(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682493
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】隔壁および関連方法
(51)【国際特許分類】
A61J 1/05 20060101AFI20200406BHJP
B65D 51/00 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
A61J1/05 315B
B65D51/00 100
A61J1/05 313N
【請求項の数】21
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-211855(P2017-211855)
(22)【出願日】2017年11月1日
(62)【分割の表示】特願2016-500146(P2016-500146)の分割
【原出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-51325(P2018-51325A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2017年11月20日
(31)【優先権主張番号】13/796,553
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008788
【氏名又は名称】アボット・ラボラトリーズ
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ピー・ルオマ
【審査官】
胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭56−047656(JP,U)
【文献】
特表2010−524788(JP,A)
【文献】
米国特許第04545497(US,A)
【文献】
国際公開第2012/084989(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/112486(WO,A2)
【文献】
西独国実用新案公開第9006079(DE,U)
【文献】
米国特許第5637099(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/05
B65D 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁であって、
第一表面と、
第一表面に結合された膜と、
膜から離間された第二表面と、
膜の長さに沿って延在する複数の突起とを備え、
複数の突起のそれぞれは、膜に結合された第一末端と第二表面に結合された第二末端とを有し、複数の突起のうちの第一突起の高さは、第二表面と膜との間の距離によって画定され、複数の突起および膜が、プローブによる貫通の前にシールを形成し、
互いに平行な複数の凹部が、複数の突起のそれぞれの間の第二表面に形成され、かつ膜に向かって延在しており、
複数の凹部のうちの第一凹部は第一長さを有し、複数の凹部のうちの第二凹部は第二長さを有し、
第二長さは第一長さとは異なる、隔壁。
【請求項2】
複数の突起のうちの第二突起の高さは、第二表面と膜との間の距離よって画定され、
第一突起と第二突起との間の距離は、膜の第一部分によって画定される、請求項1に記載の隔壁。
【請求項3】
膜の第一部分は壊れやすい、請求項2に記載の隔壁。
【請求項4】
膜の第一部分は、第一突起の第一末端および第二突起の第一末端に隣接する、請求項2に記載の隔壁。
【請求項5】
膜の第一部分、第一突起の第一末端、および第二突起の第一末端は、第一表面と一体である、請求項4に記載の隔壁。
【請求項6】
第二突起は、膜の長さに沿って延在し、第一突起は第一長さを有し、第二突起は第一長さとは異なる第二長さを有する、請求項2に記載の隔壁。
【請求項7】
プローブが膜を穿通するときに、第一突起は損傷を受けないままである、請求項1または2に記載の隔壁。
【請求項8】
プローブは、隔壁と接触するとき、第一突起または膜のいずれかと係合する、請求項1に記載の隔壁。
【請求項9】
第一突起の第二末端は、第二表面の第一縁に結合された第一部分と、第二表面の第二縁に結合された第二部分とを含む、請求項1に記載の隔壁。
【請求項10】
第一部分の高さは、第二表面の第一縁の深さに沿って延在する、請求項9に記載の隔壁。
【請求項11】
容器の内容物へのアクセスを制御する蓋であって、
第一表面と、
第一表面から離間された第二表面と、
第一表面と第二表面との間に形成された複数の突起とを備え、複数の突起のそれぞれは、第一表面に結合された第一末端と第二表面に結合された第二末端とを有し、複数の突起のそれぞれの高さは、第一表面と第二表面との間の距離によって画定され、複数の突起および第一表面が、プローブによる貫通の前にシールを形成し、
