特許第6682519号(P6682519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニング インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許6682519-ガラス導入管の環境制御 図000002
  • 特許6682519-ガラス導入管の環境制御 図000003
  • 特許6682519-ガラス導入管の環境制御 図000004
  • 特許6682519-ガラス導入管の環境制御 図000005
  • 特許6682519-ガラス導入管の環境制御 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682519
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】ガラス導入管の環境制御
(51)【国際特許分類】
   C03B 5/24 20060101AFI20200406BHJP
   C03B 5/435 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   C03B5/24
   C03B5/435
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-516882(P2017-516882)
(86)(22)【出願日】2015年9月25日
(65)【公表番号】特表2017-533878(P2017-533878A)
(43)【公表日】2017年11月16日
(86)【国際出願番号】US2015052118
(87)【国際公開番号】WO2016053773
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2018年9月25日
(31)【優先権主張番号】62/056,943
(32)【優先日】2014年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】デリア,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】マークハム,ショーン レイチェル
(72)【発明者】
【氏名】スターンキスト,ブランドン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】クオールズ,ネイサン タイラー
【審査官】 宮崎 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/188484(WO,A2)
【文献】 特開2011−168482(JP,A)
【文献】 特開2013−023435(JP,A)
【文献】 特表2008−539160(JP,A)
【文献】 特表2001−503008(JP,A)
【文献】 特開2003−095663(JP,A)
【文献】 特開2012−121779(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/081903(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B5/00−5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下降管と、
形成器と、
前記形成器の周囲において熱を発する、1つ以上の発熱素子と、
導入管本体、入口開口部、および出口開口部を含む導入管であって、前記下降管から溶融ガラスを受け取り、前記溶融ガラスを前記形成器へと送出する導入管と、
前記導入管本体との間に空間を定めるために前記導入管の少なくとも一部を囲む、電気加熱部であって、ガス導入部およびガス排出部を含み、該ガス導入部および該ガス排出部がそれぞれ該電気加熱部を貫通する、電気加熱部と、
前記入口開口部に近接して前記導入管本体の外部と前記電気加熱部との間に介在する第1の封止部であって、前記空間内の圧力を増加させるように構成された、第1の封止部と、
前記出口開口部に近接して前記導入管本体の前記外部と前記電気加熱部との間に介在する第2の封止部であって、前記空間内の湿度の高いガス混合物が、前記形成器および前記1つ以上の発熱素子に向かうのを防止または軽減するように構成されている、第2の封止部と、
前記電気加熱部を囲む耐火タワーであって、該耐火タワーを前記ガス導入部および前記ガス排出部がそれぞれ貫通する、耐火タワーと、
前記湿度の高いガス混合物が前記導入管本体の表面にわたって流れ、前記ガス排出部を介して前記耐火タワーおよび前記電気加熱部から出るよう、前記湿度の高いガス混合物を前記ガス導入部内へと向かわせるように構成された、制御システムと
を含むシステム。
【請求項2】
前記制御システムが、前記導入管の前記導入管本体の周囲において、平衡関係pH(ppm)=78,000×e^[(−58,900+13.1T)/(1.987*T(°K))]によって定められるレベルに、またはそれより高いレベルに分圧が保たれるように、前記湿度の高いガス混合物中の水素のレベルを制御するよう構成された、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
ガラス製造システムにおける、導入管本体、入口開口部、および出口開口部を含む導入管の周囲の環境を制御する方法において、
前記導入管本体との間に空間を定めるために前記導入管の少なくとも一部を囲む電気加熱部であって、ガス導入部およびガス排出部を含み、該ガス導入部および該ガス排出部がそれぞれ該電気加熱部を貫通する、電気加熱部を設ける工程と、
前記入口開口部に近接して前記導入管本体の外部と前記電気加熱部との間に介在する第1の封止部を設置する工程と、
前記出口開口部に近接して前記導入管本体の前記外部と前記電気加熱部との間に介在する第2の封止部を設置する工程と、
前記電気加熱部を囲む耐火タワーであって、該耐火タワーを前記ガス導入部および前記ガス排出部がそれぞれ貫通する、耐火タワーを設ける工程と、
下降管から前記導入管で溶融ガラスを受け取る工程と、
前記導入管から前記溶融ガラスを形成器へ送出する工程と、
1つ以上の発熱素子で前記形成器の周囲において熱を発する工程と、
湿度の高いガス混合物を制御システムにより前記ガス導入部内へと向かわせて、該湿度の高いガス混合物が、前記導入管本体の表面にわたって流れ、前記ガス排出部を介して前記耐火タワーおよび前記電気加熱部から出るようにする工程であって、前記第1の封止部が、前記空間内の圧力を高め、前記第2の封止部が、前記湿度の高いガス混合物が前記形成器および前記1つ以上の発熱素子に向かうのを防止または軽減する、工程と
