(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
通常、ワイヤレスネットワーク内の複数のキャリア間で負荷を均衡化することは、システム設計の1つの目標となる。とりわけ、帯域幅の異なるマルチキャリアに伴う不連続スペクトルが関連する場合、異なる地理的エリアが、異なる帯域を持つ、異なる数のキャリアによってカバーされる可能性がある。マクロセル基地局だけのシステムにおけるアイドル再分配(idle redistribution)については、ここ数年研究がなされており、深く理解されるところとなっている。しかし、HetNet(Heterogeneous wireless network)は多くの新しいシナリオを導入しており、それらはマクロオンリシステムにおいては存在せず、特別な処理を必要とするものである。負荷分散化(load balancing)とは、利用可能なキャリア周波数の中でアイドル状態のUE(idle UE:アイドルUE)を再分配することを称し、それによって特定のキャリア周波数の過負荷を回避し、かつ/または、より効率的にネットワークリソースを使用する。
【0003】
HetNetとは、単一の地理的エリア内に、サービスエリア半径の異なるセルを配備することである。
図1は、HetNetの例示的構成を示している。示されているように、マクロセルレイヤ(MC1およびMC2)とスモールセルレイヤ(SC1−SC6)は、同一または異なる周波数のキャリアを持ち得る。同一または異なるキャリア(キャリア周波数)のマクロセルによって重畳される、同一または異なるキャリアのスモールセルが、複数存在し得る。重畳セルは、セルのキャリア周波数の重なり合いであるということもできる。従来のマクロオンリシステムでは、たとえば
図1に示す、MC1の周波数F1およびMC2の周波数F2というような、異なるキャリアが互いに重畳する可能性がある。しかし、HetNetでは、スモールセルサービスエリアを、マクロセルサービスエリアが部分的にだけ重畳するものとすることができる。キャリアが異なる別のスモールセルは、互いに重畳してもよいし、重畳しなくてもよい(たとえば、
図1に示す、SC3/SC6に対するSC4/SC5、など)。キャリアが同一であれ別であれ、異なるスモールセルは、異なる負荷状態を持ち得る。HetNetのオペレータは、サービス等級(Grade of Service:GoS)およびサービス品質(Quality of Service:QoS)要件に基づき、異なるキャリア/セルの負荷を制御することも可能である。結果として、オペレータは、マクロセルキャリアと、その他のスモールセルキャリアとに関し、異なる負荷分散要件を持ち得る。HetNetにおいて、マクロオンリシステム向けの基本的なアイドル再分配方法を使用すると、以下に記述するような、いくつかの問題が生じるおそれがある。
【0004】
第1に、異なるマクロキャリアによって同一キャリアのスモールセルが複数重畳されると、ピンポン問題(Ping−Pong problem)が生じることがあり、それらのスモールセルの負荷分散化要求を差別化することができない。たとえば、
図1では、SC1、SC2、およびSC4が、同一のキャリア周波数、すなわちF3を持っている。SC2が過負荷に陥っており、SC1とSC4の負荷は許容範囲内にあるものと仮定する(たとえば、SC2がアクティビティのホットスポットとなり得るものであり、SC1とSC4はそうでないといった場合)。マクロレイヤ、たとえば(F1、MC1)は、SC1、SC2、およびSC4が同一のキャリア周波数、F3を持つことから、それら(SC1、SC2、およびSC4)を同一とみなすことができる。よって、MC1からの命令は、従来のマクロからスモールレイヤへのオフロード動作と同じく、F1からF3へのオフロードのみが可能なものとなる。結果として、過負荷状態の(F3、SC2)から(F1、MC1)へとオフロードされたアイドルUEは、こうしたアイドルUEがSC2サービスエリアを離れる前に、SC2とMC1の間でピンポン(ping−pong)されることになる。
【0005】
第2に、基本的な確率ベースの解決策では、キャリアの異なる複数のスモールセルが、マクロレイヤによって重畳されるものの、互いには重畳しないといった場合に、スモールセルへのオフロードが不十分となる状況が発生し得る。たとえば、
図1に関していえば、マクロオンリな再分配方法では、キャリアF1、F2、F3、およびF4が、完全に重なり合うものと仮定される。よって、オペレータが、100%のUEに、マクロセルキャリア周波数F1およびF2からF3およびF4に再分配されるように、(F3、SC2)サービスエリアにおいて50%をF3に、50%をF4に設定し、F1を0%に、F2を0%に設定することによりその再分配を命じようとしても、50%のアイドルUEだけがF3を再選択し、F4へと再分配されるはずの50%は、マクロレイヤ(たとえば、MC1)に留まってしまう。こうしたことは、(F3、SC2)のサービスエリアには、F4が存在しないという事実に起因し得る。したがって、切り替えのための最も高い優先度を持つ、F4に指定されている50%のUEは、これらのUEがF4サービスエリアに入るまでは、依然として他のキャリアよりは高い優先度を持つ、現在のサービングキャリアに留まる。同様に、SC4サービスエリアの下では、50%のUEだけがF4に移る。
【0006】
第3に、異なる周波数のスモールセルが重なり合うとき、アイドルUEを重畳するスモールセル全体にわたって適切に分配すべきであると同時に、スモールレイヤとマクロレイヤの間のみならず、スモールセル間のピンポンも防止すべきである。たとえば、
図1において、SC4とSC5がともに過負荷であれば、UEがSC4からマクロレイヤへとオフロードされてSC5に移動するといった状況、およびその逆の状況は、回避することが好ましい。
【0007】
概して、HetNetにおける追加的な取り組みは、新たなHetNetシナリオがもたらす、1つ以上の新たな課題に対処するためになされるべきである。HetNetでは、通常、オペレータは、UEが重畳するスモールセルを再選択する可能性が高くなるように、またはその再選択に高い優先度を持たせるようにシステムを構成し、それによって、マクロセルレイヤがトラフィックをスモールセルレイヤへとオフロードすることを可能にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
例示的一実施形態では、ユーザ装置は、プロセッサを含んでいる。プロセッサは、メッセージを受信することと、受信したメッセージに基づき、キャリア周波数選択処理を実行するかどうかを決定することであって、キャリア周波数選択処理が、ユーザ装置が動作するキャリア周波数を決定するために実行される、決定することと、プロセッサがキャリア周波数選択処理を実行すると決定した場合に、キャリア周波数選択処理を実行することにより、キャリア周波数を決定することとを行うように構成される。
【0009】
さらに別の例示的実施形態では、プロセッサが、メッセージが第1のリストを含み、ユーザ装置が自身に現在サービスしているセルに関する新しいセル識別子を検出する場合であって、第1のリストが、スモールセルキャリア周波数選択確率値と、隣接マクロセルキャリア周波数選択確率値のリストとを含む場合、または、メッセージが第1のリストを含み、ランダム化ビットがキャリア周波数選択処理は実行されるべきであることを示す場合に、キャリア周波数選択処理の実行を決定する。
【0010】