互いに平行な複数の凹部が、複数の突起のそれぞれの間の第二表面に形成され、かつ第一表面に向かって延在しており、
複数の凹部のうちの第一凹部は第一長さを有し、複数の凹部のうちの第二凹部は第二長さを有し、
第二長さは第一長さとは異なる、蓋。
【請求項12】
第一表面に結合された膜をさらに含み、膜のそれぞれの部分が、複数の突起それぞれの間に挿入される、請求項11に記載の蓋。
【請求項13】
膜が第一表面と一体である、請求項12に記載の蓋。
【請求項14】
第二表面が第一部分および第二部分を含み、第一部分は平坦であり、第二部分は第二表面の縁を画定する、請求項11または12に記載の蓋。
【請求項15】
複数の突起のそれぞれが、第二表面の縁に結合された末端を含む、請求項14に記載の蓋。
【請求項16】
第二表面の縁が、円周形状を有する、請求項14に記載の蓋。
【請求項17】
第一表面とは反対側の第三表面をさらに含み、第三表面は容器の内部に面し、プローブが第一表面と第三表面との間に延在するとき、複数の突起のそれぞれが、第一表面と第二表面との間にとどまる、請求項14に記載の蓋。
【請求項18】
隔壁であって、
第一表面と、
第一表面から離間された第二表面と、
第一表面と第二表面との間に形成された、プローブを偏向する第一手段とを備え、
偏向する第一手段は、第一表面に結合された第一末端と、第二表面の第一縁と第二表面の第二縁との間に延在する第二末端とを含み、偏向する第一手段は、第一表面に対して突起し、第一表面および偏向する第一手段は、プローブによる貫通の前にシールを形成し、
プローブを偏向する第二手段が、第一表面と第二表面との間に形成されており、
第一凹部が、偏向する第一手段と偏向する第二手段との間に画定されており、
第一凹部は第一長さを有しており、
プローブを偏向する第三手段が、第一表面と第二表面の間に形成されており、
第二凹部が、偏向する第二手段と偏向する第三手段との間に画定されており、
第二凹部は第二長さを有し、
第一凹部の第一長さは、第二凹部の第二長さとは異なる、隔壁。
【請求項19】
偏向する第一手段は、エラストマ材料を含むリブを含む、請求項18に記載の隔壁。
【請求項20】
第一表面に結合された膜をさらに含む、請求項18に記載の隔壁。
【請求項21】
膜の一部は、偏向する第一手段と偏向する第二手段との間に配置される、請求項20に記載の隔壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は主に保管容器に関し、より具体的には、隔壁および関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
隔壁は、容器の内容物の蒸発を防止または低減するため、および内容物へのアクセスを制御するために、試料容器または試薬容器などの保管容器とともに使用される。通常は、プローブを使用して、隔壁を貫通して内容物を容器から吸引することによって容器の内容物にアクセスする。
【0003】
しかしながら、プローブによる隔壁の貫通は、隔壁およびプローブに損傷を生じる可能性がある。たとえば、診断用機器において、隔壁と、試薬瓶に保管された試薬にアクセスするためのプローブとを有する試薬瓶は、診断用機器中での累積公差のため、位置ずれする可能性がある。位置ずれしたプローブは、隔壁の中心以外の場所で隔壁と係合する可能性がある。プローブによる隔壁の中心ずれ衝突は、隔壁の表面をえぐり、隔壁の芯を抜く危険性を増加させる。隔壁へのこのような損傷は、蒸発を制御して内容物の汚染を防止する隔壁の能力を損なう。さらに、隔壁に対するプローブ衝突時の貫通力のばらつきは、プローブの変形または曲がりを生じる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本開示の1つ以上の態様による、例示的隔壁の斜視図である。
【
図2】
図1の例示的隔壁、および本開示の1つ以上の態様による例示的キャップの斜視図である。
【
図3】
図2の例示的隔壁およびキャップの線3−3に沿った断面図である。
【
図4】本開示の1つ以上の態様による例示的プローブの断面を伴う、
図3の断面図である。
【
図5】
図1の例示的隔壁、および本開示の1つ以上の態様による例示的容器の斜視図である。
【
図6】
図5の例示的隔壁および容器の分解図である。
【
