特許第6682457号(P6682457)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6682457薄板ガラスの弓なり湾曲を低減する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682457
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】薄板ガラスの弓なり湾曲を低減する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   C03B 35/14 20060101AFI20200406BHJP
   B65H 23/038 20060101ALI20200406BHJP
   B65H 23/188 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   C03B35/14
   B65H23/038 Z
   B65H23/038 A
   B65H23/188
【請求項の数】21
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-574344(P2016-574344)
(86)(22)【出願日】2015年2月16日
(65)【公表番号】特表2017-514785(P2017-514785A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】EP2015053176
(87)【国際公開番号】WO2015135721
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2017年12月11日
(31)【優先権主張番号】102014103431.7
(32)【優先日】2014年3月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス オアトナー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ロスマイアー
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン フォークト
(72)【発明者】
【氏名】マリウス ネーツェル
【審査官】 若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−335928(JP,A)
【文献】 特公昭35−005477(JP,B1)
【文献】 特開2010−105900(JP,A)
【文献】 特表2011−502099(JP,A)
【文献】 特表2012−509844(JP,A)
【文献】 特開平05−170454(JP,A)
【文献】 特開2003−192361(JP,A)
【文献】 特開2010−138046(JP,A)
【文献】 特表2012−523364(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103553301(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 7/00−7/22
9/00−17/06
19/00−19/10
21/00−35/26
40/00−40/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスリボン成形装置(4)による薄板ガラスリボン(1)の製造方法であって、
前記ガラスリボン成形装置(4)は引張装置(3)を含んでおり、
前記引張装置(3)によって、前記薄板ガラスリボン(1)を、前記ガラスリボン成形装置(4)から離れる方向に引っ張り、
測定装置(7)によって、前記薄板ガラスリボン(1)のエッジ(10,11)の長さの違いに依存する量として、当該薄板ガラスリボン(1)の速度を、前記ガラスリボン成形装置(4)によって形成された前記薄板ガラスリボン(1)の長手方向に対して横向きに間隔を有している2つの測定箇所で測定し、前記速度の差または商を特定し、当該差または当該商に基づいて制御量を特定し、当該制御量を用いて、前記薄板ガラスリボン(1)の、反対側に位置する2つの前記エッジ(10,11)の、前記薄板ガラスリボン(1)の速度の差を抑制するように、前記ガラスリボン成形装置(4)を駆動制御する、
ことを特徴とする、薄板ガラスリボン(1)の製造方法。
【請求項2】
前記制御量を用いて、加熱または冷却装置(55)を駆動制御することによって、前記加熱または冷却装置(55)によって局部的に、前記薄板ガラスリボン(1)の温度を、前記薄板ガラスリボン(1)の引張方向に対して横向きの方向おいて変化させ、これによって、前記薄板ガラスリボン(1)の、反対側に位置する2つの前記エッジ(10,11)の、前記薄板ガラスリボン(1)の前記速度の差を抑制するように、前記引張方向に対して横向きに、前記薄板ガラスリボン(1)の温度プロファイルを変化させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記加熱または冷却装置(55)は、前記引張方向に対して横向きに間隔を有している、少なくとも2つの加熱または冷却素子(56,57)を含んでおり、当該加熱または冷却素子(56,57)を制御装置(6)によって前記制御量を用いて駆動制御して、前記引張方向に対して横向きの前記薄板ガラスリボンの前記温度プロファイルを調整するために、前記複数の加熱または冷却素子(56,57)のうちの少なくとも1つの加熱または冷却素子の加熱または冷却出力を変化させる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記加熱または冷却装置(55)は、ビーム加熱素子(58)とビーム偏向装置(59)とを含んでおり、
前記ビーム加熱素子(58)から放射されたビームを、前記ビーム偏向装置(59)によって、前記薄板ガラスリボン(1)の前記引張方向に対して横向きの方向において、位置が前記制御量に依存する箇所に偏向させる、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
前記薄板ガラスリボン(1)を、前記引張装置(3)によって、加熱成形領域(5)から離れる方向に引っ張り、
前記引張装置(3)は、前記薄板ガラスリボン(1)の幅に沿って間隔を有する少なくとも2つの箇所で、前記薄板ガラスリボン(1)に影響を与えるように構成されており、
間隔を有する前記2つの箇所での引張作用を異ならせることによって、前記薄板ガラスリボン(1)の、反対側に位置する2つのエッジ(10,11)の、前記薄板ガラスリボン(1)の速度の差を抑制するように、前記引張装置(3)を駆動制御する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記薄板ガラスリボン(1)の前記エッジ(10,11)の前記長さの違いに依存する量として、前記薄板ガラスリボン(1)の、所定の測定時間内に進んだ距離を測定する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記引張装置(3)は、少なくとも1つの引き取りローラ(31)を含んでおり、
