特許第6682415号(P6682415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682415
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】圧着シート
(51)【国際特許分類】
   B42D 15/02 20060101AFI20200406BHJP
   C09J 7/20 20180101ALI20200406BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20200406BHJP
   C09D 11/30 20140101ALI20200406BHJP
【FI】
   B42D15/02 501B
   C09J7/20
   C09J201/00
   C09D11/30
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-193294(P2016-193294)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2018-52046(P2018-52046A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】河染 満
(72)【発明者】
【氏名】森田 翔
【審査官】 藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−213467(JP,A)
【文献】 特開2004−68232(JP,A)
【文献】 特開平09−058159(JP,A)
【文献】 実開平07−012262(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0012324(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 11/00
B42D 15/02
G09F 3/10
C09J 7/20− 7/29
C09J 201/00−201/10
C09D 11/30− 11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離可能に接着される2つのシート部の少なくとも一方のシート部の接着面に印刷層が形成された後、前記印刷層が形成された面に水性エマルジョン型感圧接着剤により接着剤層が形成され、前記接着剤層によって前記2つのシート部が剥離可能に接着された圧着シートであって、
前記印刷層は、
前記シート部の少なくとも1つの端辺に沿う領域の少なくとも一部に水性顔料インクを用いて形成された第1の印刷層と、
前記第1の印刷層が形成されたシート部の前記第1の印刷層以外の領域の少なくとも一部に紫外線硬化型インクを用いて形成された第2の印刷層とを有し、
前記接着剤層は、前記第1及び第2の印刷層のそれぞれの少なくとも一部の上に形成されている、圧着シート。
【請求項2】
請求項1に記載の圧着シートにおいて、
前記第1の印刷層は、前記水性顔料インクを用いた網点濃度が50%以上の印刷によって形成されている、圧着シート。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の圧着シートにおいて、
前記印刷層が形成されたシート部の少なくとも一方は、前記第1の印刷層が形成された領域を当該シート部から切り離すための切り離し線が形成されている、圧着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのシート部が、シート部上に印刷層が形成された後に接着剤層が形成され、この接着剤層によって剥離可能に接着されてなる圧着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
情報伝達媒体の1つであるはがきとして、伝達する情報の量を増やしたり、情報を隠蔽して送付したりするために、2つのシート部を剥離可能に接着した圧着はがきが利用されている。圧着はがきは、折り畳み可能に連接したはがきサイズの2つのシート部の少なくとも一方の面に、通常では接着力が発現せず、加圧することで接着力が発現する感圧接着剤を塗布しておき、感圧接着剤が塗布された面が内側となるように折り畳んで加圧することで、1枚のはがきの形態として送付することができる。
【0003】
このような圧着はがきは、送付途中においては、2つのシート部が接着されていることにより、折り畳み状態にて内側となる面に印字された情報を隠蔽することができる。また、圧着はがきの送付先において、2つのシート部が剥離されて見開かれることで情報が伝達されることにより、1枚のはがきよりも多くの情報を伝達することができる。
【0004】
従来、いわゆる先糊タイプの圧着はがきが主流であったが、先糊タイプの圧着はがきは、感圧接着剤上に印刷が施されることになるため、例えばフルカラー印刷等のように接着面の全面に印刷が施される場合、印刷によって感圧接着剤による接着作用が妨げられてしまい、接着力が低下してしまうという問題点がある。
【0005】
近年では、いわゆる後糊タイプの圧着はがきが多く利用されるようになってきている。例えば、特許文献1には、シート基材上に紫外線硬化型インクを用いて印刷を施した後、感圧接着剤を塗布し、シート基材を折り畳んで加圧することで剥離可能に接着する構成が開示されている。このような後糊タイプの圧着はがきは、シート部上に印刷が施された後に感圧接着剤が塗布されることになるため、先糊タイプの圧着はがきのように印刷によって感圧接着剤による接着力が低下してしまうことがなく、一定の接着力を発現させることができる。
【0006】
ところで、特許文献2に記載のように、これらの圧着はがきでは、端部を強接着とするとともに他の領域を弱接着とし、強接着と弱接着との境界部分にミシン目を形成したものがある。このように構成された圧着はがきにおいては、強接着によって高い秘密保持性を保つことができながらも、弱接着によって剥離をしやすくすることができるとともに剥離後のカールを抑制することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−213467号公報
【特許文献2】特開平6−155967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載されたもののように、端部を強接着とするとともに他の領域を弱接着とする場合、強接着とする領域に用いる接着剤と、弱接着とする領域に用いる接着剤との2種類の接着剤を用いる必要があり、製造工程等が煩雑になってしまうという問題点がある。
【0009】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、2つのシート部が剥離可能に接着された構成において、1種類の接着剤を用いて端部を強接着とするとともに他の領域を弱接着とすることができる圧着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、
