(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の区分と前記第2の区分との間の前記角度は、ガイドワイヤが前記遠位部分の前記管腔内に少なくとも部分的にあるときに同じままである、請求項1に記載の前記装置。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】内膜下空間を介してCTOを横切ることによってCTOを治療するために使用される、従来の装置の概略的断面側面図である。
【
図1B】内膜下空間を介してCTOを横切ることによってCTOを治療するために使用される、従来の装置の概略的断面側面図である。
【
図1C】内膜下空間を介してCTOを横切ることによってCTOを治療するために使用される、従来の装置の概略的断面側面図である。
【
図1D】内膜下空間を介してCTOを横切ることによってCTOを治療するために使用される、従来の装置の概略的断面側面図である。
【
図1E】内膜下空間を介してCTOを横切ることによってCTOを治療するために使用される、従来の装置の概略的断面側面図である。
【
図1F】内膜下空間を介してCTOを横切ることによってCTOを治療するために使用される、従来の装置の概略的断面側面図である。
【
図2A】本技術の実施形態に従って構成された、低背構成にある血管内装置の側面斜視図である。
【
図2B】本技術の実施形態に従って構成された、角度付けられた遠位部分を有する
図2Aの血管内装置の側面斜視図である。
【
図3】それを通して配置されたガイドワイヤ及び/または血管内カテーテルを伴わない、
図2Bの装置の遠位部分の拡大側面図である。
【
図4】本技術の実施形態に従ってそれを通して配置された血管内カテーテル及びガイドワイヤを伴う、
図2Bの装置の遠位部分の拡大側面図である。
【
図5】本技術の実施形態に従って構成された、
図7Aに示される装置の細長い部材の一部分の拡大断面図である。
【
図6A】本技術の実施形態に従って構成された、
図3に示される装置の細長い部材の一部分の拡大断面図である。
【
図6B】本技術の実施形態に従って構成された、
図3に示される装置の細長い部材の別の部分の拡大断面図である。
【
図7A】本技術に従って構成された、
図2Bの血管内装置の拡大側面図である。
【
図7B】本技術に従って
図7Aにマッピングされた
図2Bの血管内装置の拡大断面側面図である。
【
図7C】本技術に従って構成された、成形マンドレルの側面図である。
【
図8A】本技術の実施形態に従って構成された、低背構成にある血管内装置の部分的な概略的側面図である。
【
図8B】本技術の実施形態に従って構成された、角度付けられた遠位部分を有する
図8Aの血管内装置の部分的な概略的側面図である。
【
図9】本技術の実施形態に従う、
図8Bに示される装置の細長い部材の一部分の拡大断面図である。
【
図10】本技術の別の実施形態に従って構成された、支持部材を有する血管内装置の遠位部分の側面図である。
【
図11】本技術に従う、外側鞘内に配設された
図10の血管内装置の遠位部分の部分的な断面側面図である。
【
図12】本技術に従って構成された、2つの膨張式支持リングを有する血管内装置の遠位部分の側面斜視図である。
【
図13】本技術に従って構成された、片側拡張式部材を有する血管内装置の遠位部分の側面図である。
【
図14】本技術に従って構成された、支持部材及び拡張式部材を有する血管内装置の遠位部分の側面図である。
【
図15A】本技術の実施形態に従う、CTOを横断及び/または治療するための血管内装置及び/または1つ以上の介入装置を使用するための方法を例示する解剖学的断面側面図である。
【
図15B】本技術の実施形態に従う、CTOを横断及び/または治療するための血管内装置及び/または1つ以上の介入装置を使用するための方法を例示する解剖学的断面側面図である。
【
図15C】本技術の実施形態に従う、CTOを横断及び/または治療するための血管内装置及び/または1つ以上の介入装置を使用するための方法を例示する解剖学的断面側面図である。
【
図15D】本技術の実施形態に従う、CTOを横断及び/または治療するための血管内装置及び/または1つ以上の介入装置を使用するための方法を例示する解剖学的断面側面図である。
【
図15E】本技術の実施形態に従う、CTOを横断及び/または治療するための血管内装置及び/または1つ以上の介入装置を使用するための方法を例示する解剖学的断面側面図である。
【
図15F】本技術の実施形態に従う、CTOを横断及び/または治療するための血管内装置及び/または1つ以上の介入装置を使用するための方法を例示する解剖学的断面側面図である。
【
図15G】本技術の実施形態に従う、CTOを横断及び/または治療するための血管内装置及び/または1つ以上の介入装置を使用するための方法を例示する解剖学的断面側面図である。
【