前記2つのエッジ(10,11)での前記薄板ガラスリボン(1)の前記速度の差を抑制するために、前記引き取りローラ(31)の接触圧力を変化させる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記薄板ガラスリボン(1)の前記エッジ(10,11)の前記長さの違いに依存する量として、前記薄板ガラスリボン(1)の長手方向に対して横向きに間隔を有している2つの測定箇所で、前記薄板ガラスリボン(1)の湾曲領域における前記薄板ガラスリボン(1)の位置を特定する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記薄板ガラスリボン(1)の縁に、前記測定装置(7)の手前に配置されたコーティング装置(23)によって、有利にはストリップ状であるコーティング(25)を設け、
前記測定装置(7)の前記測定箇所は、前記薄板ガラスリボン(1)のコーティングされた領域上に位置する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
薄板ガラスリボン(1)を製造する装置(2)であって、
当該装置(2)は、前記薄板ガラスリボン(1)を引き延ばす引張装置(3)を備えたガラスリボン成形装置(4)を含んでおり、
前記薄板ガラスリボン(1)を製造する装置(2)は、さらに、測定装置(7)を備えた制御装置(6)を含んでおり、
前記測定装置(7)を備えた前記制御装置(6)は、前記薄板ガラスリボン(1)のエッジ(10,11)の長さの違いに依存する量として、当該薄板ガラスリボン(1)の速度を、前記薄板ガラスリボン(1)の幅に沿って間隔を有している2つの測定箇所で測定し、前記速度の差または商を特定するように構成されており、
前記制御装置(6)は、前記差または前記商に基づいて制御量を特定するように構成されており、当該制御量を用いて、前記薄板ガラスリボン(1)の、反対側に位置する2つのエッジ(10,11)の、前記薄板ガラスリボン(1)の速度の差を抑制するように、前記ガラスリボン成形装置(4)が駆動制御される、
ことを特徴とする、薄板ガラスリボン(1)を製造する装置(2)。
【請求項11】
加熱または冷却装置(55)を有しており、
当該加熱または冷却装置(55)によって、前記薄板ガラスリボン(1)の引張方向に対して横向きの方向において、前記薄板ガラスリボン(1)の温度を局部的に変化させることが可能であり、前記薄板ガラスリボン(1)の、反対側に位置する2つのエッジ(10,11)の、前記薄板ガラスリボン(1)の速度の差が抑制されるように、前記引張方向に対して横向きに、前記薄板ガラスリボン(1)の温度プロファイルを変えるために、前記制御量を用いて前記加熱または冷却装置(55)を駆動制御することが可能である、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記加熱または冷却装置(55)は、前記引張方向に対して横向きに間隔を有している、少なくとも2つの加熱または冷却素子(56,57)を含んでいる、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記加熱または冷却装置(55)は、ビーム加熱素子(58)とビーム偏向装置(59)とを含んでおり、前記ビーム加熱素子(58)から放射されたビームは、前記ビーム偏向装置(59)によって、前記薄板ガラスリボン(1)の引張方向に対して横向きの方向において、位置が前記制御量に依存する箇所に偏向される、請求項11または12記載の装置。
【請求項14】
前記薄板ガラスリボン(1)の幅に沿って間隔を有している少なくとも2つの箇所で、前記薄板ガラスリボン(1)に影響を与えるように前記引張装置(3)が構成されており、
間隔を有する前記2つの箇所で引張作用を異ならせることによって、前記薄板ガラスリボン(1)の、反対側に位置する2つの前記エッジ(10,11)の、前記薄板ガラスリボン(1)の前記速度の差が抑制されるように、前記引張装置(3)は前記制御装置(6)によって駆動制御される、請求項13記載の装置(2)。
【請求項15】
前記測定装置(7)は、
・ホイール(71,72)の回転を検出するセンサ(73,74)を備えた、前記引張方向に対して横向きに間隔を有する2つのホイール(71,72)、
・少なくとも1つのレーザードップラーセンサ(75,76)、
・前記薄板ガラスリボン(1)の湾曲領域における前記薄板ガラスリボン(1)の位置を測定する少なくとも2つの距離センサ(77,78)、
のうちの少なくとも1つを含んでいる、請求項13または14記載の装置(2)。
【請求項16】
前記引張装置(3)は1つの引き取りローラ(31)を含んでおり、さらに、前記引き取りローラ(31)の接触圧力を、前記引き取りローラ(31)の軸方向に沿って、前記制御量に依存して変化させる装置を有している、請求項13から15までのいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
前記引張装置(3)は、前記薄板ガラスリボン(1)の引張方向に対して横向きに間隔を有している2つの引き取りローラ(31,32)を含んでおり、
当該2つの引き取りローラ(31,32)のうちの少なくとも1つは、前記制御量に依存して調整可能な、前記引き取りローラ(31,32)の接触圧力または引張力を変える装置を有している、請求項10から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
前記薄板ガラスリボン(1)上に光散乱粒子を被着させる装置を有しており、当該装置は、前記薄板ガラスリボン(1)の運動方向において前記測定装置(7)の手前に配置されており、
光散乱粒子を被着させる前記装置は、前記測定装置(7)の前記測定箇所が位置する、前記薄板ガラスリボン(1)のストリップ状領域上に前記光散乱粒子を被着させるように構成されている、請求項10から17までのいずれか1項記載の装置(2)。
【請求項19】
縁部切断装置(27)と、
前記薄板ガラスリボン(1)の運動方向において当該縁部切断装置(27)の後方に配置されているコーティング装置(23)とをさらに有しており、
当該コーティング装置(23)は、前記縁部切断装置(27)によって処理された前記薄板ガラスリボン(1)の縁にコーティング(25)を設け、
前記測定箇所が前記コーティング(25)上に位置するように前記測定装置(7)が配置されている、請求項10から18までのいずれか1項記載の装置(2)。
【請求項20】
前記薄板ガラスリボン(1)を巻取って、ロール(15)にする巻取り装置(13)を有している、請求項10から19までのいずれか1項記載の装置。
【請求項21】
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法、または、請求項10から20までのいずれか1項記載の装置によって製造可能な薄板ガラスリボン(1)であって、
当該薄板ガラスリボン(1)は、順次連続する縦長区間(110,111,112,113)を有しており、
当該縦長区間は、前記薄板ガラスリボン(1)の長手方向に対して横向きに湾曲を有しており、
前記薄板ガラスリボン(1)の前記湾曲の成分の符号は、横方向において、順次連続する区間において、それぞれ、反転し、
前記縦長区間(110,111,112,113)の長さは、最大で20m、有利には最大で10mである、
ことを特徴とする薄板ガラスリボン(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、薄板ガラスリボンの製造およびパッケージングに関する。特に、本発明は、薄板ガラスリボンの製造時に、いわゆる弓なり湾曲欠陥(Saebelfehler)を低減させることができる方法および装置に関する。弓なり湾曲欠陥は、ガラスリボンのエッジが曲がる様式のガラスリボンの変形である。
【0002】
