(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682524
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】磁気歯車付き減速機を備えるターボ機械の機器支持体
(51)【国際特許分類】
F16H 49/00 20060101AFI20200406BHJP
F02C 7/36 20060101ALI20200406BHJP
F02C 7/32 20060101ALI20200406BHJP
F02C 7/16 20060101ALI20200406BHJP
F02C 7/20 20060101ALI20200406BHJP
F16H 1/14 20060101ALN20200406BHJP
【FI】
F16H49/00 A
F02C7/36
F02C7/32
F02C7/16 Z
F02C7/20 Z
!F16H1/14
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-520375(P2017-520375)
(86)(22)【出願日】2015年10月15日
(65)【公表番号】特表2017-538897(P2017-538897A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(86)【国際出願番号】FR2015052772
(87)【国際公開番号】WO2016059346
(87)【国際公開日】20160421
【審査請求日】2018年9月28日
(31)【優先権主張番号】1460046
(32)【優先日】2014年10月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516247122
【氏名又は名称】サフラン・トランスミッション・システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギュイモ,マクサンス
(72)【発明者】
【氏名】プリュネラ−ウサ,ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ビエル,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】バルブ,アントワーヌ
【審査官】
小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第02728141(EP,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0253498(US,A1)
【文献】
特開2012−246982(JP,A)
【文献】
特開2011−033166(JP,A)
【文献】
特開2014−015991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 49/00
F02C 7/16
F02C 7/20
F02C 7/32
F02C 7/36
F16H 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンシャフト(2)を備えるエンジン用の機器支持体(1)であり、前記機器支持体(1)が、ターボ送風機またはターボプロップエンジン機用の補機ギアボックス(AGB)あるいはターボプロップエンジン機用のギアボックス(PGB)を備え、
出力軸(30)を備える第1の補機(3)と、
入力大歯車(12)であり、前記入力大歯車(12)が、主速度で一方ではエンジンのエンジンシャフト(2)によって回転駆動され、決められた出力速度で第1の補機を回転駆動するように第1の補機の出力軸(30)に他方では連結される、前記入力大歯車(12)と
を含む前記機器支持体(1)であって、
前記機器支持体(1)がまた、決められた入力速度で前記入力大歯車(12)によって回転駆動される入力軸(14)と、入力速度が出力速度と異なるように第1の補機(3)の出力軸(30)と入力軸(14)との間に挿入される磁気歯車の減速機(20)とを備え、
前記機器支持体がまた、機器支持体ハウジング(18)を備え、磁気歯車の減速機(20)が、
入力軸(14)に取り付けられる、内部ロータ(22)と、
出力軸(30)に取り付けられる、外部ロータ(23)と、
機器支持体ハウジング(18)に関して固定され、内部ロータ(22)と外部ロータ(23)との間に収容される、ステータ(24)と
を備え、
内部ロータ(22)、外部ロータ(23)、およびステータ(24)が、第1の補機の出力軸(30)および入力軸(14)と同軸であり、
