(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示のロック装置では、リッドがヒンジ寄りの位置でロック片により固定されるため、リッドに対しヒンジとは反対側から抉じ開けるような力が加えられた場合には、ロック強度が比較的弱い。そこで、リッドのロック強度を高めるべく、リッドをヒンジから離れたアーム部とは別の位置で固定すること、具体的にはリッドのうち開き動作での回転半径に沿う方向における外側に位置する外端部分を凹部の周壁に固定することが考えられる。
【0006】
しかし、そうした構成を採るために凹部やリッドの外周にロック片或いはその作動機構を引き回して設けると、それらロック片及び作動機構が、リッドやそれを備えたフューエルフィラーボックスアセンブリを車体に組み付ける際に、周辺の構造と接触することで破損したり動作不良を起こしたりするおそれがある。また、それらロック片及び機構を設けるためのスペースが必要になることから、ロック装置の大型化、ひいてはフューエルフィラーボックスアセンブリの大型化を招いてしまう。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ロック装置の破損及び動作不良を防止し、ロック装置の大型化を抑え、開閉体のロック強度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明では、ロック片を開閉体に取り付けてアーム部から離れた位置に至らせるようにした。
【0009】
具体的には、本発明は、ロック機能を有した開閉体付きのハウジングユニットと開閉体のロック装置とを対象とし、以下の解決手段を講じたものである。
【0010】
すなわち、第1の発明は、ハウジングユニットであって、凹部を有するハウジングと
、前記凹部の開口を開閉する開閉体と、前記開閉体を前記凹部の開口を閉塞する閉位置でロックするロック装置と、を備える。
前記開閉体は、裏側に向けて張り出したアーム部を有する。前記アーム部は、前記ハウジングにヒンジを介して連結され、前記凹部の開口を開閉するのに前記ヒンジを中心とする回転動作を伴う。そして、第1の発明は、前記ロック装置が、前記開閉体に対し前記凹部の開口を閉塞する面に沿った姿勢に取り付けられ、先端部が前記アーム部から離れた位置で前記開閉体の外周側に臨み、前記開閉体が閉位置にあるときに前記凹部内
の開口側に位置するロック片と、前記ロック片を前記開閉体の外周側に向けて進退移動させる駆動機構と、前記凹部の周壁に設けら
れ、前記開閉体が閉位置にあるときに
、進行方向へ移動した前記ロック片の先端部を
、前記凹部の深さ方向において前記アーム部の張り出し端よりも前記凹部内の開口側の位置で掛け止め可能なロック片掛止部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、第1の発明のハウジングユニットにおいて、前記開閉体が内部空間を有する構成とされている。そして、第2の発明は、前記ロック片の少なくとも一部が、前記内部空間に収容されていることを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第2の発明のハウジングユニットにおいて、前記開閉体が、閉位置で前記凹部の内側に位置するインナ部材と、閉位置で前記凹部の開口を覆うアウタ部材とを備える構成とされている。そして、第3の発明は、前記インナ部材と前記アウタ部材とが、一体に組み合わせられて、互いの間に前記内部空間を形成していることを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、第2又は第3の発明のハウジングユニットにおいて、前記開閉体の外周面に、前記ロック片の先端部が挿通される挿通孔が設けられた構成を有する。そして、第4の発明は、前記ロック片の全体又は前記ロック片のうち前記挿通孔から前記開閉体の外側に延び出た部分を除く全体が前記内部空間に収容されていることを特徴とする。
【0014】
第5の発明は、第1〜第4の発明のいずれか1つのハウジングユニットにおいて、前記ハウジングの外周部に、前記アーム部が収容されるアーム収容部が、前記凹部から側方に張り出し、前記ロック片掛止部との間に前記凹部を挟む位置に設けられた構成を有する。前記アーム収容部には、当該アーム収容部の張り出し方向と交差し且つ前記凹部の開口面に沿う方向に延びる枢支軸を有するヒンジが設けられている。そして、第5の発明は、前記駆動機構が、前記枢支軸の軸方向における一方側で前記アーム収容部及び前記凹部と隣接する位置に配置されていることを特徴とする。
【0015】
第6の発明は、第1〜第5の発明のいずれか1つのハウジングユニットにおいて、前記ロック片が、前記駆動機構の作動よって第1方向に進退移動する第1ロック片と、前記第1ロック片の進退移動によって前記第1方向と交差する第2方向に進退移動し、前記ロック片掛止部に掛け止められる第2ロック片とによって構成されることを特徴とする。
【0016】
第
7の発明は、
ハウジングユニットであって、凹部を有するハウジングと、前記ハウジングにヒンジを介して連結されたアーム部を有し、前記ヒンジを中心とする回転動作により前記凹部の開口を開閉する開閉体と、前記開閉体を前記凹部の開口を閉塞する閉位置でロックするロック装置と、を備える。前記ロック装置は、前記開閉体に対し前記凹部の開口を閉塞する面に沿った姿勢に取り付けられ、先端部が前記アーム部から離れた位置で前記開閉体の外周側に臨み、前記開閉体が閉位置にあるときに前記凹部内に位置するロック片と、前記ロック片を前記開閉体の外周側に向けて進退移動させる駆動機構と、前記凹部の周壁に設けられた、前記開閉体が閉位置にあるときに進行方向へ移動した前記ロック片の先端部を掛け止め可能なロック片掛止部と、を備える。
【0017】
第7の発明のハウジングユニットにおいて、前記駆動機構は、前記アーム部の幅方向における側方位置から前記ロック片に臨む作動片と、該作動片を前記ロック片に向けて進退移動させる駆動源と、を備える。前記アーム部は、前記開閉体が閉位置にあるときに前記作動片を挿通させて掛け止め可能な掛止孔を有する作動片掛止部と、前記開閉体が閉位置以外の開位置にあるときに前記作動片の進行方向への移動を規制するロック規制部と、を備える。そして、第
7の発明は、前記ロック片が、前記掛止孔に挿通された前記作動片と当接し、前記作動片の当接状態での進退移動に連動して該作動片の移動方向と交差する方向に進退移動することを特徴とする。
【0018】
第
8の発明は、
第7の発明のハウジングユニットにおいて、前記ロック片が、
前記掛止孔に挿通された前記作動片と当接し、前記作動片の当接状態での進退移動に連動して該作動片の移動方向と交差する第1方向に進退移動する第1ロック片と、該第1ロック片の進退移動によって前記第1方向と交差する第2方向に進退移動
し、前記ロック片掛止部に掛け止められる第2ロック片と
によって構成されることを特徴とする。
【0019】
第
9の発明は、
ハウジングユニットであって、凹部を有するハウジングと、前記ハウジングにヒンジを介して連結されたアーム部を有し、前記ヒンジを中心とする回転動作により前記凹部の開口を開閉する開閉体と、前記開閉体を前記凹部の開口を閉塞する閉位置でロックするロック装置と、を備える。前記ロック装置は、前記開閉体に対し前記凹部の開口を閉塞する面に沿った姿勢に取り付けられ、先端部が前記アーム部から離れた位置で前記開閉体の外周側に臨み、前記開閉体が閉位置にあるときに前記凹部内に位置するロック片と、前記ロック片を前記開閉体の外周側に向けて進退移動させる駆動機構と、前記凹部の周壁に設けられた、前記開閉体が閉位置にあるときに進行方向へ移動した前記ロック片の先端部を掛け止め可能なロック片掛止部と、を備える。
【0020】
第9の発明のハウジングユニットにおいて、前記駆動機構は、前記アーム部の幅方向における側方位置から前記凹部の内方に臨む作動片と、該作動片を前記凹部の内方に向けて進退移動させる駆動源と、を備える。そして、第
9の発明は、前記ロック片が、前記開閉体が閉位置にあるときに前記作動片と接続され、前記作動片の接続状態での進退移動に連動して該作動片の移動方向と同じ方向に移動することを特徴とする。
【0021】
第
10の発明は、第
9の発明のハウジングユニットにおいて、前記ロック片掛止部が、前記開閉体の回転半径に沿う方向に前記駆動機構と対応する位置に設けられている構成を有する。そして、第
10の発明は、前記ロック片が、前記開閉体が閉位置にあるときに前記作動片と直線的に接続されることを特徴とする。
【0022】
第
11の発明は、第
9又は第
10の発明のハウジングユニットにおいて、前記ロック片及び前記作動片の両接続部分が、前記開閉体の回転方向において互いに嵌合する嵌合構造を備える構成となっている。そして、第
11の発明は、前記嵌合構造が、前記開閉体を閉じたときに前記ロック片及び前記作動片の両接続部分を連結する一方、前記開閉体を開く動作によって前記ロック片及び前記作動片の両接続部分の連結状態を解除することを特徴とする。