さらに別の例示的実施形態では、プロセッサが、対象キャリア周波数を決定することと、対象キャリア周波数の優先度を決定することと、対象キャリア周波数の可用性を決定することと、対象キャリア周波数の優先度および可用性に基づき、ユーザ装置の現在のキャリア周波数を対象キャリア周波数へと変更するかどうかを決定することとにより、キャリア周波数選択処理を実行するように構成される。
【0011】
さらに別の例示的実施形態では、プロセッサが、乱数を生成することと、乱数を複数の確率値のうちの1つとマッチさせることであって、複数の確率値が、スモールセルキャリア周波数選択確率値、少なくとも1つの隣接マクロセルキャリア周波数選択確率値、およびユーザ装置の現在のキャリア周波数に留まる確率を含む、マッチさせることとにより、対象キャリア周波数を決定するように構成される。プロセッサは、複数の確率値のうちマッチした1つの確率値に関連づけられたキャリア周波数を、対象キャリア周波数とするために選択することにより、対象キャリア周波数を決定するように、さらに構成される。
【0012】
さらに別の例示的実施形態では、受信したメッセージが、第2のリストをさらに含み、第2のリストが、受信するメッセージの送信元であるサービングマクロセルに知られているスモールセルのキャリア周波数を含む。対象キャリア周波数が、少なくとも1つの隣接マクロセルキャリア周波数選択確率値のうちの1つと関連づけられたキャリア周波数である場合、プロセッサは、最高の優先度値を対象キャリア周波数に付与するように構成される。対象キャリア周波数が、スモールセルキャリア周波数選択確率値と関連づけられたキャリア周波数である場合、プロセッサは、最高の優先度値をスモールセルのすべてのキャリア周波数に付与するように構成される。
【0013】
さらに別の例示的実施形態では、プロセッサが、セルが過去にユーザ装置に関連づけられていた場合、セルに最低の優先度値を付与することと、対象キャリア周波数がセルに関連づけられているかどうかを決定することとを行うように構成される。
【0014】
さらに別の例示的実施形態では、プロセッサが、対象キャリア周波数は利用可能かつセルに関連づけられていると決定する場合、プロセッサは、タイマが時間切れかどうかを決定することと、タイマが時間切れとなったことに基づき、ユーザ装置の現在のキャリア周波数に留まるか、またはユーザ装置の現在のキャリア周波数を対象キャリア周波数へと変更するかを決定することとにより、キャリア周波数を決定するように構成される。
【0015】
さらに別の例示的実施形態では、プロセッサが対象キャリア周波数は利用可能でないと決定する場合、プロセッサは、ユーザ装置の現在のキャリア周波数に留まることにより、キャリア周波数を決定するように構成される。
【0016】
例示的一実施形態では、プロセッサが対象周波数は利用可能かつ対象キャリア周波数はセルに関連づけられていないと決定する場合、プロセッサは、ユーザ装置の現在のキャリア周波数を対象キャリア周波数へと変更することにより、キャリア周波数を決定するように構成される。
【0017】
さらに別の例示的実施形態では、メッセージが、スモールセルキャリア周波数選択確率値のリストを含み、かつ、プロセッサが、ユーザ装置に現在サービスしているセルに関する新しいセル識別子を検出するか、ユーザ装置が、少なくとも1つのスモールセルを検出するか、または、メッセージが、キャリア周波数選択処理は実行されると示すランダム化ビットを含むかのうちの1つである場合、プロセッサは、キャリア周波数選択処理の実行を決定する。
【0018】
さらに別の例示的実施形態では、プロセッサがキャリア周波数選択処理の実行を決定する場合、プロセッサは、対象キャリア周波数を決定することと、対象キャリア周波数の優先度を決定することと、対象キャリア周波数の可用性を決定することと、対象キャリア周波数の優先度および可用性に基づき、ユーザ装置の現在のキャリア周波数を対象キャリア周波数へと変更するかどうかを決定することとにより、キャリア周波数選択処理を実行するように構成される。
【0019】
さらに別の例示的実施形態では、プロセッサが、乱数を生成することと、乱数を複数の確率値のうちの1つとマッチさせることであって、複数の確率値が、隣接マクロセルキャリア周波数を選択する確率値、隣接スモールセルキャリア周波数を選択する確率値、およびユーザ装置の現在のキャリア周波数に留まる確率を含む、マッチさせることとにより、対象キャリア周波数を決定するように構成される。プロセッサは、確率値のうちマッチした1つの確率値に関連づけられたキャリア周波数を、対象キャリア周波数として決定することにより、対象キャリア周波数を決定するように構成される。
【0020】
さらに別の例示的実施形態では、対象キャリア周波数がスモールセルのキャリア周波数である場合、プロセッサは、最高の優先度値をスモールセルのキャリア周波数に付与するように構成され、対象キャリア周波数がマクロセルのキャリア周波数である場合、プロセッサは、最高の優先度値をマクロセルのキャリア周波数に付与するように構成される。
【0021】
例示的一実施形態では、ユーザ装置が、メッセージを受信することであって、メッセージが、少なくとも1つのセルをそれぞれ識別する少なくとも1つのセル識別子と、少なくとも1つのセルに関連づけられたキャリア周波数と、少なくとも1つのセルに関連づけられたキャリア周波数を選択する確率のリストを含む、受信することと、リスト、およびユーザ装置のステータスに基づき、ユーザ装置が動作するキャリア周波数を決定することとを行うように構成される、プロセッサを備える。
【0022】
さらに別の例示的実施形態では、少なくとも1つのセルが、過負荷となっているセル、または過負荷となることが予想されるセルである。
【0023】
さらに別の例示的実施形態では、プロセッサが、ユーザ装置のステータスが、ユーザ装置はアイドルモードにあると示しているかどうかを決定することと、受信したメッセージに基づき、ユーザ装置の優先度リストを更新することであって、優先度リストが、複数の対象キャリア周波数を含む、更新することと、プロセッサが、ユーザ装置のステータスはユーザ装置がアイドルモードにあると示していると決定する場合、最高の優先度値を持つ、複数の対象キャリア周波数のうちの1つを選択することとを行うように構成される。
【0024】
さらに別の例示的実施形態では、プロセッサが、最低の優先度値を少なくとも1つのセルのキャリア周波数に付与することにより、優先度リストを更新するように構成される。
【0025】
さらに別の例示的実施形態では、プロセッサが、複数の対象キャリア周波数から選択した1つの周波数の可用性を決定することと、複数の対象キャリア周波数から選択した1つの周波数の可用性に基づき、ユーザ装置の現在のキャリア周波数を対象キャリア周波数へと変更することとにより、キャリア周波数を決定するように構成される。
【0026】
さらに別の例示的実施形態では、プロセッサが、複数の対象キャリア周波数から選択した1つの周波数が利用可能でないと決定する場合、プロセッサは、ユーザ装置の現在のキャリア周波数を、次に高い優先度値を持つ、複数の対象キャリア周波数のうちの別の周波数へと変更するように構成される。
【0027】
例示的実施形態は、本明細書において以下に示す詳細な記述、および添付図面から、より完全に理解されるものとなろう。同等の要素は同等の参照番号をもって表される。それらは例として与えられるに過ぎず、よって例示的実施形態を制限するものとはならない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
