(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第4制御部は、前記第1計数部によって計数された前記第1動作回数が前記第1閾値に達した後、前記キャップを前記インクヘッドに取り付けて、前記第1クリーニング動作を実行する、請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
前記第1計数部は、前記第4制御部が前記第1クリーニング動作を実行したとき、前記第1動作回数をゼロに設定する、請求項1または2に記載のインクジェット式記録装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら、第1実施形態に係るインクジェット式記録装置について説明する。第1実施形態に係るインクジェット式記録装置は、記録媒体に印刷を行うインクジェットプリンタ(以下、プリンタという。)10である。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るプリンタ10の斜視図である。
図2は、本実施形態に係るプリンタ10の主要部の正面図である。プリンタ10は、記録媒体5に印刷を行うためのものである。なお、記録媒体5には、普通紙などの紙類はもちろんのこと、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC)やポリエステルなどの樹脂材料、アルミニウム、鉄、木材などの各種の材料からなる媒体が含まれる。
【0012】
以下の説明では、左、右、上、下とは、プリンタ10の正面にいる作業者から見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、プリンタ10から上記作業者に近づく方を前方、遠ざかる方を後方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。後述するインクヘッド20(
図2参照)は左方および右方に移動可能である。記録媒体5は、前方および後方に搬送可能である。ただし、これは説明の便宜上の方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではない。
【0013】
図1に示すように、プリンタ10は、本体部12と、本体部12に設けられたプラテン14とを備えている。プラテン14には記録媒体5が配置される。
【0014】
図2に示すように、プリンタ10は、本体部12に設けられたガイドレール13を備えている。ガイドレール13は、左右方向に延びている。ガイドレール13には、キャリッジ30が係合している。キャリッジ30は、キャリッジ移動機構8によって、ガイドレール13に沿って左右方向(主走査方向)に往復移動する。キャリッジ移動機構8は、ガイドレール13の左端側および右端側に配置されたプーリ19bおよびプーリ19aを有している。プーリ19aには、キャリッジモータ8aが連結されている。なお、キャリッジモータ8aはプーリ19bに連結されていてもよい。プーリ19aは、キャリッジモータ8aによって駆動される。プーリ19aおよびプーリ19bには、それぞれ無端状のベルト16が巻き掛けられている。キャリッジ30はベルト16に固定されている。プーリ19aおよびプーリ19bが回転してベルト16が走行すると、キャリッジ30が左右方向に移動する。このように、キャリッジ30はガイドレール13に沿って左右方向に移動可能に構成されている。
【0015】
プラテン14には、上下一対のグリッドローラ(図示せず)およびピンチローラ(図示せず)が設けられている。グリッドローラはフィードモータ(図示せず)に連結されている。グリッドローラはフィードモータによって回転駆動される。記録媒体5(
図1参照)がグリッドローラとピンチローラとの間に挟まれた状態でグリッドローラが回転すると、記録媒体5は前後方向(副走査方向)に搬送される。
【0016】
図2に示すように、本体部12は、複数のインクカートリッジ11を備えている。インクカートリッジ11はインクを貯留するタンクである。具体的には、複数のインクカートリッジ11C、11M、11Y、11K、11Wは、本体部12に着脱自在に装着されている。より詳細には、複数のインクカートリッジ11C、11M、11Y、11K、11Wは、それぞれ後述するインク経路40(
図3参照)の一端42(
図3参照)に着脱自在に接続されている。インクカートリッジ11Cには、シアンインクが貯留されている。インクカートリッジ11Mには、マゼンタインクが貯留されている。インクカートリッジ11Yには、イエローインクが貯留されている。インクカートリッジ11Kには、ブラックインクが貯留されている。インクカートリッジ11Wには、ホワイトインクが貯留されている。インクカートリッジ11には、それぞれインク取出口(図示せず)が取り付けられている。