【0023】
第
12の発明は、第
9〜第
11の発明のいずれか1つのハウジングユニットにおいて、前記開閉体が、当該開閉体が開位置にある状態で前記作動片が進行方向に移動した場合に、前記開閉体を閉じる動作によって前記作動片を押し戻す押戻し部を備えることを特徴とする。
【0024】
第
13の発明は、第
12の発明のハウジングユニットにおいて、前記押戻し部が、前記開閉体を閉じる動作によって前記作動片を前記ロック片と接続可能な位置まで押し戻すことを特徴とする。
【0025】
第
14の発明は、第1〜第
13の発明のいずれか1つのハウジングユニットにおいて、前記開閉体に、前記ロック片を後退方向に付勢する付勢部材と、前記ロック片の進退方向における可動域を制限するストッパとが設けられていることを特徴とする。
【0026】
第
15の発明は、開閉体のロック装置であって、
裏側に向けて張り出したアーム部が凹部を有する車体にヒンジを介して連結さ
れ、該ヒンジを中心とする回転動作により前記凹部の開口を開閉する開閉体を、前記凹部の開口を閉塞する閉位置でロックする機能を有する。そして、第
15の発明は、前記開閉体に対し前記凹部の開口を閉塞する面に沿った姿勢に取り付けられ、先端部が前記アーム部から離れた位置で前記開閉体の外周側に臨み、前記開閉体が閉位置にあるときに前記凹部内
の開口側に位置するロック片と、前記ロック片を前記開閉体の外周側に向けて進退移動させる駆動機構と、前記凹部の周壁に設けら
れ、前記開閉体が閉位置にあるときに
、進行方向へ移動した前記ロック片の先端部を
、前記凹部の深さ方向において前記アームの張り出し端よりも前記凹部内の開口側の位置で掛け止め可能なロック片掛止部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
第1の発明によれば、ロック片を開閉体に対し凹部の開口を閉塞する面に沿った姿勢に取り付けるようにしたので、ハウジングユニットを車体に組み付ける際にロック片と周辺の構造とが接触し難くなり、それによってロック装置の破損及び動作不良を防止できる。また、ロック片がそのような姿勢で開閉体に沿わせて設けられることにより、ロック片及
びその作動機構を凹部や開閉体の外周に設ける場合に比べて、ロック装置の大型化を抑えることができる。そして、ロック片の先端部を駆動機構の作動によってアーム部から離れた位置で凹部の周壁に設けられたロック片掛止部に掛け止め可能にし、そのロック片の掛け止めを以て開閉体が固定されるようにしたので、開閉体がヒンジ寄りの位置でロック片により固定される場合に比べて、開閉体のロック強度を高めることができる。
【0028】
第2の発明によれば、開閉体を内部空間を有する形態とし、その内部空間にロック片の少なくとも一部を収容するようにしたので、ハウジングユニットを車体等に組み付ける際にロック片と周辺の構造とがよりいっそう接触し難くなり、ロック装置の破損及び動作不良を防止できる。
【0029】
第3の発明によれば、リッドをインナ部材とアウタ部材との組合せによって構成するようにしたので、リッドを一枚物の樹脂成形品で構成する場合に比べて、リッドを内部空間を有する形態とし易い。よって、第2の発明を簡単な構成で実現し、その効果を容易に得ることができる。
【0030】
第4の発明によれば、ロック片の全体又はロック片のうちロック機能のために外部への突出が必要な部分を除く略全体を開閉体の内部空間に収容するようにしたので、ハウジングユニットを車体等に組み付ける際にロック片と周辺の構造とが接触することを回避できる。また、開閉体を開いた状態でもロック片が全く或いは殆ど外部に露出しないため、ハウジングユニットの意匠性を向上させることができる。
【0031】
第5の発明によれば、アーム収容部が凹部から側方に張り出しているため、そのアーム収容部に配置されたヒンジの枢軸の一方側でアーム収容部及び凹部と隣接する位置にはスペースが形成されるが、そのスペースに駆動機構を配置するようにしたので、ハウジング、開閉体及びロック装置をコンパクトにまとめてハウジングユニットを小型化することができる。
【0032】
第6の発明によれば、ロック片を、互いに連動して進退移動するがその進退方向が互いに異なる第1ロック片と第2ロック片とを組み合わせた構成としたので、開閉体を固定するロック位置の自由度を高めることができ、車体等の被組付け部の周辺レイアウトに応じてロック位置の融通を利かせることができる。
【0033】
第
7の発明によれば、開閉体が閉位置にあるときに作動片が進行方向へ移動して掛止孔に挿通されると、その作動片が作動片掛止部に閊えて、開閉体がハウジングに固定される。また、掛止孔に挿通された作動片がロック片に当接し、その当接状態でさらに進行方向へ移動すると、ロック片が作動片に連動して進行方向へ移動し、ロック片の先端部が掛止部に掛け止めされる。それによっても、開閉体がハウジングに固定される。このように開閉体を2箇所でハウジングにロックするダブルロックを採用しているので、開閉体のロック強度をよりいっそう高めることができる。
【0034】
ここで、開閉体が開いたままの状態で自動的なロック状態の切り替え動作が行われて、意図せず作動片が進行方向に移動してロック状態へ移行されると、作動片が挿通孔から外れた位置で進行方向に移動して、アーム部の背面側に突き出してしまう。そうなると、開閉体を閉めようとしても、アーム部がロック片に閊えるために開閉体を閉めることができなくなる。また、ロック片が突き出た状態にあることは外見では判断できないため、それを知らずに開閉体を閉めようとして、アーム部やロック片が破損するおそれがある。
【0035】
これに対し、第
7の発明によれば、開閉体が開いた状態にあるときに意図せず作動片が進行方向へ移動してもその作動片の移動はロック規制部によって規制されるので、作動片がアーム部の背面側に突き出るのを防止することができる。それによって、アーム部が作動片に閊えて開閉体が閉まらなくなる事態に陥ることを回避でき、開閉体の閉じ動作でアーム部やロック片が破損することもない。
【0036】
第
8の発明によれば、ロック片を、互いに連動して進退移動するがその進退方向が互いに異なる第1ロック片と第2ロック片とを組み合わせた構成としたので、開閉体を固定するロック位置の自由度を高めることができ、車体等の被組付け部の周辺レイアウトに応じてロック位置の融通を利かせることができる。
【0037】
第
9の発明によれば、ロック片をロック片掛止部に掛け止めるロック動作を確実に行うことができる。このことについて、以下に説明する。
【0038】
作動片とロック片との進行方向が交差した方向である場合には、作動片の進行方向への移動によってロック片が押された際にそれら作動片やロック片に曲げ方向の力がかかるため撓みが生じるおそれがある。また、ロック装置を構成する各部品の組付け精度のばらつきに起因して、ロック片の進退量が比較的大きく変化するおそれがある。このため、作動片が進行方向に移動しても、それに連動してロック片が進行方向へ所定距離に亘って移動せず、ロック動作の不良を起こすことが懸念される。
【0039】
これに対し、第
9の発明によると、作動片とロック片とが接続状態で連動して同じ方向に進退移動するようにしたので、作動片の進行方向への移動によってロック片が押された際にそれら作動片やロック片に撓みが生じるのを抑制し、作動片からの進行方向への押圧力をロック片に少ない損失で伝えることができる。また、ロック装置を構成する各部品のハウジングや開閉体に対する組付け精度のばらつきに起因してロック片に生じる進退量の変化を低減することができる。それによって、ロック片を作動片の進行方向への移動量に応じた距離に亘って移動させ、ロック片の掛止めによる確実なロック動作を実現することができる。
【0040】
第
10の発明によれば、ロック片と作動片とが直線的に接続されるようにしたので、ロック動作時における作動片やロック片の撓みを効果的に抑制し、ロック装置を構成する各部品の組付け精度のばらつきに起因するロック片の進退量の変化を好適に小さくすることができる。それによって、ロック片の掛止めによるロック動作をよりいっそう確実に行うことができる。
【0041】
第
11の発明によれば、ロック片と作動片とを開閉体の回転方向において嵌合する嵌合構造で接続し、開閉体の開閉動作に応じて連結したりその連結状態を解除したりするようにしたので、開閉体を閉じる動作だけでロック片と作動片とを接続してロック動作を行うことが可能な状態とすることができるし、開閉体を開く動作だけでロック片と作動片とが分離されるため、当該開閉体の開き動作を妨げることがない。よって、ロック片と作動片との連結及びその解除が可能な構成のために別途複雑な機構を必要とせず、開閉体の開閉操作に煩雑さを招くこともない。
【0042】
第
12の発明によれば、進行方向へ移動した作動片を開閉体の閉じ動作によって押し戻す押戻し部を設けるようにしたので、開閉体が開いた状態にあるときに意図せず作動片が進行方向へ移動しても開閉体を閉じることでその作動片を押し戻すことができる。そのことで、開閉体が作動片に閊えて閉まらなくなる事態に陥ることを回避でき、開閉体の閉じ動作で開閉体自体やロック片が破損することもない。