これらの図は、特定の例示的実施形態において使用される方法、構造、および/または物質が持つ一般特性を例示し、以下に提示する記述を増補することを意図したものであることに留意されたい。もっとも、これらの図面は、所与のどのような実施形態についても、その正確な構造または性能特性の原寸に比例したものではなく、それらを正確には反映していない可能性がある。これらの図面を、例示的実施形態が包含する価値または性質の範囲を定義または限定するものと解釈すべきではない。たとえば、分子、層、部位、および/または構造要素の相対的な厚みおよび位置調整は、明瞭なものとするために、縮小または誇張される場合がある。異なる図面における類似または同一の参照番号の使用は、類似または同一の要素や特徴の存在を指し示すことを意図したものである。
【0030】
例示的実施形態は、さまざまな修正形態や代替形態をとることが可能であるものの、図面にはその実施形態の一例を示し、これを本明細書において詳述する。ただし、例示的実施形態を開示される特定の形態に限定する意図はなく、それどころか、例示的実施形態は、特許請求の範囲に含まれる一切の修正形態、均等な形態、および代替形態を、その対象として含むものであることを理解されたい。図の説明を通じ、同じ番号は、同じ要素を示している。
【0031】
例示的実施形態をより詳細に論じるに先立ち、いくつかの例示的実施形態は、フローチャートの形で描かれる処理または方法として説明されるということに留意する。これらのフローチャートでは、動作が連続的な処理として記述されるが、そのような動作の多くは、並列的、並行的、または同時的に実行されてもよい。加えて、動作の順序は、再編成が可能である。処理は、その動作の完了時に終了し得るが、図には含まれない追加的なステップを有してもよい。処理は、メソッド、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラム、などに相当し得る。
【0032】
以下で検討する方法、その一部はフローチャートで示される方法は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはそれらの任意の組み合わせによって実装することができる。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、またはマイクロコードの形で実装される場合、必要なタスクを実行するプログラムコードまたはコードセグメントは、記憶媒体などの機械またはコンピュータ可読媒体に記憶され得る。プロセッサは、必要なタスクを実行することができる。
【0033】
本明細書で開示される、特定の構造的および機能的細目は、本発明の例示的実施形態を記述するための描写にすぎない。もっとも、本発明は多数の代替形態で具現化することが可能であり、本明細書に記載の実施形態のみに限定されるものと解釈すべきではない。
【0034】
第1の、第2の、などといった用語は、本明細書において、さまざまな要素を説明するために使用され得るが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるものでないことは理解されよう。こうした用語は、ある要素を、別の要素から区別するためだけに使用される。たとえば、例示的実施形態の範囲を逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことが可能であり、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことも可能である。本明細書で用いられる、「および/または」、「かつ/または」といった用語は、列挙される1つ以上の関連項目の任意の組み合わせ、およびすべての組み合わせを包含する。
【0035】
ある要素が、別の要素と「接続」または「結合」していると表現される場合、前者は後者に対し、直接的に接続または結合されてよく、また、介在要素が存在してもよいということは理解されよう。それに対し、ある要素が、別の要素と「直接的に接続」または「直接的に結合」していると表現される場合では、介在要素は存在しない。要素間の関係を記述するのに用いられる、その他の語についても同様に解釈されたい(たとえば、「間」と「間で直接的に」、「隣接」と「直接的に隣接」、など)。
【0036】
本明細書で用いられる術語は、特定の実施形態だけを記述するためのものであり、例示的実施形態を限定する意図はない。文脈上、別段の明確な断りがない限り、本明細書において、「a」、「an」、「the」などの単数的な表現は、複数的な表現も包含することを意図している。さらに、「備える」、「備えている」、「含む」、および/または「含んでいる」といった用語は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/またはコンポーネントの存在を明示するものの、それら以外の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、および/またはその群が、1つ以上存在すること、または追加されることを排除するものではないことも理解されよう。
【0037】
いくつかの代替的実装形態では、記された機能/作用が、図に記された順序から外れて生じ得ることにも留意されたい。たとえば、連続で示された2つの図は、関連する機能/作用に応じて、事実上同時に実行することも、ときには逆順で実行することも可能である。
【0038】
別段の定義づけがない限り、本明細書で用いられるすべての用語(技術的および学術的用語も含む)は、例示的実施形態が属する技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を持つ。さらに、たとえば一般的に使用される辞書で定義されるような用語は、関連技術分野の文脈においてそれらが持つ意味と矛盾しない意味を持つものと解釈すべきであり、本明細書で特別な定義づけがなされない限りは、理想化された、または過度に形式的な意味に解釈されるものではないということも理解されよう。
【0039】
例示的実施形態の部分、および対応する詳細な記述は、ソフトウェア、または、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズムおよび記号的表現という形で提示される。当業者は、こうした記述および表現を通じて、それらの働きの要旨を、別の当業者へと効果的に伝える。本明細書において、また一般に広く使用される用語である、アルゴリズムとは、所望の結果を導く、自己矛盾のない一連のステップであると理解される。これらのステップは、物理量の物理的操作を要するものである。一概にはいえないが、通常であれば、これらの量は、格納、転送、合成、比較、およびその他の操作が可能な、光学的、電気的、または磁気的な信号の形態をとる。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、言葉、数、などと表現することが、主に慣例であるという理由から、好都合な場合もあることが証明されている。ただし、これらおよび同様の用語はすべて、適切な物理量に関連づけられるべきであり、こうした量に付される便宜上のラベルにすぎないことに留意されたい。
【0040】