【0017】
図2に示すように、プリンタ10は、各色のインクが貯留されたインクカートリッジ11ごとにインク供給システム35を有している。インク供給システム35は、インクカートリッジ11に加えて、インクヘッド20と、ダンパー80と、インク経路40と、供給ポンプ50と、圧力制御弁36と、を備えている。供給ポンプ50は、インク供給装置の一例である。インクヘッド20およびダンパー80はキャリッジ30に搭載され、左右方向に往復移動する。一方、インクカートリッジ11は、キャリッジ30に搭載されておらず、左右方向に往復移動しない。そのため、キャリッジ30が左右方向に移動してもインク経路40が破損しないように、インク経路40の大部分(少なくとも全長の半分以上)は、左右方向に延びた状態で配置されている。本実施形態では、5種類のインクを利用しているため、合計5本のインク経路40が設けられている。インク経路40は、ケーブル類保護案内装置32で覆われている。ケーブル類保護案内装置32とは、例えばケーブルベア(登録商標)である。
【0018】
以下では、一例として、シアンインクを貯留するインクカートリッジ11C、インクヘッド20、ダンパー80、インク経路40、供給ポンプ50および圧力制御弁36を備えたインク供給システム35について説明する。なお、インクカートリッジ11M、11Y、11K、11Wを含むインク供給システム35についても同様の構成である。
図3は、インクカートリッジ11Cからインクヘッド20へインクを供給する構造を示すブロック図である。
図3では、印刷時にインクの流れる方向を矢印Zで示している。
【0019】
図3に示すように、インクヘッド20は、記録媒体5(
図2参照)にインクを吐出する複数のノズル22と、複数のノズル22が形成されたノズル面24とを備えている。ノズル面24は、キャリッジ30(
図2参照)の底面から外部に露出している。
【0020】
図3に示すように、インクカートリッジ11Cとダンパー80とは、インク経路40を介して連通している。インク経路40の一端42は、インクカートリッジ11Cのインク取出し口に着脱可能に接続している。インク経路40の他端44は、ダンパー80に接続している。インク経路40は、インクカートリッジ11Cからダンパー80およびインクヘッド20にインクを導く流路を形成している。インク経路40は、柔軟性や可撓性を有し、弾性変形可能なように構成されている。インク経路40の構成は特に限定されないが、本実施形態では樹脂製の変形容易なチューブである。ただし、チューブ以外の材料で構成されていてもよい。インク経路40の一部がチューブによって構成されていてもよい。
【0021】
図3に示すように、インク経路40は、チューブ40A、チューブ40Bおよびチューブ40Cを備えている。チューブ40Aは、インクカートリッジ11Cと圧力制御弁36とを連通する。チューブ40Bは、圧力制御弁36と供給ポンプ50とを連通する。チューブ40Cは、供給ポンプ50とダンパー80とを連通する。このような経路によって、インクカートリッジ11Cからダンパー80を介してインクヘッド20にインクが供給される。
【0022】
図3に示すように、供給ポンプ50は、インク経路40に配置されている。供給ポンプ50は、インクカートリッジ11Cからダンパー80に向かってインクを供給する(送り出す)ことができる。本実施形態の供給ポンプ50は、チューブポンプであるがこれに限定されない。チューブポンプを用いることで、部品点数の削減と、構成の簡素化とを図ることができる。供給ポンプ50は、プリンタ10の電源オフ時に開いた状態になる。
【0023】
図3に示すように、圧力制御弁36は、インク経路40に配置されている。圧力制御弁36は、インクカートリッジ11Cと供給ポンプ50との間に設けられている。圧力制御弁36は、プリンタ10の電源オフ時にインクヘッド20のノズル22を負圧に制御し、インク漏れを防止する役割を担う。
【0024】
図3に示すように、ダンパー80は、インクヘッド20に連通し、インクヘッド20にインクを補給する役割を担う。また、ダンパー80は、インクの圧力変動を緩和する役割を担う。ダンパー80によって、インクヘッド20のインク吐出動作が安定化される。ダンパー80は、インク経路40に設けられている。ダンパー80は、インクカートリッジ11Cから供給されたインクが一時的に貯留される貯留室83を備えている。ダンパー80とインクヘッド20とは、チューブ26によって連通している。
【0025】
図4は、第1実施形態に係るダンパー80の側面図である。
図5は、
図4に示すダンパー80のV−V線縦断面図である。
図5に示すように、ダンパー80は、一面(
