(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
乾燥対象物品の周囲に閉空間を形成し、かつこの閉空間の天井部に第1のエア吸込口と第1のエア吹出口とが設けられ、床部に第2のエア吸込口と第2のエア吹出口とが設けられた乾燥室と、
前記閉空間のエアを前記第1のエア吸込口又は前記第2のエア吸込口から吸込んで除湿し、除湿されたあとのエアを前記第1のエア吹出口又は第2のエア吹出口から吹出して前記閉空間に戻す循環式除湿装置と、
前記第1のエア吸込口、前記第2のエア吸込口と前記循環式除湿装置とを連絡する第1の管路に介設され、前記第1のエア吸込口、前記第2のエア吸込口を選択的に開放するエア吸込口選択装置と、
前記第1のエア吹出口、前記第2のエア吹出口と前記循環式除湿装置とを連絡する第2の管路に介設され、前記第1のエア吹出口、前記第2のエア吹出口を選択的に開放するエア吹出口選択装置と、
前記エア吸込口選択装置、前記エア吹出口選択装置を制御する制御盤と、を備えた構成とされており、
前記循環式除湿装置は、前記第1の管路からエアを吸引して前記第2の管路に排気する送風機と、前記第1の管路から吸引されたエアを除湿する除湿機と、除湿されたあとのエアを加熱するヒータとを備え、
前記制御盤は、前記エア吸込口選択装置、前記エア吹出口選択装置を制御して、前記第1のエア吸込口、前記第2のエア吹出口を同時に開放させることで前記閉空間に上昇気流を生じさせる下吹出モードと、前記第2のエア吸込口、前記第1のエア吹出口を同時に開放させることで前記閉空間に下降気流を生じさせる上吹出モードとを選択的に実行することを可能とされ、かつ、前記ヒータの出口温度を検知する温度センサを備え、
単一の工程について、処理時間と前記ヒータの出口温度と下吹出モード/上吹出モードの選択との指定に従って、前記エア吸込口選択装置、前記エア吹出口選択装置、前記循環式除湿装置を制御する半自動運転と、
複数の工程に区分され、その工程毎に、処理時間と前記ヒータの出口温度と下吹出モード/上吹出モードの選択とが指定された乾燥プログラムに従って、前記エア吸込口選択装置、前記エア吹出口選択装置、前記循環式除湿装置を制御するプログラム運転とを可能としたことを特徴とするエア循環式設備。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は実施形態の一例とされるエア循環式乾燥設備のブロック図であり、
図2はその具体的な側面図である。
図1における点線は制御信号線を示している。
【0010】
乾燥設備1は、乾燥対象物品の周囲に閉空間Sを形成し、かつこの閉空間Sの天井部に第1のエア吸込口10aと第1のエア吹出口11aとが設けられ、床部に第2のエア吸込口10bと第2のエア吹出口11bとが設けられた乾燥室12と、その閉空間Sのエアを
第1のエア吸込口10a又は第2のエア吸込口10bから吸込んで除湿し、除湿されたあとのエアを
第1エア吹出口11a又は第2のエア吹出口11bから吹出して閉空間Sに戻す循環式除湿装置13と、
第1のエア吸込口10a、第2のエア吸込口10bと循環式除湿装置13とを連絡する第1の管路14に介設され、
第1のエア吸込口10a、第2のエア吸込口10bを選択的に開放するエア吸込口選択装置15と、
第1のエア吸込口10a、第2のエア吸込口10bと循環式除湿装置13とを連絡する第2の管路16に介設され、
第1のエア吹出口11a、第2のエア吹出口11bを選択的に開放するエア吹出口選択装置17と、循環式除湿装置13、エア吸込口選択装置15、エア吹出口選択装置17を制御して自動運転等を行う制御盤18とを備えている。
【0011】