入力大歯車(12)の前記決められた入力速度と等しい速度で前記入力大歯車(12)によって回転駆動される出力軸(30)を備える第2の補機(3)を備えることを特徴とする、機器支持体(1)。
【請求項2】
前記入力大歯車(12)が、曲がり歯傘歯車を備える、請求項1に記載の機器支持体(1)。
【請求項3】
磁気歯車の減速機(20)がまた、冷却システムを備える、請求項1または2のいずれか一項に記載の機器支持体(1)。
【請求項4】
また、機器支持体ハウジング(18)に関して固定される減速機ハウジング(26)を備え、
減速機ハウジング(26)が、入力軸(14)および出力軸(30)と同軸の円筒形の内部ハウジング(27)および円筒形の外部ハウジング(28)を備え、内部ハウジング(27)が、外部ハウジング(28)の内部に延在し、
冷却システムが、冷却液(F)を収容するように設計される冷却空間(40)を備え、前記冷却空間(40)が、内部ハウジング(27)と外部ハウジング(28)との間に設けられる、請求項3に記載の機器支持体(1)。
【請求項5】
補機(3)が、機器支持体ハウジング(18)に関して固定される補機ハウジング(32)に収容され、内部ハウジング(27)および外部ハウジング(28)のうちの一方が、内部フランジ(27a)によって機器支持体ハウジング(18)に取り付けられるが、外部ハウジング(28)および内部ハウジング(27)のうちの他方が、内部フランジ(28a)によって補機ハウジング(32)に取り付けられる、請求項4に記載の機器支持体(1)。
【請求項6】
また、一方では内部ロータ(22)と減速機ハウジング(26)との間に、および他方では外部ロータ(23)と減速機ハウジング(26)との間に配置される実質的に環状の動的シール(41b)を備える、請求項4との組み合わせで得られる、請求項4または5のいずれか一項に記載の機器支持体(1)。
【請求項7】
また、前記冷却空間(40)の封止を確実にするように構成される、内部ハウジング(27)と外部ハウジング(28)との間の前記冷却空間(40)の両側に実質的に角張った形状の静的ガスケット(41a)を備える、請求項4から6のいずれか一項に記載の機器支持体(1)。
【請求項8】
前記冷却空間(40)が、内部ハウジング(27)および外部ハウジング(28)と実質的に同軸の、環状凹部(42)と、内部ハウジング(27)に形成され、環状凹部(42)から半径方向に延在する一連の環状溝(44)とを少なくとも備える、請求項4から7のいずれか一項に記載の機器支持体(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ機械の分野に関する。本発明は、特に、ターボジェット機エンジンのまたはターボプロップエンジン機エンジンのエンジンシャフトと補機ギアボックス、すなわちAGBを用いたこの機器との間の、およびPGB型のプロペラ用ギアボックスを用いたターボプロップエンジン機のエンジンとプロペラとの間の、補助機器および機械式変速機の取付けに関する。
【背景技術】
【0002】
その略語AGBによって当業者によく知られている、補機ギアボックスは、エンジンに取り付けられ、その運転に、または航空機の運転に必要な異なる補助機器を支持する。これらのさまざまな補機は、特に、発電機、起動装置、交流電源、燃料または油用の液圧ポンプを備えることができ、伝動軸を通してエンジンシャフトによって機械的に駆動される。補機を駆動するための必要な動力は、通常、ターボ機械の圧縮機から機械的に引き出される。
【0003】
習慣的に、AGBは、補機を機械的に駆動するように平行なシャフトを持つ伝動装置を備える。したがって、補機の分離は、伝動装置の中心の間の距離によって決定され、それらのそれぞれのサイズによってではない。したがって、この分離を増加するために、1つまたは複数の中間歯車を追加することが必要であるが、それは、AGBのサイズもその質量も増加するという欠点を有する。そのうえ、AGBの伝動装置のすべてのシャフトは平行であり、補機は、AGBおよびエンジンに対して必然的に同じ向きを有する。
【0004】
そのうえ、ターボファンエンジンエンジンの場合は、ガス発生器が、ファンケーシングに収容されるファンに接続される。この場合、ナセルは、略円形断面を有する。したがって、AGBを収容するために利用できる空間は、ターボ機械の周りでナセルに収容される環状部分によって画定され、したがって、略湾曲形状を有する(
図1を参照されたい)。
【0005】
エンジン性能を向上させるために、1つの解決策は、それによってターボ機械の外径を増大することなく、ファンのサイズを増大するようにファンにおいてナセルのサイズを低減することから成る。したがって、ファンの下でナセルに利用できる空間は、強く減少され、したがって、とにかくナセル内のファンの下にAGBを組み入れることができるように該AGBのサイズを低減するか、またはターボ機械の中央コンパートメントにおいて(すなわち「コア」領域において)ファンの下流でAGBを置き換えることが必要であり、利用できる空間は、さらにより制限される。