図5の右側の面)が開口した中空構造のケース本体81と、当該開口部分を覆うようにケース本体81の外壁面に取り付けられたダンパー膜82とを備えている。ケース本体81は、典型的には樹脂製である。ケース本体81とダンパー膜82とに囲まれた領域が、貯留室83である。ダンパー膜82の貯留室83と反対側の面には、レバー87が配置されている。なお、本実施形態のダンパー80は、いわゆる弁構造を有していない。
【0026】
図4に示すように、ケース本体81の上壁81aには、インクが流入するインク流入口86aが形成されている。インク流入口86aは、チューブ40C(
図3参照)に接続され、インクカートリッジ11Cと連通している。ケース本体81の下壁81bには、インクが流出するインク流出口86bが形成されている。インク流出口86bは、チューブ26(
図3参照)に接続され、インクヘッド20(
図3参照)と連通している。インク流入口86aおよびインク流出口86bは、それぞれ貯留室83と連通している。本実施形態では、貯留室83は直方体形状に形成されている。貯留室83には所定量のインクが一時的に貯留される。
【0027】
図5に示すように、ダンパー膜82は、貯留室83の内側および外側にそれぞれ撓むことができる程度の張力で、例えば熱溶着により、ケース本体81の縁部に貼り付けられている。ダンパー膜82は、感圧膜の一例であり、貯留室83内の圧力に応じて撓み変形可能なように構成されている。ダンパー膜82は、典型的には可撓性を有する樹脂製のフィルムである。
【0028】
図5に示すように、ダンパー80は、テーパーバネ84と、受圧板85とを備えている。テーパーバネ84の一端は、貯留室83の内部において、ケース本体81のダンパー膜82と対向する側壁81cに取り付けられている。テーパーバネ84の他端は、受圧板85に接続されている。テーパーバネ84は、受圧板85を介してダンパー膜82を貯留室83の外側に押圧する弾性部材の一例である。テーパーバネ84は、円錐台形状である。テーパーバネ84は、圧縮された状態に維持されている。これによって、ダンパー膜82は貯留室83の外側(
図5の右側)に向けて押圧され、撓んだ状態となっている。貯留室83に貯留されたインクが所定量まで減少して、貯留室83内がある程度減圧されると、ダンパー膜82はテーパーバネ84のばね力(弾性力)に抗して貯留室83の内側に撓む。受圧板85は、貯留室83の内部において、ダンパー膜82とテーパーバネ84との間に配置されている。受圧板85は、貯留室83の外側に向かってダンパー膜82を均質的に押圧するように、ダンパー膜82の略中央に配置されている。本実施形態では、受圧板85は円板形状に形成されている。
【0029】
印刷時以外のとき、つまりインクヘッド20からインクが吐出されないとき、ダンパー80の貯留室83には所定量以上のインクが貯留されている。このとき、ダンパー膜82は、テーパーバネ84のばね力によって、貯留室83の外側に撓んでいる。これによって、貯留室83内が負圧に保たれ、貯留室83と連通するインクヘッド20のノズル面24も負圧に維持される。これにより、インクヘッド20のノズル22からのインク漏れが防止される。
【0030】
図5に示すように、ダンパー80は、レバー87を備えている。レバー87は、貯留室83の外側に配置されている。レバー87は、2つの固定部87aによってケース本体81の壁面に固定されている。レバー87は、ダンパー膜82を介して、受圧板85の中央部85cと接触可能に配置されている。レバー87は、受圧板85の中央部85cと接触可能な凸部87bを備えている。凸部87bは、レバー87から貯留室83に向けて突出する。レバー87は、バネ部材87cによって貯留室83に対して接近および離反自在に配置されている。レバー87の凸部87bは、常にダンパー膜82と接触している。
図6に示すように、レバー87の先端部には、後述のフォトインタラプタ56の検出領域56C内を移動可能に設けられた板部材87dが設けられている。
図7に示すように、板部材87dは、レバー87の先端部から左右方向に延びる。
【0031】
レバー87は、ダンパー膜82の撓み変形に基づいて変位する。
図8に示すように、貯留室83(
図4参照)に貯留されているインクが減少すると、ダンパー膜82が貯留室83の内側(
図8の矢印X1の方向)に所定量撓む。このダンパー膜82の撓み変形に伴って、レバー87は貯留室83に近づく方向(
図8の矢印Y1の方向)に所定量変位する。一方、
図7に示すように、貯留室83にインクが供給されてインクが増加すると、ダンパー膜82が貯留室83の外側(
図7の矢印X2の方向)に所定量撓む。ダンパー膜82の撓み変形に伴って、レバー87は貯留室83から離れる方向(
図7の矢印Y2の方向)に所定量変位する。
【0032】
