(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682583
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】陰圧光線療法および熱的に促進される酸素化の一方または両方を用いた創傷ケアの方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20200406BHJP
A61N 1/06 20060101ALI20200406BHJP
A61F 7/03 20060101ALI20200406BHJP
A61N 5/06 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
A61M27/00
A61N1/06
A61F7/08 332A
A61N5/06 B
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-154410(P2018-154410)
(22)【出願日】2018年8月21日
(62)【分割の表示】特願2016-197179(P2016-197179)の分割
【原出願日】2012年4月26日
(65)【公開番号】特開2018-202192(P2018-202192A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2018年8月24日
(31)【優先権主張番号】13/359,210
(32)【優先日】2012年1月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/479,156
(32)【優先日】2011年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513080416
【氏名又は名称】サーモテック インク
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】トニー クイゼンベリー
【審査官】
小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−524109(JP,A)
【文献】
特開2008−253337(JP,A)
【文献】
特開昭58−121964(JP,A)
【文献】
特許第6391651(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61F 7/03
A61N 1/06
A61N 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の層と、
前記第1の層に連結されて作動する第2の層と、
前記第1の層に連結されて作動し、陰圧供給源と流体接続する吸引管および、酸素源と流体接続する酸素源管を有する第3の層と、
前記第1の層と前記第2の層との間に配置されるとともに、前記創傷領域に直接接触するように配置されている光ファイバ・アレイと、を備え、
前記酸素源から前記酸素源管には、加熱または冷却された流体が流通し、
前記第3の層が、創傷領域に陰圧療法、酸素源処置、光線療法、および温熱療法を施す組合せ治療パッド。
【請求項2】
前記第1の層が、第1の中央間隙を有し、
前記第2の層が、前記第1の中央間隙と一致している第2の中央間隙を有している請求項1に記載の組合せ治療パッド。
【請求項3】
前記第2の層が、接着性底面を有する請求項1に記載の組合せ治療パッド。
【請求項4】
陥凹中央領域が、前記第3の層内に画定されている請求項1に記載の組合せ治療パッド。
【請求項5】
前記陥凹中央領域が、前記吸引管および前記酸素源管と流体接続している請求項4に記載の組合せ治療パッド。
【請求項6】
前記陥凹中央領域の外周を囲うように配置されているアンテナを備える請求項4に記載の組合せ治療パッド。
【請求項7】
前記アンテナが、パルス状の高周波信号を受信する請求項4に記載の組合せ治療パッド。
【請求項8】
前記第1の層、前記第2の層、および前記第3の層が、接着および溶接のうちの少なくとも1つにより結合されている請求項1に記載の組合せ治療パッド。
【請求項9】
前記酸素源から前記酸素源管に流通する流体が、酸素である、請求項1に記載の治療パッド。
【請求項10】
前記酸素が、熱電素子により加熱または冷却される、請求項9に記載の治療パッド。
【請求項11】
前記酸素が、約93%濃度の酸素ガスを含む酸素化ガスとして、1気圧から2気圧で送られる、請求項9に記載の治療パッド。
【請求項12】
前記アンテナが、前記創傷領域に前記パルス状の高周波信号を施す高周波アンテナである、請求項6または7に記載の治療パッド。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の治療パッドを含み、
前記治療パッドを介して前記創傷領域に前記酸素化療法、陰圧療法、前記光線療法、および前記温熱療法を施す、創傷領域を処置するための、治療システム。
【請求項14】
前記陰圧療法および前記酸素化療法が、前記治療パッドの共通ポートを介して施される請求項13に記載の創傷領域を処置する治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2012年1月26日付で出願された米国特許出願第13/359,210号の一部継続出願である。米国特許出願第13/359,210号は、2007年10月17日付で出願された米国特許出願第11/975,047号(現在は、米国特許第8,128,672号)の一部継続出願である。米国特許出願第11/975,047号は、2007年5月9日付で出願された米国特許出願第11/801,662号(現在は、米国特許第8,100,956号)の一部継続出願である。米国特許出願第11/975,047号は、2006年10月19日付で出願された米国特許仮出願第60/852,803号の優先権を主張し、その開示全体を参照により援用している。米国特許出願第11/801,662号(現在は、米国特許第8,100,956号)は、2006年5月9日付で出願された米国特許仮出願第60/798,982号の優先権を主張し、その開示全体を参照により援用している。本願は、2011年4月26日付で出願された米国特許仮出願第61/479,156号の優先権を主張し、目的に応じてその開示全体を参照により援用している。
