(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記所定方向と直行する平面内において、前記正極板状端子部または前記負極板状端子部または前記コンデンサ素子の重心から各々の外周面までの距離と、前記外装体の露出する外装体表面までの距離の差を外装肉厚とした場合、
前記突出部は、前記平面内において前記重心を基準に一周した前記外装肉厚の平均値よりも前記外装肉厚が厚い前記外装体表面部分と前記重心の間の領域に配置される、請求項1に記載の電気二重層コンデンサ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[関連技術]
まず、本発明の理解を容易にするために、
図11および
図12を参照して、本発明の関連技術について説明する。
図11は、本発明の関連技術に係る電気二重層コンデンサ100の構成を示す模式図である。
図12は、電気二重層コンデンサ100において生じる応力を示す模式図である。
【0018】
ここでは、
図11および
図12に示すように、直交座標系(x,y,z)を使用している。
図11および
図12に図示した状態では、直交座標系(x,y,z)において、x軸方向は左右方向(幅方向)であり、y軸方向は前後方向(奥行方向)であり、z軸方向は上下方向(高さ方向)である。
【0019】
図11に示すように、電気二重層コンデンサ100は、コンデンサ素子10と、正極板状端子部11aと、負極板状端子部11bと、第1の引き出し端子部12−1と、第2の引き出し端子部12−2と、外装体13と、を備える。
【0020】
コンデンサ素子10は、分極性電極、電解液、セパレータ、ガスケット、および集電体からなる単位セルを含んでおり、1層またはN層(Nは2以上の整数)の単セルを積層してなる。コンデンサ素子10は、所定の方向で互いに対向する上面および下面を有している。上面および下面は、それぞれ、第1の面および第2の面とも呼ばれる。また、以下において所定の方向は、上下方向とも呼ばれる。
【0021】
正極板状端子部11aは、コンデンサ素子10の上面に形成された板状の正極であって八角形の形状をしており、例えばSUS(ステンレス)またはSPCC(鉄)からなる。また、正極板状端子部11aの表面には、錆等の防止および正極板状端子部11aとコンデンサ素子10との間の接触抵抗を低減させるために、例えばNi(ニッケル)、Cu(銅)、Sn(すず)のいずれかのめっき処理が施されている。負極板状端子部11bは、コンデンサ素子10の下面に形成された板状の負極であって、正極板状端子部11aと同様の構造を有する。
【0022】
正極板状端子部11aおよび負極板状端子部11bは、上下方向からコンデンサ素子10を挟み込むことによって圧縮している。また、正極板状端子部11aおよび負極板状端子部11bは、それぞれ、コンデンサ素子10に蓄えられた電荷を後述の第1の引き出し端子部12−1および第2の引き出し端子部12−2に供給する。
【0023】
第1の引き出し端子部12−1および第2の引き出し端子部12−2は、それぞれ、負極板状端子部11bおよび正極板状端子部11aに形成されており、電気二重層コンデンサ100の外部に引き出されている。すなわち、第1の引き出し端子部12−1および第2の引き出し端子部12−2は、コンデンサ素子10に蓄えられた電荷を外部に供給する。
【0024】
外装体13は、例えば熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびポリフェニレンサルファイド(PPS)等をあげることができる。また、外装体13は、上面13A、下面13B、左面13C、右面13D、前面13E、および後面13Fを有する直方体の形状をしている。さらに、外装体13は、上面13Aにおける4つの角のそれぞれが正極板状端子部11aの4つの辺と対向し、下面13Bにおける4つの角のそれぞれが負極板状端子部11bの4つの辺と対向するように形成されている。
【0025】
図12は、関連技術に係る電気二重層コンデンサ100が受ける応力を示す模式図であり、
図12(a)は応力の方向を示し、
図12(b)は応力の発生箇所を示している。