剥離可能に接着される2つのシート部の少なくとも一方のシート部の接着面に印刷層が形成された後、前記印刷層が形成された面に水性エマルジョン型感圧接着剤により接着剤層が形成され、前記接着剤層によって前記2つのシート部が剥離可能に接着された圧着シートであって、
前記印刷層は、
前記シート部の少なくとも1つの端辺に沿う領域の少なくとも一部に水性顔料インクを用いて形成された第1の印刷層と、
前記第1の印刷層が形成されたシート部の前記第1の印刷層以外の領域の少なくとも一部に紫外線硬化型インクを用いて形成された第2の印刷層とを有し、
前記接着剤層は、前記第1及び第2の印刷層のそれぞれの少なくとも一部の上に形成されている。
【0011】
上記のように構成された本発明においては、2つのシート部が剥離可能に接着された構成において、2つのシート部の少なくとも一方のシート部の接着面に形成された印刷層が、シート部の少なくとも1つの端辺に沿う領域の少なくとも一部に水性顔料インクを用いて形成された第1の印刷層と、第1の印刷層が形成されたシート部の第1の印刷層以外の領域の少なくとも一部に紫外線硬化型インクを用いて形成された第2の印刷層とを有しているが、いわゆる後糊タイプの圧着シートにおいて、印刷層を形成するインクとして水性顔料インクを用いた場合、当該印刷層上に設けた接着剤層の接着力が、印刷層を形成していない白紙に設けた接着剤層の接着力と比較して低下することがなく、却って印刷層による目止め効果が生じる。それにより、第1の印刷層が形成されたシート部の端辺に沿う領域においては、接着剤層による接着力が、印刷層が形成されていない場合の接着力以上となる。一方、印刷層を形成するインクとして紫外線硬化型インクを用いた場合、接着剤層による接着力が、印刷層が形成されていない場合の接着力と比較して低下する。それにより、第2の印刷層が形成された領域においては、接着剤層による接着力が、印刷層が形成されていない場合の接着力以下となる。このように、第1の印刷層が形成された領域においては、接着剤層による接着力が、印刷層が形成されていない場合の接着力以上となり、第2の印刷層が形成された領域においては、接着剤層による接着力が、印刷層が形成されていない場合の接着力以下となるため、シート部の1つの端辺に沿う領域の少なくとも一部に第1の印刷層を形成し、シート部のそれ以外の領域に第2の印刷層を形成し、これら第1の印刷層と第2の印刷層のそれぞれの少なくとも一部の上に接着剤層を形成することで、シート部の1つの端辺に沿う領域の少なくとも一部の領域と、シート部のそれ以外の領域とで2つのシート部の接着力に差を持たせることができる。それにより、シート部の1つの端辺に沿う領域の少なくとも一部の領域において、強い接着力を有することで高い秘密保持性を保つことができるようになり、また、シート部のその他の領域においては、弱い接着力を有することで2つのシート部を剥離しやすくすることができるとともに剥離後のカールを抑制することができるようになる。
【0012】
その場合、第1の印刷層が、水性顔料インクを用いた網点濃度が50%以上の印刷によって形成されていれば、第1の印刷層が形成されたシート部の端辺に沿う領域とそれ以外の領域との接着力の差が大きくなる。
【0013】
また、印刷層が形成されたシート部の少なくとも一方に、第1の印刷層が形成された領域を当該シート部から切り離すための切り離し線が形成されていれば、第1の印刷層が形成された領域において2つのシート部が強固に接着されていても、切り離し線を切り離すことで、2つのシート部のその他の領域を剥離することができ、また、2つのシート部を剥離後に再度接着したとしても、切り離し線が切り離されていることで2つのシート部の不正な剥離を検出することができる。
【0014】
また、2つのシート部が折り部を介して連接している場合は、第1の印刷層が、シート部の端辺のうち、折り部以外の端辺に沿う領域の少なくとも一部に形成されている構成とすることも考えられ、その場合、2つのシート部の不用意な剥離が回避される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1の印刷層が形成されたシート部の端辺に沿う領域においては、接着剤層による接着力が、印刷層が形成されていない場合の接着力以上となり、第2の印刷層が形成された領域においては、接着剤層による接着力が、印刷層が形成されていない場合の接着力以下となるため、シート部の1つの端辺に沿う領域の少なくとも一部の領域と、シート部のそれ以外の領域とで2つのシート部の接着力に差を持たせることができ、それにより、シート部の1つの端辺に沿う領域の少なくとも一部の領域において、高い秘密保持性を保つことができるようになり、また、シート部のその他の領域においては2つのシート部を剥離しやすくすることができるとともに剥離後のカールを抑制することができるようになり、2つのシート部が剥離可能に接着された構成において、1種類の接着剤を用いて端部を強接着とするとともに他の領域を弱接着とすることができる。
【0016】
また、第1の印刷層が、水性顔料インクを用いた網点濃度が50%以上の印刷によって形成されているものにおいては、第1の印刷層が形成されたシート部の端辺に沿う領域とそれ以外の領域との接着力の差を大きくすることができる。
【0017】
また、印刷層が形成されたシート部の少なくとも一方に、第1の印刷層が形成された領域を当該シート部から切り離すための切り離し線が形成されているものにおいては、第1の印刷層が形成された領域において2つのシート部が強固に接着されていても、切り離し線を切り離すことで、2つのシート部のその他の領域を剥離することができ、また、2つのシート部を剥離後に再度接着したとしても、切り離し線が切り離されていることで2つのシート部の不正な剥離を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の圧着シートの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は2つの紙片部の接着面の構成を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は2つの紙片部の接着面とは反対側の面の構成を示す図である。
図2図1に示した圧着はがきの製造方法を説明するための図である。
図3図1に示した圧着はがきの使用方法を説明するための図である。
図4図1に示した圧着はがきにおいて、紙基材上に、水性顔料インクや紫外線硬化型インクを用いた印刷を施すことによって印刷層が形成され、その上に接着剤層が形成されていることによる作用を説明するための図である。
図5】本発明の圧着シートの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は2つの紙片部の接着面の構成を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は2つの紙片部の接着面とは反対側の面の構成を示す図である。
図6図5に示した圧着はがきの使用方法を説明するための図である。