を含む方法。
【請求項4】
前記導入管の前記導入管本体の周囲において、平衡関係pH(ppm)=78,000×e^[(−58,900+13.1T)/(1.987*T(°K))]によって定められるレベルに、またはそれより高いレベルに分圧が保たれるように、前記湿度の高いガス混合物中の水素のレベルを制御することを更に含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記溶融ガラスが、14,000ポアズ〜75,000ポアズの範囲内の粘度を有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記溶融ガラスが、非アルカリ性溶融ガラスまたはアルカリ性溶融ガラスである、請求項4記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
本願は、2014年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/056943号による優先権を主張するものであり、その内容の全体を本明細書に参照して組み込む。
【技術分野】
【0002】
本願は、ガラス導入管の環境制御に関する。
【背景技術】
【0003】
液晶ディスプレイ(LCD)、スマートホン、タブレットコンピュータ等の様々な装置は、平坦なガラスシートを用い得る。これらの平坦なガラスシートを製造するための1つの技術は、フュージョン法である。フュージョン法では、ガラスシートは、溶融ガラスとの界面となる貴金属(例えば、白金または白金合金)を含むガラス製造器を用いて製造される。貴金属は、一般的に、ほとんどのガラスとの関係において不活性であると考えられており、従って、ガラスシート内にいかなる内包物も生じないはずである。しかし、これは必ずしも正当ではない。
【0004】
例えば、金属とガラスとの間において酸化反応が生じる場合があり、これは、溶融ガラス内、およびその後はガラスシート内における気体状の内包物の発生につながり得る。金属/ガラス界面で生じるより一般的な酸化反応の1つは、溶融ガラス中の水およびヒドロキシル種の熱的破壊によって、負の電荷を有する酸素イオンが分子状酸素に変換されることである。この現象が生じる理由は、ガラスの溶融および供給における高温では、溶融ガラス中に低い分圧の水素が存在することである。従って、水素が、溶融ガラスを収容している貴金属の容器に接触すると、水素は急速にガラス製造器を透過し、金属/ガラス界面から水素を枯渇させる。例えば、ガラス製造器から外に出る水素1モル当たり、1/2モルの酸素がガラス/金属界面に残される。従って、水素がガラス製造器から外に出ると、金属/ガラス界面における酸素レベルまたは酸素の分圧が増加し、これは、溶融ガラス内における気泡または気体状の内包物の発生につながる。更に、溶融ガラス中のハロゲン(Cl、F、Br)等の他の種の触媒作用または酸化を含む他の反応も、溶融ガラス内および得られるガラスシート内における気体状の内包物の発生につながり得る。更に、金属/ガラス界面における電気化学的反応に起因して生じ得る酸化反応もある。これらの電気化学的反応は、熱電池、ガルバニ電池、高いACまたはDC電流の印加および/または接地の状況と関連づけられ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
気体状の内包物の形成に対処するために用いられる従来の方法は、フュージョン法または他のガラス形成プロセスにおいて、清澄剤としてヒ素を用いることを含む。ヒ素は、知られている最も高温の清澄剤の1つであり、溶融ガラス槽に加えられた際、(例えば、1450℃を超える)高い融点における溶融ガラスからのOの放出を可能にする。この、ガラス製造の溶融段階および清澄段階における気泡の除去を補助する、高温におけるOの放出は、気体状の内包物が実質的に存在しないガラスシートを生じる。更に、酸素の気泡が残っていても、それらは、冷却の際の還元状態から酸化状態への遷移に起因して、清澄剤によって再吸収される。しかし、環境的な観点からは、危険な材料であるヒ素の使用は望ましくない。更なる方法は、ガラスコーティングの使用、並びにDC保護を含む。しかし、当該技術分野において、ガラス形成プロセスにおける気体状の内包物に対処するための改善された方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、一般的に、ガラス製造システム、並びに、ガラス製造システムにおける導入管の周囲の環境を制御するシステムおよび方法に関する。
【0007】
幾つかの実施形態において、ガラス製造システムにおける、(導入管本体、入口開口部、および出口開口部を有する)導入管の周囲の環境を制御するシステムが提供される。本システムは、導入管の少なくとも一部を囲む電気加熱部であって、該電気加熱部をガス導入部およびガス排出部がそれぞれ貫通する、電気加熱部と、入口開口部に近接して導入管本体の外部と電気加熱部との間に介在する第1の封止部と、出口開口部に近接して導入管本体の外部と電気加熱部との間に介在する第2の封止部とを含む。本システムは、電気加熱部を囲む耐火タワーであって、該耐火タワーをガス導入部およびガス排出部がそれぞれ貫通する、耐火タワーと、湿度の高いガス混合物が導入管本体の表面にわたって流れ、ガス排出部を介して耐火タワーおよび電気加熱部から出るよう、湿度の高いガス混合物をガス導入部内へと向かわせる制御システムとも含む。本システムは、導入管を通って流れる溶融ガラス内における気体状の内包物の形成を効果的に抑制できるという長所を有する。
【0008】
他の実施形態において、ガラス製造システムにおける、(導入管本体、入口開口部、および出口開口部を有する)導入管の周囲の環境を制御する方法が提供される。本方法は、導入管の少なくとも一部を囲む電気加熱部であって、該電気加熱部をガス導入部およびガス排出部がそれぞれ貫通する、電気加熱部を設ける工程と、入口開口部に近接して導入管本体の外部と電気加熱部との間に介在する第1の封止部を設置する工程と、出口開口部に近接して導入管本体の外部と電気加熱部との間に介在する第2の封止部を設置する工程とを含む。本方法は、電気加熱部を囲む耐火タワーであって、該耐火タワーをガス導入部およびガス排出部がそれぞれ貫通する、耐火タワーを設ける工程と、湿度の高いガス混合物が導入管本体の表面にわたって流れ、ガス排出部を介して耐火タワーおよび電気加熱部から出るよう、湿度の高いガス混合物をガス導入部内へと向かわせる制御システムを設ける工程とも含む。本方法は、導入管を通って流れる溶融ガラス内における気体状の内包物の形成を効果的に抑制できるという長所を有する。