【0026】
図12(a)に示すように、電気二重層コンデンサ100において、コンデンサ素子10は、リフローで実装される際の熱によってコンデンサ素子10の内部の電解液が沸騰するため内圧が上昇し、例えば正極板状端子部11aから垂直方向に向かって膨張する。この膨張によって、外装体13は正極板状端子部11aから応力を受ける。電気二重層コンデンサ100の場合、
図12(b)に示すように、外装体13において、正極板状端子部11aと外装体13の外壁との距離が短い箇所に応力が集中するため、応力の加わった箇所が破断する可能性があり耐リフロー性が低いという問題がある。
【0027】
以下、
図1〜
図6を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、繰り返し説明することによる煩雑さを避けるため、各図において同一または相当する部分には同一の符号を付して適宜説明は省略する。
【0028】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電気二重層コンデンサ100Aの構成を示す模式図であって、
図1(a)は斜視図、
図1(b)は
図1(a)において前後方向から見た断面透過図である。
【0029】
ここでは、
図1に示すように、直交座標系(x,y,z)を使用している。
図1に図示した状態では、直交座標系(x,y,z)において、x軸方向は左右方向(幅方向)であり、y軸方向は前後方向(奥行方向)であり、z軸方向は上下方向(高さ方向)である。
【0030】
第1の実施形態に係る電気二重層コンデンサ100Aは、コンデンサ素子10と、正極板状端子部11aと、負極板状端子部11bと、第1の引き出し端子部12−1と、第2の引き出し端子部12−2と、外装体13と、第1の突出部14aAと、第2の突出部14bAと、第3の突出部14cAと、第4の突出部(図示せず)と、を備える。
【0031】
第1の実施形態において、コンデンサ素子10は、第1の単セル101、第2の単セル102、第3の単セル103、第4の単セル104、第5の単セル105、および第6の単セル106を含む。なお、コンデンサ素子10が含む単セルの数は特に限定されず、コンデンサ素子10は所望の特性に応じて1層またはN層(Nは2以上の整数)の単セルを含めばよい。
【0032】
正極板状端子部11aは、コンデンサ素子10の上面に形成された板状の正極であって八角形状をしている。なお、
図1に示す正極板状端子部11aの形状は例示であり、本発明はこれに限定されない。第1の実施形態において、正極板状端子部11aは、正極板状端子部11aから外装体13の外壁までの距離を所定の距離以上にできれば、他の多角形であってもよい。具体的には、正極板状端子部11aは、M角形(Mは8以上の偶数)および略円形の形状であることが好ましい。負極板状端子部11bは、コンデンサ素子10の下面に形成された板状の負極であって、正極板状端子部11aと同様の構造を有する。
図1(b)を参照すると、正極板状端子部11aは、第1の面Aを有する。第1の面Aとは、正極板状端子部11aの所定方向における最外部を含む面である。負極板状端子部11bは、第2の面Bを有する。第2の面Bとは、負極板状端子部11bの所定方向における最外部を含む面である。ここで、正極板状端子部11aおよび負極板状端子部11bにおける所定方向とは、例えば、正極板状端子部11aと負極板状端子部11bとが対向する方向のことをいう。なお、後述する第2の実施形態から第6の実施形態についても、正極板状端子部11aおよび負極板状端子部11bは、第1の面Aおよび第2の面Bを有するものとする。
【0033】
突出部の先端部は、前記所定方向と直交かつ前記正極板状端子部の前記所定方向における最外部を含む第1の面と、前記所定の方向と直交かつ前記負極板状端子部の前記所定方向における最外部を含む第2の面との間に位置している。この構成により、例えば特許文献1に記載のような、電極板リード端子に設けられた鈎状の端子の端部が他方の電極板リード端子の背面に回りこみ、リフロー時における内部素子の膨張により鈎状の端子の端部により電極板リード端子の背面の肉薄の外装に応力を集中させ、機械強度を低下させることを防止する効果を奏する。