図16A】本技術の実施形態に従って構成された、近位マーカの側面図である。
【
図16B】本技術の実施形態に従って構成された、近位マーカの側面図である。
【
図17A】本技術の別の実施形態に従って構成された、近位マーカの側面図である。
【
図17B】本技術の別の実施形態に従って構成された、近位マーカの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本技術は概して、CTOを横断及び治療するためのシステム、方法、及び装置に関する。本技術のいくつかの実施形態の具体的な詳細が、
図2〜17Bを参照して本明細書に説明される。実施形態の多くは、CTOを横断及び/または治療するための装置及び方法に関して下記に説明されているが、本明細書に説明されるものに加えて、任意の血管閉塞が、本技術の範囲内で横断及び/または治療され得る(例えば、完全閉塞、部分的閉塞、血栓から生じる閉塞、塞栓症から生じる閉塞、アテローム性動脈硬化症から生じる閉塞など)。それに加えて、本技術の他の実施形態は、本明細書に説明されるものとは異なる構成、構成要素、または手順を有することができる。例えば、他の実施形態は、本明細書に説明されるもの以外の追加の要素及び特徴を含むことができ、または他の実施形態は、本明細書に示され、説明される要素及び特徴のうちのいくつかを含まない場合がある。
【0009】
参照を容易にするために、本開示全体を通して、同一の参照番号は、同様のまたは類似の構成要素または特徴を特定するために使用されるが、同一の参照番号の使用は、その部品が同一であると解釈されるべきことを示唆するものではない。実際に、本明細書に説明される多くの実施例において、同一の番号を有する部品は、構造及び/または機能において異なる。
【0010】
概して、文脈がそうではないと示さない限り、本開示における用語「遠位」及び「近位」は、操作者または操作者の制御装置に対する位置に言及する。例えば、「近位」は、操作者または操作者の制御装置により近い位置に言及することができ、「遠位」は、操作者または操作者の制御装置からより離れた位置に言及することができる。
【0011】
I.選択された実施形態
図2Aは、本技術の実施形態に従う、低背または概ね直線の構成にある血管内装置300の側面斜視図である。血管内装置300は、ハンドル310を有する近位部分306、ならびに遠位部分302及びハンドル310と遠位部分302との間に延在する細長いシャフト304を含むことができる。ハンドル310は、患者の外部の場所に位置付けられるように構成され得、細長いシャフト304は、患者の血管内の完全または部分的な閉塞に、またはその付近に、遠位部分302を血管内に位置させるように構成され得る。血管内装置300は、装置300の遠位端部にある開口330から装置300のハンドル310にある出口331へ近位に延在する管腔326(
図5)を有することができる。
【0012】
図2Bは、角度付けられたまたは治療構成(
図2B内で302’として表示される)にある遠位部分302を有する血管内装置300の側面図である。いくつかの実施形態では、遠位部分302は、製造中に永久的な角度付けられた形状に「冷間加工」されてもよい。他の実施形態では、
図2Aの血管内装置300の遠位部分302は、臨床医が概ね直線の遠位部分302を角度付けられた遠位部分302’に手動で変形させ得るように、可鍛性または成形可能な材料からなってもよい。例えば、血管内装置300は、1つ以上の成形マンドレル(例えば、
図7Cに示されるマンドレル370を参照)を含むキットの一部であってもよい。マンドレルは、特定の患者の血管系によって提示される異なる必要性に対処するために、多様な構成(例えば、異なる直径、形状、角度など)であってもよい。臨床医は、マンドレルを、遠位部分302の中または上に少なくとも部分的に配置し、遠位部分302をマンドレルの角度または形状に屈曲させるかまたは操作することができる。いくつかの実施形態では、臨床医は、特定の処置(例えば、血管系内の特定のエリアの横断、舵取り、標的化など)によって提示される特定の要件に基づいて、遠位部分302を所望の角度に手動で屈曲させることができる。例えば、臨床医は、マンドレルを用いずに遠位部分302を操作してもよく、またはいくつかの実施形態では、マンドレルは、マンドレルが、遠位部分302と共に屈曲し、遠位部分302の内径を成形プロセス中に崩壊させるもしくはねじれさせることがないように主に機能するように、可撓性であってもよい。
【0013】
