特許第6682564号(P6682564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6682564大型シリンダの中へのシリンダ潤滑油の投入
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682564
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】大型シリンダの中へのシリンダ潤滑油の投入
(51)【国際特許分類】
   F01M 1/06 20060101AFI20200406BHJP
   F01M 1/08 20060101ALI20200406BHJP
   F01M 1/16 20060101ALI20200406BHJP
   F02F 1/20 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
   F01M1/06 E
   F01M1/08 E
   F01M1/16 C
   F01M1/16 F
   F02F1/20
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-18516(P2018-18516)
(22)【出願日】2018年2月5日
(62)【分割の表示】特願2014-500256(P2014-500256)の分割
【原出願日】2012年3月16日
(65)【公開番号】特開2018-109409(P2018-109409A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2018年3月6日
(31)【優先権主張番号】PA201170129
(32)【優先日】2011年3月18日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】503154189
【氏名又は名称】ハンス イエンセン ルブリカトーズ アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ペール バク
【審査官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−176660(JP,A)
【文献】 特開2005−291043(JP,A)
【文献】 特表2009−516795(JP,A)
【文献】 特開2010−101267(JP,A)
【文献】 特開平02−030914(JP,A)
【文献】 特許第6359267(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 1/06
F01M 1/08
F01M 1/16
F02F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型のディーゼルエンジンシリンダ内へのシリンダ潤滑油のための投入システムであって、
前記投入システムは、
潤滑油供給源と、
前記潤滑油供給源からの供給ラインと、
いくつかの潤滑油インジェクタであって、前記いくつかの潤滑油インジェクタの各々は、前記供給ラインに連結された入口と、バルブガイド内にステムを有するボールバルブ本体と、前記ボールバルブ本体と相互作用する弁座とを備えた開閉バルブ部と、連結されたシリンダにシリンダ潤滑油を注入するための1つ以上のノズル口とを有する、いくつかのインジェクタとを備え、
前記ボールバルブ本体の前記ステムと前記開閉バルブ部の前記バルブガイド内の壁との間に0.15mmを超える幅をもつギャップがあり、
前記投入システムは、単一のシリンダの中央流量測定部と、前記インジェクタと接続された少なくとも1つの局所的測定部とを含み、前記中央流量測定部は、前記シリンダに流れる全潤滑油流量を測定するために用いられており、前記少なくとも1つの局所的測定部は、対応するインジェクタへの潤滑油の実際に投入された量を得るために用いられている、大型のディーゼルエンジンシリンダ内へのシリンダ潤滑油のための投入システム。
【請求項2】
前記ギャップの領域が少なくとも前記インジェクタの前記ノズル口の全領域と等しいか当該全領域よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の投入システム。
【請求項3】
前記投入システムは、電気機械式アクチュエータを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の投入システム。
【請求項4】
前記インジェクタは、超過油を排出させるために、又は圧力測定を実行するために、戻り管路との接続のための排出口を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の投入システム。
【請求項5】
記ギャップ幅が、ノズル口の断面寸法のサイズの少なくとも半分であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の投入システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の大型のディーゼルエンジンシリンダ内へのシリンダ潤滑油のための投入システムで使用される潤滑油インジェクタであって、
前記投入システムは、
潤滑油供給源と、
潤滑油供給源からの供給ラインと、
制御部とを含み、
前記潤滑油インジェクタは、
前記供給ラインに連結するための入口と、
ステムと、相互作用する弁座とを有するボールバルブ本体とを有する開閉バルブ部と、
連結されたシリンダにシリンダ潤滑油を注入するための1つ以上のノズル口とを有し、
前記制御部が、各開閉バルブ部を制御する、潤滑油インジェクタにおいて、
前記インジェクタは、ボールバルブ本体と、相互作用する弁座とを有し、前記制御部は、各々のシリンダ毎に局所的制御ボックスを含み、シリンダ毎の全てのインジェクタのタイミング及び投入を制御し、前記ボールバルブ本体の前記ステムと前記開閉バルブ部のバルブガイド内の壁との間に0.15mmを超える幅をもつギャップがあり、前記投入システムは、単一のシリンダの中央流量測定部と、前記インジェクタと接続された少なくとも1つの局所的測定部とを含み、前記中央流量測定部は、前記シリンダに流れる全潤滑油流量を測定するために用いられており、前記少なくとも1つの局所的測定部は、対応するインジェクタへの潤滑油の実際に投入された量を得るために用いられている、ことを特徴とする、潤滑油インジェクタ。
【請求項7】
前記ギャップの領域が少なくとも前記インジェクタの前記ノズル口の全領域と等しいか当該全領域よりも大きいことを特徴とする請求項6に記載の潤滑油インジェクタ。
【請求項8】
前記インジェクタは、電気機械式アクチュエータを含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の潤滑油インジェクタ。
【請求項9】
前記インジェクタは、超過油を排出させるために、又は圧力測定を実行するために、戻り管路との接続のための排出口をもっていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の潤滑油インジェクタ。
【請求項10】