【0006】
したがって、従来のターボファンエンジンAGBは、新しいファン構成に対して、およびターボ機械のコア領域に対して構造的、寸法的、および機能の観点から適していない。
【0007】
したがって、AGBが、
ターボファンエンジンのエンジンシャフトによって駆動される入力大歯車部材から、および一次伝動部材から形成される一次アングルドライブと、
2つの噛み合い非平行伝動部材を備える二次アングルドライブを通して一次駆動手段によって駆動される、補機伝動軸の少なくとも1つの機械的駆動アセンブリと
を備える、出願人の名義の文献FR1355241に提案されている。
【0008】
非平行軸線を持つ伝動装置のこの種のAGBは、容易に調整され、かつ、しかしながらそれらの駆動速度を変更することなく、それらのサイズを考慮する必要もないことによって異なる補機を取り付ける際に柔軟性を可能にする利点を有する。
【0009】
しかしながら、AGBの仕様を更新することは、ある一定の既存ラインの補機のまたは回転速度の変化をもたらす場合もあり、それは、AGBの運動連鎖を定義し直すことを必要とし、それから生じるリスクが増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、調整することができ、かつ、しかしながらそれらの駆動速度を変更することなく、それらのサイズを考慮する必要がないことによって異なる補機を取り付ける際に柔軟性を可能にすることができ、また中位の重量を有し、タービンエンジンのより大きな外周にわたって補機を配置することができる、タービンエンジンに使用され得る補機ギアボックスまたはPGB型のギアボックスなどの機器支持体を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのために、本発明は、エンジンシャフトを備えるエンジン用の機器支持体であって、
出力軸を備える少なくとも1つの補機と、
入力大歯車であって、前記入力大歯車が、主速度でエンジンのエンジンシャフトによって一方では回転駆動され、他方では決められた出力速度でこれを回転駆動するように補機の出力軸に連結される、入力大歯車と、
決められた入力速度で入力大歯車によって回転駆動される入力軸と、
入力速度が出力速度と異なるように入力軸と出力軸との間に挿入される磁気伝動装置付き歯車式減速機と、
を備える、機器支持体を提案する。
【0012】
上述の機器支持体のある一定の好ましいが非限定的な特徴は、下記のものであり、すなわち、
入力大歯車は、曲がり歯傘歯車を備え、
機器支持体はまた、入力速度と等しい速度で入力大歯車によって回転駆動される出力軸を備える第2の補機を備え、
機器支持体はまた、機器支持体ハウジングを備え、磁気伝動装置付き減速機は、入力軸に取り付けられる内部ロータと、出力軸に取り付けられる外部ロータと、機器支持体のハウジングに対して取り付けられ、内部ロータと外部ロータとの間に収容されるステータと、を備え、内部ロータ、外部ロータ、およびステータが、入力軸および出力軸と同軸であり、
磁気伝動装置付き減速機はまた、冷却システムを備え、
機器支持体はまた、機器支持体ハウジングに対して固定される減速機ハウジングを備え、減速機ハウジングは、入力軸および出力軸と同軸の内部円筒形ハウジングおよび外部円筒形ハウジングを備え、前記内部ハウジングは、外部ハウジングの内部に延在し、冷却システムは、冷却液を収容するように設計される冷却空間を備え、前記冷却空間は、内部ハウジングと外部ハウジングとの間に設けられ、
補機は、機器支持体に対して固定される補機ハウジングに収容され、内部ハウジングおよび外部ハウジングのうちの一方は、内部フランジによって機器支持体ハウジングに固定されるが、外部ハウジングおよび内部ハウジングのうちの他方は、外部フランジによって補機ハウジングに取り付けられ、
機器支持体はまた、一方では内部ロータと減速機ハウジングとの間に、および他方では外部ロータと減速機ハウジングとの間に配置される実質的に環状の動的シールを備え、
機器支持体はまた、前記冷却空間のための流体密シールを確実にするように構成される、内部ハウジングと外部ハウジングとの間の冷却空間の両側に実質的に環状の形状の静的ガスケットを備え、
冷却空間は、内部ハウジングおよび外部ハウジングと実質的に同軸の少なくとも1つの環状凹部と、内部ハウジングに形成され、環状凹部から半径方向に延在する一連の環状溝とを備え、
機器支持体は、ターボファンエンジンまたはターボプロップエンジン機用の補機ギアボックスあるいはターボプロップエンジン機用のギアボックスを備える。