【0034】
第1の突出部14aAおよび第2の突出部14bAは、それぞれ、正極板状端子部11aにおいて外装体13の上面13Aの角に対向するいずれかの辺に形成されている。また、第1の突出部14aAおよび第2の突出部14bAは、それぞれと対向する外装体13の上下方向の辺に向かって正極板状端子部11aに対して平行に突出している。具体的には、第1の突出部14aAは、正極板状端子部11aの左前端部から対向する外装体13の左前辺13aに向かって突出するように形成されている。また、第2の突出部14bAは、正極板状端子部11aの左後端部から対向する外装体13の左後辺13bに向かって突出するように形成されている。ここで、リフロー耐性を向上させるためには、正極板状端子部11aから外装体13の外壁までの距離がより長い箇所(強度の強い箇所)に第1の突出部14aAおよび第2の突出部14bAを突出させることが好ましい。
【0035】
第3の突出部14cAおよび第4の突出部は、それぞれ、負極板状端子部11bにおいて外装体13の下面13Bの角に対向するいずれかの辺に形成されている。また、第3の突出部14cAおよび第4の突出部は、それぞれと外装体13の対向する上下方向の辺に向かって負極板状端子部11bに対して平行に突出している。具体的には、第3の突出部14cAは、負極板状端子部11bの右前端部から外装体13の右前辺13cに向かって突出するように形成されている。第4の突出部は、負極板状端子部11bの右後端部から外装体13の右後辺13dに向かって突出するように形成されている。第1の突出部14aAおよび第2の突出部14bAと同様に、第3の突出部14cAおよび第4の突出部は、負極板状端子部11bから外装体13の外壁までの距離がより長い箇所(強度の強い箇所)に突出させることが好ましい。なお、第1の実施形態は、4個の突出部を有するが、本発明はこれに限定されない。突出部は、正極板状端子部11aおよび負極板状端子部11bのいずれかにおいて少なくとも1つ形成されていればよい。
【0036】
上記の構成により、応力が集中する正極板状端子部11aおよび負極板状端子部11bと外装体13の外壁との距離が短い箇所以外の位置に第1の突出部14aA、第2の突出部14bA、第3の突出部14cA、および第4の突出部が形成されるため、リフロー時にかかる応力を分散させ、電気二重層コンデンサ100Aのリフロー耐性を向上させることができる。また、突出部を設けることにより、外装体13との接触面積を大きくできること、外装体13と正極板状端子部11aおよび負極板状端子部11bとの絡み合う部分が増えることによるアンカー効果も得られ、機械的強度を大きくすることも可能となる。
【0037】
すなわち、本発明の第1の実施形態において、リフロー時における内部素子の膨張により応力の集中し易い各突出部の先端部は、正極板状端子部11aと負極板状端子部11bにおける各突出部以外の部分と比較して肉厚となる外装体13の領域に配されている。これにより、リフロー時における内部素子の膨張による応力を、肉厚で強度の高い外装体領域に分散させることが可能となり、リフロー時における破損を抑制することができる。これは、後述する第2の実施形態から第6の実施形態についても同様である。
【0038】
また、正極板状端子部11aと負極板状端子部11bとが対向する方向に直交する方向の平面内において、正極板状端子部11a、負極板状端子部11b、またはコンデンサ素子10の重心から各々の外周面までの距離と、それぞれの重心から外装体13の表面までの距離との差を外装肉厚と定義する。この場合、上述の4個の突出部は、平面において重心位置を基準として外装体13の一周分の外装肉厚の平均値よりも、外装肉厚が厚い領域に配置することが好ましい。これにより、各突出部の先端部は、さらに肉厚で高強度となる外装体13の角部領域に配される構造となるため、リフロー時における破損をさらに抑制することができる。これについても、後述する第2の実施形態から第6の実施形態も同様である。
【0039】
[第2の実施形態]
図2は、本発明の第2の実施形態に係る電気二重層コンデンサ100Bの構造を示す模式図であって、
図2(a)は斜視図、