薄板ガラスリボンは、引張工程の後、しばしば、巻取りによってパッケージングされる。ガラスリボンが歪み、例えば弓なり湾曲欠陥を有する場合、巻かれたガラスリボンの各エッジがきっちり重ならなくなってしまう。これは特に、ガラスロールの側面の傾斜を生じさせてしまう。国際公開第2013/066672号は、静電気が帯電したフィルムを一緒に丸め込むことを提案しており、これによってガラスロールの各層は、エッジが一直線に並んだ状態で、重なり合って「接着」される。
【0003】
ガラスロールの側壁が一直線に並ぶようにガラスリボンを巻き取る他の方法は、米国特許出願公開第2012/0111054号明細書から公知である。この文献で提案された方法は、ガラスリボンを曲げることで、ガラスリボンに十分な剛性を、長手方向に対して垂直に与えることに基づいている。これによって、ガラスリボンを、ガラスリボンエッジに接触するロールを用いて導くことが可能になる。
【0004】
しかし弓なり湾曲欠陥によって、ガラス内に応力が誘起され得る。特に欠点となるのは、ガラスリボンエッジの側方で案内されるガラスリボンが、巻取り時に、エッジの曲がりによって、脇方向に流されてしまうことである。これは、特に、高い精度が重要となる後続の処理ステップを妨害することがある。
【0005】
国際公開第2013/066672号および米国特許出願公開第2012/0111054号明細書によって公開されている方法は、改善された形状を有するガラスロールを製造するのには適しているが、上述した問題を解決するものではない。なぜなら、弓なり湾曲欠陥が残ったままの場合があるからである。
【0006】
従って本発明の課題は、弓なり湾曲欠陥が初めから回避された、または、弓なり湾曲欠陥が少なくとも欠陥の程度に関して格段に低減された薄板ガラスリボンの製造を可能にすることである。
【0007】
上述の課題は、独立請求項の構成要件によって解決される。本発明の有利な構成および発展形態は、各従属請求項に記載されている。
【0008】
このために、測定技術を用いて検出可能な制御量が使用される。この制御量は、ガラスリボンの弓なり湾曲欠陥を最小化するための安定した閉ループ制御アルゴリズムの構築を可能にする。この際の出発点は、形状変化速度の局部的な変化によって、弓なり湾曲欠陥が生起されてしまう、ということを認識することである。
【0009】
特に、本発明は、ガラスリボン成形装置による薄板ガラスリボンの製造方法に関する。ガラスリボン成形装置は引張装置を含んでおり、引張装置によって、薄板ガラスリボンが、ガラスリボン成形装置から離れる方向に引っ張られる。この際に、測定装置によって、薄板ガラスリボンのエッジの長さの違いに依存する量が、ガラスリボン成形装置よって形成された薄板ガラスリボンの長手方向に対して横向きに間隔を有する少なくとも2つの測定箇所で測定され、これらの量の差または商が特定され、この差または商に基づいて、制御量が特定され、この制御量を用いて、薄板ガラスリボンの、反対側に位置する2つのエッジの、薄板ガラスリボンの速度の差を抑制するように、ガラスリボン成形装置が駆動制御される。
【0010】
薄板ガラスリボンまたは超薄板ガラスリボンの弓なり湾曲欠陥が存在する場合、形状変化速度は幅方向の座標に依存して単調に上昇または低減する。測定時間の間に、間隔が空いた2つの箇所で、前進中のガラスリボンの速度が異なっている場合には、結果としてここから、ガラスリボンのエッジの長さが、この測定時間の間に測定装置を通過するガラスリボン区間の領域において、異なってしまう。このように異なった長さのエッジが、ガラスリボンの相応する弓なり湾曲を生じさせる。ここで、この差から制御信号が形成され、この制御信号によって、弓なり湾曲を補償するために、薄板ガラスの製造プロセスに影響が与えられる。
【0011】
すなわち、エッジの長さが異なるので、2つのエッジでの前進速度が異なる。従って本発明の1つの実施形態では、薄板ガラスリボンの幅に沿って間隔を有する少なくとも2つの箇所の間の、薄板ガラスリボンの速度または薄板ガラスリボンの速度に依存する量の差または商が測定される。
【0012】
相応する本発明の、薄板ガラスリボンを製造する装置は、薄板ガラスリボンを引き延ばす引張装置を備えたガラスリボン成形装置を含んでいる。ここで薄板ガラスリボンを製造する装置はさらに、測定装置を備えた制御装置を含んでいる。ここでこの測定装置を備えた制御装置は、薄板ガラスリボンのエッジの長さの違いに依存する量を、薄板ガラスリボンの幅に沿って間隔を有する少なくとも2つの測定箇所で測定し、これらの量の差または商を特定するように構成されている。ここでこの制御装置は、この差またはこの商に基づいて制御量を特定するように構成されている。ここでこの制御量を用いて、ガラスリボン成形装置は次のように駆動制御される。すなわち、薄板ガラスリボンの、反対側に位置する2つのエッジの、薄板ガラスリボンの速度の差を抑制するように駆動制御される。
【0013】
すなわち、本発明では、薄板ガラスリボンの2つのエッジでの、引張速度の正確に閉ループ制御された調整によって、弓なり湾曲欠陥を初めから最小化することが可能である。
【0014】
薄板ガラスリボンとは、本発明では、特に、1mmを下回る、有利には0.5mmを下回る厚さを有するガラスリボンのことである。本発明は特に、このような薄いガラスに適している。なぜなら、このようなガラスは巻き取った形態で提供されることがあり、従って、エッジ長が極めて長い製品になるからである。まさに、一般的に中間製品として後続の製造プロセスに用いられるこのような製品において、弓なり湾曲欠陥が特に重要である。従って、0.2mm以下の厚さを有する極めて薄いガラスも本願に適している。このようなガラスは超薄板ガラスとも称される。
【0015】
制御信号として、最も簡単な場合には、薄板ガラスリボンの右側面と左側面との速度の速度差、若しくは、より一般的に、間隔の空いた2つの測定箇所での速度の速度差が選択される。またこれに続いて、ここから結果として生じる、2つのリボンエッジの長さの差も、縁部近傍(総体的な境界)において、または、ガラスリボンの実際の境界の近傍において、測定時間内に測定される。長さの差の測定の利点は、個々の長さ要素の積分による高い感度である。
【0016】
本発明を以降で詳細に説明する。ここで、添付図面も参照されたい。これらの図面では、同じ参照番号は同じ素子または相当する素子を表している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】弓なり湾曲欠陥を有する薄板ガラスリボンの一部
図2】本発明とは異なって製造された薄板ガラスリボンの部分での弓なり湾曲欠陥の量の評価
図3】薄板ガラスリボンを製造する装置の実施例の概略図
図4】薄板ガラスリボンを製造する装置の別の実施例の概略的な平面図
図5】光学式非接触測定装置と縁部切断装置とを備えた装置の例
図6】薄板ガラスリボンの位置を特定するための距離測定を伴う測定装置の実施形態
図7】交互の反対の弓なり湾曲欠陥を有する薄板ガラスリボンの一部
【0018】
図1には、薄板ガラスリボン1の一部の、面12の平面図が示されている。理想的には、薄板ガラスリボン1は直線状に延在して、薄板ガラスリボンのエッジ10、11が直線状かつ平行になる。しかし、薄板ガラスリボン1を製造するための加熱成形プロセスでは、長手方向に対して横向きの方向において不均一性が生じ、これは例えば、薄板ガラスリボン1の幅Bにわたって変化する引張力である。従って、薄板ガラスリボン1は、弓なり湾曲欠陥の形態の湾曲を有し得る。このような湾曲の際には、エッジ10、11の湾曲ベクトルは、薄板ガラスリボン1の平面、若しくは、面12の平面に対して平行に存在している。
【0019】