乾燥対象物品としては、種実類、穀物、豆類、芋類、野菜、山菜、きのこ、果物、ハーブ等の農産物、又は、海藻類、魚介類等の海産物を想定している。これらの物品は例えば網袋に収納した状態で乾燥室12に入れるとよい。
【0012】
乾燥室12は、アルミ、スチール等の板金や発泡スチロール、グラスウール等の断熱材からなる箱状の容器であって、その内部を閉空間Sとするために開閉自在な扉12aを備えている。乾燥室12の形状、容積は特に制限されないが、例えば乾燥室12の寸法は、D600×W800×H900、扉12aの寸法は600×600程度の長方体形状としてもよい。乾燥室12の内部には照明ランプ12bを設けるとよい。
また第1のエア吸込口10aと第1のエア吹出口11aが設けられた天井部には、複数の通気孔を形成した天井板12cを設け、同様に第2のエア吸込口10bと第2のエア吹出口11bが設けられた床部にも、複数の通気孔を形成した床板12dを設けて、乾燥対象物品の収容部を区分するとよい。このような天井板12c、床板12dはエアの気流を複数の通気孔に分散して均等化させる効果があると考えられる。また収容部には乾燥対象物品を載置するために複数段のラック(図示なし)を配置するとよい。そのラックはエアの流通をよくするために網板等で構成するとよい。また乾燥室12の上部等に、乾燥設備1の異常を放置するパトランプ12e等を設けてもよい。
【0013】
第1の管路14、第2の管路16は、アルミ、スチール又は樹脂からなるダクト等によって構成される。エアは特に加圧されるわけではないので、
第1の管路14、第2の管路16は耐圧性を必要としないが、エアの流通を阻害しないため十分な断面積を有するものを用いるとよい。
【0014】
循環式除湿装置13は、第1の管路14からエアを吸引して第2の管路16に排気する送風機13aと、第1の管路14から吸引されてきたエアを除湿する除湿機13bと、除湿されたあとのエアを加熱するヒータ13cとで構成されている。
【0015】
送風機13aは、シッコロ型、ターボ型、軸流型等ファン形状によって複数種別があるが、どの種別のものを用いてもよい。本実施形態では一例としてターボ型のものを用いている。送風機13aは制御盤18によって風量(ファン回転数)を制御する。
【0016】
除湿機13bは、冷媒を用いるコンプレッサ型、ゼオライトを吸湿材として利用するゼオライト型があるが、どちらを用いていてもよい。本実施形態では一例として、室内機13b1と室外機13b2を別体としたコンプレッサ型を用いている。室内機13b1の内部(エバポレータ)は冷媒の気化によって低温になるので、その周囲のエアが露点以下まで急冷されて結露を生じさせる。この結露した水分をドレン13b3から排出することでエアの除湿がなされる。また室内機13b1には、開閉自在なバイパス路13dが併設されていてもよい。バイパス路13dは手動ダンパ13e等によって開度調節できればよい。こうしてエアの一部をパイバスさせれば除湿機13bの除湿作用の強さを制御できる。除湿機13bは、制御盤18によってオン、オフ制御する。
【0017】
ヒータ13cは、その構成に特段の制限はない。例えばエアを流通させるケーシング内に電熱線を配設した基本的なものでもよい。ヒータ13cは制御盤18によって電力制御する。
【0018】
エア吸込口選択装置15は、第1のエア
吸込口10aを開閉する電動ダンパ15aと、第2のエア
吸込口10bを開閉する電動ダンパ15bとで構成されている。電動ダンパは、管路内に設けられた遮蔽板をモータによって回動させることで管路を閉鎖又は開放する装置である。電動ダンパ15a、15bは、制御盤18によって開閉制御する。つまり
第1のエア吸込口10a、第2のエア吸込口10bの選択的な開放は電動ダンパ15a、15bの連携的な制御によって実現される。
【0019】
