特許第6682499号(P6682499)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエーエスエフ コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許6682499-再生ループの浄化 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682499
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】再生ループの浄化
(51)【国際特許分類】
   C07C 7/12 20060101AFI20200406BHJP
   C07C 11/02 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   C07C7/12
   C07C11/02
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-502710(P2017-502710)
(86)(22)【出願日】2015年7月15日
(65)【公表番号】特表2017-521450(P2017-521450A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】US2015040602
(87)【国際公開番号】WO2016011171
(87)【国際公開日】20160121
【審査請求日】2018年7月13日
(31)【優先権主張番号】14/332,485
(32)【優先日】2014年7月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ドラン
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−012117(JP,A)
【文献】 米国特許第03176445(US,A)
【文献】 米国特許第04971606(US,A)
【文献】 特開昭49−133306(JP,A)
【文献】 特開2011−230103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 1/00−409/44
C07B 31/00− 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン供給物から汚染物質を除去するための方法であって、
a)前記オレフィン供給物を方向付けて前記オレフィン供給物から前記汚染物質を除去することができる第1の粒子吸着剤床と接触させ、前記供給物よりも少ない汚染物質を含有するオレフィン生成物を生成することと、
b)前記第1の吸着剤床を加熱し、再生ガスを方向付けて前記第1の吸着剤床に通して、前記吸着剤から前記汚染物質を脱着させ、前記汚染物質を含有する再生ガス流出物を生成することと、
c)前記再生ガス流出物を方向付けて第2の粒子吸着剤床に通し、それにより、前記再生ガス流出物から前記汚染物質を吸着して除去し、前記再生ガス流出物よりも低減されたレベルの汚染物質を有する再生ガス生成物を生成することと、
d)前記第2の吸着剤床内の圧力を低減することによって前記第2の吸着剤床から前記汚染物質を脱着させ、前記汚染物質を含有する低圧廃ガスを形成することと、を含み、
その際、前記第2の吸着床内の脱着圧力に対する吸着圧力の比率が少なくとも2.0である、
前記方法。
【請求項2】
前記第1の粒子吸着剤床が、アルミナ、ゼオライト、アルミナ−ゼオライト複合体、またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物でドープされたアルミナ、ゼオライト、もしくはアルミナ−ゼオライト複合体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の吸着剤床が、ゼオライト3A、4A、5A、13X、もしくはNa Y、または前記ゼオライトとアルミナとの組み合わせを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記再生ガスが窒素または燃料ガスである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記汚染物質が有機酸素化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記汚染物質が無機または有機硫黄化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記汚染物質が最大500ppmの前記オレフィン供給物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
