた。また、例2〜5のいずれの「標準偏差」も例1よりも低減していた。
【0058】
以上、本発明の実施形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。例えば、原料供給コンベアとしてベルトコンベアを説明したが、ベルトコンベアに代えて篩シートを上下に振動自在な振動篩装置を用いても良い。また、
図4において、原料供給コンベア102、原料計量器103よりも上流側に、更に別の原料供給装置を設け、原料の供給を3回行っても良い。