前記バルブ本体のステムと、前記ステムが受け入れられるボーリングとの間のギャップ幅が、ノズル口の断面寸法のサイズの少なくとも半分であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の潤滑油インジェクタ。
【請求項11】
大型のディーゼルエンジンシリンダ内にシリンダ潤滑油を投入するための方法において、
大型のディーゼルエンジンシリンダ内にシリンダ潤滑油を投入するための投入システムが有する潤滑油供給源内の潤滑油を加圧する段階と、
前記潤滑油供給源から前記投入システムが有する供給ラインを通じて潤滑油を導く段階と、
いくつかのインジェクタであって、前記いくつかの潤滑油インジェクタの各々は、前記供給ラインに連結された入口と、バルブガイド内にステムを有するボールバルブ本体と、前記ボールバルブ本体と相互作用する弁座とを備えた開閉バルブ部と、連結されたシリンダにシリンダ潤滑油を注入するための1つ以上のノズル口とを有し、前記ボールバルブ本体の前記ステムと前記開閉バルブ部の前記バルブガイド内の壁との間に0.15mmを超える幅をもつギャップがある、いくつかのインジェクタを通じて潤滑油を噴流又は霧状噴霧として注入する段階と、
前記投入システムに、単一のシリンダの中央流量測定部と前記インジェクタと接続された少なくとも1つの局所的測定部とを提供する段階であって、前記中央流量測定部は、前記シリンダに流れる全潤滑油流量を測定し、前記少なくとも1つの局所的測定部によって、対応するインジェクタへの潤滑油の実際に投入された量を得る、段階とを備えている、方法。
【請求項12】
前記潤滑油は、3MPa(30バール)〜10MPa(100バール)の間の供給圧力で注入されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記インジェクタは潤滑油を霧状噴霧することを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型のディーゼルエンジンシリンダ、例えばマリンエンジン内へのシリンダ潤滑油のための投入システムであって、
ポンプステーション又はアキュムレータによって構成され得る潤滑油供給源と、
潤滑油供給源からの供給ラインと、
連結されたシリンダにシリンダ潤滑油を注入するための入口、開閉バルブ部、及び1つ以上のノズル口を有し、供給ラインと接続され、エンジン又は複数のエンジンのシリンダ数に対応するいくつかのインジェクタと、
各開閉バルブ部を制御する制御部とを含む、投入システムに関する。
【0002】
本発明は、更に、大型のディーゼルエンジンシリンダ、例えばマリンエンジン内にシリンダ潤滑油を投入するための方法であって、
ポンプステーション又はアキュムレータによって構成され得る潤滑油供給源内の潤滑油を加圧する段階と、
潤滑油供給源から供給ラインを通じて潤滑油を導く段階と、
インジェクタが供給ラインと接続されるとともに、連結されたシリンダの中への入口、開閉バルブ、及び1つ以上のノズル口を有するいくつかのインジェクタを通じて潤滑油を注入する段階と、
制御部により各開閉バルブ部を制御する段階とを含む、投入するための方法に関する。
【0003】
本発明は、更にまた、大型のディーゼルエンジンシリンダ、例えばマリンエンジン内へのシリンダ潤滑油のための投入システムで使用されるインジェクタであって、
ポンプステーション又はアキュムレータによって構成され得る潤滑油供給源と、
潤滑油供給源からの供給ラインと、
供給ラインに接続するための入口、開閉バルブ部、及び連結されたシリンダにシリンダ潤滑油を注入するための1つ以上のノズル口を各々が有するいくつかのインジェクタと、
各開閉バルブ部を制御する制御部とを含む、インジェクタに関する。
【0004】
本発明は、投入量がバルブの開く時間によって制御される電磁的に制御されたインジェクタにおける使用を主として目的とする。これは、投入量が主として容量分析的に制御される他の潤滑システムとは異なる。この投入量の油は、バルブが内蔵のポンプを有するので、スプレーの直接制御により、例えば、霧形状になり得る。システムオペレーションにおいて、主として、電磁石によって制御することができるバルブにより実行されるだろう。
【背景技術】
【0005】
今日、力学的、水圧、及び電気機械的なシリンダ潤滑システムが存在する。
【0006】
今日、時間制御投入に基づいた従来技術解決手段には、油供給ラインにおける流量及び粘度の状況にその量が極めて依存するという欠点がある。
【0007】
電気機械的インジェクタが知られている(例えば、特許文献1参照。)。スイッチ機能を一体化し、且つ流れがあるときに信号を発する流量検出部が用いられる。流量は、流量検出部によって監視され、流量の期間は、手動で決定された限界値と比較される。これらは、流量測定ではなく、単なる流量信号の開始及び停止の制御である。
【0008】
インジェクタ及びシリンダ潤滑システムが知られている(例えば、特許文献2参照。)。この技術は、シリンダ毎の電磁バルブを備えるシステムに基づくものであり、バルブは個々のバルブへの流れのために開閉を行う。この設計には、バルブの各々に搬送される油の量が異なることを回避するために油供給ラインにおける流量及び粘度の状況を同じにするという多大な要求が課せられる短所がある。例えば、全ての注油箇所の中の均一な搬送を保証するために、油供給ラインにおける距離及び温度条件は、極めて一定に保たれるべきである。実際には、これは大きな問題である。この従来技術には別の欠点がある。動作の監視の間、全てのインジェクタへの供給圧を監視する圧力センサが用いられる。実地体験から、制御は、1つ以上の故障したバルブのパターンを認識することを学んだ。この方法は、インジェクタの監視のために、及びこの問題において生じる不確実性という同じ理由のために用いられる経験的なデータに多大な要求が課せられる。
【0009】
ニードル状のバルブ本体及び対応する弁座にニードルバルブを用いることに基づく局所的インジェクタもまた知られている(例えば、特許文献2参照。)。ニードルが、シートに対して傾けられる場合、又はシートに沿って整列されない場合、漏れが生じる。従って、ニードルは、ニードルが弁座に対して半径方向にずらされないように誘導されるべきである。これは、ニードルに対する精細な許容度及び適合度をもつことにより、及びニードルが配置されるバルブボーリング(ニードルガイド)により、主として実現される。インジェクタが比較的に厚いシリンダ壁及びライニングを通じて延びているので、インジェクタが典型的に相当な長さをもつというこの設計による短所がある。弁座は、バルブが油を搬送し始める前に移動/加速されるデッドボリュームを低減するために、ノズル口にできるだけ接近するべきである。これは、ニードルが配置されるノズルのボーリング上の比較的に精細な許容度を意味し、ニードルは、ニードルが正確にシートの中央に置かれることを保証するためにかなりの長さを備えているべきである。ニードルガイドとニードルとの間のこの精細な許容度及び適合度は、ニードルとニードルガイドとの間に現われる極めて狭いギャップにおいて行き詰まる可能性があるので、バルブが配管と潤滑油の汚れに影響を受けやすいことを意味し、インジェクタに供給された油の純度に比較的に多大な要求がなされることを意味する。これは、シートに対してニードルが中央から外れてずらされる、又はニードルの運動が阻まれる原因となり得る。両方の場合において、バルブ機能が低減する。これは、インジェクタに供給される油の純度に多大な要求が課されることを意味する。