記第2の吸着剤床がアルミナを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記汚染物質が、有機酸素化物、無機もしくは有機硫黄化合物、CO、またはそれらの混合物を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の粒子吸着剤との接触前に、前記汚染物質を含有する前記再生ガス流出物が冷却される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記再生ガスを加熱し、前記再生ガスを通過させて前記第1の吸着剤床と接触させることによって、前記第1の吸着剤床が加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の吸着剤床との接触前に、前記汚染物質を含有する前記再生ガス流出物が少なくとも50psiaの圧力に加圧される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記再生ガス生成物の少なくとも一部を、吸着された汚染物質を含有する前記第1の吸着剤床に方向付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記オレフィン供給物流が、少なくとも約50重量%のエチレン、プロピレン、ブチレン、またはそれらの混合物を含有する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、オレフィン精製における固体吸着剤の使用に関する。より具体的には、本発明は、少量の不純物を含有するオレフィンプロセス流を粒子吸着剤床に通過させ、精製プロセスの効率を改善する様式で吸着剤を再生することによる精製に関する。
【0002】
本発明による方法は、精製されるオレフィンがエチレン及び/またはプロピレンである場合に特に有用である。
【背景技術】
【0003】
周知であるように、オレフィンまたはアルケンは、2個の炭素原子間に4個の共有電子の二重結合を有することを特徴とする同族列の炭化水素化合物である。この列の最も単純なメンバーであるエチレンは、現在、最も大量に生成されている有機化学物質である。重要なことには、エチレン、プロピレン、及びより少量のブタジエンを含むオレフィンは、数多くの中間及び最終生成物、主にポリマー材料に大規模に変換される。
【0004】
オレフィンの商業生産は、数あるプロセスの中でもとりわけ、炭化水素の流動接触分解、炭化水素、例えば、アルカンの流分解、ならびにアルカンの脱水素化を含む様々な方法によって達成される。炭化水素の蒸気分解は、軽質直留ガソリンからガス油まで沸点が異なるエタン、プロパン、または炭化水素液体である供給物を使用して行われる。エタン、プロパン、液体ナフサ、またはそれらの混合物は、炭化水素分解装置への好ましい供給物である。炭化水素分解は、一般に、大きな分解炉内で、希釈蒸気の存在下で熱的に行われる。蒸気分解の反応条件は、軽質オレフィンの生成を最大化するように選択される。典型的には、分解は、0.3:1.0の蒸気:炭化水素重量比、760℃〜870℃の反応器出口温度、及び100kPaをわずかに上回る圧力(大気圧)で実施される。
【0005】
供給原料の種類及び反応条件により、生成される生成物の構成が決定される。多くの蒸気分解物は、エタン及びプロパンからなる軽質パラフィン供給物等に作用する。しかしながら、かなりの量の蒸気分解容量が、プロパン及びより重質の化合物を含有する供給原料に作用する。かかる供給原料の蒸気分解は、かなりの量のプロピレン、プロパン、ブテン、及びブタジエンを生成する傾向がある。
【0006】
蒸気分解中、反応器から出現する分解ガスが急速にクエンチされて、軽質オレフィンを破壊する傾向がある望ましくない二次反応を停止させる。その後、冷却されたガスが圧縮及び分離されて、様々なオレフィンを回収する。
【0007】
様々なオレフィン生成物の回収は、通常、一連の蒸留ステップを使用する分別蒸留によって行われて、様々な成分に分離される。一般に、2つの基本的なフローシーケンスのうちの1つが使用される。これらの2つのシーケンスは、通常、一般に「フロントエンド脱プロプ」と称されるフロントエンド脱プロパン塔シーケンス、または一般に「フロントエンド脱メタ」と称されるフロントエンド脱メタン塔シーケンスと命名されている。全生成物からの所望の蒸気分解されたオレフィン生成物の分離が知られており、かかる分離プロセスは、本発明の態様を形成しない。
【0008】
本発明によって精製されるオレフィン流が得られる様式は、いずれの炭化水素分解方法または脱水素化プロセスも、典型的には、重合等のさらなるオレフィン処理に悪影響を及ぼし得る少量の不純物を含有するオレフィン流を形成するため、本発明に不可欠なものではない。
【0009】
例えば、重合等のために供給物流としてさらに使用される分離されたオレフィンは、どのように形成されたかにかかわらず、典型的には、無機及び有機硫黄含有化合物、酸素化物、COならびに水等の汚染物質を含有し、これらは、触媒汚染ならびに精製されたオレフィン流の下流処理における活性及び/または選択性のその後の低下を避けるために約1ppm未満のレベルまで除去されるべきである。「汚染物質」及び「不純物」という用語は、互換的であるよう意図されており、オレフィン流の下流処理に悪影響を及ぼす上述のもの等の微量成分を指す。
【0010】
米国特許第6,403,854号(Millerら)は、メタノールをシリコアルミノホスフェート(SAPO)触媒と接触させることによって作製されるオレフィン流からのジメチルエーテル等の酸素化物汚染物質の除去を開示する。この酸素化物汚染物質は、二段階クエンチプロセスにおいてオレフィン流を冷却することによって除去される。このプロセスの第1の段階では、底部生成物として凝縮水に加えてジメチルエーテルのかなりの部分が除去される。さらなるジメチルエーテルが第2の段階で除去され、オレフィンオーバーヘッドが吸着剤との接触による酸素化物除去のためにさらに処理される。