図2(b)は
図2(a)において前後方向から見た断面透過図である。
【0040】
ここでは、
図2に示すように、直交座標系(x,y,z)を使用している。
図2に図示した状態では、直交座標系(x,y,z)において、x軸方向は左右方向(幅方向)であり、y軸方向は前後方向(奥行方向)であり、z軸方向は上下方向(高さ方向)である。
【0041】
電気二重層コンデンサ100Bは、コンデンサ素子10と、正極板状端子部11aと、負極板状端子部11bと、第1の引き出し端子部12−1と、第2の引き出し端子部12−2と、外装体13と、第1の突出部14aBと、第2の突出部14bBと、第3の突出部14cBと、第4の突出部(図示しない)を備える。
【0042】
第1の突出部14aBおよび第2の突出部14bBは、それぞれ、平板の形状をしており、正極板状端子部11aにおいて正極板状端子部11aに対して斜め下方に傾いた状態で形成された突出部である。具体的には、第1の突出部14aBは外装体13の左前辺13aに向かって突出する突出部であり、また、第2の突出部14bBは外装体13の左後辺13bに向かって突出する突出部である。第3の突出部14cBおよび第4の突出部は、平板の形状をしており、負極板状端子部11cにおいて、負極板状端子部11cに対して斜め上方に傾いた状態で形成された突出部である。具体的には、第3の突出部14cBは外装体13の右前辺13cに向かって突出する突出部である。また、第4の突出部は外装体13の右後辺13dに向かって突出する突出部である。なお、第2の実施形態は、第1の突出部14aB、第2の突出部14bB、第3の突出部14cB、および第4の突出部のそれぞれが正極板状端子部11aまたは負極板状端子部11bに対して傾いているが、本発明はこれに限定されない。第2の実施形態は、例えば第1の突出部14aBのみを傾けて形成し、第2の突出部14bB、第3の突出部14cB、および第4の突出部を正極板状端子部11aおよび負極板状端子部11bに対して平行に形成してもよい。すなわち、第1の突出部14aB、第2の突出部14bB、第3の突出部14cB、および第4の突出部の角度はそれぞれ異なっていてもよい。また、第1の突出部14aB、第2の突出部14bB、第3の突出部14cB、および第4の突出部の大きさは異なっていてもよい。
【0043】
[第3の実施形態]
図3は、本発明の第3の実施形態に係る電気二重層コンデンサ100Cの構造を示す模式図であって、
図3(a)は斜視図、
図3(b)は
図3(a)において前後方向から見た断面透過図である。
【0044】
ここでは、
図3に示すように、直交座標系(x,y,z)を使用している。
図3に図示した状態では、直交座標系(x,y,z)において、x軸方向は左右方向(幅方向)であり、y軸方向は前後方向(奥行方向)であり、z軸方向は上下方向(高さ方向)である。
【0045】
第3の実施形態に係る電気二重層コンデンサ100Cは、コンデンサ素子10と、正極板状端子部11aと、負極板状端子部11bと、第1の引き出し端子部12−1と、第2の引き出し端子部12−2と、外装体13と、第1の突出部14aCと、第2の突出部14bCと、第3の突出部14cCと、第4の突出部(図示せず)を備える。
【0046】
第1の突出部14aCおよび第2の突出部14bCは、それぞれ、正極板状端子部11aにおいて正極板状端子部11aから下方向に向かって垂直に突出し、かつ先端部が正極板状端子部11aと平行になるように90°折り曲げられている。具体的には、第1の突出部14aCは、その先端部が正極板状端子部11aと平行になるように90°折り曲げられた第1の屈曲部14aC−1を有する。また、第2の突出部14bCは、その先端部が正極板状端子部11aと平行になるように90°折り曲げられた第2の屈曲部14bC−1を有する。第3の突出部14cCおよび第4の突出部は、それぞれ、負極板状端子部11bにおいて負極板状端子部11bから上方向に向かって垂直に突出し、かつ先端部が負極板状端子部11bと平行になるように90°折り曲げられている。具体的には、第3の突出部14cCは、その先端部が負極板状端子部11bと平行になるように折り曲げられた第3の屈曲部14cC−1を有する。