【0009】
更に別の実施形態において、溶融ガラスを受け取る導入管と、導入管から溶融ガラスを受け取ってガラスシートを形成する形成器と、形成器の周囲において熱を発する複数の発熱素子とを含むガラス製造システムが提供される。本ガラス製造システムは、導入管本体、入口開口部、および出口開口部を含む導入管の周囲の環境を制御するシステムを更に含む。このシステムは、導入管の少なくとも一部を囲む電気加熱部であって、該電気加熱部をガス導入部およびガス排出部がそれぞれ貫通する、電気加熱部と、入口開口部に近接して導入管本体の外部と電気加熱部との間に介在する第1の封止部と、出口開口部に近接して導入管本体の外部と電気加熱部との間に介在する第2の封止部とを含み得る。このシステムは、電気加熱部を囲む耐火タワーであって、該耐火タワーをガス導入部およびガス排出部がそれぞれ貫通する、耐火タワーと、湿度の高いガス混合物が導入管本体の表面にわたって流れ、ガス排出部を介して耐火タワーおよび電気加熱部から出るよう、湿度の高いガス混合物をガス導入部内へと向かわせる制御システムとも含み得る。本ガラス製造システムは、導入管を通って流れる溶融ガラス内における気体状の内包物の形成を効果的に抑制できるという長所を有する。
【0010】
本開示の更なる特徴および長所は、以下の詳細な説明で述べられると共に、部分的にはその説明から当業者に自明であり、または、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および添付の図面を含む本明細書に記載されるように方法を実施することによって認識される。
【0011】
上記の概要説明および以下の詳細説明は、本開示の様々な実施形態を示すものであり、特許請求の範囲の性質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することを意図したものであることを理解されたい。添付の図面は、本開示の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれてその一部をなすものである。図面は本開示の様々な実施形態を示しており、明細書と共に、本開示の原理および作用を説明する役割をするものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】例示的なガラス製造システムの模式図
図2】幾つかの実施形態による例示的な環境制御システムの模式図
図3図2に示されているシステムの一部の断面側面図
図4図2に示されているシステムの一部の断面上面図
図5】本開示の幾つかの実施形態による例示的な方法を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明は、以下の図面と共に読めば、最もよく理解できる。図面中、類似の構造は、可能な場合には類似の参照番号で示されている。
【0014】
本開示の幾つかの実施形態は、ガラス製造システムにおける、貴金属を含有する1以上のガラス製造器を囲む、湿度が制御された囲いを用いるものであり、ガラスシート内における気体状の内包物の形成を低減するために、容器外の水素の分圧を制御するために用いられ得る。例示的な湿度が制御された囲いが、米国特許第5,785,726号明細書および米国特許第7,628,039号明細書に開示されており、それぞれの内容を参照して本明細書に組み込む。なお、本明細書では、フュージョン形成プロセスが参照され得るが、添付の特許請求の範囲はそのように限定されるべきではなく、記載され特許請求される実施形態は、スロットドローガラス製造システム、ダブルフュージョンガラス製造システム、およびフロートガラス製造システムを含む任意のタイプのガラス製造システムに適用可能である。
【0015】
図1を参照すると、ガラスシート102を製造するためのガラス形成プロセスのための、例示的なガラス製造システム100の模式図が提供されている。ガラス形成プロセスは、ダウンドローもしくはスロットドローフュージョン形成プロセスであってもよく、または、ダブルフュージョンもしくはフロートガラス形成プロセスであってもよい。例示的な限定しない実施形態では、ガラス製造システム100はフュージョン形成プロセスであり得、溶融器110、溶融器−清澄器接続管115、清澄器120、清澄器−撹拌チャンバ接続管125、撹拌チャンバ130(例えば、混合器130)、撹拌チャンバ−ボウル接続管135、ボウル140(例えば、供給器140)、下降管145、フュージョンドロー装置(FDM)150(導入管155、形成器160、複数の発熱素子162、引張ロールアセンブリ165、およびマフルフレーム167を含む)、並びに移動アンビル装置(TAM)170を含み得る。ガラス製造器115、120、125、130、135、140、145、および155は、白金、または白金含有金属(例えば、白金−ロジウム、白金−イリジウム、およびそれらの組合せ等)で作られ得るが、他の耐火金属(例えば、パラジウム、レニウム、ルテニウム、およびオスミウム、またはそれらの合金等)も含んでもよい。形成器160(例えば、アイソパイプ160)は、セラミック材料またはガラス−セラミック耐火材料で作られ得る。
【0016】
ガラスバッチ材料は、矢印112によって示されているように溶融器110に導入されて、溶融ガラス114を形成するために溶融され得る。清澄器120(例えば、清澄管120)は、溶融器−清澄器接続管115によって溶融器110に接続されている。清澄器120は、溶融器110から溶融ガラス114(この時点のものは図示せず)を受け取る高温処理領域を有し、そこで、溶融ガラス114から気泡が除去される。清澄器120は、清澄器−撹拌チャンバ接続管125によって撹拌チャンバ130に接続されている。撹拌チャンバ130は、撹拌チャンバ−ボウル接続管135によってボウル140に接続されている。ボウル140は、溶融ガラス114(図示せず)を、下降管145を通してFDM150へと供給する。
【0017】