このような湾曲が原因で、薄板ガラスリボン1のエッジ11と、このエッジ11に接している接線17とは、図1に示されているように、間をおいて延在している。これによって、距離Lの後には、該当するエッジ11と理想的な直線状経過、若しくは、距離Lの区間の始点に接している接線17との間に間隔sが生じる。これによって、距離単位Lあたりの弓なり湾曲欠陥sを表すことができ、また定量化することができる。これには、反対側に位置する2つのエッジ10、11が薄板ガラスリボン1の長さ区間内で異なる長さを有することも付随して生じる。
【0020】
図2は、本発明とは異なって製造された薄板ガラスリボンの弓なり湾曲欠陥の大きさを示している。薄板ガラスリボンのうちの、3.5mの長さの区間が測定された。この区間の一方の終端部には4mの鋼の定規が当接され、他方の終端部では、この鋼の定規までの間隔が特定された。ここで、図2には、棒グラフとして、弓なり湾曲欠陥の大きさの発生頻度が示されている。このグラフに基づいて明らかであるように、ガラスリボンの弓なり湾曲欠陥の典型的な大きさは、ガラスリボン長さ3.5mあたり10mmの範囲にある。ここで、最も多くの弓なり湾曲欠陥は、ガラスリボン長さ3.5mあたり2〜4mmの間にある。
【0021】
本発明によって、このような弓なり湾曲欠陥の大きさが低減される。図3に概略的に、斜視図に示された、薄板ガラスリボン1を製造する本発明の装置2は、薄板ガラスリボン1を引き延ばす引張装置3を備えたガラスリボン成形装置4を含んでいる。測定装置7を備えた制御装置6が設けられており、ここでこの、測定装置7を備えた制御装置6は、薄板ガラスリボン1のエッジ10、11の長さの違いに依存する量を、少なくとも2つの、薄板ガラスリボン1の幅に沿って間隔を有している測定箇所で測定し、これらの量の差または商を特定するように構成されている。この制御装置6は、この差または商に基づいて、制御量を特定するように構成されている。この制御量を用いて、ガラスリボン成形装置4は、次のように制御装置6によって駆動制御される。すなわち、薄板ガラスリボン1の、反対側に位置する2つのエッジ10、11の、薄板ガラスリボン1の速度の差を抑制するように駆動制御される。
【0022】
本発明の有利な実施形態では、弓なり湾曲欠陥の補償は、直接的に、ガラスリボンの加熱成形に影響を与えることによって行われる。この場合には特に、引張装置によって加えられる、成形された薄板ガラスリボンを介して加熱成形領域に作用する引張力が、薄板ガラスリボンの幅に沿って、ひいては、加熱成形領域の幅に沿って調整される、若しくは、変更されることによって、弓なり湾曲欠陥が補償される。
【0023】
さらに、方法若しくはこの方法を実行する装置の発展形態では、薄板ガラスリボンは、引張装置によって、加熱成形領域から離れる方向に引っ張られる。ここでこの引張装置は、薄板ガラスリボンの幅に沿って間隔を有する少なくとも2つの箇所で、薄板ガラスリボンに作用するように構成されている。この引張装置は、制御装置によって次のように駆動制御される。すなわち、間隔を有する2つの箇所での引張作用を異ならせることによって、薄板ガラスリボンの、反対側に位置する2つのエッジの、薄板ガラスリボンの速度の差を抑制するように、駆動制御される。
【0024】
図3は、薄板ガラスリボン1を製造する、本発明による装置の実施形態を概略的に示している。ここでは、加熱成形への影響によって、弓なり湾曲欠陥の補償が行われる。これに相応して、ガラスリボン成形装置4は、ここで、加熱成形装置50を含んでいる。図1に示された例では、薄板ガラスリボン1は、加熱成形装置によって、母材100から製造される。このために、母材100は、加熱成形装置50によって、加熱成形領域5において加熱される。次に、引張装置3によって、薄板ガラスリボン1は、加熱成形領域5から引き延ばされる。この引張工程によって、母材100の形状と比べて、厚さが低減される。この引張工程が、特に、次のように行われてもよい。すなわち、母材100の幅に対する薄板ガラスリボン1の幅の低減よりも、厚さの低減が格段に大きくなるように行われてもよい。これは、図1に示された実施例の特殊性を制限することなく、次のことによって実現される。すなわち、加熱成形領域5における成形ゾーンの長さを短く保つことによって実現される。特に、このためには、成形ゾーン、すなわち、厚さが格段に低減される母材の領域を、その長さが最大で、母材の厚さの6倍であるように調整することが有利である。
【0025】
加熱成形装置50は、母材100からの薄板ガラスリボン1の引張に対して、抵抗高温素子、燃焼装置、ビーム加熱部、少なくとも1つのレーザーまたは上述した装置の組み合わせを含み得る。
【0026】
一般的に、母材から薄板ガラスリボン1を引っ張るために、さらに、母材100が事前加熱されるのも有利である。このようにして、引張に適したガラス粘性まで、迅速に加熱をすることができる。これは、加熱成形領域5における短い成形ゾーンの形成を容易にする。
【0027】
図3に示されているように、引張装置3は、引き取りローラ31を含んでいる。本発明の実施形態では、図1に示されているように、薄板ガラスリボン1の幅全体にわたって延在している引き取りローラが用いられる。
【0028】
本発明では、薄板ガラスリボン1を製造する装置2は、さらに、測定装置7を備えた制御装置6を含んでいる。この測定装置7は、薄板ガラスリボン1の幅に沿って間隔を有している少なくとも2つの箇所の間の、薄板ガラスリボン1の速度、または、薄板ガラスリボン1の速度に依存する量の差または商を測定するように構成され得る。これらの測定箇所での速度は、エッジの長さに依存する。一方のエッジが、他方のエッジよりも長い場合には、所定の前進速度において、長い方のエッジの速度が速くなる。
【0029】
図3の例でも示されている、本発明の1つの実施形態では、測定装置は、引張方向に対して横向きに間隔が空けられた2つのホイール71、72を含んでいる。ここでこれらのホイールは、ホイール71、72の回転を検出するセンサ73、74を有している。これらのセンサ73、74は、例えば、ロータリーエンコーダ、有利にはインクリメンタルロータリーエンコーダであり得る。
【0030】
すなわち、本発明のこの実施例では、触覚式の測定方法が使用される。2つのホイールは、薄板ガラスリボン1の面12との接触によって、および、引張方向に沿った薄板ガラスリボン1の運動によって回転させられる。この際に制御装置6によって、薄板ガラスリボン1の速度に対応する量が、センサ73、74の測定値から求められる。このような量は、実際の速度と並んで、例えば、ホイールの角速度であってもよい。
【0031】
測定装置7のセンサ73、74は、制御装置6に接続されている。従って、制御装置6において、これらのセンサ73、74の測定値が評価可能である。特に、制御装置6によって、センサ73、74によって測定された量の差または商が特定される。制御装置6は、ここで、測定された量のこの差または商に基づいて制御量を特定する。この制御量を用いて、引張装置3が駆動制御されて、薄板ガラスリボン1の幅に沿って間隔を有する2つの箇所で引張作用を異ならせることによって、薄板ガラスリボン1の、反対側に位置する2つのエッジ10、11の、薄板ガラスリボン1の速度の差が抑制される。これらの箇所が、測定箇所と同一である必要はない。
【0032】
