(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6682611
(24)【登録日】2020年3月27日
(45)【発行日】2020年4月15日
(54)【発明の名称】核酸の抽出方法およびその抽出カセット
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20200406BHJP
C12N 15/10 20060101ALI20200406BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12N15/10 100Z
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-240433(P2018-240433)
(22)【出願日】2018年12月24日
(65)【公開番号】特開2019-115337(P2019-115337A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2019年2月21日
(31)【優先権主張番号】62/610,444
(32)【優先日】2017年12月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】201811532891.X
(32)【優先日】2018年12月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】596039187
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鐘 ▲威▼宇
(72)【発明者】
【氏名】黄 菘斌
(72)【発明者】
【氏名】劉 興倫
(72)【発明者】
【氏名】高 于凱
(72)【発明者】
【氏名】李 怡臻
【審査官】
田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2017/0015993(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0024436(US,A1)
【文献】
特開2015−073485(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0099279(US,A1)
【文献】
特表2009−529883(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/106579(WO,A1)
【文献】
特開2008−061649(JP,A)
【文献】
特開2005−087071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00
C12N 15/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出モジュールと、
前記抽出モジュールと連通する液体受容モジュールとを含む抽出カセットであって、前記液体受容モジュールは、
第1の側部、第2の側部、およびサンプル供給口を含み、前記第1の側部は前記第2の側部の反対側にあり、前記サンプル供給口は、前記第1の側部に形成される受容モジュール本体、
前記受容モジュール本体に形成されたサンプル室であって、前記サンプル室は前記サンプル供給口と連通し、前記サンプル室は、第1のサンプル室連結口および第2のサンプル室連結口を含み、前記第1のサンプル室連結口は、前記第2の側部に対して前記第1の側部に近いサンプル室、
前記サンプル供給口を封止するように構成された封止部材、
前記受容モジュール本体に形成されたアルコール室、および
前記アルコール室と前記第1のサンプル室の前記第1のサンプル室連結口を連通する第1の経路であって、前記第1の経路の少なくとも一部は前記アルコール室と前記第2の側部との間に配置される第1の経路
を含む抽出カセット。
【請求項2】
前記アルコール室は、アルコール室連結口を含み、前記アルコール室連結口は、前記第1の側部に対して前記第2の側部に近く、前記第1の経路は、前記アルコール室連結口と前記第1のサンプル室連結口を連結する請求項1に記載の抽出カセット。
【請求項3】
前記液体受容モジュールは、第1の混合室および第2の経路を更に含み、
前記第1の混合室は、前記受容モジュール本体に形成され、前記第2のサンプル室連結口は、前記第1の側部に対して前記第2の側部に近く、前記第2の経路は、前記第2のサンプル室連結口と前記第1の混合室を連結する請求項2に記載の抽出カセット。
【請求項4】
前記液体受容モジュールは、第2の混合室、第3の経路、および第4の経路を更に含み、前記第2の混合室は、前記受容モジュール本体に形成され、前記第3の経路は、前記第1の混合室と前記第2の混合室を連結し、前記第4の経路は、前記第2の混合室と前記抽出モジュールを連結し、前記第4の経路は、第4の経路出口を含み、前記第4の経路出口は、前記第1の混合室および前記第2の混合室に対して前記第1の側部に近い請求項3に記載の抽出カセット。