【0011】
米国第7,326,821号は、オレフィン流から酸素化物、具体的には、ジメチルエーテルまたはアセトアルデヒド、より具体的には、ジメチルエーテルを除去するための高効率かつ比較的単純なプロセスを開示する。このプロセスは、オレフィン流から酸素化物の大部分を除去するために固体吸着剤を使用する。この吸着剤は、比較的多量の酸素化物を有し得る一方で、所望のオレフィン生成物の望ましくない副生成物への変換に対して実質的に不活性であり得る。
【0012】
望ましくは、この固体吸着剤は、分子篩または金属酸化物である。好ましくは、この固体吸着剤は、分子篩である。分子篩は、好ましくは、少なくとも8環の骨格構造を有する。同様に好ましくは、分子篩は、ゼオライトである。特に好ましいゼオライトとしては、ゼオライトX、ゼオライトY、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−14、ZSM−17、ZSM−18、ZSM−20、ZSM−31、ZSM−34、ZSM−41、またはZSM−46が挙げられる。これらのうち、ゼオライトXまたはゼオライトYが好ましく、ゼオライトXが特に好ましい。
【0013】
固体吸着剤は、提供されたオレフィン流との接触後に吸着剤を再生することによって連続して使用する際に保持され得る。固体吸着剤の再生は、任意の従来の方法によって行われ得る。かかる方法としては、上昇した温度での窒素等の乾式不活性ガス流の処理(温度スイング吸着またはTSA)が挙げられる。再生段階では、高温流体を含む再生物は、流路に沿って、並流、またはより一般的には、向流方向に通過する。高温の再生物により床に脱着フロントが生成され、これにより、収着材料から収着剤が追い出されて流動する再生物流に入れられる。このプロセスは、典型的には床出口での高温再生物流体の出現によって示されるように、床が実質的に収着剤を含まなくなるまで続く。
【0014】
かかるTSAプロセスでは、その後、脱着した汚染物質を含有する吸着剤を出る加熱された流は、燃料ヘッダー(メタンの場合)または火炎(窒素の場合)のいずれかに送られる。再生ガスとして窒素が使用される場合、その窒素は直接価値を有し、その窒素の一部の回収が可能である場合、精製された窒素をその装置に戻して再利用することにより窒素需要が低下し得るため、有益であろう。あるいは、再生ガスとしてメタンが使用される場合、多くの蒸気分解プラント、特に一次供給成分としてエタンを使用するものが、TSA精製システムの再生における使用に十分な量のメタンを生成しないため、同様に再使用のためのその精製には価値がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
TSAプロセスによってオレフィン流から吸着された1つ以上の汚染物質を含有する吸着剤の熱再生のための方法が開示される。この方法は、上昇した再生温度で、汚染物質を本質的に含まない不活性再生ガスを、吸着された汚染物質を最初に含有する吸着剤床に通すことであって、それにより吸着された汚染物質が脱着する、通すことと、この吸着剤床から脱着した汚染物質及び不活性再生ガスを含むパージ流出物流を取り除くことと、このパージ流出物流を上昇した圧力で吸着剤に通して、パージ流出物流から汚染物質を吸着し、純粋な不活性再生ガス流を生成することと、を含む。本質的に汚染物質を含まない再生ガス流は、熱スイング吸着プロセスにおける脱着のために、メイクアップ再生ガスとともに使用され得るか、またはそれと組み合わせられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この図は、TSAシステムにおける再使用のための再生ガスを浄化するためのTSAシステムへの供給物のフロー及びPSAシステムの使用を図解する本発明の方法の概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、オレフィン流から汚染物質、例えば、メルカプタン、有機硫化物及び二硫化物、例えば、COS及びCS、ならびに無機硫化物、例えば、HSを含む硫黄含有化合物、有機酸素化物(organic oxygenates)、例えば、エーテル、エステル、アルデヒド、アルコール、CO、及び水を除去するための方法を提供する。一般に、この方法は、熱スイングまたはTSA処理システムにおいて、汚染物質を含有するオレフィン流を提供することと、その後、オレフィン流中に存在する汚染物質の大部分(すなわち、50%超)を除去することとを含む。
【0018】
本発明では、固体吸着剤は、オレフィン流から汚染物質を除去するために使用される。特定の固体吸着剤は、高い汚染物質吸着能力及び低い累積オリゴマー選択性という特徴を有する。つまり、固体吸着剤は、オレフィン流からかなりの量の汚染物質を吸着する能力を有し、オレフィン流中のオレフィンのオレフィン二量体、オリゴマー、またはポリマー(集合的にオリゴマーと称される)等の他の生成物への変換においてそれが活性をほとんどまたは全く有さないという点で、本質的に不活性である。本発明の固体吸着剤を使用して、吸着剤が、オレフィン流からジメチルエーテルまたはアセトアルデヒド等の有機酸素化物及び上述の他のものを含む汚染物質を非常に低いレベルまで除去することができるという最終結果が得られる。加えて、吸着剤は、かなりの量の吸着材料を保持することができ、吸着剤は、オレフィンを望ましくないオリゴマー副生成物に変換させることによってオレフィン流中の所望のオレフィン生成物を著しく枯渇させない。