エア吹出口選択装置17は、第1のエア吹出口11
aを開閉する電動ダンパ17aと、第2のエア吹出口
11bを開閉する電動ダンパ17bとで構成されている。
第1のエア吹出口11a、第2のエア吹出口11bの選択的な開放は、電動ダンパ17a、17bの連携的な制御によって実現される。
【0020】
このように本実施形態では、エア吸込口選択装置15、エア吹出口選択装置17によって乾燥室12におけるエアの気流方向をコントロールするので、乾燥室12内にエア循環用のファンを設ける必要がなく、また循環式除湿装置13によって除湿されたエアの温度が庫内温度よりも高い場合でも低い場合でも、乾燥室12内でエアをスムースに流すことができる。
【0021】
制御盤18は、CPU、メモリ、タイマ等を搭載した回路基板と、循環式除湿装置13等の制御信号を入出力する入出力回路と、乾燥設備1のオン、オフ表示を行う表示灯18aと、タッチパネル等からなる表示操作部18bとを備えており、各種制御条件が予め設定された乾燥プログラムに従って循環式除湿装置13、エア吸込口選択装置15、エア吹出口選択装置17等を制御する。
【0022】
また乾燥設備1は、庫内の適所、ヒータ出口、第2の管路16にそれぞれ温度センサ19a、19b、19cを設けるとよい。
【0023】
エアの湿度は、そのエアが含んでいる水分量だけなく温度にも大きく依存するが、除湿機13bによって除湿されると一般にエアの温度も下がることになる。ところがエアの温度が下がるとエアの湿度は上がってしまうから、乾燥対象物品は乾燥し難くなる。しかしながら本実施形態では除湿機13bによるエアの温度低下を、ヒータ13cの加熱によって抑えることができる。すなわちヒータ13cによってエアの温度を調節できるので、乾燥室12での結露が防止でき、また湿度の調節可能な範囲も広くなる。なおヒータ13cの電力制御では、庫内温度をフィードバックしてもよいが、庫内温度の変化は緩慢なので、迅速に変化するヒータ出口温度をフィードバックしてもよい。そうしたほうが庫内温度のオーバーシュート、アンダーシュートを抑えやすいことも考えられる。
【0024】
なお
第1のエア吸込口10a、第2のエア吸込口10bあるいは第1の管路14の適所に集塵フィルタ20を設けるとよい。そうすれば乾燥
対象物品から吹き飛ばされた埃等が、電動ダンパ15a、15bあるいは除湿機13bのエバポレータ等を詰まらせるおそれがなくなる。
【0025】
乾燥設備1の基本原理は、乾燥対象物品を入庫させた乾燥室12を閉空間Sとし、その閉空間Sのエアを循環式除湿装置13によって除湿して循環させることで、乾燥対象物品を乾燥させるというものである。乾燥対象物品の湿り気と、閉空間Sのエアの湿度は基本的に平衡するので、エアの湿度が低ければ、乾燥対象物品の湿り気はエアの中にゆっくりと蒸発していく。
【0026】
ところで閉空間Sでは、
第1のエア吹出口11a、第2のエア吹出口11bから吹き出されてくるエアの温度と、庫内温度とに差があると、比重等の関係からそのエアが閉空間Sでスムースに流れやすい方向、流れにくい方向が生じてくる。当然であるが、エアがスムースに流れる方が、乾燥対象物品の乾燥においても有利である。
【0027】
例えば閉空間Sに吹きこまれてくるエアの温度が庫内温度よりも高いときは、そのエアは閉空間S内で上昇傾向になるので、天井部に設けられた第1のエア
吸込口10aからエアを吸い出す一方、床部に設けられた第2のエア吹出口11bからエアを吹き出す、すなわち下吹出しにすると、エアがスムースに流れる。
逆に閉空間Sに吹きこまれてくるエアの温度が庫内温度よりも低いときは、そのエアは閉空間S内で下降傾向になるので、床部に設けられた第2のエア