このように引張作用を異ならせるために、2つのエッジ10、11での薄板ガラスリボン1の速度の差を抑制するために、引き取りローラ31の接触圧力を、制御量に応じて変更することができる。特に、引き取りローラ31では、接触圧力が、自身の2つの終端部で、制御装置6によって閉ループ制御されて、変更され得る。このために、図3に示された例では、制御装置6に接続された、接触圧力を調整する、2つの装置33、34が設けられている。これらの装置によって、引き取りローラ31の軸受けへの圧力が、制御装置6によって制御されて調整可能である。ここで例えば、薄板ガラスリボン1のエッジ10、11のうちの1つで、接触圧力が高められると、これは、ガラスリボンと引き取りローラ31との間の接触がより良好になることによって、この面でのガラスリボン速度を上昇させ、これによって、このエッジでガラスリボンを長くする。これとは逆に、引き取りローラ31の表面が柔らかい場合には、接触圧力下を高めると、ローラ材料の圧縮がより大きくなる。これによって、引き取りローラ31の効果範囲が低減し、その引張速度が低減する。後者の実施形態が有利である。
【0033】
従って、図1に示された、薄板ガラスリボン1の一部では、弓なり湾曲欠陥の検出時に、エッジ10での引き取りローラ31の接触圧力が低減され、かつ/または、エッジ11での引き取りローラ31の接触圧力が増大され、図1に示された弓なり湾曲欠陥が補償される。すなわち、図示された湾曲に基づいて、エッジ11は、エッジ10よりも僅かに長くなる。
【0034】
本発明の別の、および、特に有利な実施形態は、同様に、直接的に、薄板ガラスリボンの加熱成形に影響を与えることに基づいている。弓なり湾曲欠陥を補償するための作用が、次のことによって実現されてもよい。すなわち、粘性の経過を、薄板ガラスリボン1の引張方向に対して横向きに変化させることによって実現されてもよい。粘性の変化はここで、適切な装置を用いた、引張方向に対して横向きの、ガラスリボンの温度プロファイルの整合若しくは調整によって実現される。このために、一般的に、図3の例に制限されることなく、本発明の実施形態では、加熱または冷却装置55が設けられている。これによって、局部的に、薄板ガラスリボン1の温度が、薄板ガラスリボン1の引張方向に対して横向きの方向において変えられる。この加熱または冷却装置55は次に、制御量を用いて駆動制御され、これによって、ガラスリボンの温度プロファイルが、引張方向に対して横向きに、次のように変更される。すなわち、薄板ガラスリボン1の、反対側に位置する2つのエッジ10、11の、薄板ガラスリボン1の速度の差を抑制するように変更される。
【0035】
このために、この実施形態の発展形態では、少なくとも2つの、引張方向に対して横向きに間隔を有している加熱素子または冷却素子56、57が、加熱または冷却装置55の構成部分として設けられ得る。これらは例えば、溶解物からのガラスリボンの成形時にも、引張ノズルの後方に配置されている引張シャフト内または引張シャフトに接して、または、引張ノズル内または引張ノズルに接して配置されてもよい。
【0036】
図3に示された例では、加熱または冷却装置55は、薄板ガラスリボンの長手方向に対して横向きに間隔が開けられた、制御量を用いて駆動制御可能な、2つの加熱または冷却素子56、57を含んでいる。これらの素子は、加熱成形装置50内に組み込まれている、若しくは、加熱成形装置50の構成部分である。これら2つの加熱または冷却素子56、57は、駆動制御のために、制御装置6と接続されている。一般的に、図示された実施例を制限することなく、この場合には、2つの加熱または冷却素子56、57は、制御装置6によって、制御量を用いて駆動制御可能である。従って、複数の加熱または冷却素子56、57のうちの少なくとも1つの加熱または冷却素子の加熱または冷却出力が変えられ、これによって、ガラスの温度プロファイル、ひいては、引張方向に対して横向きのガラスの粘性プロファイルも調整される。
【0037】
複数の加熱または冷却素子56、57のうちの1つだけを、駆動制御することも可能である。例えば、複数の加熱または冷却素子56、57のうちの1つが、固定の加熱または冷却出力で動かされ、この場合には、他方の加熱または冷却素子57、56において、加熱または冷却出力が、求められた弓なり湾曲欠陥の方向に応じて高められる、または、低減される。
【0038】
加熱または冷却装置55の典型的な閉ループ制御メカニズムは、特に、以下のように設定可能である。
【0039】
測定装置7によって、測定された、または、測定から導出された量の差または商に基づいて、弓なり湾曲が識別され、この差または商に基づいて、制御量が特定されると、この制御量を用いて、ガラスリボン成形装置4を次のように駆動制御することができる。すなわち、薄板ガラスリボン1の、反対側に位置する2つのエッジ10、11の、薄板ガラスリボン1の速度の差を抑制するように駆動制御することができる。
【0040】
加熱または冷却装置55が制御量を用いて駆動制御され、これによって、薄板ガラスリボン1の温度プロファイルが、引張方向に対して横向きに、薄板ガラスリボン1の、反対側に位置する2つのエッジ10、11の、薄板ガラスリボン1の速度の差を抑制するように変更されることによって、加熱または冷却装置55によって局部的に、薄板ガラスリボン1の温度が、薄板ガラスリボン1の引張方向に対して横向きの方向において変えられる、本発明の上述した実施形態を、本発明の別の実施形態と組み合わせることもできる。
【0041】
図2の実施例に基づいて示されているように、弓なり湾曲欠陥は、薄板ガラスリボンの長さと比べて短い。測定装置の測定箇所での、すなわち、図3に示された例では、ホイール71、72の、薄板ガラスリボン1の面12との2つの接触箇所での速度の差も相応に小さい。
【0042】
従って、測定精度を高めるために、図3の実施形態および、ホイール71、72を備えた測定装置の特別な構成に制限されない、本発明の発展形態では、薄板ガラスリボン1のエッジ10、11の長さの違いに依存する量として、所定の測定時間内に進んだ、薄板ガラスリボン1の距離が測定される。すなわち、換言すれば、測定時間内にセンサによって検出された速度が積分される。
【0043】
速度の積分は、それがガラスリボンの速度であっても、または、ホイール71、72の角速度であっても有利である。なぜなら、この積分によって、測定精度が高められるからである。いずれにせよ、薄板ガラスリボンのエッジ10、11での長さの差は極めて小さい。測定箇所間の間隔をできるだけ大きくする場合、この間隔は、実質的に、薄板ガラスリボンの幅Bに相当する。弓なり湾曲欠陥がsである場合には、ガラスリボン区間の長さLのもとで、長さの差ΔLに対して、近似的に、ΔL=B*s/Lが当てはまる。図2に示された例に即して、4.5mの長さでの典型的な弓なり湾曲欠陥を3mmと仮定すると、薄板ガラスリボンの幅Bが60cmである場合には、0.4mmの長さの差ΔLが生じる。測定ホイールによって、十分な精度が得られるが、不都合にはスリップが生じてしまうことがある。
【0044】
従って、択一的にまたは付加的に、光学式非接触測定方法が使用される。本発明の1つの実施形態では、測定装置は、これに加えて、少なくとも1つのレーザードップラーセンサを含み得る。
【0045】
市販されているLDVシステムによって、双方向の同期が可能になり、これによって、差の大きさの高精度の特定が可能になる、典型的な精度は、測定値の0.01%オーダーに位置する。さらに、測定箇所での速度の差または長さの差を検出するために、光学式相関法も使用可能である。
【0046】
図4は、さらに、光学式非接触測定が行われる実施例を示している。
【0047】
図3に示された例とは異なり、さらに、ここでは、ガラスリボンが母材100の加熱によって製造されるのではなく、溶解物101からの形成によって製造される。例えば、例に示されているように、成形物が、ガラス溶解物101用の容器19のノズル20から、ガラスリボン1を引き延ばすことによって製造される。しかし、このようなダウンドロー法の他に、溶解物からの他の加熱成形法も可能である。ここでは、フロート法またはオーバーフローフュージョン法が挙げられる。