【0010】
実際には、いくつか場合においては、例えば、インジェクタの設置又は交換の間、又は長時間の停止に関して、供給される潤滑油の充分な純度を保証するのは難しいかもしれない。これらの場合において、5〜10μm以下の典型的なギャップ幅に対応するインジェクタへの供給における濾過は、望ましいであろう。しかし、このような精密濾過を確立することは、実際には難しいように思われる。典型的には、濾過器が頻繁な間隔で詰まらない/遮断されない場合での潤滑油の安定的供給を確立する問題があるだろう。概して、各シリンダ又はインジェクタに局所的濾過器を取り付けて維持するのが難しいので、中央の濾過器がシステム全体に用いられる。典型的には、個々のインジェクタ内の一つ又は複数のノズル口の遮断を回避するのに充分な油の中央の濾過に関する問題はない。いくつか場合において、個々のインジェクタに局所的に設置される漉器/濾過器が用いられる。しかし、これらは、点検するのが難しく、洗浄して使用可能にするのが難しい。シリンダ潤滑油のための投入システムについては、シリンダ壁内に取り付けられ、シリンダの中に潤滑油を搬送するいくつかの電気機械的インジェクタが用いられる。インジェクタについては、インジェクタがニードルバルブにより作動するということは事実であり、以下のことは事実である。
インジェクタは、外側の輪郭から内部シリンダ直径までの距離が80〜200mmであることを定めるシリンダライニング及び可能な冷却ジャケットを通じて位置する。それによって、長いニードルの必要であろうし、ニードルの誘導される長さは、ニードルの長さに比例する。ニードルとシートとの間のシーリングに関して弁座に接近して誘導することが必要である。従って、比較的に長いニードルガイドは、汚れと異物が押し入りバルブの機能を破損する可能性があるという多大のリスクを含む可能性が高い。
インジェクタ上の弁座は、ノズル口と弁座との間のデッドボリュームを最小限にするために、インジェクタのノズル口にできるだけ接近させるべきである。
特別の要件は、設計と製造に対してなされ、それによってバルブ本体/ニードルが弁座に対して正確に中央に置かれることを保証するために、ニードルガイドとバルブ本体/ニードルとの間の適合度の上に比較的に精細な許容度をもつことが必要である。
【0011】
実際には、ニードルバルブにより作動するときに、ニードルにおいて用いられる典型的なギャップ開口部への縮小化(すなわち5〜10μm以下)により潤滑油内の粒子を濾過して除去するのは難しいかもしれない。典型的には、シリンダの局所的濾過器を取り付けて維持することは難しいので、中央の濾過器がシステム全体に用いられる。典型的には、0.01mmより大きな粒子を濾過して除去する濾過器により、油を局所的又は中央に濾過することに関する問題はない。実際には、経験は、0.025mm以上のメッシュ幅をもつ中央の濾過器だけを適用することができることを典型的には示す。このような濾過は、個々のインジェクタ内のノズル口又は口群を詰まらせることを回避するのに充分である。ニードルとニードルガイドとの間のギャップ内の遮断/目詰りから油が汚染され得るのを防止するために、大きなギャップは、使用するには不適当なニードルバルブを生じさせるので、大きなギャップ及び新しい種類のバルブ本体及び弁座の必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許第0049603号
【特許文献2】欧州特許第1426571号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、従来技術システムの短所が回避される潤滑システム及び潤滑油を投入するために方法を示すことである。
【0014】
更に、本発明の目的は、従来技術システムの短所を回避するために寄与し、動作中でも堅牢で/信頼でき、且つ単純なインジェクタを示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
供給ライン内の流量及び粘度に依存する短所を克服するために、本発明によるシステムは、投入システムが各インジェクタ毎に、及び/又は各シリンダ毎に流量測定部を含み、流量測定部が閉路調整で使用される制御部と接続されることが特徴である。
【0016】
本発明による方法は、インジェクタ当たりの実際の油の投入量の各々のインジェクタ毎の局所的流量測定及び/又はシリンダの中央流量測定により、制御部に流量測定の結果を送信し、期待又は計画された油量と実際の油の投入量の流量測定を比較し、及び必要な範囲まで油のタイミング及び量を調整するための開閉部に制御部が制御信号を送信することが特徴である。
【0017】
これに関連して、インジェクタの作動から流量信号の始動までの期間は、システムの注入タイミングの調節のために用いることができる。このように、粘度状況によるタイミングの起こり得る変化(潤滑油の遅延及び加速された搬送)のために余裕をもたせることができる。粘度状況における偏差は、時間的実行を決定し、注入のための高速又は低速のタイミングを引き起こす場合があるので、興味深い。
【0018】
本発明によるインジェクタは、開閉バルブがボールバルブ本体及び相互に作用する弁座を含み、バルブ本体のステムと開閉バルブのバルブガイド内の壁との間に10μmを超える幅をもつギャップがあることが特徴である。
【0019】
ノズル口の断面寸法は、典型的には、円形ノズル口の直径である。
【0020】
本発明のさらなる実施形態によれば、投入システムは、制御部が各々のシリンダ毎に局所的制御ボックスを含み、シリンダ毎の全てのインジェクタのタイミング及び投入を制御することが特徴である。
【0021】
本発明のさらなる実施形態によれば、投入システムは、4〜10個のインジェクタが各々のシリンダ毎に用いられることが特徴である。
【0022】
本発明のさらなる実施形態によれば、投入システムは、各々のインジェクタ毎に、又は個々のシリンダに連結された全てのインジェクタ毎に、局所的蓄圧器を備えることが特徴である。
【0023】
本発明のさらなる実施形態によれば、投入システムは、潤滑油供給源に超過油を導くために、又は圧力測定の実行のために、各々のインジェクタが戻り管路との接続のための排出口をもっていることが特徴である。
【0024】
本発明のさらなる実施形態によれば、投入システムは、各々のインジェクタが1ユニットとして作られ、開閉バルブがボールバルブ本体及び相互に作用する弁座を含み、バルブ本体のステムと開閉バルブのバルブガイド内の壁との間に10μmを超える幅をもつギャップがあることが特徴である。
【0025】
本発明のさらなる実施形態によれば、投入システムは、各々のインジェクタが1ユニットとして作られ、開閉バルブは、潤滑油の投入のためにインジェクタ内に内蔵された電気機械的なバルブであり、電気機械的な開閉バルブがばね付勢のバルブステムを含むことが特徴である。
【0026】