FDM150は、導入管155、形成器160、発熱素子162、引張ロールアセンブリ165、およびマフルフレーム167を含む。導入管155は、下降管145から溶融ガラス114を受け取り、次に、溶融ガラス114(図示せず)は、導入管155から形成器160へと流れる。形成器160は、溶融ガラス114(図示せず)を受け取る開口部162を含み、溶融ガラス114はトラフ164に流れ込んで、2つの対向する側面166aおよび166bを越えて流れ落ち、その後、ルート部168において一体に融合して、ガラスシート109を形成する。幾つかの実施形態では、溶融ガラスは14,000ポアズ〜75,000ポアズの範囲内の粘度を有する。更に、溶融ガラスは非アルカリ性溶融ガラスまたはアルカリ性溶融ガラスであり得る。発熱素子162(例えば、グローバー発熱素子162、SiC発熱素子162)は、形成器160の周囲において熱を発する。この例では、形成器160(例えば、アイソパイプ)の各側に2つの発熱素子162が配置されており、形成器160の周囲において熱を発するために1以上の発熱素子162が用いられ得る。マフルフレーム167は、導入管155、形成器160、および発熱素子162を囲んでおり、底部に開口部を有し、そこを通ってガラスシート109が下方に移動できる。引張ロールアセンブリ165は、ガラスシート109を受け取り、延伸されたガラスシート111を生じる。TAM170は、延伸されたガラスシート111を受け取り、延伸されたガラスシート111を個々のガラスシート102に切断する。
【0018】
幾つかの実施形態では、導入管155を加熱し、導入管155を通って流れる溶融ガラス114内において気泡を発生させる水素の透過を抑制するのを補助する湿度の高いガス混合物216を供給することによって、導入管155の周囲の環境を制御するシステム175(断面側面図が示されている)が提供され得る。更に、システム175は、発熱素子162の耐性減衰速度を軽減または解消するために、湿度の高いガス混合物216が形成器160および発熱素子162に向かうのを防止または軽減するために用いられ得る。更に、例示的なシステム175は、マフルフレーム167内を流れる乾燥した空気が導入管155の表面にわたって流れるのを防止または軽減するために用いられ得る。
【0019】
図2を参照すると、マフルフレーム167(断面側面図)によって囲まれた導入管155(断面側面図)、形成器160(側面図)、および発熱素子162(側面図)を有する例示的なシステム175(断面側面図)の模式図が示されている。幾つかの実施形態では、システム175は、導入管本体155a、入口開口部155b、および出口開口部155cを有する導入管155の周囲の温度および湿度を制御するために用いられ得る。幾つかの実施形態では、システム175は、1以上の電気加熱部202、第1の封止部204、第2の封止部206、耐火タワー208、1以上の熱電対209aおよび209b、並びに制御システム210を含み得る。電気加熱部202は、導入管155の全てまたは一部を囲んでいてもよく、導入管155から所定の距離に配置され導入管155を加熱するよう機能し得る電気的な巻線を含み得る。幾つかの実施形態では、電気加熱部202は、電気加熱部202をそれぞれ貫通ガスする導入部212およびガス排出部214を含んでいてもよい。第1の封止部204は、入口開口部155bに近接して導入管本体155aの外部と電気加熱部202との間に介在し得る。第2の封止部206は、出口開口部155cに近接して導入管本体155aの外部と電気加熱部202との間に介在し得る。1以上の熱電対209aおよび209bは、導入管本体155aに近接して出口開口部155cと第2の封止部206との間に介在し得る。耐火タワー208は、電気加熱部202を囲んでいてもよく、ガス導入部212およびガス排出部214がそれぞれ耐火タワー208を貫通していてもよい。制御システム210は、湿度の高いガス混合物216が導入管155の導入管本体155aの表面にわたって流れて、ガス排出部214を介して耐火タワー208および電気加熱部202から出るように、湿度の高いガス混合物216をガス導入部212内へと向かわせるために用いられ得る。
【0020】
図3を参照すると、システム175のより詳細な断面側面図が示されており、導入管155は、電気加熱部202によって囲まれ、且つ、電気加熱部202から所定の距離に配置され得る。第1の封止部204は、導入管155の入口開口部155bに近接して導入管155の導入管本体155aの外部と電気加熱部202との間に介在し得る。第2の封止部206は、導入管155の出口開口部155cに近接して導入管155の導入管本体155aの外部と電気加熱部202との間に介在し得る。この図示されている実施形態では、第1の封止部204および第2の封止部206はそれぞれ、繊維材料(例えば、Durablanket(登録商標)セラミックファイバ)とセメントとの混合物で構成される。
【0021】
幾つかの実施形態では、電気加熱部202は、耐火タワー208によって囲まれ得る。この図示されている実施形態では、耐火タワー208は、レンガ・モルタル部302と断熱材304(例えば、IFB−2800LI)または他の適切な材料とを含む。レンガ・モルタル部302が電気加熱部202に近接して断熱材304と電気加熱部202との間に介在するように、断熱材304はレンガ・モルタル部302に近接してレンガ・モルタル部302を囲み得る。幾つかの実施形態では、ガス導入部212およびガス排出部214は耐火タワー208を貫通し得る。この限定しない実施形態では、ガス導入部212は、断熱材304を貫通する比較的小さい(例えば、0.688インチ(約1.748センチメートル)の外径および0.5インチ(1.27センチメートル)の内径または他の任意の適当な径の)管212aを含み得る。管212aは、レンガ・モルタル部302および電気加熱部202を貫通する比較的大きい(例えば、1インチ(2.54センチメートル)の外径および0.75インチ(1.905センチメートル)の内径または他の任意の適当な径の)管212b内に嵌る一端部を有する。同様に、ガス排出部214は、断熱材304を貫通する類似のまたは異なる小さい管214aを含み、管214aは、レンガ・モルタル部302および電気加熱部202を貫通する類似のまたは異なる大きい管214b内に嵌る一端部を有する。幾つかの実施形態では、ガス導入部212およびガス排出部214内にはそれぞれ、熱電対線906c、906dが通っていてもよい。他の実施形態では、ガス導入部212とガス排出部214との間の封止された管215内に、更なる熱電対線906eが通っていてもよい。
【0022】