【請求項5】
前記液体受容モジュールは、第1の洗剤室、第2の洗剤室、第5の経路、および第6の経路を更に含み、前記第1の洗剤室および前記第2の洗剤室は、前記受容モジュール本体に形成され、前記第5の経路は、前記第1の洗剤室と前記第1の混合室を連結し、前記第6の経路は、前記第2の洗剤室と前記第1の混合室を連結する請求項4に記載の抽出カセット。
【請求項6】
前記液体受容モジュールは、溶離液室および第7の経路を更に含み、前記溶離液室は前記受容モジュール本体に形成され、前記第7の経路は前記溶離液室と前記抽出モジュールを連結する請求項5に記載の抽出カセット。
【請求項7】
核酸の抽出方法であって、
液体受容モジュールおよび抽出モジュールを含む抽出カセットであって、前記抽出モジュールは、前記液体受容モジュールと連通し、前記液体受容モジュールは、サンプル室、アルコール室、第1の混合室、第2の混合室、第1の洗剤室、第2の洗剤室、および溶離液室を含む抽出カセットを提供するステップ、
アルコールを前記アルコール室内に充填し、第1の洗剤を前記第1の洗剤室内に充填し、第2の洗剤を前記第2の洗剤室内に充填し、且つ溶離液を前記溶離液室内に充填するステップ、
サンプルを前記サンプル室内に充填するステップ、および
前記サンプル室内の前記サンプルを加熱するステップ
を含む方法。
【請求項8】
前記アルコールを前記アルコール室から前記サンプル室に移動させ、前記サンプルと前記アルコールを混ぜて混合液とするステップを更に含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記混合液を前記第1の混合室内に移動するステップ、および
前記混合液を前記第1の混合室と前記第2の混合室との間で繰り返し移動させ、前記サンプルと前記アルコールを混合させるステップを更に含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記混合液を前記抽出モジュール内に移動させ、前記核酸が前記抽出モジュールによって前記混合液から取得されるステップ、および
前記混合液を前記抽出モジュールの第1の廃液室内に移動させるステップを更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の洗剤を前記第1の洗剤室から前記第1の混合室および前記第2の混合室に順に移動させ、前記第1の混合室および前記第2の混合室を洗浄するステップ、
前記第1の洗剤を前記抽出モジュールに移動させ、前記抽出モジュールを洗浄するステップ、および
前記第1の洗剤を前記抽出モジュールの前記第1の廃液室に移動させるステップを更に含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の洗剤を前記第2の洗剤室から前記第1の混合室および第2の混合室に順に移動させ、前記第1の混合室および前記第2の混合室を洗浄するステップ、
前記第2の洗剤を前記抽出モジュールに移動させ、前記抽出モジュールを洗浄するステップ、および
前記第2の洗剤の少なくとも一部を前記抽出モジュールの第2の廃液室に移動させるステップを更に含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記溶離液を前記溶離液室から前記抽出モジュールに移動させ、前記抽出モジュールから前記核酸を取り出すステップを更に含むステップを更に含む請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年12月26日に出願された米国特許仮出願番号第62/610444号からの優先権を主張するものであり、これらの全ては引用によって本願に援用される。
【0002】
本出願は、一部継続出願であり、2016年2月8日に出願された継続中の米国特許出願番号第15/018067号「Nucleic acid extracting device」からの優先権を主張するものである。
【0003】
本出願は、2018年12月14日に出願された中国特許出願番号第201811532891X号についての優先権を主張するものであり、これらの全ては引用によって本願に援用される。
【0004】
本発明は、抽出カセットに関するものであり、特に、液体受容モジュールを有する抽出カセットに関するものである。
【背景技術】
【0005】