図7】本発明の圧着シートの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は2つの紙片部の接着面の構成を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は2つの紙片部が折り畳まれて接着された状態を示す図、(d)は(c)に示したA−A’断面図である。
図8図7に示した圧着はがきの使用方法を説明するための図である。
図9】本発明の圧着シートの第4の実施の形態を示す図であり、(a)は2つの紙片部の接着面の構成を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したB−B’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の圧着シートの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は2つの紙片部10,20の接着面の構成を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は2つの紙片部10,20の接着面とは反対側の面の構成を示す図である。なお、図1(a)においては、接着剤層5の図示を省略している。
【0021】
本形態における圧着シートは図1に示すように、シート部となる2つの紙片部10,20が折り部30を介して折り畳み可能に連接して構成された圧着はがき1であって、これら紙片部10,20が折り部30を介して折り畳まれて接着されて構成される。
【0022】
紙片部10,20はそれぞれ、紙基材2の一方の面に、折り部30とは反対側の端辺に沿って水性顔料インクを用いた網点濃度が100%のベタ印刷41aが施されており、それにより第1の印刷層41が形成されている。また、紙片部10,20のそれぞれは、紙基材2の印刷層41が形成された面のうち印刷層41以外の領域に、紫外線硬化型インクを用いた網点濃度が50%の背景印刷42aが施されており、それにより、第2の印刷層42が形成されている。さらに、背景印刷42a上には、この圧着はがき1の送付先に通知すべき通知情報43a,43bが、紙片部10,20にそれぞれ印字されている。そして、紙基材2の印刷層41,42が形成された面には、紙片部10,20の全面に接着剤層5が形成されている。
【0023】
また、紙片部10には、印刷層41の折り部30側に印刷層41に沿って切り離し線となるマイクロミシン12が形成されている。また、紙片部10は、印刷層41,42が形成された面とは反対側の面に、この圧着はがき1の送付先の住所や氏名等の宛先情報44が印字されている。
【0024】
接着剤層5は、印刷層41,42が形成された紙基材2上の全面に、水性エマルジョンタイプ型感圧接着剤が塗布されることによって形成され、感圧接着剤は、接着剤基剤、水、その他の成分を含み、接着剤基剤はゴムを主成分とするものが好ましい。具体的には、天然ゴム、天然ゴムを変性した変性ゴム、合成ゴム等が例示できる。水系である水性エマルジョン型感圧接着剤は、揮発性が低く、塗布量の調節が容易で、基材への塗布適性がより優れたものとなる。また、かかる感圧接着剤は、媒体が水であることで人体に無害であり、さらに引火性もなく、塗布工程や乾燥工程に防爆設備等の特殊設備が不要となる。天然ゴム系水性エマルジョン型の接着剤基剤としては、天然ゴム系粘着剤の基剤として公知のものが例示でき、具体的には、天然ゴムを主成分とするラテックス(天然ゴムラテックス);酸性ラテックス、解重合ラテックス、加硫ラテックス、グラフト化した天然ゴムラテックス等の、前記天然ゴムを変性した変性ゴムを主成分とする変性ラテックス;前記天然ゴムラテックスまたは変性ラテックスに対して、スチレンリッチSBRラテックス、ポリスチレンエマルジョン及びスチレン・アクリル共重合体エマルジョンからなる群から選択される一種以上を適当量配合した混合物等が例示できる。天然ゴムのグラフト化に用いるモノマーまたはオリゴマーは、重合性基を有するものであれば、目的に応じて任意に選択でき、モノマーであれば、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、スチレン等の重合性不飽和二重結合を有するものが例示できる。ここで、前記アルキルエステルは、メチルエステル又はエチルエステルであることが好ましい。天然ゴム系水性エマルジョン型の接着剤基剤としては、特に耐ブロッキング性、耐熱性、耐摩耗性等の観点から、天然ゴムにメタクリル酸メチル(MMA)をグラフト重合させて得られた変性ゴムを主成分とする変性ラテックス、天然ゴムにスチレンとメタクリル酸メチルとをグラフト重合させて得られた変性ゴムを主成分とする変性ラテックスが好ましい。天然ゴムにメタクリル酸メチルをグラフト重合させて得られた変性ゴムで好ましいものとしては、天然ゴム100質量部に対して、メタクリル酸メチルを10〜40質量部グラフト重合させたものが例示できる。天然ゴムにスチレンとメタクリル酸メチルとをグラフト重合させて得られた変性ゴムで好ましいものとしては、天然ゴム100質量部に対して、スチレン及びメタクリル酸メチルを合計で30〜70質量部重合させたものが例示できる。接着剤基剤は一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合には、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。ただし、二種以上を併用する場合には、互いに同じ系のものを使用することが好ましい。前記感圧接着剤において、固形の配合成分の総量に対する接着剤基剤の配合量の割合は、50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましい。接着剤基剤の配合量の割合がこの範囲であることで、接着剤層2の接着力がより向上する。
【0025】
上記のように構成された圧着はがき1は、接着剤層5が形成された面が内側となるように折り部30を介して折り畳まれ、2つの紙片部10,20が接着剤層5によって剥離可能に接着されることになる。その際、紙片部10,20の折り部30とは反対側の端辺に沿う領域は、水性顔料インクを用いたベタ印刷41aが施されることで印刷層41が形成され、その上に接着剤層5が形成されることにより、その接着力が、紙基材2上に接着剤層5のみが形成された場合の紙片部10,20どうしの接着力よりも強くなる強接着領域部3となっている。また、それ以外の領域は、紫外線硬化型インクを用いた背景印刷42aが施されることで印刷層42が形成され、その上に接着剤層5が形成されることにより、その接着力が、紙基材2上に接着剤層5のみが形成された場合の紙片部10,20どうしの接着力よりも弱くなる弱接着領域部4となっている。その詳細は後述する。
【0026】
以下に、上記のように構成された圧着はがき1の製造方法について説明する。
【0027】
図2は、図1に示した圧着はがき1の製造方法を説明するための図であり、圧着はがき1の断面を示す。
【0028】