臨床医は、処置中に複数の形状および/または角度を利用することが有益および/または必要であると考えることが多い。したがって、本技術の遠位部分302は、処置中に繰り返し角度付けられる、成形される、及び/または操作されるように構成される。例えば、臨床医は、初めに第1の角度(例えば、45°の角度)または形状を利用するが、装置300を挿入した後に、より大きい角度(例えば、70°、60°、50°など)、より少ない角度(例えば、30°、20°、15°、10°など)、または異なる形状が、血管系をナビゲートする及び/または真腔に再入孔するために必要とされ得ることを実感することがある。臨床医は、装置300を患者から除去し、装置を第1の角度または形状とは異なる第2の角度または形状に屈曲させる、角度付ける、成形する、及び/または別の方法で操作することができる。臨床医は次に、第2の角度または形状を有する装置300を再挿入することができる。臨床医は、単一の処置中に要望通りに何回でも遠位部分302除去、再成形、または操作することができる(例えば、2回、3回、4回など)。いくつかの実施形態では、遠位部分302は、その長手方向軸に沿った複数の位置で屈曲され得る。
【0014】
遠位部分302の形状は、臨床医及び/またはマンドレルの影響を受け得るが、所望の形状が一度設定されると、遠位部分302は、蛇行した生体組織に供されるとき、またはガイドワイヤ及び/もしくは介入装置がそれを通して配置されるときに、その所望の形状を保持するのに十分な剛性を有する。成形可能な遠位部分302は、形状記憶プラスチック、ニチノール、ステンレス鋼、チタニウム、タングステン、タンタル、エルジロイ(Elgiloy)、及び他の好適な材料から作製され得る。いくつかの実施形態では、成形可能な遠位部分は、その長手方向軸に沿って約0.25インチ〜約1.50インチの間の長さであり得る。いくつかの実施形態では、成形可能な遠位部分は、特定する目的のために細長いシャフトの残りの部分とは異なる色であり得る。しかしながら、他の実施形態では、成形可能な遠位部分は、異なる配列を有してもよく、及び/または異なる特徴を含んでもよい。
【0015】
図5は、遠位部分302に近位の細長いシャフト304の一部分の拡大断面図である。
図7A及び7Bは、それぞれ、
図2Bの血管内装置の拡大側面図及び部分的な断面側面図を示す。
図5、7A、及び7Bを併せて参照すると、細長いシャフト304は、互いに独立して中心軸に沿って回転するように構成される1つ以上の層を含むことができる。例えば、細長いシャフト304は、外側鞘324と、外側鞘324内の管状回転部材322とを含むことができる。
図7Bに示される通り、外側鞘324の近位区分は、第1の制御ノブ342に(例えば、第1の部分343に)固定され得、回転部材322の近位区分は、第2の制御ノブ362に(例えば、第2の部分363に)固定され得る。したがって、(例えば、臨床医によって)第1のノブ342に加えられる回転動作は、外側鞘324の回転を引き起こし、第2のノブ362の回転は、回転部材322の回転を引き起こす。いくつかの実施形態では、外側鞘324の近位領域360は、回転中に外側鞘324及び/または回転部材322に張力緩和を提供するように強化される。外側鞘324は、可撓性ポリマー(例えば、ポリウレタン、PEBAXの商標の下に販売されているポリエーテルブロックアミドコポリマーなど)または任意の好適な材料で作製されてもよく、また約1.9Fr〜約5Frの外径を有してもよい。しかしながら、他の実施形態では、外側鞘324は、異なる配列を有してもよく、及び/または異なる特徴を含んでもよい。血管内カテーテルは、ある範囲のガイドワイヤサイズ(例えば、0.010インチ、0.014インチ、0.018インチ、0.035インチ、及び0.038インチ)を収容することができる。
【0016】
回転部材322は、装置300の近位部分306に位置する臨床医によって作動されるときに、回転力を適切に伝達する、及び/またはその遠位端部に正確な反応性を提供するのに十分な剛性を有する、金属、プラスチック、及び/または任意の好適な材料で作製され得る。回転部材322は、固体の、溝付きの、コイル状の、及び/または編組された管(例えば、編組強化ポリイミド)であり得、いくつかの実施形態では、回転部材322は、任意の好適な形状及び/または構成を有することができる。いくつかの実施形態では、血管内装置300は、種々の解剖学的蛇行における鞘324内での回転部材322の無摩擦または比較的に低摩擦の操作を可能にするために、回転部材322と外側鞘324との間に潤滑性コーティングを含んでもよい。理論によって拘束されるものではないが、かかる層化は、ねじり応答におけるねじれの影響をトルク伝達に対して重要ではないものにすると考えられる。
【0017】