吸込口10bからエアを吸い出す一方、天井部に設けられた第1のエア吹出口11aからエアを吹き出す、すなわち上吹出しにすると、エアがスムースに流れる。
【0028】
本実施形態は、前記を考慮して、閉空間Sでのエアの気流方向を自在にコントロールできるようにしたことが特徴になっている。
すなわち制御盤18によって、エア吸込口選択装置15、エア吹出口選択装置17を連携制御して、第1の
エア吸込口10a、第2の
エア吹出口11bを同時に開放させることで閉空間Sに上昇気流を生じさせる下吹出モードと、第2の
エア吸込口10b、第1の
エア吹出口11aを同時に開放させることで閉空間Sに下降気流を生じさせる上吹出モードとを選択的に実行するように構成されている。なお乾燥処理の途中で下吹出モードと、上吹出モードを切り換えると、乾燥対象物品に付着している塵埃を吹き飛ばす効果が高くなる。よって、
第1のエア吸込口10a、第2のエア吸込口10b等に集塵フィルタ20を設けることは非常に有効である。
【0029】
図3は、
第1のエア吸込口10a、第2のエア吸込口10bの開閉と、
第1のエア吹出口11a、第2のエア吹出口11bの開閉との組み合わせをテーブルに示したものである。表T1に示すように、開閉の組み合わせは全部で16パターンある。しかしその内で有用な制御パターンは、第1の
エア吸込口10a、第2の
エア吹出口11bを開放、かつ第2の
エア吸込口10b、第1の
エア吹出口11aを閉鎖するパターン(下吹出)と、第1の
エア吸込口10a、第2の
エア吹出口11bを閉鎖、かつ第2の
エア吸込口10b、第1の
エア吹出口11aを開放するパターン(上吹出)だけである。他のパターンは閉空間Sに効果的な気流を生じさせ難いので、制御パターンとしては採用されていない(パターン切換途中等で一時的に現れることはある)。
【0030】
次いで乾燥設備1の基本動作を説明する。
本実施形態では、乾燥設備1の基本モードとして、プログラム運転、半自動運転、単独運転が準備されている。
【0031】
プログラム運転は、乾燥対象物品の乾燥を複数工程によって行うモードであり、制御盤18は、複数の工程に区分されその工程毎に処理時間と処理温度と気流モードとが指定された乾燥プログラムに従って、ヒータ出口温度を検知しながら循環式除湿装置13、エア吸込口選択装置15、エア吹出口選択装置17等を制御する。なおプログラム運転では、全工程が終了したあと、所定時間、循環式除湿機13の除湿機13b、ヒータ13cを止め送風機13aのみを運転させる半自動送風を自動的に実行してもよい。半自動送風は、閉空間Sのエア(乾燥対象物品の温度)を乾燥設備1の周囲温度と等しくするための工程である。半自動送風が実行されている間、乾燥室12のエアは、乾燥室12や
第1の管路14、第2の管路16等の壁面を介して乾燥設備1の周囲と熱交換する。
【0032】
半自動運転は、乾燥対象物品の乾燥を単一工程によって行うモードであり、制御盤18は、単一工程に対する処理時間と処理温度と気流モードとの指定に従って、閉空間Sの庫内温度を検知しながら循環式除湿装置13、エア吸込口選択装置15、エア吹出口選択装置17等を制御する。この単一工程が終了したあと、前記と同様に半自動送風を自動的に実行してもよい。
【0033】
単独運転は、試運転、保守点検用のモードであり、制御盤18は、循環式除湿装置13の各部、すなわち送風機13a、除湿機13b、ヒータ13cの各々を操作に基づいて個別制御する。
【0034】
図4は、制御盤に表示される表示操作画面の一例である。
この運転設定画面W1では、プログラム運転、半自動運転のための制御条件等を設定登録できる。