【0019】
本発明の一実施形態では、この固体吸着剤は、分子篩である。分子篩材料はすべて、頂点共有TO四面体の三次元四連結骨格構造を有し、ここで、Tは、アルミニウム等の任意の四面体配位カチオンである。これらの分子篩は、典型的には、細孔を画定する環のサイズの観点から説明されており、このサイズは、その環内のT原子の数に基づく。他の骨格型特徴としては、ケージを形成する環の配置、存在する場合、チャネルの寸法、及びケージ間の空間が挙げられる。van Bekkum,et al.,Introduction to Zeolite Science and Practice,Second Completely Revised and Expanded Edition,Volume 137,pages 1−67,Elsevier Science,B.V.,Amsterdam,Netherlands(2001)を参照されたい。
【0020】
小細孔、中細孔、及び大細孔分子篩は、4環〜12環またはそれ以上の骨格型を有する。好ましい実施形態では、分子篩は、8、10環、もしくは12環構造、またはそれ以上の構造を有し、平均細孔サイズは、約3Å〜15Åの範囲である。
【0021】
これらの分子篩は、非晶質、結晶質、またはそれらの組み合わせであり得る。例としては、ゼオライト分子篩ならびに非ゼオライト分子篩が挙げられ、これらは、大細孔、中細孔、または小細孔型のものである。これらの分子篩の非限定的な例としては、小細孔分子篩、AEI、AFT、APC、ATN、ATT、ATV、AWW、BIK、CAS、CHA、CHI、DAC、DDR、EDI、ERI、GOO、KFI、LEV、LOV、LTA、MON、PAU、PHI、RHO、ROG、THO、及びそれらの置換形態、中細孔分子篩、AFO、AEL、EUO、HEU、FER、MEL、MFI、MTW、MTT、TON、及びそれらの置換形態、ならびに大細孔分子篩、EMT、FAU、及びそれらの置換形態が挙げられる。他の分子篩としては、ANA、BEA、CFI、CLO、DON、GIS、LTL、MER、MOR、MWW、及びSODが挙げられる。好ましい型の分子篩としては、フォージャサイト、ペンタシル、モルデナイト、ベータ、VPI、MCM、及び置換アルミノホスフェート、例えば、SAPO、MeAPO、ELAPO、及びELAPSOが挙げられる。好ましい分子篩の非限定的な例としては、ゼオライトX、ゼオライトY、ゼオライト3A、4A、5A、13X、VPI−5、MCM−41、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−14、ZSM−17、ZSM−18、ZSM−20、ZSM−31、ZSM−34、ZSM−41、及びZSM−46が挙げられる。一実施形態では、本発明の分子篩は、ゼオライトXもしくはゼオライトY(ゼオライト13Xを含む)、ならびにアルミナまたはアルミナとゼオライトXもしくはゼオライトYとの複合体である。Dolanらの同一出願人による米国第8,147,588号に開示されるように、吸着剤に加えて過剰ソーダも添加されて、オレフィン成分の反応性を低減することができる。
【0022】
汚染物質が本発明に従って分離されるオレフィン流は、任意の従来の源から提供され得る。かかるオレフィン流は、例えば、石油流の分解、オレフィンを形成するための汚染物質の触媒反応、または炭化水素の脱水素化から提供され得る。
【0023】
本発明は、炭化水素の熱分解プロセスで作製されるオレフィン流からの汚染物質の除去に特に有益であるが、それに限定されない。このオレフィン流は、かかるプロセスまたは任意の既知のプロセスによって形成されるものであり、米国第5,090,977号に記載のもの等の、C〜Cアルカン、C5+生成物等を含む望ましくない生成物を除去するように処理されたものであり、使用され得るかかるプロセスの一例であるよう意図されている。結果として生じる分離されたオレフィン流中で、有機酸素化物、無機及び有機硫黄含有化合物、CO、ならびに水等の汚染物質は、微量濃度で存在し得る。かかる汚染物質の存在は、低濃度であったとしても、これらの流からのオレフィン(特にエチレン及び/またはプロピレン)のさらなる処理において問題を引き起こし得る。例えば、これらの汚染物質は、多くの従来のポリエチレン及びポリプロピレン形成触媒を毒する場合もある。
【0024】
本発明の一実施形態では、汚染物質が除去されるべきオレフィン流は、オレフィン流の総重量に基づいて、約500wppm以下の汚染物質、好ましくは約50wppm以下の汚染物質を含む。言うまでもなく、オレフィン流から除去されるべき汚染物質について、ある測定可能な量が存在するはずである。一実施形態では、提供されたオレフィン流は、オレフィン流の総重量に基づいて、少なくとも約0.1ppmの汚染物質を含有し、別の実施形態では、少なくとも約1ppmの汚染物質を含有する。
【0025】