図6に示すように、プリンタ10は、フォトインタラプタ56を備えている。フォトインタラプタ56は、検出装置の一例である。フォトインタラプタ56は、例えば、赤外線などの光を発する発光素子を有する発光部56Aと、発光部56Aから発せられた光を感知する受光素子を有する受光部56Bとを備えている。発光部56Aと受光部56Bは、互いに対向するように配置されている。発光部56Aと受光部56Bとの間に検出領域56Cが設けられている。フォトインタラプタ56は、レバー87の位置変化に基づいて、貯留室83内のインク残量が所定の量であるか否かを検出することができる。
【0033】
図8に示すように、ノズル22(
図3参照)からインクが吐出されることによって貯留室83(
図4参照)内のインクが減少すると、レバー87が貯留室83に近づく方向(
図8の矢印Y1の方向)に移動する。レバー87が貯留室83にさらに近づく方向に移動すると、レバー87の板部材87dが検出領域56Cに侵入し、発光部56Aから照射された光を遮る。これにより、フォトインタラプタ56は、貯留室83に含まれるインクの残量が第1の量であると検出する。フォトインタラプタ56において、光が遮られたことが検出されると、フォトインタラプタ56から制御装置60に第1信号が送られる。制御装置60はこの第1信号を受信すると、供給ポンプ50を作動してインクカートリッジ11Cから貯留室23にインクを供給する。
【0034】
一方、
図7に示すように、貯留室83(
図4参照)にインクが供給されることによって貯留室83内のインクが増加すると、レバー87が貯留室83から離れる方向(
図7の矢印Y2の方向)に移動する。レバー87が貯留室83からさらに離れる方向に移動すると、レバー87の板部材87dが検出領域56Cから外れ、発光部56Aから照射された光は受光部56Bに受光される。これにより、フォトインタラプタ56は、貯留室83に含まれるインクの残量が第2の量であると検出する。フォトインタラプタ56において、光を受光したことが検出されると、フォトインタラプタ56から制御装置60に第2信号が送られる。制御装置60はこの第2信号を受信すると、供給ポンプ50を停止してインクカートリッジ11Cから貯留室23にインクを供給することを停止する。これにより、インク貯留室23内に第2の量以上のインクを維持することができ、インク吐出ヘッド15に安定的にインクを供給することができる。
【0035】
図3に示すように、インク供給システム35は、キャップ52と、吸引チューブ53(
図9参照)と、吸引ポンプ54とを備えている。キャップ52は、印刷時以外において、インクヘッド20のノズル面24に形成されたノズル22を覆うようにインクヘッド20に着脱可能に取り付けられる。
図9に示すように、吸引チューブ53は、キャップ52と吸引ポンプ54に接続している。キャップ52がインクヘッド20に取り付けられたときに、キャップ52とノズル面24との間に密閉空間が形成される。これにより、インクヘッド20に付着したインクの乾燥が抑制され、ノズル22の詰まりが防止される。吸引ポンプ54は、キャップ52に接続されている。吸引ポンプ54は、密閉空間内の流体(例えば、空気やインク。)および固体(固形化したインクやごみ等)を吸引するものである。インクヘッド20にキャップ52を取り付けた状態で吸引ポンプ54を駆動すると、密閉空間内の流体が吸引される。例えば、プリンタを使用しない状態が長く続くと、ノズル22に乾燥・固化したインクが目詰まりすることがある。上記構成によれば、乾燥・固化したインクを好適に除去することができる。これにより、安定した印刷を行うことができる。
【0036】
図9に示すように、プリンタ10(
図1参照)は、ワイパー46を備えている。ワイパー46は、可撓性を有している。ワイパー46は、例えばゴムによって形成されている。ワイパー46は、インクヘッド20のノズル面24に付着したインクや汚れを拭き取る(ワイピング)。ワイパー46は、インクヘッド20が左右方向に移動することでノズル面24をワイピングする。
【0037】
図9に示すように、プリンタ10は、フラッシングユニット48を備えている。フラッシングユニット48には、図示しないフラッシュ用紙が設けられている。フラッシュ用紙とは、ノズル22から所定量のインクをフラッシングユニット48に吐出するフラッシング動作の際に、ノズル22から吐出されるインクを吸収する紙である。
【0038】
図2に示すように、プリンタ10は、制御装置60を備えている。プリンタ10の全体の動作は、制御装置60によって制御される。制御装置60は、例えば、コンピュータであり、中央演算処理装置(以下、CPUという)と、CPUが実行するプログラムなどを格納したROMと、RAMなどを備えていてもよい。制御装置60は、キャリッジモータ8a、インクヘッド20、供給ポンプ50、吸引ポンプ54およびフォトインタラプタ56に接続されている。制御装置60は、供給ポンプ50の作動および停止を制御する。制御装置60は、吸引ポンプ54の作動および停止を制御する。