従来の液体受容モジュールでは、サンプル室(compartment)は通常、圧力源に連結された圧力供給口を有する。サンプル室内の液体の移動は、圧力供給口を介して供給された圧力によって制御されることができる。しかしながら、サンプルはしばしばウイルス、バクテリアまたは他の汚染物質を含み、その汚染物質は、圧力供給口を介して分析装置または外部環境に移動することがある。このような汚染物質は不正確なテスト結果を招くだけでなく、オペレータの健康に危険をもたらすことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、抽出カセットが提供される。抽出カセットは、抽出モジュールおよび液体受容モジュールを含む。液体受容モジュールは、抽出モジュールと連通する。液体受容モジュールは、受容モジュール本体、サンプル室、封止部材、アルコール室、および第1の経路を含む。受容モジュール本体は、第1の側部、第2の側部、およびサンプル供給口を含み、第1の側部は第2の側部の反対側にあり、サンプル供給口は、第1の側部に形成される。サンプル室は、受容モジュール本体に形成され、サンプル室はサンプル供給口と連通し、サンプル室は、第1のサンプル室連結口および第2のサンプル室連結口を含み、第1のサンプル室連結口は、第2の側部に対して第1の側部に近い。封止部材は、サンプル供給口を封止するように構成される。アルコール室は、受容モジュール本体に形成される。アルコール室は、第1の経路を介して第1のサンプル室の第1のサンプル室連結口と連通し、第1の経路の少なくとも一部はアルコール室と第2の側部との間に配置される。
【0007】
一実施形態では、アルコール室は、アルコール室連結口を含み、アルコール室連結口は、第1の側部に対して第2の側部に近く、第1の経路は、アルコール室連結口と第1のサンプル室連結口を連結する。
【0008】
一実施形態では、液体受容モジュールは、第1の混合室および第2の経路を更に含み、第1の混合室は、受容モジュール本体に形成され、第2のサンプル室連結口は、第1の側部に対して第2の側部に近く、第2の経路は、第2のサンプル室連結口と第1の混合室を連結する。
【0009】
一実施形態では、液体受容モジュールは、第2の混合室、第3の経路、および第4の経路を更に含み、第2の混合室は、受容モジュール本体に形成され、第3の経路は、第1の混合室と第2の混合室を連結し、第4の経路は、第2の混合室と抽出モジュールを連結し、第4の経路は、第4の経路出口を含み、第4の経路出口は、第1の混合室および第2の混合室に対して第2の側部に近い。
【0010】
一実施形態では、液体受容モジュールは、第1の洗剤室、第2の洗剤室、第5の経路、および第6の経路を更に含み、第1の洗剤室および第2の洗剤室は、受容モジュール本体に形成され、第5の経路は、第1の洗剤室と第1の混合室を連結し、第6の経路は、第2の洗剤室と第1の混合室を連結する。
【0011】
一実施形態では、液体受容モジュールは、溶離液室および第7の経路を更に含み、溶離液室は受容モジュール本体に形成され、第7の経路は溶離液室と抽出モジュールを連結する。
【0012】
一実施形態では、核酸の抽出方法が提供される。核酸の抽出方法は、以下のステップを含む。まず、抽出カセットが提供され、抽出カセットは、抽出モジュールおよび液体受容モジュールを含み、抽出モジュールは、液体受容モジュールと連通し、液体受容モジュールは、サンプル室、アルコール室、第1の混合室、第2の混合室、第1の洗剤室、第2の洗剤室、および溶離液室を含む。次いで、アルコールがアルコール室内に充填され、第1の洗剤が第1の洗剤室内に充填され、第2の洗剤が第2の洗剤室内に充填され、且つ溶離液が溶離液室内に充填される。次に、サンプルがサンプル室内に充填される。次いで、サンプル室内のサンプルが加熱される。
【0013】
一実施形態では、前記方法は、アルコールをアルコール室からサンプル室に移動させ、サンプルとアルコールを混ぜて混合液とする。
【0014】
一実施形態では、前記方法は、以下のステップを更に含む。まず、混合液が第1の混合室内に移動される。次いで、混合液が第1の混合室と第2の混合室との間で繰り返し移動され、サンプルとアルコールを混合させる。
【0015】
一実施形態では、前記方法は、以下のステップを更に含む。まず、混合液が抽出モジュール内に移動され、核酸が抽出モジュールによって混合液から取得される。次いで、混合液が抽出モジュールの第1の廃液室内に移動される。
【0016】
一実施形態では、前記方法は以下のステップを更に含む。まず、第1の洗剤が第1の洗剤室から第1の混合室および第2の混合室に順に移動され、第1の混合室および第2の混合室を洗浄する。次いで、第1の洗剤は、抽出モジュールに移動されて抽出モジュールを洗浄する。次に、第1の洗剤は、抽出モジュールの第1の廃液室に移動される。
【0017】
一実施形態では、前記方法は以下のステップを更に含む。まず、第2の洗剤が第2の洗剤室から第1の混合室および第2の混合室に順に移動され、第1の混合室および第2の混合室を洗浄する。次いで、第2の洗剤は、抽出モジュールに移動されて抽出モジュールを洗浄する。次に、第2の洗剤の少なくとも一部が抽出モジュールの第2の廃液室に移動される。
【0018】