領域R1は、プログラム運転すべきプログラムを登録する領域であって、表形式になっている。プログラムは複数登録でき、各プログラムは工程1〜4に区分されている。工程の各々では、循環式除湿装置13、エア吸込口選択装置15、エア吹出口選択装置17の全てを制御する(全運転)。これらの工程の各々に対して、制御条件として、気流モードの選択と、処理時間、送風機13aの回転数、ヒータ出口温度の設定を行うことができる。上吹出、下吹出の選択はボタン操作によって可能である。処理時間、送風機13aの回転数、ヒータ出口温度の入力は該当欄をタッチしたときにポップアップ表示されるテンキー画面の操作によって行う。
領域R2は、半自動運転のための制御条件を登録する領域である。半自動運転は単一の工程(全運転)からなる。この工程に対する制御条件として、気流モードの選択と、処理時間、送風機13aの回転数、ヒータ出口温度の設定を行うことができる。
領域R3は、半自動送風のための制御条件を登録する領域である。半自動運転は単一の工程からなり、制御条件として、上吹出、下吹出の選択と、処理時間、送風機13aの回転数の設定を行うことができる。
なお各工程における気流モードは、当該工程において前工程よりも庫内温度が上がる場合は、下吹出にし、前工程よりも庫内温度が下がる場合は上吹出にすると、乾燥庫12内でエアがスムースに流れ易くなる。
画面W1の上部及び右側に複数のボタンが配置
されている。「ハードコピー」ボタンはこの画面を印刷するためのボタンである。「運転監視」ボタンは運転監視画面(後述)を呼び出すためのボタンである。「MENU」ボタンはメニュ画面を呼び出すためのボタンである。
【0035】
図5は、制御盤に表示される表示操作画面の他例である。
この自動運転画面W2では、プログラム運転、半自動運転、単独運転を選択して実行させることができる。
領域R4は、運転モードを選択する領域である。運転モードとしては、プログラム運転、半自動運転、単独運転が選択できる。この選択はボタン操作によって可能である。また領域R4には、現時点で運転モードの選択が可能か否かを示す情報表示部(停止中、運転中の文字情報を切換表示)とインジケータ(停止中は緑点灯、運転中は赤点灯)とが設けられている。
領域R5は、プログラム運転すべきプログラムを選択する領域である。プログラムとしては、運転設定画面で登録した複数のプログラムの内の1つが選択できる。この選択はボタン操作によって可能である。また領域R5には、現時点でプログラムの選択が可能か否かを示す情報表示部(停止中、運転中の文字情報を切換表示)とインジケータ(停止中は緑点灯、運転中は赤点灯)とが設けられている。
領域R6は、半自動モードを選択する領域である。ここでは半自動全運転と、半自動送風とが選択できる。この選択はボタン操作によって可能である。領域R6には、現時点で半自動モードの選択が可能か否かを示す情報表示部(停止中、運転中の文字情報を切換表示)とインジケータ(停止中は緑点灯、運転中は赤点灯)とが設けられている。
領域R7は、運転操作をする領域である。ここではボタン操作によって、乾燥設備1の停止、運転を指令できる。また領域R7には、現時点で乾燥設備1の停止、運転が可能か否かを情報表示部(停止中、運転中の文字情報を切換表示)とインジケータ(停止中は緑点灯、運転中は赤点灯)とが設けられている。
画面W2の上部及び右側に複数のボタンが配置さている。「ハードコピー」ボタンはこの画面を印刷するためのボタンである。「運転監視」ボタンは運転監視画面(後述)を呼び出すためのボタンである。「MENU」ボタンはメニュ画面を呼び出すためのボタンである。
【0036】
図6は、制御盤に表示される表示操作画面の他例である。
この単独運転画面W3では、循環式除湿装置13を構成する送風機13a、除湿機13b、ヒータ13cと、エア吸込口選択装置15を構成する電動ダンパ15a、15bと、エア吹出口選択装置17を構成する
電動ダンパ17a、17bを自由に操作できる。