また、第4の突出部は、その先端部が負極板状端子部11bと平行になるように90°折り曲げられた第4の屈曲部(図示せず)を有する。すなわち、第1の突出部14aC、第2の突出部14bC、第3の突出部14cC、および第4の突出部は、それぞれ、1つの屈曲部を有する。ここで、第1の突出部14aC、第2の突出部14bC、第3の突出部14cC、および第4の突出部は、電気二重層コンデンサ100Cにおいて応力が正極板状端子部11aおよび負極板状端子部11bに対して垂直方向に加わることを考慮して形成されている。第1の突出部14aC、第2の突出部14bC、第3の突出部14cC、および第4の突出部において、応力方向に対して垂直な面をそれぞれ形成することで、樹脂強度の強い箇所、すなわち応力発生箇所から外装体13の外壁までの距離が長い箇所に応力を分散させることができる。これにより、外装体13の損傷を防止することができる。なお、第3の実施形態は、第1の突出部14aC、第2の突出部14bC、第3の突出部14cC、および第4の突出部のそれぞれが1つの屈曲部を有するが、本発明はこれに限定されない。第3の実施形態は、例えば第1の突出部14aCのみが屈曲部を有していてもよい。また、第1の突出部14aC、第2の突出部14bC、第3の突出部14cC、および第4の突出部は、それぞれが複数の屈
曲部を有してもよいし、それぞれが異なる数の屈曲部を有してもよい。
【0047】
[第4の実施形態]
図4は、本発明の第4の実施形態に係る電気二重層コンデンサ100Dの構造を示す模式図であって、
図4(a)は斜視図、
図4(b)は
図4(a)において前後方向から見た断面透過図である。
【0048】
ここでは、
図4に示すように、直交座標系(x,y,z)を使用している。
図4に図示した状態では、直交座標系(x,y,z)において、x軸方向は左右方向(幅方向)であり、y軸方向は前後方向(奥行方向)であり、z軸方向は上下方向(高さ方向)である。
【0049】
第4の実施形態に係る電気二重層コンデンサ100Dは、コンデンサ素子10と、正極板状端子部11aと、負極板状端子部11bと、第1の引き出し端子部12−1と、第2の引き出し端子部12−2と、外装体13と、第1の突出部14aDと、第2の突出部14bDと、第3の突出部14cDと、第4の突出部(図示せず)と、を備える。
【0050】
第1の突出部14aDおよび第2の突出部14bDは、第2の実施形態と同様に、平板の形状をしており、正極板状端子部11aにおいて正極板状端子部11aに対して斜め下方に傾いた状態で形成された突出部である。具体的には、第1の突出部14aDは、外装体13の左前辺13aに向かって突出し、かつ略四角形状の第1の孔部14aD−1を有する。また、第2の突出部14bDは、外装体13の左後辺13bに向かって突出し、かつ略四角形状の第2の孔部14bD−1を有する。第3の突出部14cDおよび第4の突出部は、第2の実施形態と同様に、平板の形状をしており、負極板状端子部11bにおいて負極板状端子部11bに対して斜め上方に傾いた状態で形成された突出部である。具体的には、第3の突出部14cDは、外装体13の右前辺13cに向かって突出し、かつ略四角形の第3の孔部14cD−1を有する。また、第4の突出部は、外装体13の右後辺13dに向かって突出し、かつ略四角形の第4の孔部(図示せず)を有する。すなわち、第4の実施形態は、第2の実施形態において各突出部が孔部を有する形態である。これにより、第1の突出部14aD、第2の突出部14bD、第3の突出部14cD、および第4の突出部と外装体13との接触面積はより大きくなる。したがって、突出部に孔部を形成することでアンカー効果が向上し、リフロー耐性を向上させることができる。なお、第4の実施形態は、第1の突出部14aD、第2の突出部14bD、第3の突出部14cD、および第4の突出部のそれぞれが孔部を有するが、本発明はこれに限定されない。第4の実施形態は、例えば第1の突出部14aDのみが孔部を有していてもよい。また、第1の突出部14aD、第2の突出部14bD、第3の突出部14cD、および第4の突出部は、それぞれが複数の孔部を有してもよいし、それぞれが異なる数の孔部を有していてもよい。さらに、それぞれの孔部の形状は異なっていてもよい。