以下の記述では、演算の作用および記号的表現(たとえば、フローチャートの形をとる)を参照しながら、例示的実施形態が説明される。この演算は、特定のタスクを実行または特定の抽象データ型を実装し、既存のネットワーク要素において既存のハードウェアを用いて実装可能な、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、などを含む、プログラムモジュールまたは機能処理として実装が可能である。そのような既存のハードウェアとしては、1つ以上の、中央処理ユニット(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)コンピュータ、などを挙げることができる。
【0041】
別段の具体的言明がない限り、またはその論述から明白ではない限り、「処理する」、「計算する」、「算定する」、「決定する」、「表示する」、などの用語は、コンピュータシステムまたは類似する電子コンピューティングデバイスの動作および処理のことを指し、こうしたコンピュータシステムや類似の電子コンピューティングデバイスは、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内で、物理的、電子的な量として表現されるデータを操作し、コンピュータシステムメモリやレジスタ、またはそれ以外の同様の情報ストレージ、送信もしくは表示デバイスにおいて同じく物理量として表現される、他のデータへと変換する。
【0042】
なお、ソフトウェア実装される例示的実施形態の態様は、通例、非一時的媒体など、何らかの形態のプログラム記憶媒体上で符号化され、何らかの型の伝送媒体上で実装されることにも留意されたい。このプログラム記憶媒体は、磁気的(たとえば、フロッピーディスクやハードドライブ)または光学的(たとえば、コンパクトディスクリードオンリメモリ、すなわち「CD ROM」)なものとすることができ、リードオンリでもランダムアクセスでもよい。同様に、この伝送媒体は、撚り対線、同軸ケーブル、光ファイバ、または当技術分野で知られている、その他何らかの好適な伝送媒体とすることができる。例示的実施形態は、所与の実装形態が持つ、こうした態様によって限定されるものではない。
【0043】
図2は、例示的実施形態による、HetNetを示している。HetNet200は、MC1を含むことができる。MC1は、地理的エリア201にサービスする、キャリア周波数F1を有するマクロセルを示している。MC2は別のマクロセルを示しており、同一の地理的エリア201をカバーする、キャリア周波数F2を持つ。他の実施形態では、MC1およびMC2によってカバーされる地理的エリアは、同一でも不同でもよい。さらに、F1とF2は、重なり合っていてもよく、重なり合っていなくてもよい。
【0044】
MC1は、基地局202を含んでいる。1つ以上のUE203は、MC1のサービスエリア下にあるとき、基地局202を用いて通信を確立することができる。さらに、1つ以上のスモールセル(SC1−SC6)が存在し、それらは図示の通り、キャリア周波数F2、F3、およびF4を持ち得る。スモールセルSC1−SC6の地理的サービスエリアは、互いに重なり合っていてもよく、重なり合っていなくてもよい。SC1−SC6のキャリア周波数は、他のMCおよび/または他のSCのキャリア周波数と重なり合っていてもよく、重なり合っていなくてもよい。UE203は、1つ以上のSCおよび/またはMCのサービスエリア内に存在し得る。
【0045】
HetNet200は、限定するものではないが、ロングタームエボリューション(LTE)通信技術、Global System for Mobile Communications(GSM(登録商標))通信技術、アドバンスドLTE通信技術、汎用パケット無線サービス(GPRS)通信技術、符号分割多元接続(CDMA)通信技術、などのうち、いずれか1つに基づくものとすることができる。HetNet200は、例示した通信技術のうち、2つ以上に基づくものとすることもできる。たとえば、
図2のMC1およびMC2は、同一の通信技術に基づくものであってもよく、そうでなくてもよい。基地局202は、MC1の通信システムに対応する基地局となり得る(たとえば、MC1がLTE通信技術に基づくものであれば、eNode Bとなり得る。したがって、本明細書で用いられる場合、「基地局」という用語は、進化型Node B(enhanced Node B:eNB)、基地局装置(BTS)、NodeB、アクセスポイント(AP)、などと同義かつ/またはこれらを指すものとみなすことができ、あるいは、各通信技術に応じた、ネットワークと1人以上のユーザとの間でのデータおよび/または音声接続性のための無線ベースバンド機能を提供する、装置を表現する場合もある)。スモールセルSC1−SC6は、限定するものではないが、1つ以上の、ピコセル、フェムトセル、メトロセル、などとなり得る。SC1−SC6は、上で示した例示の通信技術のうち、1つ以上に基づくものとすることができる。SC1−SC6は、MC1および/またはMC2の通信技術とは異なる、1つ以上の通信技術に基づくものとすることができる。さらに、これらのマクロおよびスモールセルにより、複数のキャリアが使用されてよい。
【0046】
図3は、例示的実施形態による、ユーザ装置(UE)を示している。
図3に示すように、UE203は、少なくとも、選択モジュール305、プロセッサ310、およびメモリ315を含んでいる。プロセッサ310とメモリ315は、協働してUE203の機能を実行する。たとえば、メモリ315は、UEの機能(たとえば、データ転送、制御情報のシグナリング/ハンドリング、など)に関する、コードセグメントを記憶し得る。このコードセグメントが、順次、プロセッサ310によって実行され得る。また、メモリ315は、プロセッサ310によって使用される、1つ以上の処理変数および定数も記憶し得る。プロセッサ310とメモリ315に関するさらなる詳細は、当業者によって知られているところであり、簡潔なものとするため、これ以上は論じない。
【0047】
選択モジュール305は、追加のプロセッサ(図示なし)を含むハードウェアとすることができる。一例として、選択モジュール305は、選択機能、たとえば、ソフトウェア命令を実行するように構成された、自立型のハードウェア要素(たとえば、プロセッサおよびメモリ)を含む、特定用途向け集積回路(ASIC)とすることができる。あるいは、またはそのうえで、選択モジュール305は、以下で説明するキャリア選択機能を実行するために、プロセッサ310およびメモリ315と協働するように構成された、ソフトウェアモジュールとすることもできる。
【0048】
図4は、例示的実施形態による、HetNetにおける負荷分散化のためのアイドルUE再分配方法に関するフローチャートを示している。
図4に記述された方法は、「キャリア毎ベース」の方法と呼ぶことができる。
図5は、例示的実施形態による、キャリア毎ベースの方法の仕組みを示している。キャリア毎ベースの方法を説明する際には、
図4と
図5の両方が参照されることになる。
【0049】
S405において、プロセッサ310は、UE203がアイドルモードかどうかを決定する。アイドルモードにあるUE、というものについては、当業者によって知られている。一例として、あるUE(たとえば、UE105)は、RRC接続が確立されているときには、接続されている(たとえば、RRC_CONNECTED状態)。そうでない場合、このUEはアイドルモードにある(たとえば、RRC_IDLE状態)。仮に、S405において、UE203はアイドルモードではないとプロセッサ310が決定すれば、他の何らかの処理が実行される。
【0050】