回転部材322の内腔326は、回転部材322の内壁に直接塗布される潤滑性コーティング320(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、親水基など)でコーティングされ得る。内腔326は、ハンドル310にある開口331から遠位部分302にある開口330へ遠位に延在する。内裏張り320は、流体、ガイドワイヤ、及び/または他の血管内装置(本明細書では集合的に「介入装置D」と称される)が、回転部材322の管腔326内に摺動可能に位置付けられることを可能にする。例えば、ハンドル310は、例えば、その全体が参照により本明細書に援用される、2010年8月30日に出願された「SYSTEMS,METHODS AND DEVICES FOR ABLATION,CROSSING,AND CUTTING OF OCCLUSIONS」と題される国際特許出願第PCT/US2010/047170号に開示される横断装置などの介入装置の挿入のための開口331を含むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、ハンドル310は、異なる配列を有してもよく、及び/または異なる特徴を含んでもよい。
【0018】
図3は、それを通して配置される介入装置Dを伴わない
図2Bの血管内装置300の遠位部分302の側面図であり、
図4は、介入装置Dを含む遠位部分302の側面図である。
図3及び4を併せて参照すると、遠位部分302は、細長いシャフト304の遠位領域305によって運ばれる、それに固定される、及び/またはそれと接している取着領域316を有する、概ね中空の管であり得る。遠位部分302はまた、取着領域316から角度α
0で遠位に延在し、非侵襲性遠位先端334で終了する角度付けられた領域318を含むことができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、遠位部分302の取着領域316は、回転部材322の回転が遠位部分302の回転を引き起こすように、回転部材322に取着される。例えば、
図6Aに示される通り、遠位部分302は、角度付けられた管308によって画定され得、角度付けられた管の取着領域316の少なくとも一部分は、回転部材322の遠位領域の少なくとも一部分の上に配置され得る。重なり合う部分は次に、(例えば、接着、圧接、はんだ付けなどによって)一緒に接合され得る。外側鞘324は、外側鞘324の遠位端部が角度付けられた管308の近位端部と接触するまで、回転部材322上を前進させられることができる。したがって、外側鞘324と遠位部分320との間の移行は、継ぎ目がなく、低背及び最大横断能力を可能にすることができる。
【0020】
遠位部分が臨床医によって成形可能ではない実施形態では、遠位部分302は、ステンレス鋼、ニチノール、エルジロイ、他の金属、ならびに/あるいは、蛇行した血管系を通過する間に、及び/または介入装置(例えば、介入装置Dなど)が遠位部分302内の屈曲350にもしくはその遠位に管腔326を通して摺動可能に位置付けられるときに、遠位部分302がその屈曲された及び/または角度付けられた形状を保持することを可能にする、同様に硬い材料から作製され得る。多くの現行装置は、角度付けられた構成を有するように熱処理された遠位部分を有する。しかしながら、かかる熱処理された装置は、介入装置Dがそれを通過した後、及び/または装置が蛇行した生体組織に供された後に、その形状を保持しない。かかる現行装置とは対照的に、本技術の非成形可能な遠位部分302は、熱処理されず、むしろ、解剖学的蛇行及び/またはそれを通る介入装置Dの配置によって影響を受けない永久的な角度付けられた形状に「冷間加工」された、中空の硬い管308を備える。
【0021】
遠位部分が成形可能であるか非成形可能であるかにかかわらず、角度α
0(α)は、介入装置Dが遠位部分302の管腔326を通して前進され、遠位先端334の開口330を通して延在するときでさえ、同じままである。したがって、角度付けられた遠位部分302は、別々の血管内装置またはガイドワイヤの形状にかかわらず、別々の血管内装置及び/またはガイドワイヤの予測可能な角度設定を可能にする。同様に、角度付けられた遠位部分302は、遠位部分302における偏向を引き起こすように装置300の近位部分306にて操作され得る任意の制御ワイヤ及び/または作動装置には供されないことに留意することが重要である。いくつかの実施形態では、遠位部分302の全部または一部分は、装置の位置付けを補助するために、放射線不透過性材料でコーティングされるか、または少なくとも部分的に放射線不透過性材料からなってもよい。
【0022】
角度付けられた遠位部分302を有していても、血管内装置300の全体外形は、7Fr以下に留まる。いくつかの実施形態では、血管内装置の全体外形は、5Fr以下に留まる。遠位部分302の角度α
0は、変動することができる(例えば、約1〜約90度)。いくつかの実施形態では、例えば、角度α
0は、約10〜約40度である。他の実施形態では、角度α
0は、約25度〜約35度である(例えば、約25度、約30度、約35度など)。いくつかの実施形態では、遠位部分302は、血管内装置300の長さに対して任意の好適な角度及び/または長さを有するように構成されてもよい。
【0023】