【0043】
第
13の発明によれば、開閉体が開位置にあるときに進行方向へ移動した作動片を開閉体の閉じ動作によってロック片と接続可能な位置にまで押し戻すようにしたので、開閉体を閉じるだけで作動片をロック片と接続させることができる。これにより、開閉体が開いた状態にあるときに意図せず進行方向へ移動した作動片とロック片とを接続させるのに別途複雑な機構を設けなくて済む。
【0044】
第
14の発明によれば、ロック片を付勢部材によって後退方向に付勢するようにしたので、ロック片を進行移動した位置で保持するのを止めれば、ロック片は後退方向へ移動し、ロック片の先端部が掛止部から外されてロック状態が解除される。したがって、駆動機構は、ロック片を進行方向へ移動させる機能だけを有していればよく、簡単な構成で実現することができる。
【0045】
ここで、上記の付勢部材を設けただけでは、ロック片が付勢部材の付勢力によって後退方向へ移動し過ぎて所定の後退位置からずれてしまうことがある。ロック片が所定の後退位置からずれると、駆動機構とロック片との連繋が成り立たなくなり、ロック片の進退移動が制御不能な状態になり兼ねない。
【0046】
これに対し、第
14の発明によれば、ロック片の後退方向における可動域をストッパにより制限するようにしたので、ロック片が付勢部材の付勢力により後退方向へ移動し過ぎることを防止でき、それによってロック片の進退移動を良好に制御可能な状態に維持することができる。
【0047】
第
15の発明によれば、第1の発明のロック装置と同じ構成を備えるので、第1の発明と同じ作用効果が得られて、ロック装置の破損及び動作不良を防止し、ロック装置の大型化を抑え、開閉体のロック強度を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態では、便宜上、車両前後方向における前側を「前」、後側を「後」と称し、車両前方を向いて車幅方向における左側を「左」、右側を「右」と称し、車高方向における上側を「上」、下側を「下」と称する。
【0050】
《発明の実施形態1》
この実施形態1では、本発明に係る開閉体のロック装置及びハウジングユニットについて、自動車の車体左側のリヤフェンダ部に取り付けられる、ロック機能を有したリッド付きのフューエルフィラーボックスアセンブリ(以下、単に「ボックスアセンブリ」と称する)を例に挙げて説明する。ボックスアセンブリは、自動車に搭載の燃料タンクに連通接続されたフューエルパイプの給油口部を収容し、自動車の燃料供給部を構成する部品である。
【0051】
−ボックスアセンブリの構成−
図1及び
図3に、このボックスアセンブリ1の全体斜視図を示す。
図1は、リッド5を閉じてロックした状態を示し、
図3は、リッド5を閉じているがアンロックした状態を示している。
図2に、
図1のII−II線におけるボックスアセンブリ1の断面図を示し、
図4に、
図3のIV−IV線におけるボックスアセンブリ1の断面図を示す。
図5に、ボックスアセンブリ1のリッド5を開いた状態での全体斜視図を示す。
図6に、ボックスアセンブリ1のリッド5を全開した状態での側面図を示す。なお、
図1及び
図3では、便宜上、リッド5を構成するアウタ部材41の図示を2点鎖線で表した外縁形状のみとして省略し、リッド5の内部構造を部分的に図示している。
【0052】
ボックスアセンブリ1は、
図1〜
図6に示すように、ハウジングとしてのインレットボックス3と、インレットボックス3の開口を開閉する開閉体としてのフューエルリッド(以下、単に「リッド」と称する)5と、リッド5の開閉動作を補助する開閉補助機構7と、リッド5をインレットボックス3の開口を閉塞した閉位置でロックするロック装置9とを備え、これらが一体に組み合わせられてモジュール化された組立て品である。こうしたボックスアセンブリ1は、予め組み立てられるため、車体への組み付け作業が比較的容易である。
【0053】
<インレットボックスの構成>
インレットボックス3は、射出成形などで成形される樹脂成形品であって、例えば、ポリプロピレン(PP:Polypropylene)やそれにガラス繊維や炭素繊維などの繊維補強材を含有した熱可塑性樹脂からなる。このインレットボックス3は、概略円形カップ状に形成された凹部11と、凹部11から前側方に張り出したアーム収容部13とを有する。これら凹部11及びアーム収容部13の両内部空間は、インレットボックス3内の空間として繋がっている。
【0054】
凹部11の底壁15には、フューエルパイプの給油口部が挿通されるパイプ孔17が設けられている。このパイプ孔17の周縁には、フューエルパイプとの間を密閉するゴム製のグロメット19が設けられている。凹部11の開口は、円形の一部を直角に切り欠いたような形状とされている。この開口の切欠き形状は、アーム収容部13の直ぐ上側に位置している。また、凹部11の開口周縁には、当該開口の外側方に突出したフランジ部21が全周に亘って設けられている。
【0055】
フランジ部21は、その周方向に所定の間隔をあけて形成された複数の貫通孔23を有する。このフランジ部21の裏面、つまり車内側に臨む面には、水密性を有するゴム製のシール部25が一体に設けられている。ボックスアセンブリ1は、自動車のリヤフェンダ部に形成された開口の段落ちした周縁にシール部25を密着させた状態で、フランジ部21周縁に設けられた図示しない係合爪を当該開口の周縁部分に係合させることにより、当該リヤフェンダ部に取り付けられる。
【0056】
シール部25は、各貫通孔23を通してフランジ部21の表面側、つまり車外側に突出する突起27を有する。この突起27は、リッド5の閉位置でその裏面(後述するリッド本体35の裏面)に対向し、リッド5が閉じ動作において凹部11の開口周縁に当接する際の衝撃を吸収する緩衝用に設けられている。このようなシール部25は、例えば、インレットボックス3の成形時に2色成形によって併せて成形される。
【0057】
また、凹部11のうち開口の切欠き形状に対応する部分には、当該凹部11の周壁12が内方へ突出し且つ外側が凹んだ縦断面L字状の駆動機構搭載部29が設けられている。この駆動機構搭載部29の下壁のうち左端寄りの部分、つまり車外側の部分には、後述する作動片111が挿通される挿通孔28が形成されている。さらに、凹部11の周壁12のうちアーム収容部13とは反対側、つまり後側に位置する部分で開口寄りの端部には、ロック孔としての第1ロック孔30が形成されている。この第1ロック孔30は、ロック装置9の一部(後述のロック片掛止部93)を構成している。
【0058】
また、アーム収容部13の内部には、リッド5を開閉可能に支持するヒンジ31が設けられている。ヒンジ31は、アーム収容部13の張り出し端寄りで左側(車外側)の隅に位置しており、上下方向に延びる枢支軸をなす支持ピン33を有する。この支持ピン33の両端部は、アーム収容部13の上下両側の壁部に形成された図示しないピン孔に挿通されて回転自在に支持されている。
【0059】
<リッドの構成>
リッド5は、支持ピン33によってアーム収容部13に支持され、ヒンジ31を中心とする回転動作により凹部11の開口を開閉する。このリッド5は、フランジ部21の外径よりも一回り大きな円形状の外形を有するリッド本体35と、リッド本体35の一端部、具体的にはリッド5が閉位置にあるときに前側に位置する端部の裏面から前側方へ延びるアーム部37とを有する。このリッド5は、車内側に位置するインナ部材39と、車外側に位置するアウタ部材41とを組み合わせてなり、両部材39,41の間に内部空間Sを有する。
【0060】
インナ部材39及びアウタ部材41は共に、射出成形などで成形される樹脂成形品であって、例えばインレットボックス3と同じ熱可塑性樹脂からなる。インナ部材39は、リッド本体35の内側半体とアーム部37とを構成している。他方、アウタ部材41は、リッド本体35の外側半体を構成している。アウタ部材41の外周縁部のうちアーム部37とは反対側の部分、つまりリッド5が閉位置にあるときに後側に位置する部分には、車外側に突出した把手部42が設けられている。
【0061】
インナ部材39のうちリッド本体35を構成する部分であるインナ本体部43は、リッド5の厚さ方向においてアウタ部材41と対向する主板部45と、主板部45の外周縁からアウタ部材41側に立ち上がった外周板部47とを有する。外周板部47は、アーム部37が設けられた部分を除いて主板部45の全周に設けられている。主板部45のリッド5外側に臨む外面は、凹部11の開口を閉塞する面である。
【0062】
主板部45の内部空間S側に臨む内面には、前後方向に間隔をあけて対峙する一対の爪片49が上下両側に分けて一組ずつ設けられている。アウタ部材41のうち各爪片49に対応する部分の内部空間S側の面には、図示しないが、断面L字状の係合片が設けられている。アウタ部材41は、それら各係合片51を対応する爪片49に係合させることによりインナ部材39に取り付けられている。
【0063】