しかし、S405において、UE203はアイドルモードにあるとプロセッサ310が決定すれば、S410において、UE203のプロセッサ310は、ネットワークエンティティからメッセージを受信することができる。このネットワークエンティティは、
図2に示した、マクロセルMC1の基地局202とすることができる。受信したメッセージは、UE向けの再分配情報を含む、システム情報ブロック(SIB)メッセージとなり得る。この受信したメッセージは、再分配メッセージ、および/または選択メッセージとも呼ばれ得る。再分配メッセージは、2つのリストを含むことができる。この2つのリストは、
図5に示す、リスト501およびリスト502とすることができる。第1のリスト501は、あるアイドルUEが、移行先となるスモールセルのキャリア周波数を選択する確率(Psmc)を含むことができる。リスト501は、確率リストと呼ぶこともできる。このリスト501はさらに、隣接キャリア周波数、および対応する再分配確率を含んでいる。たとえば、リスト501は、「F11 Probability:P11」というエントリを含む。「F11 Probability:P11」とは、ネットワークエンティティからメッセージを受信したアイドルUEが、同UEが属する現在のキャリア周波数からの移行先となる隣接マクロセルキャリア周波数F11を、P11という確率で選択するということを意味する。例示的一実施形態では、隣接マクロセル周波数は、受信するメッセージの送信元である、同一マクロセルのものとするか、または他のマクロセルに関連づけられたものとすることができる。第2のリスト502は、隣接スモールセルリストであり、隣接スモールセルの周波数を含むことができる。
【0051】
メッセージの受信後、プロセッサ310は、アイドルUE203が動作するキャリア周波数を決定するための、確率論的キャリア周波数選択処理を実行するかどうかを決定することができる。確率論的キャリア周波数選択処理は、ランダム化テストと呼ぶこともできる。キャリア周波数選択処理を実行するかどうかの決定は、以下のようなものとなり得る。
【0052】
S415において、プロセッサ310は、受信したメッセージがリスト501を含むかどうかを決定することができる。含まない場合、処理はS420へと移り、そこでプロセッサ310によって確率論的対象キャリア周波数決定が実行されず、同処理は以下で説明するS490へと進み得る。しかし、S415にて、受信したメッセージにはリスト501が含まれるとプロセッサ310が決定した場合、S425において、プロセッサ310は、UE203に現在サービスしているセルに関する新しいセル識別子を、UE203が検出しているかどうかを決定することができる。UE203は、新たなセルIDを、既に知られている方法、または今後発展していく方法に基づいて検出することができる。たとえば、UE203は、自身が他のセル(たとえば、スモールセルおよび/またはマクロセル)から受信した信号の測定に基づき、新たなセルIDを検出することができる。
【0053】
S425において、プロセッサ310が、UE203は新たなセルIDを検出していると決定した場合、同プロセッサは、以下で説明するS435を続けて実行する。しかし、S425にて、プロセッサ310が新たなセルIDを検出しない場合、S430において、プロセッサ310は、受信したメッセージがランダム化ビットを含むかどうかを決定する。例示的一実施形態では、このランダム化ビットは、「0」か「1」というビット、すなわち「yes」か「no」、かつ/または、プロセッサ310がランダム化テストを実施することになるか否かを示すのに使用可能な、その他任意の記号とすることができる。たとえば、ランダム化ビットが「1」、すなわち「yes」、または値に変化がある場合、プロセッサ310は、ランダム化テストを開始するために、S435を続けて実行する。S430において、ランダム化ビットはランダム化テストが実行予定にないと示している(たとえば、ランダム化ビットが「0」、または値に変化がなく、すなわち「no」を示している)とプロセッサ310が決定した場合、処理はS420へと進み得る。このとき、ランダム化テストは実行されない。
【0054】
キャリア周波数選択処理は、以下で説明するように、S435−S465において実施され得る。S435において、プロセッサ310は、乱数(たとえば、0から1の間で)を生成することができる。この乱数は、0から1までの範囲で均等に分布したものとなり得る。プロセッサ310は、生成した乱数を、求められた/提供された確率のうちの1つと、マッチさせることができる。例示的一実施形態では、これらの確率は、0から1までの範囲における小数部という形で表現される。別の例示的実施形態では、これらの確率が、0から100%までの百分率という形で表現されてもよい。よって、この乱数は、0から100までのものとなり得る。概して、この乱数の範囲は、受信したメッセージの1リスト内に列挙された確率の範囲と対応し得る。
【0055】
S440において、プロセッサ310は、生成した数を、アイドルUE203が関連する現在のキャリア周波数にアイドルUE203が留まる確率、S410で受信したリスト501に含まれるスモールセルへと移行する確率(P
smc)、および、S410で受信したリスト501に含まれるマクロセルの隣接キャリア周波数(たとえば、F
11からF
1n)へと移行する確率のうちのある1つの確率のうち、ある1つとマッチさせることができる。マッチされた確率は、それに関連づけられたキャリア周波数を持つことができ、以下、この周波数は、対象キャリア周波数と呼ばれ得る。たとえば、
図5を参照すると、乱数がP
12とマッチする場合、対象キャリア周波数はF
12となる。
【0056】
例示的一実施形態では、プロセッサ310は、アイドルUE203が現在のキャリアに留まる確率を、次式のように求めることができる。
P
sv+P
smc+P
11+P
12+…+P
1n=1 (1)
上式において、P
svは、アイドルUE203が自身の現在のキャリア周波数に留まる確率を示し、P
smc、P
11、…P
1nは、リスト501内にネットワークエンティティによって提供される。
【0057】
S445において、プロセッサ310は、生成した乱数が、リスト501に含まれる隣接マクロセル周波数と関連づけられた確率の1つと、マッチするかどうかを決定することができる。S445にて、生成した数が(リスト501に含まれる)隣接マクロセル周波数と関連づけられた確率の1つとマッチするとプロセッサ310が決定した場合、S450において、プロセッサ310は、UEの優先度リスト(たとえば、
図5に示すリスト503)内で、生成した乱数とマッチする確率の1つに関連づけられたキャリア周波数に対し、最高の優先度値を付与する。その後、処理は、以下で説明するS465へと進み得る。
【0058】
しかし、S445にて、生成した乱数が、リスト501に含まれる隣接マクロセル周波数と関連づけられた確率のいずれともマッチしないとプロセッサ310が決定した場合、S455において、プロセッサ310は、生成した乱数が、リスト501に含まれるP
smcとマッチするかどうかを決定する。生成した乱数がP
smcとマッチすれば、S460において、プロセッサ310は、リスト502に提供されるすべてのスモールセル周波数(たとえば、F
21からF
2m)に対し、最高の優先度を付与する。換言すれば、アイドルUEがその現在の関連づけられたキャリア周波数から移行するべきであるとき、F
21からF
2mのいずれか1つが利用可能であれば、プロセッサ310は、F
21からF