遠位先端334は、非侵襲性であり、概ね先細の形状を有することができる。いくつかの実施形態では、遠位先端334はまた、血管内装置300の別の要素に係合するように構成されてもよい。例えば、遠位先端334の遠位端部にある開口330は、ワイヤ上(「OTW」)または迅速交換(「RX」)技術を使用した治療装置の送達のためのガイドワイヤ(図示せず)を受容するための通路を画定することができる。しかしながら、他の実施形態では、遠位先端334は、異なる配列を有してもよく、及び/または異なる特徴を含んでもよい。遠位先端334はまた、装置の位置付けを補助するために放射線不透過性であってもよい。
【0024】
図8Aは、本技術の実施形態に従って構成された、低背または概ね直線の構成にある血管内装置800の側面図である。血管内装置800は、近位部分306にあるハンドルまたはルアー810、遠位部分802、及びルアー810と遠位部分802との間に延在する細長いシャフト804を含むことができる。ルアー810は、患者の外部の場所に位置付けられるように構成され得、細長いシャフト804は、患者の血管内の完全または部分的な閉塞に、またはその付近に、遠位部分802を血管内に位置させるように構成され得る。血管内装置800は、装置300の遠位端部にある開口330から装置300のハンドル310にある出口331へ延在する管腔826を有することができる。
【0025】
図8Bは、角度付けられたまたは治療構成802’にある遠位部分802を有する血管内装置800の側面図である。いくつかの実施形態では、遠位部分802は、製造中に永久的な角度付けられた形状に「冷間加工」される。他の実施形態では、
図8Aの血管内装置800の遠位部分802は、臨床医が概ね直線の遠位部分802を角度付けられた遠位部分802’に手動で変形させ得るように、可鍛性または成形可能な材料で作製され得る。例えば、血管内装置800は、成形マンドレル370(
図7Cを参照)を含むキットの一部であり得る。臨床医は、マンドレル370を、遠位部分802の中または上に少なくとも部分的に配置して、遠位部分802の内径が、所望の形状に手動で屈曲されたときに崩壊するまたはねじれることがないようにすることができる。いくつかの実施形態では、臨床医は、特定の処置(例えば、血管系内の特定のエリアの横断、舵取り、標的化など)によって提示される特定の要件に基づいて、遠位部分802を所望の角度に手動で屈曲させることができる。遠位部分802の形状は臨床医によって操作され得るが、所望の形状が一度設定されると、遠位部分802’は、蛇行した生体組織に供されるとき、またはガイドワイヤ及び/もしくは介入装置がそれを通して配置されるときに、その所望の形状を保持するのに十分な剛性を有する。成形可能な遠位部分802は、形状部材プラスチック、ニチノール、ステンレス鋼、チタニウム、タングステン、エルジロイ、及び他のものから作製され得る。成形可能な遠位部分は、その長手方向軸に沿って約0.25インチ〜約0.30インチの長さであり得る。
【0026】
図9は、
図8Bの血管内装置の拡大断面図を示す。細長いシャフト804は、外側層824と、外側層824内の編組強化ポリイミド層822とを含むことができる。製造中、ポリマー(例えば、PEBAXの商標の下に販売されているポリエーテルブロックアミドコポリマー)が編組822の上に融解されて、外側層824を形成することができる。いくつかの実施形態では、外側層824の近位領域860は、回転されたときに外側層824に張力緩和を提供するために、追加の材料によって強化され得る(例えば、PEBAXの商標の下に販売されている追加のポリエーテルブロックアミドコポリマーが編組上に融解される)。(例えば、臨床医によって)ルアー810に加えられる回転動作は、細長いシャフト804の長手方向軸全体に沿って外側層824の回転を引き起こす。外側鞘は、可撓性ポリマー(例えば、PEBAXの商標の下に販売されているポリエーテルブロックアミドコポリマー)で作製されてもよい。編組の内壁826もまた、上記に説明されるように潤滑性コーティング820を含んでもよい。
【0027】
編組層822は、遠位部分の長手方向軸に沿って部分的または完全に延在してもよい。編組層822は、高破裂強度(例えば、2000psi以上)及びさらなるねじれ耐性を提供することが予想される。
【0028】
図10は、本技術の別の実施形態に従って構成された、支持部材1250を有する血管内装置1200の遠位部分の斜視図である。例示される実施形態では、支持部材1250は、血管壁からの追加の偏向を可能にするように構成された、概ね「背の曲がった形状」を有することができる。支持部材1250は、金属及び/またはプラスチック材料から作製され得る。支持部材1250は、低背または送達構成で送達されて、次に外側鞘1300(