【0048】
後述する測定方法は、当然ながら他のガラス成形方法にも適用可能である。これには、特に、図3に示されているように、加熱された母材100からの形成も含まれる。
【0049】
測定装置7は、図4に示された実施形態では、2つのレーザードップラーセンサ75、76を含んでいる。レーザードップラーセンサの構造および機能は、当業者に、それ自体公知である。しかし、このようなセンサの可能なタイプを、図4に基づいて、例示的に説明する。図示された例では、レーザードップラーセンサは、差分ドップラーセンサとして形成されている。各センサは、レーザー771を含んでいる。レーザー771のレーザービームは、それぞれ、ビーム分配器772において、2つのビーム部分に分けられる。2つのレーザービームは、ガラスリボン1上で、または、ガラスリボン1内で、重ねられる。ここでこれらのビーム部分は、異なる角度で、ガラスリボンに配向されている。各レーザードップラーセンサ75、76は、さらに、光検出器773を含んでいる。ここでこの光検出器773は、これらのビーム部分が重なっている領域からガラスリボンで散乱された光を検出する。ガラスリボン1の運動およびビーム部分の異なる角度に基づいて、ビーム部分の散乱光は、異なって、ドップラーシフトされる。光検出器773内で重畳している散乱波における、このような異なったドップラーシフトは、速度に依存し、かつ、ガラスリボン1の速度に比例する、うなり周波数を伴う、時間で変化する光強度を生じさせる。
【0050】
レーザー771の光波長が同じ場合には、制御装置6によって、光検出器によって検出されたうなり周波数の差から、速度の差が求められる。同様に、うなり周波数の測定が時間にわたって平均化されてもよい。これは、特定の測定時間、すなわち平均化のための時間にわたった積分に相当する。同様に、所定の時間内のうなり周期が計数され、積分、若しくは、加算されてもよい。測定時間内のうなり周期の数は、測定箇所での、うなり周期の加算の時間内に検出器を通過したガラスリボンの長さを表す量である。加算によって、このような測定は極めて正確になる。
【0051】
2つのレーザードップラーセンサ75、76を相互に同期させることによって、この精度をさらに上げることができる。市販されているレーザードップラーシステムによって、このような双方向の同期が可能になる。このようにして、差の量を極めて正確に特定することが可能になる。典型的な精度は、測定値の0.01%のオーダーにある。
【0052】
図3に示された例と同様に、レーザードップラーセンサ75、76は、制御装置6と接続されている。この制御装置6は、測定値から制御量を求める。この制御量を用いて、引張装置3は次のように駆動制御される。すなわち、ガラスリボンの速度の差、ひいてはそれに付随するエッジ10、11の長さが異なるのを阻止するように、駆動制御される。
【0053】
しかし、ドップラー測定方法における欠点は、ガラスリボンにおいて、表面が平らで、散乱強度が低く、これによって測定信号が小さくなってしまう、ということである。
【0054】
このような問題は、薄板ガラスリボン1の縁部領域での使用(縁部領域では表面は比較的粗面化されているので)またはトレーサー粒子の使用によって緩和される。
【0055】
従って本発明の発展形態では、測定装置の手前に、薄板ガラスリボン1の運動方向において、薄板ガラスリボン1上に光散乱粒子を被着させる装置を配置することが可能である。ここでこの装置は次のように構成されている。すなわち、測定装置7の測定箇所が位置している、薄板ガラスリボン1のストリップ状領域上に光散乱粒子を被着させるように構成されている。
【0056】
エッジで剛性上昇コーティングを使用する場合には、信号の質の改善も見られる。薄板ガラスリボンの耐破損性は、大部分、エッジの質によって影響される。エッジ10、11の領域において、薄板ガラスリボン1の縁に亀裂が存在する場合には、ガラスリボンの湾曲時、例えば巻き取り時に、極めて迅速に破損が生じてしまうことがある。そこで、本発明の発展形態では、図4に例示的に示されているように、薄板ガラスリボン1の縁上に、測定装置7の手前に配置されているコーティング装置23によって、有利にはストリップ状であるコーティング25が設けられる。ここで、測定装置7の測定箇所は、薄板ガラスリボン1のコーティングされた領域上に位置する。このような実施形態によって、二重の利益が得られる。なぜなら、コーティング25は、一方では剛性を上昇させる性質を有することがあり、他方では、長さまたは速度に依存する測定量の測定も改善させるからである。光学式の測定、特にレーザードップラーセンサを用いた光学式の測定に関しては、上述したように散乱光信号が、コーティング25内またはコーティング25上での、コーティングされていないガラスと比べて高い散乱によって改善される。このようなコーティングが、ホイール71、72のスリップを低減させ、むしろ、除去することに適している場合には、図3に例示されているような機械式の測定の場合にも、このようなコーティング25は有利である。
【0057】
図4に示された装置2では、個々の、薄板ガラスリボン1の幅にわたって延在する、1つの引き取りローラ31の代わりに、別個にされた2つの引き取りローラ31、32が設けられている。これらは、引張方向に対して横向きの薄板ガラスリボン1の種々の領域に作用する。
【0058】
図3に示された引張装置3の場合と同様に、1つの引き取りローラまたは2つの引き取りローラ31、32は装置を有することができ、これによって、引き取りローラ31、32の接触圧力を、その軸方向に沿って、制御量に依存して変えることができる。
【0059】
しかし、2つの別個の引き取りローラ31、32の場合には、2つの引き取りローラ31、32間で接触圧力または引張力を変えることもできる。従って、制御量に依存して、2つのローラのうちの1つは他方のローラよりもより強く引っ張られ、これによって、弓なり湾曲を阻止することができる。当然ながら、このような引張装置を、異なる構成を有する、薄板ガラスリボン1を製造する装置2、すなわち、例えば図3に示された実施形態にも使用することができる。すなわち、換言すれば、本発明の発展形態では、図4に示された実施形態を制限することなく、引張方向に対して横向きに間隔を有している2つの引き取りローラ31、32を含んでいる引張装置3が設けられている。ここで、引き取りローラ31、32のうちの少なくとも1つは、制御量に依存して調整可能な、接触圧力または引張力を変えるための装置を有している。引張力は、例えば、制御装置によって求められた制御量としてトルクを調整することによって変えられる。
【0060】
引き取りローラ31、32によるリボン速度への作用に対して択一的または付加的に、同様に、加熱または冷却装置55を設けることができ、これによって、引張方向に対して横向きの方向における、薄板ガラスリボン1の粘性の経過を、制御装置6によって求められた制御量に応じて調整することができる。加熱または冷却装置55は、図4の例においても示されているさらなる実施形態では、ビーム加熱素子58とビーム偏向装置59とを含んでいる。ビーム加熱素子58から放射されたビームは、ビーム偏向装置59によって、薄板ガラスリボン1の引張方向に対して横向きの方向において、位置が制御量に依存する箇所に偏向される。このようにして、ガラスリボンの特定の区間を局部的に加熱することができる。制御量は、ここで、ビーム偏向装置59に次のように影響を与える。すなわち、ビームが、制御量によって特定された、薄板ガラスリボン上の箇所に配向されるように影響を与える。図4に示された例では、短い間、ビームが、薄板ガラスリボン1のエッジ11に接している領域に偏向される。従って、ガラスは、この領域において、エッジ10の領域よりも、より強く加熱される。これによって、まだ柔らかいガラスの粘性が、エッジ11の領域において、反対側に位置するエッジ10と比べて低減される。これによって、エッジ11は、エッジ10と比べて長くなり、エッジ10の速度が、エッジ11の速度よりも高い場合の弓なり湾曲が補償される。