【0039】
図10は、制御装置60のブロック図である。
図10に示すように、制御装置60は、第1制御部61と、第2制御部62と、第3制御部63と、第4制御部64と、第1計数部65と、第2計数部66と、通知部70と、第1判定部71と、第2判定部72と、第3判定部73と、第4判定部74とを備えている。なお、上述した各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。
【0040】
図11は、ノズル22(
図3参照)の目詰まりを検出および解消する手順を示したフローチャートである。
図11に示すように、制御装置60は、フラッシング動作を行うことによってノズル22の目詰まりを検出し、フラッシング動作および第1クリーニング動作を行うことによってノズル22の目詰まりを解消する。
【0041】
ステップS10において、第2制御部62は、ノズル22から所定量のインクを吐出するフラッシング動作を実行する。第2制御部62は、定期的に、フラッシング動作を実行する。定期的にとは、例えば、インクヘッド20がプラテン14上を一往復するごとや、所定の時間間隔(例えば10分〜1時間程度)ごとを意味する。所定量のインクとは、ノズル22から吐出することによって貯留室83内のインクが減少し、ダンパー80のレバー87の板部材87dが検出領域56Cに侵入して、フォトインタラプタ56の発光部56Aから照射された光を遮ることができるインク量であり、例えば、一つのノズル22から1千発〜2万発程度のインクを吐出したときの総インク量である。本実施形態では、一回のフラッシング動作で、一つのノズルから1万発のインクを吐出する。第1計数部65は、フラッシング動作の第1動作回数fを計数する。ステップS10において、第1計数部65は、第1動作回数fを1とする。
【0042】
ステップS20において、第1判定部71は、フラッシング動作の後にダンパー80の貯留室83に含まれるインクの残量が第1の量であるかを判定する。ここで、ノズル22から適切にインクが吐出されている場合には、貯留室83内のインクが十分に減少して、レバー87が貯留室83に近づく方向(
図8の矢印Y1の方向)に移動し、レバー87の板部材87dが検出領域56Cに侵入して、フォトインタラプタ56の発光部56Aから照射された光を遮る。これにより、フォトインタラプタ56は、貯留室83に含まれるインクの残量が第1の量であると検出し、第1信号を第1判定部71に送信する。一方、ノズル22から適切にインクが吐出されていない場合、即ちノズル22に目詰まりが発生している場合には、貯留室83内のインクが十分に減少せず、レバー87の板部材87dが検出領域56Cに侵入しない。このため、フォトインタラプタ56からの第1信号は、第1判定部71に送信されない。即ち、第1判定部71は、フォトインタラプタ56から第1信号が送られたか否かを判定する。第1判定部71が第1信号を受信した場合には、貯留室83のインクの残量が第1の量であると判定され、ステップS100に進む。一方、第1判定部71が第1信号を受信しない場合には、貯留室83のインクの残量が第1の量でないと判定され、ステップS30に進む。
【0043】
ステップS30において、第3判定部73は、フラッシング動作の第1動作回数fが第1閾値fx以上であるか否かを判定する。第3判定部73によって、第1動作回数fが第1閾値fx以上であると判定された場合、ステップS60に進む。一方、第3判定部73によって、第1動作回数fが第1閾値fx未満であると判定された場合、ステップS40に進む。本実施形態では、例えば、第1閾値fxは20である。
【0044】
ステップS40において、第3制御部63は、上記フラッシング動作を実行する。即ち、第3制御部63は、フラッシング動作の後に貯留室83に含まれるインクの残量が第1の量であるとフォトインタラプタ56に検出されるまで(ステップS20において第1判定部71が第1信号を受信するまで)、上記フラッシング動作を繰り返し実行する。ステップS40において、ノズル22の目詰まりの程度が軽度の場合には、上記フラッシング動作を繰り返し行うことによってノズル22の目詰まりが解消される。
【0045】
ステップS50において、第1計数部65は、第1動作回数fの値に「1」を加算する。そして、ステップS20に戻る。
【0046】
ステップS60において、第4判定部74は、第1クリーニング動作の第2動作回数mが第2閾値mx以上であるか否かを判定する。第4判定部74によって、第2動作回数mが第2閾値mx以上であると判定された場合、ステップS90に進む。一方、第4判定部74によって、第2動作回数mが第2閾値mx未満であると判定された場合、ステップS70に進む。本実施形態では、例えば、第2閾値mxは1である。
【0047】