また、主板部45の上下方向における中程、つまり上下2組の爪片49の間には、ロック片保持部53が設けられている。ロック片保持部53は、上下方向に間隔をあけて対向する一対の側壁部55と、主板部45のうち一対の側壁部55の間の部分で構成された底壁部57とを有する。一対の側壁部55は、それぞれ平板状に形成されており、主板部45でリッド5の回転半径に沿う方向(以下、「リッド回転半径方向」と称する)における略全体に亘って互いに平行に延びている。
【0064】
それら各側壁部55には、底壁部57に対応する箇所(つまりロック片保持部53の内方)に突出した抜止め用の係止爪59が、ロック片保持部53の長さ方向に間隔をあけて1つずつ設けられている。このロック片保持部53のリッド回転半径方向における内側に位置する内端では、一対の側壁部55の間がアーム部37側に開放されている。他方、ロック片保持部53のリッド回転半径方向における外側に位置する外端では、一対の側壁部55の間が外周板部47によって閉塞されている。
【0065】
外周板部47のうちこれら一対の側壁部55の間を閉塞する部分には、当該外周板部47を貫通した挿通孔61が形成されている。この挿通孔61は、リッド5が閉位置にあるときに、前後方向において第1ロック孔30と対応する。また、底壁部57の長さ方向における中程には、一対の側壁部55の間に突出したストッパ60が設けられている。
【0066】
アーム部37は、概略U字形状やスワンネック形状をなしていて、アーム収容部13内でヒンジ31に連結されている。このアーム部37は、リッド本体35からその裏側に向けて張り出した凸面をなす湾曲部69と、この湾曲部69の先端部分からリッド本体35の側方位置に向けて延びる折返し部71とを有する。
【0067】
折返し部71の先端部分には、アーム部37の幅方向に貫通したピン孔73が形成されている。このピン孔73には、支持ピン33が締り嵌め状態に挿通されている。アーム部37は、そのピン孔73を通した支持ピン33に固定されており、ヒンジ31を介してアーム収容部13に回転自在に連結されている。
【0068】
湾曲部69は、ピン孔73又はその付近を中心とする円周に沿った概略円弧状に形成されている。この湾曲部69は、アーム部37の本体をなすベース板部75と、このベース板部75の上下両端に設けられた一対の側板部77,79とを有する。これら一対の側板部77,79は、アーム部5の長手方向に互いに平行に延びており、それぞれ外周板部47と一繋ぎに形成されている。
【0069】
一対の側板部77,79のうち上側に位置する側板部77は、上面が平坦な面に形成された平面部である。この上側の側板部77のうちアーム部37の基端側の部分には、上下方向に貫通する掛止孔としての第2ロック孔81が形成されている。この第2ロック孔81は、ベース板部52とは反対側に開放された切欠きであって、ロック装置9の一部(後述の作動片掛止部95)を構成している。
【0070】
リッド本体35は、ヒンジ31を中心とする回転動作に応じて凹部11の開口を閉塞したり開放したりする部分である。インナ本体部43は、リッド5が閉位置にあるときに凹部11の開口内に位置する。このとき、外周板部47は凹部11の周壁12の上端部分に対向し、挿通孔61は第1ロック孔30と対応する。アウタ部材41は、リッド5が閉位置にあるときに凹部11の外側でその開口を覆う。このアウタ部材41の表面、つまりリッド本体35の外面には、自動車の外装と同じ色の塗装が施されている。
【0071】
<開閉補助機構の構成>
開閉補助機構7は、カム形状のカム駒83と、トーションばね85とによって構成されている。カム駒83は、アーム収容部13の下側でヒンジ31に対応する部分に配置されている。カム駒83のベース円の中心部分は、アーム収容部13のピン孔から下方に突出した支持ピン33の端部に固定されている。それにより、カム駒83は、支持ピン33の回転動作、つまりはリッド5の開閉動作に連動して回転し、ベース円から突出するトップ部83aの位置が変位するようになっている。
【0072】
トーションばね85は、上記カム駒83と、アーム収容部13の下面に設けられた円柱形の支持突片87との間に装着されている。具体的には、トーションばね83の一端部は、カム駒83のトップ部83aに揺動自在に取り付けられている。また、トーションばね85の他端部は、円弧状に形成された支承部85aを有しており、支持突片87に対し、その支承部85aを嵌合させて当該支持突片87の周方向に揺動自在に支持されている。
【0073】
図7に、ボックスアセンブリ1でのリッド5の全開状態と開閉補助機構7が補助動作を切り替える分岐位置(二点鎖線で示す位置)とを表した
図2相当図を示す。開閉補助機構7では、
図7に示すように、補助する動作がリッド5の回転方向における位置に応じて開き動作と閉じ動作とのいずれかに切り替わる。
【0074】
すなわち、リッド5が所定の位置(
図7に二点鎖線で示す位置)よりも閉じ側の位置にあるときは、トーションばね85の付勢力によってカム駒83が下面視で時計回りの方向に付勢される。それにより、リッド5が閉じ方向D1に回転されて、リッド5の閉じ動作が補助される。また、リッド5が所定の位置よりも開き側の位置にあるときには、トーションばね85の付勢力によってカム駒83が下面視で反時計回りの方向に付勢される。それにより、リッド5が開き方向D2に回転されて、リッド5の開き動作が補助される。
【0075】
<ロック装置の構成>
ロック装置9は、ロック片保持部53に対しその長さ方向においてスライド可能に保持されたロック片89と、ロック片89をリッド5の外周側、具体的にはリッド回転半径方向における外側に向けて進退移動させる駆動機構91と、ロック片89の先端部を掛け止め可能なロック片掛止部93と、駆動機構91を構成する作動片111を掛止め可能な作動片掛止部95と、ロック動作を規制するロック規制部97とを備え、ロック片掛止部93及び作動片掛止部95の2箇所でリッド5をロックするダブルロック機能を有する。
【0076】
ロック片89は、一対の側壁部55の間に嵌め込まれて係止爪59により抜け止めされ、リッド5に対し凹部11の開口を閉塞する面に沿った姿勢に取り付けられている。このロック片89は、略L字状に形成された樹脂製の部材であって、ロック片保持部53に保持されるロック片本体部99と、ロック片本体部99のアーム収容部13側に位置する端部からアーム部37の内方に延びる連携部101とを有する。連携部101は、駆動機構91側に臨む摺動受け面102を有する。この摺動受け面102は、リッド回転半径方向における内側に向かって下傾した傾斜面からなる。
【0077】
ロック片本体部99のうち連携部101とは反対側に位置する先端部分は、その他の部分に比べて断面積が相対的に小さな小径の差込みピン部103を構成している。差込みピン部103の先端部は、先細りした裁頭錐体状に形成されている。この差込みピン部103は、リッド5の外周板部47に形成された挿通孔61に挿通されており、ロック片89の進退移動に応じて挿通孔61から外方に延び出る長さが変えられる。ロック片89は、挿通孔61からリッド5の外側に延び出た部分を除く全体が内部空間Sに収容される。
【0078】
差込みピン部103の基端周囲には、差込みピン部103の外周に臨むばね受け面105が設けられている。このばね受け面105と外周板部47の挿通孔61の周縁部との間には、ロック片89を後退方向へ付勢する付勢部材としての圧縮コイルばね107が、差込みピン部103を挿通させた状態で介装されている。また、ロック片本体部99の長さ方向における中程には、ストッパ60を受け入れる凹溝109が形成されている。ロック片89の後退方向への可動域は、この凹溝109の長さに応じてストッパ60により制限される。
【0079】
駆動機構91は、インレットボックス3に設けられた駆動機構搭載部29の凹所に搭載されて、支持ピン33の軸方向における一方側でありアーム部37の幅方向における一方側でもある上側でアーム収容部13及び凹部11と隣接する位置に配置されている。こうして、アーム収容部13及び凹部11に隣接する位置に形成されるスペースを駆動機構91の搭載部分として利用すれば、ボックスアセンブリ1の小型化を図ることができる。
【0080】
この駆動機構91は、ロック片89を進退移動せしめる作動片111と、作動片111をロック片89に向けて進退移動させる駆動源113とを備える。作動片111は、駆動源113に対し進退動作を以て当該駆動源113のケースから出没可能に組み付けられている。この作動片111は、駆動機構搭載部30の挿通孔28に対応する箇所に、支持ピン33に沿う方向において進退可能な姿勢で設けられており、アーム部37の幅方向における側方位置からその挿通孔28を通してアーム部37上側の側板部77越し又は第2ロック孔81を通してロック片89の摺動受け面102に臨んでいる。
【0081】
駆動源113は、詳細な図示は省略するが、自動車の制御装置から出力される制御信号によって作動片111を進退移動させるようになっている。また、この駆動源113は、作動片111の進行方向への移動が阻害された場合には、無理に進行方向への移動を行わせず、所定の付勢力で作動片111を進行方向へ付勢した状態に維持する構成とされている。
