特許第6682332号(P6682332)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682332
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】橋梁撤去方法
(51)【国際特許分類】
   E01D 24/00 20060101AFI20200406BHJP
【FI】
   E01D24/00
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-82473(P2016-82473)
(22)【出願日】2016年4月15日
(65)【公開番号】特開2017-190653(P2017-190653A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2019年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】398040642
【氏名又は名称】ジェイアール東海コンサルタンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 伸友
(72)【発明者】
【氏名】美坂 克巳
(72)【発明者】
【氏名】森 寛典
【審査官】 富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−223204(JP,A)
【文献】 特許第5237710(JP,B2)
【文献】 特開2003−313821(JP,A)
【文献】 特開2004−232426(JP,A)
【文献】 特開平09−053207(JP,A)
【文献】 特開2006−028734(JP,A)
【文献】 特開2001−098512(JP,A)
【文献】 米国特許第05960502(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0265274(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00−24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立して高さ調整可能な走行輪を複数有する多軸台車と、
撤去橋桁を吊り下げ可能な工事桁と、
工事桁及び撤去橋桁をジャッキアップ可能な扛重装置と、を有し、
前記工事桁は、前記多軸台車の上に保持される前記扛重装置で支持され、
前記多軸台車で、前記工事桁を撤去橋桁の上空まで搬送し、
前記工事桁と前記撤去橋桁を鋼棒で繋ぎ、前記工事桁にて前記撤去橋桁を保持し、
前記扛重装置で、前記工事桁をジャッキアップし、
前記多軸台車を移動する事で、前記撤去橋桁を設置場所から移動させること、
複数の前記多軸台車は、第1多軸台車及び第2多軸台車を含み、
前記第1多軸台車と前記第2多軸台車とで一端側を保持される前記工事桁は、他端を仮受台に預けて支持され、
前記第2多軸台車を前記仮受台のある位置に移動し、前記他端を前記仮受台から前記第2多軸台車に預け、
前記第1多軸台車と前記第2多軸台車にそれぞれ備えられる扛重装置で、前記工事桁をジャッキアップすることで、
前記工事桁に保持させた前記撤去橋桁を吊り上げ、
前記第1多軸台車と前記第2多軸台車によって前記撤去橋桁を移動させることで、前記撤去橋桁を設置場所から移動させること、
を特徴とする橋梁撤去方法。
【請求項2】
独立して高さ調整可能な走行輪を複数有する多軸台車と、
撤去橋桁を吊り下げ可能な工事桁と、
工事桁及び撤去橋桁をジャッキアップ可能な扛重装置と、を有し、
前記工事桁は、前記多軸台車の上に保持される前記扛重装置で支持され、
前記多軸台車で、前記工事桁を撤去橋桁の上空まで搬送し、
前記工事桁と前記撤去橋桁を鋼棒で繋ぎ、前記工事桁にて前記撤去橋桁を保持し、
前記扛重装置で、前記工事桁をジャッキアップし、
前記多軸台車を移動する事で、前記撤去橋桁を設置場所から移動させること、
複数の前記多軸台車は、第1多軸台車と第2多軸台車及び第3多軸台車を含み、
前記第1多軸台車と前記第2多軸台車とで一端側を保持される前記工事桁は、他端を仮受台に預けて支持され、
前記他端を前記仮受台から前記第3多軸台車に預け、
前記第2多軸台車と前記第3多軸台車にそれぞれ備えられる扛重装置で、前記工事桁をジャッキアップすることで、
前記工事桁に保持させた前記撤去橋桁を吊り上げ、
前記第2多軸台車と前記第3多軸台車によって前記撤去橋桁を移動させることで、前記撤去橋桁を設置場所から移動させること、
