(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682589
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】エレベータ監視装置およびエレベータ監視方法
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20200406BHJP
B66B 5/00 20060101ALI20200406BHJP
B66B 11/02 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
B66B3/00 R
B66B3/00 L
B66B5/00 G
B66B11/02 P
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-176496(P2018-176496)
(22)【出願日】2018年9月20日
(65)【公開番号】特開2020-45236(P2020-45236A)
(43)【公開日】2020年3月26日
【審査請求日】2018年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】濱口 祥崇
【審査官】
須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2018−034959(JP,A)
【文献】
特開2004−059209(JP,A)
【文献】
特開2017−218266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00
B66B 5/00
B66B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗りかご内を撮影する監視カメラ装置と、前記エレベータ内で異常が発生したときに動作して前記エレベータを停止させる保護回路と、前記乗りかごに乗車している人を検出する乗車検出装置とに接続され、
前記監視カメラ装置で撮影された撮像情報を記憶する撮像情報記憶部と、
前記保護回路が動作すると、前記撮像情報記憶部に記憶された中から、当該動作時の第1期間前から第2期間後までの撮像情報を、前記保護回路動作時の特定撮像情報として取得し、前記保護回路が動作したときに前記乗車検出装置で前記乗りかごに乗車している人が検出されていた場合には、前記第1期間よりも長い第3期間前から、前記撮像情報を特定撮像情報として取得する特定撮像情報取得部と、
前記特定撮像情報取得部で取得された特定撮像情報を記憶する特定撮像情報記憶部と
を備えることを特徴とするエレベータ監視装置。
【請求項2】
前記エレベータから遠隔地に設置されたサービスセンタ装置に接続され、
前記保護回路が動作したときに、前記乗車検出装置で前記乗りかごに乗車している人が検出されていた場合には、前記特定撮像情報記憶部に記憶された特定撮像情報を、前記サービスセンタ装置に送信する特定撮像情報送信部
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ監視装置。
【請求項3】
前記乗車検出装置は、人感センサまたは荷重検知装置で構成される
ことを特徴とする請求項2に記載のエレベータ監視装置。
【請求項4】
エレベータの乗りかご内を撮影する監視カメラ装置で撮影された撮像情報を記憶し、
前記エレベータ内で異常が発生したときに動作して前記エレベータを停止させる保護回路が動作すると、記憶された中から、当該動作時の第1期間前から第2期間後までの撮像情報を、前記保護回路動作時の特定撮像情報として取得して記憶し、前記保護回路が動作したときに、前記乗りかごに乗車している人を検出する乗車検出装置で前記乗りかごに乗車している人が検出されていた場合には、前記第1期間よりも長い第3期間前から、前記撮像情報を特定撮像情報として取得して記憶する
ことを特徴とするエレベータ監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ監視装置およびエレベータ監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの制御盤には、異常発生時にエレベータを停止させるための保護回路が設けられている。この保護回路が動作したときに、保守員は該当時の乗りかご内の状況を確認するために、乗りかご内を撮影した監視カメラ装置の撮像情報を再生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−6071号公報
【特許文献2】特開2006−166240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
異常発生時の撮像情報を再生させるには、保守員が異常発生時の日時を指定することで、監視カメラ装置の録画情報の中から該当箇所の撮像情報部分を検索する。しかし、制御盤と監視カメラ装置との間で設定日時にずれがある場合には、当該操作からは所望の撮像情報部分を検索できない場合があるという問題があった。
【0005】
また、監視カメラ装置によっては、乗りかご内に人がいることが検出されたときにのみ撮像処理を行うように設定されているものものあり、この場合、人がいない乗りかご内で発生した異常により保護回路が動作したときには、後から該当時の乗りかご内の撮像情報を視認することができないという問題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、エレベータで異常が発生した際の乗りかご内の撮像情報を、簡易かつ確実に再生させることが可能なエレベータ監視装置およびエレベータ監視方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための実施形態によればエレベータ監視装置は、エレベータの乗りかご内を撮影する監視カメラ装置と、エレベータ内で異常が発生したときに動作してエレベータを停止させる保護回路と
、乗りかごに乗車している人を検出する乗車検出装置とに接続され、撮像情報記憶部と特定撮像情報取得部と特定撮像情報記憶部とを備える。撮像情報記憶部は、監視カメラ装置で撮影された撮像情報を記憶する。特定撮像情報取得部は、保護回路が動作すると、撮像情報記憶部に記憶された中から、当該動作時の第1期間前から第2期間後までの撮像情報を、保護回路動作時の特定撮像情報として取得
し、保護回路が動作したときに乗車検出装置で乗りかごに乗車している人が検出されていた場合には、第1期間よりも長い第3期間前から、撮像情報を特定撮像情報として取得する。特定撮像情報記憶部は、特定撮像情報取得部で取得された
特定撮像情報を記憶する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態によるエレベータ監視装置を利用したエレベータシステムの構成を示す全体図。
【