【0051】
[第5の実施形態]
図5は、本発明の第5の実施形態に係る電気二重層コンデンサ100Eの構造を示す模式図であって、
図5(a)は斜視図、
図5(b)は
図5(a)において前後方向から見た断面透過図である。
【0052】
ここでは、
図5に示すように、直交座標系(x,y,z)を使用している。
図5に図示した状態では、直交座標系(x,y,z)において、x軸方向は左右方向(幅方向)であり、y軸方向は前後方向(奥行方向)であり、z軸方向は上下方向(高さ方向)である。
【0053】
第5の実施形態に係る電気二重層コンデンサ100Eは、コンデンサ素子10と、正極板状端子部11aと、負極板状端子部11bと、第1の引き出し端子部12−1と、第2の引き出し端子部12−2と、外装体13と、第1の突出部14aEと、第2の突出部14bEと、第3の突出部14cEと、第4の突出部(図示せず)と、を備える。
【0054】
第1の突出部14aEおよび第2の突出部14bEは、第2の実施形態と同様に、平板の形状をしており、正極板状端子部11aにおいて正極板状端子部11aに対して斜め下方に傾いた状態で形成された突出部である。具体的には、第1の突出部14aEは、外装体13の左前辺13aに向かって突出し、かつ側面において幅が狭くなった第1の絞り部14aE−1を有する。また、第2の突出部14bEは、外装体13の左後辺13bに向かって突出し、かつ側面において幅が狭くなった第2の絞り部14bE−1を有する。第3の突出部14cEおよび第4の突出部は、第2の実施形態と同様に、平板の形状をしており、負極板状端子部11bにおいて負極板状端子部11bに対して斜め上方に傾いた状態で形成された突出部である。具体的には、第3の突出部14cEは、外装体13の右前辺13cに向かって突出し、かつ側面において幅が狭くなった第3の絞り部14cE−1を有する。また、第4の突出部は、外装体13の右後辺13dに向かって突出し、かつ側面において幅が狭くなった第4の絞り部(図示せず)を有する。すなわち、第5の実施形態は、第2の実施形態の各突出部が側面において絞り部を有する形態である。これにより、第1の突出部14aE、第2の突出部14bE、第3の突出部14cE、および第4の突出部と外装体13との接触面積は大きくなる。したがって、第1の突出部14aE、第2の突出部14bE、第3の突出部14cE、および第4の突出部に絞り部を形成することでアンカー効果が向上し、リフロー耐性を向上させることができる。また、第5の実施形態は、第1の突出部14aE、第2の突出部14bE、第3の突出部14cE、および第4の突出部のそれぞれが絞り部を有するが、本発明はこれに限定されない。第5の実施形態は、例えば第1の突出部14aEのみが絞り部を有していてもよい。また、第1の突出部14aE、第2の突出部14bE、第3の突出部14cE、および第4の突出部は、それぞれが複数の絞り部を有していてもよいし、それぞれが異なる数の絞り部を有していてもよい。さらに、絞り部は、第1の突出部14aE、第2の突出部14bE、第3の突出部14cE、および第4の突出部において、一方の側面のみを切り欠いた切り欠き部であってもよい。
【0055】
[第6の実施形態]
図6は、本発明の第6の実施形態に係る電気二重層コンデンサ100Fの構造を示す模式図であって、
図6(a)は斜視図、
図6(b)は
図6(a)において前後方向から見た断面透過図である。
【0056】
ここでは、
図6に示すように、直交座標系(x,y,z)を使用している。
図6に図示した状態では、直交座標系(x,y,z)において、x軸方向は左右方向(幅方向)であり、y軸方向は前後方向(奥行方向)であり、z軸方向は上下方向(高さ方向)である。
【0057】
第6の実施形態に係る電気二重層コンデンサ100Fは、コンデンサ素子10と、正極板状端子部11aと、負極板状端子部11bと、第1の引き出し端子部12−1と、第2の引き出し端子部12−2と、外装体13と、第1の突出部14aFと、第2の突出部14bFと、第3の突出部14cFと、第4の突出部(図示せず)を備える。
【0058】