図7】本明細書に記載される例を実施するために使用されることが可能な例示的方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図面は実物通りの縮尺ではない。むしろ複数の層および領域を明確化するために、図面では層の厚さが拡大されている可能性がある。図面および添付の明細書を通じて、可能であればいつも、同じまたは類似の部分を示すために同じ参照番号が使用される。本特許明細書において使用される際に、いずれかの部分(たとえば層、フィルム、領域、またはプレート)が何らかの形で別の部分上に位置決めされる(たとえば、位置決めされる、位置する、設けられる、または形成されるなど)という記述は、参照された部分が別の部分と接触しているか、または参照された部分がその間に位置する1つ以上の中間部分を介して別の部分に結合されている、ことを意味する。いずれかの部分が別の部分と接触しているという記述は、2つの部分の間に中間部分が存在しないことを意味する。
【0006】
隔壁を含む方法および装置が開示される。隔壁は、たとえば臨床化学機器、免疫測定機器、血液検査機器などのような診断用機器において使用される、たとえば試薬瓶または試料容器などの容器とともに使用される。隔壁は、輸送、使用、および/または保管の間、容器のたとえば液体内容物などの内容物を確保するために、シールを提供する。加えて、隔壁は、容器の内容物の蒸発および汚染を最小限に抑える。容器の内容物へのアクセスは、たとえば隔壁を貫通するプローブによって行われる。内容物にアクセスするためのプローブの例は、ピペットプローブであろう。しかしながら、プローブによる隔壁の貫通は、プローブと隔壁とがずれているとき、隔壁およびプローブに損傷を引き起こす可能性がある。
【0007】
本明細書に開示されているのは、隔壁およびプローブへの結果的な損傷を防止または最小化するために、(たとえば位置合わせのばらつきによる)プローブ衝突の位置およびプローブ衝突力のばらつきに適応する、例示的隔壁および関連方法である。加えて、本明細書に開示される例は有利なことに、たとえば容器の移動中に容器の方に向いている隔壁の表面上に蓄積する可能性のある試薬物質微粒子の凝集を防止しながら、容器の輸送の間に容器の内容物を確保するためのシールを提供する。
【0008】
本明細書に開示される例示的隔壁は、リブの間に比較的薄い膜を有する複数のリブ、ストリップ、または長尺突起を含む、スロット付き構造を備える。例示的な膜は、容器の輸送および保管の間に隔壁によって覆われた容器が受ける可能性のある力に耐えられる、シールの役割を果たす。膜は、容器の内容物にアクセスするために、たとえばプローブによって穿通可能である。スロット付きリブは、接触時にプローブの末端を偏向させ、リブの間の膜を貫通するようにプローブを配向する。このためリブは、プローブが隔壁と位置合わせされていようが中心ずれしていようが膜を穿通するために使用される一定のプローブ力を許容する、可撓性構造を提供する。一定のプローブ力は、特にプローブと隔壁との間にずれがあるときに、隔壁にプローブを通すためのより大きい力の必要性を低減または除去する。この低減または最小化された力は、たとえばプローブの曲がり、隔壁の芯抜き、および/またはプローブの閉塞など、プローブおよび隔壁への損傷の可能性を低下させる。さらに、スロット付きリブは、プローブによる隔壁の穿通から生じる隔壁の開口のサイズを最小化する。薄膜のみによって構築された隔壁は破れやすく、プローブによる複数回の穿通の後に隔壁に大きい開口を生じる傾向があるのに対して、本明細書に開示される例示的隔壁のスロット付きリブは、破れに耐えられる程度の剛性を隔壁の構造に提供する。本明細書に開示される例はまた、(たとえば、えぐられた隔壁によって生じる)汚染粒子が容器内に落下して容器の内容物と混合する可能性も低減する。
【0009】
本明細書に開示される例示的方法および装置は、たとえば、試料または試薬を保存する瓶などの容器を用いて、実施されてもよい。加えて、または代わりに、例示的装置は、容器の蓋に組み込まれるか、またはこれと一体に形成されてもよい。例示的方法および装置はさらに、診断用機器とともに使用するための試薬キットの一部として実施されてもよい。診断用機器とともに用いられる試薬キットの一部として使用される場合、プローブによる隔壁の貫通は、機器アセンブリおよび工程公差によって決定される、様々な隔壁接触点において行われる。
【0010】
本明細書に開示される例示的隔壁は、第一表面、第二表面、および第一表面の少なくとも一部に結合された膜を含む。例示的隔壁はまた、膜と第二表面との間に延在するリブも含む。
【0011】
いくつかの例において、膜は第一表面と一体である。また、いくつかの例において、リブは平行である。いくつかの例において、各リブは、膜に結合された第一末端と、第二湾曲末端とを含む。いくつかの例において、第二湾曲末端は、放物線型断面形状を有する。
【0012】
開示される例のうちのいくつかは、第一長さを有するリブの1つと、第二長さを有するリブの2つ目とを含む。この例において、第二長さは第一長さとは異なっている。
【0013】
いくつかの例において、リブは対称的パターンを形成する。いくつかの例において、リブは円形パターンを形成する。
【0014】