を特徴とする橋梁撤去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線路の上に架かる跨線橋梁または道路の上に架かる跨道橋梁等の橋梁を撤去するための技術に関し、詳しくは大型搬送用車両を用いての橋梁撤去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インフラの老朽化に伴って橋梁設備などの更新を行う機会が増えている。線路上に設けられた橋梁も撤去対象になっているが、基幹道路など交通量の多い場所に用いられている橋梁の場合、撤去作業は迅速に行う必要がある。
【0003】
特許文献1には、橋桁の架替工法に関する技術が開示されている。作業ヤードで組立てられた新桁をレールと油圧ジャッキ搭載の自走台車により橋軸方向に移動させて旧桁上に搬入する。そして、仮受けサンドルと油圧ジャッキからなる仮受け材で支持し、新桁に設置した吊り降ろし装置で旧桁を吊り下げ支持する。この状態で旧桁を吊り降ろし装置により運搬台車上に降下させて撤去し、新桁を降下させて架設位置に架設する。架替工法にこの様な構成をとることで、横取り用の作業構台が設置出来ない場合や桁下空間利用制限などの条件がある場合でも架替工事を可能としている。
【0004】
特許文献2には、既設橋梁の撤去方法及び既設橋梁の更新方法についての技術が開示されている。既設橋桁の上に跨線道のスペースを利用してエレクションガーダー等の架設桁を送り出して配置し、既設橋桁の軸方向に所定のピッチで配置された仮吊り梁及び吊鋼棒を介して既設橋桁を架設桁に支持させる。そして、既設橋桁を隣り合う一対の仮吊り梁に含むように複数の桁ブロックに切断し、桁ブロックの一対の仮吊り梁に下部吊り金具を嵌合させて移動吊り装置により個別に吊り下げる。そして、吊鋼棒の架設桁の側の連結を解除して、跨線道または車両走行路などに待機する車両に積み込んで撤去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−052306号公報
【特許文献2】特開2014−66007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、橋桁の下に搬送用のユニットキャリアが入ることが出来ることが前提である上、新桁を搬送するにはレール上を搬送出来る油圧ジャッキ搭載の自走台車が用いられており、こうした複数の設備が運用出来る条件でないと、適用ができないと考えられる。一方、特許文献2では跨線道の既設橋桁を撤去可能だが、長大な架設桁を設置した上で移動吊り装置を運用可能に調整しなければならず、かなり大掛かりな撤去準備を必要とする。こうした事情は跨道橋でも同じだと考えられる。跨線道・跨道橋などが主要道路になっている場合には、こうした大掛かりな設備を構築するには色々制限が多く、場合によっては長期間道路を通行止めにする必要がある。
【0007】
そこで、本発明はこの様な課題を解決するために、短期間で橋梁を撤去可能とする橋梁撤去方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の一態様による橋梁撤去方法は、以下のような特徴を有する。
【0009】
(1)独立して高さ調整可能な走行輪を複数有する多軸台車と、撤去橋桁を吊り下げ可能な工事桁と、工事桁及び撤去橋桁をジャッキアップ可能な扛重装置と、を有し、前記工事桁は、前記多軸台車の上に保持される前記扛重装置で支持され、前記多軸台車で、前記工事桁を撤去橋桁の上空まで搬送し、前記工事桁と前記撤去橋桁を鋼棒で繋ぎ、前記工事桁にて前記撤去橋桁を保持し、前記扛重装置で、前記工事桁をジャッキアップし、前記多軸台車を移動する事で、前記撤去橋桁を設置場所から移動させること、を特徴とする。
【0010】
上記(1)に記載の態様によれば、跨線道を多軸台車で移動して、多軸台車に支持された工事桁を用いて撤去橋桁を撤去させることができる。このため、撤去橋桁を吊り上げるための構造物を跨線道に設置する必要が無くなり、短期間で撤去橋桁の撤去が可能となる。これは、多軸台車に独立して高さが調整可能な走行輪を複数備えることで不整地であっても工事桁の水平を出す事が容易である上に、多軸台車に備えた扛重装置によって撤去橋桁をジャッキアップすることができる為である。この為、事前に跨線道に構造物を設置しなくとも、工事桁を利用して撤去橋桁を撤去可能となり、工期の短縮に貢献することができる。
【0011】
(2)(1)に記載の橋梁撤去方法において、複数の前記多軸台車は、第1多軸台車と第2多軸台車及び第3多軸台車を含み、前記第1多軸台車と前記第2多軸台車とで一端側を保持される前記工事桁は、他端を仮受台に預けて支持され、前記他端を前記仮受台から前記第3多軸台車に預け、前記第2多軸台車と前記第3多軸台車にそれぞれ備えられる扛重装置で、前記工事桁をジャッキアップすることで、前記工事桁に保持させた前記撤去橋桁を吊り上げ、前記第2多軸台車と前記第3多軸台車によって前記撤去橋桁を移動させることで、前記撤去橋桁を設置場所から移動させること、が好ましい。この態様により、撤去を予定している橋梁の上を輸送車両が通過できないような場合でも、工事桁の撤去が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の、撤去対象となる橋梁の側面図である。