図1に示した圧着はがき1を製造する場合は、まず、紙基材2の一方の面に、紫外線硬化型インクを用いて背景印刷42aを施すことによって印刷層42を形成する(図2(a))。印刷層42は、上述したように、紙片部10,20それぞれの折り部30とは反対側の端辺に沿って形成された印刷層41以外の領域に形成されることになるため、紙片部10,20のそれぞれの折り部30とは反対側の端辺に沿う一定の幅を除いた領域に、紫外線硬化型インクを用いた背景印刷42aを施すことで形成される。背景印刷42aは、例えば、模様や図形、枠情報等からなり、通知情報43a,43bのように圧着はがき1の送付先に通知すべき情報とは異なるものである。
【0029】
次に、紙基材2の印刷層42が形成された面に水性顔料インクを用いた網点濃度が100%のベタ印刷41aを施すことによって印刷層41を形成する(図2(b))。印刷層41は、上述したように、紙片部10,20それぞれの折り部30とは反対側の端辺に沿ってベタ印刷41aが施されることで形成されることになるが、この領域には、印刷層42が形成されていないため、印刷層41は、紙片部10,20のそれぞれにおいて、紙基材2の印刷層42が形成された面のうち印刷層42以外の領域に形成されることになる。これにより、印刷層42は、紙片部10,20のそれぞれにおいて、紙基材2の印刷層41が形成された面のうち印刷層41以外の領域に形成された状態となる。また、ベタ印刷41aが施される際、背景印刷42aによる印刷層42上に通知情報43a,43bが同時に印字されることになる。これら、ベタ印刷41aと通知情報43a,43bの印字は、例えば、ミヤコシ社製のインクジェットプリンターであるMJPや、コダック社製のインクジェットプリンターであるプロスパーにて行うことが考えられる。
【0030】
次に、紙基材2の印刷層41,42が形成された面において、紙片部10,20の全面に、水性エマルジョン型感圧接着剤を塗布することで接着剤層5を形成する(図2(c))。
【0031】
その後、紙基材2を接着剤層5が形成された面が内側となるように折り部30を介して折り畳み、紙片部10,20を接着剤層5によって剥離可能に接着する。
【0032】
このように、本形態の圧着はがき1は、紙基材2に印刷層41,42が形成された後に、印刷層41,42上に接着剤層5が形成された、いわゆる後糊タイプの圧着はがき1である。
【0033】
以下に、上述した圧着はがき1の使用方法について説明する。
【0034】
図3は、図1に示した圧着はがき1の使用方法を説明するための図である。
【0035】
図1に示した圧着はがき1は、図3(a)に示すように、接着剤層5が形成された面が内側となるように折り部30を介して折り畳まれ、2つの紙片部10,20が接着剤層5によって剥離可能に接着された状態で、宛先情報44に従ってその送付先に送付されていく。
【0036】
ところで、紙片部10,20の折り部30とは反対側の辺に沿う領域は、水性顔料インクを用いたベタ印刷41aが施されることで印刷層41が形成され、その上に接着剤層5が形成されることにより、強接着領域部3となっている。また、紙片部10,20のそれ以外の領域は、紫外線硬化型インクを用いた背景印刷42aが施されることで印刷層42が形成され、その上に接着剤層5が形成されることにより、弱接着領域部4となっている。
【0037】
ここで、紙基材2上に、水性顔料インクや紫外線硬化型インクを用いた印刷を施すことによって印刷層41,42が形成され、その上に接着剤層5が形成されていることによる作用について説明する。
【0038】
図4は、図1に示した圧着はがき1において、紙基材2上に、水性顔料インクや紫外線硬化型インクを用いた印刷を施すことによって印刷層41,42が形成され、その上に接着剤層5が形成されていることによる作用を説明するための図である。
【0039】
図1に示した紙基材2上に、印刷層を形成せずに接着剤層5のみを形成した場合の紙片部10,20の剥離強度と、印刷層を形成した上に接着剤層5を形成した場合であって、印刷層として紫外線硬化型インクと水性顔料インクを用いた場合のそれぞれの紙片部10,20の剥離強度を測定した。この際、接着剤層5を構成する水性エマルジョン型接着剤として、サイデン化学社製のMUX−111を用いた。
【0040】
すると、図4に示すように、紙基材2上に印刷層を形成せずに接着剤層5のみを形成した場合の紙片部10,20の剥離強度は、2.0[N/6”]であった。
【0041】
それに対して、図1に示した強接着領域3のように、紙片部10,20のそれぞれに水性顔料インクを用いた100%の網点濃度のベタ印刷41aを施すことで印刷層41を形成した場合では、剥離強度が2.656[N/6”]と強くなった。一方、図1に示した弱接着領域4のように、紙片部10,20のそれぞれに紫外線硬化型インクを用いた背景印刷42aを施すことで印刷層42を形成した場合では、背景印刷42aを100%の網点濃度で施すと、剥離強度が0.57[N/6”]と弱くなった。
【0042】
また、紙片部10,20のいずれか一方のみに、水性顔料インクを用いた50%の網点濃度の印刷を施すことで印刷層を形成した場合では、剥離強度が2.338[N/6”]と強くなった。一方、紙片部10,20のいずれか一方のみに、紫外線硬化型インクを用いた50%の網点濃度の印刷を施すことで印刷層を形成した場合では、剥離強度が1.59[N/6”]と弱くなった。
【0043】
また、紙片部10,20のいずれか一方のみに、水性顔料インクを用いた100%の網点濃度のベタ印刷を施すことで印刷層を形成した場合では、剥離強度が2.634[N/6”]と強くなった。一方、紙片部10,20のいずれか一方のみに、紫外線硬化型インクを用いた100%の網点濃度のベタ印刷を施すことで印刷層を形成した場合では、剥離強度が0.90[N/6”]と弱くなった。
【0044】
なお、網点濃度とは、印刷層41,42による印刷の濃淡は、小さなドット(網点)の密度によって表現されるが、印刷領域におけるそのドットが占める割合を言い、印刷領域におけるドットが占める割合が100%のものを、網点濃度が100%のベタ印刷と言う。
【0045】
このように、紙片部10,20の少なくとも一方に、水性顔料インクを用いた50%以上の網点濃度の印刷によって印刷層を形成した後、その上に接着剤層5を形成することで強接着領域3を設けておけば、その強接着領域3においては、接着剤層5による目止め効果が生じ、強接着領域3における紙片部10,20どうしの接着力を、紙基材2上に接着剤層5のみが形成された場合の紙片部10,20どうしの接着力以上のものとすることができる。それにより、そのような強接着領域3を、図1に示した圧着はがき1のように、紙片部10,20のそれぞれの折り部30とは反対側の端辺に沿って設けることで、圧着はがき1の送付途中にて紙片部10,20が不用意に剥離しないようにすることができる。
【0046】
また、紙片部10,20の少なくとも一方に、紫外線硬化型インクを用いた50%以上の網点濃度の印刷によって印刷層を形成した後、その上に接着剤層5を形成することで弱接着領域4を設けておけば、その弱接着領域4においては、紙片部10,20どうしの接着力を、紙基材2上に接着剤層5のみが形成された場合の紙片部10,20どうしの接着力以下のものとすることができる。それにより、そのような弱接着領域4を、図1に示した圧着はがき1のように、強接着領域3以外の領域に設けておけば、圧着はがき1の送付先において、紙片部10,20を剥離しやすくすることができるとともに、剥離後に紙片部10,20がカールしてしまうことを抑制できる。