本発明のさらなる実施形態によれば、投入システムは、各々のインジェクタ及び各々のシリンダ毎に同じ動作範囲をもつ流量測定部を含み、制御部は、全ての流量測定部と接続され、且つ比較的に大きな流量でインジェクタにて流量測定部から信号を受信し、比較的に小さな流量でシリンダの中央流量測定部から信号を受信することに適していることが特徴である。
【0027】
本発明のさらなる実施形態によれば、投入システムは、各々のインジェクタ及び各々のシリンダ毎に異なる動作範囲をもつ流量測定部を含み、制御部は、全ての流量測定部と接続され、最小の動作範囲をもつ流量測定部は、インジェクタと接続された局所的流量測定部であり、最大の動作範囲をもつ流量測定部は、シリンダの中央流量測定部であることが特徴である。
【0028】
本発明のさらなる実施形態によれば、投入システムは、インジェクタと接続された少なくとも1つの局所的流量測定部と結合する、単一のシリンダの中央流量測定部を単に含むことが特徴である。
【0029】
本発明のさらなる実施形態によれば、投入システムは、シリンダの局所的流量測定部とインジェクタの局所的流量スイッチとの組合せを含むことが特徴である。
【0030】
本発明のさらなる実施形態によれば、方法は、シリンダ毎の中央の流量測定と組み合わせて、インジェクタの局所的流量測定が実行されることが特徴である。このように、比較的に大規模な流量によって、個々のインジェクタの局所的流量計からの測定結果を用いることができ、少ない流量によって(例えば、低いエンジン速度で、及び小量の投入量によって)シリンダ中央の流量計が用いられるより、正確な測定が実現される。これの理由は、インジェクタ毎の投入量が比較的に広域を「カバーする」必要があるということである。
【0031】
他の実施例は、(同じ能力をもつ)同じ流量計を用いる代わりに、異なる流量範囲をもつ異なる流量測定部を用いてもよいということだろう。ここで、最小の流量範囲をもつ流量測定部は、個々のインジェクタ上で局所的に位置しており、最大の流量範囲をもつ流量計は、シリンダの中央に位置している。この方法は、流量測定システムが、全流量範囲を通じて正確な流量測定を容易に提供することができることをもたらす。
【0032】
他の実施例は、複数のインジェクタの中の1つのインジェクタ上に取り付けられた最小限の1つの流量計と、中央の流量計とを組み合わせることだろう。そのようにすることで、少流量だけでなく大きな流量も扱うことができる測定システムを提供することができ、流量計の数が制限されている場合に、より安く、よりメンテナンス不要な構成を提供することができる。
【0033】
本発明のさらなる実施形態によれば、本方法は、供給ライン内の供給圧力を監視することが特徴である。
【0034】
本発明のさらなる実施形態によれば、本方法は、投入量を制御するためのパラメータとして、供給ライン内の供給圧力を用いることが特徴である。
【0035】
本発明のさらなる実施形態によれば、本方法は、潤滑油を投入するために、潤滑油の注入により開閉バルブのバルブステムを移動させるために、インジェクタ内に内蔵された電気機械的なバルブの形式の開閉バルブを作動させることにより、潤滑油の投入が実行されることが特徴である。
【0036】
本発明のさらなる実施形態によれば、本方法は、電気機械的なバルブの開閉時間によりタイミング及び投入量が制御されることが特徴である。
【0037】
本発明のさらなる実施形態によれば、本方法は、同じ動作範囲をもつ流量測定部が各々のインジェクタ及び各々のシリンダ毎に設定され、制御部は、全ての流量測定部と接続され、大きな流量によってインジェクタからの測定が選択され、比較的に小さな流量によってシリンダの中央流量測定部からの測定が選択されることが特徴である。
【0038】
本発明のさらなる実施形態によれば、本方法は、各々のインジェクタ及び各々のシリンダ毎に異なる動作範囲をもつ流量測定部が設定され、最小の動作範囲をもつ流量測定部は、インジェクタと接続された局所的流量測定部として選択され、最大の動作範囲をもつ流量測定部は、シリンダの中央流量測定部として選択されることが特徴である。
【0039】
本発明のさらなる実施形態によれば、本方法は、1つのシリンダの中央流量測定だけが実行され、これがインジェクタにおいて少なくとも1つの局所的流量測定と結合されることが特徴である。
【0040】
本発明のさらなる実施形態によれば、本方法は、シリンダの局所的流量測定部によるシリンダの局所的流量測定と、インジェクタの局所的流量スイッチによるインジェクタの局所的流量登録の組合せとして流量測定が実行されることが特徴である。
【0041】
本発明のさらなる実施形態によれば、インジェクタは、弁座が円錐形であることが特徴である。
【0042】
本発明のさらなる実施形態によれば、インジェクタは、ギャップの領域が少なくともインジェクタのノズル口の全領域に対応することが特徴である。
【0043】
本発明のさらなる実施形態によれば、インジェクタは、インジェクタが濾過器を含み、開閉バルブのギャップが少なくとも濾過器のメッシュ幅の半分に対応する同じ幅をもつことが特徴である。
【0044】
本発明のさらなる実施形態によれば、インジェクタは、好ましくは電磁バルブ又は圧電素子の形式の電気機械式アクチュエータを含むことが特徴である。
【0045】
本発明のさらなる実施形態によれば、インジェクタは、超過油を排出させるために、又は圧力測定を実行するために、戻り管路との接続のための排出口をもっていることが特徴である。
【0046】
本発明のさらなる実施形態によれば、インジェクタは、インジェクタが視覚的に又は電気的に実際の流量を示すための流量点検窓又は流量スイッチを含むことが特徴である。
【0047】
本発明のさらなる実施形態によれば、インジェクタは、3MPa(30バール)〜10MPa(100バール)の間の供給圧力にて動作するのに適していることが特徴である。
【0048】
本発明のさらなる実施形態によれば、インジェクタは、コンパクトな一つ又は複数の噴出口とともに動作するのに適していることが特徴である。
【0049】
本発明のさらなる実施形態によれば、インジェクタは、一つ又は複数の霧噴霧器とともに動作するのに適していることが特徴である。
【0050】
本発明のさらなる実施形態によれば、インジェクタは、バルブ本体のステムと、ステムが受け入れられるボーリングとの間のギャップ幅が、少なくともノズル口の断面寸法のサイズの半分であることが特徴である。
【0051】
各々のインジェクタ、又はシリンダに連結された全てのインジェクタについて、脈流が同時に測定される。
【0052】
あるインジェクタが故障した場合には、他のインジェクタが、制御部及び閉路調整における制御に基づいて、1つ以上の故障したインジェクタを自動的に補完/置換することができる。
【0053】
搬送された量を消費量/流量の実測値に基づいて制御することができるように制御が設計されるのと並行して、インジェクタ内に内蔵された投入部の開閉機能をもつことは好適であり、これによって、粘度(温度、油の種類)、供給ラインの距離、及び直径による不確実性を排除できる。
【0054】
加圧された潤滑油の1つの共通の供給ラインをもつ(戻り管路の必要がない)ことのみによってケーブルの配管及び引き出しの両方が認知できるほどに単純化されるように、内蔵された開閉バルブ、好ましくは電磁バルブをもつインジェクタを用いる根本概念は、投入量が開閉電磁バルブの開く時間に比例することを定める。好ましくは、船のエンジン/制御部からの信号に基づいてインジェクタの開閉を行うために用いられる個別の局所的制御ボックスがある。