図2】本実施形態の、跨線道の平面図である。
図3】本実施形態の、撤去橋桁の「撤去手順P1」の側面図である。
図4】本実施形態の、撤去橋桁の「撤去手順P2」の側面図である。
図5】本実施形態の、撤去橋桁の「撤去手順P3」の側面図である。
図6】本実施形態の、撤去橋桁の「撤去手順P4」の側面図である。
図7】本実施形態の、撤去橋桁の「撤去手順P5」の側面図である。
図8】本実施形態の、撤去橋桁の「撤去手順P6」の側面図である。
図9】本実施形態の、撤去橋桁の「撤去手順P7」の側面図である。
図10】本実施形態の、撤去橋桁の「撤去手順P8」の側面図である。
図11】本実施形態の、撤去橋桁の「撤去手順P9」の側面図である。
図12】本実施形態の、撤去橋桁の「撤去手順P10」の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明の実施形態について図面を用いて説明を行う。図1に、本実施形態の撤去対象となる橋梁の側面図を示す。図2に、跨線道の様子を平面図に示す。なお、図2は車両を割愛している。複線の軌道20を跨ぐようにして跨線道50が設けられる場合、軌道20上には橋梁51が設けられる。そして、老朽化して撤去が必要な橋梁51の桁(以下、撤去橋桁10とする)は、跨線道50の途中に設けられている。本実施形態では便宜上、跨線道50を、撤去橋桁10を挟んで第1道路50Aと第2道路50Bとして呼び分けている。この撤去橋桁10を、多軸台車に相当する第1ユニットキャリア101等を使って撤去する。次に、撤去橋桁10の撤去手順について説明する。
【0014】
図3に、撤去橋桁10の「撤去手順P1」を側面図として示す。第1ユニットキャリア101は、いわゆるユニットキャリアと呼ばれる大型自走キャリアであり複数の駆動軸と制動軸を有する。各軸はそれぞれ高さ調節機構を備えており、それぞれ高さの微調整が可能である。第2ユニットキャリア102及び後述の第3ユニットキャリア103も第1ユニットキャリア101と同等の機能を備えている。第1ユニットキャリア101乃至第3ユニットキャリア103は、協調制御が可能であるために複数揃えて運用することで、撤去橋桁10のような重量物を搬送することが可能である。
【0015】
第1ユニットキャリア101には、扛重装置(ジャッキ)に相当する第1ユニットジャッキ106が備えられている。第2ユニットキャリア102には第2ユニットジャッキ107が備えられている。第3ユニットキャリア103には第3ユニットジャッキ108が備えられている。そして、「撤去手順P1」として、第1ユニットキャリア101及び第2ユニットキャリア102は、工事桁120を搬送して撤去橋桁10の手前まで跨線道50を移動する。第1ユニットキャリア101の端部から第1道路50Aの端までの領域がバックヤードとして設定される。
【0016】
工事桁120は撤去橋桁10の撤去に用いる桁であり、一端にはカウンタウェイト130を配置している。これは、撤去橋桁10を第1道路50A側からアクセスして撤去する為、工事桁120を第2ユニットキャリア102よりも撤去橋桁10の長さ以上に張り出させる必要があるからである。そして、その重量バランスを改善する為にカウンタウェイト130が配置されている。仮受台150は第2道路50B側に配置されており、工事桁120の一端を支持するのに用いられる。
【0017】
図4に、撤去橋桁10の「撤去手順P2」を側面図として示す。「撤去手順P2」として、第1ユニットキャリア101及び第2ユニットキャリア102を移動させて、仮受台150に工事桁120の他端を預ける。第1ユニットキャリア101及び第2ユニットキャリア102には第1ユニットジャッキ106及び第2ユニットジャッキ107が備えられている。第1ユニットジャッキ106及び第2ユニットジャッキ107の高さを調整することで工事桁120の他端を仮受台150に保持させることができる。
【0018】
図5に、撤去橋桁10の「撤去手順P3」を側面図として示す。「撤去手順P3」として、仮受台150に他端を預けた状態で、工事桁120の先端に延長桁120Aを取付けて延長する。以降は、特に説明しない限り、工事桁120は延長桁120Aを含むものとする。なお、この手順はバックヤードとして設定される領域を短くすることや、カウンタウェイト130の重さを緩和する為の措置であるので、最初から工事桁120が延長された長さのものであっても良い。
【0019】