【0002】
本特許出願は、2003年7月18日付で出願された米国特許仮出願第60/488,709号;2004年3月5日付で出願された米国特許仮出願第60/550,658号;および2004年7月19日付で出願された米国特許出願第10/894,369号に関連し、それらを参照により援用している。本特許出願は、同一出願人による特許出願第5,097,829号、同第5,989,285号、および同第6,935,409号を参照により援用している。
【0003】
本発明は、陰圧光線療法、パルス状の高周波(「RF」)、および熱的に促進される酸素化の一方または両方を用いた創傷ケアの方法およびシステムに関し、より詳細には、限定としてではないが、陰圧を生成して、創傷領域に対し、光線療法、および一実施形態においては、パルス状のRFまたは酸素化を用いて創傷清浄をし、それにより生成される高熱コントラスト・モダリティ(contrast modality)と併用して治癒させるように構成されているプログラム可能な創傷ケア制御装置に関する。
【背景技術】
【0004】
患者処置の重要な側面が創傷ケアである。医療施設では、皮膚創傷の清浄および処置のための先進技術を常に必要としている。皮膚創傷が大きいほど、創傷の閉鎖および感染防止の問題はより深刻である。したがって、創傷全体に亘る、創傷に隣接した上皮組織および皮下組織の遊走の速さは重大である。そのような創傷治癒のある側面に対処するデバイスが開発されかつ/または技術的に記載されてきた。例えば、Linaら(「Lina」)の特許文献1では、創傷の閉鎖を容易にする創傷治療デバイスが記載されている。創傷から流体を収集するために吸引ポンプが教示されている。創傷全体に亘って陰圧を利用して、創傷全体に亘る先述の上皮組織および皮下組織の遊走を推進することによる、創傷ドレナージの解決策が開示されている(特許文献2参照)。
【0005】
他の実施形態では、創傷処置は光線療法を用いて実施される。例えば、Hartら(「Hart」)の特許文献3では、人体の解剖学的特徴部の周囲に巻き付けることができる可撓性基板上に含まれている配列状の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を利用して、例えば関節炎、浮腫等の様々な医学的状態を処置する方法が記載されている。Vremanら(「Vreman」)の特許文献4では、可撓性裏当て材、透明裏地、および表面実装LEDを含む可撓性プリント回路シートを有する幼児用光線療法衣服が開示されている。LEDは、新生児高ビリルビン血症の処置に適した高輝度青色光を発することが好ましい。デバイスは携帯用電源を備え得る。
【0006】
他の実施形態では、創傷処置は酸素を使用して実施される。皮膚創傷の処置のための酸素の使用は、ある医療事例において非常に有益であると究明されている。利点は多数あり、治癒の急速性を含む。この理由で、システムは、創傷部位に高濃度の酸素を供給して、治癒過程を促進するために設計されてきた。例えば、Schersonら(「Scherson」)の特許文献5では、酸素生成包帯および酸素生成法が教示されている。Schersonに記載されている利益の1つが、皮膚創傷への高濃度高圧酸素の供給を調節する能力である。酸素は、皮膚創傷に所定の用量を直接当てることにおいて有益であるが、過剰な酸素は問題がある可能性がある。創傷部位に当てられる酸素は、新しい皮膚の成長を促すための血管の成長を誘発する。しかし、過剰な酸素は、毒性作用および創傷の治癒の停止に繋がる可能性がある。したがって、皮膚および組織液内への酸素の吸収率を高めることにより、創傷領域に当てられる酸素の有効性を最大限にすることがさらに有利であろう。創傷における酸素の吸収率を高めることにより、創傷を取り巻く内皮細胞に対する暴露時間が減少し、付随して、デバスキュレーション(devasculation)などの毒性副作用が減少する。したがって、患者治療の他の側面に向けられた既存の医療モダリティを利用して、創傷ケアのために酸素化を増大させることは、より有利であろう。
【0007】
患者温熱療法が、ある傷害および/または術後回復に非常に有利である可能性があることが、医療ケア提供者により長年受け入れられてきた。この理由で、温熱療法は進歩し、今日、術前環境および術後環境の両方で患者に局所温熱療法を提供する多くの信頼できる効率的なシステムが存在する。詳細には、細胞による酸素の吸収がコントラスト温熱療法により高まり、創傷領域は、酸素で飽和される前に温められ、その後冷やされる。
【0008】
第1の温熱療法システムに注目すると、パッドまたは対流温熱ブランケットを介して、温度制御された流体を送り、上記目的を達成するいくつかのデバイスが設計されてきた。通常、これらのデバイスは、加熱素子または冷却素子と、流体の供給源と、流体をパッドまたはブランケットに強制的に通すポンプと、患者と温度制御された流体との間の熱界面とを有する。例えば、Elkins(「Elkins」)の特許文献6は、伝導により選択的加熱または選択的冷却を実現する液体流路を含むマットレス・カバー・デバイスに関する。
【0009】
また、寝ている人に対して、簡単に加熱または冷却するためのデバイスが開発されてきている。例えば、寝ている人に熱を供給するために電気加熱素子を含む電気ブランケットが使用されてきた。同様に、Greene(「Greene」)の特許文献7で開示されているブランケットなどの冷却ブランケットも提案されてきた。Greeneは、その両端部にプレナム室を備えたインフレータブル・パッドを有する冷却カバーを開示している。冷たい空気が別個のユニット内で生成され、パッドに方向付けられ、パッドの下面における複数の開口部へ出て、カバーを使用している人の身体に当たる。