【0082】
こうした駆動源113の構成としては、例えば、上記の制御信号に応じて駆動するモータと、モータの駆動によって回転される減速ギアと、減速ギアの回転によって進退方向にスライドするギア付きスライダと、ギア付きスライダの進退移動をロック片89に伝達するコイルばね等の付勢部材とを備える構成が挙げられる。
【0083】
ロック片掛止部93は、凹部11の周壁12のうち上記第1ロック孔30が形成された後端側の部分からなる。すなわち、ロック片掛止部93は、第1ロック孔30及びその周縁部のことである。第1ロック孔30は、周壁12を貫通した貫通孔であって、ロック片89の差込みピン部103を挿通可能なサイズに形成されている。
【0084】
作動片掛止部95は、アーム部37上側の側板部77のうち上記第2ロック孔81が形成された部分からなる。すなわち、作動片掛止部95は、第2ロック孔81及びその周縁部のことである。第2ロック孔81は、アーム部37の側板部77を貫通している上述した通りの切欠きであって、作動片111を挿通可能なサイズに形成されており、リッド5が閉位置にあるときにのみ作動片111と対応する。
【0085】
図8に、ボックスアセンブリ1でのリッド5が開位置にあるときのロック規制を説明するための
図2相当図を示す。ロック規制部97は、アーム部37上側の側板部77のうち上記第2ロック孔81を除く部分で構成されている。したがって、このロック規制部97は、平板状に形成されていて、駆動機構91側に臨む平坦な上面を有する。このように、アーム部37上側の側板部77は、作動片掛止部95及びロック規制部97の両方を構成している。
【0086】
ロック規制部97は、
図8に示すように、リッド5の開閉動作が行われると、その長さ方向における全体に亘って作動片111の対応箇所を経由して移動されるようになっており、リッド5が閉位置以外の開位置にあるときには、作動片111と常に対応し、作動片111の進行方向への移動を規制する。換言すると、作動片111は、リッド5の回転域において、閉位置を除く全範囲でロック規制部97と対応し、閉位置でのみ第2ロック孔81と対応して進行方向への移動が全ストロークに亘って許容される。
【0087】
−ボックスアセンブリのロック動作−
次に、上記構成のボックスアセンブリ1でのリッド5のロック動作について、
図1〜
図4を参照しながら説明する。
【0088】
ボックスアセンブリ1では、
図3及び
図4に示すように、駆動機構91の作動片111が後退した位置にあるときには、ロック片89は、圧縮コイルばね107の付勢力によって凹溝109の後端面がストッパ60に当接する位置にまで後退する。このとき、差込みピン部103は、挿通孔61から外方に少し突出する程度に延び出るが、第1ロック孔30からは抜け出ており、リッド5がインレットボックス3に固定されていないアンロック状態である。このアンロック状態では、リッド5を自由に開け閉めすることができる。
【0089】
また、ボックスアセンブリ1では、リッド5が閉じられた状態で、エンジンの制御装置からのロック状態への切り替えを指示する制御信号が駆動機構91に送られると、駆動機構91は、所定のロック動作を実行する。このロック動作では、駆動機構91は、
図1及び
図2に示すように、作動片111を進行方向へ移動させて第2ロック孔81に挿通させる。そして、駆動機構91は、第2ロック孔81に挿通させた作動片111を、ロック片89の摺動受け面102に当接させ、摺動受け面102に当接した後も暫くは進行方向へ移動させる。
【0090】
そうすると、作動片111が、進行方向への移動に従って摺動受け面102を摺動しながら、ロック片89を進行方向へ押圧する。それにより、ロック片89が作動片111の当接状態での進退移動に連動して作動片111の移動方向と交差する進行方向(本実施形態では直交する進行方向)へ移動し、差込みピン部103が第1ロック孔30に挿通される。このとき、作動片111は作動片掛止部95に、ロック片89はロック片掛止部93にそれぞれ掛け止められて、リッド5がアーム部37とリッド本体35の回転半径方向における外端部分とでインレットボックス3に固定されたロック状態となる。このロック状態では、リッド5を開けることができない。
【0091】
また、ボックスアセンブリ1では、リッド5が開いた状態にあるときに意図せず作動片111が進行方向へ移動した場合、その作動片111は、ロック規制部97に突き当たって、それ以上の進行方向への移動が規制される。これによって、作動片111がアーム部37の背面側に突き出るのを防止でき、アーム部37が作動片111に閊えてリッド5が閉まらなくなる事態に陥るのを回避できる。
【0092】
この場合、ロック片89は、ロック規制部97の平坦な上面に対し所定の付勢力によって突き当たった状態とされる。この状態においても、作動片111をロック規制部97に摺動させながら、リッド5を閉じることが可能である。そして、リッド5が閉位置にまで回転されると、その時点で、作動片111が所定の付勢力により進行方向に移動して第2ロック孔81に挿通され、上述したロック動作が行われる。
【0093】
−実施形態1の効果−
この実施形態1に係るボックスアセンブリ1によると、ロック片89をリッド5に対し凹部11の開口を閉塞する面に沿った姿勢に取り付けるようにしたので、ボックスアセンブリ1を車体に組み付ける際に、ロック片89が、車体の被取付け部周辺の構造と接触し難くなり、それによってロック装置9の破損及び動作不良を防止できる。また、ロック片89がそのような姿勢でリッド5に沿わせて設けられることにより、ロック装置9の大型化を抑えることができる。そして、ロック片89を駆動機構91の作動によってアーム部37から離れた位置で凹部11の周壁12に設けられたロック片掛止部93に掛け止め可能にし、作動片掛止部95に対する作動片111の掛け止めに加えロック片89の掛け止めを以てリッド5が固定されるようにしたので、リッド5のロック強度を高めることができる。
【0094】
また、この実施形態1に係るボックスアセンブリ1によると、リッド5が開いた状態にあるときに作動片111が進行方向に移動しても、リッド5が閉まらなくなる事態に陥ることを回避でき、リッド5の閉じ動作でアーム部37とその背面側に突き出したロック片89とが干渉し合って破損することもない。
【0095】
《発明の実施形態2》
この実施形態2に係るボックスアセンブリ1は、リッド5及びロック装置9の構成が上記実施形態1と異なる。なお、以下の各実施形態では、リッド5及びロック装置9の構成が上記実施形態1と異なる他はボックスアセンブリ1について上記実施形態1と同様に構成されているので、構成の異なるリッド5及びロック装置9の部分についてのみ説明し、同一の構成箇所は
図1〜
図8に基づく上記実施形態1の説明に譲ることにして、その詳細な説明を省略する。
【0096】
<リッドの構成>
図9に、この実施形態2に係るボックスアセンブリ1の
図1相当図を示す。また、
図10に、このボックスアセンブリ1の
図3相当図を示す。なお、これら
図9及び10では、便宜上、
図1及び
図3と同じくアウタ部材41の図示を2点鎖線で表した外縁形状のみとして省略する。この実施形態2に係るボックスアセンブリ1のリッド5の主板部45には、
図9及び
図10に示すように、略T字形のロック片保持部121が設けられている。
【0097】
ロック片保持部121は、上下2組の爪片49の間に延びる横置き保持部123と、上側の組の両爪片49の間に延びる縦置き保持部125とで構成されている。これら横置き保持部123及び縦置き保持部125は、互いに間隔をあけて対向する一対の側壁部127,129と、主板部45のうち一対の側壁部127,129の間の部分で構成された図示しない底壁部とを有する。
【0098】
横置き保持部123の両側壁部127は、それぞれ平板状に形成されており、主板部45の前後方向における全体に亘って互いに平行に延びている。そして、横置き保持部123のリッド回転半径方向における内側に位置する内端では、一対の側壁部127の間がアーム部37側に開放されている。他方、横置き保持部123のリッド回転半径方向における外側に位置する外端寄りの中途部では、一対の側壁部127の間が端末壁部131によって閉塞されている。この端末壁部131には、当該端末壁部131を貫通する図示しない挿通孔が形成されている。
【0099】
また、横置き保持部123の両側壁部127のうち上側の側壁部127は、その長さ方向における中程で2分割されており、横置き保持部123の内部を縦置き保持部125に開放している。横置き保持部123の各側壁部127には、横置き保持部123の底壁部に対応する箇所(つまり横置き保持部123の内方)に突出した抜止め用の係止爪59がその長さ方向に間隔をあけて1つずつ設けられている。横置き保持部123の底壁部には、図示しないが、上記実施形態1と同様なストッパ60が設けられている。
【0100】
