(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記紹介理由決定手段は、前記紹介商品選択手段により紹介商品に選択された商品の商品スコアの算出に寄与した要素、又は所定のルールに基づき抽出された前記紹介商品に選択された商品との関連が強い要素から、前記紹介商品に選択した商品を顧客に紹介する理由を決定すること
を特徴とする請求項3記載の情報処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているように、顧客の属性や商品の購買履歴等の情報を用いて、顧客が各々の商品を購買する確率を計算することは可能だが、こうした理論上の購買確率が実際の顧客の購買行動に合致することになるとは限らず、その精度をさらに高めることが求められている。例えば、こうした購買確率は各々の顧客に関する情報から顧客毎に算出されるものであるが、その購買悪率が他の顧客に比べて高い水準にあるのか否か、相対的な視点も反映することによって精度を高められる可能性がある。
【0007】
また、紹介する商品の販売が企業等の事業活動として行われる以上、商品を提供する販売者側の意向として、社会的ニーズ等に対応して販売に力を入れたい商品が存在することがあり、顧客ニーズのみでなく、こうした販売者側の意向も、顧客に紹介する商品の選択に反映できる仕組みであることが好ましい。
【0008】
さらに、Webページ閲覧時のように紹介する商品に関する情報を顧客に直接提供するのではなく、顧客と接する営業担当者等に対して、顧客に紹介する商品に関する情報を間接的に提供するようなケースでは、顧客との対話を円滑に進めるために、紹介する商品だけでなく、その商品を紹介する理由に関する情報も提供することが好ましい。
【0009】
本発明は、このような課題に対応するためになされたものであり、顧客に紹介する商品の選択において、その精度を高めるとともに、販売者側の意向も反映することが可能な、情報処理装置及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決する本発明は、紹介する商品の販売が成約する成約確率を顧客毎に予測した商品スコアを算出するスコア算出手段と、同一の商品について二以上の顧客を対象に算出された商品スコアを対比して、各々の顧客に対して前記商品を紹介する優先度を示す商品ランクを決定する商品ランク決定手段と、顧客毎に二以上の商品について決定された商品ランクを対比して、対比した商品から顧客に紹介する紹介商品を選択する紹介商品選択手段と、を備え
、前記商品ランク決定手段は、二以上の顧客の商品スコアを成約確率の高いものから順にソートして、上位となる顧客には優先度の高い商品ランクを決定し、前記紹介商品選択手段は、二以上の商品の商品ランクを紹介する優先度が高いものから順にソートして、上位となる商品から顧客に紹介する紹介商品を選択することを特徴とする情報処理装置である。
【0011】
前記商品ランク決定手段による商品ランクの決定には、商品毎に異なるルールの設定が可能であることを特徴としてもよい。
【0013】
このように、本発明では、対象となる商品毎に算出された紹介する商品に関する取引の成約確率を示す商品スコアを、紹介商品の選択にそのまま適用するのではなく、各々の商品の商品スコアを他の顧客の商品スコアと対比し、その相対的な水準を示す商品ランクを用いて紹介する商品を選択することによって、相対的な視点も加えた精度の高い紹介商品の選択が可能になる。また、商品毎に商品ランクを決定するルールを調整することによって、商品を提供する販売者側の意向も反映した紹介商品の選択が可能となっている。
【0014】
尚、本発明において顧客に紹介される「商品」には、有形物の商品だけでなく、金融商品やソフトウェア等の無形の商品や、顧客が提供を受けるサービスも含まれる、経済学上の商品が該当する。また、商品をどうような単位で区分するかは特に限定されるものではなく、細分化された商品のバリエーションを一単位の商品と把握することとしてもよいし、複数の商品を含む商品群を一単位の商品と把握することとしてもよい。
【0015】