具体的には、本発明に従って処理されるオレフィン流は、エチレン、プロピレン、ブチレン、またはそれらの組み合わせを含有する。望ましくは、このオレフィン流は、オレフィン流の総重量に基づいて、少なくとも約50重量%のエチレン、プロピレン、ブチレン、またはそれらの組み合わせを含有する。好ましくは、このオレフィン流は、オレフィン流の総重量に基づいて、約50重量%〜約99+重量%のエチレン、プロピレン、ブチレン、またはそれらの組み合わせ、より好ましくは、約90重量%〜約99+重量%のエチレン、プロピレン、ブチレン、またはそれらの組み合わせを含有する。
【0026】
本発明の方法では、精製されるべき汚染されたオレフィン流は、1つ以上の汚染物質、より具体的には、少なくとも1個の酸素原子を含有する1つ以上の有機化合物を含有する。したがって、これらの汚染物質は、1つ以上のアルコール、好ましくは脂肪族アルコールを含み、それらのアルコールの脂肪族部分は、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子、最も好ましくは1〜4個の炭素原子を有する。酸素化物の非限定的な例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、メチルエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ホルムアルデヒド、炭酸ジメチル、ジメチルケトン、酢酸、及びそれらの混合物が挙げられる。他の汚染物質は、上述のHS、メルカプタン、硫化物、及び二硫化物等の硫黄化合物、CO、及び水を含む。
【0027】
本発明では、オレフィン流からの汚染物質の除去または吸着は、1つ以上の吸着床を使用して達成される。これらの床は、直列または並列に配置され得、任意の種類の従来の床システムであり得る。これらの吸着床は、必要に応じて周囲温度または上昇した温度で動作し得る。これらの床を通るオレフィン流の流れは、上方または下方のいずれかであり得る。この吸着プロセスは、ガス相で行われる。
【0028】
提供されたオレフィン流が固体吸着剤と接触する温度は、広範囲にわたって変動し得る。一実施形態では、提供されたオレフィン流は、約0℃〜約100℃の温度でガス相中の固体吸着剤と接触する。
【0029】
提供されたオレフィン流が固体吸着剤と接触する圧力も、広範囲にわたって変動し得る。一実施形態では、提供されたオレフィン流は、約0.01psig〜約500psigの圧力で固体吸着剤と接触する。
【0030】
提供されたオレフィン流が固体吸着剤と接触する空間速度は、大きく異なり得る。例えば、ガス相中の一実施形態では、提供されたオレフィン流は、約100hr−1〜約20,000hr−1のガス時間当たり空間速度(GHSV)で固体吸着剤と接触する。
【0031】
本発明の一実施形態では、提供されたオレフィン流中に存在する汚染物質の大部分がオレフィン流から除去される。具体的には、精製されたオレフィン流中に残存する汚染物質のレベルは、10ppm未満、より好ましくは1ppm未満であるべきである。
【0032】
本発明では、固体吸着剤は、提供されたオレフィン流との接触後に加熱されたパージガスで再生される。吸着剤が全吸着容量に達する前に固体吸着剤を再生することが好ましい。つまり、固体吸着剤が完全に飽和する直前にそれを再生することが好ましい。完全飽和で、汚染物質のブレークスルーが生じ、汚染物質がもはやオレフィン流から吸着されず、吸着剤が動作に本質的に無効であることを意味する。
【0033】
一次吸着剤床の再生中、パージガスは、吸着剤塊の温度よりも著しく高い温度に加熱されて、平衡不純物負荷を低下させ、床からの不純物吸着質の脱着及びパージを容易にする。一般に、パージガス温度が高いほど、必要とされるパージガスの量が少なくなるが、吸着剤の熱水誤用及び内部床温度と外部床温度との間の有害な差異によるより高い熱エネルギー損失等の要因は、当業者によって考慮される。再生中に床の移入端における再生された吸着剤塊の熱が加熱されていない流入パージガスを伴ってさえも前方に運ばれ得るため、パージガスが高温パージ再生の全期間にわたって加熱される必要はないが、再生段階の終わりの一次床は、十分な熱エネルギーを有利に含有し、それにより、その後の冷却パージ時に流出パージガスが補助吸着剤床を再生することができるようになる。この結果の達成を決定する要因としては、一次床の相対的サイズ及び床の不純物負荷が上げられる。通例の計算は、好適なプロセス条件を確立するための任意の所与のプロセスシステムを考慮して容易に行われる。本発明の一実施形態では、固体吸着剤は、約200℃〜約500℃の温度で再生される。
【0034】
再生が起こる圧力も、好ましくは、汚染物質が吸着剤の細孔構造、具体的には分子篩吸着剤の細孔構造から脱着する温度での、汚染物質の有効な除去に好ましいものである。一実施形態では、固体吸着剤は、約0.01psig〜約400psigの圧力で再生される。
【0035】
本発明では、再生プロセス中に不活性媒体を使用して吸着剤を掃除し、細孔構造内の汚染物質の除去を支援する。再生中のガス時間当たり空間速度(GHSV)は重要ではなく、大きく異なり得る。一実施形態では、固体吸着剤は、10hr−1〜5,000hr−1のガス時間当たり空間速度で再生される。
【0036】