図6に、撤去橋桁10の「撤去手順P4」を側面図として示す。「撤去手順P4」として、第2道路50Bに第3ユニットキャリア103を向かわせて、工事桁120の先端に取付けた延長桁120Aの下部を支持する。この際、第3ユニットキャリア103を第2道路50Bの端から離れた位置に、第2ユニットキャリア102を第1道路50Aの端の直近に配置する。なお、このケースは、第2ユニットキャリア102が撤去橋桁10を渡らない想定で説明されるが、第2ユニットキャリア102が撤去橋桁10を渡ることができる場合には、第3ユニットキャリア103を用いずとも撤去橋桁10の撤去作業が可能である。
【0020】
図7に、撤去橋桁10の「撤去手順P5」を側面図として示す。「撤去手順P5」として、カウンタウェイト130を撤去し、第1ユニットキャリア101を移動させた後、工事桁120を第2ユニットキャリア102及び第3ユニットキャリア103で支えた状態で、吊鋼棒125(PC鋼棒等を用いることを想定している)を降下させる。工事桁120にはCH型ジャッキ126が設けられ、吊鋼棒125がCH型ジャッキ126によって保持されている。つまり、吊鋼棒125は、工事桁120に対してCH型ジャッキ126によって昇降可能に保持されている。工事桁120に4セットの吊鋼棒125及びCH型ジャッキ126が備えられ、撤去橋桁10の両端に固定すべく吊鋼棒125を必要な長さだけ降下させる。
【0021】
図8に、撤去橋桁10の「撤去手順P6」を側面図として示す。「撤去手順P6」として、第2ユニットキャリア102及び第3ユニットキャリア103を用いて撤去橋桁10を吊り上げる。撤去橋桁10の両端に吊鋼棒125が固定された状態で、第2ユニットキャリア102及び第3ユニットキャリア103の上に備えられた第2ユニットジャッキ107及び第3ユニットジャッキ108をジャッキアップする。そうすることで、工事桁120に撤去橋桁10が吊られた状態とする。その状態で、第2ユニットキャリア102及び第3ユニットキャリア103を協調制御しながら移動させ、工事桁120に吊り下げられた撤去橋桁10を移動させる。
【0022】
図9に、撤去橋桁10の「撤去手順P7」を側面図として示す。「撤去手順P7」として、工事桁120に吊られた状態の撤去橋桁10を、第1道路50A側に移動させた状態で、第2ユニットジャッキ107及び第3ユニットジャッキ108をジャッキダウンして、撤去橋桁10を第1道路50Aの上に下ろす。
【0023】
図10に、撤去橋桁10の「撤去手順P8」を側面図として示す。「撤去手順P8」として、第1道路50Aの上に設置された2つの仮受台46(必要に応じてそれ以上としても良い)の上に、撤去橋桁10を下ろした状態で、吊鋼棒125と撤去橋桁10の固定を解除して、吊鋼棒125をCH型ジャッキ126によってジャッキアップする。この段階で、撤去橋桁10の上に配置された送り装置45で工事桁120の下面を支持する形にする。
【0024】
図11に、撤去橋桁10の「撤去手順P9」を側面図として示す。「撤去手順P9」として、まず、不要となった第3ユニットキャリア103を移動させる。そして、第2ユニットキャリア102によって工事桁120の移動をさせる。工事桁120は図11に示される様な第2ユニットキャリア102に一端を、撤去橋桁10の上に設置された送り装置45によって他端を支持されている状態とするように第2ユニットキャリア102を移動させる。
【0025】
図12に、撤去橋桁10の「撤去手順P10」を側面図として示す。「撤去手順P10」として、工事桁120を撤去する。工事桁120は分解可能な構成とされているので、図12では一部が送り装置45に支えられて撤去橋桁10の上に配置されている様子となっている。その後、撤去橋桁10及び工事桁120を撤去する。こうして、撤去橋桁10の撤去を完了する。その後に、新たな橋桁を用意して設置工事を行うが、その手順に関してはここでは割愛する。
【0026】
本実施形態の橋梁撤去方法を用いることで、以下に説明するような作用及び効果を奏する。
【0027】
本実施形態の橋梁撤去方法により、撤去橋桁10の撤去における作業期間の短縮を図ることが可能である。これは、本実施形態の橋梁撤去方法が、独立して高さ調整可能な走行輪を複数有するユニットキャリアである第1ユニットキャリア101乃至第3ユニットキャリア103と、撤去橋桁10を吊り下げ可能な工事桁120と、工事桁120及び撤去橋桁10をジャッキアップ可能な扛重装置である第1ユニットジャッキ106、第2ユニットジャッキ107、第3ユニットジャッキ108と、を有し、工事桁120は、多軸台車(第1ユニットキャリア101乃至第3ユニットキャリア103)の上に保持される扛重装置(第1ユニットジャッキ106乃至第3ユニットジャッキ108)で支持され、多軸台車(第1ユニットキャリア101乃至第3ユニットキャリア103のいずれか)で、工事桁120を撤去橋桁10の上空まで搬送し、工事桁120と撤去橋桁10を吊鋼棒125で繋ぎ、工事桁120にて撤去橋桁10を保持し、扛重装置(第1ユニットジャッキ106乃至第3ユニットジャッキ108のいずれか)で、工事桁120をジャッキアップし、多軸台車(第1ユニットキャリア101乃至第3ユニットキャリア103のいずれか)を移動する事で、撤去橋桁10を設置場所から移動させる。