2mのうちの1つへと移行するか、その1つへのアイドルハンドオーバを実行する。生成した乱数と確率がマッチしているキャリア周波数は、対象キャリア周波数と呼ぶことができる。S455において、生成した乱数はP
smcとマッチしないとプロセッサ310が決定すれば、処理は、以下で説明するS490へと進む。
【0059】
S465において、プロセッサ310は、アイドルUE203が過去に関連づけられていたセルのソースセルIDに対し、最低の優先度値を付与することができる。たとえば、
図2に示すように、SC1、SC2、およびSC4は、キャリア周波数F3に関連づけられている。現在のセル(たとえば、MC1)に先立ち、アイドルUE203は以前、セルID SC1に関連づけられていたと仮定する。このとき、対象キャリア周波数がF3であれば、UE203は、SC1、SC2、またはSC4のいずれか1つを再選択することができる。ただし、SC1(たとえば、最終ソースセルID)を再度選択してしまうと、上で説明した、ピンポン問題が生じるおそれがある。したがって、SC2およびSC4に対しては、SC1よりも高い、UE203による選択対象としての優先度が与えられてよい。
【0060】
上で触れた優先度リスト503について、ここで説明する。例示的一実施形態では、
図5に示すように、アイドルUE203は、優先度リスト503を持つことができる(このリストは、UE203のメモリ315に保存され得る)。UE203の優先度リスト503に含まれる、F
11からF
1nの選択に関連づけられた優先度は、ネットワークエンティティから受信したメッセージより取得することができる。このメッセージは、システム情報ブロック(SIB)メッセージとすることができる。プロセッサ310は、優先度リスト503に基づき、アイドルUE203はどのキャリア周波数に移行すべきかを決定する。たとえば、生成した乱数がP
smcにマッチすると仮定する。よって、このとき対象キャリア周波数はスモールセルの周波数(たとえば、F
21からF
2m)であるから、プロセッサ310は、F
21からF
2mのうちの1つへの移行をまず試みる。F
21からF
2mのうちの1つが移行先として利用可能であれば(たとえば、過負荷でなければ)、プロセッサ310は、UE203の現在のキャリア周波数から、このF
21からF
2mのうちの1つへと移行する。F
21からF
2mのうち、複数が移行先として利用可能であれば、プロセッサ310は、等しい確率で、利用可能なF
21からF
2mのうちの1つを選択する。しかし、F
21からF
2mがすべて過負荷であると仮定すれば、優先度リスト503に基づき、プロセッサ310は、優先度が上から下まで降順で列挙されているものとみなし(たとえば、優先度11>優先度12>優先度13>…>優先度1n)、F
11を移行先として選択する。
【0061】
再度、
図4を参照する。S470において、プロセッサ310は、UE203の現在のキャリア周波数からのUE203の移行先として、対象キャリア周波数が利用可能かどうか(たとえば、UEが対象キャリア周波数のサービスエリア内にいるかどうか)を決定する。S470において、対象キャリア周波数が検出されていないとプロセッサ310が決定した場合、処理はS490へと進み、そこでプロセッサ310が、アイドルUE203は現在のキャリア周波数/UE203にサービスしている現在のセルに留まるべきであると決定する。
【0062】
しかし、S470にて、対象キャリア周波数が利用可能であるとプロセッサ310が決定した場合、S475において、プロセッサ310は、対象キャリア周波数が、S465に関して上で説明した、最終ソースセルのキャリア周波数と一致するかどうかを決定する。S475において、対象キャリア周波数が、アイドルUE203に関連づけられた最終ソースセルのキャリア周波数と一致しないとプロセッサが決定した場合、処理はS485へと進み、そこでプロセッサ310は、アイドルUE203のキャリア周波数を、たとえば、対象キャリア周波数へのUE203のアイドルハンドオーバのように、その現在のキャリア周波数から、対象キャリア周波数へと変更する。
【0063】
S475にて、対象キャリア周波数が、UE203に関連づけられた最終ソースセルのキャリア周波数と一致するとプロセッサ310が決定した場合、S480において、プロセッサ310は、タイマが時間切れとなっているかどうかを決定する。このタイマは、UE203がその最終ソースセルのキャリア周波数からUE203が現在属しているセルのキャリア周波数へとハンドオーバされてからの、時間期間を記録/監視することができる。タイマは、メモリ315に記憶された命令の一部として、プロセッサ310によって実行されるものであってよい。
【0064】
この時間期間が閾値を超過した場合、プロセッサ310はタイマが時間切れだと決定する。この閾値は、UE203内に事前構成され、実証研究に基づいて選択された、設計パラメータとすることができる。タイマが時間切れでなければ、プロセッサは、上で説明したS490を続けて実行し得る。
【0065】
しかし、タイマは時間切れであるとプロセッサ310が決定した場合、S485において、プロセッサ310は、アイドルUE203の現在のキャリア周波数を、対象キャリア周波数へと変更することができる。
【0066】
プロセッサが、UE203の現在のキャリア周波数に留まることを決定した場合、S495において、プロセッサ310は、S460でスモールセルキャリア周波数に、優先度リスト503内の最高の優先度値が付与されているかどうかを決定する。もし付与されていれば、処理はS470に復帰し、UE203がスモールセルキャリア周波数の存在を検出するまで、S470−S495は周期的に繰り返されてよい。しかし、S495において、スモールセルキャリア周波数に最高の優先度値が付与されていないとプロセッサ310が決定すれば、処理はS405に戻ることができ、S405−S495が繰り返されてよい。
【0067】
スモールセルのオフロードについては、スモールセルはマクロセルキャリアと完全に重畳しており、他のスモールセルとも完全に/部分的に重畳していることから、確率設定は、マクロオンリシステムの場合と同じくすべきである。このマクロオンリシステムは、本出願人によって出願された、米国特許出願第13/552,008号に記述されており、その内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
2つ以上の重畳スモールセルが過負荷であり、マクロセルへのオフロードを必要とする場合、これらのスモールセルは、1つずつ、オフロードを実行することができる。マルチセルがループでピンポンしてしまうのを防止するため、スモールセルのオフロード実行時、過負荷となっている他のスモールセルのキャリア周波数は、対象マクロセルにおけるスモールセル隣接リストから削除されるべきである。
【0069】
図6は、例示的実施形態による、HetNetにおける負荷分散化のためのアイドルUE再分配方法に関するフローチャートを示している。
図6に記述された方法は、「キャリア毎セル毎ベース」の方法と呼ぶことができる。
図7は、例示的実施形態による、キャリア毎セル毎ベースの方法の仕組みを示している。キャリア毎セル毎ベースの方法を説明する際には、
図6と
図7の両方が参照されることになる。
【0070】
S600において、プロセッサ310は、UE203がアイドルモードかどうかを決定する。アイドルモードにあるUE、というものについては、当業者によって知られている。一例として、あるUE(たとえば、UE105)は、RRC接続が確立されているときには、接続されている(たとえば、RRC_CONNECTED状態)。そうでない場合、このUEはアイドルモードにある(たとえば、RRC_IDLE状態)。仮に、S600において、UE203はアイドルモードではないとプロセッサ310が決定すれば、他の何らかの処理が実行される。