用いられる吸着不可能なパージガスまたは不活性媒体は、他の吸着−分離プロセスにおいて一般に使用されるもののうちのいずれかであり得、それらとしては、水素、窒素、ヘリウム、アルゴン、ならびに水素、メタン、より高次のアルカン、またはそれらの混合物として定義される他の不活性ガス及び燃料ガスが挙げられる。「吸収不可能なパージガス」という用語が、その相対的な意味で使用され、分子篩に対してある程度の親和性を有し得るが、除去が所望される供給原料の任意の不純物によって吸着剤から容易に追放される材料を含むことが理解される。本発明によれば、使用される最も有用なパージガスとしては、吸着剤を再生するための上で定義される燃料ガスまたは窒素が挙げられる。再生用の窒素及び燃料ガス流は、少なくとも99重量%の所望のガスを含有する本質的に純粋な流である。
【0037】
オレフィン流の精製に使用される吸着剤を再生する典型的な実施では、窒素または燃料ガスパージは、吸着剤を通過し、脱着した不純物を装填した後に、単に燃焼される。残念ながら、汚染物質を窒素で燃焼することは、大気汚染問題を引き起こし、典型的には、それを行うためには影響を受ける自治体からの許可証の発行を必要とする。加えて、窒素の価値が失われ、窒素再生ガス流を絶えず補充するのにかなりの費用を要する。同様に、メタンまたは他のアルカンを含む燃料ガスの燃焼は、温室効果ガス排出を増加させる。さらに、オレフィン流が熱分解プロセスによって形成された場合、かなりの量のエタンが供給物流中に存在し、十分なメタンが生成されない。したがって、メイクアップメタンが再生のために提供されなければならないが、この場合もやはり、プロセス費用を増大させる。
【0038】
したがって、本発明では、パージされた再生ガスは、TSAシステム内の吸着剤から不純物を脱着させた後、再生ガスから不純物を除去し、かつ再生ガスの再使用を可能にする吸着剤床を通過して、TSA吸着剤を再生する。それ故に、不純物を装填した再生ガスは、不純物の吸着をもたらし、かつ不純物を本質的に含まない生成物再生ガスを産出するように、上昇した圧力で吸着剤を通過する。精製された再生ガスを回収するためのこの吸着システムは、圧力スイングで動作し、それにより、圧力を低減し、かつ不純物を吸着剤から脱着させることにより、吸着剤自体が再生される。上で例示されるTSAプロセスで使用される吸着剤のうちのいずれかを圧力スイングまたはPSAプロセスで使用して、再生ガスから不純物を除去することができる。しかしながら、好ましくは、PSAシステムにおける吸着剤は、TSAシステムにおける吸着剤の収着剤誘引に対して、不純物に関してより弱い吸着剤であり、オレフィンに対する反応性がより低いであろう。窒素または燃料ガス再生ガスから不純物を除去するためのPSAシステムにおける好ましい吸着剤は、アルミナである。
【0039】
本発明の方法のさらなる理解は、オレフィン流中の不純物を低減するための本発明の組み合わされた方法、及び上述の再生ガスの連続再使用を図解する図の説明から得ることができる。この図を参照すると、参照番号10は、オレフィン流から不純物を除去するために使用されるTSAシステムを指し、参照番号20は、TSAシステム10で再使用するための再生ガスから不純物を浄化及び除去するために使用されるPSAシステムを指す。TSAシステム10は、上で例示され、好ましくは、上述の米国第8,147,588号に開示されるアルミナゼオライト複合体である固体粒子吸着剤(図示されず)を充填した1つ以上の吸着装置またはカラムを含み、この全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
米国第8,147,588号に開示されるように、アルミナ成分、ゼオライト成分、ならびに例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びそれらの混合物からなる群から選択される添加金属成分を含む固体成形吸着剤が提供され、この添加金属成分は、同じ量の初期金属がゼオライトとアルミナの混合物に添加された場合に添加金属の量がゼオライト中でより多くなるように、最初に主にゼオライト成分に添加される。この添加金属成分は、ゼオライト格子の負電荷を補償するのに必要な金属の化学量論量を超える量で存在する。
【0041】
活性化アルミナとしては、通常100m/gを超える表面積、典型的には100〜400m/gの範囲の表面積を有するアルミナが挙げられる。さらに、活性化アルミナ粉末は、好ましくは、水酸化アルミニウム、例えば、高温ガス流または固体熱担体流中のハイドラーギライトのアルミナ三水和物の急速脱水によって得られる。脱水は、高温ガス流または固体熱担体流を使用して、任意の好適な装置で達成され得る。一般に、高温ガスを加熱するか、または高温ガスと接触する時間は、非常に短い期間であり、典型的には、ほんの1秒〜4秒または5秒である。通常、ガスの温度は、400℃〜1000℃と異なる。このプロセスは、一般にフラッシュ焼成と称され、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第2,915,365号に開示されている。しかしながら、他の焼成方法を用いてもよい。
【0042】