また、本発明は、前記紹介商品選択手段が紹介商品に選択した商品を顧客に紹介する理由を、所定のルールに基づき決定する紹介理由決定手段と、前記紹介商品に選択した商品及び前記商品を顧客に紹介する理由を含む紹介商品に関する情報を出力する紹介商品情報出力手段と、を備えることを特徴とすることもできる。
【0016】
前記紹介理由決定手段は、前記紹介商品選択手段により紹介商品に選択された商品の商品スコアの算出に寄与した要素、又は所定のルールに基づき抽出された前記紹介商品に選択された商品との関連が強い要素から、前記紹介商品に選択した商品を顧客に紹介する理由を決定することを特徴としてもよい。
【0017】
このように構成すると、紹介商品として選択された商品だけでなく、その商品が紹介商品に選択された理由もあわせて出力されるので、紹介商品に関する情報を直接顧客に提供するのではなく、顧客に対応する営業担当者等に情報を提供するようなケースにおいて、営業担当者等は単に商品を紹介するだけでなく、その理由を説明することもできるので、顧客との対話を円滑に進める上で特に好適となる。
【0018】
また、本発明は、本発明に係る情報処理装置によって実行される情報法処理方法として特定することもできる。
【0019】
本発明に係る情報処理方法は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、紹介する商品の販売が成約する成約確率を顧客毎に予測した商品スコアを算出するスコア算出ステップと、同一の商品について二以上の顧客を対象に算出された商品スコアを対比して、各々の顧客に対して前記商品を紹介する優先度を示す商品ランクを決定する商品ランク決定ステップと、顧客毎に二以上の商品について決定された商品ランクを対比して、対比した商品から顧客に紹介する紹介商品を選択する紹介商品選択ステップと、を有
し、前記商品ランク決定ステップでは、二以上の顧客の商品スコアを成約確率の高いものから順にソートして、上位となる顧客には優先度の高い商品ランクを決定し、前記紹介商品選択ステップでは、二以上の商品の商品ランクを紹介する優先度が高いものから順にソートして、上位となる商品から顧客に紹介する紹介商品を選択することを特徴とする情報処理方法である。
【0020】
本発明に係る情報処理方法は、先に説明した本発明に係る情報処理装置の各々の構成によって実行される、情報法処理方法として特定することもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、各々の顧客に関する絶対的な解析結果だけでなく、他の顧客との相対的な関係も反映した、多面的で精度の高い方法によって、顧客に紹介する商品を選択することが可能になる。さらに、その選択の際のルールを調整することによって、紹介する商品の選択に商品を提供する販売者側の意向を反映することも可能になる。また、顧客に紹介する商品が選択された理由もあわせて出力することで、営業担当者等を介して顧客に間接的に紹介する商品を提示するようなケースに資する構成とすることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、ここでは本発明の実施形態の一例として、顧客に紹介する商品に関する情報を、営業担当者が使用するPC等の端末に出力する構成を前提にして説明するが、こうした情報を顧客が使用する端末に直接出力する構成とすることも可能であるなど、本発明の実施形態は以下に示す例に限定されるものではない。
【0024】
図1を用いて、本発明の実施形態の概要について説明する。
図1において、顧客への対応を担当する営業担当者が、各々の顧客の属性や嗜好、生活環境等に応じた商品を提案する、ワントゥワンマーケティングの実践の支援に用いられる、営業支援サーバが本発明に係る情報処理装置に対応する。
【0025】
営業支援サーバは、顧客の属性情報の他、過去の商品の購買履歴その他の取引履歴等の履歴情報を収集して、各々の顧客の嗜好等を解析する。その解析に基づき、営業担当者が顧客に紹介する商品を選択して、紹介する商品に関する情報をPCやスマートフォン、タブレット型コンピュータ等の営業担当者が使用するネットワーク端末に提供する。ここで用いられる顧客の属性情報や履歴情報は、営業支援サーバが取引システム等から自動的に収集することとすればよいが、これらの情報は管理者が使用するPC等の端末から入力可能な構成としてもよい。