縦置き保持部125の両側壁部129は、それぞれ平板状に形成されており、主板部45の上半部の上下方向における全体に亘って互いに平行に延びている。縦置き保持部125の下端では、一対の側壁部129の間が、横置き保持部123に開放され、その上側の側壁部127中程の開放端と一体に接続されている。他方、縦置き保持部125の上端では、一対の側壁部129の間が外周板部47によって閉塞されている。
【0101】
外周板部47のうちこれら一対の側壁部129の間を閉塞する部分には、図示しない挿通孔が形成されている。また、縦置き保持部125の各側壁部129にも、縦置き保持部125の底壁部に対応する箇所(つまり縦置き保持部125の内方)に突出した抜止め用の係止爪59がその長さ方向に間隔をあけて1つずつ設けられている。
【0102】
<ロック装置の構成>
このボックスアセンブリ1のロック装置9は、上記実施形態1とは異なる構成のロック片133と、上記実施形態1とは異なる位置に設けられたロック片掛止部135と、上記実施形態1と同じ構成の駆動機構91、作動片掛止部95及びロック規制部97とを備える。ロック片133は、横置き保持部123に嵌め込まれて保持された第1ロック片137と、縦置き保持部125に嵌め込まれて保持された第2ロック片139とを備える。
【0103】
第1ロック片137は、その全長が上記実施形態1のロック片89に比べて短いものの、基本的には、上記実施形態1のロック片89と同様な構成を有する。つまり、第1ロック片137は、上記実施形態1のロック片89と同様な連携部101、差込みピン部103及び凹溝109を有する。この第1ロック片137は、差込みピン部103が端末壁部131に形成された挿通孔に挿通されている他は、リッド5に対し上記実施形態1のロック片89と同じ状態に取り付けられて、圧縮コイルばね107により後退方向へ付勢された状態で保持されている。
【0104】
そして、第1ロック片137の長さ方向における中程には、上方に開放された切欠き状の逃し凹部141が設けられている。逃し凹部141のリッド回転半径方向における内側に位置する内端面は、後方に向かって下傾した傾斜摺動面143を形成している。この逃し凹部141は、第1ロック片137が後退した位置にあるときに、上側開口が縦置き保持部125と対応する位置、つまりはその内部に保持された第2ロック片139と対応する位置に形成されている。
【0105】
第2ロック片139は、ロッド状に形成された樹脂製の部材である。この第2ロック片139の上側に位置する先端部分は、第1ロック片137と同様な差込みピン部145を構成している。この差込みピン部145の先端部は、先細りした截頭錐体状に形成されている。この差込みピン部145は、リッド5の外周板部47に形成された挿通孔に挿通されており、第2ロック片139の進退移動に応じて挿通孔から外方に延び出る長さが変えられる。
【0106】
差込みピン部145の基端周囲には、差込みピン部145の外周に臨むばね受け面147が設けられている。このばね受け面147と外周板部47の挿通孔の周縁部との間には、第2ロック片139を後退方向へ付勢する付勢部材としての圧縮コイルばね149が、差込みピン部145を挿通させた状態で介装されている。第2ロック片139の下側に位
置する基端部分は、第1ロック片137が後退した位置にあるときには、逃し凹部141内に進入する。
【0107】
この第2ロック片139の基端部分は、側面視で台形状に形成されており、リッド回転半径方向における内側に向かって上傾する傾斜摺動面151を有する。この第2ロック片139の傾斜摺動面151は、第2ロック片139の基端部分が逃し凹部141に進入した状態で、第1ロック片137の傾斜摺動面143と平行に対面する。第2ロック片139は、当該基端部分の逃し凹部141への進入分だけ後退される。
【0108】
第1ロック孔30は、凹部11の周壁12のうち上端側で開口寄りの端部に、第2ロック片139の差込みピン部145を挿通可能なサイズに形成されており、リッド5が閉位置にあるときにのみ外周板部47の挿通孔及びそこに挿通された差込みピン部145と対応する。ロック片掛止部135は、凹部11の周壁12のうちこの第1ロック孔30が形成された上端側の部分からなる。
【0109】
<リッドのロック動作>
上記構成のボックスアセンブリ1では、
図10に示すように、駆動機構91の作動片111が後退した位置にあるときには、第1ロック片137は、圧縮コイルばね107の付勢力によって凹溝109の外端面がストッパ60に当接する位置にまで後退し、第2ロック片139は、その基端部分が逃し凹部141の底面に至る進入位置まで後退する。このとき、第2ロック片139の差込みピン部145は、外周板部47の挿通孔から少し突出する程度に延び出るが、第1ロック孔30からは抜け出ており、アンロック状態である。
【0110】
また、ボックスアセンブリ1では、エンジンの制御装置からロック状態への切り替えを指示する制御信号が駆動機構91に送られると、駆動機構91は、上記実施形態1と同様に、作動片111を、進行方向へ移動させて第2ロック孔81に挿通させ、第1ロック片137の摺動受け面102に当接させた後も進行方向へ移動させることにより、第1ロック片137を進行方向へ押圧して移動させる。
【0111】
その第1ロック片137の移動過程で、逃し凹部141に進入した状態にある第2ロック片139の傾斜摺動面151が逃し凹部141前側の傾斜摺動面143と面当たりし、第2ロック片139が、逃し凹部141前側の傾斜摺動面143に沿って第1ロック片137の上側に乗り上げていく。それにより、第2ロック片139が進行方向へ移動して、第2ロック片139の差込みピン部145が外周板部47の第1ロック孔30に挿通される。このとき、作動片111は作動片掛止部95に、第2ロック片139はロック片掛止部135にそれぞれ掛け止めされて、リッド5がアーム部37とリッド本体35の上端部分とでインレットボックス3に固定されたロック状態となる。
【0112】
−実施形態2の効果−
この実施形態2に係るボックスアセンブリ1によると、車体の被取付け部の周辺レイアウトの都合上、リッド5のロック位置をボックスアセンブリ1の後方や下側とするのが好ましくない場合に有利であり、上記実施形態1と同様に、ロック装置9の破損及び動作不良を防止し、ロック装置9及びそれを備えるボックスアセンブリ1の大型化を抑え、リッド5のロック強度を高めることができる。
【0113】
《発明の実施形態3》
図11及び
図12に、この実施形態3に係るボックスアセンブリ1の全体斜視図を示す。
図11は、リッド5を閉じている状態を示し、
図12は、リッド5を開いた状態を示している。また、
図13に、
図11のXIII−XIII線におけるボックスアセンブリ1のロック状態での断面図を示す。
図14に、このボックスアセンブリ1のアンロック状態での
図1
3相当図を示す。
図15に、このボックスアセンブリ1のリッド5が半開き状態での
図13相当図を示す。なお、
図11では、便宜上、
図1及び
図3と同じくアウタ部材41の図示を2点鎖線で表した外縁形状のみとして省略する。
【0114】
<駆動機構及びロック片掛止部の位置関係>
この実施形態3に係るボックスアセンブリ1では、
図11及び
図12に示すように、開閉補助機構7は、上記実施形態1と同様な構成でアーム収容部13の上側に設けられている。そして、駆動機構搭載部29は凹部11の前方下側の位置に設けられ、駆動機構91はその駆動機構搭載部29に搭載されてアーム収容部13の下側に配置されている。上記実施形態1での第1ロック孔30に相当するロック孔30及びその周縁部分からなるロック片掛止部93は、
図13に示すように、駆動機構91の後方に離間した位置、つまりリッド回転半径方向において駆動機構91と対応する位置に設けられている。
【0115】
<リッドの構成>
リッド5のインナ本体部43は、
図11に示すように、円形の上下を弓形に切り取ったような形状とされており、アーム部37(アーム収容部13)の側方に位置する、つまりアーム部37に対してリッド回転半径方向における外側に位置するセンター部分153と、このセンター部分153から下側に延びて駆動機構91の側方に位置するロア部分155とを有する。インナ本体部43のセンター部分153には、上記実施形態1と同様な爪片49が設けられている。
【0116】
インナ本体部43のロア部分155には、凹部11内方に向かって凹んだロック片保持部53が設けられている。ロック片保持部53は、ロア部分155においてリッド回転半径方向の略全体に亘って延びている。ロック片保持部53の底面には、
図13に示すように、上記実施形態1と同様なストッパ60が設けられている。また、ロック片保持部53の両側壁には、上記実施形態1と同様な抜止め用の係止爪59が設けられている。
【0117】