【0071】
しかし、S600において、UE203はアイドルモードにあるとプロセッサ310が決定すれば、S605において、UE203のプロセッサ310は、ネットワークエンティティからメッセージを受信することができる。このネットワークエンティティは、
図2に示した、マクロセルMC1の基地局202とすることができる。受信したメッセージは、上で説明したSIBメッセージとすることができる。この受信したメッセージは、再分配メッセージとも呼ぶことができる(選択メッセージとも呼ばれ得る)。再分配メッセージは、2つのリストを含むことができる。この2つのリストは、
図7に示す、リスト701およびリスト702とすることができる。第1のリスト701は、隣接キャリア周波数、および対応する再分配確率を含むことができ、この隣接マクロセルキャリア周波数は、受信するメッセージの送信元であるマクロセルのキャリア周波数に隣接したものとなる。たとえば、リスト701は、「F11 Probability:P11」というエントリを含む。「F11 Probability:P11」とは、ネットワークエンティティからメッセージを受信したアイドルUEが、同UEが属する現在のキャリア周波数からの移行先となる隣接マクロセルキャリア周波数F11を、P11という確率で選択するということを意味する。例示的一実施形態では、隣接マクロセル周波数は、受信するメッセージの送信元である、同一マクロセルのものとするか、または他のマクロセルに関連づけられたものとすることができる。受信したメッセージはさらに、以下で説明する、ランダム化ビットを含むことができる。このランダム化ビットは、ある対象キャリア周波数が決定されるかどうかを、決定する際に使用され得る。
【0072】
受信したメッセージはさらに、第2のリスト702を含むことができる。第2のリスト702は、再分配確率リスト(選択確率リストとも呼ぶことができる)を含むことができる。このリストは、各スモールセルについての、対応するセルID、対応するキャリア周波数、および関連づけられた確率を列挙したものである。たとえば、リスト702の第1のエントリは、スモールセル1(SC1)が確率P
sc1で選択される可能性があり、SC1に関連づけられたキャリア周波数はF
21であることを示している。
【0073】
メッセージの受信後、プロセッサ310は、アイドルUE203が動作するキャリア周波数を決定するための、キャリア周波数選択処理を実行するかどうかを決定することができる。キャリア周波数選択処理は、上でも論じた、確率論的キャリア周波数選択処理とすることもできる。アイドルUE再分配のために、キャリア周波数選択処理を実行するかどうかの決定は、以下のようなものとなり得る。
【0074】
S610において、プロセッサ310は、受信したメッセージが第1および第2のリスト(再分配確率リスト)を含むかどうかを決定する。受信メッセージが第1および第2のリストを含まない場合、処理はS650へと進むことができる。S650は、上で説明したS420と同一である。その後、処理はS655へと進むことができる。S655は、上で説明したS490と同一である。しかし、同メッセージが第1および第2のリストを含む場合、S615において、プロセッサ310は、UE203に現在サービスしているセルに関する新しいセル識別子を、UE203が検出しているかどうかを決定する。たとえば、UE203がオーバヘッドメッセージを受信した後、プロセッサ310は、検出されたセルIDを、過去に受信し格納した、サービングセルIDと比較することができる。UE203は新たなセルIDを持つ新たなサービングセル内にいると、プロセッサ310が決定した場合、処理は、以下で説明するS630へと進む。第1および第2のリストは、
図3に示した、UE203のメモリ315に記憶されてよい。
【0075】
S615にて、UE203の現在のサービングセルが持つセルIDは変更されていないと、プロセッサ310が決定すれば、S620において、プロセッサ310は、少なくとも1つのスモールセルが、UE203によって検出されているかどうかを決定することができる。少なくとも1つのスモールセルの検出は、
図4のS425に関して上で説明したものと同じであってよい。スモールセルが少なくとも1つは検出されているとプロセッサ310が決定した場合、処理は、以下で説明するS630へと進む。
【0076】
S620にて、スモールセルは検出されていないとプロセッサ310が決定すれば、S625において、プロセッサ310は、受信したメッセージに含まれるランダム化ビットが、ある対象キャリア周波数が決定されると示しているかどうかを決定する。このランダム化ビットは、キャリア周波数選択処理ビットとも呼ぶことができる。ランダム化ビットは、たとえば、0、または1、とすることができ、このとき1は対象キャリア周波数がランダム化を用いて決定されるということを示し、0は対象キャリア周波数がランダム化を用いて決定されないということを示す。ビット値の変化が、ランダム化によって対象周波数を決定する必要があるということを示してもよい。ランダム化ビットは、対象キャリア周波数が決定されることになるか否かを正しく示すことのできる、その他の記号を含んでもよい。
【0077】
ランダム化ビットはキャリア周波数選択処理が実行されることを示していると、プロセッサ310が決定した場合、処理は、以下で説明するS630へと進む。しかし、ランダム化ビットはキャリア周波数選択処理が実行されるべきでないことを示していると、プロセッサ310が決定した場合、処理は、上で説明したS650へと進む。
【0078】
以下、このキャリア周波数選択処理について、S630からS−640を参照しながら説明する。S630において確率論的キャリア周波数選択処理を実行する際、プロセッサ310は、乱数(たとえば、0から1の間で)を生成することができる。この乱数は、0から1までの範囲で均等に分布したものとなり得る。プロセッサ310は、生成した乱数を、求められた/提供された確率のうちの1つと、マッチさせることができる。上で説明した乱数の範囲は、メッセージに含まれる確率の範囲と対応し得る。
【0079】
S635において、プロセッサ310は、生成した数を、アイドルUE203が関連する現在のキャリア周波数にアイドルUE203が留まる確率、検出されたスモールセルへと移行する確率(SC1が検出されているか、新たなマクロセルIDである場合、P
sc1)、および、マクロセルの隣接キャリア周波数(たとえば、F
11からF
1n)へと移行する確率のうちの1つとマッチさせることができる。マッチされた確率は、それに関連づけられたキャリア周波数を持つことができ、以下、この周波数は、対象キャリア周波数と呼ばれ得る。たとえば、
図7を参照すると、乱数がP
12とマッチする場合、対象キャリア周波数はF
12となる。例示的一実施形態では、新たなスモールセルIDが2つ以上、または検出されたスモールセルが2つ以上存在し得る。
【0080】
例示的一実施形態では、プロセッサ310は、アイドルUE203が現在のキャリアに留まる確率を、次式のように求めることができる。
P
sv+P
sc1+…+P
sck+P
11+P
12+…+P
1n=1 (2)
上式において、P
svは、アイドルUE203が自身の現在のキャリア周波数に留まる確率を示し、P