【0055】
大型のディーゼルエンジンのシリンダ潤滑のために設計された電気機械的に調整されたインジェクタは、従来技術の潤滑システムに対して、必然的に有利性を伴う。システム的には、潤滑油の量及びタイミングに関して個々に調整することができる。
【0056】
本機能は、各々の単一インジェクタを個別に、又はタイミング及び開時間に関して一緒に制御することができる制御ボックスにのみ依存する。これは、他の開閉バルブとは別個に生じる場合があり、インジェクタ内の開閉バルブが開閉サイクルを実行することができる速度によってのみ制限される。
【0057】
測定流量は、計画量に対する搬送量を制御するために用いられる。所定の期間の間の所定のサイズの偏差により、連結された局所的制御ボックスは、連結されたインジェクタのための一つ又は複数の電磁バルブのための開時間を修正することができる。
【0058】
インジェクタは、ノズル口より小さく、ギャップ幅より大きな粒子には損傷を受けない。それによって、油の比較的に粗い濾過により動作することができる。油が10μm以上のサイズをもつ小型の粒子を含有していても、バルブ本体/ボールが詰まるというリスクはない。それは、開閉バルブ内の10μm〜0.3mmまで又はそれ以上のギャップ幅で動作することに問題はない。バルブ内のシートは、典型的には円錐形であり、チェックバルブ内のシートとして設計されており、バルブ内の油圧は、閉子/ばねとともにバルブを閉じ続ける。
【0059】
ギャップ幅より大きい粒子は、弁座とバルブステムとが整列しない中央から外れた位置にバルブステムが傾斜又は移動させられるように、(バルブ本体/バルブステムの半径と、バルブステムが配置されるバルブハウジングのボーリングの半径との間の差(半径差)として測定された)バルブに入っても、ボール形状が、バルブを締め続けることを保証するだろう。
【0060】
傾斜位は、場合によっては、エンジン振動により生じる場合もある。この締め付け性も、また、ボーリング内のバルブ本体と壁との間の比較的に大きなギャップ開口部により保証される。
【0061】
唯一の重要な摩耗面は、インジェクタ内のバルブ機能の高い信頼性提供する、自動調整である弁座である。
【0062】
他の実施形態は、流量の直接測定をもつ流量測定部を用いる代わりに、流量を判定するための間接的な方法が用いられるということになり得る。例えば、信号継続時間を測定することができるように、圧力と温度とが一定であることが想定される流量スイッチ(流量監視器)が用いられる流量測定部を用いることができるであろうし、それによって、投入量に比例した信号を制御部に提供する。例えば、このような他の実施形態は、ボールがボールシートから離昇され、且つセンサがこの条件の検出のために取り付けられる流量測定部の形式で備えることができる。粘度とは無関係の測定を行なうために、例えば、サーモスタットの温度制御により、一定温度をもつボックス内の流量測定部を内蔵することが必要かもしれない。
【0063】
他の実施形態は、流量が全てのインジェクタに存在することを確実に同時に提供しつつ、消費量の全測定値が取得されるように、いくつかのインジェクタの局所的流量スイッチ(流量監視器)とこれを組み合わせて、シリンダ毎の中央の流量測定部が用いられるように投入システムを設計することだろう。このように、シリンダの中への全流量の監視だけが実行されるので、及び局所的流量測定部が単に流量の有無を示す単純な流量スイッチ(典型的には1インジェクタ毎に1つ)と取り替えられる場合、投入システムの流量測定は、単純化される。流量測定部は、個々のシリンダのためのインジェクタを制御する制御部又は局所的制御ボックスに接続され、計画流量と実際の流量とがここで比較される。偏差の場合には、いくつかのインジェクタが動作を中止したかを考慮に入れるために流量スイッチを用いることができる。
【0064】
上記の投入システムに対する他の実施形態は、制御部又は局所的シリンダ制御ボックスは、シリンダ毎の実際の総消費量の測定に加えて、同じシリンダに連結された種々のインジェクタ間の流量スイッチ信号を同時に比較し、例えば流量信号がある時間が20%であるなどの、任意の値を超える偏差が生じた場合に、ユーザーに対して警告又は警報を引き起こすようすることであり得る。
【0065】
上記の流量信号の他の用途は、インジェクタの作動から流量計上の流量パルスの始動までの期間を測定するということであり得る。この測定値は、インジェクタの作動からインジェクタの投入開始までの間に経過する時間のシステム特有の点検測定値と比較される。推測上では、両方の測定値は、流量測定部からの信号を何の問題もなく常に直接用いることができるように、互いに相当近いだろう。このように、偏差が任意の値に到達する場合におけるタイミング(つまりソレノイドを作動させる時間)を調節しなければならないか否かを制御することができる。
【0066】
投入システムのさらなる可能性のある実施形態は、従来の楕円形の回転子系の流量測定部の形式の流量測定部を含み得る。この種の測定部の短所は、回転子を1回転作動させるために所定量が必要であり、それによって信号の放出を引き起こすので、典型的には、特に大規模な流量範囲には適していないということである。これには、潤滑油の拍動性の搬送が流量測定部の一様な動作をもたらさないことが加わる。ある利用可能な測定値を取得するために、パルスをカウントする期間を変更するように要求されてもよい。期待流量から始めて、局所的制御ボックスは、流量パルスがカウントされる期間を変更するためのものであり、同時に、連続的にオーバーラップする期間で連続的な計算を好ましくは行う。所定の流量測定部については、経験的な実験に基づいて、所定の流量間隔とパルス数との間の相関が設定されるべきであり、局所的制御ボックス内に一体化されるべきである。
【0067】
シリンダについては、エンジンのサイズ及び種類に応じて、4個〜10個のインジェクタの間で用いられる。
【0068】
投入システムは、潤滑油とともに加圧された供給ラインによって動作する。潤滑油は定圧に維持される。そして、個々のシリンダ/インジェクタに対する加圧された供給ライン内の障害/変動を最小化することに関連して、シリンダ毎に及び/又はインジェクタ毎に中央にアキュムレータを配置する必要性があってもよい。
【0069】
その代わりに、システムの中でアキュムレータを用いることについては、パイプが単独でアキュムレータになるように、大きな離間距離で供給管を用い得る。潤滑油を投入するタイミングは、局所的に又は中央で制御される。
【0070】
潤滑油を投入するタイミングは、局所的に又は中央で制御される。起動時間は、エンジンの基準信号に応じて、連続的に適応する。
【0071】
インジェクタの機能を監視するために、各種の解決手段を用いることができる。第1に、実際の投入量が期待流量と比較される並流量測定が用いられる。この流量測定は、インジェクタ毎に中央に、又はシリンダ毎に局所的に、実際の投入量を閉路調整のために用いることができるように実行することができる。
【0072】