ステップS70において、第4制御部64は、キャップ52をインクヘッド20に取り付けて、密閉空間内の流体を吸引ポンプ54によって吸引する第1クリーニング動作を実行する。第4制御部64は、第1計数部65によって計数された第1動作回数fが第1閾値fxに達した場合、第1クリーニング動作を実行する。第4制御部64は、第1動作回数fが第1閾値fxに達した後に、キャップ52をインクヘッド20に取り付けてもよいし、第1動作回数fが第1閾値fxに達する前(例えば第1動作回数fがfx−1のとき)にキャップ52をインクヘッド20に取り付けてもよい。第4制御部64は、第1クリーニング動作を実行するとき、密閉空間内の流体を吸引した後にワイパー46によってインクヘッド20のノズル面24をワイピングする。第2計数部66は、第1クリーニング動作の第2動作回数mを計数する。ステップS70において、上記フラッシング動作では解消しなかったノズル22の目詰まりであっても、ノズル22の目詰まりが重度でない場合には、上記第1クリーニング動作を行うことによってノズル22の目詰まりが解消される。
【0048】
ステップS80において、第2計数部66は、第2動作回数mの値に「1」を加算する。また、第1計数部65は、第1動作回数fの値を「0」に設定する。そして、ステップS20に戻る。
【0049】
ステップS90において、通知部70は、ノズル22の異常を作業者に通知する。即ち、通知部70は、第2計数部66によって計数された第2動作回数mが第2閾値mxに達した場合、ノズル22の異常を作業者に通知する。ステップS90において、上記フラッシング動作および第1クリーニング動作ではノズル22の目詰まりが解消しないため、通常のメンテナンス作業に代えてより高度なメンテナンス作業が必要であることを作業者に通知する。なお、通知方法は特に限定されず、例えば、視覚的な表示、音声等による通知が挙げられる。本実施形態では、表示装置(図示せず)を通じて視覚的に作業者に対する通知を行う。
【0050】
ステップS100において、第1制御部61は、供給ポンプ50を作動して、インクカートリッジ11Cから貯留室83にインクを供給する。即ち、第1制御部61は、貯留室83に含まれるインクの残量が第1の量であるとフォトインタラプタ56に検出されたとき(第1判定部71が第1信号を受信したとき)、供給ポンプ50を作動する。
【0051】
ステップS110において、第2判定部72は、貯留室83に含まれるインクの残量が第1の量より多い第2の量であるかを判定する。ここで、貯留室83にインクが供給されると、レバー87が貯留室83から離れる方向((
図7の矢印Y2の方向)に移動し、レバー87の板部材87dが検出領域56Cから外れ、発光部56Aから照射された光が受光部56Bに受光される。これにより、フォトインタラプタ56は、貯留室83に含まれるインクの残量が第2の量であると検出し、第2信号を第2判定部72に送信する。即ち、第2判定部72は、フォトインタラプタ56から第2信号が送られたか否かを判定する。第2判定部72が第2信号を受信した場合には、貯留室83のインクの残量が第2の量であると判定され、ステップS120に進む。一方、第2判定部が第2信号を受信しない場合には、貯留室83のインクの残量が第2の量でないと判定され、ステップS110を繰り返す。
【0052】
ステップS120において、第1制御部61は、供給ポンプ50を停止して、インクカートリッジ11Cから貯留室83へのインク供給を停止する。即ち、第1制御部61は、貯留室83に含まれるインクの残量が第2の量であるとフォトインタラプタ56に検出されたとき(第2判定部72が第2信号を受信したとき)、供給ポンプ50を停止する。
【0053】
ステップS130において、第1計数部65は、第1動作回数fの値を「0」に設定する。また、第2計数部66は、第2動作回数mの値を「0」に設定する。このようにして、制御装置60は、ノズル22の目詰まり検出および解消処理を終了する。
【0054】
以上のように、本実施形態のプリンタ10によると、第2制御部62によって定期的に実行されるフラッシング動作において、ノズル22からインクが吐出された後に、ダンパー80の貯留室83に含まれるインクの残量が第1の量となる場合には、ノズル22において目詰まりが発生しておらず、ノズル22から良好にインクが吐出されていると判断することができる。また、第2制御部62によって実行されたフラッシング動作において貯留室83に含まれるインクの残量が第1の量とならないときであっても、第3制御部63によってフラッシング動作が繰り返し行われた後に、貯留室83に含まれるインクの残量が第1の量となる場合には、フラッシング動作の初期段階ではノズル22において目詰まりが発生していたが、その後のフラッシング動作によってノズル22の目詰まり等が解消され、ノズル22から良好にインクが吐出されるようになったと判断することができる。