さらに、当該ロア部分155のうちリッド回転半径方向における内側に位置する内端には、リッド5が閉位置にあるときに、ロック片保持部53をアーム部37の下側位置に向けて開放する連結用開口157が形成されている。当該ロア部155のうちこの連結用開口157のアウタ部材41側には、フック形状のばね引掛け部159が設けられている。また、ロック片保持部53のリッド回転半径方向における外側に位置する外端には、リッド5が閉位置にあるときに、前後方向において第1ロック孔30と対応する挿通孔61が形成されている。
【0118】
<ロック装置の構成>
ロック装置9は、上記実施形態1とは異なる構成のロック片89と、上記実施形態1とは異なる位置に設けられた上述のロック片掛止部93と、上記実施形態1とは異なる配置及び異なる構成の作動片111を備えた駆動機構91とを備える。
【0119】
駆動機構91の作動片111は、駆動機構搭載部29の壁面に形成された挿通孔28を通して後方に向けて凹部11内に突出しその内方に臨んでいる。この作動片111は、駆動源113によって前後方向に進退移動されるようになっている。ロック片89は、ロック片保持部53に嵌め込まれて係止爪59により抜け止めされており、上記実施形態1と同様な差込みピン部103及び凹溝109を有し、リッド5に対し凹部11の開口を閉塞する面に沿った姿勢に取り付けられている。
【0120】
ロック片89のリッド回転半径方向における内側に位置する内端部は、リッド5が閉位置にあるときに、作動片111の先端部と直線的に接続されるようになっている。これらロック片89及び作動片111の両接続部分は、リッド5の回転方向において互いに嵌合
する嵌合構造161を備える。この嵌合構造161は、ロック片89の内端部に設けられた上側連結片163と、作動片111の先端部に設けられた下側連結片165とで構成されている。
【0121】
上側連結片163は、前方に突出した断面L字状の突片であって、その突出端でリッド5の回転方向における閉じ側に突出した凸部167と、凸部167と隣接した位置で同閉じ側に開放された凹部169とを有している。他方、下側連結片165は、リッド5の回転方向における開き側に開放された凹部171と、その凹部171に隣接した先端側位置で同開き側に突出した凸部173とを有している。これら上側連結片163と下側連結片165とは、下側連結片165の凸部173が上側連結片163の凹部169に嵌入し、且つ上側連結片163の凸部167が下側連結片165の凹部171に嵌入することにより連結される。
【0122】
そして、上側連結片163と下側連結片165とは、
図14に示すように、リッド5を閉じたときにその閉じ動作によって連結される一方、
図15に示すように、リッド5を開いたときにその開き動作によって連結状態が解除されて分離されるようになっている。ここで、
図13に拡大して示すように、下側連結片165の凸部173はリッド5の回転方向における開き側に向かって真っ直ぐ延びているが、上側連結片163の凸部167は、凹部169がその開口側に向かって広がるように傾斜している。そのことで、リッド5の開閉動作に伴う上側連結片163と下側連結片165との連結及びその解除をスムーズに行わせるようになっている。
【0123】
また、ロック片89の駆動機構91側の部分には、フック形状のばね引掛部175が設けられている。このばね引掛部175には、付勢部材としての引張コイルばね177の一端が引っ掛けられている。この引張コイルばね177の他端は、リッド5のインナ部材39に設けられたばね引掛部175に引っ掛けられている。ロック片89は、その引張コイルばね177の引張力によって連結用開口157側に常時付勢されている。
【0124】
そして、本実施形態のロック装置9は、リッド5が開位置にある状態で作動片111が進行方向に移動した場合に、その作動片111を押し戻す押戻し部179をさらに備える。押戻し部179は、インナ本体部43のロア部分155の裏側(つまり凹部11内方に臨む部分)でリッド回転半径方向における内側の部分に設けられており、リッド5の裏側に向けて突出した形状を有する。連結用開口157は、この押戻し部161の一部にも形成されている。そして、駆動機構91は、作動片111が押戻し部179によって押し戻された場合に、作動片111を押し返さず、その押し戻された位置に維持する構成とされている。
【0125】
<リッドの開閉動作・ロック動作>
上記構成のボックスアセンブリ1では、
図14に示すように、駆動機構91の作動片111が後退した位置にあるときには、ロック片89は、引張コイルばね177の付勢力によって、凹溝109の外端面がストッパ60に当接する位置まで後退する。このとき、差込みピン部103は、挿通孔61内に引っ込んでロック孔30から抜け出ており、アンロック状態である。このアンロック状態において、リッド5を開くと、
図15に示すように、その開き動作によって上側連結片165と下側連結片167との連結状態が解除されてロック片89と作動片111とが分離される。
【0126】
その後、リッド5を閉じると、その閉じ動作によって上側連結片163と下側連結片165とが嵌合されて連結し、ロック片89と作動片111とが再び接続される。こうしてリッド5が閉じられた状態で、ロック動作が実行されると、作動片111が進行方向へ移動し、それに伴いロック片89が作動片111と同じ方向に押されて移動する。そうする
と、
図13に示すように、差込みピン部103が、挿通孔61を通してロック孔30に挿通され、ロック片掛止部93に掛け止められて、リッド5がその回転半径方向における外端部分でインレットボックス3に固定されたロック状態となる。
【0127】
図16に、リッド5が開位置にあるときに作動片11が進行移動した状態でのボックスアセンブリ1の
図13相当図を示す。また、
図17に、リッド5の閉じ動作で作動片111を押し戻しているときのボックスアセンブリ1の
図13相当図を示す。上記構成のボックスアセンブリ1では、リッド5が開位置にある状態で作動片111が意図せず進行方向に移動すると、作動片111は、リッド5の背面側に突き出た状態となる。しかし、本実施形態のボックスアセンブリ1は、リッド5に押戻し部179を備えているので、作動片111がリッド5に閊えることはない。
【0128】
すなわち、ボックスアセンブリ1では、作動片111がリッド5の背面側に突き出た状態でリッド5を閉じようと閉じ方向に回転させると、まず、
図16に示すように、押戻し部179の突出端部の前面がその作動片111の先端部に当接する。さらに、リッド5を閉じ方向に回転させていくと、当該リッド5の閉じ動作によって押戻し部179が作動片111を駆動源113側に押し戻していき、最終的には、
図17に示すように、作動片111がロック片89と接続可能な位置、つまり嵌合構造163で連結される位置まで押し戻される。そして、リッド5をそのまま閉じると、作動片111の下側連結片165が連結用開口157を通してロック片89の上側連結片163と連結されて、上述したロック動作を行うことが可能な状態となる。
【0129】
−実施形態3の効果−
この実施形態3に係るボックスアセンブリ1によると、作動片111とロック片89とが直線的な接続状態で連動して同じ方向に進退移動するようにしたので、作動片111の進行方向への移動によってロック片89が押された際にそれら作動片111やロック片89に撓みが生じるのを抑制し、作動片111からの進行方向への押圧力をロック片89に少ない損失で伝えることができる。また、ロック装置9を構成する各部品のインレットボックス3やリッド5に対する組付け精度のばらつきに起因するロック片89の進退量の変化を低減することができる。それによって、ロック片89を作動片111の進行方向への移動量に応じた距離に亘って移動させ、ロック片89の掛止めによるロック動作を確実に行うことができる。
【0130】
さらに、この実施形態3に係るボックスアセンブリ1によると、ロック片89と作動片111とをリッド5の回転方向において嵌合する嵌合構造161で接続し、リッド5の開閉動作に応じて連結したりその連結状態を解除したりするようにしたので、リッド5を閉じる動作だけでロック片89と作動片111とを接続してロック動作を行うことが可能な状態とすることができるし、リッド5を開く動作だけでロック片89と作動片111とが分離されるため、当該リッド5の開き動作を妨げることもない。よって、ロック片89と作動片111との連結及びその解除が可能な構成のために別途複雑な機構を必要とせず、リッド5の開閉操作に煩雑さを招くこともない。
【0131】
また、この実施形態3に係るボックスアセンブリ1によると、進行方向へ移動した作動片111をリッド5の閉じ動作によって押し戻す押戻し部179を設け、この押戻し部179によって作動片111をロック片89との連結位置にまで押し戻すようにしたので、リッド5が開いた状態にあるときに意図せず作動片111が進行方向へ移動しても、リッド5を閉じるだけでその作動片111を押し戻してロック片89と連結させることができる。それによって、リッド5が作動片111に閊えて閉まらなくなる事態に陥ることを回避でき、リッド5の閉じ動作でリッド5自体やロック片111が破損することもない。しかも、リッド5が開いた状態にあるときに意図せず進行方向へ移動した作動片111とロ