【0047】
なお、図1に示した圧着はがき1bのように、水性顔料インクを用いた網点濃度が100%のベタ印刷41aを施すことで印刷層41を形成すれば、印刷層41による目止め効果が向上し、水性顔料インクを用いた印刷による接着力が、紫外線硬化型インクを用いた印刷による接着力と比べてその差が顕著となる。
【0048】
圧着はがき1が送付先に届けられると、図3(b)に示すように、マイクロミシン12が破断され、紙片部10,20のうち強接着領域3以外の領域が剥離されていく。紙片部10,20のうち強接着領域3以外の領域は、上述したように、紫外線硬化型インクを用いた背景印刷42aが施されることで印刷層42が形成され、その上に接着剤層5が形成されることにより、紙片部10,20どうしの接着力が、紙基材2上に接着剤層5のみが形成された場合の紙片部10,20どうしの接着力以下となる弱接着領域4となっているため、容易に剥離することができる。なお、背景印刷42a上には、通知情報43a,43bが印字されているが、通知情報43a,43bは、印刷密度がベタ印刷41aと比べて低いため、紙片部10,20どうしの接着力に影響を及ぼすことは少ない。
【0049】
紙片部10,20が完全に剥離されて圧着はがき1が開封されると、図3(c)に示すように、紙片部10,20の接着面にそれぞれ印刷された通知情報43a,43bが視認可能となり、この通知情報43a,43を圧着はがき1の送付先に通知することができる。その際、紙片部10,20の折り部30とは反対側の端辺に沿う領域以外の領域が、紙片部10,20どうしの接着力が、紙基材2上に接着剤層5のみが形成された場合の紙片部10,20どうしの接着力以下となる弱接着領域4となっていることにより、紙片部10,20を弱い力で剥離することができるため、紙片部10,20が剥離後にカールしてしまうことを抑制できる。
【0050】
このように、通知情報43a,43bが印刷された後に接着剤層5が形成される、いわゆる後糊タイプの圧着はがき1において、紙片部10,20の折り部30とは反対側の端辺に沿って、水性顔料インクを用いた網点濃度が50%以上の印刷によって印刷層を形成した後、その上に接着剤層5を形成することで強接着領域3を設けておけば、紙片部10,20の折り部30とは反対側の端辺に沿う領域における紙片部10,20どうしの接着力が、紙基材2上に接着剤層5のみが形成された場合の紙片部10,20どうしの接着力以上のものとなることにより、圧着はがき1の送付途中において隠蔽すべき通知情報43a,43bを印字しながらも、圧着はがき1の送付途中にて紙片部10,20が不用意に剥離することを回避でき、高い秘密保持性を保つことができる。また、強接着領域3以外の領域に、紫外線硬化型インクを用いた網点濃度が50%以上の印刷によって印刷層を形成した後、その上に接着剤層5を形成することで弱接着領域4を設けておけば、紙片部10,20の折り部30とは反対側の端辺に沿う領域以外の領域における紙片部10,20どうしの接着力が、紙基材2上に接着剤層5のみが形成された場合の紙片部10,20どうしの接着力以下のものとなることにより、圧着はがき1の送付先において、紙片部10,20を剥離しやすくすることができるとともに、剥離後に紙片部10,20がカールしてしまうことを抑制できる。また、このように、紙片部10,20の端辺に沿う領域においては、水性顔料インクを用いた網点濃度が50%以上の印刷によって、紙片部10,20どうしの接着力が、紙基材2上に接着剤層5のみが形成された場合の紙片部10,20どうしの接着力以上となる強接着領域3を構成し、一方、紙片部10,20の端辺に沿う領域以外の領域においては、紫外線硬化型インクを用いた網点濃度が50%以上の印刷によって、紙片部10,20どうしの接着力が、紙基材2上に接着剤層5のみが形成された場合の紙片部10,20どうしの接着力以下となる弱接着領域4を構成することにより、1種類の接着剤を用いて紙片部10,20の端部を強接着とするとともに他の領域を弱接着とすることができる。
【0051】
また、上述したように、マイクロミシン12を破断することにより、紙片部10,20が剥離されるので、紙片部10,20が一度剥離されると、その痕跡が残ることとなり、例え紙片部10,20を再度接着したとしても、マイクロミシン12が破断していることによって圧着はがき1の不正な開封を検出することができる。
【0052】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の圧着シートの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は2つの紙片部110,120の接着面の構成を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は2つの紙片部110,120の接着面とは反対側の面の構成を示す図である。なお、図5(a)においては、接着剤層105の図示を省略している。
【0053】
本形態における圧着シートは図5に示すように、図1に示したものに対して、印刷層141,142が形成される領域が異なるとともに、紙片部110にマイクロミシン12が形成されていない点が異なる圧着はがき101である。
【0054】
本形態の圧着はがき101においては、紙基材102の一方の面の全面に、紫外線硬化型インクを用いた網点濃度が50%の背景印刷142aが施されることで印刷層142が形成され、紙基材102の四隅において印刷層142上に、水性顔料インクを用いた網点濃度が50%の強接着用印刷141aが施されることで印刷層141が形成され、印刷層141,142が形成された面の全面に接着剤層105が形成されている。すなわち、印刷層141は、紙片部110,120の折り部130とは反対側の端辺に沿う領域の一部に形成されていることになる。なお、圧着はがき101のように印刷層141と印刷層142とが重なる場合でも、接着剤層105と接する印刷層が水性顔料インクを用いた印刷層141であれば、強い接着力を得ることができる。また、印刷層142上に印刷層141が重なる領域において、印刷層142を予め形成しないでおいて印刷層141を紙基材102に直接形成しても構わない。
【0055】
上記のように構成された圧着はがき101においても、印刷層141が形成された領域が、水性顔料インクを用いた網点濃度が50%の強接着用印刷141aが施されることにより、紙片部110,120どうしの接着力が、紙基材102上に接着剤層105のみが形成された場合の紙片部110,120どうしの接着力以上となる強接着領域となり、また、印刷層142が形成された領域が、紫外線硬化型インクを用いた網点濃度が50%の背景印刷142aが施されることにより、紙片部110,120どうしの接着力が、紙基材102上に接着剤層105のみが形成された場合の紙片部110,120どうしの接着力以下となる弱接着領域となっている。
【0056】
以下に、上述した圧着はがき101の使用方法について説明する。
【0057】
図6は、図5に示した圧着はがき101の使用方法を説明するための図である。