【0026】
本発明では、各々の顧客に紹介する商品を選択する際に、顧客毎に紹介する商品が成約する可能性を示す成約確率をそのまま用いて商品を選択するのではなく、その成約確率を他の顧客について算出された成約確率と対比し、成約確率の相対的な水準を基準にして、紹介する商品を選択することを特徴としている(その方法の詳細については後述する)。また、営業担当者が使用するネットワーク端末には、紹介する商品のみでなく、その商品を紹介する理由に関する情報も出力することを特徴としている。
【0027】
図2は、本発明に係る情報処理装置に対応する営業支援サーバの構成の一例を示している。
図2において、営業支援サーバ10が本発明に係る情報処理装置に対応する。営業支援サーバ10は、営業担当者が使用するネットワーク端末であるPCやスマートフォン等の営業担当者端末20から、専用線等の安全性が確保されたネットワークを介してアクセスが可能な他、顧客との取引処理を実行し、過去の取引履歴等の情報が格納された取引システム30等の外部システムとも、ネットワークを介して接続されている。また、営業支援サーバ10には、営業支援サーバ10への情報の入出力が可能な管理者端末40が接続されている。
【0028】
営業支援サーバ10には、CPU、メインメモリ、HDD等の補助記憶装置を備え、インターネットを含むネットワークとの接続機能を有するコンピュータが用いられて、補助記憶装置に格納されたプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって、所定の機能が実現される。
【0029】
営業支援サーバ10を構成するコンピュータの物理的な構成は特に限定されるものではなく、本発明の顧客に紹介する商品を選択する機能や、紹介する商品に関する情報を出力する機能以外の機能が、同一のコンピュータに備えられるものであってもよい。本発明に必要な各々の機能は、物理的に一台のコンピュータによって実現されるものであってもよいし、複数のコンピュータを用いて実現されるものであってもよい。
【0030】
営業支援サーバ10の情報収集部12、入出力処理部13、項目値抽出部14、紹介商品選択部15、紹介理由決定部16、顧客別訴求情報出力部17は、いずれも機能的に特定されるものであって、HDD等の補助記憶装置に格納された各部の機能に対応するプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって、各部に対応する機能が実現される。
【0031】
営業支援サーバ10の顧客情報格納部11(属性情報111、取引履歴112、訴求情報113等が格納される)には、HDD等の補助記憶装置の所定の記憶領域が割り当てられる。これらの記憶領域は物理的に一台のコンピュータに設けられることを要件とするものではなく、データベースサーバを構成するコンピュータ等の複数のコンピュータに設けられるものであってもよい。
【0032】
営業担当者端末20には、PCやスマートフォン、タブレット型コンピュータ等のネットワークに接続可能な端末装置が用いられるが、インターネットや専用線等のネットワークを介して営業支援サーバ10にアクセスして情報の入出力が可能であれば、その構成は特に限定されるものではない。
【0033】
取引システム30には、注文の受け付けや取引情報の記録等の顧客との取引に必要な処理を実行するホストコンピュータやネットワークサーバ等のコンピュータが用いられるが、その構成は特に限定されるものではない。営業支援サーバ10が取引システム30から情報を収集することが可能となるように、両者はネットワークを介して接続されるが、ネットワークの安全性が確保されているものであれば、インターネット、専用線等、その接続経路は特に限定されるものではない。
【0034】
管理者端末40には、PC等のコンピュータが用いられるが、営業支援サーバ10への情報の入出力が可能であれば、その構成は特に限定されるものではない。