さらに、フラッシング動作を所定の回数繰り返したにも関わらず、貯留室83に含まれるインクの残量が第1の量にならない場合には、ノズル22においてフラッシング動作では解消できない程度の目詰まり等が発生していると考えられる。このため、第4制御部64は、密閉空間内の流体を吸引ポンプ54によって吸引する第1クリーニング動作を実行する。これにより、ほとんどのノズル22の目詰まりは解消することができる。このように、プリンタ10では、ノズル22に目詰まりが発生している場合には、最初にインクの吐出量が比較的少ないフラッシング動作を繰り返し行うことによって、目詰まりの解消を試みる。そして、フラッシング動作ではノズル22の目詰まりを解消できない場合には、インクの吐出量が比較的多いが、ノズル22の目詰まりの解消により適している第1クリーニング動作を実行する。これにより、ノズル22の目詰まりが発生しているときに一律に第1クリーニング動作を実行する場合と比較して、ノズル22の目詰まりの解消のときに吐出されるインク量を低減することができる。
【0055】
本実施形態のプリンタ10によると、第4制御部64は、第1計数部65によって計数された第1動作回数fが第1閾値fxに達した後、キャップ52をインクヘッド20に取り付けて、第1クリーニング動作を実行する。このように、キャップ52の取り付けから第1クリーニング動作までの処理を一つの処理として扱うことができるため、制御が簡略化される。
【0056】
本実施形態のプリンタ10によると、第1計数部65は、第4制御部64が第1クリーニング動作を実行したとき、第1動作回数fをゼロに設定する。これにより、第1クリーニング動作後に再びフラッシング動作を実行することができ、少ないインク量でノズル22の目詰まりの解消を試みることができる。
【0057】
本実施形態のプリンタ10によると、制御装置60は、第1クリーニング動作の第2動作回数mを計数する第2計数部66と、第2計数部66によって計数された第2動作回数mが第2閾値mxに達した場合、ノズル22の異常を通知する通知部70と、をさらに備えている。これにより、第1クリーニング動作によってもノズル22の目詰まりを解消することができないことを作業者に知らせることができる。
【0058】
本実施形態のプリンタ10によると、ノズル面24をワイピングするワイパー46を備え、第4制御部64は、第1クリーニング動作を実行するとき、密閉空間内の流体を吸引した後にワイパー46によってノズル面24をワイピングする。これにより、ノズル面24からインクを取り除くことができ、ノズル面24でのインクの固化を抑制することができる。
【0059】
本実施形態のプリンタ10によると、フォトインタラプタ56は、レバー87の板部材87dがフォトインタラプタ56の検出領域56Cを遮ったとき、ダンパー80の貯留室83に含まれるインクの残量が第1の量であると検出する。このように、貯留室83に含まれるインクが減少してレバー87がケース本体81に近づく方向に移動することによって、レバー87の板部材87dがフォトインタラプタ56の検出領域56Cを遮り、インクの残量が第1の量であると検出される。
【0060】
<第2実施形態>
図12は、第2実施形態に係る制御装置60のブロック図である。
図12に示すように、制御装置60は、第3計数部67と、第5判定部75をさらに備えている。
【0061】
図13は、ノズル22の目詰まりを検出および解消する手順を示した第2実施形態に係るフローチャートである。なお、第1実施形態と同様の処理については、その説明を省略する。
【0062】
ステップS150において、第5判定部75は、第2クリーニング動作の第3動作回数nが第3閾値nx以上であるか否かを判定する。第5判定部75によって、第3動作回数nが第3閾値nx以上であると判定された場合、ステップS190に進む。一方、第5判定部75によって、第3動作回数nが第3閾値nx未満であると判定された場合、ステップS160に進む。本実施形態では、例えば、第3閾値nxは1である。
【0063】
ステップS160において、第4制御部64は、キャップ52をインクヘッド20に取り付けて、密閉空間内の流体を吸引ポンプ54によって吸引する第2クリーニング動作を実行する。第4制御部64は、第2計数部66によって計数された第2動作回数mが第2閾値mxに達した場合、第2クリーニング動作を実行する。第4制御部64は、第2動作回数mが第2閾値mxに達した後に、キャップ52をインクヘッド20に取り付けてもよいし、第2動作回数mが第2閾値mxに達する前(例えば第2動作回数mがmx−1のとき)にキャップ52をインクヘッド20に取り付けてもよい。ここで、第2クリーニング動作では、第1クリーニング動作のときに密閉空間内の流体を吸引する第1時間より長い第2時間だけ密閉空間内の流体を吸引する。第2クリーニング動作では、第1クリーニング動作に比べて、吸引ポンプ54の出力を大きくしている。第4制御部64は、第2クリーニング動作を実行するとき、密閉空間内の流体を吸引した後にワイパー46によってインクヘッド20のノズル面24をワイピングする。第3計数部67は、第2クリーニング動作の第3動作回数nを計数する。ステップS160において、上記第1クリーニング動作では解消しなかったノズル22の目詰まりであっても、上記第2クリーニング動作を行うことによってノズル22の目詰まりが解消される可能性が高まる。