偏差の場合には、これらが、局所的制御ボックス又は中央制御ボックスによってそれぞれ処理され/扱われる。例えば、制御は、1つ以上のインジェクタに関するいかなる問題も識別することができることである。
【0073】
上記の流量測定と組み合わせて、供給圧力を、加圧された供給ライン内で監視することができる。
【0074】
他の実施形態は、中央の流量測定部の形式で付加的な制御をもつだけでなく、流量測定部を局所的に用いることができるということであり得る。
【0075】
ある程度までシステムが圧力における変化を補ってもよく、それによって、搬送量を個々の開閉時間として個々に調節することができることは注目されるべきである。
【0076】
他の実施形態は、(インジェクタ又はシリンダ毎の個別の制御ボックスともつ)シリンダのためのインジェクタが、例えば、個々の潤滑点で、又は場合によっては、シリンダ中央の制御ボックスを介して、投入量を増加させる形式で、相互にエラーの取り扱いを保証するということであり得る。
【0077】
エンジン(ロード、フライホイール位置など)から基準信号に応じて、制御ボックスは、シリンダ毎に1つ以上のインジェクタのタイミング及び投入量を制御する。
【0078】
局所的制御ボックスは、インジェクタに直接的に接続して備えるか、又はその代わりに、個々のインジェクタ内に一体化することができる。
【0079】
投入量は、送り速度、調整アルゴリズムの選択、油分析、及び他のエンジン特定パラメータ、硫黄割合、燃料種類(残余のTBN、Fe含有量など)から計算される。これらのパラメータは、自動的に且つ直接的に、又は中央制御装置を介して間接的に読み取られる。
【0080】
その代わりに、シリンダライニングの全領域に基づいて、又は注入バルブ下の領域に排他的に基づいて、シリンダに、供給されるべき潤滑油の最小量を決定してもよい。後半の搬送及び始点は、その後、複数の別のパラメータの中のいくつかのパラメータと場合によって組み合わせた、シリンダ内の領域状況の機能として取り分け見出される。
【0081】
その代わりに、排油の分析を、能動的制御パラメータとして用いることができる。排油の分析は、オンライン又は手動で実行され得るし、この背景では、潤滑油の量は、Fe粒子の含有量に比例して調整される。そして、これが所定の時間内の測定値を改善できない場合、警報が出される。
【0082】
その代わりに、搬送の調節のために、又は増加した潤滑油量と搬送の変化との組合せとして、直接、残余のTBNのオンライン測定値の分析を用いてもよい。
【0083】
本発明によるインジェクタは、ボールバルブ本体と、典型的には円錐形であるが、ボール形に対応する形でも形成できる相互に作用する弁座とを装備している。シーリングは、大きなギャップ領域によってでもギャップ領域が流量制限ではないように保証され、インジェクタ毎のいくつかのノズル口の場合においてノズル口領域の合計が用いられるように、ギャップの領域が全体のノズル口領域に少なくとも対応することを意味する。
【0084】
実際には、これは、約0.01mmの粒子がバルブ本体を一方に圧することができ、且つギャップ幅を0.01mmに増加させることができるので、ギャップが0.005mmほどの大きさしかないようにすることができることを意味しうる。これによって、ボール本体がシートに対してフィットするので、バルブ本体の動作を阻まず、且つバルブの漏れを伴わない、0.01mmのサイズの粒子の経路が可能である。
【0085】
しかしながら、インジェクタのノズル口は、典型的には0.3mm以上であるので、ギャップ幅(半径差)は、典型的には約0.15mm以上になるだろう。同様に、濾過器は、ノズル口のサイズに応じて、より粗くすることができ、大型の粒子を許容できる。
【0086】
ボールバルブ式を使用すれば、ボーリングがバルブステムのためのバルブガイドとして現われないように、バルブ本体のステムとボーリングと間に一定の間隔がある大きなギャップによっても確かな方法で動作することができるので、バルブ本体の動作の遮断から汚れ及び粒子を防止することができる。このような広いギャップは、ニードルバルブを適用するのには適さないだろう。
【0087】
インジェクタを作成することは、精密許容差及び複雑な取り付けがなく、簡単である。
【0088】
投入システムの取り付けも、必要なのはシリンダ毎の共通の供給ラインのみあるため、簡単である。全てのインジェクタは、この供給ラインに連結される。個々のシリンダに局所的に取り付けることができる共通制御ボックスに各々のインジェクタを電気的に接続するだけであるので、戻り管路の必要はない。これは保守性と高信頼性を提供する。
【0089】
電磁バルブ内のソレノイドは、今日用いられるような標準的なソレノイドにすることができる。必要な潤滑油量のみが注入のための圧力レベルまでポンプアップされるので、インジェクタは低電力消費である。
【0090】
圧力、温度を測定する、又は分析のための油試料を採ることができるセンサを含んでもよい特別の実施形態であるシステムの拡張により、インジェクタをよりインテリジェントにすることが可能である。圧力は、ピストン位置決定に関する情報、及びエンジン上のロードに関する知識を提供する。温度は、シリンダ内の条件に関するいくつかのものを表現する。油試料は、潤滑条件の評価の根拠を形作ることができる。データの背景においては、注入時刻と期間は、制御部内の所定の制御アルゴリズムから計算することができる。
【0091】
これによって、一方でネットワーク障害により既に定められたデータ上でインジェクタがその動作を続けるのと同時に、1つ以上のインジェクタが同時に故障する可能性が限られるので、可能な限り高い多重性が実現される。
【0092】
インジェクタが自動調整式であるので、インジェクタの設置及び交換が容易になる。
【0093】
各々のインジェクタは、タイミングと投入量とがインジェクタの開閉時間によって制御される、それ自身の時間制御投入部を有する。
【0094】
インジェクタは、噴霧バルブ、又は1つ以上の噴出口/コンパクト噴出口をもつバルブを備えることができる。インジェクタは、戻り管路なしで、加圧された潤滑油を供給するだけの実施形態において作成することができる。典型的な供給圧力は、3MPa(30バール)〜10MPa(100バール)である。
【0095】
インジェクタのバルブ機能は、ボールバルブである。
【0096】
例えば、電磁バルブ又は圧電性機械構成部品の形式で、インジェクタを電気機械的に始動することができる。
【0097】
他の実施形態は、インジェクタが、視覚的に又は電気的に実際の流量を示すための流量点検窓又は流量スイッチを装備するということであり得る。このように、動作中で且つ機能している個々のインジェクタの直接表示が提供される。いくつかのエンジンにおいては、個々のインジェクタはアクセス困難な位置に置かれており、ここで、局所的に検出されるが中央に報告される電子監視には有用だろう。このような解決手段の例は、ボールを検出するセンサが配置されるボールコントロールグラス内の円錐形のボーリングであり得る。
【0098】
そして、本発明の有利性は、数ある中でも、以下のものを含むと言える。
粘度に依存しないインジェクタ/潤滑システム。
単純化されたインジェクタ設計。
設置面、メンテナンス面で単純化されたシステム。