【0013】
第2の態様によれば、本発明はまた、上述のような機器支持体を備えるタービンエンジンを提案する。
【0014】
第3の態様によれば、本発明はまた、この種のエンジンを備える航空機を含む。
【0015】
本発明の他の特徴、目的、および利点は、非限定的な例として与えられる添付の図面に関して、後に続く詳細な説明を読むとより明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】補機が省略されている、先行技術に従う平行軸を持つ補機ギアボックス型の機器支持体の例の斜視図である。
【
図2】先行技術に従う非平行軸線を持つ補機ギアボックス型の機器支持体の例の斜視概略図である。
【
図3】本発明に従う機器支持体の構成の例の一部概略図である。
【
図4a】磁気伝動装置付き減速機の一実施形態の軸線方向断面図である。
【
図4b】
図4aの磁気伝動装置付き減速機の正面図である。
【
図5】冷却空間が認められ得る、磁気伝動装置付き減速機ハウジングの一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、エンジンの運転に、または航空機の運転に必要な、補助機器または補機3を機械的に駆動するように設計されるターボファンエンジンおよび補機ギアボックス1を備える航空機を参照して非常に詳しく説明されることになる。しかしながら、これは、本発明が特にPGB型のギアボックスなどのその他の型の機器支持体にまた適用され、補機ギアボックス1が補機3を支持し駆動する必要があるその他のタービンエンジンに使用でき、かつ以下で説明される補機3の数がタービンエンジンの仕様に応じて異なる場合がある限りにおいて限定的なものではない。
【0018】
また、ターボジェット機エンジンは、通常、決められた空気流れをエンジン自体に流入させるための開口を形成するナセルを備える。一般に、ターボファンエンジンは、エンジンに流入される空気を圧縮するための1つまたは複数のセクションを備える。したがって、圧縮された空気は、燃焼室に流入され、そこで燃焼される前に燃料と混合される。次いで、この燃焼から生じる高温排気ガスは、タービンの異なる段において膨張される。次いで、タービンは、ファンに回転動力を供給する。
【0019】
補機駆動ギアボックス1、すなわちAGB1は、たとえばファンの下に、または中央コンパートメントにおいてエンジンのハウジングに取り付けられることができ、エンジンシャフト2、通常、圧縮機シャフトから必要な駆動動力を引き出すことによって一連の補機3を機械的に駆動する。
【0020】
このために、エンジンシャフト2は、エンジンケーシングに収容され、回転軸線を規定する。そのうえ、補機3は各々、対応する補機3を機械的に駆動するように設計される出力軸30を備える。
【0021】
L’AGB1に関する限り、半径方向伝動軸4を通してエンジンシャフト2に連結され、それに関する限り、エンジンシャフト2によって駆動される。
【0022】
AGB1はまた、主速度でエンジンシャフト2によって回転駆動され、決められた出力速度でこれを回転駆動するように補機3の出力軸30に連結される、入力大歯車12を備える。出力速度は、特に、出力軸30が連結される補機3の型によって決定される。補機3に基づく出力速度の決定は、従来のものと変わりがなく、ここではさらに説明されない。
【0023】
L’AGB1はまた、決められた入力速度で入力大歯車12によって回転駆動される入力軸14と、入力速度が出力速度と異なるように入力軸14と出力軸30との間に挿入される磁気伝動装置付き減速機20とを備える。
【0024】
したがって、磁気伝動装置付き減速機20、または磁気歯車付き減速機20により、(補機3の出力軸線に沿って)低減された軸線方向サイズおよび制限された重量に対して簡単な、費用のかからない、信頼性のある方法で出力軸30の駆動速度を変更することができる。
【0025】
以下に、本発明は、非平行伝動装置を持つ型のAGB1に関してより詳しく説明されることになる。しかしながら、これは、補機3の出力軸30とAGB1の入力大歯車12との間に磁気歯車付き減速機20を挿入することが十分である限り、本発明がまた、(
図1に示されるように)平行軸線の伝動装置を備えるAGB1に対して実質的な変更なしで適用できることを制限するものではない。
【0026】
非平行軸線を有する伝動装置のAGB1は、
半径方向伝動軸4によって一次アングルドライブ11によって駆動される一次シャフト10と、
補機3の出力軸30を機械的に駆動するための一連のアセンブリであって、各々は、その寸法およびその幾何学的形状を考慮して、こうして補機3がターボファンエンジン8の外周のより大きな角度セクタにわたって配置され得るアングルドライブ16を備える、一連のアセンブリと、