【0064】
ステップS170において、第3計数部67は、第3動作回数nの値に「1」を加算する。また、第1計数部65は、第1動作回数fの値を「0」に設定する。さらに、第2計数部66は、第2動作回数mの値を「0」に設定する。そして、ステップS20に戻る。
【0065】
ステップS190において、通知部70は、ノズル22の異常を作業者に通知する。即ち、通知部70は、第3計数部67によって計数された第3動作回数nが第3閾値nxに達した場合、ノズル22の異常を作業者に通知する。ステップS190において、上記フラッシング動作、第1クリーニング動作および第2クリーニング動作ではノズル22の目詰まりが解消しないため、通常のメンテナンス作業に代えてより高度なメンテナンス作業が必要であることを作業者に通知する。
【0066】
ステップS230において、第1計数部65は、第1動作回数fの値を「0」に設定する。また、第2計数部66は、第2動作回数mの値を「0」に設定する。さらに、第3計数部67は、第3動作回数nの値を「0」に設定する。このようにして、制御装置60は、ノズル22の目詰まり検出および解消処理を終了する。
【0067】
本実施形態のプリンタ10によると、第4制御部64は、第2計数部66によって計数された第2動作回数mが第2閾値mxに達した場合、第1クリーニング動作のときに密閉空間内の流体を吸引する第1時間より長い第2時間だけ密閉空間内の流体を吸引する第2クリーニング動作を実行する。これにより、第1クリーニング動作では解消できないようなノズル22の目詰まりであっても、第2クリーニング動作で解消できる可能性が高まる。
【0068】
本実施形態のプリンタ10によると、第2計数部66は、第4制御部64が第2クリーニング動作を実行したとき、第2動作回数mをゼロに設定する。これにより、第2クリーニング動作後に再び第1クリーニング動作を実行することができ、少ないインク量でノズル22の目詰まりの解消を試みることができる。
【0069】
本実施形態のプリンタ10によると、制御装置60は、第2クリーニング動作の第3動作回数nを計数する第3計数部67と、第3計数部67によって計数された第3動作回数nが第3閾値nxに達した場合、ノズル22の異常を通知する通知部70と、をさらに備えている。これにより、ノズル22の目詰まりの解消性能がより高い第2クリーニング動作によってもノズル22の目詰まりを解消することができないことを作業者に知らせることができる。
【0070】
上述した実施形態では、検出装置としてフォトインタラプタ56を用いて、ダンパー膜82の撓み変形に基づくレバー87の変位によって貯留室83内のインク残量を検出していたが、検出装置はこれに限定されない。ダンパー膜82の撓み変形量から貯留室83内のインク残量を検出するような構成であってもよい。また、インク残量を直接検出するような構成であってもよい。
【0071】
上述した実施形態では、プリンタ10は、フラッシングユニット48を備えていたが、プリンタ10は、フラッシングユニット48を備えていなくてもよい。この場合、フラッシング動作は、キャップ52をインクヘッド20に取り付けた状態で行われる。即ち、フラッシング動作を行うと、ノズル22から所定量のインクがキャップ52内に吐出される。
【0072】
上述した実施形態では、第2クリーニング動作では、第1クリーニング動作のときに密閉空間内の流体を吸引する第1時間より長い第2時間だけ密閉空間内の流体を吸引したり、第1クリーニング動作に比べて、吸引ポンプ54の出力を大きくしたりしていたが、これに限定されない。例えば、第2クリーニング動作において、ワイパー46とは別途に設けられた専用のフェルトで、ノズル面24をワイピングしてもよい。また、第2クリーニング動作において、ワイパー46や上記専用のフェルトによるノズル面24のワイピング回数を、第1クリーニング動作に比べて多くしてもよい。また、第2クリーニング動作において、密閉空間内の流体を吸引する吸引動作を繰り返し行ってもよい。さらに、第2クリーニング動作において、インクヘッド20の上流部(例えばインク経路40)を閉鎖した状態で密閉空間内の流体を吸引し、ノズル面24周辺の圧力が所定の負圧になってから上記上流部を開放してもよい。