【0010】
使い捨て加熱または冷却用ブランケットがRaganら(「Ragan」)の特許文献8で開示されており、3層の可撓性シーツ地を有する。これらの層のうちの2層は空気室を形成しており、一方、第3の層は、患者と接触するのに快適な層を有している。調節された空気が、ブランケットの底層にある複数のオリフィスを介して、ブランケットに覆われている人の方へ向けられている。
【0011】
また、温度制御されたブランケットおよび寝具類アセンブリが、本発明の出願人に譲渡された、DeVilbissら(「DeVilbiss」)の米国特許第5,989,285号に開示されている。DeVilbissは、再循環する温度制御された流体および温度制御された気体の両方の供給により患者を対流で加熱または冷却するための性能を高める、温度制御されたブランケットおよび温度制御された寝具類システムを開示している。温度制御された液体と温度制御された気体との間の対流熱交換原理または並行流熱交換原理が、ブランケットおよび寝具類システムの異なる部分に亘る温度均一性を達成する。掛け布および温度制御された寝具類システムが、寝具類システムを使用して人の周囲に温度制御された包囲を実現する。寝具類システムの一実施形態では、寝具類システムの空気部分が、全体的な寝具類システムの流体部分を供給する患者のベッドに使用するために設けられている。寝具類システムの別の実施形態では、寝具類システムの流体部分が、全体的な寝具類システムの空気部分を供給する患者のベッドに使用するために設けられている。
【0012】
また、Quisenberry(「Quisenberry」)の米国特許第5,097,829号が、電気で作動する場合に、低温側および高温側を有する熱電冷却デバイスを備えた温熱ブランケット内の温度制御された流体を自動的に冷却する、改良され温度制御された流体循環システムを記載している。温度制御された流体は、冷却デバイスの低温側により冷却され、第1の導管および第2の導管を介して、ブランケットに、ブランケットへ、およびブランケットから、ポンプによって送られる。
【0013】
最後に、本発明の出願人に譲渡された同時係属の米国特許出願第10/894,369号は、温熱療法または冷却療法で使用するための連続圧迫ブランケットを教示している。この特定の実施形態では、患者と温熱療法パッドとの間に配置されている有孔膜を通した酸素化の導入という選択肢をさらに有するプログラム可能な形式での連続圧迫を伴う温熱療法の利用が教示されている。医療産業におけるこれらの進歩は、医療ケア提供者および患者の両方に有利であると認識されている。しかし、酸素化適用の正確な方法は、依然として開発過程にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第6695823号明細書
【特許文献2】国際公開第93/09727号
【特許文献3】米国特許第7081128号明細書
【特許文献4】米国特許第6596016号明細書
【特許文献5】米国特許第5578022号明細書
【特許文献6】米国特許第4884304号明細書
【特許文献7】米国特許第4660388号明細書
【特許文献8】米国特許第5125238号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、例えば、創傷領域の光線療法と共に創傷領域全体に亘る陰圧の付与、および温熱療法と併用した創傷領域の酸素化などの複数の創傷治癒技法を提供することにより、創傷ケアの向上を実現する。光線および温熱療法と併用して利用される酸素化モダリティおよび/またはそれに関連する連続圧迫を組み合わせることにより、創傷の陰圧、光線療法、および酸素化処置の個々の利益は相乗的に強化される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一態様では、本発明は治療システムに関する。治療システムは、複数の光ファイバ鎖およびポートを有する治療パッドを含む。圧力スイッチがポートに流体連結されている。酸素源が圧力スイッチに流体連結されている。吸引ポンプが圧力スイッチに流体連結されている。複数の発光ダイオードが、複数の光ファイバ鎖に動作可能に連結されている。圧力スイッチは、陰圧療法と酸素化療法との間で治療パッドを調節する。
【0017】
別の態様では、本発明は治療パッドに関する。治療パッドは外面と内面とを含む。ブラダが外面と内面との間に配置されている。配列状の光ファイバ鎖が内面に配置されている。入口が外面に配置されている。入口は、内面に配置されている複数のポートに流体連結されている。高周波アンテナが内面に配置されている。
【0018】
別の態様では、本発明は、創傷領域を処置する方法に関する。本方法は、創傷領域に治療パッドをあてがうステップと、治療パッドを介して創傷領域に紫外線光療法および吸引療法のうちの少なくとも1つを施すステップとを含む。また、様々な実施形態では、本方法は、治療パッドを介して創傷領域に酸素化療法を施すステップと、治療パッドを介して創傷領域に温熱療法を施すステップと、治療パッドの内部に配置されている高周波アンテナを介して創傷領域にパルス状の高周波信号を施すステップとを含んでいてもよい。
【0019】
組合せ治療パッドが、第1の層と、第1の層に連結されて作動する第2の層とを有する。光ファイバ・アレイが、第1の層と第2の層との間に配置されている。第3の層が、第1の層に連結されて作動する。第3の層が、陰圧供給源に流体を通すように接続する吸引管と、治療流体源に流体を通すように接続する治療流体管とを有する。第3の層が、創傷領域に、陰圧療法および治療流体処置のうちの少なくとも1つを施す。
【0020】