図11参照)の近位の後退に際して拡張し、血管内装置1200の遠位部分1202に追加の支持または安定性を加えることができる。いくつかの実施形態では、支持部材1250は、安定性を加えるために、細長いシャフト1204(例えば、外側鞘1224)の層及び/または管腔から延在及び/または後退してもよい。いくつかの実施形態では、鞘1300は、遠位部分1202の角度を約0〜約90度に選択的に制御するように部分的に後退され得る。
【0029】
図12は、本技術の別の実施形態に従って構成された、血管内装置1400を例示する。
図12に示される通り、血管内装置1400は、血管内で装置1400の遠位部分1404を位置付け、支持するように構成される、1つ以上の膨張式または拡張式リング1402を有することができる。例えば、遠位部分1404が標的部位に位置付けられた後、リング1402は、拡張して、遠位部分1404の少なくとも一部分を隣接する閉塞または血管壁から遠ざけることができる。血管内装置が成形可能な遠位部分を含む実施形態では、リング1402の拡張は、遠位部分のガイド偏向に役立つ。しかしながら、血管内装置1400が予め成形された遠位部分を含む実施形態では、リング1402の拡張は、遠位部分の角度設定に概して影響を及ぼさない。むしろ、かかる実施形態では、リング1402は、装置1400の予め形成された角度を強化し、また周辺の生体組織に対して装置を安定させることができる。いくつかの実施形態では、リング1402は、装置1400に追加の方向性及び/または安定性を提供するように、独立して拡張または展開され得る。
【0030】
図13は、片側拡張式部材1502を有する血管内装置1500の別の実施形態の側面図である。拡張されると、拡張式部材1502は、遠位部分1504に追加の角度設定を、また装置1500に支持を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、拡張式部材1502は、血管壁からの遠位部分1504の偏向及び/または装置1500の方向転換を補助する。
【0031】
図14は、拡張式部材1602(例えば、バルーン、膨張式リングなど)及び支持具1604の組み合わせを有する、血管内装置1600のまた別の実施形態を示す。かかる組み合わせは、遠位部分1606に方向性及び安定性の両方を提供することが予想される。拡張式部材1602は、支持具1604の展開とは独立して膨張または拡張されてもよい。いくつかの実施形態では、拡張式部材1602は、膨張または収縮され、それによって、予め形成されたワイヤ1604が屈曲し、装置1600に追加の角度を提供してもよい。いくつかの実施形態では、リング1602及び/または予め形成されたワイヤ1604は、
図12及び13を参照して上記に述べられる通り、装置の遠位部分が血管の内側の所望の場所に位置付けられるまで血管系を通る送達のために鞘で覆われていてもよい。
【0032】
II.選択された送達システム及び方法
離れた血管系に経皮的にアクセスする能力は、周知であり、特許及び医学文献に説明されている。経皮的なアクセスが(例えば、大腿静脈または腸骨静脈を通して)達成された後、介入器具及び支持カテーテル(複数可)は、本明細書に説明される通り、多様な様式で標的の血管またはCTOへと前進され、該CTOまたはその近位に位置付けられることができる。
【0033】
図17A〜17Gは、血管内装置300及び/または1つ以上の介入装置を使用してCTOを横断及び/または治療するための1つの例を例示する。まず
図17Aを参照すると、ガイドワイヤ800は、ガイドワイヤ800がCTOの近位領域によってさらなる遠位の動きを妨げられ、内膜下層SL(
図17B)に不注意にまたは故意に入孔するまで、血管系に沿って前進され得る。この点において、
図17Cにて最もよく分かるように、装置300の遠位部分302は、ガイドワイヤ800の上を内膜下層SL内へと遠位に前進され得る。
図17Dの上面図に示される通り、内膜下層内に入った後、角度付けられた遠位部分302は、装置300の遠位部分302がCTOの遠位端部またはその遠位に位置付けられるまで、内膜下層SLを通して遠位に前進され得る。角度付けられた遠位部分302が内膜下空間を通して移動されている間、角度付けられた領域318は、血管Vの真腔TLに概ね垂直である。遠位部分302は、蛍光透視法、X線、MRI、超音波、または他のものなどの既知の造影システム及び技術を使用して、内膜下層SLを通して前進させられることができる。造影ガイダンス下での追加の可視性を提供するために、放射線不透過性材料が、ガイドワイヤ800内、遠位部分302内、及び/または血管内装置300の任意の部分に沿って組み込まれてもよい。かかるマーカ材料は、タングステン、タンタル、白金、パラジウム、金、イリジウム、または他の好適な材料から作製され得る。
【0034】
遠位部分302がCTOの遠位端部に到達した後、臨床医は、ノブ362(
図2A〜2B及び7A〜7B)を作動させるか、またはハンドル(
図8A及び8B)を回転させて、