他の実施形態において、湿度の高いガス混合物216は、まず、ガス導入部212を通り、導入管155の導入管本体155aの表面にわたって流れる。次に、湿度の高いガス混合物216は、ガス排出部214を通って出てもよい。ガス導入部212(管212aおよび212b)およびガス排出部214(管214aおよび214b)は、湿度の高いガス混合物216が耐火タワー208(例えば、レンガ・モルタル部208aと断熱材208bとの間)を抜けて発熱素子162(図2を参照)に至るのを最小限にするのを補助し得る。第1の封止部204および第2の封止部206は、湿度の高いガス混合物216を導入管155の導入管本体155aの外部の周囲に保つのを補助し得る。更に、第2の封止部206は、湿度の高いガス混合物216がマフルフレーム167内に流れ込んで発熱素子162(図2を参照)と相互作用するのを防止するのを補助し得ると共に、第2の封止部206は、マフルフレーム167内を流れる乾燥した空気が導入管155の導入管本体155aの表面にわたって流れるのを防止するよう作用し得る。第1の封止部204は、湿度の高いガス混合物216の流れを止めることにより、導入管155と電気加熱部202との間の空間内の空気圧を増加させて、圧力の低下を低減または解消し、マフルフレーム167から乾燥した空気が引き込まれて導入管155の表面にわたって流れる可能性を低くし得る。更に、導入管155の出口開口部155cと第2の封止部206との間に配置されている熱電対209aおよび209bが、開口部および管の周囲の封止の影響の受け易さを低減または解消し、第2の封止部206によって、マフルフレーム167からの乾燥した空気が導入管155の表面にわたって流れるのを防止できる。
【0023】
図4を参照すると、例示的なシステム175、導入管155、形成器160、および発熱素子162の一部の詳細な断面上面図が提供されている。システム175、導入管155、形成器160、発熱素子162、およびマフルフレーム167については、図1図3に関して上述した。更に、マフルフレーム167は、形成器160から外の環境への熱損失を制限するよう機能する耐火部402を含む。マフルフレーム167は、ガラス製造サイクルの様々な段階における熱損失を低減するために熱を発するよう機能する垂直に配向された発熱素子404を含む。更に、マフルフレーム167は、発熱素子162または耐火部402から落下または剥がれてガラス表面に付着し得る粒子から形成器160を保護するよう機能するハウジング406を含む。
【0024】
図5を参照すると、本開示の幾つかの実施形態による例示的な方法500を示すフローチャートが提供されている。方法500は、導入管本体155aの全てまたは一部を囲む電気加熱部202であって、ガス導入部212およびガス排出部214が貫通する電気加熱部202を設ける工程(ステップ502)と、入口開口部155bに近接して導入管本体155aの外部と電気加熱部202との間に介在する第1の封止部204を設置する工程(ステップ504)とを含み得る。本方法は、出口開口部155cに近接して導入管本体155aの外部と電気加熱部202との間に介在する第2の封止部206を設置する工程(ステップ506)と、電気加熱部202を囲む耐火タワー208であって、ガス導入部212およびガス排出部214が貫通する耐火タワー208を設ける工程(ステップ508)とを含む。更なる実施形態では、本方法は、湿度の高いガス混合物216が導入管本体155aの表面にわたって流れ、ガス排出部214を介して耐火タワー208および電気加熱部202から出るように、湿度の高いガス混合物216をガス導入部212内へと向かわせる制御システム210を設ける工程(ステップ510)を含む。そのような例示的な方法500は、導入管155を通って流れる溶融ガラス114内において気泡を発生させる水素の透過を抑制できる。
【0025】
上述のように、例示的な制御システム210は、導入管155を通って流れる溶融ガラス114内において気泡を発生させる水素の透過を抑制するための、適切な湿度の高いガス混合物216を生じることができる。制御システム210は、ガス導入部212内の位置および外部環境(例えば、処理設備)からセンサ読み取り値を取得する1以上のセンサ180a、180b、180c、180d、および180e(例えば、流量センサ180a、露点/湿度センサ180b、温度センサ180c、酸素センサ180d、および圧力センサ180e)に接続され得る。制御システム210は、センサ測定値を処理し得ると共に、湿度供給システム182、加熱/冷却制御システム184、(空気および蒸気を入手できる)空気ハンドラー186、およびO/N構成システム188等の様々な異なる装置を制御し得る。装置182、184、186、および188の全ては、ガス導入部212に接続され得る。制御システム210は、導入管155の外部の周囲に、任意の数の条件を満たす環境/雰囲気(湿度の高いガス混合物216)を生じるために、センサ180a、180b、180c、180d、および180eとインターフェースして、装置182、184、186、および188を制御し得る。幾つかの実施形態では、制御システム210は、導入管155の導入管本体155aの周囲において、平衡関係pH(ppm)=78,000×e^[(−58,900+13.1T)/(1.987*T(°K))]によって定められるレベルに、またはそれより高いレベルに分圧が保たれるように、湿度の高いガス混合物216中の水素のレベルを制御するよう構成され得る。他の実施形態において、制御システム210は、導入管155の外部に高々38,000ppmまでの水素が存在するよう、湿度の高いガス混合物216を制御するよう構成され得る。更なる実施形態では、制御システム210は、湿度の高いガス混合物216が200°F以下の露点温度に保たれるよう制御するよう構成され得る。更なる実施形態では、制御システム210は、湿度の高いガス混合物216を、21体積%未満のレベルの酸素含有量を有するよう制御するよう構成されてもよく、湿度の高いガス混合物216が、実質的に不活性ガスとなるバランスで0.01体積%〜1体積%の酸素レベルおよび2体積%〜20体積%の水蒸気レベルを有するよう制御するよう構成されてもよく、および/または、湿度の高いガス混合物216が、分解アンモニア生成物または燃焼生成物を含むよう制御するよう構成されてもよい。
【0026】
例示的な制御システム210、およびそれによって提供される機能的な動作は、本明細書において開示される構造およびそれらの構造的等価物、またはそれらの1以上の組合せを含む、デジタル電子回路において、または、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアにおいて実装され得る。本明細書において記載される実施形態は、1以上のコンピュータプログラム製品、即ち、データ処理装置によって実行されるための、またはデータ処理装置の動作を制御するための有形のプログラム担持体上にエンコードされたコンピュータプログラム指示の1以上のモジュールとして実装され得る。有形のプログラム担持体は、コンピュータ可読媒体であり得る。コンピュータ可読媒体は、機械可読ストレージ装置、機械可読ストレージ基体、メモリ装置、またはそれらの1以上の組合せであり得る。
【0027】