本発明における使用に好適な活性化アルミナは、0.1〜300ミクロン、好ましくは1〜100ミクロン、典型的には1〜20ミクロンの範囲の中央粒径を有する。ある特定の例では、1〜10ミクロンの中央粒径を有するアルミナを使用することが望ましい場合がある。このアルミナは、活性化前または後に、所望の粒径に研磨され得る。活性化アルミナは、典型的には、200℃〜1000℃の温度で約5〜12%のLOI(強熱減量)を有する。
【0043】
1つの活性化アルミナ源はギブサイトであり、これは、バイヤー法を使用してボーキサイトから得られるアルミニウム三水和物である。しかしながら、十分に焼成される場合、アルファアルミナ一水和物、偽ベーマイト、または他のアルミナ三水和物を使用することができる。粘土及びアルミニウムアルコキシドを含む他のアルミナ源を利用してもよい。
【0044】
ゼオライトは、微小孔性であり、かつ頂点共有AlO及びSiO四面体から形成された三次元酸化物骨格を有する結晶質アルミノケイ酸塩組成物である。ゼオライトは、均一の寸法の細孔開口を有すること、著しいイオン交換能力を有すること、及び永久的なゼオライト結晶構造を構成するいずれの原子も著しく変位させることなく結晶の内部ボイド全体に分散する吸着質を可逆的に脱着させることができることを特徴とする。本発明において使用され得るゼオライトは、約5〜約10Åの細孔開口を有するものである。
【0045】
一般に、ゼオライトは、以下の経験式で表される組成を有し、
【化1】
式中、Mは、「n」の原子価を有するカチオンであり、「b」は、約2〜約500の値を有する。好ましいゼオライトは、約2:1〜約6:1のSiO/Al比を有するもの、ならびに/またはゼオライトX、フォージャサイト、ゼオライトY、ゼオライトA、モルデナイト、ZSM−5、ベータ、及びフェリエライトの結晶構造を有するものである。特に好ましいゼオライトは、ゼオライトX、ゼオライトY、及びゼオライトAである。
【0046】
成形吸着剤の特に有用な成分は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びそれらの混合物からなる群から選択される添加金属成分である。この添加金属成分は、金属カチオン(M)に加えて、ゼオライトの交換部位中に存在する。この添加金属は、M金属と同じであっても異なってもよい。
【0047】
添加金属の具体的な例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、及び銅が挙げられるが、これらに限定されない。添加金属源(金属成分前駆体)は、活性化条件下で(以下を参照のこと)金属酸化物を分解する任意の化合物であり得る。これらの源の例は、それらの金属の硝酸塩、水酸化物、カルボン酸塩、炭酸塩、及び酸化物である。
【0048】
成形吸着剤は、同じ量の金属がゼオライトとアルミナの混合物に添加された場合よりも多い量のゼオライト中の添加金属成分の量を提供する順にこれらの3つの成分を組み合わせることによって調製され得る。好ましくは、アルミナを添加金属と意図的に接触させるための調製方法は回避され、それにより、ゼオライトのみが金属を含有するように処理され、それ故に、初期処理中にゼオライトのみが添加金属を含有すべきである。しかしながら、以下に記載の形成プロセス中、いくらかの量の添加金属がアルミナに移動することは避けられない。しかしながら、最終生成物は、ゼオライト中の添加金属成分の量が同じ量の初期金属がゼオライトとアルミナの混合物と接触した場合よりも多いようなものである。アルミナ−ゼオライト複合体を形成する具体的な方法は、前述の特許に記載されている。
【0049】
個別の吸着装置は各々、吸着サイクル、脱着及び再生サイクル、ならびに冷却サイクルで動作する。参照番号12及び14は、それぞれ、吸着サイクルの吸着装置及び再生サイクルの吸着装置を表す。吸着装置12では、オレフィン供給物2は、その装置の一方の端を通って他方の端に移動し、それにより、供給ガスが吸着剤を通過し、オレフィン生成物4が供給物を受容する装置12の反対側の端から装置12を出る。生成物4は、いずれの不純物も実質的に含まない。図に示されるように、再生サイクル中、窒素または燃料ガス供給物16は、不純物を装填した吸着剤(図示されず)を含有する装置14に方向付けられ、装置14内の吸着剤から脱着した不純物を含有するライン18を経由して出る。再生装置14に入る前に、この再生ガスは、加熱器13によって、または圧縮器29における圧縮中の熱から、吸着剤を加熱し、かつ吸着剤からの不純物の脱着を容易にするのに適切な温度まで加熱され得る。不純物を含有する再生ガスが装置14を出ると、このガスは、冷却器ノックアウト装置15内で冷却及び水凝縮され、その後、PSAシステム20における処理のために、必要に応じて、ライン17を経由して圧縮器19に方向付けられ得る。上述の加熱及び/または冷却は、必要に応じて、これらのプロセス流のうちのいずれかと熱交換することによっても達成され得る。
【0050】