いくつかの例において、膜は、プローブによる貫通の前にシールを形成する。いくつかの例において、膜はリブと相互に接続する。いくつかの例において、膜は壊れやすい。また、いくつかの例において、第一表面は実質的に平坦である。
【0015】
さらに本明細書に開示されているのは、リブの各々が、リブのうちの隣接するものまでの距離の約1.5倍の深さを有する、例示的隔壁である。また、いくつかの例において、リブの各々は、膜厚の約15倍の深さを有する。
【0016】
さらに本明細書に開示されているのは、試薬または試料のうちの少なくとも1つを収容するための器を含む例示的装置である。例示的装置は、蓋、および蓋に形成されたスロット付き隔壁も含む。
【0017】
いくつかの例において、スロット付き隔壁は、膜に結合された複数のリブを備える。また、いくつかの例において、複数のリブのうちの各リブは湾曲末端を有する。加えて、例示的装置は、いくつかの例において、蓋に結合されたキャップも含み、キャップは隔壁を包囲するネック部を有する。
【0018】
複数のリブと膜シールとを備える隔壁を用いて容器の内容物を確保するステップと、リブのうちの1つにプローブを係合することによって容器の内容物にアクセスするステップとを含む例示的方法もまた開示される。加えて、方法は、リブのうちの2つの間でプローブを偏向させるステップと、プローブを用いてリブのうちの2つの間の膜シールを穿通するステップと、を含む。いくつかの例において、プローブを偏向させるステップは、プローブをリブのうちの1つの湾曲末端に接触させ、リブのうちの2つの間で移動させるステップを含む。
【0019】
ここで図を見ると、
図1は、第一表面102および第二表面104を有する例示的隔壁100を示している。第一表面102および第二表面104は、たとえば、高密度ポリエチレンを含む(ただし、これに限定されない)熱可塑性材料を備えてもよい。この例において、膜106は、
図3に示されるように、第一表面102の少なくとも一部に結合されている。いくつかの例において、膜106は、第一表面102全体に設けられるか、またはその上に画定されている。例示的隔壁100はさらに、膜106と第二表面104との間に延在する複数のリブ、ストリップ、または長尺突起108を含む。リブ108および膜106は、たとえば熱可塑性ポリオレフィンエラストマなどの、エラストマ材料を備えてもよい。
【0020】
複数のリブ108および膜106は、たとえば射出成形、圧縮成形、または鋳造プロセスを用いて、形成されてもよい。いくつかの例において、第一表面102、第二表面104、膜106、および複数のリブ108を含む隔壁100は、二段階射出成形プロセスを用いて形成される。
【0021】
図示される例において、複数のリブ108は、リブ108と隔壁100の縁112との間に9つの谷110が形成された8つのリブ108を含む。別の例において、たとえば1、2、3、10、11など、いずれの適切な数のリブ108および谷110があってもよい。リブ108は、互いに平行に示されている。いくつかの例において、リブ108の一部またはすべては、互いに対して平行である。別の例において、リブ108は、たとえば収束/分散リブ、湾曲リブ、またはその他適切な配置を含む、別の構成を用いて配置されてもよい。また、図示される例において、第一リブは第二リブと異なる長さを有する。別の例において、リブ108はすべて同じ長さを有してもよい。加えて、リブ108は、様々な幾何学的配向で配置されてもよい。たとえば、リブ108は、波形またはルーバー形配置を形成してもよい。加えて、または代わりに、リブ108は、
図1の例に示されるような円形パターンを含む(ただし、これに限定されない)対称的配向で位置決めされてもよい。別の例において、リブ108は対称的に配向されていない。
【0022】
図2は、キャップ202とともに使用される隔壁100を備える例示的装置200を示している。
図3は
図2の装置200の線3−3に沿った断面を示し、
図4は例示的プローブ300によって係合された装置200を示す。
図2に示されるように、キャップ202は、複数のリブ108を含む隔壁100にアクセスするためのネック部204を有する。
図2に示されるように、図示される例において、ネック部204はリブ108を包囲する開口206を画定し、リブ108はネック部204の開口206の方に向いている。
図2において、リブ108は円形パターンで示されており、開口206もまたリブ108へのアクセスを許容するために円形形状を有するように示されている。リブ108の配向は、円形以外の形状を有する開口206を有するキャップ200の設計にしたがって構成されてもよい。たとえば、開口206は矩形形状を有してもよく、リブ108は開口206の矩形形状と位置合わせするために矩形構成で配置されてもよい。
【0023】