【0058】
図5に示した圧着はがき101は、図6(a)に示すように、接着剤層105が形成された面が内側となるように折り部130を介して折り畳まれ、2つの紙片部110,120が接着剤層105によって剥離可能に接着された状態で、宛先情報144に従ってその送付先に送付されていく。この際、紙基材102の一方の面の四隅に、水性顔料インクを用いた網点濃度が50%の強接着用印刷141aが施されることで印刷層141が形成されていることにより、紙片部110,120の折り部130とは反対側の端辺における角部が、紙片部110,120どうしの接着力が、紙基材102上に接着剤層105のみが形成された場合の紙片部110,120どうしの接着力以上となる強接着領域となっているため、圧着はがき101の送付途中にて紙片部110,120が不用意に剥離してしまうことが回避される。
【0059】
圧着はがき101が送付先に届けられると、図6(b)に示すように、紙片部110と紙片部120とが、折り部130とは反対側の端辺を剥離開始端として剥離されていく。この際、紙片部110,120の折り部130とは反対側の端辺における角部は、上述したように強接着領域となっているものの、その他の領域においては、紫外線硬化型インクを用いた網点濃度が50%の背景印刷142aが施されることで印刷層142が形成されることにより、紙片部110,120どうしの接着力が、紙基材102上に接着剤層105のみが形成された場合の紙片部110,120どうしの接着力以下となる弱接着領域となっているため、強接着領域において紙片部110と紙片部120とを慎重に剥離さえすれば、その後、紙片部110と紙片部120とを容易に剥離することができる。
【0060】
紙片部110,120が完全に剥離されて圧着はがき101が開封されると、図6(c)に示すように、紙片部110,120の接着面にそれぞれ印刷された通知情報143a,143bが視認可能となり、この通知情報143a,143を圧着はがき101の送付先に通知することができる。その際、紙片部110,120の折り部130とは反対側の端辺における角部以外の領域が、紙片部110,120どうしの接着力が、紙基材102上に接着剤層105のみが形成された場合の紙片部110,120どうしの接着力以下となる弱接着領域となっていることにより、紙片部110,120を弱い力で剥離することができるため、紙片部110,120が剥離後にカールしてしまうことを抑制できる。
【0061】
本形態においても、通知情報143a,143bが印字された後に接着剤層105が形成される、いわゆる後糊タイプの圧着はがき101において、紙片部110,120の折り部130とは反対側の端辺に沿う領域の一部に、水性顔料インクを用いた網点濃度が50%以上の印刷によって印刷層を形成した後、その上に接着剤層105を形成することで強接着領域を設けておけば、紙片部110,120の折り部130とは反対側の端辺に沿う領域の一部における紙片部110,120どうしの接着力が、紙基材102上に接着剤層105のみが形成された場合の紙片部110,120どうしの接着力以上のものとなることにより、圧着はがき101の送付途中において隠蔽すべき通知情報143a,143bを印字しながらも、圧着はがき101の送付途中にて紙片部110,120が不用意に剥離することを回避でき、高い秘密保持性を保つことができる。また、強接着領域以外の領域に、紫外線硬化型インクを用いた網点濃度が50%以上の印刷によって印刷層を形成した後、その上に接着剤層105を形成することで弱接着領域を設けておけば、紙片部110,120の強接着領域以外の領域における紙片部110,120どうしの接着力が、紙基材102上に接着剤層105のみが形成された場合の紙片部110,120どうしの接着力以下のものとなることにより、圧着はがき101の送付先において、紙片部110,120を剥離しやすくすることができるとともに、剥離後に紙片部110,120がカールしてしまうことを抑制できる。また、このように、紙片部110,120の端辺に沿う領域の一部においては、水性顔料インクを用いた網点濃度が50%以上の印刷によって、紙片部110,120どうしの接着力が、紙基材102上に接着剤層105のみが形成された場合の紙片部110,120どうしの接着力以上となる強接着領域を構成し、一方、紙片部110,120の強接着領域以外の領域においては、紫外線硬化型インクを用いた網点濃度が50%以上の印刷によって、紙片部110,120どうしの接着力が、紙基材102上に接着剤層105のみが形成された場合の紙片部110,120どうしの接着力以下となる弱接着領域を構成することにより、1種類の接着剤を用いて紙片部110,120の端部を強接着とするとともに他の領域を弱接着とすることができる。
【0062】
(第3の実施の形態)
図7は、本発明の圧着シートの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は2つの紙片部210,220の接着面の構成を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は2つの紙片部210,220が折り畳まれて接着された状態を示す図、(d)は(c)に示したA−A’断面図である。なお、図7(a)においては、接着剤層205の図示を省略している。
【0063】
本形態における圧着シートは図7に示すように、シート部となる2つの紙片部210,220が折り部230を介して折り畳み可能に連接して構成された圧着はがき201であって、これら紙片部210,220が折り部230を介して折り畳まれて接着されて構成される。
【0064】
紙片部210,220はそれぞれ、紙基材202の一方の面に、折り部230を除く3周辺に沿って、水性顔料インクを用いた網点濃度が100%のベタ印刷241aが施されることにより、第1の印刷層241が形成されている。また、印刷層241と同一面において印刷層241に囲まれた領域に、紫外線硬化型インクを用いた網点濃度が50%の背景印刷242aが施されることにより、第2の印刷層242が形成されている。さらに、背景印刷242a上には、この圧着はがき201の送付先に通知すべき通知情報243が水性顔料インクを用いて印字されている。また、これら印刷層241,242が形成された後に、印刷層241,242が形成された面のうち、折り部230に一定幅を有して沿う領域を除いて接着剤層205が形成されている。
【0065】
上記のように構成された圧着はがき201は、接着剤層205が形成された面が内側となるように折り部230を介して折り畳まれ、2つの紙片部210,220が接着剤層205によって剥離可能に接着されることになる。その際、接着剤層205が形成された領域のうち、紙片部210,220の折り部230を除く3周辺に沿う領域は、水性顔料インクを用いた網点濃度が100%のベタ印刷241aが施されることで印刷層241が形成され、その上に接着剤層205が形成されていることにより、その接着力が、紙基材202上に接着剤層205のみが形成された場合の紙片部210,220どうしの接着力以上となる強接着領域203となる。また、接着剤層205が形成された領域のうちそれ以外の領域は、紫外線硬化型インクを用いた網点濃度が50%の背景印刷242aが施されることで印刷層242が形成され、その上に接着剤層205が形成されていることにより、その接着力が、紙基材202上に接着剤層205のみが形成された場合の紙片部210,220どうしの接着力以下となる弱接着領域204となる。また、接着剤層205が形成されていない領域が、紙片部210と紙片部220とが接着されていない非接着部207となる。