「プロセッサ」または「コントローラ」という用語は、データを処理するための全ての装置、デバイス、およびマシンを包含し得るものであり、例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータが挙げられる。プロセッサは、ハードウェアに加えて、対象のコンピュータプログラムのための実行環境を作るコード(例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらの1以上の組合せを構成するコード)を含み得る。
【0028】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られる)は、コンパイル型もしくはインタープリタ型言語、または、宣言型もしくは手続き型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書かれてよく、スタンドアロンのプログラムとして、または、モジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境で用いるのに適した他の単位としてのものを含む任意の形態で展開され得る。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステム内の1つのファイルに対応しない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持しているファイル(例えば、マークアップ言語の文書に格納された1以上のスクリプト)の一部に格納されてもよく、対象のプログラム専用の単一のファイルに格納されてもよく、または、複数の組織的なファイル(例えば、1以上のモジュール、サブプログラム、コードの一部を格納しているファイル)に格納されてもよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、または、1つの場所に位置するもしくは複数の場所に分散され通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるよう展開され得る。
【0029】
本明細書において記載される処理は、入力されたデータに対する処理を行い、出力を生成することによって機能を行うための1以上のコンピュータプログラムを実行する1以上のプログラマブルプロセッサによって行われ得る。また、処理および論理フローは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)等の専用論理回路によって行われてもよく、装置はそのような専用論理回路として実装されてもよい。
【0030】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用および専用マイクロプロセッサ、並びに、任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1以上のプロセッサを含む。一般的に、プロセッサは、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、またはそれらの両方から指示およびデータを受け取る。コンピュータの必須要素は、指示を行うためのプロセッサ、並びに、指示およびデータを格納するための1以上のデータメモリ装置である。一般的に、コンピュータは、データの受信、データの転送、またはそれらの両方のために、データを格納するための1以上の大容量ストレージ装置(例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスク等)も含むか、またはそれらに動作的に接続される。しかし、コンピュータがそのような装置を有する必要はない。更に、コンピュータは、例えば、モバイル電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)等の別の装置に埋め込まれ得る。
【0031】
コンピュータプログラム指示およびデータを格納するのに適したコンピュータ可読媒体は、不揮発性メモリ、媒体、およびメモリ装置を含む全ての形態のデータメモリを含む(例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリ装置等の半導体メモリ装置、例えば、内部ハードディスクまたはリムーバブルディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、並びに、CD−ROMおよびDVD−ROMディスクを含む)。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補充されてもよく、または、専用論理回路に組み込まれてもよい。
【0032】
本明細書において記載される実施形態は、ユーザとのやりとりのために、ユーザに対して情報を表示するためのディスプレイ装置(例えば、CRT(陰極管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタ等)と、ユーザがコンピュータに対して入力を行うのを可能にするキーボードおよびポインティングデバイス(例えば、マウスもしくはトラックボール、またはタッチスクリーン)とを有するコンピュータ上で実装され得る。ユーザとのやりとりのために、他の種類の装置も用いられ得る。例えば、ユーザからの入力は、音響、発話、または接触による入力を含む任意の形態で受け取られ得る。
【0033】
本明細書において記載される実施形態は、バックエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、データサーバとして)、ミドルウェアコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、アプリケーションサーバ)、ユーザが本明細書において記載される主題の実装例とやりとりするために用いるグラフィカルユーザインターフェースまたはウェブブラウザを有するフロントエンドコンポーネントを含むコンピューティングシステム(例えば、クライアントコンピュータ)、または、1以上のそのようなバックエンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント、もしくはフロントエンドコンポーネントの任意の組合せを含むコンピューティングシステムにおいて実装され得る。システムのコンポーネントは、任意の形態または媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)によって相互接続され得る。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(LAN)およびワイドエリアネットワーク(WAN)(例えば、インターネット)が挙げられる。