【0061】
図5は、平面図において、光学式非接触測定装置7を有している装置2のさらなる例を示している。図1に示された例と同様に、薄板ガラスリボン1は、ここでも、加熱成形装置50によって、母材100から引っ張られる。ここで、有利には0.2mm以下の厚さを有する薄板ガラスリボン1への母材100の変形は、加熱成形装置50の加熱成形領域5において行われる。
【0062】
図4に示された装置と同様に、例えば、ここでも、速度の差または長さの差の光学式非接触測定が、測定装置7によって、例えば、レーザードップラーセンサ75、76によって行われる。レーザー光の散乱強度およびエッジ耐破損性を改善するために、図4の例でのように、コーティング装置23が設けられている。このコーティング装置23によって、ストリップ状のコーティング25が、薄板ガラスリボンの縁に、すなわち、エッジ10、11に接している、ガラス表面の領域に設けられる。測定装置7の測定箇所は、同様に、薄板ガラスリボン1のコーティングされた領域上に位置している。
【0063】
図3および4に示された例に対して付加的に、ここでは縁部切断装置27が付加的に設けられている。これは、加熱成形プロセスによって生じた、薄板ガラスリボン1の縁での、厚い縁部28を切断する。従って、ガラスリボンの幅にわたって、できるだけ均一な厚さが得られる。縁部を切断するために、分断は、クラックホイールを用いて、または、レーザービームを用いて、熱によるレーザービーム切断によって行われる。
【0064】
コーティング装置23は、薄板ガラスリボン1の運動方向において、縁部切断装置27の後方に配置されている。従って、縁部切断装置27によって新たに作成された新しいエッジ10、11が保護される。
【0065】
図4に示された例でのように、ここで、測定装置7によって、場合によって生じる速度の差または長さの差が、薄板ガラスリボンの2つの縁の測定箇所で求められ、制御装置6によって、検出された測定量に基づいて制御量が求められる。この制御量を用いて、薄板ガラスリボン1の弓なり湾曲が阻止されるように、引張装置3が制御される。
【0066】
本発明の発展形態では、装置2は、縁部切断装置27と、薄板ガラスリボン1の運動方向において、縁部切断装置27の後方に配置されているコーティング装置23とを含んでいる。このコーティング装置23は縁部装置27によって処理された薄板ガラスリボン1の縁にコーティングを被着する。ここでこの測定装置7は、これらの測定箇所が、コーティング25上に位置するように配置されている。
【0067】
エッジ10、11を保護する、かつ、レーザードップラー方法等の光学式測定方法の場合に信号強度を改善する、または、機械式測定方法の場合にスリップを低減させるコーティング材料として、特に、ラッカーおよびプラスチックが適している。
【0068】
図3に示された装置および図4に示された装置の場合にも、同様に、1つまたは複数の引き取りローラ31、32の接触圧力は、制御装置6によって求められた制御量を用いて調整され、これによって弓なり湾曲欠陥が補償される。しかし、同様に、択一的または付加的に、加熱または冷却装置55を用いて、例えば、図示されているように、引張方向に対して横向きにずらして配置されている2つの加熱または冷却素子56、57によって、温度プロファイル、ひいては粘性プロファイルに影響を与えるのが有利である。制御量を求め、これによって、弓なり湾曲を低減させるために、基本的に、各速度測定方法および/または長さ測定方法が使用され、これによって、ガラスリボンのエッジでのガラスリボンの速度若しくはエッジの長さの差が特定される。
【0069】
以下では、図6に示された例に基づいて、極めて正確な、別の測定方法を説明する。ここでは、薄板ガラスリボン1のエッジの長さの差が求められ、弓なり湾曲欠陥を補償するために使用される。この例は、本発明の方法の発展形態に基づく。ここでは、薄板ガラスリボン1のエッジ10、11の長さの違いに依存する量として、薄板ガラスリボン1の湾曲領域における、薄板ガラスリボン1の位置が特定される。図6はさらに、引張装置3と測定装置7とを備えた装置2の一部を示している。
【0070】
図6に基づいて見て取れるように、薄板ガラスリボン1は、ローラ35の間を案内され、環状部分が形成され、湾曲を伴って下方へ下がる。測定装置7は、薄板ガラスリボン1の湾曲の領域において薄板ガラスリボン1の位置を測定する少なくとも2つの距離センサ77、78を含む。距離センサは次のように配置されている。すなわち、その測定箇所同士が、薄板ガラスリボン1の引張方向または長手方向に対して横向きに間隔を有するように配置されている。
【0071】
弓なり湾曲欠陥およびガラスリボンの異なるエッジ長さには、薄板ガラスリボン1の長手方向と引張方向との間に、小さい角度が生じることが付随する。この角度および異なるエッジ長さによって、ここで、2つのエッジ10、11が、異なって曲げられることになる。
【0072】
従って、薄板ガラスリボン1の湾曲若しくは環状部分の領域では、基準位置とガラスリボンとの間の間隔も変化する。図6に示されているように、ここで、距離センサ77、78を設けることができる。これらの距離センサは、測定箇所で、距離尺度の形態で、薄板ガラスリボン1の長さを検出する。2つのセンサの距離測定値は制御装置6に出力される。制御装置6はここで、相応に制御量を計算し、この制御量を用いて、ガラスリボン成形装置は次のように駆動制御される。すなわち、弓なり湾曲欠陥が阻止されるように駆動制御される。図6に示された例では、エッジ11の領域における、距離センサ78と薄板ガラスリボンとの間の間隔d2は、エッジ10の領域における、距離センサ77と薄板ガラスリボンとの間の間隔d1よりも狭い。これらの距離センサはここでは、次のように配置されている。すなわち、これらが、薄板ガラスリボンの湾曲ベクトルの反対方向において測定するように配置されている。薄板ガラスリボン1の湾曲がより大きい箇所では、エッジの長さも長い。図6に示された例では、これは、エッジ11の場合である。湾曲がより大きいことによって、距離センサ78での間隔はここでは、より短い。従って、各距離センサ77、78によって検出される間隔の差d1−d2につながる弓なり湾曲欠陥は、エッジ11がエッジ10よりも長い場合の、図1に示された変形に相当する。
【0073】
例えば、図6において、弓なり湾曲欠陥を修正するために、図3と同様に、引き取りローラ31の接触圧力を調整する装置33、34が設けられている。これらの装置は、制御装置6によって求められた制御量を用いて相応に駆動制御される。
【0074】
薄板ガラスリボン1の異なる湾曲の作用は、特に、次のことによっても強められる。すなわち、ガラスリボンの中心が、弓なり湾曲欠陥が原因で、装置2に対して、若しくは、目標位置に対してずれてしまうことによっても強められる。このようなずれによって、弓なり湾曲欠陥および長さの差または速度の差が極めて小さい場合でも、湾曲または方向転換の領域において、ガラスリボンの著しく異なる湾曲が生じてしまう。この理由は、特に、弓なり湾曲欠陥が小さい場合でも、薄板ガラスリボン1の側方方向のずれが、一層増大してしまう、ということである。