【0028】
また詳しくは、複数の多軸台車は、第1ユニットキャリア101と第2ユニットキャリア102及び第3ユニットキャリア103を含み、第1ユニットキャリア101と第2ユニットキャリア102とで一端側を保持される工事桁120は、他端を仮受台150に預けて支持され、他端を仮受台150から第3ユニットキャリア103に預け、第2ユニットキャリア102に備えられる第2ユニットジャッキ107と、第3ユニットキャリア103に備えられる第3ユニットジャッキ108とで、工事桁120をジャッキアップすることで、工事桁120に保持させた撤去橋桁10を吊り上げ、第2ユニットキャリア102と第3ユニットキャリア103によって撤去橋桁10を移動させることで、撤去橋桁10を設置場所から移動させるものである。
【0029】
これは、特許文献2などで説明されるような、構造物の構築などに必要な工期が短縮できる事に起因する。つまり、事前に撤去橋桁10の周囲に軌道20を跨ぐような大きな構造物を構築する場合には、跨線道50の通行を止めるといったことが必要となるケースが多く、跨線道50が基幹道路であった場合には、長期間の交通止めが必要となって特許文献2に示される様な工法を実施する事は困難である。また、撤去橋桁10を吊り下げるための装置の搬入及び搬出の為に、撤去する橋梁の上面に軌条設備を設置し、搬出後に撤去するなどの方法を用いるケースもあった。
【0030】
一方、本実施形態の撤去橋桁10の撤去方法を用いる場合、第1ユニットキャリア101乃至第3ユニットキャリア103と、それぞれに備えられた第1ユニットジャッキ106乃至第3ユニットジャッキ108。そして、第1ユニットジャッキ106乃至第3ユニットジャッキ108に支持される工事桁120を用いることで、撤去橋桁10を吊り下げるので、事前に大きな構造物を構築する必要が無い。この結果、交通量の少ない夜間に撤去橋桁10の撤去作業を完了することが可能となる。その結果、工事期間の短縮を図ることが可能となる。工期短縮によって、通行止め期間も短縮でき、跨線道50の利用者の利便性を図ることが可能となる。
【0031】
また、跨線道50がカーブしていたり、跨線道50が傾斜していたりするようなケースでも、第1ユニットキャリア101乃至第3ユニットキャリア103の駆動軸や制動軸を含む走行輪にそれぞれ高さ調節機構を備えている為、工事桁120を支持する際に工事桁120の水平を維持することが出来る。この為、安全に撤去橋桁10の撤去が可能となる。
【0032】
以上、本発明に係る橋梁撤去方法の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、本実施形態では、跨線橋を例に挙げて説明しているが、跨道橋であっても同様の事情であるため、本発明の適用が可能である。また、第1ユニットキャリア101乃至第3ユニットキャリア103を用いて工事桁120を搬送しているが、撤去橋桁10をユニットキャリアが通過することが可能であれば第1ユニットキャリア101と第2ユニットキャリア102の2台での撤去が可能である。この場合は、第1ユニットキャリア101と第2ユニットキャリア102とで工事桁120の両端を支持し、仮受台150を利用することなく第2ユニットキャリア102に撤去橋桁10を渡らせて工事桁120を撤去橋桁10の上に配置し、工事桁120で撤去橋桁10を吊り下げると言った方法が考えられる。
【0033】
また、本実施形態では工事桁120に、CH型ジャッキ126が固定されて吊鋼棒125を昇降させているが、工事桁120の上面に移動装置を設け、その移動装置にCH型ジャッキ126を固定して、吊鋼棒125で撤去橋桁10を吊り上げた後に移動装置によって撤去橋桁10を移動させる装置を備えることを妨げない。撤去橋桁10の撤去にあたり、装置のトラブルが起きても確実に撤去が実施できることが必要なので、多重のジャッキアップ方法や移動方法を備える意味でこの様な設備を持つことはメリットとして考えられる。更に、特許文献2に示される様な大型桁を吊り上げた上で分割撤去する場合にも応用が可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 撤去橋桁
20 軌道
45 送り装置
46 仮受台
50 跨線道
51 橋梁
101 第1ユニットキャリア
102 第2ユニットキャリア
103 第3ユニットキャリア
106 第1ユニットジャッキ
107 第2ユニットジャッキ
108 第3ユニットジャッキ
120 工事桁
120A 延長桁
125 吊鋼棒
126 CH型ジャッキ
130 カウンタウェイト
150 仮受台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12