【0035】
以上の構成を前提にして、
図3に示した処理の流れに沿って、
図4−7を用いながら、本発明に係る情報処理装置に対応する営業支援サーバによって、顧客に紹介する商品を選択し、その商品が選択された理由を含む顧客別訴求情報を営業担当者端末に出力する方法について、以下に具体的に説明する。
【0036】
顧客情報格納部11には、各々の顧客について、氏名や年齢、性別等の顧客の属性情報111と、顧客との取引履歴112等の履歴情報が格納されるが、これらの情報は、営業支援サーバ10において所定のタイミング(例えば、日次更新のバッチ処理)で情報収集部12が起動され、取引システム30からは属性情報111や取引履歴112を収集して、顧客情報格納部11に格納する構成とすればよい。また、これらの情報については、入出力処理部13で管理者端末40からの入力を受け付けた情報を、顧客情報格納部11に格納することが可能な構成としてもよい。
【0037】
営業支援サーバ10は、所定のタイミング(例えば、日次更新のバッチ処理)で項目値抽出部14を起動して、顧客情報格納部11に格納された属性情報111と、顧客との取引履歴112等の履歴情報から、顧客に紹介する商品を選択するモデルの計算に用いられる、所定の項目の値を抽出する。顧客に紹介する商品を選択する際には、顧客毎に各々の商品を紹介した場合に、その商品に関する取引が成約する確率を予測した商品スコアを算出するが、商品スコアの算出モデルには、属性情報や履歴情報の項目の一部の値を変数として代入する計算式が設定されており、その算出に使用される使用項目の値が抽出される(
図3のS1)。
【0038】
また、その商品の商品スコアの算出には用いられないものの、後述の目的で、その商品に関する取引の成約との関連性が強い項目である特徴項目(例えば、成約者と非成約者の該当割合が大きく異なる項目等)の値もあわせて抽出され、営業支援サーバ10のメモリに一時記憶される(
図3のS2)。
【0039】
続いて、紹介商品選択部15が起動されて、顧客毎に紹介する商品を選択する処理が実行される。まず顧客毎に、各々の商品について、その商品を紹介した場合に取引が成約する確率を予測した商品スコアを算出する(
図3のS3)。商品スコアの算出方法は特に限定されるものではないが、この例に示しているように、先に抽出された使用項目の値を変数とする成約確率を予測する商品モデルを作成して、この商品モデルに各々の顧客の使用項目の値を代入することによって、商品スコアを算出することとすればよい。
【0040】
例えば、
図4の左側に示したように、属性情報111から抽出した顧客の属性に関する項目の値(例えば、「性別」の項目の値が「男性」である等)や、取引履歴112等の履歴情報から抽出した顧客の取引履歴等に関する項目の値(例えば、「1年以内に同じ商品を購入した回数」の項目の値が「1」である等)を変数として、各々の値に所定の係数を乗じ、それらの合計値を用いて商品スコアを算出する関数を採用することができる。この例のような商品スコアを算出する関数である商品モデルは、対象となる商品毎に、顧客の属性情報や履歴情報に含まれる各々の項目と過去の成約実績との相関性等を検証して、特に相関性の強い項目等の値を変数とする関数を生成することとすればよい。
【0041】
こうした商品スコアの算出は、対象とする全ての顧客について、紹介する候補となる全ての商品を対象に行われる。ある商品について、対象とする全ての顧客の商品スコアが算出されると、
図4の右側に例示しているように、対象とする全ての顧客の商品スコアを対比して、商品スコアの高い(成約確率の高い)顧客から順にソートされる。この処理は、紹介する候補となる全ての商品について行われる(
図3のS4)。
【0042】
尚、ここで対象とする顧客の範囲は特に限定されるものではなく、営業活動の対象となる全ての顧客を対象に商品スコアの対比を行うこととしてもよいし、担当部署、地域、年齢や性別などを基準に対象をグループ分けして、各々のグループの範囲で商品スコアの対比を行うこととしてもよい。
【0043】