sc1+…+P
sckは、検出された新たな重畳スモールセルIDかつ/または検出された重畳スモールセルに相当し、P
11、…P
1nは、リスト701内にネットワークエンティティによって提供される。
【0081】
その後、S640において、プロセッサ310は、
図4に関して上で説明した、S445−S490のステップを実行することができる。
【0082】
スモールセルのオフロードについては、スモールセルがマクロセルキャリアと、また適用可能であれば他のスモールセルとも完全に重畳していることから、確率設定は、マクロオンリシステムの場合と同じくすべきである。このマクロオンリシステムは、本出願人によって出願された、米国特許出願第13/552,008号に記述されており、その内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0083】
少なくとも1つのスモールセルをマクロレイヤへとオフロードする際には、対象マクロレイヤにおいてブロードキャストされる、スモールセルのオフロードに対応する確率は、0に設定すべきである。これにより、マクロレイヤへとオフロードされるUEが、前のソーススモールセルとの間でピンポンされることが防がれる。
【0084】
図8は、例示的実施形態による、HetNetにおける負荷分散化のためのアイドルUE再分配方法に関するフローチャートを示している。
図8に記述された方法は、「セル毎UE毎ベースの個別優先度(per cell per UE based dedicated priority)」方法と呼ぶことができる。
図9は、例示的実施形態による、セル毎UE毎ベースの個別優先度方法の仕組みを示す図である。セル毎ベースの個別優先度方法を説明する際には、
図8と
図9の両方が参照されることになる。
【0085】
S805において、プロセッサ310は、UE203がアクティブ状態からアイドル状態へと移行したかどうかを決定することができる。このようなアクティブモードからアイドルモードへの移行に関する決定は、当技術分野で知られている任意の方法を介したものであってよい。S805において、プロセッサ310は、UE203はアクティブモードのままであると決定すれば、何らかの他の処理を実行することができる。
【0086】
S805にて、UE203はアイドル状態に移行しているとプロセッサ310が決定すれば、S810において、UE203のプロセッサ310は、ネットワークエンティティからメッセージを受信することができる(たとえば、アクティブモードからアイドルモードへの移行時に、UE203はこのメッセージを受信することができる)。このネットワークエンティティは、たとえば、
図2に示した、マクロセルMC1の基地局202とすることができる。受信したメッセージは、ユニキャストメッセージとすることができる。例示的一実施形態では、ネットワークエンティティは、UEがアクティブからアイドルモードへと移行するときに、利用可能なスモールセルが1つ以上過負荷となっていると自身が決定した場合には、いつでもメッセージを送信することができる。ネットワークで送信され、UEが受信するメッセージは、LTEシステムにおける接続解除メッセージ901とすることができる。メッセージ901は、過負荷である、かつ/またはそう懸念される(たとえば、過負荷目前である、近い将来に過負荷となることが基地局によって予想される、など)セルID(たとえば、スモールセルおよび/またはマクロセル)のエントリを含むことができる。メッセージのエントリには、こうしたセルIDに加え、これらのセルIDに関連づけられたキャリア周波数が含まれてよい。
【0087】
S815において、UE203のプロセッサ310は、UE203に既に存在している優先度リスト(優先度リスト902など)を更新することができる。この優先度リストには、プロセッサ310がUE203の現在のキャリア周波数からの変更先として決定する可能性のある、複数の対象キャリア周波数が含まれてよい。例示的一実施形態では、更新された優先度リストは、ネットワークエンティティから受信したメッセージ901に含まれる、過負荷となっているセルのキャリア周波数に対し、最低の優先度を付与することができる。UE203の優先度リスト902も、上で説明したものと同様であってよく、UE203のメモリ315に記憶されてよい。例示的一実施形態では、SC1は過負荷であるとメッセージが示す場合、プロセッサ310は、UEの優先度リスト902内で、SC1のF
xに対し、より低い優先度レベルを付与する。
【0088】
S820において、プロセッサ310は、最高の優先度値を持つ、複数の対象キャリア周波数のうちの1つを選択することができる。たとえば、プロセッサ310は、UE203の優先度リスト902から、対象キャリア周波数の優先度値を指定することができる。その後、S825において、プロセッサ310は、その選択した対象キャリア周波数が利用可能かどうかを決定することができる。たとえば、プロセッサ310は、選択された対象キャリア周波数の可用性を、選択された対象キャリア周波数から受信した信号を検出/測定することによって決定することができる。
【0089】
S825にて、対象キャリア周波数が利用可能であるとプロセッサ310が決定した場合、S835において、プロセッサ310は、アイドルUE203の現在のキャリア周波数を対象キャリア周波数へと変更し、UEアイドルハンドオーバを対象キャリア周波数へと変更することができる。
【0090】
しかし、S825にて、対象キャリア周波数が利用可能ではないとプロセッサ310が決定した場合、S830において、プロセッサ310は、優先度リスト902で次に高い優先度を持つ、別の対象キャリア周波数を選択することができる。その後、処理はS825に復帰し、S825−S835が繰り返されてよい。
【0091】
図9に示す例示的一実施形態は、すべてのスモールセルが過負荷となっていると仮定し、プロセッサ310が、S805で受信したメッセージに基づいて、これらのスモールセル(たとえば、SC1からSCn)のキャリア周波数に対し、最低の優先度を付与する。その後、S825において、プロセッサ310は優先度リスト902に基づき、P
11がP
12、P
13、…P
1nよりも大きいという前提で、UE203の現在のキャリア周波数からの切り替え先として、F
11を選択することができる。しかし、プロセッサ310は、F
11が利用可能でないと決定すれば、次に高い優先度値を持つ、次のキャリア周波数(たとえば、F
12)を、(P
12はP
13、P
14、…P
1nよりも大きいという仮定)選択することができる。
【0092】
例示的一実施形態では、UE302にタイマが組み込まれてよい。ある時間期間(たとえば、優先度が下げられたセルからのUEアイドルハンドオーバ時に始動したタイマの時間から)が所与の閾値を超過すると、優先度リスト902内に、最低の優先度が付与された任意の優先度の下げられたスモールセルは、プロセッサ310によって優先度リスト902から削除されてよい。この閾値は、UEに対し事前構成され、実証研究に基づいて選択された、設計パラメータとすることができる。
【0093】
例示的実施形態を詳細に示し説明したが、当業者であれば、特許請求の趣旨および範囲から逸脱することなく、その形態や細部の変形がなされ得ることは理解されよう。
【0094】
ここに説明した発明は、さまざまな方法で多様化され得ることも明白であろう。このような変形は、本発明からの逸脱とはみなされず、また、このような修正の一切は、本発明の範囲に包含されることが意図される。