図2】一実施形態によるエレベータ監視装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〈一実施形態によるエレベータ監視装置を利用したエレベータシステムの構成〉
本発明の一実施形態によるエレベータシステムの構成について、
図1を参照して説明する。本実施形態によるエレベータシステム1は、建物内に設置されたエレベータ10と、エレベータ10に通信ネットワーク20を介して接続され、当該建物から遠隔地にあるサービスセンタに設置されたサービスセンタ装置30とを備える。
【0010】
エレベータ10は、建物内の昇降路上部に設置された巻上げ機11と、巻上げ機11に掛け渡されたロープ12に吊り下げられた乗りかご13と、昇降路上部に設置され、乗りかご13にテールコード14で接続されたエレベータ制御装置15とを有する。乗りかご13には、乗りかご13内を撮影する監視カメラ装置131と、乗りかご13に乗車している人を検出する乗車検出装置としての人感センサ132とが設置されている。
【0011】
エレベータ制御装置15は、動作制御部151と、保護回路152と、エレベータ監視装置としてのエレベータ監視部153と、出力部154とを有する。動作制御部151は、エレベータ10内の各機器の動作を制御する。保護回路152は、エレベータ10内で異常が発生したことを検出したときに動作して巻上げ機11を停止させることで乗りかご13の昇降を停止させる。
【0012】
エレベータ監視部153は、撮像情報取得部153aと、撮像情報記憶部153bと、特定撮像情報取得部153cと、特定撮像情報記憶部153dと、特定撮像情報送信部153eとを有する。撮像情報取得部153aは、監視カメラ装置131で撮影された乗りかご13内の撮像情報を取得する。撮像情報記憶部153bは、撮像情報取得部153aで取得された撮像情報を記憶する。特定撮像情報取得部153cは、保護回路152が動作すると、撮像情報記憶部153bに記憶された中から、当該動作時の第1期間前から第2期間後までの撮像情報を、保護回路動作時の特定撮像情報として取得する。特定撮像情報記憶部153dは、特定撮像情報取得部153cで取得された特定撮像情報を記憶する。特定撮像情報送信部153eは、保護回路152が動作したときに、人感センサ132で乗りかご13に乗車している人が検出されていた場合には、特定撮像情報記憶部153dに記憶された撮像情報を、サービスセンタ装置30に送信する。出力部154は、保守員の操作により、撮像情報記憶部153bに記憶された撮像情報、または特定撮像情報記憶部153dに記憶された特定撮像情報を再生する。
【0013】
サービスセンタ装置30は、エレベータ10から遠隔地のサービスセンタに設置され、エレベータ10の稼働状態を監視する。
【0014】
〈一実施形態によるエレベータシステムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータシステム1の動作について説明する。本実施形態において、エレベータシステム1が稼動している間は、乗りかご13の監視カメラ装置131で撮影された撮像情報および人感センサ132による検出情報が、逐次テールコード14を介してエレベータ制御装置15に送信されている。
【0015】
これらの情報が逐次取得されている状態で、エレベータ制御装置15で実行される処理について
図2のフローチャートを参照して説明する。エレベータ制御装置15では、監視カメラ装置131から取得された撮像情報がエレベータ監視部153の撮像情報取得部153aで取得され、撮像情報記憶部153bに記憶される(S1)。また、エレベータ制御装置15では、監視カメラ装置131から取得された人感センサ132による検出情報が、エレベータ監視部153の特定撮像情報送信部153eで取得されている。
【0016】
そして、エレベータ10内で異常が発生したことにより保護回路152が動作すると(S2の「YES」)、特定撮像情報取得部153cにより、撮像情報記憶部153bに記憶された中から、予め設定された第1期間前から第2期間後までの撮像情報が、保護回路152動作時の特定撮像情報として取得される。本実施形態においては、第1期間および第2期間が「10秒」として設定されている。取得された特定撮像情報は、特定撮像情報記憶部153dに記憶される(S3)。
【0017】
これにより、当該エレベータ10の保守員は、特定撮像情報記憶部153dに記憶された特定撮像情報の再生を指定する操作を行うのみで、日時情報等から検索する煩雑な処理を要せずに、保護回路152が動作したときの乗りかご13内の撮像情報を出力部154で再生させることができる。
【0018】
また、保護回路が動作したときに、特定撮像情報送信部153eにおいて、人感センサ132で乗りかご13に乗車している人の検出情報が取得されていたときには、特定撮像情報記憶部153dに記憶された特定撮像情報が、通信ネットワーク20を介してサービスセンタ装置30に送信される(S5)。サービスセンタ装置30では、エレベータ制御装置15から送信された特定撮像情報に基づいて、エレベータ10の保護回路152が動作したときの乗りかご13内の撮像情報が出力され、保守員はこれを視聴して対応策を判断する。
【0019】
以上の実施形態によれば、エレベータで異常が発生した際の乗りかご内の撮像情報を、特定撮像情報として抽出して記憶しておくことにより、後から保守員が該当時の撮像情報を簡易かつ確実に再生させて異常発生に関する状況を把握することができる。
【0020】
上述した実施形態においては、乗車検出装置として人感センサを用いた場合について説明したが、乗りかごに設置された荷重検知装置を乗車検出装置として用い、当該荷重検知装置で検知された荷重量に基づいて、乗りかご13に乗車している人を検出するようにしてもよい。
【0021】
また、上述した実施形態において、特定撮像情報取得部153cは、保護回路152が動作したときに、人感センサ132で乗りかご13に乗車している人が検出されていた場合には、第1期間よりも長い第3期間(例えば、30秒)前から、撮像情報を取得するようにしてもよい。このように処理することにより、突発的な事故ではなく、乗りかご13内の人のいたずら等により異常が発生した場合に、より長期間の情報から詳細に異常発生に関する状況を把握することができる。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0023】
1…エレベータシステム、10…エレベータ、11…巻上げ機、12…ロープ、13…乗りかご、14…テールコード、15…エレベータ制御装置、20…通信ネットワーク、30…サービスセンタ装置、131…監視カメラ装置、132…人感センサ、151…動作制御部、152…保護回路、153…エレベータ監視部、153a…撮像情報取得部、153b…撮像情報記憶部、153c…特定撮像情報取得部、153d…特定撮像情報記憶部、153e…特定撮像情報送信部、154…出力部