領域R8は、送風機13aを停止、運転させる領域である。送風機13aの停止、運転はボタン操作によって可能である。また領域R8には、送風機13aの回転数を示す情報表示部が設けられている。
領域R9は、除湿機13bを停止、運転させる領域である。除湿機13bの停止、運転はボタン操作によって可能である。
領域R10は、ヒータ13cを停止、運転させる領域である。ヒータ13cの停止、運転はボタン操作によって可能である。
領域R11は、電動ダンパ15a、15b、17a、17bを閉鎖、開放させる領域である。電動ダンパ15a、15b、17a、17bの閉、開はボタン操作によって可能である。
領域R12は、ヒータ出口温度を表示する領域である。この領域には、ヒータ出口温度、PID制御における測定値(PV)、設定値(SV)等が数値表示される。
領域R13は、照明ランプ12bを消灯、点灯させる領域である。照明ランプ12bの消灯、点灯はボタン操作によって可能である。
画面W3の上部及び右側に複数のボタンが配置さている。「ハードコピー」ボタンはこの画面を印刷するためのボタンである。「運転監視」ボタンは運転監視画面(後述)を呼び出すためのボタンである。「MENU」ボタンはメニュ画面を呼び出すためのボタンである。
【0037】
図7は、制御盤に表示される表示操作画面の他例である。
この運転監視画面W4は、除湿設備1の運転状態を監視するための画面であって、乾燥室12、循環式除湿装置13、エア吸込口選択装置15、エア吹出口選択装置17の状態情報が設備見取
図Mに表示される。
見取
図Mにおいて、乾燥室12の図案には照明ランプ12bの状態を示すインジケータ(消灯中は緑点灯、点灯中は黄色点灯)が設けられている。
送風機13aの図案は、図案自体が送風機13aの状態を示すインジケータ(運転中は緑点灯、停止中は黄色点灯)になっている。
除湿機13bの図案は、除湿機13bの状態を示すインジケータ(運転中は緑点灯:停止中は黄色点灯)が設けられている。
ヒータ13cの図案は、図案自体がヒータ13cの状態を示すインジケータ(運転中は緑点灯、停止中は黄色点灯)になっており、その近傍にヒータ出口温度が表示される。
エア吸込口選択装置15を構成するダンパの図案は、図案自体が電動ダンパ15a、15bの状態を示すインジケータ(開状態で緑点灯、閉状態で黄色点灯)になっている。エア吹出口選択装置17を構成する電動ダンパ17a、17bの図案も同様である。
またヒータ出口温度、庫内温度、還気温度の値が、それぞれ見取
図Mの適所に表示されるようになっている。
「運転モード選択」ボタンは、前記の運転モード選択領域R4を小画面としてポップアップ表示させるボタンである。
「プログラム選択」ボタンは、前記のプログラム選択領域R5を小画面としてポップアップ表示させるボタンである。
「半自動選択」ボタンは、前記の半自動モード選択領域R6を小画面としてポップアップ表示させるボタンである。
「運転操作」ボタンは、前記の運転操作領域R7を小画面としてポップアップ表示させるボタンである。
領域R14は、乾燥設備1の運転時間を表示する領域である。プログラム運転の場合、運転中の工程部分が青点灯する。
領域R15は、運転条件を表示する領域である。この領域R19には、現時点におけるエアの吹出方向、運転モード、プログラム選択、除湿機モード等の情報が表示される。
領域R16は、異常が発生した時に、その情報が自動表示される領域である。
画面W4の上部及び右側に複数のボタンが配置さている。「ハードコピー」ボタンはこの画面を印刷するためのボタンである。「運転監視」ボタンは運転監視画面(後述)を呼び出すためのボタンである。「MENU」ボタンはメニュ画面を呼び出すためのボタンである。
【0038】