治療システムが、複数の光ファイバ鎖とポートとを有する組合せ治療パッドを含む。圧力スイッチがポートに流体連結されている。酸素源および吸引ポンプが、圧力スイッチに流体連結されている。複数の発光ダイオードが、複数の光ファイバ鎖に光学的に連結されている。熱電素子が酸素源に熱的に暴露されている。組合せ治療パッドが、圧力スイッチにより陰圧療法および酸素化療法のうちの少なくとも1つを施す。
【0021】
本方法は、創傷領域を処置する方法である。本方法は、創傷領域を治療パッドで覆うステップを含み、治療パッドが、第1の層と、第1の層に連結されて作動する第2の層と、第1の層と第2の層との間に配置された光ファイバ・アレイと、第1の層に連結されて作動する第3の層とを有する。第3の層が、陰圧供給源に流体を通すように接続する吸引管と、治療流体源に流体を通すように接続する治療流体管とを有する。第3の層が、創傷領域に、陰圧療法および治療流体処置のうちの少なくとも1つを施す。本方法は、治療パッドを介して創傷領域に紫外線光療法および陰圧療法のうちの少なくとも1つを施すステップと、治療パッドを介して創傷領域に酸素化療法および温熱療法のうちの少なくとも1つを施すステップとをさらに含む。
【0022】
図面と併用すると、本発明の方法および装置のより完全な理解が、以下の発明を実施するための形態を参照することにより得られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の例示的な実施形態による創傷ケア・システムの図である。
【
図2】本発明の例示的な実施形態によるブロック図である。
【
図3】本発明の例示的な実施形態による方法のフロー図である。
【
図4】本発明の例示的な実施形態による治療ブランケット/パッドの側面立面横断面図である。
【
図5】本発明の例示的な実施形態による治療ブランケット/パッドの側面立面横断面図である。
【
図6】本発明の例示的な実施形態による治療ブランケット/パッドの概略図である。
【
図7】本発明の例示的な実施形態による創傷排気UV LED処置パッドの概略図である。
【
図8A】本発明の例示的な実施形態による創傷ケア・システムの概略図である。
【
図8B】本発明の例示的な実施形態による創傷ケア・システムの正面斜視図である。
【
図8C】本発明の例示的な実施形態による複数のフックを示す創傷ケア・システムの正面斜視図である。
【
図9】本発明の例示的な実施形態による創傷ケア・システムのブロック図である。
【
図10】本発明の例示的な実施形態による創傷ケア・システムのブロック図である。
【
図11】本発明の例示的な実施形態による組合せ治療パッドの略図である。
【
図12】本発明の例示的な実施形態による組合せ治療パッドの略図である。
【
図13】本発明の例示的な実施形態による組合せ治療パッドの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここで、本発明の様々な実施形態が、図面を参照してより十分に説明される。しかし、本発明は、多数の様々な形態で具体化されてもよく、本明細書に記載されている実施形態に限定されると見なされるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完璧かつ完全であり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供されている。
【0025】
まず、
図1を参照すると、本発明の原理による創傷ケア・システム10の一実施形態の図が示されている。システム10は、制御装置12と、治療ブランケット/パッド14と、制御装置12を治療ブランケット/パッド14に連結している(以下に記述される)複数の管状部材16とを有している。システム10は、創傷排気紫外線発光ダイオード(UV LED)ユニット28と、創傷排気UV LED処置パッド58とをさらに有している。創傷排気UV LEDユニット28は制御装置12に連結されており、一方、創傷排気UV LED処置パッド58は創傷排気UV LEDユニット28に連結されている。温熱療法のある態様を併用する酸素化療法をもたらし、かつ本発明の一実施形態の温熱動作および連続圧迫の態様を十分に説明するシステムが、本発明の出願人に譲渡され、かつその全体が参照により本明細書に援用されている米国特許出願第10/894,369号に記載され、示されている。したがって、連続圧迫療法に関する熱流体流および加圧に関連する、制御装置12と治療ブランケット/パッド14との間の相互作用に関連する温熱の詳細については、本明細書ではさらに記述されていない。記述されているものは、創傷排気および光線療法により実現される創傷ケアの付加された態様である。光線療法は、治療的有用性を求めた皮膚への光エネルギーの付与するものである。LED光線療法は、創傷治癒およびヒト組織の成長を促す。LEDにより送られるエネルギーが細胞代謝を高め、損傷した皮膚細胞の回復および補充を加速し、かつ健康で滑らかな皮膚の基礎であるコラーゲンの産生を刺激する。光線療法は、非切除、非侵襲性、かつ無痛である。
【0026】
図1をさらに参照すると、一実施形態においては、患者の創傷部位への治療ブランケット/パッド14の使用は、創傷排気UV LED処置パッド58による死細胞に関する創傷領域の清浄後である。一実施形態では、治療ブランケット/パッド14を固定するために、Velcroクロス・ストラップ(cross strap)が利用されてもよい。本明細書に記載されているように、1気圧または2気圧で創傷部位に当てられる場合、93%濃度の酸素が有利であると提案されてきた。本発明の一態様によれば、酸素発生器/濃縮器20が、制御装置12の内部で利用されたり、またはそれから分離されたりしてもよい。
図1では、酸素発生器/濃縮器20が、点線22により制御装置12に関連して示されており、酸素化ガス・ライン24が、本発明の実施形態による概略図の通り、制御装置12と治療ブランケット/パッド14との間に延在して示されている。