【0075】
すなわち、エッジ10、11の長さの差を、環状部分の深さの相応する差に相関付けすることができ、ひいては二重の距離測定(右側の測定および左側の測定)に帰することができる。
【0076】
距離センサに対する適切な測定方法は、超音波距離測定またはクロマテック符号化式距離測定である。後者は、サブミクロン領域までの測定精度を提供する。クロマテック符号化式距離測定の原理は、国際公開第2008/009472号からも公知である。クロマテック符号化された距離センサの構造および機能に関しては、国際公開第2008/009472号の内容全てが本出願の対象にもされている。クロマテック符号化距離測定のためのセンサの測定原理は、次のことに基づいている。すなわち、この測定装置によって、種々の色が、異なる深さにおいてフォーカシングされ、表面によって反射されたまたは散乱された光が、測定ヘッドによって検出され、空間スペクトル的に分割され、強度スペクトルが検出される、ということに基づいている。次に、薄板ガラスリボン1の表面での強められた反射および散乱に基づいて生起された強度スペクトルの極大値の位置に基づいて、センサとガラス表面との距離が特定される。
【0077】
三角測量並びに容量性の距離測定によっても、極めて正確な距離測定を行うことができる。しかし、傾斜した環状部分、若しくは、ここから生じる異なった間隔d1、d2は典型的に既に、補助的な手段を用いずに識別可能である。従って、正確な距離測定によって、弓なり湾曲欠陥の形状および大きさに関して極めて正確な情報が得られる。まさに、これに相応して、この弓なり湾曲欠陥を修正することができる。
【0078】
図6に示された例では、付加的に、巻取り装置13が示されている。この巻取り装置によって、薄板ガラスリボン1が巻き取られて、ロール15にされる。ロール15への薄板ガラスリボン1のこの巻取りは、本発明の有利なパッケージングである。なぜなら、このような方法で、ガラスを容易に保管し、後続の処理プロセスにおいて、直接的にロールから繰出すことが可能になるからである。切断ガイド若しくはそれによって製造される製品のフォーマットは、後続処理の際に初めて規定される必要がでてくる。従って、このような巻取り装置13を、本願に記載した、本発明の実施形態とは異なる全ての実施形態において設けることができる。
【0079】
図6の実施形態に基づいて、小さい弓なり湾曲欠陥も大きい作用を有し得ることも明らかにされた。なぜなら、個々の弓なり湾曲欠陥若しくはエッジの個々の小さい部分的な長さの差は、ガラスリボンの中央位置の一層増大するずれにつながるからである。図6の装置では、ここから、明確に見て取れる、傾斜した環状部分が生じる。ガラスリボンの巻取りまたは繰出しの際にも、弓なり湾曲欠陥は増大する。例えば、このようなガラスリボンが後続処理プロセスにおいて繰り出される際に、このような弓なり湾曲欠陥が存在すると、長手方向に対して横向きの応力が形成される。この応力は次に、突発的な横方向運動において弛緩される。
【0080】
本発明によって、弓なり湾曲欠陥の大きさだけが低減されるのではない。むしろ、製造プロセスにおけるこの対抗作用によって、特に、弓なり湾曲欠陥の周期的な長さ若しくは周期も低減される。この周期はここで、主に、測定装置3と、測定量によって影響されるガラスリボン成形装置4との間の間隔によって特定される。この間隔を、容易に、20mを下回って、有利には10mを下回って保持することが可能である。ここで、弓なり湾曲が阻止されると、これによって、弓なり湾曲欠陥の方向も反転する。これに付随して、エッジ長さの差の符号が反転するガラスリボンの区間が続く。これによって、異なる方向の弓なり湾曲欠陥を有する連続する区間は20mを下回る、有利には10mを下回る、上述した距離のオーダーの長さに制限される。
【0081】
図7は、明瞭にするために、本発明によって製造された薄板ガラスリボン1の長手方向部分を示している。薄板ガラスリボン1の弓なり湾曲は強く強調して示されている。エッジ10には、エッジの目標位置が、破線として示されている。弓なり湾曲によって、エッジの位置は、この目標位置から偏差している。目標位置からの偏差の形態で存在する、属する弓なり湾曲欠陥には、s1、s2、s3、s4の符号が付けられ、矢印として示されている。矢印の方向は、ここでそれぞれ、エッジ10の湾曲ベクトルの方向に相当する。弓なり湾曲欠陥の方向は、ここで、順次連続する縦長区間110、111、112、113において、それぞれ、反対である。より正確に言えば、縦長区間110、111、112、113では、薄板ガラスリボン1の長手方向に対して横向きの方向において、弓なり湾曲欠陥の成分は、符号を変える。上述したように、本発明の方法によって、弓なり湾曲欠陥、若しくは相応に、湾曲ベクトルも自身の符号を変えない、長さ区間の長さが制限される。
【0082】
従って、本発明では、長手方向に対して横向きに湾曲を有している、順次連続する縦長区間110、111、112、113を有する薄板ガラスリボン1も設けられている。ここで、薄板ガラスリボン1の湾曲の成分の符号は、横方向において、順次連続する区間において、それぞれ、反転する。ここで、縦長区間110、111、112、113の長さは最大で20mであり、有利には最大で10mである。本発明によるこのような制御によって得られる、弓なり湾曲の周期のこのような短縮によって、特に、同時に、弓なり湾曲の振幅も低減される。
【0083】
当業者には、本発明が、図示された実施例に制限されず、むしろ、多くの様式で変更可能であることは明らかである。特に、実施例の特徴を、相互に組み合わせることも可能である。従って、例えば、種々の測定装置を組み合わせることが可能であり、すなわち、例えば、図4および図5に示されているようなレーザードップラーセンサを、距離センサ77、78、または、図6および図3に示されているような機械式のセンサと組み合わせることが可能である。さらに、本発明を、図面において、制御装置6による引張装置3の制御に関して説明したが、例えば、加熱成形装置50に影響を与えることも可能である。従って、薄板ガラスリボンの長手方向に対して横向きの、加熱成形時の温度プロファイルを変えることによって弓なり湾曲欠陥に影響を与えることもできる。これは、加熱出力を変えることによって、例えば、2つ以上の、ずらされた、または、隣り合って配置された加熱装置を別個に駆動制御することによって、容易に行われる。
【符号の説明】
【0084】
1 薄板ガラスリボン、 2 薄板ガラスリボンを製造する装置、 3 引張装置、 4 ガラスリボン成形装置、 5 加熱成形領域、 7 測定装置、 10,11 薄板ガラスリボン1のエッジ、 12 薄板ガラスリボン1の面、 13 巻取り装置、 15 ロール、 17 エッジ10、11の接線、 19 ガラス溶解物用の容器、 20 スリットノズル、 23 コーティング装置、 25 コーティング、 27 縁部切断装置、 28 縁部、 31,32 引き取りローラ、 33,34 接触圧力を調整する装置、 35 ローラ、 50 加熱成形装置、 55 局部的な加熱および/または冷却装置、 56,57 加熱または冷却素子、 58 ビーム加熱素子、 59 ビーム偏向装置、 71,72 ホイール、 73,74 ホイール71、72の回転を検出するセンサ、 75,76 レーザードップラーセンサ、 77,78 距離センサ、 100 母材、 101 溶解物、 110,111,112,113 薄板ガラスリボン1の縦長区間、 771 レーザー、 772 ビーム分配器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7