図7は、制御盤に表示される表示操作画面の他例である。
このトレンド画面W5は、乾燥設備1の運転記録(ログ)を表示するための画面であって、庫内温度の変化等をグラフ表示する。
領域R17は、乾燥庫12の運転記録をグラフ表示する領域である。ここではヒータ出口温度、庫内温度、庫内湿度等、複数項目のグラフを重畳させて表示することが可能である。
画面上部、右側、下側に複数のボタンが配置されている。
「ハードコピー」ボタンはこの画面を印刷するためのボタンである。
「SDカード書込」ボタンは、乾燥設備1の運転記録をSDカードに書き込むためのボタンである。SDカードに書き込まれた運転記録は、パーソナル・コンピューター等によって読み出せる。
「トレンド表示選択」ボタンは、領域R20にグラフ表示すべき運転記録の項目を選択するトレンド表示データ選択画面をポップアップ表示させるためのボタンである。
「最新」ボタンは、グラフの右端を現時点とするためのボタンである。
「<」ボタンは、グラフを左側に移動させるためのボタンである。
「>」ボタンは、グラフを右側に移動させるためのボタンである。
「<<」ボタンは、グラフを1画面分左側に移動させるためのボタンである。
「>>」ボタンは、グラフを1画面分右側に移動させるためのぼたんである。
「ズームイン」ボタンは、グラフを水平に拡大表示するためのボタンである。
「スームアウト」ボタンは、グラフを水平に縮小表示するためのボタンである。
「カーソル表示」ボタンは、グラフ上にカーソルを表示させるためのボタンである。
「カーソル消去」ボタンは、グラフ上に表示されているカーソルを消去するためのボタンである。
「上下限初期値」ボタンは、グラフの縦軸方向の表示範囲を初期値に戻すためのボタンである。
領域R18は、最新又はカーソルで指定された時刻における乾燥設備1の運転記録の各項目の値が自動的に表示される。
【0039】
次いで本実施形態の基本動作の一例を、
図9(a)〜(d)を参照しながら説明する。ここでは、
図2に示したプログラム1を実行するプログラム運転を例として説明する。また周囲温度、湿度はそれぞれ25℃、70%を想定している。
【0040】
図9(a)のグラフG1は循環式除湿装置を構成する除湿機、送風機、ヒータの動作を時系列的に示し、(b)のグラフG2は
エア吹出口選択装置、
エア吸込口選択装置を構成する電動ダンパの動作を時系列的に示し、(c)のグラフはヒータ出口温度、庫内温度、還気温度の変化を時系列的に示し、(d)のグラフは庫内湿度の変化を時系列的に示す。除湿作用の効果を示すため、グラフG4に、除湿効果がないと仮定した場合の庫内湿度の変化を点線によって示している。なおグラフG1〜G4において横軸(時間軸)は共通である。
【0041】
時刻T0〜T1は乾燥設備1の運転前の状態である。このときグラフG1〜G4に示すように、送風機13a、除湿機13b、ヒータ13cはいずれも停止されており、電動ダンパ15a、15b、17a、17bはいずれも閉状態になっている。またヒータ出口温度、庫内温度、還気温度はいずれも周囲温度25℃、庫内湿度は周囲湿度70%になっている。
【0042】
時刻T1で乾燥設備1のプログラム運転が開始されている。時刻T1〜T2は工程1であるが、その制御条件としては、処理時間40分、送風機13aの回転数80Hz、ヒータ出口温度50℃であり、除湿機13bは運転(工程1〜4は常に運転される)である。このときグラフG1〜G4に示すように、送風機13aはグラフ回転数80Hzで回転し、ヒータ13cはヒータ出口温度が50℃になるようにPID制御されている。電動ダンパ15a、17bは開状態、電動ダンパ15b、17aは閉状態であり、これにより下吹出になっている。またヒータ出口温度は50℃、庫内温度は48℃、還気温度は47℃になっている。庫内湿度は、庫内温度の上昇のため急速に約20%まで低下したあと、更に除湿機13bの作用によって徐々に約15%まで低下している。工程1は庫内温度が高くかつ湿度が低いから、乾燥対象物品に対する乾燥効果は高い。