【0034】
コンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含み得る。クライアントおよびサーバは、一般的に互いから離れており、典型的には通信ネットワークを介してやりとりする。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行される、互いにクライアントとサーバとの関係を有するコンピュータプログラムによって生じるものである。
【0035】
ガラス製造システムにおける導入管155の周囲の環境を制御するためのシステム175および方法500について説明した。幾つかの実施形態では、本明細書において記載されるシステム175および方法500は、(フュージョンシステムに関する限定しない実施形態では)FDM150内の導入管155を囲み、湿度の高いガス混合物216が、導入管155の外部にわたって、マフルフレーム167内に位置する他の構成要素(例えば、グローバー発熱素子162)から離れる方向に流れるのを可能にし得る。システム175および方法500は、対流によりFDM150の上方に移動した空気流、または、ガラスシート102の厚さを制御するためにマフルフレーム167内に吹き込まれた空気流が、上方に出て導入管155の周囲を流れる技術を凌駕する顕著な改善である。そのような構成は、厚さを制御する空気が、水素の透過および溶融ガラス内の気泡を増加させる乾燥した空気であるため、望ましくない。更に、これは、マフルフレーム167内の空洞全体を湿らせて、発熱素子162の性能を低下させ、発熱素子162と反応した湿度の高い空気がところどころで素子を薄化させ、その結果、抵抗が急速に増加して、局所的なホットスポットを生じ、ガラス流の分布および厚さの管理に影響する結果となり得る。そのような薄化の結果としての発熱素子162の早期の故障は、熱的な混乱も生じ得るものであり、それによってガラス製造の損失および材料の不具合の可能性を生じる。しかし、記載されたシステム175および方法500は、これらの問題に対処するものであり、導入管155の局所的な加圧状態を生じて、マフルフレーム167内に向かう上方への対流を妨害することによって、ガラスシート102上に付着し得る粒子のサイズおよび数を減らし、ガラスシート102上の付着物を低減できる。更に、例示的なシステム175および方法500は、乾燥した空気をFDM150の内部から隔離するために、導入管155の周囲の封止部206を設け得る。なお、様々な開示された実施形態は、その特定の実施形態に関して説明された特定の特徴、要素、または工程を含み得る。また、或る特定の実施形態に関して説明された特定の特徴、要素、または工程は、様々な説明されていない組合せまたは配列で、別の実施形態と交換されてもよく、または組み合わされてもよい。
【0036】
また、本明細書において用いられる名詞は「少なくとも1つ」の対象を指し、特に明記しない限り、「1つのみ」の対象に限定されるべきではないことを理解されたい。従って、例えば、「構成要素」と言った場合には、特に明記しない限り、2以上のそのような構成要素を有する例を含む。
【0037】
本明細書において、範囲は、「約」或る特定の値から、および/または、「約」別の特定の値までと表現され得る。そのような範囲が表現された場合には、例は、その或る特定の値から、および/または、別の特定の値までを含む。同様に、値が「約」という語を用いて概算として表現された場合には、その特定の値が、別の態様を構成することを理解されたい。更に、各範囲の終点は、他方の終点との関係において、および他方の終点から独立して、有意であることを理解されたい。
【0038】
本明細書において用いられる「略」、「実質的に」、およびそれらの変形の用語は、記載された特徴が、或る値または記載に等しいまたはほぼ等しいことを意味することが意図される。更に、「実質的に類似」とは、2つの値が等しいまたはほぼ等しいことを意味することが意図される。幾つかの実施形態では、「実質的に類似」とは、互いの10%以内(例えば、互いの約5%以内、または互いの約2%以内等)である値を示し得る。
【0039】
特に明記しない限り、本明細書において述べられたいずれの方法も、その工程が特定の順序で行われることを要することは意図しない。従って、方法の請求項が、その工程が辿るべき順序を実際に記載していない場合、または、特許請求の範囲もしくは説明において、その工程が特定の順序に限定されることが具体的に述べられていない場合には、どのような特定の順序も推論されることは意図しない。
【0040】
特定の実施形態の様々な特徴、要素、または工程は、「〜を含む/有する」という移行句を用いて開示され得るが、それらの特徴、要素、または工程を含む、「〜からなる」または「〜から実質的になる」という移行句を用いて記載され得る別の実施形態も暗示されることを理解されたい。従って、例えばA+B+Cを含む装置に対して暗示される別の実施形態は、装置がA+B+Cからなる実施形態、および装置がA+B+Cから実質的になる実施形態を含む。
【0041】
本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本開示に対して様々な変形および変更が行われ得ることが、当業者には自明であろう。当業者は、本開示の精神および本質を組み込んだ本開示の実施形態の変形、組合せ、部分的な組合せ、および変更を想到し得るものであるから、本開示は、添付の特許請求の範囲の範囲内のあらゆるもの、およびそれらの等価物を含むものと解釈されるべきである。
【0042】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0043】
実施形態1
ガラス製造システムにおける、導入管本体、入口開口部、および出口開口部を含む導入管の周囲の環境を制御するシステムにおいて、
前記導入管の少なくとも一部を囲む電気加熱部であって、該電気加熱部をガス導入部およびガス排出部がそれぞれ貫通する、電気加熱部と、
前記入口開口部に近接して前記導入管本体の外部と前記電気加熱部との間に介在する第1の封止部と、
前記出口開口部に近接して前記導入管本体の前記外部と前記電気加熱部との間に介在する第2の封止部と、
前記電気加熱部を囲む耐火タワーであって、該耐火タワーを前記ガス導入部および前記ガス排出部がそれぞれ貫通する、耐火タワーと、
湿度の高いガス混合物が前記導入管本体の表面にわたって流れ、前記ガス排出部を介して前記耐火タワーおよび前記電気加熱部から出るよう、前記湿度の高いガス混合物を前記ガス導入部内へと向かわせる制御システムと