一実施形態では、前記方法は、溶離液を溶離液室から抽出モジュールに移動させ、抽出モジュールから核酸を取り出すステップを更に含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施形態の抽出カセットを用いて、サンプル室のサンプル供給口は封止部材によって封止される。サンプル室内の混合液は、アルコール室に加えられた圧力によって第1の混合室に移動される。従って、サンプル室内のサンプルのウイルス、細菌、その他の汚染物質が液体受容モジュールから漏れるのを防止することができる。サンプルの汚染物質が第1のサンプル室連結口(サンプル室の上方)および第1の経路を介してアルコール室に入ったとしても、汚染物質はアルコール室によって消毒され、汚染が起こることはない。本発明の実施形態の抽出カセットは、サンプルによって汚染される領域を分析装置の内部または周囲の環境に制限し、分析結果の精度を向上させ、オペレータの健康を保護することができる。
【0020】
詳細な説明は、添付の図面と併せて以下の実施形態で説明する。
【0021】
添付の図面とともに以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本発明はより完全に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】
図1Aは、本発明の一実施形態の抽出カセットの組立図である。
【
図1B】
図1Bは、本発明の実施形態の抽出カセットの分解図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の実施形態の液体受容モジュールの詳細図である。
【
図2B】
図2Bは、本発明の実施形態の第3の経路の詳細図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の実施形態の液体受容モジュールの動作を示している。
【
図3B】
図3Bは、本発明の実施形態の液体受容モジュールの動作を示している。
【
図3C】
図3Cは、本発明の実施形態の液体受容モジュールの動作を示している。
【
図3D】
図3Dは、本発明の実施形態の液体受容モジュールの動作を示している。
【
図3E】
図3Eは、本発明の実施形態の液体受容モジュールの動作を示している。
【
図3F】
図3Fは、本発明の実施形態の液体受容モジュールの動作を示している。
【
図3G】
図3Gは、本発明の実施形態の液体受容モジュールの動作を示している。
【
図3H】
図3Hは、本発明の実施形態の液体受容モジュールの動作を示している。
【
図3I】
図3Iは、本発明の実施形態の液体受容モジュールの動作を示している。
【
図4A】
図4Aは、本発明の実施形態の核酸抽出方法を示している。
【
図4B】
図4Bは、本発明の実施形態の核酸抽出方法を示している。
【
図4C】
図4Cは、本発明の実施形態の核酸抽出方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明では、本発明を実施するベストモードを開示している。この説明は、本発明の一般原理を例示する目的のものであり、本発明を限定するものではない(本発明の範囲は、添付の請求の範囲を参考にして決定される)。
【0024】
図1Aは、本発明の一実施形態の抽出カセットCの組立図である。
図1Bは、本発明の実施形態の抽出カセットCの分解図である。
図1Aおよび
図1Bに示すように、抽出カセットCは、抽出モジュール1、液体受容モジュール2、サンプリングモジュール3、および連結モジュール4を含む。抽出カセットCは分析装置内に配置されるように構成されている。分析装置は、第1の圧力供給モジュール、分析モジュール、および第2の圧力供給モジュールを含む。第1の圧力供給モジュールおよび第2の圧力供給モジュールは、抽出カセットCに向かって圧力を加え、抽出カセットC内の液体の移動を制御する。分析モジュールは抽出カセットCを加熱および冷却し、抽出カセットC内のサンプルを分析する。
【0025】
図1Bに示すように、液体受容モジュール2は、連結モジュール4を介して抽出モジュール1と連通する。液体受容モジュール2の室は、連結モジュール4を介して互いに連通する。
図2Aは液体受容モジュール2の詳細図である。
図2Aに示すように、液体受容モジュール2は、受容モジュール本体29、サンプル室21、封止部材211、アルコール室22、および第1の経路221を含む。受容モジュール本体29は、第1の側部291、第2の側部292、およびサンプル供給口212を含む。第1の側部291は第2の側部292の反対側にある。サンプル供給口212は、第1の側部291に形成される。サンプル室21は、受容モジュール本体29に形成される。サンプル室21はサンプル供給口212と連通する。サンプル室21は、第1のサンプル室連結口213および第2のサンプル室連結口214を含む。第1のサンプル室連結口213は、第2の側部292に対して第1の側部291に近い。封止部材211は、サンプル供給口212を封止するように構成される。アルコール室22は、受容モジュール本体29に形成される。アルコール室22は、第1の経路221を介して第1のサンプル室21の第1のサンプル室連結口213と連通する。一実施形態では、第1の経路221の少なくとも一部はアルコール室22と第2の側部292との間に配置される。
【0026】