ネック部204の開口206は、プローブ貫通箇所を画定する。このため、たとえばプローブ300は、プローブ300を開口206内に位置合わせした後に、隔壁100を貫通するように下降させてもよい。たとえば診断用機器での隔壁100およびプローブ300の実際の使用から生じる累積公差のばらつきにより、プローブ300は、隔壁100の完全な中心と位置合わせされない可能性がある。たとえば、隔壁100は中心を有する円形形状を有してもよいが、プローブ300はその中心と位置合わせされない可能性がある。加えて、または代わりに、プローブ300はネック部204により近く位置決めされる可能性がある。しかしながら、このような例において、位置ずれしたプローブ300は、プローブ300が開口206を通過する際にリブ108のうちの1つに衝突し続ける。リブ108のうちの1つとの衝突時に、プローブ300は、膜106と係合してこれを貫通するように偏向される。プローブを受けるように設計されていない隔壁の厚肉部分を貫通するためにあまり大きな力は必要とされないので、リブ108のいずれかによるプローブ300の偏向は、膜106とのプローブ300の衝突のために一定のプローブ力が使用されることを可能にする。このため、リブ108のいずれもプローブ衝突に耐え、膜106の貫通に対する一定のプローブ力を可能にするので、プローブ300は最小限の偏向で膜106を貫通するために、隔壁100の中心と位置合わせする必要はない。
【0024】
図3および
図4は、隔壁100およびリブ108の構造の詳細を示す。図示される例は、リブ108の第一末端が膜106に結合されていることを示している。膜106はリブ108の第一末端と隣接している。リブ108の第二末端は、曲線的であるか、または湾曲している。図示される例において、各リブ108は同じ断面形状を有している。別の例において、リブ108は異なる形状を有してもよい。
図3および
図4の例に示されるように、リブ108の第二末端は放物線型断面形状を有している。別の例において、第二末端は別の湾曲形状、円錐形、および/またはその他いずれか適切な形状を有してもよい。
【0025】
図4は、隔壁100と係合するプローブ300を示す。プローブ300がキャップ202の開口206を通じて下降させられると、プローブ300は隔壁100と係合する。プローブ300と隔壁100とのこのような係合は、たとえばリブ108のうちの1つの曲線的末端または湾曲末端を含む、たとえばリブ108のうちの1つ以上とのプローブ300の接触を含んでもよい。たとえばリブ108の曲線的末端または湾曲末端とのプローブ300の係合と同時に、リブ108は、リブ108によって画定された谷110のうちの1つに進入するようにプローブ300を仕向ける(たとえば、偏向させる)。たとえば、プローブ300は、プローブによって衝突されたリブ108と隣接するリブ108との間に形成された谷110に進入してもよい。プローブ300が谷110に進入すると、プローブ300は膜106と係合してこれを穿通する。別の例において、プローブ300は、谷110と位置合わせされて、リブ108から偏向することなく膜を穿通する。
【0026】
図4ではプローブ300は隔壁100の中心に位置決めされたリブ108において隔壁100と係合するように示されているのに対して、いくつかの例においてプローブ300は、中心ずれ、または隔壁100の中心に対して位置ずれしていてもよい。プローブが中心ずれしているとき、プローブ300は、プローブ300が中心リブ108と係合するのと同じ方式で膜106を貫通するために、リブ108のいずれに衝突してもよい。リブ108のいずれかとの係合と同時に、リブ108は、隣接する谷110に進入して膜106を穿通するようにプローブ300を仕向ける。このため、プローブ300は、隔壁100の中心と位置合わせされる必要も、開口206の中心を通る必要もない。むしろ、プローブ300は、隔壁100を貫通するためにプローブ300が開口206を通る際に、リブ108のいずれと接触してもよい。
【0027】
図示される例において、リブの各々は一定距離だけ隔てられている。2つの隣り合うリブ108のベースの中心の間の距離は、リブ108のうちの2つの間に形成された谷110の幅を画定する。たとえば、谷110の幅は1ミリメートルであってもよい。複数のリブにわたる総距離は、たとえば谷110の幅の10倍であってもよい。いくつかの例において、隔壁100のリブ108にわたる総距離は、10ミリメートルである。リブ108はまた深さも有する。いくつかの例において、リブ108の深さまたは高さは、谷110の幅の約1.5倍に等しくてもよい。たとえば、リブ108の深さは1.5ミリメートルであってもよい。さらに、膜106は、膜106が壊れやすくプローブ300によって穿通されるような厚さを有する。たとえば、膜106の厚さは0.1ミリメートルであってもよい。いくつかの例において、リブ108は、膜106の厚さの約15倍に等しい深さまたは高さを有してもよい。隔壁100の製造において、谷110の幅および/またはリブ108の深さは増減してもよいことが理解されるべきである。