【0066】
以下に、上記のように構成された圧着はがき201の使用方法について説明する。
【0067】
図8は、図7に示した圧着はがき201の使用方法を説明するための図である。
【0068】
図7に示した圧着はがき201は、図8(a)に示すように、接着剤層205が形成された面が内側となるように折り部230を介して折り畳まれ、2つの紙片部210,220が接着剤層205によって剥離可能に接着された状態で、宛先情報244に従ってその送付先に送付されていく。この際、紙片部210,220の折り部230を除く3周辺に沿って、水性顔料インクを用いた網点濃度が100%のベタ印刷241aが施されることで印刷層241が形成されていることにより、紙片部210,220の折り部230を除く3周辺に沿う領域が、紙片部210,220どうしの接着力が、紙基材202上に接着剤層205のみが形成された場合の紙片部210,220どうしの接着力以上となる強接着領域203となっているため、圧着はがき201の送付途中にて紙片部210,220が不用意に剥離してしまうことが回避される。
【0069】
圧着はがき205が送付先に届けられると、図8(b)に示すように、紙片部210と紙片部220とが剥離されていく。この際、接着剤層205が形成された領域のうち、紙片部210,220の折り部230を除く3周辺に沿う領域は、上述したように強接着領域203となっているものの、その他の領域においては、紫外線硬化型インクを用いた網点濃度が50%の背景印刷242aが施されることで印刷層242が形成されることにより、紙片部210,220どうしの接着力が、紙基材202上に接着剤層205のみが形成された場合の紙片部210,220どうしの接着力以下となる弱接着領域204となっているため、強接着領域203において紙片部210と紙片部220とを慎重に剥離さえすれば、その後、紙片部210と紙片部220とを容易に剥離することができる。
【0070】
紙片部210,220が完全に剥離されて圧着はがき205が開封されると、図8(c)に示すように、紙片部210,220の接着面にそれぞれ印刷された通知情報243が視認可能となり、この通知情報243を圧着はがき201の送付先に通知することができる。その際、接着剤層205が形成された領域のうち紙片部210,220の折り部230を除く3周辺に沿う領域以外の領域が、紙片部210,220どうしの接着力が、紙基材202上に接着剤層205のみが形成された場合の紙片部210,220どうしの接着力以下となる弱接着領域204となっていることにより、紙片部210,220を弱い力で剥離することができるため、紙片部210,220が剥離後にカールしてしまうことを抑制できる。
【0071】
本形態においても、通知情報243が印字された後に接着剤層205が形成される、いわゆる後糊タイプの圧着はがき201において、紙片部210,220の折り部230を除く3周辺に沿う領域に、水性顔料インクを用いた網点濃度が50%以上の印刷によって印刷層を形成した後、その上に接着剤層205を形成することで強接着領域203を設けておけば、接着剤層205が形成された領域のうち紙片部210,220の折り部230を除く3周辺に沿う領域における紙片部210,220どうしの接着力が、紙基材202上に接着剤層205のみが形成された場合の紙片部210,220どうしの接着力以上のものとなることにより、圧着はがき201の送付途中において隠蔽すべき通知情報243を印字しながらも、圧着はがき201の送付途中にて紙片部210,220が不用意に剥離することを回避でき、高い秘密保持性を保つことができる。また、強接着領域203以外の領域に、紫外線硬化型インクを用いた網点濃度が50%以上の印刷によって印刷層を形成した後、その上に接着剤層205を形成することで弱接着領域204を設けておけば、接着剤層205が形成された領域のうち紙片部210,220の強接着領域以外の領域における紙片部210,220どうしの接着力が、紙基材202上に接着剤層205のみが形成された場合の紙片部210,220どうしの接着力以下のものとなることにより、圧着はがき201の送付先において、紙片部210,220を剥離しやすくすることができるとともに、剥離後に紙片部210,220がカールしてしまうことを抑制できる。また、このように、紙片部210,220の折り部230を除く3周辺に沿う領域においては、水性顔料インクを用いた網点濃度が50%以上の印刷によって、紙片部210,220どうしの接着力が、紙基材202上に接着剤層205のみが形成された場合の紙片部210,220どうしの接着力以上となる強接着領域203を構成し、一方、紙片部210,220の強接着領域203以外の領域においては、紫外線硬化型インクを用いた網点濃度が50%以上の印刷によって、紙片部210,220どうしの接着力が、紙基材202上に接着剤層205のみが形成された場合の紙片部210,220どうしの接着力以下となる弱接着領域204を構成することにより、1種類の接着剤を用いて紙片部210,220の端部を強接着とするとともに他の領域を弱接着とすることができる。
【0072】
なお、本形態においては、紙片部210,220の折り部230に一定幅を有して沿う領域が、接着剤層205が形成されていない非接着領域207となっているが、非接着部207を有さない構成であってもよい。
【0073】
(第4の実施の形態)
図9は、本発明の圧着シートの第4の実施の形態を示す図であり、(a)は2つの紙片部310,320の接着面の構成を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したB−B’断面図である。なお、図9(a)においては、接着剤層305の図示を省略している。
【0074】
本形態における圧着シートは図9に示すように、図5に示したものに対して、2つの紙片部310,320の接着面において、強接着用印刷341aによる印刷層341以外の領域の一部に背景印刷342aが施されることで印刷層342が形成されている点と、印刷層341と印刷層342のいずれもが形成されていない領域を有する点と、印刷層341,342のいずれもが形成されていない領域に、一定の面積を有する通知情報345aが印刷されることで印刷層345が形成されている点が異なる圧着はがき301である。なお、本形態における背景印刷342aは、紫外線硬化型インクを用いた網点濃度が30%で施されることで形成されており、通知情報345aは、紫外線硬化型インクを用いた50%の網点濃度で印刷されている。
【0075】