図17E〜17Fの上面図及び側面図にそれぞれ示される通り、角度付けられた領域318が血管Vの真腔TLに向かって方向付けられるように遠位部分302を(回転部材322を介して)回転させることができる。
【0035】
図16A及び16Bならびに
図17A及び17Bに示される通り、特定の実施形態では、血管内装置は、臨床医が角度α
0の方向及び/または角度付けられた領域318の突出を(体外の場所から)特定することができるように、ルアーまたはハンドル上に屈曲350と整列するマーキング352を含んでもよい。例えば、ノブ362は、屈曲350に対応する円周位置にマーキング352を有してもよい。
【0036】
内膜下裏張りを貫通し、真腔TL内への再入孔を促進するために、穿孔要素(図示せず)が、遠位部分302を通して前進され得る。上記に述べられる通り、ガイドワイヤ800及び/または介入装置IDは、(
図15Gにて最もよく分かるように)開口330を通り、遠位部分302の角度α
0によって示される方向及び/または角度に血管Vの真腔TL内へと前進され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、血管内装置300は、上記に説明される種々の造影技術によって利用され得る1つ以上の遠位マーカを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、遠位部分302は、介入装置が遠位部分302に到達したときに、介入装置上の対応するマーキングが整列し、ガイドワイヤ及び/または介入装置が装置300の遠位部分302に到達したことを確実にするように、その長さに沿ってマーキング(例えば、穴、溝、放射線不透過性マーキングなど)を有してもよい。それに加えて、かかる遠位マーキングは、装置が診断用カテーテルまたは血管造影用カテーテルとして使用されるときに利用されてもよい。生理食塩水または染料が、装置を通して通り、種々の穴を通して遠位部分の外へと流されてもよい。
【0038】
本明細書に説明される血管内装置は、再入孔装置に限定されないことに留意するべきである。例えば、本技術の種々の実施形態はまた、蛇行を有する血管系のエリアに到達するように、及び/またはかかる生体組織を横切る間の舵取りを提供するように試みるときに使用することも可能である。遠位部分の角度付けられた形状は忠実であり続け、その構成を失わないため、複数のワイヤ及び他の装置は、近位部分306にある開口331から細長いシャフトを通して供給され、生体組織に入孔する前の所定の寸法への任意の変化を相殺しなければならないという問題を有することなく、選択的に位置付けられることができる。いくつかの実施形態では、例えば、システムは、複数の屈曲、よじれ、及び解剖学的変動性を有する複雑な場所に到達するために使用されてもよい。
【0039】
III.実施例
以下の実施例は、本技術のいくつかの実施形態を例示する。
1.血管内装置であって、
近位部分にあるハンドルと、
該ハンドル及び角度付けられた遠位部分に連結され、それらの間に延在する細長い部材と、を備え、該細長い部材は、
外側鞘と、
該鞘に伴う中空回転部材と、を含み、該回転部材は、該角度付けられた遠位部分に連結され、該回転部材の回転は、該角度付けられた遠位部分の回転を直接的に引き起こし、
該角度付けられた遠位部分は、
それを通る管腔を画定し、
第1の区分と、該第1の区分からある角度で遠位に延在する第2の区分とを有し、
該第1の区分と該第2の区分との間の該角度は、介入装置が、該遠位部分の該管腔内部に少なくとも部分的にあり、また該第1の区分の少なくとも一部分と該第2の区分の少なくとも一部分とにわたるときに、同じままである、血管内装置。
2.血管内装置であって、
近位部分にあるハンドルと、
該ハンドル及び遠位部分に連結され、それらの間に延在する細長い部材と、を備え、該細長い部材は、
外側鞘と、
該鞘に伴う中空回転部材と、を含み、該回転部材は、該遠位部分に連結され、該回転部材の回転は、該遠位部分の回転を直接的に引き起こし、
該遠位部分が患者の外部に位置する間に臨床医によって加えられる力に応答して、該遠位部分は、
血管内に送達されるように構成される第1の構成と、
血管内に送達されるように構成される第2の構成との間で移動可能であり、該第2の構成は、該第1の構成とは異なる、血管内装置。
3.該第1の区分と該第2の区分との間の該角度は、ガイドワイヤが該遠位部分の該管腔内に少なくとも部分的にあるときに同じままである、実施例1の装置。
4.該遠位部分は、ヒートセットされない、実施例1〜3のいずれかの装置。
5.該角度は、約30度である、実施例1のいずれかの装置。
6.該遠位部分は、非侵襲性遠位先端をさらに備える、実施例1〜5のいずれかの装置。
7.該回転部材は、遠位端部と近位端部とを有し、
該回転シャフトの該遠位端部は、該遠位部分に連結され、