単一の故障したインジェクタに影響されない堅牢且つ柔軟なシステム。
個々のインジェクタにおける噴霧/潤滑油量を最適化する実現性、及びそれによって、インジェクタが全て均一に分散された従来のシステムとは対照的に、個々のインジェクタの統合最適化(それぞれ少な過ぎず且つ多過ぎず)の実現性。
【0099】
ここで本発明を、添付の図面を参照して、より精密に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0100】
図1】本発明による投入システムの概略図を示す。
図2A】本発明によるシステムのさらなる実施形態を示す。
図2B図2Aに示すシステムの詳細を示す。
図3】本発明によるシステムのさらなる実施形態を示す。
図4図4(A)及び図4(B)は本発明によるシステムで用いられるインジェクタの詳細な図を示す。
図5】本発明によるシステムで用いられるインジェクタの他の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0101】
図1は、N個のシリンダ1のための包括的な潤滑システムを示す。各シリンダは、例えば、大きさ3MPa(30バール)〜10MPa(100バール)の一定の供給圧力を有する共通の潤滑油供給ライン31に接続される複数のX個のインジェクタ2を装備する。デイタンク1000から供給される供給圧力は、油圧ポンプユニット10によって搬送される。
【0102】
ポンプステーション10は、2つのポンプ11と、静置ポンプ11を通じて潤滑油が戻るのを防ぐ2つの濾過器12及び2つのチェックバルブ13を含む。ポンプステーションは、また、濾過器12が動作中に洗浄されるように、供給ライン34内に挿入される2つの遮断バルブ14を含む。2つのポンプ11は、互いに対しての予備であり、油圧の低下時に自動的に始動する。
【0103】
供給ライン31の端部には、圧力バルブ20、又は無段階で電子的に制御可能な圧力バルブ115(図は原則として後者を示す)が備えられる。典型的には、供給ライン内の圧力は一定であり、ここで、圧力が一定の場合には共通の圧力バルブ20が用いられる。その代わりに、搬送のために使用可能な時間(例えば、ピストンに当たるために3〜6クランク度)、粘度状況(油の種類及び温度)など、投入されるべき量に応じて各種の供給圧力を用いることが可能なように、システムのための付加パラメータとして供給ライン31内の供給圧力を用いることができる。
【0104】
図1に示すように、圧力バルブ20は、全般制御200又は場合によってはシリンダ局所的制御ボックス100への接続505を介して、調整可能な圧力をもつ電子制御圧力バルブになり得る。この調整可能な圧力は、パラメータとして投入される潤滑油量のために用いることができる。
【0105】
各シリンダは、主要供給31に連結された分岐管22を備える。分岐管22上には、潤滑油の実際に供給された量を測定する流量測定部4が取り付けられる。流量測定部4からの信号は、測定値が期待流量と比較される局所的制御ボックス100に送信され、偏差の規模に応じて、制御ボックス100は、該当するシリンダ用の個々のインジェクタ2の開時間を調節することができる。
【0106】
各々のインジェクタ2上に、ソレノイド1014をもつ電気機械的なバルブが取り付けられる。ソレノイド1014を作動させることによって、インジェクタが開かれ、潤滑油が搬送される。潤滑油の搬送量は、バルブが開き続ける期間に比例する。しかしながら、これは、供給ライン内の圧力が一定であることを前提とし、この目的のために、アキュムレータ6を備える。
【0107】
連結される全てのインジェクタ2のための開閉時間を制御する局所的制御ボックス100は、各々のシリンダ毎に備えられる。インジェクタ2を作動させることによって、潤滑油は、流量測定部4を通じて、それぞれのインジェクタ2の分岐線21を介して、供給ライン31の分岐管22から導かれる。直接的又は間接的に通過流量を測定する流量測定部4は、期待流量と実際の流量との間の比較が実行される局所的制御ボックス100に接続され、ありうる補正が計算され、インジェクタのソレノイド1014のための開時間が調節される。示した実施形態において、アキュムレータ6は、潤滑油内の急上昇及び反流がさもなければ流量測定を妨害する流量測定部4にわたって均一な流量を保証するために、流量測定部4と分岐片21との間に順番に備えられる。
【0108】
前述のシリンダに特有の制御ボックス100は、全て、メイン制御ボックス200に接続される。このメイン制御ボックス200から、動作情報(例えば潤滑油の計画量)が信号ケーブル550又はネットワークを介して、全ての接続部に送信される。同じ方法で、各局所的制御ボックス100は、また、信号ケーブル601を介してフライホイール位置に関する情報を得て、メイン制御ボックス200からの動作データに基づいて、正確な開時間及び関連する開期間が制御される。エラーの場合には、局所的制御ボックス100は、信号ケーブル650を介して、及びネットワークを介して送信される警報を作動させる。
【0109】
メイン制御ボックス200は、実負荷、送り速度、油圧及び温度、及び回転に関するマリンエンジンからの情報を受信し、送信し、これに基づいて、正確な起動時間が計算される。
【0110】
図1に示した実施形態の代わりに、局所的シリンダ制御ボックス100をエンジンの中央のメイン制御ボックス200に置換させることも可能だろう。これは、シリンダ又はインジェクタに特有の流量測定信号が、全てメイン制御ボックス200に送信され、従ってメイン制御ボックス200が全てのインジェクタを制御することを必要とするだろう。この手順は、制御システムを単純化するであろう。しかし、かなり広範囲なケーブルの引き出しを必要とするだろう。特に、小型でコンパクトなエンジン上で、この変形が利用可能になり得る。
【0111】
更に、この実施形態は、フライホイール基準信号(信号ライン601を介して)及びロード/インデックス信号(信号ライン501を介して)が全て、起こり得る警告信号が発せられる(信号ライン506を介して)メイン制御ボックス200に直接搬送されることを必要とするだろう。この実施形態の変形において、個々のインジェクタの電磁バルブ1013は、信号ライン120を介してメイン制御ボックス200から直接作動され、電磁バルブの開閉を、共通に、個々に、又は両方とも制御するだろう。警告信号は、メイン制御ボックスによって直接生成され、船舶の警報システムに信号ライン650を介して送信される。
【0112】
図2A及び図2Bは、シリンダの局所的制御ボックス100がインジェクタの局所的制御ボックス101に取り替えられることを意図して、シリンダの局所的制御ボックス100が個々のインジェクタ2に代りに一体化された場合の実施形態の変形例を示す。これは、インジェクタの局所的個別流量測定部4.X、すなわちインジェクタ2毎に1つの流量測定部、及び流量測定部4.Xとインジェクタとの間に配置される可能的な個々のアキュムレータ(この実施形態は、シリンダ毎に1つの局所的アキュムレータ6だけが示される図2A及び図2Bには示されない)を用いることを必要としてもよい。
【0113】