商品スコアの高い(成約確率の高い)順に顧客をソートすると、商品スコアが上位となる顧客から順に、各々の顧客の当該商品に対する相対的なニーズの強さを推定したものであり、各々の顧客に対して当該商品を紹介する優先度を示すランクが所定の比率で付与されて、商品ランクとして決定される。こうした商品ランクの決定が、紹介する候補となる全ての商品を対象に行われる(
図3のS5)。
【0044】
ここで商品ランクを付与する比率について、
図4の右側に示した例では、5段階の商品ランクを「上位から10%は『5』、次の20%は『4』・・・」のように付与しているが、こうした商品ランクをどのような比率で付与するかは、商品毎に異なるルール(
図3の「商品別ランク基準」)が定められており、この比率を調整することによって、商品を提供する販売者側の意向を紹介する商品の選択に反映することができる。
【0045】
例えば、
図5に示した例では、対象となるA−Jの10名の顧客を対象に商品X−Zの商品スコアを算出し、商品X−Zそれぞれについて顧客A−Jを対象に算出された商品スコアを基準に、顧客A−Jをソートしている。その上で、商品Xについては、最も優先度の高い商品ランク「5」が1名(10%)、次に優先度の高い商品ランク「4」が2名(20%)、商品Yについては、最も優先度の高い商品ランク「5」が3名(30%)、次に優先度の高い商品ランク「4」が1名以上(10%以上)、商品Zについては、最も優先度の高い商品ランク「5」が1名(10%)、次に優先度の高い商品ランク「4」が1名(10%)と、それぞれ異なる商品別ランク基準に従って商品ランクが決定されているが、商品を提供する販売者側で紹介したい商品が商品Y、商品X、商品Zの順である場合には、この例のように商品別ランク基準に定める各々の商品ランクを付与する比率を調整する(商品Yの商品別ランク基準は優先度の高い商品ランクの比率を相対的に高くし、商品Zの商品別ランク基準は優先度の高い商品ランクの比率を相対的に低くする)ことによって、優先的に紹介したい商品には相対的に高い商品ランクを付与することが可能になる。
【0046】
続いて、顧客毎に各々の商品に対して決定された商品ランクを対比し、商品ランクを基準に紹介する候補となる全ての商品をソートして(
図3のS6)、上位から所定の数の商品が、各々の顧客に紹介する紹介商品として選択される(
図3のS7)。選択された紹介商品に関する情報は、顧客情報格納部11に顧客別の訴求情報113として登録される(
図3のS10)。
【0047】
図6の左下の表に示した例では、顧客Aに対して決定された各々の商品の商品スコアをソートした結果、商品Zと商品Pの2つの商品が商品ランク「5」で最上位となっているが、紹介する商品を1つに絞ることが必要な場合には、例えば、商品ランクが同一の場合にどちらを優先するか、あらかじめ商品毎の優先度を示すルール(
図3の「商品優先度」)を設定しておくこととすればよい(この例では、商品Zが商品Pに優先するというルールが定められているので、商品Zが紹介商品に選択されている)。ここで設定されるルールは特に限定されるものではなく、例えば、複数の商品からなる商品グループを設定し、各々の商品グループからは1つの商品しか選択しないルールとする、あるいは商品グループ間の優先度を設定することによって、紹介商品に選択する商品を絞り込むこともできる。
【0048】
以上に説明したように、本発明では、各々の顧客に紹介する商品を選択する際に、対象となる商品について算出された商品スコアの対比のみから商品を選択するのではなく、各々の商品の商品スコアを他の顧客の商品スコアと対比し、その相対的な水準を基準にして、紹介する商品を選択することを特徴としている。出願人の調査研究によると、商品スコアが相対的に高い顧客は紹介した商品に関する取引が成約しやすい傾向が明らかになっているので、紹介すべき商品を選択する精度を高めるために、このような方法が有効と考えられる。
【0049】
紹介商品選択部15によって、各々の顧客に対して紹介する商品である紹介商品が選択されると、紹介理由決定部16が起動されて、顧客に紹介商品について説明する際の参考情報として営業担当者に提供される、各々の商品が紹介商品に選択された理由が決定される。
【0050】