該回転シャフトの該近位端部は、該ハンドルに位置するノブに連結される、実施例1〜6のいずれかの装置。
8.該遠位部分の少なくとも一部分は、放射線不透過性である、実施例1〜7のいずれかの装置。
9.該第1の構成は、該細長い部材の長手方向軸に対して第1の角度をなし、
該第2の構成は、該細長い部材の該長手方向軸に対して第2の角度をなし、該第2の角度は、該第1の角度とは異なる、実施例2、4、及び6〜8のいずれか1つの装置。
10.該第1の構成は、第1の直径を有する丸みのある構成であり、
該第2の構成は、該第1の直径とは異なる第2の直径を有する丸みのある構成である、実施例2、4、及び6〜8のいずれか1つの装置。
11.該第1の構成は、丸みのある構成であり、
該第2の構成は、屈曲した構成である、実施例2、4、及び6〜8のいずれか1つの装置。
12.該遠位部分は、該第1の構成及び該第2の構成のうちの少なくとも1つとは異なる第3の構成にさらに移動可能である、実施例2、4、及び6〜11のいずれか1つの装置。
13.該遠位部分は、該第1の構成及び該第2の構成とは異なる第3の構成にさらに移動可能であり、
該第3の構成にあるとき、該遠位部分は、血管内に送達されるように構成される、実施例2、4、及び6〜11のいずれか1つの装置。
14.遠位部分を有する治療装置を使用する方法であって、
第1の構成にある遠位部分を血管内に送達することと、
該第1の構成にある該遠位部分を体外の場所へ除去することと、
該遠位部分を、該第1の構成とは異なる第2の構成に再構成することと、
第2の構成にある該遠位部分を血管内に送達することと、を含む、方法。
15.該第1の構成は、第1の直径を有する丸みのある構成であり、該第2の構成は、該第1の直径とは異なる第2の直径を有する丸みのある構成である、実施例14の方法。
16.該第1の構成は、該治療装置の長手方向軸に対して第1の角度をなし、該第2の構成は、該治療装置の該長手方向軸に対して第2の角度をなし、該第2の角度は、該第1の角度とは異なる、実施例14の方法。
17.該遠位部分を再構成することは、該遠位部分を屈曲させることを含む、実施例14の方法。
18.該装置を血管内に送達することは、該遠位部分を慢性完全閉塞に近位の血管内の場所に送達することを含む、実施例14〜17のいずれか1つの方法。
19.該第2の構成にある該遠位部分を体外の場所へ除去することと、
該遠位部分を、該第1の構成及び該第2の構成のうちの少なくとも1つとは異なる第3の構成に再構成することと、
第3の構成にある該遠位部分を血管内に送達することと、をさらに含む、実施例14〜18のいずれか1つの方法。
【0040】
IV.結論
上記の本技術の実施形態の詳細な説明は、包括的であること、または本技術を上記に開示される詳細な形態に限定することを意図するものではない。本技術の具体的な実施形態または実施例が、例示の目的のために上記に説明されているが、種々の同等の修正は、関連する技術分野の当業者が認識するであろうように、本技術の範囲内で可能である。例えば、ステップは所与の順序で提示されているが、代替的な実施形態は、異なる順序でステップを実施してもよい。本明細書に説明される種々の実施形態はまた、さらなる実施形態を提供するように組み合わされてもよい。
【0041】
前述の記述から、本技術の具体的な実施形態が例示の目的のために本明細書に説明されているが、周知の構造及び機能は、本技術の実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、示されていないかまたは詳細には説明されていないことが理解されるであろう。文脈が許す限り、単数形または複数形の用語は、それぞれ、その複数形または単数形の用語も含むことができる。
【0042】
さらに、語句「または」が、2つ以上の項目のリストに関連して他の項目から排他的に単一の項目のみを意味するように明確に限定されない限り、かかるリスト内での「または」の使用は、(a)該リスト内の任意の単一の項目、(b)該リスト内の項目の全て、または(c)該リスト内の項目の任意の組み合わせを含むように解釈されるべきである。それに加えて、用語「備える(含む)」は、全体を通して、少なくともその記載される特徴(複数可)を、任意のより大きい数の同一の特徴及び/またはさらなる種類の他の特徴が除外されないように含むことを意味するように使用される。また、具体的な実施形態が例示の目的のために本明細書に説明されているが、種々の修正が、本技術から逸脱することなく行われてもよいことも理解されるであろう。さらに、本技術の特定の実施形態に関連する利点が、それらの実施形態の文脈において説明されているが、他の実施形態もまた、かかる利点を示す場合があり、また必ずしも全ての実施形態が、本技術の範囲内であるようにかかる利点を示すわけではない。したがって、本開示及び関連する技術は、本明細書に明確に示されていないまたは説明されていない他の実施形態を包含することができる。