図2Aに示すように、一実施形態では、アルコール室22は、アルコール室連結口222を含む。アルコール室連結口222は、第1の側部291に対して第2の側部292に近い。第1の経路221は、アルコール室連結口222と第1のサンプル室連結口213を連結する。
【0027】
図2Aに示すように、一実施形態では、液体受容モジュール2は、第1の混合室23および第2の経路231を更に含む。第1の混合室23は、受容モジュール本体29に形成される。第2のサンプル室連結口214は、第1の側部291に対して第2の側部292に近い。第2の経路231は、第2のサンプル室連結口214と第1の混合室23を連結する。
【0028】
図2Aおよび
図2Bに示すように、一実施形態では、液体受容モジュール2は、第2の混合室24、第3の経路241、および第4の経路242を更に含む。第2の混合室24は、受容モジュール本体29に形成される。第3の経路241は、第1の混合室23と第2の混合室24を連結する。第4の経路242は、第2の混合室24と抽出モジュール1を連結する。一実施形態では、第3の経路241は、第1の混合室23と第2の混合室24の底部を連結する。
【0029】
図2Aに示すように、一実施形態では、液体受容モジュール2は、第1の洗剤室25、第2の洗剤室26、第5の経路251、および第6の経路261を更に含む。第1の洗剤室25および第2の洗剤室26は、受容モジュール本体29に形成される。第5の経路251は、第1の洗剤室25と第1の混合室23を連結する。第6の経路261は、第2の洗剤室26と第1の混合室23を連結する。
【0030】
図2Aに示すように、一実施形態では、液体受容モジュールは、溶離液室27および第7の経路271を更に含む。溶離液室27は受容モジュール本体29に形成され、第7の経路271は溶離液室27と抽出モジュール1を連結する。
【0031】
図3A〜
図3Iは、本発明の実施形態の液体受容モジュール2の動作を示している。
図3Aに示すように、まず、液体受容モジュール2は、アルコール281(アルコール室22内)、第1の洗剤282(第1の洗剤室25内)、第2の洗剤283(第2の洗剤室26内)、および溶離液284(溶離液室27内)の4つの液体を受容する。次いで、
図3Bに示すように、サンプル285がサンプル室21内に充填される。抽出カセットCが分析装置の分析モジュール内に配置された後、サンプル室21内のサンプル285の温度は60度(60℃)に上げられる。次に、
図3Cに示すように、サンプル室21内のサンプル285の温度が60度(60℃)に上げられた後、アルコール室22からのアルコール281は、サンプル室21へ注入され、サンプル285とアルコール281をサンプル区画21内で混ぜて混合液286とする。次いで、
図3Dおよび
図3Eに示すように、サンプル285およびアルコール281を含む混合液286は、サンプル室21から第1の混合室23に移動される(
図3D)。次いで、混合液286は、第1の混合室23と第2の混合室24間で繰り返し移動されて、サンプル285とアルコール281を混合させる(
図3E)。
【0032】
一実施形態では、サンプル285およびアルコール281を含む混合液286は、抽出モジュール1内に移動され、核酸が抽出モジュール1によって混合液286から取得される。次いで、混合液286は、抽出モジュール1の第1の廃液室に移動される。
【0033】
次いで、
図3Fおよび
図3Gに示すように、第1の洗剤282は、第1の洗剤室25から第1の混合室23と第2の混合室24に徐々に移動され、第1の混合室23および第2の混合室24を洗浄する。次いで、第1の洗剤282は、抽出モジュール1に移動されて抽出モジュール1を洗浄する。次いで、第1の洗剤282は、抽出モジュール1の第1の廃液室に移動される。
【0034】
次いで、
図3Hおよび
図3Iに示すように、第2の洗剤283は、第2の洗剤室26から第1の混合室23と第2の混合室24に徐々に移動され、第1の混合室23および第2の混合室24を洗浄する。次いで、第2の洗剤283は、抽出モジュール1に移動されて抽出モジュール1を洗浄する。次いで、第2の洗剤283の少なくとも一部は、抽出モジュール1の第2の廃液室に移動される。
【0035】
最後に、溶離液284は、溶離液室27から抽出モジュール1に移動され、抽出モジュール1から核酸を取り出す。次いで、核酸を含む溶離液284は、サンプリングモジュール3に移動され、定量的にサンプリングされる。
【0036】
図2Aおよび
図3Bに示すように、本発明の実施形態の抽出カセットを用いて、サンプル室21のサンプル供給口212は封止部材211によって封止される。サンプル室21内の混合液286は、アルコール室22に加えられた圧力によって第1の混合室23に移動される。従って、サンプル室21内のサンプル285のウイルス、細菌、その他の汚染物質が液体受容モジュールから漏れるのを防止することができる。サンプル285の汚染物質が第1のサンプル室連結口(サンプル室21の上方)および第1の経路221を介してアルコール室22に入ったとしても、汚染物質はアルコール室22によって消毒され、汚染が起こることはない。本発明の実施形態の抽出カセットは、サンプル285によって汚染される領域を分析装置の内部または周囲の環境に制限し、分析結果の精度を向上させ、オペレータの健康を保護することができる。