を備える。各アングルドライブ16は、AGB1の一次シャフト10によって駆動される入力大歯車16aと、入力大歯車と噛み合わされ、それが連結される出力軸30を駆動するように設計される出力歯車16bとを備えることができる。入力大歯車16aおよび出力歯車16bは、(傘歯車型の)交差軸線または(ウォームねじ型の)非交差軸線を有することができる。
【0027】
AGB1のこの型についてのより多くの情報について以前に引用した文献FR1355241を参照することができる。
【0028】
一次シャフト10および機械的補機3駆動アセンブリは、AGBのハウジング18に収容される。
【0029】
ここに、入力大歯車12は、したがって、AGB1の一次シャフト10に取り付けられ、一次アングルドライブ11および半径方向伝動軸4を用いてエンジンシャフト2によって回転駆動される。したがって、入力大歯車12の回転速度は、エンジンシャフト2の回転速度、エンジンシャフト2と半径方向伝動軸4との間の減速比、および半径方向伝動軸4とAGB1の一次シャフト10との間の減速比によって与えられる。
【0030】
入力大歯車12は、入力軸14を回転駆動するように入力軸14と一体の関連する入力大歯車13を回転駆動する。入力大歯車13および入力大歯車12の噛み合いを可能にするために、入力大歯車13は、入力大歯車12と同じ型の、および同じモジュールの歯を有するように選択される。たとえば、入力大歯車12は、曲がり歯傘歯車形式のものであってもよい。その場合は、入力大歯車13はまた、曲がり歯傘歯車形式の、同じモジュールのものである。入力大歯車13と入力大歯車12との間の減速比は、入力軸14の回転速度を決定する。
【0031】
好ましくは、入力大歯車12は、入力大歯車12と同じモジュールの、および同じ型の第2の歯車16bを駆動することができる。この場合、第2の歯車16bは、これを回転駆動するように補機3の出力歯車30に取り付けられる。従来、第2の歯車16bの回転速度は、第2の歯車16bと入力大歯車12との間の歯車比に依存し、ここに、速度は入力軸14の回転速度に実質的に等しい。
【0032】
磁気歯車付き減速機20は、
たとえば、キャッスルコネクタを用いて入力軸14に取り付けられ、第1の数の磁極を備える、内部ロータ22と、
出力軸30に取り付けられ、第2の数の磁極を備える外部ロータ23と、
AGB1のハウジング18に対して固定されるステータ26であり、前記ステータ26が、内部ロータ22と外部ロータ23との間に収容され、第3の数の磁極を備える、ステータ26と
を備える。
【0033】
内部ロータ22および外部ロータ23は、入力軸14および出力軸30と同軸であり、したがって、
図4aおよび
図4bで視認できる軸線Xを規定する。それ自体知られている方法で、内部ロータ22の、および外部ロータ23の磁極の数は、磁気歯車付き減速機20の減速比を決定する。そのうえ、磁極の型(構成材料)および磁極の幾何学的形状により、内部ロータ22と外部ロータ23との間の連結、およびしたがって入力軸14と出力軸30との間の連結を調整することができる。
【0034】
1つの実施形態においては、内部ロータ22は、1よりも大きな減速比を得るように外部ロータ23よりも少ない磁極を備える。そのうえ、内部ロータ22の、およびステータ26の磁極は、サマリウムコバルト磁石を含むことができるが、外部ロータ23の磁極は、強磁性体棒を含むことができる。
【0035】
磁気歯車付き減速機20の実装により、回転速度が補機3にとって高すぎる場合は、必要に応じて溶融手段の追加を回避することができることが留意されよう。実際に、異なる磁極の選択により、出力軸30が切り離れる最大結合速度を規定することができる。実際に、入力軸14と出力軸30との間の連結があまりに顕著になる場合は、内部ロータ22の磁極と外部ロータ23の磁極との間の電磁相互作用は、もはや出力軸30を回転駆動するのに十分ではなく、この場合、連結解除が生じ、それは、入力軸14が出力軸30から機械的に隔離されることができるヒューズの役割を演ずる。
【0036】
また、磁気歯車付き減速機20の実装により、接触なしで、およびしたがって異なる噛合部材22、23の摩耗なしでトルク伝達に備えることができる。
【0037】
磁気歯車付き減速機20は、その環境から磁気歯車付き減速機20を隔離するように構成されるハウジング26に収容される。特に、ハウジング26により、磁気歯車付き減速機20を破損させ得るであろう、ロータ22、23の間の流体の存在により剪断力を導入することによってその性能を低下させ得るであろう、(異なる部材を潤滑するような)AGB1の噛合部材から油の導入を回避することを可能にする。実際に、運転中に、AGBのハウジング18は、それを構成する異なる噛合部材の移動から生じる油の霧を相対的に連続的に含むことが留意されよう。