を含むことを特徴とするシステム。
【0044】
実施形態2
前記導入管が、白金、白金−ロジウム、白金−イリジウム、およびそれらの組合せを含む白金含有金属、または、パラジウム、レニウム、ルテニウム、およびオスミウム、もしくはそれらの合金を含む耐火金属から選択される金属を含む、実施形態1記載のシステム。
【0045】
実施形態3
前記制御システムが、前記導入管の前記導入管本体の周囲において、平衡関係pH(ppm)=78,000×e^[(−58,900+13.1T)/(1.987*T(°K))]によって定められるレベルに、またはそれより高いレベルに分圧が保たれるように、前記湿度の高いガス混合物中の水素のレベルを制御するよう構成された、実施形態1記載のシステム。
【0046】
実施形態4
前記導入管が、前記ガラス製造システム内の下降管から溶融ガラスを受け取り、
前記導入管が、前記溶融ガラスを前記ガラス製造システム内の形成器へと送出し、
前記第2の封止部が、前記湿度の高いガス混合物が前記形成器および該形成器の周囲において熱を発する複数の発熱素子に向かうのを防止または軽減する、
実施形態1記載のシステム。
【0047】
実施形態5
前記溶融ガラスが、14,000ポアズ〜75,000ポアズの範囲内の粘度を有する、実施形態4記載のシステム。
【0048】
実施形態6
前記溶融ガラスが、非アルカリ性溶融ガラスまたはアルカリ性溶融ガラスである、実施形態4記載のシステム。
【0049】
実施形態7
ガラス製造システムにおける、導入管本体、入口開口部、および出口開口部を含む導入管の周囲の環境を制御する方法において、
前記導入管の少なくとも一部を囲む電気加熱部であって、該電気加熱部をガス導入部およびガス排出部がそれぞれ貫通する、電気加熱部を設ける工程と、
前記入口開口部に近接して前記導入管本体の外部と前記電気加熱部との間に介在する第1の封止部を設置する工程と、
前記出口開口部に近接して前記導入管本体の前記外部と前記電気加熱部との間に介在する第2の封止部を設置する工程と、
前記電気加熱部を囲む耐火タワーであって、該耐火タワーを前記ガス導入部および前記ガス排出部がそれぞれ貫通する、耐火タワーを設ける工程と、
湿度の高いガス混合物が前記導入管本体の表面にわたって流れ、前記ガス排出部を介して前記耐火タワーおよび前記電気加熱部から出るよう、前記湿度の高いガス混合物を前記ガス導入部内へと向かわせる制御システムを設ける工程と
を含むことを特徴とする方法。
【0050】
実施形態8
前記導入管が、白金、白金−ロジウム、白金−イリジウム、およびそれらの組合せを含む白金含有金属、または、パラジウム、レニウム、ルテニウム、およびオスミウム、もしくはそれらの合金を含む耐火金属から選択される金属を含む、実施形態7記載の方法。
【0051】
実施形態9
前記導入管の前記導入管本体の周囲において、平衡関係pH(ppm)=78,000×e^[(−58,900+13.1T)/(1.987*T(°K))]によって定められるレベルに、またはそれより高いレベルに分圧が保たれるように、前記湿度の高いガス混合物中の水素のレベルを制御する工程を更に含む、実施形態7記載の方法。
【0052】
実施形態10
前記ガラス製造システム内の下降管から溶融ガラスを受け取る工程と、
前記溶融ガラスを前記ガラス製造システム内の形成器へと送出する工程と、
前記湿度の高いガス混合物が前記形成器および該形成器の周囲において熱を発する複数の発熱素子に向かうのを軽減する工程と
を更に含む、実施形態7記載の方法。
【0053】
実施形態11
前記溶融ガラスが、14,000ポアズ〜75,000ポアズの範囲内の粘度を有する、実施形態10記載の方法。
【0054】
実施形態12
前記溶融ガラスが、非アルカリ性溶融ガラスまたはアルカリ性溶融ガラスである、実施形態10記載の方法。
【0055】
実施形態13
溶融ガラスを受け取る導入管と、該導入管から溶融ガラスを受け取ってガラスシートを形成する形成器と、該形成器の周囲において熱を発する複数の発熱素子とを含むガラス製造システムにおいて、
導入管本体、入口開口部、および出口開口部を含む前記導入管の周囲の環境を制御するシステムを含み、該導入管の周囲の環境を制御するシステムが、
前記導入管の少なくとも一部を囲む電気加熱部であって、該電気加熱部をガス導入部およびガス排出部がそれぞれ貫通する、電気加熱部と、
前記入口開口部に近接して前記導入管本体の外部と前記電気加熱部との間に介在する第1の封止部と、
前記出口開口部に近接して前記導入管本体の前記外部と前記電気加熱部との間に介在する第2の封止部と、
前記電気加熱部を囲む耐火タワーであって、該耐火タワーを前記ガス導入部および前記ガス排出部がそれぞれ貫通する、耐火タワーと、
湿度の高いガス混合物が前記導入管本体の表面にわたって流れ、前記ガス排出部を介して前記耐火タワーおよび前記電気加熱部から出るよう、前記湿度の高いガス混合物を前記ガス導入部内へと向かわせる制御システムと
を含むことを特徴とするガラス製造システム。
【0056】
実施形態14
前記導入管が、白金、白金−ロジウム、白金−イリジウム、およびそれらの組合せを含む白金含有金属、または、パラジウム、レニウム、ルテニウム、およびオスミウム、もしくはそれらの合金を含む耐火金属から選択される金属を含む、実施形態13記載のガラス製造システム。
【0057】
実施形態15
前記制御システムが、前記導入管の前記導入管本体の周囲において、平衡関係pH(ppm)=78,000×e^[(−58,900+13.1T)/(1.987*T(°K))]によって定められるレベルに、またはそれより高いレベルに分圧が保たれるように、前記湿度の高いガス混合物中の水素のレベルを制御するよう構成された、実施形態13記載のガラス製造システム。
【0058】
実施形態16
前記溶融ガラスが、14,000ポアズ〜75,000ポアズの範囲内の粘度を有する、実施形態13記載のガラス製造システム。
【0059】
実施形態17
前記溶融ガラスが、非アルカリ性溶融ガラスまたはアルカリ性溶融ガラスである、実施形態13記載のガラス製造システム。
【符号の説明】
【0060】
100 ガラス製造システム
114 溶融ガラス
145 下降管
150 フュージョンドロー装置(FDM)
155 導入管
155a 導入管本体
155b 入口開口部
155c 出口開口部
160 形成器
162 複数の発熱素子
167 マフルフレーム
175 導入管の周囲の環境を制御するシステム
202 電気加熱部
204 第1の封止部
206 第2の封止部
208 耐火タワー
210 制御システム
212 ガス導入部
214 ガス排出部
216 湿度の高いガス混合物
図1
図2
図3
図4
図5