第1の突出部14aFおよび第2の突出部14bFは、第2の実施形態と同様に、平板の形状をしており、正極板状端子部11aにおいて正極板状端子部11aに対して斜め下方に傾いた状態で形成された突出部である。具体的には、第1の突出部14aFは、外装体13の左前辺13aに向かって突出し、かつ表面において第1の凹凸部14aF−1を有する。また、第2の突出部14bFは、外装体13の左後辺13bに向かって突出し、かつ表面において第2の凹凸部14bF−1を有する。第3の突出部14cFおよび第4の突出部は、第2の実施形態の同様に、平板の形状をしており負極板状端子部11bにおいて負極板状端子部11bに対して斜め上方に傾いた状態で形成された突出部である。具体的には、第3の突出部14cFは、外装体13の右前辺13cに向かって突出し、かつ表面において第3の凹凸部14cF−1を有する。また、第4の突出部は、外装体13の右後辺13dに向かって突出し、かつ表面において第4の凹凸部(図示せず)を有する。すなわち、第6の実施形態は、第2の実施形態において各突出部の表面に凹凸部を形成した形態である。これにより、第1の突出部14aF、第2の突出部14bF、第3の突出部14cF、および第4の突出部と外装体13との接触面積は大きくなる。すなわち、第1の突出部14aF、第2の突出部14bF、第3の突出部14cF、および第4の突出部に凹凸部を形成することでアンカー効果が向上し、リフロー耐性を向上させることができる。また、第6の実施形態は、第1の突出部14aF、第2の突出部14bF、第3の突出部14cF、および第4の突出部のそれぞれの表面に3個の凹凸部を形成しているが、本発明はこれに限定されない。第6の実施形態は、例えば第1の突出部14aFのみに凹凸部を形成してもよい。また、第1の突出部14aF、第2の突出部14bF、第3の突出部14cF、および第4の突出部は、それぞれ異なる数の凹凸部を有していてもよい。
【0059】
次に、
図7を参照して、本発明の実施形態において生じる応力について具体的に説明する。
図7は、本発明の第3の実施形態に係る電気二重層コンデンサ100Cにおいて生じる応力を示す模式図である。
【0060】
ここでは、
図7に、直交座標系(x,y,z)を使用している。
図7および
図8に図示した状態では、直交座標系(x,y,z)において、x軸方向は左右方向(幅方向)であり、y軸方向は前後方向(奥行方向)であり、z軸方向は上下方向(高さ方向)である。
【0061】
図7(a)に示すように、コンデンサ素子10は、電解液がリフローの熱によって沸騰することで内圧が上昇し膨張する。ここで、
図7(a)および
図7(b)に示すように、第3の実施形態は、コンデンサ素子10が膨張することで発生する応力を第1の突出部14aCおよび第2の突出部14bCに分散させることができる。さらに、第1の突出部14aCおよび第2の突出部14bCはモールド強度の強い箇所に突出しているので、電気二重層コンデンサ100Cの耐リフロー性は関連技術に係る電気二重層コンデンサ100の耐リフロー性よりも向上する。なお、第3の実施形態に基づいて説明したが、その他の実施形態についても関連技術に係る電気二重層コンデンサ100よりもリフロー耐性は向上する。
【実施例】
【0062】
(実施例)
次に本発明の実施例について説明する。
【0063】
図8は、本発明の実施例に係る電気二重層コンデンサ100−2の構成を示す模式図であって、
図8(a)は斜視図、
図8(b)は
図8(a)において前後方向から見た断面透過図である。なお、実施例に係る電気二重層コンデンサ100−2は本発明の第3の実施形態と同様の構造を有する。すなわち、電気二重層コンデンサ100−2は、コンデンサ素子10と、正極板状端子部11aと、負極板状端子部11bと、第1の引き出し端子部12−1と、第2の引き出し端子部12−2と、外装体13と、第1の突出部14aCと、第2の突出部14bCと、第3の突出部14cCと、第4の突出部と、を備える。
【0064】
ここでは、
図8に、直交座標系(x,y,z)を使用している。
図8に図示した状態では、直交座標系(x,y,z)において、x軸方向は左右方向(幅方向)であり、y軸方向は前後方向(奥行方向)であり、z軸方向は上下方向(高さ方向)である。