【0037】
図2A、
図3D、および
図3Eに示すように、本発明の実施形態の抽出カセットを用いており、混合液286は、第3の経路241を介して第1の混合室23と第2の混合室24との間を前後に移動することができる。混合液286は十分に混合されることで、混合液286を十分に混合する効果を最小限のスペースで達成することができる。一実施形態では、第4の経路242は、第1の混合室23および第2の混合室24の上端よりも高い第4の経路出口242Aを有する。第4の経路出口242Aは、混合液286の液面よりも高い。従って、混合液286が意図せずに第4の経路出口242Aを通って抽出モジュール1に入るのを防止することができる。
【0038】
図2Aに示されるように、液体受容モジュール2は、封止部材211を除いて一体的に形成され得る。
【0039】
図4A〜
図4Cは、本発明の実施形態の核酸の抽出方法を示している。
図4Aに示されるように、本発明の核酸の抽出方法は、以下のステップを含む。まず、抽出カセットが提供され、抽出カセットは液体受容モジュールおよび抽出モジュールを含み、抽出モジュールは液体受容モジュールと連通し、液体受容モジュールは、サンプル室、アルコール室、第1の混合室、第2の混合室、第1の洗剤室、第2の洗剤室、および溶離液室を含む(S11)。次いで、アルコールがアルコール室内に充填され、第1の洗剤が第1の洗剤室内に充填され、第2の洗剤が第2の洗剤室内に充填され、且つ溶離液が溶離液室内に充填される(S12)。次に、サンプルがサンプル室内に充填される(S13)。次いで、サンプル室内のサンプルが加熱される(S14)。
【0040】
図4Bに示されるように、一実施形態では、この方法は以下のステップを更に含む。アルコールがアルコール室からサンプル室に移動され、サンプルとアルコールを混ぜて混合液とする(S15)。次に、混合液が第1の混合室内に移動され、次いで混合液が第1の混合室と第2の混合室との間で繰り返し移動され、サンプルとアルコールを混合させる(S16)。次に、混合液が抽出モジュール内に移動され、核酸が抽出モジュールによって混合液から取得される(S17)。次いで、混合液が抽出モジュールの第1の廃液室内に移動される(S18)。
【0041】
図4Cに示されるように、一実施形態では、この方法は以下のステップを更に含む。第1の洗剤が第1の洗剤室から第1の混合室および第2の混合室に順に移動され、第1の混合室および第2の混合室を洗浄する(S21)。次いで、第1の洗剤が抽出モジュールに移動されて抽出モジュールを洗浄する(S22)。次に、第1の洗剤が抽出モジュールの第1の廃液室に移動される(S23)。次に、第2の洗剤が第2の洗剤室から第1の混合室および第2の混合室に順に移動され、第1の混合室および第2の混合室を洗浄する(S24)。次に、第2の洗剤が抽出モジュールに移動されて抽出モジュールを洗浄する(S25)。次に、第2の洗剤の少なくとも一部が抽出モジュールの第2の廃液室に移動される(S26)。次いで、溶離液が溶離液室から抽出モジュールに移動され、抽出モジュールから核酸を取り出す(S27)。
【0042】
1つの実験において、出願人は、高濃度の核酸(Mhプラスミド:106コピー/mL、CytBプラスミド)を含有する口腔細胞保存液を被試験の陽性サンプルとして用い、核酸を含有しない口腔細胞保存液を被試験の陰性サンプルとして用い、陽性サンプルと陰性サンプルの交互テストを行う。陽性サンプルのテスト結果の後の陰性サンプルのテスト結果は、核酸が検出されないことを確認することが望ましい。本発明の実施形態の抽出カセットが交差汚染を効果的に防止できることが実験的に検証された。
【0043】
テスト1: 高濃度の陽性サンプルと陰性サンプルを交互に4回試験する(試験順序:陽性→陰性→陽性→陰性)
結果:陰性サンプル内に核酸は検出されなかった。
【0045】
テスト2: 5回の高濃度の陽性サンプルテスト後の陰性サンプルテスト(試験順序:陽性→陽性→陽性→陽性→陰性)
結果:陰性サンプル内に核酸は検出されなかった。
【0047】
クレーム要素を変えるための、請求項における「第1の」、「第2の」、「第3の」等の序数詞の使用は、それ自体が、1つのクレーム要素を他のクレーム要素と比較して優先度、序列、又は順序、もしくは方法を実施する行為の時間的順序を示唆するものではなく、特定の名前を有する1つのクレーム要素を同じ名前を有する他の要素から区別するためのラベルとして(だけ、序数詞を)使用している。
【0048】
本発明は、例として及び望ましい実施の形態によって記述されているが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。逆に、当業者には自明の種々の変更及び同様の配置をカバーするものである。よって、添付の特許請求の範囲は、最も広義な解釈が与えられ、全てのこのような変更及び同様の配置を含むべきである。