PSAシステム20は、粒子吸着剤(図示されず)を充填した吸着剤装置22も含む。TSAシステムと同様に、PSAシステムの各床または装置は、連続した加圧/吸着サイクル及び減圧/再生サイクルで動作する。PSAプロセスは、典型的には、少なくとも4つの床を有するシステムについて説明するWagnerの米国特許第3,430,418号で例証される多床システムで行われる。一般に知られており、かつこの特許で説明されるように、PSAプロセスは、一般に、(1)床の生成物端からの生成物流出物の放出を伴うより高い圧力吸着、(2)その生成物端からの空所ガスの放出を伴う中間圧力への並流減圧、(3)より低い圧力への向流減圧、(4)パージ、及び(5)加圧を各床に含む処理シーケンスのサイクルで行われる。並流減圧ステップ中に放出される空所ガスは、一般に、圧力同等化目的のために、かつパージガスをそのより低い脱着圧力で床に提供するために用いられる。好適な吸着剤材料としては、アルミナまたはシリカ−アルミナ系材料及びゼオライト型の吸着剤が挙げられる。一般に、PSA吸着段階の入口温度は、約25〜270℃、好ましくは約25〜200℃の範囲であり得、50〜150℃も例示される。50〜500psia、好ましくは50〜250psia、さらに例示される50〜150psiaの入口圧力が使用され得る。
【0051】
吸着段階及び脱着段階の両方を表す吸着装置22が図に示される。再び図を参照すると、不純物を装填するようになった再生ガスは、TSAシステム10を出て、動作圧力でライン24を経由してPSA吸着剤装置22に移動する。供給物がライン24を経由して入る装置22の反対側の端では、不純物を含まないクリーンな再生ガスがライン26を経由して出る。ライン26を経由するクリーンな再生ガスの一部またはすべてを上述のように加熱し、ライン16を経由してTSA吸着剤床14を再生するために使用することができ、そこで、このクリーンな再生ガスを再び使用して、TSA10における装置14内の吸着剤から不純物を脱着させることができ、このサイクルが再開する。PSAシステム20の動作圧力は、それぞれ、ライン17、26、及び28に接続された1つ以上の圧縮器19、27、及び29によって達成され得る。PSAシステム20は、再生サイクルを含み、このサイクルでは、低圧で、例えば、5〜30psia、好ましくは15〜25psiaで、再生ガス由来の不純物が装置22内の吸着剤から脱着し、ライン30を経由して減圧廃ガスとして出る。これは、脱着圧力に対する吸着圧力の比率が少なくとも2.0である場合に特に好ましい。したがって、本発明によれば、TSAシステム10を再生するために使用される再生ガスは無駄にはされず、連続して再使用することができ、大幅に低減された量のメイクアップ再生パージガスしか必要としない。不純物を装填した再生ガスの燃焼の排除ではないにせよ低減により、かかる材料を燃焼するのに必要とされる許可プロセスに必要な費用も削減され、著しく低減された汚染問題がもたらされ得る。
【0052】
本発明に従って処理されたエチレン及び/またはプロピレン流が重合されて、プラスチック組成物、例えば、ポリオレフィン、具体的にはポリエチレン及びポリプロピレンを形成することができる。ポリエチレンまたはポリプロピレンを形成するための任意の従来のプロセスが使用され得る。触媒プロセスが好ましい。メタロセン、チーグラー・ナッタ、酸化アルミニウム、及び酸触媒系が特に好ましい。例えば、各々の触媒及びプロセスについての説明が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、米国特許第3,258,455号、同第3,305,538号、同第3,364,190号、同第5,892,079号、同第4,659,685号、同第4,076,698号、同第3,645,992号、同第4,302,565号、及び同第4,243,691を参照されたい。一般に、これらの方法は、ポリオレフィン生成物を形成するのに有効な圧力及び温度で、エチレンまたはプロピレン生成物をポリオレフィン形成触媒と接触させることを含む。
【0053】
本発明の一実施形態では、エチレン及び/またはプロピレン生成物がメタロセン触媒と接触して、ポリオレフィンを形成する。望ましくは、このポリオレフィン形成プロセスは、約50℃〜約320℃の範囲の温度で行われる。反応は、約1バール〜約3200バールの範囲内のいずれかである、低圧、中圧、または高圧で行われ得る。溶液中で行われるプロセスの場合、不活性希釈剤が使用され得る。この種の動作では、圧力が約10バール〜約150バールの範囲であり、好ましくは約120℃〜約250℃の範囲の温度であることが望ましい。ガス相プロセスの場合、温度が一般に約60℃〜120℃の範囲であり、動作圧力が約5バール〜約50バールであることが好ましい。
【0054】
ポリオレフィンに加えて、多数の他のオレフィン誘導体が、本発明に従って処理されたエチレン、プロピレン、及びC4+オレフィン、具体的には、ブチレンから形成され得る。本発明に従って処理されたオレフィンは、アルデヒド、酸、例えば、C〜C13モノカルボン酸、アルコール、例えば、C〜C12モノアルコール、C〜C12モノカルボン酸及びC〜C12モノアルコールから作製されたエステル、直鎖状アルファオレフィン、酢酸ビニル、二塩化エチレン及び塩化ビニル、エチルベンゼン、酸化エチレン、クメン、アクロレイン、塩化アリル、酸化プロピレン、アクリル酸、エチレン−プロピレンゴム、及びアクリロニトリル、ならびにエチレン及びプロピレンの三量体及び二量体等の化合物の製造においても使用することができる。C4+オレフィン、ブチレンが特に、アルデヒド、酸、アルコール、C〜C13モノカルボン酸及びC〜C13モノアルコールから作製されたエステル、ならびに直鎖状アルファオレフィンの製造に特に適している。
図1