上記のように構成された圧着はがき301においても、印刷層341が形成された領域が、水性顔料インクを用いた網点濃度が50%の強接着用印刷341aが施されることにより、紙片部310,320どうしの接着力が、紙基材302上に接着剤層305のみが形成された場合の紙片部310,320どうしの接着力以上となる強接着領域となり、また、印刷層345が形成された領域が、紫外線硬化型インクを用いた50%の網点濃度で一定の面積を有する通知情報345aが印刷されることにより、紙片部310,320どうしの接着力が、紙基材302上に接着剤層305のみが形成された場合の紙片部310,320どうしの接着力以下となる弱接着領域となっている。さらに、印刷層342が形成された領域においても、背景印刷342aの網点濃度が30%であるものの、後述するように図4に示した特性を鑑みた場合、紙片部310,320どうしの接着力が、紙基材302上に接着剤層305のみが形成された場合の紙片部310,320どうしの接着力以下となる弱接着領域となる。
【0076】
それにより、紙片部310,320の端辺に沿う一部の領域と、紙片部310,320のそれ以外の領域とで2つの紙片部310,320の接着力に差を持たせることができ、それにより、紙片部310,320の端辺に沿う一部の領域において、高い秘密保持性を保つことができるようになり、また、紙片部310,320のその他の領域においては2つの紙片部310,320を剥離しやすくすることができるとともに剥離後のカールを抑制することができるようになり、2つの紙片部310,320が剥離可能に接着された構成において、1種類の接着剤を用いて端部を強接着とするとともに他の領域を弱接着とすることができる。
【0077】
なお、上述した4つの実施の形態における強接着領域は、2つの紙片部10,20,110,120,210,220,310,320のそれぞれにおいて、その少なくとも一部に、水性顔料インクを用いた網点濃度が100%のベタ印刷41a、強接着用印刷141aまたはベタ印刷241a、強接着用印刷341aが施されることで形成された印刷層41,141,241,341によって構成されているが、2つの紙片部10,20,110,120,210,220,310,320のいずれか一方に、水性顔料インクを用いた網点濃度が50%以上の印刷による印刷層が形成されていれば、その印刷層が形成された領域においては、2つの紙片部10,20,110,120,210,220,310,320の接着力を、紙基材2,102,202,302上に接着剤層5,105,205,305のみが形成された場合の紙片部10,20,110,120,210,220,310,320どうしの接着力以上とすることができる。
【0078】
また、同様に、上述した4つの実施の形態における弱接着領域は、2つの紙片部10,20,110,120,210,220,310,320のそれぞれにおいて、その少なくとも一部に、紫外線硬化型インクを用いた網点濃度が50%以上の背景印刷42a,142a,242aが施されたり、一定の面積を有する通知情報345aが50%以上の網点濃度で印刷されたりすることで形成された印刷層42,142,242,345によって構成されているが、2つの紙片部10,20,110,120,210,220,310,320のいずれか一方に、紫外線硬化型インクを用いた網点濃度が50%以上の印刷による印刷層が形成されていれば、その印刷層が形成された領域においては、2つの紙片部10,20,110,120,210,220,310,320の接着力を、紙基材2,102,202,302上に接着剤層5,105,205,305のみが形成された場合の紙片部10,20,110,120,210,220,310,320どうしの接着力以下とすることができる。
【0079】
また、上述した4つの実施の形態においては、印刷層41,42,141,142,241,242,341,345を構成する印刷の網点濃度がそれぞれ50%以上である場合について説明したが、図4を参照する限り、水性顔料インクについては、網点濃度が増加していくにつれて剥離強度が強くなっていき、また、紫外線硬化型インクについては、網点濃度が増加していくにつれて剥離強度が弱くなっていくことを鑑みると、網点濃度が50%以下であっても、水性顔料インクについては、印刷層が形成されていない場合と比べて剥離強度が強く、また、紫外線硬化型インクについては、図9に示した背景印刷342aによる印刷層342のように、印刷層が形成されていない場合と比べて剥離強度が弱くなるものと想定される。そのため、2つの紙片部10,20,110,120,210,220,310,320の1つの端辺に沿う領域の少なくとも一部に水性顔料インクを用いて印刷層41,141,241,341を形成し、2つの紙片部10,20,110,120,210,220,310,320のそれ以外の領域に紫外線硬化型インクを用いて印刷層42,142,242,342,345を形成し、これら印刷層41,42,141,142,241,242,341,342,345のそれぞれの少なくとも一部の上に接着剤層5,105,205,305を形成することで、2つの紙片部10,20,110,120,210,220,310,320の1つの端辺に沿う領域の少なくとも一部の領域と、2つの紙片部10,20,110,120,210,220,310,320のそれ以外の領域とで2つの紙片部10,20,110,120,210,220,310,320の接着力に差を持たせることができ、2つの紙片部10,20,110,120,210,220,310,320の1つの端辺に沿う領域の少なくとも一部の領域においては、高い秘密保持性を保つことができるようになり、また、2つの紙片部10,20,110,120,210,220,310,320のその他の領域においては2つのシート部を剥離しやすくすることができるとともに剥離後のカールを抑制することができるようになる。ただし、印刷層41,141,241,341を構成する印刷の網点濃度をそれぞれ50%以上とすることで、印刷層41,141,241,341が形成された領域とそれ以外の領域との接着力の差を大きくすることができる。
【0080】
また、上述した4つの実施の形態においては、2つの紙片部が折り部を介して連接した圧着はがき1,101,201,301を例に挙げて説明したが、本発明の圧着シートは、2つの紙片部が剥離可能に接着されるものであれば、2つの紙片部が連接していない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1,101,201,301 圧着はがき
2,102,202,301 紙基材
3,203 強接着領域
4,204 弱接着領域
5,105,205,305 接着剤層
10,20,110,120,210,220,310,320 紙片部
12 マイクロミシン
30,130,230,330 折り部
41,42,141,142,241,242,341,342,345 印刷層
41a,241a ベタ印刷
42a,142a,242a,342a 背景印刷
43a,43b,143a,143b,243,343a,343b,345a 通知情報
44,144,244 宛先情報
141a,341a 強接着用印刷
207 非接着領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9