【0027】
図1では、光ファイバ鎖(明確には図示せず)が、複数のLED(明確には図示せず)からの紫外線光を、創傷排気UV LED処置パッド58の下面に配置されている配列状の光ファイバ鎖端部(明確には図示せず)へ向ける。制御装置12は、紫外線光を調節して、様々なパターンの光、様々な光度、および様々な光持続時間を作り出すのに使用されてもよい。例えば、制御装置12は、紫外線光のパルス状の発光を生成するのに使用されてもよい。紫外線光は、皮膚のいくつかの層を通って透過して、感染細菌を破壊することができる。一実施形態では、本明細書に具体的に示されていないが、UV LED処置パッド58は治療ブランケット/パッド14上に設けられていてもよい。例示的な実施形態によれば、創傷排気UV LED処置パッド58の下面に配置されている複数のLEDからの紫外線光は、例えば皮膚感染を引き起こす細菌などの多種多様な微生物を破壊する。さらに、複数のLEDからの紫外線光は、細胞および骨の成長と共に創傷治癒を向上させる。さらに、光線療法におけるLEDの使用は、安全で、非侵襲性で、薬を使用せず、治療的である。
【0028】
ここで
図2を参照すると、本発明の実施形態による輸送流体としての酸素化ガスの流動を示すブロック
図200がある。ブロック
図200に記載されている通り、制御装置表示部30が、アナログ/デジタル処理装置32との併用で設けられている。複数のセンサ34が、治療ブランケット/パッド14への熱伝導流体の制御および治療ブランケット/パッド14への酸素送達のために、処理装置32との併用で利用されている。酸素発生器/濃縮器20は、電源36に接続されており、また、電源36は処理装置32へ電力を供給する。酸素発生器/濃縮器20から生成される酸素は、次いで、治療ブランケット/パッド14への送達の前に、圧縮ポンプ38により送られる。酸素供給源も使用されてもよいことに留意すべきである。
【0029】
図2をさらに参照すると、水/アルコール槽40が、流体ポンプ42およびサーモ・エレクトリック・クーラー(TEC:Thermo Electric Cooler)加熱器/冷却器44に流体を通すように接続していることが示されている。TEC加熱器/冷却器44は、処理装置32により制御されており、TEC供給源46が同様に示されている。TEC供給源46に隣接して、治療ブランケット/パッド14の下方に画定されている処置室50の概略図が示されており、処置室50は、中に図示されている流体経路により熱流体に熱的に暴露されている。中に図示されている接着性取付け縁部52は、治療ブランケット/パッド14と創傷部位との間に処置室空間50を同様に画定しており、その中での酸素化ガスの流動を可能にする。
【0030】
図2をさらに参照すると、電源36により電力を供給される吸引ポンプ59が示されている。収集室56が、吸引ポンプ59および創傷排気UV LED処置パッド58に接続されている。本発明の一実施形態では、創傷排気UV LED処置パッド58は、本発明による温熱療法と併用した酸素化に備えて創傷領域を清浄化するために、治療ブランケット/パッド14の前に使用される。
【0031】
図2をさらに参照すると、複数の紫外線LED60と光ファイバ鎖62とが示されており、それらは創傷排気UV LED処置パッド58に相互利用可能に接続されている。本発明の一実施形態では、創傷排気UV LED処置パッド58は、ある実施形態による温熱療法と併用した酸素化に備えて創傷領域から細菌を除去するために、治療ブランケット/パッド14の前に使用される。例示的な実施形態によれば、複数のLED60からの紫外線光が、例えば皮膚感染を引き起こす細菌などの多種多様な微生物を破壊する。さらに、複数のLED60からの紫外線光は、細胞および骨の成長と共に創傷治癒を向上させる。さらに、光線療法における複数のLED60の使用は、安全で、非侵襲性で、薬を使用せず、治療的である。
【0032】
例示的な実施形態によれば、複数のLED60からの紫外線光は、約200ナノメートルから450ナノメートルまでの範囲以上、かつ最大35,000マイクロワット秒/cm
2のエネルギーレベルであり、それらは、細菌、胞子、藻類およびウイルスなどの殆どの微生物を排除または破壊するのに必要である。殆どの細菌は、約3,000マイクロワット秒/cm
2から約5,000マイクロワット秒/cm
2の紫外線エネルギーで破壊することができ、一方、カビ胞子は、20,000マイクロワット秒/cm
2から35,000マイクロワット秒/cm
2のエネルギーを必要とする可能性がある。
【0033】
ここで
図3を参照すると、ある実施形態による方法300のフロー図が示されている。方法300はステップ101から開始する。ステップ102において、創傷領域は、創傷排気UV LED処置パッド58を当てることにより、死細胞、任意の望ましくない流体、および細菌に関して清浄化される。創傷排気UV LED処置パッド58は、本発明による温熱療法と併用した酸素化に備えて創傷領域から細菌を除去するために、治療ブランケット/パッド14の前に使用される。例示的な実施形態によれば、創傷排気UV LED処置パッド58の下面に配置されている複数のLEDからの紫外線光は、例えば皮膚感染を引き起こす細菌などの多種多様な微生物を破壊する。さらに、複数のLEDからの紫外線光は、細胞および骨の成長と共に創傷治癒を向上させる。さらに、光線療法におけるLEDの使用は、安全で、非侵襲性で、薬を使用せず、治療的である。
【0034】