【0038】
また、補機3は、補機ハウジング32に収容され得る。
【0039】
磁気歯車付き減速機20のハウジング28および補機ハウジング32は、AGBハウジング18に対して固定される。
【0040】
磁気歯車付き減速機20は、エンジンの飛行の異なる段階中に温度の増加ができ、それは、冷却システムを含むことができる。しかしながら、冷却システムは、冷却液Fにそれらを沈めることなく、磁気歯車付き減速機20の運転部品、すなわち内部ロータ22、外部ロータ23、およびステータ24を効果的に冷却することができなければならない。
【0041】
磁気歯車付き減速機20のハウジング26は、たとえば、入力軸14および出力軸30と同軸の円筒形内部ハウジング27および円筒形外部ハウジング28を含むことができ、内部ハウジング27は、外部ハウジング28の内部に延在する。この場合、冷却液Fが循環することができる閉じ込められた冷却空間40を画定するように、隙間が、内部ハウジング27と外部ハウジング28との間に設けられ得る。変形形態として、冷却空間40は、内部ハウジング27および外部ハウジング28の対向面を機械加工することによって形成され得る。
【0042】
図に示される実施形態においては、内部ハウジング27は、内部フランジ27aによってAGBハウジング1に取り付けられるが、外部ハウジング28は、外部フランジ28aによって補機3ハウジングに取り付けられる。変形形態として、内部ハウジング27は、外部フランジ28aによって補機ハウジング30に固定されることもできるが、内部ハウジング27は、内部フランジ27aによってAGB1ハウジングに取り付けられる。したがって、内部ハウジング27および外部ハウジング28は、AGB1ハウジングにおよび補機3ハウジングに対して固定される。
【0043】
冷却空間40は、特に、内部ハウジング27および外部ハウジング28の対向する壁に機械加工される環状凹部42の形状を有することができ、そのセクションは、選択された冷却液F、および磁気歯車付き減速機20を十分に冷却するために必要な対流熱交換に応じて規定され得る。次いで、磁気歯車付き減速機20は、(磁気歯車付き減速機20の軸線方向に)冷却空間40の両側に、冷却空間40の流体密性を確実にし、内部ロータ22、外部ロータ23、またはステータ24に向かう冷却液Fの通過を避けることができるOリング型の静的ガスケット41aを備えることができる。
【0044】
また任意選択的に、磁気歯車付き減速機20は、静的ガスケット41aに加えてまたはその代わりに、減速機ハウジング26と、一方では内部ロータ22との、および他方では外部ロータとの間に配置されるラビリンスシール型の動的シール41bを備えることができる。図に示された例においては、第1のラビリンラビリンスシール41bは、内部フランジ27aにおいて、内部ハウジング27の半径方向壁と内部ロータ22との間に形成され、第2のラビリンスシール41bは、外部フランジ28aにおいて、外部ハウジング28の半径方向壁と外部ロータ23との間に形成される。変形形態として、動的シール41bは、エアシール(空間を封止するためのラビリンスの中間への空気の注入)を含むことができる。
【0045】
たとえば、冷却空間40は、実質的に円形または平行六面体セクションを持つ出力軸30および入力軸14と同軸の環状形状を有し、内部ハウジング27に形成され、環状凹部42から半径方向に延在する一連の環状溝44を備えることができる。したがって、溝44により、低減された半径方向および軸線方向サイズに対して内部ハウジング27との対流熱交換を最大化することができる。
【0046】
冷却空間40には、特に、別個のリザーバから冷却液Fが供給され得る。そのうえ、冷却空間40は、AGB1ハウジングの内部領域と流体連通していることができ、次いで、冷却液Fは、噛合部材を潤滑するように霧の形でAGB1のハウジング18の中で循環するように設計される油を含む。たとえば、ダクト46が、冷却空間40に油を持って来るように潤滑油源と磁気歯車付き減速機20のケーシング26との間に形成され得る。次いで、油は、環状冷却空間40の中で循環し、これは、強制対流によって、磁気歯車付き減速機20を冷却し、次いで、出口48によって高温で冷却空間40を去り、専用のダクト48を用いてAGB1ハウジングに入る。
【0047】
したがって、
図4bに示される例においては、冷却液Fは、ダクト46を通して環状冷却空間40に入り、AGB1のハウジングを通過し、磁気歯車付き減速機20を冷却し、次いで、それの反対側端部においてダクト48を通して出て行く。次いで、冷却液Fは、AGBハウジング18に送られ得る。