以下に説明するのは、紹介商品が選択された理由の決定方法の一例であるが、この例では、紹介商品に選択された商品の商品スコアの算出への寄与度が大きい属性情報や履歴情報の項目だけではなく、商品スコアの算出には用いられなかったものの、紹介商品に選択された商品との関連性が特に強い属性情報や履歴情報の項目も対象に含めて、紹介商品が選択された理由を決定することとしている。
【0051】
ある顧客の紹介商品に選択された商品の商品スコアは、他の商品の商品スコアに比べて、同じ商品に関する他の顧客の商品スコアより相対的に高い値が算出されているはずであるが、その相対的に高い商品スコアの算出への寄与度が高い属性情報や履歴情報の項目とその値を、寄与項目値として抽出する(
図3のS8)。この寄与項目値は、紹介商品の選択に相対的に強い影響を与えているため、寄与項目値のみを用いて紹介商品が選択された理由を決定することとしてもよいが、本発明では、さらに、
図3のS2で抽出した特徴項目値との関係も考慮して、紹介商品が選択された理由を決定する(
図3のS9)。
【0052】
例えば、
図6に示した例では、顧客Aの紹介商品に選択された商品Z(ここでは金融商品の「投資信託」とする)について算出された商品スコアへの寄与度が最も大きい項目が、顧客の属性情報に含まれる「年齢」という項目で、その値は「30代」であり、これが寄与項目値として抽出されている。その一方で、商品スコアの算出には用いられなかった属性情報や履歴情報の項目の中から、商品Z(投資信託)に関する取引の成約との関連性が強い特徴的な項目である、顧客Aの履歴情報の項目「投資信託の資料請求」の値「実績あり」が、
図3のS2で顧客Aの特徴項目値として抽出されている。
【0053】
ここで抽出された寄与項目値と特徴項目値のうち、いずれの値を紹介商品が選択された理由の決定に用いるか、あるいは双方の値を紹介商品が選択された理由の決定に用いるかについては、あらかじめルール(
図3の「理由優先度」)が設定されており、そのルールに従って選択された項目の値から、紹介商品が選択された理由が決定される。
図6の例では、「年齢」の項目値より「(対象商品に関連する)資料請求」の項目値が理由の決定に優先されることとされており、顧客Aが「投資信託の資料請求をしたことがある」ことが、商品Z(投資信託)が顧客Aの紹介商品に選択された理由に決定されている。
【0054】
以上のように決定された紹介商品が選択された理由は、紹介商品として選択された商品に関する情報と関連づけて、顧客情報格納部11に顧客Aの訴求情報113(顧客別訴求情報)として登録される(
図3のS10)。
【0055】
営業担当者は、顧客との面談前、あるいは面談時に、営業担当者端末20から営業支援サーバ10にアクセスして顧客別訴求情報出力部17を起動することで、顧客情報格納部11に格納されている当該顧客の訴求情報113を営業担当者端末20に出力して、紹介すべき商品とその商品を紹介する理由を確認することができる。
【0056】
図7は、営業担当者端末20に出力される紹介商品に関する情報の表示画面の一例を示したものであるが、この画面に表示される情報には、顧客名とその顧客に紹介すべき商品、その商品を紹介する理由が含まれている。商品を紹介する理由は、一の項目値から決定された一つの理由に限定することとしてもよいし、一つ又は複数の項目値から決定された複数の理由を併記することとしてもよい。
【0057】
また、その商品が、特に優先的に紹介すべきものであるかを把握できるようにするために、紹介する商品の商品ランクや商品スコアを表示することとしてもよい。その他にも、その商品の紹介方法に関するヒント(
図7の例では「アプローチの例」として顧客への提案方法を表示している)や、紹介時に留意すべき事項などの参考情報を表示することとしてもよい。
【0058】
営業担当者端末20に出力される紹介商品に関する情報の表示画面の構成は、
図7に示した例に限定されるものではなく、例えば、顧客一人に対して複数の紹介商品が選択された場合には、一人の顧客について
図7に例示した表示画面を紹介商品毎に複数生成することとしてもよいし、一の表示画面に複数の紹介商品に関する各々の紹介理由を含む情報をまとめて表示することとしてもよい。