ステップ103において、治療ブランケット/パッド14は、創傷領域に当てられる。治療ブランケット/パッド14は、接着性の縁、一実施形態では弾性Velcroクロス・ストラップにより、定位置に保持される。ステップ104において、ある実施形態によれば、約93%濃度の酸素ガスを含む酸素化ガスが、1気圧から2気圧で創傷部位に送られる。記載され、図示されている数字は例示的であり、様々な実施形態において他の酸素化濃度および圧力が考えられる。しかし、酸素化と併用した創傷部位の温熱療法のコンセプトおよびそのための教示はそれと一致している。ステップ106では、部位は、患者の体温より最大約5度から約6度まで高く、本明細書では治療ブランケット/パッド14の背面に示されている流体経路を通して温められる。温めることにより、患者の皮膚の毛穴を開かせ、中の毛細血管を露出することが可能になる。皮膚の毛細血管は、次いで、酸素で飽和される。本明細書に記載されている一期間では、約15分から約30分の温め期間が推奨されている。ステップ108において、酸素化が、1気圧から2気圧で継続され、治療ブランケット/パッドの流体は、体温より低く約30度から約40度まで下げられる。冷却することにより、創傷領域の毛穴を閉じ、酸素を下層組織内に入れる。次いで、冷却は、ある実施形態に従って約30分から約45分まで続行する。ステップ110において、方法300は定期的に繰り返されてもよく、創傷領域は、各処置の前に死細胞に関して清浄化されてもよい。ステップ112において、方法300は終了する。
【0035】
図4は、治療ブランケット/パッド14の一実施形態の側面立面横断面図である。ある実施形態では、治療ブランケット/パッド14は、熱流体流が供給され得る単一のブラダ114を備えて構成されている。管状部材16は治療ブランケット/パッド14に連結されている。治療ブランケット/パッドは、熱流体流のための遠回りの流路を中に備えて製造されている。遠回りの流路は、管状の形状であるか、または単に、流路により画定されている治療ブランケット/パッド14の内部にある経路である。図示されているものは、治療ブランケット/パッド14の内部の経路117である。経路117は、管状端部17Aを備えて示されており、例えば、下部の創傷領域の温熱処置のために、熱流体がその中で流動していることを示している。また、経路117は管状形状でなくてもよく、温熱パッドの技術分野でよく知られている様々な形状および製造技術を有していてもよい。
【0036】
例示的な実施形態によれば、治療ブランケット/パッド14は、例えば1/8インチ(3.175mm)の厚さを有する接着性ストリップ119により、患者の皮膚から離れている。治療ブランケット/パッド14(縮尺通りに描画されていない)は、酸素が処置室50内に注入されている間に経路117による熱および冷の両方に創傷を暴露する。経路117による前述の加熱および冷却と併せた酸素の注入は、組織膨張が創傷領域内の組織への血流を抑制している創傷領域内の任意のうっ血領域および創傷領域を処置することを助ける。血流が不十分であると、上記の上皮組織および皮下組織が受け入れる酸素が減少し、創傷領域に亘って遊走して治癒を促すことができなくなることは周知である。本明細書に開示されている実施形態を利用することにより、酸素化が強化され、そのような状態に関する問題が緩和される。
【0037】
図5は、
図4の温熱療法および酸素化治療パッドの例示的な実施形態を示す。二重ブラダ214が、やはり、単に例示目的で示されている「管状」端部117Aにより示されている経路117の頂上で、空気が第2のブラダ207に付与されてもよいように設けられている。このようにして、選択圧迫療法が、温熱酸素化処置と併用して利用可能であってもよい。その関連で、空気吸入管201が第2のブラダ207に接続されている。
図4および
図5はどちらも、処置室50に酸素を供給する酸素管24を示し、管203により熱流体が導管117内に入ることが可能になり、管205により熱流体が
図1の制御装置12に戻ることが可能になる。
図5は、上記の通り圧迫または連続圧迫のどちらかの能力を備えた
図4の利点をさらに示す。
【0038】
ここで
図6を参照すると、
図1および
図4の治療ブランケット/パッド14の概略図が示されている。熱流体流のための管状部材16および酸素流のための管24が明確に示されている。接着性の縁119が同様に示されている。
【0039】
図7は、本発明の実施形態による創傷排気UV LED処置パッド58の概略図である。本実施形態では、創傷排気UV LED処置パッド58は、創傷領域(明確には図示せず)上に紫外線光を投影する配列状の光ファイバ鎖72を有する。ある典型的な実施形態では、光ファイバ鎖72は劈開側面発光ファイバであってもよい。また、創傷排気UV LED処置パッド58は、創傷領域から任意の望ましくない流体を除去するのに使用されてもよい配列状の特有の除去ポート57を有する。創傷排気UV LED処置パッド58は、光ファイバ鎖アレイ72および特有の除去ポート57の両方を含む非組織接着性サービス部80をさらに有する。接着性外周部82が、創傷排気UV LED処置パッド58の外周を囲うように配置されており、創傷領域の周囲にシールが形成されることを可能にしている。除去ポート57との併用で、シールは、陰圧が創傷領域を覆うことを可能にする。陰圧は、創傷領域からの望ましくない組織の除去を容易にする。創傷排気UV LED処置パッド58は制御装置12に接続されている。制御装置12は、吸引ポンプ(図示せず)と複数の紫外線LED(明確には図示せず)とを有する。吸引ポンプは、吸引ライン55を介して創傷排気UV LED処置パッド58に接続されている。収集室56が、吸引ポンプと創傷排気UV LED処置パッド58との間に配置されており、吸引ポンプで創傷領域に与えられる陰圧の結果として、創傷領域から除去される望ましくない流体、組織等を途中で捕らえ、保存する。複数の紫外線LEDは、光ファイバ鎖72を通して創傷排気UV LED処置パッド58へ紫外線光を送り、そこでは、次いで、光ファイバ鎖72が創傷排気UV LED処置パッド58の全体に亘って分散されており、紫外線光を創傷領域上に投影する。複数のLEDにより送られるエネルギーが細胞代謝を高め、損傷した皮膚細胞の回復および補充を加速し、かつ健康で滑らかな皮膚の基礎であるコラーゲンの産生を刺激する。光線療法は、非切除、非侵襲性、かつ無痛である。
【0040】