【0065】
(製造方法)
図9を参照して、本発明の実施例に係る電気二重層コンデンサ100−2の製造方法を示すフローチャートである。以下、
図9を参照しつつ、電気二重層コンデンサ100−2の製造方法について説明する。
【0066】
まず、コンデンサ素子10は、第1の単セル101、第2の単セル102、第3の単セル103、第4の単セル104、第5の単セル105、および第6の単セル106を積層することで作製した(ステップS101)。ここで、第1の単セル101〜第6の単セル106は、分極性電極として活性炭、電解液として濃度が50%の硫酸水溶液、セパレータとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガスケットとして0.38mmのブチルゴム、集電体として0.2mmの導電性ゴムを含む。なお、コンデンサ素子10の直径は8.1mmで作製した。
【0067】
次に、正極板状端子部11a、負極板状端子部11b、第1の引き出し端子部12−1、第2の引き出し端子部12−2、第1の突出部14aC、第2の突出部14bC、第3の突出部14cC、および第4の突出部を厚みが0.4mmのSUSを用いて形成した。具体的には、正極板状端子部11aおよび負極板状端子部11bは、幅を5.6mmに形成し、正極板状端子部11aと負極板状端子部11bとの間の距離を10.0mmとなるように形成した(ステップS102)。次いで、第1の突出部14aC、第2の突出部14bCと、第3の突出部14cC、および第4の突出部の長さを3.5mmに形成し、幅を1.5mmに形成した(ステップS103)。ここで、第1の突出部14aCおよび第2の突出部14bCは正極板状端子部11aの端面で正極板状端子部11aに対して90°に折り曲げて、さらに端面から1.8mmの位置で90°に折り曲げることで正極板状端子部11aに対して平行な第1の屈曲部14aC−1および第2の屈曲部14bC−1を形成した。また、第3の突出部14cCおよび第4の突出部は負極板状端子部11bの端面で負極板状端子部11bに対して90°に折り曲げて、さらに端面から1.8mmの位置で90°に折り曲げることで負極板状端子部11bに対して平行な第3の屈曲部14cC−1および第4の屈曲部を形成した。次いで、第1の引き出し端子部12−1および第2の引き出し端子部12−2は、それぞれ、負極板状端子部11bおよび正極板状端子部11aの端面で90°に折り曲げて、さらに板状端子端面から3.0mmの位置で90°折り曲げた(ステップS104)。
【0068】
外装体13には、ガラス繊維を40%含むPPSを使用した。具体的には、コンデンサ素子10を正極板状端子部11aおよび負極板状端子部11bで挟み込み、コンデンサ素子10の厚みが5.3mmになるまで圧縮した。この状態を保ったまま、射出成形することで外装体13を形成した(ステップS105)。
【0069】
(関連技術と実施例の比較)
関連技術に係る電気二重層コンデンサ100(比較例)および実施例に係る電気二重層コンデンサ100−2をそれぞれ4個ずつ作成し、作成したサンプルに対して高温破壊試験を実施してリフローにおける破壊温度を調査した。具体的には、各サンプルの上面に熱電対を貼り付けて、サンプルが破損する温度を調べた。なお、本高温破壊試験において、昇温速度は1.3℃/secとした。結果を
図10に示す。
【0070】
図10に示すように、実施例に係る電気二重層コンデンサ100−2の破損温度の平均は276.7℃であった。また、比較例に係る電気二重層コンデンサ100の破損温度の平均は271.7℃であった。したがって、本発明の実施例に係る電気二重層コンデンサ100−2の破損温度の平均は、比較例に係る電気二重層コンデンサ100の破損温度の平均よりも破損温度が5℃高い。この結果は、実施例に係る電気二重層コンデンサ100−2は、製造方法がほとんど比較例と変わらないにも関わらず、比較例よりも耐リフロー性が優れていることを示している。
【0071】
以上、本発明を実施形態および実施例に基づいて説明したが、上述の実施形態および実施例は本発明を限定するものではない。本発明は、例えば上述の各実施形態を組み合わせることも可能である。