ここに示した実施形態は、図1に記載されたシステムと同一である。すなわち、メイン制御ボックス200もここで用いられる。メイン制御ボックス200は、ここでは個々のインジェクタからの信号を処理するのみであって、もはやシリンダに関する信号ではない。
【0114】
図3は、(関係するシリンダに連結された)ソレノイド1014が、同じシリンダに関連したインジェクタ上の全てのソレノイド1014を連続的に接続するケーブル120を介して一度に作動されるように、インジェクタが全て同時に作動された場合の他の実施形態を示す。この実施形態において、シリンダの局所的流量測定部及び可能的なアキュムレータが適用される全てのインジェクタを制御するシリンダ局所的制御ボックス100がある。これは、システムが、更に一体化され、且つ簡単化されることを意味する。
【0115】
可能的な他の実施形態は、図3で述べたシリンダの局所的制御ボックス100の代わりに、1つのインジェクタの局所的制御ボックスが、1つのシリンダの局所的流量測定に基づいて、残りのインジェクタを制御することができるということであり得る。図2A及び図2Bに関して述べるように、この変形例は、1つのシリンダの局所的制御ボックスが1つのインジェクタの局所的制御ボックスと取り替えられることを意味するだろう。このような一実施形態は、最小限のケーブルや流量計などにより、絶対的に最も簡単であろう。
【0116】
基本的には、例えば、2つ以上のインジェクタの局所的制御ボックスが、1つのシリンダのための全てのインジェクタを、他の全てのものと無関係にそれぞれ制御することもまた可能である。これを動作中のインジェクタの局所的制御ボックス101内の監視機能と組み合わせると、例えば、先行するインジェクタにおけるエラーのために、中継接続及びケーブルを介して、後続のインジェクタが引き継ぐように命じられる代理機能システムを構築することができる。そして、インジェクタの局所的制御ボックスは、先行するインジェクタが故障したときにインジェクタの局所的制御ボックスが同時に故障した場合、警報を作動させるように作成され得る。
【0117】
図4は、上記の種類のシステムにて用いることができるようなインジェクタを示す。図上には、各シリンダ1が、いくつかのインジェクタ2(図ではシリンダ毎に4つが示される)を有することが示される。加圧された油は、分岐管21を通じてインジェクタ2に供給路20100を通じて供給される。
【0118】
図4及び図5に示すインジェクタは、雄ネジ山を介して内部のバルブハウジング1006に取り付けられるノズル1001を含む。バルブハウジング1006自体は、インジェクタ容器1017自体の上に部分的に静止し、及び組立フランジ1007の上に部分的に静止するフランジを有する。インジェクタ容器1017は、ノズル1001及びバルブハウジング1006の組立部の外部に備え付けられ、そこで、インジェクタ容器1017が、例えば締り嵌めによりフランジ内に取り付けられる。最上部では、内部のバルブハウジング1006は、オーリング形の溝をもつフランジから成り、後続の回転は、バルブハウジング1006を、ソレノイドコア/電機子容器1009の中までの距離を進み続けさせる。オーリング1008は、バルブハウジング1006及びソレノイドコア/電機子容器1009内に、加圧された油が留まることを保証する。ソレノイドコア/電機子容器1009のまわりには、ねじ1011を介してノズルをもつインジェクタ容器をクランプする主フランジ1010、ソレノイドコア/電機子容器1009、及び組立フランジ1007が備えられる。ノズル/バルブハウジングの組立部1001/1006は、インジェクタ容器内に設置され、オーリング1002によって、汚れ又は油の残留物がインジェクタ容器1017内に更に入らないことを保証する。
【0119】
ソレノイドコア/電機子容器1009内には、雌ネジ山をもつ電機子/ピストン1012が設置され、そこで、バルブ本体1003が取り付けられ、ネジ込み継手が先細ネジ1013によって固定される。電機子1012内には、加圧された油をノズルへの方向に導くためのいくつかの経路1023がある。バルブ本体/電機子1003/1012の可能的な移動は、空洞20200から与えられる。
【0120】
インジェクタ2において、油は、空洞20200を介してインジェクタを通じて、及び経路1023を通じて導かれる。その後、油は、空洞1022の外から中へ、及び油がギャップ1030を介してボール弁座1019のまわりの空洞に導かれるところから経路1021を通じて空洞1020に進み続ける。ギャップは、バルブ本体ステム1003と、バルブ本体ステムが受け入れられるボーリング内の壁1031との間に形成される。
【0121】
ソレノイド1014が作動されたときに、空洞20200が電機子/ピストン1012によって満たされるまで、バルブ本体1003は、ソレノイド1014の反対に方向に移動される。内蔵されるボール1016をもつバルブ本体1003がボールシート1019から離昇されるとき、加圧された油は、弁座1019を通じて経路1018を介してノズル口1040を通じて外に導かれる。制御ボックス100からインジェクタソレノイド1013までの電気信号直通線120のスイッチがオフになるときに、スプリング1005は、ボールシート1019の反対の方向に、バルブ本体1003及び電機子/ピストン1012を押圧することにより、インジェクタ2/ボールシート1019が閉じられることを保証する。
【0122】
図4に示すスプリング1005は、ソレノイド1013のスイッチがオフになるときにバルブが閉まることを保証する。図4において、ナット1004の位置を設定することにより、スプリングの圧縮を調節することでスプリング力を調節することができることを示す。実際には、バルブの充分に迅速な閉止を提供するための必要なスプリング力は、ソレノイドの力とスプリング力との間に見出される折衷として、経験的な実験によって決定することができる。従って、圧縮は一定になり、「ナット」はスプリングが支えるレスト/カラーの形式でバルブ本体内に一体化される。
【0123】
ボールシート1019が再び閉じるとき、供給路20100/20200内の加圧された油は、スプリング1005及び油圧の両方がインジェクタのボールシート1019を閉じ続けるように、バルブ本体1003に作用するだろう。
【0124】
インジェクタのバルブ機能は、図4に示すようなボールバルブ本体によって実行される。噴霧する及び/又は油噴出口を形成するインジェクタを用いること、及び1つ以上のノズル口1040をもつインジェクタを用いることは可能である。
【0125】
インジェクタは、インジェクタ/バルブが開閉するときの自由制御及び独立制御を可能にする電気信号120により制御し、それによって開期間を制御する。
【0126】
図5は、図4のシステムに機能的に対応するが、インジェクタの他の実施形態を備えるシステムを基本的には示す。ここで、シリンダからコンセント20000を通じてフランジの側面にて、可能性のある潤滑油の残留物の圧力測定値又はサンプルを提供することが可能である。ノズル/バルブハウジング1001/1006の外部にて、インジェクタは、インジェクタ容器1017に対するギャップを有し、このギャップを通じて排出口20000に連通する。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5