図8Aは、例示的な実施形態による創傷ケア・システムの概略図である。創傷ケア・システムの800が、制御装置802と、組合せ治療パッド804と、組合せ治療パッド804を制御装置802に接続している複数の管状部材806とを有する。創傷排気UV LEDユニット808が制御装置802に関連しており、組合せ治療パッド804に接続されている。様々な実施形態では、創傷排気UV LEDユニット808および制御装置802が単一ハウジング内に含まれているが、様々な代替的な実施形態では、創傷排気UV LEDユニット808および制御装置802が単一ハウジング内に含まれていなくてもよく、独立したデバイスである。
【0041】
図8Aをさらに参照すると、組合せ治療パッド804の使用は、治癒を促進することで知られている温熱および酸素化療法を用いた、創傷清浄のための紫外線光および排気療法を組み込んでいる。様々な実施形態では、Velcroクロス・ストラップが、組合せ治療パッド804を固定するのに使用されてもよい。酸素発生器/濃縮器810が、例えば、93%濃度の酸素を組合せ治療パッド804を介して創傷部位に供給するのに利用される。典型的な実施形態では、酸素発生器/濃縮器810と制御装置802とは別個のデバイスであるが、他の実施形態では、酸素発生器/濃縮器810および制御ユニット802が単一ハウジング内に含まれている。
【0042】
図8Aをさらに参照すると、光ファイバ鎖(明確には図示せず)が、創傷排気UV LEDユニット808内に配置されている複数のLED(明確には図示せず)からの紫外線光を、組合せ治療パッド804の下面に配置されている配列状の光ファイバ鎖(明確には図示せず)に向ける。制御装置802は、紫外線光を調節して、例えば、様々なパターンの光、様々な光度、および様々な光持続時間を作り出すのに使用されてもよい。例えば、様々な実施形態では、制御装置802が、紫外線光のパルス状の発光を生成するのに使用される。
【0043】
図8Bは、例示的な実施形態による創傷ケア・システムの正面斜視図である。創傷ケア・システム800は、制御装置802と、組合せ治療パッド804と、組合せ治療パッド804を制御装置802に接続している複数の管状部材806とを有する。ユーザ・インターフェース805が、制御装置802の前面に配置されている。典型的な実施形態では、ユーザ・インターフェース805により、例えば酸素濃度、酸素圧、温度、および紫外線光度を含む創傷ケア処置の様々なパラメータを、ユーザが制御することが可能になる。ユーザ・インターフェース805は、制御装置802に対して枢動して、好ましい視野角を実現してもよい。典型的な実施形態では、ユーザ・インターフェース805は、例えばタッチスクリーン・インターフェースであってもよいが、他の実施形態では、ユーザ・インターフェース805は、例えば、複数のコントロール・キーまたは任意の他のユーザ・インターフェースであってもよい。組合せ治療パッド804の使用は、治癒を促すことで知られている温熱および酸素化療法を用いた、創傷清浄のための紫外線光療法および排気療法を組み込んでいる。様々な実施形態では、Velcroクロス・ストラップ(図示せず)が、組合せ治療パッド804を固定するのに使用されてもよい。
【0044】
図8Cは、複数の折畳み式フック803を示す
図8Aの創傷ケア・システムの正面斜視図である。創傷ケア・システム800は、例えば、制御装置802の最上部に沿って配置されている複数の折畳み式フック803を有する。典型的な実施形態では、複数の折畳み式フック803は、制御装置802を、例えば病院用ベッドから吊るすのに利用されてもよい。
【0045】
図9は、ある例示的な実施形態による創傷ケア・システムのブロック図である。創傷ケア・システム900では、制御装置表示部902が、処理装置904との併用で設けられている。典型的な実施形態では、処理装置904はアナログ/デジタル処理装置である。複数のセンサ906が、組合せ治療パッド804への熱伝導流体の制御のために、処理装置904との併用で利用されている。様々な実施形態では、酸素発生器/濃縮器810は電源908に連結されている。また、電源908は処理装置904に電力を供給する。酸素発生器/濃縮器810により生成される酸素が、組合せ治療パッド804へ送られる前に、圧縮ポンプ910および圧力スイッチ921により送られる。
【0046】
図9をさらに参照すると、典型的な実施形態では、水/アルコール槽912が、流体ポンプ914および熱電冷却器916に流体を通すように接続している。熱電冷却器916は処理装置904により制御されている。典型的な実施形態では、吸引ポンプ918が、電源908により電力を供給されている。収集室920が、吸引ポンプ918および圧力スイッチ921に流体接続されている。圧力スイッチ921は、組合せ治療パッド804に流体連結されている。典型的な実施形態では、酸素療法および陰圧療法は各々、共通ポート922を介して組合せ治療パッド804に施される。典型的な実施形態では、圧力スイッチ921は、陰圧療法と酸素化療法との間で組合せ治療パッド804を調節することができる。
【0047】
図10は、例示的な実施形態による創傷ケア・システムのブロック図である。典型的な実施形態では、創傷ケア・システム1000は、
図9に関して前述されている装置に構造が類似している。しかし、創傷ケア・システム1000は、
図9に示されている水/アルコール槽または流体ポンプを含まない。典型的な実施形態では、熱電冷却器916は圧縮ポンプ910に流体を通すように接続している。したがって、温熱療法が、酸素発生器/濃縮器810により供給される酸素の加熱および冷却により、組合せ治療パッド804に与えられる。
【0048】