【0028】
図5および
図6は、容器400とともに用いられる隔壁100を備える例示的装置500を示している。容器400は、たとえば器または瓶であってもよい。
図5および
図6において、容器400は曲線的矩形形状を有するが、容器400はその他いずれかの形状であってもよい。容器400は、試料または試薬を含む(ただし、これらに限定されない)内容物を保持してもよい。
図5および
図6に示されるように、容器400はキャップ200を含む。膜106は、容器400内に保持される内容物をシールする。
図6に示されるように、図示される例において、隔壁100の第一表面102は、容器400の内側の方に向いていてもよい。いくつかの例において、隔壁100の第一表面102は、たとえば容器400の輸送中などに容器400が移動させられる際に、第一表面102上での容器400の内容物からの微粒子の蓄積を低減するために、実質的に平坦であってもよい。
【0029】
図7は、プローブ300が隔壁100の中心と位置合わせされているかまたは中心ずれしているときに、隔壁100またはプローブ300を損傷させることなくプローブ300とともに隔壁100を用いて容器400の内容物にアクセスするために実施されてもよい、方法700を表す例示的フロー図を示す。例示的方法700は、隔壁100を用いて容器400の内容物を確保することによって開始される(ブロック702)。たとえば、隔壁100の膜106は、容器400の内容物をシールしてもよい。容器400の内容物にアクセスするために、プローブ300は複数のリブ108を有する隔壁100と係合してもよい(ブロック704)。プローブ300は、リブ108と、または膜106と直接係合してもよい(ブロック706)。プローブ300が隔壁のリブ108のいずれか、たとえばリブ108の曲線的末端または湾曲末端と係合した場合、プローブ300はリブ108のうちの2つの間で偏向させられる(ブロック708)。プローブ300の偏向と同時に、プローブ300は、容器400の内容物にアクセスするために2つの隣り合うリブ108を相互に接続する膜106を穿通してもよい(ブロック710)。プローブ300が膜106と係合した場合、たとえばプローブ300がリブ108のうちのいずれか2つの間の隔壁100と係合するように位置合わせされた場合、プローブ300は、リブ108によって偏向させられることなく、膜を穿通する(ブロック710)。
【0030】
さらに、例示的隔壁100は
図7に示されるフローチャートを参照して説明されているものの、例示的隔壁100を実施するその他多くの方法が代わりに使用されてもよい。たとえば、
図7のブロックの実行順が組み合わせられてもよく、および/または説明されたブロックのうちのいくつかが変更または削除されてもよく、あるいは追加ブロックが加えられてもよい。
図7に示される方法は、隔壁100の実施を説明する1つの例示的方法に過ぎない。
【0031】
上記より、上記で開示された方法および装置は、プローブが隔壁と位置合わせされているかまたは中心ずれしているときに、衝突時のプローブおよび隔壁の損傷を防止するスロット付きまたは溝付き隔壁を用いて、容器内に保管された内容物へのプローブによるアクセスを提供することが理解されよう。上記で開示された例は、隔壁上に形成された複数のリブを通じてのプローブによる隔壁の中心ずれ貫通の最大公差を提供する。複数のリブは、プローブが隔壁の中心と位置ずれしているときを含む、プローブが複数の接触点および/または角度で隔壁と係合するときに、可撓性を提供するように構成されている。プローブがリブのうちの1つの曲線的末端または湾曲末端と接触すると同時に、リブは、2つの隣り合うリブの間に位置する壊れやすい膜を貫通するように、プローブを仕向ける(たとえば、偏向させる)。プローブはリブのうちのいずれと接触してもよく、プローブは、一定のプローブ力で膜を貫通するようにリブがプローブを偏向させるため、隔壁の中心と位置合わせされる必要はない。その結果、可撓性リブは、結果的に容器の内容物の汚染を引き起こす可能性のある隔壁のえぐりまたはプローブの閉塞の事例を含む、隔壁およびプローブへの損傷を防止することによって、容器内に保管された内容物の完全性を保護する。開示された方法および装置はさらに、複数のリブを相互に接続する膜を用いて、容器の輸送中に容器内に保管された内容物をシールするのにも役立つ。膜は、容器内に確保された内容物にアクセスするためにプローブによって穿通されてもよい、壊れやすい材料を備える。
【0032】
特定の例示的方法、装置、および製造物が本明細書に開示されたものの、本特許明細書の適用範囲はこれらに限定されるものではない。反対に、本特許明細書は、本特許明細書の請求項の範囲内に適正に含まれる、すべての方法、装置、および製造物を網羅する。