【0043】
時刻T2〜T3は工程2であるが、その制御条件としては、処理時間60分、送風機13aの回転数50Hz、ヒータ出口温度30℃であり、除湿機13bは運転である。このときグラフG1〜G4に示すように、送風機13aは回転数50Hzで回転し、ヒータ13cは、ヒータ出口温度が30℃になるようにPID制御されている。電動ダンパ15a、17bは閉状態、電動ダンパ15b、17aは開状態であり、これにより上吹出になる。ヒータ出口温度は30℃、庫内温度は28℃、還気温度は27℃になっている。庫内湿度は、庫内温度の低下のため急速に約35%まで上昇したあと、除湿機13bの作用によって徐々に約20%まで低下している。工程2は工程1よりも低いから、乾燥対象物品に対する乾燥効果は中程度になる。
【0044】
時刻T3〜T4は工程3であるが、その制御条件としては、処理時間60分、送風機13aの回転数50Hz、ヒータ出口温度20℃であり、除湿機13bは運転である。このときグラフG1〜G4に示すように、送風機13aは回転数50Hzで回転し、ヒータ13cはヒータ出口温度が20℃になるようにPID制御されている。電動ダンパ15a、17bは閉状態、電動ダンパ15b、17aは開状態であり、これにより上吹出になる。ヒータ出口温度は20℃、庫内温度は21℃、還気温度は22℃になっている。庫内湿度は、庫内温度の低下のため急速に約30%まで上昇したあと、除湿機13bの作用によって徐々に約20%まで低下している。工程3は工程2よりも庫内温度が低いから、乾燥対象物品に対する乾燥効果も工程2よりも低くなる。
【0045】
時刻T4〜T5は工程4であるが、その制御条件としては、処理時間60分、送風機13aの回転数50Hz、ヒータ出口温度10℃であり、除湿機13bは運転である。このときグラフG1〜G4に示すように、送風機13aは回転数50Hzで回転し、ヒータ13cはヒータ出口温度が10℃になるようにPID制御されている。電動ダンパ15a、17bは閉状態、電動ダンパ15b、17aは開状態であり、これにより上吹
出になる。ヒータ出口温度は10℃、庫内温度は11℃、還気温度は13℃になっている。庫内湿度は、庫内温度の低下のため急速に約30%まで上昇したあと、循環式除湿装置13の作用によって徐々に約15%まで低下している。工程4は工程3よりも庫内温度が低いから、乾燥対象物品に対する乾燥効果も工程3よりも低くなる。
【0046】
時刻T5〜T6は送風工程であるが、その制御条件としては、処理時間40分、送風機13aの回転数30Hzであり、除湿機13b及びヒータ13cは停止である。このときグラフG1〜G4に示すように、送風機13aはグラフ回転数30Hzで回転する。電動ダンパ15a、17bは開状態、電動ダンパ15b、17aは閉態であり、これにより下吹出になる。この場合、周囲との熱交換によってヒータ出口温度、庫内温度、還気温度は徐々に周囲温度に近づいていく。庫内湿度は、庫内温度の上昇のため徐々に約0%まで低下している。送風工程は庫内温度が周囲温度に近くなり、かつ庫内湿度は非常に低いので、乾燥対象物品に対する乾燥効果は高くなると考えられる。また送風工程によって短時間で庫内温度を周囲温度に近づけることができるので、処理全体にかかる時間も短縮できる。
【0047】
前記基本動作のように、乾燥プログラムで循環エアの温度を段階的に下げればエアに含まれる水分を効果的に除去できるので、最終的に高い乾燥効果が得られる。また高温加熱を嫌う植物の種実などの乾燥にも特に適する。