図11は、例示的な実施形態による組合せ治療パッドの概略図である。典型的な実施形態では、組合せ治療パッド804は、創傷領域(明確には図示せず)上に紫外線光を投影する複数の光ファイバ鎖72を有する。様々な実施形態では、光ファイバ鎖72は、劈開ファイバまたは側面発光ファイバであってもよい。しかし、任意のタイプの光ファイバ鎖を使用することができることを、当業者は認識するであろう。また、典型的な実施形態では、組合せ治療パッド804は複数の酸素化/除去ポート1102を有する。典型的な実施形態では、酸素化/除去ポート1102は、創傷領域に酸素療法と陰圧療法とを施すことを交互に行う。
【0049】
図11をさらに参照すると、典型的な実施形態では、酸素療法および陰圧療法が、排気/酸素化ライン1104を介して組合せ治療パッド804に施される。排気/酸素化ライン1104は圧力スイッチ921に流体連結されている。圧力スイッチ921は、圧縮ポンプ910および吸引ポンプ918に流体接続されている。したがって、典型的な実施形態では、圧力スイッチ921は、陰圧処置と酸素化療法との間で組合せ治療パッド804を調節することができる。
【0050】
図11をさらに参照すると、様々な実施形態では、ルアー・ロック1106が組合せ治療パッド804に流体連結されている。処置中、創傷部位に様々な薬剤を投与する必要があることが多い。そのような投与は、例えば組合せ治療パッド804などの創傷用包帯の除去を必要とすることが多い。創傷用包帯の頻繁な除去により、損傷部位を直接取り巻く組織へのさらなる損傷のリスクが高まる可能性がある。典型的な実施形態では、ルアー・ロック1106により、組合せ治療パッド804を除去する必要なく、薬剤および他の治療化合物を直接損傷部位に投与することが可能になる。
【0051】
図12は、例示的な実施形態による組合せ治療パッドの概略図である。典型的な実施形態では、組合せ治療パッド1200は、損傷部(明確には図示せず)上に紫外線光を投影する複数の光ファイバ鎖72を有する。また、典型的な実施形態では、組合せ治療パッド1200は高周波(「RF」)アンテナ1202を有する。典型的な実施形態では、RFアンテナ1202はワイヤ1204を有する。ワイヤ1204は、組合せ治療パッド1200の長さに沿って延在している。典型的な実施形態では、ワイヤ1204は、使用中にワイヤが損傷部に極めて接近しているように、組合せ治療パッド1200の内部に配置されている。様々な実施形態では、ワイヤ1204は、患者への電気ショックのリスクを低減するように絶縁されている。
【0052】
図13は、例示的な実施形態による組合せ治療パッドの分解図である。組合せ治療パッド1300が、中に形成されている第1の中央間隙1304を有する第1の層1302を含む。典型的な実施形態では、第1の層1302は、例えばウレタンで形成されている。第2の層1305が第1の層1302の下に配置されており、接着性底面1306を有する。第2の中央間隙(明確には図示せず)が、第2の層1305に形成されている。典型的な実施形態では、第2の層1305は、例えばウレタンで形成されている。第1の層1302と第2の層1305とは、第2の中央間隙が第1の中央間隙1304と一致するように、第1の層1302および第2の層1305の外周を囲って互いに結合されている。第1の中央間隙1304および第2の中央間隙により画定されている空間を満たすために、光ファイバ・アレイ1308が、第1の層1302と第2の層1305との間に配置されている。
【0053】
図13をさらに参照すると、第3の層1310が、第1の層1302の上方に配置されている。第3の層1310は陥凹中央領域1312を有する。陥凹中央領域1312は、第1のポートを介して吸引管1314に流体連結され、第2のポートを介して治療流体管1316に流体連結されている。アンテナ1318が第3の層1310に連結されている。アンテナ1318はループに形成されており、概ね、陥凹中央領域1312の外周を囲うように配置されている。典型的な実施形態では、第1の層1302と、第2の層1305と、第3の層1310とは、例えば接着または溶接などの方法により互いに結合されている。
【0054】
図13をさらに参照すると、動作中、接着性底面1306は、患者の身体領域上の創傷領域の近傍に配置されている。典型的な実施形態では、接着性底面1306は、第2の中央間隙が創傷領域を覆って配置されるように配向されている。したがって、接着性底面1306は創傷領域に直接接触していない。光ファイバ・アレイ1308は創傷領域を覆って配置されており、様々な実施形態では、創傷領域に接触している可能性がある。光ファイバ・アレイ1308は、創傷領域を照明することにより創傷領域の清浄および消毒を促進するUVを送る。吸引管1314は、創傷領域に陰圧をかけることにより創傷領域から望ましくない流体、組織等を除去する。治療流体管1316は、創傷領域に、例えば酸素などの治療流体を供給する。様々な実施形態では、治療流体は、創傷領域への送達前に加熱または冷却されてもよい。治療流体の加熱または冷却により、創傷領域への温熱療法の送達が可能になる。
【0055】
図13をさらに参照すると、動作中、パルス周波数、例えば約27MHz、を有するパルス状の高周波(「RF」)信号が、アンテナ1318に送信される。典型的な実施形態では、パルス状のRF信号の振幅は、例えば約1ワットの何分の1である。そのような振幅は、連邦政府の許諾が通常必要とする閾値より小さい。アンテナ1318は、高周波源からパルス状のRF信号を受信し、創傷領域に極めて近接した領域にパルス状のRF信号を送信する。パルス状のRF信号に創傷領域を暴露することは、細胞内情報伝達を促すことにより治癒に有益であることが分かっている。特に、パルス状のRF信号は、細胞結合および代謝を刺激することが分かっている。
【0056】
これまでの「発明を実施するための形態」は、本発明の実施形態である。本発明の範囲は、この「発明を実施するための形態」により必ずしも限定されるべきではない。本発明の範囲は、代わりに、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物により定められる。