ック片89とを連結させるのに別途複雑な機構を設けなくて済む。
【0132】
《その他の実施形態》
図18に、車体のリヤフェンダ部161にリッド5を直接取り付けた態様の自動車の燃料供給部163を示す。なお、
図18では、便宜上、実施形態1,2のボックスアセンブリ1の構成に相当する部分には、同一の符号を付している。
【0133】
上記実施形態1,2では、リッド5がインレットボックス3とモジュール化されたボックスアセンブリ1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、
図11に示すように、車体のリヤフェンダ部163に凹部11を有したインレットボックス3が一体に設けられ、この凹部11の開口を開閉するリッド5がリヤフェンダ部163に直接取り付けられた構造において、リッド5をロックするロック装置9に対しても適用可能である。
【0134】
このロック装置9は、少なくとも、上記実施形態と同様な構成を有するロック片89、駆動機構91及びロック片掛止部93を備える。ロック片89は、リッド5に対し凹部11の開口を閉塞する面に沿った姿勢に取り付けられ、先端部がアーム部37から離れた位置でリッド5の外周側に臨み、リッド5が閉位置にあるときに凹部11内に位置する。駆動機構91は、上記実施形態1と同様に、ロック片89をリッド9の外周側に向けて進退移動させるように構成されている。
【0135】
ロック片掛止部93は、上記実施形態1と同様に、凹部11の周壁12のうち図示しない第1ロック孔30が形成された部分からなる。このロック片掛止部93は、凹部11の周壁13のうちリッド5が閉位置にあるときにロック片89の先端部が対応する部分に設けられており、当該ロック片89の先端部を第1ロック孔30に挿入することにより掛け止め可能になっている。
【0136】
こうした形態によっても、上記実施形態1と同様に、ロック装置9の破損及び動作不良を防止し、ロック装置9及びそれを備えるボックスアセンブリ1の大型化を抑え、リッド5のロック強度を高めることができる。このような構成を採用し得ることは、上記実施形態3においても同じである。
【0137】
以上のように、本発明の例示として、好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須でない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることを以て、直ちにそれらの必須でない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0138】
例えば、上記実施形態1〜3について、以下のような構成としてもよい。
【0139】
上記実施形態1では、ロック片掛止部93の第1ロック孔30は貫通孔であるとしたが、本発明はこれに限らない。貫通孔は第1ロック孔30の一例に過ぎず、当該第1ロック孔30は、ロック片89の差込みピン部103が対応する側に開口した凹部11であってもよい。このことは、上記実施形態2の第1ロック孔30及び上記実施形態3のロック孔30についても同じである。
【0140】
また、上記実施形態1では、ロック片掛止部93は凹部11の周壁12のうち第1ロック孔30が形成された部分からなるとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、ロック
片掛止部93は、凹部11の周壁12のうちリッド5が閉位置にあるときにロック片89の差込みピン部103が対応する部分の左側、つまり車外側で凹部11の内方に突出する突片であって、進行方向に移動された差込みピン部103が引っ掛かるように構成されていてもよい。このことは、上記実施形態2のロック片掛止部135及び上記実施形態3のロック片掛止部93についても同じである。
【0141】
また、上記実施形態1,2では、作動片掛止部95の第2ロック孔81は切欠きからなるとしたが、本発明はこれに限らない。切欠きは第2ロック孔81の一例に過ぎず、当該第2ロック孔81は、作動片111を挿通可能であれば、円形や四角形等の貫通孔であってもよい。
【0142】
また、上記実施形態1〜3では、リッド5が共に樹脂製のインナ部材39とアウタ部材41とを組み合わせてなるとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、リッド5は、一枚物の樹脂成形品であってもよいし、単体又は複数の金属製の部材によって構成されていても構わない。さらに、インレットボックス3についても、金属製の部材によって構成されていてもよい。
【0143】
また、上記実施形態1では、リッド5がインナ部材39とアウタ部材41との間に内部空間Sを有し、ロック片89のうち挿通孔61からリッド5の外側に延び出た部分を除く全体がその内部空間Sに収容されているとしたが、本発明はこれに限らない。ロック片89は、後退位置にあるときにはその全体が内部空間Sに収容されていてもよい。こうした構成は、ロック片89の破損を防止したり、ロック片89の露出を無くしてボックスアセンブリ1の意匠性を向上させたりできる点で好ましい。また、ロック片89は、挿通孔61以外でもリッド5の外側に露出されていてもよい。その他、リッド5は内部空間Sを有さず、ロック片89はリッド5の凹部11内方に臨む背面に取り付けられてその全体が露出していても構わない。
【0144】
また、上記実施形態2では、作動片111と第2ロック片139との2箇所でリッド5をインレットボックス3に固定する形態を説明したが、本発明はこれに限らず、それら作動片111及び第2ロック片139によるリッド5の固定に加え、上記実施形態1のロック片89と同様な構成を第1ロック片137に採用することにより、第1ロック片137によってもリッド5をインレットボックス3に固定するようにしてもよい。
【0145】
また、上記実施形態3では、ロック片89と作動片111とが互いに噛合するような嵌合構造によって接続される形態を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、ロック片89と作動片111とは、それら両片のうち一方の接続部分が凸部を有し、他方の接続部分がその凸部と嵌合する凹部を有し、これら凸部と凹部とを嵌合させることで互いに接続されるようになっていてもよいし、単純な突き合わせによって接続されるようになっていても構わない。
【0146】
また、上記実施形態1〜3では、本発明に係るハウジングユニット及び開閉体のロック装置について自動車の燃料供給部を構成するボックスアセンブリ1及びそのロック装置を例に挙げて説明したが、これに限らない。本発明は、電気自動車の給電口部(充電口部)を収容する給電部を構成するボックスアセンブリ及びそのリッドのロック装置にも適用することができるし、その他、凹部が設けられた被取付体に対し凹部開口を開閉する開閉体が取り付けられた構造体であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0148】
S…内部空間、1…ボックスアセンブリ(ハウジングユニット)、
3…インレットボックス(ハウジング)、5…リッド(開閉体)、7…開閉補助機構、
9…ロック装置、11…凹部、12…周壁、13…アーム収容部、15…底壁、
17…パイプ孔、19…グロメット、21…フランジ部、23…貫通孔、
25…シール部、27…突起、28…挿通孔、29…駆動機構搭載部、
30…第1ロック孔(ロック孔)、31…ヒンジ、33…支持ピン(枢支軸)、
35…リッド本体、37…アーム部、39…インナ部材、41…アウタ部材、
43…インナ本体部、45…主板部、47…外周板部、49…爪片、
53…ロック片保持部、55…側壁部、57…底壁部、59…係止爪、60…ストッパ、
61…挿通孔、69…湾曲部、71…折返し部、73…ピン孔、75…ベース板部、
77,79…側板部、81…第2ロック孔(掛止孔)、83…カム駒、
83a…トップ部、85…トーションばね、85a…支承部、87…支持突片、
89…ロック片、91…駆動機構、93…ロック片掛止部、95…作動片掛止部、
97…ロック規制部、99…ロック片本体部、101…連携部、102…摺動受け面、
103…差込みピン部、105…ばね受け面、107…圧縮コイルばね(付勢部材)、
109…凹溝、111…作動片、113…駆動源、121…ロック片保持部、
123…横置き保持部、125…縦置き保持部、127,129…側壁部、
131…端末壁部、133…ロック片、135…ロック片掛止部、
137…第1ロック片、139…第2ロック片、141…逃し凹部、
143…傾斜摺動面、145…差込みピン部、147…ばね受け面、
149…圧縮コイルばね(付勢部材)、151…傾斜摺動面、153…センター部分、
155…ロア部分、157…連結用開口、159…ばね引掛部、161…嵌合構造、
163…上側連結片、165…下側連結片、167…凸部、169,171…凹部、
173…凸部、175…ばね引掛部、177…引張コイルばね、179…押戻し部、
181…リヤフェンダ部(車体)、183…燃料供給部